JP6673220B2 - 遮熱フィルムおよびその製造方法、ならびにこれを用いた遮熱体 - Google Patents

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Description

本発明は、遮熱フィルムおよびその製造方法、ならびにこれを用いた遮熱体に関する。より詳細には、本発明は、タングステン酸化物を含有するハードコート層を有する遮熱フィルムにおいて、ハードコート層の密着性を改善し、かつハードコート層の変色を防止する技術に関する。さらに、本発明は、かかる遮熱フィルムを含む遮熱体に関する。
省エネルギー対策の一環として、冷房設備にかかる負荷を減らす観点から、建物や車両の窓ガラスに装着させて、太陽光の熱線(赤外線)の透過を遮蔽する遮熱フィルムへの要望が高まってきている。
遮熱フィルムは建物や車両の窓ガラスに貼り付けられて用いられるため、透明性および遮熱性に加え、貼合時や清掃時に傷が入らないような耐傷性も必要とされる。そのため、一般的にはフィルム表面に表面保護を目的としたハードコート層が形成される。
かような遮熱フィルムとしては、たとえば、基材フィルム上の一方の面に、赤外吸収剤である熱線遮蔽性金属酸化物と特定の活性エネルギー線硬化型化合物とを含むハードコート層形成材料から形成されたハードコート層を有し、他方の面に粘着層を有する近赤外線遮蔽フィルムが提案されている。
また、熱線遮蔽性金属酸化物としてタングステン酸化物を用いた遮熱フィルムは、優れた遮熱性を示すことが知られている。しかしながら、タングステン酸化物粒子を用いた遮熱フィルムは、水分の多い環境下で変色が起こりやすく、耐候性の面で課題が残っていた。
かような課題を解決するため、タングステン酸化物、および金属塩を含む赤外線遮蔽材料微粒子分散液から形成された層を基材上に有する赤外遮蔽膜によって、遮熱特性の経時的な劣化を抑制する技術が開示されている(たとえば、特開2009−197146号公報参照)。
しかしながら、特開2009−197146号公報で開示されたフィルムにおいては、タングステン酸化物を有する層と基材との密着性が低く、タングステン酸化物を有する層の剥離が生じるという問題が生じており、改善が望まれていた。また、遮熱フィルムの遮熱特性の経時的な劣化(変色)を防止する効果も十分ではなく、さらなる改善が望まれていた。
そこで、本発明は、タングステン酸化物を含有するハードコート層を有する遮熱フィルムにおいて、ハードコート層の密着性を改善し、かつハードコート層の変色を防止しうる手段を提供することを目的としている。
本発明の上記課題は、以下の手段により解決される。
基材と、前記基材の少なくとも一方の面に配置された、下記(a)〜(c);
(a)タングステン酸化物
(b)1級水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物を必須に含む、(メタ)アクリレート系化合物
(c)カルボン酸塩または無機酸塩である金属塩
を含む、ハードコート層用塗布液の硬化物からなるハードコート層と、を有する、遮熱フィルム。
以下、本発明の実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の形態のみに制限されない。
なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」や「(メタ)アクリル」とは、アクリレートおよびメタアクリレートの総称である。(メタ)アクリル等の(メタ)を含む化合物等も同様に、名称中に「メタ」を有する化合物と「メタ」を有さない化合物の総称である。
また、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件で測定する。
〈遮熱フィルム〉
本発明の一形態は、基材と、前記基材の少なくとも一方の面に配置された、下記(a)〜(c);
(a)タングステン酸化物
(b)1級水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物を必須に含む、(メタ)アクリレート系化合物
(c)金属塩
を含む、ハードコート層用塗布液の硬化物からなるハードコート層と、を有する、遮熱フィルムに関するものである。かような構成を有する本発明の一形態のフィルムによれば、ハードコート層の密着性を改善し、かつハードコート層の変色を防止することができる。
本発明者らは、熱線遮蔽性金属酸化物であるタングステン酸化物を含むハードコート層を有する遮熱フィルムにおいて、ハードコート層の密着性および変色の防止(耐候性)の両立のために鋭意検討を重ねた。そして、1級水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物を必須に含む、(メタ)アクリレート系化合物、および金属塩を添加したハードコート層用塗布液を用いることで、ハードコート層の密着性および変色の防止(耐候性)が両立できるという驚くべき事実を見出し、本発明を完成させた。
本発明者らは、タングステン酸化物、および金属塩を含むハードコート層用塗布液から形成されたハードコート層の密着性が低いことの原因について、金属塩がラジカル捕捉剤として作用して、ハードコート層を形成する紫外線硬化型組成物の硬化が阻害された結果であると考えている。
ここで、本発明の一形態に係るハードコート層によって密着性が改善されるメカニズムとしては、本発明者らは、1級水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物は水素結合によって、(メタ)アクリレート系化合物の反応基同士の距離を短く保つため、金属塩を含有させても、(メタ)アクリレート系化合物の硬化反応が阻害されにくく、架橋密度を高くすることができるからであると推測している。
また、本発明の一形態に係るハードコート層によって変色が防止されるメカニズムとしては、本発明者らは、1級水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物、またはその硬化物の水酸基がタングステン酸化物に吸着すると推測している。ここで、金属塩は、遮熱特性の経時的な劣化を抑制する機能を有しており、かような金属塩の機能は、金属塩がハードコート層中の水分やラジカルを捕捉することに起因すると考えられる。そして、変色が防止される理由は、タングステン酸化物、金属塩、および1級水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物または1級水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物の硬化物が近接して存在することより、タングステン酸化物の劣化の原因となる水分やラジカルを金属塩が捕捉する効果が相乗的に高められるからであると推測している。また、水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物の中でも、1級水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物は、2級水酸基、および3級水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物と比較して、立体的に嵩高くないため、タングステン酸化物((a)成分)に吸着しやすいため、優れた効果を発揮すると推測している。
なお、上記メカニズムは推測に基づくものであり、その正誤が本発明の一形態に係る技術的範囲に影響を及ぼすものではない。また、ハードコート層と基材との間にその他の任意で設けられる層を有する場合についても、上記メカニズムは適用可能と考えている。
[基材]
基材は、ハードコート層や、その他の任意で設けられる層(たとえば、誘電体多層膜などに代表される機能層)を支持する機能を有する。
基材は、種々の樹脂フィルムを用いることができ、透明であることが好ましい。たとえば、ポリオレフィンフィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、3酢酸セルロース、ポリイミド、ポリブチラールフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、透明なセルロースナノファイバーフィルム等を用いることができる。これらのうち、ポリエステルフィルムを用いることが好ましい。
当該ポリエステルフィルムの中でも透明性、機械的強度、寸法安定性などの観点から、フィルムを形成するポリエステルとしては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸成分と、エチレングリコールや1,4−シクロヘキサンジメタノール等のジオール成分と、を主要な構成成分とするフィルム形成性を有するポリエステルであることが好ましい。なかでも、フィルムを形成するポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを主要な構成成分とするポリエステルや、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールとからなる共重合ポリエステル、およびこれらのポリエステルの2種以上の混合物を主要な構成成分とするポリエステルがより好ましい。基材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルムをもちいることがさらに好ましい。
また、本発明の一形態に係る遮熱フィルムの基材としては、上記に挙げたもののほか、後述の誘電体多層膜で、自己支持性を有するものを使用することができる。自己支持性を有する誘電体多層膜としては、特に制限されないが、たとえば共押出法や共流涎法にて作製された誘電体多層膜等が挙げられる。
基材の材料および膜厚は、遮熱フィルムの熱収縮率を基材の熱収縮率で除した値が1〜3の範囲内となるように設定されたものであることが好ましい。
なかでも基材の膜厚は、30〜200μmであることが好ましい。基材の膜厚が30μm以上であると、取扱い中のシワが発生しにくくなることから好ましい。一方、基材の膜厚が200μm以下であると、遮熱フィルムを基体と貼り合わせる際に、たとえば、曲面の基体への追従性が良くなり、シワが発生しにくくなることから好ましい。同様の観点から、基材の膜厚は、30〜150μmであることがより好ましく、35〜125μmであることがさらに好ましく、40〜80μmであることが特に好ましく、40〜60μmであることが最も好ましい。
基材は、二軸配向ポリエステルフィルムであることが特に好ましいが、未延伸または少なくとも一方に延伸されたポリエステルフィルムを用いることもできる。強度向上、熱膨張抑制の観点から延伸フィルムであることが好ましい。特に自動車のフロントガラスの合わせガラスに用いられる際には、延伸フィルムであることがより好ましい。
[ハードコート層]
本発明の一形態において、「ハードコート層」とは、JIS K 5600−5−4:1999に準じた鉛筆硬度がH以上の層であり、好ましくは2H以上の層である。ハードコート層の硬さは、折り曲げ等の外部応力がかかった際に層の破壊や剥がれなどが発生しない範囲で硬い方が耐傷性の点で好ましい。
本発明の一形態に係るハードコート層は、(a)タングステン酸化物、(b)1級水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物を必須として含む、(メタ)アクリレート系化合物、および(c)金属塩、を含むハードコート層用塗布液を基材上に塗布後、紫外線を照射して塗膜を硬化させることによって形成されることが好ましい。すなわち、本発明の一形態に係るハードコート層は、下記(a)〜(c);
(a)タングステン酸化物
(b)1級水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物を必須に含む、(メタ)アクリレート系化合物
(c)金属塩
を含む、ハードコート層用塗布液の硬化物からなる。
ここで、(a)タングステン酸化物は、後述のように赤外吸収性を有する熱線遮蔽性金属酸化物([赤外線遮蔽性金属酸化物]とも称される)の1種であることから、前記ハードコート層用塗布液の硬化物からなるハードコート層は、熱線(赤外線)の透過を遮蔽する遮熱機能を有する。
ハードコート層の厚さは、特に制限されないが、1〜10μmであることが好ましい。厚さを1μm以上とすることによって、ハードコート層の硬度を維持することができる。一方、厚さを10μm以下とすることにより、応力によるハードコート層の割れを防ぐことができる。同様の観点から、ハードコート層の厚さは、1.5〜8μmであることがより好ましく、2〜7μmであることがさらに好ましい。
(ハードコート層の形成方法)
まず、ハードコート層用塗布液に含まれる各成分について説明する。
(a)タングステン酸化物
タングステン酸化物は、赤外吸収性を有する熱線遮蔽性金属酸化物の1種である。
本発明の一形態に係るハードコート層用塗布液は、熱線遮蔽性金属化合物であるタングステン酸化物(以下(a)成分とも称される)を必須に含む。
