JP6428608B2 - 赤外線遮蔽フィルム、赤外線遮蔽フィルムの設置方法及び赤外線遮蔽フィルムの虹彩防止方法 - Google Patents

赤外線遮蔽フィルム、赤外線遮蔽フィルムの設置方法及び赤外線遮蔽フィルムの虹彩防止方法 Download PDF

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Description

本発明は、車輌用窓ガラス、建築用窓ガラス等に用いられ、可視光透過性、赤外線(熱線)反射性及び耐久性に優れ、特に、三波長型蛍光灯下での干渉縞(虹彩ムラ)の発生が防止された赤外線遮蔽フィルムと、赤外線遮蔽フィルムの設置方法及び赤外線遮蔽フィルムの虹彩防止方法に関する。
一般に高屈折率層と低屈折率層の、それぞれ光学的層厚を調整して交互に積層させた積層体は、特定の波長の光を選択的に反射することが理論的にも裏付けられている。このような積層反射膜を有するフィルムとしては、例えば、建築物の窓や車輌用窓部材などに用いられる熱線遮蔽用反射フィルムが挙げられ、これらの反射フィルムは、可視光線を透過し、近赤外線を選択的に反射する赤外線遮蔽フィルムとして利用されている。
高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層して作製する赤外線反射ユニットを形成した熱線遮蔽フィルムは、光学性能のみならず、フィルムとしての高い物性を備え、この赤外線反射層は、一般的には乾式製膜法で積層する方法が用いられている。
しかしながら、乾式製膜法による赤外線反射多層膜の形成は、多くの製造コストを要するため、実用的ではない。実用的な方法としては、水溶性樹脂及び無機微粒子の混合物を含む塗布液を、湿式塗布方式により塗布して積層する方法(例えば、特許文献1参照。)や、樹脂を延伸して積層する方法(例えば、特許文献2参照。)が挙げられる。特許文献2に記載の樹脂を延伸して積層する方法では、樹脂間の屈折率差は小さいが、層数を増やすことにより赤外線を反射するという特徴がある。
それに対して、特許文献1に記載の水溶性樹脂を用いた方法では、各層の屈折率差を大きくし、少ない層数で赤外線を反射する方式であるが、層数が少ない分、層間において、可視光領域における干渉を抑えられず、1〜4%程の可視光反射率が残る。この赤外線反射層の可視光反射光は、最表面に形成されるハードコート層の表面反射と干渉し、表面に虹彩が観察されることが問題として挙げられる。特に、三波長型蛍光灯を用いた室内照明では、干渉縞が鮮明に見えてしまうという欠点が存在する。
三波長型蛍光灯とは、一般の蛍光灯と構造は同一であるが、色光の三原色(青・緑・赤)の三波長域と呼ばれる色域の発光に、希土類蛍光体を利用して、蛍光灯の色味をより自然なものにすることを可能にした蛍光灯であり、光の三原則における青色域(435nm)、緑色域(540nm)、及び赤色域(610nm)の発光に、希土類蛍光体を用いて輝線発光させている蛍光灯である。
上記三波長型蛍光灯の干渉縞の問題に対し、透明樹脂基材上に形成するプライマー層及び機能性層(反射防止層)と、基材との屈折率の関係と、プライマー層の層厚を調節することにより、三波長型蛍光灯下での干渉縞(ムラ)を防止し、視認性を向上させた方法が開示されている(例えば、特許文献3及び特許文献4参照。)。しかしながら、特許文献3及び特許文献4で開示されている方法では、層厚と屈折率が限定される上、赤外線遮熱フィルムの場合、光学的性能に影響を及ぼすため、赤外線遮蔽フィルムの設計が難しくなり、実用的でない。
従って、簡便な方法で、特に、三波長型蛍光灯に起因する干渉縞を効率的に防止あるいは抑制することができる赤外線遮蔽フィルムの開発が望まれている。
国際公開第2012/014607号 特表2008−528313号公報 特開2006−110988号公報 特開2003−334891号公報
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、三波長型蛍光灯下での干渉縞(虹彩ムラ)を防止し、密着性及び耐久性に優れた赤外線遮蔽フィルムと、当該赤外線遮蔽フィルムの設置方法及び赤外線遮蔽フィルムの虹彩防止方法を提供することである。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を進めた結果、基材の少なくとも一方の面側に、複数の低屈折率層及び高屈折率層を積層して構成する赤外線反射層ユニットと、特定機能層を有し、前記赤外線反射層ユニットを構成する前記低屈折率層又は高屈折率層が金属酸化物微粒子を含有し、前記赤外線反射層ユニット上に積層する特定機能層の総層厚が、特定の層厚以上に設計することを特徴とする赤外線遮蔽フィルムにより、三波長型蛍光灯下での干渉縞(虹彩ムラ)を防止し、密着性及び耐久性に優れた赤外線遮蔽フィルムを提供することができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の上記課題は、下記の手段により解決される。
1.基材の少なくとも一方の面側に、複数の低屈折率層及び高屈折率層を積層して構成する赤外線反射層ユニットと、特定機能層を有する赤外線遮蔽フィルムであって、
前記赤外線反射層ユニットを構成する前記低屈折率層又は高屈折率層が金属酸化物微粒子を含有し、
前記赤外線反射層ユニットに隣接する特定機能層の総層厚が、10〜26μmの範囲内であり、
前記特定機能層が、最表面に位置するハードコート層と、前記ハードコート層に隣接した中間層で構成され、
前記中間層の層厚が3〜20μmの範囲内であり、
かつ前記中間層が、ガラス転移温度(Tg)が−30〜60℃の範囲内にある樹脂を含有することを特徴とする赤外線遮蔽フィルム。
2.前記赤外線反射層ユニット上に積層する特定機能層の総層厚が、16〜26μmの範囲内であることを特徴とする第1項に記載の赤外線遮蔽フィルム。
3.前記中間層の層厚が、4.0〜20μmの範囲内であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の赤外線遮蔽フィルム。
4.前記中間層の層厚が、6.0〜20μmの範囲内であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の赤外線遮蔽フィルム。
5.前記ハードコート層が、赤外線吸収剤を含有することを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の赤外線遮蔽フィルム。
6.前記赤外線吸収剤が、アンチモンドープ酸化スズ、インジウムドープ酸化スズ又はアンチモン酸亜鉛であることを特徴とする第5項に記載の赤外線遮蔽フィルム。
7.それぞれ波長560nmで測定したときの、前記ハードコート層の屈折率をn、前記中間層の屈折率をn、前記赤外線反射層ユニットを構成する低屈折率層又は高屈折率層の屈折率をnとしたとき、当該屈折率n、n及びnの関係が、下式(1)、(2)及び(3)から選ばれる少なくとも一つの条件を満たすことを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載の赤外線遮蔽フィルム
式(1):n<n<n
式(2):n>n>n
式(3):n=n=n
8.前記n、n及びnが、前記式(1)又は(2)で規定する条件を満たすことを特徴とする第7項に記載の赤外線遮蔽フィルム。
.前記中間層が、紫外線吸収剤を含有することを特徴とする第項から第項までのいずれか一項に記載の赤外線遮蔽フィルム。
.前記紫外線吸収剤の含有量が、前記中間層全質量の0.5〜5.0質量%の範囲内であることを特徴とする第項に記載の赤外線遮蔽フィルム。
11.第1項から第10項までのいずれか一項に記載の赤外線遮蔽フィルムを、屋外と室内との境界部に設置する赤外線遮蔽フィルムの設置方法であって、
前記赤外線遮蔽フィルムの、基材の少なくとも一方の面側に複数の低屈折率層及び高屈折率層を積層して構成する赤外線反射層ユニットと、当該赤外線反射層ユニット上に総層厚が10〜26μmの範囲内にある特定機能層を積層した面側を、室内側に配置することを特徴とする赤外線遮蔽フィルムの設置方法。
12.第1項から第10項までのいずれか一項に記載の赤外線遮蔽フィルムを用いた赤外線遮蔽フィルムの虹彩防止方法あって、
前記赤外線遮蔽フィルムを、屋外と室内照明を有する室内との境界部に配置し、
前記赤外線遮蔽フィルムの、基材の少なくとも一方の面側に複数の低屈折率層及び高屈折率層を積層して構成する赤外線反射層ユニットと、当該赤外線反射層ユニット上に総層厚が10〜26μmの範囲内にある特定機能層を積層した面側を、室内照明を有する室内側に配置して、室内照明による虹彩を防止することを特徴とする赤外線遮蔽フィルムの虹彩防止方法。
.前記室内照明が、三波長型昼光色蛍光ランプであることを特徴とする第1項に記載の赤外線遮蔽フィルムの虹彩防止方法。
本発明の上記手段により、三波長型昼光色蛍光ランプ(以下、単に三波長型蛍光灯ともいう。)下での干渉縞(虹彩ムラ)を防止し、密着性及び耐久性に優れた赤外線遮蔽フィルムと、当該赤外線遮蔽フィルムの設置方法及び赤外線遮蔽フィルムの虹彩防止方法を提供することができる。
本発明で規定する構成により、本発明の目的とする効果が得られる技術的理由に関しては、その機構の詳細について解明はされていないが、以下のように推測している。
透明な光学フィルムでは、前述の通り、三波長型蛍光灯下では干渉縞が見えやすいことが問題として挙げられている。
一般的な照明光源、例えば、白色灯等の場合には、層厚が1μm以上の構成層であれば干渉縞は形成されない。これは、光源の干渉可能な光の長さ(コヒーレンス長)が1μm程度であるためである。これに対し、三波長型蛍光灯は、他の光源と異なり、440nm、545nm、610nmに特徴的な輝線スペクトルを有している。コヒーレンス長は、輝線スペクトルの帯域幅(半値幅)で決まるため、最低でも15μmとなる。そのため、輝線スペクトルの場合、最低でも7.5μmの層厚がないと、干渉を生じると考えられる。そのため、従来のような薄膜で透明な積層膜の場合では、三波長型蛍光灯下で可視光による干渉縞が生じやすいということになる。
低屈折率層及び高屈折率層の少なくとも一方が、金属酸化物微粒子を含む層で構成されている赤外線反射層ユニットは、可視光を1〜4%の範囲内で反射する特性を有している。その上に、厚さが数μm程度の薄層を形成した場合には、表面反射光と赤外線反射光からの可視光が干渉し、表面に虹ムラを形成することになる。特に、545nmの輝線スペクトルは人の目の感度が高い領域であり、特に強い干渉縞が観察される。
すなわち、本発明者らは、上記問題を鑑み鋭意検討を進めた結果、三波長型蛍光灯が有する輝線スペクトルのコヒーレンス長の半波長分よりも厚い層厚の特定機能層(中間層及びハードコート層)を、赤外線反射層ユニット上に形成することにより、虹彩が低減できることを見出し、本発明に至った。具体的には、赤外線反射層ユニット上に、少なくとも総層厚が10〜26μmの範囲内にある特定機能層を形成することにより、545nmの輝線スペクトルが、赤外線反射層ユニットで反射され、最表面に達するまでには非干渉光になり、虹彩として観察されにくくなる。
具体的には、コヒーレンス長をl、コヒーレンス時間をt、輝線スペクトルの広がり(半値幅)をΔλをとした場合、コヒーレンス長lは、下記式(A)で表される。
式(A)
=ct=λ/Δλ
このとき、λ=545nmのとき、Δλは6nmなので、lは50μmとなり、赤外線反射層ユニットから最表面までの距離が、更には16μm以上であれば、干渉縞を完全に解消することができる。本発明では、特定機能層として、例えば、最表層にハードコート層を設け、更に隣接して中間層を設ける構成においては、ハードコート層最表面と赤外線反射層ユニットの最表面との距離が10μm以上あれば干渉縞を低減することができ、好ましくは16μm以上あれば干渉縞を解消できることを見出し、本発明に至った。
また、赤外線反射層ユニット上に、特定機能層としてハードコート層とともに、ハードコート層に隣接した位置に厚膜の中間層を設け、その特定機能層の総層厚を10〜26μmの範囲内で設計することにより干渉縞を防止することができる。
更に、本発明で規定する構成により、以下に挙げるような1)〜3)に記載の性能が向上する。
1)密着性の向上:赤外線反射層ユニット上に特定機能層を形成した場合、表面に収縮応力が形成され、屋外暴露等の耐久性試験の際に、赤外線反射層ユニット内の層間密着性が低減し、剥離する現象が発生する。そこで、中間層として、ガラス転移温度(Tg)が−30〜60℃の範囲内にある柔らかい性質を備えた樹脂層を形成することによって、当該樹脂層により、赤外線反射層ユニットにかかる収縮応力を低減することができる。その結果、耐候性試験後の剥離現象を解消でき、優れた密着性を実現することができる。
2)屈折率の調整:例えば、ハードコート層及び中間層を10μmの層厚で形成した場合、545nmの輝線スペクトルの干渉が防止できることにより干渉縞は低減されるが、610nmの光による干渉は残る。そこで、中間層の屈折率を、基材とハードコート層の中間の屈折率に調整することにより、各層界面における反射を最低限に抑えることができ、干渉縞が見えづらくなる。
3)耐候性向上:中間層に紫外線吸収剤を含有することによって、耐候性試験中に促進する収縮応力や、紫外線硬化樹脂を適用した際に、紫外線硬化樹脂層の収縮を低減することができるため、耐候性が向上する。
本発明の赤外線遮蔽フィルムの層構成の一例を示す概略断面図 本発明の赤外線遮蔽フィルムの層構成の他の一例を示す概略断面図 本発明の赤外線遮蔽フィルムをガラス基材に具備した赤外線遮蔽ユニットの一例を示す概略断面図 本発明の赤外線遮蔽フィルムをガラス基材で挟持した構成の合わせガラスの構成の一例を示す概略断面図
本発明の赤外線遮蔽フィルムは、基材の少なくとも一方の面側に、複数の低屈折率層及び高屈折率層を積層して構成する赤外線反射層ユニットと、特定機能層を有する赤外線遮蔽フィルムであって、前記赤外線反射層ユニットを構成する前記低屈折率層又は高屈折率層が金属酸化物微粒子を含有し、前記赤外線反射層ユニットに隣接する特定機能層の総層厚が、10〜26μmの範囲内であり、前記特定機能層が、最表面に位置するハードコート層と、前記ハードコート層に隣接した中間層で構成され、前記中間層の層厚が3〜20μmの範囲内であり、かつ前記中間層が、ガラス転移温度(Tg)が−30〜60℃の範囲内にある樹脂を含有することを特徴とする。この特徴は、各請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の目的とする効果をより発現できる観点から、前記赤外線反射層ユニット上に積層する特定機能層の総層厚が、16〜26μmの範囲内であることが、特に、545nmの輝線スペクトルの干渉を抑えることができる観点から好ましい。
また、前記中間層の層厚が4.0〜20μmの範囲内であること、更には、前記中間層の層厚が6.0〜20μmの範囲内であることが、本発明の目的効果である干渉縞をより効果的に防止することができ点で好ましい。
また、前記ハードコート層が赤外線吸収剤を含有すること、更には、赤外線吸収剤として、アンチモンドープ酸化スズ、インジウムドープ酸化スズ又はアンチモン酸亜鉛を用いることが、赤外線をより効果的に遮断することができる観点から好ましい。
また、それぞれ波長560nmで測定したときの、前記ハードコート層の屈折率をn、前記中間層の屈折率をn、前記赤外線反射層ユニットを構成する低屈折率層又は高屈折率層の屈折率をnとしたとき、当該屈折率n、n及びnの関係が、前式(1)、(2)及び(3)から選ばれる少なくとも一つの条件を満たすことが、各層の屈折率の差を小さくでき、干渉縞を効率的に低減させることができる観点から好ましい。
また、前記中間層が、ガラス転移温度(Tg)が−30〜60℃の範囲内にある樹脂により構成されていることが、中間層に柔軟性を付与することができ、その結果、ハードコート層の収縮応力を緩和し、長期間にわたる使用に際しても層間の密着性が改良され、耐候性の向上を果たすことができる点で好ましい。
