JP5280262B2 - 太陽電池モジュール用保護シート - Google Patents

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Description

本発明は、太陽電池モジュールの表面保護シートまたは裏面保護シートとして用いられる太陽電池モジュール用保護シートに関する。
太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換する装置である太陽電池モジュールは、二酸化炭素を排出せずに発電できるシステムとして注目されている。
図4に模式的に示すように、一般的な太陽電池モジュールは、フロントシート(光透過性表面保護シート)10、バックシート(裏面保護シート)20、封止材(充填層)30、および太陽電池セル40から概略構成されている。なお、前記フロントシート10は、基材がガラス板であることもある。
本明細書および特許請求の範囲においては、フロントシート(光透過性表面保護シート)10およびバックシート(裏面保護シート)20を総称して、「保護シート」という。
屋外および屋内において長期間の使用に耐えうる耐候性および耐久性を太陽電池モジュールにもたせるためには、太陽電池セル40および封止材30を風雨、湿気、砂埃、機械的な衝撃などから守り、太陽電池モジュールの内部を外気から遮断して密閉した状態に保つことが必要である。このため、前記太陽電池モジュール用保護シート10,20には、耐候性に優れることが求められる。
一般的な太陽電池モジュール用保護シートの構成としては、基材シートに耐候性を付与するためのフッ素含有樹脂コート層を積層してなるものがある。該基材シートには、電気絶縁性を有する樹脂シートまたはガスバリア性に優れるアルミニウムシートが多用される(特許文献1を参照。)。ただし、前記アルミニウムシートを基材シートとして用いた場合は、当該太陽電池モジュール用保護シートは光透過性を有さないので、フロントシート10としては用いられず、バックシート20として用いられる。
前記基材シートが樹脂シートである場合には、当該樹脂シートの水蒸気バリア性がアルミニウムシートと比べて低いことが問題となる。例えば、一般に包装用の材料として多用されるPETフィルムは、前記基材シートとしても用いられる材料であるが、水蒸気バリア性に劣る包装材であるとされる(特許文献2を参照。)。そのため、包装材としてのPETフィルムの表面にイオン注入することによって、当該PETフィルムの水蒸気バリア性を向上させることが試みられている(特許文献2を参照。)。
しかしながら、PETフィルムへのイオン注入による水蒸気バリア性向上の効果は、一般に耐湿熱性(耐湿性および耐熱性)に劣る。そのため、日に照らされ、風雨に晒される環境で使用されることの多い太陽電池モジュール用保護シートを構成するPETシート等の樹脂シートに対しては、イオン注入による水蒸気バリア性の向上が試みられることはなかった。
国際公開第2007/010706号パンフレット 特開2004−203935号公報
従来の太陽電池モジュール用保護シートを構成する樹脂シートは、水蒸気バリア性が低い(水蒸気透過性が高い)ため、透過した水蒸気が封止材および太陽電池セルを腐食させ、太陽電池モジュールの機能が損なわれることがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、水蒸気バリア性および耐湿熱性に優れる太陽電池モジュール用保護シートを提供することを課題とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
本発明の第一の態様は、少なくとも一方の面がイオン注入された樹脂シートと、該樹脂シートのイオン注入された一方の面に積層されたフッ素含有樹脂コート層とを有することを特徴とする太陽電池モジュール用保護シートである。
本発明の第二の態様は、少なくとも一方の面がイオン注入された樹脂シートと、該樹脂シートのイオン注入された一方の面に積層された支持シートとを有することを特徴とする太陽電池モジュール用保護シートである。
本発明により、水蒸気バリア性および耐湿熱性に優れる太陽電池モジュール用保護シートを提供することができる。
本発明の第一の態様を示した模式図 本発明の第二の態様を示した模式図 本発明の太陽電池モジュール用保護シートの4層構造の断面を示した模式図 太陽電池モジュールの構成を示した模式図 プラズマイオン注入装置の概略を示した構成図
以下、本発明の実施の形態について図を用いて説明する。
図1に示す、本発明の第一の態様の太陽電池モジュール用保護シート10,20は、樹脂シート24の少なくとも一方の面にイオン注入され、該樹脂シート24のイオン注入された側の一方の面にフッ素含有樹脂コート層22が積層されている。
前記樹脂シート24のイオン注入された面としては、一方の面だけであってもよく、両方の面であってもよい。当該一方の面だけにイオン注入された樹脂シート24においては、そのイオン注入された側の面にフッ素含有樹脂コート層22が積層される。また、当該両方の面にイオン注入された樹脂シート24においては、当該両方の面のうち、いずれか一方の面にフッ素含有樹脂コート層22が積層される。
前記樹脂シート24に注入されるイオン種としては、He、Ar、及びKrから選択される1種以上であることが好ましく、HeまたはArであることがより好ましく、Arであることがさらに好ましい。これらのイオン種であると、本発明の効果を高めることができる。
本発明の太陽電池モジュール用保護シート10,20において、当該樹脂シート24に注入されるイオン種は、1種単独でもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
