以下に、実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施の形態の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術とを参酌して、適宜設計変更することができる。
(第1の実施形態)
第1の実施形態によると、電極複合体が提供される。この電極複合体は、第1の活物質含有層と、固体電解質層と、誘電体粒子とを具備する。第1の活物質含有層は、活物質粒子を含む。固体電解質層は、第1の活物質含有層に対向する表面を有する。誘電体粒子は、固体電解質層の表面の一部に接し、且つ一部が第1の活物質含有層中に存在している。
二次電池の入出力特性を向上させる一例の方策として、二次電池に含まれる電極部分の抵抗を低減することが挙げられる。本発明者らは、固体電解質層を具備した二次電池における電極部分の抵抗を低減するために鋭意研究を重ねた。その結果、以下のような知見を得た。
まず、固体電解質を具備した二次電池では、固体電解質層と活物質含有層との界面付近において、固体電解質層にLiイオン欠損層が生じることが分かった。この現象について、図1を参照しながら説明する。ただし、Liイオン欠損層が生じる理由は、以下の理論に縛られることを望まない。
図1は、活物質含有層と固体電解質層との界面の一例を表す概略断面図である。図1に示す電極複合体50は、第1の活物質含有層51と、固体電解質層52とを具備する。第1の活物質含有層51は、複数の活物質粒子51aと、合材51bとを含む。合材51bは、例えば、導電剤及び結着剤を含むことができる。
図1に示す電極複合体50では、第1の活物質含有層51の表面51mと、固体電解質層52の表面52mとが、界面50iで接している。活物質粒子51aの各々の表面の一部51sは、固体電解質層52の一部52dに接している。
活物質粒子51aと固体電解質層52との間には、電位差が生じる。この電位差により、固体電解質層52の一部52dから、活物質粒子51aの各々の表面の一部51sへとLiイオンが移動する。その結果、活物質粒子51aの各々の表面の一部51sは、正電荷を帯びる。一方、固体電解質層52の一部52dは、Liイオン欠損部分となり、負電荷を帯びる。それにより、固体電解質層52の一部52dの周りのLiイオンも、この部分52dに移動し、次いで第1の活物質含有層51へと移動する。その結果、図1に示すように、界面50i付近に位置する固体電解質層52の表面部分52eは、Liイオン欠損層となる。このLiイオン欠損層52eは、Liイオンの通過に対して高い抵抗を示す。すなわち、Liイオン欠損層52eは、高抵抗層である。このLiイオン欠損層52eの存在により、図1に示す電極複合体50は、Liイオンの移動に対する高い抵抗を示す。
発明者らは、この問題を解決するために鋭意研究を進めた結果、第1の実施形態に係る電極複合体を見出した。
第1の実施形態に係る電極複合体は、誘電体粒子を含む。誘電体粒子は、固体電解質層の表面(第1の活物質含有層に対向する)の一部に接し、且つ一部が第1の活物質含有層中に存在している、例えば埋め込まれている。第1の実施形態に係る電極複合体は、複数の誘電体粒子を含むこともできる。これらの誘電体粒子の各々が、固体電解質層の表面(第1の活物質含有層に対向する)の一部に接することができ、且つこれらの誘電体粒子の各々の一部が第1の活物質含有層中に存在し得る、例えば埋め込まれ得る。
第1の活物質含有層中に一部が存在している誘電体粒子は、第1の活物質含有層中に含まれる活物質粒子との電位差により、分極を起こす。具体的には、誘電体粒子の表面は負電荷を帯び、誘電体粒子の中心部分は正電荷を帯びる。負電荷を帯びた誘電体粒子の表面は、固体電解質層の表面の一部に接することができる。誘電体粒子の表面に接した固体電解質層の表面の一部は、負電荷を帯びた誘電体粒子の表面の影響で、分極を起こす。それにより、誘電体粒子の表面に接した固体電解質層の表面の一部にLiイオンが生じ、固体電解質層の表面の一部が正電荷を帯びる。それにより、固体電解質層のこの部分がLiイオン欠損部分となるのを防ぐことができる。
また、誘電体粒子は固体電解質層のうち第1の活物質含有層に対向する表面の全てではなく一部に接する。固体電解質層の表面の一部に生じたLiイオンは、固体電解質層と誘電体粒子とが接していない部分に移動することができ、その部分から第1の活物質含有層に移動することができる。よって、誘電体の分極により、Liイオンのパスを、第1の活物質含有層と固体電解質層との界面付近に形成することができる。すなわち、第1の活物質含有層と固体電解質層と界面付近に、Liイオン欠損層が生じるのを防ぐことができる。
これらの結果、第1の実施形態に係る電極複合体は、高いエネルギー密度を示すことができると共に優れた入出力性能を示すことができる二次電池を実現することができる。
Liイオンパスの形成の概念を、図2を参照しながら、以下に説明する。
図2は、第1の実施形態に係る一例の電極複合体の一部概略断面図である。
図2に示す電極複合体50は、誘電体粒子53を含んでいる点で、図1に示した電極複合体50と異なる。以下では、図1の説明と重複する説明は省略する。また、図2において、活物質粒子51a及び誘電体粒子53は、説明のために概略的に示している。そのため、例えば、実際の電極複合体における活物質粒子51a及び誘電体粒子53は、異なる大きさの複数の粒子でもよい。各粒子の配列も図2に示すものに限られない。誘電体粒子53の活物質粒子51aに対する相対的な大きさも、図2に示すものに限られない。他の図面においても、各粒子を説明のために概略的に示しており、図示した粒子の大きさ及び配置は実際と異なり得ることに留意されたい。
図2に示すように、活物質粒子51aの表面の一部51sは、固体電解質層52の表面52mの一部又は誘電体粒子53に接している。誘電体粒子53は、固体電解質層52の表面52mの他の一部に接している。また、誘電体粒子53の一部は、第1の活物質含有層51中に埋め込まれた状態で存在している。それにより、誘電体粒子53の一部は、活物質粒子51aによって囲まれている。
活物質粒子51aの表面の一部51sは、図2に示すように、正電荷を帯びている。なお、図2では活物質粒子51aにおける負電荷(「−」)を省略している。しかしながら、活物質粒子51aは、全体として、電荷的中性を有することができる。
一方、誘電体粒子53は、図2に示すように、活物質粒子51aの影響で、分極を起こしている。具体的には、例えば、活物質粒子51aに囲まれた誘電体粒子53の表面は、負電荷を帯びている。一方で、誘電体粒子53の中心部分は、正電荷を帯びている。なお、図2では「+」の数と「−」の数とが一致していないが、誘電体粒子53において、表面の負電荷(「−」)と中心部分の正電荷(「+」)とは同じ絶対値を有することができる。すなわち、誘電体粒子53は、全体として、電荷的中性を保つことができる。
固体電解質層52のうち、活物質粒子51aに界面50iで接した部分52dは、図1と同様に、負電荷を帯びている。一方、誘電体粒子53に接した部分52fは、誘電体粒子53の負電荷を帯びた表面の影響で、正電荷を帯びている。具体的には、Liイオン54が生じている。このLiイオン54は、固体電解質層52と誘電体粒子53とが接していない部分に容易に移動することができる。図2において矢印で示したように、Liイオン54は、固体電解質層52と誘電体粒子53とが接していない部分から、界面50iを通り抜け且つ誘電体粒子53の近くを通って、第1の活物質含有層51に移動することができる。この移動は、誘電体粒子53の表面の負電荷により、更に促進される。
そして、固体電解質層52の一部52fからLiイオン54が移動しても、固体電解質層52の一部52fは、分極した誘電体粒子53の影響で、Liイオン54を続いて生成することができる。その結果、この部分52fは、Liイオンパスとなることができる。このように、第1の実施形態に係る電極複合体50は、図1に示したようなLiイオン欠損層52eが界面50i付近に生じるのを防ぐことができる。
一方、誘電体粒子ではなく誘電体層が固体電解質層の第1の活物質含有層に対向する表面の全面に接している電極複合体は、誘電体層自体がLiイオンの移動に対して高い抵抗を示すため、優れた入出力性能を実現することができない。また、一部が第1の活物質含有層中に存在していない誘電体粒子では、先に説明したような分極が十分に起こらないか、又は先に説明したような分極が起こらない。そのため、例えば、第1の活物質含有層の表面上に配置され且つ固体電解質層の表面に接した誘電体粒子は、その近くを通るLiイオンの移動を促進することができない。
以下、第1の実施形態に係る電極複合体を、より詳細に説明する。
第1の実施形態に係る電極複合体は、第1の活物質含有層と、固体電解質層と、誘電体粒子とを具備する。
第1の活物質含有層は、活物質粒子を含む。活物質粒子は、例えば、負極活物質粒子である。すなわち、第1の活物質含有層は、負極活物質含有層でもよい。或いは、活物質粒子は、正極活物質粒子でもよい。すなわち、第1の活物質含有層は、正極活物質含有層でもよい。第1の活物質含有層は、必要に応じて、導電剤及び結着剤をさらに含むこともできる。導電剤は、活物質粒子の集電性能を高めることができる。結着剤は、例えば、活物質粒子と導電剤とを結着させることができる。
固体電解質層は、第1の活物質含有層に対向する表面を有する。固体電解質層のこの表面は、例えば、第1の活物質含有層の1つの表面(例えば、主面)に対向することができる。固体電解質層は、例えば、固体電解質の粒子を含むことができる。
誘電体粒子は、固体電解質層の表面の一部に接している。誘電体粒子は、その一部が、固体電解質層中に存在していてもよい。例えば、誘電体粒子は、その一部が、固体電解質層中に埋め込まれていてもよい。
また、誘電体粒子は、その一部が、第1の活物質含有層中に存在している。誘電体粒子は、例えば、その一部が、第1の活物質含有層中に埋め込まれていてもよい。誘電体粒子の一部は、例えば図2に示したように、活物質粒子に囲まれることができる。
第1の実施形態に係る電極複合体は、集電体を更に含むこともできる。集電体は、例えば2つの表面を有し、その何れか一方又はその両方の上に、第1の活物質含有層を担持することができる。1つの態様では、第1の活物質含有層は、例えば、固体電解質層の1つの表面(例えば第2の表面)に対向する表面(例えば第1の表面)とは別の表面(第3の表面)を有することができる。この第3の表面は集電体に対向することができる。例えば、この第3の表面は、集電体に接することもできる。集電体を含む場合、第1の活物質含有層に含まれ得る導電剤は、活物質粒子と集電体との接触抵抗を抑えることもできる。
以下、第1の実施形態に係る電極複合体の各構成要素をより詳細に説明する。
1.活物質含有層
活物質粒子は、一次粒子の形態であってもよいし、一次粒子が凝集した二次粒子の形態であってもよい。或いは、活物質粒子は、一次粒子と二次粒子との混合物であってもよい。高密度化の観点から、活物質含有層中に一次粒子は、5体積%以上50体積%以下の割合で含まれていることが好ましい。
活物質粒子の平均一次粒子径は、1μm以下であることが好ましい。平均一次粒子径が1μm以下である活物質粒子は、活物質粒子内部でのLiイオン拡散距離を小さくすることができるとともに、大きな比表面積を示すことができる。その結果、優れた入力性能を実現できる。特に、急速充電の際に高い入力性能を示すことができる。活物質粒子の平均一次粒子径は、0.1μm以上0.8μm以下であることがより好ましい。
活物質粒子の二次粒子径は、言い換えると、活物質二次粒子の直径である。活物質粒子の平均二次粒子径は、5μmより大きいことが好ましく、7μm以上20μm以下であることがより好ましい。平均二次粒子径が5μmより大きい活物質粒子を含んだ第1の活物質含有層は、低いプレス圧で作製した場合でも高い密度を示すことができる。このようにプレス圧を抑えて第1の活物質含有層を作製する電極複合体の製造方法によると、集電体の伸びを抑制することができる。
活物質粒子の平均粒子径は、1μm以上12μm以下であることが好ましく、5μm以上10μm以下であることがより好ましい。第1の活物質含有層の厚さが小さい場合に、活物質粒子の平均粒子径が大きいと、第1の活物質含有層の平坦性に影響を与える恐れがある。
以下、第1の活物質含有層が負極活物質含有層である態様と、第1の活物質含有層が負極活物質含有層である態様とを分けて説明する。
1−1.負極活物質含有層
負極活物質粒子としては、例えば、黒鉛材料などの炭素材料の粒子、リチウム合金材料の粒子、金属酸化物の粒子及び金属硫化物の粒子が挙げられる。中でも、Liイオンの吸蔵放出電位がリチウム電位基準で1〜3V(vs.Li/Li+)の範囲にある少なくとも1種のチタン含有酸化物の粒子を選択することが好ましい。これらのチタン含有酸化物の粒子を含んだ第1の活物質含有層は、アルミニウムを含んだ集電体上に担持させることができる。集電体としてアルミニウムを含んだ材料を用いることにより、集電体として銅を含んだ材料を用いた場合よりも、軽量化と低コスト化との両方を実現することができる。また、アルミニウムを含んだ材料を含んだ集電体の表面には、正極活物質を含んだ正極活物質含有層を担持させることもできる。そのため、この好ましい態様の電極複合体は、バイポーラ構造の電極複合体に応用する際に有利である。バイポーラ構造の電極複合体については、後述する。
このようなチタン含有酸化物としては、例えば、リチウムチタン複合酸化物、チタン酸化物、ニオブチタン複合酸化物、直方晶構造のチタン含有複合酸化物などが挙げられる。
リチウムチタン複合酸化物としては、例えば、一般式Li4+xTi5O12(xは−1≦x≦3)で表される組成を有するスピネル構造のリチウムチタン酸化物、一般式Li2+xTi3O7(xは0≦x≦5)で表される組成を有するラムスデライド構造のリチウムチタン複合酸化物及びその他の組成(例えば、Li1+xTi2O4、Li1.1+xTi1.8O4、Li1.07+xTi1.86O4、及びLixTiO2(xは0≦x≦1))を有するリチウムチタン複合酸化物が挙げられる。
チタン酸化物としては、例えば、単斜晶構造のチタン酸化物(例えばTiO2(B))、ルチル構造のチタン酸化物(例えばTiO2)、及びアナターゼ構造のチタン酸化物(例えばTiO2)が挙げられる。これらのチタン酸化物は、Liを吸蔵すると、一般式LixTiO2(0≦x≦1)で表すことができる組成を有することができる。