また、中間層に紫外線吸収剤を含有させること、あるいは紫外線吸収剤の含有量を中間層全質量の0.5〜5.0質量%の範囲内とすることにより、太陽光照射下におけるハードコート層の硬化収縮を抑え、耐候性を向上することができる点で好ましい。
また、赤外線遮蔽フィルムの設置方法として、本発明の赤外線遮蔽フィルムを、屋外と室内との境界部に設置する赤外線遮蔽フィルムの設置方法であって、前記赤外線遮蔽フィルムの、基材の少なくとも一方の面側に複数の低屈折率層及び高屈折率層を積層して構成する赤外線反射層ユニットと、当該赤外線反射層ユニット上に総層厚が10μm以上の特定機能層を積層した面側を、室内側に配置することを特徴とする。
また、赤外線遮蔽フィルムの虹彩防止方法として、本発明の赤外線遮蔽フィルムを用い、前記赤外線遮蔽フィルムを、屋外と室内照明を有する室内との境界部に配置し、前記赤外線遮蔽フィルムの、基材の少なくとも一方の面側に複数の低屈折率層及び高屈折率層を積層して構成する赤外線反射層ユニットと、当該赤外線反射層ユニット上に総層厚が10μm以上の特定機能層を積層した面側を、室内照明を有する室内側に配置して、室内照明による虹彩を防止することを特徴とする。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、以下の説明において示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《赤外線遮蔽フィルム》
本発明の赤外線遮蔽フィルムは、基材の少なくとも一方の面側に、複数の低屈折率層及び高屈折率層を積層して構成する赤外線反射層ユニットと、特定機能層とを有する赤外線遮蔽フィルムであって、前記赤外線反射層ユニットを構成する前記低屈折率層又は高屈折率層が金属酸化物微粒子を含有し、前記赤外線反射層ユニットに隣接する特定機能層の総層厚が、10μm以上であり、前記特定機能層が、最表面に位置するハードコート層と、前記ハードコート層に隣接した中間層で構成され、前記中間層の層厚が3〜30μmの範囲内であり、かつ前記中間層が、ガラス転移温度(Tg)が−30〜60℃の範囲内にある樹脂を含有することを特徴とする。
[赤外線遮蔽フィルムの基本的構成]
以下、図を交えて、本発明の赤外線遮蔽フィルムの代表的な構成について説明する。
図1は、本発明の赤外線遮蔽フィルムFの層構成の一例を示す概略断面図である。
図1において、基材1、例えば、透明樹脂基材上に、複数の低屈折率層2と高屈折率層3とを交互に積層した赤外線反射層ユニット4を形成し、その上に、特定機能層として、中間層5と最表面にハードコート層6が形成され、赤外線遮蔽フィルムFを構成している。
このような構成の赤外線遮蔽フィルムFにおいて、赤外線反射層ユニット4上に積層する特定機能層の総層厚、図1においては、中間層5とハードコート層6との層厚を合計した総層厚hdが、10〜26μmの範囲内であることを特徴とする。
本発明においては、ハードコート層6側より、照明光源として三波長型蛍光灯7を用いて光照射されるときに、三波長型蛍光灯7に起因する干渉縞(以下、虹ムラともいう。)の発生を、中間層5とハードコート層6との総層厚hdを10〜26μmの範囲内とすることにより防止することができ、総層厚hdとして好ましくは、16〜26μmの範囲内である。
図2は、本発明の赤外線遮蔽フィルムの層構成の他の一例を示す概略断面図である。
図2に示す構成では、三波長型蛍光灯7側の構成は、図1に示す構成と同様であり、更に、基材1の反対側の面にも、赤外線反射層ユニット4Bと、中間層5Bとハードコート層6Bを設け、基材1の両面に赤外線反射層ユニット4及び4Bを設けた構成であり、ハードコート層6B側は、例えば、窓ガラス等に配置する場合には、太陽10側に配置される。従って、中間層5Bとハードコート層6Bの総層厚については、特に制限はない。
本発明の赤外線遮蔽フィルムの全体の厚さは、好ましくは40〜315μmの範囲内であり、より好ましくは50〜200μmの範囲内であり、さらに好ましくは60〜100μmの範囲内である。また、低屈折率層の1層あたりの厚みは、20〜800nmの範囲内であることが好ましく、50〜350nmの範囲内であることがより好ましい。一方、高屈折率層の1層あたりの厚みは、20〜800nmの範囲内であることが好ましく、50〜350nmの範囲内であることがより好ましい。
本発明の赤外線遮蔽フィルムは、基材と隣接する位置、又は基材の最表面層に形成する特殊機能層として、中間層及びハードコート層の他に、本発明の目的効果を損なわない範囲で、例えば、導電性層、帯電防止層、ガスバリア層、易接着層(接着層)、防汚層、消臭層、流滴層、易滑層、ハードコート層、耐摩耗性層、反射防止層、電磁波シールド層、紫外線吸収層、赤外線吸収層、印刷層、蛍光発光層、ホログラム層、剥離層、粘着層、接着層、本発明の高屈折率層及び低屈折率層以外の赤外線カット層(金属層、液晶層)、着色層(可視光線吸収層)、合わせガラスに利用される中間膜層などの機能層、等を1つ以上を有していてもよい。
[赤外線遮蔽フィルムの構成要素]
次いで、本発明の赤外線遮蔽フィルムの各構成要素の詳細について説明する。
〔1〕基材
本発明に係る基材としては、透明樹脂フィルムであることが好ましく、この基材は赤外線遮蔽フィルムの支持体としての役割を果たす。本発明に係る基材は、赤外線遮蔽フィルムの熱収縮率を基材の熱収縮率で除した値が1.0〜3.0の範囲内となるように、材質や厚さ等が設定されているものが好ましい。
本発明に係る基材の厚さは、30〜200μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは30〜150μmの範囲内であり、最も好ましくは35〜125μmの範囲内である。厚さが30μm以上であれば、取扱い中のシワが発生しにくくなり、また厚さが200μm以下であれば、例えば、透明基材と貼り合わせる際に、曲面の透明基材への追従性が良くなり、シワが発生しにくくなる。
本発明に係る基材は、二軸配向ポリエステルフィルムであることが好ましいが、未延伸又は少なくとも一方に延伸された一軸配向ポリエステルフィルムを用いることもできる。強度向上、熱膨張抑制の点から延伸フィルムが好ましい。特に自動車のフロントガラスとして用いられる際に、延伸フィルムがより好ましい。
本発明に適用する基材は、透明であることが好ましく、種々の樹脂フィルムを用いることができ、ポリオレフィンフィルム(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステルフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、3酢酸セルロース、ポリイミド、ポリブチラールフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、透明なセルロースナノファイバーフィルム等を用いることができ、好ましくはポリエステルフィルムである。ポリエステルフィルム(以下、ポリエステルと称す。)としては、特に限定されるものではないが、ジカルボン酸成分とジオール成分を主要な構成成分とするフィルム形成性を有するポリエステルであることが好ましい。主要な構成成分のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げることができる。また、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオールなどを挙げることができる。これらを主要な構成成分とするポリエステルの中でも、透明性、機械的強度、寸法安定性などの点から、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸や2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分として、エチレングリコールや1,4−シクロヘキサンジメタノールを主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを主要な構成成分とするポリエステルや、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールからなる共重合ポリエステル、及びこれらのポリエステルの二種以上の混合物を主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。
〔2〕赤外線反射層ユニット
本発明に係る赤外線反射層ユニットは、複数の低屈折率層及び高屈折率層を積層して構成されている。本発明に係る赤外線反射層ユニットは、太陽光線、特に赤外線成分を遮断する機能を発現するものである。また、赤外線反射層ユニットは、低屈折率層及び高屈折率層を有しており、金属酸化物微粒子がいずれか1層に含まれている。好ましくは、第1の水溶性バインダー樹脂と第1の金属酸化物粒子とを含有する高屈折率層と、第2の水溶性バインダー樹脂と第2の金属酸化物粒子とを含有する低屈折率層とを上記説明した基材上に交互に積層して形成される積層体である。
前記高屈折率層の1層当たりの厚さは、20〜800nmの範囲内であることが好ましく、50〜500nmの範囲内であることがより好ましい。また、前記低屈折率層の1層当たりの厚さは、20〜800nmの範囲内であることが好ましく、50〜500nmの範囲内であることがより好ましい。
ここで、1層あたりの厚さを測定する場合、高屈折率層と低屈折率層とは、これらの間に明確な界面をもっていても、連続的に組成が変化する構造であっても良い。界面から組成が連続的に変化している場合には、それぞれの層が混合し屈折率が連続的に変化する領域中で、最大屈折率−最小屈折率=Δnとした場合、2層間の最小屈折率+Δn/2の地点を高屈折率層と低屈折率層との層界面とみなす。なお、後述する低屈折率層の層厚においても同様である。
本発明において、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層して形成された赤外線反射層ユニットの金属酸化物濃度プロファイルは、スパッタ法を用いて表面から深さ方向へエッチングを行い、XPS表面分析装置を用いて、最表面を0nmとして、0.5nm/minの速度でスパッタし、原子組成比を測定することで確認することができる。また、積層膜を切断して、切り出した切断面について、XPS表面分析装置を用いて原子組成比を測定することで確認することも可能である。混合領域において、金属酸化物の濃度が不連続に変化している場合には、電子顕微鏡(TEM)で撮影した断層写真により境界を確認することができる。
XPS表面分析装置としては、特に制限されず、いかなる機種も使用することができるが、例えば、VGサイエンティフィックス社製ESCALAB−200Rを用いることができる。X線アノードにはMgを用い、出力600W(加速電圧15kV、エミッション電流40mA)で測定する。
本発明に係る赤外線反射層ユニットは、生産性の観点から、好ましい高屈折率層及び低屈折率層の総層数としては、6〜50層の範囲内であり、より好ましくは8〜40層の範囲内であり、さらに好ましく9〜30層の範囲内である。また、赤外線反射率及び透光性、加熱による膜剥がれやひび割れ抑制の観点からは、好ましい高屈折率層及び低屈折率層の総層数は、11〜31層である。
赤外線反射層ユニットにおいては、高屈折率層と低屈折率層との屈折率の差を大きく設計することが、少ない層数で熱線である赤外線反射率を高くすることができるという観点から好ましい。本発明では、隣接する高屈折率層と低屈折率層との屈折率差は0.1以上が好ましく、より好ましくは0.3以上であり、さらに好ましくは0.35以上であり、特に好ましくは0.4以上である。ただし、最表層や最下層に関しては、上記好適な範囲外の構成であっても良い。
また、特定波長領域の反射率は、隣接する2層の屈折率差と積層数で決まり、屈折率の差が大きいほど、少ない層数で同じ反射率が得られる。この屈折率差と必要な層数については、市販の光学設計ソフトを用いて計算することができる。例えば、近赤外反射率90%以上を得るためには、屈折率差が0.1より小さいと、200層以上の積層が必要になり、生産性が低下するだけでなく、積層界面での散乱が大きくなり、透明性が低下し、また故障なく製造することも非常に困難になる。反射率の向上と層数を少なくするという観点からは、屈折率差に上限はないが、実質的には1.4程度が限界である。
本発明に係る赤外線反射層ユニットにおいては、基材に対する密着性の観点から、透明樹脂フィルムに隣接する最下層を低屈折率層とする層構成が好ましい。
また、本発明において、高屈折率層又は低屈折率層に含まれる第1及び第2の水溶性バインダー樹脂は、ポリビニルアルコールであることが好ましい。また、高屈折率層に含まれるポリビニルアルコールのケン化度と、低屈折率層に含まれるポリビニルアルコールのケン化度とは異なることが好ましい。
また、本発明においては、赤外線反射層ユニットを構成する高屈折率層に含まれる第1の金属酸化物粒子は、含ケイ素の水和酸化物で表面処理された酸化チタン粒子であることが好ましい。
(1)高屈折率層
本発明に係る高屈折率層では、特に制限はないが、好ましくは、第1の水溶性バインダー樹脂及び第1の金属酸化物粒子を含有し、必要に応じて、硬化剤、その他のバインダー樹脂、界面活性剤、各種添加剤等を更に含む構成である。
本発明に係る高屈折率層の屈折率は、好ましくは1.80〜2.50であり、より好ましくは1.90〜2.20である。
(1−1)第1の水溶性バインダー樹脂
本発明において、第1の水溶性バインダー樹脂は、重量平均分子量が1000〜200000の範囲内であることが好ましい。更には、3000〜40000の範囲内がより好ましい。
本発明でいう重量平均分子量は、公知の方法によって測定することができ、例えば、静的光散乱、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法(GPC)、飛行時間型質量分析法(TOF−MASS)などによって測定することができ、本発明では一般的な公知の方法であるゲルパーミエーションクロマトグラフィ法によって測定している。
高屈折率層における第1の水溶性バインダー樹脂の含有量は、高屈折率層の総固形分100質量%に対して、5〜50質量%の範囲内であることが好ましく、10〜40質量%の範囲内であることがより好ましい。
高屈折率層に適用する第1の水溶性バインダー樹脂としては、ポリビニルアルコールであることが好ましい。また、後述する低屈折率層に存在する第2の水溶性バインダー樹脂も、ポリビニルアルコールであることが好ましい。
従って、以下、高屈折率層及び低屈折率層に含まれるポリビニルアルコールについて併せて説明する。
(1−1−1)ポリビニルアルコール
本発明に係る高屈折率層と低屈折率層においては、ケン化度の異なる2種以上のポリビニルアルコールを含むことが好ましい。ここで、区別するために、高屈折率層で用いる第1の水溶性バインダー樹脂としてのポリビニルアルコールをポリビニルアルコール(A)とし、低屈折率層で用いる第2の水溶性バインダー樹脂としてのポリビニルアルコールをポリビニルアルコール(B)と称す。なお、各屈折率層が、ケン化度や重合度が異なる複数のポリビニルアルコールを含む場合には、各屈折率層中で最も含有量の高いポリビニルアルコールをそれぞれ高屈折率層におけるポリビニルアルコール(A)、及び低屈折率層におけるポリビニルアルコール(B)と称する。
本発明でいう「ケン化度」とは、ポリビニルアルコール中のアセチルオキシ基(原料の酢酸ビニル由来のもの)とヒドロキシ基との合計数に対するヒドロキシ基の割合のことである。
