JP6879456B2 - 固体電解質部材、固体酸化物型燃料電池、水電解装置、水素ポンプ及び固体電解質部材の製造方法 - Google Patents

固体電解質部材、固体酸化物型燃料電池、水電解装置、水素ポンプ及び固体電解質部材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、固体電解質部材、固体酸化物型燃料電池、水電解装置、水素ポンプ及び固体電解質部材の製造方法に関する。
固体酸化物型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell;SOFC、以下「SOFC」とも記す)は、発電効率が高い、白金等の高価な触媒を必要としない、排熱を利用できるなどの利点を有するため、開発が盛んに進められている。
燃料電池は基本部分に、燃料極(アノード)/固体酸化物電解質/空気極(カソード)から構成される膜電極アセンブリもしくは膜電極複合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)を備えている。さらに、燃料電池は、MEAの燃料極に接する燃料極集電体とその燃料極に水素等の燃料気体を供給する燃料極流路とを備え、燃料極に対をなす空気極側にも同様に、空気極に接する空気極集電体と、その空気極に空気を供給する空気流路とを備える。
3価の元素をドープしたバリウムジルコネートは、高いプロトン伝導性を示す材料の中でもCOやHOに対して比較的安定であることから、中温型燃料電池の固体電解質としての利用が期待されている。また、同様に3価の元素をドープしたバリウムセレートは、より高いプロトン伝導性を示す材料として知られている。
例えば、特開2001−307546号公報(特許文献1)には、燃料電池用のイオン伝導体として、式:BaZr1−x−yCe3−p(Mは3価の置換元素、xおよびyはそれぞれ0よりも大きく1未満の数値、x+yは1未満、pは0よりも大きく1.5未満の数値)で表されるペロブスカイト型酸化物を用いることが記載されている。
また、特開2007−197315号公報(特許文献2)には、燃料電池に用いられる混合イオン伝導体として、式:BaZr1−x−yCe 3−t(Mは3価の希土類元素、Bi、Ga、Sn、SbおよびInから選ばれる少なくとも1種の元素、dは0.98以上1以下、xは0.01以上0.5以下、yは0.01以上0.3以下、tは(2+y−2d)/2以上1.5未満)で表されるペロブスカイト型酸化物からなることを特徴とする混合イオン伝導体が記載されている。
特開2001−307546号公報 特開2007−197315号公報
上述のペロブスカイト型酸化物のなかでも、イットリウムをドープしたバリウムジルコネート(BZY)やイットリウムをドープしたバリウムセレート(BCY)は、700℃以下の温度域でも良好なプロトン伝導性を示すことから中温型燃料電池の固体電解質部材として期待されている。そこで本発明者等はBZYやBCYのようなペロブスカイト型酸化物を用いて、アノード層、電解質層、カソード層の順に積層された固体電解質部材を作製することを検討した。具体的には、まず、1000℃程度でアノード層材料を仮焼結してアノード層を形成し、続けてアノード層の表面の片側に電解質層材料を塗布して1450℃程度で共焼結を行ない、最後にカソード層材料を塗布して1050℃程度で焼結を行ない、積層型の固体電解質部材を作製した。しかしながら、固体電解質部材を大型化しようとすると、電解質層とカソード層との界面でカソード層が剥離したり、アノード層とカソード層が電気的につながって短絡が生じたりするという問題が見出された。
本発明者等は上記問題点について更なる検討を重ね、以下の知見を得た。
図6に示すように、アノード層63と電解質層61とを共焼結する際に、アノード層63に含まれるBaとNiが1200℃程度から反応して液相のBaNiO65が形成されていた。更に、液相のBaNiO 65は毛細管現象によって吸い上げられて電解質層61のアノード層63と反対側の表面にまで達してしまっていた。
また、固体電解質部材の発電評価時には、図7に示すように、BaNiO65がBaCO 66とNiO 67に分解してしまい、電解質層61とカソード層62との界面でBaCO66が密着性を低下させてカソード層62が剥離する原因となっていた。更に、NiO 67はHによって還元されてNiとなり、アノード層63とカソード層62を短絡させる原因となっていた。これらの問題はSrZrO系のペロブスカイト型酸化物でも同様に起こり得る。
本発明は、上記の問題点を解決し、700℃程度以下の温度域でも高いプロトン伝導性を示し、かつ大型の固体電解質部材を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様に係る固体電解質部材は、
電解質層がカソード層とアノード層とに挟まれており、更に、前記アノード層の前記電解質層が形成されている面とは反対側の表面にプレアノード層が積層された積層構造を有する、プロトン伝導性の固体電解質部材であって、
前記カソード層は、厚みが0.01μm以上、100μm以下であり、
前記電解質層は、ペロブスカイト型結晶構造を有する金属酸化物を含む層であって厚みが3μm以上、60μm以下であり、
前記アノード層は、NiO及び前記金属酸化物を含む層であって厚みが200μm以上、1000μm以下であり、
前記プレアノード層は、ZrOを含む酸化物、NiO、及びZrOを含む酸化物とNiOと前記金属酸化物との反応物、を含む層であって厚みが0.1μm以上、50μm以下であり、
前記金属酸化物は、下記式[1]で表される金属酸化物又は下記式[1]で表される金属酸化物の混合物もしくは固溶体である、
固体電解質部材、である。
3−δ 式[1]
(式中、Aはバリウム(Ba)、カルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、Bはセリウム(Ce)及びジルコニウム(Zr)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、Mはイットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)、エルビウム(Er)、ホルミウム(Ho)、ツリウム(Tm)、ガドリニウム(Gd)、インジウム(In)及びスカンジウム(Sc)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示し、aは0.85≦a≦1を満たす数、bは0.50≦b<1を満たす数、cはc=1−bを満たす数、δは酸素欠損量である。)
本発明の第2の態様に係る固体電解質部材は、
電解質層がカソード層とアノード層とに挟まれており、更に、前記アノード層の前記電解質層が形成されている面とは反対側の表面にプレアノード層が積層された積層構造を有する、プロトン伝導性の固体電解質部材であって、
前記カソード層は、厚みが0.01μm以上、100μm以下であり、
前記電解質層は、ペロブスカイト型結晶構造を有する金属酸化物を含む層であって厚みが3μm以上、60μm以下であり、
前記アノード層は、NiO及び前記金属酸化物を含む層であって厚みが200μm以上、1000μm以下であり、
前記プレアノード層は、ZrOを含む酸化物とNiOと前記金属酸化物との反応物、を含む層であって厚みが0.1μm以上、50μm以下であり、
