JP6880772B2 - コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、電解コンデンサなど巻回素子を用いたコンデンサの製造技術に関する。
電解コンデンサなどのコンデンサでは、電極箔の表面積が静電容量の大小に繋がる。コンデンサは、電極箔を巻回して作成するコンデンサ素子を用いることがある。
また、コンデンサには、たとえば搭載させる機器や装置などの設置スペースなどに応じて円柱形状以外の形状として、素子の巻回面の形状を楕円状にした偏平形状のコンデンサ素子を用いるものがある。このようにコンデンサ素子を変形させるには、たとえば筒状に巻回したコンデンサ素子を外周側から押圧する手法が取られる。
このようなコンデンサに関し、電極箔を楕円状に巻回したコンデンサ素子を用いるコンデンサがある(たとえば、特許文献1、2、3)
特開昭59−18628号公報 特開昭59−194420号公報 特開2003−309041号公報
ところで、電解コンデンサに用いられる電極箔には、アルミニウムや銅などの弁金属箔が用いられる。この弁金属箔の表面に拡面化処理によりエッチング層が形成され、その上に化成処理により誘電体酸化皮膜が形成されている。たとえば、アルミニウムを用いた電極箔ではアルミニウム自体は延伸性や柔軟性に優れるが、誘電体酸化皮膜は硬く、電極箔の延伸性や柔軟性が低下する。特に、近年、電解コンデンサの高容量化、小型化、軽量化などの要請に応えるため、より高倍率の拡面化処理を施し、電極箔の表面積を拡大させているが、それに伴い誘電体酸化皮膜の面積も拡大し、結果として、電極箔の脆弱化や硬化が進み、素材自体が持つ柔軟性が極度に低下する。
このような電極箔を巻回してコンデンサ素子を形成した後、偏平形状になるようにコンデンサ素子の一部を押圧すると、大きく屈曲する湾曲部が形成される。このような湾曲部には、電極箔に大きな曲げ応力が作用する。このとき電極箔には、箔表面にクラックや破断などを生じるおそれがある。また、コンデンサ素子は、斯かる曲げ応力に追従することができず、元の円形形状に戻ろうとする復元力が作用するほか、追従性が低いために巻回時や押圧による成形時に、積層された電極箔同士の間に隙間が生じるおそれがある。このように電極箔間の隙間が大きくなることで、コンデンサの等価直列抵抗(ESR:Equivalent Series Resistance)が大きくなるという課題がある。
斯かる課題について、特許文献1、2、3には開示や示唆はなく、それらの構成では斯かる課題を解決することができない。
そこで、本発明の目的は、上記課題に鑑み、高倍率の拡面化処理、化成処理が施された電極箔を用いる巻回素子について、押圧による成形性を向上させ、コンデンサの信頼性を高めることにある。
上記目的を達成するため、本発明のコンデンサの製造方法の一側面は、電極箔が巻回された素子を用いるコンデンサの製造方法であって、前記電極箔のエッチング層の一部または全部に、平均ピッチが2100μm以下である複数の分断部を形成する工程と、前記エッチング層及び前記分断部の表面に誘電体酸化皮膜を形成する工程と、前記素子を外周側から押圧し、巻回面の一部に他の部分よりも曲率を大きくした湾曲部を備える形状に成形する工程とを含む。
上記コンデンサの製造方法において、前記電極箔は、箔芯部を残して複数の分断部を備えてよい。
上記目的を達成するため、本発明のコンデンサの一側面は、電極箔が巻回された素子を用いるコンデンサであって、前記素子は、巻回面の一部に他の部分よりも曲率を大きく形成された湾曲部を備える形状であり、少なくとも前記湾曲部の前記電極箔のエッチング層の一部または全部に、複数の分断部を備え、前記エッチング層及び前記分断部の表面に誘電体酸化皮膜が形成され、前記分断部の平均ピッチが2100μm以下である。
上記コンデンサにおいて、前記電極箔は、箔芯部を残して複数の前記分断部を備えてよい。
本発明によれば、次のいずれかの効果が得られる。
(1) 電極箔の一部または全部に分断部を形成することで、コンデンサ素子を押圧して成形する時に、電極箔の破損を防止できる。
(2) 分断部の形成により、押圧に対する電極箔の復元力が抑えられ、コンデンサ素子の成形性が向上する。