ニオブチタン複合酸化物は、例えば、単斜晶構造のニオブチタン複合酸化物であり得る。単斜晶構造のニオブチタン複合酸化物の例として、LixTi1-yM1yNb2-zM2zO7+δで表される化合物が挙げられる。ここで、M1は、Zr、Si、及びSnからなる群より選択される少なくとも1つである。M2は、V、Ta、及びBiからなる群より選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦x≦5、0≦y<1、0≦z≦2、−0.3≦δ≦0.3である。単斜晶構造のニオブチタン複合酸化物の具体例として、LixNb2TiO7(0≦x≦5)が挙げられる。
単斜晶構造のニオブチタン複合酸化物の他の例として、Ti1-yM3y+zNb2-zO7-δで表される化合物が挙げられる。ここで、M3は、Mg、Fe、Ni、Co、W、Ta、及びMoより選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦y<1、0≦z≦2、−0.3≦δ≦0.3である。
単斜晶構造のニオブチタン複合酸化物の好ましい例としては、LiaTiMbNb2±βO7±σ(0≦a≦5、0≦b≦0.3、0≦β≦0.3、0≦σ≦0.3、MはFe、V、Mo及びTaからなる群より選択される少なくとも1種以上の元素)で表されるものである。
直方晶構造のチタン含有複合酸化物の例としては、直方晶構造のチタン含有複合酸化物が挙げられる。直方晶構造のチタン含有複合酸化物の例として、Li2+aM(I)2-bTi6-cM(II)dO14+σで表される化合物が挙げられる。ここで、M(I)は、Sr、Ba、Ca、Mg、Na、Cs、Rb及びKからなる群より選択される少なくとも1つである。M(II)はZr、Sn、V、Nb、Ta、Mo、W、Y、Fe、Co、Cr、Mn、Ni、及びAlからなる群より選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦a≦6、0≦b<2、0≦c<6、0≦d<6、−0.5≦σ≦0.5である。直方晶型チタン含有複合酸化物の具体例として、Li2+aNa2Ti6O14(0≦a≦6)が挙げられる。
負極活物質粒子は、1種類の粒子を含んでいてもよいし、又は複数種類の粒子を含んでいてもよい。負極活物質粒子は、スピネル構造のリチウムチタン複合酸化物の粒子を含んでいることが好ましい。これは、スピネル構造のリチウムチタン複合酸化物は、充放電に伴う体積変化が極めて小さいからである。
負極活物質粒子は、表面に炭素材料が被覆されていることが好ましい。炭素材料の被覆により、負極活物質含有層である第1の活物質含有層における抵抗を更に低減することができる。炭素材料の被覆は、例えば、負極活物質の二次粒子上に形成されていてもよい。
先に説明したように、第1の活物質含有層は、導電剤及び結着剤を更に含むことができる。そのため、負極活物質含有層も、導電剤及び結着剤を更に含むことができる。
導電剤としては、例えば、炭素材料を用いることができる。炭素材料としては、例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック、コークス、炭素繊維、黒鉛、アルミニウム粉末、TiO等を挙げることができる。より好ましい例としては、熱処理温度が800℃〜2000℃の平均粒子径10μm以下のコークス、黒鉛、TiOの粉末、平均繊維径1μm以下の炭素繊維が挙げられる。炭素材料のN2吸着によるBET比表面積は10m2/g以上であることが好ましい。
結着剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、スチレンブタジェンゴム、コアシェルバインダーなどが挙げられる。
負極活物質含有層中の負極活物質、導電剤及び結着剤の配合比は、負極活物質は80〜95重量%、導電剤は3〜18重量%、結着剤は2〜7重量%の範囲にすることが好ましい。
負極活物質含有層は、N2吸着によるBET法での比表面積が3m2/g以上200m2/g以下であることが好ましく、3m2/g以上50m2/g以下であることが好ましく、5m2/g以上50m2/g以下であることが特に好ましい。ここで、負極活物質含有層の比表面積とは、負極活物質含有層(集電体を含まない)1g当りの表面積を意味する。比表面積がこの範囲内にある負極活物質含有層は、例えば負極活物質粒子の凝集が抑えられており、非水電解質と負極活物質粒子との優れた親和性を実現することができる。また、この好ましい態様に係る電極複合体の負極活物質含有層は、例えば、正極活物質含有層と組み合わせて用いた際、正極活物質含有層での非水電解質の不足を防ぐことができる。その結果、この好ましい態様の電極複合体は、優れた出力性能及び優れた充放電サイクル性能を実現することができる。負極活物質含有層は、N2吸着によるBET法での比表面積が3m2/g以上50m2/g以下であることが好ましい。
好ましい態様では、第1の活物質含有層が負極活物質粒子を含み、負極活物質粒子の平均一次粒子径が1μm以下であり、第1の活物質含有層の比表面積が3m2/g以上200m2/g以下である。この好ましい態様に係る電極複合体において、第1の活物質含有層は、さらに優れた非水電解質との親和性を示すことができる。負極活物質粒子の平均一次粒子径が0.001μm以上であることがより好ましい。このより好ましい態様では、負極活物質含有層の多孔度を十分に保ちながら、粒子の凝集を十分に抑えることができる。その結果、この好ましい態様に係る電極複合体では、先に説明した正極活物質含有層での非水電解質の不足を更に防ぐことができる。
負極活物質含有層は、多孔質の層であり得る。負極活物質含有層の多孔度(集電体を除く)は、20%以上50%以下であることが好ましい。この好ましい態様では、負極活物質含有層は、非水電解質との優れた親和性を示すことができ、且つ高密度を示すことができる。多孔度のさらに好ましい範囲は、25以上40%以下である。
負極活物質含有層(片面)の厚さは、10μm以上120μm以下とすることができる。負極集電体の両面に負極活物質含有層が形成されている場合、負極活物質含有層の合計厚さは20μm以上240μm以下にすることができる。
先に説明した平均二次粒子径が5μmより大きい負極活物質粒子は、例えば以下の手順で調製することができる。まず、活物質原料を反応させて、平均一次粒子径が1μm以下である活物質前駆体を合成する。この活物質前駆体を、焼成処理、続いてボールミルやジェトミルなどの粉砕機を用いて粉砕処理に供する。これらの処理によって得られた生成物を、焼成処理に更に供する。これらの処理によって、活物質前駆体を凝集させて、粒子径の大きい二次粒子に成長させることができる。
二次粒子表面に炭素材料を被覆した負極活物質粒子は、上記二次粒子製造過程において、炭素材料の前駆体を添加して複合体を得、この複合体を不活性雰囲気下500℃以上で焼成することで作製することができる。
1−2.正極活物質含有層
正極活物質粒子としては、例えば、酸化物の粒子又は硫化物の粒子を用いることができる。酸化物及び硫化物の例としては、Li又はLiイオンを挿入及び脱離させることができる化合物を挙げることができる。
このような化合物としては、例えば、二酸化マンガン(MnO2)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn2O4又はLixMnO2;0<x≦1)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLixNiO2;0<x≦1)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLixCoO2;0<x≦1)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLixNi1-yCoyO2;0<x≦1、0<y<1)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLixMnyCo1-yO2;0<x≦1、0<y<1)、スピネル構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLixMn2-yNiyO4;0<x≦1、0<y<2)、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物(例えばLixFePO4;0<x≦1、LixFe1-yMnyPO4;0<x≦1、0<y<1、LixCoPO4;0<x≦1)、硫酸鉄(Fe2(SO4)3)、バナジウム酸化物(例えばV2O5)、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LixNi1-y-zCoyMnzO2;0<x≦1、0<y<1、0<z<1、y+z<1)、及びリチウムコバルトアルミニウム複合酸化物(例えば、LixNi1-y-zCoyAlzO2;0<x≦1、0<y<1、0<z<1、y+z<1)が含まれる。
上記のうち、正極活物質としてより好ましい化合物の例には、スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn2O4;0<x≦1)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLixNiO2;0<x≦1)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLixCoO2;0<x≦1)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLixNi1-yCoyO2;0<x≦1、0<y<1)、スピネル構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLixMn2-yNiyO4;0<x≦1、0<y<2)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLixMnyCo1-yO2;0<x≦1、0<y<1)、リチウムリン酸鉄(例えばLixFePO4;0<x≦1)、及び、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LixNi1-y-zCoyMnzO2;0<x≦1、0<y<1、0<z<1、y+z<1)が含まれる。これらの化合物を正極活物質に用いると、正極電位を高めることができる。
正極活物質として好ましい例の化合物としては、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn2O4またはLixMnO2など)、リチウムニッケルアルミニウム複合酸化物(例えばLixNi1-yAlyO2など)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLixCoO2など)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLixNi1-y-zCoyMnzO2など)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLixMnyCo1-yO2など)、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLixMn2-yNiyO4など)、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物(例えばLixFePO4、LixFe1-yMnyPO4、LixCoPO4など)、フッ化硫酸鉄(例えばLixFeSO4F)が挙げられる。x、y及びzは、特に記載がない限り、0〜1の範囲であることが好ましい。
これらの化合物は、高い正極電圧を得られるので好ましい。中でも、リチウムニッケルアルミニウム複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、リチウムマンガンコバルト複合酸化物によると、高温環境下での非水電解質との反応を抑制することができ、電池寿命を大幅に向上することができる。特に一般式LixNi1-y-zCoyMnzO2(0≦x≦1.1、0≦y≦0.5、0≦z≦0.5)で表せる組成を有するリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物が好ましい。このリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物の使用により、より高温耐久寿命を得ることができる。
正極活物質粒子は、1種類の粒子を含んでいてもよいし、又は複数種類の粒子を含んでいてもよい。
先に説明したように、第1の活物質含有層は、導電剤及び結着剤を更に含むことができる。そのため、正極活物質含有層も、導電剤及び結着剤を更に含むことができる。導電剤としては、例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛等を用いることができる。結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴムなどを用いることができる。
正極活物質含有層中の正極活物質、導電剤及び結着剤の配合比は、正極活物質は80重量%以上95重量%以下、導電剤は3重量%以上18重量%以下、結着剤は2重量%以上7重量%以下の範囲にすることが好ましい。導電剤については、3重量%以上であることにより上述した効果を発揮することができ、18重量%以下であることにより、高温保存下での導電剤表面での非水電解質の分解を低減することができる。結着剤については、2重量%以上であることにより十分な電極強度が得られ、7重量%以下であることにより、電極の絶縁部を減少させることができる。
正極活物質含有層(片面)の厚さは、10μm以上120μm以下とすることができる。正極集電体の両面に正極活物質含有層が形成されている場合、正極活物質含有層の合計厚さは20μm以上240μm以下にすることができる。
2.固体電解質層
固体電解質層は、第1の活物質含有層に対向する表面を有する。固体電解質層のこの表面は、例えば、第1の活物質含有層の表面のうち最も大きい面積を有する主面に対向することができる。固体電解質層は、第1の活物質含有層の主面以外の面に対向する表面を有していてもよい。例えば、固体電解質層は、第1の活物質含有層のうち集電体に対向する表面以外の表面を被覆するように形成されていてもよい。
固体電解質層は、固体電解質粒子を含むことができる。固体電解質粒子は、例えば、Liイオン伝導性を有する無機固体粒子であり得る。Liイオン伝導性を有する無機固体粒子は、高いLiイオン伝導性を示すことが好ましい。具体的には、Liイオン伝導性を有する無機固体粒子の25℃におけるLiイオン伝導率は、1×10-10S/cm2以上であることが好ましく、1×10-6S/cm2以上であることがより好ましい。25℃におけるLiイオン伝導率が1×10-6S/cm以上であると、固体電解質粒子表面近傍のLiイオン濃度が高くなりやすいため、レート性能及び低温性能がより高まる。Liイオン伝導性を有する無機固体粒子の25℃におけるLiイオン伝導率は、例えば、1×10-2S/cm以下である。Liイオン伝導率は、1×10-5S/cm以上1×10-2S/cm以下の範囲内にあることが特に好ましい。
