JP6873207B2 - 直流電源装置及びこれを搭載した空気調和機 - Google Patents
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Description
また、MOSFETに並列に接続されるダイオードはMOSFETの寄生ダイオードによる方法がある(特許文献1)。
また、交流電源の半周期の間に一度のMOSFETのオン/オフ動作を行う方式で制御されており、昇圧できる出力電圧範囲は限定的で直流出力電源の高い出力電圧を得る整流回路を実現できないという課題がある。
また、交流電源電流に含まれる高調波電流成分も高いので入力電源の力率は低いという課題がある。
また、MOSFETに並列に接続されるダイオードをMOSFETの寄生ダイオードを用いる方法も示されているが、一般に寄生ダイオードのスイッチング速度は遅いため、それぞれのMOSFETをオン/オフするスイッチング動作を行うときに、直流出力電源をMOSFETが短絡して流れる過電流が発生するという課題がある。
このため、交流電源の半周期の間に複数回スイッチング動作を行う場合や、可聴周波数を超える、例えば15kHz以上でスイッチング動作を繰り返す場合には、スイッチング損失が増大して整流回路の回路効率が低下するという課題がある。
さらに、交流電源の半周期の間に複数回のスイッチング動作を行う場合には、2つのうち、いずれかのMOSFETに電流が通流することになり、別にダイオードを並列に接続した方式に比べてMOSFETの発熱量が大きいという課題がある。
また、寄生ダイオードに電流が流れているときにゲート信号を印加してチャネル電流を流したときには、ダイオードとしての機能を消失する点については考慮されておらず、MOSFETに並列に接続したダイオードを接続した場合に比べて、逆回復時間が増大して直流電源を短絡する短絡電流が増大すると共に、短絡時間が増大し素子の破損に至る可能性があるという課題がある。
すなわち、本発明の直流電源装置は、直流出力電源の正極端子と負極端子との間に直列接続された第1、第2のMOSFETおよび前記正極端子と負極端子の間に直列接続された第1、第2のダイオードを有するブリッジ整流回路と、交流電源の一端と前記第1、第2のMOSFETの直列接続点との間に接続されたリアクトルと、前記直流出力電源の正極端子と負極端子の間に接続された平滑コンデンサと、前記交流電源の半周期内に、前記リアクトルに流れる電流を前記第1、第2のMOSFETのどちらか一方に通電する動作を複数回繰り返すように前記第1、第2のMOSFETをオン/オフさせる制御回路と、を備え、前記交流電源の他端が前記第1、第2のダイオードの直列接続点に接続され、各前記第1、第2のMOSFETは、MOSFETへの印加電圧が逆方向電圧から順方向電圧に切替わる際にMOSFETのゲート信号をオン信号からオフ信号に切替えたときの逆回復時間に比べて、MOSFETへの印加電圧が逆方向電圧から順方向電圧に切替わる際にMOSFETのゲート信号をオフ信号に保ち続けているときの逆回復時間が短く、前記第1、第2のダイオードの逆回復時間が、前記第1、第2のMOSFETのゲート信号をオン信号からオフ信号に切替えたときの逆回復時間よりも長く、前記制御回路は、前記第1、第2のMOSFETのうち、前記リアクトルとダイオードとを通して前記交流電源を短絡する側のMOSFETをオフし、さらに所定時間経過後に、前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオンし、前記リアクトルがダイオードを通して交流電源を短絡する側のMOSFETをオンする所定時間前に前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオフする動作を、前記交流電源の半周期内に複数回繰返す、ことを特徴とする。
本発明の第1実施形態の直流電源装置を、図を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る直流電源装置の構成例を示す図であり、(a)は直流電源装置の構成と、交流電源と負荷との接続関係を示し、(b)はMOSFET(Q1,Q2)と寄生ダイオードの関連を示している。
図1の(a)において、直流電源装置100は、n型のMOSFET(Q1:第1のMOSFET)、n型のMOSFET(Q2:第2のMOSFET)、ダイオードD1(第1のダイオード)、ダイオードD2(第2のダイオード)、リアクトル12、平滑コンデンサ13、交流電源電圧検出回路11、直流出力電圧検出回路15、電流検出回路14、制御回路16によって構成されている。
直流電源装置100の機能、動作の概要は次のとおりである。
