JP2019067939A - コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このように硬化し、かつ柔軟性が低下した陽極箔を巻回する場合、加えられる張力や巻回圧力に対して箔表面が追従できずに歪な巻回形状となってしまう。このような形状に巻回されると、積層された電極箔同士の間に隙間が生じてコンデンサの等価直列抵抗(ESR:Equivalent Series Resistance)が大きくなるという課題がある。また、所定の大きさや形状に巻回するために負荷応力を増加させたのでは、箔表面にクラックや破断などが生じるおそれがあるという課題もある。
斯かる課題について、特許文献1−4には開示や示唆はなく、それらの構成では斯かる課題を解決することができない。
上記コンデンサにおいて、前記陽極箔層は、少なくとも1枚の前記陽極箔が箔表裏面を貫通するトンネル状ピットのエッチング層を備えてよい。
上記コンデンサにおいて、前記箔表裏面を貫通するトンネル状ピットのエッチング層に前記複数の分断部が形成されてよい。
上記コンデンサの製造方法において、前記陽極箔層は、エリクセン値が異なる複数の陽極箔で構成され、前記複数の分断部を形成する工程において、最もエリクセン値が低い陽極箔に前記分断部を形成してよい。
(2) 分断部が形成された陽極箔を含むことで、高容量化した電極箔の表面にクラックや破断などを生じるのを防止できる。
(3) 箔の巻回追従性が向上することで巻回素子に隙間が生じるのを防止でき、内部抵抗の上昇を抑えることができる。
(4) 箔の巻回追従性が向上することで設定した形状に巻回でき、コンデンサ素子およびコンデンサが大型化するのを防止できる。
図1は、第1の実施の形態に係るコンデンサの内部構成例を示している。図1に示す構成は一例であり、本発明はこの構成に限定されない。
このコンデンサ2は、たとえば電解コンデンサなどであって、図1に示すように外装ケースの収納部内に電極箔を巻回したコンデンサ素子4が電解液とともに入れられている。外装ケースは、有底筒状であって図示しない開口部側に封口体が設置されることで密閉される。
コンデンサ素子4は、巻回中心6を基準に電極箔が巻回されている。巻回された電極箔には、陽極箔8と陰極箔10とが備えられ、コンデンサ素子4はこれらの間に幅広なセパレータ12を介在させた積層体である。セパレータ12は、たとえば陽極箔8と陰極箔10との間のみならず、巻回したコンデンサ素子4の最も内側や最も外側に配置するように積層してもよい。陽極箔8は、箔表面に表面加工が施されている。この表面加工では、陽極箔8表面に形成されるエッチング層に対し、複数の分断部20(図3)が形成される。この表面加工は、たとえば陽極箔8の一部または全部に施せばよい。さらに、コンデンサ素子4の陽極箔8は、たとえば陰極箔10よりも厚くなっている。このように陽極箔8は、箔厚とエッチング層厚を大きくすることで表面積が大きくなり、コンデンサ2の静電容量の増加を図ることができる。
これによりこのコンデンサ素子4は、重ね合わせた陽極箔8と、陰極箔10と、セパレータ12による積層体を構成し、この積層体が巻回される。陽極箔8、8−1、8−2、陰極箔10およびセパレータ12は、たとえば横長の帯形状であり、その長辺方向に沿って巻回される。
この外部端子14−1、14−2は、たとえば電極箔の平面に重ねられる偏平部16、素子外部に突出させるリード部18を備える。偏平部16は、アルミニウムの棒状体を偏平に圧縮成形される。リード部18は、半田付け可能な金属の表面をめっきしたワイヤなどで形成される。
図3は、電極箔の表面状態の一例を示す。図3に示す表面状態は一例である。
陽極箔8−1、8−2には、たとえば図3のAに示すように、箔の辺方向に沿って線状の分断部20が形成される。この分断部20は、たとえば長さや、それぞれの形成間隔を任意に設定すればよく、またはその形成手法に応じて線方向が決まればよい。