本発明の第一の態様の太陽電池モジュール用保護シート10,20においては、当該樹脂シート24のイオン注入された側の一方の面にフッ素含有樹脂コート層22を積層することにより、そのイオン注入された面がフッ素含有樹脂コート層22によって被覆される。そのため、当該太陽電池モジュール用保護シート10,20が高温多湿の環境に置かれた場合でも、当該注入されたイオンが樹脂シート24の表面のイオン注入層から脱離しにくいため、当該太陽電池モジュール用保護シート10,20の耐湿熱性が高まると考えられる。
また、前記樹脂シート24の両面がイオン注入されたものである場合、フッ素含有樹脂コート層22が積層される面とは反対側の面を、後述するように、支持シート26を積層することによって被覆することが好ましい。この場合、当該イオンが樹脂シート24の表面のイオン注入層から脱離することを抑制し、当該太陽電池モジュール用保護シート10,20の耐湿熱性をさらに高めることができる。
本明細書において、太陽電池モジュール用保護シートの水蒸気透過度は、ISO15106−1:2003の規格で定められる。より具体的には、該水蒸気透過度は、前記規格に準じた感湿センサ法によって、透過セルの温度40℃、相対湿度差90%の条件にて測定され、その結果が水蒸気バリア性として評価される。
また、本明細書において、太陽電池モジュール用保護シートの耐湿熱性は、IEC60068−2−66の規格で定められる。より具体的には、該耐湿熱性は、まず、当該太陽電池モジュール保護用シートに対して、前記規格に準じた環境試験が行われる。すなわち、温度121℃、相対湿度100%、圧力2atmの条件下に、0h、12h、24h、48h置かれる。その後、さらに当該太陽電池モジュール保護用シートの水蒸気透過度が前述のように測定され、その結果が耐湿熱性として評価される。
本発明の第一の態様である太陽電池モジュール用保護シート10,20の、水蒸気透過度は、前記環境試験(0〜48h)後において、1.9g/(m・24h)未満であることが好ましく、1.7g/(m・24h)以下であることがより好ましく、1.5g/(m・24h)以下であることがさらに好ましい。
前記環境試験後の当該太陽電池モジュール用保護シート10,20の水蒸気透過度が上記の範囲であると、当該太陽電池モジュール用保護シート10,20の水蒸気バリア性および耐湿熱性がより高まるため好ましい。
本発明の第一の態様の太陽電池モジュール用保護シート10,20における樹脂シート24としては、本発明の効果を損なわず、当該イオン注入を行うことができるものならば特に制限されない。
前記樹脂シートとしては、太陽電池モジュール用保護シートにおける樹脂シートとして一般に用いられるものが使用できる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66)、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリエステルウレタン、ポリm−フェニレンイソフタルアミド、ポリp−フェニレンテレフタルアミド等のポリマーからなるシートが挙げられる。なかでも、電気絶縁性、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性が良好である観点から、PET、PBT、PEN等のポリエステルからなるシートが好ましく、より具体的にはPETシートが好ましいものとして挙げられる。
前記樹脂シートの厚さとしては、太陽電池システムが要求する電気絶縁性に基づいて調節すればよく、通常、当該シートの厚さは10〜300μmの範囲であることが好ましい。より具体的には、前記樹脂シートがPETシートである場合には、軽量性および電気絶縁性の観点から、該PETシートの厚さは10〜300μmの範囲であることが好ましく、30〜200μmの範囲であることが好ましく、50〜150μmであることが最も好ましい。
当該樹脂シート24の表面に対して、イオン注入を行う方法としては、本発明の効果を損なうものでなければ特に制限されず、公知の方法で行うことができる。例えば、特開2006−070238に記載のプラズマイオン注入装置によって、長尺の樹脂シート24に対してイオン注入を行う方法が好ましいものとして挙げられる。
前記プラズマイオン注入装置を用いれば、イオン注入時の圧力を0.01〜0.5Paとし、プラズマ雰囲気中、長尺の樹脂シート24を一定方向に搬送しながら、プラズマイオン注入法(PBII:Plasma−Based Ion Implantation)によって、当該樹脂シート24の表面部に均一なイオン注入層を形成することができる。この場合、長尺の樹脂シート24を一定方向に搬送しながら連続的にイオン注入できるので効率がよく、当該太陽電池モジュール用保護シート10,20の量産に適している。
前記プラズマイオン注入装置は、マイクロ波等の高周波電源等によって発生する外部電界を用いることなく、高電圧パルスの印加により発生する電界のみでプラズマを生成する。すなわち、該プラズマイオン注入装置では、長尺の樹脂シート24が一定方向に搬送されると同時に、該樹脂シート24に負の高電圧が印加されることによりプラズマが発生し、該プラズマ中のイオンが該樹脂シート24の表面部に注入され、イオン注入層が形成される。
前記プラズマイオン注入装置の構成を図5に示す。
図5(a)において、41は長尺の樹脂シート、51はチャンバー、60はターボ分子ポンプ、43はイオン注入される前の樹脂シート41を送り出す巻き出しロール、45はイオン注入された樹脂シート41をロール状に巻き取る巻取りロール、42は高電圧印加回転キャン、50はガス導入口、47は高電圧パルス電源である。図5(b)は、前記高電圧印加回転キャン42の斜視図であり、55は高電圧導入端子(フィードスルー)である。
図5に示す連続的イオン注入装置においては、長尺の樹脂シート41は、チャンバー51内において、巻き出しロール43から図5中矢印A方向に搬送され、高電圧印加回転キャン42を通過して、巻取りロール45に巻き取られる。長尺の樹脂シート41の巻取りの方法や、長尺の樹脂シート41を搬送する方法等は特に制限はないが、例えば、高電圧印加回転キャン42を一定速度で回転させることにより長尺の樹脂シートの搬送が行われる。また、高電圧印加回転キャン42の回転は、高電圧導入端子55の中心軸53をモーターにより回転させることにより行われる。