直流電源装置100は、前記のMOSFET(Q1,Q2)とダイオードD1,D2とによるブリッジ整流回路によって、交流電圧(電力)を直流電圧(電力)に整流し、平滑コンデンサ13によって、平滑化、安定化された直流電圧(電力)を出力する。
また、リアクトル12と、交流電源電圧検出回路11と直流出力電圧検出回路15と電流検出回路14とによる電圧、電流の信号を基に制御回路16によってMOSFET(Q1,Q2)が所定の制御をされることによって、直流電源装置100は、昇圧動作をするとともに、所定の力率を確保する動作をする。
MOSFET(Q1)のソース電極とMOSFET(Q2)のドレイン電極が接続され、MOSFET(Q1)のドレイン電極は、直流出力電源の正極端子Epに接続され、MOSFET(Q2)のソース電極は、直流出力電源の負極端子Enに接続されている。
ダイオードD1のアノードとダイオードD2のカソードが接続され、ダイオードD1のカソードは正極端子Epに接続され、ダイオードD2のアノードは負極端子Enに接続されている。
平滑コンデンサ13の正極(もしくは一端)は正極端子Epに接続され、負極(もしくは他端)は負極端子Enに接続されている。
MOSFET(Q1)のドレイン電極とMOSFET(Q2)のソース電極は、リアクトル12を介して交流電源110の一端に接続されている。
ダイオードD1のアノードとダイオードD2のカソードは、交流電源110の他端に接続されている。
また、正極端子Epと負極端子Enとが直流電源装置100の直流出力電源の端子となっている。
また、平滑コンデンサ13の両端子、すなわち正極端子Epと負極端子Enは、負荷120に接続されて、負荷120に直流電圧(電力)を供給する。
なお、MOSFET(Q1,Q2)には、図1の(b)に示すように、ソース・ドレイン間に寄生ダイオードDpが、MOSFETの構造上、必然的に構成される。
この寄生ダイオードDpのpn接合面に形成される空乏層に蓄積される電荷によって、前記した、あるいは後記する逆回復電流が生じることになる。
この寄生ダイオードDpは、図1の(a)においては、記載を省略している。
また、寄生ダイオードDpの具体的な構成は、後記する。
再び、図1の(a)について説明する。
制御回路16は、交流電源110の交流電圧を交流電源電圧検出回路11と、平滑コンデンサ13の両端の直流出力電圧を検出する直流出力電圧検出回路15と、平滑コンデンサ13に充電する電流を検出する電流検出回路14と、からの入力信号を演算処理することによって、MOSFET(Q1、Q2)の駆動信号を出力する機能を備えている。
また、平滑コンデンサ13の負極から流出する電流は、ダイオードD2を通して交流電源110に戻る。すなわち、全波整流回路を構成している。
この際、前記のpn接合を通して流れている側のMOSFET(Q1)のゲートにオン信号を与えれば、pn接合層にMOSFETとしてのチャネル(n)が形成されてソースからドレインの方向、即ち、MOSFET(Q1)の逆方向電流を流すことができる。
なお、「逆方向電流」と表記したのはn型のMOSFETは、通常、ドレインからソースに電流を流すものであり、ソースからドレインに流すことは、逆方向に相当するからである。
交流電源110のリアクトル12に接続される側の電圧が高い場合、MOSFET(Q2)をオン(ON)状態にして、交流電源110をリアクトル12とMOSFET(Q2)とダイオードD2とを通して短絡し、リアクトル12にエネルギーを蓄積する。
そして、所定時間の経過後にMOSFET(Q2)をオフ(OFF)し、MOSFET(Q1)を通して(Q1の寄生ダイオードが導通)、平滑コンデンサ13に還流電流を供給(リアクトル12のエネルギーを放出)して電荷を充電する昇圧動作を行う。
この逆方向電流が流れているMOSFET(Q1)にオン信号を与えれば、MOSFET(Q1)のpn接合層にMOSFETとしてのチャネル(n)が形成されてソースからドレインの方向、すなわち、MOSFET(Q1)の逆方向に効率よく還流電流を流すことができる。
ただし、交流電源110の半周期内で複数回、MOSFET(Q1)とMOSFET(Q2)を相補的にオン/オフ(ON/OFF)動作を繰返す場合には、例えば特許文献1のような従来技術では、MOSFET(Q1)にオン信号を印加して逆方向電流が流れている状態で、次のスイッチング動作(Q1をオフ、Q2をオン)をおこなう場合、平滑コンデンサ13に蓄えられた電荷がMOSFET(Q1)とMOSFET(Q2)を通して短絡されて過大な電流(逆回復電流)が逆回復時間の間、流れてQ1またはQ2が破壊するか、あるいは効率が低下するという問題が起こる。
そのため、本実施形態では、以下に説明するような構成、構造をとる。
