JP6876257B2 - リチウムイオン二次電池用負極 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用負極に関する。
近年、リチウムイオン二次電池等の二次電池は、パソコン、携帯端末等のポータブル電源や、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両駆動用電源などに好適に用いられている。
リチウムイオン二次電池(以下、単に「二次電池」と記す場合がある)の負極は、負極集電体と、負極集電体の表面に形成された負極活物質層とを含む。負極活物質層は、典型的には、粉末状の負極活物質がバインダにより互いに結着されて層状に形成されている。活物質粒子間には間隙が存在するため、負極活物質層は多孔質となる。そしてこの負極活物質層の間隙に電解液が浸透する。電解液は、電荷担体であるリチウム(Li)イオンを含有する。このリチウムイオンが正負極間を行き来することで充放電が実現される。
ここで、リチウムイオン二次電池の負極活物質(例えば、黒鉛等の炭素材料)は、正極およびセパレータの構成材料等と比較すると軟質であり得る。また、二次電池の充放電に伴い、正極および負極は膨張または収縮する。このとき負極が軟質であると、放電により正極が膨張したときに負極は押し潰される。これにより、負極活物質層に浸透していた電解液が負極の外部に押し出され、次の充電時に負極活物質の近傍に存在するリチウムイオンの量が減少してしまう。その結果、抵抗の上昇が引き起こされるという課題があった。このことは、一度の充電または放電で大量の電荷を吸蔵または排出するハイレートでの充放電が繰り返される用途の電池において特に顕著となる。
特開2017−174664号公報 特開2018−085286号公報
そこで、特許文献1では、例えば、負極活物質層に、負極活物質よりも圧縮弾性率の高い副材(例えば、セラミックス)を添加物として加えることを提案している。また、特許文献2では、例えば、負極活物質層に、負極活物質よりも圧縮弾性率の高い無機フィラー粒子と、より親水性の高いチタン酸リチウム粒子とを加えることを提案している。これにより、負極活物質層の硬さ(圧縮弾性率)が高められ、ハイレート充放電時の抵抗増加を抑制できると記載されている。
リチウムイオン二次電池等の二次電池には、汎用されるにつれ、用途に応じて必要な特性の更なる改善が求められている。これに関し、本発明者が鋭意検討した結果、従来技術においては、ハイレート充放電を行った場合の常温サイクル特性や、低温サイクル特性、過充電安全性に未だ改善の余地があることを知見した。
そこで本発明は、負極活物質のほかに無機フィラー粒子を含む負極であって、リチウムイオン二次電池に用いた場合に、各種のハイレート特性を改善し得る負極を提供することを目的とする。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池に用いられる負極は、負極集電体と、この負極集電体の表面に形成された負極活物質層とを含み、負極活物質層は、負極活物質粒子と、無機フィラー粒子と、バインダとを含む。ここで、無機フィラー粒子は、負極活物質粒子の平均一次粒子径の1/2以下の平均一次粒子径を有し、かつ、セラミック粒子の表面の少なくとも一部がチタン酸リチウムによって覆われている。
このような構成によれば、無機フィラー粒子による負極の圧縮抵抗をより高めることができ、ハイレート充放電に伴うサイクル特性を改善することができる。また、電池反応において抵抗成分となる無機フィラー粒子に起因する反応抵抗の増大を抑制し、負極におけるLi析出をも抑制することができる。その結果、例えば、過充電時の安全性が顕著に高められる。
一実施形態に係る負極の断面と、無機フィラー粒子の拡大断面とを模式的に示す図である。 一実施形態に係る負極を用いたリチウムイオン二次電池の構成を模式的に示す断面図である。
以下、本発明による実施の形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、本発明を特徴付けない負極およびリチウムイオン二次電池の一般的な構成)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、以下の図面においては、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明している。各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。また、本明細書において数値範囲を示す「A〜B」との表記は、「A以上B以下」を意味する。
本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充放電可能な蓄電デバイス一般をいい、いわゆる蓄電池ならびに電気二重層キャパシタ等の蓄電素子を包含する用語である。
以下、具体的な一例として、ここに開示される二次電池用負極がリチウムイオン二次電池用の負極である実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、本実施形態に係る負極の一部を示す模式断面図である。図1に示すように、本実施形態に係る負極1は、負極集電体10と、負極集電体10上に形成された負極活物質層12と、を備える。負極集電体10としては、導電性の良好な金属製のシート、例えば銅や鉄、ニッケルおよびそれらの合金等の金属箔を好適に採用し得る。負極活物質層12は、少なくとも、負極活物質粒子14と、無機フィラー粒子16と、図示しないバインダと、を含んでいる。このような負極1は、例えば、負極活物質粒子14と無機フィラー粒子16とバインダとを適当な液媒体中で混練してなる負極ペーストを、負極集電体10の表面に塗布し、乾燥させることによって作製される。負極活物質層12は、負極活物質粒子14と無機フィラー粒子16との間に空隙を有する多孔質構造である。
