JP2021170485A - 蓄電素子用の負極活物質、蓄電素子用の負極、蓄電素子 - Google Patents

蓄電素子用の負極活物質、蓄電素子用の負極、蓄電素子 Download PDF

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Abstract

【課題】比較的貴な電位領域における質量あたりの放電容量が大きい蓄電素子用の負極活物質の提供。【解決手段】バナジウム及びニオブを含む遷移金属複合酸化物を含有し、上記遷移金属複合酸化物を活物質として含む作用極と金属リチウムからなる対極とを備えるセルの放電過程で得られるdQ/dV曲線において、電圧が1.5V超3.0V以下の範囲におけるdQ/dVの最大値h1に対する、電圧が1.0V以上1.5V以下の範囲におけるdQ/dVの最大値h2の比h2/h1が、0.3以上である蓄電素子用の負極活物質。【選択図】なし

Description

本発明は、蓄電素子用の負極活物質、蓄電素子用の負極、蓄電素子に関する。
リチウムイオン非水電解質二次電池に代表される非水電解質二次電池は、エネルギー密度の高さから、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車等に多用されている。上記非水電解質二次電池は、一般的には、セパレータで電気的に隔離された一対の電極を有する電極体、及び電極間に介在する非水電解質を備え、両電極間でイオンの受け渡しを行うことで充放電するよう構成される。また、非水電解質二次電池以外の蓄電素子として、リチウムイオンキャパシタや電気二重層キャパシタ等のキャパシタも広く普及している。
近年、電池の高容量化に向けて、負極活物質の質量あたりの高容量化が求められており、市販のリチウムイオン非水電解質二次電池の負極活物質としては黒鉛(グラファイト)等の炭素系材料が広く用いられている。また、負極活物質として、酸化物系材料であるチタン酸リチウム(LiTi12:LTO)が提案されている(特許文献1参照)。
特開2002−324551
蓄電素子は、用途に応じ、急速充電受け入れ性能が求められている。負極活物質として、上記黒鉛は、質量あたりの放電容量が372mAh g−1と比較的大きいが、黒鉛の作動電位は専ら0.2V vs.Li/Li以下と極めて卑であることから、急速充電時には過電圧によって金属リチウムが析出するおそれがあり、急速充電受け入れ性能の点で問題がある。一方、上記LTOの作動電位は約1.5V vs.Li/Liと貴である。そのため、LTOのような、作動電位が貴な材料を負極に用いると、急速充電時の金属リチウムの析出を抑制できるので、急速充電受け入れ性能に優れる電池とすることができる。また、作動電位が貴な材料を負極に用いることで、電解液の還元分解が抑制され、副反応により生成される被膜の量を軽減できるので、電池を長寿命化できる。
しかしながら、上記LTOは質量あたりの放電容量が175mAh g−1程度と小さい。従って、蓄電素子の質量あたりの容量としては十分ではない。また、蓄電素子の高容量化へのニーズが増加している現在にあっては、負極活物質の質量あたりの容量のさらなる向上が求められている。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、比較的貴な電位領域における質量あたりの放電容量が大きい蓄電素子用の負極活物質を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の一側面に係る蓄電素子用の負極活物質は、バナジウム及びニオブを含む遷移金属複合酸化物を含有し、上記遷移金属複合酸化物を活物質として含む作用極と金属リチウムからなる対極とを備えるセルの放電過程で得られるdQ/dV曲線において、電圧が1.5V超3.0V以下の範囲におけるdQ/dVの最大値h1に対する、電圧が1.0V以上1.5V以下の範囲におけるdQ/dVの最大値h2の比h2/h1が、0.3以上である。
本発明によれば、比較的貴な電位領域における質量あたりの放電容量が大きい蓄電素子用の負極活物質を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池を示す外観斜視図である。 本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池を複数個集合して構成した蓄電装置を示す概略図である。 実施例1及び比較例3におけるdQ/dV曲線である。
本発明の一側面に係る蓄電素子用の負極活物質(以下、単に「負極活物質」ともいう。)は、バナジウム及びニオブを含む遷移金属複合酸化物を含有し、上記遷移金属複合酸化物を活物質として含む作用極と金属リチウムからなる対極とを備えるセルの放電過程で得られるdQ/dV曲線において、電圧が1.5V超3.0V以下の範囲におけるdQ/dVの最大値h1に対する、電圧が1.0V以上1.5V以下の範囲におけるdQ/dVの最大値h2の比h2/h1が、0.3以上である。
本明細書において、遷移金属複合酸化物は負極活物質として作用するものであり、電解質から負極活物質に充放電反応に関与するイオン(リチウムイオン非水電解質二次電池の場合はリチウムイオン)が吸蔵される還元反応を「充電」、負極活物質から充放電反応に関与するイオンが放出される酸化反応を「放電」という。
当該負極活物質を蓄電素子の負極に用いることで、比較的貴な電位領域における質量あたりの放電容量を大きくすることができる。
この理由については定かでは無いが、以下の理由が推測される。