例えば、固体電解質粒子は、硫化物系のLi2SeP2S5系ガラスセラミックス、ペロ
ブスカイト型構造を有する無機化合物(例えば、Li0.5La0.5TiO3)、LiSIC
ON型構造を有する無機化合物、NASICON型骨格を有するLATP(Li1+xAlxTi2-x(PO4)3)(0.1≦x≦0.4)及びLi3.6Si0.6PO4、アモルファス
状のLIPON(Li2.9PO3.3N0.46)、及びガーネット型構造を有する無機化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む。固体電解質粒子は、1種類の化合物の粒子を含んでよいし、又は2種類以上の化合物の粒子を含んでいてもよい。或いは、固体電解質粒子の各々が種類以上の化合物を含んでいてもよい。
固体電解質粒子は、NASICON型骨格を有するLATP、アモルファス状のLIPON、ガーネット型のLLZ(Li7La3Zr2O12)などの酸化物を含んでいることが好ましい。
固体電解質粒子は、これらの中でも、ガーネット型構造を有する無機化合物を含んでいることが好ましい。ガーネット型構造を有する無機化合物は、Liイオン伝導性及び耐還元性が高く、電気化学窓が広いため好ましい。ガーネット型構造を有する無機化合物としては、例えば、Li5+xAyLa3-yM2O12(AはCa,Sr及びBaからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、MはNb及びTaからなる群より選ばれる少なくとも1種である)、Li3M2-xZr2O12(MはTa及びNbからなる群より選ばれる少なくとも1種である)、Li7-3xAlxLa3Zr3O12、及びLi7La3Zr2O12が挙げられる。上記において、xは、例えば0≦x<0.8であり、好ましくは、0≦x≦0.5である。yは、例えば0≦y<2である。ガーネット型構造を有する無機化合物は、これら化合物のうちの1種からなっていてもよく、これら化合物の2種以上を混合して含んでいてもよい。これらの中でもLi6.25Al0.25La3Zr3O12及びLi7La3Zr2O12はイオン伝導性が高く、電気化学的に安定なため、放電性能とサイクル寿命性能に優れる。更に、これら化合物は、微粒子化しても後述する有機電解質に対して化学的に安定であるという利点がある。
他の好ましい態様では、固体電解質粒子は、例えば、NASICON型骨格を有するLiM2(PO4)3で表される組成を有する化合物を含む。上記式において、Mは、Ti、Ge,Sr、Zr,Sn及びAlからなる群より選択される少なくとも1種である。例えば、Li1+xAlxGe2-x(PO4)3、Li1+xAlxZr2-x(PO4)3又はLi1+xAlxTi2-x(PO4)3で表される組成を有する化合物は、高いLiイオン伝導性を示すことができ、優れた電気化学的安定性を示すことができる。ここで、0.1≦x≦0.4である。
固体電解質粒子は、例えば、1nm以上5μm以下(0.001μm以上5μm以下)の平均粒子径を有することができる。固体電解質粒子の平均粒子径は、0.05μm以上5μm以下であることが好ましく、0.1μm以上5μm未満であることがより好ましく、0.1μm以上2μm以下であることが特に好ましい。
固体電解質層は、固体電解質粒子同士を結着させる結着剤を更に含んでもよい。結着剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴムなどを用いることができる。或いは、固体電解質層は、結着剤を含まなくてもよい。
固体電解質層は、例えば、0.5μm以上30μm以下の厚さを有することができる。固体電解質層は、2μm以上10μm以下の厚さを有することが好ましい。
3.誘電体粒子
誘電体粒子は、例えば0.001μm以上0.5μm以下の平均粒子径を有することができる。誘電体粒子の平均粒子径は、好ましくは2nm以上100nm以下であり、より好ましくは2nm以上50nm以下である。
誘電体粒子は、例えば、島状に配置されていてもよい。島状の誘電体粒子は、互いに独立して不連続に分布している。各島は、1つの誘電体粒子を含むこともできるし、又は複数の誘電体粒子を含むこともできる。
誘電体は、活物質含有層か、固体電解質層、または活物質含有層及び固体電解質層の双方に島状に配置されていても良い。活物質含有層に誘電体が島状に配置された部分(混合層)及び固体電解質層に誘電体が島状に配置された部分(混合層)それぞれの平均厚さは、例えば0.001μm以上3μm以下であり、好ましくは50nm以上1μm以下である。
誘電体粒子は、例えば、4以上の比誘電率を有することができる。誘電体粒子の比誘電率は、4以上10000以下であることが好ましく、100以上5000以下であることがより好ましい。
誘電体粒子は、例えば、チタン酸バリウムの粒子(比誘電率:100以上6000以下)、ジルコニアの粒子(比誘電率:20以上70以下)、チタニアの粒子(比誘電率:30以上200以下)及びアルミナの粒子(比誘電率:5以上12以下)からなる群より選択される少なくとも1種の粒子を含むことができる。この中でも、チタン酸バリウムは、高い比誘電率を示すことができるため、好ましい。
活物質粒子が負極活物質粒子を含む場合、誘電体粒子は、チタン酸バリウムの粒子、ジルコニアの粒子及びアルミナの粒子からなる群より選択される少なくとも1種の粒子を含むことが好ましい。
誘電体粒子は、固体電解質層の表面に対向する第1の活物質含有層の表面から5μm以下の深さまで、第1の活物質含有層中に埋め込まれていることが好ましい。埋め込み深さは、1μm以下であることがより好ましい。
好ましい態様では、第1の活物質含有層のうち、固体電解質層の表面に対向する表面から5μmを超える深さの部分には、誘電体粒子が存在していない。すなわち、この好ましい態様では、第1の活物質含有層のうち、固体電解質層の表面に対向する表面から5μまでの深さの部分のみに、誘電体粒子が存在する。この好ましい態様では、充放電に寄与しない誘電体粒子が第1の活物質含有層の内部に含まれないため、より高いエネルギー密度を実現することができる。
誘電体粒子は、その一部が、固体電解質層中に存在していてもよい。例えば、誘電体粒子は、その一部が、固体電解質層中に埋め込まれていてもよい。この場合、誘電体粒子は、第1の活物質含有層に対向する固体電解質層の表面から1μm以下の深さまで、固体電解質層中に埋め込まれていることが好ましい。埋め込み深さは、0.5μm以下であることがより好ましい。
第1の電極複合体は、誘電体粒子を、第1の活物質含有層の重量に対して、3.5×10-8重量%以上1重量%以下の量で含んでいることが好ましく、5×10-8重量%以上0.0006重量%以下の量で含んでいることがより好ましい。
4.集電体
集電体としては、アルミニウム箔を用いることが好ましい。アルミニウム箔としては、純アルミニウム(純度100%)から純度98%以上のアルミニウム合金箔を用いることが好ましい。より好ましいアルミニウム純度は99.0%以上である。この範囲であると不純物元素の溶解による高温サイクル寿命劣化を軽減することができる。特に好ましいアルミニウム純度は、99.99%以上である。
アルミニウム合金としては、アルミニウムの他に、鉄、マグネシウム、亜鉛、マンガン及びケイ素よりなる群から選択される1種類以上の元素を含む合金が好ましい。例えば、Al−Fe合金、Al−Mn系合金およびAl−Mg系合金は、アルミニウムよりさらに高い強度を得ることが可能である。例えば、Al−Fe合金、Al−Mn系合金及びAl−Mg系合金は、アルミニウムよりさらに高い強度を得ることが可能である。一方、アルミニウム及びアルミニウム合金中の鉄、銅、ニッケル、クロムなどの遷移金属の含有量は100ppm以下(0ppmを含む)にすることが好ましい。例えば、Al−Cu系合金を用いると、強度は高まるが、耐食性は悪化するので、集電体としては不適である。
アルミニウム箔およびアルミニウム合金箔の厚さは、20μm以下が好ましく、より好ましくは15μm以下である。
(製造方法)
第1の実施形態に係る電極複合体は、例えば以下の手順で作製することができる。
第1の例の方法では、まず、活物質粒子を、例えば導電剤及び結着剤と共に、適当な溶媒に懸濁させて懸濁物を得る。この懸濁物を集電体に塗布して、塗膜を得る。次いで、塗膜が乾燥する前に、誘電体粒子を塗膜上に供給する。この供給を行うための具体的な手段としては、例えば、誘電体粒子を含む液のスプレー、誘電体粒子を含む懸濁物の塗布、誘電体粒子を含む懸濁物への塗膜の浸漬が挙げられる。次いで、活物質粒子を含む塗膜及び誘電体粒子上に、固体電解質粒子を供給し、複合体を得る。供給する手段は、誘電体粒子の供給と同様の手段を用いることができる。次いで、活物質粒子を含む塗膜が乾燥する前に、以上のようにして得られた複合体をプレスすることにより、誘電体粒子の一部を、活物質粒子を含む塗膜中に沈み込ませることができる。この状態で複合体を乾燥させることにより、第1の実施形態に係る電極複合体を得ることができる。
第2の例の方法では、まず、活物質粒子を含んだ懸濁物と誘電体粒子を含んだ懸濁物とを、集電体上に同時に塗布する。この際、集電体上に活物質粒子を含んだ塗膜が供給され、この塗膜の上に誘電体粒子を含んだ塗膜が供給されるようにする。次いで、誘電体粒子を含んだ塗膜上に、例えば先に説明した手段で固体電解質粒子を供給し、複合体を得る。次いで、複合体を乾燥させ、次いでプレスすることにより、第1の実施形態に係る電極複合体を得ることができる。上記方法によると、プレス時の、活物質含有層及び固体電解質層の表面が平坦ではなく、尚且つ層内に空隙が多いので、プレスするときに誘電体粒子が活物質含有層に、場合によっては固体電解質層にも入り込みやすくなる。
活物質粒子が負極活物質粒子を含む場合には、例えば負極活物質粒子を含んだ懸濁液を調製する際、結着剤の添加量が少ない状態で負極活物質の粒子を均一分散させることが好ましい。これは、結着剤の添加量が多い場合、負極活物質粒子の分散性が高くなる傾向があるものの、負極活物質粒子の表面が結着剤で覆われやすく、負極活物質含有層の比表面積が小さくなるからである。なお、結着剤の添加量が少ないと、粒子が凝集しやすくなるため、攪拌条件(ボールミルの回転数、攪拌時間及び攪拌温度)を調整して粒子の凝集を抑えることによって、微粒子を均一分散させることができる。さらに、結着剤添加量と攪拌条件が適正範囲内でも、導電剤の添加量が多いと、負極活物質粒子の表面が導電剤で被覆されやすく、また、負極活物質含有層表面のポアも減少する傾向があることから、第1の活物質含有層の比表面積としては小さくなる傾向がある。また、導電剤の添加量が少ないと、負極活物質粒子が粉砕されやすくなって第1の活物質含有層の比表面積が大きくなったり、あるいは負極活物質粒子の分散性が低下して負極活物質含有層の比表面積が小さくなる傾向がある。さらには、導電剤の添加量だけでなく、導電剤の平均粒径と比表面積も負極活物質含有層の比表面積に影響を与え得る。導電剤は、平均粒径が負極活物質粒子の平均粒子径以下で、比表面積が負極活物質粒子の比表面積よりも大きいことが望ましい。
活物質粒子が正極活物質粒子を含む場合、プレス圧力は、0.15ton/mm以上0.3ton/mm以下とすることが好ましい。この範囲でプレスを行うと、正極活物質含有層と集電体との密着性(剥離強度)を高めることができると共に、集電体の伸び率を20%以下に抑えることができる。
(各種測定方法)
[測定対象の準備]
二次電池に含まれている電極複合体を測定対象とする場合、以下の手順で電極複合体を二次電池から取り出す。
まず、電池を完全に放電した状態にする。電池を25℃環境において0.1C電流で定格終止電圧まで放電させることで、電池を放電状態にすることができる。
次に、アルゴンを充填したグローブボックス中で電池を分解して電極複合体(或いは、電極群)を取り出す。かくして、測定対象の電極複合体を準備することができる。
[状態観察]
取り出した電極複合体を、電極の積層方向に切断する。切断には、収束イオンビーム(Focused Ion Beam: FIB)を用いる。それにより、組織構造を破壊せずに、切断面を得ることができる。切断に際しては、取り出した電極複合体の平面形状が四角形状(又はその他の多角形状)であった場合は、電極複合体の表面の対角線と電極が積層された方向とに平行な断面が得られるように切断する。或いは、取り出した電極複合体の平面形状が円形(または楕円形を含む略円形状)であった場合は、電極複合体の円の直径線と電極が積層された方向とに平行な断面が得られるように切断する。
かくして得られた切断面を、エネルギー分散型X線分光装置(Energy Dispersive X-ray spectrometer:EDX)を附属した走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope: SEM)を用いて両端まで観察する。EDXにより、断面に含まれている粒子の組成(Li以外)を同定することができる。これらの結果、第1の活物質含有層、固体電解質層及び誘電体粒子の配置、並びに第1の活物質含有層、固体電解質層及び誘電体粒子の島のそれぞれの厚さを確認することができる。
また、この観察により得られたSEM像において、断面に含まれている活物質粒子、固体電解質粒子及び誘電体粒子をそれぞれ無作為に選択して、粒子径の測定を行う。この際、少なくとも100個の粒子を測定する。100点の測定結果の平均値を、平均粒子径とする。
ここで、粒子径は次のようにして決定することができる。まず、先のようにして得られたSEM像において選択した測定対象の粒子に対し、最小外接円を描く。具体的には、図12に示すように、粒子Pを包絡する円(すなわち外接円)のうち、直径が最小の円C、すなわち最小外接円を描く。この最小外接円の直径を、粒子径として定義する。
[各粒子の分析]
取り出した電極複合体の第1の活物質含有層と固体電解質層との界面を含んだ部分を、例えばSAICAS:サイカス(Surface and Inter-facial Cutting Analysis System) 法にて削り取る。かくして、試料を得る。
得られた試料を、純水に分散して、遠心分離に供する。遠心分離されたそれぞれの部分を、フリーズドライ装置を用いて回収する。かくして、試料から、組成及び粒子径が異なる粒子を分離することができる。分離した粒子のそれぞれを、粉末X線回折測定、ICP、BET法に依る比表面積測定、イオン伝導率測定及び誘電率測定に供することにより、試料に含まれていた粒子の各種特性を調べることができる。もちろん、各粒子をこれら方法以外の分析に供することもできる。
