JP2010279349A - 適度な甘味とスッキリとした後味を持つアルコール飲料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】適度な甘味とスッキリとした後味を持つアルコール飲料の製造方法を提供することである。
【解決手段】本発明による適度な甘味とスッキリとした後味を持つアルコール飲料の製造方法は、炭酸ガス圧0.1〜0.4MPa(20℃におけるガス圧)の炭酸ガスを含み、アルコール濃度が12v/v%以下でかつpH2.3〜4.0であるアルコール飲料の製造方法であって、糖類濃度が12w/v%以下に、かつ、アセスルファムカリウム濃度が0.001〜0.012w/v%の範囲になるように、糖類とアセスルファムカリウムとを加えることによって、アルコール飲料に、適度な甘みとスッキリとした後味を持たせることを特徴とするものである。
【選択図】なし

Description

発明の背景
発明の分野
本発明は、適度な甘味とスッキリとした後味を持つアルコール飲料の製造方法に関する。詳しくは本発明は、適度な甘さを持ちながらも,くどさのない香味のスッキリとした低アルコール飲料の製造方法に関する。また本発明はそのような製造方法により得られるアルコール飲料に関する。
背景技術
日本酒、蒸留酒、ビールなどの酒類をアルコール原料とし、果汁、果実、糖類、酸味料、塩類などの副原料を加えたチューハイなどのアルコール飲料が消費者に好まれ、市場の拡大が続いている。近年では、若年層のビール離れの傾向や、健康志向の観点などから、低アルコール飲料が好まれる傾向がみられる。
アルコール飲料の利点はスッキリした香味にあるが、アルコール、甘さを適度に含んだものは一般的に飲みにくいものが多い。特に、低アルコール飲料においては、甘味を実現するために糖類を加えると、甘味が強すぎたり、苦味やアルコールの重たさなどの好ましくない後味を感じたりして、くどくなることがある。このため、低アルコール飲料において、適度な甘味とスッキリとした後味とを両立させることは容易ではなかった。
従来の低アルコール飲料では、高甘味度甘味料はカロリーを抑えると共に、液糖の使用コスト抑制のために、糖類の代替品として用いられていた。
例えば、特開2007−117063号公報(特許文献1)には、酸味料としてリン酸およびクエン酸を用いたスッキリ感のあるアルコール飲料が開示されている。ここでは、高甘味度甘味料を、カロリー低減等の目的で糖類の一部代替えとして使用することが提案されている。ただしここでは、高甘味度甘味料の甘味以外の味覚や後味感等については何ら検討も示唆もなされていない。
高甘味度甘味料は、上記のような利点を有する一方で、エキス分が低く、糖類のような味の厚みを持たないことから、それを加えた飲料における飲み応えを補う観点で、味質の改善を図る検討が多くなされてきた。
例えば、特開2002−233341号公報(特許文献2)には、高甘味度甘味料の単一の使用では達成できない、砂糖またはそれに近い味覚プロフィールを、キシロオリゴ糖を併用し、さらに高甘味度甘味料の複数種の混合物を使用することによって改善できることが開示されている。
また特開2002−142710号公報(特許文献3)には、高甘味度甘味料の一つであるアセスルファムカリウムと、転化型液糖とを特定の割合で併用することで、低カロリーで、かつ、砂糖に近い甘味とボディー感を持つ、甘味料組成物が提供できることが開示されている。
しかしながら、これら文献には、甘味の改善と、苦味やアルコールの重たさなどの好ましくない後味を防ぎ、スッキリとした後味を実現することについては、何ら検討もされていない。
国際公開WO2002/067702A(特許文献4)には、炭酸飲料において、植物成分と炭酸ガスとにより生じるボディー感と刺激感およびアルコールによるバーニング感を、高甘味度甘味料の一つであるスクラロースを特定量配合することによって、低減する方法が開示されている(特許文献4の請求項16等)。しかしながら、この文献には、本発明のようにアルコール濃度も考慮した上で、アルコール濃度、糖類濃度、および高甘味度甘味料濃度をバランス良く設定することで、低アルコール飲料において、適度な甘味とスッキリとした後味とを両立できることについては、開示も示唆もされていない。
アセスルファムカリウムは、2000年になって食品添加物として認可された高甘味度甘味料の一つであり、熱に対して非常に安定性が高く、また酸やアルカリに対しても安定性が高いことが知られている。また、甘味の質に関して甘味度曲線(甘味の感じる強さ:縦軸、甘味を感じている時間:横軸)で表現すると立ち上がりが早く、切れの良い曲線を描く特徴を持つことが知られている(特許文献3)。
特開2007−117063号公報 特開2002−233341号公報 特開2002−142710号公報 国際公開WO2002/067702A
本発明者等は今般、アルコール濃度が12v/v%以下でかつpH2.3〜4.0である、炭酸低アルコール飲料において、加える糖類の特定量を、高甘味度甘味料の一つであるアセスルファムカリウムの特定量に置き換えることによって、適度に甘味を持ちながら、後引きの無いスッキリした低アルコール飲料を得ることに成功した。また、飲料の適度な甘味とスッキリとした後味とを実現するためには、糖類の使用量と、アセスルファムカリウムの使用量とに加えて、飲料のアルコール濃度も加味して、それらを適切に調整することが有利であることも見出した。
