JP2016083903A - 積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】熱線遮蔽性金属酸化物を含むハードコート層を有する積層フィルムにおいて、当該ハードコート層の変色を防止する手段を提供することを目的とする。
【解決手段】基材と、基材の少なくとも一方の面側に配置された少なくとも1層のハードコート層とを有する積層フィルム。当該ハードコート層は、熱線遮蔽性金属酸化物を含み、ハードコート層を厚み方向に2等分したときに、基材に近い側の部分における膜厚10μm相当の水蒸気透過率に対し、基材から遠い側の部分における膜厚10μm相当の水蒸気透過率が10g/m/日以上低いことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、積層フィルムに関する。より詳細には、本発明は、熱線遮蔽性金属酸化物を含むハードコート層を有する積層フィルムにおいて、当該ハードコート層の変色を防止するための技術に関する。
一般に、高屈折率層と低屈折率層とを、それぞれ光学的膜厚を調整して基材の表面に積層させた誘電体多層膜フィルムは、特定の波長の光を選択的に反射することが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような誘電体多層膜フィルムは、例えば、建築物の窓や車両用部材などに設置される赤外遮蔽フィルム(熱線遮蔽フィルムとも称される)として利用されている。このような赤外遮蔽フィルムは、可視光線を透過し、近赤外線を選択的に遮蔽するが、各層の膜厚や屈折率を調整するだけで、反射波長をコントロールすることができ、紫外線や可視光を反射することが可能である。
このような誘電体多層膜フィルムをはじめとした積層フィルムの分野において、積層フィルムの透明性を維持しつつ、十分な熱線遮蔽性を付与するために、タングステン酸化物や複合タングステン酸化物(以下、単に「(複合)タングステン酸化物」とも称する)等の熱線遮蔽性金属酸化物からなる微粒子を樹脂に分散させた熱線遮蔽膜を設ける技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、(複合)タングステン酸化物等の熱線遮蔽性金属酸化物は、水蒸気等によって劣化することが知られているが、これを防止するために、特許文献3では熱線遮蔽性金属酸化物と共にリン系酸化防止剤を添加して粘着膜を形成する技術が提案されている。
国際公開第2012/014607号 国際公開第2005/037932号 特開2011−65146号公報
しかしながら、本発明者が特許文献3に記載の技術を参照し、積層フィルムのハードコート層に熱線遮蔽性金属酸化物と共にリン系酸化防止剤を含有させたところ、ハードコート層が変色する場合があることが判明した。
そこで本発明は、熱線遮蔽性金属酸化物を含むハードコート層を有する積層フィルムにおいて、当該ハードコート層の変色を防止する手段を提供することを目的とする。
本発明の上記課題は、以下の手段により解決される。
1.基材と、
前記基材の少なくとも一方の面側に配置された少なくとも1層のハードコート層と、
を有し、
前記ハードコート層は、熱線遮蔽性金属酸化物を含み、
前記ハードコート層を厚み方向に2等分したときに、前記基材に近い側の部分における膜厚10μm相当の水蒸気透過率に対し、前記基材から遠い側の部分における膜厚10μm相当の水蒸気透過率が10g/m/日以上低い、積層フィルム。
2.基材と、
前記基材の少なくとも一方の面側に配置された少なくとも1層のハードコート層と、
を有し、
前記ハードコート層は、ハードコート層用塗布液を基材上に塗布し、塗膜の基材から遠い面側から紫外線を照射し、塗膜を硬化させることによって形成されてなり、
前記ハードコート層用塗布液は、紫外線硬化性モノマーと、熱線遮蔽性金属酸化物と、(メタ)アクリル変性シリコーン化合物と、下記一般式(1)または一般式(2)で表される少なくとも1種を含む重合開始剤とを含み、
前記ハードコート層用塗布液における、前記(メタ)アクリル変性シリコーン化合物の含有量は、当該塗布液の固形分に対し、4質量%以下である、積層フィルム。
一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基を表し、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、チオメチル基を表し、X〜Xのうちの少なくとも1つは、それぞれ独立して、−OH、−OR、−NH、−NR、モルフォリノ基を表し、ここで、Rは、それぞれ独立して、メチル基、エチル基を表し、RおよびRは、それぞれ独立して、メチル基、エチル基を表し、この際、RおよびRは、互いに連結して環を形成していてもよく、X〜Xのうちの残余は、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、フェニル基を表すか、または、X〜Xのうちの残余2つが互いに連結してシクロヘキシル基を表す;
一般式(2)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基を表し、X〜Xのうちの少なくとも1つおよびX〜Xのうちの少なくとも1つは、それぞれ独立して、−OH、−OR、−NH、−NR1011、モルフォリノ基を表し、ここで、Rは、それぞれ独立して、メチル基、エチル基を表し、R10およびR11は、それぞれ独立して、メチル基、エチル基を表し、この際、R10およびR11は、互いに連結して環を形成していてもよく、X〜Xのうちの残余および/もしくはX〜Xのうちの残余は、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、フェニル基を表すか、または、X〜Xのうちの残余2つおよび/もしくはX〜Xのうちの残余2つが互いに連結してシクロヘキシル基を表し、Yは、単結合、メチレン基、エチレン基を表す。
3.前記熱線遮蔽性金属酸化物は、アンチモンドープト酸化スズ、インジウムドープト酸化スズ、酸化タングステン、セシウムドープト酸化タングステンからなる群から選択される少なくとも1種を含む、前記2に記載の積層フィルム。
4.前記ハードコート層用塗布液における、前記(メタ)アクリル変性シリコーン化合物の含有量は、当該塗布液の固形分に対し、0.001〜3質量%である、前記2または3に記載の積層フィルム。
5.前記一般式(1)または一般式(2)で表される化合物は、313nmでのモル吸光係数が200以上である、前記2〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
6.前記一般式(1)または一般式(2)で表される化合物は、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オンまたは2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンである、前記2〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
7.前記基材の少なくとも一方の面側に機能層を有し、
前記機能層は、低屈折率層と高屈折率層とが交互に積層されてなる誘電体多層膜である、前記1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
本発明によれば、熱線遮蔽性金属酸化物を含むハードコート層を有する積層フィルムにおいて、当該ハードコート層の変色を防止することが可能となる。
以下、本発明の実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の形態のみに制限されない。
〈積層フィルム〉
本発明の一形態に係る積層フィルムは、基材と、基材の少なくとも一方の面側に配置された少なくとも1層のハードコート層とを有する。ハードコート層は、熱線遮蔽性金属酸化物を含む。そして、ハードコート層を厚み方向に2等分したときに、基材に近い側の部分における膜厚10μm相当の水蒸気透過率に対し、基材から遠い側の部分における膜厚10μm相当の水蒸気透過率が10g/m/日以上低いことを特徴とする。
また、本発明の他の一形態に係る積層フィルムは、基材と、基材の少なくとも一方の面側に配置された少なくとも1層のハードコート層とを有する。ハードコート層は、ハードコート層用塗布液を基材上に塗布し、塗膜の基材から遠い面側から紫外線を照射し、塗膜を硬化させることによって形成されてなる。そして、ハードコート層用塗布液は、紫外線硬化性モノマーと、熱線遮蔽性金属酸化物と、(メタ)アクリル変性シリコーン化合物と、下記一般式(1)または一般式(2)で表される少なくとも1種を含む重合開始剤とを含み、ハードコート層用塗布液における、(メタ)アクリル変性シリコーン化合物の含有量は、当該塗布液の固形分に対し、4質量%以下であることを特徴とする。
一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基を表し、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、チオメチル基を表し、X〜Xのうちの少なくとも1つは、それぞれ独立して、−OH、−OR、−NH、−NR、モルフォリノ基を表し、ここで、Rは、それぞれ独立して、メチル基、エチル基を表し、RおよびRは、それぞれ独立して、メチル基、エチル基を表し、この際、RおよびRは、互いに連結して環を形成していてもよく、X〜Xのうちの残余は、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、フェニル基を表すか、または、X〜Xのうちの残余2つが互いに連結してシクロヘキシル基を表す。
一般式(2)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基を表し、X〜Xのうちの少なくとも1つおよびX〜Xのうちの少なくとも1つは、それぞれ独立して、−OH、−OR、−NH、−NR1011、モルフォリノ基を表し、ここで、Rは、それぞれ独立して、メチル基、エチル基を表し、R10およびR11は、それぞれ独立して、メチル基、エチル基を表し、この際、R10およびR11は、互いに連結して環を形成していてもよく、X〜Xのうちの残余および/もしくはX〜Xのうちの残余は、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、フェニル基を表すか、または、X〜Xのうちの残余2つおよび/もしくはX〜Xのうちの残余2つが互いに連結してシクロヘキシル基を表し、Yは、単結合、メチレン基、エチレン基を表す。
本発明者は、積層フィルムにおいて、熱線遮蔽性金属酸化物を含むハードコート層の変色を防止するために鋭意研究を重ねたところ、熱線遮蔽性金属酸化物と共に、(メタ)アクリル変性シリコーン化合物および特定の構造を有する重合開始剤を添加したハードコート層用塗布液を用いてハードコート層を形成することにより、ハードコート層の変色が有意に防止できるという驚くべき事実を見出した。
このようにして得られるハードコート層が変色しにくい理由を調べたところ、基材から遠い側のハードコート層表面付近において、他の部分よりも、ポリマーが緻密に形成されており、加えて、(メタ)アクリル変性シリコーン化合物由来のポリマーが多く偏在していることが判明した。そして、この現象によって、ハードコート層を厚み方向に2等分したときに、基材に近い側の部分における膜厚10μm相当の水蒸気透過率に対し、基材から遠い側の部分における膜厚10μm相当の水蒸気透過率が10g/m/日以上低いことを見出し、本発明を完成させるに至った。