例えばNbのように、遷移金属種がニオブ(Nb)のみである遷移金属酸化物は、Nb5+がd電子を有さないことから、これを負極活物質として用いた場合、充電後、放電の進行に伴って電子伝導度が低下するため、放電性能に劣る蓄電素子となる。これに対して、例えばVNbOのように、遷移金属種としてバナジウム(V)及びニオブ(Nb)を含有する遷移金属複合酸化物は、V3+がd電子を有することから、これを負極活物質として用いた場合、充電後、放電が進行しても高い電子伝導度が維持されるため、放電性能に優れた蓄電素子となる。また、例えばVNb25のように、V5+を含む遷移金属複合酸化物も、初回の充電過程でV5+がV3+に不可逆的に還元されると考えられる。従って、遷移金属種としてバナジウム(V)及びニオブ(Nb)を含有する遷移金属複合酸化物は、放電性能に優れた蓄電素子用の負極活物質とすることができる。上記バナジウム及びニオブが特定の範囲内で還元された状態においては、具体的には、上記バナジウム及びニオブの平均価数が+4を超え+5未満であるか、又は、上記バナジウムの価数が+3を超え+5未満である状態と考えられる。このとき、特定の生成相として、上記バナジウム及びニオブが特定の範囲内で還元された状態にあるV−Nb−O相が形成されると考えられる。
上記遷移金属複合酸化物は、上記遷移金属複合酸化物を活物質として含む作用極と金属リチウムからなる対極とを備えるセルの放電過程で得られるdQ/dV曲線において、1.0V以上1.5V以下の範囲において特異的に高いピークを有している。このピークは、V2+/V3+またはNb3+/Nb4+の酸化反応に起因すると考えられる。このピークが高い遷移金属複合酸化物においては、バナジウム及びニオブは適度に還元された状態となり、上記特定の生成相が形成されると考えられる。このように、当該負極活物質は、バナジウム及びニオブを含む遷移金属複合酸化物を含有し、上記バナジウム及びニオブが特定の範囲内で還元された状態で存在することで、高い放電容量を発現すると推測される。遷移金属複合酸化物が上記の適度に還元された状態にある場合、このピークの最大値h2と、1.5V超3.0V以下の範囲におけるdQ/dVの最大値h1との比h2/h1は0.3以上となる。ここで、「dQ/dV」とは、蓄電素子の電圧Vと、上記電圧Vの変化量dVに対する蓄電素子の放電容量Qの変化量dQの割合である微分値を意味する。
本発明の一側面に係る蓄電素子用の負極活物質が含有する遷移金属複合酸化物は、バナジウム及びニオブの合計含有量に対するバナジウムの含有割合が8mol%以下であることが好ましい。バナジウム及びニオブの合計含有量に対するバナジウムの含有割合が8mol%以下であることで、比較的貴な電位領域における質量あたりの放電容量をより高めることができる。
本発明の一側面に係る蓄電素子用の負極(以下、単に「負極」ともいう。)は、当該負極活物質を含有する。当該負極は、当該負極活物質を含有するので、比較的貴な電位領域における蓄電素子の質量あたりの放電容量を大きくすることができる
本発明の一側面に係る蓄電素子は、当該負極を備える。当該蓄電素子は、当該負極を備えるので、比較的貴な電位領域における質量あたりの放電容量に優れる。
以下、本発明の一実施形態に係る蓄電素子用の負極活物質、蓄電素子用の負極、蓄電素子について、順に詳説する。
<蓄電素子用の負極活物質>
本発明の一実施形態に係る蓄電素子用の負極活物質は、バナジウム及びニオブを含む遷移金属複合酸化物を含有する。
本発明の一側面に係る蓄電素子用の負極活物質が含有する遷移金属複合酸化物は、上記遷移金属複合酸化物を活物質として含む作用極と金属リチウムからなる対極とを備えるセルの放電過程で得られるdQ/dV曲線において、電圧が1.5V超3.0V以下の範囲におけるdQ/dVの最大値h1に対する、電圧が1.0V以上1.5V以下の範囲におけるdQ/dVの最大値h2の比h2/h1の下限としては、0.3であり、0.4が好ましい。また、上記比h2/h1の上限としては、1.2が好ましく、1.0がより好ましい。上記比h2/h1が上記範囲であることで、当該負極活物質が蓄電素子の負極に用いられた場合に、比較的貴な電位領域における質量あたりの放電容量を大きくすることができる。
「比較的貴な電位領域」としては、例えば0.35V(vs.Li/Li)以上が好ましく、0.40V(vs.Li/Li)以上がより好ましく、0.60V(vs.Li/Li)以上がさらに好ましい。また、3.0V(vs.Li/Li)以下が好ましく、2.5V(vs.Li/Li)以下がより好ましく、2.0V(vs.Li/Li)以下がさらに好ましい。
充放電前の負極活物質に対してdQ/dV曲線に基づく評価を行う場合は、後述する本明細書の実施例に記載した通りの手順を採用する。蓄電素子の負極として組み込まれている負極活物質に対してdQ/dV曲線に基づく評価を行う場合は、以下の手順を採用する。
まず、蓄電素子を0.05Cの電流で通常使用時の下限電圧まで定電流放電する。ここで、通常使用時とは、当該蓄電素子について推奨され、又は指定される放電条件を採用して当該蓄電素子を使用する場合をいう。
放電後の上記蓄電素子を不活性雰囲気下にて解体し、負極を取り出し、ジメチルカーボネートで洗浄、乾燥して、改めて上記負極を作用極とし、金属リチウムからなる電極を対極としたセルを組み立てる。なお、対極が金属リチウムの場合、対極における金属リチウムの溶解・析出反応抵抗が極めて低いことから、充放電中の作用極と対極との間の電圧は、金属リチウムの酸化還元電位に対する作用極の電位とほぼ等しいとみなすことができる。
負極合剤1gあたり25mAの電流値で、充電電圧を1.0Vとする定電流定電圧(CCCV)充電を行う。充電終止条件は、充電電流値が負極合剤1gあたり5mAまで減衰した時点とする。10分の休止後、負極合剤1gあたり25mAの電流値で、終止電圧を3.0Vとする定電流(CC)放電を行う。当該定電流放電時の挙動に基づいて、dQ/dV曲線を得る。
