JP5335496B2 - 太陽電池モジュール用保護シート - Google Patents

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Description

本発明は、太陽電池モジュール用保護シートに関する。
太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換する装置である太陽電池モジュールは、二酸化炭素を排出せずに発電できるシステムとして注目されている。
図3に模式的に示すように、一般的な太陽電池モジュールの構成は、フロントシート(光透過性表面保護シート)10、バックシート(裏面保護シート)20、封止材(充填層)30、太陽電池セル40を有する。なお、前記フロントシート10は、基材がガラス板であることもある。
本明細書および特許請求の範囲においては、フロントシート10およびバックシート20をまとめて、太陽電池モジュール用保護シート10,20という。
屋外および屋内において長期間の使用に耐えうる耐候性および耐久性を太陽電池モジュールにもたせるためには、太陽電池セル40および封止材30を風雨、湿気、砂埃、機械的な衝撃などから守り、太陽電池モジュールの内部を外気から完全に遮断して密閉した状態に保つことが必要である。このため、前記太陽電池モジュール用保護シート10,20には、耐候性に優れていることが求められる。
一般的な太陽電池モジュール用保護シートの構成では、基材シートとして電気絶縁性を有する樹脂シートまたはガスバリア性に優れるアルミニウムシートが用いられ、さらに該基材シートに耐候性を付与するためのフッ素含有樹脂フィルムを積層してなるものが多い。また、フッ素含有樹脂フィルムの代わりに、フッ素含有樹脂の塗膜を基材シートの表面に設けたものがある(特許文献1参照)。ただし、前記アルミニウムシートを基材シートとして用いた場合は、当該太陽電池モジュール用保護シートは光透過性を有さないので、フロントシート10としては用いられず、バックシート20として用いられる。
国際公開第2007/010706号パンフレット
該フッ素含有樹脂コート層は、太陽電池モジュール用保護シートの製造工程において、フッ素含有樹脂を含む塗料を基材シートに塗布して形成される。しかし、当該塗料はガラス転移温度が低いため、その硬化のためには高い温度で長時間処理する必要がある。しかし、太陽電池モジュール用保護シートの製造効率を高めるために、そのような長時間の処理を行わず、基材シートに塗布された塗料が完全には硬化していない(未完全硬化)状態の太陽電池モジュール用保護シートをロール状に巻き取ることがある。この際、当該太陽電池モジュール用保護シートの、未完全硬化状態のフッ素含有樹脂コート層の側の面(おもて面)と、他方の側の面(うら面)とが接触した状態で置かれる。その後、フッ素含有樹脂コート層が硬化する際に、前記おもて面と、前記うら面とが固着して剥がれなくなってしまう現象(以下、ブロッキングという。)が発生することがある。ブロッキングは、ロール状に巻かれた太陽電池モジュール用保護シートの巻き返し不良を起こして太陽電池モジュール用保護シートの製造効率を落としてしまうので避けなければならない。
そのため、従来は、基材シートに塗布された当該塗料が硬化してからロール状に巻き取られるように、巻き取る速度および硬化を促進するための加熱処理の温度を調節することが行われている。しかし、当該塗料の硬化の速度は、塗料の種類、塗料を塗布する量(フッ素含有樹脂コート層の厚さ)によって大きく影響されるので、当該調節には大きな困難があった。したがって、従来の太陽電池モジュール用保護シートには、その製造工程において、基材シートに塗布したフッ素含有樹脂を含む塗料の硬化が不完全であっても、ブロッキングを抑止できることが求められている。
また、従来の太陽電池モジュール用保護シートには、良好な平版整列性も求められている。
太陽電池モジュール用保護シートの製造工程においてロール状に巻き取られた太陽電池モジュール用保護シートを特定の寸法に切り出し、重ね合わせて整列させた状態で運搬できるようにすること(平版加工)が行われる。この際、切り出された太陽電池モジュール用保護シートの前記うら面が、既に切り出された一枚前の太陽電池モジュール用保護シートの前記おもて面の上を滑って移動し、一枚前の太陽電池モジュール用保護シートと同じ位置に整列した状態で重ね置きされる。この操作を繰り返すことで、所望の枚数を重ね合わせた太陽電池モジュール用保護シートの束ができる。
平版整列性の良好な太陽電池モジュール用保護シートは、平版加工において乱れなく整列して重ね合わせることができる。一方、平版整列性の不良な太陽電池モジュール用保護シートは、前記おもて面の上を前記うら面が滑って移動する際に、摩擦抵抗の影響等によって途中で止まってしまい、続いて切り出される別の太陽電池モジュール用保護シートが適切に重ね合わされて整列されることができなくなってしまう。また、重ね合わされた太陽電池モジュール用保護シートを一枚一枚繰り出すときに、一枚後の太陽電池モジュール用保護シートの位置がずれたり、一緒にくっついて繰り出されることもある。このような平版加工時の整列性の乱れは、太陽電池モジュール用保護シートの製造効率を落としてしまう。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ブロッキング抑止性に優れた太陽電池モジュール用保護シートを提供することを課題とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
