JP2015049462A - 光学反射フィルム、およびそれを用いた光学反射体 - Google Patents

光学反射フィルム、およびそれを用いた光学反射体 Download PDF

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Abstract

【課題】反射層とそれに隣接するハードコート層の密着性に優れる光学反射フィルムとそれを用いた光学反射体を提供する。【解決手段】支持体の少なくとも一方の面の上に設けられた高屈折率層と低屈折率層とからなる積層ユニットと、前記積層ユニットに隣接して設けられた機能層と、を含む光学反射フィルムにおいて、前記機能層のバインダーと、前記積層ユニットのうち少なくとも前記機能層に隣接する層のバインダーとが互いに異なる材料からなり、前記積層ユニットの前記機能層に隣接する層または前記機能層の少なくとも一方に、炭素系微粒子を少なくとも1種含有していることを特徴とする光学反射フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、光学反射フィルム、およびそれを用いる光学反射体に関する。より詳細には、本発明は、反射層とハードコート層の密着性に優れる光学反射フィルムおよびその製造方法に関する。
屈折率の異なる層を交互積層した積層ユニット(単に反射層ともいう)を有する光学反射フィルムにおいて各層の光学膜厚を調整することで、近赤外線や遠赤外線、可視光、紫外線などの特定波長領域の光線を反射するように設計できることが知られている。
また、反射層の上に、ハードコート層などの機能層を積層することも知られている。しかし、反射層の上に、反射層とは異なるバインダー樹脂を含む機能層を設けた場合、両層間の密着性が十分ではなくはがれやすい。密着性を改善するために反射層と機能層との間に、両方の層に比較的密着性のよいアンカー層を設けることも知られているが、それでも取扱い状況によっては密着性が十分でないことがある。
一方、炭素系微粒子を光学反射膜の反射層に導入した例はある(引用文献1)。
しかし、これは高屈折率を付与するフィラ―として炭素系微粒子を添加したもので、反射層の上に機能層は設けられておらず、反射層と機能層との密着性を炭素系微粒子により向上させた例は皆無であった。
特開2011−237510号公報
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、高屈折率層と低屈折率層とからなる積層ユニットからなる反射層を製造し、反射層に隣接して機能層を設けた場合であっても密着性を確保してはがれ等の不良が発生しにくい光学反射フィルムとそれを用いた光学反射体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、積層ユニットの前記機能層に隣接する層または機能層の少なくとも一方にナノダイヤモンドに代表される炭素系微粒子を含有させることにより機能層と反射層の間の密着性が向上することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の上記目的は、支持体の少なくとも一方の面の上に設けられた高屈折率層と低屈折率層とからなる積層ユニットと、前記積層ユニットに隣接して設けられた機能層と、を含む光学反射フィルムにおいて、前記機能層のバインダーと、前記積層ユニットのうち少なくとも前記機能層に隣接する層のバインダーとが互いに異なる材料からなり、前記積層ユニットの前記機能層に隣接する層または前記機能層の少なくとも一方に、炭素系微粒子を少なくとも1種含有していることを特徴とする光学反射フィルムにより達成される。
本発明によれば、反射層上に機能層を設けた場合であって、これらの材料の親和性が低い場合でも、反射層と機能層の密着性が良好で、はがれ等の不良が発生しにくい光学反射フィルムが提供される。
本発明の一実施態様に係る光学反射フィルムの断面図である。
本発明に係る光学反射フィルムは、機能層のバインダーと、積層ユニットのうち少なくとも前記機能層に隣接する層のバインダーとが互いに異なる材料からなり、前記積層ユニットの前記機能層に隣接する層または前記機能層の少なくとも一方に、炭素系微粒子を少なくとも1種含有していることを特徴とする。上記構成とすることによって、反射層に隣接して溶剤系の機能層を設けた場合であっても反射層と機能層の密着性を確保してはがれ等の不良が発生しにくい光学反射フィルムとそれを用いた光学反射体が提供され得る。
上述した本発明の構成による作用効果の発揮のメカニズムは以下のように推測される。なお、本発明は、下記推測によって限定されない。
すなわち、本発明が対象とする光学反射フィルムは、反射層に隣接する機能層を有しており、機能層のバインダーと、反射層を構成する積層ユニットのうち少なくとも前記機能層に隣接する層のバインダーとが互いに異なる材料からなる。具体的には、反射層に使用されるバインダーは水溶性高分子からなり、ハードコート層のような機能層に使用されるバインダーは疎水性高分子からなる。ゆえに、相溶性、密着性が低く剥離が生じることがある。本発明に係る光学反射フィルムは、前記機能層、または前記積層ユニットのうち少なくとも前記機能層に隣接する層の少なくとも一方に炭素系微粒子を少なくとも一種類含有する。本発明に係る炭素系微粒子は、表面に親水性の置換基を有しており、疎水性の部位と親水性の部位を併せ持っている。ゆえに、炭素系微粒子は水系材料である反射層と溶剤系材料の両方に対して親和性を有する。また、粒子径が極めて小さいため光学反射フィルムの透明性も損ないにくい。本発明に係る光学反射フィルムは前記炭素系微粒子を反射層と機能層の接合領域に有することにより光学反射フィルムの透明性をほとんど損なうことなく反射層と機能層の剥離を抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
また、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件で測定する。
図1は、本発明の一実施態様に係る光学反射フィルム100の断面図を示す。光学反射フィルム100は、支持体101の少なくとも一方の面の上に設けられた高屈折率層106と低屈折率層109,107,108とが交互に積層された積層ユニット102と、前記積層ユニット102の上に積層されたアンカー層105、アンカー層105の上に積層されたハードコート層104とを有している。この実施形態では、アンカー層105が積層ユニットに隣接する機能層である。そして、最上層の低屈折率層109とアンカー層105との両方に、親水性の置換基を表面に有する炭素系微粒子を含んでいる。
《光学反射フィルム》
本発明の光学反射フィルムは、支持体上に、高屈折率層と低屈折率層から構成されるユニットを少なくとも1つ積層した特定波長の光を反射する反射層を有し、さらに反射層上にハードコート層、アンカー層などの機能層を有し、反射層と機能層との密着性に優れる光学反射フィルムである。本発明に係る光学反射フィルムは、炭素系微粒子の密着性向上の効果が増大する観点から機能層、または機能層に隣接する反射層に無機酸化物粒子を含むことが好ましい。無機酸化物粒子としては、粒子間の結合により3次元の網目構造を作ることにより炭素系微粒子がこれらの層内部に移ることを抑制できる観点からシリカ粒子であることが好ましい。無機酸化物粒子を含むことによってより多くの炭素系微粒子を反射層と機能層の界面に留らせることができるためと考えられる。
以下、本発明の光学反射フィルムの1つの用途である近赤外光反射フィルムを例にとり、詳細に説明する。
〈反射層〉
特定波長領域の反射率は、隣接する2層の屈折率差と積層数で決まり、屈折率の差が大きいほど、少ない層数で同じ反射率が得られる。この屈折率差と必要な層数については、市販の光学設計ソフトを用いて計算することができる。例えば、赤外反射率90%以上を得るためには、屈折率差が0.1より小さいと、20層以上の積層が必要になり、生産性が低下するだけでなく、積層界面での散乱が大きくなり、透明性が低下し、また故障なく製造することも非常に困難になる。反射率の向上と層数を少なくする観点からは、屈折率差に上限はないが、実質的には1.40程度が限界である。
本発明の近赤外光反射フィルムの光学特性として、JIS R3106−1998で示される可視光領域の透過率が50%以上であり、かつ、波長900nm〜1400nmの領域に反射率50%を超える領域を有することが好ましい。
一般に、近赤外光反射フィルムにおいては、高屈折率層と低屈折率層の屈折率の差を大きく設計することが、少ない層数で赤外光反射率を高くすることができるので好ましい。本発明に係る近赤外光反射フィルムにおける、高屈折率層と低屈折率層から構成されるユニットの隣接する該高屈折率層と低屈折率層との好ましい屈折率差は0.1以上であり、より好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.4以上である。
また、本発明の近赤外光反射フィルムにおいては、高屈折率層の好ましい屈折率としては1.80〜2.50であり、より好ましくは1.90〜2.20である。また、低屈折率層の好ましい屈折率としては1.10〜1.60であり、より好ましくは1.30〜1.50である。
本発明において、高屈折率層、低屈折率層の屈折率は、下記の方法に従って求めることができる。
支持体上に屈折率を測定する各屈折率層を単層で塗設したサンプルを作製し、このサンプルを10cm×10cmに断裁した後、下記の方法に従って屈折率を求める。分光光度計として、U−4000型(日立製作所社製)を用いて、各サンプルの測定面とは反対側の面(裏面)を粗面化処理した後、黒色のスプレーで光吸収処理を行って裏面での光の反射を防止して、5度正反射の条件にて可視光領域(400nm〜700nm)の反射率を25点測定して平均値を求め、その測定結果より平均屈折率を求める。
