JPWO2015190536A1 - 光学反射フィルムおよび光学反射体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、熱割れを抑制・防止できる光学反射フィルムおよび光学反射体を提供するものである。本発明の光学反射フィルムは、基材、光学反射層、赤外吸収ナノ粒子層および放熱促進層を有する光学反射フィルムであって、前記放熱促進層が光入射側の最表層に配置され、前記放熱促進層の膜厚(d2)に対する赤外吸収ナノ粒子層の膜厚(d1)の比(d1/d2)が1〜100であり、前記放熱促進層の膜厚が0.1μm以上1μm未満であることを特徴とする。

Description

本発明は、光学反射フィルムおよび光学反射体に関する。
近年、省エネルギー対策の一環として、冷房設備にかかる負荷を減らす観点から、建物や車両の窓ガラスに装着させて、太陽光の熱線の透過を遮蔽する赤外遮蔽フィルム等の光学反射フィルムへの要望が高まってきている。
光学反射フィルムの形成方法としては、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層させた構成からなる積層体(反射層)を、蒸着法、スパッタ法などのドライ製膜法を用いて形成する方法が提案されている。また、近年では、ドライ製膜法に代えて、湿式塗布法を用いて光学反射フィルムの反射層を形成する方法の検討も盛んになされている。
例えば、特許文献1には、第一のポリマー種及び第二のポリマー種の交互層を有する赤外光反射多層フィルムと、金属酸化物ナノ粒子として酸化スズまたはドープト酸化スズを含む赤外光吸収ナノ粒子層とを含む多層フィルム製品が開示されている。かような構成とすることによって太陽光制御多層フィルムは高い可視光透過率及び低い赤外透過率を有することが記載されている。
特表2008−528313号公報(国際公開第2006/074168号に対応)
しかしながら、上記特許文献1に記載の太陽光制御多層フィルムは、金属酸化物ナノ粒子の赤外光吸収により発生する熱で、フィルムを貼ったガラスに熱割れが発生してしまうことがあった。また、上記特許文献1に記載の太陽光制御多層フィルムは、耐傷性に劣る。
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、熱割れを抑制・防止できる光学反射フィルムおよび光学反射体を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、耐傷性が向上した光学反射フィルムおよび光学反射体を提供することである。
本発明者は、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、特定の膜厚を有する放熱促進層を設けることによって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、上記目的は、基材、光学反射層、赤外吸収ナノ粒子層および放熱促進層を有する光学反射フィルムであって、前記放熱促進層が光入射側の最表層に配置され、前記放熱促進層の膜厚(d2)に対する前記赤外吸収ナノ粒子層の膜厚(d1)の比(d1/d2)が1〜100であり、前記放熱促進層の膜厚が0.1μm以上1μm未満であることを特徴とする光学反射フィルムによって達成できる。
本発明の光学反射フィルムは、基材、光学反射層、赤外吸収ナノ粒子層および放熱促進層を有する光学反射フィルムであって、前記放熱促進層が光入射側の最表層に配置され、前記放熱促進層の膜厚(d2)に対する前記赤外吸収ナノ粒子層の膜厚(d1)の比(d1/d2)が1〜100であり、前記放熱促進層の膜厚が0.1μm以上1μm未満であることを特徴とする。上記構成とすることにより、本発明の光学反射フィルムは、赤外吸収ナノ粒子層を有していても、放熱促進層が当該熱を効率よく放熱できる。このため、本発明の光学反射フィルムは、金属酸化物ナノ粒子の赤外光吸収による熱割れの問題を抑制・防止できる。
上記特許文献1の赤外光反射多層フィルムは、特定の金属酸化物粒子を含む赤外光吸収ナノ粒子層を有する。しかしながら、上記特許文献1の赤外光反射多層フィルムは、使用中にフィルムを貼ったガラスが割れる現象(熱割れ)を生じることがあることを見出した。本願発明者は、上記現象について鋭意検討を行ったところ、赤外光吸収ナノ粒子層中の金属酸化物ナノ粒子が赤外光を吸収して発熱し、この赤外光吸収ナノ粒子層の放出する熱でガラスに温度差が生じ割れる現象(熱割れ)を引き起こすと考えられた。詳細には、赤外光吸収ナノ粒子層の放熱によりガラス温度も上昇し、日光のあたる部分と当らない部分や、フィルムを貼った部分と貼らない部分とで、ガラスに温度差が生じ応力が発生し、これによりガラスが割れると考えた。また、当該現象は、ガラス、特に複層ガラスや網入りガラスにフィルムを貼ると起こりやすい。特許文献1には、当該赤外光吸収ナノ粒子層上に、厚さが1〜20μmのシリカ系ハードコート層などを設けることが記載されている(段落「0041」)。しかし、上記ハードコート層では十分当該層の熱を放出できず、その結果、赤外光吸収ナノ粒子層の放出する熱により、フィルムを貼ったガラスが割れる現象(熱割れ)が依然として生じてしまうことが判明した。また、上記厚みのハードコート層は、耐傷性にも劣る。
これに対して、本発明に係る放熱促進層は、赤外吸収ナノ粒子層の膜厚に比して特定の比率で薄いことを特徴とする。このような厚みとすることによって、赤外吸収ナノ粒子層が発する熱を効率よく光学反射フィルム外に放出する。このため、本発明の光学反射フィルムでは、長時間太陽光に暴露させても、熱割れがほとんど起こらないまたは全く起こらない。また、本発明に係る放熱促進層は、保護層としても機能するため、耐傷性にも優れる。このため、例えば、水貼り施行時にスキージによる擦り傷の発生を有効に抑制・防止できる。上記効果は、放熱促進層がメタロキサン骨格を有する材料(特にポリシラザン由来のメタロキサン骨格を有する材料)を含む場合に特に顕著に達成できる。
なお、上記は推測であって、本発明は上記によって何ら限定されるものではない。
以下、本発明に係る光学反射フィルムの構成要素、および本発明を実施するための形態等について詳細な説明をする。なお、本明細書において、「光学反射フィルム」とは、所望の波長の光(例えば、近赤外線)を反射することにより、当該所望の波長の光の全部または一部を遮ることができるフィルムである。また、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件で測定する。
≪光学反射フィルム≫
本発明に係る光学反射フィルムは、基材と、光学反射層と、赤外吸収ナノ粒子層と、放熱促進層と、を含む。
(基材)
基材は、特に制限されるものではないが、屈曲性などの観点から樹脂基材であることが好ましく、透明であっても不透明であってもよい。自動車用途など、意匠性の点から可視光で透明であることが求められる用途では、可視光領域において透明であることが好ましい。
樹脂基材としては、例えば、ポリオレフィンフィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、3酢酸セルロース等を用いることができ、好ましくはポリエステルフィルムである。ポリエステルフィルム(以降ポリエステルと称す)としては、特に限定されるものではないが、ジカルボン酸成分とジオール成分を主要な構成成分とするフィルム形成性を有するポリエステルであることが好ましい。ポリエステルの中でも透明性、機械的強度、寸法安定性などの点から、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸や2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分として、エチレングリコールや1,4−シクロヘキサンジメタノールを主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを主要な構成成分とするポリエステルや、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールからなる共重合ポリエステル、およびこれらのポリエステルの2種以上の混合物を主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。
基材の厚みとしては、10〜300μmであることが好ましく、20〜150μmであることがより好ましい。また、基材は、2枚以上重ねたものであっても良く、この場合、その種類が同じでも異なってもよい。
樹脂基材は、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。樹脂基材は、未延伸フィルムでもよく、一方に延伸された延伸フィルム、または二軸延伸フィルムでもよい。強度向上、熱膨張抑制の点から延伸フィルムが好ましい。
(光学反射層)
本発明の光学反射フィルムは、上記基材に加えて、光学反射層を有する。ここで、光学反射層は、通常、基材上に形成されるが、光学反射層および基材の配置形態は、基材上に直接光学反射層を設ける形態のみならず、基材に他の中間層が設けられ、該中間層上に光学反射層を設ける形態や、基材の光学反射層との反対面に他の中間層(例えば、粘着層)を有する形態、光学反射層上に他の中間層を含む形態なども含む。また、光学反射層は1層であっても、複数層存在していてもよく、光学反射層が複数層存在する場合には、各光学反射層が隣接して積層されている形態のみならず、物理的に離れた位置に存在していてもよい。
光学反射層は、屈折率の異なる層の積層体であるが、高屈折率層および低屈折率層が交互に積層された積層体であることが好ましい。ここで、「高屈折率層」および「低屈折率層」なる用語は、隣接した2層の屈折率差を比較した場合に、屈折率が高い方の屈折率層を高屈折率層とし、低い方の屈折率層を低屈折率層とすることを意味する。したがって、「高屈折率層」および「低屈折率層」なる用語は、フィルムを構成する各屈折率層において、隣接する2つの屈折率層に着目した場合に、各屈折率層が同じ屈折率を有する形態以外のあらゆる形態を含むものである。
隣接した層界面での反射は、層間の屈折率比に依存するのでこの屈折率比が大きいほど、反射率が高まる。また、単層膜でみたとき層表面における反射光と、層底部における反射光の光路差を、n・d=波長/4、で表される関係にすると位相差により反射光を強めあうよう制御出来、反射率を上げることができる。ここで、nは屈折率、また、dは層の物理膜厚、n・dは光学膜厚である。この光路差を利用することで、反射を制御出来る。この関係を利用して、各層の屈折率と膜厚を制御して、可視光や、近赤外光の反射を制御する。即ち、各層の屈折率、各層の膜厚、各層の積層のさせ方で、特定波長領域の反射率をアップさせることができる。
光学反射層の厚さは、特に制限されず、所望の機能が発揮されるように適宜設計されうる。光学反射層の厚さは、通常、1〜100μm程度である。
光学反射層を形成する材料としては従来公知の材料を用いることができ、例えば、金属酸化物材料、ポリマー、その他の添加剤およびこれらの組み合わせ等などが挙げられる。
金属酸化物材料には、高屈折率材料として、TiO、ZrO、Ta等が挙げられ、低屈折率材料としてSiO、MgF等が挙げられ、中屈折率材料としてAl等が挙げられる。これらの金属酸化物材料を、蒸着法、スパッタなどのドライ製膜法によって製膜させることができる。