負極活物質粒子14は、電荷担体を可逆的に吸蔵及び放出可能な負極活物質材料により構成される。負極活物質の好適例として、黒鉛(グラファイト)、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素(ソフトカーボン)、カーボンナノチューブ等の炭素材料、或いは、これらを組み合わせた材料が挙げられる。なかでも、エネルギー密度の観点から、天然黒鉛(石墨)や人造黒鉛等の黒鉛系材料を好ましく用いることができる。かかる黒鉛系材料は、少なくとも一部の表面に非晶質炭素が配置されているものをより好ましく用いることができる。さらに好ましくは、粒状炭素の表面のほぼ全てを非晶質炭素の膜で被覆された形態である。負極活物質粒子14の大きさは厳密には制限されないものの、例えば、入手と負極製造容易性の観点から、平均一次粒子径が50μm以下であってよく、典型的には20μm以下、例えば15μm以下、10μm以下、8μm以下等であってよい。平均一次粒子径の下限は特に制限されないが、例えば1μm以上、好ましくは3μm以上とすることができる。
無機フィラー粒子16の平均一次粒子径は、負極活物質粒子の平均一次粒子径の1/2以下である。無機フィラー粒子16の粒子径が大きすぎると、負極活物質粒子14同士の直接的な接触が妨げられて、電子伝導性が低下しやすくなるために好ましくない。無機フィラー粒子16の平均一次粒子径は、負極活物質の平均一次粒子径の2/5以下がより好ましく、1/3以下、1/4以下、1/5以下、1/8以下、例えば、1/10以下であってよい。ただし、後述する構成を有する無機フィラー粒子16を好適に調製することや、負極の圧縮変形抵抗を効果的に高めるとの観点から、平均一次粒子径の下限は、例えば0.1μm以上であってよく、0.5μm以上であってよい。
なお、本明細書における「平均一次粒子径」は、一次粒子にまで分散された粉体試料(適切な分散媒に分散されていてもよい。)について測定された、レーザ回折散乱法によって測定される体積基準の粒度分布における微粒側から累積50%の粒径(D50)を意味する。
無機フィラー粒子16は、図1中に拡大して示されるように、セラミック粒子16aの表面の少なくとも一部がチタン酸リチウム16bによって覆われている。換言すると、無機フィラー粒子16は、セラミック粒子16aと、このセラミック粒子16aの表面の少なくとも一部に備えられたチタン酸リチウム16bとにより構成されている。
セラミック粒子16aは、負極活物質よりも圧縮弾性率が大きいものであれば特に限定されず、例えば、負極活物質(典型的には上記炭素材料)の3倍以上、好ましくは10倍以上の圧縮弾性率を有するものである。このようなセラミック粒子16aとしては、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリア、アルミナ(無水物)、アルミナ水和物(例えば、ベーマイト)、チタン酸バリウム酸化物等の酸化物系セラミックス、炭化ケイ素等の炭化物系セラミックス、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の窒化物系セラミックス、ハイドロキシアパタイト、水酸化アルミニウム等の水酸化物系セラミックス等が好適例として挙げられる。これらはいずれか1種を単独で含んでもよいし、2種以上を組み合わせて含んでもよい。一例として、負極活物質として一般的に用いられる黒鉛の圧縮弾性率は凡そ100MPa程度であることから、負極活物質が黒鉛の場合はセラミック粒子16aの圧縮弾性率は例えば200MPa以上であればよい。ここで、上記アルミナの圧縮弾性率は凡そ2300MPa以上、ジルコニアの圧縮弾性率は凡そ1200MPa以上であり、黒鉛に比べて十分に高いことがわかる。例えば、セラミック粒子16aの圧縮弾性率は1000MPa以上であるとよい。ただし、セラミック粒子16aは、電解液(典型的には非水電解液の溶媒)との副反応を低減する観点からは、電荷担体(ここでは、リチウムイオン)と反応しない材質であるとよく、例えば、強塩基性化合物や、塩基性化合物を含まないことが好ましい。なお、無機フィラー粒子および負極活物質粒子の単体についての圧縮弾性率は、例えば、JIS K7181:2011に準じて測定することができる。
また、セラミック粒子16aは、負極活物質層12を塗布法により形成したときでも圧縮抵抗を好適に高め得ることから、球形に近い形状であることが好ましい。かかる観点から、セラミック粒子16aの平均アスペクト比は、1.3以下であり、1.2以下が好ましく、1.1以下がより好ましい。平均アスペクト比は、電子顕微鏡観察に基づく、10個以上のセラミック粒子16aの長径aと短径bとの比(a/b)の算術平均値である。チタン酸リチウムを被覆された状態のセラミック粒子16aについては、アスペクト比は、無機フィラー粒子16の断面の電子顕微鏡観察像に基づき測定してもよいし、原料として用いたセラミック粒子16aについて算出した値を採用してもよい。
