JP5848985B2 - 電気化学反応器 - Google Patents

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Description

本発明は、電気化学反応器に関する。
近年、温室効果を有する二酸化炭素の増加による地球温暖化が、世界的な問題となっている。植物の光合成プロセスは理想的だが、これに基づく工業的システムの実用化には未だ至っていない。植物の光合成プロセスは(1)式で表され、CO2がブドウ糖として固定化されるとき、酸素及び水が放出される。
12H2O+6CO2+光エネルギ→C6126(ブドウ糖)+6H2O+6O2・・・(1)
また、メタノールを含む水溶液中にCO2を吹き込んで電解を行うと、水素、メタン、エチレン、エタン、CO、ギ酸メチル等が生成することが報告されている。
しかしながら、人工的に二酸化炭素や一酸化炭素から酸素を生成することは非常に困難である。
国際公開第2009/157454号
新エネルギー・産業技術総合開発機構の「二酸化炭素の電気化学的固定化技術の開発」プログラム(出展:http://www.rite.or.jp/Japanese/seikahoukoku/program/denki.pdf)
本発明の目的は、人工的に二酸化炭素や一酸化炭素から炭素及び酸素を生成することができる電気化学反応器を提供することにある。
本発明に係る電気化学反応器は、ニッケル及びイットリア安定化ジルコニアを含有し、二酸化炭素又は一酸化炭素から炭素及び酸化物イオンを生成するカソード電極と、イットリア安定化ジルコニアを含有し、前記カソード電極により生成された酸化物イオンを透過させる多孔質の電解質膜と、ルテニウム及びイットリア安定化ジルコニアを含有し、前記電解質膜を透過した酸化物イオンから酸素を生成するアノード電極と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、適切な電解質膜を間に挟んだアノード電極及びカソード電極での電気化学反応により、人工的に二酸化炭素や一酸化炭素から炭素及び酸素を生成することができる。
本発明の実施形態に係る電気化学反応器の構成を示す模式図である。 電気化学反応器における反応の概要を示す図である。 電気化学反応器を製造する方法を示す図である。 実験で用いた電気化学反応システムの構成を示す図である。 第1の実験での出口ガスの流量の変化を示すグラフである。 第1の実験での出口ガスの成分の割合を示すグラフである。 第1の実験でのCO2の改質中の電流密度の変化を示すグラフである。 第1の実験においてアノード電極11及びカソード電極12の表面に付着していた物質のX線回折法による分析の結果を示すグラフである。 第1の実験においてカソード電極12の内部に存在していた物質のX線回折法による分析の結果を示すグラフである。 第1の実験においてカソード電極12に含まれていた元素の分布を示すグラフである。 第1の実験において電解質膜13に含まれていた元素の分布を示すグラフである。 第1の実験においてアノード電極11に含まれていた元素の分布を示すグラフである。 第2の実験での出口ガスの流量の変化を示すグラフである。 第2の実験での出口ガスの成分の割合を示すグラフである。 第2の実験でのCOの改質中の電流密度の変化を示すグラフである。 第2の実験においてアノード電極11及びカソード電極12の表面に付着していた物質のX線回折法による分析の結果を示すグラフである。 第2の実験でのアノード電極11、電解質膜13及びカソード電極12の積層方向におけるC量の分布を示すグラフである。 第3の実験での出口ガスの各成分の変化を示すグラフである。 第3の実験においてカソード電極12に含まれていた元素の分布を示すグラフである。 第3の実験においてアノード電極11に含まれていた元素の分布を示すグラフである。 第3の実験において電解質膜13に含まれていた元素の分布を示すグラフである。 YSZ粒子の表面でのCOの改質反応の機構を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る電気化学反応器の構成を示す模式図である。