[ICP分析]
誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)発光分光法によると、試料に含まれるLiを含んだ金属元素の濃度を確認することができる。ICP発光分光法による分析は、具体的には、以下の手順に従って行う。試料である粒子を酸で溶解し、試料に含まれていた化合物を含む液体サンプルを作成する。このとき、酸としては塩酸、硝酸、硫酸、フッ化水素などを使用できる。この液体サンプルをICP発光分光分析に供することで、各粒子に含まれる金属元素(Liを含む)の組成を知ることができる。
[粉末X線回折測定]
各粒子をCu−Kα線源を用いた粉末X線回折法に供することにより、各粒子に含まれている化合物の結晶構造を調べることができる。
粉末X線回折測定の装置としては、Rigaku社製SmartLabを用いる。測定条件は以下の通りとする:Cuターゲット;45kV 200mA;ソーラスリット:入射及び受光共に5°;ステップ幅:0.02deg;スキャン速度:20deg/分;半導体検出器:D/teX Ultra 250;試料板ホルダー:平板ガラス試料板ホルダー(厚さ0.5mm);測定範囲:5°≦2θ≦90°の範囲。その他の装置を使用する場合は、粉末X線回折用標準Si粉末を用いた測定を行って、上記装置によって得られる結果と同等のピーク強度、半値幅及び回折角の測定結果が得られる条件を見つけ、その条件で試料の測定を行う。
測定に際しては、まず、測定対象の粒子を粉砕して、平均粒子径が約5μmの試料を調製する。平均粒子径はレーザー回折法によって求めることができる。得られた試料を、ガラス試料板上に形成された深さが0.2mmであるホルダー部分に充填する。この際、試料が十分にホルダー部分に充填されるように留意する。
次いで、充填した試料に対して外部から別のガラス板を押し付けて、充填された試料の表面を平滑化する。充填された試料にひび割れ、空隙、凹凸等が生じないように、過不足ない量の試料を充填するように注意する。また、ガラス板は十分な圧力で押し付けるように留意する。
次いで、試料が充填されたガラス板を粉末X線回折装置に設置する。この装置にて、試料を、Cu−Kα線源の平行ビーム法を用いたX線回折法による測定に供して、粉末X線回折パターンを得る。
なお、試料の配向性が高い場合は、試料の充填の仕方によってピークの位置がずれたり、ピーク強度比が変化したりする可能性がある。このような配向性が著しく高い試料は、キャピラリを用いて測定する。具体的には、試料をキャピラリに挿入し、このキャピラリを回転式試料台に載置して測定する。このような測定方法により、配向性を緩和することができる。
以上のようにして得られたXRDパターンを、リートベルト法によって解析する。リートベルト法では、あらかじめ推定した結晶構造モデルから回折パターンを計算する。結晶構造のモデルは、上記EDX分析の結果及びICP発光分光分析の結果から得られる化合物の組成から推定できる。この計算値と実測値とを全てフィッティングすることにより、結晶構造に関するパラメータ(格子定数、原子座標、占有率等)を精密に分析することができる。これにより、活物質の結晶構造の特徴を調べることができる。リートベルト解析における観測強度と計算強度の一致の程度を見積もるための尺度として、フィッティングパラメータSを用いる。このSが1.8より小さくなるように解析を行う必要がある。また、各サイトの占有率gを決定する際には、標準偏差σjを考慮に入れなければならない。ここで定義するフィッティングパラメータS及び標準偏差σjについては、「粉末X線解析の実際」日本分析化学会X線分析研究懇談会編 中井泉、泉富士夫編著(第2版、朝倉書店、2009年7月10日発行、p.97〜115)に記載の数式で推定するものとする。
一方、電極複合体中に含まれた粒子を互いに単離できない場合は、電極複合体全体を粉末X線回折測定することで、各粒子に含まれている化合物の結晶構造及び結晶性を調べることもできる。上記リートベルト法を用いた解析によると、2相以上の共存状態においても、各混合物の物質同定や混合比などの定量的な情報を得ることができる。電極複合体をそのまま粉末X線回折測定する際には、測定対象とする試料の厚みと測定用ホルダーの深さとを合わせて、X線を照射する測定面に凹凸が生じないようにする。X線回折法による測定は、40kV200mA以上の出力が得られるCu−Kα線源の平行ビーム法を用い、Kβフィルターまたはモノクロメータを用いて行う。測定は、ステップ角2θ=0.02°以下、より好ましくは2θ=0.01°以下とし、θ/2θ連動スキャンモードにおける走査速度を5deg/min以下、より好ましくは1deg/minとした状態で、最強度ピークのカウントが5000cps以上となる条件で行う。
[BET比表面積]
BET比表面積の測定にあたっては、粉体粒子表面に吸着占有面積が既知である分子を液体窒素の温度で吸着させ、その量から試料の比表面積を求める方法を用いる。最も良く利用されるのが不活性気体の低温低湿物理吸着によるBET法であり、単分子層吸着理論であるLangmuir理論を多分子層吸着に拡張した、比表面積の計算方法として最も有名な理論である。これにより求められた比表面積のことを、BET比表面積と称する。
[固体電解質粒子のイオン伝導率測定]
固体電解質粒子のイオン伝導率は、以下の手順で測定することができる。
固体電解質粒子を、錠剤成形器を用いて、圧粉体に成形する。例えば、200mgの固体電解質の粉末を直径10mmの円筒形状に圧粉成形し、この圧粉体を1100℃で5時間加熱処理に供することにより、錠剤状の圧粉体を得ることができる。この圧粉体の両面に金(Au)電極をスパッタリングにより蒸着し、測定試料とする。
次いで、この測定試料に対して、ソーラトロン社製周波数応答アナライザ1260型を用いて測定を行う。測定周波数範囲は、5Hzから32MHzの範囲とする。測定は、測定試料を大気に暴露することなく乾燥アルゴン雰囲気下に入れ、25℃環境下にて行う。測定結果から、室温におけるバルク抵抗R(Ω)を見積もることができる。また、錠剤状の固体電解質の厚みをノギスで測定しそれをL(cm)とする。また、錠剤状の固体電解質の断面積をS(cm2)とする。得られた値を用いて下式に従ってイオン伝導度(σ)を計算することができる。
[誘電体粒子の誘電率の測定]
同軸共振器法(800MHz−18GHz)或は空洞共振器法(1GHz−50GHz)で誘電体粒子の誘電率の測定を行う。
次に、第1の実施形態に係る電極複合体の幾つかの例を、より具体的に説明する。
まず、図3〜図5を参照しながら第1の例の電極複合体を説明する。
図3は、第1の実施形態に係る一例の電極複合体の概略斜視図である。図4は、図3に示す電極複合体の概略分解斜視図である。図5は、図3の線分V−V’に沿った概略断面図である。
図3〜図5に示す電極複合体50は、第1の活物質含有層51と、固体電解質層52とを含む。
図5に示すように、第1の活物質含有層51は、その一部が固体電解質層52の一部と接している。図5には図示していないが、第1の活物質含有層51は、活物質粒子を含み、且つ固体電解質層に対向する表面を有する。また、固体電解質層52は、第1の活物質含有層51に対向する表面を有する。第1の活物質含有層51の表面の一部と固体電解質層52の表面の一部とは、図5に示す界面50iを形成している。
図3〜図5に示す電極複合体50は、図4及び図5に示す誘電体粒子53を更に含む。図5に示すように、誘電体粒子53の各々は、その一部が第1の活物質含有層51に埋め込まれている。また、図4に示すように、誘電体粒子53は、第1の活物質含有層51の全体にわたって配置されているが、互いに独立している。
そして、図5に示すように、誘電体粒子53の各々は、その一部が固体電解質層52中に埋め込まれており、それによって固体電解質層52の表面の一部に接している。
次に、図6〜図9を参照しながら、第2の例の電極複合体を説明する。
図6は、実施形態に係る一例の電極複合体の断面SEM像である。図7は、図6のSEM像のVII部の拡大像である。図8は、図7に示す像におけるBaについてのマッピング画像である。図9は、図7に示す像におけるTiについてのマッピング画像である。図10は、図7に示す誘電体粒子及び活物質粒子の拡大像である。
図6に断面SEM像を示す電極複合体50は、集電体55と、集電体55の2つの表面にそれぞれ形成された第1の活物質含有層51と、第1の活物質含有層51の上にそれぞれ形成された固体電解質層52とを含む。第1の活物質含有層51は、図7に示す活物質粒子51aを含む。固体電解質層52は、図7に示す固体電解質粒子52aを含む。
この例の電極複合体50は、図7に示す誘電体粒子53を更に含む。誘電体粒子53は、チタン酸バリウムの粒子である。誘電体粒子53は、活物質粒子51a及び固体電解質粒子52aに比べて非常に小さい。そのため、図7に示す像の倍率では、誘電体粒子53を個別に視認することが困難である。しかしながら、図8に示すBaについてのマッピング画像及び図9に示すTiについてのマッピング画像から、誘電体粒子53は、第1の活物質含有層51中に埋め込まれており、且つ固体電解質層52の表面の一部に接していることを確認することができる。なお、図8及び図9から、Ba及びTiが第1の活物質含有層51中及び固体電解質層52中に分散していることが確認できる。また、図10に示す像は、図6に矢印で示すX方向から、電極複合体の活物質含有層及び誘電体粒子を観察した像である。図10の像において、大きい方の粒子が活物質粒子であり、小さい方の粒子が誘電体粒子である。図10の像から明らかなように、誘電体粒子は、誘電体粒子に囲まれている。
次に、図11を参照して、第1実施形態に係る第3の例の電極複合体を説明する。
図11は、第1の実施形態に係る第3の例の電極複合体の概略断面図である。
図11に示す電極複合体50は、集電体55と、集電体55の一方の表面に形成された第1の活物質含有層51と、第1の活物質含有層51のうち集電体55に接した面を除く面を被覆した固体電解質層52とを含む。電極複合体50は、誘電体粒子53を含む。誘電体粒子53の各々は、一部が第1の活物質含有層51中に埋め込まれており、且つ固体電解質層52の表面の一部に接している。
第1の実施形態に係る電極複合体は、第1の活物質含有層と、固体電解質層と、誘電体粒子とを具備する。第1の活物質含有層は活物質粒子を含む。誘電体粒子は、固体電解質層の表面の一部に接し、且つ一部が第1の活物質含有層中に存在している。このような誘電体粒子は、固体電解質層にLiイオン欠損層が生じるのを防ぐことができる。その結果、第1の実施形態に係る電極複合体は、高いエネルギー密度を示すことができると共に、優れた入出力性能を示すことができる二次電池を提供することができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態によると、電極群が提供される。この電極群は、第1の実施形態に係る電極複合体と、第2の活物質含有層とを具備する。第2の活物質含有層は、電極複合体の固体電解質層を介して第1の活物質含有層と対向している。
第1の活物質含有層が負極活物質含有層である場合、第2の活物質含有層は正極活物質含有層であり得る。また、第1の活物質含有層が正極活物質含有層である場合、第2の活物質含有層は負極活物質含有層である。
第2の活物質含有層が正極活物質含有層である場合、この正極活物質含有層は、第1の実施形態のセクションで説明した、正極活物質含有層が含むことができる材料を含むことができる。同様に、第1の活物質含有層が負極活物質含有層である場合、この負極活物質含有層は、第1の実施形態のセクションで説明した、負極活物質含有層が含むことができる材料を含むことができる。
第2の実施形態に係る電極群は、例えば、第1の活物質含有層を担持する第1の集電体と、第2の活物質含有層を担持する第2の集電体とを更に含むことができる。第1の活物質含有層が負極活物質含有層である場合、負極活物質含有層である第1の活物質含有層と第1の集電体とは、負極を構成することができる。また、正極活物質含有層である第2の活物質含有層と第2の集電体とは、正極を構成することができる。或いは、第1の活物質含有層が正極活物質含有層である場合、正極活物質含有層である第1の活物質含有層と第1の集電体とは、正極を構成することができる。また、負極活物質含有層である第2の活物質含有層と第2の集電体とは、負極を構成することができる。
第2の実施形態に係る電極群は、例えば、捲回型構造を有することができる。捲回型構造の電極群は、電極積層体が渦巻状に捲回されたものである。この電極積層体は、例えば、正極活物質含有層と、固体電解質層と、負極活物質含有層とを、この順で積層された状態で含んでいる。この態様の電極群は、先に説明した誘電体粒子を更に含んでいる。誘電体粒子は、固体電解質層の表面の一部に接している。また、誘電体粒子の各々の一部は、正極活物質含有層又は負極活物質含有層中の何れかに存在している。或いは、誘電体粒子は、正極活物質含有層中に各々の一部が存在した誘電体粒子の第1の群と、負極活物質含有層中に各々の一部が存在した誘電体粒子の第2の群とを含むこともできる。捲回型電極群は、例えば、扁平形状であってもよい。
或いは、電極群は、例えば、スタック型構造を有することができる。スタック型構造の電極群は、例えば、複数の正極と、複数の負極と、複数の固体電解質層とを含む。固体電解質層は、1つの正極活物質含有層と1つの負極活物質含有層との間に配置される。更に、この電極群は、先に説明した誘電体粒子を更に含んでおり、誘電体粒子は、固体電解質層の表面の一部に接しており、且つ誘電体粒子の一部は、正極活物質含有層中又は負極活物質含有層中に存在している。
或いは、スタック型構造の電極群は、例えば、複数のバイポーラ構造の電極を含むことができる。バイポーラ構造の電極は、例えば、1つの集電体上に、正極活物質含有層及び負極活物質含有層が形成されている。例えば、集電体の一方の表面上に正極活物質含有層が形成されており、集電体の他方の表面上に負極活物質含有層が形成されている。例えば、電極群は、バイポーラ構造を有する第1の電極と、バイポーラ構造を有する第2の電極とを具備し、第1の電極の正極活物質含有層が、固体電解質層を介して、第2の電極の負極活物質含有層に対向することができる。この態様の電極群は、誘電体粒子を更に含む。誘電体粒子は、固体電解質層の表面の一部に接している。また、誘電体粒子の各々の一部は、第1の電極の正極活物質含有層又は第2の電極の負極活物質含有層中の何れかに存在している。或いは、誘電体粒子は、第1の電極の正極活物質含有層中に各々の一部が存在した誘電体粒子の第1の群と、第2の電極の負極活物質含有層中に各々の一部が存在した誘電体粒子の第2の群とを含むこともできる。
