JP2016001199A - シリカ系多孔質膜、シリカ系多孔質膜付き物品およびその製造方法 - Google Patents

シリカ系多孔質膜、シリカ系多孔質膜付き物品およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ガラス板上に直接形成された場合でも長期に渡って多孔質構造を維持でき、優れた反射防止性能および耐久性を有するシリカ系多孔質膜、該シリカ系多孔質膜を備えるシリカ系多孔質膜付き物品、該シリカ系多孔質膜付き物品を簡便に製造できる製造方法の提供。【解決手段】シリカを主成分とするマトリックス中に複数の空孔を有するシリカ系多孔質膜であって、屈折率が1.10〜1.38の範囲内であり、前記空孔として、直径20nm以上の空孔を含み、最表面に開口した直径20nm以上の空孔の数が、13個/106nm2以下であることを特徴とする、シリカ系多孔質膜。【選択図】なし

Description

本発明は、シリカ系多孔質膜、シリカ系多孔質膜付き物品およびその製造方法に関する。
反射防止膜をガラス板の表面に有する反射防止膜付きガラス板は、太陽電池のカバーガラス、各種ディスプレイおよびそれらの前面板、各種窓ガラス、タッチパネルのカバーガラス等として用いられている。
ガラス板等に用いられる反射防止膜の一つとしてシリカ系多孔質膜がある。シリカ系多孔質膜は、シリカを主成分とするマトリックス中に空孔を有することから、空孔を有さない場合に比べて屈折率が低くなっている。
シリカ系多孔質膜の製造方法としては様々な方法が提案されている。その一つとして、アルコキシシラン等のシリカ前駆体と、空孔形成用粒子とを含むコーティング液を塗工、熱処理する方法がある(たとえば特許文献1)。該方法では、熱処理によるマトリックスの形成と同時に、またはマトリックスの形成後に空孔形成用粒子が除去され、空孔が形成される。該方法は、プロセスが簡便で、鋳型となる空孔形成用粒子の大きさや配合量によって空孔の大きさや空孔率を制御できる利点がある。
しかし、シリカ系多孔質膜をガラス表面に設けた場合、ガラスに含まれるナトリウムに起因して、湿熱条件下でシリカ系多孔質膜の多孔質構造が壊れ、反射防止性能が低下する問題がある。
かかる問題に対し、シリカ系多孔質膜の耐久性を確保するため、ガラス板表面に、アンダーコート層として、非多孔質のシリカ膜等のアルカリバリア層を設けることが行われている(たとえば特許文献2)。
また、コア−シェル型粒子または中空粒子を用いて、各空孔が独立して存在した閉塞孔を形成することで耐久性を確保する技術が開示されている(たとえば特許文献3、4)。
特表2010−509175号公報 特開2003−54996号公報 特表2010−503033号公報 特開2006−335605号公報
しかし、アルカリバリア層を設ける場合、アルカリバリア層の収縮応力によってガラスが反る問題がある。また、ガラス板上にアルカリバリア層を形成する工程自体に追加のコストおよび設備が必要となる。
また、コア−シェル型粒子または中空粒子を用いた場合、膜の屈折率を下げるために粒子の割合を多くすると粒子間に空隙が形成されやすく、生成した開放孔によって膜の耐久性が低下するといった課題がある。一方、膜の耐久性を向上させるためにマトリックス成分を増やすと急激に反射防止性能が低下する。さらに、膜表面に粒子由来の凹凸が形成されるために耐摩耗性や汚れ防止性能が充分でない。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、ガラス板上に直接形成された場合でも長期に渡って多孔質構造を維持でき、優れた反射防止性能および耐久性を有するシリカ系多孔質膜、該シリカ系多孔質膜を備えるシリカ系多孔質膜付き物品、該シリカ系多孔質膜付き物品を簡便に製造できる製造方法を提供することを目的とする。
本発明は以下の態様を有する。
[1]シリカを主成分とするマトリックス中に複数の空孔を有するシリカ系多孔質膜であって、
屈折率が1.10〜1.38の範囲内であり、
前記空孔として、直径20nm以上の空孔を含み、
最表面に開口した直径20nm以上の空孔の数が、13個/10nm以下であることを特徴とする、シリカ系多孔質膜。
[2] 前記最表面から、該最表面下に存在する空孔の最上部までの距離の平均値が10〜80nmである、[1]に記載のシリカ系多孔質膜。
[3] 前記空孔の平均直径が15〜100nmである、[1]または[2]に記載のシリカ系多孔質膜。
[4] 当該シリカ系多孔質膜の内部に存在する直径20nm以上の空孔が独立孔である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載のシリカ系多孔質膜。
[5] 前記最表面の算術平均粗さ(Sa)が3.0nm以下である、[1]〜[4]のいずれか一項に記載のシリカ系多孔質膜。
[6] [1]〜[5]のいずれか一項に記載のシリカ系多孔質膜を物品の表面に有するシリカ系多孔質膜付き物品。
[7] シリカを主成分とするマトリックス中に複数の空孔を有するシリカ系多孔質膜付き物品の製造方法であって、
マトリックス前駆体(A)と、マトリックス中から除去可能な粒子(B)と、液体媒体(C)とを含有する塗布液を、物品の表面に塗布し、熱処理する工程を含み、
前記マトリックス前駆体(A)が、下記一般式(a1)で表される化合物(a1)、その加水分解物および部分縮合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(A1)と、下記一般式(a2)で表される化合物(a2)、その加水分解物および部分縮合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(A2)と、を含有し、
前記マトリックス前駆体(A)中の、前記化合物(A1)と前記化合物(A2)との含有量の比率が、前記化合物(a1)と前記化合物(a2)とのモル比((a1)/(a2))に換算して0.1〜3.0の範囲内であり、
前記粒子(B)の平均一次粒子径が20〜130nmであることを特徴とする、シリカ系多孔質膜付き物品の製造方法。
SiX …(a1)
SiX4−n …(a2)
[式中、Xは加水分解性基を示し、Yは、Y−OHの誘電率が50F/m以下である非加水分解性基を示し、nは1〜3の整数を示す。]
[8] 前記マトリックス前駆体(A)のSiO換算の含有量と、前記粒子(B)の含有量との質量比((A)/(B))が0.3〜4.0の範囲内である、[7]に記載のシリカ系多孔質膜付き物品の製造方法。
[9] 前記粒子(B)が、カーボンまたは有機ポリマーからなる、[7]または[8]に記載のシリカ系多孔質膜付き物品の製造方法。
[10] 前記有機ポリマーが、メタクリル酸メチル、スチレン、アクリロニトリル、ブタジエンおよびイソプレンからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーの単独重合体または共重合体からなる、[9]に記載のシリカ系多孔質膜付き物品の製造方法。
本発明によれば、ガラス板上に直接形成された場合でも長期に渡って多孔質構造を維持でき、優れた反射防止性能および耐久性を有するシリカ系多孔質膜、該シリカ系多孔質膜を備えるシリカ系多孔質膜付き物品、該シリカ系多孔質膜付き物品を簡便に製造できる製造方法を提供できる。
本発明におけるシリカ系多孔質膜付き物品の一実施形態を示す断面図である。 図1に示すシリカ系多孔質膜付き物品におけるシリカ系多孔質膜の構成を模式的に説明する概略断面図である。 本発明におけるシリカ系多孔質膜付き物品の一実施形態を示す断面図である。 例1で得たシリカ系多孔質膜付きガラス板の(a)上面、(b)断面それぞれのSEM写真である。 例3で得たシリカ系多孔質膜付きガラス板の走査型電子顕微鏡写真((a)上面、(b)断面)である。 例5で得たシリカ系多孔質膜付きガラス板の走査型電子顕微鏡写真((a)上面、(b)断面)である。 例7で得たシリカ系多孔質膜付きガラス板の走査型電子顕微鏡写真((a)上面、(b)断面)である。 例9で得たシリカ系多孔質膜付きガラス板の走査型電子顕微鏡写真((a)上面、(b)断面)である。 例10で得たシリカ系多孔質膜付きガラス板の走査型電子顕微鏡写真((a)上面、(b)断面)である。 例11で得たシリカ系多孔質膜付きガラス板の走査型電子顕微鏡写真((a)上面、(b)断面)である。 例12で得たシリカ系多孔質膜付きガラス板の走査型電子顕微鏡写真((a)上面、(b)断面)である。 例13で得たシリカ系多孔質膜付きガラス板の走査型電子顕微鏡写真((a)上面、(b)断面)である。 例14で得たシリカ系多孔質膜付きガラス板の走査型電子顕微鏡写真((a)上面、(b)断面)である。
以下、実施形態例を示して本発明を説明する。
<第一実施形態>
図1は、本発明のシリカ系多孔質膜を物品の表面に有するシリカ系多孔質膜付き物品の第一実施形態を示す断面図である。
本実施形態のシリカ系多孔質膜付き物品10は、ガラス板12と、ガラス板12の表面に形成されたシリカ系多孔質膜14とを有する。
(ガラス板12)
ガラスとしては、たとえば、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。
ガラス板12は、フロート法等により成形された平滑なガラス板であってもよく、表面に凹凸を有する型板ガラスであってもよい。また、平坦なガラスのみでなく曲面形状を有するガラスでもよい。
ガラス板12の厚みは特に限定されるものではなく、厚さ0.2〜10mmのガラスを使用することが出来る。厚さが薄いほど光の吸収を低く抑えられるため、透過率向上を目的とする用途にとって好ましい。
ガラス板12が建築用または車両用の窓ガラスの場合、下記の組成を有するソーダライムガラスが好ましい。
酸化物基準の質量百分率表示で、
SiO :65〜75%、
Al:0〜10%、
CaO :5〜15%、
MgO :0〜15%、
NaO :10〜20%、
O :0〜3%、
LiO :0〜5%、
Fe:0〜3%、
TiO:0〜5%、
CeO :0〜3%、
BaO :0〜5%、
SrO :0〜5%、
:0〜15%、
ZnO :0〜5%、
ZrO :0〜5%、
SnO :0〜3%、
SO :0〜0.5%、を含む。
ガラス板12が無アルカリガラスの場合、下記の組成を有するものが好ましい。
酸化物基準の質量百分率表示で、
SiO :39〜70%、
Al:3〜25%、
:1〜30%、
MgO :0〜10%、
CaO :0〜17%、
SrO :0〜20%、
BaO :0〜30%、を含む。
ガラス板12が混合アルカリ系ガラスの場合、下記の組成を有するものが好ましい。
酸化物基準の質量百分率表示で、
SiO :50〜75%、
Al:0〜15%、
MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO:6〜24%、
NaO+KO:6〜24%、を含む。
ガラス板12が太陽電池用カバーガラスの場合、表面に凹凸をつけた梨地模様の型板ガラスが好ましい。型板ガラスとしては、通常の窓ガラス等に用いられるソーダライムガラス(青板ガラス)よりも鉄の成分比が少ない(透明度が高い)ソーダライムガラス(白板ガラス)が好ましい。
(シリカ系多孔質膜14)
図2に、シリカ系多孔質膜14の構成を模式的に説明する概略断面図を示す。
シリカ系多孔質膜14は、シリカを主成分とするマトリックス21中に、複数の直径20nm以上の空孔22を有する。
シリカ系多孔質膜14は、マトリックス21がシリカを主成分とすることから、比較的屈折率(反射率)が低い。また化学的安定性、ガラス板12との密着性、耐摩耗性等に優れる。さらにマトリックス21中に空孔22を有することで、空孔22を有さない場合に比べて屈折率が低くなっている。
シリカ系多孔質膜14は、マトリックス21中に、図示しない直径20nm未満の空孔を有していてもよい。
マトリックス21がシリカを主成分とするとは、シリカの割合がマトリックス(100質量%)のうち90質量%以上であることを意味する。
マトリックス21としては、実質的にシリカからなるものが好ましい。実質的にシリカからなるとは、不可避不純物(たとえば後述する化合物(a2)に由来する構造)を除いてシリカのみから構成されていることを意味する。
マトリックス21はシリカ以外の成分を少量含んでもよい。該成分としては、Li,B,C,N,F,Na,Mg,Al,P,S,K,Ca,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Sr,Y,Zr,Nb,Ru,Pd,Ag,In,Sn,Hf,Ta,W,Pt,Au,Biおよびランタノイド元素より選ばれる1つもしくは複数のイオンおよびまたは酸化物等の化合物が挙げられる。
マトリックス21は2次元的に重合されたマトリックス成分だけでなく、3次元的に重合されたナノ粒子を含んでも良い。ナノ粒子の組成としてAl,SiO,SnO,TiO,ZnO,ZrO等が挙げられる。ナノ粒子のサイズは1〜100nmが好ましい。ナノ粒子の形状は特に限定されるものではなく、球状、針状、中空状、シート状、角状等が挙げられる。
シリカ系多孔質膜14は、直径20nm以上の空孔22を含む。これにより、優れた反射防止性能が得られる。
従来のシリカ系多孔質膜は、直径20nm以上の空孔を含む場合、空孔が連通化し、膜表面にも多くの開放孔が形成されるため、耐久性が悪く、耐湿試験や摩耗試験を行ったときに多孔質構造が壊れて反射防止性能が低下しやすいが、本発明においては、開放孔が少ないため、マトリックス21中に直径20nm以上の空孔22を含んでいるにもかかわらず、優れた耐久性を有する。
空孔の直径は、走査型電子顕微鏡(以下、SEMともいう。)を用いてシリカ系多孔質膜14の断面を観察して得られる像から測定される。該像における空孔の形状が真円状でない場合は、短径と長径の平均値を直径とする。
マトリックス21中に含まれる空孔の平均直径(以下「平均空孔直径」ともいう。)は、15〜100nmであることが好ましく、20〜80nmがより好ましい。平均空孔直径が15nm以上であれば、反射防止膜として充分な反射防止性能が得られ、100nm以下であれば、シリカ系多孔質膜14の耐久性、光透過性等が良好である。
平均空孔直径は、SEMを用いてシリカ系多孔質膜14の断面を観察して得られる像により100個の空孔の直径を計測し、それらの平均値を算出することで求められる。
シリカ系多孔質膜14は、ガラス板12側とは反対側の最表面14a側に、最表面緻密層14bを有する。最表面緻密層14bは、直径が20nm以上の空孔22を実質的に含まない領域である。
実質的に含まないとは、シリカ系多孔質膜14の最表面14aに開口した空孔22(開放孔)の数(以下「最表面開放孔数」ともいう。)が13個/10nm以下であることを示す。最表面開放孔数は、10個/10nm以下が好ましく、0個であることが特に好ましい。すなわち、最表面緻密層14bは、直径が20nm以上の空孔22が存在しない領域であることが特に好ましい。
最表面開放孔数は、シリカ系多孔質膜14の最表面(ガラス板12側とは反対側の表面)をSEMにて観察して得られる像から、1000nm×1000nmの領域内に存在する、直径20nm以上の大きさの開口の数を計測することで求められる。該像における開口の形状が真円状でない場合は、短径と長径の平均値を直径とする。
シリカ系多孔質膜14は、最表面開放孔数が13個/10nm以下であることにより、優れた耐久性を有する。
たとえば、従来のシリカ系多孔質膜をガラス板12の表面に直接形成した場合、湿熱条件下でガラス板12と接する部分の多孔質構造がアルカリの影響により壊れ、反射防止性能が低下する。これに対し、シリカ系多孔質膜14は、ガラス板12の表面に直接形成して湿熱条件下においた場合でも、長期に渡って多孔質構造が維持され、反射防止性能が低下しにくい。上記効果は、最表面緻密層14bによって、外気中の水分がシリカ系多孔質膜14を透過し、ガラス板12に到達してアルカリが生成することを抑制できることによると考えられる。
また、最表面に大径の空孔をほとんど有さないことで、耐摩耗性も向上する。また、汚れが膜内部の空孔に浸透しにくく、付着した汚れが除去しやすいなど、防汚性が向上し、反射防止膜としての有用性が向上する。
なお、直径20nm未満の空孔が耐久性に与える影響は少ない。そのため、シリカ系多孔質膜14は、最表面緻密層14bやその他の領域のマトリックス21中に、図示しない直径20nm未満の空孔を有していてもよい。
本発明において、シリカ系多孔質膜14の内部に存在する直径20nm以上の空孔22は、連結孔ではなく、独立孔であることが好ましい。
独立孔であるとは、マトリックス中に独立して存在している粒状の空孔を示す。シリカ系多孔質膜14の内部に存在する空孔22が独立孔であることにより、水蒸気等がガラスと膜の界面に浸透しにくく、耐湿熱性に優れるため好ましい。
たとえば後述する製造方法にて、粒子(B)として有機ポリマーナノ粒子を用い、これを熱分解して得られるシリカ系多孔質膜の内部に存在する空孔22は独立孔であり、複数の空孔22が1個ずつ分かれて存在する。
一方、従来、シリカ系多孔質膜の製造方法として一般的な、無機ナノ粒子を積層する方法により得られるシリカ系多孔質膜は、粒子同士の間にある空隙が連結孔を形成する。膜内部が連結孔からなる場合は、最表面に緻密層が形成されても水蒸気等がガラスと膜の界面に浸透しやすいため、耐湿熱性が不足しやすい。
シリカ系多孔質膜14を、後述する塗布液(化合物(A1)、化合物(A2)、粒子(B)および液体媒体(C)を含有する塗布液)を塗布し、熱処理する工程を経て形成する場合、最表面緻密層14bとその他の領域(直径20nm以上の空孔22が分布している領域)とは、マトリックス21の組成が異なる。
詳しくは後で説明するが、前記塗布液をガラス板等の物品の表面に塗布すると、化合物(A2)が塗膜中を浮上し、相分離する。これにより塗膜の最表面側に形成された化合物(A2)相が、熱処理によって最表面緻密層14bとなる。
そのため、最表面緻密層14bを構成するマトリックス21は、実質的に化合物(A2)の熱処理物からなり、化合物(a2)に由来する構造(たとえば非加水分解性基Y)を含む。他の領域を構成するマトリックス21は、実質的に化合物(A1)の熱処理物から構成され、化合物(a2)に由来する構造を含まないか、含んでもごくわずかである。
最表面緻密層14bの平均膜厚(以下「最表面緻密層平均膜厚」ともいう。)d、つまり最表面14aから、該最表面14a下に存在する直径20nm以上の空孔22の最上部までの距離の平均値dは、10〜80nmであることが好ましく、13〜60nmであることがより好ましい。最表面緻密層平均膜厚dが10nm以上であれば、外気中の水分がガラスに到達することを抑制する効果が良好である。最表面緻密層平均膜厚dが80nm以下であれば、膜全体の屈折率を低く抑えることができるため反射防止性能が良好である。
最表面緻密層平均膜厚の測定方法は後述の実施例に示すとおりである。
最表面緻密層平均膜厚dは、後述する塗布液中の化合物(a1)と化合物(a2)とのモル比((a1)/(a2))、粒子(B)の平均一次粒子径等により調整できる。
たとえば、該塗布液を塗布し、熱処理したとき、主に化合物(A2)から最表面緻密層14bが形成される。そのため、化合物(A1)と化合物(A2)との合計量が同じであれば、(a1)/(a2)が小さい(化合物(a2)の比率が高い)ほど、最表面緻密層平均膜厚dが厚くなる傾向がある。また、粒子(B)の平均一次粒子径が大きいほど、化合物(A2)のみが浮上しやすく、最表面緻密層平均膜厚dが厚くなる傾向がある。
シリカ系多孔質膜14の平均総膜厚(nm)に対する最表面緻密層平均膜厚d(nm)の割合は、所望の最表面緻密層平均膜厚d、平均総膜厚等を考慮して適宜設定でき特に限定されないが、8〜40%が好ましく、10〜30%がより好ましい。
シリカ系多孔質膜14の平均総膜厚は、40〜300nmが好ましく、80〜200nmがより好ましい。シリカ系多孔質膜14の平均総膜厚が40nm以上であれば、可視光領域において光の干渉が起こり、反射防止性能が発現する。シリカ系多孔質膜14の平均総膜厚が300nm以下であれば、クラックが発生せずに成膜できる。
平均総膜厚の測定方法は後述の実施例に示すとおりである。
シリカ系多孔質膜14の屈折率は、1.10〜1.38の範囲内であり、1.15〜1.35の範囲内が好ましい。シリカ系多孔質膜14の屈折率が1.38以下であれば、シリカ系多孔質膜14中に充分な空孔22が存在し、シリカ系多孔質膜14の反射率が充分に低くなり、優れた反射防止性能を発揮する。シリカ系多孔質膜14の屈折率が1.10以上であれば、シリカ系多孔質膜14の空隙率が高くなりすぎず、耐久性が向上する。
屈折率の測定方法は後述の実施例に示す「上層屈折率」の測定方法と同様である。
シリカ系多孔質膜14の最表面14aの算術平均粗さ(Sa)は、3.0nm以下であることが好ましく、2.5nm以下がより好ましい。
最表面14aが、算術平均粗さ(Sa)が3.0nm以下となる平滑性を有していれば、耐久性、たとえば耐摩耗性等が向上する。また、汚れが付着しにくく、付着した汚れが除去しやすいなど、防汚性が向上し、反射防止膜としての有用性が向上する。表面に多くの開放孔を有する膜や、コア−シェル型粒子または中空粒子を用いて得られる膜は、算術平均粗さ(Sa)が大きいために好ましくない。
算術平均粗さ(Sa)の測定方法は後述の実施例に示すとおりである。