本実施形態に係る電気化学反応器では、図1に示すように、アノード電極1とカソード電極2との間に、イットリア安定化ジルコニア(YSZ:yttria - stabilized zirconia)の電解質膜3が挟持されている。アノード電極1は、例えばRuとYSZとの混合物の多孔質体から構成されており、その開気孔率は、例えば63%程度である。カソード電極2は、例えばNiとYSZとの混合物の多孔質体から構成され、その開気孔率は、例えば56%程度である。また、電解質膜3は、例えばYSZの多孔質体から構成されており、その開気孔率は、例えば56%程度である。YSZの組成は特に限定されないが、例えばY23の割合が8mol%、ZrO2の割合が92mol%である。例えば、アノード電極1の厚さは4mm〜6mm、カソード電極2の厚さは5mm〜6mm、電解質膜3の厚さは、1mm〜2mmである。ここでいう厚さとは、アノード電極1とカソード電極2とを結ぶ方向における寸法である。このようにして、電気化学反応器が構成されている。このような電気化学反応器は、例えば管4に入れられて使用される。
ここで、本実施形態に係る電気化学反応器の動作について説明する。この電気化学反応器では、アノード電極1とカソード電極2との間に1V〜5V程度の電圧が印加される。
カソード電極2に向けて、CO2ガスが供給されると、カソード電極2において、(11)式〜(13)式に示す反応が生じる。
2CO2+2Ni→2CO+2NiO・・・(11)
2NiO+4e-→2Ni+2O2-・・・(12)
2CO+2Ni→2NiO+2C・・・(13)
従って、カソード電極2では、(14)式に示す反応が生じることとなる。
2CO2+2Ni+4e-→2NiO+2C+2O2-・・・(14)
この還元反応で生じた酸化物イオン(O2-)はYSZの電解質膜3を透過し、アノード電極1まで到達する。そして、酸化物イオン(O2-)がアノード電極1に到達すると、アノード電極1において、(15)式〜(16)式に示す反応が生じる。
Ru+2O2-→RuO2+4e-・・・(15)
2O2-→O2+4e-・・・(16)
ここで、(15)式の反応割合をx(0≦x≦1)とすると、(16)式の反応割合は(1−x)となる。従って、反応割合xを考慮すると、(15)式〜(16)式の反応は(15´)式〜(16´)式で表わされ、アノード電極1では、(17)式に示す反応が生じることとなる。
xRu+2xO2-→xRuO2+4xe-・・・(15´)
2(1−x)O2-→(1−x)O2+4(1−x)e-・・・(16´)
xRu+2O2-→xRuO2+(1−x)O2+4e-・・・(17)
従って、CO2ガスが供給された場合、この電気化学反応器における全反応の反応式は、(18)式で表わされる。この反応の概要を図2(a)に示す。
2CO2+2Ni+xRu→(1−x)O2+2C+2NiO+xRuO2・・・(18)
つまり、この電気化学反応器を用いれば、光合成のように、CO2ガスからC及びO2ガスを生成することができる。そして、反応割合xが0の場合、2CO2+2Ni→O2+2C+2NiOの反応が進行し、反応割合xが1の場合、2CO2+2Ni+Ru→2C+2NiO+RuO2の反応が進行する。
また、カソード電極2に向けて、COガスが供給されると、カソード電極2において、(21)式〜(22)式に示す反応が生じる。
2CO+2Ni→2NiO+2C・・・(21)
2NiO+4e-→2Ni+2O2-・・・(22)
従って、カソード電極2では、(23)式に示す反応が生じることとなる。
2CO+4e-→2C+2O2-・・・(23)
この還元反応で生じた酸化物イオン(O2-)はYSZの電解質膜3を透過し、アノード電極1まで到達する。そして、酸化物イオン(O2-)がアノード電極1に到達すると、アノード電極1において、(24)式〜(25)式に示す反応が生じる。
2O2-→O2+4e-・・・(24)
Ru+2O2-→RuO2+4e-・・・(25)
また、アノード電極1にCOガスも到達した場合には、アノード電極1において、(25)式の反応に付随して(26)式に示す反応が起こる。(25)式と(26)式との和は(27)式を与える。
RuO2+2CO→Ru+2CO2・・・(26)