上記したように、光学反射層は、いずれの形態であってもよいが、第1の水溶性高分子および第1の金属酸化物粒子を含む高屈折率層、ならびに第2の水溶性高分子および第2の金属酸化物粒子を含む低屈折率層が交互に積層されてなる(第1形態)または第3の高分子を含む第3の高分子層、および第4の高分子を含む第4の高分子層が交互に積層されてなる(第2形態)ことが好ましい。
以下では、上記形態について詳述するが、本発明は、下記形態に限定されない。
第1形態は、例えば、国際公開第2013/054912号(US 2014/0233092 A1)、特開2013−148849号公報、特開2013−142089号などに記載されるのと同様の材料などが使用される。
具体的には、第1形態において、第1の水溶性高分子及び第2の水溶性高分子は、有機溶剤を用いない水系塗布が可能であるため、環境負荷が少なく、また、柔軟性が高いため、屈曲時の膜の耐久性が向上するため好ましい。水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、若しくはアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、若しくはスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレンアクリル酸樹脂、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート−スチレンスルホン酸カリウム共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体及びそれらの塩などの合成水溶性高分子;ゼラチン、増粘多糖類などの天然水溶性高分子などが挙げられる。これらの中で、特に好ましい例としては、製造時のハンドリングと膜の柔軟性の点から、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン類及びそれを含有する共重合体、ゼラチン、増粘多糖類(特にセルロース類)が挙げられる。これらの水溶性高分子は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用して用いてもよい。
ポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、変性ポリビニルアルコールも含まれる。変性ポリビニルアルコールとしては、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、ノニオン変性ポリビニルアルコール、ビニルアルコール系ポリマーが挙げられる。
ポリビニルアルコールの具体的例示としては、国際公開第2013−054912号の[0075]〜[0079]の記載のものが挙げられる。
また、ポリビニルアルコールを硬化させるための硬化剤を使用してもよい。適用可能な硬化剤としては、例えば、ホウ酸及びその塩が好ましい。その他の硬化剤の具体例としては、国際公開第2013−054912号の[0091]〜[0096]に記載のものが挙げられる。
ゼラチンとしては、石灰処理ゼラチンのほか、酸処理ゼラチンを使用してもよく、さらにゼラチンの加水分解物、ゼラチンの酵素分解物を用いることもできる。また、国際公開第2013−054912号の[0081]〜[0082]に記載の硬膜剤を用いてもよい。
増粘多糖類としては、例えば、一般に知られている天然単純多糖類、天然複合多糖類、合成単純多糖類及び合成複合多糖類に挙げることができ、これら多糖類の詳細については、「生化学事典(第2版),東京化学同人出版」、「食品工業」第31巻(1988)21頁等を参照することができる。
本形態では、光学反射層を構成する高屈折率層および低屈折率層のいずれもが金属酸化物粒子を含む。すなわち、高屈折率層は、第1の水溶性高分子に加えて、第1の金属酸化物粒子を含み、低屈折率層は、第2の水溶性高分子に加えて、第2の金属酸化物粒子を含む。ここで、第1及び第2の金属酸化物粒子は、同じであってもまたは異なるものであってもよい。
金属酸化物粒子としては、金属酸化物を構成する金属が、Li、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Rb、Sr、Y、Nb、Zr、Mo、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Ta、Hf、W、Ir、Tl、Pb、Bi及び希土類金属からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属の酸化物を用いることができる。
金属酸化物粒子は、平均粒径が好ましい順に100nm以下、1〜50nm、4〜40nmであることが好ましい。ここで、平均粒径は、一次平均粒径を指す。金属酸化物粒子の平均粒径は、金属酸化物粒子が被覆処理されている場合(例えば、シリカ付着酸化チタン等)、金属酸化物粒子の平均粒径とは母体(シリカ付着酸化チタンの場合は、処理前の酸化チタン)の平均粒径を指すものとする。
各屈折率層における金属酸化物粒子の含有量は、屈折率層の全質量に対して、20〜90質量%であることが好ましく、40〜80質量%であることがより好ましい。
低屈折率層においては、金属酸化物粒子として二酸化ケイ素(シリカ)を用いることが好ましく、酸性のコロイダルシリカゾルを用いることが特に好ましい。
高屈折率層に含有される金属酸化物としては、透明でより屈折率の高い高屈折率層を形成するために、チタン、ジルコニア等の高屈折率金属酸化物微粒子、すなわち、酸化チタン微粒子、酸化ジルコニア微粒子であることが好ましく、ルチル型(正方晶形)酸化チタン微粒子であることがより好ましい。
また、酸化チタン粒子としては、水系の酸化チタンゾルの表面を変性して分散状態を安定にしたものを用いてもよい。
酸化チタンゾルとしては、特開2008−266043号公報に記載の、酸化チタンゾル粒子を核とし、そのまわりにケイ素、スズおよびアンチモンの各水和酸化物よりなる複数の被覆層を有し、アンチモンの水和酸化物が最外側被覆層である透明酸化チタンゾルを用いてもよい。また、酸化チタンゾルとしては、国際公開2009/044879号に記載の、酸化チタン−酸化スズ−酸化ジルコニウム−酸化タングステン複合コロイド粒子を核として、酸性酸化物のコロイド粒子により粒子表面が被覆された酸性酸化物被覆酸化チタン−酸化スズ−酸化ジルコニウム−酸化タングステン複合コロイド粒子、並びにこれらの複合コロイド粒子が分散されたゾルを用いてもよい。
また、高屈折率層に含まれる金属酸化物粒子としては、公知の方法で製造されたコアシェル粒子を用いることもできる。水系の酸化チタンゾルの調製方法としては、従来公知のいずれの方法も用いることができ、たとえば、特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報等に記載された事項を参照にすることができる。
さらに、酸化チタン粒子を含ケイ素の水和酸化物で被覆してもよい。ここで、「被覆」とは、酸化チタン粒子の表面の少なくとも一部に、含ケイ素の水和酸化物が付着されている状態を意味する。すなわち、金属酸化物粒子として用いられる酸化チタン粒子の表面が、完全に含ケイ素の水和酸化物で被覆されていてもよく、酸化チタン粒子の表面の一部が含ケイ素の水和酸化物で被覆されていてもよい。被覆された酸化チタン粒子の屈折率が含ケイ素の水和酸化物の被覆量により制御される観点から、酸化チタン粒子の表面の一部が含ケイ素の水和酸化物で被覆されることが好ましい。本明細書における「含ケイ素の水和酸化物」とは、無機ケイ素化合物の水和物、有機ケイ素化合物の加水分解物および/または縮合物のいずれでもよいが、シラノール基を有することが好ましい。特に、含ケイ素の水和酸化物としてはシリカの水和物が好ましく、シリカの水和物で被覆した酸化チタンを、以下、シリカ付着酸化チタンと称するシリカコート酸化チタン、シリカ変性酸化チタンともいう)。
含ケイ素の水和酸化物で被覆された酸化チタン粒子の酸化チタンはルチル型であってもアナターゼ型であってもよい。含ケイ素の水和酸化物で被覆された酸化チタン粒子は、含ケイ素の水和酸化物で被覆されたルチル型の酸化チタン粒子がより好ましい。これは、ルチル型の酸化チタン粒子が、アナターゼ型の酸化チタン粒子より光触媒活性が低いため、高屈折率層や隣接した低屈折率層の耐候性が高くなり、さらに屈折率が高くなるという理由からである。
含ケイ素の水和酸化物の被覆量は2〜30質量%、好ましくは3〜10質量%、より好ましくは4〜8質量%である。被覆量が30質量%以下であると、高屈折率層の所望の屈折率化が得られ、被覆量が2質量%以上であると粒子を安定に形成することができるからである。
酸化チタン粒子を含ケイ素の水和酸化物で被覆する方法としては、従来公知の方法により製造することができ、例えば、特開平10−158015号公報(ルチル型酸化チタンへのSi/Al水和酸化物処理;チタン酸ケーキのアルカリ領域での解膠後酸化チタンの表面にケイ素および/又はアルミニウムの含水酸化物を析出させて表面処理する酸化チタンゾルの製造方法)、特開2000−204301号公報(ルチル型酸化チタンにSiとZrおよび/またはAlの酸化物との複合酸化物を被覆したゾル。水熱処理。)、特開2007−246351号公報(含水酸化チタンを解膠して得られる酸化チタンのヒドロゾルへ、安定剤として式R SiX4−n(式中RはC−Cアルキル基、グリシジルオキシ置換C−Cアルキル基またはC−Cアルケニル基、Xはアルコキシ基、nは1または2である。)のオルガノアルコキシシランまたは酸化チタンに対して錯化作用を有する化合物を添加、アルカリ領域でケイ酸ナトリウムまたはシリカゾルの溶液へ添加・pH調整・熟成することにより、ケイ素の含水酸化物で被覆された酸化チタンヒドロゾルを製造する方法)等に記載された事項を参照にすることができる。
また、高屈折率層および/または低屈折率層は、さらに特開昭57−74193号公報、特開昭57−87988号公報、および特開昭62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の各種界面活性剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、防黴剤、帯電防止剤、マット剤、酸化防止剤、難燃剤、赤外線吸収剤、色素、顔料等の公知の各種添加剤などを含んでもよい。
水溶性高分子を光学反射層が含む場合には、水系塗布が可能となる。光学反射層の形成方法としては、上記溶融押出、延伸による形成方法の他、水溶性高分子および水系溶剤を用いた逐次重層塗布法;国際公開第2013−054912号[0144]〜[0156]に記載の同時重層塗布法;などの方法が挙げられる。
第1形態では、生産性の観点から、高屈折率層および低屈折率層の総層数の範囲は、100層以下12層以上、より好ましくは45層以下15層以上、さらに好ましくは45層以下21層以上である。なお、前記の好ましい高屈折率層および低屈折率層の総層数の範囲は、基材の片面にのみ積層される場合においても適応可能であり、基材の両面に同時に積層される場合においても適応可能である。基材の両面に積層される場合において、基材一の面と他の面との高屈折率層および低屈折率層の総層数は、同じであってもよく、異なっていてもよい。また、本発明の近赤外遮蔽フィルムにおいて、最下層(基材と接触する層)および最表層は、高屈折率層および低屈折率層のいずれであってもよい。しかしながら、低屈折率層が最下層および最表層(最上層)に位置する層構成とすることにより、最下層の基材への密着性、最表層の吹かれ耐性、さらには最表層へのハードコート層等の塗布性や密着性に優れる。このため、本発明の光学反射フィルム(近赤外遮蔽フィルム)としては、最下層および最表層が低屈折率層である層構成が好ましい。
