JP6878394B2 - コイルばねを利用したフリータイプ双方向クラッチ - Google Patents

コイルばねを利用したフリータイプ双方向クラッチ Download PDF

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Description

本発明は、入力軸と出力軸との間の動力伝達状態を変更するクラッチ装置、特に、入力軸からの正・逆回転の動力を出力軸に伝達し、出力軸からの動力の伝達は、出力軸を空転させて遮断するフリータイプ双方向クラッチに関するものである。
下記特許文献1には、回転不能のハウジングと、前記ハウジング内で共通の回転軸を中心として回転可能な入力軸、出力軸、及び作動子と、線材を巻回して形成され前記出力軸の外周面に装着される伝達コイルばねとを備え、前記入力軸及び前記作動子には、軸方向に延びる入力軸係止片及び作動子係止片が夫々形成され、前記入力軸係止片及び前記作動子係止片は、周方向に2個の間隙が存在するよう、組み合わされて設置され、かつ、前記伝達コイルばねの両端に形成された伝達フック部が、前記2個の間隙に夫々挿入され、前記作動子には、制動コイルばねによって抵抗トルクが付与され、前記入力軸が回転したときは、前記伝達コイルばねに締め方向のトルクが作用し、前記出力軸が前記作動子と一体的に前記抵抗トルクに抗して回転し、前記入力軸からの回転は前記出力軸に伝達されるが、前記出力軸が回転したときは、前記抵抗トルクにより前記作動子が停止した状態で、前記伝達コイルばねに緩み方向のトルクが作用して前記出力軸が空転することで、前記出力軸からの前記入力軸への回転の伝達は、前記出力軸が空転して遮断されるフリータイプ双方向クラッチが開示されている。
特許第6196331号公報
しかしながら、上述したとおりの従来のフリータイプ双方向クラッチにあっては、制動コイルばねが作動子係止片とは軸方向反対側に延びる軸状部材の外周面に装着されており、制動コイルばねと伝達コイルばねとは軸方向に並列して配置されている。そのため、上述したとおりの従来のフリータイプ双方向クラッチには、全体の軸方向長さが大きくなってしまう、という問題が存在する。
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、軸方向長さがコンパクトな新規のフリータイプ双方向クラッチを提供することである。
本発明者等は、鋭意検討及び実験の結果、作動子係止片の外周面に沿って軸方向に延びる筒状の外周壁を作動子に設けて外周壁が伝達コイルばねを囲繞するようにし、抵抗トルク付与手段をハウジングと作動子の外周壁との間に配置ることによって、上記主たる技術的課題を達成することができることを見出した。
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を達成するフリータイプ双方向クラッチとして、回転不能のハウジングと、前記ハウジング内で共通の回転軸を中心として回転可能な入力軸、出力軸、及び作動子と、線材を巻回して形成され前記出力軸の外周面に装着される伝達コイルばねとを備え、
前記入力軸及び前記作動子には、軸方向に延びる入力軸係止片及び作動子係止片が夫々形成され、前記入力軸係止片及び前記作動子係止片は、周方向に2個の間隙が存在するよう、組み合わされて設置され、かつ、前記伝達コイルばねの両端に形成された伝達フック部が、前記2個の間隙に夫々挿入され、
前記作動子には、抵抗トルク付与手段によって抵抗トルクが付与され、
前記入力軸が回転したときは、前記伝達コイルばねに締め方向のトルクが作用し、前記出力軸が前記作動子と一体的に前記抵抗トルクに抗して回転し、前記入力軸からの回転は前記出力軸に伝達されるが、
前記出力軸が回転したときは、前記抵抗トルクにより前記作動子が停止した状態で、前記伝達コイルばねに緩み方向のトルクが作用して前記出力軸が空転することで、前記出力軸からの前記入力軸への回転の伝達は、前記出力軸が空転して遮断されるフリータイプ双方向クラッチにおいて、