高電圧導入端子55、及び長尺の樹脂シート41が接触する複数の送り出しロール46等は絶縁体からなり、例えば、アルミナの表面をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の樹脂で被覆して形成される。また、高電圧印加回転キャン42は導体からなり、例えば、ステンレス、SUS(Steel special Use Stainless)等で形成される。
長尺の樹脂シート41の搬送速度は適宜設定される。長尺の樹脂シート41が巻き出しロール43から搬送され、巻取りロール45に巻き取られるまでの間に当該樹脂シートの表面部にイオン注入され、所望のイオン注入層が形成されるだけの時間が確保される速度であれば、特に制限されない。樹脂シートの巻取り速度(ライン速度)は、印加電圧や高電圧印加回転キャン42の直径にもよるが、通常0.1〜2m/min、好ましくは0.2〜0.7m/minである。
当該イオン注入処理の手順としては、先ず、チャンバー51内をロータリーポンプに接続されたターボ分子ポンプ60により排気して減圧とする。減圧度は、通常1.0×10−4〜3.0×10−3Paである。
次に、ガス導入口50よりチャンバー51内に、イオン注入用のガス(以下、「イオン注入用ガス」ということがある。)を導入する。
用いるイオン注入用ガスとしては、前述のように、He、Ar、またはKrが好ましい。
次に、長尺の樹脂シート41を図5中Aの方向に搬送させながら、高電圧パルス電源47から高電圧導入端子55を介して高電圧印加回転キャン42に負の高電圧パルス49を印加する。
高電圧印加回転キャン42に負の高電圧が印加されると、高電圧印加回転キャン42の外周に巻き付けられた長尺の樹脂シート41に沿ってプラズマが生成し、そのプラズマ中のイオンが誘因され、高電圧印加回転キャン42の外周に巻き付けられた長尺の樹脂シート41の表面に注入される(図5(a)中、矢印B)。当該長尺の樹脂シート41の表面部にイオンが注入されると、該表面部が改質されて、該表面部にイオン注入層が形成される。
イオン注入する際の圧力(プラズマイオン注入時の圧力)としては、0.01〜0.5Paが好ましい。また、プラズマを生成させるときのパルス幅は、1〜10μsecが好ましい。
プラズマイオン注入時の圧力、およびプラズマを生成させるときのパルス幅が前記範囲内にあると、当該樹脂シートの表面部に均一なイオン注入層を形成することができ、本発明の効果をより高めることができる。
高電圧印加回転キャン42に負の高電圧を印加する際の印加電圧は、好ましくは−1kV〜−50kV、より好ましくは−5kV〜−25kVである。
該印加電圧が前記範囲内にあると、当該樹脂シートの表面部に充分なイオン注入層を形成することができ、本発明の効果をより高めることができる。
上記例のように、当該長尺の樹脂シート41の表面にイオンを注入すると、当該樹脂シート41の表面部が改質されて、該表面部にイオン注入層が形成される。
イオン注入後の長尺の樹脂シート41の表面部にはイオン注入層が形成されているが、該樹脂シート41の極表層部のみが改質されてイオン注入層に変化しているため、電気絶縁性等の樹脂シート41の特性は損なわれていない。
当該イオン注入層の厚みは、前記長尺の樹脂シート41の巻取り速度(ライン速度)、イオン注入の処理時間、印加電圧等により制御することができる。
本発明の太陽電池モジュール用保護シート10,20の樹脂シート24のイオン注入層の厚みは、通常、0.1〜100nmである。
本発明の第一の態様の太陽電池モジュール用保護シート10,20において、フッ素含有樹脂コート層22は、フッ素含有樹脂を含む塗料を、樹脂シート24のイオン注入された一方の面に、所望の厚さの塗膜となるように塗布して形成することができる。
前記フッ素含有樹脂を含む塗料としては、本発明の効果を損なわず、乾燥硬化後にフッ素含有樹脂コート層22を形成するものであれば特に制限されず、溶剤に溶解又は水に分散されたもので、樹脂シート24のイオン注入された一方の面に塗布可能なものであればよい。
前記塗料に含まれるフッ素含有樹脂としては、本発明の効果を損なわず、フッ素を含有する樹脂であれば特に限定されないが、前記塗料の溶媒(有機溶媒または水)に溶解し、架橋可能であるものが好ましい。
当該フッ素含有樹脂の好ましい例としては、旭硝子株式会社製のLUMIFLON(登録商標)、セントラル硝子株式会社製のセフラルコート(登録商標)、DIC株式会社製のFLUONATE(登録商標)等のクロロトリフルオロエチレン(CTFE)を主成分としたポリマー類や、ダイキン工業株式会社製のZEFFLE(登録商標)等のテトラフルオロエチレン(TFE)を主成分としたポリマー類や、E.I.du Pont de Nemours and Company製のZonyl(商品名)、ダイキン工業株式会社製のUnidyne(登録商標)等のフルオロアルキル基を有するポリマー、およびフルオロアルキル単位を主成分としたポリマー類が挙げられる。これらの中でも、耐候性および顔料分散性等の観点から、CTFEを主成分としたポリマーおよびTFEを主成分としたポリマーがより好ましく、なかでも前記LUMIFLON(登録商標)および前記ZEFFLE(登録商標)が最も好ましい。
前記LUMIFLON(登録商標)は、CTFEと数種類の特定のアルキルビニルエーテル(VE)、ヒドロキシアルキルビニルエーテルとを主な構成単位として含む非結晶性のポリマーである。LUMIFLON(登録商標)のように、ヒドロキシアルキルビニルエーテルのモノマー単位を有するポリマーは、溶剤可溶性、架橋反応性、基材密着性、顔料分散性、硬さ、および柔軟性に優れるので好ましい。
前記ZEFFLE(登録商標)は、TFEと有機溶媒可溶性の炭化水素オレフィンとの共重合体であり、なかでも反応性の高い水酸基を備えた炭化水素オレフィンを有する場合には、溶剤可溶性、架橋反応性、基材密着性、および顔料分散性に優れるので好ましい。