2O2-+2CO→2CO2+4e-・・・(27)
ここで、(24)式の反応割合をy(0≦y≦1)とすると、(27)式の反応割合は(1−y)となる。従って、反応割合yを考慮すると、(24)式、(27)式の反応は(24´)式、(27´)式で表わされる。アノード電極1では、(24´)式と(27´)式との和より(28)式に示す反応が生じることとなる。
2yO2-→yO2+4ye-・・・(24´)
2(1−y)O2-+2(1−y)CO→2(1−y)CO2+4(1−y)e-・・・(27´)
2O2-+2(1−y)CO→yO2+2(1−y)CO2+4e-・・・(28)
従って、COガスが供給された場合、この電気化学反応器における全反応の反応式は、(23)式及び(28)式より(29)式で表わされる。この反応の概要を図2(b)に示す。
2(2−y)CO→yO2+2C+2(1−y)CO2・・・(29)
つまり、この電気化学反応器を用いれば、COガスからC、CO2ガス及びO2ガスを生成することができる。そして、この反応で生じたCO2ガスからは、図2(a)に示すような処理により、光合成のように、C及びO2ガスを生成することができる。また、反応割合yが0の場合、4CO→2C+2CO2(つまり、2CO→C+CO2)の反応が進行し、反応割合yが1の場合、2CO→O2+2Cの反応が進行する。つまり、反応割合yが0の場合の反応は、COの不均化反応と同じである。
次に、上述のような電気化学反応器を製造する方法について説明する。図3は、電気化学反応器を製造する方法を示す図である。
先ず、アノード電極1用の仮焼結体及びカソード電極2用の仮焼結体を個別に作製する。
アノード電極1用の仮焼粉体の作製では、RuO2粉体及びYSZ電解質粉体をRu量に換算してRu:YSZ=30:70の体積比で混ぜ合わせ、この混合物の懸濁液(サスペンジョン)を作製する。このサスペンジョンの作製に際しての攪拌時間は、例えば6時間とする。このサスペンジョンにおける固体量は、30体積%程度とする。次いで、13規定のNH4OH溶液を用いてサスペンジョンのpHを、例えば10に調整する。その後、凍結乾燥を行い、更に、800℃で1時間の仮焼及び1000℃で2時間の仮焼をこの順で実行する。この結果、アノード電極1用の仮焼粉体として、RuO2−YSZの仮焼粉体が得られる。
カソード電極2用の仮焼結体の作製では、NiO粉体及びYSZ電解質粉体をNi量に換算してNi:YSZ=30:70の体積比で混ぜ合わせ、この混合物の懸濁液(サスペンジョン)を作製する。このサスペンジョンの作製に際しての攪拌時間は、例えば6時間とする。このサスペンジョンにおける固体量は、30体積%程度とする。次いで、凍結乾燥を行い、更に、600℃で1時間の仮焼及び1000℃で2時間の仮焼をこの順で実行する。この結果、カソード電極2用の仮焼粉体として、NiO−YSZの仮焼粉体が得られる。
そして、アノード電極1用の仮焼粉体とカソード電極2用の仮焼粉体との間に電解質膜3としてYSZ電解質の仮焼粉体を挟み込み、50MPaの一軸加圧成形を1分間行う。なお、YSZ電解質の仮焼結体としては、YSZ電解質粉体の1000℃での仮焼により得られるものを用いることができる。
電解質膜3の挟み込み後には、100MPaの等方加圧成形を1分間行う。次いで、800℃で2時間の共焼成を行う。次いで、50ml/分の水素雰囲気下、700℃での還元処理を行うことにより、アノード電極1用の仮焼結体中のRuO2をRuに還元し、カソード電極2用の仮焼結体中のNiOをNiに還元する。これらの一連の処理により、アノード電極1、カソード電極2及び電解質膜3を備えた電気化学反応器を製造することができる。
なお、アノード電極の材料は、Ru及びYSZが含まれていれば上記のものに限定されない。例えば、金属Ru又はRu酸化物とYSZとの混合物から構成されていてもよい。更に、金属Ru、Ru酸化物及びSrRuO3の2種以上が含まれていてもよい。
また、カソードの材料は、Ni及びYSZが含まれていれば上記のものに限定されない。
次に、本発明者らが行った実験について説明する。
(第1の実験)