次いで、本発明の近赤外光反射フィルムにおける高屈折率層と低屈折率層の基本的な構成概要について説明する。
本発明の近赤外光反射フィルムにおいては、支持体上に、高屈折率層と低屈折率層から構成されるユニットを少なくとも1つ積層した構成であればよく、前記ユニットは支持体の片側のみに積層されていても、支持体の両側に積層されていてもよい。高屈折率層と低屈折率層の総層数は支持体両面についての合計を意味し、好ましい高屈折率層と低屈折率層の層数としては、上記の観点から、総層数の範囲としては、50ユニット以下がよく、より好ましくは40層(20ユニット)以下であり、さらに好ましくは30層(15ユニット)以下である。
(炭素系微粒子)
また、本発明の近赤外光反射フィルムは、反射層に隣接する機能層(ハードコート層等)を有しており、前記機能層と、前記反射層を構成する積層ユニットのうち少なくとも前記機能層に隣接する層の少なくとも一方が炭素性微粒子を含有することを特徴とする。前記機能層に隣接する層は、高屈折率層、低屈折率層のいずれでもよいが、低屈折率層が機能層に隣接する場合、低屈折率層に含まれるシリカ粒子により炭素系微粒子が接着面に保持され少量の炭素系微粒子で高い密着性が得られる観点や機能層の塗布性の観点から好ましい。
本発明に使用可能な炭素系微粒子は、表面にケトン基、カルボキシル基、アルデヒド基、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、ニトリル基などの親水性の置換基を有し、親水性の部分と疎水性の部分を併有するものである。このようなこのような炭素系微粒子としては、特に限定されないが、例として、ナノダイヤモンド、アダマンタン等のダイヤモンド系炭素粒子;メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)等の人造黒鉛、天然黒鉛、活性炭、パイログラファイト、ガラス状炭素等のグラファイト系炭素粒子;C60フラーレン、C70フラーレン、C82フラーレン等のフラーレン、カーボンナノホーン、カーボンナノバッド等のナノカーボン系炭素粒子;オイルファーネスカーボンブラック、サーマルカーボンブラック、Ketjenブラック等のカーボンブラック系炭素粒子;カーボンマイクロコイル、ピッチ系炭素繊維、活性炭繊維、膨張化炭素繊維、PAN系炭素繊維、カーボンナノファイバー、カーボンナノコイル、気相法炭素繊維(VGCF)等の炭素繊維系炭素粒子といった材料のうち親水性置換基をその粒子表面に有するものが挙げられる。
炭素系粒子表面の親水性置換基の密度としては1.0μeq/m以上であることが好ましく、より好ましくは3μeq/m以上、更に好ましくは8μeq/m以上である。官能基量が1.0μeq/m以上であれば炭素系粒子を水系材料にも十分に分散させることができる。
これらの炭素系粒子うち高い硬度や透明性を有する観点からダイヤモンド構造を有するものが好ましく、特にナノダイヤモンドが好ましい。ナノダイヤモンドとしては、単結晶ナノダイヤモンドでも多結晶ナノダイヤモンドでもよい。ナノダイヤモンドの合成方法としては、特に限定されず高温高圧法、衝撃圧縮法、爆轟法などが挙げられ、本発明においてはいずれの方法により得られたものであっても適宜表面処理するなどして使用することができる。表面の親水性置換基は炭素系微粒子が固有に有しているものを用いても後で導入してもよい。親水性置換基の導入方法としては、特に限定されないが、酸やオゾンによる化成処理やプラズマ改質が挙げられる。
ナノダイヤモンドの組成としては、炭素原子を75〜90重量%、水素原子1〜2重量%、窒素原子1〜3重量%、酸素原子5〜23重量%を含むことが好ましい。このような組成であれば、ナノダイヤモンドの水系材料に対する親和性を十分に確保できる。
本発明に使用可能なナノダイヤモンドとしては、溶液状態で凝集せずに一次粒子として安定に分散しているものが好ましい。平均一次粒子径としては1〜20nmであり、好ましくは3〜10nmである。
ナノダイヤモンドを含む炭素系微粒子の体積平均粒子径としては、1〜200nmであり、好ましくは3〜50nmであり、より好ましくは3〜10nmである。このような範囲であれば、反射層と機能層の密着性の向上に有効であり、近赤外光反射フィルムの透明性への影響も小さく抑えることができる。
本明細書においての平均一次粒子径は、TEM、SEM、X線回折のいずれを用いて測定してもよい。体積平均粒子径は、10μm以下の体積平均粒子径を有する材料であれば動的光散乱法により、10μmより大きな体積平均粒子径を有する材料であればレーザー散乱法などにより測定することができる。
前記機能層および/または積層ユニットのうち少なくとも前記機能層に隣接する層に含まれる炭素系微粒子の量としては、炭素系微粒子が含まれる層の固形分に対して0.1〜50質量%であり、好ましくは1〜10質量%である。
(水溶性高分子)
本発明の近赤外光反射フィルムにおいて、反射層はバインダーとして水溶性高分子を含むことが好ましい。本発明に適用可能な水溶性高分子としては、例えば、セルロース類、増粘多糖類、ゼラチン類、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、若しくはアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、若しくはスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレンアクリル酸樹脂、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート−スチレンスルホン酸カリウム共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体及びそれらの塩が挙げられる。これらの中で、特に好ましい例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン類及びそれを含有する共重合体が挙げられる。
水溶性高分子の質量平均分子量は、1,000以上200,000以下が好ましい。更には、3,000以上150,000以下がより好ましい。
本発明で好ましく用いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が1,000以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1,500〜5,000のものが好ましく用いられる。また、ケン化度は、70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号に記載されているような、第一〜三級アミノ基や第四級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号および同63−307979号に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平7−285265号に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類違いなど二種類以上を併用することもできる。
本発明においては、反応性官能基を有するポリマーを使用する場合には、硬化剤を使用してもよい。反応性官能基を有するポリマーがポリビニルアルコールの場合には、ホウ酸及びその塩やエポキシ系硬化剤が好ましい。
以下に高屈折率層および低屈折率層の構成について詳しく説明する。
〔高屈折率層〕
本発明において、高屈折率層は、無機酸化物粒子および上記水溶性高分子を含むことが好ましい。また、本発明において、高屈折率層は、保護剤、硬化剤等の添加剤をさらに含んでもよい。
本発明においては、上記各水溶性高分子は、高屈折率層の全質量に対し、5.0質量%以上、50質量%以下の範囲で含有させることが好ましく、10質量%以上、40質量%以下がより好ましい。但し、水溶性高分子と共に、例えば、エマルジョン樹脂を併用する場合には、3.0質量%以上含有すればよい。水溶性高分子が少ないと、高屈折率層を塗工した後の乾燥時に、膜面が乱れて透明性が劣化する傾向が大きくなる。一方、含有量が50質量%以下であれば、相対的な金属酸化物の含有量が適切となり、高屈折率層と低屈折率層の屈折率差を大きくすることが容易になる。
(高屈折率層中の無機酸化物)
本発明では透明でより屈折率の高い高屈折率層を形成するために、高屈折率層は、無機酸化物粒子として体積平均粒径100nm以下の酸化チタンを、高屈折率層に含有することが好ましい。
酸化チタンは、金属酸化物の中でも、粒子表面の水酸基が水溶性高分子の水酸基と特に強く相互作用する。そのため、高い反射率を有しつつカールの発生が抑制され、折り曲げ耐性に優れる光学反射フィルムを得ることができる。特に、ルチル型(正方晶形)酸化チタン粒子を含有することが高屈折率を示すことから好ましい。高屈折率層に使用される無機酸化物粒子の大きさは、特に制限されないが、体積平均粒径が1〜100nm以下であることが好ましく、3〜50nmであることがより好ましい。
高屈折率層に使用される無機酸化物粒子のうち、酸化チタン粒子の含有量は80〜100質量%であることが好ましく、90〜100質量%であることがより好ましく、95〜100質量%であることがさらに好ましく、100質量%であることが最も好ましい。酸化チタン以外の無機酸化物粒子としては、ジルコニア、酸化スズ、酸化亜鉛、アルミナ、コロイダルアルミナ、酸化ニオブ、酸化ユーロピウム、ジルコン等の無機酸化物粒子が挙げられる。
酸化チタン粒子としては、水系の酸化チタンゾルを用いることが好ましい。酸化チタンゾルとしては、固形分率40%以下であることが好ましく、より好ましくは30%以下である。