前記入力軸係止片は周方向に間隔をおいて配置された2つの突出部から構成され、前記2つの突出部の周方向中間に前記作動子係止片は配置されており、
前記作動子は、前記作動子係止片の外周面に沿って軸方向に延びる筒状の外周壁を備え、前記外周壁は前記伝達コイルばねを囲繞し、
前記抵抗トルク付与手段は記ハウジングと前記作動子の前記外周壁との間に配置される、ことを特徴とするフリータイプ双方向クラッチが提供される。
好ましくは、前記ハウジングには、断面円形の内部空間が設けられ、前記抵抗トルク付与手段は線材を巻回して形成される制動コイルばねであって、前記制動コイルばねの自然状態における外径は前記内部空間の径よりも大きく、前記制動コイルばねは自然状態から縮径された状態で前記内部空間に配置されており、前記作動子の前記外周壁の外周面には軸方向に延びる係止溝が周方向に間隔をおいて一対形成されており、前記制動コイルばねの両端に形成された制動フック部は、一対の前記係止溝に夫々挿入され、前記入力軸が回転したときは、前記制動コイルばねには締り方向のトルクが作用する。この場合には、前記作動子係止片は前記外周壁の内面に固着され、前記一対の係止溝の一方は前記作動子係止片と周方向において整合するのが良い。更に、前記作動子の前記外周壁の内面には、軸方向に延びる突出片が固着されており、前記突出片は、前記一対の係止溝の他方と整合するのが好適である。前記抵抗トルク付与手段を板ばねとすることもできる。好適には、前記入力軸は入力端板を備え、前記入力端板には前記回転軸を中心とした円筒形状の入力支持壁が形成されており、前記出力軸の先端部は前記入力支持壁の内側で回転可能に支持される。この場合には、前記ハウジングは、その内部空間を閉塞するシールド板と組み合わされ、前記シールド板には前記回転軸を中心とした円筒形状のシールド支持壁が形成されており、前記伝達コイルばねは、前記シールド支持壁と前記入力支持壁とによって軸方向に支持されるのが良い。
本発明のフリータイプ双方向クラッチにおいては、作動子係止片の外周面に沿って軸方向に延びる筒状の外周壁が伝達コイルばねを囲繞し、抵抗トルク付与手段がウジングと作動子の外周壁との間に配置されるため、軸方向長さがコンパクトとなる。
ここで、入力軸から出力軸へのトルクの伝達は、伝達コイルばねが入力軸係止片に押されて出力軸の外周面に締め付けられることにより行われることから、より確実に入力軸から出力軸へトルクを伝達させるために、上記締付トルク(これをロックトルクという)を増大させることが要求される。ここで、社団法人 日本ばね工業会が平成15年4月1日に発行した「クラッチスプリング設計基準」(JSMA SB008 2003)によると、コイルばねの軸部材への締付トルクTLは次式によって算出される。

Figure 0006878394
E:縦弾性係数(定数)
I:断面2次モーメント(定数)
d:コイルばねを形成する線材の直径
DA:装着された状態のコイル内径
DB:自由状態におけるコイル内径
N:コイルばねの巻き数
μ:摩擦係数(定数)
上記(式)を参照することによって理解されるとおり、コイルばねの巻き数Nは締付トルクTLに指数関数的に影響することから、コイルばねの巻き数Nを増大させることで締付トルクTLを飛躍的に増大させることが可能となる。従って、本発明のフリータイプ双方向クラッチのように、軸方向にコンパクトにすることで、伝達コイルばねの巻き数をその分増やすことが可能となり、これにより、同一軸方向長さの双方向クラッチにおいては、より確実に入力軸から出力軸へトルクを伝達させることが可能となる。