また、ここでいう「屈折率層中で最も含有量の高いポリビニルアルコール」という際には、ケン化度の差が3mol%以内のポリビニルアルコールは同一のポリビニルアルコールであるとし、重合度を算出する。ただし、重合度1000以下の低重合度ポリビニルアルコールは、異なるポリビニルアルコールとする(仮にケン化度の差が3mol%以内のポリビニルアルコールがあったとしても同一のポリビニルアルコールとはしない)。具体的には、ケン化度が90mol%、ケン化度が91mol%、ケン化度が93mol%のポリビニルアルコールが同一層内にそれぞれ10質量%、40質量%、50質量%含まれる場合には、これら3つのポリビニルアルコールは同一のポリビニルアルコールとし、これら3つの混合物をポリビニルアルコール(A)又は(B)とする。また、上記「ケン化度の差が3mol%以内のポリビニルアルコール」とは、いずれかのポリビニルアルコールに着目した場合に3mol%以内であれば足り、例えば、90mol%、91mol%、92mol%、94mol%のポリビニルアルコールを含む場合には、91mol%のポリビニルアルコールに着目した場合に、いずれのポリビニルアルコールのケン化度の差も3mol%以内なので、同一のポリビニルアルコールとなる。
同一層内にケン化度が3mol%以上異なるポリビニルアルコールが含まれる場合、異なるポリビニルアルコールの混合物とみなし、それぞれに重合度とケン化度を算出する。例えば、PVA203((株)クラレ製 クラレポバール203):5質量%、PVA117((株)クラレ製 クラレポバール117):25質量%、PVA217((株)クラレ製 クラレポバール217):10質量%、PVA220((株)クラレ製 クラレポバール220):10質量%、PVA224((株)クラレ製 クラレポバール224):10質量%、PVA235((株)クラレ製 クラレポバール235):20質量%、PVA245((株)クラレ製 クラレポバール245):20質量%が含まれる場合、最も含有量の多いPVA(ポリビニルアルコール)は、PVA217〜245の混合物であり(PVA217〜245のケン化度の差は3mol%以内なので同一のポリビニルアルコールである)、この混合物がポリビニルアルコール(A)又は(B)となる。そうして、PVA217〜245の混合物(ポリビニルアルコール(A)又は(B))において、重合度が、(1700×0.1+2000×0.1+2400×0.1+3500×0.2+4500×0.7)/0.7=3200であり、ケン化度は、88mol%となる。
ポリビニルアルコール(A)とポリビニルアルコール(B)とのケン化度の絶対値の差は、3mol%以上であることが好ましく、5mol%以上であることがより好ましい。このような範囲であれば、高屈折率層と低屈折率層との層間分離状態が好ましいレベルになるため好ましい。また、ポリビニルアルコール(A)とポリビニルアルコール(B)とのケン化度の差は、離れていれば離れているほど好ましいが、ポリビニルアルコールの水への溶解性の観点から、20mol%以下であることが好ましい。
また、ポリビニルアルコール(A)及びポリビニルアルコール(B)のケン化度は、水への溶解性の観点で、75mol%以上であることが好ましい。さらに、ポリビニルアルコール(A)及びポリビニルアルコール(B)のうち一方がケン化度90mol%以上であり、他方が90mol%以下であることが、高屈折率層と低屈折率層との層間混合状態を好ましいレベルにするために好ましい。ポリビニルアルコール(A)及びポリビニルアルコール(B)のうち一方が、ケン化度95mol%以上であり、他方が90mol%以下であることがより好ましい。なお、ポリビニルアルコールのケン化度の上限は特に限定されるものではないが、通常100mol%未満であり、99.9mol%以下程度である。
また、ケン化度の異なる2種のポリビニルアルコールの重合度は、1000以上のものが好ましく用いられ、特に、重合度が1500〜5000の範囲内のものがより好ましく、2000〜5000の範囲内のものがさらに好ましく用いられる。ポリビニルアルコールの重合度が、1000以上であると塗布膜のひび割れがなく、5000以下であると塗布液が安定する観点から好ましい。なお、本発明において、「塗布液が安定する」とは、塗布液の液物性値(例えば、粘度等)が経時的に安定することを意味する。ポリビニルアルコール(A)及びポリビニルアルコール(B)の少なくとも一方の重合度が2000〜5000の範囲内であると、塗膜のひび割れが減少し、特定の波長の反射率が向上するため好ましい。ポリビニルアルコール(A)及びポリビニルアルコール(B)の双方が、2000〜5000であると、上記効果はより顕著に発揮できるため、より好ましい。
本発明でいう「重合度」とは、粘度平均重合度を指し、JIS K6726(1994)に準じて測定され、PVAを完全に再ケン化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η](dl/g)から、下式(B)により求められるものである。
式(B)
P=(〔η〕×10/8.29)(1/0.62)
低屈折率層に含まれるポリビニルアルコール(B)は、ケン化度が75〜90mol%の範囲内で、かつ重合度が2000〜5000の範囲内であることが好ましい。このような特性を備えたポリビニルアルコールを低屈折率層に含有させると、界面混合がより抑制される点で好ましい。これは塗膜のひび割れが少なく、かつセット性が向上するためであると考えられる。
本発明で用いられるポリビニルアルコール(A)及び(B)は、合成品を用いても良いし市販品を用いても良い。ポリビニルアルコール(A)及び(B)として用いられる市販品の例としては、例えば、PVA−102、PVA−103、PVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−120、PVA−124、PVA−203、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−235(以上、株式会社クラレ製 ポバール)、JC−25、JC−33、JF−03、JF−04、JF−05、JP−03、JP−04、JP−05、JP−45(以上、日本酢ビ・ポバール株式会社製)等が挙げられる。
本発明に係る水溶性バインダー樹脂は、本発明の効果を損なわない限りでは、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、一部が変性された変性ポリビニルアルコールを含んでも良い。このような変性ポリビニルアルコールを含むと、膜の密着性や耐水性、柔軟性が改良される場合がある。このような変性ポリビニルアルコールとしては、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、ノニオン変性ポリビニルアルコール、ビニルアルコール系ポリマーが挙げられる。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号公報に記載されているような、第一級〜第三級アミノ基や第四級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖又は側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号公報に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号公報及び同63−307979号公報に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平7−285265号公報に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号公報に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体、シラノール基を有するシラノール変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基やカルボニル基、カルボキシ基などの反応性基を有する反応性基変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
また、ポリビニルアルコール系水溶性ポリマーを用いることも好ましく、例えば、エクセバール(登録商標、株式会社クラレ製)やニチゴGポリマー(登録商標、日本合成化学工業株式会社製)などが挙げられる。
変性ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類違いなど2種類以上を併用することができる。
変性ポリビニルアルコールの含有量は、特に限定されるものではないが、各屈折率の全質量(固形分)に対し、好ましくは1〜30質量%である。このような範囲であれば、上記効果がより発揮される。
本発明においては、屈折率の異なる層間ではケン化度の異なる2種のポリビニルアルコールがそれぞれ用いられることが好ましい。
例えば、高屈折率層に低ケン化度のポリビニルアルコール(A)を用い、低屈折率層に高ケン化度のポリビニルアルコール(B)を用いる場合には、高屈折率層中のポリビニルアルコール(A)が層中の全ポリビニルアルコール類の全質量に対し、40〜100質量%の範囲内で含有されることが好ましく、60〜95質量%の範囲内がより好ましく、低屈折率層中のポリビニルアルコール(B)が低屈折率層中の全ポリビニルアルコール類の全質量に対し、40〜100質量%の範囲内で含有されることが好ましく、60〜95質量%の範囲内がより好ましい。また、高屈折率層に高ケン化度のポリビニルアルコール(A)を用い、低屈折率層に低ケン化度のポリビニルアルコール(B)を用いる場合には、高屈折率層中のポリビニルアルコール(A)が層中の全ポリビニルアルコール類の全質量に対し、40〜100質量%の範囲内で含有されることが好ましく、60〜95質量%の範囲内がより好ましく、低屈折率層中のポリビニルアルコール(B)が低屈折率層中の全ポリビニルアルコール類の全質量に対し、40〜100質量%の範囲内で含有されることが好ましく、60〜95質量の範囲内がより好ましい。含有量が40質量%以上であると、層間混合が抑制され、界面の乱れが小さくなるという効果が顕著に現れる。一方、含有量が100質量%以下であれば、塗布液の安定性が向上する。
(1−1−2)その他のバインダー樹脂
本発明に係る高屈折率層において、ポリビニルアルコール以外の第1の水溶性バインダー樹脂としては、第1の金属酸化物粒子を含有した高屈折率層が塗膜を形成することができれば、いかなるものでも制限なく使用可能である。また、後述する低屈折率層においても、ポリビニルアルコール以外の第2の水溶性バインダー樹脂としては、前記と同様に、第2の金属酸化物粒子を含有した低屈折率層が塗膜を形成することができれば、どのようなものでも制限なく使用可能である。ただし、環境の問題や塗膜の柔軟性を考慮すると、水溶性高分子(特に、ゼラチン、増粘多糖類、反応性官能基を有するポリマー等)が好ましい。これらの水溶性高分子は単独で用いても良いし、2種類以上を混合して用いても良い。
高屈折率層において、第1の水溶性バインダー樹脂として好ましく用いられるポリビニルアルコールとともに、併用する他のバインダー樹脂の含有量は、高屈折率層の固形分100質量%に対して、5〜50質量%の範囲内で用いることもできる。
本発明においては、有機溶媒を用いる必要がなく、環境保全上好ましいことから、バインダー樹脂は水溶性高分子から構成されることが好ましい。すなわち、本発明ではその効果を損なわない限りにおいて、上記ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールに加えて、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール以外の水溶性高分子をバインダー樹脂として用いても良い。前記水溶性高分子とは、該水溶性高分子が最も溶解する温度で、0.5質量%の濃度に水に溶解させた際、G2グラスフィルタ(最大細孔40〜50μm)で濾過した場合に濾別される不溶物の質量が、加えた該水溶性高分子の50質量%以下であるものを言う。そのような水溶性高分子の中でも、特に、ゼラチン、セルロース類、増粘多糖類、又は反応性官能基を有するポリマーが好ましい。これらの水溶性高分子は、単独で用いられていても良いし、2種類以上が混合されて用いられていても良い。
以下、これらの水溶性高分子について説明する。
〈ゼラチン〉
本発明に適用可能なゼラチンとしては、従来、ハロゲン化銀写真感光材料分野で広く用いられてきた各種ゼラチンを適用することができ、例えば、酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチンの他に、ゼラチンの製造過程で酵素処理をする酵素処理ゼラチン及びゼラチン誘導体、すなわち分子中に官能基としてのアミノ基、イミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基を有し、それと反応し得る基を持った試薬で処理し改質したものであっても良い。ゼラチンの一般的製造法に関しては良く知られており、例えば、T.H.James:The Theory of Photographic Process 4th. ed.1977(Macmillan)55項、科学写真便覧(上)72〜75項(丸善)、写真工学の基礎−銀塩写真編119〜124頁(コロナ社)等の記載を参考にすることができる。また、リサーチ・ディスクロージャー誌第176巻、No.17643(1978年12月)のIX項に記載されているゼラチンを挙げることができる。
〈ゼラチンの硬膜剤〉
ゼラチンを用いる場合、必要に応じてゼラチンの硬膜剤を添加することもできる。
使用できる硬膜剤としては、通常の写真乳剤層の硬膜剤として使用されている公知の化合物を使用でき、例えば、ビニルスルホン化合物、尿素−ホルマリン縮合物、メラニン−ホルマリン縮合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物、活性オレフィン類、イソシアネート系化合物などの有機硬膜剤、クロム、アルミニウム、ジルコニウムなどの無機多価金属塩類などを挙げることができる。
〈セルロース類〉
本発明で用いることのできるセルロース類としては、水溶性のセルロース誘導体を好ましく用いることができ、例えば、カルボキシメチルセルロース(セルロースカルボキシメチルエーテル)、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の水溶性セルロース誘導体や、カルボン酸基含有セルロース類であるカルボキシメチルセルロース(セルロースカルボキシメチルエーテル)、カルボキシエチルセルロース等を挙げることができる。その他には、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、酢酸セルロース、セルロース硫酸エステル等のセルロース誘導体を挙げることができる。
〈増粘多糖類〉
本発明で用いることのできる増粘多糖類としては、特に制限はなく、例えば、一般に知られている天然単純多糖類、天然複合多糖類、合成単純多糖類及び合成複合多糖類を挙げることができ、これら多糖類の詳細については、「生化学事典(第2版),東京化学同人出版」、「食品工業」第31巻(1988)21頁等を参照することができる。
本発明でいう増粘多糖類とは、糖類の重合体であり、分子内に水素結合基を多数有するもので、温度による分子間の水素結合力の違いにより、低温時の粘度と高温時の粘度差が大きいという特性を備えた多糖類である。更に、この増粘多糖類に金属酸化物微粒子を添加すると、低温時にその金属酸化物微粒子との水素結合によると思われる粘度上昇を起こす。その粘度上昇幅は、15℃における粘度が1.0mPa・s以上であり、好ましくは5.0mPa・s以上であり、更に好ましくは10.0mPa・s以上である。
