JP6873314B2 - 積層体、太陽電池用保護シート、及び太陽電池モジュール - Google Patents

積層体、太陽電池用保護シート、及び太陽電池モジュール Download PDF

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Description

本開示は、積層体、太陽電池用保護シート、及び太陽電池モジュールに関する。
近年、反射防止層を有するフィルムは、種々の用途で用いられている。
例えば、特開2016−001199号公報には、シリカを主成分とするマトリックス中に複数の空孔を有するシリカ系多孔質膜であって、屈折率が1.10〜1.38の範囲内であり、空孔として、直径20nm以上の空孔を含み、最表面に開口した直径20nm以上の空孔の数が、13個/10nm以下であるシリカ系多孔質膜、が記載されている。
また、特開2008−262187号公報には、透明基材フィルム上に、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層がこの順に透明基材フィルム側から積層されており、上記中屈折率層が、(A)波長550nmにおける屈折率が1.60〜1.64、厚さ55.0nm〜65.0nmを有する中屈折率層であり、上記高屈折率層が、(B)波長550nmにおける屈折率が1.70〜1.74、厚さ105.0nm〜115.0nmを有する高屈折率層であり、上記低屈折率層が、(C)波長550nmにおける屈折率が1.32〜1.37、厚さ85.0nm〜95.0nmを有する低屈折率層である反射防止フィルムが記載されている。
シロキサン樹脂中に空隙を含む反射防止層は、空隙の占める割合、即ち、空隙率を高くすることで、光透過性が高く、優れた反射防止能を有する。
一方で、上記反射防止層は、空隙率が大きいことで、耐傷性に劣ることがある。
そこで、本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、上記事情に鑑みてなされたものであり、光透過性が高く且つ耐傷性に優れた積層体を提供することである。
本発明の他の一実施形態が解決しようとする課題は、光透過性が高く且つ耐傷性に優れた太陽電池用保護シート及びその太陽電池用保護シートを備えた太陽電池モジュールを提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の形態が含まれる。
<1> 樹脂基材と、樹脂基材上に設けられた、シロキサン樹脂中に、径が20nm〜200nmで且つ径の変動係数が30%〜100%の閉鎖空隙を含み、閉鎖空隙の空隙率が20%〜80%である反射防止層と、を有する積層体。
<2> 反射防止層の表面での、径が5nm以上の開口部が13個/10nm以下である、<1>に記載の積層体。
<3> 閉鎖空隙の径の変動係数が30%〜45%である、<1>又は<2>に記載の積層体。
<4>
閉鎖空隙の径が25nm〜150nmである、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の積層体。
<5> 閉鎖空隙の径が30nm〜70nmである、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の積層体。
<6> 閉鎖空隙の空隙率が30%〜60%である、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の積層体。
<7> 反射防止層の膜厚が80nm〜200nmである、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の積層体。
<8> 樹脂基材が、ポリエチレン基材、ポリプロピレン基材、ポリカーボネート基材、ポリメチルメタクリレート基材、ポリエチレンテレフタレート基材、又はポリエチレンナフタレート基材である、<1>〜<7>のいずれか1つに記載の積層体。
<9> <1>〜<8>のいずれか1つに記載の積層体を有する、太陽電池用保護シート。
<10> <9>に記載の太陽電池用保護シートを備える、太陽電池モジュール。
本発明の一実施形態によれば、光透過性が高く且つ耐傷性に優れた積層体を提供することができる。
本発明の他の一実施形態によれば、光透過性が高く且つ耐傷性に優れた太陽電池用保護シート及びその太陽電池用保護シートを備えた太陽電池モジュールを提供することができる。
以下において、本開示の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本開示の代表的な実施形態に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施形態に限定されるものではない。
なお、本開示において、数値範囲を示す「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
また、本開示における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
また、本開示中の「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。
更に、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
また、本開示における重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)の商品名)のカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により、溶剤THF(テトラヒドロフラン)、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
<積層体>
本開示に係る積層体は、樹脂基材と、樹脂基材上に設けられた、シロキサン樹脂中に、径が20nm〜200nmで且つ径の変動係数が30%〜100%の閉鎖空隙を含み、閉鎖空隙の空隙率が20%〜80%である反射防止層と、を有する。
ここで、シロキサン樹脂中に閉鎖空隙を含むとは、シロキサン樹脂を含んで構成されるマトリックス中に閉鎖空隙が存在することを意味する。即ち、本開示における反射防止層は、シロキサン樹脂を含んで構成されるマトリックス中に閉鎖空隙が存在する層である。
以下、本開示における「閉鎖空隙」は、単に「空隙」ともいう。
既述のように、シロキサン樹脂中に、径が20nm〜200nmの閉鎖空隙を含み、閉鎖空隙の空隙率が20%〜80%である反射防止層は、空隙率が高く、優れた反射防止能を有する一方、高い空隙率のために耐傷性に劣ることがある。これは、空隙率が高い場合、反射防止層の表面近傍まで閉鎖空隙が存在するためと考えられる。
そこで、本発明者らは、閉鎖空隙について検討を行ったところ、空隙率を高めつつも空隙の径に分布を持たせることで、反射防止能、即ち、光透過性に優れ、且つ、耐傷性に優れる反射防止層となることを見出した。
即ち、本開示に係る積層体において、反射防止層について、空隙率は高いものの、閉鎖空隙の径の変動係数を30%〜100%としている。この変動係数の値は、閉鎖空隙の径が分布を有することを意味している。その結果、大きな閉鎖空隙の隙間に小さな閉鎖空隙が入り込むことができ、反射防止層内に効率的に閉鎖空隙を含むことができる。
なお、特開2016−001199号公報及び特開2008−262187号公報のそれぞれに記載の反射防止層を有するフィルムは、いずれも、反射防止層における閉鎖空隙の径の変動係数まで考慮されてはおらず、高い光透過性を維持したまま、優れた耐傷性を得ることについては十分ではないと考えられる。
本開示における反射防止層に存在する閉鎖空隙について説明する。
本開示における閉鎖空隙は、径の変動係数が30%〜100%であり、30%〜70%であることがより好ましく、30%〜45%が更に好ましい。
閉鎖空隙の径の変動係数が30%以上であることで、高い空隙率であっても反射防止層の耐傷性が高められる。また、閉鎖空隙の径の変動係数が100%以下であることで、大きな閉鎖空隙が存在せず、反射防止層の耐傷性が低下することを抑えられる。
本開示における閉鎖空隙は、径(以下、「空隙径」ともいう)が20nm〜200nmであり、耐傷性を高める観点から、反射防止層の膜厚よりも小さくなるように決定されることがよく、25nm〜150nmが好ましく、30nm〜70nmであることが更に好ましい。
空隙径が20nm以上であることで、反射防止層の反射防止能、即ち、光透過性が得られる。また、空隙径が200nm以下であることで、反射防止層の耐傷性が確保できるとともに、反射防止層の表面の凸凹が抑制されて光の散乱が低減できるため、反射防止層の光透過率が向上する。
本開示における閉鎖空隙の空隙率が、20%〜80%であり、30%〜70%であることがより好ましく、30%〜60%が更に好ましい。
空隙率が20%以上であることで、反射防止層の屈折率が高くなり過ぎず、反射防止層の反射防止能、即ち、光透過性が得られる。また、空隙率が80%以下であることで、反射防止層の屈折率が低くなり過ぎず、反射防止層の耐傷性が確保できる。
ここで、反射防止層の閉鎖空隙における空隙径、空隙率、及び空隙径の変動係数の測定方法は、以下の通りである。
反射防止層が設けられた積層体を樹脂基材表面と直交する方向に切断し、切断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより、空隙径、空隙径の変動係数、及び空隙率を測定する。
切断面のSEM画像(倍率50000倍)において、任意に選択した200個の空隙に対して、それぞれ円相当径を算出し、その平均値を空隙径とする。
また、空隙率は、切断面のSEM画像(倍率50000倍)について、画像処理ソフト(ImageJ)を用いて、空隙部分とマトリックス部分(即ち、シロキサン樹脂を含む空隙以外の部分)とを画像処理(二値化)を行い分離し、空隙部分の割合を算出して空隙率とする。
なお、閉鎖空隙の径に異方性がない場合、空隙率はシロキサン樹脂中における空隙の体積分率として求められる。
また、反射防止層の空隙径の変動係数は、上記測定において測定した空隙径の分布における標準偏差を、空隙径で除算することにより算出する。
本開示においては、反射防止層の表面での、径が5μm以上の開口部が13個/10nm以下であることが好ましく、0個/10nmであることがより好ましい。
反射防止層の表面には、耐傷性の観点から、径が5μm以上の開口部はない方が好ましいが、存在した場合であっても、13個/10nm以下とすることが好ましく、5個/10nm以下とすることがより好ましい。
13個/10nm以下とすることで、例えば、硬度HB程度の鉛筆では傷がつかない、といった反射防止層の耐傷性が得られる。
ここで、反射防止層表面の開口部の観察及び測定方法は、以下の通りである。
積層体の反射防止層表面を、走査型電子顕微鏡(SEM)で10視野撮影し、得られたSEM画像(倍率50000倍)について、画像処理ソフト(ImageJ)を用いて開口部分とマトリックス部分(即ち、シロキサン樹脂を含む空隙以外の部分)とを画像処理(二値化)を行い分離する。次いで、開口部分の短径と長径を算出し、短径と長径との平均値を開口部の径とする。
なお、開口部の中でも、上記の長径を短径で徐算した値をアスペクト比として、3以上のものをクラックと定義する。
本開示における反射防止層には、クラックがないことが好ましい。
以下、本開示に係る積層体を構成する、樹脂基材、反射防止層、及びその他の層について、説明する。
〔樹脂基材〕
本開示における積層体は、樹脂基材を用いる。樹脂基材は変形が可能であるため、樹脂基材を有する積層体に力が掛かった際に、掛かった力を樹脂基材が吸収することができる。その結果、本開示における積層体の反射防止層の耐傷性が良好となる。
本開示に用いられる樹脂基材は、積層体の用途に応じて決定されればよく、特に制限はない。
樹脂基材に含まれる樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、アクリル樹脂、セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリアミド、又はフッ素系ポリマー等が挙げられる。中でも、コスト、機械強度、及び透明性の観点から、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、アクリル樹脂、又は、セルロースが好ましい。
ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、シクロオレフィン等が挙げられる。
アクリル樹脂としては、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
