以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、「略**」との記載は、「略矩形状」を例に挙げて説明すると、完全な矩形状はもとより、実質的に矩形状と認められるものを含む意図である。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
また、以下の実施の形態で説明に用いられる図面においては座標軸が示される場合がある。Z軸のマイナス側が床面側、Z軸のプラス側が天井側を表している。また、X軸方向及びY軸方向は、Z軸方向に垂直な平面上において、互いに直交する方向である。X−Y平面は、照明装置が備える光拡散部材に平行な平面である。例えば、以下の実施の形態において、「平面視」とは、Z軸方向から見ることを意味する。また、例えば、以下の実施の形態において、「断面視」とは、切断線を含む面で切断された照明装置を切断された面に対して垂直方向側から見ることを意味している。例えば、Y軸とZ軸とで規定された平面(切断線で切断された面の一例)で切断された場合、断面視とは当該断面をX軸方向側から見ることを意味している。
(実施の形態)
以下、本実施の形態に係る照明装置について、図1〜図6を参照しながら説明する。本実施の形態に係る照明装置は、ユーザに室内から窓を通して空を見るような感覚を疑似体験させるための装置である。例えば、照明装置は屋内に設置され、屋内の窓から自然の空(例えば、青空又は夕焼けなど)を模した光(以降、疑似屋外光と記載する)を疑似的に演出する。なお、本実施の形態では、照明装置は天井(造営材の一例)に埋め込まれている場合について説明する。また、本願明細書中では、可視光を、単に光を記載する場合がある。
[1.照明装置の構成]
まず、本実施の形態に係る照明装置の構成について、図1〜図3を参照しながら説明する。図1は、本実施の形態に係る照明装置1の外観を示す斜視図である。図2は、本実施の形態に係る照明装置1の筐体10を除いた外観を示す斜視図である。図3は、本実施の形態に係る照明装置1の分解斜視図である。
図1〜図3に示すように、照明装置1は、筐体10と、発光モジュール20と、光反射部材30と、光拡散部材40と、制御部50と、電源部60とを備える。
筐体10は、発光モジュール20と、光反射部材30と、光拡散部材40と、制御部50と、電源部60とを収容する収容体である。
図1に示すように、筐体10は、扁平な箱体であり、平面視で略矩形状をなしている。なお、筐体10の形状は、略矩形状に限らず、略円形状、略多角形状、略半円状等の形状でもよく、形状は特に限定されない。
筐体10は、収容部11と、枠部12とを有する。
収容部11は、発光モジュール20と、光反射部材30と、光拡散部材40と、制御部50と、電源部60とを収容する扁平な箱体である。なお、制御部50及び電源部60は収容部11に収容されていなくてもよく、例えば筐体10の外側に配置されていてもよい。収容部11は、床面側(Z軸マイナス側)の面(以降、底面と記載する)に開口(以降、第1の開口と記載する)を有しており、当該第1の開口を覆うように光拡散部材40が収容される。つまり、第1の開口の大きさは、光拡散部材40に対応した大きさである。本実施の形態では、第1の開口の平面視における形状は、略矩形状である。
枠部12は、平面視で略矩形状をなした環状(枠状)の部材であり、収容部11の底面の端縁に配置される。言い換えると、収容部11の第1の開口を囲むように、枠部12は収容部11の底面に配置される。そのため、照明装置1を平面視した場合、枠部12の開口(以降、第2の開口と記載する)と第1の開口とは、略同一の形状となる。本実施の形態では、第2の開口の形状は第1の開口の形状と同じ略矩形状である。
光拡散部材40から出射された光は、当該第2の開口を通過する。なお、枠部12の形状は、光拡散部材40から出射される光を通過できれば略矩形状に限らず、略円形状、略多角形状、略半円状等の形状でもよく、形状は特に限定されない。例えば、枠部12は、平面視において、外郭が収容部11と同じ形状でもよい。
枠部12は、底面部12aと、立ち上がり部12bとを有する。照明装置1は、例えば、底面部12aが天井面と面一となるように天井に埋め込まれる。つまり、底面部12aは、ユーザから見ることができる面である。そのため、底面部12aは、天井面と違和感なくデザインされるとよい。例えば、底面部12aは、天井面の模様又は窓枠を模したデザインであってもよい。なお、天井面は造営材の設置面の一例である。