第1の実験では、図4に示すように、上記の実施形態と同様の構成の電気化学反応器10を有する電気化学システム20を構築し、この電気化学システム20を用いて電気化学反応器10の特性の調査を行った。
電気化学反応器10は、上記の実施形態と同様の方法で作製した。そして、ガラスシール23を介して電気化学反応器10をアルミナホルダ21及び22内に挿入した。なお、アルミナホルダ21及び22の間にガラスシール24を介在させた。アルミナホルダ21の下端にガラスシール25を介して磁製管27を繋ぎ、アルミナホルダ22の上端にガラスシール26を介して磁製管28を繋いだ。また、アルミナホルダ21の下端には、供給ガス51が通流する開口部を設け、アルミナホルダ22の上端には、出口ガス52が通流する開口部を設けた。そして、これら開口部を介して、ポテンショスタット31に接続された白金線33、及び電流計32に接続された白金線34を、アノード電極11及びカソード電極12に接続した。なお、アノード電極11への白金線33及び34の接続には白金メッシュ35及び白金ペーストを用い、カソード電極12への白金線33及び34の接続には白金メッシュ36及び白金ペーストを用いた。また、出口ガス52の流路にガス分析計41を設置し、このガス分析計41にガス流量計42及びYSZ酸素センサ43を繋いだ。そして、ガス流量計42及びYSZ酸素センサ43を排出部44に繋いだ。
なお、アノード電極11の厚さは5mm、カソード電極12の厚さは5mm、電解質膜13の厚さは1mmとした。そして、ポテンショスタット31によりアノード電極11とカソード電極12との間に1Vの電圧を印加した上で、供給ガス51としてCO2ガスを50ml/minの流量でカソード電極12側から供給し、アノード電極11側から流れ出たガス(出口ガス52)の流量の経時変化を測定した。この結果を図5に示す。また、図6に出口ガスの成分の割合を示し、図7にCO2の改質中の電流密度の変化を示す。電流密度は電流計32により測定した。なお、電気化学反応器10の温度(改質温度)は、400℃から800℃まで上昇させた。また、この測定は2回行っており、図5〜図7には、これらを測定(A)、測定(B)と区別して記載してある。測定(A)では図3に示す方法で電気化学反応器を作製した。測定(B)では、RuO2−YSZアノード粉体の仮焼を1000℃、2hのみで行い、またNiO−YSZカソード粉体の仮焼も1000℃、2hのみで行った。すなわち、アノードでは800℃、1h、カソードでは600℃、1hの仮焼を省略した。そして、共焼結を測定(A)では800℃、2hで行い、測定(B)では900℃、2hで行った。その結果、測定(B)の電気化学反応器の方が、より緻密化が進行したと推察される。
図5に示すように、測定(A)において測定(B)よりも出口ガスの流量が大きくなり、いずれにおいても10時間以上にわたり、ガス流量の低下、すなわちガス閉塞は認められなかった。また、図6に示すように、いずれにおいても出口ガスは、CO2の改質により生成されたO2、及び電気化学反応器で再生成したCO2から構成されていた。CO2の再生成は、(11)式、(12)式及び(16)式の和で示され、CO及びO2からCO2が再生される。また、O2の割合は改質温度が高いほど高かった。すなわち、測定(A)では、改質温度が800℃のときに、O2の割合が4%〜27%(平均値15%)となり、CO2の割合が73%〜96%(平均値85%)となった。また、測定(B)では、改質温度が800℃のときに、O2の割合の平均値が39%となり、CO2の割合の平均値が61%となった。このように、O2の割合は、出口ガスの流量が小さい測定(B)において測定(A)よりも大きくなった。更に、図7に示すように、改質温度が高いほど、つまり、O2の割合が大きいほど、電流密度が高かった。なお、測定(A)及び測定(B)のいずれにおいても、CO2及びO2以外のガスは検出されなかった。
