JP6869645B2 - アルコール感が増強されたアルコール含有容器詰め炭酸飲料、およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アルコール飲料の飲用感(以下「アルコール感」という)が増強されたアルコール含有容器詰め炭酸飲料およびその製造方法に関する。
近年の健康志向の高まりの中でアルコール摂取量を自己管理する消費者が増加している。このような中で、アルコールの摂取量は抑制しながらもアルコール飲用時の満足感が得られるような商品、例えば、アルコール飲料の飲用感が実際のアルコール含有量よりも強く感じられる飲料への需要が高まっている。
このようなニーズに対して、特許文献1では、セイボリーから得られる成分を有効成分として、ノンアルコール飲料またはアルコール飲料にアルコール感を付与または増強することが開示されている。特許文献2では、ウンデカトリエン類および/またはウンデカテトラエン類を有効成分とする、ノンアルコール飲料に添加することによりアルコール感をもたらすアルコール感付与剤、およびノンアルコール飲料におけるアルコール感付与方法が開示されている。特許文献3では、メチルチオ基を有する低級脂肪族化合物を、非アルコール飲料に対して10ppb以上となる添加量で配合することを特徴とする、アルコール感が付与された非アルコール飲料及びその製造方法、並びに非アルコール飲料へのアルコール感付与方法が開示されている。
しかし、これらのノンアルコール飲料またはアルコール飲料においては、セイボリーから得られる成分、ウンデカトリエン類および/またはウンデカテトラエン類、またはメチルチオ基を有する低級脂肪族化合物など、特殊な原料の添加を必要としているため、飲料の外観や香味品質の悪化をきたす場合がある。
一方で、飲料の香味設計においては、上記のような飲料原料のみならず、飲料のpH値がその飲料の風味に影響を与えることが知られている。しかし、炭酸ガスを含有する飲料においては、従来、炭酸ガスを含有したままの状態でpH値を測定することができず、炭酸ガスを除去した状態での飲料のpH値を測定することしかできなかった。よって、炭酸ガスを含有する飲料については、飲用時のように炭酸ガスを含有した状態での飲料のpH値と香味の関係は知られていなかった。
特開2016−26476号公報 特開2015−50955号公報 特開2015−19598号公報
近年、炭酸飲料のpH値を、密閉状態かつ圧力下で、気泡を発生させずに炭酸ガスを含有した状態で測定することを可能とした、耐圧性を有するpH値測定計を内蔵する測定機器が汎用的に用いられるようになった。本発明者らは、この測定機器を用いて、市販の炭酸飲料のpH値を、炭酸ガスを含有した状態および炭酸ガスを除去した状態で測定したところ、炭酸ガスを含有した状態と炭酸ガスを除去した状態のpH値の差は0〜0.01程度であることを確認した。炭酸飲料からの炭酸ガスの除去は、飲料に溶解している炭酸が解放された気相に放出されることを意味するため、炭酸飲料から炭酸ガスを除去する前後では、pH値が異なると予想されていたが、この予想に反し、炭酸ガス除去前後のpH値はほぼ同じ値であった。
一方、先に述べたように、飲料のpH値は、その飲料の風味に影響を与えることから、新規香味を鋭意検討する中で、本発明者らは、炭酸飲料原料液のpH値を従来知られているpH値よりも高く処方設計し、該原料液を用いてポストミックス法にて炭酸飲料を試作した。そして、得られた炭酸飲料試作品のpH値を、炭酸ガスを含有した状態および炭酸ガスを除去した状態で測定したところ、驚くべきことに有意にpH値に差があることを見出した。つまり、本発明者らは、炭酸飲料に炭酸を付与する前の原料液のpH値を一定の値に設計し、その後、炭酸を付与することにより、炭酸を含有する状態での炭酸飲料のpH値と、その飲料から炭酸を除去したときのpH値との差(以下「ΔpH」という)を増大させることができることを見出した。さらに、本発明者らは、アルコールを含有する炭酸飲料においてこのΔpHを一定の数値以上とすることにより、その飲料を飲用したときに実際のアルコール濃度よりも高い濃度のアルコールを感じる(つまり、アルコール感が増強される)ことを見出した。本発明はこれらの知見に基づくものである。