立ち上がり部12bは、底面部12aの第2の開口側の端部から床面とは逆側(Z軸プラス側の方向)に向かって略鉛直に形成されている。もし、立ち上がり部12bが形成されておらず、光拡散部材40が天井と面一で配置されている場合、ユーザは天井が薄い板(例えば、光拡散部材40の厚み程度の薄い板)に見えてしまい、建築物である窓としてのリアリティを感じることが困難となる。そのため、本実施の形態では、よりリアリティのある窓を模擬する観点から、立ち上がり部12bが設けられる。例えば、立ち上がり部12bの高さ(Z軸方向の長さ)は、ユーザが照明装置1が埋め込まれた天井に板厚を感じることができる程度の高さである。例えば、立ち上がり部12bの高さは、30mm以上であり、屋根から天井までの厚みと同程度であってもよい。
筐体10は、例えば金属材料又は高い熱伝導性を有する非金属材料によって構成される。高い熱伝導性を有する非金属材料とは、例えば、熱伝導率が高い樹脂(高熱伝導性樹脂)などである。筐体10として熱伝導性の高い材料を用いることで、発光モジュール20が発する熱を、筐体10を介して外部に放熱することができる。なお、収容部11と枠部12とは、それぞれ別の材料で構成されていてもよい。
なお、立ち上がり部12bには、光拡散部材40から出射された光の一部が入射する。当該光を有効に利用するため、立ち上がり部12bは光反射性を有する材料で構成されるとよい。立ち上がり部12bは金属材料又は光反射率の高い材料で構成されるとよい。例えば、立ち上がり部12bは、硬質の樹脂材料を用いて形成され、銀又はアルミニウムなどの金属材料からなる金属蒸着膜(金属反射膜)が形成されていてもよい。
なお、収容部11と枠部12とが一体的に形成され筐体10を構成してもよいし、収容部11と枠部12とは別体であり、収容部11と枠部12とを接着することで筐体10を構成してもよい。
図2に示すように、発光モジュール20は、表示像を形成するための疑似屋外光を出射する光源である。発光モジュール20は、光反射部材30の光拡散部材40とは逆側の端部(Z軸プラス側の端部)に固定される。また、図3に示すように、発光モジュール20は、基板21と基板21に実装された複数の発光素子22とで構成されている。
基板21は、複数の発光素子22を実装するためのプリント配線基板であり、略矩形状に形成されている。基板21としては、例えば、樹脂をベースとする樹脂基板、金属をベースとするメタルベース基板、セラミックからなるセラミック基板等を用いることができる。
基板21の床面側の面には、可視光を吸収するために黒塗装により光吸収層が配置されている。これは、本実施の形態に係る照明装置1のように、ユーザが照明装置1を直視することで表示像を再現する照明装置の場合、照明装置1が点灯してないときに外光が入射しても当該照明装置が黒く見えることが好まれる場合があるためである。言い換えると、直視する照明装置の場合、照明装置が点灯しているときと点灯していないときとで、コントラスト比が高いことが好まれる場合がある。基板21の床面側の面に光吸収層が配置されていることで、照明装置1が点灯していないときに床面側から照明装置1に外光が入射しても、当該外光を基板21の床面側の面で吸収することができる。言い換えると、照明装置1に入射した外光は、基板21により反射されない。これにより、照明装置1が点灯していないときは、照明装置1は黒く見える。なお、黒く見えるとは、照明装置1が真っ黒であること及び照明装置1が点灯していないと認識できる程度に暗いことを含む意図である。また、外光とは、照明装置1が出射する光以外の光であり、例えば、太陽光や照明光などである。また、黒塗装は、例えば、基板21に発光素子22が実装される前に行われる。
なお、基板21の床面側の面に光吸収層が配置されている例について説明したが、これに限定されない。例えば、基板21の床面側の面には、光反射層が配置されていてもよい。例えば、基板21の床面側の面には、入射した光を鏡面反射する鏡面反射層が配置されていてもよい。基板21の床面側の面に鏡面反射層が配置されていることで、発光モジュール20から出射され光拡散部材40で反射された光を、さらに光拡散部材40側に反射することができるので、光反射部材30で反射された光を表示像を形成するために有効に利用できる。