請求項1記載の発明は、基材シートの一方の面にフッ素含有樹脂コート層を積層してなる太陽電池モジュール用保護シートであって、該フッ素含有樹脂コート層の表面の算術平均粗さ(Ra)が0.20μm以上、前記表面の最大断面高さ(Rt)が3.00μm以上、前記表面の最大谷深さ(Rv)が0.60μm以上、前記表面の最大山高さ(Rp)が1.00μm以上であることを特徴とする太陽電池モジュール用保護シートである。
請求項2記載の発明は、前記基材シートが樹脂シートであることを特徴とする請求項1記載の太陽電池モジュール用保護シートである。
請求項3記載の発明は、前記基材シートの他方の面に熱接着性シートを積層してなることを特徴とする請求項1または2記載の太陽電池モジュール用保護シートである。
請求項4記載の発明は、フッ素含有樹脂コート層の側の面(おもて面)と他方の側の面(うら面)との動摩擦係数の最大値が6.0以下であり、かつ該動摩擦係数の振れ幅(最大値と最小値との差)が0.80以下であることを特徴とする請求項1〜3記載の太陽電池モジュール用保護シートである。
本発明により、ブロッキング抑止性に優れた太陽電池モジュール用保護シートを提供することができる。
本発明の太陽電池モジュール用保護シートの2層構造の断面を示した模式図 本発明の太陽電池モジュール用保護シートの4層構造の断面を示した模式図 太陽電池モジュールの構成を示した模式図
以下、本発明の実施の形態について図を用いて説明する。
図1に模式的に示すように、本発明にかかる太陽電池モジュール用保護シート10,20は、基材シート24の一方の面にフッ素含有樹脂コート層22を積層してなる太陽電池モジュール用保護シートであって、該フッ素含有樹脂コート層22の表面の算術平均粗さ(Ra)が0.20μm以上であることを特徴とする。
本明細書および特許請求の範囲において、算術平均粗さ(Ra)は、日本工業規格のJIS B0601−2001で定められる規格である。
本発明の太陽電池モジュール用保護シートにおける、フッ素含有樹脂コート層の表面の算術平均粗さ(Ra)としては、ブロッキング抑止性の観点から、0.20μm以上が好ましく、0.20〜3.00μmがより好ましく、0.30〜2.20μmがさらに好ましい。
また、ブロッキング抑止性に加えて、フッ素含有樹脂コート層の外観を良好にする観点から、当該算術平均粗さ(Ra)が0.60〜1.90μmであることがさらに好ましく、0.80〜1.30μmであることが特に好ましい。
さらに、ブロッキング抑止性、フッ素含有樹脂コート層の外観、および平版整列性を良好にする観点から、当該算術平均粗さ(Ra)が0.97〜1.90μmであることが特に好ましく、0.99〜1.30μmであることが最も好ましい。
また、本明細書において、最大断面高さ(Rt)は、日本工業規格のJIS B0601−2001で定められる規格である。
本発明の太陽電池モジュール用保護シートにおける、フッ素含有樹脂コート層の表面の最大断面高さ(Rt)としては、ブロッキング抑止性の観点から、3.00μm以上が好ましく、3.00〜30.00μmがより好ましく、3.80〜28.00μmがさらに好ましい。
また、ブロッキング抑止性に加えて、フッ素含有樹脂コート層の外観を良好にする観点から、当該最大断面高さ(Rt)が6.00〜24.00μmであることがさらに好ましく、8.00〜20.00μmであることが特に好ましい。
さらに、ブロッキング抑止性、フッ素含有樹脂コート層の外観、および平版整列性を良好にする観点から、当該最大断面高さ(Rt)が10.00〜24.00μmであることが特に好ましく、12.00〜20.00μmであることが最も好ましい。
また、本明細書において、最大谷深さ(Rv)は、日本工業規格のJIS B0601−2001で定められる規格である。
本発明の太陽電池モジュール用保護シートにおける、フッ素含有樹脂コート層の表面の最大谷深さ(Rv)としては、ブロッキング抑止性の観点から、0.60μm以上が好ましく、0.60〜7.50μmがより好ましく、0.80〜6.50μmがさらに好ましい。
また、ブロッキング抑止性に加えて、フッ素含有樹脂コート層の外観を良好にする観点から、当該最大谷深さ(Rv)が1.50〜5.00μmであることがさらに好ましく、1.80〜3.50μmであることが特に好ましい。
さらに、ブロッキング抑止性、フッ素含有樹脂コート層の外観、および平版整列性を良好にする観点から、当該最大谷深さ(Rv)が1.90〜5.00μmであることが特に好ましく、2.00〜3.50μmであることが最も好ましい。
また、本明細書において、最大山高さ(Rp)は、日本工業規格のJIS B0601−2001で定められる規格である。
本発明の太陽電池モジュール用保護シートにおける、フッ素含有樹脂コート層の表面の最大山高さ(Rp)としては、ブロッキング抑止性の観点から、1.00μm以上が好ましく、1.00〜15.00μmがより好ましく、1.80〜13.00μmがさらに好ましい。
また、ブロッキング抑止性に加えて、フッ素含有樹脂コート層の外観を良好にする観点から、当該最大山高さ(Rp)が3.50〜12.00μmであることがさらに好ましく、4.00〜11.00μmであることが特に好ましい。