従って、本発明は、アルコール感が増強されたアルコール含有容器詰め炭酸飲料およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明によれば以下の発明が提供される。
(1)アルコール含有容器詰め炭酸飲料であって、該アルコール含有容器詰め炭酸飲料のpH値と、該アルコール含有容器詰め炭酸飲料から炭酸を除去した後に測定されるpH値との差(ΔpH)が0.05以上である、アルコール含有容器詰め炭酸飲料。
(2)前記アルコール含有容器詰め炭酸飲料のpH値が、該アルコール含有容器詰め炭酸飲料から炭酸を除去した後に測定されるpH値よりも低い、前記(1)のアルコール含有容器詰め炭酸飲料。
(3)炭酸ガス圧が0.1〜0.4MPa(20℃におけるガス圧)である、前記(1)のアルコール含有容器詰め炭酸飲料。
(4)アルコール含有容器詰め炭酸飲料のpH値が2.0〜7.0である、前記(1)のアルコール含有容器詰め炭酸飲料。
(5)アルコール濃度が0.3v/v %以上である、前記(1)のアルコール含有容器詰め炭酸飲料。
(6)アルコール含有容器詰め炭酸飲料を製造する方法であって、該アルコール含有容器詰め炭酸飲料のpH値と、該アルコール含有容器詰め炭酸飲料から炭酸を除去した後に測定されるpH値との差(ΔpH)を0.05以上に調整することを含んでなる、方法。
(7)前記アルコール含有容器詰め炭酸飲料のpH値が、該アルコール含有容器詰め炭酸飲料から炭酸を除去した後に測定されるpH値よりも低い、前記(6)の方法。
(8)前記アルコール含有容器詰め炭酸飲料の炭酸ガス圧が0.1〜0.4MPa(20℃におけるガス圧)である、前記(6)の方法。
(9)前記アルコール含有容器詰め炭酸飲料のpH値が2.0〜7.0である、前記(6)の方法。
(10)前記アルコール含有容器詰め炭酸飲料のアルコール濃度が0.3v/v %以上である、前記(6)の方法。
(11)アルコール含有容器詰め炭酸飲料のアルコール感を増強する方法であって、該アルコール含有容器詰め炭酸飲料のpH値と、該アルコール含有容器詰め炭酸飲料から炭酸を除去した後に測定されるpH値との差(ΔpH)を0.05以上に調整することを含んでなる、方法。
(12)前記アルコール含有容器詰め炭酸飲料のpH値が、該アルコール含有容器詰め炭酸飲料から炭酸を除去した後に測定されるpH値よりも低い、前記(11)の方法。
(13)前記アルコール含有容器詰め炭酸飲料の炭酸ガス圧が0.1〜0.4MPa(20℃におけるガス圧)である、前記(11)の方法。
(14)前記アルコール含有容器詰め炭酸飲料のpH値が2.0〜7.0である、前記(11)の方法。
(15)前記アルコール含有容器詰め炭酸飲料のアルコール濃度が0.3v/v %以上である、前記(11)の方法。
本発明によれば、アルコール感が増強されたアルコール含有容器詰め炭酸飲料が提供される。特に、本発明によれば、アルコール含有量の少ない炭酸飲料、例えば、通常はアルコール飲料とは呼ばれないような、1%未満のアルコールを含有する炭酸飲料のアルコール感を増強することも可能である。また、本発明によるアルコール感の増強は、アルコール含有炭酸飲料に炭酸を付与する前の原料液のpH値を一定の値に設計し、その後炭酸を付与することで、ΔpHを一定の数値よりも大きくすることによって行うことができるため、アルコール感以外の飲料の風味に与える影響を最小限に抑えることができる点で有利である。