すなわち、本発明においては、糖類の使用量を抑える一方で、高甘味度甘味料であるアセスルファムカリウムの厚みをもたない甘さを利用して、甘味のある低アルコール飲料に厚みが付きすぎることを解消すると共に、糖を含むアルコール飲料に見られるアルコールの重たさやくどさを解消して、スッキリとした後味を実現することに成功した。
さらに本発明者等は、糖類やアセスルファムカリウムに加えて、少量の使用であれば、他の高甘味度甘味料であるスクラロースによって甘味を飲料に付加したとしても、スッキリとした後味を維持できることを見出した。そして、スクラロースの使用量が少量であれば、糖類やアセスルファムカリウムによって付与していた甘味の一部を、スクラロースによる甘味に置き換えても、所望の甘味とスッキリとした後味とを維持することができた。
本発明はこれら知見に基づくものである。
よって本発明は、適度な甘味とスッキリとした後味を持つアルコール飲料の製造方法を提供することをその目的とする。
本発明による適度な甘味とスッキリとした後味を持つアルコール飲料の製造方法は、
炭酸ガス圧0.1〜0.4MPa(20℃におけるガス圧)の炭酸ガスを含み、アルコール濃度が12v/v%以下でかつpH2.3〜4.0である、アルコール飲料の製造方法において、
糖類濃度が12w/v%以下に、かつ、アセスルファムカリウム濃度が0.001〜0.012w/v%の範囲になるように、糖類とアセスルファムカリウムとを加えることによって、アルコール飲料に、適度な甘みとスッキリとした後味を持たせることを特徴とするものである。
本発明のより好ましい態様によれば、本発明による製造方法は、アルコール飲料の甘味については、飲料の糖類濃度とアセスルファムカリウム濃度とを調整することによって調節し、飲料の後味については、糖類濃度とアセスルファムカリウム濃度とに加えて、アルコール濃度も調整することによって調節して、飲料に適度な甘みとスッキリとした後味を持たせることを含んでなる。
本発明のより好ましい態様によれば、本発明による製造方法において、
下記の甘味評価に関する式(1)と後味評価に関する式(2)とを満たすように、アルコール飲料中の糖類とアセスルファムカリウムの濃度を調整することをさらに含んでなる:
[甘味評価]
4.5≦F1−S+F1−Acek ・・・・ (1)
(式(1)中、
糖の甘味変動要素(F1−S)=0.4×糖類の濃度(w/v%)÷0.75、
アセスルファムカリウムの甘味変動要素(F1−Acek)=200×アセスルファムカリウムの濃度(w/v%)
である);
[後味評価]
2−S+F2−Acek+F2−k≦7.5 ・・・ (2)
(式(2)中、
糖の後味変動要素(F2−S)=0.23×糖類の濃度(w/v%)÷0.75、
アセスルファムカリウムの後味変動要素(F2−Acek)=100×アセスルファムカリウムの濃度(w/v%)、
アルコールの後味変動要素(F2−k)=0.49×アルコール濃度(v/v%)である)。
本発明の一つのより好ましい態様によれば、本発明による製造方法において、アルコール飲料のアルコール濃度は5〜10v/v%である。
本発明のさらに好ましい態様によれば、本発明による製造方法において、
スクラロース濃度が0.003w/v%以下となるようにスクラロースを添加することによって、アルコール飲料に、適度な甘みとスッキリとした後味を持たせることをさらに含んでなる。
本発明のさらにより好ましい態様によれば、本発明による製造方法において、
加えようとする糖類および/またはアセスルファムカリウムの一部を、飲料における濃度が0.003w/v%以下となる量のスクラロースに置き換えることによって、アルコール飲料に、適度な甘みとスッキリとした後味を持たせることをさらに含んでなる。
本発明の別の態様によれば、炭酸ガス圧0.1〜0.4MPa(20℃におけるガス圧)の炭酸ガスを含み、アルコール濃度が12v/v%以下でかつpH2.3〜4.0である、アルコール飲料であって、本発明による製造方法により得られる、適度な甘味とスッキリとした後味を持つアルコール飲料が提供される。
本発明の製造方法によれば、アルコールが味に厚みを持っている場合であっても、ある程度の甘味を持った低アルコール飲料の開発を進めることができ、糖類とアルコール分の両方の厚みによって、その飲料が飲み難くなることを解消して、スッキリとしながらも、甘味の十分感じられる低アルコール飲料の開発が可能になる。すなわち、本発明により、アルコール分を適度に含有したアルコール飲料において、適度に甘さをもちながらも、スッキリとした香味を持つ飲料の開発が可能になる。本発明による方法は、新たなアルコール飲料の開発や、製造過程で甘味と香味の調整などにおいて有利に使用できる。
また、本発明による方法で得られたアルコール飲料は、糖類と高甘味度甘味料であるアセスルファムカリウムを併用しているため、甘さのピークを味わいの前半に持ってくることが出来、後引きの無い、スッキリした香味印象を与えるものとなる。さらに本発明によれば、甘味の一部を、高甘味度甘味料であるアセスルファムカリウムで適度に付けることによって、味わいに甘味の落差を与え、スッキリ感をより強調して感じるようにすることが出来る。
本発明においてはさらに、少量であればスクラロースを使用して、所望の甘味とスッキリとした後味とを維持することができる。スクラロースは、ショ糖様の風味を有し、さらにショ糖などの糖類に比べて風味改善効果も期待できることから、糖類やアセスルファムカリウムの一部を、スクラロースに置き換えることで、さらに風味が改善されつつ、所望の甘味とスッキリとした後味のアルコール飲料を調製することができる。