本発明のフリータイプ双方向クラッチの実施例を示す図である。 図1の双方向クラッチの分解斜視図である。 図1の双方向クラッチのハウジングを単独で示す図である。 図1の双方向クラッチのシールドを単独で示す図である。 図1の双方向クラッチの入力軸を単独で示す図である。 図1の双方向クラッチの出力軸を単独で示す図である。 図1の双方向クラッチの伝達コイルばねを単独で示す図である。 図1の双方向クラッチの作動子を単独で示す図である。 図1の双方向クラッチの抵抗トルク付与手段を単独で示す図である。 図1の双方向クラッチにおいて入力軸が回転した際の作動を説明する図である。 図1の双方向クラッチにおいて出力軸が回転した際の作動を説明する図である。 本発明のフリータイプ双方向クラッチの変形例を示す図である。 図12の双方向クラッチの抵抗トルク付与手段を単独で示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明に従って構成されたフリータイプ双方向クラッチの好適実施形態について、更に詳述する。
図1及び図2を参照して説明すると、本発明に従って構成された、全体を番号2で示すフリータイプ双方向クラッチは、回転不能のハウジング4と、このハウジング4内で共通の回転軸oを中心として回転可能な入力軸6、出力軸8、作動子10と、線材を巻回して形成され出力軸8の外周面に装着される伝達コイルばね12とを備えている。
主に図3を参照して説明すると、ハウジング4は、略円板形状の端板14と、端板14の片側面から軸方向に延びる円筒形状の側壁16とを備えている。端板14の片側面の中央には円形の凹部18が形成されていると共に、端板14の中央には円形の貫通穴20が形成されており、端板14は貫通穴20によって入力軸6を軸受する。端板14の外周には径方向外方に突出する耳部22が直径方向に対向して2つ固着されており、この耳部22には夫々、クラッチ2を図示しない被装着部材に固定するための装着穴24が形成されている。側壁16の内周面の基端部及び自由端縁部には夫々環状の段部26及び28が形成されている。
上述したとおりのハウジング4は図4に示されるシールド板30と組み合わされる。シールド板30は円形であって側壁16の自由端縁部の内側に強制されて、シールド板30の外周縁部が段部28と対向し、ハウジング4には閉塞された断面円形の内部空間が画成される。シールド板30の中央には円形の貫通穴32が形成されており、シールド板30は貫通穴32によって出力軸8を軸受する。シールド板30の片側面には、貫通穴32を囲繞し上記内部空間内において軸方向に幾分延びる円筒形状のシールド支持壁34が形成されている。
主に図5を参照して説明すると、入力軸6は、軸方向に延びる略円筒形状の入力軸部36と、この入力軸部36の先端に固着された円板形状の入力端板38とを備えている。入力軸部36の外周面には径方向に対向する一対の矩形状の切欠き40が形成されており、かかる切欠き40を介して入力軸部36が図示しないモーター等の駆動側に接続される。入力端板38における、入力軸部36が固着された側の面の外周縁部には軸方向に幾分突出する円環形状の突条42が形成されている。一方、入力軸部36が固着されていない側の面の外周縁部には軸方向に幾分延びる円筒形状の入力支持壁44が形成されている。入力軸6には、軸方向に延びる入力軸係止片46も形成されている。入力軸係止片46は周方向に間隔をおいて配置された2つの突出部48a及び48bから構成され(これを一対の突出部48a及び48bと称する)、一対の突出部48a及び48bは入力端板38の外周面における直径方向の両側に夫々固着されて軸方向に延びている。一対の突出部48a及び48bの断面は共に扇形状であって、一対の突出部48a及び48bの基端は入力端板38における入力軸部36が固着された側の面と軸方向において整合している。入力端板38の外周には更に、一対の突出部48a及び48bの各々を接続する円弧状の接続壁50が固着されている。接続壁50は、図5の右図において一対の突出部48a及び48bの左側部分にのみ固着されている。図5の左図に示されるとおり、接続壁50の軸方向側面、さらに詳しくは、入力軸部36が存在する側の軸方向側面には、突条42の外周面に沿って軸方向に延びる円弧状の補助突条52が固着されている。補助突条52の内周面は突条42の外周面にも固着されている。