セルロースとしては、トリアセチルセルロース等が挙げられる。
上記の樹脂基材の中でも、ポリエチレン基材、ポリプロピレン基材、ポリカーボネート基材、ポリメチルメタクリレート基材、ポリエチレンテレフタレート基材、又は、ポリエチレンナフタレート基材が好ましい。
樹脂基材としては、光透過率が高い観点から、ポリプロピレン基材、ポリカーボネート基材、ポリメチルメタクリレート基材、又は、ポリエチレンテレフタレート基材が特に好ましく、ポリプロピレン基材が最も好ましい。
樹脂基材の厚さは、取扱い性の観点等から、1μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、30μm以上が更に好ましい。樹脂基材の厚さの上限としては、1000μm以下が好ましく、500μm以下がより好ましく、100μm以下が更に好ましい。
樹脂基材の屈折率は、1.40〜1.75が好ましく、1.45〜1.68がより好ましい。
本開示における屈折率は、波長550nmにおける屈折率を表す。
〔反射防止層〕
本開示における反射防止層は、シロキサン樹脂中に、径が20nm〜200nmで且つ径の変動係数が30%〜100%の閉鎖空隙を含み、閉鎖空隙の空隙率が20%〜80%である。
上述の閉鎖空隙を有する反射防止層は、その形成方法に制限はない。樹脂基材の熱変形等の劣化を抑制する観点、及び、反射防止層表面に既述のような開口部が形成され難い観点から、上述の閉鎖空隙を有する反射防止層の形成には、中空粒子又はコアシェル粒子を用いて、シロキサン樹脂を含んで構成されるマトリックス中に閉鎖空隙を形成する方法を用いることが好ましい。中空粒子を含む組成物を塗布して反射防止層を形成する方法としては、例えば、特開2009−103808号公報〔0028〕〜〔0029〕に記載の方法、又は特開2008−262187号公報〔0030〕〜〔0031〕に記載の方法を適用できる。特に、空隙径及び空隙率の調整が容易である観点から、コアシェル粒子を用いて反射防止層を形成する方法が好ましい。
以下に、コアシェル粒子を用いた反射防止層の形成方法について、好ましい一態様を説明するが、本開示における反射防止層は、この形成方法にて形成されたものに限定されない。
コアシェル粒子を用いた反射防止層の形成方法には、コアシェル粒子及びシロキサン化合物を含む塗布液(以下、「反射防止層形成塗布液」ともいう)が用いられることが好ましい。
−コアシェル粒子−
反射防止層形成塗布液は、例えば、コアシェル粒子を含む。
コアシェル粒子としては、閉鎖空隙の形成し易さの観点から、有機溶剤をコア材として含むことが好ましく、特に、有機溶剤の20質量%以上が、沸点90℃以上350℃以下の非極性溶剤であることが好ましい。
なお、本開示における「沸点」は、1気圧(101,325Pa)における沸点である。また、本開示における「非極性溶剤」とは、水への溶解度が20℃において0.1質量%以下であり、比誘電率の値が10以下である溶剤をいう。
沸点90℃以上350℃以下の非極性溶剤としては、炭化水素化合物、フッ化炭化水素化合物、シリコーン化合物等が挙げられるが、反射防止層の光透過性及びヘーズの観点から、炭化水素化合物であることが好ましい。
上記炭化水素化合物としては、脂肪族炭化水素化合物であっても、芳香族炭化水素化合物であってもよいが、反射防止層の光透過性及びヘーズの観点から、脂肪族炭化水素化合物であることが好ましく、アルカンであることがより好ましい。
上記炭化水素化合物は、直鎖であっても、分岐を有していても、環構造を有していても、不飽和結合を有していてもよいが、反射防止層の光透過性及びヘーズの観点から、直鎖状の炭化水素化合物、又は、分岐を有する炭化水素化合物であることが好ましく、直鎖状の炭化水素化合物であることがより好ましい。
また、上記炭化水素化合物は、不飽和結合を有さない化合物であることが好ましい。
更に、上記炭化水素化合物は、反射防止層の光透過性及びヘーズの観点から、炭素原子及び水素原子のみからなる化合物であることが好ましい。
上記炭化水素化合物の炭素数は、反射防止層の光透過性及びヘーズの観点から、7以上であることが好ましく、8以上20以下であることがより好ましく、10以上19以下であることが更に好ましく、12以上17以下であることが特に好ましい。
上記非極性溶剤の沸点としては、反射防止層の光透過性及びヘーズの観点から、100℃以上340℃以下であることが好ましく、120℃以上320℃以下であることがより好ましく、200℃以上310℃以下であることが特に好ましい。
沸点90℃以上350℃以下の非極性溶剤として、具体的には例えば、n−ヘプタン(沸点:98℃)、n−オクタン(沸点:125℃)、n−デカン(沸点:174℃)、n−ドデカン(沸点:216℃)、n−テトラデカン(沸点:254℃)、n−ヘキサデカン(沸点:287℃)、n−ヘプタデカン(沸点:302℃)、n−オクタデカン(沸点:317℃)、n−イコサン(沸点:343℃)、シクロオクタン(沸点:149℃)、トルエン(沸点:111℃)、p−キシレン(沸点:138℃)、m−キシレン(沸点:139℃)、o−キシレン(沸点:144℃)等が好ましく挙げられる。
上記有機溶剤は、1種類のみで用いてもよいし、2種以上の有機溶剤の混合溶剤であってもよい。
また、沸点90℃以上350℃以下の非極性溶剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
コアシェル粒子のコア材として含まれる上記有機溶剤における沸点90℃以上350℃以下の非極性溶剤の含有量は、上記有機溶剤の全質量に対し、20質量%以上であればよいが、反射防止層の光透過性及びヘーズの観点から、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましく、99質量%以上100質量%以下であることが特に好ましい。
コアシェル粒子のシェルの材質は、特に制限はないが、反射防止層の、強度、光透過性及びヘーズの観点から、ポリシロキサン化合物を含むことが好ましい。同様の理由から、コアシェル粒子のシェルの材質は、後述する式1で表されるシロキサン化合物の加水分解縮合物を含むことがより好ましく、後述する式1で表されるシロキサン化合物の加水分解縮合物を、シェルの全質量に対し、50質量%以上含むことが更に好ましく、後述する式1で表されるシロキサン化合物の加水分解縮合物からなることが特に好ましい。
また、コアシェル粒子の表面は、疎水性であっても、親水性であってもよいが、保存安定性、及び、反射防止層のヘーズの観点から、親水性であることが好ましい。
コアシェル粒子の体積平均粒子径は、反射防止層の、強度、光透過性及びヘーズの観点から、0.05μm〜1.5μmであることが好ましく、0.08μm〜1.0μmであることがより好ましく、0.1μm〜0.6μmであることが更に好ましく、0.1μm〜0.4μmであることが特に好ましい。
また、コアシェル粒子の粒子径の変動係数は、反射防止層の光透過性及びヘーズの観点から、100%以下であることが好ましく、20%〜80%であることがより好ましく、30%〜70%であることが更に好ましく、30%〜60%であることが特に好ましい。
コアシェル粒子の変動係数を制御することで、反射防止層に形成される閉鎖空隙の変動係数を調整することができる。
本開示における粒子の体積平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置(型番:マイクロトラックMT3300EXII、マイクロトラックベル(株))を用いて測定するものとする。なお、本開示において平均粒子径は、メジアン径を意味する。
また、本開示におけるコアシェル粒子の粒子径の変動係数は、上記測定において測定した粒子径の体積分布における標準偏差を、メジアン径で除算することにより算出する。
コアシェル粒子におけるコアとシェルとの質量比は、反射防止層の、強度、光透過性及びヘーズの観点から、コア:シェル=1:99〜99:1であることが好ましく、5:95〜95:5であることがより好ましく、10:90〜90:10であることが特に好ましい。
コアシェル粒子におけるコアの大きさ(即ち、最大径)は、反射防止層の、強度、光透過性及びヘーズの観点から、40nm以上であることが好ましく、40nm〜1,000nmであることがより好ましく、60nm〜600nmであることが特に好ましい。
コアシェル粒子におけるコアの大きさ(即ち、最大径)は、既述の反射防止層の空隙の径の測定方法と同様の方法により測定することができる。
コアシェル粒子は、1種単独で使用しても、2種以上を使用してもよい。
コアシェル粒子の含有量は、反射防止層の、強度、光透過性及びヘーズの観点から、反射防止層形成用塗布液の全質量に対し、0.05質量%〜40質量%であることが好ましく、0.1質量%〜20質量%であることがより好ましく、0.5質量%〜10質量%であることが特に好ましい。
−シロキサン化合物−
反射防止層形成用塗布液は、シロキサン化合物を含むことが好ましい。
特に、シロキサン化合物としては、下記式1で表されるシロキサン化合物、下記式1で表されるシロキサン化合物の加水分解物、及び、下記式1で表されるシロキサン化合物の加水分解縮合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物(以下、特定シロキサン化合物ともいう)が好ましい。
Figure 0006873314
式1中、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜6の1価の有機基を表し、R及びRはそれぞれ独立に、アルキル基、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、(メタ)アクリル基、アミノ基、イソシアヌレート基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシ基及び第四級アンモニウム基よりなる群から選ばれる基を有する有機基を表し、mはそれぞれ独立に、0〜2の整数を表し、nは1〜20の整数を表す。
式1で表されるシロキサン化合物の加水分解物とは、式1で表されるシロキサン化合物におけるケイ素原子上の置換基の少なくとも一部が加水分解し、シラノール基となっている化合物をいう。また、式1で表されるシロキサン化合物の加水分解縮合物とは、式1で表されるシロキサン化合物、及び、式1で表されるシロキサン化合物の加水分解物よりなる群から選ばれる2以上の化合物が縮合した化合物をいう。
式1におけるR及びRにおける炭素数1〜6の有機基は、直鎖状であっても、分岐を有していても、環構造を有していてもよい。炭素数1〜6の有機基としては、アルキル基、アルケニル基等が挙げられ、アルキル基であることが好ましい。
炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
式1におけるR及びRはそれぞれ独立に、反射防止層の、強度、光透過性及びヘーズの観点から、炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることがより好ましく、メチル基又はエチル基であることが更に好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
式1におけるRはそれぞれ独立に、反射防止層の、強度、光透過性及びヘーズの観点から、炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることがより好ましく、メチル基又はエチル基であることが更に好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
式1におけるRはそれぞれ独立に、反射防止層の、強度、光透過性及びヘーズの観点から、アルキル基、ビニル基、又は、ビニル基、エポキシ基、スチリル基(ビニルフェニル基)、(メタ)アクリロキシ基、(メタ)アクリルアミド基、アミノ基、イソシアヌレート基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシ基及び第四級アンモニウム基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の基を有するアルキル基であることが好ましく、アルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜8のアルキル基であることが特に好ましい。
式1におけるmは、反射防止層の、強度、光透過性及びヘーズの観点から、1又は2であることが好ましく、2であることがより好ましい。
式1におけるnは、反射防止層の、強度、光透過性及びヘーズの観点から、2〜20の整数であることが好ましい。