第2形態では、第3の高分子及び第4の高分子を用いて各層の屈折率差を調整して光学反射層とする。例えば、交互する第3の高分子層及び第4の高分子層の一方が複屈折性でかつ配向しており、他方が等方性である。ここで、光学反射層に含まれる高分子(第3の高分子及び第4の高分子)には特に制限はなく、光学反射層を形成できるポリマーであれば特に制限されない。例えば、ポリマーとしては、特表2002−509279号公報や特表2008−528313号公報に記載の樹脂を用いることができる。具体的には、ポリエチレンナフタレート(PEN)およびその異性体(例えば、2,6−、1,4−、1,5−、2,7−、および2,3−PEN)、ポリアルキレンテレフタレート(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、およびポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリイミド(例えば、ポリアクリル酸イミド)、ポリエーテルイミド、アタクチックポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメタクリレート(例えば、ポリイソブチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、およびポリメチルメタクリレート)、ポリ(メタ)アクリレート(例えば、ポリブチルアクリレートおよびポリメチルアクリレート)、セルロース誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸セルロースブチレート、および硝酸セルロース)、ポリアルキレンポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、およびポリ(4−メチル)ペンテン)、フッ素化ポリマー(例えば、パーフルオロアルコキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレン−プロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、およびポリクロロトリフルオロエチレン)、塩素化ポリマー(例えば、ポリ塩化ビニリデンおよびポリ塩化ビニル)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリエーテルアミド、アイオノマー樹脂、エラストマー(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、およびネオプレン)、ならびにポリウレタンが挙げられる。コポリマー、例えば、PENのコポリマー(例えば、2,6−、1,4−、1,5−、2,7−、および/または2,3−ナフタレンジカルボン酸あるいはそれらのエステルと、(a)テレフタル酸もしくはそのエステル、(b)イソフタル酸もしくはそのエステル、(c)フタル酸もしくはそのエステル、(d)アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール)、(e)シクロアルキレングリコール(例えば、シクロヘキサンジメタノールジオール)、(f)アルカンジカルボン酸、および/または(g)シクロアルカンジカルボン酸(例えば、1,4−、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸)とのコポリマー)、ポリアルキレンテレフタレートのコポリマー(例えば、テレフタル酸もしくはそのエステルと、(a)ナフタレンジカルボン酸もしくはそのエステル、(b)イソフタル酸もしくはそのエステル、(c)フタル酸もしくはそのエステル、(d)アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール)、(e)シクロアルカングリコール(例えば、シクロヘキサンジメタノール)、(f)アルカンジカルボン酸、および/または(g)シクロアルカンジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸)とのコポリマー)、スチレンコポリマー(例えば、スチレン−ブタジエンコポリマーおよびスチレン−アクリロニトリルコポリマー)、ならびに4,4’−二安息香酸およびエチレングリコールのコポリマーなども利用できる。更に、個々の層にはそれぞれ、2つ以上の上記のポリマーまたはコポリマーのブレンド(例えば、ポリアルキレンテレフタレートのコポリマーとPENのコポリマーとのブレンド)が含まれていてもよい。さらに、ポリマーとして、特開2010−184493号に記載のポリマーを用いてもよい。具体的には、ポリエステル(以下、ポリエステルAとする)と、エチレングリコール、スピログリコールおよびブチレングリコールの少なくとも3種のジオール由来の残基を含んでいるポリエステル(以下、ポリエステルBとする)とを、用いることができる。ポリエステルAは、ジカルボン酸成分とジオール成分とが重縮合して得られる構造を有するものであれば特に限定されない。また、上記ポリエステルBは、エチレングリコール、スピログリコールおよびブチレングリコールの少なくとも3種のジオール由来の残基を含んでいる。
上記のうち、光学反射層は、ポリエチレンテレフタラート(PET)またはポリエチレンテレフタラートのコポリマー(coPET)を含む第3の高分子層と、ポリ(メチルメタクリラート)(PMMA)またはポリ(メチルメタクリラート)のコポリマー(coPMMA)を含む第4の高分子層との交互層から形成される;ポリエチレンテレフタラートを含む第3の高分子層と、ポリ(メチルメタクリラートおよびエチルアクリラート)のコポリマーを含む第4の高分子層との交互層から形成される;シクロヘキサンジメタノール(PETG)またはシクロヘキサンジメタノールのコポリマー(coPETG)を含む第3の高分子層と、ポリエチレンナフタラート(PEN)またはポリエチレンナフタラートのコポリマー(coPEN)を含む第4の高分子層との交互層から形成される;またはポリエチレンナフタラートまたはポリエチレンナフタラートのコポリマーを含む第3の高分子層と、ポリ(メチルメタクリラート)またはポリ(メチルメタクリラート)のコポリマーを含む第4の高分子層との交互層から形成されることが好ましい。また、交互する第3の高分子層及び第4の高分子層の有用な組合せとしては、米国特許第6,352,761号明細書に記載される組み合わせもまた好ましい。
上記ポリマーを、米国特許第6,049,419号に記載のように、ポリマーの溶融押出しおよび延伸により、光学反射層を形成することもできる。
一実施形態として、各屈折率層材料を100〜400℃で押出しに適当な粘度になるように溶融させ、必要に応じて各種添加剤を添加し、両方のポリマーを交互に二層になるように押出し機によって押し出すことができる。次に、押し出された積層膜を、冷却ドラムにより冷却固化し、積層体を得る。その後、この積層体を加熱してから二方向に延伸し、光学反射層を得ることができる。
フィルム搬送方向またはフィルム搬送方向に直交する方向に延伸する場合は、1.5〜5.0倍の倍率で延伸することが好ましく、より好ましくは2.0〜4.0倍の範囲である。
また、延伸に引き続き熱加工することもできる。熱加工手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行うことができるが、簡便さの点で、熱風で行うことが好ましい。熱加工されたフィルムは通常Tg以下まで冷却され、フィルム両端のクリップ把持部分をカットし巻き取られる。冷却する手段は特に限定はなく、従来公知の手段で行えるが、特に複数の温度領域で順次冷却しながらこれらの処理を行うことがフィルムの寸法安定性向上の点で好ましい。
本形態では、生産性の観点から、高屈折率層および低屈折率層の総層数の範囲は、10〜5000層であることが好ましく、より好ましくは20〜2000層である。
上記樹脂の同時押し出しにより高屈折率層および低屈折率層の積層体を形成後、該積層体を延伸してフィルムを形成した後、熱圧着や接着剤を用いた接着により、光学反射層を基材上に形成することができる。
(赤外吸収ナノ粒子層)
本発明の光学反射フィルムは、上記基材及び光学反射層に加えて、赤外吸収ナノ粒子層を有する。ここで、赤外吸収ナノ粒子層は、通常、光学反射層上に形成されるが、光学反射層上に直接赤外吸収ナノ粒子層を設ける形態のみならず、光学反射層と赤外吸収ナノ粒子層との間に他の中間層が設けられてもよい。また、赤外吸収ナノ粒子層は1層であっても、複数層存在していてもよく、赤外吸収ナノ粒子層が複数層存在する場合には、各赤外吸収ナノ粒子層が隣接して積層されている形態のみならず、物理的に離れた位置に存在していてもよい。ここで、中間層は、特に制限されず、所望の機能によって適宜選択される。具体的には、中間層としては、粘着剤層、導電性層、帯電防止層、ガスバリア層、易接着層(接着層)、防汚層、消臭層、流滴層、易滑層、耐摩耗性層、反射防止層、電磁波シールド層、印刷層、蛍光発光層、ホログラム層、剥離層、着色層などが挙げられる。
赤外吸収ナノ粒子層の厚さは、所望の機能(赤外吸収能)が発揮されるように適宜設計されうる。赤外吸収ナノ粒子層の厚さは、通常、1〜20μmであり、好ましくは1〜15μm、より好ましくは3〜10μm、特に好ましくは5〜10μm程度である。
赤外吸収ナノ粒子層の構成は特に制限されず、公知の光学反射フィルムに適用される赤外吸収ナノ粒子層と同様の構成をとりうる。通常、赤外吸収ナノ粒子層は、金属酸化物ナノ粒子および樹脂を含む。
ここで、金属酸化物ナノ粒子は、ナノ粒子であることで、可視光線の透過性が確保される。このような金属酸化物ナノ粒子を構成する材料は、赤外光を吸収できるものであれば特に制限されないが、例えば、スズ、アンチモン、インジウム、チタン、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、ホウ素、セリウム、タングステン、ニッケル、バナジウムおよび亜鉛の、酸化物およびドープト酸化物、ならびにこれらの混合物が挙げられる。より具体的に、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、インジウムドープ酸化スズ、インジウムドープ酸化亜鉛(インジウム亜鉛複合酸化物:IZO)、アンチモンドープ酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズ、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、アンチモンドープ酸化亜鉛(アンチモン亜鉛複合酸化物:AZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(ガリウム亜鉛複合酸化物:GZO)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、アルミナ、ジルコニア、ホウ素化ランタン、酸化セリウム、酸化バナジウム、酸化ニッケル、酸化タングステン、セシウム酸化タングステンまたはこれらの混合物が挙げられる。他にもCd/Se、GaN、Y、Au、Ag、Cuを含む酸化物ナノ粒子も利用可能である。これらのうち、赤外吸収を考慮すると、アンチモンドープ酸化亜鉛、酸化アンチモンスズ、アンチモンドープ酸化スズ、およびインジウムドープ酸化スズが好ましい。上記金属酸化物ナノ粒子は、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。なお、本明細書にて他の金属でドープされた化合物とは、化合物中に他の金属が混合されている状態、または化合物と他の金属(酸化物)とが結合している状態の双方を指す。