第2の実施形態に係る電極群は、セパレータを更に具備することもできる。セパレータは、第1の活物質含有層と、第2の活物質含有層との間に配置され得る。セパレータは、例えば、ポリエチレン(polyethylene;PE)、ポリプロピレン(polypropylene;PP)、セルロース、若しくはポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)を含む多孔質フィルム、又は合成樹脂製不織布から形成される。
次に、第2の実施形態に係る電極群の幾つかの例を、図面を参照しながら説明する。
まず、図13を参照しながら、第1の例の電極群を説明する。
図13に示す電極群1は、負極3と、正極5と、固体電解質層52とを含む。
負極3は、負極集電体3aと、負極集電体3aの表面の一部上に形成された負極活物質含有層3bとを具備する。負極活物質含有層3bは、図示しない負極活物質粒子を含んでいる。正極5は、正極集電体5aと、正極集電体5aの表面の一部上に形成された正極活物質含有層5bとを具備する。正極活物質含有層5bは、図示しない正極活物質粒子を含んでいる。
固体電解質層52は、負極活物質含有層3bの負極集電体3aと接していない面を被覆している。また、固体電解質層52は、正極活物質含有層5bの正極集電体5aと接していない面を被覆している。固体電解質層52は、更に、負極集電体3aの表面のうち負極活物質含有層3bを担持していない部分の一部と、正極集電体5aの表面のうち正極活物質含有層5bを担持していない部分の一部とを被覆している。
図13に示すように、固体電解質層52の負極活物質含有層3bに対向した表面の一部は、誘電体粒子53に接しており、負極活物質含有層3bには接していない。また、この誘電体粒子53の一部は、負極活物質含有層3b中に埋め込まれている。同様に、固体電解質層52の正極活物質含有層5bに対向した表面の一部は、誘電体粒子53に接しており、正極活物質含有層5bには接していない。また、この誘電体粒子53の一部は、正極活物質含有層5b中に埋め込まれている。
負極集電体3a、負極活物質含有層3b、負極活物質含有層3b中に一部が存在した誘電体粒子53、及び固体電解質層52は、第1の実施形態に係る1つの電極複合体50を構成する。同様に、正極集電体5a、正極活物質含有層5b、正極活物質含有層5b中に一部が存在した誘電体粒子53、及び固体電解質層52は、第1の実施形態に係る他の1つの電極複合体50を構成する。
図14及び図15にそれぞれ示す電極群1は、図13に示した電極群1の変形例である。
図14に示す電極群1は、以下の点で図13に示した電極群11と異なる。まず、図14に示す電極群1は、固体電解質層52の正極活物質含有層5bに対向する表面に接した誘電体粒子を含んでいない。また、正極活物質含有層5bのうち、負極活物質含有層3bに向き合った表面以外の表面は、固体電解質層52に被覆されていない。そして、固体電解質層52は、正極集電体5aの表面の一部を被覆していない。しかしながら、図14に示す電極群1は、負極集電体3a、負極活物質含有層3b、負極活物質含有層3b中に一部が存在した誘電体粒子53、及び固体電解質層52によって構成された電極複合体50を含んでいる。
図15に示す電極群1は、以下の点で図13に示した電極群11と異なる。図15に示す電極群1は、固体電解質層52の負極活物質含有層3bに対向する表面に接した誘電体粒子を含んでいない。しかしながら、図15に示す電極群1は、正極集電体5a、正極活物質含有層5b、正極活物質含有層5b中に一部が存在した誘電体粒子53、及び固体電解質層52によって構成された電極複合体50を含んでいる。
第2の実施形態に係る電極群は、第1の実施形態に係る電極複合体を具備しているので、優れた入出力性能を示すことができる二次電池を提供することができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態によると、第2の実施形態に係る電極群を具備する二次電池が提供される。
第3の実施形態に係る二次電池は、固体電解質層に含まれる電解質以外の電解質を含むこともできる。このような電解質としては、例えば、液状電解質又はゲル状電解質が挙げられる。液状電解質又はゲル状電解質は、電極群に保持されることができる。
また、第3の実施形態に係る二次電池は、電極群及び電解質を収容する外装部材を更に具備することができる。
さらに、第3の実施形態に係る二次電池は、負極活物質含有層に電気的に接続された負極端子及び正極活物質含有層に電気的に接続された正極端子を更に具備することができる。
第3の実施形態に係る二次電池は、例えばリチウム二次電池であり得る。また、二次電池は、非水電解質を含んだ非水電解質二次電池を含む。
以下、固体電解質以外の電解質、外装部材、負極端子及び正極端子について詳細に説明する。
(a)更なる電解質
液状非水電解質は、溶質としての電解質塩を有機溶媒に溶解することにより調製される。電解質塩の濃度は、0.5 mol/L以上2.5 mol/L以下であることが好ましい。
電解質塩の例には、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、及びビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム(LiN(CF3SO2)2)のようなリチウム塩、及び、これらの混合物が含まれる。電解質塩は、高電位でも酸化し難いものであることが好ましく、LiPF6が最も好ましい。
有機溶媒の例には、プロピレンカーボネート(propylene carbonate;PC)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate;EC)、ビニレンカーボネート(vinylene carbonate;VC)のような環状カーボネート;ジエチルカーボネート(diethyl carbonate;DEC)、ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate;DMC)、メチルエチルカーボネート(methyl ethyl carbonate;MEC)のような鎖状カーボネート;テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran;THF)、2メチルテトラヒドロフラン(2-methyl tetrahydrofuran;2MeTHF)、ジオキソラン(dioxolane;DOX)のような環状エーテル;ジメトキシエタン(dimethoxy ethane;DME)、ジエトキシエタン(diethoxy ethane;DEE)のような鎖状エーテル;γ-ブチロラクトン(γ-butyrolactone;GBL)、アセトニトリル(acetonitrile;AN)、及びスルホラン(sulfolane;SL)が含まれる。これらの有機溶媒は、単独で、又は混合溶媒として用いることができる。
ゲル状非水電解質は、液状非水電解質と高分子材料とを複合化することにより調製される。高分子材料の例には、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile;PAN)、ポリエチレンオキサイド(polyethylene oxide;PEO)、又はこれらの混合物が含まれる。
或いは、更なる電解質としては、液状非水電解質及びゲル状非水電解質の他に、リチウムイオンを含有した常温溶融塩(イオン性融体)及び高分子固体電解質が挙げられる。
常温溶融塩(イオン性融体)は、有機物カチオンとアニオンとの組合せからなる有機塩の内、常温(15℃以上25℃以下)で液体として存在し得る化合物を指す。常温溶融塩には、単体で液体として存在する常温溶融塩、電解質塩と混合させることで液体となる常温溶融塩、有機溶媒に溶解させることで液体となる常温溶融塩、又はこれらの混合物が含まれる。一般に、二次電池に用いられる常温溶融塩の融点は、25℃以下である。また、有機物カチオンは、一般に4級アンモニウム骨格を有する。
高分子固体電解質は、電解質塩を高分子材料に溶解し、固体化することによって調製される。
(b)外装部材
外装部材としては、例えば、ラミネートフィルムからなる容器、又は金属製容器を用いることができる。
ラミネートフィルムの厚さは、例えば、0.5mm以下であり、好ましくは、0.2mm以下である。
ラミネートフィルムとしては、複数の樹脂層とこれらの樹脂層間に介在した金属層とを含む多層フィルムが用いられる。樹脂層は、例えば、ポリプロピレン(polypropylene;PP)、ポリエチレン(polyethylene;PE)、ナイロン、及びポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)等の高分子材料を含んでいる。金属層は、軽量化のためにアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔からなることが好ましい。ラミネートフィルムは、熱融着によりシールを行うことにより、外装部材の形状に成形され得る。
金属製容器の壁の厚さは、例えば、1mm以下であり、より好ましくは0.5mm以下であり、更に好ましくは0.3mm以下であり、特に好ましくは0.2mm以下である。
金属製容器は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金等から作られる。アルミニウム合金は、マンガン、マグネシウム、亜鉛、及びケイ素等の元素を含むことが好ましい。アルミニウム合金は、鉄、銅、ニッケル、及びクロム等の遷移金属を含む場合、その含有量は100重量ppm以下であることが好ましい。
上記アルミニウム箔の純度は、99.5%以上であることが好ましい。
上記アルミニウム合金は、マンガン、マグネシウム、亜鉛、ケイ素などの元素を含むアルミニウム純度99.8%以下の合金であることが好ましい。このようなアルミニウム合金は、飛躍的に増大した強度を示すことができる。そのため、このようなアルミニウム合金を用いると、容器の壁の厚さを更に薄くすることができる。その結果、薄型で軽量かつ高出力で放熱性に優れたな電池を実現することができる。
外装部材の形状は、特に限定されない。外装部材の形状は、例えば、扁平型(薄型)、角型、円筒型、コイン型、又はボタン型等であってもよい。外装部材は、電池寸法や電池の用途に応じて適宜選択することができる。
(c)負極端子
負極端子は、上述の負極活物質のLi吸蔵放出電位において電気化学的に安定であり、かつ導電性を有する材料から形成することができる。具体的には、負極端子の材料としては、銅、ニッケル、ステンレス若しくはアルミニウム、又は、Mg,Ti,Zn,Mn,Fe,Cu,及びSiからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むアルミニウム合金が挙げられる。負極端子の材料としては、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いることが好ましい。負極端子は、負極集電体との接触抵抗を低減するために、負極集電体と同様の材料からなることが好ましい。
(d)正極端子
正極端子は、リチウムの酸化還元電位に対し3V以上4.5V以下の電位範囲(vs.Li/Li+)において電気的に安定であり、且つ導電性を有する材料から形成することができる。正極端子の材料としては、アルミニウム、或いは、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu及びSiからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むアルミニウム合金が挙げられる。正極端子は、正極集電体との接触抵抗を低減するために、正極集電体と同様の材料から形成されることが好ましい。
次に、第3の実施形態に係る二次電池について、図面を参照しながらより具体的に説明する。
図16は、第3の実施形態に係る二次電池の一例を概略的に示す断面図である。図17は、図16に示す二次電池のA部を拡大した断面図である。
図16及び図17に示す二次電池100は、図16に示す袋状外装部材2と、図16及び図17に示す電極群1と、図示しない非水電解質とを具備する。電極群1及び電解質は、袋状外装部材2内に収納されている。非水電解質(図示しない)は、電極群1に保持されている。
袋状外装部材2は、2つの樹脂層とこれらの間に介在した金属層とを含むラミネートフィルムからなる。
図16に示すように、電極群1は、扁平状の捲回型電極群である。扁平状で捲回型である電極群1は、図17に示すように、負極3と、固体電解質層52と、正極5とを含む。固体電解質層52は、負極3と正極5との間に介在している。
負極3は、負極集電体3aと負極活物質含有層3bとを含む。負極3のうち、捲回型の電極群1の最外殻に位置する部分は、図17に示すように負極集電体3aの内面側のみに負極活物質含有層3bが形成されている。負極3におけるその他の部分では、負極集電体3aの両面に負極活物質含有層3bが形成されている。
正極5は、正極集電体5aと、その両面に形成された正極活物質含有層5bとを含んでいる。
図16に示すように、負極端子6及び正極端子7は、捲回型の電極群1の外周端近傍に位置している。この負極端子6は、負極集電体3aの最外殻に位置する部分に接続されている。また、正極端子7は、正極集電体5aの最外殻に位置する部分に接続されている。これらの負極端子6及び正極端子7は、袋状外装部材2の開口部から外部に延出されている。袋状外装部材2の内面には、熱可塑性樹脂層が設置されており、これが熱融着されていることにより、開口部が閉じられている。
また、図16及び図17に示す電極群1は、図示していない誘電体粒子を更に含んでいる。図16及び図17に示す電極群1では、図13に示す電極群1と同様に、誘電体粒子が固体電解質層52の表面の一部に接しており、且つ各々の誘電体粒子の一部が負極活物質含有層3b中又は正極活物質含有層5b中に埋め込まれている。すなわち、図16及び図17に示す電極群1は、第2の実施形態に係る一例の電極群である。
第1の実施形態に係る二次電池は、図16及び図17に示す構成の二次電池に限らず、例えば図18及び図19に示す構成の電池であってもよい。
図18は、第1の実施形態に係る二次電池の他の例を模式的に示す部分切欠斜視図である。図19は、図18に示す二次電池のB部を拡大した断面図である。
図18及び図19に示す二次電池100は、図18及び図19に示す電極群1と、図18に示す外装部材2と、図示しない非水電解質とを具備する。電極群1及び非水電解質は、外装部材2内に収納されている。電解質は、電極群1に保持されている。
外装部材2は、2つの樹脂層とこれらの間に介在した金属層とを含むラミネートフィルムからなる。
電極群1は、図19に示すように、積層型の電極群である。積層型の電極群1は、負極3と正極5とをその間に固体電解質層52を介在させながら交互に積層した構造を有している。