さらに、ブロッキング抑止性、フッ素含有樹脂コート層の外観、および平版整列性を良好にする観点から、当該最大山高さ(Rp)が5.00〜12.00μmであることが特に好ましく、7.00〜11.00μmであることが最も好ましい。
前記算術平均粗さ(Ra)、前記最大断面高さ(Rt)、前記最大谷深さ(Rv)、および前記最大山高さ(Rp)は当該フッ素含有樹脂コート層の硬化した表面の物性であり、これらが前記範囲の下限値以上であることにより、当該太陽電池モジュール用保護シートの、未完全硬化状態のフッ素含有樹脂コート層の側の面(おもて面)と、他方の側の面(うら面)とが接触した状態で置かれた場合においても、該おもて面と該うら面との密着度合いが弱められ、前記ブロッキングをより抑止することができる。一方、前記算術平均粗さ(Ra)、前記最大断面高さ(Rt)、前記最大谷深さ(Rv)、および前記最大山高さ(Rp)が前記範囲の上限値以下であることにより、当該太陽電池モジュール用保護シートの、未完全硬化状態の前記おもて面と、前記うら面とが接触した状態で置かれた場合においても、当該フッ素含有樹脂コート層の表面の微細な凸部分が物理的に潰れることをより低減することができ、当該フッ素含有樹脂コート層の外観をより良好にすることができる。
さらに、本明細書において、表面光沢度(表面グロス)は、日本工業規格のJIS K7105−1981で定められる規格の60度鏡面光沢度である。
本発明の太陽電池モジュール用保護シートにおける、フッ素含有樹脂コート層の表面光沢度としては、ブロッキング抑止性の観点から、64.0以下が好ましく、2.0〜64.0がより好ましく、3.0〜62.0がさらに好ましい。
また、ブロッキング抑止性に加えて、フッ素含有樹脂コート層の外観を良好にする観点から、当該表面光沢度が6.0〜39.0であることがさらに好ましく、12.0〜36.0であることが特に好ましい。
さらに、ブロッキング抑止性、フッ素含有樹脂コート層の外観、および平版整列性を良好にする観点から、当該光沢度が6.0〜30.0であることが特に好ましく、12.0〜26.0μmであることが最も好ましい。
ここで、平版整列性は、当該太陽電池モジュール用保護シートのフッ素含有樹脂コート層の側の面(おもて面)と他方の側の面(うら面)との動摩擦係数に関連する性質である。
また、平版整列性の良し悪しは、当該太陽電池モジュール用保護シートの平版加工において、乱れなく重ね合わされるか否かを表す指標である。
本明細書および特許請求の範囲において、動摩擦係数は、日本工業規格のJIS K7125−1999で定められる規格である。
本発明の太陽電池モジュール用保護シートにおける、フッ素含有樹脂コート層の側の面(おもて面)と他方の側の面(うら面)との動摩擦係数の最大値としては、前記平版整列性が良好であることから、通常、6.0以下が好ましく、0.5〜5.0がより好ましく、1.0〜4.5がさらに好ましい。
なお、当該動摩擦係数を測定する際に、重ねた2枚の当該太陽電池モジュール用保護シートがスムーズに動かず、ひっかかりながら滑る現象(スティックスリップ)が起こることがある。この場合は、当該動摩擦係数の最大値と最小値を示す。また、本明細書および特許請求の範囲においては、当該動摩擦係数の振れ幅は、測定中の動摩擦係数の最大値と最小値との差とする。
本発明の太陽電池モジュール用保護シートにおける当該動摩擦係数の振れ幅としては、平版整列性を良好にする観点から、0.80以下が好ましく、0〜0.70がより好ましく、0.01〜0.66がさらに好ましい。
本発明の太陽電池モジュール用保護シート10,20において、フッ素含有樹脂コート層22は、フッ素含有樹脂を含む塗料を、基材シート24に所望の厚さの塗膜となるように塗布して形成することができる。
前記フッ素含有樹脂を含む塗料としては、塗膜としてフッ素含有樹脂コート層22の表面の算術平均粗さ(Ra)が0.20μm以上になるものであれば特に制限されず、溶剤に溶解又は水に分散されたもので塗布可能なものであればよい。なかでも、当該算術平均粗さ(Ra)を0.20μm以上とするために、後述の二酸化チタン、シリカ等の顔料を含む塗料であることが好ましい。
前記塗料に含まれるフッ素含有樹脂としては、本発明の効果を損なわず、フッ素を含有する樹脂であれば特に限定されないが、前記塗料の溶媒(有機溶媒または水)に溶解し、架橋可能であるものが好ましい。
当該フッ素含有樹脂の好ましい例としては、旭硝子株式会社製のLUMIFLON(商品名)、セントラル硝子株式会社製のCEFRAL COAT(商品名)、DIC株式会社製のFLUONATE(商品名)等のクロロトリフルオロエチレン(CTFE)を主成分としたポリマー類や、ダイキン工業株式会社製のZEFFLE(商品名)等のテトラフルオロエチレン(TFE)を主成分としたポリマー類や、E.I.du Pont de Nemours and Company製のZonyl(商品名)、ダイキン工業株式会社製のUnidyne(商品名)等のフルオロアルキル基を有するポリマー、およびフルオロアルキル単位を主成分としたポリマー類が挙げられる。これらの中でも、耐候性および顔料分散性等の観点から、CTFEを主成分としたポリマーおよびTFEを主成分としたポリマーがより好ましく、なかでも前記LUMIFLON(商品名)および前記ZEFFLE(商品名)が最も好ましい。
前記LUMIFLON(商品名)は、CTFEと数種類の特定のアルキルビニルエーテル(VE)、ヒドロキシアルキルビニルエーテルとを主な構成単位として含む非結晶性のポリマーである。LUMIFLON(商品名)のように、ヒドロキシアルキルビニルエーテルのモノマー単位を有するポリマーは、溶剤可溶性、架橋反応性、基材密着性、顔料分散性、硬さ、および柔軟性に優れるので好ましい。