主に図6を参照して説明すると、出力軸8は中空軸状部材であってその断面は全体的に円環形状であり、比較的小径で外周面には径方向に対向する一対の矩形状の切欠き54が形成された出力軸部56と、比較的大径で伝達コイルばね12が装着される主部58と、から構成されている。出力軸部56は、切欠き54を介して図示しない昇降装置等の従動側に接続される。伝達コイルばね12は図7に示すとおり、線材を巻回して形成され、その両端には、径方向外方に屈曲された一対の伝達フック部60a及び60bが、周方向において異なる位置に夫々形成されている。ここで、伝達コイルばね12の自然状態における内径は、出力軸8の主部58の外径よりも小さい。従って、伝達コイルばね12を出力軸8の主部58の外周面に装着する際には、最初に、伝達コイルばね12に形成された一対の伝達フック部60a及び60bを周方向に見て離隔する方向に相互に変位させて伝達コイルばね12の内径を一時的に拡径させ、次いで、内径が拡径させられた状態の伝達コイルばね12の内側に出力軸8を挿通して伝達コイルばね12を主部58の外周面に整合させ、その後に、一対の伝達フック58の上記変位を解除する。かくすると、伝達コイルばね12は出力軸8の主部58の外周面に所定の締付力を伴ってこれに装着されることとなる。
主に図8を参照して説明すると、作動子10は円環形状の作動端板62と、この作動端板62の外周縁から軸方向に延びる略円筒形状の外周壁64とを備えている。作動子10には、軸方向に延びる作動子係止片66も形成されている。図示の実施形態においては、作動子係止片66は断面円弧状であって周方向両端面は共に径方向に直線状に延びており、作動子係止片66は外周壁64の内面に固着されている。図8の上段左図を参照することによって理解されるとおり、作動子係止片66の内周縁は、作動端板62の内周縁よりも僅かに外側に位置している。図示の実施形態においては更に、外周壁64の内面における、作動子係止片66と径方向において対向する位置には、作動子係止片66と同一の形状である突出片68が固着されている。外周壁64の外周面には軸方向に延びる係止溝が周方向に間隔をおいて一対形成されている(一対の係止溝の夫々について70a、70bで示す)。図示の実施形態においては、係止溝70aは作動子係止片66と、係止溝70bは突出片68と夫々周方向において整合している。図8の上段左図を参照して更に詳述すると、係止溝70aの周方向中央位置を示す一点鎖線70acは作動子係止片66の周方向中央位置を示す一点鎖線66cよりも同図において時計方向側に角度θだけ変位していると共に、係止溝70bの周方向中央位置を示す一点鎖線70bcは突出片68の周方向中央位置を示す一点鎖線68cよりも同図において反時計方向側に角度θだけ変位している。一対の係止溝70a及び70bは共に断面円弧状であって、外周壁64の自由端縁から基端部まで延びている。
上記作動子10には、抵抗トルク付与手段によって所定の抵抗トルクが付与される。図示の実施形態においては、抵抗トルク付与手段は図9に示すとおりの、線材を巻回して形成される制動コイルばね72である。制動コイルばね72の自然状態における外径は上述したハウジング4の内部空間の径よりも大きく、制動コイルばね72は自然状態から縮径された状態で上記内部空間に配置され、制動コイルばね72の外周面はハウジング4の内周面に密着する。制動コイルばね72の両端には径方向内側に屈曲された一対の制動フック部74a及び74bが周方向に見て対向して形成されており、作動子10がハウジング4と組み合わされると、一対の制動フック部74a及び74bは一対の係止溝70a及び70bに夫々挿入される。これにより、作動子10に所定値以上の回転トルクが付与されると、後述するとおり、作動子10に形成された一対の係止溝70a及び70bのいずれかの壁面が制動フック部74a又は74bと当接してこれをばねの締め方向に押し、ハウジング4に対する制動コイルばね72の密着力を弱め、作動子10はハウジング4に対して回転することとなる。従って、制動コイルばね72は作動子10に対して抵抗トルクを付与する。
