JP4436751B2 - 水素ポンプの運転方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えばトリチウムを含む対象ガス中のトリチウム濃度を検出するトリチウムモニターとして利用され、或いはトリチウム及び水素を回収するために用いられる水素ポンプの運転方法に関するものである。
核融合炉の燃料であるトリチウム(三重水素、T、3H)は放射性の水素同位体であるため、管理された環境で使用しなければならない。現在、トリチウムの濃度測定には主に液体シンチレーション法が利用されているが、測定はバッチ処理であり、作業性やリアルタイム性が良くない。そこで、プロトン導電性セラミックスの両面に白金電極を備え、水素を生成させる水素ポンプが提案されている(例えば、非特許文献1を参照)。
すなわち、プロトン導電性セラミックスはCaZr0.9In0.13-αによって有蓋筒状に形成され、その内周面及び外周面には白金の無電解メッキ法により得られるアノード電極及びカソード電極が設けられている。そして、プロトン導電性セラミックスの内側に水蒸気を供給し、800℃でアノード電極及びカソード電極間に2Vの直流電圧を印加して、水蒸気の電気分解を行う。その結果、白金メッキ電極は、従来の白金ペースト電極に比べて、電流値が32mAから112mAに増大し、水素生成速度が0.25ml/minに増大する。
Journal of NUCLEAR SCIENCE and TECHNOLOGY, Vol.41,No.1,p.95-97(January 2004)
ところが、上記の非特許文献1に記載された従来技術において、アノード電極及びカソード電極として用いられている無電解メッキ法による白金電極は、水素についての透過性が良いものの、水蒸気等の水素化合物についての透過性が十分ではなく、その透過速度が低いものであった。そのため、アノード電極で水蒸気の電気分解による水素イオンの生成及び透過が十分になされず、プロトン導電性セラミックスを透過する水素イオン等が少なくなって、結果としてカソード電極から生成される水素ガス等の生成が少なくなる。その理由は明確ではないが、アノード電極及びカソード電極の気孔径及び気孔率が最も影響しているものと考えられる。従って、水素ポンプにより得られる水素及び水素同位体のガスの生成量が十分ではないという問題があった。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、アノード電極における水素化合物のガスの透過性が良く、かつカソード電極における水素及び水素同位体のガスの透過性が良く、水素及び水素同位体のガスの生成量を増大させることができる水素ポンプの運転方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の水素ポンプの運転方法は、プロトン導電性セラミックスで形成された電解質基板の両面にアノード電極及びカソード電極を形成するとともに、アノード電極側にアノード室を設け、カソード電極側にカソード室を設け、前記アノード室に水素及び水素同位体を含む対象ガスを収容し、両電極間に直流電圧を印加することにより対象ガス中の水素及び水素同位体を含むガスをアノード電極上で分解し、生成した水素及び水素同位体のイオンが電解質基板を透過し、カソード電極上で水素及び水素同位体のガスを生成し、カソード室に収容する水素ポンプにおいて、前記アノード電極には水素化合物のガスの透過性を有する金属又は金属酸化物による電極を用い、カソード電極には水素及び水素同位体のガスの透過性を有する金属又は金属酸化物による電極を用いる水素ポンプを使用し、アノード電極とカソード電極との間に直流電圧を印加し、アノード室内の対象ガス中の水素及び水素同位体を含むガスをアノード電極上で分解し、生成した水素及び水素同位体のイオンが電解質基板を透過し、カソード電極上で水素及び水素同位体のガスを生成し、カソード室に収容するように運転し、前記運転中にカソード電極に対して酸素又は酸素を含む混合ガスを通気し、プロトン導電性セラミックスの酸化処理を行うことを特徴とするものである。
請求項に記載の発明の水素ポンプの運転方法は、請求項に係る発明において、前記酸化処理を、アノード電極とカソード電極との間に直流電圧が印加された状態で行うことを特徴とするものである。
