JP6872387B2 - 複合フィルタ - Google Patents
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Description
基準信号を発生する信号源として、例えば、恒温槽付水晶発振器(OCXO;Oven Controlled Crystal Oscillator)がある。
従来、信号源の位相雑音を低減するために、OCXOの出力側に弾性表面波(SAW;Surface Acoustic Wave)フィルタやモノリシックフィルタ(MCF;Monolithic Crystal Filter、水晶フィルタ)を設けた構成がある。
一方、MCFは、電力耐性は低いものの、通過帯域は狭い特性がある。
位相雑音の低減(低位相雑音)を実現するためには、電力耐性が高く、且つ通過帯域が狭いフィルタが必要であるが、従来はSAWフィルタ又はMCFを単独で用いることが一般的であり、位相雑音を十分低減することはできなかった。
フィルタを設けない場合の信号源の特性例について説明する。
信号源(OCXO)からの信号は、例えば、発振周波数200MHzで信号レベルが+8dBmである場合、高次(2次)高調波400MHzが−35dBc、位相雑音は、オフセット周波数が10kHzで−145dBc、100kHzで−160dBc、10MHzで−164dBc、40MHzで−165dBcであった。
尚、複数のフィルタを備えた回路に関する従来技術としては、特開2007−129297号公報「ジッタ低減回路および信号伝送装置」(エプソントヨコム株式会社、特許文献1)がある。
特許文献1には、入力した信号の成分を通過させる第1のフィルタと、第1のフィルタから出力された信号を増幅する増幅器と、第1のフィルタよりも広い通過帯域幅を有し、増幅器からの出力信号の信号成分を通過させる第2のフィルタとを備えた構成が記載されている。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る複合フィルタは、水晶発振器の出力側に設ける複合フィルタであって、電力耐性の高いSAWフィルタと、狭帯域のMCFとを備え、水晶発振器の出力側に接続された入力端子に、SAWフィルタ、整合回路、MCFの順で接続された構成としており、電力耐性が高く、通過帯域が狭いフィルタを構成することができ、低位相雑音の信号源を実現できるものである。
本発明の実施の形態に係る複合フィルタ(本複合フィルタ)の基本的な構成について図1を用いて説明する。図1は、本複合フィルタの概略構成図である。
図1に示すように、本複合フィルタは、OCXO等の信号源からの信号を入力する入力端子1と、SAWフィルタ2と、整合回路3と、MCF4と、出力端子5とを備えている。特に、本複合フィルタでは、入力端子1側にSAWフィルタ2を設け、整合回路3を介して出力端子5側にMCF4を配置している。
そのため、SAWフィルタ2を入力端子1側に設けることにより、入力端子1から入力される信号の信号レベルを低減させると共に、オフセット周波数の高い領域における位相雑音レベルを減衰させることができるものである。
また、SAWフィルタ2によって高次高調波(スプリアス雑音)の低減も可能となる。
本複合フィルタでは、SAWフィルタ2の出力側に整合回路3を介してMCF4を設ける構成として、信号レベルを低下させた状態でMCF4に入力して、MCF4を適切な入力電力で動作させ、オフセット周波数の低い領域における位相雑音レベルを減衰させることができるものである。
本複合フィルタの位相雑音特性について図2を用いて説明する。図2は、本複合フィルタの位相雑音特性を示す概略説明図である。
図2では、比較のために、(a)SAWフィルタ及びMCFをいずれも設けていない場合、(b)SAWフィルタのみを設けた場合、(c)MCFのみを設けた場合、(d)SAWフィルタとMCFとを両方とも設けた場合、の4つの場合について位相雑音特性を示している。本複合フィルタは、(d)に相当する。
また、(c)のMCFのみを設けた場合には、SAWフィルタよりもオフセット周波数が低い領域において位相雑音を減衰させるものの、オフセット周波数が高くなると減衰の効果は得られない。
次に、整合回路3の構成例について、図3を用いて説明する。図3は、整合回路3の第1の構成例を示す説明図である。
図3に示すように、整合回路3は、SAWフィルタ2とMCF4の間に、コイル31が直列に接続され、コイル31とMCF4の間の点にコンデンサ32の一端が接続され、他端が接地された構成である。
整合回路3を設けることにより、インピーダンスを整合し、MCF4の特性を十分に生かすことができるものである。
次に、本複合フィルタの別の構成(別の複合フィルタ)について図4を用いて説明する。図4は、別の複合フィルタの構成を示す説明図である。
図4に示すように、別の複合フィルタは、図3に示した複合フィルタにおいて、SAWフィルタ2と整合回路3のコイル31との間に、減衰器(ATT)33を直列に接続した構成である。
次に、本複合フィルタの応用例について図5を用いて説明する。図5は、本複合フィルタの応用例を示す説明図である。
上述した本複合フィルタ及び別の複合フィルタでは、SAWフィルタ2、MCF4等の素子をそれぞれ独立したパッケージを備えた個別の部品で実現していたが、応用例は、それらの素子を1パッケージ化(1チップ化)して、小型化を図るものである。
ここで、本複合フィルタを実際の信号源に適用した場合の位相雑音及び高次高調波の抑制について図6を用いて説明する。図6は、本複合フィルタを適用した場合の特性例を示す図である。
信号源としては、上述した信号源と同一の特性(発振周波数200MHz)を持つOCXOを用いた。
また、高次高調波(スプリアス)の抑制目標を、オフセット周波数400MHzにおいて−60dBcとした。
更に、当該SAWフィルタ2は、高次高調波を抑制する効果も備えている。
また、高次高調波についても、−35dBcから−65dBcに大幅に抑制でき、目標値を達成したものである。
本発明の実施の形態に係る複合フィルタによれば、水晶発振器の出力側に接続された入力端子1に、電力耐性の高いSAWフィルタ2、整合回路3、通過帯域の狭いMCF4の順に接続された複合フィルタとしているので、SAWフィルタ2で信号を減衰させ、更に整合回路3で適正な信号レベルとして、MCF4への入力レベルを適正にすると共に、SAWフィルタ2がオフセット周波数の大きな領域における位相雑音を低減し、MCF4がオフセット周波数が小さい領域における位相雑音を低減し、更に、SAWフィルタ2により高次高調波を抑制することができ、電力耐性が高く、通過帯域が狭いフィルタを構成することができ、低位相雑音の信号源を実現できる効果がある。
Claims (5)
- 弾性表面波フィルタとモノリシックフィルタとを備え、位相雑音を改善し、高次高調波を抑制する複合フィルタであって、
水晶発振器の出力側に接続される入力端子に、前記弾性表面波フィルタ、整合回路、前記モノリシックフィルタの順で接続され、
前記弾性表面波フィルタは、前記モノリシックフィルタに比べ、電力耐性が高く、通過帯域が広いことを特徴とする複合フィルタ。 - 整合回路が、弾性表面波フィルタとモノリシックフィルタとの間に直列に接続されたコイルと、前記コイルとモノリシックフィルタとの間の点に一端が接続され、他端が接地されたコンデンサとを備えることを特徴とする請求項1記載の複合フィルタ。
- 弾性表面波フィルタと、整合回路と、モノリシックフィルタとを同一のパッケージに収容したことを特徴とする請求項1又は2記載の複合フィルタ。
- 弾性表面波フィルタと整合回路との間に、減衰器を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の複合フィルタ。
- 減衰器を、弾性表面波フィルタと、整合回路と、モノリシックフィルタと同一のパッケージに収容したことを特徴とする請求項4記載の複合フィルタ。
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