前記金属酸化物は、下記式[1]で表される金属酸化物又は下記式[1]で表される金属酸化物の混合物もしくは固溶体であり、
前記プレアノード層の少なくとも一部に貫通孔が形成されていて前記アノード層の一部が露出している、
固体電解質部材、である。
3−δ 式[1]
(式中、Aはバリウム(Ba)、カルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、Bはセリウム(Ce)及びジルコニウム(Zr)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、Mはイットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)、エルビウム(Er)、ホルミウム(Ho)、ツリウム(Tm)、ガドリニウム(Gd)、インジウム(In)及びスカンジウム(Sc)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示し、aは0.85≦a≦1を満たす数、bは0.50≦b<1を満たす数、cはc=1−bを満たす数、δは酸素欠損量である。)
本発明の第1の態様に係る固体電解質部材の製造方法は、
前記本発明の第1の態様に係る固体電解質部材、を製造する方法であって、
アノード層材料を厚みが200μm以上、1000μm以下となるように成形し、仮焼結してアノード層を形成するアノード層形成工程と、
前記アノード層の表面の片側にプレアノード層材料を厚みが0.1μm以上、50μm以下となるように塗布して乾燥させるプレアノード層塗布工程と、
前記アノード層のもう一方の表面に電解質層材料を厚みが3μm以上、60μm以下となるように塗布して乾燥させる電解質層塗布工程と、
前記プレアノード層材料と前記電解質層材料が塗布された前記アノード層を焼結してプレアノード層と固体電解質層を形成する焼結工程と、
前記電解質層の前記アノード層が形成された面とは反対側の表面にカソード層材料を厚みが0.01μm以上、100μm以下となるように塗布し、焼結するカソード層形成工程と、
を有し、
前記電解質層材料は、ペロブスカイト型結晶構造を有する金属酸化物を含み、
前記アノード層材料は、NiO及び前記金属酸化物を含み、
前記プレアノード層材料は、ZrOを含む酸化物及びNiOを含み、
前記金属酸化物は、下記式[1]で表される金属酸化物又は下記式[1]で表される金属酸化物の混合物もしくは固溶体である、
固体電解質部材の製造方法、である。
3−δ 式[1]
(式中、Aはバリウム(Ba)、カルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、Bはセリウム(Ce)及びジルコニウム(Zr)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、Mはイットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)、エルビウム(Er)、ホルミウム(Ho)、ツリウム(Tm)、ガドリニウム(Gd)、インジウム(In)及びスカンジウム(Sc)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示し、aは0.85≦a≦1を満たす数、bは0.50≦b<1を満たす数、cはc=1−bを満たす数、δは酸素欠損量である。)
本発明の第2の態様に係る固体電解質部材の製造方法は、
前記本発明の第2の態様に係る固体電解質部材、を製造する方法であって、
アノード層材料を厚みが200μm以上、1000μm以下となるように成形し、仮焼結してアノード層を形成するアノード層形成工程と、
前記アノード層の表面の片側にプレアノード層材料を厚みが0.1μm以上、50μm以下となるように塗布して乾燥させるプレアノード層塗布工程と、
前記アノード層のもう一方の表面に電解質層材料を厚みが3μm以上、60μm以下となるように塗布して乾燥させる電解質層塗布工程と、
前記プレアノード層材料と前記電解質層材料が塗布された前記アノード層を焼結してプレアノード層と固体電解質層を形成する焼結工程と、
前記電解質層の前記アノード層が形成された面とは反対側の表面にカソード層材料を厚みが0.01μm以上、100μm以下となるように塗布し、焼結するカソード層形成工程と、
を有し、
前記電解質層材料は、ペロブスカイト型結晶構造を有する金属酸化物を含み、
前記アノード層材料は、NiO及び前記金属酸化物を含み、
前記プレアノード層材料はZrOを含む酸化物を含み、
前記金属酸化物は、下記式[1]で表される金属酸化物又は下記式[1]で表される金属酸化物の混合物もしくは固溶体であり、
前記プレアノード層塗布工程において、前記プレアノード層の少なくとも一部に貫通孔を形成して前記アノード層の一部が露出するようにする、
固体電解質部材の製造方法、である。
3−δ 式[1]
(式中、Aはバリウム(Ba)、カルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、Bはセリウム(Ce)及びジルコニウム(Zr)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、Mはイットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)、エルビウム(Er)、ホルミウム(Ho)、ツリウム(Tm)、ガドリニウム(Gd)、インジウム(In)及びスカンジウム(Sc)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示し、aは0.85≦a≦1を満たす数、bは0.50≦b<1を満たす数、cはc=1−bを満たす数、δは酸素欠損量である。)
上記発明によれば、700℃程度以下の温度域でも高いプロトン伝導性を示し、かつ大型の固体電解質部材を提供することができる。
本発明の実施形態に係る固体電解質部材の一例を表す概略図である。 本発明の実施形態に係る固体電解質部材の別の一例を表す概略図である。 本発明の実施形態に係る固体電解質部材におけるプレアノード層の構造の一例を表す概略図である。 本発明の実施形態に係る固体電解質部材におけるプレアノード層の構造の別の一例を表す概略図である。 本発明の実施形態に係る固体電解質部材におけるプレアノード層の構造の更に別の一例を表す概略図である。 従来の固体電解質部材の製造方法によってアノード層の表面の片側に電解質層を形成した状態を表す概略図である。 従来の固体電解質部材の製造方法によって製造した固体電解質部材の発電評価時の状態を表す概略図である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本発明の一態様に係る固体電解質部材は、
電解質層がカソード層とアノード層とに挟まれており、更に、前記アノード層の前記電解質層が形成されている面とは反対側の表面にプレアノード層が積層された積層構造を有する、プロトン伝導性の固体電解質部材であって、
前記電解質層は、ペロブスカイト型結晶構造を有する金属酸化物を含む層であり、
前記アノード層は、NiO及び前記金属酸化物を含む層であり、
前記プレアノード層は、ZrOを含む酸化物、NiO、及びZrOを含む酸化物とNiOと前記金属酸化物との反応物、を含む層であり、