この様に、基材から遠い側のハードコート層表面付近において、ポリマーが緻密に形成され、かつ、(メタ)アクリル変性シリコーン化合物由来のポリマーが偏在する理由は定かではないが、本発明者は、上記一般式(1)または一般式(2)で表される重合開始剤が高い表面硬化性を有することに起因すると推測している。すなわち、表面硬化性の高い重合開始剤を用いることにより、塗膜の基材から遠い面側から紫外線を照射した場合、紫外線が照射された面側(基材から遠い側の表面)から順に重合反応が進行する。したがって、当該表面付近において重合反応が優先して起こり(すなわち、表面硬化性に優れ)、緻密なポリマーネットワークが形成されるため、熱線遮蔽性金属酸化物の劣化原因となる水蒸気や酸素(O)等のガスの透過が抑制されるものと考えらえる。また、(メタ)アクリル変性シリコーン化合物と紫外線硬化性モノマーとが十分に相溶性せずに、塗膜の表面付近に(メタ)アクリル変性シリコーン化合物が遍在することも原因の一つであると推測される。これにより、硬化後の基材から遠い側のハードコート層表面付近において、(メタ)アクリル変性シリコーン化合物由来のポリマーが遍在しうる。(メタ)アクリル変性シリコーン化合物由来のシリコーン側鎖部分は疎水性であるため、特に基材から遠い側の表面付近における水蒸気の透過が抑制されると考えらえる。なお、上記メカニズムはあくまでも推測であり、本発明は当該メカニズムに何ら制限されるものではない。以下、本形態の積層フィルムの各構成について詳細に説明する。
[基材]
基材は、ハードコート層や、その他の任意で設けられる層(例えば、誘電体多層膜などに代表される機能層)を支持する機能を有する。
基材は、透明であることが好ましく、種々の樹脂フィルムを用いることができる。例えば、ポリオレフィンフィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、3酢酸セルロース、ポリイミド、ポリブチラールフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、透明なセルロースナノファイバーフィルム等を用いることができる。これらのうち、ポリエステルフィルムを用いることが好ましい。
当該ポリエステルフィルムの中でも透明性、機械的強度、寸法安定性などの観点から、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸成分と、エチレングリコールや1,4−シクロヘキサンジメタノール等のジオール成分と、を主要な構成成分とするフィルム形成性を有するポリエステルであることが好ましい。なかでも、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを主要な構成成分とするポリエステルや、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールからなる共重合ポリエステル、およびこれらのポリエステルの2種以上の混合物を主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。
基材の材料および膜厚は、積層フィルムの熱収縮率を基材の熱収縮率で除した値が1〜3の範囲内となるように設定されたものであることが好ましい。
なかでも基材の膜厚は、30〜200μmであることが好ましく、30〜150μmであることがより好ましく、35〜125μmであることが最も好ましい。基材の膜厚が30μm以上であると、取扱い中のシワが発生しにくくなることから好ましい。一方、基材の膜厚が200μm以下であると、積層フィルムを支持基材と貼り合わせる際に、例えば、曲面の支持基材への追従性が良くなり、シワが発生しにくくなることから好ましい。
基材は、二軸配向ポリエステルフィルムであることが好ましいが、未延伸または少なくとも一方に延伸されたポリエステルフィルムを用いることもできる。強度向上、熱膨張抑制の観点から延伸フィルムであることが好ましい。特に自動車のフロントガラスの合わせガラスに用いられる際には、延伸フィルムであることがより好ましい。
[ハードコート層]
本形態において、「ハードコート層」とは、JIS K 5600−5−4に準じた鉛筆硬度がH以上の層であり、好ましくは2H以上の層である。ハードコート層の硬さは、折り曲げ等の外部応力がかかった際に層の破壊や剥がれなどが発生しない範囲で硬い方が耐傷性の点で好ましい。
本形態のハードコート層は、熱線遮蔽性金属酸化物(「赤外線遮蔽性金属酸化物」とも称される)を必須に含む。熱線遮蔽性金属酸化物としては、特に制限されないが、酸化亜鉛、酸化タングステン、アンチモンドープト酸化亜鉛(AZO)、インジウムドープト酸化亜鉛(IZO)、ガリウムドープト酸化亜鉛(GZO)、アルミニウムドープト酸化亜鉛、酸化錫、アンチモンドープト酸化錫(ATO)、インジウムドープト酸化錫(ITO)、セシウムドープト酸化タングステン(CWO)等の複合タングステン酸化物が挙げられる。なかでも、熱線遮蔽性に優れることから、アンチモンドープト酸化スズ、インジウムドープト酸化スズ、酸化タングステン化物、セシウムドープト酸化タングステンからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、酸化タングステン、セシウムドープト酸化タングステンからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが特に好ましい。
タングステン酸化物は、一般式:Wで示され、特開2013−64042号や特開2010−215451号公報に記載されるのと同様のものが使用できる。上記一般式中、Wは、タングステンを表わす。Oは、酸素を表わす。y及びzは、タングステンと酸素との組成(タングステンに対する酸素の組成、z/y)が、3未満(z/y<3)の関係を満たすことが好ましく、2.2〜2.999(2.2≦z/y≦2.999)の関係を満たすことがより好ましい。このようなz/y比であれば、材料として化学的に安定であり、高い赤外線吸収能を発揮できる上、必要量の自由電子が生成され効率よい赤外線吸収材料となり得る。
また、複合タングステン酸化物の組成は、特に制限されないが、安定性の観点から、一般式:一般に、Mで表される酸化物であることが好ましく、特開2013−64042号や特開2010−215451号公報に記載されるのと同様のものが使用できる。上記一般式中、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iうちから選択される1種類以上の元素を表わす。Wは、タングステンを表わす。Oは、酸素を表わす。x、y及びzは、タングステンとMとの組成(タングステンに対するMの組成、x/y)が0.001≦x/y≦1の関係を満たし、タングステンと酸素との組成(タングステンに対する酸素の組成、z/y)が2.2≦z/y≦3の関係を満たすことが好ましい。ここで、アルカリ金属は、水素を除く周期表第1族元素であり、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランジウムである。アルカリ土類金属は、周期表第2族元素であり、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムである。希土類元素は、Sc、Y及びランタノイド元素(57番のランタンから71番のルテチウムまでの元素)である。特に、赤外線吸収材料としての光学特性、耐候性向上効果の観点から、M元素が、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snのうちの1種類以上であるものが好ましい。
(複合)タングステン酸化物の形状は、特に制限されず、粒子状、球状、棒状、針状、板状、柱状、不定形状、燐片状、紡錘状など任意の構造をとりうるが、好ましくは粒子状である。また、タングステン酸化物等の大きさも特に制限されないが、タングステン酸化物等が粒子状である場合には、タングステン酸化物等粒子の平均粒径(平均一次粒子径、直径)は、可視光の反射を抑制しつつ、熱線吸収効果を確保できること、また散乱によるヘイズの劣化が生じず、透明性を確保できることから、5〜150nmであることが好ましく、5〜100nmであることがより好ましい。上記平均粒径は、粒子そのものあるいは屈折率層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
また、これらの具体的な商品名としては、酸化亜鉛系として、セルナックス(登録商標)シリーズ(日産化学工業社製)、パゼットシリーズ(ハクスイテック社製);酸化錫系として、ATO分散液(SR35M Advanced Nano Products社製)、ITO分散液(三菱マテリアル電子化成社製)、KHシリーズ(住友金属鉱山社製);セシウムドープト酸化タングステン系としてCWO分散液(YMF−02A 住友金属鉱山社製)等が挙げられる。
本形態のハードコート層は、ハードコート層を厚み方向に2等分したときに、基材に近い側の部分における膜厚10μm相当の水蒸気透過率に対し、基材から遠い側の部分における膜厚10μm相当の水蒸気透過率が、10g/m/日以上低いことを特徴とし、好ましくは20g/m/日以上であり、より好ましくは40g/m/日以上である。上限値は特に制限されないが、一般的なアクリル系ハードコート層の水蒸気透過率が300g/m2/日程度であることを考慮すると300g/m/日以下程度である。なお、本明細書において、これらの水蒸気透過率は、実施例に記載の方法により測定された値を採用するものとする。このような構成とすることにより、ハードコート層に含まれる熱線遮蔽性金属酸化物の劣化が抑制され、ハードコート層の変色を防止することができる。
なお、基材上に異なる種類のハードコート層を2層以上積層させることにより、上記水蒸気透過率の範囲を満たすハードコート層積層体とする手法も考えられる。しかしながら、性質の異なる2層以上のハードコート層を積層した場合、温度や湿度によって膨張・収縮する際に、隣接する各層の界面付近に応力が集中して、クラックや剥がれ生じやすい。したがって、本形態のように、単一のハードコート層内において、上記水蒸気透過率の範囲を満たすことが必要である。
ハードコート層の厚さは、特に制限されないが、好ましくは1〜10μmであり、より好ましくは1.5〜8μmである。厚さを1μm以上とすることによって、ハードコート層の硬度を維持することができる。一方、厚さを8μm以下とすることにより、応力によるハードコート層の割れを防ぐことができる。
(ハードコート層の形成方法)
上記構成を有する本形態のハードコート層は、公知の手法を適宜参照して形成することができる。一例を挙げると、反応性の界面活性剤(すなわち、界面活性能を有する重合性モノマー)と、表面硬化性の高い(すなわち、酸素による阻害を受けにくい)重合開始剤とを含有するハードコート層用塗布液を基材上に塗布し、塗膜の基材から遠い面側から紫外線を照射し、塗膜を硬化させることによって上記構成を有するハードコート層を形成することができる。好ましい形態によると、ハードコート層用塗布液は、紫外線硬化性モノマーと、熱線遮蔽性金属酸化物と、(メタ)アクリル変性シリコーン化合物と、下記一般式(1)または一般式(2)で表される少なくとも1種を含む重合開始剤とを含み、ハードコート層用塗布液における、前記(メタ)アクリル変性シリコーン化合物の含有量は、当該塗布液の固形分に対し、4質量%以下であることを特徴とする。
一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基を表し、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、チオメチル基を表し、X〜Xのうちの少なくとも1つは、それぞれ独立して、−OH、−OR、−NH、−NR、モルフォリノ基を表し、ここで、Rは、それぞれ独立して、メチル基、エチル基を表し、RおよびRは、それぞれ独立して、メチル基、エチル基を表し、この際、RおよびRは、互いに連結して環を形成していてもよく、X〜Xのうちの残余は、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、フェニル基を表すか、または、X〜Xのうちの残余2つが互いに連結してシクロヘキシル基を表す;
一般式(2)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基を表し、X〜Xのうちの少なくとも1つおよびX〜Xのうちの少なくとも1つは、それぞれ独立して、−OH、−OR、−NH、−NR1011、モルフォリノ基を表し、ここで、Rは、それぞれ独立して、メチル基、エチル基を表し、R10およびR11は、それぞれ独立して、メチル基、エチル基を表し、この際、R10およびR11は、互いに連結して環を形成していてもよく、X〜Xのうちの残余および/もしくはX〜Xのうちの残余は、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、フェニル基を表すか、または、X〜Xのうちの残余2つおよび/もしくはX〜Xのうちの残余2つが互いに連結してシクロヘキシル基を表し、Yは、単結合、メチレン基、エチレン基を表す。