ここで、伝達コイルばね12及び制動コイルばね72は、伝達コイルばね12の出力軸8に対するスリップトルクT1sが、制動コイルばね72の作動子10に対するスリップトルクT2sよりも小さくなるように設定される。これは、伝達コイルばね12及び制動コイルばね72の内径及び巻き数の増減で調整することができることは勿論のこと、コイルの材質を変えてばね定数にて調整することや出力軸8及び作動子10の材質を変えて摩擦係数にて調整すること等、適宜の方法によって調整することが可能である。なお、伝達コイルばね12のロックトルクT1lは、制動コイルばね72のスリップトルクT2sよりもはるかに大きい。従って、T1s<T2s<T1lである。
続いて、主に図1及び図2を参照して上述した各構成部品が所要とおりにして組み合わされた状態について説明する。先ず、図1のA−A断面図を参照して説明すると、出力軸8の主部58は、入力軸6の入力支持壁44及びシールド板30のシールド支持壁34によって径方向に、入力端板38とシールド板30によって軸方向に、夫々回転可能な状態で支持される。つまり、出力軸8の先端部は入力支持壁44の内側で回転可能に支持される。また、出力軸8の主部58の外周面に装着された伝達コイルばね12は、入力支持壁44の軸方向端面と、シールド板30のシールド支持壁34の軸方向端面とによって軸方向に挟持される。そして、本発明のフリータイプ双方向クラッチにあっては、作動子10の外周壁64は伝達コイルばね12を囲繞し、抵抗トルク付与手段はウジング4と作動子10の外周壁64との間に配置される。図示の実施形態においては、抵抗トルク付与手段である制動コイルばね72はハウジング4の内周面に密着しており、作動子10は制動コイルばね12の内側に配置されている。そのため、本発明のフリータイプ双方向クラッチにあっては、軸方向長さがコンパクトとなり、従って、上述したとおり、同一軸方向長さの双方向クラッチにおいては、より確実に入力軸から出力軸へトルクを伝達させることが可能となる。次いで、図1のB−B断面図を参照して説明すると、入力軸係止片46及び作動子係止片66は、周方向に2個の間隙76が存在するよう、組み合わされて設置され、伝達コイルばね12の両端に形成された一対の伝達フック部60の各々は上記2個の間隙76に夫々挿入される。このとき、同図を参照することによって理解されるとおり、作動子係止片66は入力軸係止片46である2つの突出部48a及び48bの周方向中間に配置される。そして、同図に示されるとおり、制動コイルばね72の両端に形成された一対の制動フック部74a及び74bは、一対の係止溝70a及び70bに夫々挿入される。図示の実施形態においては、一対の係止溝70a及び70bの各々は作動子係止片66及び突出片68と周方向において整合しているため、制動コイルばね72の内周面と作動子10の外周面との径方向距離を小さく設定することができ、装置全体の径方向サイズを小さくすることができる。
続いて、図1に示す双方向クラッチの作動について図10及び図11を参照して説明する。図10の左側縦断面図の矢印に示すように、入力軸6が、例えば、駆動源のモーターにより回転軸oの周りを時計方向(軸方向の右方から見て)に回転すると、入力軸2に形成された入力軸係止片46も回転軸oの周りを同方向に回転する。時計方向に回転した入力軸係止片46(突出部48a)は、伝達コイルばね12の片方側の軸方向端部にある伝達フック部60aに当接し、これをばねの締め方向に押して、伝達コイルばね12に締め方向のトルクを作用させる。
さらに、入力軸係止片46(突出部48a)は、伝達フック部60aを介して作動子係止片66を押し、これにより作動子10にも同方向に回転する回転トルクが伝達される。この回転トルクによって、作動子10に形成された係止溝70a内の壁面が制動コイルばね72の他方側の軸方向端部にある制動フック部74aと当接し、これをばねの締め方向に押し、ハウジング4に対する制動コイルばね72の密着力を弱める。