前記金属酸化物は、下記式[1]で表される金属酸化物又は下記式[1]で表される金属酸化物の混合物もしくは固溶体である、
固体電解質部材、である。
3−δ 式[1]
(式中、Aはバリウム(Ba)、カルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、Bはセリウム(Ce)及びジルコニウム(Zr)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、Mはイットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)、エルビウム(Er)、ホルミウム(Ho)、ツリウム(Tm)、ガドリニウム(Gd)、インジウム(In)及びスカンジウム(Sc)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示し、aは0.85≦a≦1を満たす数、bは0.50≦b<1を満たす数、cはc=1−bを満たす数、δは酸素欠損量である。)
(2)本発明の一態様に係る固体電解質部材は、
電解質層がカソード層とアノード層とに挟まれており、更に、前記アノード層の前記電解質層が形成されている面とは反対側の表面にプレアノード層が積層された積層構造を有する、プロトン伝導性の固体電解質部材であって、
前記電解質層は、ペロブスカイト型結晶構造を有する金属酸化物を含む層であり、
前記アノード層は、NiO及び前記金属酸化物を含む層であり、
前記プレアノード層は、ZrOを含む酸化物とNiOと前記金属酸化物との反応物、を含む層であり、
前記金属酸化物は、下記式[1]で表される金属酸化物又は下記式[1]で表される金属酸化物の混合物もしくは固溶体であり、
前記プレアノード層の少なくとも一部に貫通孔が形成されていて前記アノード層の一部が露出している、
固体電解質部材。
3−δ 式[1]
(式中、Aはバリウム(Ba)、カルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、Bはセリウム(Ce)及びジルコニウム(Zr)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、Mはイットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)、エルビウム(Er)、ホルミウム(Ho)、ツリウム(Tm)、ガドリニウム(Gd)、インジウム(In)及びスカンジウム(Sc)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示し、aは0.85≦a≦1を満たす数、bは0.50≦b<1を満たす数、cはc=1−bを満たす数、δは酸素欠損量である。)
上記(1)又は上記(2)に記載の発明の態様によれば、700℃程度以下の温度域でも高いプロトン伝導性を示し、かつ大型の固体電解質部材を提供することができる。
(3)上記(2)に記載の固体電解質部材は、
前記プレアノード層が、ZrOを含む酸化物及びNiOを更に含むことが好ましい。
上記(3)に記載の発明の態様によれば、プレアノード層の導電性がより高い固体電解質部材を提供することができる。
(4)上記(1)から上記(3)のいずれか一項に記載の固体電解質部材は、
前記プレアノード層がメッシュ状の構造であることが好ましい。
上記(4)に記載の発明の態様によれば、メッシュ状の構造であるプレアノード層の貫通孔部を通じてアノード層と外部電極とを電気的に接続可能な固体電解質部材を提供することができる。
(5)上記(1)から上記(4)のいずれか一項に記載の固体電解質部材は、
前記金属酸化物が、BaZr1−e3−δ1(但し、dは0.85≦d≦1を満たす数、eは0.50≦e<1を満たす数、δ1は酸素欠損量である)であることが好ましい。
上記(5)に記載の発明の態様によれば、プロトン伝導性がより高い固体電解質部材を提供することができる。
(6)上記(1)から上記(5)のいずれか一項に記載の固体電解質部材は、
前記ZrOを含む酸化物が、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)であることが好ましい。
上記(6)に記載の発明の態様によれば、電解質層とカソード層との界面における不純物がより少ない固体電解質部材を提供することができる。
(7)上記(1)から上記(6)のいずれか一項に記載の固体電解質部材は、
前記カソード層が、下記式[A]から下記式[D]のいずれかで表される金属酸化物からなる群より選択された少なくとも1種を含むことが好ましい。
(La1−x,Sr)(Co1−y,Mn)O 式[A]
(La1−x,Sr)(Co1−y,Fe)O 式[B]
(Ba1−x,La)(Co1−y,Fe)O 式[C]
(Ba1−x,Sr)(Co1−y,Mn)O 式[D]
(但し、式[A]から式[D]において、xは0≦x≦1を満たす数であり、yは0≦y≦1を満たす数である。)
上記(7)に記載の発明によれば、触媒効果が高く発電効率のよい固体電解質部材を提供することができる。
(8)本発明の一態様に係る固体酸化物型燃料電池は、
上記(1)から上記(7)のいずれか一項に記載の固体電解質部材を用いた固体酸化物型燃料電池である。
上記(8)に記載の発明の態様によれば、大型で、発電効率が高い固体酸化物型燃料電池を提供することができる。
(9)本発明の一態様に係る水素ポンプは、
上記(1)から上記(7)のいずれか一項に記載の固体電解質部材を用いた水電解装置である。
上記(9)に記載の発明の態様によれば、大型で、水素と酸素の生成効率が高い水電解装置を提供することができる。
(10)本発明の一態様に係る水電解装置は、
上記(1)から上記(7)のいずれか一項に記載の固体電解質部材を用いた水素ポンプである。
上記(10)に記載の発明の態様によれば、大型で、大量の水素イオンを移動させることが可能な水素ポンプを提供することができる。
(11)本発明の一態様に係る固体電解質部材の製造方法は、
上記(1)に記載の固体電解質部材、を製造する方法であって、
アノード層材料を仮焼結してアノード層を形成するアノード層形成工程と、
前記アノード層の表面の片側にプレアノード層材料を塗布して乾燥させるプレアノード層塗布工程と、
前記アノード層のもう一方の表面に電解質層材料を塗布して乾燥させる電解質層塗布工程と、
前記プレアノード層材料と前記電解質層材料が塗布された前記アノード層を焼結してプレアノード層と固体電解質層を形成する焼結工程と、
前記電解質層の前記アノード層が形成された面とは反対側の表面にカソード層材料を塗布し、焼結するカソード層形成工程と、
を有し、
前記電解質層材料は、ペロブスカイト型結晶構造を有する金属酸化物を含み、
前記アノード層材料は、NiO及び前記金属酸化物を含み、
前記プレアノード層材料は、ZrOを含む酸化物及びNiOを含み、
前記金属酸化物は、下記式[1]で表される金属酸化物又は下記式[1]で表される金属酸化物の混合物もしくは固溶体である、
固体電解質部材の製造方法、である。
3−δ 式[1]