発光素子22は、LED(Light Emitting Diode)素子で構成されている。本実施の形態では、発光素子22は、青色光、緑色光及び赤色光(つまり、光の3原色)を発光するRGBタイプのLED素子である。なお、発光素子22は、RGBタイプのLED素子に限定されない。例えば、青色光、緑色光、赤色光及び白色光を発光するRGBWタイプのLED素子であってもよいし、青色光及び白色光を発光するLED素子であってもよい。また、それ以外のLED素子であってもよい。発光素子22は、基板21の床面側の面に複数配置されている。例えば、複数の発光素子22は、基板21の床面側の面に、行列状に配置されている。例えば、複数の発光素子22はそれぞれ、等間隔ごとに配置されている。
なお、LED素子は、SMD(Surface Mount Device)型のLED素子であってもよいし、COB(Chip On Board)型のLED素子であってもよい。
また、図示しないが、基板21には、制御部50からの制御信号を伝送するための配線である制御線及び電源部60からの電力を供給するための配線である電力線が形成されている。例えば、制御線及び電力線は、複数の発光素子22のそれぞれを直列に接続するように形成されている。複数の発光素子22のそれぞれは、電力線を介して電源部60から電力の供給を受け、制御線からの制御信号に基づいて所定の光を発する。本実施の形態では、発光素子22はRGBタイプのLED素子であることから、青色光、緑色光及び赤色光の明るさを調整することで様々な色の光を出射することができる。これにより、発光素子22は、例えば、青空、曇り空、夕焼けなどを模した疑似屋外光を出射することができる。
図3に示すように、光反射部材30は、複数の発光素子22を囲むように配置され、発光素子22から出射された光に対して反射性を有する光学部材である。つまり、光反射部材30は、発光素子22から出射され光反射部材30に入射した光を反射する。具体的には、光反射部材30は、発光素子22から光反射部材30の内面(言い換えると、光反射部材30の発光素子22側の面)に入射した光を、光拡散部材40側に反射する。
本実施の形態では、光反射部材30は、複数の発光素子22を囲む壁部31から構成されている。つまり、光反射部材30は、複数の発光素子22を囲む枠状の部材である。なお、光反射部材30の形状は枠状に限定されない。光反射部材30は複数の発光素子22を囲む壁部31を有していれば、形状は特に限定されない。なお、壁部31は例えば基板21に対して略直交するように配置される。例えば、壁部31の内面(図4の内面32参照)は基板21に対して略直交するように配置される。
ユーザは、発光素子22から出射され壁部31を介さずに光拡散部材40に入射した光が形成する表示像(以降、実像とも記載する)、及び、発光素子22から出射され壁部31で反射して光拡散部材40に入射した光が形成する表示像(以降、反射像とも記載する)で形成される表示像を見ることができる。言い換えると、実像と反射像とで1つの表示像が形成される。光反射部材30が形成されていない場合、表示像は実像のみで形成され、形成される表示像は基板21の大きさ程度となる。一方、実像と反射像とで表示像を形成する場合、基板21の大きさより広い表示像を再現することができる。例えば、無限に広がるような表示像(例えば、無限に広がるような青空)を再現することができる。さらに、光反射部材30を設けることで、より広い範囲の表示像を再現することができるので、基板21を小さくすることが可能となる。つまり、照明装置1を小型化できる。また、発光モジュール20に実装する発光素子22の数を減らすことが可能となる。
光反射部材30は、例えばアルミニウム(AI)などの金属材料で形成された鏡面を有する反射板に対して拡散処理を施すことで形成される。拡散処理とは、例えば、アルマイト処理などのつや消し処理である。なお、拡散処理は、少なくとも光反射部材30(壁部31)の内面に施されていればよい。
ここで、壁部31に拡散処理が施されている場合と、施されていない場合との光拡散部材40を介した表示像の見え方の違いについて、図4を参照しながら説明する。図4は、本実施の形態に係る光反射部材30の拡散処理の有無による表示像の見え方の違いを説明するための図である。具体的には、図4の(a)は、拡散処理が施されていない光反射部材30を用いている場合の光反射部材30で反射した光の見え方を説明するための図であり、図4の(b)は拡散処理が施されている光反射部材30を用いている場合の光反射部材30で反射した光の見え方を説明するための図である。