タングステン酸化物としては、一般式:Wで示され、特開2013−64042号公報や特開2010−215451号公報に記載されるのと同様のものが使用できる。上記一般式中、Wは、タングステンを表わす。Oは、酸素を表わす。y及びzは、タングステンと酸素との組成(タングステンに対する酸素の組成、z/y)であり、一般的に3未満(z/y<3)の関係を満たすものを用いる。また、タングステンと酸素との組成は2超過3未満(2<z/y<3)の関係を満たことがより好ましく、2.2〜2.999(2.2≦z/y≦2.999)の関係を満たすことがさらに好ましい。このようなz/y比であれば、材料として化学的に安定であり、高い赤外線吸収能を発揮できる上、必要量の自由電子が生成され効率よい赤外線吸収材料となり得る。
また、タングステン酸化物としては、複合タングステン酸化物を使用することができる。複合タングステン酸化物の組成は、特に制限されないが、安定性の観点から、一般式:Mで表される酸化物であることが好ましく、特開2013−64042号公報や特開2010−215451号公報に記載されるのと同様のものが使用できる。上記一般式中、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素を表わす。Wは、タングステンを表わす。Oは、酸素を表わす。x、y及びzは、一般的にタングステンとMとの組成(タングステンに対するMの組成、x/y)が、0<x/y≦1を満たし、タングステンと酸素との組成(タングステンに対する酸素の組成、z/y)が、2<z/y≦3を満たすものを用いる。また、タングステンとMとの組成(タングステンに対するMの組成、x/y)が0.001≦x/y≦1の関係を満たし、タングステンと酸素との組成(タングステンに対する酸素の組成、z/y)が2.2≦z/y≦3の関係を満たすことが好ましく、0.2≦x/y≦0.5かつ2.45≦z/y≦3の関係を満たすことがより好ましく、0.31≦x/y≦0.35かつ0.27≦z/y≦3の関係を満たすことがさらに好ましい。ここで、アルカリ金属は、水素を除く周期表第1族元素であり、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランジウムである。アルカリ土類金属は、ベリリウム、マグネシウムを除く周期表第2族元素であり、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムである。希土類元素は、Sc、Y及びランタノイド元素(57番のランタンから71番のルテチウムまでの元素)である。特に、赤外線吸収材料としての光学特性、耐候性向上効果の観点から、M元素が、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snのうちの1種類以上であるものが好ましく、M元素がCsであるCsで表されるセシウム含有複合タングステン酸化物であることが特に好ましい。
本発明の一形態において用いることができるタングステン酸化物としては、特に制限されないが、たとえば、Cs0.33WO、Rb0.33WO等が挙げられる。タングステン酸化物としては、セシウム含有複合タングステン酸化物であるCs0.33WOを用いることが特に好ましい。
これより、本発明の他の一形態は、(a)タングステン酸化物が、セシウム含有複合タングステン酸化物である遮熱フィルムである。
(複合)タングステン酸化物の形状は、特に制限されず、粒子状、球状、棒状、針状、板状、柱状、不定形状、燐片状、紡錘状など任意の構造をとりうるが、好ましくは粒子状である。また、タングステン酸化物等の大きさも特に制限されない。ただし、タングステン酸化物等が粒子状である場合には、タングステン酸化物等粒子の平均粒径(平均一次粒子径、直径)は、可視光の反射を抑制しつつ、熱線吸収効果を確保できること、また散乱によるヘイズの劣化が生じず、透明性を確保できることから、5〜150nmであることが好ましく、5〜100nmであることがより好ましく、10〜80nmであることがさらに好ましく、30〜60nmであることが特に好ましく、40〜50nmであることが最も好ましい。なお、上記平均粒径は、粒子そのものあるいは屈折率層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
また、これらの具体的な商品名としては、特に制限されないが、たとえば、セシウムドープト酸化タングステン系としてCWO分散液(YMF−02A 住友金属鉱山株式会社製)等が挙げられる。
ハードコート層用塗布液におけるタングステン酸化物の含有量は、特に制限されないが、硬度、膜弾性率等の物性値や、透過率等の光学特性を所望の値に調整する観点から、ハードコート層用塗布液の溶媒を除いた成分の総質量に対し、10〜80質量%であることが好ましく、20〜60質量%であることがより好ましく、20〜40質量%であることがさらに好ましく、20〜30質量%であることが特に好ましい。
(b)1級水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物を必須に含む、(メタ)アクリレート系化合物
本発明の一形態に係る発明のハードコート層用塗布液の材料である(メタ)アクリレート系化合物は、紫外線により硬化する重合性化合物である。
なお、本明細書では、(メタ)アクリレート系化合物との用語は、単量体のみならず、紫外線照射により硬化可能なオリゴマーやプレポリマ−をも含みうる概念である。
本発明の一形態に係るハードコート層用塗布液は、(b)1級水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物を必須に含む、(メタ)アクリレート系化合物(以下(b)成分とも称される)を必須に含む。
1級水酸基を有しない(メタ)アクリレート系化合物のみを用いたハードコート層は、密着性が低くなり、色味の変化が大きい。かような密着性の低さは、前述のように、金属塩によって、(メタ)アクリレート系化合物の硬化反応が阻害されることが原因と考えられる。また、色味の変化が大きいことについても、前述のように、タングステン酸化物、金属塩および1級水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物または1級水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物の硬化物が近傍に存在せず、層中の水分およびラジカル捕捉効果が相乗的に高められる効果が得られないことが原因と考えられる。本形態で用いる(メタ)アクリレート系化合物としては、1級水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物を必須に含むことで、前記問題を解決する。
本願明細書において、「1級水酸基」とは、自身の酸素原子が1級炭素に結合している水酸基を意味する。1級炭素を有する構造としては、たとえば、メチレン基などが挙げられる。
1級水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物としては、特に制限はされないが、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロパン−1,2−ジイルジ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ジグリセリンモノ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ソルビトールジ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ソルビトールモノ(メタ)アクリレートジグリセリンジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート等が挙げられる。
また、1級水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物が分子内に有する1級水酸基の数としては、1〜4個(実施例:1個)が好ましい。4個以下であると、密着性の観点より好ましい。同様の観点より、1〜2個がより好ましく、1個がさらに好ましい。
また、1級水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物としては、密着性の観点から、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましく、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートがより好ましく、ペンタエリスリトールトリアクリレートがさらに好ましい。
これらの1級水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物は単独でもまたは2種以上組み合わせても使用することができる。
(メタ)アクリレート系化合物((b)成分)の総質量に対する1級水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物の割合は、10〜100質量%であることが好ましい。10質量%以上であると、密着性の観点から好ましい。同様の観点より、30〜100質量%であることがより好ましく、50〜100質量%であることがさらに好ましい。
(メタ)アクリレート系化合物((b)成分)に含まれる1級水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物以外の(メタ)アクリレート系化合物としては、紫外線照射によって硬化することができるものであれば特に制限されない。1級水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物以外の(メタ)アクリレート系化合物としては、たとえば、(メタ)アクリレート系化合物、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物、エポキシ(メタ)アクリレート系化合物、ポリオール(メタ)アクリレート系化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート系化合物、シリコーン(メタ)アクリレート系化合物等を使用することができる。
具体的には、たとえば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、シリコーンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、たとえばダイセル・オルネクス株式会社製のEBECRYL(登録商標)350、信越化学工業株式会社製のX−22−2445、X−22−1602の市販品も適宜用いることができる。
ここで、(メタ)アクリレート系化合物((b)成分)としては、たとえば東亞合成株式会社製のアロニックス(登録商標) M−305、M−402、M−405等の市販品も適宜用いることができる。なお、これらの詳細は、後述の実施例に記載する。
(メタ)アクリレート系化合物((b)成分)の水酸基価は10以上であることが好ましい。水酸基価が10以上であると、ハードコート層の密着性改善効果、およびハードコート層の変色防止効果がより高まる。この理由は、水素結合によって、(メタ)アクリレート系化合物の反応基同士の距離を短く保つことで、金属塩を含有させても、(メタ)アクリレート系化合物の硬化反応が阻害されにくく、架橋密度を高くする効果をより発揮できると考えられる。また、(メタ)アクリレート系化合物((b)成分)の水酸基価は、40以上であることがより好ましい。水酸基価が40以上であると、ハードコート層の変色防止効果をさらに良好なものとすることができる。さらに、(メタ)アクリレート系化合物((b)成分)の水酸基価は、80以上であることがさらに好ましい。水酸基価が80以上であると、ハードコート層の密着性改善効果がさらに高まる。
また、(メタ)アクリレート系化合物((b)成分)の水酸基価は200以下であることが好ましい。水酸基価が200以下であると、吸湿によって発生するカールの抑制効果がより大きくなる。
これより、本発明の好ましい他の一形態は、(b)1級水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物を必須に含む、(メタ)アクリレート系化合物の水酸基価が10以上である遮熱フィルムである。
また、本発明のさらなる好ましい他の一形態は、(b)1級水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物を必須に含む、(メタ)アクリレート系化合物の水酸基価が40以上である遮熱フィルムである。
なお、(メタ)アクリレート系化合物((b)成分)の水酸基価は、1級水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物の種類、1級水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物以外の(メタ)アクリレート系化合物の種類、およびこれらの含有量により調整することができる。