本発明に適用可能な増粘多糖類としては、例えば、ガラクタン(例えば、アガロース、アガロペクチン等)、ガラクトマンノグリカン(例えば、ローカストビーンガム、グアラン等)、キシログルカン(例えば、タマリンドガム等)、グルコマンノグリカン(例えば、蒟蒻マンナン、木材由来グルコマンナン、キサンタンガム等)、ガラクトグルコマンノグリカン(例えば、針葉樹材由来グリカン)、アラビノガラクトグリカン(例えば、大豆由来グリカン、微生物由来グリカン等)、グルコラムノグリカン(例えば、ジェランガム等)、グリコサミノグリカン(例えば、ヒアルロン酸、ケラタン硫酸等)、アルギン酸及びアルギン酸塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、ファーセレラン等の紅藻類に由来する天然高分子多糖類等が挙げられ、塗布液中に共存する金属酸化微粒子の分散安定性を低下させない観点から、好ましくは、その構成単位がカルボン酸基やスルホン酸基を有しないものが好ましい。その様な多糖類としては、例えば、L−アラビトース、D−リボース、2−デオキシリボース、D−キシロースなどのペントース、D−グルコース、D−フルクトース、D−マンノース、D−ガラクトースなどのヘキソースのみからなる多糖類であることが好ましい。具体的には、主鎖がグルコースであり、側鎖もグルコースであるキシログルカンとして知られるタマリンドシードガムや、主鎖がマンノースで側鎖がグルコースであるガラクトマンナンとして知られるグアーガム、カチオン化グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、ローカストビーンガム、タラガムや、主鎖がガラクトースで側鎖がアラビノースであるアラビノガラクタンを好ましく使用することができる。本発明においては、特には、タマリンド、グアーガム、カチオン化グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガムが好ましい。
本発明においては、さらには、2種類以上の増粘多糖類を併用することもできる。
〈反応性官能基を有するポリマー類〉
本発明に適用可能な水溶性高分子としては、反応性官能基を有するポリマー類が挙げられ、例えば、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、若しくはアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、若しくはスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレンアクリル酸樹脂、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート−スチレンスルホン酸カリウム共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体及びそれらの塩が挙げられる。これらの中で、特に好ましい例としては、ポリビニルピロリドン類及びこれを含有する共重合体が挙げられる。
(1−2)第1の金属酸化物粒子
本発明に係る高屈折率層に適用可能な第1の金属酸化物粒子としては、屈折率が2.0以上、3.0以下である金属酸化物粒子が好ましい。更に、具体的には、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、チタン酸鉛、鉛丹、黄鉛、亜鉛黄、酸化クロム、酸化第二鉄、鉄黒、酸化銅、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化イットリウム、酸化ニオブ、酸化ユーロピウム、酸化ランタン、ジルコン、酸化スズなどが挙げられる。また、複数の金属で構成された複合酸化物粒子やコア・シェル状に金属構成が変化するコア・シェル粒子等を用いることもできる。
透明でより屈折率の高い高屈折率層を形成するために、本発明に係る高屈折率層には、チタン、ジルコニウム等の高屈折率を有する金属の酸化物微粒子、すなわち、酸化チタン微粒子又は酸化ジルコニア微粒子を含有させることが好ましい。これらの中でも、高屈折率層を形成するための塗布液の安定性の観点から、酸化チタンがより好ましい。また、酸化チタンの中でも、とくにアナターゼ型よりルチル型(正方晶形)の方が、触媒活性が低いために、高屈折率層や隣接した層の耐候性が高くなり、さらに屈折率が高くなることからより好ましい。
また、本発明に係る高屈折率層に、第1の金属酸化物粒子としてコア・シェル粒子を用いた場合では、シェル層の含ケイ素の水和酸化物と第1の水溶性バインダー樹脂との相互作用により、高屈折率層と隣接層の層間混合が抑制される効果から、酸化チタン粒子が含ケイ素の水和酸化物で被覆されたコア・シェル粒子がさらに好ましい。
本発明に係るコア・シェル粒子のコアに用いられる酸化チタン粒子を含む水溶液は、pHが1.0〜3.0の範囲内であり、かつチタン粒子のゼータ電位が正である水系の酸化チタンゾルの表面を、疎水化して有機溶剤に分散可能な状態にしたものを用いることが好ましい。
本発明に係る第1の金属酸化物粒子の含有量が、高屈折率層の固形分100質量%に対して、15〜80質量%であると、低屈折率層との屈折率差を付与するという観点で好ましい。更に、20〜77質量%であることがより好ましく、30〜75質量%であることがさらに好ましい。なお、当該コア・シェル粒子以外の金属酸化物粒子が、本発明に係る高屈折率層に含有される場合の含有量は、本発明の効果を奏することができる範囲であれば特に限定されるものではない。
本発明においては、高屈折率層に適用する第1の金属酸化物粒子の体積平均粒径は、30nm以下であることが好ましく、1〜30nmの範囲内であることがより好ましく、5〜15nmの範囲内であるのがさらに好ましい。体積平均粒径が1.0〜30nmの範囲内であれば、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。
なお、本発明に係る第1の金属酸化物粒子の体積平均粒径とは、粒子そのものをレーザー回折散乱法、動的光散乱法、又は電子顕微鏡を用いて観察する方法や、屈折率層の断面や表面に現れた粒子像を電子顕微鏡で観察する方法により、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、それぞれd1、d2、(中略)、di、(中略)、dkの粒径を持つ粒子がそれぞれn1、n2、(中略)、ni、(中略)、nk個存在する粒子状の金属酸化物の集団において、粒子1個当りの体積をviとした場合に、体積平均粒径mv={Σ(vi・di)}/{Σ(vi)}で表される体積で重み付けされた平均粒径である。
(1−3)硬化剤
本発明においては、高屈折率層に適用する第1の水溶性バインダー樹脂を硬化させるため、硬化剤を使用することもできる。第1の水溶性バインダー樹脂と共に用いることができる硬化剤としては、当該第1の水溶性バインダー樹脂と硬化反応を起こすものであれば特に制限はない。例えば、第1の水溶性バインダー樹脂として、ポリビニルアルコールを用いる場合では、硬化剤として、ホウ酸及びその塩が好ましい。ホウ酸及びその塩以外にも公知のものが使用でき、一般的には、ポリビニルアルコールと反応し得る基を有する化合物又はポリビニルアルコールが有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、適宜選択して用いられる。硬化剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬化剤(例えば、ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬化剤(例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬化剤(例えば、2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5,−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(例えば、1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミニウム明礬等が挙げられる。
ホウ酸及びその塩とは、硼素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のことをいい、具体的には、オルトホウ酸、二ホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸及び八ホウ酸及びそれらの塩が挙げられる。
(2)低屈折率層
本発明に係る低屈折率層は、第2の水溶性バインダー樹脂及び第2の金属酸化物粒子を含み、更には、硬化剤、表面被覆成分、粒子表面保護剤、バインダー樹脂、界面活性剤、各種添加剤等を含んでも良い。
本発明に係る低屈折率層の屈折率は、好ましくは1.10〜1.60であり、より好ましくは1.30〜1.50である。
(2−1)第2の水溶性バインダー樹脂
本発明に係る低屈折率層に適用する第2の水溶性バインダー樹脂として、ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。更に、前記高屈折率層に存在するポリビニルアルコール(A)のケン化度とは異なるポリビニルアルコール(B)が、本発明に係る低屈折率層に用いられることがより好ましい。なお、ここでの第2の水溶性バインダー樹脂の好ましい重量平均分子量等、ポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール(B)についての説明は、上記高屈折率層の第1の水溶性バインダー樹脂にて説明されており、ここでは説明を省略する。
低屈折率層における第2の水溶性バインダー樹脂の含有量は、低屈折率層の固形分100質量%に対して、20〜99.9質量%であることが好ましく、25〜80質量%であることがより好ましい。
〈その他のバインダー樹脂〉
本発明に係る低屈折率層において適用が可能な、ポリビニルアルコール以外の第2の水溶性バインダー樹脂としては、金属酸化物粒子を含有した低屈折率層が塗膜を形成することができればどのようなものでも制限なく使用可能である。ただし、環境の問題や塗膜の柔軟性を考慮すると、水溶性高分子(特に、ゼラチン、増粘多糖類、反応性官能基を有するポリマー等)が好ましい。これらの水溶性高分子は単独で用いても構わないし、2種類以上を混合して用いても構わない。
低屈折率層において、第2の水溶性バインダー樹脂として好ましく用いられるポリビニルアルコールとともに、併用する他のバインダー樹脂の含有量は、低屈折率層の固形分100質量%に対して、0〜10質量%で用いることもできる。
本発明に係る光学フィルムの低屈折率層において、セルロース類、増粘多糖類及び反応性官能基を有するポリマー類等の水溶性高分子を含有することもできる。これらセルロース類、増粘多糖類及び反応性官能基を有するポリマー類等の水溶性高分子は、上述した高屈折率層で説明した水溶性高分子と同様のものが用いられるため、ここでは説明を省略する。
(2−2)第2の金属酸化物粒子
本発明に係る低屈折率層に適用する第2の金属酸化物粒子としては、シリカ(二酸化ケイ素)を用いることが好ましく、具体的な例として合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ等が挙げられる。これらのうち、酸性のコロイダルシリカゾルを用いることがより好ましく、有機溶媒に分散させたコロイダルシリカゾルを用いることがさらに好ましい。また、屈折率をより低減させるためには、低屈折率層に適用する第2の金属酸化物粒子として、粒子の内部に空孔を有する中空微粒子を用いることができ、特にシリカ(二酸化ケイ素)の中空微粒子が好ましい。
低屈折率層に適用する第2の金属酸化物粒子(好ましくは二酸化ケイ素)は、その平均粒径が3〜100nmであることが好ましい。一次粒子の状態で分散された二酸化ケイ素の一次粒子の平均粒径(塗布前の分散液状態での粒径)は、3〜50nmであることがより好ましく、3〜40nmであることがさらに好ましく、3〜20nmであることが特に好ましく、4〜10nmであることが最も好ましい。また、二次粒子の平均粒径としては、30nm以下であることが、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。
低屈折率層に適用する第2の金属酸化物微粒子の平均粒径は、粒子そのもの又は屈折率層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで、個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
本発明で用いられるコロイダルシリカは、珪酸ナトリウムの酸等による複分解やイオン交換樹脂膜を通過させて得られるシリカゾルを加熱熟成して得られるものであり、例えば、特開昭57−14091号公報、特開昭60−219083号公報、特開昭60−219084号公報、特開昭61−20792号公報、特開昭61−188183号公報、特開昭63−17807号公報、特開平4−93284号公報、特開平5−278324号公報、特開平6−92011号公報、特開平6−183134号公報、特開平6−297830号公報、特開平7−81214号公報、特開平7−101142号公報、特開平7−179029号公報、特開平7−137431号公報、及び国際公開第94/26530号などに記載されているものが挙げられる。
このようなコロイダルシリカは、合成品を用いても良いし、市販品を用いても良い。コロイダルシリカは、その表面がカチオン変性されたものであっても良く、また、Al、Ca、Mg又はBa等で処理されたものであっても良い。
低屈折率層に適用する第2の金属酸化物粒子として、中空粒子を用いることもできる。中空粒子を用いる場合には、平均粒子空孔径が、3〜70nmであるのが好ましく、5〜50nmがより好ましく、5〜45nmがさらに好ましい。なお、中空粒子の平均粒子空孔径とは、中空粒子の内径の平均値である。本発明において、中空粒子の平均粒子空孔径は、上記範囲であれば、十分に低屈折率層の屈折率が低屈折率化される。平均粒子空孔径は、電子顕微鏡観察で、円形、楕円形又は実質的に円形は楕円形として観察できる空孔径を、ランダムに50個以上観察し、各粒子の空孔径を求め、その数平均値を求めることにより得られる。なお、平均粒子空孔径としては、円形、楕円形又は実質的に円形若しくは楕円形として観察できる空孔径の外縁を、2本の平行線で挟んだ距離のうち、最小の距離を意味する。
低屈折率層に適用する第2の金属酸化物粒子は、表面被覆成分により表面コーティングされていても良い。
低屈折率層における第2の金属酸化物粒子の含有量は、低屈折率層の固形分100質量%に対して、0.1〜70質量%であることが好ましく、30〜70質量%であることがより好ましく、45〜65質量%であることがさらに好ましい。
(2−3)硬化剤
本発明に係る低屈折率層において、前記高屈折率層と同様に、硬化剤をさらに含有させることができる。低屈折率層に含まれる第2の水溶性バインダー樹脂と硬化反応を起こすものであれば、特に制限されない。特に、低屈折率層に適用する第2の水溶性バインダー樹脂としてポリビニルアルコールを用いた場合の硬化剤としては、ホウ酸及びその塩、ホウ砂が好ましい。また、ホウ酸及びその塩以外にも公知のものが使用できる。
低屈折率層における硬化剤の含有量は、低屈折率層の固形分100質量%に対して、1〜10質量%であることが好ましく、2〜6質量%であることがより好ましい。
特に、第2の水溶性バインダー樹脂としてポリビニルアルコールを使用する場合の上記硬化剤の総使用量は、ポリビニルアルコール1g当たり1〜600mgが好ましく、ポリビニルアルコール1g当たり100〜600mgがより好ましい。
また、硬化剤の具体例などは、上述した高屈折率層と同様であるため、ここでは説明を省略する。
(3)各屈折率層の添加剤
本発明に係る高屈折率層及び低屈折率層には、必要に応じて各種の添加剤を含有させることができる。また、高屈折率層において、添加剤を含有させる場合には、高屈折率層の固形分100質量%に対して、0.1〜20質量%の範囲内であることが好ましい。当該添加剤の例を以下に記載する。
(3−1)界面活性剤
本発明においては、高屈折率層及び低屈折率層の少なくとも1層が、さらに界面活性剤を含有しても良い。界面活性剤としては、両性イオン系、カチオン系、アニオン系、ノニオン系のいずれの種類も使用することができる。より好ましくは、ベタイン系両性イオン性界面活性剤、4級アンモニウム塩系カチオン性界面活性剤、ジアルキルスルホコハク酸塩系アニオン性界面活性剤、アセチレングリコール系ノニオン性界面活性剤、又はフッ素系カチオン性界面活性剤が好ましい。