さらに、リアクトル12で電源短絡する側のMOSFETがオンする所定時間前に逆方向電流が流れている側のMOSFETをオフするようにした。この構成により、交流電源の半周期に複数回、MOSFET(Q1)をオフ、MOSFET(Q2)をオンしたとき、あるいはMOSFET(Q2)をオフ、MOSFET(Q1)をオンしたときに発生する過大な電流を抑制することが可能である。
本発明の第1実施形態に係るMOSFETの構造を、図2に示すMOSFET素子の断面図を参照して説明する。
図2は、図1において用いたMOSFET(Q1,Q2)の断面の構造例を示す図であり、(a)はMOSFETの断面構造を示し、(b)はMOSFETのソースとゲート付近の構造を拡大して示している。
図2で示したMOSFETは、縦型の構造のMOSFETである。以下においても縦型の構造のMOSFETを単にMOSFETと表記する。
図2の(a)および(b)において、MOSFET200は、MOSFETの一方の面(紙面の上部)にソース電極211とゲート電極212を備え、他方の面(紙面の下部)にドレイン電極213を備えている。
ゲート電極212は、金属電極であるゲート電極21Gに接続されている。ゲート電極21Gの直下(紙面の下方向)には絶縁膜(絶縁層)28を介して、n+型半導体層26とp型半導体層25とn型半導体層22とでn型のMOSFETが部分的に構成されている。
すなわち、ゲート電極21Gが閾値を超えて高電位(Hレベル)になると、p型半導体層25に、電子が誘起されて、p型を形成する不純物原子の影響を凌駕し、p型半導体層25がn型に反転する。つまりチャネル(n)が形成される。そのため、n+型半導体層26とn型の反転層(25)とn型半導体層22とがすべてn型で並ぶことになるので、導通(オン、ON)することになる。
また、n+型半導体層26は前記したように、金属電極21Sを介してソース電極211に接続しており、またn型半導体層22は、n+型半導体層24を介してドレイン電極213に接続されている。
なお、p+型半導体層27は、p型半導体層25よりも、p型とする3価の不純物元素の濃度が高い。また、n+型半導体層26は、n型半導体層22よりも、n型とする5価の不純物元素の濃度が高い。
すなわち、ゲート電極21Gが高電位になるにつれ、p型半導体層25、および、p型半導体層23がn型に反転する領域が広がり、このn型に反転した領域とn型半導体層22との接触面積が広がるにつれ、MOSFETのオン抵抗は小さくなって良好に導通する。
なお、ソース電極211は、金属電極21Sを介してp+型半導体層27に接続され、p+型半導体層27はp型半導体層25に接し、p型半導体層25はp型半導体層23に接している。
また、ドレイン電極213は、n+型半導体層24に接続され、n+型半導体層24はn型半導体層22に接している。
そして、p型半導体層23とp型半導体層25は、n型半導体層22に接している。
以上の構成から、ソース電極211−金属電極21S−p+型半導体層27−p型半導体層25−p型半導体層23−n型半導体層22−n+型半導体層24−ドレイン電極213の構造によって、ソース電極211とドレイン電極213との間に存在する寄生ダイオードDpとなる。
また、前記のp型半導体層23−n型半導体層22におけるpとnとの接触面が、ソース電極211とドレイン電極213との間に存在する寄生ダイオードDpの根源となる。
なお、p型半導体層25とp型半導体層23とは、製造工程に差異があるが、p拡散の不純物濃度は略等しい。
図2に示すn型のMOSFET200は、n型半導体層22(ドリフト領域)と表記した領域の材質の導体基板(ウェハー)を基に製造工程が構成される。
このMOSFETの半導体のドリフト領域において、紙面の左右方向(ドレイン・ソース方向に対して垂直方向)にp型半導体層23とn型半導体層22を交互に配置した構造(スーパージャンクション構造)を有している。
前記の構造を有するMOSFET200のドレイン電極213とソース電極211間に順方向電圧を加えるとn型半導体層22に広がる空乏層に、紙面の上下方向に均一な電界強度が得られるため高耐圧となる。
なお、p型半導体層23とn+型半導体層24との間隔は、耐圧が低下しない程度の距離を確保する。
また、ドリフト領域のn型半導体層22のキャリア濃度を低くできるのでオン抵抗の小さいMOSFETが実現できる。
また、前記のように、p型半導体層23とn型半導体層22を交互に配置した構造をとっており、MOSFET200としてのドレイン・ソース間の対抗面積が広くなっているので、オン抵抗の小さいMOSFETが実現できる。
ただし、p型半導体層23に重金属を拡散させるか、あるいは、重粒子などの粒子線を照射して、pn接合部の逆回復時間を短縮する。これは、p型半導体層23内に重金属や重粒子があると、p型半導体層23に新たなエネルギー準位が設けられて、電子や正孔の移動が速やかに行われるためである。