アルコール飲料の利点はスッキリした香味にあるが、アルコール、甘さを適度に含んだものは一般的に飲みにくいものが多い。本発明によれば、アルコール、甘さを適度に持ちながらもスッキリした爽快感のある飲料が得られることになり、香味開発の幅が広がり、消費者により多くの商品の選択肢を提供できる。
糖類濃度と甘味評価との関係を示すグラフである。 アセスルファムカリウム濃度と甘味評価との関係を示すグラフである。 甘味評価値と官能評価との関係を示すグラフである。 糖類濃度と後味評価との関係を示すグラフである。 アセスルファムカリウム濃度と後味評価との関係を示すグラフである。 アルコール濃度と後味評価との関係を示すグラフである。 後味評価値と官能評価との関係を示すグラフである。 アルコール度数(濃度)と官能評価との差分に関するグラフである。
発明の具体的説明
本発明による方法は、前記したように、
炭酸ガス圧0.1〜0.4MPa(20℃におけるガス圧)の炭酸ガスを含み、アルコール濃度が12v/v%以下でかつpH2.3〜4.0であるアルコール飲料の製造方法であって、
糖類濃度が12w/v%以下に、かつ、アセスルファムカリウム濃度が0.001〜0.012w/v%の範囲になるように、糖類とアセスルファムカリウムとを加えることによって、アルコール飲料に、適度な甘みとスッキリとした後味を持たせることを特徴とする、適度な甘味とスッキリとした後味を持つアルコール飲料の製造方法である。
本発明において、アルコール飲料とは、アルコールを含有する飲料を意味し、そのアルコール濃度は12v/v%以下であり、好ましくは10v/v%以下である。アルコール濃度が10v/v%以下であると、スッキリとした後味がより強調される。本発明の好ましい態様によれば、アルコール濃度は0.1〜10v/v%であり、より好ましくは1〜10v/v%、さらに好ましくは3〜10v/v%、さらにより好ましくは5〜10v/v%、特に好ましくは5〜8v/v%である。本発明のアルコール飲料に用いるアルコール原料は、特に限定されず、例えば、醸造アルコール、焼酎、スピリッツ類(ウォッカ、ジン、ラム、等)、リキュール類、ウイスキー、ブランデー、清酒、果実酒、ビール等であることができる。これらは2種以上を組み合わせても良い。
本発明におけるアルコール飲料は、炭酸ガスを含むものである。ここで、飲料における炭酸ガス圧は、約20℃において測定される炭酸ガス圧をいい、好ましくは飲料の炭酸ガス圧は、0.1〜0.3MPa、より好ましくは0.15〜0.3MPaである。炭酸ガス圧は、例えば、国税庁所定分析法に基づく、ビールのガス圧分析法によって測定できる(例えば、国税庁webページ: http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/sonota/070622/01.htm を参照)。また、市販の機械式炭酸ガス圧測定器を用いて測定することもできる。例えば、ガスボリューム測定装置(GVA-500、京都電子工業株式会社製)を用いてもよい。
本発明におけるアルコール飲料はまた、そのpHが2.3〜4.0の範囲にあるものである。好ましくは該pHは、2.5〜4.0であり、より好ましくは3.0〜4.0である。本発明においては、pHは酸味料を加えることで調節することができる。すなわち、使用する酸味料の種類や、使用量により調節することができる。本発明において使用可能な酸味料としては、クエン酸、リンゴ酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、乳酸、酒石酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルコン酸、リン酸、酢酸などが挙げられる。また本発明のアルコール飲料に、果実やその由来成分、果汁などを使用する場合には、それらも利用してpHを調整することができる。
本発明の製造方法においては、アルコール飲料の糖類の濃度を調整する。ここで糖類は、単糖類、オリゴ糖類(ショ糖、麦芽糖など単糖類が2〜10個程度結合した糖)を指す。単糖類には、果糖、ブドウ糖を用いることが好ましい。本発明において糖類の量はこれら糖類の合計量を意味する。アルコール飲料中の糖類濃度を調整する際、果糖、ブドウ糖を主成分とし、ショ糖と同程度の甘味を有する日本農林規格(平成20 年5月20 日農林水産省告示第752号)で定める異性化液糖(水分含有率30%以下)や砂糖混合異性化液糖を用いることができる。甘味の性質上、果糖ブドウ糖液糖(果糖濃度50〜60%)を用いることが特に好ましい。
なお、液糖などにおいては、糖類以外の成分も含まれることがあるので、そのような場合には、含有する糖類量に換算して、液糖を使用することが望ましい。
本発明においては、選択した糖類を、アルコール飲料に加えて溶解させることによって所望の濃度となるように、添加する糖類使用量を決定する。したがって、本発明の課題を解決するため、すなわち後味をスッキリさせるためには、アルコール飲料中の糖類濃度が多くとも12w/v%(体積対容量百分率(weight to volume percentage))以下、より好ましくは10.5w/v%以下となるように添加する必要がある。一方、主としてアルコール飲料に十分な甘味を付与する観点から、糖類濃度が少なくとも0.1w/v%以上になるように糖類を加えることが好ましく、さらに好ましくは1.0w/v%以上、より好ましく4.5w/v%以上、最も好ましくは6.0w/v%以上となるように糖類を加える必要がある。
本発明における糖類濃度は、果汁入りアルコール飲料の場合、果汁に含まれる糖類を含む値となる。糖類を加える前の状態の飲料糖類濃度を、例えば高速液体クロマトグラフで分析することができる。検出法は、蛍光検出法等を用いることができる。