(メタ)アクリレート系化合物((b)成分)の水酸基価は、JIS K 0070(1992)に準拠して測定されうる。具体的には、この水酸基価は、試料1gをアセチル化させたとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数と定義される。具体的には試料Xg(約1g)をフラスコに精秤し、これにアセチル化試薬(無水酢酸20mLにピリジンを加えて400mLにしたもの)20mLを正確に加える。フラスコの口に空気冷却管を装着し、95〜100℃のグリセリン浴にて加熱する。1時間30分後、冷却し、空気冷却管から精製水1mLを加え、無水酢酸を酢酸に分解する。次に電位差滴定装置を用いて0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液で滴定を行い、得られた滴定曲線の変曲点を終点とする。さらに空試験として、試料を入れないで滴定し、滴定曲線の変曲点を求める。水酸基価は、下記式によって算出する。
水酸基価={(B−C)×f×28.05/X}+D
(式中、Bは空試験に用いた0.5mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液の量(mL)、Cは滴定に用いた0.5mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液の量(mL)、fは0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液のファクター、Dは酸価、28.05は水酸化カリウムの1mol量56.11の1/2を表す)。
ハードコート層用塗布液における(メタ)アクリレート系化合物((b)成分)の含有量は、特に制限されないが、硬度や膜弾性率を所望の値に調整する観点から、ハードコート層用塗布液の溶媒を除いた成分の総質量に対して、20〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましく、40〜80質量%であることがさらに好ましく、50〜70質量%であることが特に好ましく、60〜70質量%であることが最も好ましい。
(c)金属塩
本発明の一形態に係るハードコート層用塗布液は、金属塩(以下(c)成分とも称される)を必須に含む。ここで、金属塩は、遮熱特性の経時的な劣化を抑制する機能を有するが、この機能は金属塩がハードコート層中の水分やラジカルを捕捉することに起因すると考えられる。
金属塩を構成する金属としては、特に制限はされないが、たとえばCs、Sr、Ba、Ti、Zr、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、In、Sn、Mg、Ni、Sc、Y、V、Al、Pb、Bi、および上記に挙げられた以外のアルカリ金属、アルカリ土類金属等が挙げられる。
これらの中でも、Zn、Mg、Ni、In、Snが変色防止効果の観点から好ましく、Zn、Mg、Niがより好ましい。
金属塩としては、有機酸塩、無機酸塩であってもよい。これらの中でも、変色防止効果の観点からカルボン酸塩、カルボニル錯塩、炭酸塩、リン酸塩、過塩素酸塩、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩であることが好ましく、過塩素酸塩、カルボン酸塩がより好ましく、カルボン酸塩がさらに好ましい。
これより、本発明の好ましい他の一形態は、(c)金属塩がカルボン酸塩である遮熱フィルムである。
カルボン酸塩を構成するカルボン酸としては、特に制限はされないが、たとえば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、2−エチルヘキサン酸、ナフテン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタ酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、没食子酸、メリト酸、ケイ皮酸、ピルビン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、マレイン酸、アコニット酸、グルタル酸、アジピン酸、アミノ酸等が挙げられる。また、上記カルボニル錯塩を構成するβ−ジケトンとしては、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ベンゾイルトリフルオロアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトン、2−テノイルトリフルオロアセトン等が挙げられる。
これらの中でも、変色防止効果の観点から酢酸、2−エチルヘキサン酸、ステアリン酸が好ましい。これらの中でも特にハードコート層との相溶性が良好であり、ヘイズ抑制効果に優れるとの観点から、2−エチルヘキサン酸がさらに好ましい。
具体的な金属塩としては、特に制限されないが、たとえば過塩素酸Ni、ステアリン酸Mg、酢酸Zn、ビス(2−エチルヘキサン酸)Zn等が挙げられる。
金属塩の含有量は、特に制限されないが、ハードコート層用塗布液の溶媒を除いた成分の総質量に対して、0.005〜10質量%であることが好ましい。金属塩の含有量が0.005質量%以上であると、ハードコート層の変色防止効果がより高まる。この理由は、金属塩がハードコート層中の水分やラジカルを捕捉する効果が良好に得られるためと考えられる。また、金属塩の含有量が10質量%以下であると、ハードコート層の密着性改善効果がより高まる。この理由は、前記添加量の金属塩を含有させても、(メタ)アクリレート系化合物の硬化反応が阻害されにくく、架橋密度を高くする効果がより発揮できるためと考えられる。同様の観点より、金属塩の含有量は、0.01〜1.0質量%であることがより好ましく、0.05〜1.1質量%であることがさらに好ましく、0.05〜1.0質量%であることが特に好ましい。
本発明の一形態に係るハードコート層用塗布液は、上記の必須成分の他、溶媒を含んでもよい。溶媒は、特に制限されないが、たとえば水、炭化水素類(トルエン、キシレン)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル)、グリコールエーテル類、その他の有機溶媒等の中から適宜選択し、またはこれらを混合し利用できる。
ハードコート層用塗布液における溶媒の含有量は、特に制限されないが、塗布液の総質量に対して10〜80質量%程度であることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましく、20〜60質量%であることがさらに好ましく、40〜60質量%であることが特に好ましく、50〜60質量%であることが最も好ましい。
ハードコート層用塗布液は、必要に応じて、各種添加剤を含んでもよい。添加剤としては、光重合開始剤、レベリング性、撥水性、滑り性等を付与するための界面活性剤;紫外線照射による硬化性を向上させるための、染料、顔料、増感剤等が挙げられる。
また、前記光重合開始剤の種類として、特に制限はなく、カチオン性光重合開始剤、アニオン性光重合開始剤、ラジカル性光重合開始剤が挙げられるが、硬化性および生産性の観点から、ラジカル性光重合開始剤が好ましい。
ラジカル性光重合開始剤としては、特に制限されないが、たとえば、アシルフォスフィンオキサイド類、アセトフェノン類、アントラキノン類、チオキサントン類、ケタール類、およびベンゾフェノン類およびアゾ化合物等を用いることができる。アシルフォスフィンオキサイド類としては、特に制限されないが、たとえば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。アセトフェノン類としては、特に制限されないが、たとえばべンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、べンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、べンジルメチルケタールなどのべンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。アントラキノン類としては、特に制限されないが、たとえばメチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン等が挙げられる。チオキサントン類としては、特に制限されないが、たとえばチオキサントン、2,4 ― ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等が挙げられる。ケタール類としては、特に制限されないが、たとえばアセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。ベンゾフェノン類としては、特に限定されないが、ベンゾフェノン、4,4−ビスメチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
これらの中でも、アシルフォスフィンオキサイド類であることが好ましく、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイドであることがさらに好ましい。
また、たとえば、BASFジャパン株式会社製のIrgacure(登録商標)184、651、1173、819、LUCIRIN(登録商標) TPO等の市販品も適宜用いることができる。
これらの光重合開始剤は単独でもまたは2種以上組み合わせても使用することができる。これらの光重合開始剤の使用量は、(メタ)アクリレート化合物((b)成分)を始めとする重合性成分100質量部に対して、0.5〜20質量部であることが好ましく、1〜15質量部であることがより好ましく、1〜10質量部であることがさらに好ましく、2〜8質量部であることが特に好ましい。
また、前記の界面活性剤の種類として、特に制限はなく、フッ素系界面活性剤、アクリル系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等を用いることができる。特に塗布液のレベリング性、撥水性、滑り性という観点で、フッ素系界面活性剤を用いることが好ましい。フッ素系界面活性剤の例としては、たとえば、DIC株式会社製のメガファック(登録商標)Fシリーズ(F−430、F−477、F−552〜F−559、F−561、F−562等)、DIC株式会社製のメガファック(登録商標)RSシリーズ(RS−76−E等)、AGCセイミケミカル株式会社製のサーフロン(登録商標)シリーズ、OMNOVA SOLUTIONS社製のPOLYFOXシリーズ、株式会社T&K TOKAのZXシリーズ、ダイキン工業株式会社製のオプツール(登録商標)シリーズ、株式会社ネオス製のフタージェント(登録商標)シリーズ(602A、650A等)等の市販品を使用することができる。アクリル系界面活性剤としては、ポリフローシリーズ(共栄社化学株式会社製)、ニューコールシリーズ(日本乳化剤株式会社製)、BYK(登録商標)−354(ビックケミー・ジャパン株式会社製)が挙げられる。シリコーン系界面活性剤としては、BYK(登録商標)−345、BYK(登録商標)−347、BYK(登録商標)−348、BYK(登録商標)−349(ビックケミー・ジャパン株式会社製)が挙げられる。界面活性剤は、単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。界面活性剤の含有量は、ハードコート層用塗布液の溶媒を除いた成分の総質量に対して0.01質量%〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.5質量%であることがより好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。
本発明の一形態に係る遮熱フィルムは、
基材の少なくとも一方の面側に、
下記(a)〜(c);
(a)タングステン酸化物
(b)1級水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物を必須に含む、(メタ)アクリレート系化合物
(c)金属塩
を含む、ハードコート層用塗布液を基材上に塗布後、紫外線を照射して塗膜を硬化させる工程を含む、遮熱フィルムの製造方法により製造することが好ましい。
かかる製造方法により製造されたフィルムは、
基材、および基材の少なくとも一方の面に配置されたハードコート層を有し、前記ハードコート層は、ハードコート層用塗布液を基材上に塗布後、紫外線を照射して塗膜を硬化させることによって形成されてなり、前記ハードコート層用塗布液は、下記(a)〜(c);
(a)タングステン酸化物
(b)1級水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物を必須に含む、(メタ)アクリレート系化合物
(c)金属塩
を含む、遮熱フィルムであり、かかるフィルムは、
基材と、基材の少なくとも一方の面に配置された、下記(a)〜(c);
(a)タングステン酸化物