(式中、Aはバリウム(Ba)、カルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、Bはセリウム(Ce)及びジルコニウム(Zr)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、Mはイットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)、エルビウム(Er)、ホルミウム(Ho)、ツリウム(Tm)、ガドリニウム(Gd)、インジウム(In)及びスカンジウム(Sc)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示し、aは0.85≦a≦1を満たす数、bは0.50≦b<1を満たす数、cはc=1−bを満たす数、δは酸素欠損量である。)
上記(11)に記載の発明の態様によれば、上記(1)に記載の固体電解質部材を製造することが可能な固体電解質部材の製造方法を提供することができる。
(12)本発明の一態様に係る固体電解質部材の製造方法は、
上記(2)に記載の固体電解質部材、を製造する方法であって、
アノード層材料を仮焼結してアノード層を形成するアノード層形成工程と、
前記アノード層の表面の片側にプレアノード層材料を塗布して乾燥させるプレアノード層塗布工程と、
前記アノード層のもう一方の表面に電解質層材料を塗布して乾燥させる電解質層塗布工程と、
前記プレアノード層材料と前記電解質層材料が塗布された前記アノード層を焼結してプレアノード層と固体電解質層を形成する焼結工程と、
前記電解質層の前記アノード層が形成された面とは反対側の表面にカソード層材料を塗布し、焼結するカソード層形成工程と、
を有し、
前記電解質層材料は、ペロブスカイト型結晶構造を有する金属酸化物を含み、
前記アノード層材料は、NiO及び前記金属酸化物を含み、
前記プレアノード層材料はZrOを含む酸化物を含み、
前記金属酸化物は、下記式[1]で表される金属酸化物又は下記式[1]で表される金属酸化物の混合物もしくは固溶体であり、
前記プレアノード層塗布工程において、前記プレアノード層の少なくとも一部に貫通孔を形成して前記アノード層の一部が露出するようにする、
固体電解質部材の製造方法、である。
3−δ 式[1]
(式中、Aはバリウム(Ba)、カルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、Bはセリウム(Ce)及びジルコニウム(Zr)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、Mはイットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)、エルビウム(Er)、ホルミウム(Ho)、ツリウム(Tm)、ガドリニウム(Gd)、インジウム(In)及びスカンジウム(Sc)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示し、aは0.85≦a≦1を満たす数、bは0.50≦b<1を満たす数、cはc=1−bを満たす数、δは酸素欠損量である。)
上記(12)に記載の発明の態様によれば、上記(2)に記載の固体電解質部材を製造することが可能な固体電解質部材の製造方法を提供することができる。
[本発明の実施態様の詳細]
本発明の実施態様に係る固体電解質部材等の具体例を、以下に、より詳細に説明する。
なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
<固体電解質部材>
本発明の実施形態に係る固体電解質部材は、プレアノード層、アノード層、電解質層及びカソード層を有する。固体電解質部材の形状は特に限定されず、円形や矩形など、所望の形状を採用することができる。特に、直径が100mm程度の円形ものや、一辺の長さが100mm程度の矩形のものなど、大型の固体電解質部材であることが好ましい。
図1に本発明の実施形態に係る固体電解質部材の一例の概略図を示す。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る固体電解質部材は、電解質層11がカソード層12とアノード層13によって挟まれており、更に、アノード層13の電解質層11が形成されている面とは反対側の表面にプレアノード層14が積層された積層構造を有する。以下に各構成について詳述する。
(電解質層)
電解質層はペロブスカイト型結晶構造を有する金属酸化物を含む層である。
ペロブスカイト型結晶構造を有する金属酸化物は、下記式[1]で表される金属酸化物や、下記式[1]で表される金属酸化物の混合物もしくは固溶体であればよい。
3−δ 式[1]
上記式[1]において、Aは、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示す。
上記式[1]において、Bは、セリウム(Ce)及びジルコニウム(Zr)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示す。
上記式[1]において、Mは、イットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)、エルビウム(Er)、ホルミウム(Ho)、ツリウム(Tm)、ガドリニウム(Gd)、インジウム(In)及びスカンジウム(Sc)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示す。特に、Mがイットリウム(Y)である場合には、固体電解質部材のプロトン伝導性がより高くなる。
上記式[1]において、aは0.85≦a≦1を満たす数であればよく、0.88≦a≦0.98を満たす数であることがより好ましく、0.90≦a≦0.97を満たす数であることが更に好ましい。aが0.85以上であることにより高いプロトン伝導性を発現する。また、aが1以下であることにより化学的安定性が向上する。
上記式[1]において、bは0.50≦b<1を満たす数であればよく、0.70≦b≦0.95を満たす数であることがより好ましく、0.75≦b≦0.90を満たす数であることが更に好ましい。bが0.50以上であることによりプロトン伝導を阻害する相の析出を抑制することができる。また、bが1未満であることにより、固体電解質部材の伝導性がより高くなる。
上記式[1]において、cはc=1−bを満たす数である。
上記式[1]において、δは酸素欠損量であり、a、bの数値及び雰囲気に応じて決まる。
前記金属酸化物は、上記式[1]で表される化合物のなかでも、BaZr1−e3−δ1(但し、dは0.85≦d≦1を満たす数、eは0.50≦e<1を満たす数、δ1は酸素欠損量である)であることがより好ましい。
電解質層の厚みは特に限定されるものではなく、例えば、3μm以上、60μm以下程度とすればよい。電解質層の厚みを3μm以上とすることにより、ガスリークが生じないようにすることができる。また、電解質層の厚みを60μm以下とすることにより、抵抗を小さくすることができる。これらの観点から、電解質層の厚みは5μm以上、50μm以下であることがより好ましい。
(アノード層)
アノード層は、NiOと前記式[1]で表される金属酸化物を含む層であればよい。
NiOと金属酸化物との混合比は特に限定されるものではないが、強度を確保する観点からはNiOと金属酸化物の質量比で5:5〜8:2程度であることが好ましく、電解質との熱歪を緩和する観点からは、質量比で2:8〜5:5程度であることが好ましく、NiOと金属酸化物の反応性低減の観点からは、質量比で5:5であることが好ましい。総合的に判断すると、6:4〜7:3程度であることがより好ましい。