なお、分断部20の形成方向は、たとえば帯状の電極箔の場合、箔の長辺方向もしくは箔の短辺方向に沿って形成してもよく、または斜め方向に形成してもよい。
陽極箔8−1、8−2は、図3のBに示すように、厚み方向中心に所定厚さの芯部22と、その両端側にエッチング層24が形成されている。分断部20は、陽極箔8−1、8−2のうちのエッチング層24に形成されている。陽極箔8−1、8−2は、たとえば分断部20の形成前に化成処理し、また分断部20の形成後に再化成処理をすることで、エッチング層24および分断部20の表面に誘電体酸化皮膜26が形成される。芯部22の厚みは、たとえば20〜60〔μm〕であり、エッチング層24の厚みが両面合わせて40〜200〔μm〕の範囲とすればよい。
分断部20の開口幅は、たとえば陽極箔8−1、8−2を平坦状にした際に、0〜50〔μm〕以下となるように形成すればよい。分断部20の開口幅が0とは、陽極箔8−1、8−2を湾曲させずに平坦にならした際、分断部20の界面が少なくとも部分的に接している状態をいう。また、分断部20は、例えば、丸棒へ電極箔を押し付けることで、ひび割れにより形成されるが、丸棒を利用する形成方法では、陽極箔8−1、8−2の芯部22が長手方向に伸び、その結果芯部22の厚みが薄くなる。しかしながら、分断部20の開口幅を50〔μm〕以下とすることで、芯部22の厚みが薄くなり難く、陽極箔8−1、8−2の柔軟性及び延伸性は向上する。この点においても、分断部20の溝幅を50〔μm〕以下とすることが好ましい。分断部20の開口幅は、陽極箔8−1、8−2の長手方向に沿った長さであり、陽極箔8−1、8−2の表層付近で計測される。分断部の開口幅が50〔μm〕以下であれば、巻回形コンデンサの静電容量を損なうことなく、陽極箔の柔軟性及び延伸性を向上させることができる。
また、分断部20は、陽極箔8の帯長手方向において、10〔mm〕の範囲当たり、4箇所以上設けられている。分断部の数が少ないと、陽極箔8を巻回する際に各分断部20に曲げ応力が分散しても、曲げによる引張り応力に負けて微細なクラックが生じ、更には分断部20から芯部22をも破壊するクラックが生じやすくなる。隣接する分断部20の間隔は、平均ピッチが2.1〔mm〕以下であればよく、より望ましくは平均ピッチが1.0〔mm〕以下である。平均ピッチが2.1〔mm〕以下であれば、分断部20が未形成の陽極箔と比べて、金属薄板の整形性を表すエリクセン値が大きくなることが確認された。尚、平均ピッチは、陽極箔の長手方向に沿った断面を数箇所任意に選択し、各断面写真から任意で選択した連続する4本の分断部20の間隔の平均値を各々算出し、更に各平均値の平均値を取って算出した。分断部20の間隔は、陽極箔8の表面付近を計測して得た。分断部20は、陽極箔8の長手方向に沿って均一な平均ピッチや単位範囲内の数で形成されてもよい。本実施の形態では、隣接する分断部20の間隔を平均ピッチ220〔μm〕とした。
また、陽極箔8が巻回された際の、当該分断部20が形成される箇所における曲率を加味して、平均ピッチや単位範囲内の数を変更することもできる。曲率が大きくなればなるほど、すなわち巻回されたときに内周側になればなるほど、曲げ応力は大きくなり、クラックの発生の虞が大きくなることから、分断部20を形成した場合の効果はより大きいからである。また、分断部20は、箔両面のエッチング層24に形成する場合に限らず、陽極箔8の巻回方向やコンデンサ素子4の成形処理によって変形や押圧を受ける面側のみに形成してもよい。分断部20は、複数の切り込みが形成されることで、陽極箔8−1、8−2の表面を所謂、蛇腹状にしている。分断部20の形成位置や範囲、形成数やその形成間隔は、たとえばコンデンサ素子4に加えられる押圧力や変形による曲げ応力の大きさなどに応じて設定してもよい。たとえば、分断部20は、巻軸への陽極箔の巻き始め部分にのみ形成されてもよい。陽極箔8の巻き始め部分は曲率が大きく、クラックが発生しやすい。また、分断部20が位置する箇所における巻回半径に応じて、平均ピッチを大きく取ったり、単位範囲内の数を減少させるようにしてもよい。分断部の数が減れば減るほど、巻回形コンデンサの静電容量への影響が低減する。この分断部20は、両面の拡面部に各々形成されることが望ましいが、巻回時の陽極箔8の延びの観点から、少なくとも、陽極箔の巻回時に箔外側になって張力を受ける拡面部に形成されるとよい。