図4の(a)に示すように、拡散処理が施されていない壁部31、つまり鏡面を有する壁部31に入射した光は、鏡面反射される。上記でも説明したが、ユーザは、実像と反射像とを1つの表示像として見る。そのため、実像と反射像との差がわかりにくい方がよい。反射像が鏡像である場合、当該反射像と実像との明るさの連続性は維持されるが、反射像が鏡像であることがわかりやすくなる。つまり、空を模擬する効果が低下し、ユーザは表示像に違和感を感じやすくなる。
一方、図4の(b)に示すように、光反射部材30の内面32(本実施の形態では、壁部31の発光モジュール20側の面)にアルマイト処理が施されアルマイト処理層33が形成されている光反射部材30、つまり内面32に鏡面を有していない光反射部材30に入射した光は、拡散反射される。これにより、形成される反射像は少しボケた像となるので、ユーザは、反射像が鏡像であると認識しにくくなる。つまり、ユーザは表示像に違和感を感じにくくなる。この場合、光反射部材30は、壁部31とアルマイト処理層33とを有する。なお、アルマイト処理は拡散処理の一例であり、アルマイト処理層33は拡散層の一例である。
なお、光反射部材30に施される拡散処理には、白色処理は含まれない。光反射部材30が白色系反射板であると、白色系反射板で反射された光は略均質に光るため、例えば、反射像の空と雲との解像感が失われ、空を模擬する効果が低下してしまう。また、光反射部材30の内面32は、鏡面であってもよい。光反射部材30の内面32が鏡面である場合、上記でも説明したように、実像と反射像との明るさは連続性を有しており、光反射部材30が白色である場合に比べ違和感の少ない表示像を再現することができる。また、発光モジュール20から光反射部材30に入射した光を光拡散部材40側に全反射することができるので、発光モジュール20からの光のロスを低減することができる。
ここで、光反射部材30(壁部31)の高さ(Z軸方向の長さ)について説明する。例えば、光反射部材30の高さが低いと、発光素子22が粒状に見えてしまい、ユーザは表示像に違和感を感じやすくなる。一方、光反射部材30の高さが高いと発光素子22が粒状に見えることは抑制できるが、照明装置1が大型化してしまう。また、発光素子22が粒状に見えるか否かは、発光素子22が実装されるピッチ(後述する図5の距離d1参照)、及び、光拡散部材40のヘイズ値にも影響を受ける。言い換えると、発光素子22が粒状に見えないように、光反射部材30の高さ、発光素子22が実装されるピッチ及び光拡散部材40のヘイズ値が設定される。
なお、光反射部材30の高さが低い(言い換えると、発光モジュール20と光拡散部材40との距離が小さい)と、再現される表示像が平面的な像となってしまう。そのため、奥行き感のある表示像を再現する観点から、光反射部材30の高さは高く設定されるとよい。
光拡散部材40は、発光モジュール20側から入射した光を拡散して床面側に出射する光学部材である。具体的には、光拡散部材40は、光拡散部材40の光入射面41(Z軸プラス側の面)から入射した光を拡散し、光出射面42から出射する拡散パネルである。
光拡散部材40は、発光モジュール20から出射された光に対して、透光性、及び、光を拡散させる光拡散性を有している。例えば、光拡散部材40は、透明なアクリル若しくはPET(Poly Ethylene Terephthalate)などの樹脂材料、又はガラスから構成された透明板に拡散加工が施されることで作製される。光拡散部材40が透明な材料から構成されることで、当該光拡散部材40は高い透過率を有する。例えば、光拡散部材40の全光線透過率は、80%以上であり、より好ましくは90%以上である。これにより、光拡散部材40による光のロスを低減し、明るい表示像を再現することができる。