チタン酸リチウム(LTO)16bは、セラミック粒子16aの表面の少なくとも一部を覆っている。LTO16bは、負極活物質粒子よりも圧縮弾性率が高く、かつ、非常に親水性が高い。たとえば、LTO16bは、親水性フィラー粒子として知られるベーマイト(AlOOH)粒子よりも親水性が高い。このため、LTO16bが親水性に乏しいセラミック粒子16aの表面を覆うことで、セラミック粒子16aの親水性を高めることができる。その結果、例えば、負極ペーストを水系分散媒を用いて調製するとき、より微細な無機フィラー粒子16の分散性を高めることができる。その結果、負極活物質粒子同士の間隙に、無機フィラー粒子16が分散して好適に配置され得る。その結果、無機フィラー粒子16が負極活物質12中で凝集して存在している場合よりも、後述する負極1の厚み方向の圧縮変形抵抗を効果的に高めることができる。LTO16bは、セラミック粒子16aの表面の少なくとも一部を覆うことで上記効果を発現し得る。LTO16bは、セラミック粒子16aの表面の全てを覆っていることがより好ましい。LTO16bは、より好ましくは、セラミック粒子16aの表面を層状に覆っている。
また、LTO16bは、二次電池に用いられたときに安定(結晶構造が崩壊しない程度)に存在し得るものであれば、その組成および結晶構造は特に限定されない。例えば、LTO16bとしては、最も一般的な単斜晶系に属する一般式:LiTiO;で表されるLTOであってよいし、単斜晶系に属する一般式:β−LiTiO;で表される他のLTOや、立方晶系準安定相の一般式:γ−LiTiO;で表されるLTO、低温合成相である一般式:α−LiTiO;で表されるLTO、スピネル型の一般式:LiTi12;で表されるLTO、ラムスデライト型の一般式:LiTi;で表されるLTOなどであってよい。好ましくは、リチウムイオン吸蔵性ないしはリチウムイオン反応性(リチウムイオン伝導性であり得る)に優れるスピネル型のLTOや、ラムスデライト型のLTOである。LTOがリチウムイオン吸蔵性を備えることで、リチウムイオン伝導性を示さないセラミック粒子16aの表面に電荷担体たるリチウムイオンが到達したとき、このリチウムイオンを負極活物質粒子14に移送することができる。そしてセラミック粒子16aの表面に、リチウムイオンが析出するのを抑制することができる。換言すると、無機フィラー粒子16を、負極の弾性向上材料と、リチウムイオン伝導性向上材料(Li析出抑制材料)として機能させることができる。
また、LTO16bは、黒鉛などの負極活物質粒子14よりも高い電位でリチウムイオンを吸蔵放出することができる。したがって、無機フィラー粒子16の表面にLTO16bが配置されることにより、無機フィラー粒子16が電位上昇のバッファとなって放電末期の急激な電位上昇を抑制しうる。これにより正極から、正極活物質を構成する金属イオン(M+)が溶出することが抑制される。延いては、高温保存後のハイレート耐性の劣化が抑制され得る。
LTO16bは、上述のとおり、セラミック粒子16aの表面を少しでも覆うことで、負極の弾性向上効果とリチウム析出抑制効果とを得ることができる。しかしながら、LTO16bは、セラミック粒子16aの表面の全部を覆うことで、上記効果を劇的にかつ安定して発現することができる。さらに、セラミック粒子16aが水和物を含む材料から成る場合、セラミック粒子16aの表面の全部を覆うことで、電極が200〜300℃程度の高温に晒されたときに水和水を放出するのを抑制することができる。これは、放出された水和水が、負極の表面に析出している金属リチウムと反応して発熱するのを抑制する観点から重要である。セラミック粒子16aを覆うLTO16bの厚みは、1nm以上が好ましく、2nm以上がより好ましく、例えば5nm以上であってよい。しかしながら、負極の弾性向上効果やリチウム析出抑制効果は、LTO16bがある程度の厚みに達すると飽和し、それ以上厚みが増えても更なる顕著な効果は期待できない。加えて、LTO16bは、一般的なセラミックス粒子16aと比較して圧縮弾性率が低い。したがって、LTO16bが厚すぎると、セラミック粒子16aに基づく負極の弾性向上効果が発現され難くなってしまうために好ましくない。LTO16bの厚みは、30nm以下、例えば25nm以下程度を目安に適宜調整することができる。なかでも、一原子層ずつ精密にセラミック粒子16aの表面を覆っていくことができるALD法や、スパッタ法等を利用することで、セラミック粒子16aの表面の全部を確実にLTO16bで覆うことが好ましい。
このような無機フィラー粒子16は、セラミック粒子16aの表面をLTOで被覆することで用意することができる。セラミック粒子16aをLTOで被覆する手法は特に制限されず、公知の各種の手法を採用することができる。好適な一例として、自己組織化等によるセラミックコア−LTOシェル複合粒子の化学合成法や、原子層堆積(Atomic Layer Deposition:ALD)法等を利用する化学堆積(Chemical Vaper Deposition:CVD)法、スパッタ法等を利用する物理気相成長(Physical Vaper Deposition:PVD)法、などが挙げられる。