また、前記塗料に含まれるフッ素含有樹脂の例として、硬化性官能基を有するフルオロオレフィンのポリマーが挙げられ、その具体例としては、TFE、イソブチレン、フッ化ビニリデン(VdF)、ヒドロキシブチルビニルエーテルおよびその他のモノマーからなる共重合体、ならびにTFE、VdF、ヒドロキシブチルビニルエーテルおよびその他のモノマーからなる共重合体が好ましいものとして挙げられる。
また、前記塗料に含まれるフッ素含有樹脂における共重合可能なモノマーとしては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ブチル、イソ酪酸ビニル、ピバル酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキシルカルボン酸ビニル、および安息香酸ビニル等のカルボン酸のビニルエステル類や、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルおよびシクロヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類が挙げられる。
さらに、前記塗料に含まれるフッ素含有樹脂は、1種以上のモノマーからなるポリマーであってもよく、三元重合体であってもよい。例えば、VdFとTFEとヘキサフルオロプロピレンとの三元重合体であるDYNEON(登録商標)THV(商品名;3M Company製)が挙げられる。そのような多元重合体は、それぞれのモノマーが有する特性をポリマーに付与することができるので好ましい。例えば前記DYNEON(登録商標)THV(商品名)は、比較的低温で製造することができ、エラストマーや炭化水素ベースのプラスチックにも接着でき、柔軟性や光学的透明度にも優れるので好ましい。
前記塗料としては、前記フッ素含有樹脂の他に、架橋剤(硬化剤)、触媒(架橋促進剤)、および溶媒を含んでいてもよく、さらに必要であれば、顔料および充填剤などの無機化合物を含んでいてもよい。
前記塗料に含まれる溶媒としては、本発明の効果を損なうものでなければ特に限定されず、例えばメチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、アセトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、トルエン、キシレン、メタノール、イソプロパノール、エタノール、ヘプタン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、またはn−ブチルアルコールのうち、いずれか1種以上を有する溶媒を好ましく用いることができる。なかでも、塗料中の含有成分の溶解性および塗膜中への残留性の低さ(低い沸点温度)の観点から、前記溶媒はキシレン、シクロヘキサノン、またはMEKのうち、いずれか1種以上を有するものであることがより好ましい。
前記塗料に含んでいてもよい顔料および充填剤としては、本発明の効果を損なうものでなければ特に限定されない。例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、ペリレン顔料、色素、染料、マイカ、ポリアミドパウダー、窒化ホウ素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、シリカ、紫外線吸収剤、防腐剤、乾燥剤等が挙げられる。より具体的には、耐久性を付与するために被覆及び表面処理されたルチル型二酸化チタンであるタイピュア(TI−PURE)(登録商標) R105(商品名;E.I.du Pont de Nemours and Company製)、およびジメチルシリコーンの表面処理によってシリカ表面の水酸基を修飾した疎水性シリカであるCAB−O−SIL(登録商標)TS−720(商品名;Cabot Corporation社製)が好ましいものとして例示できる。
前記塗膜は耐候性、耐擦傷性を向上させるため、架橋剤により硬化していることが好ましい。該架橋剤としては、本発明の効果を損なうものでなければ特に限定されず、金属キレート類、シラン類、イソシアネート類、およびメラミン類が好ましく用いられるものとして挙げられる。当該太陽電池モジュール用保護シートを屋外において30年以上使用することを想定した場合、耐候性の観点からは、前記架橋剤として、脂肪族のイソシアネート類が好ましい。
前記塗料の組成としては、本発明の効果を損なわなければ特に限定されず、例えば前記ルミフロンをベースとした塗料の組成物として、前記LUMIFLON(登録商標)、顔料、架橋剤、溶媒および触媒を混合してなるものが挙げられる。該組成比としては、該塗料全体を100質量%としたときに、LUMIFLON(登録商標)の固形分は3〜80質量%が好ましく、15〜40質量%がより好ましく、顔料は5〜60質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましく、有機溶媒は20〜80質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。
上記塗料において、有機溶媒としてはMEKが好ましく、架橋剤としてはイソシアネート類が好ましく、当該LUMIFLON(登録商標)のイソシアネート類による架橋を促進する触媒としてはジブチルジラウリン酸スズ、ジオクチルジラウリン酸スズが好ましいものとして挙げられる。
図1に例示する本発明の第一の態様の太陽電池モジュール用保護シート10,20において、前記塗料を樹脂シート24のイオン注入された一方の面に塗布する方法としては、公知の方法で行うことができ、例えばバーコーター(ロッドコーター)で所望の膜厚になるように塗布すればよい。
前記塗料が硬化して形成されるフッ素含有樹脂コート層22の膜厚としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、例えば5μm以上の膜厚とすればよい。耐候性および軽量性の観点から、フッ素含有樹脂コート層22の膜厚としては、5〜100μmが好ましく、8〜50μmがより好ましく、10〜30μmが最も好ましい。