本発明の製造方法においては、アルコール飲料に糖類と高甘味度甘味料を加え、所定の濃度に調整する。一般的に、高甘味度甘味料としては、アセスルファムカリウム(アセスルファムK)、スクラロース、アスパルテーム、ネオテームなどが知られているが、本発明では、アセスルファムカリウムを使用する。アセスルファムカリウムは、スクラロースや糖類よりも甘味の立ち上がりが速い。糖類の一部をアセスルファムカリウムに置き換えることで、より好ましい飲料の甘味と、スッキリとした後味とを実現できる。本発明においては、アルコール飲料におけるアセスルファムカリウム濃度が、0.001〜0.012w/v%の範囲内、好ましくは0.002〜0.008w/v%の範囲内、より好ましくは0.003〜0.006w/v%の範囲内となるようにアセスルファムカリウムを飲料に加える。
本発明においてはさらに、糖類やアセスルファムカリウムに加えて、少量の使用であれば、他の高甘味度甘味料であるスクラロースを添加することによって甘味を飲料に付加したとしても、スッキリとした後味を維持できることできる。このように、スクラロースをさらに使用する場合、アルコール飲料におけるスクラロース濃度が、0.003w/v%以下となるようにスクラロースを添加することが好ましい。より好ましくはスクラロース濃度は、0.0005〜0.003w/v%、さらに好ましくは0.001〜0.003w/v%、さらにより好ましくは0.001〜0.0025w/v%、最も好ましくは0.001〜0.002w/v%である。スクラロース濃度が前記範囲を超えると、甘味に重さが生じ、ショ糖様の自然な甘味ではなくなってしまう。
本発明のさらにより好ましい態様によれば、前記したように、本発明による製造方法において、加えようとする糖類および/またはアセスルファムカリウムの一部を、飲料における濃度が0.003w/v%以下となる量のスクラロースに置き換えることによって、アルコール飲料に、適度な甘みとスッキリとした後味を持たせることをさらに含んでなる。換言すると、スクラロースを添加して得られる甘味を考慮して、その甘味に相当する糖類および/またはアセスルファムカリウムの使用量、すなわち濃度を低減することができる。あるいは、糖類および/またはアセスルファムカリウムの使用量、すなわち濃度を低減させ、それによる甘味の低減分を補うためにスクラロースを加えることができる。通常、スクラロースによる糖類および/またはアセスルファムカリウムの置き換えによって、糖類および高甘味度甘味料の使用総量を低減することができる。
スクラロースは、糖類、アセスルファムカリウムの両方および一方の使用量の一部と置き換えることができ、好ましくはアセスルファムカリウムの使用量の一部と置き換えることができる。
本発明による製造方法は、通常のアルコール飲料の製造方法の過程において、適宜使用することができる。このような通常のアルコール飲料の製造方法の具体例としては、下記の通りのものが挙げられる。
まず、タンク中において、アルコールを含有した水溶液に(a)糖類を加え甘みを調整し、次いで(b)酸味料を加え、酸味を調整し、さらに必要に応じて香味の調整に香料を加え、さらに、(c)高甘味度甘味料を加え、甘味等の香味を整える。次いで、香味を整えた水溶液に炭酸ガスを加えて、炭酸ガス含有飲料を製造することができる。ただし、これは具体例であって、ここでの原材料を加える順序や使用はこれに限定されるものではなく、またここでの記載される全ての原材料を使用する必要もない。
すなわち、本発明による方法は、このような飲料の製造過程において、糖類濃度と、高甘味度甘味料であるアセスルファムカリウム濃度とを調整し、加えることで実施することができる。なおスクラロースをさらに使用する場合には、このような飲料の製造過程において、糖類濃度と、高甘味度甘味料であるアセスルファムカリウム濃度およびスクラロース濃度とを調整し、加えることで、本発明による方法を実施することができる。
本発明の好ましい態様によれば、前記したように、飲料の糖類濃度とアセスルファムカリウム濃度とに加えて、アルコール濃度も調整することによって、適度な甘味とスッキリとした後味を飲料に付与することを含んでなる。このように、飲料のアルコール濃度も考慮した上で、糖類濃度と、アセスルファムカリウム濃度とを調整して、アルコール濃度、糖類濃度、および高甘味度甘味料濃度をバランス良く設定することによって、低アルコール飲料において、適度な甘味とスッキリとした後味とをより高いレベルで両立し、実現することができる。
本発明のより好ましい態様によれば、前記したように、本発明による製造方法において、アルコール飲料の甘味については、飲料の糖類濃度とアセスルファムカリウム濃度とを調整することによって調節し、飲料の後味については、糖類濃度とアセスルファムカリウム濃度とに加えて、アルコール濃度も調整することによって調節して、飲料に適度な甘みとスッキリとした後味を持たせることを含んでなる。このように、甘味と後味とを、より厳密に調整して、アルコール濃度、糖類濃度、および高甘味度甘味料濃度をバランス良く設定することによって、低アルコール飲料において、適度な甘味とスッキリとした後味とをさらに高いレベルで両立し、実現することができる。
本発明のより好ましい態様によれば、前記したように、
下記の甘味評価に関する式(1)と後味評価に関する式(2)とを満たすように、アルコール飲料中の糖類とアセスルファムカリウムの濃度を調整することをさらに含んでなる:
[甘味評価]
4.5≦F1−S+F1−Acek ・・・・ (1)
(式(1)中、