請求項に記載の発明の水素ポンプの運転方法は、請求項又は請求項に係る発明において、前記酸素を含む混合ガスとして、アノード室に処理される対象ガスを用いることを特徴とするものである。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1に記載の発明の水素ポンプの運転方法においては、アノード電極には水蒸気等の水素化合物のガスの透過性を有する金属又は金属酸化物による電極を用い、カソード電極には水素及び水素同位体のガスの透過性を有する金属又は金属酸化物による電極を用いている。アノード電極では、水素及び水素同位体はもとより水蒸気等の水素化合物を含むガスの透過性が改善されるとともに、カソード電極では水素及び水素同位体のガスの透過性が改善される。従って、カソード電極における水素及び水素同位体のガスの生成量を増大させることができる。
さらに、請求項に記載の発明の水素ポンプの運転方法においては、アノード電極とカソード電極との間に直流電圧を印加し、アノード室内の対象ガス中の水素化合物を含むガスをアノード電極上で分解し、生成した水素及び水素同位体のイオンが電解質基板を透過し、カソード電極上で水素及び水素同位体のガスを生成し、カソード室に収容するように運転する。従って、水素ポンプの運転が容易である
加えて、請求項に記載の発明の水素ポンプの運転方法においては、運転中にカソード電極に対して酸素又は酸素を含む混合ガスを例えば間欠的に通気し、プロトン導電性セラミックスの酸化処理を行う。この酸化処理により、プロトン導電性セラミックスがカソード電極から生成する水素等によって徐々に還元され、透過性能が低下するのを酸化によって回復させることができる。従って、プロトン導電性セラミックスの性能が低下することを抑制することができる。
請求項に記載の発明の水素ポンプの運転方法では、上記の酸化処理を、アノード電極とカソード電極との間に直流電圧が印加された状態で行う。このため、請求項5に係る発明の効果に加えて、プロトン導電性セラミックス内への酸素イオンの浸透を促進させることができ、酸化処理を速やかに行うことができるとともに、水素ポンプの特性を変えることなく、安定した状態で水素ポンプを運転することができる。
請求項に記載の発明の水素ポンプの運転方法では、前記酸素を含む混合ガスとして、アノード室に収容される対象ガスを用いる。この場合、酸素を含む混合ガスをアノード室に供給される対象ガスと兼用することができ、請求項又は請求項に係る発明の効果に加え、水素ポンプの運転を効率良く行うことができる。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本実施形態における水素ポンプ10を示す概略説明図である。この図に示すように、水素ポンプ本体11内の中央位置には、アノード室12とカソード室13にほぼ2等分して区画するようにプロトン導電性セラミックスよりなる電解質基板14が固定されている。電解質基板14を構成するプロトン導電性セラミックスとしては、CaZrO系酸化物(例えばCaZr0.9In0.13)等が用いられる。
電解質基板14の一方の面(アノード室12側の面)にはアノード電極15が設けられ、他方の面(カソード室13側の面)にはカソード電極16が設けられている。アノード電極15は水蒸気等の水素化合物のガスの透過性を有する金属又は金属酸化物による電極で構成され、好ましくは多孔質の金属又は金属酸化物による電極で構成されている。一方、カソード電極16は水素及び水素同位体のガスを透過する金属又は金属酸化物による電極で構成され、好ましくは多結晶質の金属又は金属酸化物による電極で構成されている。ここで多結晶質とは、大きさや方位の異なる微少な結晶粒子が固着して集合している固体を指す。アノード電極15及びカソード電極16を構成する金属としては白金、金、銀等が用いられる。また、アノード電極15及びカソード電極16を構成する金属酸化物としては酸化白金、酸化金、酸化銀等が用いられる。アノード電極15はペースト焼付け法によって形成することが好ましく、カソード電極16は無電解メッキ法によって形成することが好ましい。ペースト焼付け法は、金属又は金属酸化物のペーストを電解質基板14上に所定厚みで塗布形成した後、焼付けることによって行われる。このようなペースト焼付け法により形成されるアノード電極15の細孔径は1〜10μmであり、無電解メッキ法によって形成されるカソード電極16の細孔径は100nm以上で1μm未満である。