(3) 電極箔に分断部が形成されることで、巻回時の電極箔の追従性が向上し、積層された電極箔同士の間に隙間が生じるのを防止でき、コンデンサの等価直列抵抗の増加を防止できる。
一実施の形態に係るコンデンサ素子の巻回面を示す図である。 電極箔の構成例を示す図である。 電極箔の巻回処理の一例を示す図である。 コンデンサ素子の成形工程の一例を示す図である。 分断部を備えない電極箔を利用したコンデンサ素子の一例を示す図である。 コンデンサ素子の成形状態の比較例を示す図である。 分断部が形成された電極箔の柔軟性を示す実験例の図である。
〔一実施の形態〕
図1は、一実施の形態に係るコンデンサ素子の巻回面を示している。図1に示す構成は一例であり、本発明が係る構成に限定されない。
このコンデンサ素子2は、たとえば電解コンデンサなどのコンデンサに用いられる素子の一例であり、横長帯状に形成された電極箔を巻回して積層状態に形成されている。コンデンサ素子2は、巻回面の一部について、少なくとも巻回された電極箔の一部の曲率を大きくした湾曲部を含む形状に形成される。このコンデンサ素子2は、たとえば図1に示すように、曲率が小さい平坦部4と曲率が大きい湾曲部6を含む楕円状の巻回面を持つ、所謂、偏平形状に形成される。巻回面の形状は、たとえば楕円の長軸方向からみて、平坦部4の長さが両側の湾曲部6の長さよりも長く、または同等になるように形成すればよい。
コンデンサ素子2は、電極箔として、陽極箔8と陰極箔10とが備えられ、この間に幅広なセパレータ12を介在して巻回されている。セパレータ12は、たとえば陽極箔8と陰極箔10との間のみならず、巻回したコンデンサ素子2の最も内側や最も外側に配置するように積層してもよい。
コンデンサ素子2には、電極箔の巻回部分の内部に、タブ14、16が挟み込まれている。タブ14、16は、コンデンサを図示しない電子機器などに対して電気的に接続するための端子部品の一例であり、たとえば電極箔に接続されている。タブ14は、たとえば陽極箔8に接続されて陽極端子となる。また、タブ16はたとえば陰極箔10に接続されて陰極端子となる。
このコンデンサ素子2は、たとえば少なくとも陽極箔8の箔表面に表面加工が施されている。表面加工された陽極箔8には、電極箔表面に形成されたエッチング層に対し、複数の分断部20(図2)が形成される。この表面加工は、たとえばコンデンサ素子2を形成する陽極箔8の一部または全部に施せばよい。このうち、陽極箔8の一部に表面加工する場合の加工範囲18は、少なくとも湾曲部6となる部分、または湾曲部6と平坦部4との境界となる部分の両方またはいずれかを含めばよい。すなわち、電極箔に対する加工範囲18は、コンデンサ素子2に加工されたときに、特に曲げ応力を受け易い部分またはその周囲が含まれる。
この電極箔に対する表面加工は、陽極箔8のみならず、陽極箔8とともに陰極箔10に行ってもよい。
<電極箔の表面加工処理>
図2は、電極箔の表面状態の一例を示す。図2に示す表面状態は一例である。
陽極箔8には、たとえば図2のAに示すように、電極箔の短辺方向に沿って線状の分断部20が形成される。この分断部20は、たとえば長さや、それぞれの形成間隔を任意に設定すればよく、またはその形成手法に応じて線方向が決まればよい。
なお、分断部20の形成方向は、電極箔の長辺方向に沿う場合や、電極箔の短辺方向、または斜め方向に形成してもよい。
陽極箔8は、図2のBに示すように、厚み方向中心に所定厚さの芯部22と、その両端側にエッチング層24が形成されている。分断部20は、陽極箔8のうちのエッチング層24に形成されている。そして陽極箔8は、エッチング層24および分断部20の表面に誘電体酸化皮膜25が形成されている。芯部22の厚みは、たとえば20〜60〔μm〕であり、エッチング層24の厚みが両面合わせて40〜200〔μm〕の範囲とすればよい。
分断部20は、たとえば陽極箔8の表面から芯部22に向けて所定の深さでエッチング層24を分断することで形成される。分断部20の形成深さは、芯部22を分断させないようにすればよく、たとえば電極箔の厚み方向に対し、エッチング層24の深さと同じ程度にすればよい。全ての分断部20の深さを一定の値に揃える必要はない。分断部20の形成では、たとえばエッチング層24を厚み方向にひび割れさせるほか、所定の治具を利用して電極箔表面を裂き、切り込み、切り欠き、または彫り込む手法を用いればよい。ひび割れを形成するには、たとえば拡面化処理した陽極箔8に対し、設定した電極箔表面に対して所定量の圧力や張力を付加する手法を用いてもよい。