電極群1は、複数の負極3を含んでいる。複数の負極3は、それぞれが、負極集電体3aと、負極集電体3aの両面に担持された負極活物質含有層3bとを備えている。また、電極群1は、複数の正極5を含んでいる。複数の正極5は、それぞれが、正極集電体5aと、正極集電体5aの両面に担持された正極活物質含有層5bとを備えている。
各負極3の負極集電体3aは、その一辺において、いずれの表面にも負極活物質含有層3bが担持されていない部分3cを含む。この部分3cは、負極集電タブとして働く。図19に示すように、負極集電タブとして働く部分3cは、正極5と重なっていない。また、複数の負極集電タブ(部分3c)は、帯状の負極端子6に電気的に接続されている。帯状の負極端子6の先端は、外装部材2の外部に引き出されている。
また、図示しないが、各正極5の正極集電体5aは、その一辺において、いずれの表面にも正極活物質含有層5bが担持されていない部分を含む。この部分は、正極集電タブとして働く。正極集電タブは、負極集電タブ(部分3c)と同様に、負極3と重なっていない。また、正極集電タブは、負極集電タブ(部分3c)に対し電極群1の反対側に位置する。正極集電タブは、帯状の正極端子7に電気的に接続されている。帯状の正極端子7の先端は、負極端子6とは反対側に位置し、外装部材2の外部に引き出されている。
また、図18及び図19に示す電極群1は、図示していない誘電体粒子を更に含んでいる。図18及び図19に示す電極群1では、図13に示す電極群1と同様に、誘電体粒子が固体電解質層52の表面の一部に接しており、且つ各々の誘電体粒子の一部が負極活物質含有層3b中又は正極活物質含有層5b中に埋め込まれている。すなわち、図18及び図19に示す電極群1は、第2の実施形態に係る一例の電極群である。
次に、第3の実施形態に係る二次電池の他の例を、図20を参照しながら説明する。
図20に示す二次電池100は、電極群1と、外装部材12と、図示しない非水電解質とを具備する。
電極群11は、集電体8の一方の面に正極活物質含有層5bが形成され、他方の面に負極活物質含有層3bが形成された第1の積層体を含む。すなわち、第1の積層体は、バイポーラ構造を有する電極である。第1の積層体が含む負極活物質含有層3b上には、固体電解質層52が形成されている。
また、電極群1の一方の端部、例えば図20に示す上方の端部が含む第2の積層体は、集電体8の片面に負極活物質含有層3bと固体電解質層52とがこの順に設けられた積層体である。第2の積層体が含む集電体8には、正極端子7が電気的に接続されている。図示していないが、正極端子7は、外装部材12から外部に引き出されている。
また、電極群1の他方の端部、例えば図20に示す下方の端部が含む第3の積層体は、集電体8の片面に正極活物質含有層5bが設けられた積層体である。第3の積層体が含む集電体8には、負極端子6が電気的に接続されている。図示していないが、負極端子6は、外装部材12から外部に引き出されている。
図20に示す電極群1は、第2の積層体と、複数の第1の積層体と、第3の積層体とがこの順で積層されて構成されている。バイポーラ構造を有する電極である第1の積層体の数は、電池設計に応じて適宜変更することができる。
このようなバイポーラ構造を有する電極を具備する二次電池は、コンパクト且つ高容量であり、優れた寿命性能、熱安定性及び電気化学的安定性を達成できる。
また、図20に示す電極群1は、図示していない誘電体粒子を更に含んでいる。図20に示す電極群1では、図13に示す電極群1と同様に、誘電体粒子が固体電解質層52の表面の一部に接しており、且つ各々の誘電体粒子の一部が負極活物質含有層3b中又は正極活物質含有層5b中に埋め込まれている。すなわち、図20に示す電極群1は、第2の実施形態に係る一例の電極群である。
第3の実施形態に係る二次電池は、第2の実施形態に係る電極群を具備するので、優れた入出力性能を示すことができる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態によると、組電池が提供される。第4の実施形態に係る組電池は、第3の実施形態に係る二次電池を複数個具備している。
第4の実施形態に係る組電池において、各単電池は、電気的に直列若しくは並列に接続して配置してもよく、又は直列接続及び並列接続を組み合わせて配置してもよい。
次に、第4の実施形態に係る組電池の一例について、図面を参照しながら説明する。
図21は、第4の実施形態に係る組電池の一例を概略的に示す斜視図である。図21に示す組電池200は、5つの単電池100a〜100eと、4つのバスバー21と、正極側リード22と、負極側リード23とを具備している。5つの単電池100a〜100eのそれぞれは、第3の実施形態に係る二次電池である。
バスバー21は、例えば、1つの単電池100aの負極端子6と、隣に位置する単電池100bの正極端子7とを接続している。このようにして、5つの単電池100は、4つのバスバー21により直列に接続されている。すなわち、図21の組電池200は、5直列の組電池である。
図21に示すように、5つの単電池100a〜100eのうち、左端に位置する単電池100aの正極端子7は、外部接続用の正極側リード22に接続されている。また、5つの単電池100a〜100eうち、右端に位置する単電池100eの負極端子6は、外部接続用の負極側リード23に接続されている。
第4の実施形態に係る組電池は、第3の実施形態に係る二次電池を具備するので、優れた入出力性能を示すことができる。
(第5の実施形態)
第5の実施形態によると、電池パックが提供される。この電池パックは、第4の実施形態に係る組電池を具備している。この電池パックは、第4の実施形態に係る組電池の代わりに、単一の第3の実施形態に係る二次電池を具備していてもよい。
第5の実施形態に係る電池パックは、保護回路を更に具備することができる。保護回路は、二次電池の充放電を制御する機能を有する。或いは、電池パックを電源として使用する装置(例えば、電子機器、自動車等)に含まれる回路を、電池パックの保護回路として使用してもよい。
また、第5の実施形態に係る電池パックは、通電用の外部端子を更に具備することもできる。通電用の外部端子は、外部に二次電池からの電流を出力するため、及び/又は二次電池に外部からの電流を入力するためのものである。言い換えれば、電池パックを電源として使用する際、電流が通電用の外部端子を通して外部に供給される。また、電池パックを充電する際、充電電流(自動車などの動力の回生エネルギーを含む)は通電用の外部端子を通して電池パックに供給される。
次に、第5の実施形態に係る電池パックの一例について、図面を参照しながら説明する。
図22は、第5の実施形態に係る電池パックの一例を概略的に示す分解斜視図である。図23は、図22に示す電池パックの電気回路の一例を示すブロック図である。
図22及び図23に示す電池パック300は、収容容器31と、蓋32と、保護シート33と、組電池200と、プリント配線基板34と、配線35と、図示しない絶縁板とを備えている。
図22に示す収容容器31は、長方形の底面を有する有底角型容器である。収容容器31は、保護シート33と、組電池200と、プリント配線基板34と、配線35とを収容可能に構成されている。蓋32は、矩形型の形状を有する。蓋32は、収容容器31を覆うことにより、上記組電池200等を収容する。収容容器31及び蓋32には、図示していないが、外部機器等へと接続するための開口部又は接続端子等が設けられている。
組電池200は、複数の単電池100と、正極側リード22と、負極側リード23と、粘着テープ24とを備えている。
単電池100は、図16及び図17に示す構造を有している。複数の単電池100の少なくとも1つは、第1の実施形態に係る二次電池である。複数の単電池100は、外部に延出した負極端子6及び正極端子7が同じ向きになるように揃えて積層されている。複数の単電池100の各々は、図23に示すように電気的に直列に接続されている。複数の単電池100は、電気的に並列に接続されていてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されていてもよい。複数の単電池100を並列接続すると、直列接続した場合と比較して、電池容量が増大する。
粘着テープ24は、複数の単電池100を締結している。粘着テープ24の代わりに、熱収縮テープを用いて複数の単電池100を固定してもよい。この場合、組電池200の両側面に保護シート33を配置し、熱収縮テープを周回させた後、熱収縮テープを熱収縮させて複数の単電池100を結束させる。
正極側リード22の一端は、単電池100の積層体において、最下層に位置する単電池100の正極端子7に接続されている。負極側リード23の一端は、単電池100の積層体において、最上層に位置する単電池100の負極端子6に接続されている。
プリント配線基板34は、収容容器31の内側面のうち、一方の短辺方向の面に沿って設置されている。プリント配線基板34は、正極側コネクタ341と、負極側コネクタ342と、サーミスタ343と、保護回路344と、配線345及び346と、通電用の外部端子347と、プラス側配線348aと、マイナス側配線348bとを備えている。プリント配線基板34の一方の主面は、組電池200において負極端子6及び正極端子7が延出する面と向き合っている。プリント配線基板34と組電池200との間には、図示しない絶縁板が介在している。
正極側コネクタ341には、貫通孔が設けられている。この貫通孔に、正極側リード22の他端が挿入されることにより、正極側コネクタ341と正極側リード22とは電気的に接続される。負極側コネクタ342には、貫通孔が設けられている。この貫通孔に、負極側リード23の他端が挿入されることにより、負極側コネクタ342と負極側リード23とは電気的に接続される。
サーミスタ343は、プリント配線基板34の一方の主面に固定されている。サーミスタ343は、単電池100の各々の温度を検出し、その検出信号を保護回路344に送信する。
通電用の外部端子347は、プリント配線基板34の他方の主面に固定されている。通電用の外部端子347は、電池パック300の外部に存在する機器と電気的に接続されている。
保護回路344は、プリント配線基板34の他方の主面に固定されている。保護回路344は、プラス側配線348aを介して通電用の外部端子347と接続されている。保護回路344は、マイナス側配線348bを介して通電用の外部端子347と接続されている。また、保護回路344は、配線345を介して正極側コネクタ341に電気的に接続されている。保護回路344は、配線346を介して負極側コネクタ342に電気的に接続されている。更に、保護回路344は、複数の単電池100の各々と配線35を介して電気的に接続されている。
保護シート33は、収容容器31の長辺方向の両方の内側面と、組電池200を介してプリント配線基板34と向き合う短辺方向の内側面とに配置されている。保護シート33は、例えば、樹脂又はゴムからなる。
保護回路344は、複数の単電池100の充放電を制御する。また、保護回路344は、サーミスタ343から送信される検出信号、又は、個々の単電池100若しくは組電池200から送信される検出信号に基づいて、保護回路344と外部機器への通電用の外部端子347との電気的な接続を遮断する。
サーミスタ343から送信される検出信号としては、例えば、単電池100の温度が所定の温度以上であることを検出した信号を挙げることができる。個々の単電池100若しくは組電池200から送信される検出信号としては、例えば、単電池100の過充電、過放電及び過電流を検出した信号を挙げることができる。個々の単電池100について過充電等を検出する場合、電池電圧を検出してもよく、正極電位又は負極電位を検出してもよい。後者の場合、参照極として用いるリチウム電極を個々の単電池100に挿入する。
なお、保護回路344としては、電池パック300を電源として使用する装置(例えば、電子機器、自動車等)に含まれる回路を用いてもよい。
また、この電池パック300は、上述したように通電用の外部端子347を備えている。したがって、この電池パック300は、通電用の外部端子347を介して、組電池200からの電流を外部機器に出力するとともに、外部機器からの電流を、組電池200に入力することができる。言い換えると、電池パック300を電源として使用する際には、組電池200からの電流が、通電用の外部端子347を通して外部機器に供給される。また、電池パック300を充電する際には、外部機器からの充電電流が、通電用の外部端子347を通して電池パック300に供給される。この電池パック300を車載用電池として用いた場合、外部機器からの充電電流として、車両の動力の回生エネルギーを用いることができる。
なお、電池パック300は、複数の組電池200を備えていてもよい。この場合、複数の組電池200は、直列に接続されてもよく、並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されてもよい。また、プリント配線基板34及び配線35は省略してもよい。この場合、正極側リード22及び負極側リード23を通電用の外部端子として用いてもよい。
このような電池パックは、例えば大電流を取り出したときにサイクル性能が優れていることが要求される用途に用いられる。この電池パックは、具体的には、例えば、電子機器の電源、定置用電池、各種車両の車載用電池として用いられる。電子機器としては、例えば、デジタルカメラを挙げることができる。この電池パックは、車載用電池として特に好適に用いられる。
第5の実施形態に係る電池パックは、第3の実施形態に係る二次電池又は第4の実施形態に係る組電池を備えている。従って、第5の実施形態に係る電池パックは、優れた入出力性能を示すことができる。
(第6の実施形態)
第6の実施形態によると、車両が提供される。この車両は、第5の実施形態に係る電池パックを搭載している。
第6の実施形態に係る車両において、電池パックは、例えば、車両の動力の回生エネルギーを回収するものである。また、第6の実施形態に係る車両において、電池パックは、例えば、運動エネルギーを回生エネルギーに変換する機構を含むことができる。
第6の実施形態に係る車両の例としては、例えば、二輪乃至四輪のハイブリッド電気自動車、二輪乃至四輪の電気自動車、アシスト自転車、及び鉄道用車両が挙げられる。
第6の実施形態に係る車両における電池パックの搭載位置は、特には限定されない。例えば、電池パックを自動車に搭載する場合、電池パックは、車両のエンジンルーム、車体後方又は座席の下に搭載することができる。
第6の実施形態に係る車両は、複数の電池パックを搭載してもよい。この場合、電池パックは、電気的に直列に接続されてもよく、電気的に並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて電気的に接続されてもよい。