本発明に係る界面活性剤の添加量としては、高屈折率層用塗布液又は低屈折率層用塗布液の全質量を100質量%としたとき、0.005〜0.30質量%の範囲であることが好ましく、0.01〜0.10質量%であることがより好ましい。
(3−2)その他の添加剤
本発明に係る高屈折率層又は低屈折率層には、その他の添加剤として、アミノ酸、エマルジョン樹脂、リチウム化合物等を適宜選択して含有することができる。更には、特開昭57−74193号公報、特開昭57−87988号公報、及び特開昭62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、特開昭57−87989号公報、特開昭60−72785号公報、特開昭61−146591号公報、特開平1−95091号公報、及び特開平3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号公報、特開昭59−52689号公報、特開昭62−280069号公報、特開昭61−242871号公報、及び特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、防黴剤、帯電防止剤、マット剤、熱安定剤、酸化防止剤、難燃剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、滑剤、赤外線吸収剤、色素、顔料等の公知の各種添加剤などが挙げられる。
(4)赤外線反射層ユニットの形成方法
本発明に係る赤外線反射層ユニットの形成方法は、特に制限されないが、基材(透明樹脂フィルム)上に、第1の水溶性バインダー樹脂及び第1の金属酸化物粒子を含む高屈折率層用塗布液と、第2の水溶性バインダー樹脂及び第2の金属酸化物粒子を含む低屈折率層用塗布液とを塗布する工程を含む製造方法が好ましい。
塗布方法は、湿式塗布方法であれば特に制限されず、例えば、ローラーコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、スライド型カーテン塗布法、又は米国特許第2,761,419号明細書、米国特許第2,761,791号明細書などに記載のスライドホッパー塗布法、エクストルージョンコート法などが挙げられる。また、複数の層を重層塗布する方式としては、逐次重層塗布でも良いし、同時重層塗布でも良い。
以下、本発明の好ましい製造方法(塗布方法)であるスライドホッパー塗布法による同時重層塗布について詳細に説明する。
(4−1)溶媒
高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液を調製するための溶媒は、特に制限されないが、水、有機溶媒又はその混合溶媒が好ましい。
有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル類、ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノンなどのケトン類などが挙げられる。これら有機溶媒は、単独で用いても良いし、2種以上混合して用いても良い。
環境面、操作の簡便性などから、塗布液の溶媒としては、特に、水、又は水とメタノール、エタノール、若しくは酢酸エチルとの混合溶媒が好ましい。
(4−2)塗布液の濃度
高屈折率層用塗布液中の第1の水溶性バインダー樹脂の濃度は、1〜10質量%の範囲内であることが好ましい。また、高屈折率層用塗布液中の第1の金属酸化物粒子の濃度は、1〜50質量%の範囲内であることが好ましい。
低屈折率層用塗布液中の第2の水溶性バインダー樹脂の濃度は、1〜10質量%の範囲内であることが好ましい。また、低屈折率層用塗布液中の第2の金属酸化物粒子の濃度は、1〜50質量%の範囲内であることが好ましい。
本発明においては、これら各材料の濃度を変更することで、光学フィルムの熱収縮率を変化させることができ、光学フィルムの熱収縮率を透明樹脂フィルムの熱収縮率で除した値を1〜3の範囲内に調整することができる。
(4−3)塗布液の調製方法
高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液の調製方法は、特に制限されず、例えば、水溶性バインダー樹脂、金属酸化物粒子、及び必要に応じて添加されるその他の添加剤を添加し、撹拌混合する方法が挙げられる。この際、水溶性バインダー樹脂、金属酸化物粒子、及び必要に応じて用いられるその他の添加剤の添加順も特に制限されず、撹拌しながら各成分を順次添加し混合しても良いし、撹拌しながら一度に添加し混合しても良い。必要に応じて、さらに溶媒を用いて、適当な粘度に調製される。
本発明においては、コア・シェル粒子を添加、分散して調製した水系の高屈折率層塗布液を用いて、高屈折率層を形成することが好ましい。このとき、前記コア・シェル粒子としては、pHが5.0〜7.5の範囲内で、かつ粒子のゼータ電位が負であるゾルとして、高屈折率層塗布液に添加して調製することが好ましい。
(4−4)塗布液の粘度
スライドホッパー塗布法により同時重層塗布を行う際の高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液の40〜45℃における粘度は、5〜300mPa・sの範囲内が好ましく、10〜250mPa・sの範囲内がより好ましい。また、スライド型カーテン塗布法により同時重層塗布を行う際の高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液の40〜45℃における粘度は、5〜1200mPa・sの範囲内が好ましく、25〜500mPa・s内の範囲内がより好ましい。
また、高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液の15℃における粘度は、10mPa・s以上が好ましく、15〜30000mPa・sの範囲内がより好ましく、20〜20000mPa・sの範囲内がさらに好ましく、20〜18000mPa・sの範囲内が特に好ましい。
(4−5)塗布及び乾燥方法
塗布及び乾燥方法は、特に制限されないが、高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液を30℃以上に加温して、透明樹脂フィルム上に高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液の同時重層塗布を行った後、形成した塗膜の温度を好ましくは1〜15℃に一旦冷却し(セット)、その後10℃以上で乾燥することが好ましい。より好ましい乾燥条件は、湿球温度5〜50℃、膜面温度10〜50℃の範囲の条件である。また、塗布直後の冷却方式としては、形成された塗膜の均一性向上の観点から、水平セット方式で行うことが好ましい。
高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液の塗布厚は、上記で示したような好ましい乾燥時の厚さとなるように塗布すれば良い。
ここで、前記セットとは、冷風等を塗膜に当てて温度を下げるなどの手段により、塗膜組成物の粘度を高め各層間及び各層内の物質の流動性を低下させる工程のことを意味する。冷風を塗布膜に表面から当てて、塗布膜の表面に指を押し付けたときに指に何もつかなくなった状態を、セット完了の状態と定義する。
塗布した後、冷風を当ててからセットが完了するまでの時間(セット時間)は、5分以内であることが好ましく、2分以内であることが好ましい。また、下限の時間は特に制限されないが、45秒以上の時間をとることが好ましい。セット時間が短すぎると、層中の成分の混合が不十分となる場合がある。一方、セット時間が長すぎると、金属酸化物粒子の層間拡散が進み、高屈折率層と低屈折率層との屈折率差が不十分となる場合がある。なお、高屈折率層と低屈折率層との間の光学フィルムユニットの高弾性化が素早く起こるのであれば、セットさせる工程は設けなくても良い。
セット時間の調整は、水溶性バインダー樹脂の濃度や金属酸化物粒子の濃度を調整し、ゼラチン、ペクチン、寒天、カラギーナン、ゲランガム等の各種公知のゲル化剤など、他の成分を添加することにより調整することができる。
冷風の温度は、0〜25℃の範囲内であることが好ましく、5〜10℃の範囲内であることがより好ましい。また、塗膜が冷風に晒される時間は、塗膜の搬送速度にもよるが、10〜120秒の範囲内であることが好ましい。
〔3〕ハードコート層
本発明の赤外線遮蔽フィルムは、耐擦過性を高めるための表面保護層として、ハードコート層を積層する。
本発明に係るハードコート層は、本発明の赤外線遮蔽フィルムの両面に積層しても良く、片面に積層しても良い。赤外線遮蔽フィルムによっては、接着層と密着性が悪かったり、赤外線反射層を成膜すると白濁が生じたりすることがあり、ハードコート層を形成することで、これらの不具合を解決できる。又はドコート層を形成することにより、基材の伸びをコントロールすることも可能である。
本発明に係るハードコート層を構成するハードコート材料としては、ポリシロキサンに代表される無機系材料、紫外線硬化型樹脂等を使用することができる。
(3.1)ポリシロキサン系ハードコート材料
本発明に係るハードコート層の形成に適用可能なポリシロキサン系ハードコート材料は、下記一般式(I)で表される化合物が、出発原料である。
一般式(I)
(R)Si(OR
上記一般式(I)において、R及びRは、各々炭素数1〜10のアルキル基を表し、m及びnは、m+n=4の関係を満たす整数である。
一般式(I)で表される具体的な化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ポロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テロラペンタエトキシシラン、テトラペンタ−iso−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−ブトキシシラン、テトラペンタ−sec−ブトキシシラン、テトラペンタ−tert−ブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、ジメチルブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等が挙げられる。また、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−β−(N−アミノベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノシラン、メチルメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライドを挙げることができる。これらのメトキシ基、エトキシ基などの加水分解性基がヒドロキシ基に置換した状態のものが、一般的にポリオルガノシロキサン系ハードコート材料といわれている。
前記ポリオルガノシロキサン系ハードコート材料の具体的には、サーコートシリーズ((株)動研製)、SR2441(東レ・ダウコーニング社製)、Perma‐New 6000(California Hardcoating Company製)などを利用することができる。
また、本発明に係るハードコート層で使用される硬化樹脂としては、熱硬化型樹脂や活性エネルギー線硬化型樹脂が挙げられるが、成形が容易なことから、活性エネルギー線硬化型樹脂が好ましく、その中でも鉛筆硬度が少なくとも2Hのものがより好ましい。このような硬化型樹脂は、単独でも又は2種以上組み合わせても用いることができる。
ハードコート材料として、上記のように、活性エネルギー線硬化樹脂を使用することが好ましい。活性エネルギー線樹脂とは、紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂をいう。活性エネルギー線硬化樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性線を照射することによって硬化させて活性エネルギー線硬化樹脂層が形成される。活性エネルギー線硬化樹脂としては、紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線照射によって硬化する樹脂が好ましい。
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、又は紫外線硬化型エポキシ樹脂等が好ましく用いられる。中でも紫外線硬化型アクリレート系樹脂が好ましい。
紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、又はプレポリマーを反応させて得られた生成物にさらに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等のヒドロキシ基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる。例えば、特開昭59−151110号公報に記載の、ユニディック17−806(大日本インキ(株)製)100部とコロネートL(日本ポリウレタン(株)製)1部との混合物等が好ましく用いられる。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂は、一般にポリエステル末端の水酸基やカルボキシル基に2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、アクリル酸のようなモノマーを反応させることによって容易に得ることができる(例えば、特開昭59−151112号公報)。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂は、エポキシ樹脂の末端の水酸基にアクリル酸、アクリル酸クロライド、グリシジルアクリレートのようなモノマーを反応させて得られる。
紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂としては、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
本発明では、本発明に係るハードコート層が赤外線吸収剤を含有し、赤外線吸収層としての機能も兼ね備えた層であることが好ましい。本発明に係るハードコート層に適用可能な赤外線吸収剤としては、無機赤外線吸収剤が好ましく、可視光線透過率、赤外線吸収性、樹脂中への分散適性等の観点から、酸化亜鉛系赤外線吸収剤をハードコート層中に混合することが有効である。
例えば、無機系赤外線吸収剤としては、酸化亜鉛、アンチモンドープ酸化亜鉛(AZO)、インジウムドープ酸化亜鉛(IZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、インジウムドープ酸化スズ(ITO)、ホウ素化ランタン、ニッケル錯体系化合物を用いることができるが、その中でも、アンチモンドープ酸化スズ、インジウムドープ酸化スズ又はアンチモン酸亜鉛が好ましい。
具体的な商品名として、酸化亜鉛系として、セルナックスシリーズ(日産化学工業社製)、パゼットシリーズ(ハクスイテック社製)、酸化錫系として、ATO分散液、ITO分散液(三菱マテリアル製)、KHシリーズ(住友金属鉱山社製)等が挙げられる。有機系として、イモニウム系、フタロシアニン系、アミニウム系化合物を利用することができる。具体的な商品名として、NIR−IM1、NIR−AM1(以上、ナガセケミテックス社製)、Lumogenシリーズ(BASF・ジャパン社製)等が挙げられる。
ハードコート液には界面活性剤を添加して、レべリング性、撥水性、滑り性を付与することができる。界面活性剤の種類として、特に限定はなく、アクリル系、シリコン系、フッ素系を用いることができる。特にレべリング性、撥水性、滑り性という観点で、フッ素系を用いることが好適である。フッ素系界面活性剤の種類として、Fシリーズ(DIC社製のメガファックス F−430、F−477、F−552〜F−559、F−561、F−562、RS−76−E等)、サーフロンシリーズ(AGCセイミケミカル社製)、POLYFOXシリーズ(OMNOVA SOLUTIONS社製)、ZXシリーズ(T&K TOKA社製)、オプツールシリーズ(ダイキン社製)を使用することができる。