測定(A)では、800℃での改質後に、アノード電極11及びカソード電極12の表面に付着している物質をX線回折法により解析した。この結果を図8に示す。図8に示すように、カソード電極12の表面に、YSZ、NiO及びPtの存在が認められた。つまり、CO2の電気化学反応によりNiがNiOへ変化したことが確認された。なお、Ptの存在も認められているが、このPtはカソード電極12への白金線33及び34の接着のために用いられた白金ペーストによるものである。一方、アノード電極11の表面には、YSZ、Ru、RuO2及びPtの存在が確認された。つまり、CO2の改質中にRuがRuO2に酸化されたことが確認された。また、カソード電極12の電解質膜3との界面から2mm内部の物質をX線回折法により解析したところ、図9に示すように、NiOだけでなく金属Niも確認された。
図10に、カソード電極12に含まれていた元素の分布を示す。この元素の分布は、X線マイクロアナライザ(EPMA)で分析した結果である。図10に示すように、YSZ又はNiOに含まれるY、Zr、Ni及びOの分布が確認された。EPMAの走査型電子顕微鏡で観察した組織上でZr及びYの分布は互いにほぼ一致しており、これらが固溶体を形成していることがわかった。また、Ni及びZrの分布が互いに一致せず、これらが異なる相として存在していることがわかった。更に、Niの近傍にCが生成していることがわかった。このような結果から、上記の(11)式〜(18)式の反応が生じていることが裏付けられた。
また、図11に、電解質膜13に含まれていた元素の分布を示し、図12に、アノード電極11に含まれていた元素の分布を示す。これら元素の分布は、X線マイクロアナライザで分析した結果である。図11及び図12に示すように、量は少ないが、電解質膜13及びアノード電極11にもCの析出が明瞭に認められた。
(第2の実験)
第2の実験では、ポテンショスタット31によりアノード電極11とカソード電極12との間に1Vの電圧を印加した上で、供給ガス51として10%CO−90%Arの混合ガスを50ml/minの流量でカソード電極12側から供給し、アノード電極11側から流れ出たガス(出口ガス)の流量の経時変化を測定した。この結果を図13に示す。また、図14に出口ガスの成分の割合を示し、図15にCOの改質中の電流密度の変化を示す。電流密度は電流計32により測定した。なお、電気化学反応器10の温度(改質温度)は、800℃から400℃まで降下させた。これは、COガスは600℃以下では、次の(2)式で表わされる不均化反応によりC及びCO2に分解されるためである。つまり、第1の実験と同様に、400℃から800℃まで上昇させると、電気化学反応の有無に拘わらず、昇温時にCが析出する虞があるからである。
2CO→C+CO2・・・(2)
図13に示すように、8時間に及ぶ実験中にガス流量の低下、すなわちガス閉塞は認められなかった。また、図14に示すように、出口ガスは、COの改質により生成されたO2及びCO2並びに未反応のCOから構成されていた。また、O2の割合は改質温度が高いほど高かった。すなわち、改質温度が800℃のときに、O2の割合は67%〜80%であり、この値は、改質温度が700℃以下のときよりも高かった。その一方で、改質温度が高いほど、CO2の割合が高かった。更に、図15に示すように、改質温度が高いほど、つまり、O2の割合が大きいほど、電流密度が高かった。
更に、400℃での改質後に、アノード電極11及びカソード電極12の表面に付着していた物質をX線回折法により解析した。この結果を図16に示す。図16に示すように、カソード電極12の表面に、YSZ及びNiの存在が認められた。一方、アノード電極11の表面には、YSZ及びRuの存在が認められた。また、カソード電極12及びアノード電極11のいずれにおいても、電極材料の酸化は認められなかった。つまり、COの改質(第2の実験)では、CO2の改質(第1の実験)で生じた電極材料の酸化は起こらなかった。
図17に、アノード電極11、電解質膜13及びカソード電極12の積層方向におけるC量の分布を示す。このC量の分布は、X線マイクロアナライザで分析した結果である。図17では、カソード電極12の下端を0mmの位置としている。図17に示すように、カソード電極12に大量のCの存在が認められた。また、電解質膜13及びアノード電極11にもCの存在が確認された。このCの一部は、600℃超800℃以下の高温でCOの電気化学反応によって生成したものであり、他の一部は600℃以下の低温でCOの不均化反応により生成したものである。このような結果から、上記の(21)式〜(29)式の反応が生じていることが裏付けられた。