糖の甘味変動要素(F1−S)=0.4×糖類の濃度(w/v%)÷0.75、
アセスルファムカリウムの甘味変動要素(F1−Acek)=200×アセスルファムカリウムの濃度(w/v%)
である);
[後味評価]
2−S+F2−Acek+F2−k≦7.5 ・・・ (2)
(式(2)中、
糖の後味変動要素(F2−S)=0.23×糖類の濃度(w/v%)÷0.75、
アセスルファムカリウムの後味変動要素(F2−Acek)=100×アセスルファムカリウムの濃度(w/v%)、
アルコールの後味変動要素(F2−k)=0.49×アルコール濃度(v/v%)である)。
本発明のより好ましい態様によれば、前記式(1)は、
5.5≦F1−S+F1−Acek ・・・・ (1’)
とすることができる。このような式を満たすことで、より適切な甘味を飲料に付与することができる。
本発明のさらに好ましい態様によれば、前記式(1)は、
6.0≦F1−S+F1−Acek ・・・・ (1’’)
とすることができる。このような式を満たすことで、さらに適切な甘味を飲料に付与することができる。
本発明のより好ましい態様によれば、前記式(2)は、
2−S+F2−Acek+F2−k≦7.0 ・・・ (2’)
とすることができる。このような式を満たすことで、よりスッキリとした後味を飲料に付与することができる。
本発明の別の態様によれば、前記したように、炭酸ガス圧0.1〜0.4MPa(20℃におけるガス圧)の炭酸ガスを含み、アルコール濃度が12v/v%以下でかつpH2.3〜4.0である、アルコール飲料であって、本発明の製造方法により得られる、適度な甘味とスッキリとした後味を持つアルコール飲料が提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、炭酸ガス圧0.1〜0.4MPa(20℃におけるガス圧)の炭酸ガスを含み、アルコール濃度が12v/v%以下でかつpH2.3〜4.0である、アルコール飲料であって、糖類濃度が12w/v%以下で、かつ、アセスルファムカリウム濃度が0.001〜0.012w/v%の範囲であることを特徴とする、適度な甘味とスッキリとした後味を持つアルコール飲料が提供される。
本発明の別の好ましい態様によれば、本発明による前記アルコール飲料において、前述の甘味評価に関する式(1)と後味評価に関する式(2)とを満たすように、アルコール飲料中の糖類とアセスルファムカリウムの濃度が調整されてなる。
本発明の別のより好ましい態様によれば、本発明による前記アルコール飲料は、スクラロース濃度が0.003w/v%以下となるようにスクラロースをさらに含んでなる。
本発明のアルコール飲料においては、必要に応じて、果汁類をさらに含むことができる。このような果汁類としては、果実、果汁、野菜片、野菜汁、ハーブエキスなどが挙げられこれらは、ストレート果汁、濃縮果汁、透明果汁、ピューレ、果肉等の形態で適宜飲料に配合することができる。
本発明によるアルコール飲料には、慣用の添加剤成分、例えば、香料、緩衝剤、着色剤、安定剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、防腐剤等を適宜選択して使用することができる。
本発明によるアルコール飲料の具体例としては、炭酸含有のチューハイやカクテル類、ビールテイストのリキュール類、炭酸ガス含有の甘味果実酒など他、酒税法にて甘味料の含有が許される炭酸ガス含有アルコール飲料などが挙げられる。
本発明を以下の例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例1: 試作飲料の調製
以下で行う官能評価に用いる試作アルコール飲料を下記のようにして調製した。
まず、アルコールを含有した水溶液に、糖類、酸味料、アセスルファムカリウムを加え、その水溶液に炭酸ガス0.2MPa(at20℃)を付加した。このとき、アルコール濃度5〜12v/v%となるようにし、糖類については果糖ブドウ糖液糖(液糖中の全糖類量75w/v%、この内、液糖全量に対して、果糖分55w/v%、ブドウ糖分15w/v%、オリゴ糖分5w/v%)を使用した。糖類濃度が0〜12w/v%(果糖ブドウ糖の濃度換算で、0〜16w/v%)となるように、酸味料についてはクエン酸を使用し、飲料のpHが3.0となるよう該濃度が0.1w/v%となるように、そして、アセスルファムK濃度が0〜0.014w/v%となるように、それぞれ調整し加えた。なおこのとき、香料は加えなかった。
例2: 甘味評価式の算出
(2−1) 糖類の甘味係数の算出
高甘味度甘味料であるアセスファムKを使用せずに、所定の各アルコール濃度(5、6、8、12%)において、糖類濃度を増やしたときの甘味評価の増加率(糖類の甘味係数)を算出した。
前記試作飲料を、チューハイおよびカクテル系飲料の評価に熟練したパネル10名によって下記に基準に従って甘味の強度を評価した。
甘味の強度評価は各パネルが独立し、1〜7点の7段階で点数付けを行い、その平均を算出した。
甘味の強度の判定基準:
評価値
1: 甘くないと感じた、
2: あまり甘くないと感じた、
3: 甘味が弱いと感じたが、許容できる範囲であった
4: 適度な甘味であると感じた、
5: 甘味が強いと感じた、
6: 甘すぎると感じた、
7: 極度に甘いと感じた。
なお、甘味は口に含んで3秒以内に感じる甘味をここでの甘味と定義し、飲料は舌の上を唇から喉へ向かう順方向に一度だけ通過するものして、飲料を舌の上で意図的に往復させるような飲み方はしなかった。