換言すると、本発明の他の一形態に係る積層フィルムは、基材と、基材の少なくとも一方の面側に配置された少なくとも1層のハードコート層とを有し、ハードコート層は、上記の特定の組成を有するハードコート層用塗布液を基材上に塗布し、塗膜の基材から遠い面側から紫外線を照射し、塗膜を硬化させることによって形成されてなることを特徴とする。
まず、ハードコート層用塗布液に含まれる各成分について説明する。
紫外線硬化性モノマー
本明細書において、紫外線硬化性モノマーは、紫外線により架橋反応等を経て硬化する化合物のうち、後述の(メタ)アクリル変性シリコーン化合物以外の化合物をいう。なお、本明細書では、「紫外線硬化性モノマー」との用語は、モノマーのみならず、紫外線照射により硬化可能なオリゴマーやプレポリマーをも含みうる概念である。紫外線硬化性モノマーとしては、エチレン性不飽和二重結合やエポキシ基を有するモノマーが挙げられるが、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーが好ましく用いられる。紫外線硬化性モノマーは、紫外線照射により硬化し、紫外線硬化型樹脂を構成する。は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
紫外線硬化型樹脂としては、例えば、紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等が好ましく用いられる。なかでも、紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート樹脂が好ましい。
紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、またはプレポリマーを反応させて得られた生成物にさらに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる。例えば、特開昭59−151110号公報に記載の、ユニディック17−806(大日本インキ(株)製)100部とコロネートL(日本ポリウレタン(株)製)1部との混合物等が好ましく用いられる。紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂としては、市販品を用いてもよく、市販品としては、ビームセット(登録商標)575、577(荒川化学工業株式会社製)、紫光(登録商標)UVシリーズ(日本合成化学工業株式会社製)などを挙げることができる。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート樹脂としては、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させることにより形成されるものを挙げることができ、特開昭59−151112号公報に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化型エポキシアクリレート樹脂としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光重合開始剤を添加し、反応させて生成するものを挙げることができ、特開平1−105738号公報に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化型ポリオールアクリレート樹脂としては、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。紫外線硬化型ポリオールアクリレート樹脂としては、市販品を用いてもよく、市販品としては、サートマーSR295、SR399(サートマー社製)、アロニックス(登録商標)シリーズ(東亞合成化学工業社製)などを挙げることができる。
ハードコート層用塗布液における紫外線硬化性モノマーの含有量は、特に制限されないが、硬度や膜弾性率を所望の値に調整する観点から、固形分の総質量に対し、好ましくは20〜90質量%であり、より好ましくは40〜80質量%である。
熱線遮蔽性金属酸化物
熱線遮蔽性金属酸化物については、先に述べたとおりであるので、ここでは説明を省略する。
ハードコート層用塗布液における熱線遮蔽性金属酸化物の含有量は、特に制限されないが、硬度、膜弾性率等の物性値や、透過率等の光学特性を所望の値に調整する観点から、固形分の総質量に対し、好ましくは10〜80質量%であり、より好ましくは20〜60質量%である。
(メタ)アクリル変性シリコーン化合物
ハードコート層用塗布液は、上述の紫外線硬化性モノマー以外の硬化性成分として、(メタ)アクリル変性シリコーン化合物を含む。ここで「(メタ)アクリル変性シリコーン化合物」とは、シリコーン骨格の側鎖や末端などの任意(好ましくは末端(片末端または両末端)、より好ましくは両末端)の位置に(メタ)アクリル基が導入されてなる化合物である。
好ましくは、(メタ)アクリル変性シリコーン化合物は、下記一般式(3)で表される化合物を少なくとも1種含む。
一般式(3)中、Rは、炭素数1〜10の(1+a)価の炭化水素基を表し、Rは、炭素数1〜10の(1+b)価の炭化水素基を表し、RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数1〜2の1価の炭化水素基を表し、A、A、Aは、それぞれ独立して、下記一般式(4)で表される置換基を表し、aおよびbは、それぞれ独立して、0〜3の整数を表し、nは、0〜10の整数を表し、mは、1〜200の整数を表し、この際、a、b、およびnの少なくとも1つは1以上の整数を表す。
一般式(4)中、Rは、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表す。
(メタ)アクリル変性シリコーン化合物自体としては従来公知のものが適宜用いられうる。(メタ)アクリル変性シリコーン化合物の具体例としては、TEGO Rad2010/Rad2011(EVONIC社製)、SQ100/SQ200(トクシキ社製)、CN990/CN9800(サートマー社製)、EBECRYL350(ダイセル・オルネックス社製)、X−22−2445/X−22−1602(両末端アクリレートシリコン)、X−22−164/X−22−164AS/X−22−164A/X−22−164B/X−22−164C/X−22−164E(両末端メタクリレートシリコン)、X−22−174ASX/X−22−174BX/KF−2012/X−22−2426/X−22−2475(片末端メタクリレートシリコン)(以上、信越化学工業社製)、BYK UV−3500/BYK UV−3570(ビックケミー・ジャパン社製)などが挙げられる。また、(メタ)アクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、[(メタ)アクリルオキシプロピル]メチルシロキサン、[(メタ)アクリルオキシプロピル]メチルシロキサンとジメチルシロキサンの共重合体等も用いられうる。なお、これらの化合物の(メタ)アクリル基の末端にメチル基が導入されているものも使用できる。1分子中の官能基数は2つ以上が好ましいが官能基数が1つのものでもかまわない。官能基当量は100〜15000が好ましい範囲であり、この範囲であれば、得られたハードコート層のタック性および硬化物の耐熱性が良好になる。
上記のような(メタ)アクリル変性シリコーン化合物は、シリコーン側鎖部分が疎水性であるため、紫外線硬化性モノマーと十分に相溶性せずに、塗膜の表面付近に遍在しうる。これにより、硬化後の基材から遠い面側のハードコート層表面付近において、(メタ)アクリル変性シリコーン化合物由来のポリマーが遍在し、この部分での水蒸気の透過が抑制されうる。その結果、ハードコート層を厚み方向に2等分したときの、基材に近い側の部分における水蒸気透過率に対し、基材から遠い側の部分における水蒸気透過率が低くなり、ハードコート層の変色が抑制されると考えらえる。
ハードコート層塗布液における(メタ)アクリル変性シリコーン化合物の含有量は、特に制限されないが、当該塗布液の固形分に対し、4質量%以下であることが必須である。紫外線硬化性モノマーと(メタ)アクリル変性シリコーン化合物とは相溶性が低いため、4質量%を超える場合、ハードコート層の透明性が悪化しうる。当該含有量は、好ましくは0.0001〜5質量%であり、より好ましくは0.001〜3質量%であり、より好ましくは0.01〜1質量%である。(メタ)アクリル変性シリコーン化合物の含有量が上記範囲であると、ハードコート層を厚み方向に2等分したときの、基材に近い側の部分における水蒸気透過率に対し、基材から遠い側の部分における水蒸気透過率がより一層低くなり、ハードコート層の色調変化をより一層低減させることができる。
重合開始剤
本形態のハードコート層用塗布液は、下記一般式(1)または一般式(2)で表される少なくとも1種の重合開始剤を含む。
一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基を表す。
は、水素原子、メチル基、エチル基、チオメチル基を表す。
〜Xのうちの少なくとも1つ(1つ、2つ、または3つ)は、それぞれ独立して、−OH、−OR、−NH、−NR、モルフォリノ基を表す。ここで、Rは、それぞれ独立して、メチル基、エチル基を表す。RおよびRは、それぞれ独立して、メチル基、エチル基を表す。この際、RおよびRは、互いに連結して環を形成していてもよい。X〜Xのうちの残余(2つまたは1つ)は、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、フェニル基を表すか、または、X〜Xのうちの残余2つが互いに連結してシクロヘキシル基を表す。
一般式(2)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基を表す。
〜Xのうちの少なくとも1つ(1つ、2つ、または3つ)およびX〜Xのうちの少なくとも1つ(1つ、2つ、または3つ)は、それぞれ独立して、−OH、−OR、−NH、−NR1011、モルフォリノ基を表す。ここで、Rは、それぞれ独立して、メチル基、エチル基を表す。R10およびR11は、それぞれ独立して、メチル基、エチル基を表す。この際、R10およびR11は、互いに連結して環を形成していてもよい。X〜Xのうちの残余(2つまたは1つ)および/もしくはX〜Xのうちの残余(2つまたは1つ)は、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、フェニル基を表すか、または、X〜Xのうちの残余2つおよび/もしくはX〜Xのうちの残余2つが互いに連結してシクロヘキシル基を表す。
Yは、単結合、メチレン基、エチレン基を表す。
上記一般式(1)または(2)で表される重合開始剤は表面硬化性に優れるため、塗膜の基材から遠い面側から紫外線を照射した場合、紫外線が照射された面側(基材から遠い側の表面)から順に重合反応が進行する。したがって、当該表面付近において重合反応が優先して起こり、緻密なポリマーネットワークが形成されるため、熱線遮蔽性金属酸化物の劣化原因となる水蒸気や酸素(O)等のガスの透過が抑制されるものと考えらえる。
上記一般式(1)で表される重合開始剤のうち、R〜Rが、水素原子を表し;Rが、水素原子、チオメチル基を表し;X〜Xのうちの少なくとも1つ(1つ、2つ、または3つ)は、それぞれ独立して、−OH、−OR、モルフォリノ基を表し、ここで、Rは、それぞれ独立して、メチル基、エチル基を表し;RおよびRは、それぞれ独立して、メチル基を表し、この際、RおよびRは互いに連結して環を形成していてもよく、X〜Xのうちの残余(2つまたは1つ)は、それぞれ独立して、メチル基、フェニル基を表すか、または、X〜Xのうちの残余2つが互いに連結してシクロヘキシル基を表す;である重合開始剤を用いることがより好ましい。また、一般式(2)で表される重合開始剤のうち、R〜Rが、水素原子を表し;X〜Xのうちの少なくとも1つ(1つ、2つ、または3つ)およびX〜Xのうちの少なくとも1つ(1つ、2つ、または3つ)は、それぞれ独立して、−OHを表し;X〜Xのうちの残余(2つまたは1つ)およびX〜Xのうちの残余(2つまたは1つ)は、それぞれ独立して、メチル基、フェニル基を表し、Yが、メチレン基を表す;である重合開始剤を用いることがより好ましい。これらの構造を有する重合開始剤は、表面硬化性に一層優れ、ハードコート層の変色を一層低減させることができる。