シリカ系多孔質膜14の表面に入射角5°で入射する波長400〜1100nmの光の平均反射率(以下「平均反射率(5°入射)」ともいう。)は、2.0%以下であることが好ましく、1.7%以下がより好ましい。シリカ系多孔質膜14の平均反射率(5°入射)が2.0%以下であれば、太陽電池のカバーガラス等に要求される反射防止性能を充分に満足する。
本明細書における入射角は、光の入射方向とシリカ系多孔質膜の表面の法線とのなす角度である。
平均反射率(5°入射)の測定方法は後述の実施例に示すとおりである。
シリカ系多孔質膜付き物品10のシリカ系多孔質膜14側の表面に入射角0°で入射する波長400〜1100nmの光の平均透過率(以下「平均透過率(0°入射)」ともいう。)は、94.0%以上であることが好ましく、94.5%以上がより好ましい。シリカ系多孔質膜付き物品10の平均透過率(0°入射)が94.0%以上であれば、太陽電池のカバーガラス等に要求される光透過性を充分に満足する。
シリカ系多孔質膜付き物品10におけるガラス板12の代わりに他の透光性基板を用いたシリカ系多孔質膜付き物品の平均透過率も、上記と同様、94.0%以上であることが好ましい。
平均透過率(0°入射)の測定方法は後述の実施例に示すとおりである。
(シリカ系多孔質膜付き物品10の製造方法)
シリカ系多孔質膜付き物品10は、ガラス板12上にシリカ系多孔質膜14を形成することにより製造できる。
シリカ系多孔質膜14の形成においては、まず、以下に示すマトリックス前駆体(A)と、マトリックス中から除去可能な粒子(B)と、液体媒体(C)とを含有する塗布液を、ガラス板12の表面に塗布し、熱処理する。
該塗布液の塗膜を熱処理することで、マトリックス前駆体(A)からマトリックス21が形成される。
粒子(B)が熱処理により除去可能であれば、該熱処理により粒子(B)が除去され、シリカ系多孔質膜14が形成される。具体的には、粒子(B)が、熱分解性材料(たとえば熱分解性の有機ポリマー等)で構成される場合、マトリックス21を形成する際の熱処理温度を、熱分解性材料の熱分解温度以上の温度とすることにより、粒子(B)が気化し、マトリックス21中の微細な空孔を通過してマトリックス21外に放出され、シリカ系多孔質膜14が形成される。マトリックス21を形成するための熱処理を、該熱分解温度よりも低い温度で行い、成膜後、再度、熱分解温度以上の温度での熱処理を行ってもよい。
熱処理により粒子(B)を除去しない場合は、熱処理によりマトリックス21を形成する前、または形成した後に、粒子(B)を構成する材料に応じた除去処理を行うことで、シリカ系多孔質膜14を形成できる。
マトリックス前駆体(A)は、下記一般式(a1)で表される化合物(a1)、その加水分解物および部分縮合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(A1)と、下記一般式(a2)で表される化合物(a2)、その加水分解物および部分縮合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(A2)と、を含有する。
SiX …(a1)
SiX4−n …(a2)
[式中、Xは加水分解性基を示し、Yは、Y−OHの誘電率が35F/m以下となる非加水分解性基を示し、nは1〜3の整数を示す。]
式(a1)中、Xは加水分解性基を示す。加水分解性基とは、加水分解によりSi−X基をSi−OH基に変換し得る基である。
Xとしては、ハロゲン原子(たとえば塩素原子)、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノキシ基、アミド基、ケトキシメート基、水酸基、エポキシ基、グリシジル基、イソシアネート基等が挙げられ、大気中での取り扱いが容易で加水分解重縮合反応が制御しやすい点から、アルコキシ基が特に好ましい。アルコキシ基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基またはエトキシ基がより好ましい。
化合物(a1)が有する4つのXは、同じでも異なってもよい。入手しやすさ、加水分解重集合反応の制御のしやすさ等の点では、同じ基であることが好ましい。
化合物(a1)の具体例としては、たとえば、テトラアルコキシシラン(テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等)等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明の製造方法においては、誘電率(極性)が異なる2種以上のマトリックス前駆体(化合物(A1)、(A2))を用いることで相分離を引き起こして最表面緻密層14bが形成されると考えられる。したがって、誘電率の大きい化合物(A1)と、誘電率の小さい化合物(A2)の誘電率差が大きいほど相分離が顕著に引き起こされ、最表面緻密層14bの平均膜厚dが厚くなると考えられる。化合物(a1)が有する加水分解性基がアルコキシ基である場合、該アルコキシ基の炭素数が小さいほど、加水分解の進行が速いためSi−OHへの転換が進みやすい。結果として化合物(A1)の誘電率が大きくなる(誘電率:Si−X<Si−OH)ため、誘電率の小さい化合物(A2)との間の相分離が顕著に引き起こされることで、最表面緻密層14bの平均膜厚dが厚くなる傾向がある。そのため、化合物(a1)はテトラアルコキシシランのなかでも、アルコキシ基の炭素数が1または2であるテトラアルコキシシランが好ましく、テトラメトキシシランが特に好ましい。
化合物(a1)の加水分解物、部分縮合物は、常法により得ることができる。
化合物(a1)は反応性が高く、化合物(a1)に水を添加するだけでも加水分解反応や部分縮合反応が進行し得る。そのため、化合物(a1)と水とを混合することで、加水分解物や部分縮合物を得ることができる。
水の添加量は、化合物(a1)の4倍モル以上が好ましい。
このとき、水とともに触媒を添加することが好ましい。触媒としては、酸またはアルカリを用いることができる。酸としては、無機酸(硝酸、硫酸、塩酸等)、有機酸(ギ酸、シュウ酸、モノクロル酢酸、ジクロル酢酸、トリクロル酢酸等)が挙げられる。アルカリとしては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。触媒としては、化合物(a1)の加水分解物や部分縮合物の長期保存性の点から、酸が好ましい。
得られた反応液は、通常、そのまま、または適宜希釈して、前記塗布液の調製に用いられる。そのため、加水分解に用いる触媒としては、粒子(B)の分散を妨げないものが好ましい。
化合物(a1)を加水分解、部分重縮合反応を行う際の温度は、5〜80℃が好ましく、10〜70℃がより好ましい。5℃以上であれば、加水分解重縮合反応が充分に進行し、80℃以下であれば、加水分解重縮合反応制御が容易である。
式(a2)中、nは1〜3の整数を示し、1または2が好ましく、1が特に好ましい。
Xの加水分解性基としては前記と同様のものが挙げられる。
nが1または2である場合、化合物(a2)が有する複数のXは、同じでも異なってもよい。入手しやすさ、加水分解反応の制御のしやすさ等の点では、同じ基であることが好ましい。
Yは、Y−OHの誘電率が50F/m以下である非加水分解性基を示す。
非加水分解性基とは、加水分解によりSi−X基がSi−OH基となる条件下で、構造が変化しない官能基である。
本来は、化合物(a1)の加水分解物および部分縮合物であるSi(OH)および化合物(a2)の加水分解物および部分縮合物YSi(OH)4−nの誘電率で議論すべきであるが、各化合物の加水分解物および部分縮合物自体の誘電率を測定することは困難である。したがって、類似化合物の誘電率を適用しモデル化して検証を行った。具体的には化合物(a1)の加水分解物および部分縮合物Si−OHの類似化合物としてHO−OH(過酸化水素)、化合物(a2)の加水分解物および部分縮合物としてY−OHを選定した。結果として、HO−OHとY−OHの誘電率差が大きければ相分離が引き起こされ、最表面緻密層14bが形成されやすいことが判明した。Y−OHの誘電率は、35F/m以下であることが好ましい。
Y−OHの誘電率は、文献値を用いても良いが、以下の測定方法によって測定することができる。
Y−OHの誘電率は、JIS−R1627の規定に則り、ネットワークアナライザ(アジレント・テクノロジー社製、PNAマイクロ波ベクトル・ネットワーク・アナライザ)を用いて、ブリッジ回路によって試料に電場を印加し、反射係数と位相を測定した値から算出した。
Yとしては、ペルフルオロポリエーテル基、ペルフルオロアルキル基、アルキル基、アリール基(フェニル基等)等が挙げられる。
なお、以下に示すように、炭化水素基の鎖長が長いほど、または炭化水素基の水素原子を置換するフッ素原子の数が多いほど、Y−OHの誘電率が小さい傾向がある。一方、化合物(a1)の加水分解物の大部分はSi−OHであり、HO−OH(過酸化水素)の誘電率は、89.2F/mである。
[化合物(a1)の類似化合物]
HO−OH(過酸化水素:誘電率89.2F/m)。
[化合物(a2)の類似化合物]
CH−OH(メタノール:誘電率33.1F/m)。
CHCH−OH(エタノール:誘電率23.8F/m)。
CH(CH−OH(1−ヘキサノール:誘電率13.3F/m)。
−OH(フェノール:誘電率2.9F/m)。
CFCH−OH(トリフルオロエタノール:誘電率2.1F/m)。
化合物(a2)の具体例としては、たとえば、モノアルキルトリアルコキシシラン(メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン等)、ジアルキルジアルコキシシラン(ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン等)、トリアルキルモノアルコキシシラン(トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリプロピルメトキシシラン、トリプロピルエトキシシラン等)、モノアリールトリアルコキシシラン(フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等)、ジアリールジアルコキシシラン(ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等)、トリアリールモノアルコキシシラン(トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン等)、ペルフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン(ペルフルオロポリエーテルトリエトキシシラン等)、ペルフルオロアルキル基を有するアルコキシシラン(ペルフルオロエチルトリエトキシシラン等)、シリコーンオイル(ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、環状ジメチルシリコーンオイル等)等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