本発明においては、評価値「4」の甘味を「目指す香味」の下限とすることをまず考えたが、近時の需要者の健康志向の観点からは、評価値「3」の甘味であっても甘味として充分許容できる範囲であると判明した(詳しくは、一般需要者を含む独立した90人のパネルで官能評価をしたところ、過半数が評価値約3(具体的には3.1)の甘味の強度を有する飲料に対して、「ほどよい甘さ」と判定した)。
そこで、本発明では、評価値「3」の甘味を「目指す香味」の下限とした(すなわち、甘味強度の評価値3以上を目指す香味としてここでは設定することとした)。
結果は下記表1および図1に示される通りであった。
Figure 2010279349
結果から、甘味評価の増加はアルコール度数(濃度)によらず、糖類の濃度に比例して変化することが判った。すなわち、糖類としての果糖ブドウ糖液糖の濃度(使用量)に約「0.4」を乗じた関係をもって、増加していった。これらの結果から、糖類(特に果糖ブドウ糖液糖)の甘味係数は「0.4」であることがわかった。
(2−2) アセスルファムKの甘味係数の算出
所定の各アルコール濃度(5、6、8、12%)において、アセスルファムKの濃度を増やしたときの甘味評価の増加率(アセスルファムKの甘味係数)を算出した。
このとき、アセスルファムKの甘味を評価するためには、香味のベースとして、ある程度の糖類の使用が必要であったため、果糖ブドウ糖液糖を8%使用した状態で実験を行った。
甘味の強度の評価については、前記(2−1)項の「糖類の甘味係数の算出」の場合と同様に行った。
結果は下記表2および図2に示される通りであった。
Figure 2010279349
(なお、ここで「アセK」とはアセスルファムカリウムを意味する)。
結果から、甘味評価の増加は、アセスルファムKの濃度に比例して変化することが判った。すなわち、アセスルファムKの濃度(使用量)に約「200」を乗じた関係をもって、増加していった。これらの結果から、アセスルファムKの甘味係数は「200」であることがわかった。
(2−3) 甘味評価式の算出
前記(2−1)および(2−2)項の結果から、実際の糖類濃度およびアセスルファムK濃度に対して、各甘味係数を使用することによって、その甘味評価値が算出でき、これらの合計を、ここで、アルコール飲料全体の甘味評価値としてすることとした。具体的には、アルコール飲料の甘味評価値の算出式(式(3))は下記のとおりとなった。
[アルコール飲料の甘味評価値]
甘味評価値=(0.4×果糖ブドウ糖液糖の濃度)+(200×アセスルファムK濃度)
ここで、果糖ブドウ糖液糖中の糖類濃度は75%であったので、上記式を糖類濃度に換算すると、以下の式が成り立つ。
甘味評価値=(0.4×製品の糖類濃度÷0.75)+(200×アセスルファムK濃度) ・・・・・・・・ (3)
(2−4) 甘味評価値の算出式(式(3))の検証
甘味評価値の算出式の確からしさを下記の通りに検証した。
例1の試作飲料に基づいて、アルコール濃度5、6、8および12%とし、糖類を含む果糖ブドウ糖液糖を6、8、10、12、14および16%とし、さらにアセスルファムカリウム濃度を0,0.004、0.008および0.012%とする各試作資料をそれぞれ作成し、前記(2−1)項の「糖類の甘味係数の算出」の場合と同様に甘味の官能評価を行った。
官能評価の結果は下記表3〜6に示される通りであった。
Figure 2010279349
Figure 2010279349
Figure 2010279349
Figure 2010279349
結果から、糖類としての果糖ブドウ糖液糖の使用量が増えるにつれて甘味の評価は高くなり、また高甘味度甘味料の使用量が増えるにつれて甘味の評価が高くなった。
次いで、前記したアルコール飲料の甘味評価値の算出式(式(3))に基づいて、甘味評価値を算出し、表3〜6の実際の官能評価との関係をグラフ化して評価した。
結果は、図3に示したグラフの通りであった。
結果から、アルコール濃度5〜12%において、官能評価と甘味評価値の寄与率(R)はほぼ1に近く、甘味評価値から官能評価の値を1:1の関係でほぼ説明できることがわかった。また、算出された甘味評価値は、官能評価の値に1.5加えることで7段階評価とほぼ一致する事が分かった。
以上から、甘味評価値の算出式(式(3))が官能評価と相関していることが確認された。また、少なくとも、糖類濃度4.5%〜12%の範囲内、およびアセスルファムK濃度0%〜0.012%の範囲内において、アルコール濃度5〜12%における飲料の甘味を推定する値を算出できることが分かった。
(2−5) 製造法において使用可能な関係式の算出
上記で得られた式(3)に、先に設定した、本発明において最低限必要とされる甘味の度合い(目指す香味(甘味評価値)の下限)を適用して、本発明に従う適度な甘味の飲料を実現するための「甘味評価に関する関係式」を求めた。
まず、前記(2−4)項の結果より、パネルによる官能評価値を計算から求められる甘味評価値へ変換するには下式(4)のとおりであった。
甘味評価値=官能評価値+1.5 ・・・ (4)
前記(2−1)項で記載したように、パネル試験の前提として、甘味の官能評価の採点には「本発明においては、評価値「3」の甘味を「目指す香味」の下限とした」ため、甘味評価値の下限を3(すなわち3以上)とすると、上記式(4)に、この点と、式(3)を導入すると、甘味評価に関する関係式は下記の通りとなることがわかった。
3+1.5≦(0.4×糖類濃度÷0.75)+(200×アセスルファムカリウム濃度)
従って、この式を書き換えると下記の通りとなる。この関係式を満たすように糖類濃度とアセスルファムカリウム濃度とを設定することで、アルコール飲料において適度な甘味を実現できる。