赤外吸収ナノ粒子層における金属酸化物ナノ粒子の含有量は、特に制限されないが、赤外吸収ナノ粒子層の構成成分の全量(固形分換算)に対して、30〜80質量%であることが好ましく、45〜70質量%であることがより好ましい。金属酸化物ナノ粒子の含有量がかような範囲にあることで、赤外吸収ナノ粒子層は十分な赤外光吸収性(赤外光遮蔽性)を発揮できる。
赤外吸収ナノ粒子層は、金属酸化物ナノ粒子を必須に含むが、本発明の効果を損なわない限り、耐候性や吸収スペクトルの観点から、金属酸化物ナノ粒子以外の他の赤外線吸収剤を混合してもよい。赤外線吸収剤は特に制限されず、公知の赤外線吸収剤が使用できるが、例えば、ホウ素化ランタン、ニッケル錯体系化合物、イモニウム系、フタロシアニン系、アミニウム系化合物等が挙げられる。赤外吸収ナノ粒子層が他の赤外線吸収剤を含む場合の赤外吸収ナノ粒子層における他の赤外線吸収剤の配合量は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、好ましくは0質量%を超えて5質量%以下であり、より好ましくは0質量%を超えて3質量%以下である。
金属酸化物ナノ粒子における「ナノ粒子」とは、平均(二次)粒径が1000nm以下の粒子を指す。金属酸化物ナノ粒子の大きさは特に制限されないが、可視光の透過性を考慮すると、平均粒径が1〜500nmの範囲にあるものがより好ましく、1〜200nmの範囲にあるものがさらに好ましく、5〜100nmの範囲にあるものが特に好ましい。粒径は、透過型電子顕微鏡などの観察手段を用いて観察される粒子(観察面)の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち最大の距離を意味する。平均粒径の値としては、透過型電子顕微鏡などの観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒径の個数平均値として算出される値を用いる。
赤外吸収ナノ粒子層を構成する樹脂は、特に制限されないが、熱硬化性樹脂や活性エネルギー線硬化性樹脂が挙げられる。これらのうち、成形が容易なことから、活性エネルギー線硬化性樹脂が好ましい。かような硬化性樹脂は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。また、硬化型樹脂は市販品を用いてもよいし、合成品を用いてもよい。ここで、活性エネルギー線樹脂とは、紫外線や電子線のような活性エネルギー線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂をいう。活性エネルギー線硬化樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性エネルギー線を照射することによって硬化させて活性エネルギー線硬化樹脂層が形成される。活性エネルギー線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線照射によって硬化する紫外線硬化性樹脂が好ましい。すなわち、赤外吸収ナノ粒子層は、紫外線硬化性樹脂、ならびにアルミニウムドープ酸化亜鉛、酸化アンチモンスズ、アンチモンドープ酸化スズ、およびインジウムドープ酸化スズからなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化性ウレタンアクリレート樹脂、紫外線硬化性ポリエステルアクリレート樹脂、紫外線硬化性エポキシアクリレート樹脂、紫外線硬化性ポリオールアクリレート樹脂等の紫外線硬化性アクリレート系樹脂、または紫外線硬化性エポキシ樹脂等が好ましく用いられる。中でも、紫外線硬化性アクリレート系樹脂、特に紫外線硬化性ウレタンアクリレート樹脂、紫外線硬化性ポリオールアクリレート樹脂が好ましい。
紫外線硬化性ウレタンアクリレート樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、またはプレポリマーを反応させて得られた生成物にさらに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる。例えば、特開昭59−151110号公報に記載の、ユニディック17−806(大日本インキ(株)製)100部とコロネートL(日本ポリウレタン(株)製)1部との混合物等が好ましく用いられる。紫外線硬化性ウレタンアクリレート樹脂としては、市販品を用いてもよく、市販品としては、ビームセット(登録商標)575、577(荒川化学工業株式会社製)、紫光(登録商標)UVシリーズなどを挙げることができる。
紫外線硬化性ポリエステルアクリレート樹脂としては、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させることにより形成されるものを挙げることができ、特開昭59−151112号公報に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化性エポキシアクリレート樹脂としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光重合開始剤を添加し、反応させて生成するものを挙げることができ、特開平1−105738号公報に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化性ポリオールアクリレート樹脂としては、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。紫外線硬化性ポリオールアクリレート樹脂としては、市販品を用いてもよく、市販品としては、サートマーSR295、SR399(サートマー社製)などを挙げることができる。
また、紫外線硬化性樹脂と組み合わせて(または単独で)、重合性シリコーン化合物を用いてもよい。該重合性シリコーン化合物は、上記紫外線硬化性樹脂と組み合わせて用いることが好ましい。
重合性シリコーン化合物は、分子内にシロキサン結合による主骨格(シリコーン骨格)と重合性基を有する化合物である。
重合性基は、上記紫外線硬化性樹脂と重合可能な基であり、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等の重合性の二重結合を有する基が挙げられる。好ましくは(メタ)アクリロイル基である。したがって、好ましい重合性シリコーン化合物は、シリコーン(メタ)アクリレートまたはシリコーン(メタ)アクリレートオリゴマー(以下、併せてシリコーン(メタ)アクリレートという。)であることが好ましい。
また、重合性シリコーン化合物は、上述の紫外線硬化性樹脂との相溶性を向上させるという点から、分子内に紫外線硬化性樹脂との相溶性を向上する部位を含有する有機変性重合性シリコーン化合物であることが好ましい。このような有機変性重合性シリコーン化合物としては、例えば、ウレタン変性、アミノ変性、アルキル変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、アルコール変性、フッ素変性、アルキルアラルキルポリエーテル変性、エポキシ・ポリエーテル変性またはポリエーテル変性した重合性シリコーン化合物が挙げられる。
例えば、紫外線硬化性樹脂が、紫外線硬化性ウレタンアクリレート樹脂を含む場合には、重合性シリコーン化合物は、ウレタン変性シリコーン(メタ)アクリレートであることが好ましい。ウレタン変性シリコーン(メタ)アクリレートは、たとえば両末端がOHであるシリコーン化合物に多価イソシアネートを反応させ、末端イソシアナートシリコーン化合物を得て、末端イソシアナートシリコーン化合物と前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとを反応させて得られる。
なお、重合性シリコーン化合物も重合物が形成されるため、樹脂の重合性成分となる。
上記樹脂は、合成により得られてもあるいは市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、EBECRYL1360、EBECRYL350、KRM8495(ダイセル・オルネクス社製)、CN9800、CN990(アルケマ社製)などが挙げられる。
紫外線硬化性樹脂は、光重合開始剤(ラジカル重合開始剤)を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、べンゾイン、べンゾインメチルエーテル、べンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、べンジルメチルケタールなどのべンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのアセトフェノン類;メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−アミルアントラキノンなどのアントラキノン類;チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類;ベンゾフェノン、4,4−ビスメチルアミノべンゾフェノンなどのベンゾフェノン類およびアゾ化合物等を用いることができる。これらは単独でもまたは2種以上組み合わせても使用することができる。加えて、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミンなどの第3級アミン;2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチルなどの安息香酸誘導体等の光開始助剤などと組み合わせて使用することができる。光重合開始剤は市販品を用いてもよく、例えばイルガキュア(登録商標)−184、819、907、651、1700、1800、819、369、261、DAROCUR−TPO(BASFジャパン株式会社製)、ダロキュア(登録商標)−1173(メルク株式会社製)、エザキュア−KIP150、TZT(DKSHジャパン株式会社製)、カヤキュア(登録商標)BMS、DMBI(日本化薬株式会社製)等が挙げられる。これら光重合開始剤の使用量は、樹脂の重合性成分100質量部に対して好ましくは0.5〜30質量部、より好ましくは1〜25質量部である。
赤外吸収ナノ粒子層中の上記樹脂の配合量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、目的によって好適に設定できる。例えば、赤外吸収ナノ粒子層中の上記樹脂の配合量は、赤外吸収ナノ粒子層の構成成分の全量(固形分換算)に対して、20〜70質量%であることが好ましく、30〜55質量%であることがより好ましい。