このとき、伝達コイルばね12のロックトルクT1lは、制動コイルばね72のスリップトルクT2sよりも大きいため、伝達コイルばね12の内周面は出力軸8の外周面に対して滑ることなくロックし、制動コイルばね72の外周面はハウジング4の内周面に対して滑るようになる。したがって、伝達コイルばね12と出力軸8とは、ハウジング4が制動コイルばね72に対して滑ることにより、入力軸6及び作動子10と一体となって回転する。つまり、入力軸6からの回転は出力軸8に伝達される。
入力軸6が反時計方向に回転すると、入力軸係止片46(突出部48b)は、伝達コイルばね12の他方側の軸方向端部にある伝達フック部60bに当接して、これを反時計方向に押す。その力の方向は、やはり出力軸8に対する伝達コイルばね12の締付力を強める方向であって、上述の場合と同じく、入力軸係止片46(突出部48b)は、作動子係止片66を伝達コイルばね12と共に反時計方向に回転させ、作動子10に形成された係止溝70b内の壁面が制動コイルばね72の片方側の軸方向端部にある制動フック部74bと当接し、これをばねの締め方向に押し、ハウジング4に対する制動コイルばね72の密着力を弱める。このように、本発明のフリータイプ双方向クラッチでは、入力軸6が正・逆方向に回転すると、出力軸8が同一方向に等速で回転し、動力伝達が行われる。
一方、図11の左側縦断面図の矢印に示すように、出力軸8が、回転軸oの周りを時計方向(軸方向の右方向から見て)に回転したときは、出力軸8に装着された伝達コイルばね12も同方向に回転して、伝達コイルばね12の伝達フック部60aが、作動子10の作動子係止片66に当接してこれを押す。そして、伝達フック部60には作動子係止片66からの反力が作用し、伝達コイルばね12には緩み方向のトルクが作用する。
このとき、作動子係止片66が伝達フック部60aによって押されることで作動子10にも同方向に回転しようとする回転トルクが伝達され、制動コイルばね72の制動フック部74aは、作動子10の係止溝70a内でその壁面と当接することにより、ばねの締め方向に押され、制動コイルばね72には締り方向の回転トルクが作用する。
しかし、伝達コイルばね12が出力軸8の外周面を滑り出すスリップトルクT1sが、制動コイルばね72がハウジング4の内周面を滑り出すスリップトルクT2sよりも小さく設定されているため、伝達コイルばね12の内周面が出力軸8の外周面に対して滑ることとなり、制動コイルばね72の外周面はハウジング4の内周面に対して滑らずロックしたままとなる。つまり、制動コイルばね72により作動子10がハウジング4に固定されて停止した状態で、出力軸8が空転する。即ち、出力軸8からの入力軸6への回転の伝達は、出力軸8が空転して遮断される。
出力軸8が回転軸oの周りを反時計方向に回転したときも同様であり、結局、この実施例のフリータイプ双方向クラッチにおいて、入力軸からの正・逆回転の動力を出力軸に伝達し、出力軸からの動力の伝達を、出力軸を空転させて遮断する機能が実現される。
図1に示した実施形態においては、抵抗トルク付与手段は線材を巻回して形成された制動コイルばね72であったが、抵抗トルク付与手段は作動子に所定の抵抗トルクを付与さえすればどのような形態のものでもよく、例えば、図12に示される本発明のフリータイプ双方向クラッチの変形例(これを番号2´で示す)のような板ばね72´であってもよい。板ばね72´は図13に示すとおり、円弧状に延在する薄板片であって、その内周面には径方向内側に突出する突部が周方向に間隔をおいて多数形成されている。かような板ばね72´は作動子10´とハウジング4´との間に配置され、板ばね72´は作動子10´の外周面とハウジング4´との間で生じる摩擦によって作動子10’に所定の抵抗トルクを付与することとなる。この場合にあっても、入力軸係止片46´は周方向に間隔をおいて配置された2つの突出部48a´及び48b´から構成されており、2つの突出部48a´及び48b´の周方向中間に作動子係止片66´が配置されている。