次に、MOSFETの逆回復時間について説明する。
以下においては、n型のMOSFETの場合について説明するが、p型のMOSFETの場合にはソースとドレインに流れる電流が逆になるだけで同様に考えることができる。
また、ゲート電圧が閾値以下である場合をオフ状態、ゲート電圧が閾値以上のオン状態と呼称することにする。
また、n型のMOSFETは、前記したようにソースからドレイン方向にpn接合(寄生ダイオードDp)を備えており、逆方向電圧が印加されたときにMOSFETがオフ状態にあれば、ソースからドレインに電流が流れるが、この電流を逆方向電流と呼称する。
逆方向電流が流れている状態で、MOSFETに順方向電圧が印加されたとき、pn接合の電荷が排出されることによりドレインからソース方向に流れる電流を逆回復電流と呼称する。また、電流が流れる時間を逆回復時間という。
また、MOSFETに順方向電圧が印加するときには同時にゲート電圧を閾値以下としてオフ状態にする。
また、MOSFET(Q1,Q2)に、逆方向電流が流れている状態で順方向電圧を印加したとき、逆方向電流から順方向電流に電流の流れる方向が変わるが、ゲート電圧を閾値以下にしているので、電流は遮断される。
しかし、電流遮断までには時間遅れが生じるので、ドレインからソース方向に電流が流れるが、この電流を逆回復電流、電流が流れる時間を逆回復時間ということにする。
本(第1)実施形態の直流電源装置の構成では、MOSFETの逆回復時間が回路効率に大きく影響を及ぼす。
高効率の直流電源装置を実現するためには、ゲート電圧を印加しないMOSFETがオフ状態のときの逆回復時間と、これに対して逆方向電圧から順方向電圧に切替わると同時にMOSFETのゲート信号をオン信号からオフ信号に切替えたときに生じる逆回復時間とを比較することが有効である。
図3は、本発明の第1実施形態に係るMOSFETのゲート電圧印加時の逆回復時間を測定する測定回路を示す図であり、(a)はゲート信号同時切替時の逆回復時間を測定する回路例を示し、(b)は逆回復時間測定時のGate信号1とGate信号2と逆方向電流の波形を示している。
図3の(a)において、測定回路は、直流電源31の両極に逆回復時間を測定する供試品であるn型のMOSFET(Q1)と、MOSFET(Q1)に逆電圧を印加するためのMOSFET(Q2)を直列に接続し、MOSFET(Q1)に電流を通流するリアクトル12により構成されている。
所定の逆方向電流までリアクトル12の電流が上昇したらMOSFET(Q2)をオフして供試品としてのMOSFET(Q1)に還流電流を流す(図3の(b)の初めの状態)。
その後、図3の(b)に示すように、Gate信号1の電圧を立ち下げる信号をMOSFET(Q1)に、Gate信号2の電圧を立ち上げる信号をMOSFET(Q2)に、それぞれ加えて、MOSFET(Q1)をオフし、MOSFET(Q2)をオンする。
MOSFET(Q2)がオンすることによって、MOSFET(Q2)のドレイン電極とMOSFET(Q1)のソース電極は低電位となり、MOSFET(Q1)のソース・ドレイン間の電圧は逆方向電圧から順方向電圧に切替わる。
このときにMOSFET(Q1)に流れる逆方向電流Isdは、図3の(b)に示す波形となり、逆方向電流Isdが負の方向、即ちドレインからソースに流れる順方向電流が流れている期間が逆回復時間td1である。
図4は、本発明の第1実施形態に係るMOSFETのゲート信号オフ状態保持時の逆回復時間を測定する測定回路を示す図であり、(a)は供試品のMOSFET(Q1)のゲート信号オフ状態保持時の逆回復時間を測定する回路を示し、(b)は逆回復時間測定時のGate信号1とGate信号2と逆方向電流の波形を示している。
図4の(a)において、測定回路は、前記の図3(a)に示す回路に比べて、供試品のMOSFET(Q1)のゲート−ソース間を低抵抗で短絡していること、および図3(b)の逆回復時間の測定に際して、供試品にゲート信号をオフ状態に保持することを除いて、図3の(a)と同様である。なお、ゲート−ソース間に低抵抗を備えたのは、測定の際のノイズの影響を低減するためである。
その後、図4(b)に示すように、Gate信号2の電圧を立ち下げるが、Gate信号1の電圧を立ち上げない。
このときMOSFET(Q2)はオンするが、MOSFET(Q1)はオフ状態のままである。
このときに供試品のMOSFET(Q1)に流れる逆方向電流Isdは図に示す波形となり、逆方向電流Isdが負の方向、即ちドレインからソースに流れる順方向電流が流れている期間が逆回復時間td2である。