4.5≦F1−S+F1−Acek ・・・・ (1)
(式(1)中、
糖の甘味変動要素(F1−S)=0.4×糖類の濃度(w/v%)÷0.75、
アセスルファムカリウムの甘味変動要素(F1−Acek)=200×アセスルファムカリウムの濃度(w/v%)
である)。
なお、甘味評価値の下限を4(すなわち4以上)とすると、上記式(4)に、この点と、式(3)を導入すると上記の式(1)は下記のとおりとなる:
5.5≦F1−S+F1−Acek ・・・・ (1‘)
例3: 後味評価式の算出
(3−1) 糖類の後味係数の算出
さらに適度な甘味を持ちながらも、後味の残らないすっきり感のある飲料を開発するために、後味残りについても、検討した。
ここで、「後味の残り」とは飲料を飲み込んだ後、4〜5秒にて舌に残る香味の8割が消失した状態を「後味が残らない」と定義した。このとき、飲料は舌の上を唇から喉へ向かう順方向に一度だけ通過するのものし、飲料を舌の上で意図的に往復させるような飲み方はしなかった。
まず、高甘味度甘味料であるアセスファムKを使用せずに、所定の各アルコール濃度(5、6、8、12%)において、糖類濃度を増やしたときの後味評価の増加率(糖類の後味係数)を算出した。
前記試作飲料を、チューハイおよびカクテル系飲料の評価に熟練したパネル10名によって下記に基準に従って後味を評価した。
後味の評価は各パネルが独立し、1〜7点の7段階で点数付けを行い、その平均を算出した。
後味の判定基準:
評価値
1: 非常にスッキリしていた、
2: 爽快感があり、かなりスッキリしていた、
3: スッキリ感を強く感じた、
4: スッキリしていた、
5: スッキリしていたが少し重かった、
6: スッキリしていなかった、
7: 極重たくスッキリしていなかった。
本発明においては、評価値「4」のスッキリした香味を「目指す香味」の上限とした(すなわち、後味評価値4以下を目指す香味としてここでは設定することとした)。
結果は下記表7および図4に示される通りであった。
Figure 2010279349
結果から、後味評価の増加はアルコール度数(濃度)により切片は異なるものの、各アルコール濃度において糖類の濃度に比例して変化することが判った。すなわち、糖類としての果糖ブドウ糖液糖の濃度(使用量)に約「0.23」を乗じた関係をもって、増加していった。これらの結果から、糖類(特に果糖ブドウ糖液糖)の後味係数は「0.23」であることがわかった。
(3−2) アセスルファムKの後味係数の算出
所定の各アルコール濃度(5、6、8、12%)において、アセスルファムKの濃度を増やしたときの後味評価の増加率(アセスルファムKの後味係数)を算出した。
このとき、アセスルファムKの後味を評価するためには、香味のベースとして、ある程度の糖類の使用が必要であったため(前記(2−2)項と同様)、果糖ブドウ糖液糖を8%使用した状態で実験を行った。
後味の評価については、前記(3−1)項の「糖類の後味係数の算出」の場合と同様に行った。
結果は下記表8および図5に示される通りであった。
Figure 2010279349
結果から、後味評価の増加はアルコール度数(濃度)により切片は異なるものの、各アルコール濃度においてアセスルファムKの濃度に比例して変化することが判った。すなわち、アセスルファムKの濃度(使用量)に約「100」を乗じた関係をもって、増加していった。これらの結果から、アセスルファムKの後味係数は「100」であることがわかった。
(3−3) アルコール度数による後味係数の算出
後味の香味にはアルコール分の寄与が無視できない。このため、後味評価式へアルコール度数の関与を加えるため、アルコール度数が後味評価に与える影響を調べて、後味評価の増加率(アルコールの後味係数)を算出した。
アセスファムKを使用せずに、所定の各糖類濃度(ここでは果糖ブドウ糖液糖濃度として、6、8、10、12、14および16%)において、アルコール濃度を増やしたときの後味評価の変化を調べた。
後味の評価については、前記(3−1)項の「糖類の後味係数の算出」の場合と同様に行った。
結果は下記表9および図6に示される通りであった。
Figure 2010279349
結果から、後味評価の増加は各糖類濃度におけるアルコール濃度が変化してもほぼ一定の傾向を示した。すなわち、アルコール度数(濃度)に約「0.34」を乗じた関係をもって、増加していった。これらの結果から、アルコールの後味係数は「0.34」であることがわかった。
(3−4) 後味評価式の算出
前記(3−1)、(3−2)および(3−3)項の結果から、実際の糖類濃度、アセスルファムK濃度およびアルコール濃度に対して、各後味係数を使用することによって、その後味評価値が算出でき、これらの合計を、ここで、アルコール飲料全体の後味評価値とすることとした。具体的には、アルコール飲料の後味評価値の算出式(式(5))は下記のとおりとなった。
[アルコール飲料の後味評価値]
後味評価値=(0.23×果糖ブドウ糖液糖の濃度)+(100×アセスルファムK濃度)+(0.34×アルコール濃度)
ここで、果糖ブドウ糖液糖中の糖類濃度は75%であったので、上記式を糖類濃度に換算すると、以下の式が成り立つ。
後味評価値=(0.23×糖類濃度÷0.75)+(100×アセスルファムK濃度)
+(0.34×アルコール濃度) ・・・・・・ (5)
(3−5) 後味評価値の算出式(式(5))の検証
後味評価値の算出式の確からしさを下記の通りに検証した。