また、本発明に係るハードコート層には、無機微粒子を含有することが好ましい。好ましい無機微粒子としては、チタン、シリカ、ジルコニウム、アルミニウム、マグネシウム、アンチモン、亜鉛又はスズなどの金属を含む無機化合物から構成される微粒子が挙げられる。この無機微粒子の平均粒径は、可視光線の透過性を確保することから、1000nm以下が好ましく、10〜500nmの範囲にあるものがより好ましい。また、無機微粒子は、ハードコート層を形成する硬化樹脂との結合カが高い方がハードコート層からの脱落を抑制できる観点から、単官能又は多官能のアクリレートなどの光重合反応性を有する感光性基を表面に導入しているものが好ましい。
本発明においては、本発明に係る特定機能層の総層厚が10μm以上であることを特徴とするが、ハードコート層の厚さとしては0.1〜50μmの範囲内が好ましく、1〜20μmの範囲内がより好ましい。0.1μm以上であればハードコート性が向上する傾向にあり、逆に50μm以下であれば赤外線遮蔽フィルムの透明性が向上する傾向にある。
ハードコート層の形成方法としては、ワイヤーバーによるコーティング、スピンコーティング、ディップコーティングによる塗布で形成することができ、蒸着などの乾式製膜法でも形成することができる。また、ダイコーター、グラビアコーター、コンマコーターなどの連続塗布装置を用いて塗布・製膜することは可能である。ポリシロキサン系ハードコート材料の場合、塗布後、溶剤を乾燥させた後、該ハードコートの硬化・架橋を促進するため、50〜150℃の温度範囲内で30分〜数日間の熱処理を施す。塗布基材の耐熱性や積層ロール状にしたときの基材の安定性を考慮して、40〜80℃の範囲内で2日間以上処理することが好ましい。活性エネルギー線硬化樹脂の場合、活性エネルギー線の照射波長、照度、光量によってその反応性が変わるため、使用する樹脂によって最適な条件を選択する必要がある。
〔4〕中間層
本発明においては、特定機能層の総層厚が10〜26μmの範囲内であることを特徴とするが、本発明に係る中間層は、上記説明したハードコート層と、赤外線反射層ユニットの間に形成され、ハードコート層と中間層との総層厚が、10〜26μmの範囲内である構成であり、より好ましくは、中間層の層厚が4.0〜20μmの範囲内となる構成であり、より好ましくは、6.0〜20μmの範囲内である。
本発明の赤外線遮蔽フィルムにおいて、ハードコート層と、赤外線反射層ユニットの間に設ける中間層の機能としては、赤外線反射層ユニットとハードコート層との密着性を高め、ハードコート層と中間層との総層厚を厚くすることができることである。中間層は樹脂成分で構成されていることが好ましく、例えば、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられるが、添加剤との相溶性に優れ、更にはガラス転移温度(Tg)が−30〜60℃の範囲内にある樹脂を含有することが好ましい。
以下に、中間層に適用可能な代表的な樹脂例を、以下に示す。
〈ポリビニルアセタール樹脂〉
本発明に係る中間層に適用可能なポリビニルアセタール系樹脂は、ポリビニルアルコールを少なくとも1種の適当なアルデヒドとの反応によりアセタール化した樹脂であり、具体的には、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラールや部分的にホルマール化した部分を含むポリビニルブチラール、ポリビニルブチラールアセタール等の共重合アセタール等が挙げられる。
これらのポリビニルアセタール系樹脂は、例えば、電気化学工業社製のデンカブチラール#2000L、#3000−1、#3000−K、#4000−1、#5000−A、#6000−C、デンカホルマール#20、#100、#200、積水化学工業社製のエスレックBシリーズBL−1、BL−2、BL−S、BM−1、BM−2、BH−1、BX−1、BX−10、BL−1、BL−SH、BX−L、エスレックKシリーズKS−10、エスレックKWシリーズKW−1、KW−3、KW−10、エスレックKXシリーズKX−1、KX−5等として入手が可能である。また、これらのポリビニルアセタール系樹脂は、その他の繰り返し単位を含有していても良い。
これらのポリビニルアセタール系樹脂のアセタール化度は、5〜65mol%の範囲内が好ましく、更に好ましくは水への溶解性と密着性の効果の観点から15〜50mol%の範囲内である。アセタール化度が5mol%以上であれば、ハードコート層との密着性の効果に優れ、65mol%以下であれば、赤外線反射層ユニットとの密着性の効果を発現させることができる。
〈アクリル樹脂〉
本発明に係る中間層に適用可能なアクリル系樹脂としては、アクリル系モノマー、例えばメタクリル酸、アクリル酸、これらのエステル又は塩、アクリルアミド、メタクリルアミドをポリマー構成成分とする樹脂が挙げられる。例えば、アクリル酸;メタクリル酸;アクリル酸エステル、例えば、アルキルアクリレート(例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルエチルアクリレート等)、ヒドロキシ含有アルキルアクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等);メタクリル酸エステル、例えばアルキルメタクリレート(例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルエチルメタクリレート等)、ヒドロキシ含有アルキルメタクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等);アクリルアミド;置換アクリルアミド、例えば、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド等;メタクリルアミド;置換メタクリルアミド、例えばN−メチルメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールメタクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド等;アミノ基置換アルキルアクリレート、例えば、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート;アミノ基置換アルキルメタクリレート、例えば、N,N−ジエチルアミメタクリレート;エポキシ基含有アクリレート、例えばグリシジルアクリレート;エポキシ基含有メタクリレート、例えばグリシジルメタクリレート;アクリル酸の塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩;メタクリル酸の塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。上述のモノマーは1種もしくは2種以上を併用することができる。メタクリル酸メチル−アクリル酸エチル−アクリル酸アンモニウム−アクリルアミド共重合体、メタクリルアミド−アクリル酸ブチル−アクリル酸ソーダ−メタクリル酸メチル−N−メチロールアクリルアミド系共重合体等が好ましく挙げられる。アクリル系樹脂は、従来公知の方法に従って、アクリルエマルジョン、アクリル水溶液、アクリルディスパージョン等として製造でき、また入手できる。
上記のアクリル樹脂は、1種又は2種以上の混合物として用いることができる。また、架橋剤としてイソシアネートを用いることができ、有機ジイソシアネート化合物としては、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等や脂環式ジイソシアネート類等の環状ジイソシアネート類、トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類等が好適である。水系で用いる場合、ブロックイソシアネートを用いることもでき、例えば、Baxenden社の品番214を用いることができる。
〈ウレタン樹脂〉
ウレタン樹脂とは、主鎖にウレタン結合を有するポリマーの総称であり、通常ポリイソシアネートとポリオールの反応によって得られる。ポリイソシアネートとしては、TDI(トリレンジイソシアネート)、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)、NDI(ナフチレンジイソシアネート)、TODI(トルイジンジイソシアネート)、HDI(ヘキサメチレンジシアネート)、IPDI(イソホロンジイソシアネート)等があり、ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ヘキサントリオール等がある。また、本発明においては、イソシアネートとしては、ポリイソシアネートとポリオールの反応によって得られたポリウレタンポリマーに鎖延長処理をして分子量を増大させたポリマーも使用することができる。なお、本発明において記載されているポリウレタン樹脂は、1種又は2種以上のポリウレタン樹脂であってもよく、ポリビニルアセタール樹脂やアクリル樹脂との混合物であってもよい。
また、Tgが−30〜60℃の範囲内にあるものが好ましく、−20〜40℃の範囲内にあるものがより好ましい。中間層に含まれるポリウレタン樹脂のガラス転移温度Tgが60℃以下であれば、アクリル系の紫外線硬化樹脂が、ハードコート層との相互作用を発現し、良好な密着性が得られる。中間層に含まれるポリウレタン樹脂のガラス転移温度Tgが−30℃以上であれば、中間層に使用するポリウレタン樹脂の安定性の観点で好ましい。
本発明に適用可能なポリウレタン樹脂は、市販品としても入手が可能であり、例えば、スーパーフレックス150HS、スーパーフレックス470等の市販品(以上、第一工業製薬(株)製)、ハイドランAP−20、ハイドランWLS−210、ハイドランHW−161等の市販品(以上、DIC(株)製)、8UAシリーズ(大成ファインケミカル)等が挙げられる。
〈紫外線吸収剤〉
本発明に係る中間層には、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。
本発明に適用する紫外線吸収剤は、400nm以下の紫外線を吸収することで、耐久性を向上させることを目的としており、特に波長370nmにおける光透過率が10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは2%以下である。
本発明に用いられる紫外線吸収剤は特に限定されないが、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。
具体的な化合物としては、例えば、5−クロロ−2−(3,5−ジ−sec−ブチル−2−ヒドロキシルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、(2−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,4−ベンジルオキシベンゾフェノン等が挙げられる。また、チヌビン109、チヌビン171、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328等のチヌビン類があり、これらはいずれもBASFジャパン株式会社製の市販品であり、好ましく使用することができる。
本発明で好ましく用いられる紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤であり、特に好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤である。このほか、1,3,5トリアジン環を有する化合物等の円盤状化合物も紫外線吸収剤として好ましく用いられる。また、紫外線吸収剤としては高分子紫外線吸収剤も好ましく用いることができ、特開平6−148430号公報に記載のポリマータイプの紫外線吸収剤も好ましく用いられる。
紫外線吸収剤の添加方法は、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコールやメチレンクロライド、酢酸メチル、アセトン、ジオキソラン等の有機溶媒あるいはこれらの混合溶媒に紫外線吸収剤を溶解してから中間層形成用塗布液中に添加する。
中間層おける紫外線吸収剤の含有量について特に制限はないが、中間層全質量に対し、好ましくは0.5〜5.0質量%の範囲内である。
〔4〕ハードコート層、中間層及び赤外線反射層ユニットを構成する低屈折率層又は高屈折率層の屈折率
本発明の赤外線遮蔽フィルムにおいては、それぞれ波長560nmで測定したときの、ハードコート層の屈折率をn、中間層の屈折率をn、赤外線反射層ユニットを構成する低屈折率層又は高屈折率層の屈折率をnとしたとき、それぞれの屈折率n、n及びnが、下式(1)、(2)及び(3)から選ばれる少なくとも一つの条件を満たすことが好ましい態様である。
式(1):n<n<n
式(2):n>n>n
式(3):n=n=n
ここで、ハードコート層、中間層及び赤外線反射層ユニットを構成する低屈折率層又は高屈折率層は、互いに隣接している関係にある。ここで、ハードコート層と中間層、あるいは中間層と低屈折率層又は高屈折率層との間には、屈折率の関係に影響しない範囲での薄い層が存在してもよいが、好ましくは直接、ハードコート層、中間層及び赤外線反射層ユニットを構成する低屈折率層又は高屈折率層が相互に接触している構成である。これらの屈折率の関係を、上記式の関係を満たすことにより、干渉縞の発生を抑制することができる。
更に、上記式(1)又は(2)で規定する条件を満たすことが好ましい。
上記式(1)において、nとしては、主には赤外線反射層ユニットを構成する高屈折率層の屈折率であり、式(2)においては、nとしては、主には赤外線反射層ユニットを構成する低屈折率層の屈折率である場合が多い。
本発明に係る各層の屈折率は、分光光度計U−4100(島津製作所製)を用い、反射面の法線に対して、入射光の入射角を5°の正反射率を測定した。次いで、シグマ光機社製の薄膜計算ソフト「エッセンシャルマクロード(Essential Macleo)」を用い、屈折率を測定して求めることができる。
〔5〕その他の特定機能層
本発明の赤外線遮蔽フィルムには、本発明に係る赤外反射層ユニット、中間層、ハードコート層のほかに、本発明の目的効果を損なわない範囲で、例えば、赤外線吸収層、断熱層等を設けてもよい。
また、本発明の赤外線遮蔽フィルムを建築部材、窓ガラス等に装着させる際には、赤外線遮蔽フィルムのいずれか一方の面に、接着層を設けてもよい。
本発明に適用可能な粘着層の構成としては、特に制限されず、例えば、ドライラミネート剤、ウエットラミネート剤、粘着剤、ヒートシール剤、ホットメルト剤等のいずれもが用いられる。粘着剤としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ニトリルゴム等が用いられる。
ラミネート法は、特に制限されず、例えば、ロール式で連続的に行うのが経済性及び生産性の点から好ましい。
粘着層の厚さは、粘着効果、乾燥速度等の観点から、通常1〜100μm程度の範囲であることが好ましい。
《赤外線遮蔽フィルムの適用分野》
本発明の赤外線遮蔽フィルムを屋外と室内との境界部に設置し、赤外線遮蔽フィルムの赤外線反射層ユニットと、総層厚が10μm以上の特定機能層を積層した面側を、室内側に配置することを特徴とする。
図3は、本発明の赤外線遮蔽フィルムをガラス基材に具備した赤外線遮蔽ユニットの一例を示す概略断面図である。
具体的には、図3に示す構成の赤外線遮蔽フィルムFにおいて、基材1の赤外線反射層ユニット4A等を有している面とは反対側の面に、更に赤外線反射層ユニット4Bを形成した後、その表面に透明の粘着層8を配置し、この粘着層を介して、透明基材9、例えば、ガラス基材に貼付して、赤外線遮蔽ユニットを構成することができる。すなわち、屋外と室内との境界部、例えば、窓ガラスの室内側の面と、赤外線遮蔽フィルムFの粘着層を設けた面とを貼合して、赤外線遮蔽フィルムを設置することができる。