また、赤外吸収ナノ粒子層は、必要に応じて、界面活性剤を含んでもよい。これにより、レベリング性、撥水性、滑り性等を付与することができる。界面活性剤の種類として、特に制限はなく、アクリル系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等を用いることができる。特にレベリング性、撥水性、滑り性という観点で、フッ素系界面活性剤を用いることが好ましい。フッ素系界面活性剤の例としては、例えば、DIC株式会社製のメガファック(登録商標)Fシリーズ(F−430、F−477、F−552〜F−559、F−561、F−562等)、DIC株式会社製のメガファック(登録商標)RSシリーズ(RS−76−E等)、AGCセイミケミカル株式会社製のサーフロン(登録商標)シリーズ、OMNOVA SOLUTIONS社製のPOLYFOXシリーズ、株式会社T&K TOKAのZXシリーズ、ダイキン工業株式会社製のオプツールシリーズ、ネオス社製のフタージェント(登録商標)シリーズ(602A、650A等)等の市販品を使用することができる。界面活性剤の赤外吸収ナノ粒子層中の含有量は、赤外吸収ナノ粒子層の構成成分の全量(固形分換算)に対して、0.001〜0.5質量%であることが好ましい。
赤外吸収ナノ粒子層の形成方法は特に制限されず、公知の方法が同様にしてあるいは適宜修飾して適用できる。例えば、赤外吸収ナノ粒子層形成用塗布液を光学反射層上に塗布する方法が使用できる。
上記方法において、赤外吸収ナノ粒子層形成用塗布液を形成するのに使用される溶媒は特に制限されないが、例えば、炭化水素類(トルエン、キシレン)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル)、グリコールエーテル類などが挙げられる、これらの溶媒は、単独で使用してもあるいは2種以上の混合物の形態で使用してもよい。溶媒の量は特に制限されず、硬化樹脂を溶解、分散できる量において適宜設定される。例えば、赤外吸収ナノ粒子層形成用塗布液中の金属酸化物ナノ粒子及び樹脂の濃度(全固形分濃度)が、10〜60質量%であることが好ましく、20〜50質量%であることがより好ましい。
また、上記方法において、赤外吸収ナノ粒子層形成用塗布液の塗布方法もまた特に制限されず、バーコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等、従来公知のコーティング方法を挙げることができる。上記塗布後は、塗膜を乾燥した後、加熱または活性エネルギー線照射によって硬化処理を行う。ここで、乾燥条件は、用いられる溶媒を除去できる温度で適宜設定されるが、通常40〜120℃である。また、上記硬化処理を加熱により行う場合の、加熱条件は十分硬化処理を行うことができる条件であればよいが、50〜150℃の温度範囲内で30分〜数日間の熱処理を行うことが好ましい。また、上記硬化処理を活性エネルギー線照射によって行う場合の、活性エネルギー線照射条件は、特に制限されない。活性エネルギー線の照射波長、照度、光量によってその反応性が変わるため、使用する樹脂によって最適な条件を選択する必要がある。例えば、活性エネルギー線として紫外線ランプを用いる場合、その照度は50〜1500mW/cmが好ましい。照射エネルギー量は50〜1500mJ/cmが好ましい。
(放熱促進層)
本発明の光学反射フィルムは、上記基材、光学反射層及び赤外吸収ナノ粒子層に加えて、放熱促進層を有する。
ここで、放熱促進層は、光入射側の最表層に配置される。光学反射フィルムは、太陽光が光学反射フィルムの放熱促進層側から入射するように設置される限り、その構造は制限されない。好ましくは、放熱促進層が最外層に配置され、かつ他方の最外層に粘着層が配置される。このような形態では、例えば、光学反射フィルムを戸外(室外)側の窓ガラス面に粘着層を介して貼り合わせる場合には、放熱促進層が太陽光入射側に配置される形態となる。当該形態の場合には太陽光が入射する側の最表層に放熱促進層が配置されるため、赤外吸収ナノ粒子層が発する熱を効率よくフィルム外に放出する。
また、放熱促進層は、通常、赤外吸収ナノ粒子層上に形成されるが、赤外吸収ナノ粒子層上に直接放熱促進層を設ける形態のみならず、赤外吸収ナノ粒子層と放熱促進層との間に他の中間層が設けられてもよい。好ましくは、放熱促進層は赤外吸収ナノ粒子層上に形成される、即ち、赤外吸収ナノ粒子層および放熱促進層は隣接して配置される。当該構成をとることによって、赤外光吸収ナノ粒子層中の金属酸化物ナノ粒子が赤外光吸収により発する熱をより効率的に放出できる。このため、光学反射フィルムによる熱割れ現象をより有効に抑制・防止できる。また、放熱促進層は1層であっても、複数層存在していてもよく、放熱促進層が複数層存在する場合には、各放熱促進層が隣接して積層されている形態のみならず、物理的に離れた位置に存在していてもよい。ここで、中間層は、特に制限されず、所望の機能によって適宜選択される。具体的には、中間層としては、上記赤外吸収ナノ粒子層で記載したものと同様の層が挙げられる。
本発明では、放熱促進層の膜厚(d2)に対する赤外吸収ナノ粒子層の膜厚(d1)の比(d1/d2)が、1〜100である。すなわち、放熱促進層の膜厚が、赤外吸収ナノ粒子層の膜厚と同等または赤外吸収ナノ粒子層の膜厚より薄い。これにより、放熱促進層は、金属酸化物ナノ粒子が赤外光吸収により発する熱を外部に効率的に放出できる。ここで、上記比(d1/d2)が1未満(即ち、放熱促進層の方が厚い)場合には、放熱促進層が厚すぎて、赤外吸収ナノ粒子層の発熱をフィルム外に十分放熱できないため、熱割れを生じてしまい、好ましくない。また、上記比(d1/d2)が100を超える(即ち、放熱促進層が薄すぎる)と、放熱促進層が薄すぎて、赤外吸収ナノ粒子層の発熱を直接受けて、やはり光学反射フィルムの熱割れ現象を防止できず、やはり好ましくない。放熱特性及び耐傷性の向上効果の観点から、放熱促進層の膜厚(d2)に対する赤外吸収ナノ粒子層の膜厚(d1)の比(d1/d2)は、好ましくは3〜50、より好ましくは5〜20である。
また、本発明では、放熱促進層の膜厚(乾燥膜厚)は、0.1μm以上1μm未満である。ここで、放熱促進層の膜厚(乾燥膜厚)が0.1μm未満であると、放熱促進層が薄すぎて、赤外吸収ナノ粒子層の発熱を直接受けて、光学反射フィルムの熱割れ現象を防止できない。また、この場合には、放熱促進層が、十分なフィルム保護特性を発揮できず、十分な耐傷性を発揮できない。また、放熱促進層の膜厚(乾燥膜厚)が1μm以上であると、赤外吸収ナノ粒子層の発熱をフィルム外に十分放熱できないため、熱割れを生じてしまう。また、特に後述のポリシラザン由来のメタロキサン骨格を有する材料を用いて放熱促進層を形成する場合には、塗布乾燥時に割れが生じてしまい好ましくない。また、上記したような放熱促進層の膜厚であれば、フィルム全体の膜厚を抑えられるので、フィルムは優れた柔軟性(屈曲性)を発揮できる。耐傷性に劣るため、やはり好ましくない。放熱特性及び耐傷性の向上効果の観点から、放熱促進層の膜厚(乾燥膜厚)は、好ましくは0.1μmを超えて0.9μm以下、より好ましくは0.2〜0.8μmである。
放熱促進層を形成する材料としては、放熱性を発揮できるものであれば特に制限されないが、透明性、耐傷性、耐候性、硬度、機械的強度等を発揮できるものであることが好ましい。
一般に電子部品等の放熱用には熱伝導性組成物として樹脂に無機フィラーを添加して作製される。樹脂としてはアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、有機シリケート化合物、シリコーン系樹脂などで構成することができる。特に、硬度と耐久性などの点で、シリコーン系樹脂やアクリル系樹脂が好ましい。さらに、硬化性、可撓性および生産性の点で、活性エネルギー線硬化型のアクリル系樹脂、または熱硬化型のアクリル系樹脂からなるものが好ましい。無機フィラーとしては、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化亜鉛が挙げられる。ここで、これら無機フィラーの含有率を高くすると熱伝導率は増加するが、塗膜表面の平面性や透明性が劣化したり、表面にヒビ、クラック、ボイド等が発生しやすくなり、無機フィラーが脱落しやすくなったりすることがあった。これに対して、本発明では、放熱性、耐傷性という観点からは、メタロキサン骨格を有する材料(有機シリケート化合物、シリコーン系樹脂)が特に好ましく使用される。すなわち、放熱促進層がメタロキサン骨格を有する材料を含むことが好ましい。
熱硬化型シリコーン系の放熱促進層には公知の方法によって合成したアルコキシシラン化合物の部分加水分解オリゴマーを使用できる。その合成方法の一例は以下の通りである。まず、アルコキシシラン化合物としてテトラメトキシシラン、又はテトラエトキシシランを用い、これを塩酸、硝酸等の酸触媒の存在下に所定量の水を加えて、副生するアルコールを除去しながら室温から80℃で反応させる。この反応によりアルコキシシランは加水分解し、更に縮合反応により一分子中にシラノール基又はアルコキシ基を2個以上有し、平均重合度4〜8のアルコキシシラン化合物の部分加水分解オリゴマーが得られる。次にこれに酢酸、マレイン酸等の硬化触媒を添加し、アルコール、グリコールエーテル系の有機溶剤に溶解させて熱硬化型シリコーン系ハードコート液が得られる。そしてこれを通常の塗料における塗装方法により赤外吸収ナノ粒子層に塗布し、80〜140℃の温度で加熱硬化することによって透明な放熱促進層を形成させる。なお、テトラアルコキシシランの代わりにジ(アルキルまたはアリール)ジアルコキシシラン、並びに/或いはモノ(アルキルまたはアリール)トリアルコキシシランを使用することにより、同様にポリシロキサン系の透明放熱促進層を製造することが可能である。
放熱促進層が無機物からなる場合、例えば酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコン、窒化アルミニウム、酸化ランタン、窒化ランタン等を、真空製膜法により製膜することで形成できる。真空製膜法としては、例えば、抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム加熱式真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト真空蒸着法、スパッタ法などがある。
また、放熱促進層がメタロキサン骨格を有する材料を含む場合、ポリシラザンを塗布製膜し、加熱硬化した膜からなることがより好ましい。すなわち、メタロキサン骨格を有する材料がポリシラザン由来のメタロキサン骨格を有する材料であることがより好ましい。当該材料を使用することによって、柔軟性(屈曲性)は維持したまま、熱伝導率の高い放熱促進層が形成できる。また、当該材料を使用して形成した放熱促進層は、ガラス様の特性を示すため、耐傷性にも優れる。
このような放熱促進層の作製方法は、特に制限されない。例えば、下記一般式(1)で表されるポリシラザンを含む有機溶剤中に必要に応じて触媒を加えた溶液を塗布・乾燥(溶剤を蒸発により除去)した後、加熱することによって、ガラス様の透明な放熱促進層を形成できる。