dQ/dV曲線を得る手順は次の通りとする。当該定電流放電において、セルの端子間電圧が0.02V変化する毎に、端子間電圧Vの値(V)と当該定電流放電の開始からの積算通電電気量Q(mAh)の値(Q)をデータとして蓄積する。ここでnは自然数である。このデータに基づき、(Qn+1−Q)/(Vn+1−V)の値を(Vn+1−V)/2の値に対してプロットし、dQ/dV曲線を得る。
得られたdQ/dV曲線より、電圧範囲1.5V超3.0V 以下におけるdQ/dVの最大値h1に対する、電圧範囲1.0V 以上1.5V以下におけるdQ/dVの最大値h2の比h2/h1を本明細書における比h2/h1とする。
バナジウム及びニオブの合計含有量に対するバナジウムの含有割合の上限としては、8mol%が好ましい。上記バナジウムの含有割合の下限としては、1mol%が好ましい。上記バナジウム及びニオブの合計含有量に対するバナジウムの含有割合が8mol%以下であることで、比較的貴な電位領域における質量あたりの放電容量及び初期クーロン効率をより高めることができる。
当該負極活物質は、上記遷移金属複合酸化物のみから形成されていてもよく、本発明の効果が奏される限り、上記遷移金属複合酸化物以外の他の負極活物質が含まれていてもよい。他の負極活物質としては、例えば難黒鉛化性炭素、易黒鉛化性炭素、黒鉛、Si等の半金属、Sn等の金属、これら半金属又は金属の酸化物、又は、これら半金属又は金属と炭素材料との複合体等が挙げられる。また、当該負極活物質は、上記遷移金属複合酸化物以外の他の遷移金属複合酸化物を含有していてもよい。
当該負極活物質における上記遷移金属複合酸化物の含有率としては、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。上記遷移金属複合酸化物の含有率を高めることで、蓄電素子の比較的貴な電位領域における質量あたりの放電容量をより大きくすることができる。
当該負極活物質の製造方法は特に限定されない。バナジウム及びニオブを含む遷移金属複合酸化物の製造方法としては、例えば、バナジウム酸化物粒子及びニオブ酸化物粒子を準備すること(準備工程)、バナジウム酸化物粒子とニオブ酸化物粒子とを混合すること(混合工程)、及び上記混合により得られる混合物を焼成すること(焼成工程)を備える。上記焼成工程は、通常、例えば窒素又は空気を含む雰囲気下にて行われる。上記焼成工程の前に、分散媒を揮発させる乾燥工程又は予備加熱工程が設けられていてもよい。なお、焼成工程後、焼成物を粉砕する粉砕工程等をさらに設けてもよい。
上記混合工程においては、バナジウム酸化物粒子とニオブ酸化物粒子とをメカニカルミリング等の公知の手段により混合する。
上記焼成工程における焼成温度としては、1000℃以上1300℃以下が好ましい。
<蓄電素子用の負極>
本発明の一実施形態に係る負極は、上記負極活物質を含有する。当該負極は、上記負極活物質を含有するため、蓄電素子の比較的貴な電位領域における質量あたりの放電容量を大きくすることができる。
負極は、負極基材と、上記負極基材の少なくとも一方の面に直接又は間接に積層される負極活物質層とを備える。負極は、負極基材と負極活物質層との間に配される中間層を備えていてもよい。
(負極基材)
負極基材は、導電性を有する。負極基材の材質としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼、アルミニウム等の金属又はこれらの合金が用いられる。本発明の一実施形態に係る負極活物質は、比較的貴な電位領域における質量あたりの放電容量を大きくすることができ、アルミニウムがリチウムと電気化学的に合金化反応を起こす可能性のある卑な電位に至って使用する必要が無いことから、負極基材としてアルミニウムを用いることができる。従って、これらの中でも、重量およびコストの観点からアルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。アルミニウム又はアルミニウム合金としては、JIS−H4000(2014)又はJIS−H4160(2006)に規定されるA1085、A3003等が例示できる。負極基材としては、箔、蒸着膜等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。したがって、負極基材としてはアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔が好ましい。なお、「導電性」を有するとは、JIS−H0505(1975)に準拠して測定される体積抵抗率が1×10Ω・cm以下であることを意味し、「非導電性」とは、上記体積抵抗率が1×10Ω・cm超であることを意味する。
負極基材の平均厚さは、2μm以上35μm以下が好ましく、3μm以上25μm以下がより好ましく、4μm以上20μm以下がさらに好ましく、5μm以上15μm以下が特に好ましい。負極基材の平均厚さを上記の範囲とすることで、負極基材の強度を高めつつ、蓄電素子の質量あたりのエネルギー密度を高めることができる。「基材の平均厚さ」とは、所定の面積の基材を打ち抜いた際の打ち抜き質量を、基材の真密度及び打ち抜き面積で除した値をいう。
上記負極活物質層は、負極活物質を含むいわゆる負極合剤から形成される。また、負極活物質層を形成する負極合剤は、必要に応じて導電剤、バインダー、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。
上記負極活物質として、上述した遷移金属複合酸化物を含有する負極活物質が用いられる。上記負極活物質層における負極活物質の含有量としては、例えば50質量%以上95質量%以下とすることができる。この含有量の下限は60質量%であってよく、この含有量の上限は80質量%又は70質量%であってもよい。