(b)1級水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物を必須に含む、(メタ)アクリレート系化合物
(c)金属塩
を含む、ハードコート層用塗布液の硬化物からなるハードコート層と、を有する、遮熱フィルムの好ましい一形態である。
ハードコート層用塗布液は、上記の各成分を混合することによって調製される。添加順序、添加方法は特に限定されず、攪拌しながら各成分を順次添加し混合してもよいし、攪拌しながら一度に添加し混合してもよい。
また、基材上(基材の表面または基材上配置された最表層の表面)にハードコート層用塗布液を塗布する方法についても特に制限はなく、公知の手法、たとえば、ワイヤーバーによるコーティング、スピンコーティング、ディップコーティングなどの手法が採用されうる。また、ダイコーター、グラビアコーター、コンマコーターなどの連続塗布装置でも塗布することが可能である。
塗布後の乾燥条件としては、特に制限されないが、たとえば乾燥温度は70〜110℃であることが好ましく、乾燥時間は30秒〜5分であることが好ましい。
その後、基材上にハードコート層用塗布液を塗布して得られた塗膜に、当該塗膜の基材から遠い面側から紫外線を照射し、塗膜を硬化させる。この際の紫外線の照射波長、照度、光量などの条件は、使用する紫外線硬化性モノマーや重合開始剤の種類によって異なるため、当業者によって適宜条件が調整されうる。たとえば、紫外線ランプを用いる場合、その照度は50〜1500mW/cmが好ましく、照射エネルギー量は50〜1500mJ/cmが好ましい。
[機能層]
本発明の一形態に係る遮熱フィルムは、上記の基材およびハードコート層以外にも、機能層を有していてもよい。機能層の種類は、特に制限されないが、以下では機能層が誘電体多層膜(以下、反射層とも称される)である場合を例に挙げて具体的に説明する。
(誘電体多層膜)
本発明の好ましい他の形態は、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層されてなる誘電体多層膜を含む、遮熱フィルムである。
誘電体多層膜(反射層)は、低屈折率層と高屈折率層とが交互に積層されてなる構成を有する。前記高屈折率層と前記低屈折率層とは、以下のように考える。
たとえば、高屈折率層を構成する成分(以下、高屈折率層成分)と低屈折率層を構成する成分(以下、低屈折率層成分)とが、ふたつの層の界面で混合され、高屈折率層成分と低屈折率層成分とを含む層(混合層)が形成される場合がある。この場合、混合層において、高屈折率層成分が50質量%以上である部位の集合を高屈折率層とし、低屈折率層成分が50質量%を超える部位の集合を低屈折率層とする。具体的には、低屈折率層が、たとえば、低屈折率成分として第1の金属酸化物を、また、高屈折率層は高屈折率成分として第2の金属酸化物を含有している場合、これらの積層膜における膜厚方向での金属酸化物濃度プロファイルを測定し、その組成によって、高屈折率層または低屈折率層とみなすことができる。積層膜の金属酸化物濃度プロファイルは、スパッタ法を用いて表面から深さ方向へエッチングを行い、XPS表面分析装置を用いて、最表面を0nmとして、0.5nm/minの速度でスパッタし、原子組成比を測定することで観測することができる。また、低屈折率成分または高屈折率成分に金属酸化物粒子が含有されておらず、高屈折率層または低屈折率層の一方が水溶性樹脂(有機バインダー)のみから形成されている積層体においても、同様にして、水溶性樹脂(有機バインダー)濃度プロファイルにて、たとえば、膜厚方向での炭素濃度を測定することにより混合領域が存在していることを確認し、さらにその組成をEDXにより測定することで、スパッタでエッチングされた各層が、高屈折率層または低屈折率層とみなすことができる。
前記反射層は、基材上に、ポリマーを含む高屈折率層および低屈折率層が交互に積層された積層体(ユニット)を少なくとも1つ以上有する構成であればよいが、高屈折率層および低屈折率層の層数(屈折率層の総数)は、特に制限はないが、好ましくは6〜2000(すなわち、3〜1000ユニット)であり、より好ましくは10〜1500(すなわち、5〜750ユニット)であり、さらに好ましくは10〜1000(すなわち、5〜500ユニット)であり、特に好ましくは10〜30(すなわち、5〜15ユニット)である。層数が2000を超えるとヘイズが発生しやすく、6未満であると所望の反射率に達しないことがある。また、本発明の一形態に係る遮熱フィルムは、上記基材上にユニットを少なくとも1つ以上有する構成であればよい。
誘電体多層膜において、高屈折率層は、より高い屈折率が好ましいが、屈折率が、好ましくは1.70〜2.50であり、より好ましくは1.80〜2.20であり、さらに好ましくは1.90〜2.20である。また、低屈折率層は、より低い屈折率が好ましいが、屈折率が、好ましくは1.10〜1.60であり、より好ましくは1.30〜1.55であり、さらに好ましくは1.30〜1.50である。
誘電体多層膜においては、高屈折率層と低屈折率層との屈折率の差を大きく設計することが、少ない層数で赤外反射率を高くすることができる観点から好ましい。高屈折率層および低屈折率層から構成されるユニットの少なくとも1つにおいて、隣接する該高屈折率層と低屈折率層との屈折率差が0.1以上であることが好ましく、より好ましくは0.2以上であり、さらに好ましくは0.25以上である。誘電体多層膜が低屈折率層および高屈折率層のユニットを複数有する場合には、全てのユニットにおける低屈折率層と高屈折率層との屈折率差が上記好適な範囲内にあることが好ましい。ただし、誘電体多層膜の最表層や最下層に関しては、上記好適な範囲外の構成であってもよい。
特定波長領域の反射率は、隣接する2層(高屈折率層と低屈折率層)の屈折率差と積層数で決まり、屈折率差が大きいほど、少ない層数で同じ反射率を得られる。この屈折率差と必要な層数については、市販の光学設計ソフトを用いて計算することができる。たとえば、赤外反射率(赤外遮蔽率)90%以上を得るためには、屈折率差が0.1より小さいと、100層を超える積層が必要になり、生産性が低下するだけでなく、積層界面での散乱が大きくなり、透明性が低下する。反射率の向上と層数を少なくする観点からは、屈折率差に上限はないが、実質的には1.4程度である。
上記屈折率は、高屈折率層、低屈折率層の屈折率を下記の方法に従って求め、両者の差分として求める。すなわち、(必要により基材を用いて)各屈折率層を単層で作製し、このサンプルを10cm×10cmに断裁した後、下記の方法に従って屈折率を求める。分光光度計として、U−4000型(株式会社日立製作所製)を用いて、各サンプルの測定面とは反対側の面(裏面)を粗面化処理した後、黒色のスプレーで光吸収処理を行って裏面での光の反射を防止して、5度正反射の条件にて可視光領域(400nm〜700nm)の反射率を25点測定して平均値を求め、その測定結果より平均屈折率を求める。
隣接した層界面での反射は、層間の屈折率比に依存するのでこの屈折率比が大きいほど、反射率が高まる。また、単層膜でみたとき層表面における反射光と、層底部における反射光の光路差を、n・d=波長/4、で表される関係にすると位相差により反射光を強めあうよう制御でき、反射率を上げることができる。ここで、nは屈折率、またdは層の物理膜厚、n・dは光学膜厚である。この光路差を利用することで、反射を制御できる。この関係を利用して、各層の屈折率と膜厚とを制御して、可視光や、近赤外光の反射を制御する。即ち、各層の屈折率、各層の膜厚、各層の積層のさせ方で、特定波長領域の反射率をアップさせることができる。
誘電体多層膜は反射率をアップさせる特定波長領域を変えることにより、可視光反射フィルムや近赤外線反射フィルムとすることができる。即ち、反射率をアップさせる特定波長領域を可視光領域に設定すれば可視光線反射フィルムとなり、近赤外領域に設定すれば近赤外線反射フィルムとなる。また、反射率をアップさせる特定波長領域を紫外光領域に設定すれば、紫外線反射フィルムとなる。本発明の一形態に係る遮熱フィルムにおいて誘電体多層膜を用いる場合は、(近)赤外反射(遮蔽)フィルムとすればよい。赤外反射フィルムの場合、JIS R3106:1998で示される可視光領域の550nmでの透過率が50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、75%以上であることがさらに好ましい。また、1200nmでの透過率が35%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましく、20%以下であることがさらに好ましい。かような好適な範囲となるように光学膜厚とユニットを設計することが好ましい。また、波長900nm〜1400nmの領域に反射率50%を超える領域を有することが好ましい。
[低屈折率層と高屈折率層]
本明細書において、「高屈折率層」および「低屈折率層」なる用語は、隣接した2層の屈折率差を比較した場合に、屈折率が高い方の屈折率層を高屈折率層とし、低い方の屈折率層を低屈折率層とすることを意味する。したがって、「高屈折率層」および「低屈折率層」なる用語は、誘電体多層膜を構成する各屈折率層において、隣接する2つの屈折率層に着目した場合に、各屈折率層が同じ屈折率を有する形態以外のあらゆる形態を含むものである。
屈折率層の1層あたりの厚み(乾燥後の厚み)は、20〜1000nmであることが好ましく、50〜500nmであることがより好ましく、100〜300nmであることがさらにより好ましく、100〜200nmであることが特に好ましい。屈折率層の1層あたりの厚みは、ダイスの押出口におけるフィルム厚さ方向の幅を変更すること、および/または延伸条件により、調節することができる。なお、積層体を延伸する場合は、上記膜厚は延伸後の厚さを示す。
[ポリマー材料]
低屈折率層および高屈折率層はポリマー材料を含むことが好ましい。屈折率層を形成するのがポリマー材料であれば、塗布やスピンコートなどの成膜方法が選択可能となる。これらの方法は簡便であり、基材の耐熱性を問わないので選択肢が広く、特に樹脂基材に対して有効な成膜方法といえる。たとえば塗布型ならばロール・ツー・ロール法などの大量生産方式が採用でき、コスト面でもプロセス時間面でも有利になる。また、ポリマー材料を含む膜はフレキシブル性が高いため、生産時や運搬時に巻き取りを行っても、これらの欠陥が発生しづらく、取扱性に優れているという長所がある。
屈折率層に含まれるポリマーは、特に制限されず、具体的な例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレートのコポリマー(coPET)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(メチルメタクリレート)のコポリマー(coPMMA)、シクロヘキサンジメタノール(PETG)、シクロヘキサンジメタノールのコポリマー(coPETG)、ポリエチレンナフタレート(PEN)ポリエチレンナフタレートのコポリマー(coPEN)、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレートのコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、およびポリ(メチルメタクリレート)のコポリマー等が挙げられるが、これらに限定されない。各高屈折率層および低屈折率層には、これらのポリマーを1種、または2種以上の組み合わせを用いることができる。また、好適なポリマーの組み合わせの例として、米国特許第6,352,761号明細書に記載のものが挙げられる。また、上記ポリマーを用いて、たとえば共押出法または共流延法等により連続フラットフィルム製造ラインにより、反射層を形成することも可能である。
また、前記高屈折率層および前記低屈折率層に含まれるポリマーは、バインダーとして機能する水溶性高分子であることが好ましい。高屈折率層および低屈折率層は、水溶性高分子を含むことで、有機溶剤による環境上の問題を解決することができ、また塗膜の柔軟性も達成することができるから好ましい。なお、高屈折率層および低屈折率層に含有されるポリマーは、同じ構成成分であってもよく、異なる構成成分であってもよいが、異なることが好ましい。水溶性高分子としては、たとえば、ゼラチン、増粘多糖類、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、若しくはアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、若しくはスチレン−α −メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレンアクリル酸樹脂、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート−スチレンスルホン酸カリウム共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体などが挙げられる。これらのなかでも、塗布ムラや膜厚均一性(ヘイズ)などの向上効果の観点から、屈折率層はポリマーとしてポリビニルアルコール類であるポリビニルアルコールまたはその誘導体を含むことが好ましい。ポリマーは、単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。また、ポリマーは、合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