特定シロキサン化合物の例としては、信越化学工業(株)製のKBE−04、KBE−13、KBE−22、KBE−1003、KBM−303、KBE−403、KBM−1403、KBE−503、KBM−5103、KBE−903、KBE−9103P、KBE−585、KBE−803、KBE−846、KR−500、KR−515、KR−516、KR−517、KR−518、X−12−1135、X−12−1126、X−12−1131;エボニックジャパン(株)製のDynasylan4150;三菱ケミカル(株)製のMKC(登録商標)シリケートMS51、MS56、MS57、MS56S;コルコート(株)製のエチルシリケート28、N−プロピルシリケート、N−ブチルシリケート、SS−101;等が挙げられる。
反射防止層形成用塗布液は、特定シロキサン化合物を1種のみ含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
特定シロキサン化合物の含有量は、反射防止層の、強度、光透過性及びヘーズの観点から、反射防止層形成用塗布液の全固形分に対し、30質量%〜99質量%であることが好ましく、50質量%〜99質量%であることがより好ましく、70質量%〜95質量%であることが特に好ましい。
なお、本開示における反射防止層形成用塗布液の「固形分」とは、水及び後述する親水性有機溶剤を除いた成分を意味する。
−界面活性剤−
反射防止層形成用塗布液は、界面活性剤を含むことが好ましい。
反射防止層形成用塗布液に含まれる界面活性剤としては、例えば、有機溶剤のエマルジョン形成に用いられる、即ち、コアシェル粒子を形成する際に用いられる界面活性剤と、反射防止層形成用塗布液の下層への濡れ性及び塗布性を高めるために用いられる界面活性剤と、が挙げられる。
コアシェル粒子を形成する際に用いられる界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、イオン性界面活性剤である、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、いずれも本開示に好適に用いることができる。
中でも、上述の特定シロキサン化合物と相互作用的な引力によりコアシェル粒子が効率的に形成される観点、反射防止層形成用塗布液の保存安定性、並びに、反射防止層の光透過性及びヘーズの観点から、コアシェル粒子を形成する際に用いられる界面活性剤は、ノニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の界面活性剤が好ましく、カチオン界面活性剤がより好ましい。
コアシェル粒子を形成する際に用いられる界面活性剤の分子量は、反射防止層形成用塗布液の保存安定性、並びに、反射防止層の光透過性及びヘーズの観点から、10,000以下であることが好ましく、5,000以下であることがより好ましく、1,000以下であることが更に好ましく、300以上800以下であることが特に好ましい。
カチオン界面活性剤としては、第四級アンモニウム塩型、ピリジニウム塩型、アミン塩型、ポリアミン型界面活性剤等が挙げられる。カチオン界面活性剤として具体的には、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、ベンザルコニウム塩、アルキルアミン塩等が挙げられる。カチオン界面活性剤としてより具体的には、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルピリジニウムクロリド、ベンザルコニウムクロリド、モノメチルアミン塩酸塩、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
有機溶剤(好ましくは非極性溶剤)のエマルジョン粒子安定性の観点から、カチオン界面活性剤としては、第四級アンモニウム塩型、ピリジニウム塩型、ポリアミン型界面活性剤が好ましく、第四級アンモニウム塩型、ピリジニウム塩型界面活性剤がより好ましい。
ノニオン界面活性剤の例としては、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ポリアルキレングリコールモノアルキルエステル、ポリアルキレングリコールモノアルキルエステル・モノアルキルエーテル等が挙げられる。より具体的には、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテル、ポリエチレングリコールモノステアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノセチルエーテル、ポリエチレングリコールモノラウリルエステル、ポリエチレングリコールモノステアリルエステル等が挙げられる。
その他のイオン性界面活性剤の例としては、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩等のアニオン界面活性剤;アルキルカルボキシベタイン等の両性界面活性剤を挙げることができる。
反射防止層形成用塗布液は、下層への濡れ性、塗布性を高める観点からは、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、アセチレン系界面活性剤等を含んでいてもよい。
フッ素系界面活性剤としては、メガファック(登録商標)F−444などのDIC(株)のメガファック(登録商標)シリーズ、サーフロン(登録商標)S−221などのAGCセイミケミカル(株)のサーフロン(登録商標)シリーズ、フタージェント100などの(株)ネオスのフタージェントシリーズなどが挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、KP−124などの信越化学工業(株)のレベリング材KPシリーズなどが挙げられる。
アセチレン系界面活性剤としては、サーフィノール420、オルフィンE1004などの日信化学工業(株)のサーフィノールシリーズ、オルフィンシリーズなどが挙げられる。
反射防止層形成用塗布液は、界面活性剤を1種のみ含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
反射防止層形成用塗布液における界面活性剤の含有量は、保存安定性、並びに、反射防止層の光透過性及びヘーズの観点から、反射防止層形成用塗布液の全質量に対し、0.01質量%〜10質量%であることが好ましく、0.02質量%〜5質量%であることがより好ましく、0.03質量%〜1質量%であることが特に好ましい。
また、コアシェル粒子を形成する際に用いられる界面活性剤の含有量は、コアシェル粒子におけるコア材である有機溶剤の全質量に対し、保存安定性、並びに、反射防止層の光透過性及びヘーズの観点から、0.5質量%以上70質量%以下であることが好ましく、1質量%以上35質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上25質量%以下であることが特に好ましい。
−水及び有機溶剤−
反射防止層形成用塗布液は、水を含むことが好ましい。
反射防止層形成用塗布液は、水との親和性に優れる親水性有機溶剤等を更に含んでいてもよい。
反射防止層形成用塗布液中の水の含有量は、水及び親水性有機溶剤の総含有量(上記コアシェル粒子におけるコア材の有機溶剤は含まない。)に対し、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上100質量%以下であることが特に好ましい。
反射防止層形成用塗布液が含むことができる親水性有機溶剤としては、例えば、アルコール化合物、グリコール化合物、エーテル化合物、ケトン化合物などの親水性化合物等が挙げられる。
本開示に使用しうる親水性有機溶剤には特に制限はないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、エチレングリコール、エチルセロソルブ等が挙げられる。入手容易性、環境負荷の低減の観点から、親水性有機溶剤としては、アルコール化合物が好ましく、エタノール、及び、イソプロパノールよりなる群から選ばれた少なくとも1種のアルコールがより好ましい。
反射防止層形成用塗布液の全質量に対する固形分の含有量は、反射防止層の光透過性及びヘーズの観点から、0.1質量%〜50質量%であることが好ましく、0.2質量%〜40質量%であることがより好ましく、0.5質量%〜30質量%であることが特に好ましい。
また、反射防止層形成用塗布液における水の含有量は、反射防止層形成用塗布液の全質量に対し、30質量%以上であることが好ましく、40質量%〜99.9質量%であることがより好ましく、50質量%〜99.8質量%であることが更に好ましく、70質量%〜99.5質量%であることが特に好ましい。
−その他の成分−
反射防止層形成用塗布液は、既述の成分に加え、目的に応じて他の成分を含有することができる。
他の成分としては、公知の添加剤を用いることができ、例えば、帯電防止剤、シロキサン化合物の縮合触媒、防腐剤等が挙げられる。
・帯電防止剤
反射防止層形成用塗布液は、帯電防止剤を含有してもよい。
帯電防止剤は、反射防止層に帯電防止性を付与することで、汚染物質の付着を抑制する目的で用いられる。
帯電防止性を付与するための帯電防止剤としては、特に制限はない。
本開示に用いられる帯電防止剤としては、金属酸化物粒子、金属ナノ粒子、導電性高分子、及び、イオン液体よりなる群から選ばれる少なくとも1種を好ましく用いることができる。帯電防止剤は2種以上を併用してもよい。
金属酸化物粒子は帯電防止性を与えるために比較的多量の添加が必要であるが、無機粒子であるために、金属酸化物粒子を含有することで、反射防止層の防汚性をより高めることができる。
金属酸化物粒子には、特に制限はないが、酸化スズ粒子、アンチモンドープ酸化スズ粒子、スズドープ酸化インジウム粒子、酸化亜鉛粒子、シリカ粒子等が挙げられる。
金属酸化物粒子は屈折率が大きく、粒子径が大きいと透過光の散乱による光透過性の低下が懸念されるため、金属酸化物粒子の平均一次粒子径は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることが特に好ましい。また、下限値は、2nm以上であることが好ましい。
また、粒子の形状は特に限定されず、球状であっても、板状であっても、針状であってもよい。
金属酸化物粒子の平均一次粒子径は、分散した粒子を透過型電子顕微鏡により観察し、得られた写真から求めることができる。写真の画像より、粒子の投影面積を求め、そこから円相当径を求め平均粒子径(平均一次粒子径)とする。本開示における平均一次粒子径は、300個以上の粒子について投影面積を測定して、円相当径を求めて算出した値を用いている。
なお、金属酸化物粒子の形状が球状ではない場合にはその他の方法、例えば動的光散乱法を用いて求めてもよい。
帯電防止剤は、反射防止層形成用塗布液に1種のみ含有してもよく、2種以上含有してもよい。金属酸化物粒子を2種以上含有する場合、平均一次粒子径、形状、素材が互いに異なるものを2種以上使用してもよい。
反射防止層形成用塗布液においては、帯電防止剤の含有量は反射防止層形成用塗布液の全固形分に対し、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが特に好ましい。
帯電防止剤の含有量を上記範囲とすることにより、反射防止層形成用塗布液の製膜性を低下させることなく、反射防止層に効果的に帯電防止性を付与することができる。
また、帯電防止剤として金属酸化物粒子を用いる場合の含有量は、反射防止層形成用塗布液の全質量に対し、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが特に好ましい。
金属酸化物粒子の含有量を上記範囲とすることで、反射防止層形成用塗布液における金属酸化物粒子の分散性が良好となり、凝集の発生が抑制され、必要な帯電防止性を反射防止層に付与することができる。
・縮合触媒
反射防止層形成用塗布液は、シロキサン化合物の縮合を促進する縮合触媒を含有することが好ましい。
反射防止層形成用塗布液が縮合触媒を含有することにより、より耐久性に優れた反射防止層を形成することができる。本開示においては、反射防止層形成用塗布液を塗布後に乾燥させて反射防止層中の水分を減少させることに伴い、式1で表されるシロキサン化合物の加水分解物が有するヒドロキシ基の少なくとも一部が互いに縮合して、縮合物を形成することで、安定な膜が形成される。反射防止層の形成時に、式1で表されるシロキサン化合物及びその加水分解物、並びに、それらの加水分解縮合物の縮合を促進する触媒を反射防止層形成用塗布液が含有することで、反射防止層の形成をより速やかに進めることができる。