本発明者らは、炭酸飲料を一定条件のもとに設計することで、炭酸を含有する状態での炭酸飲料のpH値と、その飲料から炭酸を除去したときのpH値との差が一定の数値よりも大きくできることを新たに見出した。また、炭酸清涼飲料ではΔpHの大きさによらず香味にはほとんど影響がないにもかかわらず、ΔpHが一定以上の炭酸飲料にアルコールを付与してアルコール飲料とした場合に、その飲料を飲用したときのアルコール感が増強されることを見出した。ΔpHと飲料の風味との関連はこれまでに知られておらず、ΔpHの設計とアルコールとの組み合わせによって飲料のアルコール感を増強できることは、当業者の予測を超えた驚くべき効果である。
発明の具体的説明
本発明において飲料について使用される「アルコール含有」との用語は、その飲料がごく少量であってもアルコールを含有していることを意味する。つまり、アルコール含有飲料、アルコール含有炭酸飲料またはアルコール含有容器詰め炭酸飲料は、酒税法上アルコール飲料とみなされるアルコール度数1度以上の飲料だけでなく、1%(v/v)未満の少量のアルコールを含有する飲料をも含む。
本発明において「アルコール感」とは、アルコール飲料の飲用時に感じるアルコール特有の苦みや辛み、刺激感、バーニング感をいう。また、アルコール感の「増強」とは、その飲料を飲んだときに、実際のアルコール濃度よりも高いアルコール濃度を有する飲料を飲んだときのアルコール感を感じることをいう。
本発明のアルコール含有容器詰め炭酸飲料は、該アルコール含有容器詰め炭酸飲料のpH値と、該アルコール含有容器詰め炭酸飲料から炭酸を除去した後に測定されるpH値との差(ΔpH)が0.05以上であるアルコール含有容器詰め炭酸飲料である。このようなΔpHを有することにより、本発明のアルコール含有容器詰め炭酸飲料を飲用したときに、実際のアルコール濃度よりも高いアルコール感が感じられる。本発明の飲料は、アルコール含有容器詰め炭酸飲料の製造過程において、ΔpHが0.05以上となるように調整することにより製造することができる。
ΔpHは、炭酸飲料のpH値と、その炭酸飲料から炭酸を除去した後に測定されるpH値との差である。ΔpHは、これら2つのpH値のうち、大きい方のpH値から小さい方のpH値を減じることによって算出される。一つの実施態様では、本発明のアルコール含有容器詰め炭酸飲料のpH値は、該アルコール含有容器詰め炭酸飲料から炭酸を除去した後に測定されるpH値よりも低く、よって、ΔpHは(アルコール含有容器詰め炭酸飲料から炭酸を除去した後に測定されるpH値)−(アルコール含有容器詰め炭酸飲料のpH値)で表される。他の実施態様では、本発明のアルコール含有容器詰め炭酸飲料のpH値は、該アルコール含有容器詰め炭酸飲料から炭酸を除去した後に測定されるpH値よりも高く、よって、ΔpHは(アルコール含有容器詰め炭酸飲料のpH値)−(アルコール含有容器詰め炭酸飲料から炭酸を除去した後に測定されるpH値)で表される。
pH値の測定は、炭酸飲料のpH値と、その炭酸飲料における炭酸の影響を排除したときのpH値の両方を測定できる方法によって行うことができる。このような方法は従来は実質上不可能であったが、現在の当技術分野においては公知であり、また、そのような方法に用いるための装置も市販されている。このような装置の例としては、例えば、飲料分析用測定装置の一種であるPBA−S(アントンパール・ジャパン社製)が挙げられる。このような方法または装置を用いることにより、ΔpHを簡便に測定することができる。
本発明のアルコール含有容器詰め炭酸飲料におけるΔpHの調整は、まずはアルコール含有炭酸飲料を製造し、そのΔpHを測定し、ΔpHが0.05に満たない場合には、アルコール含有炭酸飲料に炭酸を付与する前の原料液において、ΔpHに影響を与える原材料または食品添加物の配合量を増減させることによって、行うことができる。ここで、ΔpHに影響を与える原材料または食品添加物の配合量を増減させてアルコール含有炭酸飲料を製造した後は、再度ΔpHを測定し、ΔpHが0.05に満たない場合には再度同じ操作を繰り返すことができる。また、ΔpHが0.05以上となる条件(全ての原材料の配合量など)を一旦見出した後は、その条件に従ってアルコール含有炭酸飲料を製造すればよく、ΔpHを改めて測定する必要は無い。すなわち、そのような条件に従ってアルコール含有炭酸飲料を製造すること自体が、ΔpHを調整する行為に該当するものと理解すべきである。