ポリマーは特に制限されず、国際公開第2012/128109号、特開2013−121567号公報、特開2013−148849号公報等の、高屈折率層および低屈折率層に使用される公知のポリマーが同様にして使用できる。具体的には、ポリビニルアルコール類としては、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他、各種の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が1,000以上であることが好ましく、平均重合度が1,500〜5,000であることがより好ましい。また、ケン化度は、70〜100モル%であることが好ましく、80〜99.9モル%であることがより好ましく、85〜99.9モル%であることがさらに好ましい。
変性ポリビニルアルコールとしては、特に制限されないが、たとえば、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、ノニオン変性ポリビニルアルコール、エチレン変性ポリビニルアルコール、ビニルアルコール系ポリマーが挙げられる。
アニオン変性ポリビニルアルコールは、たとえば、特開平1−206088号公報に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号公報および同63−307979号公報に記載されているようなビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体、および特開平7−285265号公報に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、たとえば、特開平7−9758号公報に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載されているような疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体、シラノール基を有するシラノール変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基やカルボニル基、カルボキシル基などの反応性基を有する反応性基変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、たとえば、特開昭61−10483号公報に記載されているような、第1級〜第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコール等が挙げられる。かかるカチオン変性ポリビニルアルコールは、たとえば、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
エチレン変性ポリビニルアルコールとしては、たとえば、特開2009−107324号公報、特開2003−248123号公報、特開2003−342322号公報、特願2013−206813号公報などに記載されるもの等が使用できる。
これらのポリビニルアルコール類としては、特に制限されないが、たとえば、エチレン変性ポリビニルアルコールであるエクセバール(登録商標)(商品名:株式会社クラレ製)やブテンジオール・ビニルアルコール共重合樹脂であるニチゴーGポリマー(登録商標)(商品名:日本合成化学工業株式会社製)、ポリビニルアルコールにアルデヒドを反応させて得られるポリビニルアセタール樹脂(たとえば、積水化学工業株式会社製「エスレック(登録商標)」)、シラノール基を有するシラノール変性ポリビニルアルコール(たとえば、株式会社クラレ製「R−1130」)、分子内にアセトアセチル基を有する変性ポリビニルアルコール系樹脂(たとえば、日本合成化学工業株式会社製「ゴーセファイマー(登録商標)Z/WRシリーズ」)などが挙げられる。
これらのポリビニルアルコール類の中でも、ポリビニルアルコールまたはエチレン変性ポリビニルアルコールを用いることが好ましい。
なお、上述のポリビニルアルコール類は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、ポリビニルアルコール類は合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
ポリビニルアルコール類の重量平均分子量は1,000〜1,000,000であることが好ましく、3,000〜250,000であることがより好ましく、60,000〜250,000であることがさらに好ましく、60,000〜200,000であることが特に好ましい。なお、本明細書において、「重量平均分子量」の値は、静的光散乱法、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC)、TOF MASS法などによって測定した値を採用するものとする。水溶性高分子の重量平均分子量が上記範囲にあると、湿式製膜法における塗布が可能となり、生産性を向上させることができることから好ましい。
屈折率層における水溶性高分子の含有量は、屈折率層の全固形分に対して、5〜75質量%であることが好ましい。水溶性高分子の含有量が5質量%以上であると、湿式製膜法で屈折率層を形成する場合に、塗布して得られた塗膜の乾燥時に、膜面が乱れることによる透明性の劣化を防止できることから好ましい。一方、水溶性高分子の含有量が75質量%以下であると、屈折率層中に金属酸化物粒子を含有する場合に好適な含有量となり、低屈折率層と高屈折率層との屈折率差を大きくできることから好ましい。同様の観点から、水溶性高分子の含有量は、10〜70質量%であることがより好ましく、15〜50質量%であることがさらに好ましく、20質量%〜30質量%であることが特に好ましい。なお、本明細書において、水溶性高分子の含有量は、蒸発乾固法の残固形分より求められる。具体的には、遮熱フィルムを95℃の熱水に2時間浸し、残ったフィルムを除去した後、熱水を蒸発させ、得られた固形物の量を水溶性高分子量とする。この際、IR(赤外分光)スペクトルにおいて1700〜1800cm−1、900〜1000cm−1、および800〜900cm−1の領域にそれぞれ1つずつピークが見られる場合、その水溶性高分子はポリビニルアルコールであると断定することができる。
[金属酸化物粒子]
低屈折率層および高屈折率層の少なくとも一方は、金属酸化物(粒子)を含有してもよい。金属酸化物粒子を含有することで各屈折率層間の屈折率差を大きくすることができ、反射特性が向上する。低屈折率層および高屈折率層の双方が金属酸化物粒子を含有することにより、屈折率差をより大きくすることができる。金属酸化物粒子を含むことにより、積層数を低減することができ、薄膜とすることができる。層数を減らすことで、生産性が向上し、積層界面での散乱による透明性の減少を抑制することができる。
金属酸化物粒子としては、金属酸化物を構成する金属が、Li、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Rb、Sr、Y、Nb、Zr、Mo、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Ta、Hf、W、Ir、Tl、Pb、Bi及び希土類金属からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属である金属酸化物を用いることができる。
《高屈折率層中の金属酸化物粒子》
高屈折率層に用いる金属酸化物粒子としては、特に制限されないが、たとえば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、アルミナ、コロイダルアルミナ、チタン酸鉛、鉛丹、黄鉛、亜鉛黄、酸化クロム、酸化第二鉄、鉄黒、酸化銅、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化バリウム、酸化インジウム、酸化ユーロピウム、酸化ランタン、ジルコン、酸化スズ、酸化鉛、ならびにこれら酸化物より構成される複酸化物であるニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸リチウム、アルミニウム・マグネシウム酸化物(MgAl)などが挙げられる。
また、金属酸化物粒子として、希土類酸化物を用いることもできる。希土類酸化物の具体的な例としては、酸化スカンジウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム、酸化サマリウム、酸化ユウロピウム、酸化ガドリニウム、酸化テルビウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化エルビウム、酸化ツリウム、酸化イッテルビウム、酸化ルテチウム等が挙げられる。
高屈折率層に用いられる金属酸化物粒子としては、屈折率が1.90以上の金属酸化物粒子が好ましく、たとえば、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化チタン、酸化亜鉛等を挙げることができる。中でも、透明でより屈折率の高い高屈折率層を形成することのできることから、酸化チタンが好ましく、ルチル型(正方晶形)酸化チタン粒子を用いることがより好ましい。高屈折率層に用いられる金属酸化物粒子は、1種単独であってもよいし、2種以上併用してもよい。
高屈折率層で用いられる金属酸化物粒子の体積平均粒径は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることがさらに好ましく、1〜30nmであることがよりさらに好ましく、1〜20nmであることが特に好ましく、1〜15nmであることが最も好ましい。体積平均粒径が上記範囲であれば、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。
高屈折率層で用いられる金属酸化物粒子として酸化チタン粒子を用いる場合は、酸化チタン粒子は、酸化チタンゾルの表面を変性して水または有機溶剤等に分散可能な状態にしたものを用いることが好ましい。水系の酸化チタンゾルの調製方法としては、たとえば、特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報、特開昭63−17221号公報等に記載された事項を参照することができる。
酸化チタンの平均粒径は、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、ヘイズ値が低く可視光透過率に優れる観点から1〜30nmであることがさらに好ましく、1〜20nmであることが特に好ましい。なお、ここで平均粒径とは、粒子そのものをレーザー回折散乱法、動的光散乱法、あるいは電子顕微鏡を用いて観察する方法や、屈折率層の断面や表面に現れた粒子像を電子顕微鏡で観察する方法により、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、それぞれd1、d2・・・di・・・dkの粒径を持つ粒子がそれぞれn1、n2・・・ni・・・nk個存在する粒子状の金属酸化物の集団において、粒子1個当りの体積をviとした場合に、平均粒径mv={Σ(vi・di)}/{Σ(vi)}で表される体積で重み付けされた体積平均粒径である。
また、酸化チタンが含ケイ素の水和酸化物で被覆されたコアシェル粒子の形態であってもよい。当該コアシェル粒子は、コアとなる酸化チタン粒子の表面に含ケイ素の水和酸化物からなるシェルが被覆してなる構造を有する。かようなコアシェル粒子を高屈折率層に含有させることで、シェル層の含ケイ素の水和酸化物と水溶性樹脂との相互作用により、低屈折率層と高屈折率層との層間混合が抑制されうる。ここで、「被覆」とは、酸化チタン粒子の表面の少なくとも一部に、含ケイ素の水和酸化物が付着されている状態を意味する。すなわち、金属酸化物粒子として用いられる酸化チタン粒子の表面が、完全に含ケイ素の水和酸化物で被覆されていてもよく、酸化チタン粒子の表面の一部が含ケイ素の水和酸化物で被覆されていてもよい。被覆された酸化チタン粒子の屈折率が含ケイ素の水和酸化物の被覆量により制御される観点から、酸化チタン粒子の表面の一部が含ケイ素の水和酸化物で被覆されることが好ましい。以下ではこのような被覆された酸化チタン粒子を「シリカ付着二酸化チタンゾル」とも称する。
含ケイ素の水和酸化物で被覆された酸化チタン粒子の酸化チタンはルチル型であってもアナターゼ型であってもよいが、ルチル型がより好ましい。これは、ルチル型の酸化チタン粒子が、アナターゼ型の酸化チタン粒子より光触媒活性が低いため、高屈折率層や隣接した低屈折率層の耐候性が高くなり、さらに屈折率が高くなるためである。