そして、透明板に拡散加工が施されることで、光拡散部材40が作製される。拡散加工は、光拡散部材40の光入射面41及び光出射面42の少なくとも一方の面に施される。例えば、拡散加工として、微細なドット状の穴(凹部)からなるプリズムを形成するプリズム処理などがある。微細な穴とは、ユーザが視認できない程度の大きさの穴であり、例えば微細な穴は、円錐形又は角錐形などである。円錐形である場合の微細な穴の頂部と底面とで規定される深さ(円錐形の高さ)、及び、微細な穴の底面の直径は、例えば100μm以下である。これにより、ユーザには微細な穴(プリズム)が見えないので、照明装置1は室内から窓を通して空を見るような感覚をユーザに疑似体験させることができる。なお、プリズムの形状又は大きさは上記に限定されず、光拡散部材40のヘイズ値などにより適宜決定される。例えば、プリズムの形状は、微細なドット状の凸部であってもよい。また、拡散加工はプリズム処理に限定されず、シボ加工又は印刷により行われてもよい。
拡散加工が施された光拡散部材40のヘイズ値は、例えば10%以上90%以下である。ヘイズ値を10%以上とすることで、光拡散部材40が透明な材料で構成されていても、ユーザから発光モジュール20の発光素子22が粒状に見えることを抑制できる。また、ヘイズ値を90%以下とすることで、再現する表示像の輪郭(例えば、青空の中にある雲の輪郭)をある程度保つことができる。なお、ヘイズ値は、例えばプリズム処理により形成されるプリズムの形状及び大きさなどにより調整が可能である。
なお、光拡散部材40は、透明板(例えば、透明なアクリル板)に拡散加工が施されることに限定されない。例えば、光拡散部材40は、透明板に拡散シートを設けることで構成されてもよい。この場合、透明板の床面側又は発光モジュール20側の少なくとも一方の面に拡散シートが設けられてもよい。
上記に説明したように、光拡散部材40は高い全光線透過率及び高いヘイズ値を有する。なお、光拡散部材40は、光拡散材(例えば、シリカ粒子などの光反射性微粒子)が内部に分散された乳白色の拡散板であってもよい。このような拡散板は、光拡散材を混合した透光性樹脂材料を所定形状に樹脂成型することによって作製される。なお、光拡散部材40は、乳白色であってもよいが、光の損失を低減する観点から透明な樹脂材料などに拡散処理が施されたものを用いるとよい。
光拡散部材40は、平面視において矩形状の板材である。光拡散部材40は、光反射部材30の発光モジュール20とは逆側の端部(Z軸マイナス側の端部)に固定される。言い換えると、光拡散部材40は、発光モジュール20と対向しており、発光モジュール20を覆うように配置されている。また、図1に示すように、光拡散部材40は、筐体10の第1の開口を覆うように配置されている。そのため、ユーザが天井を見上げた場合、照明装置1のうち、枠部12の底面部12a及び立ち上がり部12bと、光拡散部材40とを視認することができる。
制御部50は、ユーザからの指示(例えば、リモコンなどによる指示)に従って、発光モジュール20の点灯、消灯、調光、及び調色(発光色又は色温度の調整)などの動作を制御する制御装置である。例えば、制御部50は、記憶部(図示しない)に記憶された表示像に関する情報を取得し、当該情報に応じて表示像を再現する。例えば、制御部50はユーザから表示像として青空を表示する指示を受けた場合、記憶部から青空に関する情報を取得し、取得した情報をもとに発光モジュール20を制御する。なお、制御部50と発光モジュール20(複数の発光素子22)とは、制御線により電気的に接続されている。
本実施の形態では、発光素子22はRGBタイプのLED素子である。そのため、制御部50は、ユーザからの指示に応じて、青色LED、緑色LED及び赤色LEDそれぞれの明るさに関する情報を含む制御信号を制御線を介して発光素子22に出力する。制御信号を受信した発光素子22は、当該制御信号に基づいて青色、緑色及び赤色を発光する。
制御部50は、例えば表示像の動きが不自然にならないような時間間隔で、発光モジュール20に対して制御信号を出力する。例えば、制御部50は、制御信号を1秒間に約20回出力する。これにより、例えば雲が動いている表示像などを再現する場合、より自然な動きを再現することができる。
制御部50は、マイクロコンピュータ、プロセッサなど、又は専用回路によって実現される。
本実施の形態では、制御部50は発光モジュール20(基板21)の光拡散部材40とは反対側の面に配置されている。
電源部60は、電力系統(例えば、商用電源)などから供給される交流電力を直流電力に変換する電力変換部(例えば、電力変換回路)、及び、発光モジュール20(複数の発光素子22)を発光させるための電力を生成する電源回路によって構成されている。電源部60は、例えば、商用電源から供給される交流電力を、整流、平滑及び降圧等して所定レベルの直流電力に変換し、当該直流電力を発光モジュール20に供給する。電源部60は、電力系統と電力線等によって電気的に接続される。