導電剤としては、炭素質材料、金属、導電性セラミックス等が挙げられる。炭素質材料としては、黒鉛化炭素、非黒鉛化炭素、グラフェン系炭素等が挙げられる。非黒鉛化炭素としては、カーボンナノファイバー、ピッチ系炭素繊維、カーボンブラック等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。グラフェン系炭素としては、グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)、フラーレン等が挙げられる。導電材の形状としては、粉状、繊維状等が挙げられる。導電剤としては、これらの材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの材料を複合化して用いてもよい。例えば、カーボンブラックとCNTとを複合化した材料を用いてもよい。これらの中でも、電子伝導性及び塗工性の観点よりカーボンブラックが好ましく、中でもアセチレンブラックが好ましい。負極活物質層において導電剤を使用する場合、負極活物質層全体に占める導電剤の割合は、およそ10.0質量%以下とすることができ、通常はおよそ5.0質量%以下(例えば1.0質量%以下)とすることが好ましい。
バインダーとしては、例えば、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル酸、ポリイミド等の熱可塑性樹脂;エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のエラストマー;多糖類高分子等が挙げられる。
負極活物質層におけるバインダーの含有量は、1質量%以上10質量%以下が好ましく、3質量%以上9質量%以下がより好ましい。バインダーの含有量を上記の範囲とすることで、負極活物質粒子を安定して保持することができる。
増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース等の多糖類高分子が挙げられる。増粘剤がリチウム等と反応する官能基を有する場合、予めメチル化等によりこの官能基を失活させてもよい。
フィラーは、特に限定されない。フィラーの主成分としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の無機酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、炭酸カルシウム等の炭酸塩、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウム等の難溶性のイオン結晶、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物、タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。負極活物質層においてフィラーを使用する場合、負極活物質層全体に占めるフィラーの割合は、およそ8.0質量%以下とすることができ、通常はおよそ5.0質量%以下(例えば1.0質量%以下)とすることが好ましい。
(中間層)
上記中間層は、負極基材の表面の被覆層であり、炭素粒子等の導電性粒子を含むことで負極基材と負極活物質層との接触抵抗を低減する。中間層の構成は特に限定されず、例えば樹脂バインダー及び導電性粒子を含有する組成物により形成できる。
<蓄電素子>
本発明の一実施形態に係る蓄電素子は、正極と、負極と、電解質とを備える。正極及び負極は、通常、セパレータを介して積層又は巻回された電極体を形成する。この電極体は容器に収納され、この容器内に電解質が充填される。電解質は、正極と負極との間に介在する。当該蓄電素子の一例として、非水電解質二次電池について説明する。
本発明の一実施形態に係る蓄電素子は、上記負極が、上述した蓄電素子用の負極である。当該蓄電素子は、上記負極活物質を含有する負極を備えるため、比較的貴な電位領域における質量あたりの放電容量に優れる。
[正極]
正極は、正極基材と、正極活物質層とを有する。上記正極活物質層は、正極活物質を含有する。上記正極活物質層は、上記正極基材の少なくとも一方の面に沿って直接又は中間層を介して積層される。
上記正極基材は、導電性を有する。基材の材質としては、アルミニウム、チタン、タンタル、ステンレス鋼等の金属又はそれらの合金が用いられる。これらの中でも、耐電位性、導電性の高さ及びコストのバランスからアルミニウム及びアルミニウム合金が好ましい。また、正極基材の形態としては、箔、蒸着膜等が挙げられ、コストの面から箔が好ましい。つまり、正極基材としてはアルミニウム箔が好ましい。なお、アルミニウム又はアルミニウム合金としては、JIS−H4000(2014)又はJIS−H4160(2006)に規定されるA1085、A3003等が例示できる。
正極活物質層は、正極活物質を含むいわゆる正極合剤から形成される。また、正極活物質層を形成する正極合剤は、必要に応じて導電剤、バインダー、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。