ΔpHの調整に用いられる食品添加物としては、炭酸飲料に炭酸を付与する前の原料液のpH値に影響を与える食品添加物を用いることができ、これをΔpH付与剤と呼ぶ。ΔpH付与剤としては、食品としての安全性が確認されている素材を用いることができる。あるΔpH付与剤が、炭酸を含有する状態での炭酸飲料のpH値と、その飲料から炭酸を除去したときのpH値との差が一定の数値よりも大きくできる性質を有するか否かは、以下の方法で調べることによって決定することができる。すなわち、炭酸を付与する前の炭酸飲料の原料液に、ΔpH付与剤候補物質を添加し、その後、炭酸を付与して容器詰め炭酸飲料を試作し、得られた試作品について、炭酸飲料のpH値と、その炭酸飲料における炭酸の影響を排除したときのpH値の両方を測定できる機器(例えばPBA−S(アントンパール・ジャパン社製))を用いてΔpHを測定することにより、ΔpH付与効果の有無を簡便に確認することができる。このような性質を有するΔpH付与剤の具体例としては、例えば、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、水酸化ナトリウム(NaOH)、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、リン酸三カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、ヒスチジン、アルギニン、γ−アミノ酪酸、シトルリン、リジン等を挙げることができる。このようなΔpH付与剤などの食品添加物の使用量は、飲料の炭酸ガス圧、飲料のpH値、飲料のアルコール濃度、他の原材料等に応じて、当業者であれば上述のΔpHの条件を満たすために適宜決定することができる。
本発明の好ましい実施態様によれば、炭酸飲料に炭酸を付与する前の原料液のpH値を上昇させるΔpH付与剤がΔpHの調整に用いられる。この実施態様では、本発明のアルコール含有容器詰め炭酸飲料のpH値は、該アルコール含有容器詰め炭酸飲料から炭酸を除去した後に測定されるpH値よりも低く、よって、ΔpHは(アルコール含有容器詰め炭酸飲料から炭酸を除去した後に測定されるpH値)−(アルコール含有容器詰め炭酸飲料のpH値)で表される。炭酸を付与する前の炭酸飲料の原料液のpH値を上昇させるΔpH付与剤としては、例えば、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、水酸化ナトリウム(NaOH)、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、リン酸三カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、ヒスチジン、アルギニン、γ−アミノ酪酸、シトルリン、リジン等を用いることができる。このようなΔpH付与剤の使用量は、飲料の炭酸ガス圧、飲料のpH値、飲料のアルコール濃度、他の原材料等に応じて、当業者であれば上述のΔpHの条件を満たすために適宜決定することができる。
本発明の飲料において、ΔpHは0.05以上とすることで、飲料のアルコール感を増強することができる。アルコール濃度が3.0%未満の飲料においては、ΔpHは好ましくは0.07以上、より好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.2以上である。アルコール濃度が3.0%以上の飲料においては、ΔpHは好ましくは0.1以上、より好ましくは0.23以上、さらに好ましくは0.3以上である。