さらに、コンデンサ素子4は、たとえば陽極箔層を形成する陽極箔8−1、8−2のエリクセン値を異ならせてもよい。この場合、分断部20は、たとえば陽極箔8−1、8−2のうち少なくともエリクセン値が最も箔に形成すればよい。また、分断部20は、たとえば箔のエリクセン値に応じて形成数や形成間隔を異ならせてもよい。
さらに、分断部20が形成された陽極箔8−1、8−2の箔表面に対して押圧力が加えられた場合、この押圧力が、たとえば押圧位置に近い位置の分断部20の切れ目から外部に分散される。これにより押圧力が箔表面に伝搬して、箔の端面部分などにクラックなどが発生するのを防止できる。
また、分断部20が形成されることで、コンデンサ素子4を成形した際に、この成形時に付加する応力が分散され、成形に対する陽極箔8−1、8−2の追従性が向上する。これにより成形したコンデンサ素子4に復元力が生じるのを防止できる。
斯かる構成により、以下のような効果が得られる。
(1) 陽極箔を複数枚重ねてコンデンサの静電容量を増加させるとともに、これらの陽極箔8−1、8−2の少なくとも1枚の箔面に分断部20を形成することで、コンデンサ素子4の巻回性が向上し、箔の損傷や破断などを防止できる。
(2) 高容量化により脆弱化した陽極箔の損傷を防止できる。
(3) 陽極箔の巻回追従性が向上することで、箔の巻回形状が大型化するのを防止できる。
(4) 箔に柔軟性を持たせることで電極箔の加工精度の向上が図れるとともに、コンデンサの不適合品の発生確率を減らすことができる。
(5) 成形処理による電極箔の損傷を防止することで、コンデンサのショート(短絡)発生を回避できる。
(6) 巻回内部に隙間を生じさせず、漏れ電流や内部抵抗の低下を実現できる。
次に、コンデンサの製造処理について説明する。ここに示す処理内容、処理手順は一例であって、本発明が斯かる内容に限定されない。このコンデンサの製造処理は、本発明のコンデンサの製造方法の一例である。
この製造処理では、たとえば(A)箔の表面加工処理、(B)分断部20の形成処理、(C)電極箔の巻回処理を含む。その他、箔の製造処理やコンデンサ素子4を含む部品を外装ケースに封入する処理などについては特に限定しない。
エッチング処理は、電極箔の表面積を拡大する拡面化処理であり、たとえば塩酸などのハロゲンイオンが存在する酸性水溶液中で直流または交流を印加して電気化学的に行われるほか、芯部22に金属粒子などを蒸着または焼結することにより行われてもよい。
化成処理は、エッチング処理された箔表面に誘電体酸化皮膜として酸化アルミニウム(Al2O3)を形成する。この化成処理は、たとえばアジピン酸やホウ酸等の水溶液等のハロゲンイオン不在の溶液中で電圧印加して行われる。
(B) 分断部20の形成処理では、たとえばエッチング層24を厚み方向にひび割れさせるほか、所定の治具を利用して電極箔表面を裂き、切り込み、切り欠き、または彫り込む手法を用いればよい。ひび割れを形成するには、たとえば拡面化処理した陽極箔8−1、8−2に対して、所定量の圧力や張力を付加する手法を用いてもよい。分断部20は、たとえば複数枚の箔を重ね合せる陽極箔8−1、8−2のうち、少なくとも1枚に形成されればよく、または全部の陽極箔8−1、8−2に形成してもよい。
分断部20は、たとえば陽極箔8の帯長手方向に対して直交する幅手方向に形成される。分断部20は、陽極箔8を完全に横断し、又は部分的に横断するように延びる。すなわち、ある分断部20は、陽極箔8の一方の長辺から延びて他方の長辺に至る。また、ある分断部20は、陽極箔8の一方の長辺から箔中心線未満又は箔中心線を超えて延び、他方の長辺には至らない。また、ある分断部20は、陽極箔8の他方の長辺から箔中心線未満又は箔中心線を超えて延び、一方の長辺には至らない。また、分断部20は、いずれの長辺からも離間して形成されていてもよい。幅手方向に沿って形成されている分断部20同士が繋がっていてもよい。全ての分断部20の延びる向き及び長さが統一されている必要はない。