前記ZEFFLE(商品名)は、TFEと有機溶媒可溶性の炭化水素オレフィンとの共重合体であり、なかでも反応性の高い水酸基を備えた炭化水素オレフィンを有する場合には、溶剤可溶性、架橋反応性、基材密着性、および顔料分散性に優れるので好ましい。
また、前記塗料に含まれるフッ素含有樹脂の例として、硬化性官能基を有するフルオロオレフィンのポリマーが挙げられ、その具体例としては、TFE、イソブチレン、フッ化ビニリデン(VdF)、ヒドロキシブチルビニルエーテルおよびその他のモノマーからなる共重合体、ならびにTFE、VdF、ヒドロキシブチルビニルエーテルおよびその他のモノマーからなる共重合体が好ましいものとして挙げられる。
また、前記塗料に含まれるフッ素含有樹脂における共重合可能なモノマーとしては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ブチル、イソ酪酸ビニル、ピバル酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキシルカルボン酸ビニル、および安息香酸ビニル等のカルボン酸のビニルエステル類や、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルおよびシクロヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類や、CTFE、フッ化ビニル(VF)、VdF、およびフッ素化ビニルエーテル等のフッ素含有モノマー類が挙げられる。
さらに、前記塗料に含まれるフッ素含有樹脂は、1種以上のモノマーからなるポリマーであってもよく、三元重合体であってもよい。例えば、VdFとTFEとヘキサフルオロプロピレンとの三元重合体であるDyneon THV(商品名;3M Company製)が挙げられる。そのような多元重合体は、それぞれのモノマーが有する特性をポリマーに付与することができるので好ましい。例えば前記Dyneon THV(商品名)は、比較的低温で製造することができ、エラストマーや炭化水素ベースのプラスチックにも接着でき、柔軟性や光学的透明度にも優れるので好ましい。
前記塗料としては、前記フッ素含有樹脂の他に、架橋剤(硬化剤)、触媒(架橋促進剤)、および溶媒を含んでいてもよく、さらに必要であれば、顔料および充填剤などの無機化合物を含んでいてもよい。
前記塗料に含まれる溶媒としては、本発明の効果を損なうものでなければ特に限定されず、例えばメチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、アセトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、トルエン、キシレン、メタノール、イソプロパノール、エタノール、ヘプタン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、またはn−ブチルアルコールのうち、いずれか1種以上を有する溶媒を好ましく用いることができる。なかでも、塗料中の含有成分の溶解性および塗膜中への残留性の低さ(低い沸点温度)の観点から、前記溶媒はキシレン、シクロヘキサノン、またはMEKのうち、いずれか1種以上を有するものであることがより好ましい。
前記塗料に含んでいてもよい顔料および充填剤としては、本発明の効果を損なうものでなければ特に限定されない。例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、ペリレン顔料、色素、染料、マイカ、ポリアミドパウダー、窒化ホウ素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、シリカ、紫外線吸収剤、防腐剤、乾燥剤等が挙げられる。
本発明の太陽電池モジュール用保護シートにおけるフッ素含有樹脂コート層の表面の算術平均粗さ(Ra)を0.20以上に調整する観点から、当該塗料には顔料を含むことが好ましい。具体的には、該顔料として、二酸化チタンおよびシリカが好ましいものとして挙げられる。より具体的には、表面を処理した二酸化チタンであるTi−Pure R105(商品名;E.I.du Pont de Nemours and Company製)、および疎水性シリカであるCAB−O−SIL TS 720(商品名;Cabot社製)が好ましいものとして例示できる。
当該顔料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記塗膜は耐候性、耐擦傷性を向上させるため、架橋剤により硬化していることが好ましい。該架橋剤としては、本発明の効果を損なうものでなければ特に限定されず、金属キレート類、シラン類、イソシアネート類、およびメラミン類が好ましく用いられるものとして挙げられる。当該バックシートを屋外において30年以上使用することを想定した場合、耐候性の観点からは、前記架橋剤として、脂肪族または芳香族のイソシアネート類が好ましい。