上記正極活物質としては、例えば、公知の正極活物質の中から適宜選択できる。リチウムイオン非水電解質二次電池用の正極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材料が用いられる。正極活物質としては、例えば、α−NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、ポリアニオン化合物、カルコゲン化合物、硫黄等が挙げられる。α−NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、例えば、Li[LiNi1−x]O(0≦x<0.5)、Li[LiNiγCo(1−x−γ)]O(0≦x<0.5、0<γ<1)、Li[LiCo(1−x)]O(0≦x<0.5)、Li[LiNiγMn(1−x−γ)]O(0≦x<0.5、0<γ<1)、Li[LiNiγMnβCo(1−x−γ−β)]O(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1)、Li[LiNiγCoβAl(1−x−γ−β)]O(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1)等が挙げられる。スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、LiMn、LiNiγMn(2−γ)等が挙げられる。ポリアニオン化合物として、LiFePO、LiMnPO、LiNiPO、LiCoPO、Li(PO、LiMnSiO、LiCoPOF等が挙げられる。カルコゲン化合物として、二硫化チタン、二硫化モリブデン、二酸化モリブデン等が挙げられる。これらの材料中の原子又はポリアニオンは、他の元素からなる原子又はアニオン種で一部が置換されていてもよい。これらの材料は表面が他の材料で被覆されていてもよい。正極活物質層においては、これら材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。正極活物質層中の正極活物質の含有量は特に限定されないが、その下限としては、50質量%が好ましく、80質量%がより好ましく、90質量%がさらに好ましい。一方、この含有量の上限としては、99質量%が好ましく、98質量%がより好ましい。
上記導電剤としては、導電性材料であれば特に限定されない。このような導電剤としては、上記負極で例示した材料から選択できる。導電剤を使用する場合、正極活物質層全体に占める導電剤の割合は、およそ1.0質量%から20質量%とすることができ、通常はおよそ2.0質量%から15質量%(例えば3.0質量%から6.0質量%)とすることが好ましい。
上記バインダーとしては、上記負極で例示した材料から選択できる。バインダーを使用する場合、正極活物質層全体に占めるバインダーの割合は、およそ0.50質量%から15質量%とすることができ、通常はおよそ1.0質量%から10質量%(例えば1.5質量%から3.0質量%)とすることが好ましい。
上記増粘剤としては、上記負極で例示した材料から選択できる。増粘剤を使用する場合、正極活物質層全体に占める増粘剤の割合は、およそ8質量%以下とすることができ、通常はおよそ5.0質量%以下(例えば1.0質量%以下)とすることが好ましい。ここで開示される技術は、正極活物質層が上記増粘剤を含まない態様で好ましく実施され得る。
上記フィラーとしては、上記負極で例示した材料から選択できる。フィラーを使用する場合、正極活物質層全体に占めるフィラーの割合は、およそ8.0質量%以下とすることができ、通常はおよそ5.0質量%以下(例えば1.0質量%以下)とすることが好ましい。ここで開示される技術は、正極活物質層が上記フィラーを含まない態様で好ましく実施され得る。
上記中間層は、正極基材の表面の被覆層であり、炭素粒子等の導電性粒子を含むことで正極基材と正極活物質層との接触抵抗を低減する。負極と同様、中間層の構成は特に限定されず、例えば樹脂バインダー及び導電性粒子を含有する組成物により形成できる。ここで開示される技術は、上記中間層を有さない態様で好ましく実施され得る。
[負極]
上記負極は、上述したように、本発明の一実施形態に係る蓄電素子用の負極が用いられる。当該蓄電素子は、当該負極を備えるので、比較的貴な電位領域における質量あたりの放電容量に優れる。当該負極の詳細は上述した通りである。
[セパレータ]
上記セパレータとしては、例えば織布、不織布、多孔質樹脂フィルム等が用いられる。これらの中でも、強度の観点から多孔質樹脂フィルムが好ましく、非水電解質の保液性の観点から不織布が好ましい。上記セパレータの主成分としては、強度の観点から例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましく、耐酸化分解性の観点から例えばポリイミドやアラミド等が好ましい。また、これらの樹脂を複合してもよい。
なお、セパレータと電極(通常、正極)との間に、無機層が積層されていてもよい。この無機層は、耐熱層等とも呼ばれる多孔質の層である。また、多孔質樹脂フィルムの一方の面又は両面に無機層が形成されたセパレータを用いることもできる。上記無機層は、通常、無機粒子及びバインダーとで構成され、その他の成分が含有されていてもよい。
[非水電解質]
上記非水電解質としては、一般的な非水電解質二次電池(蓄電素子)に通常用いられる公知の非水電解質が使用できる。上記非水電解質は、非水溶媒と、この非水溶媒に溶解されている電解質塩を含む。なお、上記非水電解質は、固体電解質等であってもよい。
上記非水溶媒としては、一般的な蓄電素子用非水電解質の非水溶媒として通常用いられる公知の非水溶媒を用いることができる。上記非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、エステル、エーテル、アミド、スルホン、ラクトン、ニトリル等を挙げることができる。これらの中でも、環状カーボネート又は鎖状カーボネートを少なくとも用いることが好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用することがより好ましい。環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用する場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの体積比(環状カーボネート:鎖状カーボネート)としては、特に限定されないが、例えば5:95から50:50とすることが好ましい。