分断部20の開口幅は、たとえば陽極箔8を平坦状にした際に、0〜50〔μm〕以下となるように形成すればよい。また、分断部20は、箔両面のエッチング層24に形成する場合に限らず、陽極箔8の巻回方向やコンデンサ素子2の成形処理によって変形や押圧を受ける面側のみに形成してもよい。分断部20は、複数の切り込みが形成されることで、陽極箔8の表面を所謂、蛇腹状にしている。分断部20の形成位置や範囲、形成数やその形成間隔は、たとえばコンデンサ素子2に加えられる押圧力や変形による曲げ応力の大きさなどに応じて設定してもよい。本実施の形態では、隣接する分断部20の間隔を平均ピッチ220〔μm〕とした。
このように分断部20が形成された陽極箔8は、たとえば図2のCに示すように、箔表面が屈曲状態となった場合、屈曲の外周面側の分断部20aが拡開状態となることで曲げにより生じる応力が開放され、箔表面に伝搬されない。また、屈曲の内周側の分断部20bが閉塞状態、または分断部20b同士が圧着状態となることで、屈曲の内周側に加わる曲げ応力などを吸収する。このように、分断部20が形成された陽極箔8は、高容量化により硬質化、脆弱化した場合であっても、巻回による屈曲処理に対してエッチング層24を破断させずに巻回形状に追従することができる。
さらに、分断部20が形成された陽極箔8の箔表面に対して押圧力が加えられた場合、係る押圧力は、たとえば押圧位置に近い位置の分断部20の切れ目から外部に分散される。これにより押圧力が箔表面に伝搬して、箔の端面部分などにクラックなどが発生するのを防止できる。
また、分断部20が形成されることで、コンデンサ素子2を成形した際に、この成形時に付加する応力が分散され、成形に対する陽極箔8の追従性が向上する。これにより成形したコンデンサ素子2に復元力が生じるのを防止できる。
<コンデンサの製造処理>
次に、コンデンサの製造処理の一例を示す。図3は、電極箔の巻回処理の一例を示す。図3に示す処理は、本開示のコンデンサの製造方法の一例である。なお、図3に示す処理手順、処理工程は一例であり、本発明が係る構成に限定されない。
(A) コンデンサの製造処理では、たとえば陽極箔8の分断部20を形成する処理を含む電極箔の形成処理、積層した陽極箔8や陰極箔10、セパレータ12を巻回してコンデンサ素子2を形成する処理、巻回したコンデンサ素子2を押圧して偏平形状に成形する処理を含む。
陽極箔8や陰極箔10は、たとえばアルミニウム箔などを用いる。陽極箔8の表面に拡面化処理によるエッチング層24を形成後、陽極箔8表面の所定の位置に分断部20を形成する。分断部20を形成した後、その分断部20の表面に化成処理による誘電体酸化皮膜25を形成する。
コンデンサ素子2の巻回処理では、たとえば図3に示すように、最外周側に配置されたセパレータ12に対して陽極箔8が載置され、その上にセパレータ12を介在させて陰極箔10が積層される。陽極箔8の箔面には、少なくとも巻回によって加工範囲18に配置される部分に分断部20が形成されればよい。この分断部20は、陽極箔8の箔幅に合わせた長さであって、箔短方向に所定の長さで形成される。これによりコンデンサ素子2の湾曲部6となる加工範囲18の範囲に分断部20が形成される。
なお、陰極箔10に分断部20を形成する場合には、陽極箔8に形成する場合と同等に、加工範囲18に配置される部分に合わせて箔表面に分断部20を形成すればよい。
コンデンサ素子2は、たとえば図示しない治具などを利用して、巻回中心26を中心に、陽極箔8、陰極箔10、セパレータ12を巻回していく。
そのほか、コンデンサ素子2には、陽極箔8および陰極箔10の電極箔面上にそれぞれタブ14またはタブ16を接続させる。タブ14、16は、たとえば偏平部28と箔表面とがステッチ接続方法や冷間圧接方法によって接続される。これによりコンデンサ素子2には、同一端面側にリード端子29が突出するようにタブ14、16が接続される。
(B) コンデンサ素子2の成形処理として、たとえば外部側からコンデンサ素子2を所定方向に押圧し、押しつぶして平坦部4と湾曲部6を備える偏平形状に成形する。