バインダとしては、この種の二次電池の負極に使用されるバインダと同様のものを適宜採用することができる。バインダは、例えば、負極ペーストの調製に液媒体として水系溶媒(水、および水と炭素数1〜4の低級アルコールとの混合物)を用いる場合は、スチレンブタジエンゴム(SBR)等のゴム類、ポリエチレンオキサイド(PEO)、酢酸ビニル共重合体等の水溶性のポリマー材料または水分散性のポリマー材料を好ましく採用し得る。負極活物質層12は、負極活物質粒子14、無機フィラー粒子16、およびバインダ以外の任意成分(例えばや増粘剤等)を含んでいてもよい。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)等のセルロース類が挙げられる。
上記負極活物質層12における無機フィラー粒子16の割合は、負極活物質粒子14の100質量%を基準として、1質量%以上であるとよく、例えば3質量%以上であるとよい。負極活物質粒子14に対する無機フィラー粒子16の割合を上記の範囲とすることで、負極活物質層12内に無機フィラー粒子16を含有することによる負極の圧縮変形抵抗を効果的に高めることができる。一方で、負極活物質層12に含まれる無機フィラー粒子16の割合が多すぎると、負極活物質同士の電子伝導性が低下する虞がある。このため、負極活物質粒子14に対する無機フィラー粒子16の割合の上限は、15質量%以下とすることができ、例えば10質量%以下であってよい。
また、上記負極活物質層12におけるバインダの割合は、負極活物質粒子14の100質量%を基準として、0.1質量%以上であるとよく、0.5質量%以上であってよく、例えば0.8質量%以上であってよい。これにより、ハイレートで充放電を行った場合でも、体積膨張および収縮の大きな負極活物質層12の破損を抑制し、形状を維持することができる。しかしながら、一般にバインダはリチウムイオン伝導性および電子伝導性の両伝導性に対する抵抗成分となり得るため、その割合は少ないことが好ましい。したがって、負極活物質層12に含まれるバインダの割合は、例えば負極活物質粒子14の100質量%を基準として、10質量%以下が好ましく、8質量%以下であってよく、例えば5質量%以下とすることができる。増粘材を含む場合は、上記バインダと同程度の割合とすることができる。ただし、バインダと増粘剤との合計は、負極活物質粒子14の100質量%を基準として、10質量%以下であることが好ましい。
負極活物質層12は、上述のように、負極活物質粒子14と無機フィラー粒子16との間に間隙を備えている。負極活物質層12の多孔度は、必ずしもこれに限定されるものではないが、40%以上であり、好ましくは45%以上であって、60%以下であり、55%以下である。ここで、負極活物質層12の多孔度とは、負極活物質層12に占める空孔の体積基準の割合を示している。すなわち、負極活物質層12の見かけの体積に対する、負極活物質層12の内部に形成された空孔の容積の割合によって表すことができる。
負極活物質層12の多孔度は、水銀圧入法によって求めることができ、例えば水銀ポロシメータを用いて測定することができる。負極活物質層12の多孔度は、例えば、水銀ポロシメータを用いて測定される負極活物質層12の全空孔容積Vpと、負極活物質層12の見かけ体積Vvとに基づき、次式:多孔度(%)=Vp/Vv×100;に基づき算出することができる。
このような負極1は、過充電時の発熱が好適に抑制され、かつ、ハイレート特性に優れることから、例えば、大容量でハイレート出入力が行われる用途のリチウムイオン二次電池用の負極として好適に使用することができる。図2は、例えば、比較的大容量のリチウムイオン二次電池(以下、単に、「二次電池」等という場合がある。)100の構成を説明する切り欠き断面図である。二次電池100は、ここに開示される負極1のほかに、正極22とセパレータ24とからなる捲回電極体20が、図示しない非水電解液とともに、電池ケース30に収容されて密閉されることで構成されている。
電池ケース30は、電極体20と電解液とを密閉状態で収容する筐体である。電池ケース30は、例えば、アルミニウム、鉄およびその合金等からなる金属製である。本実施形態の電池ケース30は、外形が直方体の形状を有している。電池ケース30は、上面が開口した有底角筒形状のケース本体と、この開口を気密に封止する蓋体とにより構成されている。蓋体には、電解液を注液する際に利用した注液口(図示せず)や、電池ケースの内圧が所定圧にまで高まったときに電流を遮断する電流遮断機構(Current Interrupt Device:CID)36を備えている。また蓋体には、外部接続用の正極端子42と負極端子44とが突出するように配設されている。
電池ケース30には非水電解液が収容されている。非水電解液は、負極1、正極22およびセパレータ24の空隙に浸透し、正負極間での電荷担体の移動媒体となる。非水電解液の構成については従来と同様であってよく、特に限定されない。非水電解液は、典型的には、非水系溶媒と支持塩とを含む。非水溶媒は、典型的には、例えば、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等のカーボネートもしくはそれらの混合溶媒である。支持塩としては、例えば、LiPF、LiBF、LiClO等のリチウム塩(好ましくはLiPF)を好適に用いることができる。支持塩の濃度は、0.7mol/L以上1.3mol/L以下が好ましい。非水電解液は、例えば、ビフェニル(BP)、シクロヘキシルベンゼン(CHB)等のガス発生剤;ホウ素原子および/またはリン原子を含むオキサラト錯体化合物、ビニレンカーボネート(VC)等の被膜形成剤;分散剤;増粘剤等の各種添加剤を含み得る。