また、その他の適用方法としては、図4に示すように、合わせガラスを構成するフィルムとして用いることができる。
図4においては、基材1の一方の面上に、赤外線反射層ユニット4A、中間層5及びハードコート層6を設け、中間層5及びハードコート層6の総層厚hdが10μm以上で構成されており、基材1の他方の面上には、赤外線反射層ユニット4B、中間層5B及びハードコート層6Bが構成されており、赤外線遮蔽フィルムFの両面に、接着層8A及び8Bを介して、ガラス基材9A及び9Bで貼合して、合わせガラスGを作製することができる。
この合わせガラスGを設置する際には、赤外線反射層ユニット4等を有するガラス基材9A面側が室内側となるように配置し、特に、室内照明が三波長型昼光色蛍光ランプである場合に、特に、干渉縞(虹彩ムラ)を効果的に低減することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」又は「部」の表示を用いるが、特に断りがない限り、「質量%」又は「質量部」を表す。
《赤外線遮蔽フィルムの作製》
〔赤外線遮蔽フィルム1の作製:本発明〕
(低屈折率層用塗布液L1の調製)
以下に記載の各構成材料を、45℃で順次に添加、混合した。
コロイダルシリカ(10質量%、日産化学社製;スノーテックスOXS) 430部
ほう酸水溶液(3質量%) 150部
水 85部
ポリビニルアルコール(4質量%、JP−45、日本酢ビ・ポバール製、重合度4500、鹸化度88mol%) 300部
界面活性剤(5質量%、ソフタゾリンLSB−R、川研ファインケミカル社製) 3部
最後に、純水で1000部に仕上げ、低屈折率層用塗布液L1を調製した。
(高屈折率層用塗布液H1の調製)
〈酸化チタンゾル水系分散液の調製〉
二酸化チタン水和物を水に懸濁させた水性懸濁液(TiO濃度100g/L)の10Lに、水酸化ナトリウム水溶液(濃度10モル/L)の30Lを撹拌下で添加し、90℃に昇温し、5時間熟成した後、塩酸で中和、濾過、水洗した。なお、上記二酸化チタン水和物としては、公知の方法に従い硫酸チタン水溶液を熱加水分解して得られたものを用いた。
塩基処理した上記チタン化合物をTiO濃度20g/Lになるよう純水中に懸濁させ、撹拌下、クエン酸をTiO量に対し0.4モル%加えて昇温した。液温が95℃になったところで、濃塩酸を塩酸濃度として30g/Lになるように加え、液温を維持しつつ3時間撹拌した。
得られた酸化チタンゾル水系分散液のpH及びゼータ電位を測定したところ、25℃におけるpHは1.4、ゼータ電位は+40mVであった。さらに、マルバーン社製ゼータサイザーナノにより粒径測定を行ったところ、体積平均粒径は35nm、単分散度は16%であった。
次いで、体積平均粒径35nmのルチル型酸化チタン粒子を含む20.0質量%酸化チタンゾル水系分散液1kgに純水1kgを添加して、10.0質量%酸化チタンゾル水系分散液を調製した。
〈ケイ酸水溶液の調製〉
SiO濃度が2.0質量%のケイ酸水溶液を調製した。
〈シリカ変性酸化チタン粒子の調製〉
上記の10.0質量%酸化チタンゾル水系分散液の0.5kgに、純水2kgを加えた後、90℃に加熱した。その後、2.0質量%のケイ酸水溶液の1.3kgを徐々に添加し、次いで、得られた分散液をオートクレーブ中、175℃で18時間の加熱処理を行い、さらに濃縮して、ルチル型構造を有する酸化チタンで、被覆層がSiOである、20質量%のシリカ変性酸化チタン粒子のゾル水分散液を得た。
〈高屈折率層用塗布液の調製〉
以下に記載の各構成材料を、45℃で順次に添加、混合した。
シリカ変性酸化チタン粒子のゾル水分散液(20.0質量%) 320部
クエン酸水溶液(1.92質量%) 120部
ポリビニルアルコール(10質量%、PVA103、重合度300、鹸化度99mol%、(株)クラレ製) 20部
ほう酸水溶液(3質量%) 100部
ポリビニルアルコール(4質量%、(株)クラレ製、PVA124、重合度2400、鹸化度88mol%) 350部
界面活性剤(5質量%、ソフタゾリンLSB−R、川研ファインケミカル社製) 1部
純水で1000部に仕上げ、高屈折率層用塗布液H1を調製した。
(中間層塗布液1の調製)
EMB498(三菱レイヨン社製、高酸価アクリル樹脂の高分子量タイプ、Tg=60℃)を、エタノールで濃度が20質量%となるように溶解して、中間層塗布液1を調製した。
(ハードコート層塗布液1の調製)
赤外線吸収剤(アンチモンドープト酸化スズ(略称:ATO)のメチルイソブチルケトン分散ゾル、ANP社製)に、樹脂バインダーとしてペンタエリスリトールトリアクリレート(ダイセル・サイテック社製)、溶媒としてメチルエチルケトンを添加し、更にフッ素系界面活性剤として、DIC社製のメガファックスF−552、フッ素系界面活性剤を0.1質量%添加し、全固形分が30質量部、ATO濃度が固形分に対して50質量%になるようにして、ハードコート層塗布液1を調製した。
(赤外線遮蔽フィルムの作製)
〈赤外線反射層ユニットの形成〉
9層同時重層塗布が可能なスライドホッパー塗布装置を用い、上記で調製した低屈折率層用塗布液L1及び高屈折率層用塗布液H1を45℃に保温しながら、基材として45℃に加温した厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製 A4300:両面易接着層、長さ200m×幅210mm、屈折率:1.58)上に、最下層と最上層は低屈折率層とし、それ以外はそれぞれ交互に、乾燥時の層厚が、低屈折率層が各層150nm、高屈折率層が各層130nmになるように計9層の同時重層塗布を行った。なお、層間の混合領域(混合層)の確認及び層厚の測定(確認)は、積層膜(赤外線遮蔽フィルム試料)を切断し、切断面をXPS表面分析装置で高屈折率材料(TiO)と低屈折率材料(SiO)の存在量を測定することで、上記した各層の層厚が確保されていることが確認できた。
塗布直後、5℃の冷風を吹き付けて、塗膜をセットした。このとき、表面を指で触れても指に何もつかなくなるまでの時間(セット時間)は5分であった。
セット完了後、80℃の温風を吹き付けて乾燥させて、9層からなる赤外線反射層ユニット1Aを形成した。この積層構成を赤外線反射層ユニットAと称す。
次いで、ポリエチレンテレフタレートフィルムの赤外線反射層ユニット1Aを形成した面とは反対側の面に、上記と同様にして、9層から構成される赤外線反射層ユニット1Bを形成した。
上記形成した高屈折率層の屈折率は、1.95であり、低屈折率層の屈折率は1.45であった。
(中間層の形成)
次に、赤外線反射層ユニット1A上に、中間層塗布液1を用い、乾燥層厚が6.0μmになるように、ワイヤーバーにより塗布及び乾燥を行い、中間層1を形成した。中間層1の屈折率は、1.49であった。
(ハードコート層1の形成)
上記形成した中間層1上に、上記調製したハードコート層塗布液1を、ワイヤーバーを用いて、乾燥層厚が4.0μmとなる条件で塗布した後、乾燥区間温度90℃で乾燥した後、紫外線ランプを用い照射部の照度が100mW/cm、照射量が0.5J/cmとなる条件で硬化させ、ハードコート層1を形成し、赤外線遮蔽フィルム1を作製した。ハードコート層1の屈折率は、1.59であった。
〔赤外線遮蔽フィルム2の作製:本発明〕
上記赤外線遮蔽フィルム1の作製において、中間層の乾燥層厚を4.0μmに変更し、更にハードコート層塗布液1に代えて、下記ハードコート層塗布液2を用い、乾燥層厚が6.0μmのハードコート層2を形成した以外は同様にして、赤外線遮蔽フィルム2を作製した。なお、ハードコート層塗布液2により形成したハードコート層2の屈折率は、1.58であった。
(ハードコート層塗布液2の調製)
赤外線吸収剤(商品名:セルナックスCX−Z410K、アンチモンドープト酸化亜鉛(略称:AZO)、日産化学社製)に、樹脂バインダーとしてペンタエリスリトールトリアクリレート(ダイセル・サイテック社製)、溶媒としてメチルエチルケトンを添加し、更に、フッ素系界面活性剤として、フタージェント650A(商品名、ネオス社製)を0.08質量%添加し、全固形分が30質量部、AZO濃度が固形分に対して50質量%になるように調製して、ハードコート層塗布液2を調製した。
〔赤外線遮蔽フィルム3の作製:本発明〕
上記赤外線遮蔽フィルム2の作製において、中間層の乾燥層厚を10.0μmに変更した以外は同様にして、赤外線遮蔽フィルム3を作製した。
〔赤外線遮蔽フィルム4の作製:本発明〕
前記赤外線遮蔽フィルム1の作製において、中間層塗布液1に代えて、下記中間層塗布液2を用いて中間層2を形成した以外は同様にして、赤外線遮蔽フィルム4を作製した。なお、中間層塗布液2により形成した中間層2の屈折率は、1.51であった。
(中間層塗布液2の調製)
ポリエスター TP270(日本合成化学製、ポリエステル樹脂、Tg=40℃)を、エタノールで濃度が20質量%となるように溶解して、中間層塗布液2を調製した。
〔赤外線遮蔽フィルム5の作製:本発明〕
前記赤外線遮蔽フィルム2の作製において、中間層塗布液1に代えて、上記中間層塗布液2を用いて中間層2を形成した以外は同様にして、赤外線遮蔽フィルム5を作製した。
〔赤外線遮蔽フィルム6の作製:本発明〕
上記赤外線遮蔽フィルム5の作製において、中間層の乾燥層厚を10.0μmに変更した以外は同様にして、赤外線遮蔽フィルム6を作製した。
〔赤外線遮蔽フィルム7の作製:本発明〕
前記赤外線遮蔽フィルム1の作製において、中間層塗布液1に代えて、下記中間層塗布液3を用いて中間層3を形成した以外は同様にして、赤外線遮蔽フィルム7を作製した。なお、中間層塗布液3により形成した中間層3の屈折率は、1.50であった。
(中間層塗布液3の調製)
BR605(三菱レイヨン社製、高酸価アクリル樹脂、Tg=60℃)を、エタノールで濃度が20質量%となるように溶解して、中間層塗布液3を調製した。
〔赤外線遮蔽フィルム8の作製:本発明〕
前記赤外線遮蔽フィルム1の作製において、中間層塗布液1に代えて、下記中間層塗布液4を用いて中間層4を形成した以外は同様にして、赤外線遮蔽フィルム8を作製した。なお、中間層塗布液4により形成した中間層4の屈折率は、1.51であった。
(中間層塗布液4の調製)
ベスレジンS−140(高松油脂社製、ポリエステル樹脂、Tg=77℃)を、エタノールで濃度が20質量%となるように溶解して、中間層塗布液4を調製した。
〔赤外線遮蔽フィルム9の作製:本発明〕
前記赤外線遮蔽フィルム1の作製において、中間層塗布液1に代えて、下記中間層塗布液5を用いて中間層5を形成した以外は同様にして、赤外線遮蔽フィルム9を作製した。なお、中間層塗布液5により形成した中間層5の屈折率は、1.56であった。
(中間層塗布液5の調製)
アラコート AP2500E(荒川化学社製、ポリエステル系樹脂、Tg=35℃)を、エタノールで濃度が20質量%となるように溶解して、中間層塗布液5を調製した。
〔赤外線遮蔽フィルム10の作製:本発明〕
前記赤外線遮蔽フィルム1の作製において、中間層塗布液1に代えて、下記中間層塗布液6を用い、ハードコート層を形成するときと同様の照度及び光量で紫外線を照射し、乾燥層厚が6μmの中間層6を形成した以外は同様にして、赤外線遮蔽フィルム10を作製した。なお、中間層塗布液6により形成した中間層6の屈折率は、1.52であった。
(中間層塗布液6の調製)
サイクロマーM−100(ダイセル社製、エポキシ樹脂、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、Tg=89℃)を、エタノールで濃度が20質量%となるように溶解し、これに紫外線吸収剤として、イルガキュア250(BASFジャパン社製)を10質量部添加して、中間層塗布液6を調製した。
〔赤外線遮蔽フィルム11の作製:本発明〕
前記赤外線遮蔽フィルム1の作製において、中間層塗布液1に、更に紫外線吸収剤(チヌビン1130 BASFジャパン社製、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物)を、樹脂固形分比で0.5質量%添加して調製した中間層塗布液7を用いて中間層7を形成した以外は同様にして、赤外線遮蔽フィルム11を作製した。なお、中間層塗布液7により形成した中間層7の屈折率は、1.49であった。
〔赤外線遮蔽フィルム12の作製:本発明〕
上記赤外線遮蔽フィルム11の作製において、中間層への紫外線吸収剤(チヌビン1130、BASFジャパン社製)の添加量を、樹脂固形分比で2.0質量%に変更した中間層塗布液8を用いて中間層8を形成した以外は同様にして、赤外線遮蔽フィルム12を作製した。なお、中間層塗布液8により形成した中間層8の屈折率は、1.49であった。
〔赤外線遮蔽フィルム13の作製:本発明〕
前記赤外線遮蔽フィルム11の作製において、中間層への紫外線吸収剤(チヌビン1130、BASFジャパン社製)の添加量を、樹脂固形分比で5.0質量%に変更した中間層塗布液9を用いて中間層9を形成した以外は同様にして、赤外線遮蔽フィルム13を作製した。なお、中間層塗布液9により形成した中間層9の屈折率は、1.49であった。
〔赤外線遮蔽フィルム14の作製:本発明〕
前記赤外線遮蔽フィルム4の作製において、中間層塗布液2に、更に紫外線吸収剤(チヌビン234、BASFジャパン社製、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール)を、樹脂固形分比で0.5質量%添加して調製した中間層塗布液10を用いて中間層10を形成した以外は同様にして、赤外線遮蔽フィルム14を作製した。なお、中間層塗布液10により形成した中間層10の屈折率は、1.51であった。
〔赤外線遮蔽フィルム15の作製:本発明〕
上記赤外線遮蔽フィルム14の作製において、中間層への紫外線吸収剤(チヌビン234、BASFジャパン社製)の添加量を、樹脂固形分比で2.0質量%に変更した中間層塗布液11を用いて中間層11を形成した以外は同様にして、赤外線遮蔽フィルム15を作製した。なお、中間層塗布液11により形成した中間層11の屈折率は、1.51であった。
〔赤外線遮蔽フィルム16の作製:本発明〕
前記赤外線遮蔽フィルム6の作製において、中間層塗布液2に、更に紫外線吸収剤チヌビン1130(前出)を、樹脂固形分比で5.0質量%添加して調製した中間層塗布液12を用いて中間層12を形成した以外は同様にして、赤外線遮蔽フィルム16を作製した。なお、中間層塗布液12により形成した中間層12の屈折率は、1.51であった。
〔赤外線遮蔽フィルム17の作製:本発明〕
前記赤外線遮蔽フィルム1の作製において、ハードコート層塗布液1に代えて、下記ハードコート層塗布液3を用いた以外は同様にして、赤外線遮蔽フィルム17を作製した。なお、ハードコート層塗布液3により形成したハードコート層3の屈折率は、1.58であった。
(ハードコート層塗布液3の調製)
赤外線吸収剤(アンチモンドープト酸化スズ(略称:ATO)のメチルイソブチルケトン分散ゾル、ANP社製)に、樹脂バインダーとして、ペンタエリスリトールトリアクリレート(ダイセル・サイテック社製)、溶媒としてメチルエチルケトンを添加し、さらにフッ素系界面活性剤(商品名:F554、大日本インキ社製)を0.1質量%添加し、全固形分が30質量部、ITO濃度が固形分に対して40質量%になるように調製して、ハードコート層塗布液3を調製した。
〔赤外線遮蔽フィルム18の作製:本発明〕
前記赤外線遮蔽フィルム1の作製において、ハードコート層塗布液1に代えて、下記ハードコート層塗布液4を用いた以外は同様にして、赤外線遮蔽フィルム18を作製した。なお、ハードコート層塗布液4により形成したハードコート層4の屈折率は、1.57であった。
(ハードコート層塗布液4の調製)
赤外線吸収剤(商品名:NIR−AM1、アミニウム塩系赤外線吸収剤ナガセケムテックス社製)に、樹脂バインダーとしてペンタエリスリトールトリアクリレート(ダイセル・サイテック社製)、溶媒としてメチルエチルケトンを添加し、さらに、疎水性樹脂(商品名:ZX−049、T&K TOKA社製)を0.3質量%添加し、全固形分が30質量部、NIR−AM1濃度が固形分に対して50質量%になるようにして、ハードコート層塗布液4を調製した。