本明細書における「含ケイ素の水和酸化物」とは、無機ケイ素化合物の水和物、有機ケイ素化合物の加水分解物および/または縮合物のいずれでもよいが、本発明の一形態に係る効果を得るためにはシラノール基を有することがより好ましい。
含ケイ素の水和酸化物の被覆量は、金属酸化物粒子に対して3〜30質量%であることが好ましい。被覆量が30質量%以下であると、高屈折率層の高屈折率化が容易となり、被覆量が3質量%以上であると、被覆した粒子を安定に形成することができるからである。同様の観点から、含ケイ素の水和酸化物の被覆量は、3〜10質量%であることがより好ましく、3〜8質量%であることがさらに好ましい。
酸化チタン粒子を含ケイ素の水和酸化物で被覆する方法としては、従来公知の方法により製造することができ、たとえば、特開平10−158015号公報、特開2000−204301号公報、特開2007−246351号公報等に記載された事項を参照することができる。
一般的に、酸化チタン粒子は、粒子表面の光触媒活性の抑制や、溶媒等への分散性を向上する目的で、表面処理が施された状態で使用されることが多く、表面処理としては、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、ジルコニア等、1種またその2種類以上で処理されているものが好ましい。より具体的には、酸化チタン粒子表面をシリカからなる被覆層で覆われ、粒子表面が負電荷を帯びたものや、アルミニウム酸化物からなる被覆層が形成されたpH8〜10で表面が正電荷を帯びたものが知られている。
赤外遮蔽の観点および曲面形状のガラスにフィルムを適用した場合の色ムラ低減の観点から、高屈折率層における金属酸化物粒子の含有量は、高屈折率層の固形分100質量%に対して、20〜80質量%であることが好ましく、30〜75質量%であることがより好ましく、40〜70質量%であることがさらに好ましく、60〜70質量%であることが特に好ましい。
《低屈折率層中の金属酸化物粒子》
低屈折率層で用いられる金属酸化物粒子の平均一次粒径は100nm以下であることが好ましい。
主に低屈折率層に用いられる金属酸化物粒子としては、金属酸化物粒子として二酸化ケイ素を用いることが好ましく、コロイダルシリカを用いることが特に好ましい。低屈折率層に含まれる金属酸化物粒子(好ましくは二酸化ケイ素)は、その平均粒径が3〜100nmであることが好ましい。一次粒子の状態で分散された二酸化ケイ素の一次粒子の平均粒径(塗布前の分散液状態での粒径)は、3〜50nmであるのがより好ましく、3〜40nmであるのがさらに好ましく、3〜20nmであるのが特に好ましく、4〜10nmであるのが最も好ましい。また、二次粒子の平均粒径としては、30nm以下であることが、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。低屈折率層中の金属酸化物の平均粒径は、粒子そのものあるいは屈折率層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
低屈折率層における金属酸化物粒子の含有量としては、低屈折率層の固形分に対して、屈折率の観点から、5〜80質量%であることが好ましく、10〜75質量%であることがより好ましく、50〜75質量%であることがさらに好ましく、65〜75質量%であることが特に好ましい。
コロイダルシリカは、珪酸ナトリウムの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通過させて得られるシリカゾルを加熱熟成して得られるものであり、たとえば、特開昭57−14091号公報、特開昭60−219083号公報、特開昭60−219084号公報、特開昭61−20792号公報、特開昭61−188183号公報、特開昭63−17807号公報、特開平4−93284号公報、特開平5−278324号公報、特開平6−92011号公報、特開平6−183134号公報、特開平6−297830号公報、特開平7−81214号公報、特開平7−101142号公報、特開平7−179029号公報、特開平7−137431号公報、および国際公開第94/26530号などに記載されているものである。この様なコロイダルシリカは合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。コロイダルシリカは、その表面をカチオン変性されたものであってもよく、また、Al、Ca、MgまたはBa等で処理された物であってもよい。
このようなコロイダルシリカは合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。市販品としては、日産化学工業株式会社から販売されているスノーテックスシリーズ(スノーテックス(登録商標)OS、OXS、S、OS、20、30、40、O、N、C等)が挙げられる。
(その他の添加物)
各屈折率層は、上記以外にも、たとえば、特開昭57−74193号公報、同57−87988号公報および同62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号公報、同57−87989号公報、同60−72785号公報、同61−146591号公報、特開平1−95091号公報および同3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号公報、同59−52689号公報、同62−280069号公報、同61−242871号公報および特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有していてもよい。これらの添加物の含有量は、屈折率層の固形分に対して、0.1〜10質量%であることが好ましい。
または、各屈折率層が水溶性高分子を含む場合には、水溶性高分子を硬化させるために、硬化剤を使用することもできる。硬化剤としては、ホウ酸およびその塩、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬化剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬化剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミニウム明礬、ホウ砂等が挙げられる。屈折率層における硬化剤の含有量は、屈折率層の固形分に対して、1〜10質量%であることが好ましく、1〜5質量%であることがさらに好ましい。
または、各屈折率層は、塗布時の表面張力調整のために、界面活性剤を含んでもよい。ここで、界面活性剤としてアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤などを用いることができるが、アニオン系界面活性剤がより好ましい。好ましい化合物としては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホン酸基又はその塩を含有するものが挙げられる。各屈折率層における界面活性剤の含有量は、屈折率層の固形分に対して、0.01〜5質量%であることが好ましく、0.01〜1質量%であることがさらに好ましい。
誘電体多層膜の製造方法は、特に限定されないが、たとえば高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液を塗布、乾燥させることによって形成する方法が挙げられる。
高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液の調製方法は、特に制限されず、ポリマー、金蔵酸化物粒子、必要に応じて添加されるその他の添加物、および溶媒を添加し、攪拌混合する方法が挙げられる。この際、各成分の添加順も特に限定されず、攪拌しながら各成分を順次添加して混合してもよいし、攪拌しながら一度に添加して混合してもよい。必要に応じて、さらに溶媒を用いて適当な粘度に調整してもよい。
また、高屈折率層用塗布液および低屈折率層形成用塗布液を調製する際に、適宜加熱しながら調製してもよい。
ここで、高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液を調整するための溶媒は、特に制限されないが、水、有機溶媒、またはその混合溶媒が好ましい。また、有機溶媒の飛散による環境面を考慮すると、水、または水と少量の有機溶媒との混合溶媒がより好ましく、水が特に好ましい。前記有機溶媒としては、たとえば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル類、ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノンなどのケトン類などが挙げられる。これら有機溶媒は、単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。環境面、操作の簡便性などから、塗布液の溶媒としては、特に水、または水とメタノール、エタノール、もしくは酢酸エチルとの混合溶媒が好ましく、水がより好ましい。
水と少量の有機溶媒との混合溶媒を用いる際、当該混合溶媒中の水の含有量は、混合溶媒全体を100質量%として、80〜99.9質量%であることが好ましく、90〜99.5質量%であることがより好ましい。ここで、80質量%以上にすることで、溶媒の揮発による体積変動が低減でき、ハンドリングが向上し、また、99.9質量%以下にすることで、液添加時の均質性が増し、安定した液物性を得ることができるからである。
次に、上記で調製した高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液を用いて、基材上に塗布し、乾燥させて、誘電体多層膜を形成する方法を説明する。
前記塗布方法としては、特に限定されず、逐次塗布法、同時重層塗布のいずれであってもよいが、生産性等の観点から同時重層塗布であることが好ましい。
塗布方式としては、たとえば、カーテン塗布方法、米国特許第2,761,419号、同第2,761,791号公報に記載のホッパーを使用するスライドビード塗布方法、エクストルージョンコート法等が好ましく用いられる。
同時重層塗布を行う際の高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液の温度は、スライドビード塗布方式を用いる場合は、25〜60℃の温度範囲が好ましく、30〜45℃の温度範囲がより好ましい。また、カーテン塗布方式を用いる場合は、25〜60℃の温度範囲が好ましく、30〜45℃の温度範囲がより好ましい。
同時重層塗布を行う際の高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液の粘度は、特に制限されない。しかしながら、スライドビード塗布方式を用いる場合には、上記の塗布液の好ましい温度の範囲において、5〜100mPa・sの範囲であることが好ましく、10〜50mPa・sの範囲であることがより好ましい。また、カーテン塗布方式を用いる場合には、上記の塗布液の好ましい温度の範囲において、5〜1200mPa・sの範囲であることが好ましく、25〜500mPa・sの範囲であることがより好ましい。このような粘度の範囲であれば、効率よく同時重層塗布を行うことができる。
また、塗布液の15℃における粘度としては、100mPa・s以上が好ましく、100〜30,000mPa・sがより好ましく、さらに好ましくは3,000〜30,000mPa・sであり、最も好ましいのは10,000〜30,000mPa・sである。
塗布および乾燥方法としては、特に制限されないが、逐次塗布法で反射膜を形成する場合の具体的な例としては、25〜60℃、好ましくは30℃〜45℃に加温した低屈折率層用塗布液および高屈折率層用塗布液のいずれか一方を基材上に塗布、乾燥して層を形成した後、もう一方の塗布液をこの層上に塗布、乾燥して層を形成する。これを所望の反射性能を発現するために必要な層数となるように逐次塗布を繰り返して、反射膜前駆体を得る。乾燥する際は、形成した塗膜を、30℃以上で乾燥することが好ましい。たとえば、湿球温度5〜50℃、膜面温度5〜100℃(好ましくは10〜50℃)の範囲で乾燥することが好ましく、たとえば、40〜85℃の温風を1〜5秒吹き付けて乾燥する。乾燥方法としては、温風乾燥、赤外乾燥、マイクロ波乾燥が用いられる。また単一プロセスでの乾燥よりも多段プロセスの乾燥をすることが好ましく、恒率乾燥部の温度<減率乾燥部の温度にすることがより好ましい。この場合の恒率乾燥部の温度範囲は25〜60℃、減率乾燥部の温度範囲は50〜100℃にすることが好ましい。
また、同時重層塗布で反射層を形成する場合には、低屈折率層用塗布液および高屈折率層用塗布液を25〜60℃に加温して、基材上に低屈折率層用塗布液および高屈折率層用塗布液の同時重層塗布を行った後、形成した塗膜の温度を好ましくは1〜15℃にいったん冷却し(セット)、その後10℃以上で乾燥することが好ましい。より好ましい乾燥条件は、湿球温度5〜50℃、膜面温度10〜50℃の範囲の条件である。たとえば、80℃の温風を1〜5秒吹き付けて乾燥することができる。また、塗布直後の冷却方式としては、形成された塗膜の均一性向上の観点から、水平セット方式で行うことが好ましい。