水系の酸化チタンゾルとしては、市販品を使用してもよく調製してもよい。調製方法としては、従来公知のいずれの方法も用いることができ、例えば、特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報、特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報等に記載された事項を参照にすることができる。
また、酸化チタン粒子のその他の製造方法については、例えば、「酸化チタン−物性と応用技術」清野学 p255〜258(2000年)技報堂出版株式会社、またはWO2007/039953号明細書の段落番号「0011」〜「0023」に記載の方法を参考にすることができる。
具体的には、二酸化チタン水和物をアルカリ金属の水酸物またはアルカリ土類金属の水酸化物からなる群から選択される、少なくとも1種の塩基性化合物で処理した後に、得られた二酸化チタン分散物を、カルボン酸基含有化合物および無機酸で処理する方法である。
さらに、酸化チタン粒子を含めた無機酸化物粒子のその他の製造方法としては、特開2000−053421号公報(分散安定化剤としてアルキルシリケートを配合してなり、該アルキルシリケート中のケイ素をSiOに換算した量と酸化チタン中のチタンをTiOに換算した量との質量比(SiO/TiO)が0.7〜10である酸化チタンゾル)、特開2000−063119号公報(TiO−ZrO−SnOの複合体コロイド粒子を核としてその表面を、WO−SnO−SiOの複合酸化物コロイド粒子で被覆したゾル)等に記載された事項を参照にすることができる。
さらに、酸化チタン粒子が含ケイ素の水和酸化物で被覆されたコアシェル粒子の形態が好ましい。ここで、「被覆」とは、酸化チタン粒子の表面の少なくとも一部に、含ケイ素の水和酸化物が付着されている状態を意味し、本明細書では、「シリカ付着二酸化チタン」とも称する。すなわち、無機酸化物粒子として用いられる酸化チタン粒子の表面が、完全に含ケイ素の水和酸化物で被覆されていてもよく、酸化チタン粒子の表面の一部が含ケイ素の水和酸化物で被覆されていてもよい。被覆された酸化チタン粒子の屈折率が含ケイ素の水和酸化物の被覆量により制御される観点から、酸化チタン粒子の表面の一部が含ケイ素の水和酸化物で被覆されることが好ましい。
含ケイ素の水和酸化物で被覆された酸化チタン粒子の酸化チタンはルチル型であってもアナターゼ型であってもよい。含ケイ素の水和酸化物で被覆された酸化チタン粒子は、含ケイ素の水和酸化物で被覆されたルチル型の酸化チタン粒子がより好ましい。これは、ルチル型の酸化チタン粒子が、アナターゼ型の酸化チタン粒子より光触媒活性が低いため、高屈折率層や隣接した低屈折率層の耐候性が高くなり、さらに屈折率が高くなるという理由からである。本明細書における「含ケイ素の水和酸化物」とは、無機ケイ素化合物の水和物、有機ケイ素化合物の加水分解物および/または縮合物のいずれでもよいが、本発明の効果を得るためにはシラノール基を有することがより好ましい。よって、本発明において、高屈折率層の無機酸化物粒子としては、酸化チタン粒子がシリカ変性されたシリカ変性(シラノール変性)酸化チタン粒子であることが好ましい。
含ケイ素の水和酸化物の被覆量は、コアとなる酸化チタンに対して、3〜30質量%、好ましくは3〜20質量%、より好ましくは3〜10質量%である。被覆量が30質量%以下であると、高屈折率層の所望の屈折率化が得られ、被覆量が3質量%以上であると粒子を安定に形成することができるからである。
酸化チタン粒子を含ケイ素の水和酸化物で被覆する方法としては、従来公知の方法により製造することができ、例えば、特開平10−158015号公報(ルチル型酸化チタンへのSi/Al水和酸化物処理;チタン酸ケーキのアルカリ領域での解膠後酸化チタンの表面にケイ素および/又はアルミニウムの含水酸化物を析出させて表面処理する酸化チタンゾルの製造方法)、特開2000−204301号公報(ルチル型酸化チタンにSiとZrおよび/またはAlの酸化物との複合酸化物を被覆したゾル。水熱処理。)、特開2007−246351号公報(含水酸化チタンを解膠して得られる酸化チタンのヒドロゾルへ、安定剤として式R1nSiX4−n(式中RはC−Cアルキル基、グリシジルオキシ置換C−Cアルキル基またはC−Cアルケニル基、Xはアルコキシ基、nは1または2である。)のオルガノアルコキシシランまたは酸化チタンに対して錯化作用を有する化合物を添加、アルカリ領域でケイ酸ナトリウムまたはシリカゾルの溶液へ添加・pH調整・熟成することにより、ケイ素の含水酸化物で被覆された酸化チタンヒドロゾルを製造する方法)等に記載された事項を参照にすることができる。
本発明に係るコアシェル粒子は、コアである酸化チタン粒子の表面全体を含ケイ素の水和酸化物で被覆したものでもよく、また、コアである酸化チタン粒子の表面の一部を含ケイ素の水和酸化物で被覆したものでもよい。
高屈折率層で用いられる無機酸化物粒子は、体積平均粒径または平均一次粒径により求めることができる。高屈折率層で用いられる無機酸化物粒子の体積平均粒径は、30nm以下であることが好ましく、1〜30nmであることがより好ましく、5〜15nmであるのがさらに好ましい。また、高屈折率層で用いられる無機酸化物粒子に用いられる無機酸化物粒子の平均一次粒径は、30nm以下であることが好ましく、1〜30nmであることがより好ましく、5〜15nmであることがさらに好ましい。平均一次粒径が1nm以上30nm以下であれば、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。体積平均粒径または平均一次粒径が30nm以下であれば、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。また、高屈折率層の無機酸化物粒子としてコアシェル粒子を含有させることで、シェル層の含ケイ素の水和酸化物とポリビニルアルコールとの相互作用により、高屈折率層と低屈折率層との層間混合が抑制される効果を奏する。ここで、上記含ケイ素の水和酸化物で被覆された酸化チタン粒子の場合、上記体積平均粒径または平均一次粒径は(含ケイ素の水和酸化物で被覆されていない)酸化チタン粒子の体積平均粒径または平均一次粒径を、それぞれ、指す。
本明細書でいう体積平均粒径とは、粒子そのものをレーザー回折散乱法、動的光散乱法、あるいは電子顕微鏡を用いて観察する方法や、屈折率層の断面や表面に現れた粒子像を電子顕微鏡で観察する方法により、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、それぞれd1、d2・・・di・・・dkの粒径を持つ粒子がそれぞれn1、n2・・・ni・・・nk個存在する無機酸化物粒子の集団において、粒子1個当りの体積をviとした場合に、体積平均粒径mv={Σ(vi・di)}/{Σ(vi)}で表される体積で重み付けされた平均粒径を算出する。
さらに、本発明で用いられる無機酸化物粒子は、単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記式で求められる単分散度が40%以下であることをいう。この単分散度は、さらに好ましくは30%以下であり、特に好ましくは0.1〜20%である。
高屈折率層における無機酸化物粒子の含有率は、高屈折率層の全固形分に対して、40〜60体積%である。無機酸化物粒子の含有率が40体積%を下回ると、低屈折率層との十分な屈折率差を得ることが難しく、光学反射フィルムの反射率が低下してしまう。一方、無機酸化物粒子の含有率が60体積%を超えると、フィルムのカールが発生しやすく、折り曲げたときにフィルムが支持体から剥がれたり、割れたりしやすくなる。高屈折率層における無機酸化物粒子の含有率は、高屈折率層の全固形分に対して、45〜55体積%であることが好ましい。
〔低屈折率層〕
本発明に係る低屈折率層においては、水溶性高分子だけで構成されていても、無機酸化物粒子を含有していても良いが、無機酸化物粒子を含有することが好ましい。
なお、低屈折率層にもバインダーとして上記水溶性高分子と同様のものを使用できる。なお、高屈折率層と低屈折率層で用いられる水溶性高分子等は、同一であっても異なっていても良いが、同一であることが同時重層塗布を実施する上で好ましい。
水溶性高分子は、低屈折率層の全固形分100質量%に対し、5〜50質量%の範囲で含有させることが好ましく、10質量〜40質量%がより好ましく、15〜35質量%がさらに好ましい。水溶性高分子の量が5質量%以上であれば、屈折率層を塗工した後の乾燥時に、膜面の乱れが抑制されて透明性が高くなる傾向が大きくなる。一方、含有量が50質量%以下であれば、相対的な無機酸化物粒子の含有量が適切となり、高屈折率層と低屈折率層の屈折率差を大きくすることが容易になる。
(低屈折率層中の無機酸化物)
低屈折率層には、低い屈折率を得る観点から無機酸化物粒子としてシリカ(二酸化ケイ素)を用いることが好ましい。具体的な例としては、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、酸化亜鉛、アルミナ、コロイダルアルミナ等が挙げられる。これらのうち、コロイダルシリカゾル、特に酸性のコロイダルシリカゾルを用いることがより好ましく、水系溶媒に分散させたコロイダルシリカを用いることが特に好ましい。また、屈折率をより低減させるために、低屈折率層の無機酸化物粒子として、粒子の内部に空孔を有する中空微粒子を用いてもよく、特にシリカ(二酸化ケイ素)の中空微粒子が好ましい。また、シリカ以外の公知の無機酸化物粒子も使用することができる。屈折率を調整するために、低屈折率層には無機酸化物粒子は、1種であっても2種以上を併用してもよい。