上記一般式(1)または(2)で表される化合物の好ましい具体例を以下に列挙する。ただし、本発明はこれらの化合物のみに限定されるものではない。
上記のうち、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オンまたは2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンが特に好ましい化合物である。
また、上記一般式(1)または(2)で表される化合物は、紫外領域の光についてのモル吸光係数が大きい化合物であることが好ましい。より具体的には、アセトニトリル溶液で測定した際の313nmでのモル吸光係数が200以上であることが好ましい。熱線遮蔽性金属酸化物は、紫外線を吸収しうるが、このような化合物を用いることにより十分に活性種が生成され、表面硬化性がより一層高まるため、ハードコート層の変色がより一層低減される。
上記一般式(1)または(2)で表される重合開始剤は、公知の手法を参照して合成したものを用いてもよいし、市販品を用いても構わない。市販品としては、例えば、イルガキュア(登録商標)−127、184、907、651(BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
本形態では、重合開始剤として、上記一般式(1)または(2)で表される化合物のうちの1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用しても構わない。また、重合開始剤として上記一般式(1)または(2)で表される化合物以外の化合物を併用することも可能である。ただし、本発明の効果を十分に発揮させるためには、重合開始剤の総質量に対し、一般式(1)または(2)で表される化合物の総質量の割合が、50〜100質量%であることが好ましく、75〜100質量%であることがより好ましく、90〜100質量%であることがさらに好ましく、95〜100質量%であることが特に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
ハードコート層塗布液における重合開始剤の含有量は、特に制限されないが、硬化性成分の総量に対し、好ましくは0.5〜30質量%であり、より好ましくは1〜25質量%である。当該含有量が0.5質量%以上、30質量%以下であると、適度な硬度を持つハードコート層を形成できる。
本形態のハードコート層塗布液は、上記の必須成分の他、溶媒を含んでもよい。溶媒は、炭化水素類(トルエン、キシレン)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル)、グリコールエーテル類、その他の有機溶媒の中から適宜選択し、またはこれらを混合し利用できる。
ハードコート層塗布液における溶媒の含有量は、特に制限されないが、一般的には、塗布液の総質量に対して20〜80質量%程度である。
ハードコート層用塗布液は、必要に応じて、各種添加剤を含んでもよい。添加剤としては、レベリング性、撥水性、滑り性等を付与するための界面活性剤;紫外線照射による硬化性を向上させるための、染料、顔料、増感剤等が挙げられる。
上記界面活性剤の種類として、特に制限はなく、フッ素系界面活性剤、アクリル系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等を用いることができる。特に塗布液のレベリング性、撥水性、滑り性という観点で、フッ素系界面活性剤を用いることが好ましい。フッ素系界面活性剤の例としては、例えば、DIC株式会社製のメガファック(登録商標)Fシリーズ(F−430、F−477、F−552〜F−559、F−561、F−562等)、DIC株式会社製のメガファック(登録商標)RSシリーズ(RS−76−E等)、AGCセイミケミカル株式会社製のサーフロン(登録商標)シリーズ、OMNOVA SOLUTIONS社製のPOLYFOXシリーズ、株式会社T&K TOKAのZXシリーズ、ダイキン工業株式会社製のオプツール(登録商標)シリーズ、(株)ネオス製のフタージェント(登録商標)シリーズ(602A、650A等)等の市販品を使用することができる。アクリル系界面活性剤としては、ポリフローシリーズ(共栄社化学株式会社製)、ニューコールシリーズ(日本乳化剤株式会社製)、BYK(登録商標)−354(ビックケミー・ジャパン社製)が挙げられる。シリコーン系界面活性剤としては、BYK(登録商標)−345、BYK(登録商標)−347、BYK(登録商標)−348、BYK(登録商標)−349(ビックケミー・ジャパン社製)が挙げられる。界面活性剤は、単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。
ハードコート層用塗布液は、上記の各成分を混合することによって調整される。添加順序、添加方法は特に限定されず、攪拌しながら各成分を順次添加し混合してもよいし、攪拌しながら一度に添加し混合してもよい。
また、基材上(基材の表面または基材上配置された最表層の表面)にハードコート層用塗布液を塗布する方法についても特に制限はなく、公知の手法、例えば、ワイヤーバーによるコーティング、スピンコーティング、ディップコーティングなどの手法が採用されうる。また、ダイコーター、グラビアコーター、コンマコーターなどの連続塗布装置でも塗布することが可能である。
その後、基材上にハードコート層用塗布液を塗布して得られた塗膜に、当該塗膜の基材から遠い面側から紫外線を照射し、塗膜を硬化させる。この際の紫外線の照射波長、照度、光量などの条件は、使用する紫外線硬化性モノマーや重合開始剤の種類によって異なるため、当業者によって適宜条件が調整されうる。例えば、紫外線ランプを用いる場合、その照度は50〜1500mW/cmが好ましく、照射エネルギー量は50〜1500mJ/cmが好ましい。
以上の方法により形成されたハードコート層は、厚み方向に2等分したときに、基材に近い側の部分における膜厚10μm相当の水蒸気透過率に対し、基材から遠い側の部分における膜厚10μm相当の水蒸気透過率が10g/m/日以上低くなる。その結果、変色が生じにくいハードコート層となる。
[機能層]
本形態の積層フィルムは、上記の基材およびハードコート層以外にも、機能層を有していてもよい。機能層の種類は、特に制限されないが、以下では機能層が誘電体多層膜(反射層)である場合を例に挙げて具体的に説明する。
(誘電体多層膜)
誘電体多層膜(反射層)は、低屈折率層と高屈折率層とが交互に積層されてなる構成を有する。前記高屈折率層と前記低屈折率層とは、以下のように考える。
例えば、高屈折率層を構成する成分(以下、高屈折率層成分)と低屈折率層を構成する成分(以下、低屈折率層成分)とが、ふたつの層の界面で混合され、高屈折率層成分と低屈折率層成分とを含む層(混合層)が形成される場合がある。この場合、混合層において、高屈折率層成分が50質量%以上である部位の集合を高屈折率層とし、低屈折率層成分が50質量%を超える部位の集合を低屈折率層とする。具体的には、低屈折率層が、例えば、低屈折率成分として第1の金属酸化物を、また、高屈折率層は高屈折率成分として第2の金属酸化物を含有している場合、これらの積層膜における膜厚方向での金属酸化物濃度プロファイルを測定し、その組成によって、高屈折率層または低屈折率層とみなすことができる。積層膜の金属酸化物濃度プロファイルは、スパッタ法を用いて表面から深さ方向へエッチングを行い、XPS表面分析装置を用いて、最表面を0nmとして、0.5nm/minの速度でスパッタし、原子組成比を測定することで観測することが出来る。また、低屈折率成分または高屈折率成分に金属酸化物粒子が含有されておらず、高屈折率層または低屈折率層の一方が水溶性樹脂(有機バインダー)のみから形成されている積層体においても、同様にして、水溶性樹脂(有機バインダー)濃度プロファイルにて、例えば、膜厚方向での炭素濃度を測定することにより混合領域が存在していることを確認し、さらにその組成をEDXにより測定することで、スパッタでエッチングされた各層が、高屈折率層または低屈折率層とみなすことができる。
前記反射層は、基材上に、ポリマーを含む高屈折率層および低屈折率層が交互に積層された積層体(ユニット)を少なくとも1つ以上有する構成であればよいが、高屈折率層および低屈折率層の層数(屈折率層の総数)は、特に制限はないが、好ましくは6〜2000(すなわち、3〜1000ユニット)であり、より好ましくは10〜1500(すなわち、5〜750ユニット)であり、さらに好ましくは10〜1000(すなわち、5〜500ユニット)である。層数が2000を超えるとヘイズが発生しやすく、6未満であると所望の反射率に達しないことがある。また、本形態の積層フィルムは、上記基材上にユニットを少なくとも1つ以上有する構成であればよい。
誘電体多層膜において、高屈折率層は、より高い屈折率が好ましいが、屈折率が、好ましくは1.70〜2.50であり、より好ましくは1.80〜2.20であり、さらに好ましくは1.90〜2.20である。また、低屈折率層は、より低い屈折率が好ましいが、屈折率が、好ましくは1.10〜1.60であり、より好ましくは1.30〜1.55であり、さらに好ましくは1.30〜1.50である。
誘電体多層膜においては、高屈折率層と低屈折率層との屈折率の差を大きく設計することが、少ない層数で赤外反射率を高くすることができる観点から好ましい。高屈折率層および低屈折率層から構成されるユニットの少なくとも1つにおいて、隣接する該高屈折率層と低屈折率層との屈折率差が0.1以上であることが好ましく、より好ましくは0.2以上であり、さらに好ましくは0.25以上である。誘電体多層膜が低屈折率層および高屈折率層のユニットを複数有する場合には、全てのユニットにおける低屈折率層と高屈折率層との屈折率差が上記好適な範囲内にあることが好ましい。ただし、誘電体多層膜の最表層や最下層に関しては、上記好適な範囲外の構成であってもよい。
特定波長領域の反射率は、隣接する2層(高屈折率層と低屈折率層)の屈折率差と積層数で決まり、屈折率差が大きいほど、少ない層数で同じ反射率を得られる。この屈折率差と必要な層数については、市販の光学設計ソフトを用いて計算することができる。例えば、赤外反射率(赤外遮蔽率)90%以上を得るためには、屈折率差が0.1より小さいと、100層を超える積層が必要になり、生産性が低下するだけでなく、積層界面での散乱が大きくなり、透明性が低下する。反射率の向上と層数を少なくする観点からは、屈折率差に上限はないが、実質的には1.4程度である。
上記屈折率は、高屈折率層、低屈折率層の屈折率を下記の方法に従って求め、両者の差分として求める。すなわち、(必要により基材を用いて)各屈折率層を単層で作製し、このサンプルを10cm×10cmに断裁した後、下記の方法に従って屈折率を求める。分光光度計として、U−4000型(日立製作所社製)を用いて、各サンプルの測定面とは反対側の面(裏面)を粗面化処理した後、黒色のスプレーで光吸収処理を行って裏面での光の反射を防止して、5度正反射の条件にて可視光領域(400nm〜700nm)の反射率を25点測定して平均値を求め、その測定結果より平均屈折率を求める。
隣接した層界面での反射は、層間の屈折率比に依存するのでこの屈折率比が大きいほど、反射率が高まる。また、単層膜でみたとき層表面における反射光と、層底部における反射光の光路差を、n・d=波長/4、で表される関係にすると位相差により反射光を強めあうよう制御出来、反射率を上げることができる。ここで、nは屈折率、またdは層の物理膜厚、n・dは光学膜厚である。この光路差を利用することで、反射を制御出来る。この関係を利用して、各層の屈折率と膜厚を制御して、可視光や、近赤外光の反射を制御する。即ち、各層の屈折率、各層の膜厚、各層の積層のさせ方で、特定波長領域の反射率をアップさせることができる。