前記塗布した塗料の乾燥プロセスにおける温度は、本発明の効果を損なわない温度であればよく、架橋促進及び樹脂シート24への熱による影響を低減する観点から、50〜130℃の範囲であることが好ましい。
図3に例示するように、本発明の第一の態様の太陽電池モジュール用保護シート10,20における樹脂シート24には、フッ素含有樹脂コート層22が積層される面とは反対の面(うら面)に支持シート26が積層されることが好ましい。支持シート26を積層させることにより、支持シート26の材料が有する性質を当該太陽電池モジュール用保護シート10,20に付加することができる。
樹脂シート24と支持シート26とを積層する方法としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されず、樹脂シート24と支持シート26との間に、さらに接着層28を設けて、該接着層28を介して樹脂シート24と支持シート26とを積層することができる。
接着層28としては、樹脂シート24および支持シート26に対して接着性を有する接着剤を含むものであることが好ましい。
前記接着剤としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に制限されず、例えばアクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、エステル系接着剤などが挙げられる。
本発明の第一の態様の太陽電池モジュール用保護シート10,20における支持シート26としては、熱接着性シートであることが好ましい。熱接着性シートを支持シート26として使用することにより、太陽電池モジュールを構成する封止材30に対して、当該太陽電池モジュール用保護シート10,20を容易に熱接着させることができる。
前記熱接着性シートとしては、本発明の効果を損なわず、熱接着性を有する樹脂シートであれば特に限定されない。ここで、熱接着性とは、加熱処理によって接着性を発現する性質のことである。該加熱処理における温度としては、通常50〜200℃の範囲である。
前記熱接着性シートとしては、例えばエチレン酢酸ビニル(EVA)やポリオレフィンを主成分とするポリマーからなる樹脂シートが好ましく、EVAを主成分とするポリマーからなる樹脂シートであることがより好ましい。一般に、前記封止材30がEVAからなる封止樹脂であることが多く、その場合において、前記熱接着性シートがEVAを主成分とするポリマーからなる樹脂シートであることにより、前記封止材30と前記熱接着性シートとの適合性および接着性を向上させることができる。
前記熱接着性シートの厚さとしては、前記熱接着性シートの種類によって適宜調節すればよく、通常、当該シートの厚さは5〜200μmの範囲であることが好ましい。より具体的には、前記熱接着性シートがEVAからなるシートである場合には、軽量性および電気絶縁性等の観点から、当該EVAシートの厚さは、10〜200μmの範囲であることが好ましく、50〜150μmの範囲であることがより好ましく、80〜120μmの範囲であることが最も好ましい。
前記熱接着性シートを樹脂シート24に積層する方法としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されず、熱接着性樹脂を溶剤に溶解または水に分散したものを当該樹脂シート24に塗布して塗膜を形成させてもよいし、熱接着性樹脂をシート状にしたものと当該樹脂シート24との間に、さらに接着層を設けて、該接着層を介して前記熱接着性シートと前記樹脂シートとを積層させてもよい。該接着層は、前記熱接着性シートおよび樹脂シート24に対して接着性を有する接着剤を含むものであることが好ましい。該接着剤としては、例えばアクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、エステル系接着剤などが例示できる。
図2に示す、本発明の第二の態様の太陽電池モジュール用保護シート10,20は、樹脂シート24の一方の面にイオン注入され、該樹脂シート24のイオン注入された側の一方の面に支持シート26が積層されている。
前記樹脂シート24のイオン注入された面としては、一方の面だけであってもよく、両方の面であってもよい。当該一方の面だけにイオン注入された樹脂シート24においては、そのイオン注入された側の面に支持シート26が積層される。また、当該両方の面にイオン注入された樹脂シート24においては、当該両方の面のうち、いずれか一方の面に支持シート26が積層される。
前記樹脂シート24に注入されるイオン種としては、前述の本発明の第一の態様の太陽電池モジュール用保護シート10,20における樹脂シート24に注入されるイオン種と同じものが、好ましいものとして挙げられる。これらのイオン種であると、本発明の効果を高めることができる。
また、当該樹脂シート24に注入されるイオン種は、1種単独でもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
本発明の第二の態様の太陽電池モジュール用保護シート10,20においては、当該樹脂シート24のイオン注入された側の一方の面に支持シート26を積層することにより、そのイオン注入された面が支持シート26によって被覆される。そのため、当該太陽電池モジュール用保護シート10,20が高温多湿の環境に置かれた場合でも、当該注入されたイオンが樹脂シート24の表面のイオン注入層から脱離しにくいため、当該太陽電池モジュール用保護シート10,20の耐湿熱性が高まると考えられる。
また、前記樹脂シート24の両面がイオン注入されたものである場合、支持シート26が積層される面とは反対側の面を、後述するように、別の層(例えば、フッ素含有樹脂コート層又はアルミニウムシート等)を積層することによって被覆することが好ましい。この場合、当該イオンが樹脂シート24の表面のイオン注入層から脱離することを抑制し、当該太陽電池モジュール用保護シート10,20の耐湿熱性をさらに高めることができる。