捲回電極体20は、長尺の正極22と長尺の負極1とを備えている。これらの正極22および負極1は、長尺の2枚のセパレータ24をかいざいさせることによって互いに絶縁されて積層されている。
正極22は、正極集電体と、正極集電体の上に固着された正極活物質層と、を備えている。正極集電体としては、導電性の良好な金属製のシート、例えばアルミニウム箔が好適である。正極活物質層は、多孔質構造である。正極活物質層は、少なくとも、正極活物質と、結着剤(バインダ)と、を含んでいる。このような正極は、例えば、正極活物質と結着剤とを適当な溶媒中で混練してなる正極ペーストを、正極集電体の表面に塗布し、乾燥することによって作製される。
正極活物質は、電荷担体を可逆的に吸蔵及び放出可能な材料であればよい。正極活物質の好適例としては、リチウムニッケル含有複合酸化物、リチウムコバルト含有複合酸化物、リチウムニッケルコバルト含有複合酸化物、リチウムマンガン含有複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン含有複合酸化物等のリチウム遷移金属複合酸化物が挙げられる。高耐久の観点からは、通常使用時の作動電位が金属リチウム基準で4.2V以下である、層状構造のリチウムニッケルコバルトマンガン含有複合酸化物等の、いわゆる4V級の正極活物質が好ましい。また、一度に高い出力を実現するとの観点からは、作動電位が金属リチウム基準で4.2Vを越えて約5.2V以下である、スピネル構造のリチウムニッケルマンガン酸化物等のいわゆる5V級の正極活物質が好ましい。また、バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のハロゲン化ビニル樹脂、ポリエチレンオキサイド(PEO)等のポリアルキレンオキサイドを好適に用いることができる。正極活物質層は、正極活物質以外の任意成分(例えば導電材等)を含んでいてもよい。導電材としては、例えば、アセチレンブラックやケッチェンブラック等のカーボンブラック、活性炭、黒鉛、炭素繊維等の炭素材料が挙げられる。
セパレータ24は、電気的絶縁性を有しつつ、正負極間での電解質の移動を可能とするシート状材料によって構成され得る。このようなセパレータ24は、電池内における電気化学反応に対して安定な各種の材料によって構成される。このようなセパレータ材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂が好適例として挙げられる。またこのようなセパレータは、例えば、透気抵抗度が100秒以上の1000秒以下程度の透気性を有する、織布、不織布、微多孔性シート等によって好適に構成することができる。なお、このセパレータに代えて、ゲル状の高分子材料からなるゲル状電解質を用いてもよい。
正極22は、長手方向に沿う端部に、正極活物質層が形成されずに正極集電体が露出した、集電部が供えられている。負極1は、長手方向に沿う端部に、負極活物質層12が形成されずに負極集電体10が露出した、集電部が供えられている。正極22と負極1とは、この集電部が短手方向の反対側に突出するように重ね合わされている。また、短手方向(幅方向)において、正極活物質層の寸法よりも負極活物質層の寸法の方がより大きく、負極活物質層の寸法よりもセパレータ24の寸法の方がさらに大きい。正極22、負極1およびセパレータ24は、この幅方向を軸として捲回され、断面視が長円形となるように扁平に成形されている。これにより、捲回電極体20が構成される。捲回電極体20から突出した正極の集電部は、厚み方向で寄せ集められ、集電用の正極集電板と溶接されている。正極22は、正極集電板を介して正極端子42と電気的に接続されている。また、電極体20から突出した負極1の集電部は、厚み方向で寄せ集められ、集電用の負極集電板と溶接されている。負極1は、負極集電板を介して負極端子44と電気的に接続されている。
リチウムイオン二次電池100は、各種用途に利用可能である。好適な用途としては、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、ハイブリッド自動車(HV)、電気自動車(EV)等の車両に搭載される駆動用電源が挙げられる。リチウムイオン二次電池100は、複数個が電気的に接続された組電池の形態で使用することもできる。
なお、ここでは、扁平形状の捲回電極体20を備える角形のリチウムイオン二次電池100について説明した。しかしながら、リチウムイオン二次電池は、複数の板状の正極22および負極1がセパレータを介して積層された積層型電極体を備えるリチウムイオン二次電池として構成することもできる。また、リチウムイオン二次電池は、円筒形リチウムイオン二次電池、ラミネート型リチウムイオン電池等として構成することもできる。
また、公知方法に従い、本実施形態に係る負極1を用いて、リチウムイオン二次電池以外の二次電池(特に、非水電解液二次電池)を構成することもできる。
以下、本発明に関する実施例を詳細に説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
〔LTO被覆粒子の作製〕
負極作製に用いるLTO被覆粒子を用意した。すなわち、まず、セラミック粒子として、ベーマイト、アルミナ、水酸化アルミニウムの粉末を用意した。また、セラミック以外の粒子として、ポリエチレン、銅、チタン酸リチウム(LTO)の粉末を用意した。これらの粉末は、何れも平均一次粒子径が約1μmの球状の粒子からなる。