前記アノード室12には対象ガス導入配管17が接続され、その対象ガス導入配管17に設けられた導入用ポンプ18によって対象ガスがアノード室12に供給されるようになっている。対象ガスは、水素(H)及びジュウテリウム(重水素、D、2H)又はトリチウム(三重水素、T、3H)よりなる水素同位体を含むガスである。この対象ガスには、水蒸気(軽水、1H及び16Oからなる水の蒸気)のほか、重水、トリチウム水及びそれらの混合物のガスが含まれる。ここで、水素化合物は軽水、重水、トリチウム水等である。本明細書では、水素及び水素同位体のガスとは、H2、D2、HD、HT等のガスを意味し、水素及び水素同位体を含むガスとは、水蒸気やメタンガス等の水素化合物のガスを意味する。
アノード室12にはさらに導出配管19が接続され、アノード室12内の窒素ガス、酸素ガス等を排出するようになっている。対象ガス導入配管17の途中には、対象ガスをカソード室13へ供給するための第1接続配管20の一端が連結され、その他端がカソード室13に連結されている。この第1接続配管20の一端側には第1開閉バルブ20aが設けられている。また、上記導出配管19の途中には、アノード室12内の対象ガスをカソード室13に導入するための第2接続配管21の一端が連結され、その他端がカソード室13に連結されている。この第2接続配管21の一端側には第2開閉バルブ21aが設けられている。なお、第1接続配管20と第2接続配管21とはどちらかが設置されれば十分である。
アノード電極15には直流電源22のプラス側が接続され、カソード電極16には直流電源22のマイナス側が接続され、アノード電極15とカソード電極16との間に好ましくは0.1〜5Vの直流電圧を印加するようになっている。また、水素ポンプ本体11内は図示しない加熱装置によって好ましくは200〜1500℃、さらに好ましくは300〜1000℃の高温に加熱されるように構成されている。そして、加熱状態で、アノード電極15及びカソード電極16間に直流電圧を印加することにより、アノード電極15上で水蒸気等の電気分解が行われて水素イオン等が生成され、カソード電極16上で水素イオン等から水素ガス等が生成されるようになっている。
カソード室13には循環配管23の一端及び他端が接続されるとともに、循環配管23の中間部にはトリチウムモニター24が接続されて循環配管23を流れるガス中のトリチウム濃度を放射線モニターで測定するようになっている。循環配管23の一端及び他端には第1調整バルブ23a及び第2調整バルブ23bが接続されるとともに、一端側には循環用ポンプ25が設けられている。また、カソード室13には、一端がキャリアガスボンベ26に接続され、中間部にバルブ27が設けられたキャリアガス供給用配管28の他端が接続されている。そして、キャリアガスボンベ26からアルゴン(Ar)、窒素(N2)等のキャリアガスがキャリアガス供給用配管28からカソード室13へ供給されるようになっている。さらに、カソード室13には第1排気用配管29の一端が接続され、その他端は第1排気用バルブ30及び排気用ポンプ31を介して外部へ開放されている。その第1排気用配管29の一端と第1排気用バルブ30との間には、第2排気用バルブ32を備えた第2排気用配管33が接続されている。
そして、アノード室12に収容された水素及び水素同位体を含む対象ガスが、加熱状態にて直流電圧によりアノード電極15上でイオン化され、そのイオンがプロトン導電性セラミックスよりなる電解質基板14中を透過し、カソード電極16上で水素及び水素同位体のガスが生成され、カソード室13に収容されるようになっている。
次に、上記のように構成された水素ポンプ10の運転方法について説明する。
まず、導入用ポンプ18を作動させ、対象ガス導入配管17から対象ガスをアノード室12内に導入する。その状態で直流電源22によりアノード電極15とカソード電極16との間に例えば2Vの電圧を印加するとともに、例えば650℃に加熱する。これにより、アノード室12内の対象ガス中に含まれる水蒸気及び水素、水素同位体等のガスが、アノード電極15上で分解され、水素イオン、トリチウムイオン等の水素及び水素同位体のイオンにイオン化される。例えば、アノード電極15上で、水蒸気が下記の反応式(1)に基づいて水素イオンと酸素ガスに分解される。