本開示に用いることができる縮合触媒は、特に限定されないが、酸触媒、アルカリ触媒、有機金属触媒等が挙げられる。
酸触媒の例としては、リン酸、硝酸、塩酸、硫酸、酢酸、クロロ酢酸、蟻酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。
アルカリ触媒の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等が挙げられる。
有機金属触媒の例としては、アルミニウムビス(エチルアセトアセテート)モノ(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート等のアルミキレート化合物、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムビス(ブトキシ)ビス(アセチルアセトネート)等のジルコニウムキレート化合物、チタニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、チタニウムビス(ブトキシ)ビス(アセチルアセトネート)等のチタンキレート化合物及びジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクチエート等の有機スズ化合物等が挙げられる。
縮合触媒の種類は特に限定されないが、有機金属触媒が好ましく、中でも、アルミキレート化合物、又は、ジルコニウムキレート化合物がより好ましい。
縮合触媒の含有量は、反射防止層の強度、光透過性及びヘーズの観点から、反射防止層形成用塗布液の全固形分に対し、0.001質量%〜20質量%であることが好ましく、0.005質量%〜15質量%であることがより好ましく、0.01質量%〜10質量%であることが特に好ましい。
なお、シロキサン化合物の縮合を促進する縮合触媒は、上記式1で表されるシロキサン化合物の加水分解反応の促進に対しても有用である。
式1で表されるシロキサン化合物のケイ素に結合したアルコキシ基の加水分解反応と縮合反応は平衡の関係にあり、反射防止層形成用塗布液中に含まれる水の含有量が多いと加水分解の方向に、水の含有量が少ないと縮合の方向に進む。アルコキシ基の縮合反応を促進する縮合触媒は、上記反応の両方向への促進効果を有するため、反射防止層形成用塗布液における水の含有量が多い状態では加水分解反応を促進することができる。縮合触媒の存在により、式1で表されるシロキサン化合物の加水分解をより穏やかな条件で行うことが可能となる。
反射防止層形成用塗布液は、塗布後、既述のように、溶剤である水等が減少することで特定シロキサン化合物が縮合して硬化し、反射防止層が形成される。また、乾燥時にコアシェル粒子のコア材である有機溶剤の少なくとも一部が揮発し、空隙を形成する。したがって、反射防止層の形成に、重合反応、架橋反応等に必要とされる、光照射及び高温熱処理を必要としない。また、反射防止層形成用塗布液は、重合反応、架橋反応等に必要とされる光重合開始剤、熱重合開始剤等を含有することは必要としない。
このため、保存安定性に影響を与える、光重合開始剤、熱重合開始剤等を含有しない反射防止層形成用塗布液は、保存安定性が良好である。
上記のような反射防止層形成用塗布液によれば、簡便な方法で、光透過性に優れる反射防止層を形成することができる。
−反射防止層形成用塗布液の調製−
反射防止層形成用塗布液の調製方法は、特に制限はなく、例えば、以下の2つの方法等が挙げられる。1つ目の方法は、有機溶剤、界面活性剤、及び、水を混合して、有機溶剤(即ちコア材)を水中に分散し、そこへ特定シロキサン化合物を添加して一部加水分解縮合し、水中に分散した有機溶剤の表面にシェル層を形成してコアシェル粒子を作製し、必要に応じて、その他の成分を添加して、反射防止層形成用塗布液を調製する方法である。2つ目の方法は、有機溶剤をコア材として含むコアシェル粒子、特定シロキサン化合物、界面活性剤、及び、水を混合して、必要に応じて、その他の成分を添加して、反射防止層形成用塗布液を調製する方法である。
中でも、上記の1つ目の方法が好ましい。また、上記の1つ目の方法の場合、特定シロキサン化合物は、有機溶剤、界面活性剤、及び、水とともに添加してもよいし、有機溶剤を水中に分散した後、添加してもよい。
コアシェル粒子は、水中でコア材となる有機溶剤を分散してエマルジョン化し、分散した有機溶剤の表面にシェル層を形成して作製されることが好ましい。シェル層を形成する前にコア材となる有機溶剤をエマルジョン化することにより、シェル層を形成する材料とコア材との間で相互作用的な引力が生じ、効率的にコアシェル化が進む。
コア材をエマルジョン化する方法としては、ローター(回転刃)又はステーター(固定刃)を用いる方法、超音波キャビテーションを利用する方法、ボール又はビーズのような粉砕媒体を用いる方法、原料同士を高速衝突させる方法、分散溶媒を多孔質膜を介して溶媒に通過させる方法などの、コア材に対しせん断力を与える方法が挙げられる。
コア材をエマルジョン化する方法に用いられる装置としては、プライミクス(株)のオートミクサー20型、日本エマソン(株)の超音波ホモジナイザーSonifier(登録商標)SFX250、Sonifier(登録商標)Analog Series 型番450、アシザワ・ファインテック(株)のOMEGA LAB、(株)スギノマシン製のスターバースト10、SPGテクノ(株)のKH−125等が挙げられる。
反射防止層形成用塗布液は、式1で表されるシロキサン化合物と少なくとも水とを接触させて得られる、式1で表されるシロキサン化合物の加水分解物溶液を用いてもよい。なお、加水分解物溶液には、式1で表されるシロキサン化合物の縮合を促進する縮合触媒が含まれていてもよい。
反射防止層形成用塗布液は、上記加水分解物溶液に、界面活性剤及び有機溶剤を添加して得られてもよい。
また、反射防止層形成用塗布液は、有機溶剤、界面活性剤、及び水を混合した後に、有機溶剤を水中に分散した液と、上記加水分解物溶液と、を混合してもよい。
更に、反射防止層形成用塗布液は、有機溶剤、界面活性剤、及び水を混合した後に、有機溶剤を水中に分散した液と、式1で表されるシロキサン化合物とを混合して、加水分解とシェル形成を同時に行ってもよい。
−反射防止層の形成−
以上説明した反射防止層形成用塗布液は、反射防止層の下層上に塗布し、乾燥させることで、反射防止層が形成される。
反射防止層形成用塗布液を塗布する方法としては、特に限定されず、例えば、スプレー塗布、刷毛塗布、ローラー塗布、バー塗布、ディップ塗布等の公知の塗布法をいずれも適用することができる。
また、反射防止層形成用塗布液を塗布する前に、反射防止層形成用塗布液が塗布される下層に対し、コロナ放電処理、グロー処理、大気圧プラズマ処理、火炎処理、紫外線照射処理等の表面処理を施してもよい。
反射防止層形成用塗布液の乾燥は、室温(25℃)で行ってもよく、加熱して行ってもよい。反射防止層形成用塗布液に含まれる有機溶剤を十分揮発させ、空隙を形成し、また、反射防止層の光透過性及び着色抑制の観点、更には、樹脂基材の分解温度以下の温度で加熱する観点から、反射防止層形成用塗布液の乾燥は、40℃〜200℃に加熱して行うことが好ましい。また、樹脂基材の熱変形を抑制する観点では、反射防止層形成用塗布液の乾燥は、40℃〜120℃に加熱して行うことがより好ましい。
また、加熱を行う場合には、加熱時間は、特に制限はないが、1分〜30分であることが好ましい。
以上、コアシェル粒子を含む反射防止層形成用塗布液、及び、この反射防止層形成用塗布液による反射防止層の形成について説明したが、コアシェル粒子の代わりに中空粒子を含む反射防止層形成用塗布液を用いて、反射防止層を形成してもよい。
ここで、中空粒子としては、マトリックスを構成するシロキサン樹脂との親和性の点から、シリカを主成分とする中空シリカ粒子を用いることが好ましい。
中空シリカ粒子としては、特開2013−237593号公報、国際公開第2007/060884号などに記載される中空粒子などが挙げられる。
また、中空シリカ粒子としては、表面が未修飾の中空シリカ粒子であってもよいし、表面が変性されている中空シリカ粒子であってもよい。
また、中空粒子は、反射防止層形成用塗布液中で、分散安定化を図るために、又は、シロキサン樹脂との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理、コロナ放電処理等の物理的表面処理、及び、界面活性剤、カップリング剤等による化学的表面処理の少なくとも一方がなされていてもよい。
本開示における反射防止層の膜厚は、光透過性及びヘーズの観点から、80nm〜200nmが好ましく、100nm〜180nmであることがより好ましく、110nm〜170nmが更に好ましい。
また、反射防止層の膜厚は、反射防止層を、反射防止層表面と垂直な方向に平行に切断し、切断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、その範囲での最小膜厚を計測する断面SEM法、屈折率が既知の基材上に形成した反射防止層つき積層体の透過スペクトル又は反射スペクトルを測定し、光干渉法によりフィッティング解析することにより算出する方法等にて測定することができる。
本開示における反射防止層の屈折率は、光透過性の観点から、1.05〜1.40が好ましく、1.10〜1.35がより好ましく、1.15〜1.30が更に好ましい。
〔その他の層〕
本開示に係る積層体は、他の層を更に有していてもよい。
他の層としては、公知の種々の層を有することができる。具体的には、例えば、接着層、ハードコート層、紫外線吸収層、下塗り層等が挙げられる。
(接着層)
本開示に係る積層体は、樹脂基材と反射防止層との間に、接着層を備えていてもよい。
接着層を備えることにより、樹脂基材と反射防止層との密着性が向上し、耐久性に優れた積層体が得られる。
接着層としては、公知の粘着剤又は公知の接着剤を含む層、又は、これらの硬化物を含む層が挙げられる。
接着層は、樹脂及び架橋剤を含む接着層形成用塗布液を塗布し、乾燥又は硬化した層であることが好ましい。
樹脂としては、特に限定されないが、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられ、密着性の観点から、ポリオレフィン樹脂が好ましい。
架橋剤としては、特に限定されず、オキサゾリン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、ブロックイソシアネート系架橋剤等が挙げられ、オキサゾリン系架橋剤が好ましい。
接着層形成用塗布液は、界面活性剤、溶媒等の公知の成分を更に含んでいてもよい。
接着層の厚さは、特に制限はないが、光透過性の観点から、0.2μm〜10μmであることが好ましく、0.4μm〜5μmであることがより好ましい。
接着層は、例えば、樹脂基材又は反射防止層に接着層形成用塗布液を塗布し、乾燥させることにより形成される。
(ハードコート層)
本開示に係る積層体は、ハードコート層を更に有することが好ましく、樹脂基材の反射防止層が設けられた側に、ハードコート層を更に有することがより好ましく、樹脂基材と反射防止層との間に、ハードコート層を更に有することが特に好ましい。
ハードコート層を備えることにより、耐久性に更に優れた積層体が得られる。これは、ハードコート層により、積層体の内部への酸素の透過が抑制されるため、樹脂基材等の酸素による劣化が抑制されるためであると考えられる。
ハードコート層としては、特に限定されず、太陽電池の分野において公知のハードコート層が挙げられ、例えば、特開2013−45045号公報、特開2013−43352号公報、特開2012−232459号公報、特開2012−128157号公報、特開2011−131409号公報、特開2011−131404号公報、特開2011−126162号公報、特開2011−75705号公報、特開2009−286981号公報、特開2009−263567号公報、特開2009−75248号公報、特開2007−164206号公報、特開2006−96811号公報、特開2004−75970号公報、特開2002−156505号公報、特開2001−272503号公報、国際公開第12/018087号、国際公開第12/098967号、国際公開第12/086659、国際公開第11/105594号に記載のハードコート層を用いることができる。
また、ハードコート層の表面の鉛筆硬度は、積層体の耐傷性の観点から、B以上であることが好ましく、ハードコート層の表面の鉛筆硬度は、HB以上であることがより好ましく、F以上であることが更に好ましい。
ハードコート層の表面の鉛筆硬度の上限は特に制限はないが、ハードコート層の表面の鉛筆硬度の上限は、積層体の加工性の観点から、好ましくは6H以下であり、より好ましくは3H以下である。