アノード層の厚みは特に限定されるものではなく、例えば、200μ以上、1000μm以下程度とすればよい。アノード層の厚みを200μm以上とすることにより、強度を高くすることができる。また、アノード層の厚みを1000μm以下とすることにより、NiOを還元しやすくすることができ、また、抵抗を低くすることができる。これらの観点から、アノード層の厚みは、300μm以上、700μm以下であることがより好ましい。
(プレアノード層)
本発明の第1の態様に係る固体電解質部材においては、プレアノード層は、ZrOを含む酸化物、NiO、及びZrOを含む酸化物とNiOと前記式[1]で表される金属酸化物との反応物、を含む層である。
ZrOを含む酸化物は、例えば、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)や、MgOドープZrO等であることが好ましい。
ZrOを含む酸化物とNiOと金属酸化物との反応物とは、ZrOを含む酸化物とNiOと金属酸化物との混合物を、酸素雰囲気下で、800℃以上、1600℃以下程度で焼結した場合に得られる反応物のことをいう。例えば、ZrOを含む酸化物としてYSZを、金属酸化物としてBaZr0.80.22.9を用い、これらの粉末とNiO粉末とを、大気下で、1450℃で焼結させた場合には、反応物としてはBaYNiOや、Y、BaNiOx等が生成する。また、焼結開始前の原材料比によっては、焼結後のプレアノード層には未反応のYSZやNiOが含まれる場合もある。
本発明の第2の態様に係る固体電解質部材においては、プレアノード層は、ZrOを含む酸化物やNiOが含まれず、ZrOを含む酸化物とNiOと前記式[1]で表される金属酸化物との反応物を含む層であってもよい。プレアノード層にNiOが含まれず、プレアノード層の導電性が低い場合には、図2に示すように、プレアノード層24の少なくとも一部に貫通孔が形成されていてアノード層23の一部が露出していればよい。貫通孔の形状は特に限定されず、貫通孔を通じてアノード層23と外部電極とを電気的に接続することが可能であればよい。なお、アノード層23にNiOが含まれていてアノード層23が導電性を有する場合に、プレアノード層24の少なくとも一部に貫通孔が形成されていても構わない。
貫通孔はプレアノード層のどの位置に形成されていても構わず、ランダムに形成されていてもよいが、所定のパターンで配列されているようにすることでプレアノード層をより簡易に形成することができる。この観点から、プレアノード層はメッシュ状の構造であることが好ましい。なお、メッシュ状とは、網目の形状だけでなく、溝が所定の間隔で形成された形状も意味するものとする。溝が互いに交差するように形成されていて、プレアノード層がドット状になっていても構わない。
図3〜図5に、メッシュ状のプレアノード層の構成例の概略を示す。図3〜図5では、斜線部がプレアノード層を表し、白抜きの部分がアノード層を表す。
図3は、アノード層33の表面に格子状のプレアノード層34を形成した例であり、四角形の貫通孔が縦横に連続的に配置されている。図4は、図3に示すプレアノード層において、貫通孔の形状を円形にした例である。図5は、溝を所定の間隔で縦横に形成してアノード層53上にドット状のプレアノード層54を形成した例である。
プレアノード層の厚みは特に限定されず、例えば、0.1μm以上、50μm以下程度であればよい。プレアノード層の厚みが0.1μm以上であることにより、固体電解質部材を製造する際に、電解質層に含まれるBa、Sr、又はBa及びSrをプレアノード層中のZrOを含む酸化物と優先的に反応させてプレアノード層に吸収したり、アノード層に加わる熱歪を緩和したりすることができる。また、プレアノード層は導電性が低い場合が多いので、50μm以下とすることが好ましい。これらの観点から、プレアノード層の厚みは、0.5μm以上、50μm以下であることがより好ましく、1μm以上、10μm以下であることが更に好ましい。
(カソード層)
カソード層は、下記式[A]から下記式[D]のいずれかで表される金属酸化物からなる群より選択された少なくとも1種を含むことが好ましい。
(La1−x,Sr)(Co1−y,Mn)O 式[A]
(La1−x,Sr)(Co1−y,Fe)O 式[B]
(Ba1−x,La)(Co1−y,Fe)O 式[C]
(Ba1−x,Sr)(Co1−y,Mn)O 式[D]
式[A]から式[D]において、xは0≦x≦1を満たす数であり、yは0≦y≦1を満たす数である。
カソード層は三相界面を確保することができ、ガスの抜け道があるように構成されていればよい。
カソード層の厚みは、例えば、0.01μm以上、100μm程度であればよい。集電性を高くするという観点からは、カソード層の厚みは、0.05μm以上、50μm以下であることがより好ましく、0.1μm以上、20μm以下であることが更に好ましい。
<固体酸化物型燃料電池>
本発明の一実施形態に係る固体酸化物型燃料電池は、前述の本発明の一実施形態に係る固体電解質部材を用いるものであり、その他の構成は従来の固体酸化物型燃料電池の構成と同様にすればよい。前述のように本発明の実施形態に係る固体電解質部材は従来の固体電解質部材に比べて大型化することが可能である。このため、大型の本発明の実施形態に係る固体電解質部材を用いることで、発電効率が高い固体酸化物型燃料電池を提供することができる。
<水電解装置>
本発明の一実施形態に係る水電解装置は、前述の本発明の一実施形態に係る固体電解質部材を用いるものであり、その他の構成は従来の、水に電圧をかけて水素と酸素に電気分解する水電解装置の構成と同様にすればよい。大型の本発明の実施形態に係る固体電解質部材を用いることで、水素と酸素の生成効率が高い水電解装置を提供することができる。
<水素ポンプ>
本発明の一実施形態に係る水素ポンプは、前述の本発明の一実施形態に係る固体電解質部材を用いるものであり、その他の構成は従来の、固体電解質に電圧をかけて水素イオンを一方から他方へと移動させる水素ポンプの構成と同様にすればよい。大型の本発明の実施形態に係る固体電解質部材を用いることで、大量の水素イオンを移動させることが可能な水素ポンプを提供することができる。
<固体電解質部材の製造方法>
本発明の実施形態に係る固体電解質部材の製造方法は、アノード層形成工程と、プレアノード層塗布工程と、電解質層塗布工程と、焼結工程と、カソード層形成工程と、を有する。以下に各工程を詳述する。
(アノード層形成工程)
アノード層形成工程は、アノード層材料を混合してから成形し、その後に仮焼結する工程である。
アノード層材料は、NiOとペロブスカイト型結晶構造を有する金属酸化物とを含むものであればよい。ペロブスカイト型結晶構造を有する金属酸化物としては、上記の、本発明の実施形態に係る固体電解質部材において説明した前記式[1]で表される金属酸化物と同じものを用いればよい。NiOと金属酸化物との混合比は、強度を確保する観点からはNiOと金属酸化物の質量比で5:5〜8:2程度とすることが好ましく、電解質層との熱歪を緩和する観点からは、質量比で2:8〜5:5程度とすることが好ましく、NiOと金属酸化物の反応性低減の観点からは、質量比で5:5とすることが好ましい。総合的に判断すると、質量比で6:4〜7:3程度とすることがより好ましい。
アノード層材料を成形する方法は特に限定されず、例えば、一軸成形やグリーンシート等により行なえばよい。成形する形状も特に限定されず、直径が100mm程度の円形のものや、一辺の長さが100mm程度の矩形ものなど、所望の形状とすればよい。