本発明の第二の態様である太陽電池モジュール用保護シート10,20の、水蒸気透過度は、前記環境試験(0〜48h)後において、1.8g/(m・24h)未満であることが好ましい。
前記環境試験後の当該太陽電池モジュール用保護シート10,20の水蒸気透過度が上記の範囲であると、当該太陽電池モジュール用保護シート10,20の水蒸気バリア性および耐湿熱性がより高まるため好ましい。
本発明の第二の態様の太陽電池モジュール用保護シート10,20における樹脂シート24としては、本発明の効果を損なわず、当該イオン注入を行うことができるものならば特に制限されない。
例えば、前述の本発明の第一の態様の太陽電池モジュール用保護シート10,20で用いられる樹脂シートと同様のものが挙げられる。なかでも、電気絶縁性、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性、および成形性が良好である観点から、ポリエステルからなるシートが好ましく、より具体的にはPETシートが好ましいものとして挙げられる。
当該樹脂シート24の表面に対して、イオン注入を行う方法としては、前述の本発明の第一の態様の太陽電池モジュール用保護シート10,20で例示した方法と同様の方法で行うことができる。
樹脂シート24と支持シート26とを積層する方法としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されず、例えば樹脂シート24と支持シート26との間に、さらに接着層28を設けて、該接着層28を介して樹脂シート24と支持シート26とを積層することができる。
より具体的には、前述の本発明の第一の態様の太陽電池モジュール用保護シート10,20における樹脂シート24と支持シート26とを積層する方法と同様に行うことができる。
本発明の第二の態様の太陽電池モジュール用保護シート10,20における支持シート26としては、熱接着性シートであることが好ましい。熱接着性シートを支持シート26として使用することにより、太陽電池モジュールを構成する封止材30に対して、当該太陽電池モジュール用保護シート10,20を容易に熱接着することができる。
当該熱接着性シートは、前述の本発明の第一の態様の太陽電池モジュール用保護シート10,20における熱接着性シートと同様である。
本発明の第二の態様の太陽電池モジュール用保護シート10,20における樹脂シート24には、支持シート26が積層する面とは反対の面(うら面)に別の層(以下、外皮層という。)が積層されることが好ましい。その外皮層を積層することにより、当該外皮層の材料が有する性質を当該太陽電池モジュール用保護シート10,20に付加することができる。
前記外皮層としては、例えば、フッ素含有樹脂コート層又はアルミニウムシート等が好ましいものとして挙げられる。
前記外皮層がフッ素含有樹脂コート層である場合は、当該太陽電池モジュール用保護シート10,20の耐候性をより向上させることができる。
当該フッ素含有樹脂コート層としては、前述の本発明の第一の態様の太陽電池モジュール用保護シート10,20におけるフッ素含有樹脂コート層22と同様のものが挙げられる。
前記外皮層がアルミニウムシートである場合、当該太陽電池モジュール用保護シートは、光透過性を有さないため、フロントシート10としては用いられず、バックシート20として用いられる。
前記外皮層がアルミニウムシートであると、当該バックシートの耐候性、耐水蒸気バリア性をより向上させることができる。
前記アルミニウムシートとしては、本発明の効果を損なうものでなければ特に制限されないが、鉄を0.7質量%以上含有するアルミニウム−鉄合金をシート状にしたものが好ましく、鉄を0.7〜5.0質量%の範囲で含むアルミニウム−鉄合金をシート状にしたものがより好ましい。
前記最も好ましい範囲の含有量で鉄を含むアルミニウム−鉄合金としては、JIS H4160に規定される合金番号8021に区分されるものが挙げられる。該アルミニウム−鉄合金をシート状にしたものとしては、例えば日本製箔株式会社製のPACAL21(登録商標)を好ましく用いることができる。また、住軽アルミ箔株式会社製のBESPA(登録商標)も同様に好ましく用いることができる。
鉄を前記範囲内で含むアルミニウム−鉄合金シートを用いることによって、純アルミニウム製のシートを用いるよりも、当該バックシートの耐水蒸気バリア性、および軽量性を高めることができる。その理由としては、鉄を前記範囲内で含むアルミニウム−鉄合金は、一般に純アルミニウムと比べて圧延加工性に優れるため、厚みが20μm以下のシートに加工した場合でもピンホールの発生が少なく、該ピンホールを介した気体の流通を抑制することができ、その結果として該アルミニウム−鉄合金シートを用いたバックシートの水蒸気バリア性を高めることができると考えられる。また、圧延加工性に優れるため、前記水蒸気バリア性を維持したままで純アルミニウムのシートよりもより薄いシートに加工することができ、その結果として該アルミニウム−鉄合金シートを用いたバックシートは軽量性を高めることができる。
前記アルミニウム−鉄合金シートは、本発明の効果を損なわない限り、前記鉄以外の元素を含んでいてもよい。例えば、マグネシウム、マンガン、銅、ケイ素、亜鉛、チタン等が挙げられる。これらの元素は、前記アルミニウム−鉄合金の製造過程において不可避的に含まれることもあるが、一般に微量の含有量であれば、本発明の効果を損なわないと考えられる。ここで、前記微量の含有量としては、各元素がそれぞれ0.5質量%以下である場合、より好ましくは0.3質量%以下である場合をいう。