前記塗料の組成としては、本発明の効果を損なわなければ特に限定されず、例えば、フッ素含有樹脂である前記ルミフロンをベースとした塗料の組成物として、前記LUMIFLON(商品名)、顔料、架橋剤、溶媒および触媒を混合してなるものが挙げられる。該組成比としては、該塗料全体を100質量%としたときに、フッ素含有樹脂(LUMIFLON(商品名))は3〜80質量%が好ましく、25〜50質量%がより好ましく、顔料は5〜60質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましく、有機溶媒は20〜80質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。
上記塗料において、有機溶媒としてはMEKが好ましく、架橋剤としては脂肪族イソシアネート類が好ましく、当該LUMIFLON(商品名)のイソシアネート類による架橋を促進する触媒としてはジオクチルラウリン酸スズが好ましいものとして挙げられる。
また、フッ素含有樹脂、顔料、架橋剤、および溶媒を含む当該塗料を調製する際、顔料および溶媒を予め混合して、顔料を溶媒中に均一に分散させることが好ましい。この際、混合時間の長短を適宜調節することによって、当該フッ素含有樹脂コート層の表面の算術平均粗さ(Ra)を調整できることが、本発明者の鋭意研究の結果見出された。すなわち、該混合時間を長くすると当該算術平均粗さ(Ra)が小さくなり、該混合時間を短くすると当該算術平均粗さ(Ra)が大きくなる傾向が見出された。このメカニズムとしては、該混合時間の長短が、溶媒中の顔料の粒度および分散度に影響を与えるためであると推測される。
したがって、当該算術平均粗さ(Ra)を0.3以上とするためには、当該塗料に含まれる各成分が均一に分散される限りにおいて、当該混合時間は短いほど好ましい。
当該混合時間は、当該塗料に含まれる顔料の具体的な種類によって適宜調節すればよいが、前述の顔料を用いる場合、1〜45分が好ましく、5〜35分がより好ましい。
また、顔料を溶媒に予め混合する際に、ジルコニアビーズを投入して、当該顔料の分散度を調節してもよい。該ジルコニアビーズは、混合後にメッシュで濾過して除かれる。
図1で例示する本発明の太陽電池モジュール用保護シートにおいて、前記塗料を基材シート24に塗布する方法としては、公知の方法で行うことができ、例えばバーコーター(ロッドコーター)で所望の膜厚になるように塗布すればよい。
前記塗料が硬化して形成されるフッ素含有樹脂コート層22の膜厚としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、例えば5μm以上の膜厚とすればよい。耐候性および軽量性の観点から、フッ素含有樹脂コート層22の膜厚としては、5〜100μmが好ましく、10〜50μmがより好ましく、10〜40μmがさらに好ましく、10〜30μmが特に好ましく、10〜20μmが最も好ましい。
前記塗布した塗料の硬化プロセスにおける温度は、本発明の効果を損なわない温度であればよく、基材シート24への熱による影響を低減する観点から、50〜170℃の範囲であることが好ましい。
また、前記塗布した塗料の硬化プロセスにおいて、当該塗料が乾燥し、当該フッ素含有樹脂コート層22が完全に硬化するために要する時間は、当該乾燥プロセスの温度、当該塗料の種類および塗布量にもよるが、通常は5〜120分である。
本発明の太陽電池モジュール用保護シートにおける基材シートとしては、樹脂シートであってもよく、アルミニウムなどの金属シートであってもよい。
ただし、前記アルミニウムなどの金属シートを基材シートとして用いた場合は、当該太陽電池モジュール用保護シートは光透過性を有さないので、フロントシート10としては用いられず、バックシート20として用いられる。また、アルミニウムシートには、アルミニウム合金シートを含むものとする。
前記樹脂シートとしては、一般に太陽電池モジュール用保護シートにおける樹脂シートとして用いられるものが使用できる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66)、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリエステルウレタン、ポリm−フェニレンイソフタルアミド、ポリp−フェニレンテレフタルアミド等のポリマーからなるシートが挙げられる。なかでも、電気絶縁性、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性、および成形性が良好である観点から、ポリエステルからなるシートが好ましく、より具体的にはPETシートが好ましいものとして挙げられる。
前記樹脂シートの厚さとしては、太陽電池システムが要求する電気絶縁性に基づいて調節すればよく、通常、当該シートの厚さは10〜300μmの範囲であることが好ましい。より具体的には、前記樹脂シートがPETシートである場合には、軽量性および電気絶縁性の観点から、該PETシートの厚さは10〜300μmの範囲であることが好ましく、20〜250μmの範囲であることがより好ましく、30〜200μmの範囲であることがさらに好ましい。
また、前記樹脂シートには、耐候性、耐湿性等を高めるための表面改質処理を施すこともできる。例えば前記PETシートにシリカ(SiO)および/またはアルミナ(Al)を蒸着させることにより、当該バックシートの耐候性、耐湿性等を高めることができる。なお、当該シリカおよび/またはアルミナの蒸着処理は、前記樹脂シートの両面に行ってもよく、いずれか一方の面にのみ行ってもよい。
本発明の太陽電池モジュール用保護シートにかかるバックシートにおける基材シートがアルミニウムシートである場合、当該バックシートの耐候性、耐水蒸気バリア性等を向上させることができる。