また、アノード層材料は、強度を確保しつつ、NiOを還元しやすくし、抵抗を小さくするという観点から、厚みが200μm以上、1000μm以下となるように成形することが好ましく、300μm以上、700μm以下とすることがより好ましい。
仮焼結する温度は800℃以上、1400℃以下程度とすればよく、より好ましくは900℃以上、1300℃以下程度、更に好ましく1000℃以上、1200℃以下程度である。
また、仮焼結する雰囲気は、大気、酸素雰囲気等であればよい。場合によっては、仮焼結はなくてもよい。
(プレアノード層塗布工程)
プレアノード層塗布工程は、上記のアノード層形成工程によって得られたアノード層(仮焼結体)の表面の片側にプレアノード層材料を塗布して乾燥させる工程である。
プレアノード層材料を塗布する方法は特に限定されず、例えば、スクリーン印刷や気相法(スパッタリング)等によって行なえばよい。
プレアノード層材料は、ZrOを含む酸化物、NiO、又はZrOを含む酸化物及びNiOを含むものであればよい。ZrOを含む酸化物としては、上記の、本発明の実施形態に係る固体電解質部材において説明したZrOを含む酸化物と同じものを用いればよい。
−第1の態様−
本発明の実施形態に係る固体電解質部材の製造方法の第1の態様においては、プレアノード層材料は、ZrOを含む酸化物及びNiOを含むものであればよい。
プレアノード層材料がZrOを含む酸化物を含むことにより、後述する焼結工程において、電解質層に含まれるBa、Sr、又はBa及びSrを、プレアノード層中のZrOを含む酸化物と優先的に反応させてプレアノード層に吸収することができる。これによりBaNiOが生成したり、電解質層の表面に移動したりすることを抑制できる。また、プレアノード層材料がNiOを含むことにより、プレアノード層に導電性を付与することができる。これらの観点から、プレアノード層におけるZrOを含む酸化物とNiOとの比率は、質量比で1:9〜9:1であることが好ましい。また、プレアノード層材料に含まれるNiOの比率が多すぎると、焼結工程において生成する不純物が多くなる。このため、プレアノード層における反応生成物の量を抑制しつつ、導電性を確保するという観点からは、プレアノード層におけるZrOを含む酸化物とNiOとの比率は、3:7〜7:3であることがより好ましく、5:5であることが最も好ましい。
なお、プレアノード層材料に含まれるNiOの比率が少なすぎて、形成されるアノード層が導電性を有さなくなる場合には、プレアノード層の形状が少なくとも一部に貫通孔を有する構造やメッシュ状の構造となるようにプレアノード層材料を塗布すればよい。なお、メッシュ状の構造とは、上記の、本発明の実施形態に係る固体電解質部材において説明したプレアノード層のメッシュ状の構造と同じ構造を意味する。
−第2の態様−
本発明の実施形態に係る固体電解質部材の製造方法の第2の態様においては、プレアノード層材料は、ZrOを含む酸化物を含むものであればよい。
プレアノード層材料にNiOが含まれない場合には、焼結工程においてアノード層で生成されるBaNiOをプレアノード層に吸収してBaNiOが電解質層の表面に移動しないようにすることができるものの、プレアノード層が導電性を有さなくなる。この場合には、少なくとも一部に貫通孔を有する構造やメッシュ状の構造のプレアノード層が形成されるようにプレアノード層材料をアノード層の表面の片側に塗布すればよい。なお、メッシュ状の構造とは、上記の、本発明の実施形態に係る固体電解質部材において説明したプレアノード層のメッシュ状の構造と同じ構造を意味する。これにより、貫通孔の部分を通じてアノード層と外部電極とを電気的に接続させることができる。
(電解質層塗布工程)
電解質層塗布工程は、アノード層のプレアノード層材料を塗布した面とは反対側の表面に電解質層材料を塗布して乾燥させる工程である。
電解質層材料は、ペロブスカイト型結晶構造を有する金属酸化物を含むものであればよい。ペロブスカイト型結晶構造を有する金属酸化物としては、上記の、本発明の実施形態に係る固体電解質部材において説明した金属酸化物と同じものを用いることができる。
電解質層材料の塗布方法は特に限定されず、例えば、スクリーン印刷やグリーンシート等によって行なえばよい。
電解質層材料は、ガスリークが生じないようにし、かつ、抵抗を小さくするという観点から、厚みが3μm以上、60μm以下となるように塗布することが好ましく、5μm以上、50μm以下とすることがより好ましい。
(焼結工程)
焼結工程は、アノード層の表面にプレアノード層と電解質層を塗布した積層体を焼結してプレアノード層と固体電解質層を形成する工程である。
焼結工程では、アノード層において液相のBaNiOが生成する。従来の固体電解質部材の製造方法ではBaNiOは電解質層に吸収されていたが、本発明の実施形態に係る固体電解質部材の製造方法ではBaNiOはプレアノード層に吸収されるため、固体電解質部材の表面に移動しないようにすることができる。また、プレアノード層においては、ZrOを含む酸化物とNiOと前記金属酸化物との反応物、例えば、BaYNiOや、Ba、BaY等が生成する。
焼結する温度は1100℃以上、1600℃以下程度とすればよく、より好ましくは1200℃以上、1550℃以下程度、更に好ましくは1250℃以上、1500℃以下程度である。
また、焼結する雰囲気は、大気、酸素雰囲気等であればよい。
(カソード層形成工程)
カソード層形成工程は、電解質層のアノード層が形成された面とは反対側の表面にカソード層材料を塗布して焼結する工程である。
カソード層材料は、上記の、本発明の実施形態に係る固体電解質部材において説明したカソード材料と同じものを用いることができる。
カソード層材料の塗布方法は特に限定されず、例えば、スクリーン印刷やスパッタリング等によって行なえばよい。
カソード層材料は、集電性を高くするという観点から、厚みが0.01μm以上、100μm以下となるように塗布することが好ましく、0.05μm以上、50μm以下とすることがより好ましく、0.1μm以上、20μm以下とすることが更に好ましい。
焼結する温度は800℃以上、1300℃以下程度とすればよく、より好ましくは900℃以上、1200℃以下程度、更に好ましくは1000℃以上、1100℃以下程度である。
また、焼結する雰囲気は、大気、酸素雰囲気等であればよい。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、これらの実施例は例示であって、本発明の固体電解質部材等はこれらに限定されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲の記載によって示され、特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
[実施例1]
(アノード層形成工程)
アノード層材料としては、NiO粉末と、ペロブスカイト型結晶構造を有する金属酸化物のBaZr0.80.22.9(BZY)粉末と、を用いた。NiO粉末とBZY粉末との質量比は5:5となるようにした。前記アノード層材料を、イソプロパノールを溶媒としてボールミルで混合し、乾燥させた。乾燥後のアノード層材料を、直径100mmの円形で厚さが500μmとなるように一軸成形した。この成形品を大気下、1000℃で仮焼結してアノード層を作製した。