この逆回復時間td1と逆回復時間td2との差は、図3の(b)においては、Gate信号2がLレベルからHレベルに変わる直前まで、Gate信号1がHレベルであったこと、すなわちMOSFET(Q1)が直前までオンしていたことである。
これに対して、図4の(b)においては、Gate信号2がLレベル(低電位)からHレベル(高電位)に変わる前後において、Gate信号1がLレベルを保っていたことである。
本(第1)実施形態の直流電源装置100は、MOSFETに逆方向電流が流れるときにゲートに電圧を印加しない場合のpn接合層に発生する電圧降下よりもゲートに電圧を印加して電流を流したときのオン抵抗による電圧降下が低いことを利用するものである。
そのため、交流電源110の半周期の期間に複数回、2つのMOSFET(Q1,Q2)のうち一方が逆方向電流を通電しているときに、他方のMOSFET(Q1,Q2)がオンするときには逆回復電流の発生は回避できない。
そこで、本実施形態では、MOSFETのオン信号をオフ信号の切替えと同時にMOSFETに印加される電圧が逆方向電圧から順方向電圧に切替えたときに生じる逆回復時間に比べてMOSFETをオフしているときの逆回復時間が短い特性を有するMOSFETを備える。
この構成と方法により、直流電源装置100の回路損失を低減できる。また、交流電源110の半周期内に連続的に流れるリアクトル12の電流を、前記の2つのMOSFETのどちらか一方に通電するようにオン/オフする動作を複数回繰返すことができる。
第1実施形態の直流電源装置100(図1)の動作を、図5を参照して説明する。
図5は、図1に示す直流電源装置の電圧、電流波形と制御信号を示す図である。
図5において、紙面の上段から順に、交流電源110(図1)の「交流電源波形」、リアクトル12(図1)の「リアクトル電流波形」、および制御回路16(図1)の各種の信号と制御信号である「電源同期信号」、「昇圧信号」、「遅延信号」、「前倒信号」、「Gate信号1」、「Gate信号2」を表記している。また、横軸は時間(時間の推移)である。
図5における交流電源波形511は、1周期分が記載されている。交流電源波形511が正の期間の半周期において、MOSFET(Q1,Q2)を駆動するGate信号1、Gate信号2をオン/オフする動作を3回(複数回)行っている。
このMOSFET(Q1,Q2)のオン/オフ動作により、リアクトル12(図1)のリアクトル電流波形513A(513B)は、鋸波状になっている。
交流電源波形が正の期間の半周期の各信号の生成について説明する。
図5において、電源同期信号Aは、交流電源の電圧を検出する交流電源電圧検出回路11の出力から得られた交流電源の位相情報から生成される。
昇圧信号B1,B2,B3(B4,B5,B6)は、直流出力電圧を検出する直流出力電圧検出回路15と平滑コンデンサ13に充電電流を検出する電流検出回路14の情報から生成される。
昇圧信号B1,B2,B3によって、交流電源110を、リアクトル12を通して短絡する側のMOSFET(Q2)を駆動するGate信号2(C1,C2,C3)をHレベルとして生成する。
また、前倒信号E2,E3は、昇圧信号B2,B3がそれぞれオンする所定の時間前に生成される。
平滑コンデンサ13(図1)に電流を供給する側のMOSFET(Q1)を駆動するGate信号1(F1,F2,F3)は、Gate信号2(C1,C2,C3)がLレベル(Low電位、低電位)の区間において、遅延信号(G1,G2,G3)と前倒信号E2,E3がHレベルでない区間(すなわちLレベルの区間)において、Hレベルとなるように生成される。
また、Gate信号2(C2,C3)を、Gate信号1(F1,F2)がLレベルになってから前倒信号E2,E3の所定の時間の分だけ遅らせた後で、Hレベルとするのは、Gate信号1(F1,F2)がHレベルであったことの影響(逆回復時間がtd1)を避けるためである。
このように、Gate信号1(F1,F2,F3)とGate信号2(C1,C2,C3)との間で互いにHレベルとなる間に所定の時間を設けることにより、逆回復時間をtd2として、逆回復時間を短くすることができる(td2<td1)。
なお、遅延信号(G1,G2,G3)と前倒信号(E2,E3)の時間幅は略等しい。
交流電源波形が負の期間の半周期の各信号の生成について、図5を参照して説明する。なお、正の期間の半周期と重複する説明は適宜、省略する。
図5に示す交流電源波形が負の期間の半周期において、電源同期信号AはLレベルである。この区間においては、昇圧信号B4,B5,B6によって、MOSFET(Q1)を駆動するGate信号1(F4,F5,F6)をHレベルとして生成する。
また、前倒信号E5,E6は、昇圧信号B5,B6がそれぞれオンする所定の時間前に生成される。