2:フリータイプ双方向クラッチ
4:ハウジング
6:入力軸
8:出力軸
10:作動子
12:伝達コイルばね
30:シールド板
46:入力軸係止片
60:伝達フック部
64:外周壁
66:作動子係止片
72:制動コイルばね(抵抗トルク付与手段)
72´:板ばね(抵抗トルク付与手段)
74:制動フック部
76:間隙

Claims (7)

  1. 回転不能のハウジングと、前記ハウジング内で共通の回転軸を中心として回転可能な入力軸、出力軸、及び作動子と、線材を巻回して形成され前記出力軸の外周面に装着される伝達コイルばねとを備え、
    前記入力軸及び前記作動子には、軸方向に延びる入力軸係止片及び作動子係止片が夫々形成され、前記入力軸係止片及び前記作動子係止片は、周方向に2個の間隙が存在するよう、組み合わされて設置され、かつ、前記伝達コイルばねの両端に形成された伝達フック部が、前記2個の間隙に夫々挿入され、
    前記作動子には、抵抗トルク付与手段によって抵抗トルクが付与され、
    前記入力軸が回転したときは、前記伝達コイルばねに締め方向のトルクが作用し、前記出力軸が前記作動子と一体的に前記抵抗トルクに抗して回転し、前記入力軸からの回転は前記出力軸に伝達されるが、
    前記出力軸が回転したときは、前記抵抗トルクにより前記作動子が停止した状態で、前記伝達コイルばねに緩み方向のトルクが作用して前記出力軸が空転することで、前記出力軸からの前記入力軸への回転の伝達は、前記出力軸が空転して遮断されるフリータイプ双方向クラッチにおいて、
    前記入力軸係止片は周方向に間隔をおいて配置された2つの突出部から構成され、前記2つの突出部の周方向中間に前記作動子係止片は配置されており、
    前記作動子は、前記作動子係止片の外周面に沿って軸方向に延びる筒状の外周壁を備え、前記外周壁は前記伝達コイルばねを囲繞し、
    前記抵抗トルク付与手段は記ハウジングと前記作動子の前記外周壁との間に配置される、ことを特徴とするフリータイプ双方向クラッチ。
  2. 前記ハウジングには、断面円形の内部空間が設けられ、
    前記抵抗トルク付与手段は線材を巻回して形成される制動コイルばねであって、前記制動コイルばねの自然状態における外径は前記内部空間の径よりも大きく、前記制動コイルばねは自然状態から縮径された状態で前記内部空間に配置されており、
    前記作動子の前記外周壁の外周面には軸方向に延びる係止溝が周方向に間隔をおいて一対形成されており、前記制動コイルばねの両端に形成された制動フック部は、一対の前記係止溝に夫々挿入され、
    前記入力軸が回転したときは、前記制動コイルばねには締り方向のトルクが作用する、請求項1に記載のフリータイプ双方向クラッチ。
  3. 前記作動子係止片は前記外周壁の内面に固着され、前記一対の係止溝の一方は前記作動子係止片と周方向において整合する、請求項2に記載のフリータイプ双方向クラッチ。
  4. 前記作動子の前記外周壁の内面には、軸方向に延びる突出片が固着されており、前記突出片は、前記一対の係止溝の他方と整合する、請求項2又は3に記載のフリータイプ双方向クラッチ。
  5. 前記抵抗トルク付与手段は板ばねである、請求項1に記載のフリータイプ双方向クラッチ。
  6. 前記入力軸は入力端板を備え、前記入力端板には前記回転軸を中心とした円筒形状の入力支持壁が形成されており、前記出力軸の先端部は前記入力支持壁の内側で回転可能に支持される、請求項1乃至のいずれかに記載されたフリータイプ双方向クラッチ。
  7. 前記ハウジングは、その内部空間を閉塞するシールド板と組み合わされ、前記シールド板には前記回転軸を中心とした円筒形状のシールド支持壁が形成されており、
    前記伝達コイルばねは、前記シールド支持壁と前記入力支持壁とによって軸方向に支持される、請求項に記載のフリータイプ双方向クラッチ。
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