2H2O → 4H+ +4e- + O2 ・・・(1)
生成した水素イオン、トリチウムイオン等の水素及び水素同位体のイオンが電解質基板14を構成するプロトン導電性セラミックス中を透過する。プロトン導電性セラミックス中を透過した水素イオン、トリチウムイオン等はカソード電極16上で水素ガス、トリチウムガス等の水素及び水素同位体のガスとなって生成され、カソード室13に収容される。例えば、カソード電極16上で水素イオンが下記の反応式(2)に基づいて水素となって生成される。
2H+ + 2e- → H2 ・・・(2)
この際、キャリアガス供給用配管28からキャリアガスがカソード室13内に予め供給、充填されている。そして、循環配管23の第1調整バルブ23a及び第2調整バルブ23bが開かれ、循環用ポンプ25が作動されることにより、カソード室13中の水素ガス、トリチウムガス等のガスがトリチウムモニター24に流れ、そこで検出される。
このように水素ポンプ10の運転を続けると、カソード室13で生成される水素等の還元ガスにより電解質基板14を形成するプロトン導電性セラミックスが還元され、その性能が低下する。これを抑制するために、カソード電極16に対して酸素又は酸素を含む混合ガスを通気し、プロトン導電性セラミックスの酸化処理運転を行う。この酸化処理運転は、プロトン導電性セラミックス内への酸素イオンの浸透を促進させるために、アノード電極15とカソード電極16との間に直流電圧が印加された状態で行うことが好ましい。また、前記酸素を含む混合ガスとして、アノード室12へ導入される対象ガスを兼用することが好ましい。酸化処理運転の後には、第1排気用配管29又は第2排気用配管33からカソード室13中の酸素ガス等のガスの排気、すなわち酸素置換運転を行う。
水素ポンプ10の典型的な運転方法を図2に示す。すなわち、定常運転中において、一定の運転時間毎に短時間酸化処理運転を行い、次いで酸素置換運転を行う。その後、定常運転に戻す。これを繰り返して行い、水素ポンプ10の運転が継続される。図3に示すように、定常運転では電解質基板14を構成するプロトン導電性セラミックスを透過する水素イオン透過速度は徐々に低下し、酸化処理運転を行うとその水素イオン透過速度は回復を示し、それが繰り返される。図4に示すように、酸化処理時間と酸化処理効果との関係については、プロトン導電性セラミックスとしてCaZr0.9In0.13を用い、650℃で、アノード電極15及びカソード電極16間に2Vの直流電圧を印加した場合、酸化処理時間が1〜5分で酸化処理効果がほぼ十分なレベルに達することがわかる。
さて、水素ポンプ10を運転する場合には、水蒸気、水素ガス、トリチウムガス等の対象ガスが対象ガス導入配管17からアノード室12に導入された状態で、加熱されるとともに、アノード電極15とカソード電極16との間に直流電源から一定の直流電圧が印加される。アノード電極15上では水蒸気が分解されて水素イオンが生成し、トリチウムがイオン化されてトリチウムイオンが生成する。このとき、アノード電極15はペースト焼付け法によって形成された多孔質のもので気孔径が大きいため、水素ガス及び水素同位体のガスは勿論、水蒸気等の水素化合物のガスについても透過性が良い。従って、アノード電極15上で水素イオン、トリチウムイオン等を十分に生成させることができる。生成した水素イオン、トリチウムイオン等は、電解質基板14のプロトン導電性セラミックスを透過することができる。
プロトン導電性セラミックスを透過した水素イオン、トリチウムイオン等は、カソード電極16上において、水素ガス、トリチウムガス等の水素及び水素同位体のガスに変換される。このとき、カソード電極16は無電解メッキ法によって形成され、水素及び水素同位体のガスの透過性が良いため、カソード電極16上で水素ガス、トリチウムガス等を十分に生成させることができる。生成した水素ガス、トリチウムガス等は、カソード室13に収容される。カソード電極16が水素及び水素同位体のガスの透過性に優れているのは、水素イオンが電子と結合して水素原子に変換される効率が高く、また多結晶中に存在するミクロポアーが水素及び水素同位体のガスの透過には適しているためと推測される。そして、生成されたカソード室13内のトリチウムガス等は、循環配管23により循環されてトリチウムモニター24で検出される。