上記環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、クロロエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、スチレンカーボネート、カテコールカーボネート、1−フェニルビニレンカーボネート、1,2−ジフェニルビニレンカーボネート等を挙げることができ、これらの中でもECが好ましい。
上記鎖状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジフェニルカーボネート等を挙げることができ、これらの中でもEMCが好ましい。
上記電解質塩としては、一般的な蓄電素子用非水電解質の電解質塩として通常用いられる公知の電解質塩を用いることができる。上記電解質塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、オニウム塩等を挙げることができるが、リチウム塩が好ましい。
上記リチウム塩としては、LiPF、LiPO、LiBF、LiClO、LiN(SOF)等の無機リチウム塩、LiSOCF、LiN(SOCF、LiN(SO、LiN(SOCF)(SO)、LiC(SOCF、LiC(SO等の水素がフッ素で置換された炭化水素基を有するリチウム塩などを挙げることができる。これらの中でも、無機リチウム塩が好ましく、LiPFがより好ましい。
上記非水電解質における上記電解質塩の濃度の下限としては、0.1mol/dmが好ましく、0.3mol/dmがより好ましく、0.5mol/dmがさらに好ましく、0.7mol/dmが特に好ましい。一方、この上限としては、特に限定されないが、2.5mol/dmが好ましく、2.0mol/dmがより好ましく、1.5mol/dmがさらに好ましい。
上記非水電解質には、その他の添加剤が添加されていてもよい。また、上記非水電解質として、常温溶融塩、イオン液体などを用いることもできる。
[蓄電素子の具体的構成]
本発明の一実施形態に係る蓄電素子の形状については特に限定されるものではなく、例えば、円筒型電池、パウチフィルム型電池、角型電池、扁平型電池、コイン型電池、ボタン型電池等が挙げられる。
図1に蓄電素子の一例としての角型の非水電解質二次電池1を示す。なお、同図は、電池容器内部を透視した図としている。セパレータを挟んで巻回された正極及び負極を有する電極体2が角型の電池容器3に収納される。正極は正極リード41を介して正極端子4と電気的に接続されている。負極は負極リード51を介して負極端子5と電気的に接続されている。
[蓄電素子の製造方法]
本発明の一実施形態に係る蓄電素子は、負極として当該負極を用いること以外は、公知の方法により製造することができる。当該蓄電素子の製造方法は、例えば、正極を作製すること、負極を作製すること、非水電解質を調製すること、正極及び負極を、セパレータを介して積層又は巻回することにより交互に重畳された電極体を形成すること、正極及び負極(電極体)を電池容器に収容すること、並びに上記電池容器に上記非水電解質を注入することを備えることができる。上記注入は、公知の方法により行うことができる。注入後、注入口を封止することにより蓄電素子を得ることができる。
<その他の実施形態>
なお、本発明の蓄電素子は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成又は周知技術に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。また、ある実施形態の構成に対して周知技術を付加することができる。
上記実施の形態においては、蓄電素子が非水電解質二次電池である形態を中心に説明したが、その他の蓄電素子であってもよい。その他の蓄電素子としては、キャパシタ(電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ)等が挙げられる。非水電解質二次電池としては、リチウムイオン非水電解質二次電池が挙げられる。
本発明は、上記の蓄電素子を複数備える蓄電装置としても実現することができる。また、本発明の蓄電素子(セル)を単数又は複数個用いることにより組電池を構成することができ、さらにこの組電池を用いて蓄電装置を構成することができる。上記蓄電装置は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源として用いることができる。さらに、上記蓄電装置は、エンジン始動用電源装置、補機用電源装置、無停電電源装置(UPS)等の種々の電源装置に用いることができる。
図2に、電気的に接続された二以上の蓄電素子1が集合した蓄電ユニット20をさらに集合させた蓄電装置30の一例を示す。蓄電装置30は、二以上の蓄電素子1を電気的に接続するバスバ(図示せず)、二以上の蓄電ユニット20を電気的に接続するバスバ(図示せず)を備えていてもよい。蓄電ユニット20又は蓄電装置30は、一以上の蓄電素子の状態を監視する状態監視装置(図示せず)を備えていてもよい。
<実施例>
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[前駆体ペレットの作製工程]