本実施の形態では、電源部60は発光モジュール20の光拡散部材40とは反対側の面に配置されている。つまり、制御部50と電源部60とは、同一平面上に配置されている。
このように構成された照明装置1は、発光モジュール20と光拡散部材40との間に光反射部材30で囲まれた空間が形成されているので奥行き感のある表示像を再現することができる。例えば、角度を変え照明装置1を見た場合、角度に応じて表示像の見え方が変化するので、照明装置1は奥行き感のある表示像を再現することができる。一方、液晶ディスプレイなどの表示装置を用いて表示像を再現した場合、角度を変えて表示装置を見ても、同じ表示像が見える。言い換えると、表示装置では平面的な表示像となってしまうので、ユーザは当該表示像に違和感を感じることがある。そのため、表示装置などを用いて表示像を再現する場合に比べ、本実施の形態に係る照明装置1は、奥行き感を演出できるので、違和感の少ない表示像を再現することができる。
[2.発光素子と反射部材との位置関係]
続いて、複数の発光素子22と光反射部材30(壁部31)との配置について、図5を参照しながら説明する。図5は、図2のV−V線における、本実施の形態に係る照明装置1の断面図である。なお、図5では、便宜上、光拡散部材40を省略している。
図5に示すように、本実施の形態では、発光モジュール20は、壁部31の内側に配置されている。言い換えると、光反射部材30は、発光モジュール20を囲むように配置されている。なお、光反射部材30は、発光モジュール20のうち発光素子22を囲んでいればよい。
また、図中の距離d1は、隣り合う発光素子22間の距離(例えば、隣り合う発光素子22の平面視における中心間の距離)を示しており、第1の間隔の一例である。例えば、距離d1は、隣り合う発光素子22それぞれの光軸間の距離である。また、図中の距離d2は、最外周に配置されている発光素子22と壁部31との距離(言い換えると、複数の発光素子22のうちの壁部31と隣り合う発光素子22の中心と壁部31の内面32との距離)を示しており、第2の間隔の一例である。例えば、壁部31と隣り合う発光素子22の光軸と、壁部31の内面32との距離である。なお、図5では、Y軸方向に並んで配置された隣り合う発光素子22同士の距離が距離d1である例を示しているが、X軸方向に並んで配置された隣り合う発光素子22同士の距離も、例えば、距離d1である。
発光素子22から壁部31を介さずに光拡散部材40に入射した光が形成する表示像(実像)と、発光素子22から出射され壁部31で反射されて光拡散部材40に入射した光が形成する表示像(反射像)とが違和感なく形成されるとよい。しかし、基板21に実装されている発光素子22のうちの最外周に実装されている発光素子22と、壁部31との距離d2に応じて、実像と反射像との境界の明るさが変化する。具体的には、距離d2が大きくなると、実像と反射像との境界が暗くなる。つまり、実像と反射像との境界に暗いラインが形成される。また、距離d2が小さくなると、実像と反射像との境界が明るくなる。つまり、実像と反射像との境界に明るいラインが形成される。これらにより、実像と反射像との明るさが不連続となり違和感のある表示像となる。
距離d2が距離d1を用いてd1/2である場合、実像と反射像との境界に明暗のラインが形成されにくく、違和感の少ない表示像を再現することができる。なお、本実施の形態では、壁部31の内面32及び光拡散部材40には拡散処理が施されており、再現される表示像は少しボケている像となる。そのため、実像と反射像との境界に明暗のラインが形成されない距離d2は所定の範囲を有する。例えば、距離d2が距離d1を用いてd1/4より大きく、3×d1/4より小さい(d1/4<d2<3×d1/4)場合、距離d2がd1/2である場合と同様の効果を奏する。つまり、距離d2は、距離d1を用いてd1/4より大きく、3×d1/4より小さい場合、実像と反射像との境界に明暗のラインが形成されにくく、違和感の少ない表示像を再現することができる。