なお、分断部20を形成した後、陽極箔8の表面に化成処理による誘電体酸化皮膜を形成するエージング処理を行ってもよい。
この巻回処理は、たとえば陽極箔8、陰極箔10、セパレータ12を積層させた後に巻回してもよく、またはそれぞれの箔を巻回用の機器に設置して、積層させながら巻回処理を行ってもよい。
また、コンデンサ素子4は、たとえば陽極箔8と陰極箔10の終端側、すなわち巻回により最外周側になる巻き終り端の位置が異なるようにしてもよい。この場合、コンデンサ素子4は、たとえば巻回中心6を基準にした巻回方向に沿って、陰極箔10の終端部分が陽極箔8の終端部分よりも手前になるようにしてもよい。終端部分の位置の設定は、たとえば陽極箔8と陰極箔10の箔長を異ならせるほか、陰極箔10の一部を折返して積層させるなどの積層手法を採ってもよい。
また、巻回されたコンデンサ素子4は、外装ケース内に電解液とともに収納される。
斯かる構成によれば、以下のような効果が期待できる。
(1) 陽極箔8の一部または全部に分断部20を備えることで、コンデンサ素子4の巻回時に作用する張力などに対して負荷の均等化が図れるので、箔の損傷や変形などが防止できる。
(2) 陽極箔8に形成される分断部20により、巻回に対する箔の追従性が向上するので、コンデンサ素子4が真円またはそれに近い形状に形成できる。また、斯かる形状に巻回するために、過大な巻回応力を箔に負荷することがなくなり、コンデンサ素子4の損傷などによる不良品の発生を抑制できる。
(3) 巻回負荷に対する箔の追従性が向上し、コンデンサ素子4の変形が抑制されることで、巻回内部において積層された箔の間に隙間が発生するのを抑えることができ、漏れ電流の発生を抑えることができる。
この実施例では、複数枚の箔を重ね合せた陽極箔8について特定する。
コンデンサ素子4は、複数枚の箔を重ね合わせた陽極箔8と陰極箔10がセパレータ12を介在させて巻回されている。陽極箔8−1、8−2、8−3(図6)は、たとえば少なくとも一枚に分断部20が形成されている。
このとき、陽極箔8は、箔面同士が重ね合わされていることから、図4に示すように巻回中心6から巻回外側の方向に箔が重ねられる。分断部20の有無に対する陽極箔8−1、8−2、8−3の積層状態について以下の実施例を示す。
なお、この陽極箔8は、図4に示すコンデンサ素子4の巻回方向と同じ方向に向けられている。すなわち、陽極箔8の下方が巻回中心6側である巻回内側であり、上方が巻回外側に配置される場合を示している。
図5に示す陽極箔8は、陰極箔10を介在させずに陽極箔8−1、8−2を二層巻にした、所謂ダブルアノードで構成されている。陽極箔8−1、8−2には、それぞれにエッチング処理や分断部20の形成処理などの表面加工処理が施されている。
(1) 図5のAに示すように、陽極箔8−1、8−2は、共に芯部22を残して箔表面にエッチング層24が形成された通常箔30で構成されている。また各陽極箔8−1、8−2の表裏面に分断部20を備えている。
(2) 図5のBに示すように、陽極箔8−1、8−2は、共に芯部22を残さずに厚さ方向の全部にエッチング層24が施され、トンネルエッチングにより形成されたトンネル状ピット(穴)を備えた貫通箔40で構成されている。このトンネル状ピットの直径は、たとえば約1[μm]であり、長さは、たとえば数十[μm]であり、密度は、たとえば105〜108[個/cm2]に形成されていればよい。そして各陽極箔8−1、8−2の表裏面に分断部20を備えている。
(4) 図5のDに示すように、巻回内側の陽極箔8−1は、分断部20を備える貫通箔40で構成されている。陽極箔8−2は、分断部20を備えない貫通箔50で構成されている。