コンデンサ素子2は、たとえば図4のAに示すように、巻回中心26を基準に電極箔を巻回することで、その巻回面が円形の円柱形状となっている。このときのコンデンサ素子2の直径W1は、陽極箔8、陰極箔10、セパレータ12を含む電極箔の厚さや、その巻回回数、さらに巻回処理の締付け力などによって決まる。このときコンデンサ素子2には、少なくとも巻回中心26を介して両端側に、加工範囲18として、分断部20が形成された陽極箔8が積層されている。
そしてコンデンサ素子2の成形工程では、この加工範囲18に対して湾曲部6を形成するために、コンデンサ素子2の外周側を押圧する。この押圧位置は、たとえば図4のBに示すように、コンデンサ素子2の加工範囲18の位置から巻回中心26を基準に、所定角度として、たとえば90度変位した方向が設定されればよい。
このときコンデンサ素子2には、たとえば巻回中心26を介して両側から所定の押圧力F1が加えられる。この押圧力F1は、たとえば電極箔の強度等に基づいて設定されればよい。そしてこの押圧により、コンデンサ素子2は、押圧方向に押し潰され、巻回面の形状が楕円などの偏平形状に成形される。この時の巻回面の短辺側の幅W2は、押圧力F1の大きさにより決まる。従って、コンデンサ素子2に対する押圧力F1は、たとえば図示しないケースの開口幅に対してコンデンサ素子2が収納可能な幅に成るように設定してもよい。
(C) 成形処理の後、コンデンサ素子2は、たとえば図示しないケース内に電解液とともに収納されると、封口体によってケースの開口部が封止される。封口体は、たとえばケース外装側から溶接、または押圧による加締め処理が施される。
<一実施の形態の効果>
係る構成によれば、以下のような効果が得られる。
(1) 高容量化した陽極箔8の一部または全部に分断部20を形成することで、コンデンサ素子2の成形処理において電極箔の破損を抑制できる。
(2) 分断部20の形成により、押圧に対する電極箔の復元力が抑えられ、コンデンサ素子2を意図した形状に成形できる。
(3) 電極箔に分断部20を形成することで、巻回時の電極箔の追従性が向上する。これにより積層された電極箔同士の間に隙間が生じるのを防止し、コンデンサの等価直列抵抗の増加を防止できる。
(4) 電極箔の成形性が向上することで、さらなる電極箔の芯部22を薄型化でき、電極箔を高容量化することができる。
(5) 電極箔の破損を抑制することで、電極箔およびコンデンサの信頼性を向上することができる。
(6) 電極箔に柔軟性を持たせることで電極箔の加工精度の向上が図れるとともに、不適合品の発生確率を減らすことができる。
(7) 成形処理による電極箔の損傷を防止することで、コンデンサのショート(短絡)発生を回避できる。
〔比較例〕
図5は、分断部を備えない電極箔を利用してコンデンサ素子30を形成した場合を示している。図6は、コンデンサ素子30の成形状態の比較例を示している。
コンデンサ素子30は、拡面化処理した陽極箔32、陰極箔34を巻回して形成された場合を示している。既述のように、拡面化処理や化成処理された陽極箔32は、脆弱化や硬化が進み、素材自体が持つ柔軟性が極度に低下している。そのため係る陽極箔32を巻回したコンデンサ素子30は、たとえば図5に示すように、巻回部分のうち、屈曲率が大きい湾曲部6において、陽極箔32が巻回形状に追従することができず、隙間36が多数発生している。また、係る湾曲部6に配置された陽極箔32は、たとえばコンデンサ素子30の成形処理において外部から押圧されたことにより、曲率が大きくなるため、過大な曲げ応力が作用する。これにより陽極箔32の表面に割れやヒビなどのクラックが生じるおそれがある。このようなクラックは、たとえばコンデンサの容量の低下、ESR(等価直列抵抗)の増加などに繋がり、コンデンサの特性低下に繋がるおそれがある。
これに対し、本発明のコンデンサ素子2は、少なくとも曲率が大きくなる湾曲部6に形成される加工範囲18内に、分断部20が形成された陽極箔8を配置することで、箔表面のクラックの発生を回避できる。また、陽極箔8は、分断部20の形成によりコンデンサ素子2の成形に対する追従性が高められることで、巻回したコンデンサ素子2内の隙間の発生を防止できる。