化合物(a2)としては、上記のなかでも入手が容易で熱分解時に不活性ガスを発生しないことから、モノアルキルトリアルコキシシラン、モノアリールトリアルコキシシランが好ましく、モノアリールトリアルコキシシランがより好ましい。
化合物(a2)の加水分解物および部分縮合物は、化合物(a1)の加水分解物および部分縮合物と同様の方法で得ることができる。また、化合物(a1)と(a2)を予め混合して共加水分解重縮合反応を行ってもよい。
マトリックス前駆体(A)中、化合物(A1)と化合物(A2)との含有量の比率は、化合物(a1)と化合物(a2)とのモル比((a1)/(a2))に換算して、0.1〜3.0の範囲内であり、0.2〜2.0の範囲内であることが好ましい。
(a1)/(a2)の値を3.0以下とすることで、最表面緻密層14bが充分な厚みで形成され、シリカ系多孔質膜12の最表面開放孔数を13個/10nm以下にすることができる。また、最表面14aの平滑性が高く、算術平均粗さSaを3.0nm以下とすることができる。最表面開放孔数が少ないことで優れた耐湿性および汚れ除去性が得られ、平滑性が高いことで優れた耐摩耗性を示し、さらに汚れが付着しにくい等の効果も得られる。
(a1)/(a2)の値が0.1以下である場合、(a2)の量が多すぎるために最表面緻密層14bの厚みが厚くなりすぎて、反射防止性能が不十分となる。(a1)/(a2)の値を0.1以上とすることで、充分な反射防止性能が得られる。
化合物(a1)、(a2)の加水分解物および部分縮合物、または(a1)と(a2)の共加水分解物および部分縮合物の平均分子量は、200〜2000の範囲が好ましく、300〜1500の範囲がより好ましい。平均分子量が200以上であれば、未反応成分の揮発が抑えられ、2000以下であれば、充分な透明性が確保できる。平均分子量は、水の添加量、反応温度および前駆体(A)の含有量等によって制御可能である。平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
塗布液中のマトリックス前駆体(A)の含有量は、塗布液が塗布可能な範囲内であれば特に限定されないが、塗布液の全量(100質量%)に対し、SiO換算固形分濃度として、0.2〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。0.2質量%以上であると、加水分解重縮合反応が充分に進み、20質量%以下であると、加水分解重縮合反応制御が容易であり長期保存性が良好である。
なお、SiO換算固形分は、塗布液中に含まれるマトリックス前駆体(A)のすべてのSiがSiOに転化したときの固形分である。
粒子(B)は、マトリックス中から除去可能な粒子であり、たとえば熱処理により除去可能な粒子、プラズマ処理により除去可能な粒子、溶剤浸漬により除去可能な粒子、酸またはアルカリ浸漬により除去可能な粒子、光照射により除去可能な粒子等が挙げられる。
最表面緻密層14bを形成するには熱処理が必要なため、粒子(B)は熱処理により除去可能な粒子であることが好ましいが、熱処理前または後に、プラズマ処理、溶剤浸漬、酸もしくはアルカリ浸漬、または光照射により除去した後に熱処理をして最表面緻密層14bを形成しても良い。
熱処理により除去可能な粒子としては、熱分解性材料または熱昇華性材料からなる粒子が挙げられる。
熱分解性材料の熱分解温度は、100〜800℃が好ましく、200〜700℃がより好ましい。
熱分解性材料としては、たとえばカーボン、有機ポリマー、界面活性剤ミセル等が挙げられる。これらの中でも、経時安定性の点から、カーボンまたは有機ポリマーが好ましい。
なお、空気中でのカーボンの熱分解温度は500℃程度である。空気中での有機ポリマーの熱分解温度は、有機ポリマーの種類や分子量によっても異なるが、一般的には200〜600℃程度である。有機ポリマーの熱分解温度は、示差熱−熱重量同時測定(TG−DTA)により測定できる。
熱処理により除去可能な粒子は、熱処理により除去されないSiO等の無機酸化物によって被覆されたコア−シェル粒子でもよい。シェルの厚みが厚いと膜表面に粒子由来の凹凸が形成されやすく、耐摩耗性の不足や汚れが付着しやすくなるために、シェルの厚みは5nm以下が好ましい。反射防止性能の観点からは、加熱により除去できない成分が含まれないことがより好ましい。
前記有機ポリマーとしては、所望の粒子径のナノ粒子を合成が得られれば特に限定されるものではないが、(メタ)アクリル系モノマー、スチレン系モノマー、ジエン系モノマー、イミド系モノマー、アミド系モノマーからなる群(以下「特定モノマー群」ともいう。)から選ばれるモノマーの単独重合体または共重合体が好ましい。
アクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピル、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールのジアクリル酸エステル、ジエチルグリコールのジアクリル酸エステル、トリエチレングリコールのジアクリル酸エステル、ポリエチレングリコールのジアクリル酸エステル、ジプロピレングリコールのジアクリル酸エステル、トリプロピレングリコールのジアクリル酸エステル、エチレングリコールのジメタクリル酸エステル、ジエチレングリコールのジメタクリル酸エステル、トリエチレングリコールのジメタクリル酸エステル、ポリエチレングリコールのジアクリル酸エステル、プロピレングリコールのジメタクリル酸エステル、ジプロピレングリコールのジメタクリル酸エステル、トリプロピレングリコールのジメタクリル酸エステル等が挙げられる。
スチレン系モノマーとしては、アルキルスチレンとしては;スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレン、フロロスチレン、クロルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、クロルメチルスチレン、ニトロスチレン、アセチルスチレン、メトキシスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−スチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
ジエン系モノマーとしては、ブタジエン、イソプレイン、シクロペンタジエン、1,3−ペンタジエン、ジシクロペンタジエン等が挙げられる。
イミド系モノマーとしては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、6−アミノヘキシルコハク酸イミド、2−アミノエチルコハク酸イミド等が挙げられる。
アミド系モノマーとしては、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミドなどのアクリルアミド系誘導体、N、N−ジメチルアクリルアミド、N、N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアリルアミン系誘導体、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド等のアクリルアミド系誘導体、N−アミノスチレン等のアミノスチレン類等が挙げられる。
前記有機ポリマーが、前記特定モノマー群から選ばれるモノマーの共重合体である場合、該共重合体は、前記特定モノマー群から選ばれる2種以上のモノマーを共重合させたものであってもよく、前記特定モノマー群から選ばれる少なくとも1種と、特定モノマー群から選ばれるモノマー以外の他のモノマーの少なくとも1種とを共重合させたものであってもよい。
該他のモノマーとしては、ジビニルベンゼン、酢酸ビニル、ビニルピリジン、アクリル酸、メタアクリル酸、テトラヒドロフタル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマール酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸、メチレンマロン酸、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸モノオクチル、 カルボキシアルキルビニルエーテル、カルボキシアルキルビニルエステル、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチルなどのアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル系誘導体、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミンなどのビニルアミン系誘導体、アリルアミン、メタクリルアミン、N−メチルアクリルアミン、N、N−ジメチルアクリルアミド、N、N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのアリルアミン系誘導体、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、サリチル酸ビニル、塩化ビニリデン、クロロヘキサンカルボン酸ビニル、アクリル酸−2−クロロエチル、メタクリル酸−2−クロロエチル、アクリルニトリル、メタクリロニトリル、メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メトキシエチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチル、アクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル系誘導体、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン等のビニルアミン系誘導体、アリルアミン、メタクリルアミン、N−メチルアクリルアミン、N、N−ジメチルアクリルアミド、N、N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアリルアミン系誘導体、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド等のアクリルアミド系誘導体、p−アミノスチレン、N-メチロール(メタ)アクリルアミド及びジアセトンアクリルアミド、6−アミノヘキシルコハク酸イミド、2−アミノエチルコハク酸イミド、グリシジルメタクリレート、マレイン酸のモノ及びジグリシジルエステル、フマル酸のモノ及びジグリシジルエステル、クロトン酸のモノ及びジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸のモノ及びジグリシジルエステル、イタコン酸のモノ及びグシジルエステル、ブテントリカルボン酸のモノ及びジグリシジルエステル、シトラコン酸のモノ及びジグリシジルエステル、アリルコハク酸のモノ及びグリシジルエステル等のジカルボン酸モノ及びアルキルグリシジルエステル、p−スチレンカルボン酸のアルキルグリシジルエステル、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジルエテール、メタアクリル酸グリシジルエテール、アクリル酸−2−エチルグリシジルエテール、メタアクリル酸−2−エチルグリシジルエテール、2−メチルアリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、グリシジルアクリレート、アクリル酸−2−ヒドリキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドリキシエチル、アクリル酸−2−ヒドリキシプロピル、アクリル酸又はメタクリル酸とポリプロピレングリコール又はポリエチレングリコールとのモノエステル、ラクトン類と(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチルとの付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸−2−パ−フルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸−2−パ−フルオロエチル−2−パ−フルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸−2−パ−フルオロエチル、(メタ)アクリル酸パ−フルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパ−フルオロメチルメチル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、パーサティック酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、p−t−ブチル安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、塩化ビニリデン、クロロヘキサンカルボン酸ビニル、アクリル酸−2−クロロエチル、メタクリル酸−2−クロロエチル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクレート、β−メタクロリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクレレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジアクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリアクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリアクリレート、N−メチロールアクリルアマイド等が挙げられる。
共重合体中、特定モノマー群から選ばれるモノマー単位の割合は、全モノマー単位の合計に対し、80モル%以上が好ましく、100モル%が特に好ましい。
前記単独重合体または共重合体の熱分解温度は、200〜600℃が好ましく、300〜500℃がより好ましい。
有機ポリマーとして、前記特定モノマー群の単独重合体または共重合体以外に、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリイソブチレングリコール、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドのジブロックポリマー、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイドのトリブロックポリマー、ポリビニルアルコール、シリコーン等を用いることもできる。
プラズマ処理により除去可能な粒子は、マトリックス前駆体(A)および粒子(B)からなる膜にプラズマを照射することで分解、除去できる。該粒子の材質としては、前記の有機ポリマーが挙げられる。
溶剤浸漬により除去可能な粒子は、マトリックス前駆体(A)および粒子(B)からなる膜を溶剤中に浸漬させることで溶解、除去できる。該粒子の材質としては、たとえば、ジグライム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、酢酸エチル、アセト酢酸エチル、N−メチル−2−ピロリジノン、2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、トルエン、キシレン、ベンゼン、トリクレン、ミネラルスピリット、ベンゾール、キシロール、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、アセトン、ジクロロメタン、クロロホルム、塩化メチレン等の溶剤に溶解するものとして、ポリスチレン、ポリアクリル酸メチル等が挙げられる。
酸またはアルカリ浸漬により除去可能な粒子は、マトリックス前駆体(A)および粒子(B)からなる膜を酸またはアルカリ中に浸漬させることで溶解、除去できる。該粒子の材質としては、たとえば塩酸、硝酸、硫酸等の酸に溶解するものとして、酸化亜鉛、塩基性炭酸亜鉛、炭酸カルシウム等が挙げられる。水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等のアルカリに溶解するものとして、酸化亜鉛等が挙げられる。
光照射により除去可能な粒子は、マトリックス前駆体(A)および粒子(B)からなる膜に対し、光(たとえば紫外線等)を照射し、光溶解することで除去できる。該粒子の材質としては、たとえば酸化亜鉛、硫化カドミウム等が挙げられる。
前記プラズマ処理、溶剤浸漬、酸もしくはアルカリ浸漬、または光照射により粒子(B)を除去する場合、最表面緻密層を形成するため、粒子(B)を除去する工程の前およびまたは後に熱処理を行うことが好ましい。
マトリックス前駆体(A)をマトリックスとする際の熱処理と同時に粒子(B)を除去することができ、製造工程が簡便になる点では、粒子(B)は、熱分解性材料からなることが好ましい。なかでも、熱分解温度の点で、カーボンまたは有機ポリマーからなることが好ましい。すなわち、粒子(B)は、カーボン粒子または有機ポリマー粒子であること好ましい。
カーボン粒子としては、市販のものを用いてもよく、公知のカーボンナノ粒子の製造方法により製造したものを用いてもよい。
有機ポリマー粒子としては、市販のものを用いてもよく、公知の有機ポリマーナノ粒子の製造方法により製造したものを用いてもよい。たとえば、公知の乳化重合法により、有機ポリマーナノ粒子が分散した分散液を得ることができる。具体的には、界面活性剤を含む水中にモノマーを添加し、混合してミセルを形成させ、重合開始剤を加えて重合させることにより、有機ポリマーナノ粒子の水分散液が得られる。また、界面活性剤を用いないソープフリー重合法によって得られた有機ポリマーナノ粒子を用いても良い。
粒子(B)の平均一次粒子径は、20〜130nmであり、30〜100nmであることが好ましい。粒子(B)の平均一次粒子径が20nm以上であると、直径20nmの空孔を有するシリカ系多孔質膜を形成でき、130nm以下であると、最表面開放孔数を13個/10nm以下にすることができる。また、粒子(B)の平均一次粒子径が20〜130nmの範囲内であると、平均空孔直径が15〜100nmの範囲内となりやすい。
本明細書における平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡にて観察して得られる像から100個の粒子を無作為に選び出し、各粒子の粒子径を測定し、100個の粒子の粒子径を平均したものである。
粒子(B)としては、1種を単独で用いてもよく、材料、平均一次粒子径等が異なる2種以上を併用してもよい。
塗布液中の粒子(B)の含有量は、マトリックス前駆体(A)のSiO2換算の含有量と、粒子(B)の含有量との質量比((A)/(B))が0.3〜4.0の範囲内となる量であることが好ましく、0.5〜3.0の範囲内となる量であることがより好ましい。
(A)/(B)が4.0以下であれば、シリカ系多孔質膜14中の空隙率が充分に高くなり、シリカ系多孔質膜14の屈折率が充分に低く(たとえば1.38以下)になる。(A)/(B)が0.3以上であれば、シリカ系多孔質膜14中の空隙率が高くなりすぎず、耐久性に優れる。
液体媒体(C)は、マトリックス前駆体(A)を溶解し、かつ粒子(B)を分散する液体であり、単一の液体からなるものでも2種以上の液体を混合した混合液であってもよい。
化合物(a1)、(a2)の加水分解に水が必要となるため、液体媒体(C)は少なくとも水を含むことが好ましい。
水と他の液体とを併用してもよい。該他の液体としては、たとえば、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル等)、グリコールエーテル類(エチレングリコールモノアルキルエーテル等)、含窒素化合物(N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等)、含硫黄化合物(ジメチルスルホキシド等)等が挙げられる。
前記他の液体のうち、マトリックス前駆体(A)の溶媒としては、アルコール類が好ましく、メタノール、エタノールが特に好ましい。
前記他の液体のうち、粒子(B)の分散媒としては、アルコール類、ケトン類、エーテル類、セロソルブ類、エステル類、グリコールエーテル類、含窒素化合物、含硫黄化合物等のいずれを用いてもよい。
塗布液は、本発明の効果を損なわない範囲で、マトリックス前駆体(A)、粒子(B)以外の他の成分を含有してもよい。
該他の成分としては、たとえば、マトリックス前駆体(A)の反応性を向上させるための硬化触媒(金属キレート、金属アルコレート、有機スズ等)等が挙げられる。
塗布液の調製方法としては、マトリックス前駆体(A)の溶液と、粒子(B)の分散液とを混合する方法が挙げられ、より具体的には、下記の方法(α)〜(γ)が挙げられる。これらのなかでも、ガラス板12の表面に塗布液を塗布した際に化合物(a2)が塗膜の表面に浮き上がりやすい点から、方法(β)が好ましい。また、粒子(B)の分散液は、粒子(B)の凝集を抑制する点から、マトリックス前駆体の溶液を希釈した後に加えることが好ましい。