上記一般式(1)において、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基である。この際、R、RおよびRは、それぞれ、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。ここで、アルキル基としては、炭素原子数1〜8の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基が挙げられる。より具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などがある。また、アリール基としては、炭素原子数6〜30のアリール基が挙げられる。より具体的には、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などの非縮合炭化水素基;ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基などの縮合多環炭化水素基が挙げられる。(トリアルコキシシリル)アルキル基としては、炭素原子数1〜8のアルコキシ基で置換されたシリル基を有する炭素原子数1〜8のアルキル基が挙げられる。より具体的には、3−(トリエトキシシリル)プロピル基、3−(トリメトキシシリル)プロピル基などが挙げられる。上記R〜Rに場合によって存在する置換基は、特に制限はないが、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基(−OH)、メルカプト基(−SH)、シアノ基(−CN)、スルホ基(−SOH)、カルボキシル基(−COOH)、ニトロ基(−NO)などがある。なお、場合によって存在する置換基は、置換するR〜Rと同じとなることはない。例えば、R〜Rがアルキル基の場合には、さらにアルキル基で置換されることはない。これらのうち、好ましくは、R、RおよびRは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、ビニル基、3−(トリエトキシシリル)プロピル基または3−(トリメトキシシリルプロピル)基である。
また、上記一般式(1)において、nは、整数であり、一般式(1)で表される構造を有するポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められることが好ましい。これらのうち、R、RおよびRのすべてが水素原子であるパーヒドロポリシラザンが好ましい。
また、別の好ましい態様の一つでは、放熱促進層が、下記の一般式(2)で表される少なくとも一種のポリシラザンを含む。
上記一般式(2)において、R1’、R2’、R3’、R4’、R5’およびR6’は、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基である。この際、R1’、R2’、R3’、R4’、R5’およびR6’は、それぞれ、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。上記における、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基は、上記一般式(1)の定義と同様であるため、説明を省略する。
また、上記一般式(2)において、n’およびp’は、整数であり、一般式(2)で表される構造を有するポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められることが好ましい。なお、n’およびp’は、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。
上記一般式(2)のポリシラザンのうち、R1’、R3’およびR6’が各々水素原子を表し、R2’、R4’およびR5’が各々メチル基を表す化合物;R1’、R3’およびR6’が各々水素原子を表し、R2’、R4’が各々メチル基を表し、R5’がビニル基を表す化合物;R1’、R3’、R4’およびR6’が各々水素原子を表し、R2’およびR5’が各々メチル基を表す化合物が好ましい。
さらに、別の好ましい態様の一つでは、放熱促進層が、下記の一般式(3)で表される少なくとも一種のポリシラザンを含む。
上記一般式(3)において、R1”、R2”、R3”、R4”、R5”、R6”、R7”、R8”およびR9”は、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基である。この際、R1”、R2”、R3”、R4”、R5”、R6”、R7”、R8”およびR9”は、それぞれ、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。上記における、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基は、上記一般式(1)の定義と同様であるため、説明を省略する。
また、上記一般式(3)において、n”、p”およびq”は、整数であり、一般式(3)で表される構造を有するポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められることが好ましい。なお、n”、p”およびq”は、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。
上記一般式(3)のポリシラザンのうち、R1”、R3”およびR6”が各々水素原子を表し、R2”、R4”、R5”およびR8”が各々メチル基を表し、R9”が(トリエトキシシリル)プロピル基を表し、R7”がアルキル基または水素原子を表す化合物が好ましい。
一方、そのSiと結合する水素原子部分の一部がアルキル基等で置換されたオルガノポリシラザンは、メチル基等のアルキル基を有することにより下地である基材との接着性が改善され、かつ硬くてもろいポリシラザンによるセラミック膜に靭性を持たせることができ、より(平均)膜厚を厚くした場合でもクラックの発生が抑えられる利点がある。このため、用途に応じて適宜、これらパーヒドロポリシラザンとオルガノポリシラザンを選択してよく、混合して使用することもできる。
パーヒドロポリシラザンは、直鎖構造と6および8員環を中心とする環構造が存在した構造と推定されている。その分子量は数平均分子量(Mn)で約600〜2000程度(ポリスチレン換算)で、液体または固体の物質があり、その状態は分子量により異なる。
ポリシラザンは有機溶媒に溶解した溶液状態で市販されており、市販品をそのまま第1のバリア層形成用塗布液として使用することができる。ポリシラザン溶液の市販品としては、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製のNN120−10、NN120−20、NAX120−20、NN110、NN310、NN320、NL110A、NL120、NL120A、NL120−20、NL150A、NP110、NP140、SP140等が挙げられる。
放熱促進層がメタロキサン骨格(好ましくはポリシラザン由来のメタロキサン骨格)を有する材料で形成する場合の、放熱促進層の形成方法は特に制限されないが、ポリシラザンを含む放熱促進層形成用塗布液を塗布し、塗膜を加熱硬化する方法が好ましい。ここで、塗布方法は特に制限されないが、例えば、バーコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等、従来公知のコーティング方法を挙げることができる。
溶剤中のポリシラザンの割合は、一般的には、ポリシラザン1〜80質量%である。溶剤としては、特に、水及び反応性基(例えばヒドロキシ基又はアミン基)を含まず、ポリシラザンに対して不活性の有機系で好ましくは非プロトン性の溶剤が好適である。これは、例えば、脂肪族又は芳香族炭化水素、ハロゲン炭化水素、エステル、例えば酢酸エチル又は酢酸ブチル、ケトン、例えばアセトン又はメチルエチルケトン、エーテル、例えばテトラヒドロフラン又はジブチルエーテル、並びにモノ−及びポリアルキレングリコールジアルキルエーテル(ジグライム類)又はこれらの溶剤からなる混合物である。
このポリシラザン溶液の追加の成分に、塗料の製造に慣用されているもののような、更に別のバインダーを用いることができる。これは、例えば、セルロースエーテル及びセルロースエステル、例えばエチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート又はセルロースアセトブチレート、天然樹脂、例えばゴムもしくはロジン樹脂、又は合成樹脂、例えば重合樹脂もしくは縮合樹脂、例えばアミノプラスト、特に尿素樹脂及びメラミンホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステルもしくは変性ポリエステル、エポキシド、ポリイソシアネートもしくはブロック化ポリイソシアネート、又はポリシロキサンである。
上記塗布後は、塗膜を乾燥した後、加熱によって硬化処理を行う。ここで、乾燥条件は、塗膜から十分量の溶剤が蒸発できる(塗膜が形成できる)条件であれば特に制限されない。具体的には、乾燥温度は、好ましくは10〜90℃、より好ましくは20〜50℃である。また、乾燥時間は、好ましくは0.5〜10分、より好ましくは1〜5分である。また、硬化条件は十分硬化処理を行うことができる(放熱促進層が形成できる)条件であればよいが、50〜150℃の温度範囲内で10分〜5時間の熱処理を行うことが好ましい。
本発明の光学反射フィルムは、金属酸化物ナノ粒子の赤外光吸収による熱割れを抑制・防止できる。また、本発明の光学反射フィルムは、耐傷性に優れる。さらに、本発明の光学反射フィルムは、高い可視光透過率、優れた赤外遮蔽性、高い屈曲性、剥離抑制性の少なくとも1つを満たす。具体的には、本発明の光学反射フィルムは、400nm〜780nmの領域において、通常、50%以上、好ましくは70%以上(上限:100%)の可視光透過率(Tvis)を有する。なお、本明細書において、「可視光透過率(Tvis)」は下記実施例に記載の方法によって測定された値を意味する。
[光学反射フィルムの応用:光学反射体]
本発明の光学反射フィルムは、幅広い分野に応用することができる。すなわち、本発明の好適な一実施形態は、上記光学反射フィルムを基体の少なくとも一方の面に設けてなる、光学反射体である。例えば、建物の屋外の窓や自動車窓等長期間太陽光に晒らされる設備(基体)に貼り合せ、熱線反射効果を付与する熱線反射フィルム等の窓貼用フィルム、農業用ビニールハウス用フィルム等として、主として耐候性を高める目的で用いられる。特に、本発明に係る光学反射フィルムが直接もしくは接着剤を介してガラスもしくはガラス代替樹脂基材に貼合されている部材には好適である。
基体の具体的な例としては、例えば、ガラス、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルフィド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、金属板、セラミック等が挙げられる。樹脂の種類は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂のいずれでも良く、これらを2種以上組み合わせて用いても良い。基体は、押出成形、カレンダー成形、射出成形、中空成形、圧縮成形等、公知の方法で製造することができる。基体の厚みは特に制限されないが、通常0.1mm〜5cmである。
光学反射フィルムと基体とを貼り合わせる接着層または粘着層は、光学反射フィルムを日光(熱線)入射面側に設置することが好ましい。また、光学反射フィルムを、窓ガラスと基体との間に挟持すると、水分等の周囲のガスから封止でき耐久性に優れるため好ましい。本発明に係る光学反射フィルムを屋外や車の外側(外貼り用)に設置しても環境耐久性があって好ましい。ここで、粘着層(接着層)は、基体(例えば、ガラス)との貼付け時点の即粘着力が2〜8N/25mmであり、前記即粘着力が4〜8N/25mmであることが好ましい。即粘着力とは、光学反射フィルムをガラスに貼付けて24時間後に計測した粘着層の粘着力のことを示す。粘着層の粘着力は粘着層を構成する材料を適切に選択することで調整が可能である。
また、貼付け時点の前記粘着層とガラスとの即粘着力が4〜8N/25mmであり、貼付け状態のまま、30℃、湿度60%の条件で1週間放置した時点の粘着層とガラスとの経時粘着力が7〜15N/25mmであることが曲面密着性の観点から好ましい。更に、前記経時粘着力が10〜15N/25mmであることが耐久性向上と糊残りが減少するという観点からより好ましい。経時粘着力とは、光学反射フィルムをガラスに貼付け、一定期間経過した後に計測した粘着層の粘着力のことを示す。
本発明の光学反射フィルムは、窓ガラスに貼り合わせる場合、窓に水を吹き付け、濡れた状態のガラス面に光学制御フィルムの粘着層を合わせる貼り方、いわゆる水貼り法が張り直し、位置直し等の観点で好適に用いられる。そのため、水が存在する湿潤下では粘着力が弱い粘着剤が好ましい。
本発明に適用可能な粘着剤(接着剤)としては、光硬化性もしくは熱硬化性の樹脂を主成分とする接着剤を用いることができる。
接着剤は紫外線に対して耐久性を有するものが好ましく、アクリル系粘着剤またはシリコーン系粘着剤が好ましい。更に粘着特性やコストの観点から、アクリル系粘着剤が好ましい。特に剥離強さの制御が容易なことから、アクリル系粘着剤において、溶剤系およびエマルジョン系の中で溶剤系が好ましい。アクリル溶剤系粘着剤として溶液重合ポリマーを使用する場合、そのモノマーとしては公知のものを使用できる。
また、合わせガラスの中間層として用いられるポリビニルブチラール系樹脂、あるいはエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂を用いてもよい。具体的には可塑性ポリビニルブチラール(積水化学工業社製、三菱モンサント社製等)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(デュポン社製、武田薬品工業社製、デュラミン)、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー社製、メルセンG)等である。なお、接着層には紫外線吸収剤、抗酸化剤、帯電防止剤、熱安定剤、滑剤、充填剤、着色剤、接着調整剤等を適宜添加できる。これらのうち、粘着層は、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。紫外線吸収剤を含む粘着層を設けることによって、太陽光(特に赤外光)量(熱線吸収層の太陽光吸収量)はより低減する。また、本発明の光学制御フィルムを窓貼用として使用する場合には、紫外線による光反射フィルムの劣化を抑制できる。
ここで、紫外線吸収剤としては、特に制限されず、公知の紫外線吸収剤を使用できる。例えば、2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;フェニルサリチレート、2−4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のサリチル酸フェニル系紫外線吸収剤;ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート等のヒンダードアミン系紫外線吸収剤;2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン系紫外線吸収剤;等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、上記以外に紫外線の保有するエネルギーを、分子内で振動エネルギーに変換し、その振動エネルギーを、熱エネルギー等として放出する機能を有する化合物が含まれる。
なお、紫外線吸収剤は、単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。また、紫外線吸収剤は、合成品を用いてもよいし市販品を用いてもよい。市販品の例としては、例えば、Tinuvin(登録商標)320、Tinuvin(登録商標)328、Tinuvin(登録商標)234、Tinuvin(登録商標)477、Tinuvin(登録商標)1577、Tinuvin(登録商標)622(以上、BASFジャパン株式会社製)、アデカスタブ(登録商標)LA−31(以上、株式会社アデカ製)、SEESORB(登録商標)102、SEESORB(登録商標)103、SEESORB(登録商標)501(以上、シプロ化成株式会社製)などが挙げられる。
紫外線吸収剤の添加量(固形分換算)は、粘着剤に対して、0.1〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。このような範囲であれば、熱線吸収層の太陽光吸収量をより有効に低減できる。
粘着層(接着層)の厚さは、1〜100μmが好ましく、3〜50μmがより好ましい。1μm以上であれば粘着性が向上する傾向にあり、十分な粘着力が得られる。逆に100μm以下であれば光学制御フィルムの透明性が向上するだけでなく、光学制御フィルムを窓ガラスに貼り付けた後、剥がしたときに粘着層間で凝集破壊が起こらず、ガラス面への粘着剤残りが無くなる傾向にある。
基材への粘着層の形成方法としては、特に制限されないが、基材またはセパレーター上に粘着層用塗布液を塗布し乾燥させて粘着層を形成した後、粘着層と反射層とを貼り合わせる方法が好ましい。この際用いられるセパレーターとしては、例えば、シリコーンコート離型PETフィルム、シリコーンコートPEフィルム等が挙げられる。セパレーター上への粘着層用塗布液の塗布方法は、特に制限されず、ワイヤーバーによるコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング等により塗布液を塗布し製膜する方法が挙げられ、また、ダイコーター、グラビアコーター、コンマコーターなどの連続塗布装置でも塗布、製膜することが可能である。
なお、本明細書において、「粘着力」は、JIS A 5759:2008 6.8粘着力試験に準じて測定することによって求められ、より具体的には、下記実施例に記載される方法に従って測定される。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「質量%」および「質量部」を意味する。
実施例1:光学反射フィルム1の作製
グリコール成分としてエチレングリコールおよびシクロヘキサンジメタノール(質量比7:3)、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸(ジカルボン酸成分:グリコール成分=1:1(モル比))を用いたポリアルキレンテレフタレート、ならびに、ジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(質量比7:3)、グリコール成分としてエチレングリコール(ジカルボン酸成分:グリコール成分=1:1(モル比))を用いたPENのコポリマーを、320℃に溶融し、200層の重層押し出しダイスから、ポリアルキレンテレフタレートから形成される層を、片面側1640nmからもう片面側が2460nmになるように傾斜をかけ押し出し、PENのコポリマーから形成される層を片面側1230nmからもう片面側が1840nmになるように傾斜をかけ、交互に押し出し、押出されたフィルムを縦約3.3倍、横約3.3倍に延伸した後、熱固定、冷却を行って、波長1000nmに反射波長の中心がある光学反射層(厚さ:72μm)を作製した。
上記で得られた光学反射層を、基材としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(A4300、両面易接着層、厚さ:50μm、長さ200m×幅210mm、東洋紡績株式会社製、以下、PETフィルムと略記する。)に熱圧着させ、光学反射層を基材上に形成した。なお、熱圧着の温度を130℃とし、圧着力が500N/cmとし、圧着速度は5m/minとした。
AZO分散液(製品名:セルナックスCX−Z610M−F2、平均粒径15nm、日産化学工業社製)に対して、メタノールでAZO濃度40質量%になるように希釈し、紫外線硬化性ハードコート剤であるKRM8495(ダイセル・オルネクス社製、アクリレート系硬化樹脂と重合開始剤の混合物)を添加し、全固形分が30質量%、AZO濃度が固形分に対して50質量%、硬化樹脂が50質量%(重合開始剤込)になるように調製して、赤外吸収ナノ粒子層形成用塗布液1を作製した。乾燥膜厚が1μmになるように、グラビアコーターを用いて、光学反射層上に赤外吸収ナノ粒子層形成用塗布液1を塗布し、恒率乾燥区間温度50℃、減率乾燥区間温度90℃で乾燥の後、紫外線ランプを用い照射部の照度が100mW/cmで、照射量を0.2J/cmとして塗布層を硬化させ、乾燥膜厚が1μmの赤外吸収ナノ粒子層を光学反射層上に形成した。
上記の赤外吸収ナノ粒子層に、ジブチルエーテル中の3質量%パーヒドロポリシラザン液(AZエレクトロニックマテリアルズ社製 NL120)を用いて乾燥後の膜の厚さが800nmとなるようにバーコーティングし、3分間自然乾燥した後、90℃のオーブンで30分間、加熱硬化(アニール)して、乾燥膜厚800nmの放熱促進層を赤外吸収ナノ粒子層上に形成した。
ヒドロキシ基を有するアクリル樹脂100質量部、MKCメチルシリケートMS−56(三菱化学社製テトラメチルシリケート部分加水分解物縮合物、nの平均値=10)50質量部、ジブチルスズラウレート1質量部、キシレン700質量部、イソプロピルアルコール150質量部を混合、攪拌して、固形分10質量%の樹脂混合物を調製した。
得られた樹脂混合物に、チヌビン477(BASFジャパン社製の紫外線吸収剤)2.0質量部を混合して、粘着層形成用塗布液1を調製した。
上記で調製した粘着層形成用塗布液1を用いて、ワイヤーバーにて上記放熱促進層と反対側(放熱促進層が形成されていない側の基材面)に塗布し乾燥した。乾燥後の粘着層の膜厚は8μmであった。この粘着層付きフィルムの粘着層表面にセパレーターフィルムとして25μm厚のポリエステルフィルム(セラピール、東洋メタライジング社製)を貼合機により貼合して、光学反射フィルム1を作製した。
実施例2〜13:光学反射フィルム2〜13の作製
実施例1において、赤外吸収ナノ粒子層および放熱促進層の厚さを下記表1に示されるような厚さにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、光学反射フィルム2〜13を作製した。
比較例1〜5:光学反射フィルム14〜18の作製
実施例1において、赤外吸収ナノ粒子層および放熱促進層の厚さを下記表1に示されるような厚さにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、光学反射フィルム14〜18を作製した。
[光学反射フィルムの性能評価]
上記実施例および比較例で得られた光学反射フィルム1〜18について、下記方法に従って、熱割れ、屈曲性、可視光透過率および耐傷性を評価した。その結果を表1に示す。
(熱割れの評価)
上記で作製した光学反射フィルム1〜18を、それぞれ、幅15cm、長さ30cmに断裁した後、粘着層側を厚さ3mm(乾燥中間層6mm)の市販の積層ガラス板に水貼り法により貼り合わせた。次に、この光学反射フィルムを貼り合わせた積層ガラス板を、直径が15.2cm(6インチ)、幅が25cmのロール上に、厚さ6mmのゴムで被覆した鋼ローラーを使用し、ローラーの自重のみが窓貼り用フィルム面にかかるように、ローラーでフィルムとガラスを圧着して、評価用サンプルを作製した。