図2に例示するように、本発明の太陽電池モジュール用保護シート10,20における基材シート24には、フッ素含有樹脂コート層22が積層する面とは反対の面(うら面)に支持シート26を積層することが好ましい。支持シート26を有することにより、支持シート26の材料が有する性質を当該太陽電池モジュール用保護シート10,20に付加することができる。
前記基材シート24と前記支持シート26とを積層する方法としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されず、前記基材シート24と前記支持シート26との間に、さらに接着層28を設けて、該接着層28を介して前記基材シート24と前記支持シート26とを積層させることができる。
前記接着層28としては、前記基材シート24および前記支持シート26に対して接着性を有する接着剤を含むものであることが好ましい。
前記接着剤としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に制限されず、例えばアクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、エステル系接着剤、シリコーン系接着剤などが挙げられる。その接着性を向上させるために、前記基材シート24および前記支持シート26の前記接着層28側の面をコロナ処理および/または化学薬品処理することもできる。
本発明の太陽電池モジュール用保護シート10,20における支持シート26としては、積層する基材シート24の種類によって適宜選択することができる。
例えば、基材シート24が前述の樹脂シートである場合には、当該支持シート26は熱接着性シートであることが好ましい。熱接着性シートを支持シート26として使用することにより、太陽電池モジュールを構成する封止材30に対して、当該太陽電池モジュール用保護シート10,20を容易に熱接着することができる。
また、基材シート24がアルミニウムシートである場合には、当該支持シート26は前述の樹脂シートまたは熱接着性シートであることが好ましい。
前記樹脂シートを支持シート26として使用することにより、電気絶縁性等を当該太陽電池モジュール用保護シート(バックシート20)に付与することができる。この場合、当該樹脂シートからなる支持シート26には、当該基材シート24が積層する面とは反対の面(うら面)に、熱接着性シートを積層することが好ましい。熱接着性シートを当該樹脂シートからなる支持シート26に積層することにより、太陽電池モジュールを構成する封止材30に対して、当該太陽電池モジュール用保護シート(バックシート20)を容易に熱接着することができる。
一方、熱接着性シートを支持シート26として使用することにより、太陽電池モジュールを構成する封止材30に対して、当該太陽電池モジュール用保護シート(バックシート20)を容易に熱接着することができる。
前記熱接着性シートとしては、本発明の効果を損なわず、熱接着性を有する樹脂シートであれば特に限定されない。ここで、熱接着性とは、加熱処理によって接着性を発現する性質のことである。該加熱処理における温度としては、通常50〜200℃の範囲である。
前記熱接着性シートとしては、例えばエチレン酢酸ビニル(EVA)やポリオレフィンを主成分とするポリマーからなる樹脂シートが好ましく、EVAを主成分とするポリマーからなる樹脂シートであることがより好ましい。一般に、前記封止材30がEVAからなる封止樹脂であることが多く、その場合において、前記熱接着性シートがEVAを主成分とするポリマーからなる樹脂シートであることにより、前記封止材30と前記熱接着性シートとの適合性および接着性を向上させることができる。
前記熱接着性シートの厚さとしては、前記熱接着性シートの種類によって適宜調節すればよく、通常、当該シートの厚さは1〜200μmの範囲であることが好ましい。より具体的には、前記熱接着性シートがEVAからなるシートである場合には、軽量性および電気絶縁性等の観点から、当該EVAシートの厚さは、10〜200μmの範囲であることが好ましく、50〜150μmの範囲であることがより好ましく、80〜120μmの範囲であることが最も好ましい。
前記熱接着性シートを前記樹脂シートに積層する方法としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されず、熱接着性樹脂を溶剤に溶解または水に分散したものを当該樹脂シートに塗布して塗膜を形成させてもよいし、熱接着性樹脂をシート状にしたものと前記樹脂シートとの間に、さらに接着層を設けて、該接着層を介して前記熱接着性シートと前記樹脂シートとを積層させてもよい。該接着層は、前記熱接着性シートおよび前記樹脂シートに対して接着性を有する接着剤を含むものであることが好ましい。該接着剤としては、例えばアクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、エステル系接着剤、シリコーン系接着剤などが例示できる。また、その接着性を向上させるために、前記熱接着性シートおよび前記樹脂シートの当該接着層側の面をコロナ処理および/または化学薬品処理することもできる。
図3の模式図で示すように、本発明にかかる太陽電池モジュール用保護シート10,20を、太陽電池セル40を内包する封止材30からなる封止面に積層させることにより、当該太陽電池モジュール内の太陽電池セル40および封止材30を風雨、湿気、砂埃、機械的な衝撃などから守り、当該太陽電池モジュールの内部を外気から完全に遮断して密閉した状態に保つことができる。