そしてこれらの粉末のそれぞれについて、粉体用スパッタリング装置を用い、チタン酸リチウム(LTO)で表面をコーティングした。具体的には、各粉末をチャンバー内に収容し、チャンバー内を真空にした後、プロセスガスを流しつつ所定の真空度を保ちながら、スパッタリングを実施した。ターゲットとしては、酸素量が調整されたチタン酸リチウムターゲットを用いた。コーティングは、チャンバーを回転させながらスパッタを実施することで、粉末の全表面にLTO膜が形成されるようにした。なお、コーティング時間は、基本的には2時間で一定とし、ベーマイトについては、処理時間を0.3、0.5、2、4、6時間の5通りに変化させた。スパッタ後の粉末は、チャンバー内でアニールさせることでコーティング組成を安定させた。
〔LTO被覆粒子の分析〕
上記で用意したLTO被覆粒子(粉末)の一部を分析用試料として取り分け、コーティング膜の組成と厚みとを調べた。
コーティング膜の組成は、株式会社リガク製の全自動多目的X線回折装置SmartLabを用い、各粉末のX線回折(XRD)パターンとデータベースのパターンとをフィッティング解析することにより実施した。その結果、全てのXRDパターンはスピネル構造を有するチタン酸リチウム(LiTi12)に同定され、コーティング膜はLTOにより形成されていることが確認された。
各粉末のコーティング膜の厚みは、日本電子(株)製の光電子分光装置(XPS)、JPS−9030を用いて測定した。厚みは、LTO被覆粒子の表面を局所的にArエッチングにより切削しながら、LTOの構成元素であるLiとTiとを検出し、LiおよびTiが検出されなくなったときの切削深さを、コーティング膜の厚みとした。その結果、各粉末のコーティング膜の厚みはコーティング時間に対応しており、処理時間を0.3h、0.5h、2h、4h、6hとすると、厚みは1nm、2nm、10nm、20nm、30nmとなったことが確認された。なお、この手法では、LTO粒子にLTOをコーティングした粉末については、その厚みを検知することができない。しかしながら、コーティング膜の厚みはコーティング時間に対応することから、他の材料について測定されたのと同じ10nmであるとした。
〔負極の作製〕
負極活物質粉末としての、平均一次粒子径が20μmの黒鉛粉末(C)と、増粘材としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)と、バインダとしてのスチレンブタジエンラバー(SBR)と、後述する例1〜14の添加材粉末(X)とを、C:CMC:SBR:X=100:1:1:5の質量比で水と混合し、負極活物質層形成用ペーストを調製した。このペーストを、厚さ10μmの銅箔の両面にダイコーターを用いて帯状に塗布し、乾燥してプレス処理することにより負極を作製した。負極の総厚みは約80μm、負極活物質層の幅は約100mm、非塗工部の幅は約20mm、負極の長さは3300mmとした。
なお、添加材粉末(X)としては、下記の表1に示すように、上記で用意したLTO被覆粒子を、例3〜7、9、11〜14の添加材粉末とし、LTOを被覆していない(換言すれば、LTO被覆粒子のコアである出発材料の)ベーマイト、アルミナ、水酸化アルミニウムのセラミック粉末を、例1、8、10の添加材粉末としてそれぞれ単独で用いた。また、例2の添加材粉末としては、LTOを被覆していないベーマイト粉末(X1)とLTO粉末(X2)とを組み合わせて用い、C:CMC:SBR:X1:X2=100:1:1:5:1の配合(つまり、LTO粉末を追加配合)とし、他の条件は上記と同様にして負極を作製した。
〔負極の変形抵抗〕
用意した例1〜14の負極について、厚み方向に圧縮したときの変形抵抗を、JIS K7181:2011に準じて測定した。具体的には、各例の負極を5cm角に50枚切り出して積層し、試験片とした。そしてこの試験片を、2枚のステンレス板に挟み、オートグラフ精密万能試験機にて厚み方向に圧縮荷重を印加したときのひずみ挙動を測定し、次式:変形抵抗=Δ荷重/Δ変形量(厚みの変位);に基づき、圧縮時の弾性領域における変形抵抗を算出した。なお、参考までに、上記の添加材粉末(X)を配合していない負極活物質層を備える負極についての、厚み方向の変形抵抗は、凡そ160〜170kN/mmである。
〔正極の作製〕
正極活物質粉末としてのLiNi1/3Co1/3Mn1/3(LNCM)と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、LNCM:AB:PVDF=100:10:3の質量比でN−メチルピロリドン(NMP)と混合し、正極活物質層形成用ペーストを調製した。このペーストを、厚さ20μmのアルミニウム箔の両面にダイコーターを用いて帯状に塗布し、乾燥してプレス処理することにより正極を作製した。正極の総厚みは約70μm、正極活物質層の幅は約94mm、非塗工部の幅は約20mm、正極の長さは3000mmとした。
〔評価用電池の作製〕