なお、ハードコート層の表面の鉛筆硬度は、JIS K 5600−5−4:1999に基づいて測定された値を意味する。鉛筆としては、三菱鉛筆(株)のハイユニを使用する。
ハードコート層の材質としては、公知のものを含むことができるが、ハードコート層は、耐久性の観点から、シロキサン樹脂を含むことが好ましい。
また、上記シロキサン樹脂をゾルゲル法により作製する場合は、ハードコート層は、硬化剤として金属錯体を含むことが好ましい。
金属錯体としては、アルミニウム、マグネシウム、マンガン、チタン、銅、コバルト、亜鉛、ハフニウム及びジルコニウムよりなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含む金属錯体が好ましい。
ハードコート層に含まれるシロキサン樹脂の含有量は、ハードコート層の固形分量に対し、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましい。ハードコート層に含まれるシロキサン樹脂の含有量は、上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。
−無機フィラー−
ハードコート層は、ハードコート層の硬度をより向上させる観点から、無機フィラーを少なくとも1種含有することが好ましい。
無機フィラーとしては、ハードコート層の硬度をより向上させる観点から、金属酸化物フィラー及び無機窒化物フィラーよりなる群から選択される少なくとも1種の無機粒子が好ましい。
金属酸化物フィラーとしては、シリカフィラー、アルミナフィラー、ジルコニアフィラー、チタニアフィラー等が挙げられる。
無機窒化物フィラーとしては、窒化ホウ素フィラー等が挙げられる。
ハードコート層は、ハードコート層中のシロキサン樹脂との架橋の観点から、シリカフィラーを含むことが好ましい。
シリカフィラーとしては、四塩化ケイ素の燃焼によって製造される乾燥粉末状のシリカ;二酸化ケイ素又はその水和物が水に分散したコロイダルシリカ;等が挙げられる。
乾燥粉末状のシリカを用いる場合は、超音波分散機等を用いて水に分散させることで用いることができる。
シリカフィラーは特に限定されないが、具体的には、シーホスターKE−P10などのシーホスターシリーズ((株)日本触媒製)、スノーテックス(登録商標)OZL−35などのスノーテックス(登録商標)シリーズ(日産化学工業(株)製)等が挙げられる。
アルミナフィラーとしては、アルミニウムの両性酸化物である酸化アルミニウム、結晶水を含むアルミナ水和物(水酸化アルミニウム)等が挙げられる。酸化アルミニウムは、結晶構造によりα−アルミナ、γ−アルミナ、δアルミナ、θアルミナなどがある。アルミナ水和物としては、結晶構造によりジブサイト、バイヤライト、ベーマイト、ダイアスポア、擬ベーマイト、非晶質状態のものがある。
アルミナフィラーは特に限定されないが、具体的には、アルミナゾルAS−200などのアルミナゾルシリーズ(日産化学工業(株))、アルミゾル10C、アルミゾルF−1000などのアルミゾルシリーズ(川研ファインケミカル(株))、ハイジライトH−43などのハイジライトシリーズ、アルミナAS10などのアルミナASシリーズ(昭和電工(株))等が挙げられる。
無機フィラーは、コロイド状の場合はハードコート層の形成に直接用いてもよく、粉末状の場合は、超音波分散機等を用いて水などの溶媒に分散させることでハードコート層の形成に用いることができる。
無機フィラーの形状としては、球状、棒状、多面体状、平板状、鱗片状等の粒子形状、数珠形状、針形状、繊維形状等が挙げられる。
無機フィラーが粒子形状(即ち、無機粒子)である場合の数平均一次粒径は、300nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましく、100nm以下が特に好ましい。
無機粒子の数平均一次粒径が300nm以下であると、表面が平滑なハードコート層が得られる。
一方、無機粒子の数平均一次粒径は、2nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましい。
無機粒子の数平均一次粒径が2nm以上であると、ハードコート層の硬度をより向上させることができる。
無機フィラーが、数珠形状、針形状、又は繊維形状の場合、アスペクト比は4以上であることが好ましく、9以上であることがより好ましく、100以上が更に好ましく、500以上が特に好ましい。アスペクト比が高い粒子を用いることにより、ハードコート層の硬度と柔軟性とを両立することができる。
なお、アスペクト比とは、数珠形状の場合、二次粒子径(即ち、一次粒子の結合長)を一次粒子径で除算した値を意味し、針形状及び繊維形状の場合、長径を短径で除算した値を意味する。
無機フィラーが、針形状又は繊維形状の場合、短径は10nm以下が好ましい。
無機粒子の数平均一次粒径は、ハードコート層の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察し、実面積1mmに相当する範囲に含まれる粒子を100個選び出し、各々の粒子の粒径を測定し、測定値(各々の粒子の粒径)を単純平均することによって求められた値を指す。
無機フィラーの含有量は、ハードコート層の固形分量に対し、5質量%〜60質量%であることが好ましく、10質量%〜50質量%であることがより好ましく、20質量%〜50質量%であることが特に好ましい。
シロキサン樹脂と無機フィラーの合計量は、ハードコート層の固形分量に対し、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
−その他の成分−
ハードコート層は、上述した成分以外のその他の成分を含有してもよい。
例えば、ハードコート層は、界面活性剤を少なくとも1種含有していてもよい。
界面活性剤を含むことで、ハードコート層の表面の滑り性が向上し、ハードコート層表面の摩擦が軽減される。
界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
界面活性剤の含有量は、ハードコート層の固形分量に対して、好ましくは0.001質量%〜10質量%であり、より好ましくは0.01質量%〜5質量%であり、更に好ましくは0.1質量%〜1質量%である。
ハードコート層は、pH調整剤を含有していてもよい。
pH調整剤としては、リン酸、硝酸、シュウ酸、酢酸、蟻酸、塩酸などの酸、及び、アンモニア、トリエチルアミン、エチレンジアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリが挙げられる。
ハードコート層は、紫外線吸収剤を含有してもよい。
紫外線吸収剤としては、後述する紫外線吸収層に含まれる紫外線吸収剤と同様の化合物が挙げられ、金属酸化物粒子が好ましく挙げられる。
ハードコート層の厚さは、0.1μm〜10μmが好ましく、0.2μm〜8μmがより好ましく、0.3μm〜6μmが更に好ましい。
ハードコートの厚さが0.1μm以上であると、ハードコート層表面の硬度の面で有利である。
ハードコート層の厚さが10μm以下であると、積層体の透明性及び取り扱い性がより向上する。
ハードコート層は、例えば、上記ハードコート層に含まれる各成分と必要に応じて溶媒とを含むハードコート層形成用塗布液を、樹脂基材又は反射防止層に、塗布し、乾燥させることにより形成される。
(紫外線吸収層)
本開示に係る積層体は、樹脂基材とハードコート層との間(ハードコート層が省略されている場合には、樹脂基材の反射防止層が設けられた側とは反対側の面上)に紫外線吸収層を有していてもよい。
紫外線吸収層は、紫外線吸収剤を含む層であることが好ましく、紫外線吸収剤及びゾルゲル硬化物を含む層、又は、紫外線吸収剤及びバインダーポリマーを含む層であることが好ましい。
紫外線吸収剤としては、公知の紫外線吸収剤を特に制限なく使用することができ、有機化合物であってもよいし、無機化合物であってもよい。
紫外線吸収剤としては、例えば、トリアジン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、サリチル酸化合物、金属酸化物粒子などが挙げられる。また、紫外線吸収剤としては、紫外線吸収構造を含むポリマーであってもよく、紫外線吸収構造を含むポリマーとしては、トリアジン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、サリチル酸化合物等の構造の少なくとも一部を含むアクリル酸エステル化合物に由来する構成単位を含むアクリル樹脂等が挙げられる。
金属酸化物粒子としては、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化セリウム粒子等が挙げられる。
ゾルゲル硬化物としては、Si、Ti、Zr及びAlよりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素のアルコキシド化合物を加水分解及び重縮合させた硬化物が挙げられる。
バインダーポリマーとしては、ポリオレフィン、アクリル樹脂、ポリエステル、及びポリウレタン等が挙げられる。
紫外線吸収層は、上記紫外線吸収層に含まれる各成分と必要に応じて溶媒とを含む紫外線吸収層形成用塗布液を、樹脂基材上に塗布し、必要に応じて乾燥することにより形成される。
(裏面層)
本開示に係る積層体は、樹脂基材の反射防止層が設けられた側とは反対側に、裏面層を備えていてもよい。
裏面層は、例えば、太陽電池モジュールにおける封止材(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を含む封止材)との密着用の層として機能する。
裏面層は、バインダーポリマーを含有することが好ましい。
裏面層は、1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。
例えば、積層体は、樹脂基材のハードコート層及び反射防止層が設けられた側とは反対側に、裏面層として、第A層、第B層、及び第C層をこの順に備えることができる。
以下、積層体に必要に応じて備えられる、第A層、第B層、及び第C層について説明する。
−第A層−
第A層は、バインダーポリマーを含有することが好ましい。
第A層に含有され得るバインダーポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、太陽電池モジュールに適用した場合における封止材との密着性の観点から、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられ、更なる密着性の観点から、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、及びアクリル樹脂が好ましい。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、アローベース(登録商標)SE−1013N、SD−1010、TC−4010、TD−4010、DA−1010(いずれもユニチカ(株))、ハイテックS3148、S3121、S8512(いずれも東邦化学(株))、ケミパール(登録商標)S−120、S−75N、V100、EV210H(いずれも三井化学(株))等が挙げられる。
アクリル樹脂としては、ジュリマー(登録商標)AS−563A(ダイセルファインケム(株))、ボンロンPS−001、PS−002(いずれも三井化学(株))、SIFCLEARS−101、F−101、F102(いずれもJSR(株))、セラネート(登録商標)WSA1070(DIC(株))等が挙げられる。
ポリウレタン樹脂としては、タケラック(登録商標)WS−6021、WS−5000、WS−5100、WS−4000(いずれも三井化学(株))などが挙げられる。
第A層形成用塗布液は、上記の各種樹脂の他、架橋剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、帯電防止剤、防腐剤、無機粒子、溶媒等の公知の成分を更に含んでいてもよい。
架橋剤としては、特に限定されず、オキサゾリン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、ブロックイソシアネート系架橋剤等が挙げられ、オキサゾリン系架橋剤が好ましい。
紫外線吸収剤としては、公知の紫外線吸収剤が挙げられ、具体的には、紫外線吸収層の紫外線吸収剤と同様のものが挙げられる。
第A層の厚さは、0.2μm以上が好ましく、0.4μm以上がより好ましい。また、第A層の厚さは、7.0μm以下であることが好ましい。
第A層の形成方法は、特に制限されない。