この評価用サンプルを、それぞれ、クランプでつかんでスタンドに固定し、ガラス側(光学反射フィルムを貼っていない方)から、30cm離して市販の40Wハロゲンランプを設置し、反対面側から50cm離れた距離で扇風機を回し空冷しながら、上記ハロゲンランプを照射し目視でガラス表面に割れ(ヒビ)が発生し始めるまでの時間を測定し、時間を下記のようにして分類した。
(屈曲性の測定)
JIS K5600−5−1:1999に基づいて1506マンドレル屈曲性試験機(Elcometer社製)を用い、放熱促進層塗布面を外側に配置し屈曲した時に剥がれを起こす、または透明支持体から剥がれを起こし始める最低直径(mm)を測定した。
(可視光透過率(Tvis)の測定)
分光光度計(積分球使用、日立製作所社製、U−4100型)を用い、各光学反射フィルム試料の400nm〜780nmの領域における平均可視光透過率(Tvis)を測定した。
(耐傷性の評価)
500g/cmの荷重の条件で#0000のスチールウールをストローク100mm、速度30mm/secで100往復させる後の表面を目視で観察し、その結果を下記のようにして分類した。
上記表1に示されるように、本発明の光学反射フィルムは、熱割れを有効に抑制・防止できることが分かる。これは、放熱促進層が赤外吸収ナノ粒子層が発する熱を十分放出しているためであると考察される。ゆえに、本発明の光学反射フィルムを用いることにより、積層ガラスに貼った場合でもフィルムに割れが生じにくくなることが期待される。なお、フィルム17は放熱促進層が厚すぎるため、塗布乾燥時に放熱促進層自身に微小な割れが発生した。
実施例14:光学反射フィルム19の作製
透明樹脂フィルムとして、PETフィルム(A4300、両面易接着層、厚さ:50μm、長さ200m×幅210mm、東洋紡績株式会社製)を準備した。
(低屈折率層用塗布液1の調製)
下記の各構成材料を、それぞれ45℃でこの順に添加、混合した後、純水で1000部に仕上げて、低屈折率層用塗布液1を調製した。
(高屈折率層用塗布液1の調製)
下記の手順に従って、高屈折率層用塗布液1を調製した。
〈シリカ被覆酸化チタン粒子の分散液の調製〉
はじめに、下記の方法に従って、シリカ被覆酸化チタン粒子の分散液を調製し、これに溶媒等を添加した。
シリカ被覆酸化チタン粒子の分散液は、以下のように調製した。
硫酸チタン水溶液を公知の方法により熱加水分解して、酸化チタン水和物を得た。得られた酸化チタン水和物を水に懸濁させて、酸化チタン水和物の水性懸濁液(TiO濃度:100g/L)10Lを得た。これに、水酸化ナトリウム水溶液(濃度10mol/L)30Lを撹拌下で添加し、90℃に昇温して、5時間熟成した。得られた溶液を塩酸で中和し、濾過、水洗することで、塩基処理チタン化合物を得た。
次に、塩基処理チタン化合物をTiO濃度20g/Lになるよう純水に懸濁させて撹拌した。撹拌下、TiO量に対し0.4mol%の量のクエン酸を添加した。95℃まで昇温し、濃塩酸を塩酸濃度が30g/Lとなるように加え、液温を維持して3時間撹拌した。ここで、得られた混合液のpH及びゼータ電位を測定したところ、25℃におけるpHは1.4、ゼータ電位は+40mVであった。また、ゼータサイザーナノ(マルバーン社製)により粒径測定を行ったところ、体積平均粒子径は35nm、単分散度は16%であった。
ルチル型酸化チタン粒子を含む20.0質量%の酸化チタンゾル水系分散液1kgに純水1kgを添加して、10.0質量%の酸化チタンゾル水系分散液を調製した。
上記10.0質量%の酸化チタンゾル水系分散液の0.5kgに、純水2kgを加えた後、90℃に加熱した。その後、SiO濃度が 0.5質量%のケイ酸水溶液 0.5kgを徐々に添加した。得られた分散液をオートクレーブ中、175℃で18時間加熱処理を行い、さらに濃縮することで、SiOで被覆されたルチル型構造を有する酸化チタン(被覆量:4質量%)を含む、20質量%のシリカ被覆酸化チタン粒子の分散液(ゾル水分散液)を得た。
〈塗布液の調製〉
上記調製したシリカ被覆酸化チタン粒子のゾル水分散液に、下記構成材料を45℃で順次添加し、最後に純水で1000部に仕上げ、高屈折率層用塗布液1を調製した。
15層重層塗布可能なスライドホッパー型湿式塗布装置を用い、上記調製した低屈折率層用塗布液1及び高屈折率層用塗布液1を40℃に保温しながら、前記透明樹脂フィルム上に、15層の重層塗布を行った。各屈折率層用塗布液を塗布した直後、5℃の冷風を吹き付けてセットした。このとき、表面を指で触れても指に何もつかなくなるまでの時間(セット時間)は5分であった。セット完了後、80℃の温風を吹き付けて乾燥させて、乾燥膜厚2.09μmの光学反射層を透明樹脂フィルム上に形成した。
この際、15層からなる光学反射層においては、最下層及び最上層は低屈折率層とした。この際、低屈折率層及び高屈折率層がそれぞれ交互に積層される構成とした。
塗布量については、乾燥時の層厚が低屈折率層は各層150nm、高屈折率層は各層130nmになるように調整した。なお、各層厚は、作製した光学反射フィルムを切断し、その切断面を電子顕微鏡により観察することで確認した。この際、二つの層間の界面を明確に観測することができない場合には、XPS表面分析装置により得た層中に含まれるTiOの厚さ方向のXPSデプスプロファイルにより界面を決定した。
実施例1と同様にして、赤外吸収ナノ粒子層形成用塗布液1を作製した。このようにして調製した赤外吸収ナノ粒子層形成用塗布液1を、実施例1と同様にして、上記光学反射層の上に塗布して、乾燥膜厚1μmの赤外吸収ナノ粒子層を光学反射層上に形成した。
上記の赤外吸収ナノ粒子層に、ジブチルエーテル中の3質量%パーヒドロポリシラザン液(AZエレクトロニックマテリアルズ社製 NL120)を用いて乾燥後の膜の厚さが800nmとなるようにバーコーティングし、3分間自然乾燥した後、90℃のオーブンで30分間、加熱硬化(アニール)して、乾燥膜厚800nmの放熱促進層を赤外吸収ナノ粒子層上に形成した。
実施例1と同様にして、粘着層形成用塗布液1を調製した。
上記調製した粘着層形成用塗布液1を用いて、ワイヤーバーにて上記放熱促進層と反対側(放熱促進層が形成されていない側の基材面)に塗布し乾燥した。乾燥後の粘着層の膜厚は8μmであった。この粘着層付きフィルムの粘着層表面にセパレーターフィルムとして25μm厚のポリエステルフィルム(セラピール、東洋メタライジング社製)を貼合機により貼合して、光学反射フィルム19を作製した。
実施例15〜26:光学反射フィルム20〜31の作製
実施例14において、赤外吸収ナノ粒子層および放熱促進層の厚さを下記表2に示されるような厚さにそれぞれ変更した以外は、実施例14と同様にして、光学反射フィルム20〜31を作製した。
比較例6〜10:光学反射フィルム32〜36の作製
実施例14において、赤外吸収ナノ粒子層および放熱促進層の厚さを下記表2に示されるような厚さにそれぞれ変更した以外は、実施例14と同様にして、光学反射フィルム32〜36を作製した。
[光学反射フィルムの性能評価]
上記実施例および比較例で得られた光学反射フィルム19〜36について、熱割れ、膜剥がれおよび耐傷性を評価した。なお、熱割れおよび膜剥がれは、下記方法に従って、評価した。また、耐傷性は、上記と同様にして評価した。その結果を表2に示す。
(熱割れ、膜剥がれの評価)
上記作製した光学反射フィルム19〜36を、幅15cm、長さ30cmに断裁した後、粘着層側を厚さ3mm(乾燥中間層6mm)の市販の積層ガラス板に水貼り法により貼り合わせた。次に、この光学反射フィルムを貼り合わせた積層ガラス板を直径が15.2cm(6インチ)、幅が25cmのロール上に、厚さ6mmのゴムで被覆した鋼ローラーを使用し、ローラーの自重のみが光学反射フィルム面にかかるように、ローラーでフィルムとガラスを圧着して、評価用サンプルを作製した。
このようにして作製した評価用サンプルをクランプでつかんでスタンドに固定し、ガラス側(本発明のフィルムを貼っていない方)から、30cm離して市販の40Wハロゲンランプを設置し、40Wで照射しながら、反対面側を1分間純水を霧吹きし、29分間自然乾燥を間欠的に24時間行った。このときの目視でガラス表面に割れ(ヒビ)が発生し始めるまでの時間を測定し、時間を下記のようにして分類した。また、24時間後の膜剥がれの状況を目視で観察し、その結果を下記のようにして分類した。これらの結果を表2に示す。
上記表2に示されるように、本発明の光学反射フィルムは、熱割れを有効に抑制・防止できることが分かる。これは、放熱促進層が赤外吸収ナノ粒子層が発する熱を十分放出しているためであると考察される。ゆえに、本発明の光学反射フィルムを用いることにより、積層ガラスに貼った場合でもフィルムに割れが生じにくくなることが期待される。
また、上記表2から、本発明の光学反射フィルムは、膜の剥がれをより有効に抑制できることも示される。これは、放熱拡散層を設けることにより、フィルム表面の濡れ性が向上して、水がたまりにくくなったため、耐水性が向上したことによるものと推察される。なお、フィルム35は放熱促進層が厚すぎるため、塗布乾燥時に放熱促進層自身に微小な割れが発生した。
さらに、本出願は、2014年6月12日に出願された日本特許出願番号2014−121787号に基づいており、その開示内容は、参照され、全体として、組み入れられている。

Claims (8)

  1. 基材、光学反射層、赤外吸収ナノ粒子層および放熱促進層を有する光学反射フィルムであって、前記放熱促進層が光入射側の最表層に配置され、前記放熱促進層の膜厚(d2)に対する前記赤外吸収ナノ粒子層の膜厚(d1)の比(d1/d2)が1〜100であり、前記放熱促進層の膜厚が0.1μm以上1μm未満であることを特徴とする光学反射フィルム。
  2. 前記放熱促進層がメタロキサン骨格を有する材料を含む、請求項1に記載の光学反射フィルム。
  3. 前記メタロキサン骨格を有する材料がポリシラザン由来のメタロキサン骨格を有する材料である、請求項2に記載の光学反射フィルム。
  4. 前記赤外吸収ナノ粒子層および放熱促進層は隣接して配置される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学反射フィルム。
  5. 前記光学反射層は、第1の水溶性高分子および第1の金属酸化物粒子を含む高屈折率層、ならびに第2の水溶性高分子および第2の金属酸化物粒子を含む低屈折率層が交互に積層されてなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学反射フィルム。
  6. 前記光学反射層は、第3の高分子を含む第3の高分子層、および第4の高分子を含む第4の高分子層が交互に積層されてなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学反射フィルム。
  7. 前記赤外吸収ナノ粒子層は、紫外線硬化性樹脂、ならびにアンチモンドープ酸化亜鉛、酸化アンチモンスズ、アンチモンドープ酸化スズ、およびインジウムドープ酸化スズからなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学反射フィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学反射フィルムを、基体の少なくとも一方の面に設けてなる、光学反射体。
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