(プレアノード層塗布工程)
プレアノード層材料としては、ZrOを含む酸化物のイットリア安定化ジルコニア(YSZ)粉末と、NiO粉末と、を用いた。YSZ粉末とNiO粉末との質量比は5:5となるようにした。前記プレアノード層材料を、バインダーのエチルセルロース(エトキシ化度約49%)と、溶媒のαテルピネオールと混合してペースト状にした。このプレアノード層材料のペーストをスクリーン印刷により前記アノード層の表面の片側に塗布した。続いて、750℃に加熱して乾燥させ、バインダーと溶媒を除去した。
プレアノード層の形状は、図3に示すメッシュ状の構造となるようにした。なお、図3ではプレアノード層34は全体として正方形の形状であるが、実施例1ではプレアノード層は全体として円形となるようにした。また、プレアノード層の厚みは10μmとした。
(電解質層塗布工程)
電解質層材料としては、ペロブスカイト型結晶構造を有する金属酸化物のBaZr0.80.22.9(BZY)粉末と、を用いた。前記電解質層材料を、バインダーのエチルセルロース(エトキシ化度約49%)と、溶媒のαテルピネオールと混合してペースト状にした。この電解質層材料のペーストをスクリーン印刷により前記アノード層の前記プレアノード層が形成されている面とは反対側の表面に塗布した。続いて、前記電解質層材料のペーストをスクリーン印刷により塗布し800℃に加熱してバインダーと溶媒を除去した。アノード層の表面に塗布した電解質層材料の厚みは20μmとなるようにした。
(焼結工程)
プレアノード層材料と電解質層材料が塗布されたアノード層を酸素雰囲気下、1450℃で焼結し、アノード層がプレアノード層と電解質層とに挟まれた構造体を作製した。
(カソード層形成工程)
カソード層材料として、(La,Sr)(Co,Fe)Oを用いた。
カソード層材料のペーストを、電解質層のアノード層が形成された面とは反対側の表面にスクリーン印刷により塗布した。続いて、大気下、1000℃で焼結した。
以上の工程により、電解質層がカソード層とアノード層とに挟まれており、更に、アノード層の表面にプレアノード層が積層された構造の、固体電解質部材No.1を得た。
[比較例]
実施例1においてプレアノード塗布を行なわず、プレアノード層を形成しなかった以外は実施例1と同様にして、電解質層がカソード層とアノード層とに挟まれた構造の、固体電解質部材No.Aを得た。
<評価>
(割れ及びヒビの有無)
実施例1の固体電解質部材No.1及び比較例の固体電解質部材No.Aをそれぞれ10個作製し、割れやヒビの発生の有無を調べた。
その結果、実施例1の固体電解質部材No.1では1つも割れやヒビ、外周部にうねりが発生していなかった。これに対し、比較例の固体電解質部材No.Aはアノード層に電解質層材料を塗布して焼結した段階で、2個が割れてしまい、4個に外周部のうねりが発生していた。
(発電評価)
実施例1の固体電解質部材No.1と、割れやヒビが発生しなかった比較例の固体電解質部材No.Aについて発電評価を行なった。固体電解質部材No.1は開回路電圧(OCV:Open Circuit Voltage)が1.0以上であることを確認出来たが、固体電解質部材No.AはOCVが全てのセルで0.7V以下であった。
発電評価後に固体電解質部材を解体して調べたところ、個体電解質部材No.Aは電解質とカソードの界面でBaNiOxの分解によるカソード剥離が起こっていることが確認された。
なお、発電評価はサンプル温度が600℃でアノードに水素ガス、カソードに空気を用いることにより行なった。
11、21 電解質層
12、22 カソード層
13、23、33、43、53 アノード層
14、24、34、44、54 プレアノード
61 電解質層
62 カソード層
63 アノード層
65 BaNiO
66 BaCo
67 NiO

Claims (12)

  1. 電解質層がカソード層とアノード層とに挟まれており、更に、前記アノード層の前記電解質層が形成されている面とは反対側の表面にプレアノード層が積層された積層構造を有する、プロトン伝導性の固体電解質部材であって、
    前記カソード層は、厚みが0.01μm以上、100μm以下であり、
    前記電解質層は、ペロブスカイト型結晶構造を有する金属酸化物を含む層であって厚みが3μm以上、60μm以下であり、
    前記アノード層は、NiO及び前記金属酸化物を含む層であって厚みが200μm以上、1000μm以下であり、
    前記プレアノード層は、ZrOを含む酸化物、NiO、及びZrOを含む酸化物とNiOと前記金属酸化物との反応物、を含む層であって厚みが0.1μm以上、50μm以下であり、
    前記金属酸化物は、下記式[1]で表される金属酸化物又は下記式[1]で表される金属酸化物の混合物もしくは固溶体である、
    固体電解質部材。
    3−δ 式[1]
    (式中、Aはバリウム(Ba)、カルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、Bはセリウム(Ce)及びジルコニウム(Zr)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、Mはイットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)、エルビウム(Er)、ホルミウム(Ho)、ツリウム(Tm)、ガドリニウム(Gd)、インジウム(In)及びスカンジウム(Sc)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示し、aは0.85≦a≦1を満たす数、bは0.50≦b<1を満たす数、cはc=1−bを満たす数、δは酸素欠損量である。)
  2. 電解質層がカソード層とアノード層とに挟まれており、更に、前記アノード層の前記電解質層が形成されている面とは反対側の表面にプレアノード層が積層された積層構造を有する、プロトン伝導性の固体電解質部材であって、
    前記カソード層は、厚みが0.01μm以上、100μm以下であり、
    前記電解質層は、ペロブスカイト型結晶構造を有する金属酸化物を含む層であって厚みが3μm以上、60μm以下であり、
    前記アノード層は、NiO及び前記金属酸化物を含む層であって厚みが200μm以上、1000μm以下であり、
    前記プレアノード層は、ZrOを含む酸化物とNiOと前記金属酸化物との反応物、を含む層であって厚みが0.1μm以上、50μm以下であり、
    前記金属酸化物は、下記式[1]で表される金属酸化物又は下記式[1]で表される金属酸化物の混合物もしくは固溶体であり、
    前記プレアノード層の少なくとも一部に貫通孔が形成されていて前記アノード層の一部が露出している、
    固体電解質部材。
    3−δ 式[1]
    (式中、Aはバリウム(Ba)、カルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、Bはセリウム(Ce)及びジルコニウム(Zr)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、Mはイットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)、エルビウム(Er)、ホルミウム(Ho)、ツリウム(Tm)、ガドリニウム(Gd)、インジウム(In)及びスカンジウム(Sc)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示し、aは0.85≦a≦1を満たす数、bは0.50≦b<1を満たす数、cはc=1−bを満たす数、δは酸素欠損量である。)