前記アルミニウム−鉄合金シートの厚さとしては、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、ピンホール発生頻度の低さ(水蒸気バリア性の高さ)、および軽量性等の観点から、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、最も好ましくは5〜10μmの範囲である。
当該アルミニウムシートを、本発明の第二の態様の太陽電池モジュール用保護シート20における樹脂シート24に積層する方法としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限されない。例えば、当該アルミニウムシートと樹脂シート24との間に、さらに接着層を設けて、該接着層を介して当該アルミニウムシートと樹脂シート24とを積層させることができる。
前記接着層としては、当該アルミニウムシートおよび樹脂シート24に対して接着性を有する接着剤を含むものが好ましい。
前記接着剤としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に制限されず、例えばアクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、エステル系接着剤などが挙げられる。
当該アルミニウムシートには、さらにフッ素含有樹脂コート層を積層することが好ましい。該フッ素含有樹脂コート層を積層する面は、前記樹脂シート24を積層する面とは反対の面である。該フッ素含有樹脂コート層を積層することにより、当該バックシート20の耐候性をより高めることができる。
該フッ素含有樹脂コート層としては、前述の本発明の第一の態様の太陽電池モジュール用保護シート10,20におけるフッ素含有樹脂コート層22と同様のものが挙げられる。
図4の模式図で示すように、本発明にかかる太陽電池モジュール用保護シート10,20を、太陽電池セル40を内包する封止材30からなる封止面に積層させることにより、当該太陽電池モジュール内の太陽電池セル40および封止材30を風雨、湿気、砂埃、機械的な衝撃などから守り、当該太陽電池モジュールの内部を外気から遮断して密閉した状態に保つことができる。
本発明の第一の態様の太陽電池モジュール用保護シートを前記封止面に積層させる場合、樹脂シートのフッ素含有樹脂コート層が積層された面とは反対の面を前記封止面に積層させる。また、本発明の第二の態様の太陽電池モジュール用保護シートを前記封止面に積層させる場合、支持シート面を前記封止面に積層させる。その積層方法としては、公知の方法を適用することができる。
本発明の太陽電池モジュール用保護シートは、フロントシート10としてもバックシート20としても好ましく用いられるものであるが、光透過性の観点から、バックシート20としてより好ましく用いられる。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[調製例1;フッ素含有樹脂を含む塗料:コート剤]
MEKを120質量部、疎水性シリカ{商品名:CAB−O−SIL(登録商標) TS−720(Cabot Corporation製))を18.2質量部、酸化チタン{商品名:タイピュア(TI−PURE)(登録商標) R105(E.I.du Pont de Nemours and Company製))}を100質量部の量で配合したものを、顔料分散機{装置名:T.K.ホモディスパー(プライミクス株式会社)}にて分散させて顔料分散液を作成した。
つづいて、顔料分散液87質量部に、CTFE系共重合体{商品名:LUMIFLON(登録商標) LF200(固形分60%)(旭硝子株式会社製)}を100質量部、脂肪族イソシアネート系の架橋剤(硬化剤){商品名:スミジュール(SUMIDUR)(登録商標)N3300(住化バイエルウレタン株式会社製)}を10.7質量部、架橋促進剤{商品名:BXX3778−10(東洋インキ製造株式会社製)}を0.004質量部、MEKを110質量部の量で配合してコート剤を調製した。
[調製例2;接着剤]
ウレタン系接着剤の主剤{商品名:BOSTIK(登録商標)ADH7237(Bostik,Inc.製)}を100質量部、硬化剤{商品名:BOSCODUR24T(Bostik,Inc.製)}を10.5質量部、トルエンを94.5質量部、MEKを94.5質量部の量で配合し、接着剤とした。
[調製例3;樹脂シートへのイオン注入]
厚さ125μmのPETシート{商品名: MYLAR(登録商標)A(DuPont Teijin Films製)}の一方の面(片面)に対して、図5に示すプラズマイオン注入装置を用いて、表1に示すイオン種をイオン注入した。
当該プラズマイオン注入の条件としては、チャンバー内の圧力を0.2Paとし、イオン注入用ガスの種類を表1に示すものとし、高電圧印加回転キャンに負の高電圧を印加する際の電圧、パルス幅、パルスの繰り返し周波数を、それぞれ、−10kV、5μsec、1000Hzとした。また、PETシートの搬送速度を0.2m/minとして、当該PETシートの単位面積において5分間のイオン注入処理を行った。
[実施例1〜3]
上記調製例3で作成したPETシートにおける各イオンを注入した面に、調製例1のコート剤を、乾燥塗膜厚さが13μmとなるようにバーコーターにて塗工し、120℃で1分間乾燥した。
つぎに、PETシートのうら面(フッ素含有樹脂の非コート面)に、調製例2で調製した接着剤を、乾燥塗膜厚さが5μmとなるようにバーコーターにて塗工し、80℃で1分間乾燥後、厚さ100μmのEVAシート{商品名:EVA−M 67 X0040 WHITE(Berry Plastics Corporation社製)}を貼り合せ、太陽電池モジュール用保護シート(1)を作成した。
[比較例1]
イオン注入処理を施していない厚さ125μmのPETシート{商品名:MYLAR(登録商標) A(DuPont Teijin Films社製)}を使用したこと以外は、実施例1〜3と同様にして、比較例としての太陽電池モジュール用保護シート(1)を作成した。