次に、第6の実施形態に係る車両の一例について、図面を参照しながら説明する。
図24は、第6の実施形態に係る車両の一例を概略的に示す断面図である。
図24に示す車両400は、車両本体40と、第5の実施形態に係る電池パック300とを含んでいる。図23に示す例では、車両400は、四輪の自動車である。
この車両400は、複数の電池パック300を搭載してもよい。この場合、電池パック300は、直列に接続されてもよく、並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されてもよい。
図24では、電池パック300が車両本体40の前方に位置するエンジンルーム内に搭載されている例を図示している。上述したとおり、電池パック300は、例えば、車両本体40の後方又は座席の下に搭載してもよい。この電池パック300は、車両400の電源として用いることができる。また、この電池パック300は、車両400の動力の回生エネルギーを回収することができる。
次に、図25を参照しながら、第6の実施形態に係る車両の実施態様について説明する。
図25は、第6の実施形態に係る車両の一例を概略的に示した図である。図24に示す車両400は、電気自動車である。
図25に示す車両400は、車両本体40と、車両用電源41と、車両用電源41の上位制御手段である車両ECU(ECU:Electric Control Unit;電気制御装置)42と、外部端子(外部電源に接続するための端子)43と、インバータ44と、駆動モータ45とを備えている。
車両400は、車両用電源41を、例えばエンジンルーム、自動車の車体後方又は座席の下に搭載している。なお、図24に示す車両400では、車両用電源41の搭載箇所については概略的に示している。
車両用電源41は、複数(例えば3つ)の電池パック300a、300b及び300cと、電池管理装置(BMU:Battery Management Unit)411と、通信バス412とを備えている。
3つの電池パック300a、300b及び300cは、電気的に直列に接続されている。電池パック300aは、組電池200aと組電池監視装置301a(例えば、VTM:Voltage Temperature Monitoring)とを備えている。電池パック300bは、組電池200bと組電池監視装置301bとを備えている。電池パック300cは、組電池200cと組電池監視装置301cとを備えている。電池パック300a、300b、及び300cは、それぞれ独立して取り外すことが可能であり、別の電池パック300と交換することができる。
組電池200a〜200cのそれぞれは、直列に接続された複数の単電池を備えている。複数の単電池の少なくとも1つは、第1の実施形態に係る二次電池である。組電池200a〜200cは、それぞれ、正極端子413及び負極端子414を通じて充放電を行う。
電池管理装置411は、車両用電源41の保全に関する情報を集めるために、組電池監視装置301a〜301cとの間で通信を行い、車両用電源41に含まれる組電池200a〜200cに含まれる単電池100の電圧、及び温度などに関する情報を収集する。
電池管理装置411と組電池監視装置301a〜301cとの間には、通信バス412が接続されている。通信バス412は、1組の通信線を複数のノード(電池管理装置と1つ以上の組電池監視装置と)で共有するように構成されている。通信バス412は、例えばCAN(Control Area Network)規格に基づいて構成された通信バスである。
組電池監視装置301a〜301cは、電池管理装置411からの通信による指令に基づいて、組電池200a〜200cを構成する個々の単電池の電圧及び温度を計測する。ただし、温度は1つの組電池につき数箇所だけで測定することができ、全ての単電池の温度を測定しなくてもよい。
車両用電源41は、正極端子413と負極端子414との接続を入り切りするための電磁接触器(例えば図12に示すスイッチ装置415)を有することもできる。スイッチ装置415は、組電池200a〜200cへの充電が行われるときにオンするプリチャージスイッチ(図示せず)、及び、電池出力が負荷へ供給されるときにオンするメインスイッチ(図示せず)を含んでいる。プリチャージスイッチおよびメインスイッチは、スイッチ素子の近傍に配置されたコイルに供給される信号によりオン又はオフされるリレー回路(図示せず)を備えている。
インバータ44は、入力された直流電圧を、モータ駆動用の3相の交流(AC)の高電圧に変換する。インバータ44の3相の出力端子は、駆動モータ45の各3相の入力端子に接続されている。インバータ44は、電池管理装置411、あるいは車両全体の動作を制御するための車両ECU42からの制御信号に基づいて、出力電圧を制御する。
駆動モータ45は、インバータ44から供給される電力により回転する。この回転は、例えば差動ギアユニットを介して車軸および駆動輪Wに伝達される。
また、図示はしていないが、車両400は、回生ブレーキ機構を備えている。回生ブレーキ機構は、車両400を制動した際に駆動モータ45を回転させ、運動エネルギーを電気エネルギーとしての回生エネルギーに変換する。回生ブレーキ機構で回収した回生エネルギーは、インバータ44に入力され、直流電流に変換される。直流電流は、車両用電源41に入力される。
車両用電源41の負極端子414には、接続ラインL1の一方の端子が、電池管理装置411内の電流検出部(図示せず)を介して接続されている。接続ラインL1の他方の端子は、インバータ44の負極入力端子に接続されている。
車両用電源41の正極端子413には、接続ラインL2の一方の端子が、スイッチ装置415を介して接続されている。接続ラインL2の他方の端子は、インバータ44の正極入力端子に接続されている。
外部端子43は、電池管理装置411に接続されている。外部端子43は、例えば、外部電源に接続することができる。
車両ECU42は、運転者などの操作入力に応答して他の装置とともに電池管理装置411を協調制御して、車両全体の管理を行なう。電池管理装置411と車両ECU42との間では、通信線により、車両用電源41の残容量など、車両用電源41の保全に関するデータ転送が行われる。
第6の実施形態に係る車両は、第5の実施形態に係る電池パックを搭載している。第5の実施形態に係る電池パックは優れた入出力性能を示すことができるので、第6の実施形態に係る車両は、優れた入出力性能を示すことができる。
[実施例]
以下、本発明の実施例を図面参照して詳細に説明するが、本発明は以下に掲載される実施例に限定されるものでない。
(実施例A)
実施例Aでは、以下の手順で電極複合体を作製した。
まず、正極活物質として、一次粒子の平均粒子径が2μmであるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2)の粉末を準備した。
次に、この正極活物質と、導電剤として黒鉛粉末と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、92重量%:6重量%:2重量%の割合で混合し、混合物を得た。次いで、混合物をn−メチルピロリドン(NMP)溶媒に分散して正極スラリーを調製した。
他方で、誘電体粒子として、平均一次粒子径が2nmであるチタン酸バリウム(BaTiO3)の粒子を準備した。この誘電体粒子を、n−メチルピロリドン(NMP)溶媒に分散して誘電体スラリーを調製した。
また他方で、固体電解質粒子として、平均一次粒子径が0.22μmであるLi7La3Zr2O12の粉末を準備した。この粉末と、結着剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、95重量%:5重量%の割合で混合した。次いで、これらを水溶媒に分散して固体電解質スラリーを調製した。
次に、厚さが15μmのアルミニウム合金箔(純度99%)の集電体の一方の表面に、正極スラリーを供給した。同時に、乾燥前の正極スラリー上に、誘電体スラリーを供給した。次いで、200℃の温度で乾燥した誘電体層上に固体電解質スラリーを供給した。
次に、200℃の温度で正極スラリーの塗膜及び誘電体スラリーの塗膜と固体電解質スラリーの塗膜を乾燥させた。次いで、プレスを行った。プレス圧力は、18tonとした。
次に、集電体のもう一方の表面に、先と同様の手順で、正極スラリー及び誘電体スラリーを供給した。次いで、先と同様に固体電解質スラリーを供給した。次いで、先と同様の手順で、固体電解質スラリーの一部乾燥、及び加熱プレスを行った。次いで、正極スラリーの塗膜及び誘電体スラリーの塗膜を乾燥させた。
かくして、集電体と、集電体の両方の表面上に形成された正極活物質含有層と、正極活物質含有層の一部と接した固体電解質層と、誘電体粒子とを含んだ電極複合体が得られた。正極活物質含有層は、片面の厚さが30μmであり且つ電極密度が3.2g/cm3であった。
正極スラリー及び誘電体スラリーを供給に当っては、電極複合体が、活物質含有層100重量部当り、0.04重量部の誘電体粒子を含むように、各スラリーの塗布量及び誘電体粒子の固形分濃度を調整した。
また、実施例Aでは、以下の手順で二次電池を作製した。
<負極の作製>
負極活物質粒子として、平均粒子径が0.6μmであり、比表面積が10m2/gであるニオブチタン複合酸化物(Nb2TiO7:NTO)の粒子を準備した。NTOの粒子の表面は、炭素層で被覆されていた。また、導電剤として、平均粒子径が6μmである黒鉛粉末を準備した。負極活物質、導電剤及び結着剤としてのCMCを、94重量%:4重量%:2重量%の割合で混合して、混合物を得た。この混合物を、n−メチルピロリドン(NMP)溶媒に分散させ、ボールミルを用いて回転数1000rpmで、かつ攪拌時間が2時間の条件で攪拌を用い、負極スラリーを調製した。得られた負極スラリーを、厚さ15μmのアルミニウム合金箔(純度99.3%)の集電体の両面に塗布し、塗膜を乾燥させた。次いで、乾燥させた塗膜を加熱プレス工程に供して、負極を作製した。負極は、集電体と、集電体の両面上に形成された負極活物質含有層とを含んでいた。負極活物質含有層は、厚さが33μmであり、電極密度が2.2g/cm3であり、多孔度が35%であった。何れのパラメータも、集電体を含まないものである。
<二次電池の作製>
先に得られた電極複合体と負極とを、電極複合体の1つの固体電解質層と負極の1つの負極活物質含有層とが向かい合うように積層して積層体を得た。次に、この積層体を、負極が最外周に位置するように渦巻き状に捲回して、電極群を作製した。これを90℃で加熱プレスすることにより、偏平状電極群を作製した。
得られた電極群を、壁厚が0.25mmであるステンレスからなる薄型の金属缶に収納した。なお、この金属缶には、内圧が2気圧以上になるとガスをリークする弁が設置されている。この金属缶に電解質を注液することで、実施例Aの二次電池を作製した。
電解質は、以下の手順で調製した。まず、プロピレンカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比1:2で混合して混合溶媒を得た。この混合溶媒に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1.2Mの濃度で溶解し、電解質を用いた。
(実施例B)
実施例Bでは、以下の手順で電極複合体を作製した。
まず、実施例Aと同様の手順で、負極スラリー、誘電体スラリー及び固体電解質スラリーをそれぞれ調製した。次いで、正極スラリーの代わりに負極スラリーを集電体に供給したこと以外は実施例Aと同様の手順で、負極活物質含有層を含む電極複合体を作製した。すなわち、この例では、集電体と、集電体の両方の表面上に形成された負極活物質含有層と、負極活物質含有層の一部と接した固体電解質層と、誘電体粒子とを含んだ電極複合体を作製した。
次に、実施例Aと同様の手順で、正極スラリーを調製した。この正極スラリーを、厚さ15μmのアルミニウム合金箔(純度99.3%)の集電体の両面に塗布し、塗膜を乾燥させた。次いで、乾燥させた塗膜を加熱プレス工程に供して、正極を作製した。正極は、集電体と、集電体の両面上に形成された正極活物質含有層とを含んでいた。
また、上記電極複合体を負極として用いたこと、及び以上のようにして作製した正極を用いたこと以外は実施例Aと同様の手順で、実施例Bの二次電池を作製した。
(実施例C)
実施例Cでは、実施例Bと同様の手順で負極活物質含有層を含む電極複合体を作製したこと、及びこの電極複合体を負極として用いたこと以外は実施例Aと同様の手順で、実施例Cの二次電池を作製した。
(比較例A1)
比較例A1では、誘電体スラリーを用いなかったこと以外は実施例Aと同様の手順で、正極活物質含有層を含む電極複合体を作製した。また、この例では、この電極複合体を正極として用いたこと以外は実施例Aと同様にして、比較例A1の二次電池を作製した。
(比較例B1)
比較例B1では、誘電体スラリーを用いなかったこと以外は実施例Bと同様の手順で、負極活物質含有層を含む電極複合体を作製した。また、この例では、この電極複合体を負極として用いたこと以外は実施例Bと同様にして、比較例B1の二次電池を作製した。
(比較例C1)
比較例C1では、比較例B1と同様の手順で負極活物質含有層を含む電極複合体を作製したこと、及びこの電極複合体を負極として用いたこと以外は比較例A1と同様の手順で、比較例C1の二次電池を作製した。
(実施例A2)
実施例A2では、以下の手順で二次電池を作製した。
まず、実施例Aと同様の手順で、正極スラリー、負極スラリー、誘電体スラリー及び固体電解質スラリーをそれぞれ調製した。
次に、実施例Aと同様の手順で、集電体上に、正極スラリーと誘電体スラリーとを同時に塗布した。かくして、正極活物質含有層及び誘電体粒子を含む電極複合体を得た。
一方で、実施例Aと同様の手順で、負極を作製した。次いで、負極活物質含有層上に固体電解質スラリーを供給し、塗膜を乾燥させた。かくして、負極活物質含有層及び固体電解質層を含む電極複合体を得た。
次いで、正極活物質含有層と誘電体粒子とを含む上記電極複合体を正極として用いたこと、及び負極活物質含有層と固体電解質層とを含む上記電極複合体を負極として用いたこと以外は実施例Aと同様の手順で、実施例A2の二次電池を作製した。
(実施例B2)
実施例B2では、以下の手順で二次電池を作製した。
まず、実施例Bと同様の手順で、集電体上に、負極スラリーと誘電体スラリーとを同時に塗布した。かくして、負極活物質含有層及び誘電体粒子を含む電極複合体を得た。
他方で、実施例Bと同様の手順で、正極を作製した。次いで、正極活物質含有層上に固体電解質スラリーを塗布し、塗膜を乾燥させた。かくして、正極活物質含有層及び固体電解質層を含む電極複合体を得た。