原料粉体として酸化バナジウム(V)及び酸化ニオブ(Nb)を用い、これらをメカニカルミリング処理により混合した。具体的には、上記原料粉体をVとNbのモル比がそれぞれ表1に示す組成比率となるように計4g秤取した。これを直径5mmのジルコニア製ボールが100g(約250個)入った内容積80mLのジルコニア製ポットに投入し、蓋をした。これを遊星型ボールミル(FRITSCH社の「pulverisette 5」)にセットし、公転回転数300rpmで1時間乾式混合した。このようにして、混合粉体を得た。
ペレット成型機を用いて、上記混合粉体を12MPaの圧力で成型し、直径25mmのペレットとした。このようにして、実施例1から実施例9及び比較例1から比較例6に係る前駆体ペレットを作製した。
[焼成工程]
(実施例1、実施例2、実施例5から実施例7及び実施例9)
それぞれの上記前駆体ペレット1個を容積30mLのアルミナ製るつぼ内に載置し、これを真空置換炉(デンケンハイデンタル社製、型番:KDF75)に設置し、0.5L min−1の窒素気流下、常圧で、常温から1000℃まで10時間かけて昇温した後、1000℃で14時間保持することにより焼成した。焼成後、50℃以下になるまで自然放冷した。ペレットを取り出し、粒径を揃えるために、アルミナ製乳鉢で解砕した。このようにして、実施例1、実施例2、実施例5から実施例7及び実施例9に係る遷移金属複合酸化物を作製した。
(実施例4、比較例1から比較例3、比較例5及び比較例6)
それぞれの上記前駆体ペレット1個を直径約55mmのアルミナ製の皿の上に載置し、これを卓上電気炉(アサヒ理化製作所社製、型番:AMF−20)に設置し、空気雰囲気下、常圧で、常温から1000℃まで10時間かけて昇温した後、1000℃で14時間保持することにより焼成した。焼成後、50℃以下になるまで自然放冷した。ペレットを取り出し、粒径を揃えるために、アルミナ製乳鉢で解砕した。このようにして、実施例4、比較例1から比較例3、比較例5及び比較例6に係る遷移金属複合酸化物を作製した。
(実施例3、実施例8及び比較例4)
それぞれの上記前駆体ペレット1個を長さ125mm、幅34mmのアルミナ製のボートの上に載置し、これをガス雰囲気管状炉(タナカテック社製)のアルミナ製炉心管(長さ800 mm、直径42mm)内に設置し、表1に記載した空気または窒素の0.1L min−1の気流下、常圧で、常温から1300℃まで10時間かけて昇温した後、1300℃で14時間保持することにより焼成した。焼成後、50℃以下になるまで自然放冷した。ペレットを取り出し、粒径を揃えるために、アルミナ製乳鉢で解砕した。このようにして、実施例3、実施例8及び比較例4に係る遷移金属複合酸化物を作製した。
(遷移金属複合酸化物の生成相)
作製された実施例1から実施例9及び比較例1から比較例6に係る遷移金属複合酸化物について、エックス線回折装置(Rigaku社製、型番:MiniFlex II)を用いて、粉末エックス線回折パターンを取得した。そのパターンについて、解析ソフト(Rigaku社製、型番:PDXL)を用い、自動検索にて、VおよびNbを「最低1種類は含まれる」、Oを「含まれる」にそれぞれ設定して、上記遷移金属複合酸化物の生成相を検索した。
(負極の作製)
実施例1から実施例9及び比較例1から比較例6に係る遷移金属複合酸化物を負極活物質として用い、次の手順で負極を作製した。導電剤としてアセチレンブラックを用いた。バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いた。上記負極活物質、上記導電剤、及び上記バインダーを80:10:10の質量比で含有し、N−メチルピロリドンを分散媒とする負極合剤ペーストを作製した。負極基材として厚さ20μmのアルミニウム箔上に、負極合剤ペーストを塗布、乾燥、プレスし、負極基材上に負極合剤が配された蓄電素子用負極を作製した。
(セル(蓄電素子)の作製)
上記蓄電素子用負極の性能を評価するため、幅30mm、長さ40mmの矩形状に負極合剤が配された上記蓄電素子用負極を作用極として、評価試験用のセル(蓄電素子)を作製した。対極には幅32mm、長さ42mmの矩形状の金属リチウムを用いた。セパレータにはポリエチレン製の微多孔膜を用いた。非水電解質としては、エチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC):エチルメチルカーボネート(EMC)が体積比30:35:35で混合された混合溶媒に濃度が1mol/dmとなるようにLiPFを溶解させた溶液を用いた。セパレータを介して、上記作用極と対極を対向させたパウチセルを作製した。これにより実施例1から実施例9及び比較例1から比較例6のセル(蓄電素子)を得た。
対極が金属リチウムの場合、対極における金属リチウムの溶解・析出反応抵抗が極めて低いことから、充放電中の作用極と対極との間の電圧は、金属リチウムの酸化還元電位に対する作用極の電位とほぼ等しいとみなすことができる。
以下、比較的貴な電位領域として1.0V(vs.Li/Li)から3.0(vs.Li/Li)の電位範囲を採用し、上記負極活物質の質量あたりの放電容量を評価した。
実施例1から実施例9及び比較例1から比較例6のセル(蓄電素子)に対して、以下の手順及び条件にて初期放電容量確認試験及び充放電サイクル試験を行った。温度は全て25℃にて行った。
(初期放電容量確認試験)
充電は、電流0.1C(負極活物質の質量あたり25mAg−1)、電圧1.0Vの定電流定電圧充電とし、充電終止条件は電流値が0.02C(負極活物質の質量あたり5mAg−1)に減衰した時点とした。放電は、電流0.1C、終止電圧3.0Vの定電流放電とした。なお、充電後及び放電後にそれぞれ10分の休止過程を設けた。この充放電を3サイクル繰り返した。この試験で得られた3サイクル目のセルの放電容量を負極に含有される負極活物質の質量で除して初期放電容量(mAhg−1)として記録した。
(クーロン効率)