MOSFET(Q2)を駆動するGate信号2(C4,C5,C6)は、Gate信号1(F4,F5,F6)がLレベルの区間において、遅延信号(G4,G5,G6)と前倒信号E5,E6がHレベルでない区間(すなわちLレベルの区間)において、Hレベルとなるように生成される。
また、Gate信号1(F5,F6)を、Gate信号2(C4,C5)がLレベルになってから前倒信号E5,E6の所定の時間の分だけ遅らせた後で、Hレベルとするのは、Gate信号2(C4,C5)がHレベルであったことの影響(逆回復時間がtd1)を避けるためである。
このように、Gate信号1(F4,F5,F6)とGate信号2(C4,C5,C6)との間で互いにHレベルとなる間に所定の時間を設けることにより、逆回復時間をtd2として、逆回復時間を短くすることができる(td2<td1)。
なお、遅延信号(G4,G5,G6)と前倒信号(E5,E6)の時間幅は略等しい。
ダイオードD1,D2においても逆回復時間は存在するが、第1、第2のMOSFETの逆回復時間td1(図3)、td2(図4)よりも長くとも直流電源装置100(図1)の動作に支障はなく、効率も低減しない。そのため、ダイオードD1,D2は、比較的に安価なダイオードを用いることができる。
また、前倒信号によるGate信号をオフするタイミングの作成方法は、昇圧信号をオンするタイミングをディジタル演算によって行う方式の場合において、ディジタル演算によって前倒信号に相当する時間を減算すれば昇圧信号より早い時刻で変化するGate信号を作成できる。
また、昇圧信号をオンするタイミングを変調波と被変調波を比較して行うアナログ方式の場合において、いずれかの変調信号に所定のオフセット量を加算または減算すればよい。
この3回オン/オフのスイッチング動作(3ショット)を行った場合の波形がリアクトル電流波形513A、513Bであるが、この場合、リアクトル12における電圧と電流における力率は85%程度である。
なお、スイッチング回数は、3回に限定されたものではない。
3回より多い複数回繰返した場合や、スイッチング周波数を、可聴周波数を超える例えば15kHz以上の周波数でスイッチングを行った場合にも本構成で実現できる。
スイッチングの回数(ショット数)を増やすことにより、リアクトル12に流れる交流電源の電流は正弦波により近づけることができるので、高調波電流を抑制することができて、力率を改善できる効果がある。なお、スイッチングの回数(ショット数)が4回の場合においては、力率は95%程度に達する。
また、スイッチングを15kHz以上の周波数で行えば、力率は100%に近づき、リアクトル電流波形513A,513Bは限りなく正弦波形に近づくとともに、直流電源装置100(図1)が、このスイッチング動作によって発生するノイズは、可聴周波数を超える15kHz以上となるので、人間には感知できない領域のノイズとなる。
そのため、リアクトル12に流れる電流の波形は、前記の動作によっては歪まないので、逆方向電流側のスイッチング動作の影響をうけることは無く、これによる交流電源の電流歪みは発生しない。
前記に述べた制御を制御回路16に備えれば、2つのMOSFET(Q1,Q2)のうち、リアクトル12と、ダイオードD1またはダイオードD2とを通して交流電源110を短絡する側のMOSFET(Q1,Q2)がオフしてから所定時間経過後に直流出力電源の平滑コンデンサ13に流れる側のMOSFET(Q1,Q2)をオンし、リアクトル12がダイオードD1またはダイオードD2を通して交流電源を短絡する側のMOSFET(Q1,Q2)をオンする所定時間前に平滑コンデンサ13に流れる側のMOSFET(Q1,Q2)を、オフする動作を交流電源110の半周期の期間内に複数回繰返すことができる。
次に。第1実施形態で用いるMOSFETがオン/オフ動作を行うスイッチング動作時の電流経路について説明する。
なお、換言すれば、MOSFET(Q2)がリアクトル12とダイオードD2とを通して交流電源110を短絡する。このときMOSFET(Q1)が平滑コンデンサ13に電流を通流する側のMOSFETとなる。
なお、別の半周期、すなわち交流電源110の電圧がリアクトル12に接続する側の方が、電位が低いときには、MOSFET(Q1)がリアクトル12とダイオードD1とを通して交流電源110を短絡することになる。このときMOSFET(Q2)が平滑コンデンサ13に電流を通流する側のMOSFETとなる。
また、交流電源の半周期の間、ダイオードD1またはD2は通電状態にありスイッチングによる急激な電圧の変化は発生しない。したがって、逆回復時間はMOSFETより遅い一般的な整流ダイオードでよい。
また、本実施形態では、ダイオードの逆回復時間が、MOSFETをオフしたときの逆回復時間より長いことを特徴とするダイオードを備えている。このため、より安価な直流電源装置100(図1)を提供できる効果がある。