本発明の飲料は、二酸化炭素を圧入したもの、すなわち容器詰め炭酸飲料である。炭酸ガス圧は、好みに応じて適宜調整することができ、例えば、0.1〜0.4MPa、好ましくは0.15〜0.35MPa、より好ましくは0.2〜0.3MPa(いずれも20℃におけるガス圧)の範囲で調整することができる。
本発明の飲料において、アルコール含有容器詰め炭酸飲料のpH値はアルコール感を明確に確認できる範囲として、2.0〜7.0、好ましくは3.0〜7.0、より好ましくは3.5〜6.5に調整することができる。飲料のpH値は、炭酸飲料のpH値と、その炭酸飲料における炭酸の影響を排除したときのpH値の両方を測定できる機器(例えばPBA−S(アントンパール・ジャパン社製))を用いることにより測定することができる。
本発明の飲料(最終製品)のアルコール濃度は特に制限されるものではないが、例えば、0.1v/v %以上、好ましくは0.3v/v %以上とすることができる。また、アルコール感の増強が望まれる飲料は、一般的には実際のアルコール濃度が低い飲料である。よって、本発明の飲料(最終製品)のアルコール濃度は、好ましくは20v/v %以下、より好ましくは15v/v %以下、さらに好ましくは10v/v %以下、さらに好ましくは5v/v %以下、さらに好ましくは3v/v %以下、さらに好ましくは1v/v %以下とされる。アルコール濃度の調整は、アルコール発酵の条件の調整、醸造酒の蒸留条件の調整、食品としての安全性が確認されたエタノール含有材料の添加などによって行うことができる。エタノール含有材料としては、醸造酒を蒸留して製造された蒸留酒(スピリッツ)を用いることができ、好ましい蒸留酒の例としては、ウオッカ、焼酎、テキーラ、ラム等が挙げられる。
本発明の好ましい実施態様によれば、本発明のアルコール含有容器詰め炭酸飲料の炭酸ガス圧は0.2〜0.3MPa(20℃におけるガス圧)、pH値は3.5〜6.5、アルコール濃度は0.3〜5.0v/v %とされる。この場合、炭酸飲料に炭酸を付与する前の原料液のpH値を上昇させるΔpH付与剤をΔpHの調整に用いることができるが、ΔpH付与剤として、例えば、飲料全体の質量に対して0.08〜0.2質量%の炭酸水素ナトリウム(NaHCO)または水酸化ナトリウム(NaOH)を添加することにより、ΔpHを0.05以上(例えば0.05〜3.0の範囲)に調整することができる。
本発明の飲料は、アルコール含有炭酸飲料の製造に用いられる他の成分を含んでもよい。このような他の成分としては、例えば、甘味料(例えば、砂糖、ブドウ糖、果糖、オリゴ糖、異性化液糖、糖アルコール、高甘味度甘味料等)、酸味料(例えば、酒石酸、乳酸、リン酸、フィチン酸、イタコン酸、フマル酸、グルコン酸、アジピン酸、酢酸、またはそれらの塩類等)、色素、食品添加剤(例えば、起泡・泡持ち向上剤、苦味料、保存料、酸化防止剤、増粘安定剤、乳化剤、食物繊維、pH調整剤など)等を適宜添加することができ、さらには、アルコール感の増強効果の妨げとならない限りにおいてフレーバリング(例えば、香料)を加えることもできる。
本発明の飲料は、容器詰飲料として提供される。本発明の飲料に使用される容器は、飲料の充填に通常使用される容器であればよく、例えば、金属缶、樽容器、プラスチック製ボトル(例えば、PETボトル、カップ)、紙容器、瓶、パウチ容器等が挙げられるが、好ましくは金属缶・樽容器、プラスチック製ボトル(例えば、PETボトル)、または瓶とされる。
また、本発明の他の態様によれば、アルコール含有容器詰め炭酸飲料のアルコール感を増強する方法であって、該アルコール含有容器詰め炭酸飲料のpH値と、該アルコール含有容器詰め炭酸飲料から炭酸を除去した後に測定されるpH値との差(ΔpH)を0.05以上に調整することを含んでなる方法が提供される。
以下の実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
飲料サンプルの調製方法