第A層の形成方法としては、例えば、溶媒及び上述した第A層の成分(固形分)を含有する第A層形成用塗布液を、樹脂基材の裏面上に塗布し、乾燥させる方法が挙げられる。
−第B層−
裏面層は、上記第A層上に、第B層を備えていてもよい。
第B層は、バインダーポリマーを含有することが好ましい。
第B層におけるバインダーポリマーとしては、封止材との密着力の観点から、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリウレタン樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種のポリマーが好ましい。
第B層におけるバインダーポリマーは、封止材との密着力、塗膜の凝集力の観点から、ポリオレフィン樹脂、又は、アクリル樹脂が好ましい。
第B層は、上記の各種樹脂の他、架橋剤、界面活性剤、帯電防止剤、防腐剤、無機粒子等を含有してもよい。
第B層の形成方法は、特に制限されない。
第B層の形成方法としては、例えば、溶媒及び上述した第B層の成分(固形分)を含有する第B層形成用塗布液を、第A層上に塗布し、乾燥させる方法が挙げられる。
−第C層−
裏面層は、上記第B層上に、第C層を備えていてもよい。
第C層は、太陽電池モジュールの封止材と直接接する層、即ち、太陽電池モジュールの封止材に対する易接着層として機能する層である。
第C層は、バインダーポリマーを含有することが好ましい。
第C層に含有され得るバインダーポリマーとしては、特に限定されないが、例えば太陽電池モジュールに適用した場合における封止材との密着性の観点から、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられ、密着性の観点から、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、及びアクリル樹脂が好ましい。
第C層形成用塗布液は、上記の各種樹脂の他、架橋剤、界面活性剤、帯電防止剤、防腐剤、無機粒子、溶媒等の公知の成分を更に含んでいてもよい。
架橋剤としては、特に限定されず、オキサゾリン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、ブロックイソシアネート系架橋剤等が挙げられ、オキサゾリン系架橋剤が好ましい。
(下塗り層)
本開示に係る積層体は、樹脂基材又は反射防止層の少なくとも一方の面上には、下塗り層を有していてもよい。
下塗り層は、バインダーポリマーを含むことが好ましい。
下塗り層に含有され得るバインダーポリマーは、特に限定されない。
下塗り層に含有され得るバインダーポリマーとして、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。
下塗り層は、アクリル樹脂を含むことが好ましい。
アクリル樹脂としては、上述した第A層に含有され得るアクリル樹脂と同様のものが挙げられる。
下塗り層に含まれるバインダーポリマー中に占めるアクリル樹脂含有比率が50質量%以上であることがより好ましい。
バインダーポリマーの50質量%以上がアクリル樹脂であると、下塗り層の弾性率を0.7GPa以上に調整しやすく、本開示に係る積層体を太陽電池フロントシートとした場合の凝集破壊耐性がより向上する。
下塗り層は、上記の各種樹脂の他、界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤などを含んでいてもよい。
下塗り層の厚さは、0.01μm以上であることが好ましく、0.03μm以上であることがより好ましく、0.05μm以上であることが更に好ましい。
また、下塗り層の厚さは、1μm以下であることが好ましく、0.8μm以下であることがより好ましく、0.7μm以下であることが更に好ましい。
下塗り層は、樹脂基材又は反射防止層上に、溶媒及び下塗り層の固形分を含む下塗り層形成用塗布液を塗布し、乾燥させることにより形成できる。
また、下塗り層は、上記下塗り層形成用塗布液を用い、インラインコート法により形成されてもよい。
インラインコート法は、製造された樹脂基材を巻き取る前の段階で下塗り層形成用塗布液を塗布する方法である点で、製造された樹脂基材を巻き取ってから別途塗布を行うオフラインコート法と区別される。
インラインコート法により下塗り層を形成する態様としては、第1方向に延伸されたフィルムの一方の面に、下塗り層形成用塗布液を塗布し、下塗り層形成用塗布液が塗布されたフィルムを、フィルム表面に沿って第1方向と直交する第2方向に延伸することにより、下塗り層付き樹脂基材を製造する態様が好適である。
〔用途〕
本開示に係る積層体は、優れた反射防止能を示すことから、窓ガラス等の建材の表面保護部材、ディスプレイの表面保護部材等に好適に使用することができる。
中でも、太陽電池用保護シートとして特に好適に用いることができる。
〔太陽電池用保護シート及び太陽電池モジュール〕
本開示に係る太陽電池用保護シートは、本開示に係る積層体を有する。
そのため、本開示に係る太陽電池用保護シートは、光透過性が高く且つ耐傷性に優れる。
太陽電池用保護シートとしては、太陽電池用フロントシート及び太陽電池用バックシートが挙げられ、特に、光透過性が高く且つ耐傷性に優れるため、太陽電池用フロントシートであることが好ましい。
本開示に係る太陽電池モジュールは、本開示に係る太陽電池用保護シートを備える。太陽電池モジュールは、太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池素子を、太陽光が入射する側に設けられる透明性に優れた本開示に係る太陽電池用保護シートとポリエステルフィルムに代表される太陽電池用バックシートとの間に配置して構成されることがより好ましい。
本開示に係る積層体とポリエステルフィルムとの間は、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の樹脂に代表される封止材により封止される。
太陽電池モジュールにおける太陽電池素子等、本開示に係る積層体及びバックシート以外の部材については、例えば、「太陽光発電システム構成材料」(杉本栄一監修、(株)工業調査会、2008年発行)に詳細に記載されている。
太陽電池モジュールに使用される太陽電池素子としては、特に制限はなく、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン等のシリコン系、銅−インジウム−ガリウム−セレン、銅−インジウム−セレン、カドミウム−テルル、ガリウム−砒素等のIII-V族、II-VI族化合物半導体系など、各種公知の太陽電池素子をいずれも適用することができる。
以下、実施例により本開示を詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。なお、本実施例において、「%」、「部」とは、特に断りのない限り、それぞれ「質量%」、「質量部」を意味する。
<実施例1:積層体1の作製>
−エマルジョン粒子分散液1の組成−
・ヘキサデカン(n−ヘキサデカン、富士フイルム和光純薬(株)製):2.77部
・Ca−1(ヘキサデシルピリジニウムクロリド10%蒸留水希釈、カチオン界面活性剤、富士フイルム和光純薬(株)製):4.42部
・蒸留水:42.81部
エマルジョン粒子分散液1の調製は、詳細には、以下の手順で行った。
上記の量の、ヘキサデカン、ヘキサン、Ca−1、及びイオン交換水を混合し、日本エマソン(株)製超音波ホモジナイザーSonifier450を用いて、氷水で冷やし、かつ撹拌しながら30分間処理することにより、水中にヘキサデカンのエマルジョンが存在する分散液を得た。
−コアシェル粒子分散液1の組成−
・エマルジョン粒子分散液1:9.74部
・蒸留水:29.04部
・酢酸(5%蒸留水希釈):1.26部
・MS51(式1で表される化合物、三菱ケミカル(株)製)9.96部
なお、MS51は、上記式1におけるR、R及びRがメチル基であり、mが2であり、nが平均5である化合物である。
次いで、上記の量の、エマルジョン粒子分散液1に、上記の量の、MS51、酢酸、及び蒸留水を添加し、添加後、更に25℃で16時間撹拌することにより、非極性溶剤(即ちヘキサデカン)をコア材として含むコアシェル粒子、式1で表される化合物、界面活性剤、及び水を含むコアシェル粒子分散液1を得た。
−反射防止層形成用塗布液1の組成−
・コアシェル粒子分散液1:15.04部
・蒸留水:79.46部
・F−444(フッ素系界面活性剤1%蒸留水希釈、DIC(株)製):5.50部
次いで、上記の量のコアシェル粒子分散液1に、上記の量の蒸留水及びF−444を添加し、25℃で2日間撹拌することにより、反射防止層形成用塗布液1を得た。
−積層体1の作製−
ポリプロピレン基材(PPと略記、トレファンBO60−2500、東レ(株)製、基材厚み60μm)に、730J/mの条件でコロナ放電処理を行った。その後、バー番手#4を用いたバーコーターにより、反射防止層形成用塗布液1を塗布し、80℃にて2分間乾燥させることにより、平均厚さ130nmの反射防止層を形成し、積層体1を得た。
〔測定及び評価〕
上記にて作製した積層体を用いて、以下の測定及び性能評価を行った。評価結果を表1に示す。
1.空隙径、空隙径の変動係数、及び空隙率の測定
得られた積層体を基材表面と直交する方向に切断し、切断面のSEM画像(倍率50000倍)において、任意に選択した200個の空隙に対して、それぞれ円相当径を算出し、その平均値を空隙径とした。
また、空隙率は、切断面のSEM画像(倍率50000倍)について、画像処理ソフト(ImageJ)を用いて、空隙部分とマトリックス部分(即ち、シロキサン樹脂を含む空隙以外の部分)とを画像処理(二値化)を行い分離し、空隙部分の割合を算出して空隙率とした。
また、反射防止層の空隙径の変動係数は、上記測定において測定した空隙径の分布における標準偏差を、空隙径で除算することにより算出した。
2.開口部の確認及び測定
得られた積層体の反射防止層表面を、走査型電子顕微鏡(SEM)で10視野撮影し、得られたSEM画像(倍率50000倍)について、画像処理ソフト(ImageJ)を用いて開口部分とマトリックス部分(即ち、シロキサン樹脂を含む空隙以外の部分)とを画像処理(二値化)を行い分離した。次いで、開口部分の短径と長径を算出し、短径と長径との平均値を開口部の径とした。
撮影した10視野に含まれる全ての開口部に対して上記の方法で径を算出し、その平均値を開口部の径とした。
なお、上述した長径を短径で徐算した値をアスペクト比として、3以上のものをクラックと定義した。
3.透過率、膜厚、及び屈折率の測定
紫外可視赤外分光光度計(型番:UV−3100PC、(株)島津製作所製)を用いて、積層体の透過率を測定し、積層体の光透過性を評価する指標とした。透過率は、得られた積層体の反射防止層の表面を光源に向けて測定した。
有効透過率の測定値が高いほど、光透過性に優れる反射防止層であることを意味する。
透過率は、波長300nm〜1,100nmにおいて、波長1nm刻みで測定し、その透過率の平均値から算出した平均透過率と有効透過率とを用いて評価した。なお、有効透過率は、下記式Tに基づき、波長300nm〜1,100nmにおける積層体の透過率、太陽光の分光分布(AM1.5)、及び、結晶シリコン太陽電池セルの分光感度を用いて算出した。なお、分光感度は、結晶シリコン型基準太陽電池セルの分光放射照度を分光感度とした。
Figure 0006873314
式T中、E(λ)は、波長λにおける太陽光の分光分布を表し、S(λ)は、波長λにおける結晶シリコン太陽電池セルの分光感度を表し、T(λ)は、波長λにおける積層体の透過率を表す。
また、反射防止層の膜厚及び屈折率を以下の手順で算出した。
基材を日本電気硝子社製の無アルカリガラスOA−10Gに変更した以外は、実施例1と同様にして、反射防止層が形成された積層体を作製し、上記と同様の方法で、透過率を測定した。
反射防止層が形成された積層体の透過率(実測値)と、光干渉法により計算で算出した透過率とを用い、フィッティング解析することで、反射防止層の膜厚及び屈折率を求めた。
5.耐傷性の評価
得られた積層体の反射防止層表面を、JIS K 5600−5−4:1999に記載の方法で、鉛筆によるひっかき試験を行った。試験後に反射防止層表面の傷の有無を目視で確認し、傷が視認されない最も硬い鉛筆の硬度を、耐傷性の評価の指標とした。
ここで、鉛筆としては、三菱鉛筆(株)製のハイユニを使用した。
反射防止層の耐傷性は、HB以上が許容の範囲である。
<実施例2〜4:積層体2〜4の作製>
実施例1において、コアシェル粒子分散液1の組成を、以下に示すコアシェル粒子分散液2〜4の組成に変えて得られた反射防止層形成用塗布液2〜4をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして、積層体2〜4を得た。