セパレータとして、多孔質ポリオレフィン基材シートに、セラミック粒子を含む耐熱層(HRL)を備えたHRL付セパレータを2枚用意した。なお、基材シートは、総厚みが20μmで、PP/PE/PPからなる三層構造を有している。そして用意した正極と負極とセパレータとを、セパレータが正負極間に介在するように積層し、捲回させて捲回電極体を得た。このとき、セパレータのHRLが負極表面に当接するようにセパレータの向きを調整した。得られた捲回電極体を角型電池ケースに収容し、非水電解液を注入して密閉することで、容量が5Ahの角型リチウムイオン二次電池を作製した。なお、非水電解液には、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とをEC:DMC:EMC=1:1:1の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPFを1.0mol/Lの濃度で溶解させたものを用いた。
これにより、例1〜16の負極を用いた評価用リチウムイオン二次電池を得た。
〔評価用電池の容量〕
各例の二次電池について、負極に使用した添加材の違いによって電池容量がどの程度異なるかを調べた。電池容量は、組立て後の電池に所定の初期充電処理を施した後、5Aにて4.1Vまで充電したのち電流が0.1Aになるまで維持する低電流定電圧(CCCV)充電(0.1Aカット)を行い、次いで、0.5Aにて3Vまで低電流(CC)放電(3Vカット)した時の放電容量を電池容量とした。その結果を、表1の「電池容量」の欄に記載した。
〔ハイレートサイクル特性〕
各例の二次電池について、負極に使用した添加材の違いによって、常温で、ハイレート充放電を繰り返し行ったときの抵抗増加率がどの程度異なるかを調べた。具体的には、まず、組立て後の電池に所定の初期充電処理を施した後、25℃の環境の下、0.1Aで3.7VまでCC充電したのち、20Cのハイレートで放電したときの放電10秒後の電圧降下量と放電電流量とからIV抵抗を算出し、初期抵抗とした。
その後、25℃の環境下、3.7Vまで充電したのち、30Cで10秒間充電したのち10秒間休止し、1Cで300秒間放電して10秒間休止する、という充放電処理を1サイクルとし、これを2000サイクル実施した。なお、途中、100サイクルごとに上記手法でIV抵抗を確認しながら、2000サイクル後のIV抵抗を測定してサイクル後抵抗とした。そして、次式:抵抗増加率(%)=(サイクル後抵抗−初期抵抗)/初期抵抗×100;に基づき、抵抗増加率を算出した。その結果を、表1の「ハイレート抵抗増加率」の欄に記載した。
〔低温ハイレートサイクル特性〕
次いで、各例の二次電池について、負極に使用した添加材の違いによって、低温で、ハイレートでの充放電を繰り返し行ったときの容量維持率がどの程度異なるかを調べた。具体的には、組立て後の電池に所定の初期充電処理を施した後、0.1Aで3.7VまでCC充電したのち、0℃の環境下、20Cのハイレートで10秒間充電したのち、20Cのハイレートで10秒間放電する充放電処理を1サイクルとし、これを100サイクル実施した。その後、上記初期容量と同様の手法で放電容量を測定し、低温ハイレートサイクル後の容量とした。そして、次式:容量維持率(%)=サイクル後容量/初期容量×100;に基づき、容量維持率を算出した。その結果を、表1の「容量維持率」の欄に記載した。
また、上記の低温ハイレートサイクル後の電池を分解し、負極板を目視で観察することで、負極の表面に金属Liが析出しているかどうかを確認した。その結果を、「Li析出の有無」の欄に「有」または「無」として示した。
〔過充電特性〕
各例の二次電池について、負極に使用した添加材の違いによって、過充電時の挙動がどの程度異なるかを調べた。まず、本試験に供する各例の二次電池には、角型電池ケースの蓋部材として、電池ケース内の圧力が所定値以上になると充電電流を遮断するCIDが備えられたものを用いた。また、非水電解液には、ガス発生添加剤として、ビフェニルを3質量%の割合で添加した。そして、組立て後の電池に所定の初期充電処理を施した後、角型電池ケースの長側面の中心に熱電対を貼り付け、25℃の環境下、4.2Vに調整したのち、10Cで過充電を行うことでCIDを作動させた。そして、CIDが作動した時に、当該二次電池が発煙したかどうかを確認した。また、当該二次電池の過充電による発熱における最高到達温度を測定した。これらの結果を、「発煙の有無」の欄に「有」または「無」として示すとともに、「最高到達温度」の欄に示した。
Figure 0006876257
〔評価〕
例1、2に示すように、負極添加材としてベーマイトを単独で用いた例1よりも、ベーマイトとLTOとを混合して用いた例2の方が、負極の圧縮時の変形抵抗が10kN/mm程度高められてハイレート抵抗増加率が低減されること、低温ハイレートサイクル時の容量維持率が高められてLi析出が抑制されること、が確認できた。しかしながら、LTOはLi吸蔵能があるものの、黒鉛等と比較して充放電効率に劣る。そのため、単にLTOを添加すると、負極活物質層に占める負極活物質の割合が相対的に少なくなり、電池容量が低減してしまう結果となった。また、例1、2ともに、過充電時の安全性については、最高到達温度が130℃を超え、発煙が生じてしまった。これは、負極添加材として使用したベーマイトの表面にLiが析出してしまったこと、また、ベーマイトが水和水を含んでおり、この水和水が高温域(電池中心部では200℃以上)で脱水し、放出された水が過充電で負極表面に析出したLiと反応して、更なる温度上昇を引き起こしたこと、によるものと予想される。