(α)溶液中の化合物(a1)および化合物(a2)を加水分解した後、必要に応じて溶媒で希釈し、ついで粒子(B)の分散液を加える方法。
(β)溶液中の化合物(a1)を加水分解した後(好ましくは加水分解から2時間以上経過した後)、化合物(a2)の溶液を加え、必要に応じて溶媒で希釈し、ついで粒子(B)の分散液を加える方法。
(γ)溶液中の化合物(a1)を加水分解した後、溶媒で希釈し、ついで化合物(a2)の溶液を加え、ついで粒子(B)の分散液を加える方法。
塗布液の塗布方法としては、公知のウェットコート法(スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ダイコート法、カーテンコート法、スクリーンコート法、インクジェット法、フローコート法、グラビアコート法、バーコート法、フレキソコート法、スリットコート法、ロールコート法、スポンジコート法等)等を用いることができる。
塗布温度は、10〜100℃が好ましく、20〜80℃がより好ましい。
熱処理温度は、ガラス板12、粒子(B)またはマトリックス前駆体(A)に応じて適宜決定すればよい。
マトリックス前駆体(A)をマトリックス21とするためには、80℃以上で熱処理すればよいが、100℃以上が好ましく、200〜700℃がより好ましい。熱処理温度が100℃以上であれば、マトリックス21が緻密化して耐久性が向上する。熱処理温度が700℃以下であれば、ガラスからのアルカリ拡散が低く抑えられるため耐湿性が良好である。
粒子(B)が、カーボン、有機ポリマー等の熱分解性材料で構成され、該粒子(B)を熱処理により除去する場合、該熱分解性材料の熱分解温度以上の温度で熱処理を行うことにより、粒子(B)を除去できる。この場合の熱処理温度は、(熱分解温度+100℃)以上が好ましく、(熱分解温度+50℃)以上がより好ましい。
粒子(B)を熱処理により除去する場合、該熱処理の前に、該熱分解温度よりも低い温度で、マトリックス前駆体(A)をマトリックス21とするための熱処理を行ってもよい。
熱処理はガラスを強化する工程を兼ねても良い。太陽電池用途等にガラスを使用する際には安全性の観点から、強化ガラスが用いられる。強化ガラスは表面に圧縮応力を有しており、一般的なフロート板ガラスに比べ高い強度を持ち、破損しても粒状になるために安全性に優れている。ガラスを強化する手法としては、ガラスを600〜700℃に加熱した後に表面に空気を吹き付けて急冷する熱強化法および、ナトリウムイオンを含有したガラスを、カリウムイオンを含有した300〜500℃の溶融塩に含浸させることで、ガラス表面でイオン交換を行う化学強化法が挙げられる。
熱処理により粒子(B)を除去できない場合は、熱処理の前または後に、粒子(B)を、熱処理以外の除去で除去する。
熱処理以外の除去方法としては、粒子(B)の説明で挙げたように、プラズマ処理、溶剤浸漬、酸またはアルカリ浸漬、光照射などが挙げられる。具体的には、マトリックス前駆体(A)および粒子(B)からなる膜にプラズマを照射する方法、該膜を溶剤中に浸漬する方法、該膜を酸またはアルカリ中に浸漬する方法、該膜に対し光照射する方法等が挙げられる。
製造工程に簡便性の点では、粒子(B)として、カーボン、有機ポリマー等の熱分解性材料で構成されるものを使用し、熱処理により粒子(B)を除去することが好ましい。
以上説明した製造方法においては、前記塗布液を、物品10上に塗布し、必要に応じて予熱し、熱処理し、粒子(B)を除去する一連の工程を1回行うことで、空孔22の分布状態が異なる2層構造(最表面緻密層bと、直径20nm以上の空孔22が存在しない最表面緻密層bと、それよりもガラス基板12側の、直径20nm以上の空孔22が存在する層)を有するシリカ系多孔質膜14を形成することができる。
これは、以下の理由によると考えられる。
Si−OH基に関してHO−OHの誘電率は89.2F/mである。これよりも誘電率が小さいY−OHにおけるYを有することにより、化合物(a2)の加水分解物や部分縮合物の界面自由エネルギーは、化合物(a1)の加水分解物(Si(OH))や部分縮合物の界面自由エネルギーよりも低い。
そのため、化合物(A1)および化合物(A2)を含む塗布液をガラス板等の物品の表面に塗布すると、化合物(A2)が塗膜中を浮上し、結果、上相(化合物(A2)相)と下相(化合物(A1)相)とに相分離する。粒子(B)は、ある程度大きい平均一次粒子径を有するため浮上せず、そのまま下相側に残留する。そのため、塗膜を熱処理して化合物(A1)、(A2)をそれぞれマトリックスとし、該熱処理と同時に、または熱処理の前または後に、粒子(B)の材質に応じた除去処理を施すことで、粒子(B)の形状に対応した形状の空孔22を有するシリカ系多孔質膜14が形成される。
そのため、上記のようにして形成されるシリカ系多孔質膜14においては、最表面緻密層14bとその他の領域(直径20nm以上の空孔22が分布している領域)とは、マトリックス21における組成が異なると考えられる。つまり、最表面緻密層14bを構成するマトリックス21は、実質的に化合物(A2)の熱処理物からなり、化合物(A2)に由来する構造(たとえば非加水分解性基Y)を含む。他の領域を構成するマトリックス21は、実質的に化合物(A1)の熱処理物から構成され、化合物(A2)に由来する構造を含まないか、含んでもごくわずかである。
上記の製造方法によれば、形成されるシリカ系多孔質膜14の屈折率を1.38以下とすることができる。屈折率が低いほど、反射率が低くなり、反射防止性能が向上する。
また、上記の製造方法によれば、形成されるシリカ系多孔質膜14の算術平均粗さを3.0nm以下とすることができる。算術平均粗さが小さいほど、耐摩耗性、防汚性等が向上し、反射防止膜としての有用性が向上する。
なお、公知のシリカ系多孔質膜の製造方法の一つとして、マトリックス前駆体の溶液中に中空シリカ微粒子を分散させた塗布液を塗布、熱処理する方法がある。この方法の場合、中空シリカ微粒子の大きさが小さければ、表面開放孔数が13個/10nm以下のシリカ系多孔質膜を形成することはできる。ただし、屈折率を1.38以下とするために中空シリカ微粒子の大きさを大きく(たとえば内部の空孔直径が20nm以上)すると、中空シリカ微粒子間に直径20nm以上の空孔が形成され、該空孔が最表面に開口する。また、最表面に中空シリカ微粒子の形状が反映されるため、算術平均粗さ(Sa)が3nmよりも大きくなりやすい。
<第二実施形態>
図3は、本発明のシリカ系多孔質膜を物品の表面に有するシリカ系多孔質膜付き物品の第二実施形態を示す断面図である。なお、本実施形態において、第一実施形態に対応する構成要素には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
本実施形態のシリカ系多孔質膜付き物品20は、ガラス板12と、ガラス板12の表面に形成されたアンダーコート層16と、アンダーコート層16の表面に形成されたシリカ系多孔質膜14とを有する。
アンダーコート層16は、アルカリバリア層やワイドバンドの低屈折率層としての機能を有する。アンダーコート層16をガラス板12とシリカ系多孔質膜14との間に有することで、耐久性、特に耐湿熱性がより向上する。また、反射防止性能および反射色が無彩色化するため外観等も向上する。
アンダーコート層16としては、シリカを主成分とするマトリックスのみから構成される層、シリカを主成分とするマトリックス中に複数の空孔を有する層、シリカを主成分とするマトリックス中にシリカ中実粒子を有する層、シリカを主成分とするマトリックス中にシリカ中空粒子を有する層等が挙げられる。
シリカを主成分とするマトリックスとしては、ゾルゲルシリカ(アルコキシシランの加水分解物または部分縮合物)の熱処理物、シラザンの熱処理物等が挙げられ、ゾルゲルシリカの熱処理物が好ましい。
アンダーコート層の膜厚は、10〜500nmが好ましい。
アンダーコート層の屈折率は、1.30〜1.50が好ましく、1.35〜1.46がより好ましい。
ゾルゲルシリカに用いるアルコキシシランとしては、前記化合物(a1)、化合物(a2)、その他公知のアルコキシシランを用いることができ、たとえばテトラアルコキシシラン(テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等)、パーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン(パーフルオロポリエーテルトリエトキシシラン等)、パーフルオロアルキル基を有するアルコキシシラン(パーフルオロエチルトリエトキシシラン等)、ビニル基を有するアルコキシシラン(ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等)、エポキシ基を有するアルコキシシラン(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等)、アクリロイルオキシ基を有するアルコキシシラン(3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等)等が挙げられる。
アルコキシシランの加水分解物および部分縮合物は、化合物(a1)の加水分解物および部分縮合物と同様の方法で得ることができる。
(シリカ系多孔質膜付き物品20の製造方法)
シリカ系多孔質膜付き物品20は、たとえば、ガラス板12の上に、アンダーコート層16を形成するための塗布液(以下、下層塗布液ともいう。)、シリカ系多孔質膜14を形成するための塗布液(以下、上層塗布液ともいう。)を順次塗布し、熱処理することによって製造できる。
熱処理は、上層塗布液を塗布した後のみ行ってもよく、下層塗布液を塗布した後および上層塗布液を塗布した後に行ってもよい。また、ガラス板12をあらかじめ熱処理温度に加熱しておき、該ガラス板12の表面に下層塗布液、上層塗布液を順次塗布してもよい。
下層塗布液の塗布後、上層塗布液を塗布する前に熱処理を行う場合の熱処理温度は、50〜300℃が好ましく、100〜200℃がより好ましい。
上層塗布液およびこれを用いたシリカ系多孔質膜14の形成手順は、第一実施形態と同様である。
[下層塗布液]
下層塗布液としては、マトリックス前駆体の溶液(ゾルゲルシリカの溶液、シラザンの溶液等);粒子(B)または中空粒子の分散液とマトリックス前駆体の溶液との混合物;シリカ中実粒子の分散液とマトリックス前駆体の溶液との混合物等が挙げられる。
下層塗布液は、レベリング性向上のための界面活性剤、塗膜の耐久性向上のための金属化合物等を含んでいてもよい。
マトリックス前駆体としては、ゾルゲルシリカ(アルコキシシランの加水分解物または部分縮合物)、シラザン等が挙げられ、ゾルゲルシリカが好ましい。