得られた積層体2〜4について、実施例1と同様にして、測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
−コアシェル粒子分散液2の組成−
・エマルジョン粒子分散液1:16.74部
・蒸留水:22.04部
・酢酸(5%蒸留水希釈):1.26部
・MS51(式1で表される化合物、三菱ケミカル(株)製)9.96部
−コアシェル粒子分散液3の組成−
・エマルジョン粒子分散液1:21.06部
・蒸留水:17.72部
・酢酸(5%蒸留水希釈):1.26部
・MS51(式1で表される化合物、三菱ケミカル(株)製)9.96部
−コアシェル粒子分散液4の組成−
・エマルジョン粒子分散液1:35.94部
・蒸留水:2.84部
・酢酸(5%蒸留水希釈):1.26部
・MS51(式1で表される化合物、三菱ケミカル(株)製)9.96部
<実施例5:積層体5の作製>
実施例1において、エマルジョン粒子分散液1の組成及びコアシェル粒子分散液1の組成を、以下に示すエマルジョン粒子分散液5の組成及びコアシェル粒子分散液5の組成に変えて得られた反射防止層形成用塗布液5を用いた以外は、実施例1と同様にして、積層体5を得た。
得られた積層体5について、実施例1と同様にして、測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
−エマルジョン粒子分散液5の組成−
・ヘキサデカン(n−ヘキサデカン、富士フイルム和光純薬(株)製):5.53部
・Ca−1(ヘキサデシルピリジニウムクロリド10%蒸留水希釈、カチオン界面活性剤、富士フイルム和光純薬(株)製):8.85部
・蒸留水:35.62部
−コアシェル粒子分散液5の組成−
・エマルジョン粒子分散液5:24.11部
・蒸留水:14.67部
・酢酸(5%蒸留水希釈):1.26部
・MS51(式1で表される化合物、三菱ケミカル(株)製)9.96部
<実施例6〜8:積層体6〜8作製>
実施例5において、コアシェル粒子分散液5の組成を、以下に示すコアシェル粒子分散液6〜8の組成に変えて得られた反射防止層形成用塗布液6〜8をそれぞれ用いた以外は、実施例5と同様にして、積層体6〜8を得た。
得られた積層体6〜8について、実施例1と同様にして、測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
−コアシェル粒子分散液6の組成−
・エマルジョン粒子分散液5:18.66部
・蒸留水:24.08部
・酢酸(5%蒸留水希釈):1.26部
・MS51(式1で表される化合物、三菱ケミカル(株)製)6.00部
−コアシェル粒子分散液7の組成−
・エマルジョン粒子分散液5:38.05部
・蒸留水:4.69部
・酢酸(5%蒸留水希釈):1.26部
・MS51(式1で表される化合物、三菱ケミカル(株)製)6.00部
−コアシェル粒子分散液8の組成−
・エマルジョン粒子分散液5:43.74部
・酢酸(5%蒸留水希釈):1.26部
・MS51(式1で表される化合物、三菱ケミカル(株)製)5.00部
<実施例9:積層体9の作製>
実施例4において、エマルジョン粒子分散液1の組成を、以下に示すエマルジョン粒子分散液9の組成に変えて得られた反射防止層形成用塗布液9を用いた以外は、実施例4と同様にして、積層体9を得た。
得られた積層体9について、実施例1と同様にして、測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
−エマルジョン粒子分散液9の組成−
・ヘキサデカン(n−ヘキサデカン、富士フイルム和光純薬(株)製):2.77部
・Ca−1(ヘキサデシルピリジニウムクロリド10%蒸留水希釈、カチオン界面活性剤、富士フイルム和光純薬(株)製):0.28部
・蒸留水:46.95部
<実施例10:積層体10の作製>
実施例4において、エマルジョン粒子分散液1のヘキサデカンをオクタデカンに代えて得られた反射防止層形成用塗布液10を用いた以外は、実施例4と同様にして、積層体10を得た。
得られた積層体10について、実施例1と同様にして、測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例11〜12:積層体11〜12の作製>
実施例4において、エマルジョン粒子分散液1の組成を、以下に示すエマルジョン粒子分散液11〜12の組成に変えて得られた反射防止層形成用塗布液11〜12をそれぞれ用いた以外は、実施例4と同様にして、積層体11〜12を得た。
得られた積層体11〜12について、実施例1と同様にして、測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
−エマルジョン粒子分散液11の組成−
・ヘキサデカン(n−ヘキサデカン、富士フイルム和光純薬(株)製):1.38部
・ヘプタン(n−ヘプタン、富士フイルム和光純薬(株)製):1.38部
・Ca−1(ヘキサデシルピリジニウムクロリド10%蒸留水希釈、カチオン界面活性剤、富士フイルム和光純薬(株)製):4.42部
・蒸留水:42.81部
−エマルジョン粒子分散液12の組成−
・ヘキサデカン(n−ヘキサデカン、富士フイルム和光純薬(株)製):0.69部
・ヘプタン(n−ヘプタン、富士フイルム和光純薬(株)製):2.07部
・Ca−1(ヘキサデシルピリジニウムクロリド10%蒸留水希釈、カチオン界面活性剤、富士フイルム和光純薬(株)製):4.42部
・蒸留水:42.81部
<実施例13〜15:積層体13〜15の作製>
実施例4において、ポリプロピレン基材を、ポリエチレンテレフタレート基材、ポリメチルメタクリレート基材、又はポリカーボネート基材にそれぞれ変更した以外は、実施例4と同様にして、積層体13〜15を得た。
得られた積層体13〜15について、実施例1と同様にして、測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
<実施例16:積層体16作製>
実施例13において、コアシェル粒子分散液1の組成を以下に示すコアシェル粒子分散液16の組成に変えて得られた反射防止層形成用塗布液16を用いた以外は、実施例13と同様にして、積層体16を得た。
得られた積層体16について、実施例1と同様にして、測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
−コアシェル粒子分散液16の組成−
・エマルジョン粒子分散液11:19.55部
・蒸留水:19.23部
・酢酸(5%蒸留水希釈):1.26部
・MS51(式1で表される化合物、三菱ケミカル(株)製)9.96部
<実施例17:積層体17作製>
実施例15において、コアシェル粒子分散液1の組成を以下に示すコアシェル粒子分散液17の組成に変えて得られた反射防止層形成用塗布液17を用いた以外は、実施例15と同様にして、積層体17を得た。
得られた積層体17について、実施例1と同様にして、測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
−コアシェル粒子分散液17の組成−
・エマルジョン粒子分散液1:25.04部
・蒸留水:13.74部
・酢酸(5%蒸留水希釈):1.26部
・MS51(式1で表される化合物、三菱ケミカル(株)製)9.96部
<実施例18〜21:積層体18〜21作製>
実施例4において、バー番手をそれぞれ変えた以外は、実施例4と同様にして、積層体18〜21を得た。
得られた積層体18〜21について、実施例1と同様にして、測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
<実施例22:積層体22作製>
実施例11において、エマルジョン分散液11に、MS51、酢酸、蒸留水を添加し、添加後の撹拌時間を1時間として得られたコアシェル粒子分散液22を用いて得られた反射防止層形成用塗布液22を用いた以外は、実施例11と同様にして、積層体22を得た。
得られた積層体22について、実施例1と同様にして、測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
<比較例1:積層体C1作製>
実施例4において、コアシェル粒子分散液4の組成を以下に示すコアシェル粒子分散液C1の組成に変えて得られた反射防止層形成用塗布液C1を用いた以外は、実施例4と同様にして、積層体C1を得た。
得られた積層体C1について、実施例1と同様にして、測定及び評価を行った。結果を表3に示す。
−コアシェル粒子分散液C1の組成−
・エマルジョン粒子分散液1:4.32部
・蒸留水:34.45部
・酢酸(5%蒸留水希釈):1.26部
・MS51(式1で表される化合物、三菱ケミカル(株)製)9.96部
<比較例2:積層体C2の作製>
実施例4において、エマルジョン粒子分散液4の組成及びコアシェル粒子分散液4の組成を、以下に示すエマルジョン粒子分散液C2の組成及びコアシェル粒子分散液C2の組成に変えて得られた反射防止層形成用塗布液C2を用いた以外は、実施例1と同様にして、積層体C2を得た。
得られた積層体C2について、実施例1と同様にして、測定及び評価を行った。結果を表3に示す。
−エマルジョン粒子分散液C2の組成−
・ヘキサデカン(n−ヘキサデカン、富士フイルム和光純薬(株)製):11.06部
・Ca−1(ヘキサデシルピリジニウムクロリド10%蒸留水希釈、カチオン界面活性剤、富士フイルム和光純薬(株)製):17.70部
・蒸留水:21.24部
−コアシェル粒子分散液C2の組成−
・エマルジョン粒子分散液C2:44.61部
・酢酸(5%蒸留水希釈):1.26部
・MS51(式1で表される化合物、三菱ケミカル(株)製)4.13部
<比較例3〜4:積層体C3〜C4の作製>
比較例1〜2において、ポリプロピレン基材をポリカーボネート基材にそれぞれ変更した以外は、比較例1〜2と同様にして、積層体C3〜C4を得た。
得られた積層体C3〜C4について、実施例1と同様にして、測定及び評価を行った。結果を表3に示す。
<比較例5:積層体C5の作製>
実施例4において、エマルジョン粒子分散液1のヘキサデカンをシクロヘプタンに代えて得られた反射防止層形成用塗布液C5を用いた以外は、実施例4と同様にして、積層体C5を得た。
得られた積層体C5について、実施例1と同様にして、測定及び評価を行った。結果を表3に示す。
<比較例6:積層体C6の作製>
実施例4において、エマルジョン粒子分散液1のヘキサデカンをヘキサンに代えて得られた反射防止層形成用塗布液C6を用いた以外は、実施例4と同様にして、積層体C6を得た。
得られた積層体C6について、実施例1と同様にして、測定及び評価を行った。結果を表3に示す。
<比較例7:積層体C7の作製>
実施例4において、ポリプロピレン基材をガラス基材に代えた以外は、実施例4と同様にして、積層体C7を得た。
得られた積層体C7について、実施例1と同様にして、測定及び評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 0006873314
Figure 0006873314
Figure 0006873314
表1〜3における「W/O比」は、有機溶剤の全質量に対するエマルジョン粒子形成時の界面活性剤の含有量を表す。
表1〜3中に記載の成分及び基材の詳細は、以下の通りである。
MS51:式1で表される化合物、MKCシリケートMS51、三菱ケミカル(株)製
ヘキサデカン:n−ヘキサデカン、富士フイルム和光純薬(株)製
オクタデカン:n−オクタデカン、富士フイルム和光純薬(株)製
ヘプタン:n−ヘプタン、富士フイルム和光純薬(株)製
シクロヘプタン:富士フイルム和光純薬(株)製
Ca−1:ヘキサデシルピリジニウムクロリド10%蒸留水希釈、カチオン界面活性剤、富士フイルム和光純薬(株)製)
F−444:メガファック(登録商標)F−444、フッ素系界面活性剤1%蒸留水希釈、DIC(株)製
PET:以下の方法で作製したポリエチレンテレフタレート基材(即ち、下塗り層つきPETフィルム)、厚さ250μm
PMMA:ポリメチルメタクリレート基材、住友化学(株)製テクノロイS001G、厚さ75μm
PC:ポリカーボネート基材、旭硝子(株)製カーボグラスC110、厚さ500μm
glass:ガラス基材、日本電気硝子(株)製OA−10G、厚さ700μm
〔ポリエチレンテレフタレート基材の作製〕
以下のようにして、ポリエチレンテレフタレート基材(下塗り層つきPETフィルム)を作製した。
−ポリエステルの合成−