また、明るいラインと暗いラインとでは、暗いラインの方が目立ちにくい。そのため、距離d2がd1/4より大きく、3×d1/4より小さい範囲である場合より効果は低下するが、距離d2の最大値は距離d1より小さければよい。言い換えると、距離d2はd1/4より大きくd1より小さくてもよい(d1/4<d2<d1)。これにより、実像と反射像との境界に明るいラインが形成されにくく、かつ暗いラインが形成されても目立ちにくいので、違和感の少ない表示像を再現することができる。なお、本実施の形態では、距離d2は、d1/2に設定されている。
なお、図5では、左右2つの距離d2(Y軸プラス側の距離d2とY軸マイナス側の距離d2)が略等しい距離となるように図示しているが、これに限定されない。2つの距離d2は、それぞれd1/4より大きくd1より小さい範囲内であれば異なる距離であってもよい。つまり、最外周に配置されている発光素子22のそれぞれと壁部31との距離d2は、それぞれd1/4より大きくd1より小さい範囲内であれば異なる距離であってもよい。
このように構成された照明装置1は、例えば、天井に埋め込まれて使用される。例えば、図6に示すように、照明装置1は部屋の天井70に埋め込まれて使用される。図6は、本実施の形態に係る照明装置1の設置例を示すイメージ図である。照明装置1により実像と反射像との境界が視認しにくい表示像が再現されるので、ユーザは、当該照明装置1を見上げることで、室内から窓を通して空を見るような表示像(言い換えると、違和感の少ない表示像)を見ることができる。なお、照明装置1は、例えば、自然の採光を得難い施設内又は地下街などに設置されてもよい。
[3.効果など]
次に、本実施の形態に係る照明装置1の効果について説明する。
本実施の形態に係る照明装置1は、天井70(造営材の一例)に埋め込まれる埋込型の照明装置1であって、基板21及び基板21に配置された複数の発光素子22を有する発光モジュール20と、透光性を有し、発光モジュール20を覆う光拡散部材40と、光反射性を有する壁部32であって、複数の発光素子22を囲む壁部32を有する光反射部材30と、を備える。複数の発光素子22のうちの隣り合う2つの発光素子22は、それぞれ距離d1(第1の間隔の一例)ごとに基板21上に配置されており、壁部31と、複数の発光素子22のうちの壁部31と隣り合う発光素子22との間隔である距離d2(第2の間隔の一例)は、距離d1の1/4倍より大きく、距離d1より小さい(d1/4<d2<d1)。
これにより、基板21に実装されている複数の発光素子22のうちの最外周に実装されている発光素子22のそれぞれと、壁部31との距離d2は、d1/4より大きく、d1より小さくなる。距離d2がd1/4より大きいことで、発光素子22から壁部31を介さずに光拡散部材40に入射した光が形成する表示像である実像と、発光素子22から壁部31で反射されて光拡散部材40に入射した光が形成する表示像である反射像との境目に明るいラインが形成されることを抑制できる。また、距離d2が距離d1より小さいことで、実像と反射像との境目に暗いラインが形成されても当該暗いラインを目立たなくすることができる。つまり、本実施の形態に係る照明装置1は、実像と反射像との境目がユーザに認識されにくい表示像を再現することができる。言い換えると、照明装置1は、違和感が低減された表示像を再現することができる。よって、照明装置1は、室内から窓を通して空を見るような感覚により近い表示像を再現することができる。
また、壁部31の発光モジュール20側の面は、鏡面である。
これにより、鏡面で反射された光で形成される反射像(鏡像)と、実像との明るさは連続性を有しており、例えば拡散部材が白色である場合に比べ違和感が低減された表示像を再現することができる。また、壁部31の内面32が鏡面であると、発光モジュール20から壁部31に入射した光を全反射することができるので、発光モジュール20からの光のロスを低減することができる。
また、壁部31の発光モジュール20側の面には、拡散処理が施されている。
これにより、壁部31で反射された光で形成される反射像は鏡像ではなく少しボケた像となるので、ユーザは当該反射像が鏡像であると認識しにくくなる。つまり、ユーザは鏡像ではない反射像と実像とで形成される表示像に違和感を感じにくくなる。
また、光拡散部材40の全光線透過率は80%以上であり、かつヘイズ値は10%以上90%以下である。