(5) 図5のEに示すように、巻回内側の陽極箔8−1が分断部20を備える通常箔30であり、巻回外側の陽極箔8−2が分断部20を備えない貫通箔50で構成されている。
(6) 図5のFに示すように、陽極箔8−1、8−2は、共に通常箔で構成されている。巻回内側の陽極箔8−1は分断部20を備える通常箔30であるが、陽極箔8−2は分断部20を備えない通常箔60で構成される。
また、図5のGに示す陽極箔8は、たとえば少なくとも分断部20が形成された陽極箔8−2が重ねられることで、外側に巻回される陽極箔8−2が陰極箔10、セパレータ12からの負荷応力や巻回張力を逃がすことができ、箔の損傷を防止できる。また、外側の陽極箔8−2は、たとえば面接触する陽極箔8−1を外周側から抑え付けることで、分断部20により巻回の負荷応力を逃がしつつ、陽極箔8−1の巻回形状をガイドするので、巻回素子内部の隙間の発生を抑制することが期待できる。
また、図5のB、C、D、Gに示すように、陽極箔8に貫通箔40、50が含まれている場合において、貫通箔に分断部20を形成するとよい。貫通箔は延伸性や柔軟性に優れるアルミニウムで構成される芯部22が存在せず、また、貫通したエッチングピットの表面全体に硬い誘電体酸化皮膜が形成されているため、電極箔としての延伸性や柔軟性が低下しているが、このような貫通箔に分断部が形成されることで、延伸性や柔軟性が付与されるため、陽極箔8の損傷の発生を抑制できるほか、コンデンサ素子4の巻回内部に隙間が発生するのを効果的に抑えられる。
なお、この陽極箔8は、図4に示すコンデンサ素子4の巻回方向と同じ方向に向けられている。
図6、図7に示す陽極箔8は、陰極箔10を介在させずに陽極箔8−1、8−2、8−3を三層巻にした、所謂トリプルアノードで構成されている。陽極箔8−1、8−2、8−3には、それぞれにエッチング処理や分断部20の形成処理などの表面加工処理が施されている。
(1) 図6のAに示すように、陽極箔8−1、8−2、8−3は、共に芯部22を残さない貫通箔である。巻回内側の陽極箔8−1と巻回外側の陽極箔8−3は、分断部20が形成された貫通箔40で構成されている。中央の陽極箔8−2は、分断部20が形成されていない貫通箔50で構成されている。
(2) 図6のBに示すように、巻回内側の陽極箔8−1と巻回外側の陽極箔8−3は、分断部20が形成された貫通箔40で構成されている。中央の陽極箔8−2は、分断部20が形成された通常箔30で構成されている。
(3) 図6のCに示すように、巻回内側の陽極箔8−1は、分断部20が形成された貫通箔40で構成されている。中央の陽極箔8−2は、分断部20が形成されていない通常箔60で構成されている。巻回外側の陽極箔8−3は、分断部20が形成されていない貫通箔50で構成されている。
(4) 図6のDに示すように、巻回内側の陽極箔8−1と巻回外側の陽極箔8−3は、分断部20が形成されていない貫通箔50で構成されている。中央の陽極箔8−2は、分断部20が形成された通常箔30で構成されている。
(6) 図7のFに示すように、巻回内側の陽極箔8−1と巻回外側の陽極箔8−3は、分断部20が形成された通常箔30で構成されている。中央の陽極箔8−2は、分断部20が形成されていない通常箔60で構成されている。
(7) 図7のGに示すように、巻回内側の陽極箔8−1は、分断部20が形成された通常箔30で構成されている。中央の陽極箔8−2と巻回外側の陽極箔8−3は、分断部20が形成されていない通常箔60で構成されている。
(8) 図7のHに示すように、巻回内側の陽極箔8−1と巻回外側の陽極箔8−3は、分断部20が形成されていない通常箔60で構成されている。中央の陽極箔8−2は、分断部20が形成された通常箔30で構成されている。
また、図6のDおよび図7のHに示す陽極箔8は、積層体の中央に分断部20が形成された陽極箔8−2が配置されている。これにより陽極箔8−3は、巻回形状の曲率が大きく応力がかかる巻回内側に陽極箔8−2が配置されることで、巻回による箔の追従性が向上する。さらに、陽極箔8−2は、巻回外側に積層される陽極箔8−3や陰極箔10、セパレータ12からの負荷応力や巻回張力を逃がすことができ、箔の損傷を防止できる。また、陽極箔8−2は、たとえば面接触する内側の陽極箔8−1を外周側から抑え付けることで、分断部20により巻回の負荷応力を逃がしつつ、陽極箔8−1の巻回形状をガイドするので、巻回素子内部の隙間の発生を抑制することが期待できる。