低屈折率層に含まれる無機酸化物粒子(好ましくは二酸化ケイ素)は、その平均粒径(個数平均;直径)が3〜100nmであることが好ましい。一次粒子の状態で分散された二酸化ケイ素の一次粒子の平均粒径(塗布前の分散液状態での粒径)は、3〜50nmであるのがより好ましく、1〜40nmであるのがさらに好ましく、3〜20nmであるのが特に好ましく、4〜15nmであるのが最も好ましい。また、二次粒子の体積平均粒子径としては、30nm以下であることが、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。
透過型電子顕微鏡から求める場合、粒子の平均一次粒径は、粒子そのものあるいは屈折率層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
また、低屈折率層の無機酸化物粒子の粒径は、平均一次粒径の他に、体積平均粒径により求めることもできる。
本発明で用いられるコロイダルシリカは、珪酸ナトリウムの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通過させて得られるシリカゾルを加熱熟成して得られるものであり、例えば、特開昭57−14091号公報、特開昭60−219083号公報、特開昭60−219084号公報、特開昭61−20792号公報、特開昭61−188183号公報、特開昭63−17807号公報、特開平4−93284号公報、特開平5−278324号公報、特開平6−92011号公報、特開平6−183134号公報、特開平6−297830号公報、特開平7−81214号公報、特開平7−101142号公報、特開平7−179029号公報、特開平7−137431号公報、および国際公開第94/26530号などに記載されているものである。
このようなコロイダルシリカは合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。市販品としては、日産化学工業(株)から販売されているスノーテックスシリーズ(スノーテックスOS、OXS、S、OS、20、30、40、O、N、C等)が挙げられる。
コロイダルシリカは、その表面をカチオン変性されたものであってもよく、また、Al、Ca、MgまたはBa等で処理された物であってもよい。
また、低屈折率層の無機酸化物粒子として、中空粒子を用いることもできる。中空微粒子を用いる場合には、平均粒子空孔径が、3〜70nmであるのが好ましく、5〜50nmがより好ましく、5〜45nmがさらに好ましい。なお、中空微粒子の平均粒子空孔径とは、中空微粒子の内径の平均値である。中空微粒子の平均粒子空孔径は、上記範囲であれば、十分に低屈折率層の屈折率が低屈折率化される。平均粒子空孔径は、電子顕微鏡観察で、円形、楕円形または実質的に円形は楕円形として観察できる空孔径を、ランダムに50個以上観察し、各粒子の空孔径を求め、その数平均値を求めることにより得られる。なお、平均粒子空孔径は、円形、楕円形または実質的に円形もしくは楕円形として観察できる空孔径の外縁を、2本の平行線で挟んだ距離のうち、最小の距離を意味する。
低屈折率層における無機酸化物粒子の含有量は、低屈折率層の全固形分に対して、40〜60体積%であることが好ましく、40〜50体積%であることがさらに好ましい。40体積%以上であると、所望の屈折率が得られ、60体積%以下であるとカールが生じにくく、折り曲げ耐性に優れた光学反射フィルムが得られうるため好ましい。
上記低屈折率層の無機酸化物粒子は、複数存在する低屈折率層の少なくとも1層に含まれていればよい。
〔添加剤〕
本発明に係る高屈折率層、低屈折率層には、必要に応じて各種添加剤を用いることができる。
(エマルジョン樹脂)
本発明においては、本発明に係る高屈折率層または前記低屈折率層が、更にエマルジョン樹脂を含有することが好ましい。
本発明でいうエマルジョン樹脂とは、油溶性のモノマーを、分散剤を含む水溶液中でエマルジョン状態に保ち、重合開始剤を用いて乳化重合させた樹脂微粒子である。
エマルジョンの重合時に使用される分散剤としては、一般的には、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジエチルアミン、エチレンジアミン、4級アンモニウム塩のような低分子の分散剤の他に、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエキシエチレンラウリル酸エーテル、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドンのような高分子分散剤が挙げられる。
本発明に係るエマルジョン樹脂とは、水系媒体中に微細な、例えば、平均粒径が0.01〜2.0μm程度の樹脂粒子がエマルジョン状態で分散されている樹脂で、油溶性のモノマーを、水酸基を有する高分子分散剤を用いてエマルジョン重合して得られる。用いる分散剤の種類によって、得られるエマルジョン樹脂のポリマー成分に基本的な違いは見られないが、水酸基を有する高分子分散剤を用いてエマルジョン重合すると、微細な微粒子の少なくとも表面に水酸基の存在が推定され、他の分散剤を用いて重合したエマルジョン樹脂とはエマルジョンの化学的、物理的性質が異なる。
水酸基を含む高分子分散剤とは、質量平均分子量が10000以上の高分子の分散剤で、側鎖または末端に水酸基が置換されたものであり、例えばポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミドのようなアクリル系の高分子で2−エチルヘキシルアクリレートが共重合されたもの、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールのようなポリエーテル、ポリビニルアルコールなどが挙げられ、特にポリビニルアルコールが好ましい。
高分子分散剤として使用されるポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、カチオン変性したポリビニルアルコールやカルボキシル基のようなアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール、シリル基を有するシリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。ポリビニルアルコールは、平均重合度は高い方がインク吸収層を形成する際のクラックの発生を抑制する効果が大きいが、平均重合度が5000以内であると、エマルジョン樹脂の粘度が高くなく、製造時に取り扱いやすい。したがって、平均重合度は300〜5000のものが好ましく、1500〜5000のものがより好ましく、3000〜4500のものが特に好ましい。ポリビニルアルコールのケン化度は70〜100モル%のものが好ましく、80〜99.5モル%のものがより好ましい。
上記の高分子分散剤で乳化重合される樹脂としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニル系化合物、スチレン系化合物といったエチレン系単量体、ブタジエン、イソプレンといったジエン系化合物の単独重合体または共重合体が挙げられ、例えばアクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂等が挙げられる。
(各屈折率層のその他の添加剤)
本発明に係る高屈折率層と低屈折率層に適用可能な各種の添加剤を以下に列挙する。例えば、特開昭57−74193号公報、同57−87988号公報及び同62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号公報、同60−72785号公報、同61−146591号公報、特開平1−95091号公報及び同3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、アニオン、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤、特開昭59−42993号公報、同59−52689号公報、同62−280069号公報、同61−242871号公報および特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
〈機能層〉
本発明に係る近赤外光反射フィルムは、反射層上に、さらなる機能の付加を目的として、導電性層、帯電防止層、ガスバリア層、易接着層(接着層)、防汚層、消臭層、流滴層、易滑層、ハードコート層、アンカー層、耐摩耗性層、反射防止層、電磁波シールド層、紫外線吸収層、赤外吸収層、印刷層、蛍光発光層、ホログラム層、剥離層、粘着層、接着層、本発明の高屈折率層および低屈折率層以外の赤外線カット層(金属層、液晶層)、着色層(可視光線吸収層)などの機能層の1つ以上を有していてもよい。以下、好ましい機能層であるハードコート層について説明する。
[ハードコート層]
本発明に係る光学反射フィルムは、耐擦過性を高めるための表面保護層として、少なくとも反射層上に積層されたハードコート層を有する。本発明に係る反射層上に積層されたハードコート層は、反射層との間にアンカー層を有してもよい。アンカー層を設けない場合またはアンカー層とハードコート層との密着性が低い場合であって、ハードコート層に隣接する反射層の最上層が炭素系微粒子を含有しない場合には、ハードコート層は炭素系微粒子を必須に含む。また、反射層とアンカー層との密着性が高くアンカー層が炭素系微粒子を含有する場合、または反射層の最上層が炭素系微粒子を含有する場合には、含有していなくてもよいが、より密着性が向上する観点から含有していることが好ましい。
炭素系微粒子の含有量は、十分な密着性向上効果を得る観点から、また透明性を損なわない観点からハードコート層の質量に対して0.1〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜10質量%である。
本発明に係るハードコート層は、本発明の光学反射フィルムの両面に積層してもよく、片面に積層してもよい。ハードコート層を形成することによって、中間膜を設けた場合の密着性の悪さ、反射層を成膜する過程で生じる白濁といった不具合を解決できる。また、ハードコート層を形成することにより、透明樹脂フィルムの伸びをコントロールすることも可能である。