本形態の積層フィルムは反射率をアップさせる特定波長領域を変えることにより、可視光反射フィルムや近赤外線反射フィルムとすることができる。即ち、反射率をアップさせる特定波長領域を可視光領域に設定すれば可視光線反射フィルムとなり、近赤外領域に設定すれば近赤外線反射フィルムとなる。また、反射率をアップさせる特定波長領域を紫外光領域に設定すれば、紫外線反射フィルムとなる。本形態の積層フィルムを遮熱フィルムに用いる場合は、(近)赤外反射(遮蔽)フィルムとすればよい。赤外反射フィルムの場合、JIS R3106:1998で示される可視光領域の550nmでの透過率が50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、75%以上であることがさらに好ましい。また、1200nmでの透過率が35%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましく、20%以下であることがさらに好ましい。かような好適な範囲となるように光学膜厚とユニットを設計することが好ましい。また、波長900nm〜1400nmの領域に反射率50%を超える領域を有することが好ましい。
[低屈折率層と高屈折率層]
本明細書において、「高屈折率層」および「低屈折率層」なる用語は、隣接した2層の屈折率差を比較した場合に、屈折率が高い方の屈折率層を高屈折率層とし、低い方の屈折率層を低屈折率層とすることを意味する。したがって、「高屈折率層」および「低屈折率層」なる用語は、積層フィルムを構成する各屈折率層において、隣接する2つの屈折率層に着目した場合に、各屈折率層が同じ屈折率を有する形態以外のあらゆる形態を含むものである。
屈折率層の1層あたりの厚み(乾燥後の厚み)は、20〜1000nmであることが好
ましく、50〜500nmであることがより好ましく、100〜300nmであることがさらにより好ましく、100〜200nmであることが特に好ましい。屈折率層の1層あたりの厚みは、ダイスの押出口におけるフィルム厚さ方向の幅を変更すること、および/または延伸条件により、調節することができる。なお、積層体を延伸する場合は、上記膜厚は延伸後の厚さを示す。
[ポリマー]
低屈折率層及び高屈折率層は必須にポリマー材料を含む。屈折率層を形成するのがポリマー材料であれば、塗布やスピンコートなどの成膜方法が選択可能となる。これらの方法は簡便であり、基材の耐熱性を問わないので選択肢が広く、特に樹脂基材に対して有効な成膜方法といえる。たとえば塗布型ならばロール・ツー・ロール法などの大量生産方式が採用でき、コスト面でもプロセス時間面でも有利になる。また、ポリマー材料を含む膜はフレキシブル性が高いため、生産時や運搬時に巻き取りを行っても、これらの欠陥が発生しづらく、取扱性に優れているという長所がある。
屈折率層に含まれるポリマーは、特に制限されず、特表2002−509279号公報(米国特許第6,049,419号明細書に相当する)に記載のものを用いることができる。具体例としては、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)およびその異性体(例えば、2,6−、1,4−、1,5−、2,7−および2,3−PEN)、ポリアルキレンテレフタレート(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、およびポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリイミド(例えば、ポリアクリルイミド)、ポリエーテルイミド、アタクチックポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメタクリレート(例えば、ポリイソブチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、およびポリメチルメタクリレート(PMMA))、ポリアクリレート(例えば、ポリブチルアクリレート、およびポリメチルアクリレート)、セルロース誘導体(例えば、エチルセルロース、アセチルセルロース、セルロースプロピオネート、アセチルセルロースブチレート、および硝酸セルロース)、ポリアルキレンポリマー(例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン、ポリイソブチレン、およびポリ(4−メチル)ペンテン)、フッ素化ポリマー(例えば、パーフルオロアルコキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、およびポリクロロトリフルオロエチレン)、塩素化ポリマー(例えば、ポリ塩化ビニリデンおよびポリ塩化ビニル)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリエーテルアミド、アイオノマー樹脂、エラストマー(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレンおよびネオプレン)、ならびにポリウレタンが挙げられる。コポリマー、例えば、PENのコポリマー[例えば、(a)テレフタル酸もしくはそのエステル、(b)イソフタル酸もしくはそのエステル、(c)フタル酸もしくはそのエステル、(d)アルカングリコール、(e)シクロアルカングリコール(例えば、シクロヘキサンジメタノールジオール)、(f)アルカンジカルボン酸、および/または(g)シクロアルカンジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸)と2,6−、1,4−、1,5−、2,7−、および/または2,3−ナフタレンジカルボン酸またはそれらのエステルとのコポリマー]、ポリアルキレンテレフタレートのコポリマー[例えば、(a)ナフタレンジカルボン酸もしくはそのエステル、(b)イソフタル酸もしくはそのエステル、(c)フタル酸もしくはそのエステル、(d)アルカングリコール、(e)シクロアルカングリコール(例えば、シクロヘキサンジメタノールジオール)、(f)アルカンジカルボン酸、および/または(g)シクロアルカンジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸)と、テレフタル酸もしくはそのエステルとのコポリマー]、並びにスチレンコポリマー(例えば、スチレン−ブタジエンコポリマー、およびスチレン−アクリロニトリルコポリマー)、4,4−ビス安息香酸およびエチレングリコールも適している。さらに、各層はそれぞれ、2種またはそれ以上の上記のポリマーまたはコポリマーのブレンド(例えば、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)とアタクチックポリスチレンとのブレンド)を包含してよい。本形態において、高屈折率層および低屈折率層を形成するポリマーの好ましい組み合わせとしては、PEN/PMMA、PET/PMMA、PE/PMMA、PE/ポリフッ化ビニリデン、PEN/ポリフッ化ビニリデン、PEN/PET、PEN/ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
屈折率層に含まれるポリマーの重量平均分子量は、10000〜1000000程度であり、50000〜800000であることが好ましい。なお、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した値を採用する。
また、屈折率層中、ポリマーの含有量は、各屈折率層の全固形分に対して、例えば、30〜100質量%であり、好ましくは50〜100質量%であり、より好ましくは70〜100質量%である。
上記形態において、誘電体多層膜は溶融押出成形によって形成されうる。より具体的には、例えば特表2002−509279号公報(米国特許第6,049,419号明細書に相当する)に記載されるように、樹脂を溶融して得られた溶融樹脂を、(多層)押出しダイスよりキャスティングドラム上に押出した後、急冷する。この際、溶融樹脂の押出し冷却後、樹脂シートを延伸させてもよい。塗布法や溶液流涎法のような溶媒を用いる方法と異なり、溶融押出成形によれば溶媒を用いずに誘電体多層膜を形成することができる。従って、溶融押出成形により誘電体多層膜を形成することは、製造効率の観点から利点がある。上記形態に係る積層フィルムは、第1のポリマーを含有する高屈折率層と第2のポリマーを含有する低屈折率層とが同時に積層される、多層押出しによって誘電体多層膜が形成されたものであることが好ましい。
[ポリビニルアルコール系樹脂]
本発明の他の実施形態において、前記高屈折率層および前記低屈折率層に含まれるポリマーは、バインダーとして機能する水溶性高分子であることが好ましい。高屈折率層および低屈折率層は、水溶性高分子を含むことで、有機溶剤による環境上の問題を解決することができ、また塗膜の柔軟性も達成することができるから好ましい。なお、高屈折率層および低屈折率層に含有されるポリマーは、同じ構成成分であってもよく、異なる構成成分であってもよいが、異なることが好ましい。水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコールまたはその誘導体(ポリビニルアルコール系樹脂)、ゼラチン、または増粘多糖類などが挙げられるが、塗布ムラや膜厚均一性(ヘイズ)などの向上効果の観点から、屈折率層はポリマーとしてポリビニルアルコールまたはその誘導体を含むことが好ましい。ポリマーは、単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。また、ポリマーは、合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
ポリマーは特に制限されず、WO 2012/128109、特開2013−121567号公報、特開2013−148849号公報等の、高屈折率層および前記低屈折率層に使用される公知のポリマーが同様にして使用できる。具体的には、ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他、各種の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が1,000以上であることが好ましく、平均重合度が1,500〜5,000であることが特に好ましい。また、ケン化度は、70〜100モル%であることが好ましく、80〜99.9モル%であることが特に好ましい。
変性ポリビニルアルコールとしては、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、ノニオン変性ポリビニルアルコール、エチレン変性ポリビニルアルコール、ビニルアルコール系ポリマーが挙げられる。また、酢酸ビニル系樹脂(例えば、株式会社クラレ製「エクセバール」)、ポリビニルアルコールにアルデヒドを反応させて得られるポリビニルアセタール樹脂(例えば、積水化学工業株式会社製「エスレック」)、シラノール基を有するシラノール変性ポリビニルアルコール(例えば、株式会社クラレ製「R−1130」)、分子内にアセトアセチル基を有する変性ポリビニルアルコール系樹脂(例えば、日本合成化学工業株式会社製「ゴーセファイマー(登録商標)Z/WRシリーズ」)等もポリビニルアルコール系樹脂に含まれる。
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号公報に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号公報および同63−307979号公報に記載されているようなビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体、および特開平7−285265号公報に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号公報に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載されているような疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体、シラノール基を有するシラノール変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基やカルボニル基、カルボキシル基などの反応性基を有する反応性基変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号公報に記載されているような、第1級〜第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