高純度テレフタル酸(三井化学(株)製)100kgとエチレングリコール((株)日本触媒製)45kgのスラリーとを、予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約123kgが仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×105Paに保持されたエステル化反応槽に、4時間かけて順次供給し、供給終了後も更に1時間かけてエステル化反応を行った。その後、得られたエステル化反応生成物123kgを重縮合反応槽に移送した。
引き続いて、エステル化反応生成物が移送された重縮合反応槽に、エチレングリコールを、得られるポリマーに対して0.3質量%添加した。5分間撹拌した後、酢酸コバルト及び酢酸マンガンのエチレングリコール溶液を、得られるポリマーに対してそれぞれ30ppm、15ppmとなるように加えた。更に5分間撹拌した後、チタンアルコキシド化合物の2質量%エチレングリコール溶液を、得られるポリマーに対して5ppmとなるように添加した。その5分後、ジエチルホスホノ酢酸エチルの10質量%エチレングリコール溶液を、得られるポリマーに対して5ppmとなるように添加した。その後、低重合体を30rpmで撹拌しながら、反応系を250℃から285℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を40Paまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。所定の撹拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージし、常圧に戻し、重縮合反応を停止した。そして、上述の重縮合反応により得られたポリマーを冷水にストランド状に吐出し、直ちにカッティングしてポリマーのペレット(直径約3mm、長さ約7mm)を作製した。なお、減圧開始から所定の撹拌トルク到達までの時間は3時間であった。
ここで、チタンアルコキシド化合物には、特開2005−340616号公報の段落0083に記載の実施例1で合成しているチタンアルコキシド化合物(Ti含有量=4.44質量%)を用いた。
−固相重合−
上記で得られたペレットを、40Paに保たれた真空容器中、220℃の温度で30時間保持して、固相重合を行った。
−ポリエステルフィルムの作製−
以上のように固相重合を経た後のペレットを、280℃で溶融して金属ドラムの上にキャストし、厚さ約3mmの未延伸のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを作製した。
その後、未延伸のPETフィルムを、90℃で縦方向(MD:Machine Direction)に3.4倍に延伸した。次いで、MDに延伸された1軸延伸PETフィルムの一方の面に、下記組成の下塗り層形成用塗布液を塗布量が5.1mL/mとなるように、MD延伸後、横方向(TD:Transverse Direction)延伸前にインラインコート法にて塗布を行った。
下塗り層形成用塗布液が塗布されたPETフィルムをTD延伸し、厚さが0.1μm、弾性率が1.5GPaの下塗り層を形成した。なお、TD延伸は、温度105℃、延伸倍率4.5倍の条件で行った。
下塗り層が形成されたPETフィルムに対し、膜面190℃で15秒間の熱固定処理を行い、次いで、190℃で、MD緩和率5%、TD緩和率11%にて、MD方向及びTD方向に熱緩和処理を行うことにより、下塗り層付きの厚さ250μmの2軸延伸PETフィルム(下塗り層付きPETフィルム)を得た。
−下塗り層形成用塗布液の組成−
・アクリル樹脂(AS−563A、ダイセルファインケム(株)製、固形分28%):21.9部
・オキサゾリン系架橋剤(エポクロス(登録商標)WS−700、(株)日本触媒製、固形分25%):4.9部
・フッ素系界面活性剤(ナトリウム=ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)=2−スルホナイトオキシスクシナート、富士フイルムファインケミカルズ(株)製、2%水希釈):0.1部
・蒸留水:合計で100部となる残量
表1〜3に示すように、実施例1〜22の積層体は、光透過性に優れ、且つ、耐傷性にも優れる。
実施例22は、反射防止層表面に径5nm以上の開口部(アスペクト比3未満)を有するが、その個数が13個/10nm以下であるため、耐傷性が確保できていることが分かる。
一方、比較例1〜7の積層体は、同種の樹脂基材を有する例を比較するに、光透過性及び耐傷性のいずれかで実施例1〜22の積層体よりも劣ることが分かる。
なお、実施例1〜22、及び比較例1〜7において、いずれの反射防止層にも、クラックは認められなかった。
<太陽電池モジュールの作製>
−接着層の作製−
下記組成の接着層形成用組成物を混合することにより、接着層形成用塗布液を得た。
−接着層形成用組成物の組成−
・ポリオレフィン樹脂(アローベース(登録商標)DA−1010、ユニチカ(株)製、固形分25%):27.25部
・ポリウレタン樹脂(タケラック(登録商標)WS−5100、三井化学(株)製、固形分30%):22.71部
・フッ素系界面活性剤(ナトリウム=ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)=2−スルホナイトオキシスクシナート、富士フイルムファインケミカルズ(株)製、2%水希釈):1.34部
・蒸留水:48.71部
ポリプロピレン基材(PPと略記、トレファンBO60−2500、東レ(株)製、基材厚み60μm)に、730J/mの条件でコロナ放電処理を行った。その後、ポリプロピレン基材のコロナ放電処理面に、バー番手#4を用いたバーコーターにより、接着層形成用組成物を塗布し、80℃にて2分間乾燥させることにより、平均厚さ1μmの接着層を形成した。これにより、接着層付き積層体を得た。
−ハードコート層の作製−
下記組成のハードコート層形成用組成物を混合することにより、ハードコート層形成用塗布液を得た。
−ハードコート層形成用組成物の組成−
・シランカップリング剤(KBE−04、信越化学工業(株)製、固形分100%):2.93部
・シランカップリング剤(KBE−403、信越化学工業(株)製、固形分100%):9.62部
・縮合助剤(金属キレート、ALCH、川研ファインケミカル(株)製、固形分100%):2.13部
・紫外線吸収剤(酸化セリウムゾル、ニードラールU−15、多木化学(株)製、固形分15%):12.53部
・無機フィラー(アルミナゾル、F3000、川研ファインケミカル(株)製、固形分5%):38.95部
・界面活性剤(ナロアクティー(登録商標)CL−95、三洋化成工業(株)製、1%水希釈):2.43部
・酢酸(富士フイルム和光純薬(株)製):0.77部
・蒸留水:30.64部
次いで、接着層付き積層体の接着層上に、730J/mの条件でコロナ放電処理を行った。その後、バー番手#22を用いたバーコーターにより、上記のハードコート形成用塗布液を塗布し、80℃にて2分間乾燥させることにより、平均厚さ3μmのハードコート層を形成した。これにより、ハードコート層付き積層体を得た。
−反射防止層の形成−
ハードコート層付き積層体のハードコート層上に、730J/mの条件でコロナ放電処理を行った。その後、実施例4にて調製した反射防止層形成用塗布液4を、バー番手#4を用いたバーコーターにより塗布し、80℃にて2分間乾燥させることにより、平均厚さ130nmの反射防止層を形成した。これにより、反射防止層付き積層体を得た。
−裏面A層の形成−
反射防止層付き積層体の反射防止層が形成された面の反対側の面に、730J/mの条件でコロナ放電処理を行った。その後、上記接着層形成用塗布液をバー番手#4を用いたバーコーターにより塗布し、80℃にて2分間乾燥させることにより、平均厚さ1μmの裏面A層を形成した。これにより、裏面A層付き積層体を得た。
−裏面B層の形成−
下記組成の裏面B層形成用組成物を混合することにより、裏面B層形成用塗布液を得た。
−裏面B層形成用組成物の組成−
・アクリル樹脂(セラネート(登録商標)WSA−1070、DIC(株)製、固形分40%):68.23部
・フッ素系界面活性剤(ナトリウム=ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)=2−スルホナイトオキシスクシナート、富士フイルムファインケミカルズ(株)製、2%水希釈):1.13部
・蒸留水:30.64部
裏面A層付き積層体の裏面A層上に、730J/mの条件でコロナ放電処理を行った。その後、バー番手#20を用いたバーコーターにより、裏面B層形成用塗布液を塗布し、80℃にて2分間乾燥させることにより、平均厚さ10μmの裏面B層を形成した。これにより、裏面B層付き積層体を形成した。
−裏面C層の形成−
下記組成の裏面C層形成用組成物を混合することにより、裏面C層形成用塗布液を得た。
−裏面C層形成用組成物の組成−
・ポリオレフィン樹脂(アローベース(登録商標)SE−1013N、ユニチカ(株)製、固形分20%):33.52部
・フッ素系界面活性剤(ナトリウム=ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)=2−スルホナイトオキシスクシナート、富士フイルムファインケミカルズ(株)製、2%水希釈):2.84部
・蒸留水:63.63部
裏面B層付き積層体の裏面B層上に、730J/mの条件でコロナ放電処理を行った。その後、バー番手#8を用いたバーコーターにより、裏面C層形成用塗布液を塗布し、80℃にて2分間乾燥させることにより、平均厚さ1μmの裏面C層を形成した。
以上のようにして、太陽電池用保護シートを作製した。
得られた太陽電池用保護シートを用いて、以下のようにして太陽電池モジュールを作製した。
太陽電池用フロントシートとしての上記太陽電池用保護シートと、EVAシート(F806P:Hangzhou first PV material社製)と、結晶系太陽電池セルと、EVAシート(F806P:Hangzhou first PV material社製)と、太陽電池用バックシートとしての上記太陽電池用保護シートと、ホットプレスすることにより、太陽電池モジュールを作製した。
また、EVAシートの接着条件は、以下の通り実施した。
真空ラミネータを用いて、145℃で5分間真空引き後、0.1MPaの圧力で10分間加圧加熱して接着した。
作製した太陽電池モジュールを用いて発電運転したところ、太陽電池として良好な発電性能を示した。
2018年3月30日に出願された日本国特許出願2018−069075の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (11)

  1. 樹脂基材と、
    樹脂基材上に設けられた、シロキサン樹脂中に、径が20nm〜200nmで且つ径の変動係数が30%〜100%の閉鎖空隙を含み、閉鎖空隙の空隙率が39%〜80%である反射防止層と、
    を有する積層体。
  2. 反射防止層の表面での、径が5nm以上の開口部が13個/10nm以下である、請求項1に記載の積層体。
  3. 閉鎖空隙の径の変動係数が30%〜45%である、請求項1又は請求項2に記載の積層体。
  4. 閉鎖空隙の径が25nm〜150nmである、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 閉鎖空隙の径が30nm〜70nmである、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 閉鎖空隙の空隙率が39%〜60%である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 反射防止層の膜厚が80nm〜200nmである、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の積層体。
  8. 樹脂基材が、ポリエチレン基材、ポリプロピレン基材、ポリカーボネート基材、ポリメチルメタクリレート基材、ポリエチレンテレフタレート基材、又はポリエチレンナフタレート基材である、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の積層体。
  9. 樹脂基材が、ポリプロピレン基材である、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の積層体。
  10. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の積層体を有する、太陽電池用保護シート。
  11. 請求項10に記載の太陽電池用保護シートを備える、太陽電池モジュール。
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