さらに、電解コンデンサは、巻回素子について、巻回処理によって損傷した誘電体酸化皮膜を修復することを目的に修復化成処理を行うが、陽極箔に分断部を形成した場合、修復化成処理に要する電気量を削減できる。陽極箔8に分断部20が形成されていない場合、巻回時に曲げ応力が集中するため、多数の微細なクラックが発生し、このクラックの内表面には未酸化の金属部分が露出してしまう場合があるが、分断部20を形成しておくと、各分断部が曲げ応力を分担するため、曲げ応力の集中が起こりにくく、巻回時のクラック発生が抑制される。巻回時のクラック発生が抑制されると、クラックの内表面から未酸化の金属部分(アルミニウム)が露出し難い。即ち、分断部20を形成した後に化成処理をすれば、分断部20の内表面にも誘電体酸化皮膜が形成され、換言すれば分断部の溝表面からも未酸化の金属部分は露出せず、修復化成処理に必要な電気量が少なくなると考えられる。
(1) 陽極箔の枚数を調整してコンデンサ2に要求される容量を実現できるとともに、少なくとも1枚に分断部20を形成することで、陽極箔が厚くなっても素子の巻回追従性を向上させることができる。
(2) 重ね合わせた陽極箔に対し、巻回応力や箔への張力による箔の損傷を防止できる。
(3) 陽極箔に柔軟性を持たせることで巻回時の加工精度の向上が図れるとともに、コンデンサの不適合品の発生確率を減らすことができる。
(4) 成形処理による陽極箔の損傷を防止することで、コンデンサのショート(短絡)発生を回避できる。
(5) 巻回素子の修復化成処理に要する電気量を削減できる。
図8は、分断部が形成されていない陽極箔を巻回してコンデンサ素子を形成した場合の比較例を示している。
このコンデンサ素子70は、拡面化処理した陽極箔72と、陰極箔10をセパレータ12を介して巻回して形成されている。既述のように、拡面化処理や化成処理された陽極箔72は、脆弱化や硬化が進み、素材自体が持つ柔軟性が極度に低下している。そのため陽極箔72を巻回したコンデンサ素子70は、たとえば図8に示すように、巻回内部に複数の隙間74が生じる。コンデンサ素子70には、たとえば巻回内部に外部端子14−1、14−2が配置されている。そのため、電極箔は、外部端子14−1、14−2の設置部分や、その周囲、および外部端子14−1、14−2よりも外側に巻回される部分について、均等な曲面形状にならず、一部の曲率が大きくなる歪部76が生じている。このような歪部76では、外部端子14−1、14−2の角部に電極箔が接触することにより、巻回形状が歪になり、電極箔に巻回による引張り応力が異なる部分が生じている。これにより陽極箔72が巻回形状に追従することができずに生じた多数の隙間74は、たとえばコンデンサの容量の低下、ESRを増加させ、コンデンサの特性低下に繋がるおそれがある。
次に、分断部20の形成による陽極箔8の柔軟性について説明する。この陽極箔8の柔軟性を示す指標として、エリクセン値を示す。陽極箔8として、分断部20の平均ピッチを70〔μm〕、220〔μm〕、950〔μm〕、2100〔μm〕、3100〔μm〕に設定したものと、比較例として分断部を形成していない陽極箔を用意し、各陽極箔に対してエリクセン試験を行った。エリクセン試験では、内径33〔mm〕を有するダイスと、しわ押えを用いて各電極箔を10〔kN〕で挟み込み、たがね状を有するポンチで押し込んだ。たがね状のポンチは、幅30〔mm〕で、先端が断面視φ4〔mm〕の球面である。陽極箔の短辺方向に沿って、ポンチのたがね部位を押し込んだ。ポンチの押し込み速度は0.5〔mm/min〕とした。