ハードコート層で使用されるバインダーとしては、硬化樹脂などを使用することができる。硬化樹脂としては、熱硬化型樹脂や紫外線硬化型樹脂が挙げられるが、成形が容易なことから、紫外線硬化型樹脂が好ましく、その中でも鉛筆硬度が少なくとも2Hのものがより好ましい。かような硬化樹脂は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
このような紫外線硬化型樹脂としては、例えば、多価アルコールを有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルのような多官能性のアクリレート樹脂、ならびにジイソシアネートおよび多価アルコールを有するアクリル酸やメタクリル酸から合成されるような多官能性のウレタンアクリレート樹脂などを挙げることができる。さらにアクリレート系の官能基を有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂またはポリチオールポリエン樹脂等も好適に使用することができる。
また、これらの樹脂の反応性希釈剤として、比較的低粘度であるイソプロパノール、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メ夕)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能以上のモノマーやオリゴマー、ならびに、N−ビニルピロリドン、エチルアクリレート、プロピルアクリレート等のアクリル酸エステル類、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ノニルフェニルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、およびそのカプロラクトン変成物などの誘導体、スチレン、α−メチルスチレンまたはアクリル酸等の単官能モノマー等を用いることができる。これら反応性希釈剤は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
さらにまた、これらの樹脂の光増感剤(ラジカル重合開始剤)として、ペンゾイン、べンゾインメチルエーテル、べンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、べンジルメチルケタールなどのべンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのアセトフェノン類;メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−アミルアントラキノンなどのアントラキノン類;チオキサントン、2,4―ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類;ベンゾフェノン、4,4−ビスメチルアミノべンゾフェノンなどのベンゾフェノン類およびアゾ化合物等を用いることができる。これらは単独でもまたは2種以上組み合わせても使用することができる。加えて、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミンなどの第3級アミン;2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチルなどの安息香酸誘導体等の光開始助剤などと組み合わせて使用することができる。これらラジカル重合開始剤の使用量は、樹脂の重合性成分100質量部に対して0.5〜20質量部、好ましくは1〜15質量部である。
なお、上述の硬化樹脂には、必要に応じて公知の一般的な塗料添加剤を配合してもよい。例えば、レベリングや表面スリップ性等を付与するシリコーン系やフッ素系の塗料添加剤は、硬化膜表面の傷つき防止性に効果があることに加え、活性エネルギー線として紫外線を利用する場合に、該塗料添加剤が空気界面へブリードすることによって、酸素による樹脂の硬化阻害を低下させることができ、低照射強度条件下においても有効な硬化度合を得ることができる。
また、ハードコート層は無機微粒子を含有することが好ましい。好ましい無機微粒子としては、チタン、シリカ、ジルコニウム、アルミニウム、マグネシウム、アンチモン、亜鉛または錫などの金属を含む無機化合物の微粒子が挙げられる。この無機微粒子の平均粒径は、可視光線の透過性を確保することから、1000nm以下が好ましく、10〜500nmの範囲にあるものがより好ましい。また、無機微粒子は、ハードコート層を形成する硬化樹脂との結合力が高いほうがハードコート層からの脱落を抑制できることから、単官能または多官能のアクリレートなどの光重合反応性を有する感光性基を表面に導入しているものが好ましい。
ハードコート層の厚さは0.1μm〜50μmが好ましく、1〜20μmがより好ましい。0.1μm以上であればハードコート性が向上する傾向にあり、逆に50μm以下であれば赤外遮蔽フィルムの透明性が向上する傾向にある。
ハードコート層の形成方法は特に制限されず、例えば、上記各成分を含むハードコート層用塗布液を調製した後、塗布液をワイヤーバー等により塗布し、熱および/またはUVで塗布液を硬化させ、ハードコート層を形成する方法などが挙げられる。
[アンカー層]
反射層とハードコート層の密着性を改善するために、これらの層の間にアンカー層を設けてもよい。アンカー層の膜厚は特に限定されるものではないが、0.1〜10μm程度である。好適な例として、アンカー層を構成するバインダーとしては、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂が挙げられ、以下に例を示す。
〔ポリビニルアセタール樹脂〕
ポリビニルアセタール系樹脂とは、例えば、ポリビニルアルコールを少なくとも1種の適当なアルデヒドとの反応によりアセタール化した樹脂であり、具体的には、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラールや部分的にホルマール化した部分を含むポリビニルブチラール、ポリビニルブチラールアセタール等の共重合アセタール等が挙げられる。これらのポリビニルアセタール系樹脂は、例えば、電気化学工業社製のデンカブチラール#2000L、#3000−1、#3000−K、#4000−1、#5000−A、#6000−C、デンカホルマール#20、#100、#200、積水化学工業社製のエスレックBシリーズBL−1、BL−2、BL−S、BM−1、BM−2、BH−1、BX−1、BX−10、BL−1、BL−SH、BX−L、エスレックKシリーズKS−10、エスレックKWシリーズKW−1、KW−3、KW−10、エスレックKXシリーズKX−1、KX−5等として入手が可能である。また、これらのポリビニルアセタール系樹脂は、その他の繰り返し単位を含有していても良い。
これらのポリビニルアセタール系樹脂のアセタール化度は5〜65mol%が好ましく、更に好ましくは8〜50mol%である。上記の範囲であればアンカー層の親和性がハードコート層または反射層のいずれかに大きく偏ることを防ぐことができる。
〔アクリル樹脂〕
アクリル樹脂としては、アクリル系モノマー、例えばメタクリル酸、アクリル酸、これらのエステル又は塩、アクリルアミド、メタクリルアミドをポリマー構成成分とする樹脂が挙げられる。例えばアクリル酸;メタクリル酸;アクリル酸エステル、例えばアルキルアクリレート(例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルエチルアクリレート等)、ヒドロキシ含有アルキルアクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等);メタクリル酸エステル、例えばアルキルメタクリレート(例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルエチルメタクリレート等)、ヒドロキシ含有アルキルメタクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等);アクリルアミド;置換アクリルアミド、例えばN−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド等;メタクリルアミド;置換メタクリルアミド、例えばN−メチルメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールメタクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド等;アミノ基置換アルキルアクリレート、例えばN,N−ジエチルアミノエチルアクリレート;アミノ基置換アルキルメタクリレート、例えばN,N−ジエチルアミメタクリレート;エポキシ基含有アクリレート、例えばグリシジルアクリレート;エポキシ基含有メタクリレート、例えばグリシジルメタクリレート;アクリル酸の塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩;メタクリル酸の塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。上述のモノマーは1種もしくは2種以上を併用することができる。メタクリル酸メチル−アクリル酸エチル−アクリル酸アンモニウム−アクリルアミド共重合体、メタクリルアミド−アクリル酸ブチル−アクリル酸ソーダ−メタクリル酸メチル−N−メチロールアクリルアミド系共重合体等が好ましく挙げられる。アクリル系樹脂はアクリルエマルジョン、アクリル水溶液、アクリルディスパージョン等として製造でき、また入手できる。