実施例1〜3および比較例1で得られた太陽電池モジュール用保護シート(1)に対して、下記条件の環境試験を行い、その後、それぞれの太陽電池モジュール用保護シート(1)の水蒸気透過度を測定した。
<環境試験>
IEC60068−2−66の規格に準じて、実施例1〜3および比較例1で得られた太陽電池モジュール用保護シート(1)を、温度121℃、相対湿度100%、圧力2atmの条件下に、0h、12h、24h、48h置いた。その際、環境試験機{装置名:EHS−211M エスペック株式会社製}を使用した。
当該環境試験後に、それぞれの太陽電池モジュール用保護シート(1)の水蒸気透過度を測定した。
<水蒸気透過度の測定>
前記環境試験後の太陽電池モジュール用保護シート(1)のフッ素含有樹脂コート層の側から透過する水蒸気の量(水蒸気透過度)を測定した。
具体的には、ISO15106−1:2003の規格に従い、透過セルの温度40℃、相対湿度差90%の条件で、感湿センサ法によって、水蒸気透過度計{商品名:L80−5000(PBI−Dansensor A/S製)}を使用して測定した。
その結果を表1に併記する。
Figure 0005280262
[実施例4〜6]
上記調製例3で作成したPETシートにおける各イオンを注入した面に、調製例2で調製した接着剤を、乾燥塗膜厚さが5μmとなるようにバーコーターにて塗工し、80℃で1分間乾燥後、厚さ100μmのEVAシート{商品名:EVA−M 67 X0040 WHITE(Berry Plastics Corporation製)}を貼り合せて、太陽電池モジュール用保護シート(2)を作成した。
[比較例2]
イオン注入処理を施していない厚さ125μmのPETシート{商品名:MYLAR(登録商標)A(DuPont Teijin Films製)}を使用したこと以外は、実施例4〜6と同様にして、比較例としての太陽電池モジュール用保護シート(2)を作
した。
[実施例7〜9]
上記調整例3で作成したPETシート{商品名:MYLAR(登録商標)A(DuPont Teijin Films製)}における各イオンを注入した面の反対の面に、調整例1のコート剤を、乾燥塗膜厚さ13μmとなるようにバーコーターにて塗工し、120℃で1分間乾燥して、フッ素含有樹脂コート層を形成した。
次に、前記PETシートにおけるイオンを注入した面に、調整例2で調整した接着剤を、乾燥塗膜厚さが5μmとなるようにバーコーターにて塗工し、80℃で1分間乾燥後、厚さ100μmのEVAシート{商品名:EVA−M 67 X0040 WHITE(Berry Plastics Corporation製)}を貼り合わせ、太陽電池モジュール用保護シート(3)を作成した。
[比較例3]
イオン注入処理を施していない厚さ125μmのPETシート {商品名:MYLAR(登録商標)A(DuPont Teijin Films製)} を使用したこと以外は実施例7〜9と同様にして、比較例としての太陽電池モジュール用保護シート(3)を作成した。
実施例4〜6および比較例2で作成した太陽電池モジュール用保護シート(2)に対して、実施例1〜3および比較例1で作成した太陽電池モジュール用保護シート(1)に対して行った環境試験を同様に行い、その後、それぞれの太陽電池モジュール用保護シート(2)の水蒸気透過度を測定した。
その結果を表2に併記する。
Figure 0005280262
実施例7〜9および比較例3で作成した太陽電池モジュール用保護シート(3)に対して、実施例1および比較例1で作成した太陽電池モジュール用保護シート(1)に対して行った環境試験を同様に行い、その後、それぞれの太陽電池モジュール用保護シート(3)の水蒸気透過度を測定した。
その結果を表3に併記する。
Figure 0005280262
上記の結果から、本発明にかかる実施例1〜9の太陽電池モジュール用保護シートは、比較例1〜3の太陽電池モジュール用保護シートに比べて、水蒸気バリア性および耐湿熱性に優れることが明らかである。
[参考例1〜3]
上記調製例3で各イオンを注入したPETシートに対して、実施例1〜3および比較例1で作成した太陽電池モジュール用保護シート(1)に対して行った環境試験を同様に行い、その後、それぞれのPETシートのイオン注入された面の側から透過する水蒸気の量(水蒸気透過度)を測定した。
その結果を表4に併記する。
Figure 0005280262
上記の表4の結果から、イオン注入処理を施したPETシートは、本発明にかかる実施例1〜9の太陽電池モジュール用保護シートと比べて、耐湿熱性に劣ることが明らかである。
10 …フロントシート(光透過性表面保護シート) 20 …バックシート(裏面保護シート)
22 …フッ素含有樹脂コート層 24 …樹脂シート
26 …支持シート 28 …接着層
30 …封止材 40 …太陽電池セル
41 …長尺の樹脂シート 42 …高電圧印加回転キャン
43 …巻き出しロール 45 …巻取りロール
46 …送り出しロール 47 …高電圧パルス電源
49 …高電圧パルス 50 …ガス導入口
51 …チャンバー 53 …中心軸
55 …高電圧導入端子 60 …ターボ分子ポンプ

Claims (4)

  1. 少なくとも一方の面がイオン注入された樹脂シートと、該樹脂シートのイオン注入された一方の面に積層されたフッ素含有樹脂コート層とを有することを特徴とする太陽電池モジュール用保護シート。
  2. 少なくとも一方の面がイオン注入された樹脂シートと、該樹脂シートのイオン注入された一方の面に積層された支持シートとを有することを特徴とする太陽電池モジュール用保護シート。
  3. He、Ar、及びKrから選択される1種以上がイオン注入されたことを特徴とする請求項1または2記載の太陽電池モジュール用保護シート。
  4. 前記樹脂シートがポリエステルシートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール用保護シート。
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