〔赤外線遮蔽フィルム19の作製:本発明〕
前記赤外線遮蔽フィルム1の作製において、赤外線反射層ユニットとして、9層同時塗布の上層2層を高屈折率層で構成した。この構成を赤外線反射層ユニットBと称す。
更に、中間層塗布液1に対し、酸化チタン分散液(製品名:ND176、メチルエチルケトン分散、テイカ社製)を30質量%添加した以外は同様にして調製した中間層塗布液13を用いて中間層13を形成した以外は同様にして、赤外線遮蔽フィルム19を作製した。中間層13の屈折率は、1.70であった。
〔赤外線遮蔽フィルム20の作製:本発明〕
前記赤外線遮蔽フィルム6の作製において、中間層2の層厚を3μm、ハードコート層2の層厚を10μmに変更した以外は同様にして、赤外線遮蔽フィルム20を作製した。
〔赤外線遮蔽フィルム21〜23の作製:本発明〕
前記赤外線遮蔽フィルム6の作製において、中間層2の層厚を、それぞれ20μm、30μm、40μmに変更した以外は同様にして、赤外線遮蔽フィルム21〜23を作製した。
〔赤外線遮蔽フィルム24の作製:本発明〕
前記赤外線遮蔽フィルム6の作製において、高屈折率層塗布液H1に代えて、下記高屈折率層塗布液H2を用いて高屈折率層を形成した以外は同様にして、赤外線遮蔽フィルム24を作製した。なお、高屈折率層の屈折率は、1.95であった。
(高屈折率層塗布液H2の調製)
シリカ変性酸化チタン粒子のゾル水分散液(20.0質量%) 320部
クエン酸水溶液(1.92質量%) 120部
エクセバール(登録商標、(株)クラレ製、ポリビニルアルコール系水溶性ポリマー) 370部
界面活性剤(5質量%、ソフタゾリンLSB−R、川研ファインケミカル社製) 1部
純水で1000部に仕上げ、高屈折率層用塗布液H2を調製した。
〔赤外線遮蔽フィルム25の作製:比較例〕
前記赤外線遮蔽フィルム1の作製において、中間層1の層厚を1μmに変更し、中間層1とハードコート層1(4μm)との総層厚hdを5μmに変更した以外は同様にして、赤外線遮蔽フィルム25を作製した。
〔赤外線遮蔽フィルム26の作製:比較例〕
前記赤外線遮蔽フィルム1の作製において、中間層1の層厚を3μmに変更し、中間層1とハードコート層1(4μm)との総層厚hdを7μmに変更した以外は同様にして、赤外線遮蔽フィルム26を作製した。
〔赤外線遮蔽フィルム27の作製:比較例〕
前記赤外線遮蔽フィルム2の作製において、中間層1の層厚を3μmに変更し、中間層1とハードコート層2(6μm)との総層厚hdを9μmに変更した以外は同様にして、赤外線遮蔽フィルム27を作製した。
〔赤外線遮蔽フィルム28の作製:比較例〕
上記赤外線遮蔽フィルム27の作製において、中間層1に、更に紫外線吸収剤(チヌビン1130)を、樹脂固形分比で6.0質量%添加して調製した中間層塗布液14を用いて中間層14を形成した以外は同様にして、中間層14とハードコート層2(6μm)との総層厚hdが9μmの赤外線遮蔽フィルム28を作製した。なお、中間層塗布液14により形成した中間層14の屈折率は、1.49であった。
〔赤外線遮蔽フィルム29の作製:比較例〕
上記赤外線遮蔽フィルム28の作製において、中間層塗布液14の調製に用いた紫外線吸収剤チヌビン1130を、紫外線吸収剤チヌビン234に変更した以外は同様にして調製した中間層塗布液15を用いて中間層15を形成した以外は同様にして、中間層15とハードコート層2(6μm)との総層厚hdが9μmの赤外線遮蔽フィルム29を作製した。なお、中間層塗布液15により形成した中間層15の屈折率は、1.49であった。
〔赤外線遮蔽フィルム30の作製:比較例〕
前記赤外線遮蔽フィルム27の作製において、赤外線反射層ユニットとして、9層同時塗布における上層2層を高屈折率層で構成した。更に、中間層塗布液1に対し、酸化チタン分散液(製品名:ND176、メチルエチルケトン分散、テイカ社製)を30質量%添加した以外は同様にして調製した中間層塗布液16を用いて、中間層16の層厚を3μm、ハードコート層2の層厚を6μm、総層厚hdを9μmとして、赤外線遮蔽フィルム30を作製した。なお、中間層塗布液16により形成した中間層16の屈折率は、1.70であった。
〔赤外線遮蔽フィルム31の作製:比較例〕
前記赤外線遮蔽フィルム4の作製において、中間層2の層厚を1μmに変更し、中間層2とハードコート層1(4μm)との総層厚hdを5μmに変更した以外は同様にして、赤外線遮蔽フィルム31を作製した。
〔赤外線遮蔽フィルム32の作製:比較例〕
前記赤外線遮蔽フィルム4の作製において、中間層2の層厚を3μmに変更し、中間層2とハードコート層1(4μm)との総層厚hdを7μmに変更した以外は同様にして、赤外線遮蔽フィルム32を作製した。
〔赤外線遮蔽フィルム33の作製:比較例〕
前記赤外線遮蔽フィルム5の作製において、中間層2の層厚を3μmに変更し、中間層2とハードコート層2(6μm)との総層厚hdを9μmに変更した以外は同様にして、赤外線遮蔽フィルム33を作製した。
〔赤外線遮蔽フィルム34の作製:比較例〕
前記赤外線遮蔽フィルム5の作製において、中間層2を除き、ハードコート層2の層厚8μm単独の構成に変更した以外は同様にして、赤外線遮蔽フィルム34を作製した。
〔各構成層の屈折率評価〕
上記記載のハードコート層4種類及び中間層6種類について、それぞれ同一条件で単独層をBK7ガラスピース上にワイヤーバーで塗布し、上記各層の形成条件と同様の条件で乾燥及び紫外線硬化し、屈折率測定用のサンプルを作製した。次いで、分光光度計U−4100(島津製作所製)を用い、反射面の法線に対して、入射光の入射角を5°の正反射率を、波長560nmで測定した。次いで、シグマ光機社製の薄膜計算ソフト「エッセンシャルマクロード(Essential Macleo)」を用い、屈折率を測定した。
Figure 0006428608
Figure 0006428608
なお、表1及び表2に略称で記載した中間層で用いた樹脂の詳細は以下の通りである。
EMB:EMB498(三菱レイヨン製、高酸価アクリル樹脂の高分子量タイプ、Tg=60℃)
TP270:ポリエスター TP270(日本合成化学製、ポリエステル樹脂、Tg=40℃)
BR605:BR605(三菱レイヨン社製、高酸価アクリル樹脂、Tg=60℃)
S140:ベスレジンS−140(高松油脂社製、ポリエステル樹脂、Tg=77℃)
AP:アラコート AP2500E(荒川化学社製、ポリエステル系樹脂)
M100:M−100(ダイセル社製、エポキシ樹脂)
《赤外線遮断ユニットの作製》
(接着層の形成とガラス基材との接合)
上記作製した赤外線遮蔽フィルム1〜34のポリエチレンテレフタレートフィルムの裏面側に形成した赤外線反射層ユニット1B上に、厚さ380μmのポリビニルブチラールからなる接着層を形成した後、厚さ3mmのクリアガラス(可視光透過率Tv:91%、日射透過率Te:86%)を積層し、ガラスのエッジ部からはみ出した余剰部分を除去した後、140℃で30分間加熱し、加圧脱気して合わせ処理を行い、図3に記載の構成からなる赤外線遮蔽ユニット1〜34を作製した。
《赤外線遮断フィルム(赤外線遮断ユニット)の評価》
上記作製した赤外線遮断フィルム1〜34を具備した赤外線遮断ユニット1〜34について、下記の各評価を行った。
〔虹彩耐性の評価〕
上記作製した各赤外線遮断ユニットについて、25℃、55%RHの環境下で、ハードコート層形成面側より、東芝社製の三波長型蛍光灯(白色光、FHF32EXNH−10P メロウライン 32W形)を点灯照射して、赤外線遮断フィルムにおける虹彩(干渉縞)の発生の有無を目視観察し、下記の基準に従って、虹彩耐性の評価を行った。
5:虹彩の発生がほとんど認められず、外観が良好である
4:弱い虹彩の発生が若干認められるが、非常に弱い干渉ムラであり、ほぼ良好な外観である
3:弱い虹彩の発生は認められ、全体的に大柄な斑で強度も弱いが、実用上やや懸念される品質である
2:比較的強い虹彩の発生が認められ、実用上懸念される品質である
1:干渉光による非常に強い虹彩の発生が認められ、外観が不良であり、実用に耐えない品質である
〔耐候性の評価:密着耐性の評価〕
上記作製した赤外線遮断フィルム1〜34について、下記の方法に従って密着性を評価した。
〈加速劣化処理〉
ハードコート層形成面側に、サンシャインウェザーメーター(S80HB スガ社製)を用い、温度40℃、湿度50%RHの環境下で、放射照度255W/m(300−700nm)の光を48時間連続して照射して、加速劣化処理を施した。
〈密着性の評価〉
作製直後と加速劣化処理後の各赤外線遮断フィルムについて、下記の方法に従って密着性を評価した。
各赤外線遮断フィルムの密着性の評価は、JIS K 5600の5.6(2004年度版)の記載の碁盤目試験法に準じて行った。
赤外線遮断フィルムのハードコート層を形成した面側に、カッターナイフで基材に達する1mm角の100個の碁盤目状の切り傷を1mm間隔のカッターガイドを用いて付け、セロハン粘着テープ(ニチバン社製「CT405AP−18」;18mm幅)を切り傷面に貼り付け、消しゴムで上からこすって完全にテープを付着させた後、垂直方向に引き剥がして、赤外線遮断フィルム構成層が基材表面にどのくらい残存しているかを、100個の碁盤目について計測した。
〈ブリードアウト耐性の評価〉
上記作製した赤外線遮断フィルム1〜34について、40℃、80%RHの環境下で、48時間処理を行った後、ハードコート層表面への構成材料(例えば、紫外線吸収剤)等の染み出し(ブリードアウト)の有無を目視観察し、下記の基準に従って、ブリードアウト耐性を評価した。
○:ブリードアウトの発生が全く認められない
△:極めて弱いブリードアウトの発生は見つめられるが、実用上問題ない
×:強いブリードアウトの発生が認められ、実用上問題となる品質である
以上により得られた結果を、表3に示す。
Figure 0006428608
表3に記載の結果より明らかなように、最表面から赤外線反射層ユニットまでの距離を10μm以上有している本発明の赤外線遮蔽フィルムは、表面の虹彩が低減できている。本発明においては、紫外線吸収剤を中間層に添加することによって、耐候性も向上できることが分かった。
これに対し、比較例はいずれも最表面から赤外線反射層ユニットまでの距離が10μm以下であり、虹彩を十分に解消することができていない。また、比較例である赤外線遮蔽フィルム34では、赤外線反射層ユニット上に直接ハードコート層が形成されているため、干渉縞が強く観察される。
また、紫外線吸収剤が規定量以上添加されている場合、耐候性は良くても紫外線吸収剤がブリードアウトした。屈折率の順序だが、中間層に酸化チタンを添加して屈折率を上げた場合、ハードコート/中間層及び中間層/シリカ低屈折率層の屈折率差が大きいため、界面で反射が生じ、虹彩が際立って見える。
すなわち、本発明で規定する構成を有する本発明の赤外線遮蔽フィルムは、三波長型蛍光灯下で観察した際の虹彩耐性、耐候性(密着性)及びブリードアウト耐性のいずれの性能にも優れていることを確認することができた。
本発明の赤外線遮蔽フィルムは、三波長型蛍光灯下での干渉縞(虹彩ムラ)を防止し、密着性及び耐久性に優れた特性を備え、車輌用窓ガラス、建築用窓ガラス等として好適に利用できる。
1 基材
2 低屈折率層
3 高屈折率層
4、4A、4B 赤外線反射層ユニット
5、5A、5B 中間層
6、6A、6B ハードコート層
7 三波長型蛍光灯
8、8A、8B 接着層
9,9A,9B ガラス基材
10 太陽光
F 赤外線遮蔽フィルム
G 合わせガラス

Claims (13)

  1. 基材の少なくとも一方の面側に、複数の低屈折率層及び高屈折率層を積層して構成する赤外線反射層ユニットと、特定機能層を有する赤外線遮蔽フィルムであって、
    前記赤外線反射層ユニットを構成する前記低屈折率層又は高屈折率層が金属酸化物微粒子を含有し、
    前記赤外線反射層ユニットに隣接する特定機能層の総層厚が、10〜26μmの範囲内であり、
    前記特定機能層が、最表面に位置するハードコート層と、前記ハードコート層に隣接した中間層で構成され、
    前記中間層の層厚が3〜20μmの範囲内であり、
    かつ前記中間層が、ガラス転移温度(Tg)が−30〜60℃の範囲内にある樹脂を含有することを特徴とする赤外線遮蔽フィルム。
  2. 前記赤外線反射層ユニット上に積層する特定機能層の総層厚が、16〜26μmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の赤外線遮蔽フィルム。
  3. 前記中間層の層厚が、4.0〜20μmの範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の赤外線遮蔽フィルム。
  4. 前記中間層の層厚が、6.0〜20μmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の赤外線遮蔽フィルム。
  5. 前記ハードコート層が、赤外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の赤外線遮蔽フィルム。
  6. 前記赤外線吸収剤が、アンチモンドープ酸化スズ、インジウムドープ酸化スズ又はアンチモン酸亜鉛であることを特徴とする請求項5に記載の赤外線遮蔽フィルム。
  7. それぞれ波長560nmで測定したときの、前記ハードコート層の屈折率をn、前記中間層の屈折率をn、前記赤外線反射層ユニットを構成する低屈折率層又は高屈折率層の屈折率をnとしたとき、当該屈折率n、n及びnの関係が、下式(1)、(2)及び(3)から選ばれる少なくとも一つの条件を満たすことを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の赤外線遮蔽フィルム。
    式(1):n<n<n
    式(2):n>n>n
    式(3):n=n=n
  8. 前記n、n及びnの関係が、前記式(1)又は(2)で規定する条件を満たすことを特徴とする請求項7に記載の赤外線遮蔽フィルム。
  9. 前記中間層が、紫外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の赤外線遮蔽フィルム。
  10. 前記紫外線吸収剤の含有量が、前記中間層全質量の0.5〜5.0質量%の範囲内であることを特徴とする請求項9に記載の赤外線遮蔽フィルム。
  11. 請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の赤外線遮蔽フィルムを、屋外と室内との境界部に設置する赤外線遮蔽フィルムの設置方法であって、
    前記赤外線遮蔽フィルムの、基材の少なくとも一方の面側に複数の低屈折率層及び高屈折率層を積層して構成する赤外線反射層ユニットと、当該赤外線反射層ユニット上に総層厚が10〜26μmの範囲内にある特定機能層を積層した面側を、室内側に配置することを特徴とする赤外線遮蔽フィルムの設置方法。
  12. 請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の赤外線遮蔽フィルムを用いた赤外線遮蔽フィルムの虹彩防止方法あって、
    前記赤外線遮蔽フィルムを、屋外と室内照明を有する室内との境界部に配置し、
    前記赤外線遮蔽フィルムの、基材の少なくとも一方の面側に複数の低屈折率層及び高屈折率層を積層して構成する赤外線反射層ユニットと、当該赤外線反射層ユニット上に総層厚が10〜26μmの範囲内にある特定機能層を積層した面側を、室内照明を有する室内側に配置して、室内照明による虹彩を防止することを特徴とする赤外線遮蔽フィルムの虹彩防止方法。
  13. 前記室内照明が、三波長型昼光色蛍光ランプであることを特徴とする請求項12に記載の赤外線遮蔽フィルムの虹彩防止方法。
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