このエリクセン試験の結果を図9に示す。図9は、横軸を分断部20の平均ピッチ、縦軸をエリクセン値としたグラフである。図9に示すように、比較例のエリクセン値が1.4〔mm〕であったのに対し、分断部20の平均ピッチを3100〔μm〕に設定した陽極箔8のエリクセン値は1.5〔mm〕となっていた。すなわち、分断部20を設けることで巻回時の曲げ応力が分散し、陽極箔8に柔軟性が付与されることがわかる。
特に、分断部20の平均ピッチを950〔μm〕以下とすると、エリクセン値は2.0〔mm〕以上となり、分断部20が未形成であった比較例と比べて飛躍的に優れた結果となった。すなわち、平均ピッチ950〔μm〕以下で分断部20を設けることで巻回時の曲げ応力が極めて良好に分散し、陽極箔8に極めて良好な柔軟性が付与されることがわかる。
(1) 上記実施の形態では、電極箔の表面に形成する分断部20について、直線形状、または一部に屈曲部を持つ線形状の場合を示したがこれに限らない。分断部20は、たとえば曲線形状、または複数の線を交差させた形状であってもよい。
(2) 上記実施の形態では、電極箔の前面と裏面の両面に分断部20を形成した場合であって、分断部20が電極箔の芯部22を介して対向する位置に形成される場合を示したが、これに限らない。分断部20は、たとえば前面と裏面とで異なる位置に形成してもよい。
(3) 上記実施の形態では、電解コンデンサの製造工程を例示したが、固体電解コンデンサなどのコンデンサであってもよい。
(4) 上記実施の形態では、コンデンサ素子の巻回形状として断面形状が円形の場合を示したがこれに限らない。コンデンサ素子は、たとえば断面形状が楕円形状、多角形状のものであってもよい。
4、70 コンデンサ素子
6 巻回中心
8、8−1、8−2、8−3、72 陽極箔
10 陰極箔
12 セパレータ
14−1、14−2 外部端子
16 偏平部
18 リード部
20、20a、20b 分断部
22 芯部
24 エッチング層
26 誘電体酸化皮膜
30 通常箔(分断処理)
40 貫通箔(分断処理)
50 貫通箔
60 通常箔
74 隙間
76 歪部
Claims (7)
- 複数枚の陽極箔を重ね合せた陽極箔層と、該陽極箔層と陰極箔とがセパレータを介して積層状態で巻回されているコンデンサ素子を備え、
前記陽極箔層は、箔表面のエッチング層に複数の分断部を備える陽極箔を少なくとも1枚含むことを特徴とするコンデンサ。 - 前記陽極箔層は、前記コンデンサ素子の巻回内側に前記分断部を備える前記陽極箔が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ。
- 前記陽極箔層は、少なくとも1枚の前記陽極箔が箔表裏面を貫通するトンネル状ピットのエッチング層を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンデンサ。
- 前記箔表裏面を貫通するトンネル状ピットのエッチング層に前記複数の分断部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のコンデンサ。
- 複数枚の陽極箔を重ね合せた陽極箔層のうち少なくとも1枚の前記陽極箔のエッチング層に、複数の分断部を形成する工程と、
前記陽極箔層と、前記陽極箔層にセパレータを介して積層された陰極箔とを巻回してコンデンサ素子を形成する工程と、
を含むことを特徴とするコンデンサの製造方法。 - 前記陽極箔層は、前記分断部が形成された陽極箔をコンデンサ素子の巻回内側に重ね合わせる工程を含むことを特徴とする請求項5に記載のコンデンサの製造方法。
- 前記陽極箔層は、エリクセン値が異なる複数の陽極箔で構成され、
前記複数の分断部を形成する工程において、最もエリクセン値が低い陽極箔に前記分断部を形成することを特徴とする請求項5または請求項6に記載のコンデンサの製造方法。
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-
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