本発明の太陽電池モジュール用保護シートを前記封止面に積層させる場合、前記太陽電池モジュール用保護シートにおけるフッ素含有樹脂の非コート面を前記封止面に積層させる。その積層方法としては、公知の方法を適用することができる。
本発明の太陽電池モジュール用保護シートの光透過性は、フッ素含有樹脂コート層22に含まれる顔料の種類、含有量および分散度を必要に応じて適宜調整することによって、調整することができる。したがって、本発明の太陽電池モジュール用保護シートは、フロントシート10としてもバックシート20としても好ましく用いられるが、光透過性の観点から、バックシート20としてより好ましく用いることができる。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[調製例1;フッ素含有樹脂を含む塗料:コート剤(1)]
MEKを120質量部、疎水性シリカ{商品名:CAB−O−SIL TS−720(キャボット・スペシャリティ・ケミカルズ・インク社製))を18.2質量部、酸化チタン{商品名:Ti−Pure R105(E.I.du Pont de Nemours and Company製))}を100質量部の量で配合したものを、表1に示す所定の時間で、顔料分散機{装置名:T.K.ホモディスパー(特殊機化工業株式会社)}にて分散させて顔料分散液(1)〜(4)を作成した。
つづいて、顔料分散液87質量部に、CTFE系共重合体{商品名:LUMIFLON LF200(旭硝子株式会社製)}を100質量部、脂肪族イソシアネート系の架橋剤(硬化剤){商品名:スミジュールN3300(住化バイエルウレタン株式会社製)}を10.7質量部、スズ系架橋促進剤{商品名:BXX3778−10(東洋インキ製造株式会社製)}を0.004質量部、MEKを110質量部の量で配合してコート剤(1)を調製した。
同様の方法で、顔料分散液(2)〜(4)を用いてコート剤(2)〜(4)を調製した。
[調製例2;フッ素含有樹脂を含む塗料:コート剤(5)]
MEKを270質量部、疎水性シリカ{商品名:CAB−O−SIL TS−720(キャボット・スペシャリティ・ケミカルズ・インク社製))を18.2質量部、酸化チタン{商品名:Ti−Pure R105(E.I.du Pont de Nemours and Company製))}を100質量部、直径1mmのジルコニアビーズを400質量部の量で配合したものを、表1に示す所定の時間で、顔料分散機{装置名:Heavy Duty Mixer 5410(Red Devil Equipment社製)}にて分散させた。つづいて、#100メッシュにてジルコニアビーズを濾過して除き、顔料分散液(5)〜(9)を作成した。
つづいて、顔料分散液(5)143.5質量部にCTFE系共重合体{商品名:LUMIFLON LF200(旭硝子株式会社製)}を100質量部、脂肪族イソシアネート系の架橋剤(硬化剤){商品名:スミジュールN3300(住化バイエルウレタン株式会社製)}を10.7質量部、スズ系架橋促進剤{商品名:BXX3778−10(東洋インキ製造株式会社製)}を0.004質量部、MEKを 53.7質量部の量で配合してコート剤(5)を調製した。
同様の方法で、顔料分散液(6)〜(9)を用いてコート剤(6)〜(9)を調製した。
[調製例3;接着剤]
ウレタン系接着剤の主剤{商品名:AL−13(Bostik社製)}を100質量部、硬化剤{商品名:TC−24(Bostik社製)}を10.5質量部、シランカップリング剤{商品名:Z−6040(東レ・ダウコーニング社製)}を0.24質量部、トルエンを94.5質量部、MEKを94.5質量部の量で配合し、接着剤(1)とした。
[実施例1〜7;比較例1〜2]
厚さ125μmのPETフィルム{商品名:Mylar A(DuPont Teijin films社製)}の一方の面(片面)に、表1に示すコート剤を、乾燥後の塗膜の厚さが15μmとなるようにバーコーターにて塗工し、120℃で1分間乾燥して、太陽電池モジュール用保護シートを作成した。
[実施例8〜14;比較例3〜4]
実施例1〜7および比較例1〜2と同様のバックシートを作成し、それらの基材シートであるPETフィルムのうら面(フッ素含有樹脂の非コート面)に、調製例3で調製した接着剤(1)を、乾燥後の塗膜の厚さが5μmとなるようにバーコーターにて塗工し、80℃で1分間乾燥後、たて100mm、よこ100mm、厚さ100μmのEVAフィルム{商品名:EVA−M 67 X0040 WHITE(Berry Plastics社製)}を貼り合せて、バックシートを作成した。
Figure 0005335496
表1の顔料分散液の分散時間(分)において、「a」は調製例1における分散時間を表し、「b」は調製例2における分散時間を表す。
<ブロッキング抑止性の評価>
実施例1〜14および比較例1〜4で作成した直後の太陽電池モジュール用保護シートを、たて100mm、よこ100mmの大きさに2枚を切り出して、ブロッキング抑止性の評価を行った。
当該太陽電池モジュール用保護シートのフッ素含有樹脂コート層の面(おもて面)と、フッ素含有樹脂の非コート面(うら面)とが接触するように、2枚の当該太陽電池モジュール用保護シートを重ね合わせて、40℃の環境下、5kg/100cmの荷重をかけた状態で3日間置いた。その後、重ねた太陽電池モジュール用保護シートにおけるブロッキング抑止性を下記の基準で評価した。その結果を表2に示す。