ここで、前記セットとは、冷風等を塗膜に当てて温度を下げるなどの手段により、塗膜組成物の粘度を高め、各層間および各層内の物質の流動性の低下またはゲル化を行う工程を意味する。冷風を塗布膜に表面から当てて、塗布膜の表面に指を押し付けたときに指に何もつかなくなった状態を、セット完了の状態と定義する。
塗布した時点から、冷風を当ててセットが完了するまでの時間(セット時間)は、6分以内であることが好ましく、5分以内であることがより好ましく、2分以内であることがさらに好ましい。また、下限の時間は特に制限されないが、10秒以上の時間をとることが好ましく、45秒以上の時間をとることがより好ましい。セット時間を一定以上とることで、層中の成分が十分に混合しうる。一方、セット時間を短時間とすることにより、金属酸化物ナノ粒子の層間拡散を防止し、高屈折率層と低屈折率層との屈折率差を所望のものとすることができる。なお、高屈折率層と低屈折率層との間の境界面において高弾性化が素早く起こる場合には、セット工程を設けなくとも好適な界面を形成することができる。
なお、セット時間は、水溶性樹脂の濃度や金属酸化物ナノ粒子の濃度を変更することの他、ゼラチン、ペクチン、寒天、カラギ−ナン、ゲランガム等の各種公知のゲル化剤など他の成分を添加することにより調整することができる。
より詳細には、セット工程においては、使用される冷風の温度は、0〜25℃であることが好ましく、5〜10℃であることがより好ましい。また、塗膜が冷風に晒される時間は、塗膜の搬送速度にもよるが、好ましくは10〜360秒、より好ましくは10〜300秒、さらに好ましくは10〜120秒である。
高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液の塗布厚は、上記で示したような好ましい乾燥時の厚みとなるように塗布すればよい。
以上、機能層が誘電体多層膜である場合を例に挙げて、その構成を具体的に説明したが、機能層は誘電体多層膜以外の種々の機能性層であっても本発明は適用可能である。機能層としての、誘電体多層膜以外の機能性層としては、たとえば、帯電防止層、密着付与中間層、色材層などが挙げられ、これらの具体的な構成については従来公知の知見が適宜参照されうる。
[粘着層]
また、本発明の一形態に係る遮熱フィルムは、粘着層を有していてもよい。この粘着層は通常、遮熱フィルムの基材におけるハードコート層とは反対側の最表面に設けられ、さらに公知の剥離紙がさらに設けられていてもよい。粘着層の構成としては、特に制限されず、たとえば、ドライラミネート剤、ウエットラミネート剤、粘着剤、ヒートシール剤、ホットメルト剤等のいずれもが用いられる。粘着剤としては、たとえば、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ニトリルゴム等が用いられる。
なお、粘着層は、紫外線吸収剤、抗酸化剤、帯電防止剤、熱安定剤、滑剤、充填剤、着色、接着調整剤等を適宜添加配合してもよい。
(用途)
本形態に係る遮熱フィルムは、幅広い分野に応用することができる。たとえば、建物の屋外の窓や自動車窓等長期間太陽光に晒らされる設備に貼り合せ、遮熱機能を付与する窓貼用フィルム、農業用ビニールハウス用フィルム等として、主として耐候性を高める目的で用いられる。
[遮熱体]
特に、本形態の一形態に係る遮熱フィルムは、遮熱体として好適に用いることができる。遮熱体とは、遮熱フィルムを、直接もしくは接着層を介して、または遮熱フィルムが粘着層を有する場合は粘着層を介して、ガラスまたはガラス代替の樹脂等の基体に貼合されてなる部材をいう。
基体を形成する材料は、特に制限されないが、具体例としては、たとえば、ガラス、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルフィド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂などの各種樹脂、金属板、セラミック等が挙げられる。基体を形成するための樹脂の種類は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂のいずれも用いることができる。また、異なる種類の樹脂を2種以上組み合わせて用いてもよい。実用性の観点から、基体を形成する材料はガラスであることが特に好ましい。基体は、押出成形、カレンダー成形、射出成形、中空成形、圧縮成形等、公知の方法で製造することができる。基体の厚みは特に制限されないが、0.1mm〜5cmであることが好ましい。
基体は平面であっても曲面であってもよい。曲面を有する基体と貼合するための加熱成形の方法は、特に制限されないが、一般的には、曲面を有する基体の一面に、遮熱フィルムのハードコート層を内側、すなわち基材に対して基体側へ向けた状態で、基体の形状に沿って変形させ、その後、曲面を有する基体の反対側の面に、遮熱フィルムのハードコート層が外側、すなわち基材に対して基体とは反対側へ向けた状態で基体と貼合する方法が用いられる。
したがって、本発明の他の好ましい一形態は、遮熱フィルムを基体に貼合してなる、遮熱体である。
前述のように、本発明の一形態に係る遮熱フィルムは、接着層を介して、基体と貼合してもよい。接着層を形成する接着剤または粘着剤は、特に制限されないが、たとえば、光硬化性または熱硬化性の樹脂を主成分とする接着剤または粘着剤が挙げられる。接着剤または粘着剤としては、紫外線に対して耐久性を有するものが好ましい。接着剤または粘着剤としては、具体的には、アクリル系粘着剤またはシリコーン系粘着剤が好ましく、粘着特性やコストの観点から、アクリル系粘着剤がさらに好ましい。アクリル系粘着剤としては、特に剥離強さの制御が容易なことから、溶剤系が好ましい。アクリル溶剤系粘着剤として溶液重合ポリマーを使用する場合、そのモノマーとしては公知のものを使用できる。また、接着剤または粘着剤としては、ポリビニルブチラール系樹脂またはエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂を用いてもよい。ポリビニルブチラール系樹脂またはエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂の具体例としては、たとえば、可塑性ポリビニルブチラール(積水化学工業株式会社製、三菱モンサント化成株式会社製等)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(デュポン社製、武田薬品工業株式会社製、デュラミン)、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー株式会社製、メルセンG(登録商標))等が挙げられる。
なお、接着層には、紫外線吸収剤、抗酸化剤、帯電防止剤、熱安定剤、滑剤、充填剤、着色、接着調整剤等を適宜添加配合してもよい。
[遮熱性能]
遮熱フィルムまたは遮熱体の断熱性能、日射熱遮へい性能は、一般的にJIS R 3209:1998(複層ガラス)、JIS R 3106:1998(板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射熱取得率の試験方法)、JIS R 3107:1998(板ガラス類の熱抵抗および建築における熱貫流率の算定方法)に準拠した方法により求めることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の実施例および比較例では、基材およびタングステン酸化物を含有するハードコート層を有する遮熱フィルムを作製し、各種評価を行った。
《遮熱フィルムの作製》
〈塗布液の調製〉
実施例および比較例の遮熱フィルムの作製に使用する塗布液を下記のように調製した。
(ハードコート層用塗布液HC1の調製)
(メタ)アクリレート系化合物((b)成分)としてアロニックス(登録商標)M−405(ジペンタエリスリトールペンタアクリレート:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート=10〜20:90〜80(質量比)の混合物、東亞合成株式会社製)390質量部とEBECRYL(登録商標)350(シリコーンジアクリレート、ダイセル・オルネクス株式会社製)0.4質量部とを混合し、複合タングステン酸化物としてセシウムドープト酸化タングステン分散液(YMF−02A、全固形分濃度28質量%(セシウムドープト酸化タングステン((a)成分)濃度18.5質量%)、組成:Cs0.33WO、平均粒径50nm、住友金属鉱山株式会社製)650質量部、金属塩((c)成分)として過塩素酸ニッケル(Ni)六水和物(関東化学株式会社製)3質量部、溶媒としてメチルエチルケトン300質量部、を加えた。さらに、重合開始剤としてIrgacure(登録商標)819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、BASFジャパン株式会社製)20質量部、フッ素系界面活性剤(フタージェント(登録商標)650A、株式会社ネオス製)0.5質量部を添加して、ハードコート層用塗布液HC1を調製した。
(ハードコート層用塗布液HC2の調製)
金属塩としての過塩素酸ニッケル(Ni)六水和物を、ステアリン酸マグネシウム(Mg)(関東化学株式会社製)に変更した以外は、ハードコート層用塗布液HC1と同様にしてハードコート層用塗布液HC2を調製した。
(ハードコート層用塗布液HC3の調製)
金属塩としての過塩素酸ニッケル(Ni)六水和物を、酢酸亜鉛(Zn)(無水)(関東化学株式会社製)に変更した以外は、ハードコート層用塗布液HC1と同様にしてハードコート層用塗布液HC3を調製した。
(ハードコート層用塗布液HC4の調製)
金属塩としての過塩素酸ニッケル(Ni)六水和物を、ビス(2−エチルヘキサン酸)亜鉛(Zn)(固形分濃度80%ミネラルスピリット溶液、和光純薬工業株式会社製)3.8質量部に変更した以外は、ハードコート層用塗布液HC1と同様にしてハードコート層用塗布液HC4を調製した。
(ハードコート層用塗布液HC5の調製)
(メタ)アクリレート系化合物((b)成分)としてのアロニックス(登録商標)M−405(ジペンタエリスリトールペンタアクリレート:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート=10〜20:90〜80(質量比)の混合物、東亞合成株式会社製)を、アロニックス(登録商標)M−402(ジペンタエリスリトールペンタアクリレート:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート=30〜40:70〜60(質量比)の混合物、東亞合成株式会社製)に変更し、かつ金属塩としてのビス(2−エチルヘキサン酸)亜鉛(Zn)の添加量を、0.076質量部に変更した以外は、ハードコート層用塗布液HC4と同様にしてハードコート層用塗布液HC5を調製した。
(ハードコート層用塗布液HC6の調製)
金属塩としてのビス(2−エチルヘキサン酸)亜鉛(Zn)の添加量を、0.38質量部に変更した以外は、ハードコート層用塗布液HC5と同様にしてハードコート層用塗布液HC6を調整した。
(ハードコート層用塗布液HC7の調製)
金属塩としてのビス(2−エチルヘキサン酸)亜鉛(Zn)の添加量を、3.8質量部に変更した以外は、ハードコート層用塗布液HC5と同様にしてハードコート層用塗布液HC7を調整した。
(ハードコート層用塗布液HC8の調製)
金属塩としてのビス(2−エチルヘキサン酸)亜鉛(Zn)の添加量を、7.6質量部に変更した以外は、ハードコート層用塗布液HC5と同様にしてハードコート層用塗布液HC8を調整した。
(ハードコート層用塗布液HC9の調製)
金属塩としてのビス(2−エチルヘキサン酸)亜鉛(Zn)の添加量を、38質量部に変更した以外は、ハードコート層用塗布液HC5と同様にしてハードコート層用塗布液HC9を調整した。
(ハードコート層用塗布液HC10の調製)
(メタ)アクリレート系化合物((b)成分)としてのアロニックス(登録商標)M−405(ジペンタエリスリトールペンタアクリレート:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート=10〜20:90〜80(質量比)の混合物、東亞合成株式会社製)を、アロニックス(登録商標)M−305(ペンタエリスリトールトリアクリレート:ペンタエリスリトールテトラアクリレート=55〜63:45〜37(質量比)の混合物、東亞合成株式会社製)に変更した以外は、ハードコート層用塗布液HC4と同様にしてハードコート層用塗布液HC10を調製した。
(ハードコート層用塗布液HC11の調製)
(メタ)アクリレート系化合物としてのアロニックス(登録商標)M−405(ジペンタエリスリトールペンタアクリレート:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート=10〜20:90〜80(質量比)の混合物、東亞合成株式会社製)を、カヤラッド(登録商標)TMTPA(トリメチロールプロパントリアクリレート、日本化薬株式会社製)に変更した以外は、ハードコート層用塗布液HC2と同様にしてハードコート層用塗布液HC11を調製した。