エチレン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開2009−107324号公報、特開2003−248123号公報、特開2003−342322号公報、特願2013−206813などに記載されるものが使用できる。または、エクセバール(商品名:株式会社クラレ製)等の市販品を使用してもよい。
ビニルアルコール系ポリマーとしては、エクセバール(商品名:株式会社クラレ製)やニチゴーGポリマー(商品名:日本合成化学工業株式会社製)などが挙げられる。
なお、上述のポリビニルアルコールは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、ポリビニルアルコールは合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
ポリビニルアルコールの重量平均分子量は、1,000〜200,000であることが好ましく、3,000〜60,000であることがより好ましい。なお、本明細書において、「重量平均分子量」の値は、静的光散乱法、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC)、TOFMASSなどによって測定した値を採用するものとする。水溶性高分子の重量平均分子量が上記範囲にあると、湿式製膜法における塗布が可能となり、生産性を向上させることができることから好ましい。
屈折率層における水溶性高分子の含有量は、低屈折率層の全固形分に対して、5〜75質量%であることが好ましく、10〜70質量%であることがより好ましい。水溶性高分子の含有量が5質量%以上であると、湿式製膜法で低屈折率層を形成する場合に、塗布して得られた塗膜の乾燥時に、膜面が乱れによる透明性の劣化を防止できることから好ましい。一方、水溶性高分子の含有量が75質量%以下であると、低屈折率層中に金属酸化物粒子を含有する場合に好適な含有量となり、低屈折率層と高屈折率層との屈折率差を大きくできることから好ましい。なお、本明細書において、水溶性高分子の含有量は、蒸発乾固法の残固形分より求められる。具体的には、積層フィルムを95℃の熱水に2時間浸し、残ったフィルムを除去した後、熱水を蒸発させ、得られた固形物の量を水溶性高分子量とする。この際、IR(赤外分光)スペクトルにおいて1700〜1800cm−1、900〜1000cm−1、および800〜900cm−1の領域にそれぞれ1つずつピークが見られる場合、その水溶性高分子はポリビニルアルコールであると断定することができる。
[金属酸化物粒子]
本形態の積層フィルムにおける低屈折率層または高屈折率層の少なくとも一方は、金属酸化物(粒子)を含有してもよい。金属酸化物粒子を含有することで各屈折率層間の屈折率差を大きくすることができ、反射特性が向上する。低屈折率層および高屈折率層の双方が金属酸化物粒子を含有することにより、屈折率差をより大きくすることができる。金属酸化物粒子を含むことにより、積層数を低減することができ、薄膜とすることができる。層数を減らすことで、生産性が向上し、積層界面での散乱による透明性の減少を抑制することができる。
金属酸化物粒子としては、金属酸化物を構成する金属が、Li、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Rb、Sr、Y、Nb、Zr、Mo、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Ta、Hf、W、Ir、Tl、Pb、Bi及び希土類金属からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属である金属酸化物を用いることができる。
《高屈折率層中の金属酸化物粒子》
高屈折率層に用いる金属酸化物粒子としては、例えば、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、アルミナ、コロイダルアルミナ、チタン酸鉛、鉛丹、黄鉛、亜鉛黄、酸化クロム、酸化第二鉄、鉄黒、酸化銅、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化バリウム、酸化インジウム、酸化ユーロピウム、酸化ランタン、ジルコン、酸化スズ、酸化鉛、ならびにこれら酸化物より構成される複酸化物であるニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸リチウム、アルミニウム・マグネシウム酸化物(MgAl)などが挙げられる。
また、金属酸化物粒子として、希土類酸化物を用いることもでき、具体的には、酸化スカンジウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム、酸化サマリウム、酸化ユウロピウム、酸化ガドリニウム、酸化テルビウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化エルビウム、酸化ツリウム、酸化イッテルビウム、酸化ルテチウム等も挙げられる。
高屈折率層に用いられる金属酸化物粒子としては、屈折率が1.90以上の金属酸化物粒子が好ましく、例えば、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化チタン、酸化亜鉛等を挙げることができる。中でも、透明でより屈折率の高い高屈折率層を形成することのできることから、二酸化チタンが好ましく、特にルチル型(正方晶形)酸化チタン粒子を用いることが好ましい。高屈折率層に用いられる金属酸化物粒子は、1種単独であってもよいし、2種以上併用してもよい。
また、金属酸化物粒子は、平均一次粒径が100nm以下であることが好ましく、4〜50nmであることがより好ましい。
高屈折率層で用いられる金属酸化物粒子に用いられる金属酸化物粒子の一次平均粒径は、30nm以下であることが好ましく、1〜30nmであることがより好ましく、5〜15nmであることがさらに好ましい。一次平均粒径が上記範囲であれば、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。
本発明において、酸化チタン粒子は、酸化チタンゾルの表面を変性して水または有機溶剤等に分散可能な状態にしたものを用いることが好ましい。水系の酸化チタンゾルの調製方法としては、例えば、特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報、特開昭63−17221号公報等に記載された事項を参照にすることができる。
高屈折率層で用いられる金属酸化物粒子に用いられる酸化チタンの平均粒径は、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、ヘイズ値が低く可視光透過率に優れる観点から1〜30nmであることがさらに好ましく、1〜20nmであることがより好ましい。なお、ここで平均粒径とは、粒子そのものをレーザー回折散乱法、動的光散乱法、あるいは電子顕微鏡を用いて観察する方法や、屈折率層の断面や表面に現れた粒子像を電子顕微鏡で観察する方法により、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、それぞれd1、d2・・・di・・・dkの粒径を持つ粒子がそれぞれn1、n2・・・ni・・・nk個存在する粒子状の金属酸化物の集団において、粒子1個当りの体積をviとした場合に、平均粒径mv={Σ(vi・di)}/{Σ(vi)}で表される体積で重み付けされた体積平均粒径である。
また本発明において、酸化チタンが含ケイ素の水和酸化物で被覆されたコアシェル粒子の形態であってもよい。当該コアシェル粒子は、酸化チタン粒子の表面を、コアとなる酸化チタンに含ケイ素の水和酸化物からなるシェルが被覆してなる構造を有する。かようなコアシェル粒子を高屈折率層に含有させることで、シェル層の含ケイ素の水和酸化物と水溶性樹脂との相互作用により、低屈折率層と高屈折率層との層間混合が抑制されうる。ここで、「被覆」とは、酸化チタン粒子の表面の少なくとも一部に、含ケイ素の水和酸化物が付着されている状態を意味する。すなわち、金属酸化物粒子として用いられる酸化チタン粒子の表面が、完全に含ケイ素の水和酸化物で被覆されていてもよく、酸化チタン粒子の表面の一部が含ケイ素の水和酸化物で被覆されていてもよい。被覆された酸化チタン粒子の屈折率が含ケイ素の水和酸化物の被覆量により制御される観点から、酸化チタン粒子の表面の一部が含ケイ素の水和酸化物で被覆されることが好ましい。以下ではこのような被覆された酸化チタン粒子を「シリカ付着二酸化チタンゾル」とも称する。
含ケイ素の水和酸化物で被覆された酸化チタン粒子の酸化チタンはルチル型であってもアナターゼ型であってもよいが、ルチル型がより好ましい。これは、ルチル型の酸化チタン粒子が、アナターゼ型の酸化チタン粒子より光触媒活性が低いため、高屈折率層や隣接した低屈折率層の耐候性が高くなり、さらに屈折率が高くなるためである。
本明細書における「含ケイ素の水和酸化物」とは、無機ケイ素化合物の水和物、有機ケイ素化合物の加水分解物および/または縮合物のいずれでもよいが、本形態の効果を得るためにはシラノール基を有することがより好ましい。
含ケイ素の水和酸化物の被覆量は、金属酸化物粒子に対して3〜30質量%、好ましくは3〜10質量%、より好ましくは3〜8質量%である。被覆量が30質量%以下であると、高屈折率層の高屈折率化が容易となり、被覆量が3質量%以上であると、被覆した粒子を安定に形成することができるからである。
酸化チタン粒子を含ケイ素の水和酸化物で被覆する方法としては、従来公知の方法により製造することができ、例えば、特開平10−158015号公報、特開2000−204301号公報、特開2007−246351号公報等に記載された事項を参照することができる。
一般的に、酸化チタン粒子は、粒子表面の光触媒活性の抑制や、溶媒等への分散性を向上する目的で、表面処理が施された状態で使用されることが多く、表面処理としては、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、ジルコニア等、1種またその2種類以上で処理されているものが好ましい。より具体的には、酸化チタン粒子表面をシリカからなる被覆層で覆われ、粒子表面が負電荷を帯びたものや、アルミニウム酸化物からなる被覆層が形成されたpH8〜10で表面が正電荷を帯びたものが知られている。
高屈折率層における金属酸化物粒子の含有量としては、高屈折率層の固形分100質量%に対して、赤外遮蔽の観点および曲面形状のガラスにフィルムを適用した場合の色ムラ低減の観点から、20〜80質量%であることが好ましく、30〜75質量%であることがより好ましく、40〜70質量%であることがさらに好ましい。
《低屈折率層中の金属酸化物粒子》
主に低屈折率層に用いられる金属酸化物粒子としては、金属酸化物粒子として二酸化ケイ素を用いることが好ましく、コロイダルシリカを用いることが特に好ましい。低屈折率層に含まれる金属酸化物粒子(好ましくは二酸化ケイ素)は、その平均粒径が3〜100nmであることが好ましい。一次粒子の状態で分散された二酸化ケイ素の一次粒子の平均粒径(塗布前の分散液状態での粒径)は、3〜50nmであるのがより好ましく、3〜40nmであるのがさらに好ましく、3〜20nmであるのが特に好ましく、4〜10nmであるのが最も好ましい。また、二次粒子の平均粒径としては、30nm以下であることが、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。低屈折率層中の金属酸化物の平均粒径は、粒子そのものあるいは屈折率層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
低屈折率層における金属酸化物粒子の含有量としては、低屈折率層の固形分に対して、屈折率の観点から、5〜70質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがさらに好ましい。