アルコキシシランとしては、前記化合物(a1)、化合物(a2)、その他公知のアルコキシシランを用いることができ、たとえばテトラアルコキシシラン(テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等)、パーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン(パーフルオロポリエーテルトリエトキシシラン等)、パーフルオロアルキル基を有するアルコキシシラン(パーフルオロエチルトリエトキシシラン等)、ビニル基を有するアルコキシシラン(ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等)、エポキシ基を有するアルコキシシラン(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等)、アクリロイルオキシ基を有するアルコキシシラン(3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等)等が挙げられる。
ゾルゲルシリカは、化合物(a1)の加水分解物および部分縮合物と同様の方法で得ることができる。
マトリックス前駆体の溶媒としては、前記液体媒体(C)と同様のものが挙げられ、水とアルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール等)との混合溶媒が好ましい。
粒子(B)、中空粒子またはシリカ中実粒子の分散液の分散媒としては、水、アルコール類、ケトン類、エーテル類、セロソルブ類、エステル類、グリコールエーテル類、含窒素化合物、含硫黄化合物等が挙げられ、それぞれ前記液体媒体(C)で挙げたものと同様のものが挙げられる。
アンダーコート層16形成用の塗布液の塗布方法としては、公知のウェットコート法(スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ダイコート法、カーテンコート法、スクリーンコート法、インクジェット法、フローコート法、グラビアコート法、バーコート法、フレキソコート法、スリットコート法、ロールコート法等)等が挙げられる。
アンダーコート層16形成用の塗布液の塗布温度は、室温〜200℃が好ましく、室温〜150℃がより好ましい。
以上、本発明について、実施形態例を示して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。上記実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
たとえば、上記実施形態では、前記塗布液を、ガラス板12上に塗布し、熱処理し、粒子(B)を除去する一連の工程を1回行うことによってシリカ系多孔質膜14を形成する例を示したが、本発明はこれに限定されない。たとえばシリカ系多孔質膜14は、前記の工程を複数回行うことによって形成された膜であってもよい。製造の簡便性、膜の均質性等の点からは、前記の工程を1回または2回行うことによって形成された膜であることが好ましく、前記の工程を1回行うことによって形成された膜であることが特に好ましい。
前記の工程を2回以上行う場合、各工程で用いる塗布液の組成(マトリックス前駆体(A)、粒子(B)の種類や配合量等)は同じでも異なってもよい。
シリカ系多孔質膜付き物品10、20は、ガラス板12とシリカ系多孔質膜14との間に、アンダーコート層16以外の他の層を有してもよい。該他の層としては、たとえば、指紋除去層、帯電防止層、撥水性防汚層、親水性防汚層、紫外線遮蔽層、赤外線遮蔽層、波長変換層等が挙げられる。ただし、本発明の有用性の点では、シリカ系多孔質膜付き物品10のように、ガラス板12とシリカ系多孔質膜14との間に他の層が介在しないことが最も好ましい。
上記実施形態では、本発明のシリカ系多孔質膜を、ガラス板上に設けた例を示したが、本発明のシリカ系多孔質膜を表面に設ける物品はガラス板に限定されない。たとえば有機樹脂フィルム、有機樹脂板、有機−無機ハイブリッド基板等であってもよい。
本発明のシリカ系多孔質膜を設ける物品としては、ガラス、有機樹脂等の透明材料からなるものが好ましく、ガラス板が好適である。
本発明のシリカ系多孔質膜は、屈折率が1.38以下と低く、耐湿熱性、耐摩耗性等の耐久性にも優れる。また、そのため、ガラス板等の各種物品用の反射防止膜として有用である。
反射防止膜として用いられる場合、本発明のシリカ系多孔質膜は、シリカ系多孔質膜付き物品の最表層に配置されることが好ましい。
本発明のシリカ系多孔質膜を表面に有するシリカ系多孔質膜付き物品は、車両用透明部品(ヘッドライトカバー、サイドミラー、フロント透明基板、サイド透明基板、リア透明基板等) 、車両用透明部品(インスツルメントパネル表面等) 、メーター、建築窓、ショーウインドウ、ディスプレイ(ノート型パソコン、モニター、LCD、PDP 、ELD、CRT、PDA等)、LCDカラーフィルター、タッチパネル用基板、ピックアップレンズ、光学レンズ、眼鏡レンズ、カメラ部品、ビデオ部品、CCD用カバー基板、光ファイバー端面、プロジェクター部品、複写機部品、太陽電池用透明基板、携帯電話窓、バックライトユニット部品(たとえば、導光板、冷陰極管等)、バックライトユニット部品液晶輝度向上フィルム(たとえば、プリズム、半透過フィルム等)、液晶輝度向上フィルム、有機EL発光素子部品、無機EL発光素子部品、蛍光体発光素子部品、光学フィルター、光学部品の端面、照明ランプ、照明器具のカバー、増幅レーザー光源、反射防止フィルム、偏光フィルム、農業用フィルム等として有用である。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。ただし本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
後述する例1〜14のうち、例1〜9が実施例であり、例10〜14が比較例品である。
各例で用いた測定方法、評価方法を以下に示す。
(粒子(B)の平均一次粒子径)
粒子(B)の分散液を水で0.1質量%に希釈した後、コロジオン膜上にサンプリングして透過型電子顕微鏡(日立製作所社製、型式:H−9000)にて観察し、100個の粒子(B)を無作為に選び出し、各粒子の直径を計測した平均値を粒子(B)の平均一次粒子径とした。
(マトリックス前駆体(A)の重量平均分子量)
マトリックス前駆体(A)をテトラヒドロフランで0.5%に希釈した後、高速GPC装置(東ソー社製、型式:HLC−8320GPC)を用いて測定を行った。
(平均反射率(5°入射))
製造したシリカ系多孔質膜付きガラス板の上層(シリカ系多孔質膜)側の表面に入射角5°で入射する光の反射率を分光光度計(日立製作所社製、型式:U−4100)により測定し、波長400〜1100nmの範囲内における平均反射率(%)を求めた。なお、ガラス板の裏面光反射を防ぐために裏面を黒色で塗りつぶして測定を行った。
(平均透過率(0°入射))
製造したシリカ系多孔質膜付きガラス板の上層(シリカ系多孔質膜)側の表面に入射角0°で入射する光の透過率を分光光度計(日立製作所社製、型式:U−4100)により測定し、波長400〜1100nmの範囲内における平均透過率(%)を求めた。なお、ガラス板の裏面光拡散を防ぐために裏面に石英ガラスをアニソールで張り付けて測定を行った。
(平均総膜厚、最表面緻密層平均膜厚)
平均総膜厚、最表面緻密層平均膜厚はそれぞれ、製造したシリカ系多孔質膜付きガラス板の断面を走査型電子顕微鏡SEM(日立製作所社製、型式:S−4300)にて観察して得られる像から、シリカ系多孔質膜、最表面緻密層それぞれの膜厚を100箇所計測し、それらの平均値を算出して求めた。
(平均空孔直径)
製造したシリカ系多孔質膜付きガラス板の上層(シリカ系多孔質膜)における平均空孔直径は、走査型電子顕微鏡SEM(日立製作所社製、型式:S−4300)により100個の空孔の直径を計測し、それらの平均値を算出して求めた。
(最表面開放孔数)
最表面開放孔数は、製造したシリカ系多孔質膜付きガラス板の上層(シリカ系多孔質膜)側の最表面を走査型電子顕微鏡SEM(日立製作所社製、型式:S−4300)にて観察し、得られる像から、1000nm×1000nmの領域内に存在する、直径20nm以上の大きさの開口の数を計測することで求めた。
(上層、下層屈折率)
製造したシリカ系多孔質膜の屈折率は、製造したシリカ系多孔質膜付きガラス板をエリプソメーター(J.A.Woollam社製、型式:M−2000DI)で測定し、波長589.3nmの屈折率を求めた。なお、ガラス板の裏面光反射を防ぐために裏面を黒色で塗りつぶして測定を行った。
(算術平均粗さ)
製造したシリカ系多孔質膜付きガラス板の上層(シリカ系多孔質膜)側の最表面の算術平均粗さ(Sa)は、走査型プローブ顕微鏡装置(SIIナノテクノロジー社製、SPA400DFM)を用いて、測定範囲10μm×10μmにて測定した。
(耐湿試験後平均透過率)
製造したシリカ系多孔質膜付きガラス板について、以下の耐湿試験を行った。
製造したシリカ系多孔質膜付きガラス板を85℃、相対湿度85%の恒温恒湿槽に投入し、1000時間保持した後、透過率を測定して波長400〜1100nmの平均透過率を求めた。試験前後の平均透過率から耐湿試験による変化を求めた。
耐湿試験後のシリカ系多孔質膜付きガラス板について、前記と同じ手順で波長400〜1100nmの平均透過率(0°入射)を求めた。
測定結果から、耐湿試験前後の平均透過率の変化量(耐湿試験前の平均透過率(%)−耐湿試験後の平均透過率(%))を求めた。
該変化量が0に近いほど、シリカ系多孔質膜の耐湿熱性が高いことを示す。該変化量は、0〜1.0が好ましく、0〜0.5が特に好ましい。
(摩耗試験後平均透過率)
製造したシリカ系多孔質膜付きガラス板について、以下の摩耗試験を行った。
製造したシリカ系多孔質膜付きガラス板の表面を、フェルトにて1kg荷重で1000回往復磨耗した後、透過率を測定して波長400〜1200nmの平均透過率を求めた。試験前後の平均透過率から摩耗試験による変化を求めた。
摩耗試験後のシリカ系多孔質膜付きガラス板について、前記と同じ手順で波長400〜1100nmの平均透過率(0°入射)を求めた。
測定結果から、摩耗試験前後の平均透過率の変化量(摩耗試験前の平均透過率(%)−摩耗試験後の平均透過率(%))を求めた。
該変化量が0に近いほど、シリカ系多孔質膜の耐摩耗性が高いことを示す。該変化量は、0〜1.0以下が好ましく、0〜0.5が特に好ましい。
(粒子分散液)
各例で使用した粒子分散液は、以下の手順で調製した。
<粒子分散液A〜Fの調製>