次いで、負極活物質含有層及び誘電体粒子を含む電極複合体と、正極活物質含有層及び固体電解質層を含む電極複合体とを用いたこと以外は実施例Aと同様の手順で、実施例B2の二次電池を作製した。
(比較例C0)
比較例C0では、実施例Aと同様の手順で作製した負極と、実施例Bと同様の手順で作製した正極とを用いたこと以外は実施例Aと同様の手順で、比較例C0の二次電池を作製した。すなわち、比較例C0の二次電池は、誘電体粒子も固体電解質粒子も含んでいなかった。なお、この比較例では、正極と負極との接触を避けるため、正極活物質含有層と負極活物質含有層との間に、厚さが15μmであるセルロース製のセパレータを配置した。
<初回充放電試験>
実施例及び比較例の二次電池の各々に対し、以下の手順で初回充放電試験を行った。
まず、各二次電池を、0.2C(50mA)で、電池電圧が3.1Vに達するまで定電流充電し、次いで3.1Vの定電圧で充電を行った。すなわち、電池を定電流定電圧(CCCV)充電した。充電の合計時間は、10時間とした。この際の充電容量を、初回充電容量とした。次いで、各二次電池を、0.2C(50mA)の定電流で、電池電圧が1.2Vに達するまで放電した。この際の放電容量を、初回放電容量とした。
初回充放電試験の結果を、以下の表1〜表3に示す。
表1の結果から明らかなように、実施例A及びA2の二次電池は、比較例A1及びC0の二次電池よりも高い初回充電容量及び高い初回放電容量を示すことができたことが分かる。また、表2の結果から明らかなように、実施例B及びB2の二次電池は、比較例B1及びC0の二次電池よりも高い初回充電容量及び高い初回放電容量を示すことができたことが分かる。また、実施例Cの二次電池は、比較例C1及びC0よりも高い初回放電容量を示すことができたことが分かる。
<レート性能試験>
実施例及び比較例の二次電池の各々に対し、以下の手順でレート性能試験を行った。なお、この試験は、25℃環境下で行った。
各二次電池について、1時間で電圧が3.1Vに達するまで尚且つ表1の容量に至る電流を1Cと定義した。この1Cを基準として、各電池の0.2C放電容量、1C放電容量、2C放電容量及び5C放電容量を測定した。以下の表4に、各電池について、0.2C放電容量を100とした場合の、各放電容量の相対値を示す。
表4の結果から明らかなように、実施例A〜Cの二次電池は、電流値を5Cまで高めても、0.2C放電容量に対して78%以上の放電容量を示すことができた。
<抵抗測定>
実施例及び比較例の二次電池の各々に対し、以下の条件で抵抗を測定した。
各二次電池について、ソーラトロン社製周波数応答アナライザ1260型を用いて、Cole-Cole Plot を測定した。決めた温度の恒温槽にて、測定は2mHzから10kHzまでの周波数範囲とした。この測定結果に基づいて、各二次電池の抵抗値を算出した。
以下の表5に、各二次電池の、充電状態(state-of-charge:SOC)が50%の状態での、25℃、0℃及び−20℃の各温度における抵抗試験の結果を示す。なお、表5には、各温度における、各電池の抵抗値と比較例C0の電池の抵抗値との差(比較例C0の電池の抵抗値を100%とした相対値)を示している。
表5から明らかなように、実施例A〜C、A2及びB2の二次電池は、全ての温度において、比較例C0の電池よりも低い抵抗値を示すことができた。
一方、比較例A1、B1及び比較例C1は、25℃での抵抗値が、比較例C0の電池よりも高かった。
次に、以下の表6に、比較例C0、実施例B、比較例B1及び実施例B2の各二次電池の、充電状態(state-of-charge:SOC)が80%の状態での、25℃、0℃、−10℃、−20℃及び−30℃のそれぞれの温度環境下での抵抗測定結果を示す。同様に、以下の表7に、比較例C0、実施例B、比較例B1及び実施例B2の各二次電池の、SOC20%の状態での、各温度環境下での抵抗測定結果を示す。また、以下の表8に、比較例C0、実施例A及び比較例A1の各二次電池の、SOC80%の状態での、各温度環境下での抵抗測定結果を示す。また、以下の表9に、比較例C0、実施例A及び比較例A1の各二次電池の、SOC20%の状態での、各温度環境下での抵抗測定結果を示す。なお、以下の表6〜表9には、各条件下の各電池の抵抗値と比較例C0の電池の抵抗値との差(比較例C0の電池の抵抗値を100%とした相対値)を示している。
表6及び表7に示した結果から、実施例B及び実施例B2の二次電池は、SOC80%及びSOC20%のいずれにおいても、また全ての温度において、比較例C0の二次電池よりも低い抵抗値を示すことができたことが分かる。また、表8及び9に示した結果から、実施例Aの二次電池は、SOC80%及びSOC20%のいずれにおいても、また全ての温度において、比較例C0の二次電池よりも低い抵抗値を示すことができたことが分かる。
表5〜表9に示した結果から、実施例A〜C、及びB2の二次電池は、幅広い温度範囲において、比較例C0の二次電池よりも低い抵抗値を示すことができたことが分かる。幅広い温度範囲において低い抵抗値を示すことができる電池は、幅広い温度範囲において優れた入出力性能を示すことができる。従って、これらの結果から、実施例A〜C、及びB2の二次電池は、幅広い温度範囲において、比較例C0の二次電池よりも優れた入出力性能を示すことができることが分かる。この事実は、表4に示した結果からも分かる。
すなわち、表1〜9に示した結果から、実施例A〜C、A2及びB2の電極複合体は、比較例C0の二次電池と同等以上のエネルギー密度を示しながら、比較例C0の二次電池よりも優れた入出力性能を示すことができる二次電池を実現することができたことが分かる。
<断面観察>
各二次電池の断面を、先に説明した手順でSEMによって観察した。観察結果を以下にまとめる。
実施例Aの二次電池は、正極活物質含有層と、負極活物質含有層と、固体電解質層と、誘電体粒子とを含んでいた。固体電解質層は、正極活物質含有層と負極活物質含有層との間に挟まれていた。誘電体粒子の各々は、一部が正極活物質含有層中に埋め込まれていた。誘電体粒子の埋め込み深さは、正極活物質含有層と固体電解質層との界面から、0.1μm以上5μm以下の範囲内にあり、平均して3μmであった。また、誘電体粒子の各々は、固体電解質層の正極活物質含有層に対向する表面の一部に接していた。幾つかの誘電体粒子は、固体電解質層中に埋め込まれていた。誘電体粒子の埋め込み深さは、正極活物質含有層と固体電解質層との界面から、0.1μm以上5μm以下の範囲内にあり、平均して3μmであった。また、実施例Aの二次電池では、正極活物質含有層の厚さが30μmであり、負極活物質含有層の厚さが33μmであり、固体電解質層の厚さが20μmであった。
実施例Bの二次電池は、正極活物質含有層と、負極活物質含有層と、固体電解質層と、誘電体粒子とを含んでいた。固体電解質層は、正極活物質含有層と負極活物質含有層との間に挟まれていた。誘電体粒子の各々は、一部が負極活物質含有層中に埋め込まれていた。誘電体粒子の埋め込み深さは、負極活物質含有層と固体電解質層との界面から、0.5μm以上5μm以下の範囲内にあり、平均して3μmであった。また、誘電体粒子の各々は、固体電解質層の負極活物質含有層に対向する表面の一部に接していた。幾つかの誘電体粒子は、固体電解質層中に埋め込まれていた。誘電体粒子の埋め込み深さは、負極正極活物質含有層と固体電解質層との界面から、0.5μm以上5μm以下の範囲内にあり、平均して3μmであった。また、実施例Bの二次電池では、正極活物質含有層の厚さが30μmであり、負極活物質含有層の厚さが33μmであり、固体電解質層の厚さが20μmであった。
実施例Cの二次電池は、正極活物質含有層と、負極活物質含有層と、固体電解質層と、誘電体粒子とを含んでいた。固体電解質層は、正極活物質含有層と負極活物質含有層との間に挟まれていた。一部分の誘電体粒子の各々は、一部が負極活物質含有層中に埋め込まれていた。誘電体粒子の埋め込み深さは、負極活物質含有層と固体電解質層との界面から、0.5μm以上5μm以下の範囲内にあり、平均し3μmであった。また、これらの誘電体粒子の各々は、固体電解質層の負極活物質含有層に対向する表面の一部に接していた。これらのうちの幾つかは、固体電解質層中に埋め込まれていた。誘電体粒子の埋め込み深さは、負極正極活物質含有層と固体電解質層との界面から、0.5μm以上5μm以下の範囲内にあり、平均して3μmであった。他の部分の誘電体粒子の各々は、一部が正極活物質含有層中に埋め込まれていた。誘電体粒子の埋め込み深さは、正極活物質含有層と固体電解質層との界面から、0.5μm以上5μm以下の範囲内にあり、平均して3μmであった。また、これらの誘電体粒子の各々は、固体電解質層の正極活物質含有層に対向する表面の一部に接していた。これらの粒子のうちの幾つかは、固体電解質層中に埋め込まれていた。誘電体粒子の埋め込み深さは、正極活物質含有層と固体電解質層との界面から、0.5μm以上5μm以下の範囲内にあり、平均して3μmであった。また、実施例Cの二次電池では、正極活物質含有層の厚さが30μmであり、負極活物質含有層の厚さが33μmであり、固体電解質層の厚さが20μmであった。
比較例A1、B1及びC1の各二次電池は、正極活物質含有層と、負極活物質含有層と、固体電解質層とを含んでいたが、誘電体粒子を含んでいなかった。固体電解質層は、正極活物質含有層と負極活物質含有層との間に挟まれていた。
また、比較例A1の二次電池では、正極活物質含有層の厚さが30μmであり、負極活物質含有層の厚さが33μmであり、固体電解質層の厚さが20μmであった。比較例B1の二次電池では、正極活物質含有層の厚さが30μmであり、負極活物質含有層の厚さが33μmであり、固体電解質層の厚さが20μmであった。比較例C1の二次電池では、正極活物質含有層の厚さが30μmであり、負極活物質含有層の厚さが33μmであり、固体電解質層の厚さが20μmであった。
実施例A2の二次電池は、正極活物質含有層と、負極活物質含有層と、固体電解質層と、誘電体粒子とを含んでいた。固体電解質層は、正極活物質含有層と負極活物質含有層との間に挟まれていた。誘電体粒子の各々は、一部が正極活物質含有層中に埋め込まれていた。誘電体粒子の埋め込み深さは、正極活物質含有層と固体電解質層との界面から、0.5μm以上5μm以下の範囲内にあり、平均して3μmであった。また、誘電体粒子の各々は、固体電解質層の正極活物質含有層に対向する表面の一部に接していた。幾つかの誘電体粒子は、固体電解質層中に埋め込まれていた。誘電体粒子の埋め込み深さは、正極活物質含有層と固体電解質層との界面から、0.5μm以上5μm以下の範囲内にあり、平均して3μmであった。また、実施例A2の二次電池では、正極活物質含有層の厚さが30μmであり、負極活物質含有層の厚さが33μmであり、固体電解質層の厚さが20μmであった。
実施例B2の二次電池は、正極活物質含有層と、負極活物質含有層と、固体電解質層と、誘電体粒子とを含んでいた。固体電解質層は、正極活物質含有層と負極活物質含有層との間に挟まれていた。誘電体粒子の各々は、一部が負極活物質含有層中に埋め込まれていた。誘電体粒子の埋め込み深さは、負極活物質含有層と固体電解質層との界面から、0.5μm以上5μm以下の範囲内にあり、平均して3μmであった。また、誘電体粒子の各々は、固体電解質層の負極活物質含有層に対向する表面の一部に接していた。幾つかの誘電体粒子は、固体電解質層中に埋め込まれていた。誘電体粒子の埋め込み深さは、負極正極活物質含有層と固体電解質層との界面から、0.5μm以上5μm以下の範囲内にあり、平均して3μmであった。また、実施例B2の二次電池では、正極活物質含有層の厚さが30μmであり、負極活物質含有層の厚さが33μmであり、固体電解質層の厚さが20μmであった。
比較例C0の二次電池は、正極活物質含有層及び負極活物質含有層を含んでいたが、固体電解質層及び誘電体粒子を含んでいなかった。正極活物質含有層と負極活物質含有層との間にセパレータが挟まれていた。
これらの少なくとも一つの実施形態又は実施例の電極複合体は、第1の活物質含有層と、固体電解質層と、誘電体粒子とを具備する。第1の活物質含有層は活物質粒子を含む。誘電体粒子は、固体電解質層の表面の一部に接し、且つ一部が第1の活物質含有層中に存在している。このような誘電体粒子は、固体電解質層にLiイオン欠損層が生じるのを防ぐことができる。その結果、この電極複合体は、優れた入出力性能を示すことができる二次電池を提供することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 活物質粒子を含む第1の活物質含有層と、
前記第1の活物質含有層に対向する表面を有する固体電解質層と、
前記固体電解質層の前記表面の一部に接し、且つ一部が前記第1の活物質含有層中に存在する誘電体粒子と
を具備する電極複合体。
[2] 前記誘電体粒子が、前記固体電解質層及び前記第1の活物質含有層の少なくとも一方に島状に配置されており、
前記誘電体粒子が島状に配置された部分の平均厚さは、0.001μm以上3μm以下である[1]に記載の電極複合体。
[3] 前記誘電体粒子は、4以上の比誘電率を有し、
前記誘電体粒子の平均粒子径は、0.001μm以上0.5μm以下である[1]又は[2]に記載の電極複合体。
[4] 前記固体電解質層は、25℃におけるLiイオン伝導率が1×10 -10 S/cm 2 以上である固体電解質粒子を含む[1]〜[3]の何れか1つに記載の電極複合体。
[5] 前記固体電解質粒子の平均粒子径は、0.001μm以上5μm以下である[4]に記載の電極複合体。
[6] 前記誘電体粒子は、チタン酸バリウムの粒子、ジルコニアの粒子、チタニアの粒子及びアルミナの粒子からなる群より選択される少なくとも1種の粒子を含む[1]〜[5]の何れか1つに記載の電極複合体。
[7] 前記活物質粒子が負極活物質粒子であり、
前記誘電体粒子は、チタン酸バリウムの粒子、ジルコニアの粒子及びアルミナの粒子からなる群より選択される少なくとも1種の粒子を含む[1]〜[5]の何れか1つに記載の電極複合体。
[8] [1]〜[7]の何れか1つに記載の電極複合体と、
前記固体電解質層を介して前記第1の活物質含有層と対向する第2の活物質含有層と、を具備する電極群。
[9] [8]に記載の電極群を具備する二次電池。
[10] [9]に記載の二次電池を具備する電池パック。
[11] 通電用の外部端子と、
保護回路と
を更に具備する[10]に記載の電池パック。
[12] 複数の前記二次電池を具備し、
前記二次電池が、直列、並列、又は直列及び並列を組み合わせて電気的に接続されている[10]又は[11]に記載の電池パック。
[13] [10]〜[12]の何れか1つに記載の電池パックを搭載した車両。
[14] 前記電池パックは、前記車両の運動エネルギーを回生エネルギーに変換する機構を含む、[13]に記載の車両。