また、本開示のコンデンサ素子2と、分断部を備えない陽極箔32を巻回したコンデンサ素子30とを押圧して成形する場合を比較する。コンデンサ素子2、30は、たとえば図6のAに示すように、所定の押圧力F1をかけると、共に押圧中は一定形状を維持し、短辺側の幅W3が同じ値となる。そして、成形処理後に、押圧力F1の付加を解除すると、コンデンサ素子30は、陽極箔32に作用する復元力F2が押圧方向と反対方向に作用する。これによりコンデンサ素子30の短辺側の幅W4は加圧時の幅W3よりも大幅に大きくなる。
これに対し、本開示のコンデンサ素子2は、多少の復元力が生じるが、分断部20によって加圧による変形への追従性の向上により、コンデンサ素子30よりも復元量は少ない。
〔実験例1〕
次に、分断部20の形成による陽極箔8の柔軟性について説明する。この陽極箔8の柔軟性を示す指標として、エリクセン値を示す。陽極箔8として、分断部20の平均ピッチを70〔μm〕、220〔μm〕、950〔μm〕、2100〔μm〕、3100〔μm〕に設定したものと、比較例として分断部を形成していない陽極箔を用意し、各陽極箔に対してエリクセン試験を行った。エリクセン試験では、内径33〔mm〕を有するダイスと、しわ押えを用いて各陽極箔8及び分断部20を形成していない陽極箔を10〔kN〕で挟み込み、たがね状を有するポンチで押し込んだ。たがね状のポンチは、幅30〔mm〕で、先端が断面視φ4〔mm〕の球面である。電極箔の短辺方向に沿って、ポンチのたがね部位を押し込んだ。ポンチの押し込み速度は0.5〔mm/min〕とした。
このエリクセン試験の結果を図7に示す。図7は、横軸を分断部20の平均ピッチ、縦軸をエリクセン値としたグラフである。図7に示すように、比較例のエリクセン値が1.4〔mm〕であったのに対し、分断部20の平均ピッチを3100〔μm〕に設定した陽極箔8のエリクセン値は1.5〔mm〕となっていた。すなわち、分断部20を設けることで巻回時の曲げ応力が分散し、陽極箔8の柔軟性が付与されることがわかる。
また、分断部20の平均ピッチを2100〔μm〕以下とすると、エリクセン値は1.7〔mm〕以上となり、分断部20が未形成であった比較例と比べて明確な差が生じた。すなわち、平均ピッチ2100〔μm〕以下で分断部20を設けることで巻回時の曲げ応力が良好に分散し、陽極箔8に良好な柔軟性が付与されることがわかる。
特に、分断部20の平均ピッチを950〔μm〕以下とすると、エリクセン値は2.0〔mm〕以上となり、分断部20が未形成であった比較例と比べて飛躍的に優れた結果となった。すなわち、平均ピッチ950〔μm〕以下で分断部20を設けることで巻回時の曲げ応力が極めて良好に分散し、陽極箔8に極めて良好な柔軟性が付与されることがわかる。
〔実験例2〕
コンデンサ素子2の押圧成形に対する復元状態についての実験例を示す。
この実験例では、分断部20が形成された陽極箔8を用いたコンデンサ素子2と、分断部が形成されていない陽極箔32を用いたコンデンサ素子30の復元状態を測定した。それぞれ3個ずつ形成して、側面から押圧して偏平形状に成形し、その後、押圧状態を解除して、コンデンサ素子の復元量を測定した。なお、分断部20以外を備える点以外は、構成材料も製造方法も同じである。
この実験では、巻回時のコンデンサ素子の直径を7〔mm〕とし、直径が5.2〔mm〕になるまでコンデンサ素子を潰している。そして押圧解除後のコンデンサ素子の変形率を測定する。実験結果は、以下の表示1に示す通りである。
Figure 0006880772
結果は、表1に示すように、分断部20が形成された電極箔を用いたコンデンサ素子2の方が、分断部が形成されていない電極箔を用いたコンデンサ素子30(比較例)よりも、押圧方向の素子幅が小さくなっている。押圧時の素子の厚さ5.2〔mm〕からの戻り率(復元率)は、分断部20を設けない場合が平均で113.2〔%〕となり、分断部20を設けた場合が平均で110.8〔%〕となった。このように実験結果からも電極箔に分断部20を設けることで、押圧による成形後の復元率を少なくでき、偏平形状に成形する際に優位であることが示された。
〔他の実施の形態〕
以上説明した実施の形態について、変形例を以下に列挙する。
(1) 上記実施の形態では、電極箔の表面に形成する分断部20について、直線形状、または一部に屈曲部を持つ線形状の場合を示したがこれに限らない。分断部20は、たとえば曲線形状、または複数の線を交差させた形状であってもよい。