上記の樹脂は1種又は2種以上の混合物として用いることができる。また、架橋剤としてイソシアネートを用いることができ、有機ジイソシアネート化合物としては、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等や脂環式ジイソシアネート類等の環状ジイソシアネート類、トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類等が好適である。
これらの樹脂は固形分が10〜50質量%、好ましくは15〜30質量%になるように希釈して使用してもよい。希釈に用いる溶剤としては、特に限定されないが、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、酢酸イソブチル、n−ブタノール、イソブタノールなどが挙げられる。
〈支持体〉
本発明の近赤外光反射フィルムに適用する支持体としては樹脂フィルムが望ましく、いわゆるフィルム支持体であることが好ましい。フィルム支持体は、透明であっても不透明であってもよく、種々の樹脂フィルムを用いることができ、ポリオレフィンフィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、3酢酸セルロース等を用いることができ、好ましくはポリエステルフィルムである。ポリエステルフィルム(以降ポリエステルと称す)としては、特に限定されるものではないが、ジカルボン酸成分とジオール成分を主要な構成成分とするフィルム形成性を有するポリエステルであることが好ましい。主要な構成成分のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げることができる。
また、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオールなどを挙げることができる。これらを主要な構成成分とするポリエステルの中でも透明性、機械的強度、寸法安定性などの点から、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸や2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分として、エチレングリコールや1,4−シクロヘキサンジメタノールを主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを主要な構成成分とするポリエステルや、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールからなる共重合ポリエステル、およびこれらのポリエステルの二種以上の混合物を主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。
本発明に係る支持体の厚みは、10〜300μmであることが好ましく、より好ましくは20〜200μmである。また、本発明の支持体は、2枚を重ねたものであっても良く、この場合、その種類が同じでも異なってもよい。
〈光学反射フィルムの製造方法〉
本発明の近赤外光反射フィルムの製造方法においては、支持体上に、機能層と、機能層に隣接する高屈折率層と低屈折率層とからなる積層ユニットと、を少なくとも1つ形成し、前記機能層のバインダーと前記積層ユニットのバインダーとは互いに異なる材料からなり、前記機能層形成用の塗布液または前記機能層に隣接する積層ユニット形成用の塗布液の少なくともいずれか一方は炭素系微粒子を含むことを特徴とする。好ましい実施態様では、前記炭素系微粒子はナノダイヤモンドである。また、他の好ましい実施態様では、機能層に隣接する積層ユニットの層は低屈折率層であり、低屈折率層はシリカなどの無機酸化物粒子を含有することが好ましい。
本発明の光学反射フィルムの製造方法では、支持体上に高屈折率層と低屈折率層から構成されユニットを積層して形成されるが、具体的には高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層するように、同時重層塗布、乾燥して積層体を形成することが好ましい。
本発明では、反射層を形成する積層ユニットの最上層に炭素系微粒子を含有させる際にはその塗布液は別途調製し、積層ユニットの同時重層塗布に使用してもよい。あるいは、反射層を構成する積層ユニットを同時重層塗布により形成後に炭素系微粒子を含有する機能層形成用塗布液を塗布することにより機能層を形成してもよい。
塗布方式としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布法あるいは米国特許第2,761,419号、同第2,761,791号公報に記載のホッパーを使用するスライドビード塗布方法、エクストルージョンコート法等が好ましく用いられる。
同時重層塗布を行う際の高屈折率層塗布液と低屈折率層塗布液の塗布時の粘度としては、50〜500mPa・sの範囲が好ましく、さらに好ましくは70〜300mPa・sの範囲である。
また、塗布液の15℃における粘度としては、100mPa・s以上が好ましく、100〜30,000mPa・sがより好ましく、さらに好ましくは3,000〜30,000mPa・sである。
塗布および乾燥方法としては、高屈折率層塗布液と低屈折率層塗布液を30℃以上に加温して、塗布を行った後、形成した塗膜の温度を1〜15℃に一旦冷却し、10℃以上で乾燥することが好ましく、より好ましくは、乾燥条件として、湿球温度5〜50℃、膜面温度10〜50℃の範囲の条件で行うことである。また、塗布直後の冷却方式としては、形成された塗膜均一性の観点から、水平セット方式で行うことが好ましい。
〔膜設計〕
本発明においては、少なくとも隣接した2層(高屈折率層及び低屈折率層)の屈折率差が0.2以上であることが好ましく、より好ましくは0.3以上である。また、上限には特に制限はないが通常1.4以下である。
隣接した層界面での反射は、層間の屈折率比に依存するのでこの屈折率比が大きいほど、反射率が高まる。また、単層膜でみたとき層表面における反射光と、層底部における反射光の光路差を、n・d=波長/4、で表される関係にすると位相差により反射光を強めあうよう制御でき、反射率を上げることができる。ここで、nは屈折率、dは層の物理膜厚、n・dは光学膜厚である。この光路差を利用することで、反射を制御できる。この関係を利用して、各層の屈折率と膜厚を制御して、可視光や、近赤外光の反射を制御する。即ち、各層の屈折率、各層の膜厚、各層の積層のさせ方で、特定波長領域の反射率をアップさせることができる。
本発明の光学反射フィルムは反射率をアップさせる特定波長領域を変えることにより、可視光反射フィルムや近赤外光反射フィルム、遠赤外線反射フィルム、紫外線反射フィルムなどとすることができる。即ち、反射率をアップさせる特定波長領域を可視光領域に設定すれば可視光反射フィルムとなり、近赤外領域に設定すれば近赤外光反射フィルムとなる。
本発明の光学反射フィルムを遮熱フィルムに用いる場合は、近赤外光反射フィルムとすればよい。高分子フィルムに互いに屈折率が異なる膜を積層させた多層膜を形成し、JIS R3106−1998で示される可視光領域の透過率が50%以上で、かつ、波長900〜1400nmの領域に反射率40%を超える領域を有するように光学膜厚とユニットを設計することが好ましい。
太陽直達光の入射スペクトルのうち赤外域が室内温度上昇に関係し、これを遮蔽することで室内温度の上昇を抑えることができる。日本工業規格JIS R3106に記載された重価係数をもとに赤外の最短波長(760nm)から最長波長3200nmまでの累積エネルギー比率をみると、波長760nmから最長波長3200nmまでの赤外全域の総エネルギーを100としたときの、760nmから各波長までの累積エネルギーをみると、760から1300nmのエネルギー合計が赤外域全体の約75%を占めている。従って、1300nmまでの波長領域を遮蔽することが熱線遮蔽による省エネルギー効果の効率がよい。
この近赤外光域(760〜1300nm)の反射率を最大ピーク値で約80%以上にすると、体感温度の低下が官能評価により得られる。たとえば8月の午前中の南東方法を向く窓際での体感温度が近赤外光域の反射率を最大ピーク値で約80%にまで遮蔽したとき明確な差がでた。
このような機能を発現するのに必要となる多層膜構造を光学シミュレーション(FTG oftware Associates Film DESIGN Version 2.23.3700)で求めた結果、屈折率は1.9以上、望ましくは2.0以上の高屈折率層を利用し、6層以上積層した場合に優れた特性が得られることがわかっている。例えば、高屈折率層と低屈折率層(屈折率=1.35)を交互に8層積層したモデルのシミュレーション結果をみると、高屈折率層の屈折率が1.8では反射率が70%にも達しないが、1.9になると約80%の反射率が得られる。また、高屈折率層(屈折率=2.2)と低屈折率層(屈折率=1.35)を交互に積層したモデルでは、積層数が4では反射率が60%にも達していないが、6層になると約80%の反射率が得られる。
〔光学反射フィルムの応用:光学反射体〕
本発明の光学反射フィルムは、幅広い分野に応用することができる。すなわち、本発明の好適な一実施形態は、上記光学反射フィルムが基体の少なくとも一方の面に設けられた、光学反射体である。例えば、建物の屋外の窓や自動車窓等長期間太陽光に晒らされる設備(基体)に貼り合せ、熱線反射効果を付与する熱線反射フィルム等の窓貼用フィルム、農業用ビニールハウス用フィルム等として、主として耐候性を高める目的で用いられる。特に、本発明に係る光学反射フィルムが直接もしくは接着剤を介してガラスもしくはガラス代替樹脂等の基体に貼合されている部材には好適である。