(低屈折率層塗布液の調製)
380質量部のコロイダルシリカ(濃度10質量%、スノーテックス(登録商標)OXS、1次粒子の平均粒径4〜6nm、日産化学工業株式会社製)、50質量部のホウ酸水溶液(濃度3質量%)、300質量部のポリビニルアルコール(濃度4質量%、JP−45、重合度:4500、ケン化度:88mol%、日本酢ビ・ポバール株式会社製)、3質量部の界面活性剤水溶液(濃度5質量%、ソフタゾリン(登録商標)LSB−R、川研ファインケミカル株式会社製)を45℃でこの順に添加した。純水で1000質量部に仕上げ、低屈折率層用塗布液を調製した。
(高屈折率層用塗布液の調製)
(シリカ付着二酸化チタンゾルの調製)
二酸化チタンゾル(濃度15.0質量%、SRD−W、体積平均粒径:5nm、ルチル型二酸化チタン粒子、堺化学工業株式会社製)0.5質量部に純水2質量部を加えた後、90℃に加熱した。次いで、ケイ酸水溶液(ケイ酸ソーダ4号、日本化学工業株式会社製)をSiO濃度が0.5質量%となるように純水で希釈したもの)0.5質量部を徐々に添加し、ついでオートクレーブ中、175℃で18時間加熱処理を行い、冷却後、限外濾過膜にて濃縮することにより、固形分濃度20質量%の、SiOを表面に付着させた二酸化チタンゾル(「シリカ付着二酸化チタンゾル」とも称する)(体積平均粒径:9nm)を得た。
(塗布液の調製)
このようにして得られたシリカ付着二酸化チタンゾル(固形分20質量%)113質量部に対して、クエン酸水溶液(濃度1.92質量%)を48質量部加え、さらにエチレン変性ポリビニルアルコール(濃度8質量%、エクセバール(登録商標)RS−2117、エチレン変性度3.0mol%、鹸化度:97.5〜99モル%、重合度1700、株式会社クラレ製)113質量部を加えて撹拌し、最後に界面活性剤の濃度5質量%水溶液(ソフタゾリン(登録商標)LSB−R、川研ファインケミカル株式会社製)0.4質量部を加えて、高屈折率層塗布液を調製した。
(遮熱フィルム試料1の作製:実施例1)
基材(厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム、コスモシャイン(登録商標)A4300、東洋紡株式会社製)上に、ハードコート層用塗布液HC1を、グラビアコーターにて乾燥膜厚が5μmとなる条件で塗布し、90℃で1分間乾燥させた。次に、紫外線ランプを用いて、照度100mW/cm、照射量0.5J/cmの条件で塗膜の基材から遠い面側から紫外線を照射することにより塗膜を硬化させてハードコート層を形成し、遮熱フィルム試料1を作製した。
(遮熱フィルム試料2〜10、12の作製:実施例2〜10、比較例1)
ハードコート層用塗布液HC1を、それぞれハードコート層用塗布液HC2〜11に変更した以外は、遮熱フィルム試料1と同様にして遮熱フィルム試料2〜10、12を作製した。
(遮熱フィルム試料11の作製:実施例11)
スライドホッパー塗布装置を用い、低屈折率層用塗布液および高屈折率層用塗布液を45℃に保温しながら、45℃に加温した基材(厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム、コスモシャイン(登録商標)A4300、東洋紡株式会社製)上に、11層同時重層塗布(総膜厚;1.5μm)を行った。この際、最下層および最上層は低屈折率層とし、それ以外は低屈折率層および高屈折率層がそれぞれ交互に積層されるように設定した。塗布量については、乾燥時の膜厚が低屈折率層は各層150nm、高屈折率層は各層120nmになるように調節した。塗布直後、5℃の冷風を5分吹き付けたのち、80℃の温風を吹き付けて乾燥させて、11層からなる誘電体多層膜を作製した。
次いで、基材の誘電体多層膜を形成した側の面とは反対側の面に、ハードコート層用塗布液HC10を、グラビアコーターにて乾燥膜厚が5μmとなる条件で塗布し、90℃で1分間乾燥させた。次に、紫外線ランプを用いて、照度100mW/cm、照射量0.5J/cmの条件で塗膜の基材から遠い面側から紫外線を照射することにより塗膜を硬化させてハードコート層を形成し、遮熱フィルム試料11を作製した。
これら遮熱フィルム試料1〜12の詳細は表1に示す。
《(メタ)アクリレート系化合物((b)成分)の水酸基価の測定》
(メタ)アクリレート系化合物((b)成分)の水酸基価は、JIS K 0070(1992)に準拠して測定した。
具体的には(b)成分に含まれる各成分を、実際にハードコート用塗布液に添加する質量比で用意した総質量Xg(1g)の試料をフラスコに精秤し、これにアセチル化試薬(無水酢酸20mLにピリジンを加えて400mLにしたもの)20mLを正確に加えた。次いで、フラスコの口に空気冷却管を装着し、95〜100℃のグリセリン浴にて加熱した。1時間30分後、冷却し、空気冷却管から精製水1mLを加え、無水酢酸を酢酸に分解した。次に電位差滴定装置を用いて0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液で滴定を行い、得られた滴定曲線の変曲点を終点とした。さらに空試験として、試料を入れないで滴定し、滴定曲線の変曲点を求めた。水酸基価は、下記式によって算出した。
水酸基価={(B−C)×f×28.05/X}+D
(式中、Bは空試験に用いた0.5mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液の量(mL)、Cは滴定に用いた0.5mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液の量(mL)、fは0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液のファクター、Dは酸価、28.05は水酸化カリウムの1mol量56.11の1/2を表す)
以上の評価結果を表1に示す。
《遮熱フィルムの評価》
〈ハードコート層の密着性〉
直径10mmのマンドレルをセットした1506マンドレル屈曲試験機(Elcometer社製)を用い、遮熱フィルム試料1〜12につき、ハードコート層を外側に配置して屈曲した後、JIS−K5600−5−6:1999のクロスカット法に従い、外側に配置した面の最表面に片刃のカミソリの刃を面に対して90°の角度で2mm間隔でクロスカットし、10mm角の碁盤目を作製した。日東電工株式会社製のセロハンテープNo.29を貼り付けて、テープをはがし、膜の剥離状態を調べた。
クロスカットしたマス目の数をn、テープ剥離後に支持体に膜が残っているマス目の数をn1としたとき、F=n1/n×100(%)を計算し、遮熱フィルム試料10枚の平均値に基づき、以下の基準で評価した。
◎:F≧90%
○:90%>F≧80%
△:80%>F≧70%
×:70%>F
なお、実使用においてはFが70%以上であれば層間密着性が確保されているといえる。
〈色調変化(変色)〉
上記作製した遮熱フィルム試料1〜12を、ガラスに貼り付け、スーパーキセノンウェザーメーター(スガ試験機株式会社 SX75)を用いて、放射強度180W/m、降雨18分/60分のサイクル条件で1000時間照射を行った(耐候試験)。分光光度計(積分球使用、株式会社日立製作所製、U−4000型)を用いて透過スペクトルを測定し、耐候試験前後の色差(ΔE)を算出した。試験サンプル6枚の平均値で、下記のランクを付けた。
◎:ΔEが1.5未満
○:ΔEが1.5以上〜2.0未満
△:ΔEが2.0以上〜2.5未満
×:ΔEが2.5以上。
なお、実使用においてはΔEが2.5未満であれば変色(耐候性)が確保されているといえる。
〈ヘイズ〉
各遮熱フィルムについて、それぞれ、ヘイズメーター(NDH2000型、日本電色工業株式会社製)を用いて遮熱フィルム試料10枚のヘイズを測定し、次いで遮熱フィルム試料10枚の平均値を算出して、この値をヘイズ値とした。
以上の評価結果を表2に示す。
表2の結果より、本発明の一形態に係る遮熱フィルム(実施例1〜11)は、ハードコート層の密着性が良好であり、ハードコート層の変色が抑制されることが示された。
また実施例4、7および10に係る遮熱フィルム4、7および10の比較より、(メタ)アクリル系化合物((b)成分)の水酸基価を40以上とすることで、ハードコート層の変色抑制効果がより高まることが確認された。また、(メタ)アクリル系化合物((b)成分)の水酸基価を80以上とすることで、ハードコート層の密着性改善効果がさらに高まることが確認された。
さらに、実施例1〜4に係る遮熱フィルム1〜4の比較より、金属塩としては、ステアリン酸マグネシウム(Mz)、酢酸亜鉛(Zn)およびビス(2−エチルヘキサン酸)亜鉛(Zn)のカルボン酸塩を使用することで、さらなるハードコート層の変色抑制が可能であることが確認された。また、金属塩を構成するカルボン酸として2−エチルヘキサン酸を使用することで、さらなるヘイズの低減が可能であることが確認された。
また、実施例5〜9に係る遮熱フィルム5〜9の比較より、金属塩の添加量を、ハードコート層用塗布液の溶媒を除いた成分の総質量に対して0.01〜5.0質量%とすることで、ハードコート層の密着性および変色抑制効果が良好となることが確認された。また、金属塩の添加量を0.01〜1.0質量%とすることでハードコート層の密着性がより高まり、かつさらなる低ヘイズ化が実現できることが確認された。さらに、金属塩の添加量を0.05〜0.5質量%とすることで、さらなるハードコート層の変色抑制が可能であることが確認された。
《遮熱体の作製と評価》
上記遮熱フィルム試料1〜11を用いて遮熱体1〜11を作製した。厚さ5mm、20cm×20cmの透明アクリル樹脂板上に、遮熱フィルム試料1〜11をアクリル接着剤で接着して、それぞれ遮熱体1〜11を作製した。
上記作製した遮熱体1〜11は、ハードコート層の密着性および変色抑制が良好であることを確認することができた。またサイズが大きいにもかかわらず、容易に利用可能であり、優れた遮熱性能を確認することができた。また、誘電体多層膜を有する遮熱フィルム試料11を利用した場合に、特に優れた遮熱性能を確認することができた。
本出願は、2014年12月5日に出願された日本特許出願番号2014−247437号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として組み入れられる。

Claims (10)

  1. 基材と、前記基材の少なくとも一方の面に配置された、下記(a)〜(c);
    (a)タングステン酸化物
    (b)1級水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物を必須に含む、(メタ)アクリレート系化合物
    (c)カルボン酸塩または無機酸塩である金属塩
    を含む、ハードコート層用塗布液の硬化物からなるハードコート層と、を有する、遮熱フィルム。
  2. 前記(a)タングステン酸化物が、セシウム含有複合タングステン酸化物である、請求項1に記載の遮熱フィルム。
  3. 前記(c)金属塩がカルボン酸塩または過塩素酸塩である、請求項1または2に記載の遮熱フィルム。
  4. 前記(c)金属塩がカルボン酸塩である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の遮熱フィルム。
  5. 前記(b)1級水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物を必須に含む、(メタ)アクリレート系化合物の水酸基価が10以上である、請求項1〜のいずれか1項に記載の遮熱フィルム。
  6. 前記(b)1級水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物を必須に含む、(メタ)アクリレート系化合物の水酸基価が40以上である、請求項に記載の遮熱フィルム。
  7. 高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層されてなる誘電体多層膜を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の遮熱フィルム。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の遮熱フィルムを基体に貼合してなる、遮熱体。
  9. 基材の少なくとも一方の面側に、
    下記(a)〜(c);
    (a)タングステン酸化物
    (b)1級水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物を必須に含む、(メタ)アクリレート系化合物
    (c)カルボン酸塩または無機酸塩である金属塩
    を含む、ハードコート層用塗布液を基材上に塗布後、紫外線を照射して塗膜を硬化させる工程を含む、遮熱フィルムの製造方法。
  10. 前記(c)金属塩がカルボン酸塩または過塩素酸塩である、請求項9に記載の遮熱フィルムの製造方法。
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