上記初期放電容量確認試験における3サイクル目の充電電気量に対する3サイクル目の放電容量の百分率を「初期クーロン効率(%)」として求めた。
(充放電サイクル試験)
続いて、以下の条件にて充放電サイクル試験を行った。充電は、電流0.5C(負極活物質の質量あたり125mAg−1)、電圧1.0Vの定電流定電圧充電とし、充電終止条件は電流値が0.02C(負極活物質の質量あたり5mAg−1)に減衰した時点とした。放電は、電流0.5C、終止電圧3.0Vの定電流放電とした。この充放電を17サイクル行った。なお、充電後及び放電後にそれぞれ10分の休止過程を設けた。
次に、上記初期容量確認試験と同一の条件にて1サイクルの充放電を行うことにより、充放電サイクル後放電容量確認試験を行った。その結果、全ての実施例において、初期放電容量に対して80%以上の充放電サイクル後放電容量を維持していた。
上記充放電サイクル後放電容量確認試験における放電挙動に基づき、上記の方法でdQ/dV曲線を得た。
(比h2/h1の算出)
実施例1から実施例9及び比較例1から比較例6に係るdQ/dV曲線において、1.5V超3.0V以下の電圧範囲における最大値h1に対する1.0V以上1.5V以下の電圧範囲における最大値h2の比h2/h1の算出を行った。また、上記比h2/h1が0.3以上である場合に「dQ/dVピーク有り」と判定した。
なお、本実施例では、実施例1から実施例9及び比較例1から比較例6における比h2/h1は、上記の通り、トータル21サイクル目の放電におけるdQ/dV曲線に基づいて算出した。これは、1サイクル目の放電では、一部の遷移金属複合酸化物のdQ/dV曲線におけるピークの検出が困難となり、判断ができないことから、全ての実施例及び比較例で明確にピークが検出できる21サイクル目で評価したものである。
負極活物質のdQ/dVピークの有無、比h2/h1、遷移金属複合酸化物の生成相、初期放電容量及び初期クーロン効率を表1に示す。なお、表1には、LTOを負極活物質としたときのdQ/dVピークの有無および初期放電容量(理論容量)を、参考例1として示す。また、図3に実施例1及び比較例3におけるdQ/dV曲線を示す。但し、図3において、それぞれの曲線は、電圧が1.5V超3.0V以下の範囲におけるdQ/dVの最大値を1.0として表示したものである。
Figure 2021170485
表1、図3に示されるように、dQ/dV曲線において、電位が1.5V(vs.Li/Li)超3.0V(vs.Li/Li)以下の範囲で高いピークを有し、比h2/h1が0.3以上である実施例1から実施例9は、比較例1から比較例6と比べて質量あたりの初期放電容量が大きかった。また、実施例1から実施例9は、LTOを用いた参考例1の初期放電容量(理論容量)である175mAhg−1以上の大きい放電容量が得られていることがわかる。また、バナジウム及びニオブの合計含有量に対するバナジウムの含有割合が8mol%以下であることで、比較的貴な電位領域における質量あたりの初期放電容量及び初期クーロン効率がより高くなる傾向にあることがわかる。さらに、上記比h2/h1が高い場合、クーロン効率は高くなる傾向にある。
実施例2から実施例4を比較すると、空気雰囲気下で焼成した遷移金属複合酸化物は、窒素雰囲気下で焼成した場合と比較して、初期放電容量及び初期クーロン効率が低くなる傾向にある。これは、空気雰囲気下で焼成すると、遷移金属複合酸化物中のバナジウムが5価に酸化されるために、初回充電時にV3+/V5+の不可逆的な還元反応が起こることによると推測される。
以上のことから、当該蓄電素子は、比較的貴な電位領域において良好な放電特性が得られることが示された。
本発明は、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車などの電源として使用される蓄電素子、及びこれに備わる負極、負極活物質などに適用できる。
また、本発明の一実施形態に係る負極活物質は、比較的貴な電位領域における質量あたりの放電容量を大きくすることができ、アルミニウムがリチウムと電気化学的に合金化反応を起こす可能性のある卑な電位に至って使用する必要が無いことから、負極基材としてアルミニウムを用いることができる。従って、軽量で安価な蓄電素子を提供できる。
また、本発明の一実施形態に係る負極活物質は、固体電解質電池の負極に用いた場合、負極基材としてのアルミニウムを正極基材と兼用できることから、バイポーラー型の電池構成を採用できる。従って、簡略化した電池構造を備えた、高エネルギー密度の蓄電素子を提供できる。
1 非水電解質二次電池
2 電極体
3 電池容器
4 正極端子
41 正極リード
5 負極端子
51 負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置

Claims (4)

  1. バナジウム及びニオブを含む遷移金属複合酸化物を含有し、
    上記遷移金属複合酸化物を活物質として含む作用極と金属リチウムからなる対極とを備えるセルの放電過程で得られるdQ/dV曲線において、電圧が1.5V超3.0V以下の範囲におけるdQ/dVの最大値h1に対する、電圧が1.0V以上1.5V以下の範囲におけるdQ/dVの最大値h2の比h2/h1が、0.3以上である蓄電素子用の負極活物質。
  2. バナジウム及びニオブの合計含有量に対するバナジウムの含有割合が8mol%以下である請求項1に記載の負極活物質。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の負極活物質を含有する蓄電素子用の負極。
  4. 請求項3に記載の負極を備える蓄電素子。
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