(2) 上記実施の形態では、電極箔の前面と裏面の両面に分断部20を形成した場合であって、分断部20が電極箔の芯部22を介して対向する位置に形成される場合を示したが、これに限らない。分断部20は、たとえば前面と裏面とで異なる位置に形成してもよい。
(3) 上記実施の形態では、巻回面の形状が偏平形状となるコンデンサ素子2として、楕円形状の場合を示したがこれに限らない。コンデンサ素子2は、少なくとも一部に曲率が大きい湾曲部6が形成される形状であればよい。そして、陽極箔8には、係る湾曲部6に配置される部分に分断部20を形成する加工範囲18が設定されればよい。
(4) 上記実施の形態では、湾曲部6側に分断部20が形成される場合を示したが、これに限らない。係る湾曲部6に加えて、コンデンサ素子2の成型処理で押圧される部分、押圧部分の周縁のいずれかまたは両方に分断部20を形成する加工範囲18を設定してもよい。これにより、成型工程で加圧される押圧力F1に対し、分断部20によって押圧力が開放でき、陽極箔8の箔面で押圧力F1が伝搬するのを防止できる。そして、係る押圧力F1によってたとえば陽極箔8の破断発生を防止できる。
(5) 上記実施の形態では、コンデンサ素子2の加工範囲18、またはコンデンサ素子2の全体において、巻回により積層された陽極箔8の全てに分断部20を備える場合を示したが、これに限らない。陽極箔8は、たとえばコンデンサ素子2の巻回中心26から所定の厚さまでの間に配置される部分に分断部20を形成してもよい。巻回素子は、その巻回中心26に向かう程に曲率が大きくなり、逆に巻回素子から離れる程、曲率は小さくなる。すなわち、巻回中心側の方が陽極箔8に係る曲げ応力が大きくなる。そこで、コンデンサ素子2では、たとえば陽極箔8の箔表面の曲げ応力への耐性に応じて、巻回中心26に近い部分にのみ分断部20を備えるようにしてもよい。なお、箔の曲げ応力への耐性は、たとえば陽極箔8の表面の硬化度合いや脆弱度合いに基づいて判断すればよい。
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
本発明のコンデンサおよびその製造方法によれば、巻回され、かつ偏平形状に成形される陽極箔8の一部または全部に表面層を分断した分断部を形成することで、巻回や成形による箔表面の割れやヒビなどのクラックの発生を防止できるとともに、積層された電極箔間に隙間を生じさせないことで、ESRの低下を防止するなど、有用である。
2、30 コンデンサ素子
4 平坦部
6 湾曲部
8、32 陽極箔
10、34 陰極箔
12 セパレータ
14、16 タブ
18 加工範囲
20、20a、20b 分断部
22 芯部
24 エッチング層
25 誘電体酸化皮膜
26 巻回中心
28 偏平部
29 リード端子
36 隙間

Claims (4)

  1. 電極箔が巻回された素子を用いるコンデンサの製造方法であって、
    前記電極箔のエッチング層の一部または全部に、平均ピッチが2100μm以下である複数の分断部を形成する工程と、
    前記エッチング層及び前記分断部の表面に誘電体酸化皮膜を形成する工程と、
    前記素子を外周側から押圧し、巻回面の一部に他の部分よりも曲率を大きくした湾曲部を備える形状に成形する工程と、
    を含むことを特徴とするコンデンサの製造方法。
  2. 前記電極箔は、箔芯部を残して複数の分断部を備えることを特徴とする請求項1に記載のコンデンサの製造方法。
  3. 電極箔が巻回された素子を用いるコンデンサであって、
    前記素子は、巻回面の一部に他の部分よりも曲率を大きく形成された湾曲部を備える形状であり、
    少なくとも前記湾曲部の前記電極箔のエッチング層の一部または全部に、複数の分断部を備え
    前記エッチング層及び前記分断部の表面に誘電体酸化皮膜が形成され、前記分断部の平均ピッチが2100μm以下であることを特徴とする、コンデンサ。
  4. 前記電極箔は、箔芯部を残して複数の前記分断部を備えることを特徴とする、請求項3に記載のコンデンサ。
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