コロイダルシリカは、珪酸ナトリウムの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通過させて得られるシリカゾルを加熱熟成して得られるものであり、たとえば、特開昭57−14091号公報、特開昭60−219083号公報、特開昭60−219084号公報、特開昭61−20792号公報、特開昭61−188183号公報、特開昭63−17807号公報、特開平4−93284号公報、特開平5−278324号公報、特開平6−92011号公報、特開平6−183134号公報、特開平6−297830号公報、特開平7−81214号公報、特開平7−101142号公報、特開平7−179029号公報、特開平7−137431号公報、および国際公開第94/26530号パンフレットなどに記載されているものである。この様なコロイダルシリカは合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。コロイダルシリカは、その表面をカチオン変性されたものであってもよく、また、Al、Ca、MgまたはBa等で処理された物であってもよい。
このようなコロイダルシリカは合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。市販品としては、日産化学工業(株)から販売されているスノーテックスシリーズ(スノーテックスOS、OXS、S、OS、20、30、40、O、N、C等)が挙げられる。
(その他の添加物)
各屈折率層は、上記以外にも、例えば、特開昭57−74193号公報、同57−87988号公報および同62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号公報、同57−87989号公報、同60−72785号公報、同61−146591号公報、特開平1−95091号公報および同3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号公報、同59−52689号公報、同62−280069号公報、同61−242871号公報および特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有していてもよい。これらの添加物の含有量は、屈折率層の固形分に対して、0.1〜10質量%であることが好ましい。
または、各屈折率層が水溶性高分子を含む場合には、水溶性高分子を硬化させるために、硬化剤を使用することもできる。硬化剤としては、ホウ酸及びその塩、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬化剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬化剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5,−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミニウム明礬、ホウ砂等が挙げられる。屈折率層における硬化剤の含有量は、屈折率層の固形分に対して、1〜10重量%であることが好ましい。
または、各屈折率層は、塗布時の表面張力調整のために、界面活性剤を含んでもよい。ここで、界面活性剤としてアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤などを用いることができるが、アニオン系界面活性剤がより好ましい。好ましい化合物としては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホン酸基又はその塩を含有するものが挙げられる。各屈折率層における界面活性剤の含有量は、屈折率層の固形分に対して、0.01〜5質量%であることが好ましい。
以上、機能層が誘電体多層膜である場合を例に挙げて、その構成を具体的に説明したが、機能層は誘電体多層膜以外の種々の機能性層であっても本発明は適用可能である。機能層としての、誘電体多層膜以外の機能性層としては、例えば、帯電防止層、密着付与中間層、色材層などが挙げられ、これらの具体的な構成については従来公知の知見が適宜参照されうる。
[粘着層]
また、本発明に係る積層フィルムは、粘着層を有していてもよい。この粘着層は通常、積層フィルムの最表面に設けられ、さらに公知の剥離紙がさらに設けられていてもよい。粘着層の構成としては、特に制限されず、例えば、ドライラミネート剤、ウエットラミネート剤、粘着剤、ヒートシール剤、ホットメルト剤等のいずれもが用いられる。粘着剤としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ニトリルゴム等が用いられる。
〈積層フィルムの用途〉
上述の本形態の積層フィルムは、幅広い分野に応用することができる。例えば、建物の屋外の窓や自動車窓等の長期間太陽光に晒らされる設備に貼り合せ、熱線反射効果を付与する熱線反射フィルム等の窓貼用フィルムや、農業用ビニールハウス用フィルム等として、主として耐候性を高める目的で用いられる。また、自動車用の合わせガラスなどのガラスとガラスとの間に挟む、自動車用積層フィルムとしても好適に用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の実施例および比較例では、基材および熱線遮蔽性金属酸化物を含有するハードコート層を備える遮熱性能を有する積層フィルム(以下、「遮熱フィルム」とも称する)を作製し、各種評価を行った。
《遮熱フィルムの作製》
〈塗布液の調製〉
実施例および比較例の遮熱フィルムの作製に使用する塗布液を下記のように調製した。
(低屈折率層塗布液の調製)
380質量部のコロイダルシリカ(10質量%、スノーテックスOXS、日産化学工業株式会社製)、50質量部のホウ酸水溶液(3質量%)、300質量部のポリビニルアルコール(4質量%、JP−45、重合度:4500、ケン化度:88mol%、日本酢ビ・ポバール株式会社製)、3質量部の界面活性剤(5質量%、ソフタゾリンLSB−R、川研ファインケミカル株式会社製)、を45℃でこの順に添加した。純水で1000質量部に仕上げ、低屈折率層用塗布液を調製した。
(高屈折率層用塗布液の調製)
(シリカ付着二酸化チタンゾルの調製)
二酸化チタンゾル(15.0質量%、SRD−W、体積平均粒径:5nm、ルチル型二酸化チタン粒子、堺化学社製)0.5質量部に純水2質量部を加えた後、90℃に加熱した。次いで、ケイ酸水溶液(ケイ酸ソーダ4号、日本化学社製)をSiO濃度が0.5質量%となるように純水で希釈したもの)0.5質量部を徐々に添加し、ついでオートクレーブ中、175℃で18時間加熱処理を行い、冷却後、限外濾過膜にて濃縮することにより、固形分濃度20質量%の、SiOを表面に付着させた二酸化チタンゾル(「シリカ付着二酸化チタンゾル」とも称する)(体積平均粒径:9nm)を得た。
このようにして得られたシリカ付着二酸化チタンゾル(固形分20質量%)113質量部に対して、クエン酸水溶液(1.92質量%)を48質量部加え、さらにエチレン変性ポリビニルアルコール(8質量%、エクセバールRS−2117、鹸化度:97.5〜99モル%、クラレ社製)113質量部を加えて撹拌し、最後に界面活性剤(ソフタゾリンLSB−R、川研ファインケミカル社製)の5質量%水溶液0.4質量部を加えて、高屈折率層塗布液を調製した。
(ハードコート層用塗布液HC1の調製)
紫外線硬化性モノマーとしてビームセット577(荒川化学工業株式会社製)45質量部と、紫光UV−7600B(日本合成化学工業株式会社製)45質量部と、アロニックスM305(東亞合成株式会社製)5質量部と、アロニックスM402(東亞合成株式会社製)5質量部とを混合し、熱線遮蔽性金属酸化物としてセシウムドープト酸化タングステン分散液(YMF−02A、全固形分濃度28質量%(セシウムドープト酸化タングステン濃度18.5質量%)、組成:Cs0.33WO、平均粒子径50nm住友金属鉱山株式会社製)200質量部、(メタ)アクリル変性シリコーン化合物としてEBECRYL350(ダイセル・オルネクス株式会社製)0.001質量部、溶媒としてメチルエチルケトン367質量部、を加えた。さらに、重合開始剤としてIrgacure184(BASFジャパン株式会社製)3質量部、フッ素系界面活性剤(フタージェント650A、株式会社ネオス製)0.05質量部を添加して、ハードコート層用塗布液HC1を調製した。
(ハードコート層用塗布液HC2の調製)
(メタ)アクリル変性シリコーン化合物としてのEBECRYL350(ダイセル・オルネクス株式会社製)の添加量を0.01質量部に変更した以外は、ハードコート層用塗布液HC1と同様にしてハードコート層用塗布液HC2を調製した。
(ハードコート層用塗布液HC3の調製)
(メタ)アクリル変性シリコーン化合物としてのEBECRYL350(ダイセル・オルネクス株式会社製)の添加量を0.1質量部に変更した以外は、ハードコート層用塗布液HC1と同様にしてハードコート層用塗布液HC3を調製した。
(ハードコート層用塗布液HC4の調製)
(メタ)アクリル変性シリコーン化合物としてのEBECRYL350(ダイセル・オルネクス株式会社製)の添加量を2質量部に変更した以外は、ハードコート層用塗布液HC1と同様にしてハードコート層用塗布液HC4を調製した。
(ハードコート層用塗布液HC5の調製)
(メタ)アクリル変性シリコーン化合物としてのEBECRYL350(ダイセル・オルネクス株式会社製)の添加量を5質量部に変更した以外は、ハードコート層用塗布液HC1と同様にしてハードコート層用塗布液HC5を調製した。
(ハードコート層用塗布液HC6の調製)
重合開始剤として、Irgacure184(BASFジャパン株式会社製)3質量部に変えて、Irgacure651(BASFジャパン株式会社製)4質量部を添加した以外は、ハードコート層用塗布液HC3と同様にしてハードコート層用塗布液HC6を調製した。
(ハードコート層用塗布液HC7の調製)
重合開始剤として、Irgacure184(BASFジャパン株式会社製)3質量部に変えて、Irgacure127(BASFジャパン株式会社製)5質量部を添加した以外は、ハードコート層用塗布液HC3と同様にしてハードコート層用塗布液HC7を調製した。
(ハードコート層用塗布液HC8の調製)
重合開始剤として、Irgacure184(BASFジャパン株式会社製)3質量部に変えて、Irgacure127(BASFジャパン株式会社製)5質量部とIrgacure819(BASFジャパン株式会社製)3質量部を添加した以外はハードコート層用塗布液HC3と同様にしてハードコート層用塗布液HC8を調製した。
(ハードコート層用塗布液HC9の調製)
重合開始剤として、Irgacure184(BASFジャパン株式会社製)3質量部に変えて、Irgacure907(BASFジャパン株式会社製)4質量部を添加した以外は、ハードコート層用塗布液HC3と同様にしてハードコート層用塗布液HC9を調製した。
(ハードコート層用塗布液HC10の調製)
(メタ)アクリル変性シリコーン化合物としてのEBECRYL350(ダイセル・オルネクス株式会社製)を添加しない以外は、ハードコート層用塗布液HC1と同様にしてハードコート層用塗布液HC10を調製した。
(ハードコート層用塗布液HC11の調製)
(メタ)アクリル変性シリコーン化合物としてのEBECRYL350(ダイセル・オルネクス株式会社製)の添加量を10質量部に変更した以外は、ハードコート層用塗布液HC1と同様にしてハードコート層用塗布液HC5を調製した。
(ハードコート層用塗布液HC12の調製)
重合開始剤として、Irgacure184(BASFジャパン株式会社製)3質量部に変えて、Irgacure819(BASFジャパン株式会社製)6質量部を添加した以外は、ハードコート層用塗布液HC3と同様にしてハードコート層用塗布液HC12を調製した。
(ハードコート層用塗布液HC13の調製)
重合開始剤として、Irgacure184(BASFジャパン株式会社製)3質量部に変えて、LucirinTPO(BASFジャパン株式会社製)5質量部を添加した以外は、ハードコート層用塗布液HC3と同様にしてハードコート層用塗布液HC13を調製した。
(ハードコート層用塗布液HC14の調製)
重合開始剤として、Irgacure184(BASFジャパン株式会社製)3質量部に変えて、IrgacureOXE02(BASFジャパン株式会社製)6質量部を添加した以外は、ハードコート層用塗布液HC3と同様にしてハードコート層用塗布液HC14を調製した。
(遮熱フィルム試料1の作製:実施例1)