表1に示す量(g)のドデシル乳酸ナトリウム(SDS)と水を、容量200mLのガラス製容器に仕込み、撹拌した。そこに、表1に示す量(g)のメタクリル酸メチル(MMA)を加えて撹拌し、乳化させた。そこに重合開始剤として、表1に示す量(g)の過硫酸アンモニウム(APS)を加え、70℃まで加熱し、1時間保持することにより、粒子分散液A〜Fを得た。
<粒子分散液Gの調製>
表1に示す量(g)のヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(C16TAB)と水を、容量200mLのガラス製容器に仕込み、撹拌した。そこに、表1に示す量(g)のスチレンを加えて撹拌し、乳化させた。そこに重合開始剤として、表1に示す量(g)の2,2’−アゾビス(イソブチルアミジン)2塩酸塩(AIBA)を加え、70℃まで加熱し、1時間保持することにより、粒子分散液Gを得た。
得られた粒子分散液A〜Gについて、固形分濃度(質量%)、分散媒、粒子の材質と平均一次粒子径(nm)を表2に示す。
PMMAは、ポリ(メタクリル酸メチル)、PSはポリスチレンを示す。
(マトリックス前駆体溶液)
表3に示す各原料を混合、溶解することにより、表3に示す組成の原料液を調製した。原料液を25℃まで加熱し、1時間撹拌することにより加水分解処理を行って、目的のマトリックス前駆体溶液H〜Nを得た。
表3中、HNOaq.は濃度60%の硝酸水溶液、TEOSはテトラエトキシシラン、PTMSはフェニルトリメトキシシラン、TMOSはテトラメトキシシラン、MTMSはメチルトリメトキシシランを示す。
また、各マトリックス前駆体溶液に含まれるマトリックス前駆体の平均分子量を表3に併記した。
なお、Y−OHの誘電率は、Yがフェニル基(Y−OHがフェノール)である場合が2.9F/m、Yがメチル基(Y−OHがメタノール)である場合が33.1F/mである。
マトリックス前駆体溶液H〜Nの固形分濃度(質量%)、酸濃度(質量%)、溶媒、使用した化合物(a1)および化合物(a2)の種類、化合物(a1)成分と化合物(a2)との合計量を100モル%としたときの各化合物の割合(モル%)を表4に示す。なお、マトリックス前駆体の固形分濃度は、SiO換算固形分濃度である。
〔例1〜4〕
表5に示す種類と配合量の粒子分散液と、表5に示す種類と配合量のマトリックス前駆体溶液と、イソプロパノールとを混合して、上層塗布液を調製した。
ガラス板(ソーダライムガラス、旭硝子社製、サイズ:100mm×100mm、厚さ:3.2mm)の表面に、前記上層塗布液を、スピンコート(回転数500rpm×20秒間)にて塗布した後、650℃で5分間熱処理することによりシリカ系多孔質膜を成膜して、シリカ系多孔質膜付きガラス板を得た。
〔例5〜6〕
表5に示す種類と配合量の粒子分散液と、表5に示す種類と配合量のマトリックス前駆体溶液と、イソプロパノールとを混合して、上層塗布液および下層塗布液を調製した。
ガラス板(ソーダライムガラス、旭硝子社製、サイズ:100mm×100mm、厚さ:3.2mm)の表面に、前記下層塗布液を、スピンコート(回転数500rpm×20秒間)にて塗布した後、200℃で1分間熱処理することにより、アンダーコート層を成膜した。
次に、前記アンダーコート層の表面に、前記上層塗布液を、スピンコート(回転数500rpm×20秒間)にて塗布した後、650℃で5分間熱処理することによりシリカ系多孔質膜を成膜して、シリカ系多孔質膜付きガラス板を得た。
〔例7〜14〕
表5〜6に示す種類と配合量の粒子分散液と、表5〜6に示す種類と配合量のマトリックス前駆体溶液と、イソプロパノールとを混合して、上層塗布液を調製した。
ガラス板(ソーダライムガラス、旭硝子社製、サイズ:100mm×100mm、厚さ:3.2mm)の表面に、前記上層塗布液を、スピンコート(回転数500rpm×20秒間)にて塗布した後、熱処理(例9のみ450℃で30分間、他の例は650℃で5分間)することによりシリカ系多孔質膜を成膜して、シリカ系多孔質膜付きガラス板を得た。
得られたシリカ系多孔質膜付きガラス板について、上記の測定と評価を行った。結果を表5〜6に示す。また、例1、3、5、7、9、10〜14のシリカ系多孔質膜付きガラス板の(a)上面、(b)断面それぞれの走査型電子顕微鏡写真を図4〜13に示す。
粒子分散液に含まれるPMMA粒子の平均一次粒子径が異なる以外は同様の組成の上層塗布液を用い、同様の条件で成膜を行った例10、1〜4、11を対比すると、PMMA粒子の平均一次粒子径が33〜96nmである例1〜4は、耐湿試験や摩耗試験による平均透過率の変化が少なく、耐久性に優れていた。
例1〜4では、PMMA粒子の平均一次粒子径が大きいほど、最表面緻密層の平均膜厚が厚くなり、耐湿試験に対する耐久性が高まる傾向が確認できた。
一方、PMMA粒子の平均一次粒子径が15nmである例10は、耐湿試験による平均透過率の変化が大きく、耐久性が悪かった。これは、PMMA粒子の平均一次粒子径が小さいことで、最表面緻密層が形成されなかったことによると考えられる。
PMMA粒子の平均一次粒子径が143nmである例11は、耐湿試験による平均透過率の変化、摩耗試験による平均透過率の変化がいずれも大きく、耐久性が悪かった。これは、PMMA粒子の平均一次粒子径が大きいことで、大きなサイズの開放孔が生成したことによると考えられる。
シリカ系多孔質膜を2層構成とした例5、ガラス板とシリカ系多孔質膜との間に非多孔質のアンダーコート層を設けた例6も、耐湿試験や摩耗試験による平均透過率の変化が少なく、耐久性に優れていた。
マトリックス前駆体溶液に含まれる化合物(a1)と化合物(a2)との比率が異なる以外は同様の組成の上層塗布液を用い、同様の条件で成膜を行った例13、12、7、3、8を対比すると、化合物(a1)であるTEOSと化合物(a2)であるPTMSとのモル比が、(a1)/(a2)=0.25〜1.5(20/80〜60/40)である例7、3、8は、耐湿試験や摩耗試験による平均透過率の変化が少なく、耐久性に優れていた。
一方、化合物(a2)を併用しなかった例13は、耐湿試験による平均透過率の変化が大きく、耐久性が悪かった。これは、化合物(a2)成分を含まないことで、最表面の平滑性が悪くなったこと、最表面緻密層が形成されなかったこと等によると考えられる。
(a1)/(a2)=4(80/20)である例12は、耐湿試験による平均透過率の変化が大きく、耐久性が悪かった。これは、化合物(a2)成分の比率が少ないことで、最表面開放孔数が多いことによると考えられる。
粒子分散液Gとマトリックス前駆体溶液Nとを併用した例5と、粒子分散液Gとマトリックス前駆体溶液Mとを併用した例14とを対比すると、例5は、耐湿試験や摩耗試験による平均透過率の変化が少なく、耐久性に優れていた。
一方、化合物(a1)を含まないマトリックス前駆体溶液Mを用いた例14は、図13に示すとおり、孔が連続孔となっていた。また、屈折率が1.42と高く、平均反射率が高く、平均透過率が低く、充分な反射防止性能を有していなかった。さらに、摩耗試験に対する耐久性も悪かった。
なお、例14以外の全ての実施例において、膜内部の直径20nm以上の空孔は独立孔であった。
10 シリカ系多孔質膜付き物品
12 ガラス板
14 シリカ系多孔質膜
16 アンダーコート層
20 シリカ系多孔質膜付き物品

Claims (10)

  1. シリカを主成分とするマトリックス中に複数の空孔を有するシリカ系多孔質膜であって、
    屈折率が1.10〜1.38の範囲内であり、
    前記空孔として、直径20nm以上の空孔を含み、
    最表面に開口した直径20nm以上の空孔の数が、13個/10nm以下であることを特徴とする、シリカ系多孔質膜。
  2. 前記最表面から、該最表面下に存在する直径20nm以上の空孔の最上部までの距離の平均値が10〜80nmである、請求項1に記載のシリカ系多孔質膜。
  3. 前記空孔の平均直径が15〜100nmである、請求項1または2に記載のシリカ系多孔質膜。
  4. 当該シリカ系多孔質膜の内部に存在する直径20nm以上の空孔が独立孔である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシリカ系多孔質膜。
  5. 前記最表面の算術平均粗さ(Sa)が3.0nm以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシリカ系多孔質膜。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のシリカ系多孔質膜を物品の表面に有するシリカ系多孔質膜付き物品。
  7. シリカを主成分とするマトリックス中に複数の空孔を有するシリカ系多孔質膜を物品の表面に有するシリカ系多孔質膜付き物品の製造方法であって、
    マトリックス前駆体(A)と、マトリックス中から除去可能な粒子(B)と、液体媒体(C)とを含有する塗布液を、物品の表面に塗布し、熱処理する工程を含み、
    前記マトリックス前駆体(A)が、下記一般式(a1)で表される化合物(a1)、その加水分解物および部分縮合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(A1)と、下記一般式(a2)で表される化合物(a2)、その加水分解物および部分縮合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(A2)と、を含有し、
    前記マトリックス前駆体(A)中の、前記化合物(A1)と前記化合物(A2)との含有量の比率が、前記化合物(a1)と前記化合物(a2)とのモル比((a1)/(a2))に換算して0.1〜3.0の範囲内であり、
    前記粒子(B)の平均一次粒子径が20〜130nmであることを特徴とする、シリカ系多孔質膜付き物品の製造方法。
    SiX …(a1)
    SiX4−n …(a2)
    [式中、Xは加水分解性基を示し、Yは、Y−OHの誘電率が35F/m以下である非加水分解性基を示し、nは1〜3の整数を示す。]
  8. 前記マトリックス前駆体(A)のSiO換算の含有量と、前記粒子(B)の含有量との質量比((A)/(B))が0.3〜4.0の範囲内である、請求項7に記載のシリカ系多孔質膜付き物品の製造方法。
  9. 前記粒子(B)が、カーボンまたは有機ポリマーからなる、請求項7または8に記載のシリカ系多孔質膜付き物品の製造方法。
  10. 前記有機ポリマーが、メタクリル酸メチル、スチレン、アクリロニトリル、ブタジエンおよびイソプレンからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーの単独重合体または共重合体からなる、請求項9に記載のシリカ系多孔質膜付き物品の製造方法。
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