基体の具体的な例としては、例えば、ガラス、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルフィド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、金属板、セラミック等が挙げられる。樹脂の種類は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂のいずれでも良く、これらを2種以上組み合わせて用いても良い。基体は、押出成形、カレンダー成形、射出成形、中空成形、圧縮成形等、公知の方法で製造することができる。基体の厚みは特に制限されないが、通常0.1mm〜5cmである。
光学反射フィルムと基体とを貼り合わせる接着層または粘着層は、光学反射フィルムを日光(熱線)入射面側に設置することが好ましい。また、光学反射フィルムを、窓ガラスと基体との間に挟持すると、水分等の周囲のガスから封止でき耐久性に優れるため好ましい。本発明に係る赤外遮蔽フィルムを屋外や車の外側(外貼り用)に設置しても環境耐久性があって好ましい。
光学反射フィルムと基体とを貼り合わせる接着層または粘着層は、窓ガラスなどに貼り合わせたとき、光学反射フィルムが日光(熱線)入射面側にあるように設置することが好ましい。また光学反射フィルムを窓ガラスと基材との間に挟持すると、水分等周囲ガスから封止でき耐久性に好ましい。本発明の光学反射フィルムを屋外や車の外側(外貼り用)に設置しても環境耐久性があって好ましい。
本発明に適用可能な接着剤としては、光硬化性もしくは熱硬化性の樹脂を主成分とする接着剤を用いることができる。
接着剤は紫外線に対して耐久性を有するものが好ましく、アクリル系粘着剤またはシリコーン系粘着剤が好ましい。更に粘着特性やコストの観点から、アクリル系粘着剤が好ましい。特に剥離強さの制御が容易なことから、アクリル系粘着剤において、溶剤系およびエマルジョン系の中で溶剤系が好ましい。アクリル溶剤系粘着剤として溶液重合ポリマーを使用する場合、そのモノマーとしては公知のものを使用できる。
また、合わせガラスの中間層として用いられるポリビニルブチラール系樹脂、あるいはエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂を用いてもよい。具体的には可塑性ポリビニルブチラール〔積水化学工業社製、三菱モンサント社製等〕、エチレン−酢酸ビニル共重合体〔デュポン社製、武田薬品工業社製、デュラミン〕、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体〔東ソー社製、メルセンG〕等である。なお、接着層には紫外線吸収剤、抗酸化剤、帯電防止剤、熱安定剤、滑剤、充填剤、着色、接着調整剤等を適宜添加配合してもよい。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
《光学反射フィルムの作製》
〈塗布液の調製〉
本願の実施例、比較例の光学反射フィルムの作製に使用する塗布液を下記のように調製した。
(低屈折率層塗布液L1の調製)
5質量%アルカリ処理ゼラチン(平均分子量130,000)水溶液の280質量部を45℃に加熱し、撹拌しながら純水240質量部を添加して10分撹拌した後、界面活性剤(ラピゾールA30、日油製)の1質量%水溶液1質量部を添加して低屈折率層塗布液L1を調製した。
(低屈折率層塗布液L2の調製)
5質量%アルカリ処理ゼラチン(平均分子量130,000)水溶液の280質量部を45℃に加熱し、撹拌しながら親水性カーボンブラック(Aqua-Black162 固形分19wt% 東海カーボン社製)の7.8質量部と純水232質量部を添加して10分撹拌した後、界面活性剤(ラピゾールA30、日油製)の1質量%水溶液1質量部を添加して低屈折率層塗布液L2を調製した。
(低屈折率層用塗布液L3の調製)
コロイダルシリカ(スノーテックスOS、日産化学工業製、固形分20質量%)22.5質量部に、純水32.5質量部、3質量%ホウ酸水溶液10質量部をそれぞれ添加した後、45℃に加熱し、撹拌しながら、ポリビニルアルコール(JP−24(重合度2400、鹸化度88mol%、日本酢ビ・ポバール社製))の5質量%水溶液40質量部、界面活性剤(ラピゾールA30、日油製)の1質量%水溶液1質量部を添加し、純水2質量部を加えて低屈折率層用塗布液L3を調製した。
(低屈折率層用塗布液L4の調製)
3質量%ホウ酸水溶液10質量部に純水47質量部を添加した後、45℃に加熱し、撹拌しながら、親水性カーボンブラック(Aqua−Black162 固形分19wt% 東海カーボン社製)の7.8質量部とポリビニルアルコール(JP−24(重合度2400、鹸化度88mol%、日本酢ビ・ポバール社製))の5質量%水溶液40質量部、界面活性剤(ラピゾールA30、日油製)の1質量%水溶液1質量部を添加し、純水2質量部を加えて低屈折率層用塗布液L4を調製した。
(低屈折率層用塗布液L5の調製)
3質量%ホウ酸水溶液10質量部に純水40質量部を添加した後、45℃に加熱し、撹拌しながら、水分散ナノダイヤモンド(Vox D 固形分5wt% 粒径5nm エア・ブラウン社製)の15質量部とポリビニルアルコール(JP−24(重合度2400、鹸化度88mol%、日本酢ビ・ポバール社製))の5質量%水溶液40質量部、界面活性剤(ラピゾールA30、日油製)の1質量%水溶液1質量部を添加し、純水2質量部を加えて低屈折率層用塗布液L5を調製した。
(低屈折率層用塗布液L6の調製)
コロイダルシリカ(スノーテックスOS、日産化学工業製、固形分20質量%)22.5質量部に、純水29.5質量部、3質量%ホウ酸水溶液10質量部をそれぞれ添加した後、45℃に加熱し、撹拌しながら、水分散ナノダイヤモンド(VoxD 固形分5wt% 粒径5nm エア・ブラウン社製)の3質量部とポリビニルアルコール(JP−24(重合度2400、鹸化度88mol%、日本酢ビ・ポバール社製))の5質量%水溶液40質量部、界面活性剤(ラピゾールA30、日油製)の1質量%水溶液1質量部を添加し、純水2質量部を加えて低屈折率層用塗布液L6を調製した。
(シリカ付着二酸化チタンゾルの調製)
15.0質量%酸化チタンゾル(SRD−W、体積平均粒径5nm、ルチル型二酸化チタン粒子、堺化学社製)0.5質量部に純水2質量部を加えた後、90℃に加熱した。次いで、ケイ酸水溶液(ケイ酸ソーダ4号(日本化学社製)をSiO濃度が2.0質量%となるように純水で希釈したもの)1.3質量部を徐々に添加し、ついでオートクレーブ中、175℃で18時間加熱処理を行い、冷却後、限外濾過膜にて濃縮することにより、固形分濃度が、20質量%のSiOを表面に付着させた二酸化チタンゾル(以下シリカ付着二酸化チタンゾル)を得た。
(高屈折率層用塗布液H1の調製)
前記シリカ付着二酸化チタンゾル(固形分20.0質量%)45質量部に、ポリオキシアルキレン系分散剤(マリアリムAKM−0531、日油社製)の5質量%水溶液10質量部、純水20質量部を順に添加した後、45℃に加熱し、撹拌しながら、5質量%アルカリ処理ゼラチン(平均分子量130,000)水溶液の20質量部、界面活性剤(ラピゾールA30、日油社製)の1質量%水溶液1質量部を添加し、純水4質量部を加えて高屈折率層用塗布液H1を調製した。
(高屈折率層用塗布液H2の調製)
前記シリカ付着二酸化チタンゾル(固形分20.0質量%)45質量部に、ポリオキシアルキレン系分散剤(マリアリムAKM−0531、日油社製)の5質量%水溶液10質量部、3質量%ホウ酸水溶液10質量部、2質量%クエン酸水溶液10質量部を順に添加した後、45℃に加熱し、撹拌しながら、ポリビニルアルコール(JC−25(重合度2500、鹸化度99.5mol%、日本酢ビ・ポバール社製)の5質量%水溶液20質量部、界面活性剤(ラピゾールA30、日油社製)の1質量%水溶液1質量部を添加し、純水4質量部を加えて高屈折率層用塗布液H2を調製した。
(ハードコート層用塗布液HC1の作製)
紫外線硬化型ハードコート剤(KRM8495 ダイセル・オルネクス社製)に、固形分が30質量%となるようにイソプロパノールを添加して、ハードコート層用塗布液HC1を調製した。
(ハードコート層用塗布液HC2の調製)
紫外線硬化型ハードコート剤(KRM8495 ダイセル・オルネクス社製)に、エチレングリコール分散ナノダイヤモンド(Adagio 固形分2.5wt% 平均一次粒径5nm エア・ブラウン社製)とイソプロパノールを添加し、全固形分が30質量%、ナノダイヤモンド濃度が固形分に対して5質量%になるように調整して、ハードコート層用塗布液HC2を調製した。
(アンカー層用塗布液AC1の調製)
アクリル樹脂溶液(アクリディックA−165 DIC社製)100質量部にトルエン50質量部とn−ブタノール50質量部を添加してアンカー層用塗布液AC1の調製を調製した。
(アンカー層用塗布液AC2の調製)
アクリル樹脂溶液(アクリディックA−165 DIC社製)100質量部にトルエン50質量部とn−ブタノール50質量部とエチレングリコール分散ナノダイヤモンド(Adagio 固形分2.5wt% 粒径5nm エア・ブラウン社製)30質量部とを添加して、アンカー層用塗布液AC2を調製した。
〈光学反射フィルムの作製〉
上記のように調製した塗布液を使用して下記のように各光学反射フィルム試料を作製した。
(光学反射フィルム試料1の作製:実施例1)
11層重層塗布可能なスライドホッパー塗布装置を用い、低屈折率層用塗布液L1およびL2、高屈折率層用塗布液H1を45℃に保温しながら、45℃に加温した厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡製A4300:両面易接着層)上に、最下層はL1、最上層はL2、それ以外はH1とL1が交互になるように (すなわちL1/H1/L1/H1/L1/H1/L1/H1/L1/H1/L2)液を供給し、乾燥時の膜厚が最下層は300nm、最下層以外の低屈折率層は各層150nm、高屈折率層は各層150nmになるように計11層の同時重層塗布を行なった。