本発明の第2実施形態の直流電源装置を、図を参照して説明する。
図7は、本発明の第2実施形態に係る直流電源装置100Bの構成例を示す図であり、(a)は直流電源装置の構成と、交流電源と負荷との接続関係を示し、(b)はMOSFET(Q1,Q2,Q3,Q4)の制御信号と関連する各信号を示している。
また、MOSFET(Q3,Q4)は、制御回路16によって制御される。
図7の(a)の他の構成は、図1の(a)の構成と同じであるので重複する説明は省略する。
また、図7の(b)において、図5と異なるのは、Gate信号3とGate信号4が示されていることである。また、図5のリアクトル電流波形513A、513B、512は、図7の(b)においては記載を省略している。
図7の(b)の他の記載は、図5の記載と同じであるので重複する説明は省略する。
また、MOSFET(Q4)のゲートの制御信号は、図7の(b)におけるGate信号4に示すように、交流電源波形511が正の期間の半周期においてはHレベルであり、交流電源波形511が負の期間の半周期においてはLレベルである。
また、MOSFET(Q1)とMOSFET(Q2)は、図7の(b)に示すように、それぞれGate信号1、Gate信号2によって、図5と同様に制御される。
図7の(a)における、Gate信号3、Gate信号4によって、それぞれ制御されるMOSFET(Q3)とMOSFET(Q4)は、図1の(a)のダイオードD1とダイオードD2にそれぞれ相当する。MOSFET(Q3,Q4)は、ダイオードD1,D2が有している順方向電圧降下に相当するものがなく、また抵抗値も低くすることができるので、整流回路として回路効率が高いという効果がある。
また、MOSFET(Q3,Q4)は、MOSFET(Q1,Q2)のような昇圧のためのスイッチング動作をしないので、寄生ダイオードによる逆回復時間が長いことによる影響は少ない。そのため、MOSFET(Q3,Q4)は、MOSFET(Q1,Q2)よりも低コストのMOSFETを使用することができる。
本発明の第3実施形態の空気調和機について説明する。第3実施形態は、第1実施形態の直流電源装置を搭載した空気調和機である。
図8は、本発明の第3実施形態に係る空気調和機300の構成例を示す図である。
図8において、空気調和機300は、第1実施形態の直流電源装置100(図1)に、インバータ回路81、圧縮機82、熱交換器83,85と減圧器84とを備えたものである。
インバータ回路81は、直流電源装置100(図1)の平滑コンデンサ13の出力部に接続され、直流電圧(電力)から3相交流電圧(電力)を生成している。
電動機(不図示)を備えた圧縮機82は、インバータ回路81の出力した3相交流電圧(電力)で動作する。
また、圧縮機82と熱交換器83と減圧器84と熱交換器85とによって、冷凍サイクルを構成する。
したがって、電源ブレーカ容量の限界まで電力を必要とするモードがあり、その際、交流側の力率が高い方が最大電力を取り出すことができる。
また、直流電源装置100は、直流出力電圧が高い方が電流を少なくすることができるので、圧縮機をより高速で回転することが可能であり、空気調和機300の最大冷凍能力を引き出せる。
本(第3)実施形態では、高力率で高出力電圧を高効率で直流電源装置100を実現できるので、この直流電源装置100を搭載した空気調和機300は、最大冷凍能力を引き出せる効果があり、消費電力の少ない空気調和機を実現できる効果がある。
12 リアクトル
13 平滑コンデンサ
14 電流検出回路
15 直流出力電圧検出回路
16 制御回路
100,100B 直流電源装置
110 交流電源
120 負荷
22 n型半導体層
23,25 p型半導体層
24,26 n+型半導体層
27 p+型半導体層
28 絶縁膜(絶縁層)
200,Q1,Q2,Q3,Q4 MOSFET
21S,21G 金属電極
211 ソース電極
212 ゲート電極
213 ドレイン電極
31 直流電源
300 空気調和機
81 インバータ回路
82 圧縮機
83,85 熱交換器
84 減圧器
D1,D2,Dp ダイオード
Claims (5)
- 直流出力電源の正極端子と負極端子との間に直列接続された第1、第2のMOSFETおよび前記正極端子と負極端子の間に直列接続された第1、第2のダイオードを有するブリッジ整流回路と、
交流電源の一端と前記第1、第2のMOSFETの直列接続点との間に接続されたリアクトルと、
前記直流出力電源の正極端子と負極端子の間に接続された平滑コンデンサと、
前記交流電源の半周期内に、前記リアクトルに流れる電流を前記第1、第2のMOSFETのどちらか一方に通電する動作を複数回繰り返すように前記第1、第2のMOSFETをオン/オフさせる制御回路と、