表1、3および5の処方に従い、ポストミックス法で各区の炭酸飲料サンプルを調製した。ポストミックス法とは、糖液、酸味料、香料、着色料、アルコール等を混合して調合したシロップを容器に注入し、次いで、炭酸水を容器に注入し、容器を密封した後でシロップと炭酸水を混合させる方法である。本実施例では、炭酸水以外の原材料を混合して調合したシロップを容器に注入し、次いで、別途カーボネーション(炭酸ガス圧入溶解)して作製した炭酸水(炭酸ガス濃度が0.5MPa)を容器に注入し、容器を密封した後で前述のシロップと炭酸水を混合することにより、各区の炭酸飲料サンプルを調製した。
ΔpHの測定方法
ΔpH(炭酸飲料サンプルのpH値と、その炭酸飲料サンプルから炭酸を除去したときのpH値との差)は、飲料分析用測定装置であるPBA−S(アントンパール・ジャパン社製)を用いて測定した。測定によって得られたpH:炭酸飲料サンプルのpH値およびpH(CO corrected):炭酸飲料サンプルから炭酸を除去したときのpH値から、下記の式:
[ΔpH]=[pH(CO Correct)]−[pH]
によってΔpHを求めた。
官能評価
調製した各区の炭酸飲料サンプルの官能評価は、訓練されたパネリスト4名によって、以下の方法および基準で行った。
官能評価では、アルコール濃度が同じ飲料を飲用した際のアルコール感の違いについて評価を行った。「アルコール感」は、具体的には「アルコール飲料を飲用した際に喉の奥に感じるカーッとする感覚」もしくは「アルコールを飲用したことによる満足感」と定義した。各試験において、アルコール濃度を一定とし、ΔpHの調整を行なわずに調製した飲料を対照区とし、ΔpHを任意に調整した飲料を比較区もしくは試験区として評価を行った。
評価素点は、以下の4段階評価とした。
(評価素点)
4点:対照区に比べて著しく強い。
3点:対照区に比べて若干強い。
2点:対照区に比べて若干弱い。
1点:対照区に比べて著しく弱い。
パネリスト4人の評価素点の平均点を算出し、その平均点を以下の評価基準でレベル分けした。
(評価基準)
A:(1〜4点の4段階評価で、平均点が3.0点以上)
B:(1〜4点の4段階評価で、平均点が2.3点以上3.0点未満)
C:(1〜4点の4段階評価で、平均点が1.6点以上2.3点未満)
D:(1〜4点の4段階評価で、平均点が1.6点未満)
実施例1:アルコール含有炭酸飲料におけるアルコール感増強のための条件
(1)アルコール感増強効果が見られるΔpHの検討
飲料サンプルにおけるΔpHのアルコール感への影響を評価した。表1に従って、ポストミックス法で各炭酸飲料サンプルを調製した。飲料サンプルはアルコール濃度が1.0%(v/v)、炭酸ガス圧が0.25MPaとなるように原料用アルコール(M酒類原料用アルコール95度:メルシャン社製)および炭酸水(炭酸ガス濃度:0.50MPa)を用いて適宜調製した。エタノールを含む原料を用いる場合は、それらの原料の寄与について考慮して試作品の最終濃度が表2となるように適宜調製した。ΔpHおよび官能評価の結果を表2に示す。
Figure 0006869645
Figure 0006869645
アルコール濃度が等しい試験区において、ΔpHが大きくなるにしたがってアルコール感が向上した。特に、ΔpHが0.05以上となった試験区1〜13においてアルコール感の増強が顕著であった。
さらに、試験区1〜13の炭酸飲料サンプルにおいては、甘味料として果糖ぶどう糖液糖(試験区1〜6)か、またはアセスルファムKとスクラロースの組み合わせ(試験区7〜13)を用いているが、ΔpHとアルコール感との相関関係については、いずれの甘味料を用いても同様の傾向が見られた。よって、上記のΔpHとアルコール感との相関関係は、甘味料の種類によって影響されないことが明らかとなった。
(2)アルコール感増強効果が見られるアルコール濃度の検討
飲料サンプルのアルコール濃度のアルコール感への影響を評価した。表3に従って、(1)と同様の方法で各炭酸飲料サンプルを調製した。アルコール濃度については、各炭酸飲料のアルコール濃度が表4の濃度となるように原料用アルコールを用いて調整した。ΔpHおよび官能評価の結果を表4に示す。
Figure 0006869645
Figure 0006869645
各アルコール濃度における対照区と試験区の比較から、アルコール濃度が高くなるにしたがってアルコール感の増強効果が向上した。アルコールを含有しない比較区5および6では、ΔpHは十分に高いにもかかわらずアルコール感の増強(付与)効果が見られず、その他香味にもほとんど影響が確認されなかった。一方、アルコールを含有する飲料サンプルでは、アルコール含有量がごく少量であってもアルコール感の増強効果が見られた。特に、アルコール濃度が0.3質量%以上である試験区14〜25においてアルコール感の顕著な増強が見られた。
また、試験区14〜25の炭酸飲料サンプルにおいては、ΔpH付与剤として炭酸水素ナトリウム(試験区14、16、18、20、22および24)か、または水酸化ナトリウム(試験区15、17、19、21、23および25)を用いているが、アルコール感の官能評価結果は、いずれのΔpH付与剤を用いても同様であった。よって、アルコール感の増強効果は、ΔpH付与剤の種類によって影響されないことが明らかとなった。
(3)様々な酸味料を用いたときのアルコール感増強効果の確認
各種酸味料を用いて調製した飲料サンプルにおいて、アルコール感の増強効果を評価した。表5に従って、(1)と同様の方法で各炭酸飲料サンプルを調製した。ΔpHおよび官能評価の結果を表6に示す。
Figure 0006869645
Figure 0006869645
ΔpHとアルコール感との相関関係については、いずれの酸味料を用いても同様の傾向が見られた。よって、上記のΔpHとアルコール感との相関関係は、酸味料の種類によって影響されないことが明らかとなった。
(4)市販飲料のΔpH測定
市販されている飲料を対象にΔpHの測定を行った。測定結果を表7に示す。
Figure 0006869645
表7から明らかなように、市販品A〜Mの全てのΔpHは0.02以下であった。

Claims (6)

  1. アルコール含有容器詰め炭酸飲料であって、該アルコール含有容器詰め炭酸飲料のpH値と、該アルコール含有容器詰め炭酸飲料から炭酸を除去した後に測定されるpH値との差(ΔpH)が0.05以上であり、前記アルコール含有容器詰め炭酸飲料のpH値が、該アルコール含有容器詰め炭酸飲料から炭酸を除去した後に測定されるpH値よりも低い、アルコール含有容器詰め炭酸飲料。
  2. 炭酸ガス圧が0.1〜0.4MPa(20℃におけるガス圧)である、請求項1に記載のアルコール含有容器詰め炭酸飲料。
  3. アルコール含有容器詰め炭酸飲料のpH値が2.0〜7.0である、請求項1に記載のアルコール含有容器詰め炭酸飲料。
  4. アルコール濃度が0.3v/v %以上である、請求項1に記載のアルコール含有容器詰め炭酸飲料。
  5. アルコール含有容器詰め炭酸飲料を製造する方法であって、該アルコール含有容器詰め炭酸飲料のpH値と、該アルコール含有容器詰め炭酸飲料から炭酸を除去した後に測定されるpH値との差(ΔpH)を0.05以上に調整することを含んでなり、前記アルコール含有容器詰め炭酸飲料のpH値が、該アルコール含有容器詰め炭酸飲料から炭酸を除去した後に測定されるpH値よりも低い、方法。
  6. アルコール含有容器詰め炭酸飲料のアルコール感を増強する方法であって、該アルコール含有容器詰め炭酸飲料のpH値と、該アルコール含有容器詰め炭酸飲料から炭酸を除去した後に測定されるpH値との差(ΔpH)を0.05以上に調整することを含んでなり、前記アルコール含有容器詰め炭酸飲料のpH値が、該アルコール含有容器詰め炭酸飲料から炭酸を除去した後に測定されるpH値よりも低い、方法。
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