塗布直後、5℃の冷風を5分吹き付けたのち、80℃の温風を吹き付けて乾燥させて、11層からなる重層塗布品を作製した。
上記11層重層塗布品の裏面に、同様にしてさらに11層重層塗布を行ない、両面22層からなる重層塗布品を作製した。
上記両面22層重層塗布品の一方の表面上に、マイクログラビアコーターを用いて、ハードコート層用塗布液HC1を塗布し、恒率乾燥区間温度50℃、減率乾燥区間温度90℃で乾燥の後、紫外線ランプを用い照射部の照度が100mW/cmで、照射量を0.2J/cmとして塗布層を硬化させ、乾燥膜厚が5.7μmになるようにハードコート層を形成し、光学反射フィルム試料1を作製した。
(光学反射フィルム試料2の作製:実施例2)
低屈折率層用塗布液L1およびL2の代わりに、それぞれ低屈折率層用塗布液L3およびL4を、高屈折率層用塗布液H1の代わりに高屈折率層用塗布液H2を使用した以外は光学反射フィルム試料1と同様にして、光学反射フィルム試料2を作製した。
(光学反射フィルム試料3の作製:実施例3)
低屈折率層用塗布液L1およびL2の代わりに、それぞれ低屈折率層用塗布液L3およびL5を使用したほかは光学反射フィルム試料1と同様にして、光学反射フィルム試料3を作製した。
(光学反射フィルム試料4の作製:実施例4)
低屈折率層用塗布液L1およびL2の代わりに、低屈折率層用塗布液L3を、ハードコート層用塗布液HC1の代わりに、ハードコート層用塗布液HC2使用したほかは光学反射フィルム試料1と同様にして、光学反射フィルム試料4を作製した。
(光学反射フィルム試料5の作製:実施例5)
低屈折率層用塗布液L1およびL2の代わりに、それぞれ低屈折率層用塗布液L3およびL6を使用したほかは光学反射フィルム試料1と同様にして、光学反射フィルム試料5を作製した。
(光学反射フィルム試料6の作製:実施例6)
11層重層塗布可能なスライドホッパー塗布装置を用い、低屈折率層用塗布液L3およびL6、高屈折率層用塗布液H2を45℃に保温しながら、45℃に加温した厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡製A4300:両面易接着層)上に、最下層はL3、最上層はL6、それ以外はH2とL3が交互になるように(すなわちL3/H2/L3/H2/L3/H2/L3/H2/L3/H2/L6)液を供給し、乾燥時の膜厚が最下層は300nm、最下層以外の低屈折率層は各層150nm、高屈折率層は各層150nmになるように計11層の同時重層塗布を行なった。
塗布直後、5℃の冷風を5分吹き付けたのち、80℃の温風を吹き付けて乾燥させて、11層からなる重層塗布品を作製した。
上記11層重層塗布品の裏面に、同様にしてさらに11層重層塗布を行ない、両面22層からなる重層塗布品を作製した。
上記両面22層重層塗布品の一方の表面上に、マイクログラビアコーターを用いて、アンカー層用塗布液AC1を塗布し、乾燥膜厚が1μmになるようにアンカー層を形成した。さらに、マイクログラビアコーターを用いて、ハードコート層用塗布液HC1を塗布し、恒率乾燥区間温度50℃、減率乾燥区間温度90℃で乾燥の後、紫外線ランプを用い照射部の照度が100mW/cmで、照射量を0.2J/cmとして塗布層を硬化させ、乾燥膜厚が5.7μmになるようにハードコート層を形成し、光学反射フィルム試料6を作製した。
(光学反射フィルム試料7の作製:実施例7)
ハードコート層用塗布液HC1の代わりに、ハードコート層用塗布液HC2を使用したほかは光学反射フィルム試料5と同様にして、光学反射フィルム試料7を作製した。
(光学反射フィルム試料8の作製:実施例8)
アンカー層用塗布液AC1の代わりに、アンカー層用塗布液AC2を使用したほかは光学反射フィルム試料6と同様にして、光学反射フィルム試料8を作製した。
(光学反射フィルム試料9の作製:比較例1)
ハードコート層用塗布液HC2の代わりに、ハードコート層用塗布液HC1を使用したほかは光学反射フィルム試料4と同様にして、光学反射フィルム試料9を作製した。
(光学反射フィルム試料10の作製:比較例2)
低屈折率層用塗布液L6の代わりに、低屈折率層用塗布液L3を使用したほかは光学反射フィルム試料6と同様にして、光学反射フィルム試料10を作製した。
《光学反射フィルムの評価》
上記で作製した各光学反射フィルム試料1〜10について、下記の性能評価を行った。
(各層の単膜屈折率の測定)
支持体上に屈折率を測定する対象層(高屈折率層、低屈折率層)をそれぞれ単層で塗設したサンプルを作製し、下記の方法に従って、各高屈折率層および低屈折率層の屈折率を求めた。
分光光度計として、U−4000型(日立製作所社製)を用いて、各サンプルの測定側の裏面を粗面化処理した後、黒色のスプレーで光吸収処理を行って裏面での光の反射を防止して、5度正反射の条件にて可視光領域(400nm〜700nm)の反射率の測定結果より、屈折率を求めた。
上記方法に従って各層の屈折率を測定した結果、高屈折率層、低屈折率層の屈折率差は、いずれも0.1以上であることを確認した。
(密着性)
直径10mmのマンドレルをセットした1506マンドレル屈曲試験機(Elcometer社製)を用い、光学反射フィルム試料1〜10につきそれぞれ隣接機能層塗布面(試料のいずれか一方の面)を外側に配置して屈曲した後、JIS−K5600−5−6:1999のクロスカット法に従い、得られた光学反射フィルム試料の外側に配置した面の最表面に片刃のカミソリの刃を面に対して90°の角度で2mm間隔でクロスカットし、10mm角の碁盤目を作製した。日東電工(株)製のセロハンテープNo.29を貼り付けて、テープをはがし、膜の剥離状態を調べた。
クロスカットしたマス目の数をn、テープ剥離後に支持体に膜が残っているマス目の数をn1としたとき、F=n1/n×100(%)を計算し、光学反射フィルム試料10枚の平均値で以下の基準で評価した。
:F≧95%
◎:95%>F≧90%
○:90%>F≧80%
△:80%>F≧70%
×:70%>F
なお、実使用においてはFが70%以上であれば層間密着性が確保されていると言える。
(可視光透過率および近赤外透過率の測定)
分光光度計(積分球使用、日立製作所社製、U−4000型)を用い、光学反射フィルム試料1〜10の300nm〜2000nmの領域における透過率および5°正反射の反射率を測定した。可視光透過率は550nmにおける透過率の値を、近赤外光反射率は1200nmにおける5°正反射の値を用いた。
可視光透過率はいずれの試料も60%以上であった。
評価結果を表1に示す。
上記表1より、本発明に係る炭素系微粒子は親水性の反射層と疎水性の機能層の密着性を向上させる効果を有していることがわかる。
さらに、表1より主に次のことがわかる。炭素系微粒子としては、親水性カーボンブラックよりもナノダイヤモンドの方が効果的であることが理解できる(実施例2,3)。炭素系微粒子は反射層の最上層に添加されていても機能層に添加されていても密着性向上の効果が得られる(実施例3,4)。機能層に隣接する反射層にコロイダルシリカを含むことによって炭素系微粒子の密着性向上の効果が増大する(実施例3〜5)。機能層がハードコート層(紫外線硬化型樹脂)かアンカー層(アクリル樹脂)かに依らず密着性向上の効果を有する。また、反射層と機能層の両方に炭素系微粒子を含有することで、どちらか一方のみに含有する場合よりも密着性が向上する(実施例5〜8)。
〔光学反射体の作製〕
前記作製した光学反射フィルム試料1〜8を用いて光学反射体1〜8を作製した。厚さ5mm、20cm×20cmの透明アクリル樹脂板上に、光学反射フィルム試料1〜8をアクリル接着剤で接着して、それぞれ光学反射体1〜8を作製した。
〔評価〕
上記作製した光学反射体1〜8は、サイズが大きいにもかかわらず、容易に利用可能であり、また、本発明の光学反射フィルム試料1〜8を利用することで、優れた光反射性を確認することができた。
100 光学反射フィルム
101 支持体、
102 反射層、
103 炭素系微粒子、
104 ハードコート層、
105 アンカー層、
106 高屈折率層、
107 低屈折率層、
108 低屈折率層(最下層)、
109 低屈折率層(最上層)。

Claims (6)

  1. 支持体の少なくとも一方の面の上に設けられた高屈折率層と低屈折率層とからなる積層ユニットと、
    前記積層ユニットに隣接して設けられた機能層と、
    を含む光学反射フィルムにおいて、
    前記機能層のバインダーと、前記積層ユニットのうち少なくとも前記機能層に隣接する層のバインダーとが互いに異なる材料からなり、
    前記積層ユニットの前記機能層に隣接する層または前記機能層の少なくとも一方に、炭素系微粒子を少なくとも1種含有していることを特徴とする光学反射フィルム。
  2. 前記炭素系微粒子がダイヤモンド構造を持つ、請求項1に記載の光学反射フィルム。
  3. 前記積層ユニットのうち少なくとも前記機能層に隣接する層が低屈折率層であり、前記低屈折率層に炭素系微粒子を含有している、請求項1または2に記載の光学反射フィルム。
  4. 前記機能層に隣接する層のバインダーがポリビニルアルコール系樹脂である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学反射フィルム。
  5. 前記機能層が、ハードコート層またはハードコート層のアンカー層のいずれかである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学反射フィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の光学反射フィルムが基体の少なくとも一方の面に設けられた光学反射体。
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