  3. 前記プレアノード層は、ZrOを含む酸化物及びNiOを更に含む、請求項2に記載の固体電解質部材。
  4. 前記プレアノード層がメッシュ状の構造である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の固体電解質部材。
  5. 前記金属酸化物は、BaZr1−e3−δ1(但し、dは0.85≦d≦1を満たす数、eは0.50≦e<1を満たす数、δ1は酸素欠損量である)である、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の固体電解質部材。
  6. 前記ZrOを含む酸化物は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)である、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の固体電解質部材。
  7. 前記カソード層は、下記式[A]から下記式[D]のいずれかで表される金属酸化物からなる群より選択された少なくとも1種を含む、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の固体電解質部材。
    (La1−x,Sr)(Co1−y,Mn)O 式[A]
    (La1−x,Sr)(Co1−y,Fe)O 式[B]
    (Ba1−x,La)(Co1−y,Fe)O 式[C]
    (Ba1−x,Sr)(Co1−y,Mn)O 式[D]
    (但し、式[A]から式[D]において、xは0≦x≦1を満たす数であり、yは0≦y≦1を満たす数である。)
  8. 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の固体電解質部材を用いた固体酸化物型燃料電池。
  9. 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の固体電解質部材を用いた水電解装置。
  10. 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の固体電解質部材を用いた水素ポンプ。
  11. 請求項1に記載の固体電解質部材、を製造する方法であって、
    アノード層材料を厚みが200μm以上、1000μm以下となるように成形し、仮焼結してアノード層を形成するアノード層形成工程と、
    前記アノード層の表面の片側にプレアノード層材料を厚みが0.1μm以上、50μm以下となるように塗布して乾燥させるプレアノード層塗布工程と、
    前記アノード層のもう一方の表面に電解質層材料を厚みが3μm以上、60μm以下となるように塗布して乾燥させる電解質層塗布工程と、
    前記プレアノード層材料と前記電解質層材料が塗布された前記アノード層を焼結してプレアノード層と固体電解質層を形成する焼結工程と、
    前記電解質層の前記アノード層が形成された面とは反対側の表面にカソード層材料を厚みが0.01μm以上、100μm以下となるように塗布し、焼結するカソード層形成工程と、
    を有し、
    前記電解質層材料は、ペロブスカイト型結晶構造を有する金属酸化物を含み、
    前記アノード層材料は、NiO及び前記金属酸化物を含み、
    前記プレアノード層材料は、ZrOを含む酸化物及びNiOを含み、
    前記金属酸化物は、下記式[1]で表される金属酸化物又は下記式[1]で表される金属酸化物の混合物もしくは固溶体である、
    固体電解質部材の製造方法。
    3−δ 式[1]
    (式中、Aはバリウム(Ba)、カルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、Bはセリウム(Ce)及びジルコニウム(Zr)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、Mはイットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)、エルビウム(Er)、ホルミウム(Ho)、ツリウム(Tm)、ガドリニウム(Gd)、インジウム(In)及びスカンジウム(Sc)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示し、aは0.85≦a≦1を満たす数、bは0.50≦b<1を満たす数、cはc=1−bを満たす数、δは酸素欠損量である。)
  12. 請求項2に記載の固体電解質部材、を製造する方法であって、
    アノード層材料を厚みが200μm以上、1000μm以下となるように成形し、仮焼結してアノード層を形成するアノード層形成工程と、
    前記アノード層の表面の片側にプレアノード層材料を厚みが0.1μm以上、50μm以下となるように塗布して乾燥させるプレアノード層塗布工程と、
    前記アノード層のもう一方の表面に電解質層材料を厚みが3μm以上、60μm以下となるように塗布して乾燥させる電解質層塗布工程と、
    前記プレアノード層材料と前記電解質層材料が塗布された前記アノード層を焼結してプレアノード層と固体電解質層を形成する焼結工程と、
    前記電解質層の前記アノード層が形成された面とは反対側の表面にカソード層材料を厚みが0.01μm以上、100μm以下となるように塗布し、焼結するカソード層形成工程と、
    を有し、
    前記電解質層材料は、ペロブスカイト型結晶構造を有する金属酸化物を含み、
    前記アノード層材料は、NiO及び前記金属酸化物を含み、
    前記プレアノード層材料はZrOを含む酸化物を含み、
    前記金属酸化物は、下記式[1]で表される金属酸化物又は下記式[1]で表される金属酸化物の混合物もしくは固溶体であり、
    前記プレアノード層塗布工程において、前記プレアノード層の少なくとも一部に貫通孔を形成して前記アノード層の一部が露出するようにする、
    固体電解質部材の製造方法。
    3−δ 式[1]
    (式中、Aはバリウム(Ba)、カルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、Bはセリウム(Ce)及びジルコニウム(Zr)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、Mはイットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)、エルビウム(Er)、ホルミウム(Ho)、ツリウム(Tm)、ガドリニウム(Gd)、インジウム(In)及びスカンジウム(Sc)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示し、aは0.85≦a≦1を満たす数、bは0.50≦b<1を満たす数、cはc=1−bを満たす数、δは酸素欠損量である。)
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