ちなみに、図5に示すように、本実施形態の水素ポンプ10のようにアノード電極15として白金ペースト電極、カソード電極16として白金メッキ電極を用いた場合と従来の電極とについて、カソード電極16を透過する水素透過速度を測定した。従来の電極としては、アノード電極及びカソード電極としてともに白金ペースト電極を用いた電極と、アノード電極及びカソード電極としてともに白金メッキ電極を用いた電極とを使用した。その結果、本実施形態の電極の場合には、従来の電極の場合に比べて3.2倍の水素透過速度を示した。
さらに、本実施形態の電極と従来の電極とについて、アノード室12内の対象ガスとして1.2体積%の水蒸気、19.5体積%の酸素及びアルゴンを含むガスを用い、650℃で、アノード電極15及びカソード電極16間に2Vの直流電圧を印加した場合の電流値(mA)とカソード電極からの水素生成速度との関係を測定し、図6に示した。従来の電極としては、アノード電極、カソード電極ともに白金ペースト電極を用いたものである。その結果、本実施形態のアノード電極15及びカソード電極16を用いた場合(図中□印)には、電圧2Vで電流値が110(mA)、水素生成速度が0.43(ml/min)であった。一方、従来のアノード電極及びカソード電極を用いた場合(図中○印)には、電圧2Vで電流値が30(mA)、水素生成速度が0.14(ml/min)にすぎなかった。なお、図中の二点鎖線は本実施形態の電極を用いた場合の理論値である。
以上詳述した本実施形態により発揮される効果を以下にまとめて記載する。
・ 本実施形態の水素ポンプ10においては、アノード電極15には水蒸気等の水素化合物のガスの透過性を有する金属又は金属酸化物による電極を用い、カソード電極16には水素及び水素同位体のガスの透過性を有する金属又は金属酸化物による電極を用いている。このため、アノード電極15では、水素及び水素同位体はもとより水蒸気等の水素化合物のガスの透過性が改善され、カソード電極16では水素及び水素同位体のガスの透過性が改善される。従って、カソード電極16における水素及び水素同位体のガスの生成量を増大させることができる。
・ また、アノード電極15には多孔質の金属又は金属酸化物による電極を用い、カソード電極16には多結晶質の金属又は金属酸化物による電極を用いている。従って、アノード電極15は多孔質で気孔径が大きいことから、水蒸気等の水素化合物のガスの透過性を一層改善させることができ、カソード電極16では緻密な多結晶質の材料により水素及び水素同位体のイオンから水素及び水素同位体のガスが効率良く生成するとともに、生成したガスの透過性が一層改善される。
・ 上記アノード電極15はペースト焼付け法によって形成され、カソード電極16は無電解メッキ法によって形成されている。このため、多孔質のアノード電極15と、水素及び水素同位体のガスの透過性が良いカソード電極16とを容易に構成することができる。
・ 水素ポンプ10の運転方法においては、アノード室12内の対象ガス中の水素及び水素同位体のガスを直流電圧が印加されたアノード電極15上で分解し、生成した水素及び水素同位体のイオンが電解質基板14を透過し、カソード電極16上で水素及び水素同位体のガスが生成されるように運転する。このように、水素ポンプの運転が容易であるとともに、水素及び水素同位体のガスの生成量を増大させることができる。
・ 水素ポンプ10を運転する際、カソード電極16に対して酸素又は酸素を含む混合ガスを通気し、プロトン導電性セラミックスの酸化処理を行う。この酸化処理により、プロトン導電性セラミックスがカソード電極16から生成する水素等によって還元されるのを酸化によって回復させることができる。従って、プロトン導電性セラミックスの性能が低下することを抑制することができ、前記水素ポンプ10の効果を長期間安定して発揮させることができるとともに、プロトン導電性セラミックスの性能が低下することを抑制することができる。
・ 上記の酸化処理を、アノード電極15とカソード電極16との間に直流電圧が印加された状態で行うことにより、プロトン導電性セラミックス内への酸素イオンの浸透を促進させることができ、酸化処理を速やかに行うことができる。しかも、水素ポンプ10の特性を変えることなく、安定した状態で水素ポンプ10を運転することができる。