(第3の実験)
第3の実験では、COの改質反応の時間依存性及び再現性を調査した。具体的には、アノード電極11とカソード電極12との間に1Vの電圧を印加した上で、改質温度を800℃として、10%CO−90%Arの混合ガスを50ml/minの流量でカソード電極12側から供給し、アノード電極11側から流れ出たガス(出口ガス)の成分の割合の経時変化を5時間にわたって観察した。この結果を図18に示す。
図18に示すように、出口ガスは、COの改質により生成されたO2及びCO2並びに未反応のCOから構成されていた。また、5時間にわたりCOの改質(分解)が連続して起こったことが確認された。
また、5時間の反応後には、酸素分圧が10-17PaのArを導入して冷却を行い、その後に、カソード電極12に含まれていた元素の分布、アノード電極11に含まれていた元素の分布、電解質膜13に含まれていた元素の分布を分析した。この分析は、X線マイクロアナライザを用いて行った。これらの結果を、それぞれ図19、図20、図21に示す。
図19〜図21に示すように、カソード電極12、アノード電極11及び電解質膜13のいずれにおいても炭素が析出していることが明瞭である。また、いずれにおいてもEPMAの走査型電子顕微鏡で観察した組織上でZr及びYの分布は互いにほぼ一致しており、これらが固溶体を形成していることがわかった。また、図19ではNi及びZrの分布が互いに一致せず、図20ではRu及びZrの分布が互いに一致していないことがわかった。このことから、これらが異なる相として存在していることがわかった。更に、Ni、Ru及びYSZの近傍にCが生成していることもわかった。また、図21に示すように、触媒金属であるNi及びRuが存在しないYSZ中にもCが析出した。なお、Na及びSiの存在も確認されたが、これらは、ガラスシール23等によるものである。
ここで、電解質膜13を構成するYSZ粒子の表面でのCOの改質反応の機構について説明する。図22は、YSZ粒子の表面でのCOの改質反応の機構を示す模式図である。
2Vo・・+2CO→2Oo×+2C+4h・・・・(31)
4h・+2O2-→O2・・・(32)
2Vo・・+2CO+2O2-→2Oo×+2C+O2・・・(33)
2Oo×→2Vo・・+2O2-・・・(34)
2CO→2C+O2・・・(35)
図22に示すように、先ず、COの酸素がYSZ粒子の正に帯電した酸素空孔に取り込まれ、瞬時に炭素及び正孔が生じる((31)式)。なお、「Vo・・」中の「・」は+1を意味する。次いで、(31)式の反応で生じた正孔、及びカソード電極12での反応により発生し、YSZ粒子を移動する酸化物イオン(内部拡散又は表面拡散)が反応し、酸素分子が生じる((32)式)。(31)式及び(32)式をまとめると、(33)式が得られる。その後、格子酸素(Oo×)が酸化物イオンとして移動し、酸素空孔が生成する((34)式)。(33)式及び(34)式をまとめると、(35)式が得られる。つまり、YSZ粒子の表面でCOがC及びO2へ分解されるのである。CO2の分解反応で、電解質膜13及びアノード電極12にもCの析出が認められた。これは(2)式で生成したCOの一部が電解質膜13上で(35)式によりCに変化したためと推察される。
1、11:アノード電極
2、12:カソード電極
3、13:電解質膜

Claims (1)

  1. ッケル及びイットリア安定化ジルコニアを含有し、二酸化炭素又は一酸化炭素から炭素及び酸化物イオンを生成するカソード電極と
    ットリア安定化ジルコニアを含有し、前記カソード電極により生成された酸化物イオンを透過させる多孔質の電解質膜と、
    ルテニウム及びイットリア安定化ジルコニアを含有し、前記電解質膜を透過した酸化物イオンから酸素を生成するアノード電極と、
    を有することを特徴とする電気化学反応器。
JP2012038563A 2012-02-24 2012-02-24 電気化学反応器 Active JP5848985B2 (ja)

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