を備え、
前記交流電源の他端が前記第1、第2のダイオードの直列接続点に接続され、
各前記第1、第2のMOSFETは、MOSFETへの印加電圧が逆方向電圧から順方向電圧に切替わる際にMOSFETのゲート信号をオン信号からオフ信号に切替えたときの逆回復時間に比べて、MOSFETへの印加電圧が逆方向電圧から順方向電圧に切替わる際にMOSFETのゲート信号をオフ信号に保ち続けているときの逆回復時間が短く、
前記第1、第2のダイオードの逆回復時間が、前記第1、第2のMOSFETのゲート信号をオン信号からオフ信号に切替えたときの逆回復時間よりも長く、
前記制御回路は、前記第1、第2のMOSFETのうち、前記リアクトルとダイオードとを通して前記交流電源を短絡する側のMOSFETをオフし、さらに所定時間経過後に、前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオンし、前記リアクトルがダイオードを通して交流電源を短絡する側のMOSFETをオンする所定時間前に前記平滑コンデンサに通流する側のMOSFETをオフする動作を、前記交流電源の半周期内に複数回繰返す、
ことを特徴とする直流電源装置。 - 直流出力電源の正極端子と負極端子との間に直列接続された第1、第2のMOSFETおよび前記正極端子と負極端子の間に直列接続された第1、第2のダイオードを有するブリッジ整流回路と、
交流電源の一端と前記第1、第2のMOSFETの直列接続点との間に接続されたリアクトルと、
前記直流出力電源の正極端子と負極端子の間に接続された平滑コンデンサと、
前記交流電源の半周期内に、前記リアクトルに流れる電流を前記第1、第2のMOSFETのどちらか一方に通電する動作を複数回繰り返すように前記第1、第2のMOSFETをオン/オフさせる制御回路と、
を備え、
前記交流電源の他端が前記第1、第2のダイオードの直列接続点に接続され、
各前記第1、第2のMOSFETは、MOSFETへの印加電圧が逆方向電圧から順方向電圧に切替わる際にMOSFETのゲート信号をオン信号からオフ信号に切替えたときの逆回復時間に比べて、MOSFETへの印加電圧が逆方向電圧から順方向電圧に切替わる際にMOSFETのゲート信号をオフ信号に保ち続けているときの逆回復時間が短く、
前記第1、第2のダイオードの逆回復時間が、前記第1、第2のMOSFETのゲート信号をオン信号からオフ信号に切替えたときの逆回復時間よりも長く、
前記リアクトルとダイオードを通して前記交流電源を短絡する側のMOSFETの駆動信号のパルス幅は、前記リアクトルに流れる電流と電圧との力率が85%以上となるように変調される、
ことを特徴とする直流電源装置。 - 直流出力電源の正極端子と負極端子との間に直列接続された第1、第2のMOSFETおよび前記正極端子と負極端子の間に直列接続された第1、第2のダイオードを有するブリッジ整流回路と、
交流電源の一端と前記第1、第2のMOSFETの直列接続点との間に接続されたリアクトルと、
前記直流出力電源の正極端子と負極端子の間に接続された平滑コンデンサと、
前記交流電源の半周期内に、前記リアクトルに流れる電流を前記第1、第2のMOSFETのどちらか一方に通電する動作を複数回繰り返すように前記第1、第2のMOSFETをオン/オフさせる制御回路と、
を備え、
前記交流電源の他端が前記第1、第2のダイオードの直列接続点に接続され、
各前記第1、第2のMOSFETは、MOSFETへの印加電圧が逆方向電圧から順方向電圧に切替わる際にMOSFETのゲート信号をオン信号からオフ信号に切替えたときの逆回復時間に比べて、MOSFETへの印加電圧が逆方向電圧から順方向電圧に切替わる際にMOSFETのゲート信号をオフ信号に保ち続けているときの逆回復時間が短く、
前記第1、第2のダイオードの逆回復時間が、前記第1、第2のMOSFETのゲート信号をオン信号からオフ信号に切替えたときの逆回復時間よりも長く、
前記リアクトルとダイオードを通して前記交流電源を短絡する側のMOSFETの駆動信号は、3ショット以上である、
ことを特徴とする直流電源装置。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、
前記第1、第2のMOSFETは、スーパージャンクション構造を有し、該スーパージャンクション構造におけるp型半導体層に、重金属が拡散されているか、または重粒子の粒子線が照射されている、
ことを特徴とする直流電源装置。 - 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の直流電源装置を備えることを特徴とする空気調和機。
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