A:ブロッキングは発生せず、フッ素含有樹脂コート層の外観も良好であった。
B:ブロッキングは発生しなかったが、フッ素含有樹脂コート層の表面に突出した凝集物が潰れて、小さい(〜0.2mm)斑点が生じた。
C:ブロッキングは発生しなかったが、フッ素含有樹脂コート層において、部分的に光沢度が高い箇所ができること(艶ボケ)による、外観不良が発生した。
D:ブロッキングが発生し、重ねた2枚の太陽電池モジュール用保護シートが固着して剥離することができなかった。
<算術平均粗さ(Ra)の測定>
実施例1〜10および比較例1〜8で作成した太陽電池モジュール用保護シートを、さらに25℃で72時間置いて、当該フッ素含有樹脂コート層が完全に硬化した後、当該フッ素含有樹脂コート層の表面の算術平均粗さ(Ra)を測定した。また、当該表面の最大断面高さ(Rt)、最大谷深さ(Rv)、および最大山高さ(Rp)を測定した。
具体的には、JIS B0601−2001の規格に従い、カットオフ値(λc)=0.8mm、評価長さ(ln)=10mmとし、表面粗さ測定器{商品名:SV−3000S4(株式会社ミツトヨ社製)}を使用して測定した。その結果を表2に示す。
<表面光沢度(表面グロス)の測定>
実施例1〜14および比較例1〜4で作成した太陽電池モジュール用保護シートを、さらに25℃で72時間置いて、当該フッ素含有樹脂コート層が完全に硬化した後、当該フッ素含有樹脂コート層の表面光沢度(60度鏡面光沢度)を測定した。
具体的には、JIS K7105−1981の規格に従い、入射角60度とし、グロスメーター{装置名:グロスメーターVG2000(日本電色工業株式会社製)}を使用して測定した。その結果を表2に示す。
<平版整列性の評価>
実施例1〜14および比較例1〜4で作成した太陽電池モジュール用保護シートを、さらに25℃で72時間置いて、当該フッ素含有樹脂コート層が完全に硬化した後、たて1000mm、よこ1000mmの大きさに切り出して、平版整列性の評価を行った。
具体的には、平版裁断機{装置名:NCR−800(株式会社暁金属工業社製)}を使用して、シングルロータリーカット方式にて、40m/minの速度で、当該太陽電池モジュール用保護シートを上記の大きさに平版加工して、10枚重ね合わせた際の端部ズレの有無を確認した。
その結果(A:端部ズレ無し、B:端部ズレ有り)を表3に示す。
<動摩擦係数の測定>
実施例1〜10および比較例1〜8で作成した太陽電池モジュール用保護シートを、さらに25℃で72時間置いて、当該フッ素含有樹脂コート層が完全に乾燥した後、たて100mm、よこ100mmの大きさで2枚を切り出して、当該太陽電池モジュール用保護シートのフッ素含有樹脂コート層の側の面(おもて面)と、他方の側の面(うら面)との動摩擦係数を測定した。動摩擦係数は、最大値と最小値、及び振れ幅(最大値と最小値との差)を求めた。
具体的には、JIS K7125−1999の規格に従い、一方の当該太陽電池モジュール用保護シートのおもて面と、もう一方の当該太陽電池モジュール用保護シートのうら面とが接するように重ねて、摩擦試験機{装置名:TENSILON/UTM−4−100(株式会社オリエンテック社製)}を用いて測定した。その結果を表3に示す。
Figure 0005335496
Figure 0005335496
上記の結果から、本発明にかかる実施例1〜14の太陽電池モジュール用保護シートは、うら面(フッ素含有樹脂の非コート面)がPETフィルムまたはEVAフィルムのどちらであってもブロッキングを発生せず、比較例1〜4の太陽電池モジュール用保護シートよりもブロッキング抑止性に優れることが明らかである。
また、本発明にかかる実施例1〜4および実施例8〜11の太陽電池モジュール用保護シートは、当該うら面がPETフィルムまたはEVAフィルムのどちらであっても、良好な平版整列性であることが明らかである。
10 …フロントシート(光透過性表面保護シート)
20 …バックシート(裏面保護シート)
22 …フッ素含有樹脂コート層 24 …基材シート
26 …支持シート 28 …接着層
30 …封止材 40 …太陽電池セル

Claims (4)

  1. 基材シートの一方の面にフッ素含有樹脂コート層を積層してなる太陽電池モジュール用保護シートであって、該フッ素含有樹脂コート層の表面の算術平均粗さ(Ra)が0.20μm以上、前記表面の最大断面高さ(Rt)が3.00μm以上、前記表面の最大谷深さ(Rv)が0.60μm以上、前記表面の最大山高さ(Rp)が1.00μm以上であることを特徴とする太陽電池モジュール用保護シート。
  2. 前記基材シートが樹脂シートであることを特徴とする請求項1記載の太陽電池モジュール用保護シート。
  3. 前記基材シートの他方の面に熱接着性シートを積層してなることを特徴とする請求項1または2記載の太陽電池モジュール用保護シート。
  4. フッ素含有樹脂コート層の側の面(おもて面)と他方の側の面(うら面)との動摩擦係数の最大値が6.0以下であり、かつ該動摩擦係数の振れ幅(最大値と最小値との差)が0.80以下であることを特徴とする請求項1〜3記載の太陽電池モジュール用保護シート。
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