基材(厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム、コスモシャインA4300、東洋紡株式会社製)上に、ハードコート層用塗布液HC1を、グラビアコーターにて乾燥膜厚が5μmとなる条件で塗布し、90℃で1分間乾燥させた。次に、紫外線ランプを用いて、照度100mW/cm、照射量0.5J/cmの条件で塗膜の基材から遠い面側から紫外線を照射することにより塗膜を硬化させてハードコート層を形成し、遮熱フィルム試料1を作製した。
(遮熱フィルム試料2〜5の作製:実施例2〜5)
ハードコート層用塗布液HC1を、それぞれハードコート層用塗布液HC2〜5に変更した以外は、遮熱フィルム試料1と同様にして遮熱フィルム試料2〜5を作製した。
(遮熱フィルム試料6の作製:実施例6)
スライドホッパー塗布装置を用い、低屈折率層用塗布液および高屈折率層用塗布液を45℃に保温しながら、45℃に加温した基材(厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム、コスモシャインA4300、東洋紡株式会社製)上に、11層同時重層塗布(総膜厚;1.5μm)を行った。この際、最下層および最上層は低屈折率層とし、それ以外は低屈折率層および高屈折率層がそれぞれ交互に積層されるように設定した。塗布量については、乾燥時の膜厚が低屈折率層は各層150nm、高屈折率層は各層120nmになるように調節した。塗布直後、5℃の冷風を5分吹き付けたのち、80℃の温風を吹き付けて乾燥させて、11層からなる誘電体多層膜を作製した。
次いで、基材の誘電体多層膜を形成した側とは反対側に、ハードコート層用塗布液HC3を、グラビアコーターにて乾燥膜厚が5μmとなる条件で塗布し、90℃で1分間乾燥させた。次に、紫外線ランプを用いて、照度100mW/cm、照射量0.5J/cmの条件で塗膜の基材から遠い面側から紫外線を照射することにより塗膜を硬化させてハードコート層を形成し、遮熱フィルム試料6を作製した。
(遮熱フィルム試料7〜10の作製:実施例7〜10)
ハードコート層用塗布液HC3を、それぞれハードコート層用塗布液HC6〜9に変更した以外は、遮熱フィルム試料6と同様にして遮熱フィルム試料7〜10を作製した。
(遮熱フィルム試料11の作製:実施例11)
米国特許第6049419号明細書に記載の溶融押し出し方法に従い、ポリエチレンナフタレート(PEN)(TN8065S、帝人化成社製)とポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂(アクリペットVH、三菱レイヨン社製)とを、300℃に溶融し、押出しにより積層し、(PMMA(152nm)/PEN(137nm))64/(PMMA(164nm)/PEN(148nm))64となるように縦横約3倍に延伸した後、熱固定、冷却を行って、計128層交互積層した。ここで、上記層構成において、「(PMMA(152nm)/PEN(137nm))64」とは、膜厚152nmのPMMA、膜厚137nmのPENをこの順に積層したユニットを64個積層させたという意味である。さらに、最下層と最上層はPET(10μm)を押し出して上記構成を挟み、積層体を得た。なお、当該積層体において、PET層は基材であり、PMMA/PENの交互積層部分は誘電体多層膜として機能する。
上記積層体のPET層の上に、上記ハードコート層用塗布液HC9を、グラビアコーターにて乾燥膜厚が5μmとなる条件で塗布し、90℃で1分間乾燥させた。次に、紫外線ランプを用いて、照度100mW/cm、照射量0.5J/cmの条件で塗膜の基材から遠い面側から紫外線を照射することにより塗膜を硬化させてハードコート層を形成し、遮熱フィルム試料11を作製した。
(遮熱フィルム試料12〜16の作製:比較例1〜5)
ハードコート層用塗布液HC1を、それぞれハードコート層用塗布液HC10〜14に変更した以外は、遮熱フィルム試料1と同様にして遮熱フィルム試料12〜16を作製した。
《遮熱フィルムの評価》
〈ヘイズ〉
ヘイズメーター(NDH2000型、日本電色工業社製)を用いてヘイズを測定し、遮熱フィルム試料10枚の平均値を算出した。
〈色調変化(変色)〉
上記作製した遮熱フィルム試料を、ガラスに貼り付け、スーパーキセノンウェザーメーター(スガ試験機 SX75)を用いて、放射強度180W/m、降雨18分/120分のサイクル条件で1000時間照射を行った(耐候試験)。分光光度計(積分球使用、日立製作所社製、U−4000型)を用いて透過スペクトルを測定し、耐候試験前後の色差(ΔE)を算出した。試験サンプル6枚の平均値で、下記のランクを付けた。
◎ ΔEが1.5未満
○ ΔEが1.5以上〜2.0未満
△ ΔEが2.0以上〜2.5未満
× ΔEが2.5以上。
〈水蒸気透過率〉
上記遮熱フィルムにおいて、ハードコート層を厚み方向に2等分したときの、基材に近い側の部分における膜厚10μm相当の水蒸気透過率Va[g/m/日]と、基材から遠い側の部分における膜厚10μm相当の水蒸気透過率Vb[g/m/日]は以下の方法により求めた。
まず、ハードコート層を形成する前の基材の水蒸気透過率V[g/m/日]と、遮熱フィルムにおける水蒸気透過率V[g/m/日]をMOCON水蒸気透過率測定装置(OX−TRAN1/50、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて測定した。
次に、遮熱フィルムのハードコート層を、表面切削装置サイカスNN04型(ダイプラ・ウィンテス株式会社製)を用いて厚みが半分になるよう切削したものを作製し、水蒸気透過率V[g/m/日]を同様にして測定した。
上記測定値を下記式にあてはめ、Va[g/m/日]とVb[g/m/日]を求めた。
=1/{1/V+1/(Va×10/T)+1/(Vb×10/T)}
=1/{1/V+1/(Va×10/T)}
ここでハードコート層の膜厚は2T(μm)である。
以上の評価結果を表1に示す。
《遮熱体の作製と評価》
上記遮熱フィルム試料1〜11を用いて遮熱体1〜11を作製した。厚さ5mm、20cm×20cmの透明アクリル樹脂板上に、遮熱フィルム試料1〜11をアクリル接着剤で接着して、それぞれ遮熱体1〜11を作製した。
上記作製した遮熱体1〜11は、サイズが大きいにもかかわらず、容易に利用可能であり、また、本発明の遮熱フィルム試料1〜11を利用することで、優れた遮熱性能を確認することができた。誘電体多層膜を有する遮熱フィルム試料6〜11を利用した場合に、特に優れた遮熱性能を確認することができた。
表1の結果より、本発明の遮熱フィルム(実施例1〜11)は、耐候試験後においても色調の変化が少ないことが示された。
また、ハードコート層用塗布液における、(メタ)アクリル変性シリコーン化合物の含有量が0.001〜3質量%の範囲内である実施例2〜4、6〜11は、ヘイズが小さく、ハードコート層を厚み方向に2等分したときの、基材に近い側の部分における透湿度(水蒸気透過率)に対し、基材から遠い側の部分における透湿度がより一層低く(26g/m/日以上)、ハードコート層の色調変化がより一層少ないことが分かった。
さらに、重合開始剤として313nmでのモル吸光係数が200以上である化合物を使用した実施例8〜11は、ハードコート層の基材に近い側の部分における透湿度に対する基材から遠い部分の透湿度(水蒸気透過率)が特に低く(53g/m/日以上)、ハードコート層の色調変化が特に少ないことが分かった。
なお、誘電体多層膜を備える実施例6〜11は優れた遮熱性能を有することが確認された。

Claims (7)

  1. 基材と、
    前記基材の少なくとも一方の面側に配置された少なくとも1層のハードコート層と、
    を有し、
    前記ハードコート層は、熱線遮蔽性金属酸化物を含み、
    前記ハードコート層を厚み方向に2等分したときに、前記基材に近い側の部分における膜厚10μm相当の水蒸気透過率に対し、前記基材から遠い側の部分における膜厚10μm相当の水蒸気透過率が10g/m/日以上低い、積層フィルム。
  2. 基材と、
    前記基材の少なくとも一方の面側に配置された少なくとも1層のハードコート層と、
    を有し、
    前記ハードコート層は、ハードコート層用塗布液を基材上に塗布し、塗膜の基材から遠い面側から紫外線を照射し、塗膜を硬化させることによって形成されてなり、
    前記ハードコート層用塗布液は、紫外線硬化性モノマーと、熱線遮蔽性金属酸化物と、(メタ)アクリル変性シリコーン化合物と、下記一般式(1)または一般式(2)で表される少なくとも1種を含む重合開始剤とを含み、
    前記ハードコート層用塗布液における、前記(メタ)アクリル変性シリコーン化合物の含有量は、当該塗布液の固形分に対し、4質量%以下である、積層フィルム。
    一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基を表し、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、チオメチル基を表し、X〜Xのうちの少なくとも1つは、それぞれ独立して、−OH、−OR、−NH、−NR、モルフォリノ基を表し、ここで、Rは、それぞれ独立して、メチル基、エチル基を表し、RおよびRは、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、フェニル基を表し、この際、RおよびRは、互いに連結して環を形成していてもよく、X〜Xのうちの残余は、それぞれ独立して、メチル基、エチル基を表すか、または、X〜Xのうちの残余2つが互いに連結してシクロヘキシル基を表す;
    一般式(2)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基を表し、X〜Xのうちの少なくとも1つおよびX〜Xのうちの少なくとも1つは、それぞれ独立して、−OH、−OR、−NH、−NR1011、モルフォリノ基を表し、ここで、Rは、それぞれ独立して、メチル基、エチル基を表し、R10およびR11は、それぞれ独立して、メチル基、エチル基を表し、この際、R10およびR11は、互いに連結して環を形成していてもよく、X〜Xのうちの残余および/もしくはX〜Xのうちの残余は、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、フェニル基を表すか、または、X〜Xのうちの残余2つおよび/もしくはX〜Xのうちの残余2つが互いに連結してシクロヘキシル基を表し、Yは、単結合、メチレン基、エチレン基を表す。
  3. 前記熱線遮蔽性金属酸化物は、アンチモンドープト酸化スズ、インジウムドープト酸化スズ、酸化タングステン、セシウムドープト酸化タングステンからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項2に記載の積層フィルム。
  4. 前記ハードコート層用塗布液における、前記(メタ)アクリル変性シリコーン化合物の含有量は、当該塗布液の固形分に対し、0.001〜3質量%である、請求項2または3に記載の積層フィルム。
  5. 前記一般式(1)または一般式(2)で表される化合物は、313nmでのモル吸光係数が200以上である、請求項2〜4のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  6. 前記一般式(1)または一般式(2)で表される化合物は、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オンまたは2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンである、請求項2〜5のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  7. 前記基材の少なくとも一方の面側に機能層を有し、
    前記機能層は、低屈折率層と高屈折率層とが交互に積層されてなる誘電体多層膜である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018106961A (ja) * 2016-12-27 2018-07-05 双葉電子工業株式会社 乾燥剤組成物、封止構造、及び有機el素子
WO2022080420A1 (ja) * 2020-10-14 2022-04-21 住友金属鉱山株式会社 近赤外線吸収粒子、近赤外線吸収粒子の製造方法、近赤外線吸収粒子分散体、近赤外線吸収積層体、近赤外線吸収透明基材

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