・ さらに、前記酸素を含む混合ガスとして、アノード室12に収容される対象ガスを用いることにより、酸素を含む混合ガスをアノード電極15に接触する対象ガスと兼用することができ、水素ポンプ10の運転を効率良く行うことができる。
尚、前記各実施形態を次のように変更して実施することも可能である。
・ 水素ポンプ10の構造として、電解質基板14を逆U字状に形成し、その内周面にアノード電極15を設け、外周面にカソード電極16を設け、電解質基板14の内側空間をアノード室12とし、外側空間をカソード室13とするように構成することもできる。
・ カソード室13に酸素又は酸素を含む混合ガスを通気するための配管を接続し、カソード室13内に酸素又は酸素を含む混合ガスを直接供給するように構成することもできる。
・ 水素ポンプ10の運転における酸化処理を、アノード電極15及びカソード電極16間に直流電圧を印加しない状態で行うことも可能である。
・ 多孔質のアノード電極15を、金属又は金属酸化物と有機物との混合物を焼成し、多孔質化して形成することもできる。
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記酸化処理を行った後に、カソード室内から酸素を排気するように運転することを特徴とする請求項から請求項のいずれか一項に記載の水素ポンプの運転方法。この運転方法によれば、カソード電極での水素等の生成を速やかに回復させることができる。
・ 前記酸化処理を一定時間毎に繰り返して行うことを特徴とする請求項から請求項のいずれか一項に記載の水素ポンプの運転方法。この運転方法によれば、プロトン導電性セラミックスを透過する水素イオンの透過速度を維持しつつ、運転を継続することができる。
実施形態における水素ポンプを示す概略説明図。 水素ポンプの運転方法を示すグラフ。 水素ポンプの運転時間とプロトン導電性セラミックスの水素イオン透過速度との関係を示すグラフ。 酸化処理時間と酸化処理効果との関係を示すグラフ。 実施形態の電極と従来の電極について、カソード電極を透過する水素透過速度を比較して示すグラフ。 電流と水素生成速度との関係を示すグラフ。
符号の説明
10…水素ポンプ、12…アノード室、13…カソード室、14…電解質基板、15…アノード電極、16…カソード電極。

Claims (3)

  1. プロトン導電性セラミックスで形成された電解質基板の両面にアノード電極及びカソード電極を形成するとともに、アノード電極側にアノード室を設け、カソード電極側にカソード室を設け、前記アノード室に水素及び水素同位体を含む対象ガスを収容し、両電極間に直流電圧を印加することにより対象ガス中の水素及び水素同位体を含むガスをアノード電極上で分解し、生成した水素及び水素同位体のイオンが電解質基板を透過し、カソード電極上で水素及び水素同位体のガスを生成し、カソード室に収容する水素ポンプにおいて、前記アノード電極には水素化合物のガスの透過性を有する金属又は金属酸化物による電極を用い、カソード電極には水素及び水素同位体のガスの透過性を有する金属又は金属酸化物による電極を用いる水素ポンプを使用し、アノード電極とカソード電極との間に直流電圧を印加し、アノード室内の対象ガス中の水素及び水素同位体を含むガスをアノード電極上で分解し、生成した水素及び水素同位体のイオンが電解質基板を透過し、カソード電極上で水素及び水素同位体のガスを生成し、カソード室に収容するように運転し、前記運転中にカソード電極に対して酸素又は酸素を含む混合ガスを通気し、プロトン導電性セラミックスの酸化処理を行うことを特徴とする水素ポンプの運転方法。
  2. 前記酸化処理を、アノード電極とカソード電極との間に直流電圧が印加された状態で行うことを特徴とする請求項1に記載の水素ポンプの運転方法。
  3. 前記酸素を含む混合ガスとして、アノード室に収容される対象ガスを用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水素ポンプの運転方法。
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