これに対し、例3〜7に示すように、ベーマイトの表面をLTOで被覆して用いることで、負極の変形抵抗を大幅に高められることが確認できた。LTOの被覆厚みは、わずか1nmでも変形抵抗の向上に大きく寄与することがわかった。明確な相関はみられないものの、概ね、LTO被覆の厚みが2nm以上、例えば10nm以上で、変形抵抗が30kN/mm程度高められて十分な弾性向上効果が得られることがわかった。このような傾向は、負極添加材としてベーマイトを用いたときのみならず、例8、9に示されるように、アルミナ等の他の酸化物系セラミックスを用いた場合や、例10、11に示されるように、水酸化アルミニウム等の水酸化物系セラミックスを用いた場合等にも確認できた。しかしながら、例12〜14に示すように、負極添加材として、セラミック以外の、ポリエチレンなどの樹脂や、銅などの金属、LTO等の強塩基性金属酸化物塩を用いた場合は、負極の変形抵抗は却って例1の被覆無しの場合よりも小さくなってしまうことがわかった。
また、添加材がLTOで被覆されることで、負極の変形抵抗に対応して、ハイレート抵抗増加率が抑制されること、低温ハイレートサイクル時の容量維持率が高められることが確認された。これは、負極が高い弾性を備えることで、ハイレート充放電に伴い大きな体積膨張と収縮とを繰り返し行った場合でも、多孔質な負極活物質層が潰れるのが抑制されて、負極活物質の周辺に非水電解液を確保することができたためであると考えられる。また、負極添加材は、Liイオンの吸蔵能を備えておらず、負極活物質層中で負極活物質がLiイオンをスムーズに吸蔵するための抵抗成分となり、低温においてLi析出を招きやすい。しかしながら、負極添加材の表面をLiイオン反応性を備えるLTOで被覆することで、負極添加材に到達したLiイオンを低温環境でも析出させることなく、負極活物質に移送することができるようになったためであると考えられる。なお、例3〜7に示すように、LTO被覆の厚みが1nmの場合に、低温で若干のLiの析出が認められた。これは、LTOの厚みが薄すぎて、例えば添加材の表面が露出したり、Liイオンのスムーズな移送が妨げられたりすることによると考えられる。しかしながら、LTO被覆の厚みを2nm以上とすることで、Liの析出を効果的に抑制できることがわかった。
また、低温時のみならず、過充電時にも、添加材がLTO被覆されていることでLiの析出が抑制されることがわかった。加えて、過充電時には、負極添加材からの水和水の放出自体も抑制される。その結果、過充電で負極表面に析出するLiと水分との反応が劇的に抑制される。したがって、例えば、LTO被覆の厚みが1nmであっても、過充電による温度上昇を130℃未満に効果的に抑制できることが確認された。そして特に、LTO被覆の厚みが2nm以上の場合は、Liの析出自体が効果的に抑制され、電池の表面温度は100℃以下にまで低減されて、安全に電池反応を停止できることが確認された。しかし、LTO被覆の厚みが10nmを超えて、例えば20nmや、30nm程度にまで厚くなると、上記の効果はより明瞭に発揮されるものの、電池容量が有意に低減してしまう点において検討を要する結果となった。
なお、負極添加材がベーマイトおよび水酸化アルミニウム等の水和物を含むセラミックの場合は、過充電時に上記のとおり水和水の放出に伴う熱安定性の問題があり、LTOによる被覆で当該問題を抑制することができた。その一方で、負極添加材がアルミナ等の無水物(水和物を含まない)からなるセラミックである場合、過充電時にこのような問題が起こり難いために改善の効果も得られ難い。しかしながら、アルミナ等の無水物は、例えば、負極を水系スラリーの塗布により製造する際に、水系分散媒への分散性が相対的に悪く、凝集しやすいという課題がある。そのため、例1、8、10に示されるように、添加材としてアルミナを用いた場合の負極の変形抵抗は、セラミックからなる添加材を用いた割には小さくなってしまう。ここで、アルミナ等の無水物からなるセラミックを親水性のLTOによって被覆することで、添加材と水とが馴染み易くなり、例えば、負極を水系スラリーの塗布により製造する際に、水系分散媒への分散性が向上されて、凝集が抑制される。その結果、例2、4、9に示されるように、無水物であっても水和物と同等まで変形抵抗を増大させることができる。換言すると、添加物として無水物からなるセラミックを用いた場合には、LTO被覆によって、変形抵抗を効果的に増大できるという利点が得られることがわかった。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1 負極
10 負極集電体
12 負極活物質層
14 負極活物質粒子
16 無機フィラー粒子
16a セラミック粒子
16b チタン酸リチウム

Claims (2)

  1. リチウムイオン二次電池に用いられる負極であって、負極集電体と、前記負極集電体上に形成された負極活物質層とを含み、
    前記負極活物質層は、電荷担体を可逆的に吸蔵及び放出可能な炭素材料により構成される負極活物質粒子と、無機フィラー粒子と、バインダとを含み、
    前記無機フィラー粒子は、前記負極活物質粒子の平均一次粒子径の1/2以下の平均一次粒子径を有し、セラミック粒子(但し、チタン酸リチウムを除く)の表面の少なくとも一部がチタン酸リチウムによって覆われており、かつ、該セラミック粒子の圧縮弾性率は該負極活物質粒子よりも大きいことを特徴とする、負極。
  2. 前記炭素材料は、黒鉛系材料である、請求項1に記載の負極。
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