これにより、光拡散部材40は光学特性として高透過率及び高ヘイズの特性を有する。光拡散部材40が高い透過率を有することで光拡散部材40による光のロスが低減するので、発光モジュール20からの光を効率よく表示像に利用することができる。また、光拡散部材40が10%以上90%以下のヘイズ値を有することで、発光素子22が粒状に見えることを抑制し、かつ再現する表示像の輪郭(例えば、青空の中にある雲の輪郭)をある程度保つことができる。
(その他の実施の形態)
以上、本発明について実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されない。
例えば、上記実施の形態では、筐体は枠体を有する例について説明したが、これに限定されない。例えば、枠体は造営材の一部として構成されていてもよい。つまり、照明装置は枠体を備えておらず、造営材の一部である枠体に固定される。筐体が枠体を有している場合、例えば天井に照明装置を取り付けると、天井と枠体の底面との境目が見えてしまいユーザは違和感を感じることがある。一方、造営材の一部として枠体が構成されている場合、照明装置は枠体を有していないので、天井と照明装置との境目が見えて違和感を感じることを抑制できる。
また、上記実施の形態では、照明装置は天井に埋め込まれる例について説明したが、これに限定されない。例えば、照明装置は壁などに埋め込まれてもよい。この場合、壁は造営材の一例である。
また、上記実施の形態では、光反射部材の内面に施される拡散処理がつや消し処理である例について説明したが、これに限定されない。例えば、拡散処理として、ブラスト加工など反射部材の内面を粗面化する処理であってもよい。また、この場合、粗面化され形成された凹凸部は、拡散層の一例である。
また、上記実施の形態では、距離d1(第1の間隔の一例)は、発光素子の中心間の距離である例について説明したが、これに限定されない。例えば、発光素子それぞれのY軸プラス方向側の端部間の距離であってもよい。
また、上記実施の形態では、照明装置は光反射部材と筐体とを備える例について説明したが、これに限定されない。例えば、光反射部材が有底筒状であり光反射部材が各構成部を収容する場合、照明装置は、筐体を備えていなくてもよい。また、筐体の内側面(言い換えると、筐体が複数の発光素子を囲む壁部を有し、当該壁部の発光素子側の面)が光反射性を有する場合、照明装置は光反射部材を備えていなくてもよい。この場合、複数の発光素子のうちの壁部と隣り合う発光素子と、壁部の発光素子側の面との距離が、第2の間隔となる。
また、上記実施の形態では、光反射部材は壁部を有する枠状の部材である例について説明したが、これに限定されない。例えば、光反射部材の形状は、有底枠状であってもよい。その場合、発光モジュールは、基板に対して発光素子が光反射部材の開口側となるように配置される。また、有底枠状の光反射部材は、複数の発光素子を囲む壁部と、発光モジュールの発光素子が実装された面とは逆側の面を覆う底部とを有し、少なくとも壁部が発光素子が出射する光に対する反射性を有していればよい。光反射部材は、発光素子を囲み、光反射性を有する壁部を有していればよい。
また、上記実施の形態では、光反射部材はアルミニウムなどの金属材料から構成された反射板である例について説明したが、これに限定されない。例えば、反射部材は硬質の樹脂材料を用いて形成され、その内面にアルミニウムなどの金属材料からなる金属蒸着膜(金属反射膜)が形成されてもよい。また、アルミテープなどの金属製テープを樹脂材料で形成された樹脂板に貼り付けることで反射部材が形成されてもよい。
また、上記実施の形態では、制御部はユーザの指示に応じた表示像を再現するように発光モジュールを制御する例について説明したが、これに限定されない。例えば、制御部は空の様子を撮影する撮影装置(例えば、カメラなど)から空の様子を取得し、取得した空の様子と類似した表示像を再現してもよい。これにより、室内で照明装置が再現した表示像と、屋外での実際の空模様とが似ているので、ユーザは屋内から屋外に出た、又は屋外から屋内に入ったときに違和感を感じることを低減することができる。
また、上記実施の形態では、制御部はユーザの指示に応じた表示像を再現する例について説明したが、これに限定されない。例えば、制御部はタイマ機能を有しており、ユーザからの指示を受け付けたときの時刻に対応する表示像に関する情報を記憶部から取得し、取得した情報をもとに発光モジュールを制御してもよい。または、制御部は所定の時刻になると、当該所定の時刻に対応する表示像に関する情報を記憶部から取得し、取得した情報をもとに発光モジュールを制御してもよい。