例1の試作飲料に基づいて、アルコール濃度5、6、8および12%とし、糖類を含む果糖ブドウ糖液糖を6、8、10、12、14および16%とし、さらにアセスルファムカリウム濃度を0,0.004、0.008および0.012%とする各試作資料をそれぞれ作成し、前記(3−1)項の「糖類の後味係数の算出」の場合と同様に後味の官能評価を行った。
官能評価の結果は下記表10〜13に示される通りであった。
Figure 2010279349
Figure 2010279349
Figure 2010279349
Figure 2010279349
結果から、糖類を含む果糖ブドウ糖液糖の使用量が増えるにつれて後味残りの評価は高くなり、また高甘味度甘味料の使用量が増えるにつれて後味残りの評価が高くなった。またアルコール濃度が高くなるにつれて、後味残りの評価が高くなった。
次いで、前記したアルコール飲料の後味評価値の算出式(式(5))に基づいて、後味評価値を算出し、表10〜13の実際の官能評価との関係をグラフ化して評価した。
結果は、図7に示したグラフの通りであった。
結果から、糖類濃度4.5%〜12%の範囲内、およびアセスルファムK濃度0%〜0.012%の範囲内で、アルコール濃度5〜12%において、官能評価と後味評価値の寄与率(R)はほぼ1に近く、後味評価値から官能評価の値を1:1の関係でほぼ説明できることがわかった。また、算出された後味評価値は、官能評価の値に下記の差分を加えることで7段階評価とほぼ一致する事が分かった。
またアルコール濃度における官能評価へ変換する際の後味評価度との差分は図8のグラフから以下のように示せることがわかった。
差分=(−0.15×アルコール度数)+3.5
以上から、後味評価値の算出式(式(5))が官能評価と相関していることが確認された。また、少なくとも、糖類濃度4.5%〜12%の範囲内、およびアセスルファムK濃度0%〜0.012%の範囲内において、アルコール濃度5〜12%における飲料の後味スッキリさを推定する値を算出できることが分かった。
(3−6) 製造法において使用可能な関係式の算出
上記で得られた式(5)に、先に設定した、本発明において最低限必要とされる後味スッキリさの度合い(目指す香味(後味評価値)の上限)を適用して、本発明に従う後味のスッキリした飲料を実現するための「後味評価に関する関係式」を求めた。
まず、前記(3−5)項の結果より、パネルによる官能評価値を計算から求められる後味評価値へ変換するには下式(6)のとおりであった。
後味評価値=官能評価値+差分 ・・・ (6)
前記(3−1)項で記載したように、パネル試験の前提として、甘味の官能評価の採点には「本発明においては、評価値「4」の後味を「目指す香味」の上限とした」ため、後味評価値の上限を4(すなわち4以下)とすると、上記式(6)に、この点と、式(5)および上記差分の式を導入すると、後味評価に関する関係式は下記の通りとなることがわかった。
(0.23×糖類濃度÷0.75)+(100×アセスルファムカリウム濃度)+(0.34×アルコール濃度)≦4(点)+(-0.15×アルコール濃度)+3.5
そしてこれを整理すると下記の通りとなった。
(0.49×アルコール濃度)≦7.5−(0.23×糖類濃度÷0.75)−(100×アセスルファムカリウム濃度)
従って、この式を書き換えると下記の通りとなる。この関係式を満たすように糖類濃度、アセスルファムカリウム濃度およびアルコール濃度を設定することで、アルコール飲料においてスッキリとした後味を実現できる。
2−S+F2−Acek+F2−k≦7.5 ・・・ (2)
(式(2)中、
糖の後味変動要素(F2−S)=0.23×糖類の濃度(w/v%)÷0.75、
アセスルファムカリウムの後味変動要素(F2−Acek)=100×アセスルファムカリウムの濃度(w/v%)、
アルコールの後味変動要素(F2−k)=0.49×アルコール濃度(v/v%)である)。
例4: スクラロースを使用した場合の甘味と後味の評価
糖類(果糖ブドウ糖液糖)、アセスルファムK、およびスクラロース濃度を下記の通りとした以外は、例1と同様にして試作飲料を作成し、熟練したパネル10名によって下記基準に従って、甘味の強度と後味とを総合的に評価した。
判定基準:
評価
◎: 適度な甘味があり、後味も非常にスッキリしていた、
○: 充分な甘味があり、後味もスッキリしていた、
△: 甘味または後味のスッキリ感の何れかが不十分であった、
×: 甘味および後味の双方が不十分であった。
Figure 2010279349

Claims (6)

  1. 炭酸ガス圧0.1〜0.4MPa(20℃におけるガス圧)の炭酸ガスを含み、アルコール濃度が12v/v%以下でかつpH2.3〜4.0であるアルコール飲料の製造方法であって、
    糖類濃度が12w/v%以下に、かつ、アセスルファムカリウム濃度が0.001〜0.012w/v%の範囲になるように、糖類とアセスルファムカリウムとを加えることによって、アルコール飲料に、適度な甘みとスッキリとした後味を持たせることを特徴とする、適度な甘味とスッキリとした後味を持つアルコール飲料の製造方法。
  2. アルコール飲料の甘味については、飲料の糖類濃度とアセスルファムカリウム濃度とを調整することによって調節し、飲料の後味については、糖類濃度とアセスルファムカリウム濃度とに加えて、アルコール濃度も調整することによって調節して、飲料に適度な甘みとスッキリとした後味を持たせることを含んでなる、請求項1に記載の製造方法。
  3. 下記の甘味評価に関する式(1)と後味評価に関する式(2)とを満たすように、アルコール飲料中の糖類とアセスルファムカリウムの濃度を調整することをさらに含んでなる、請求項1または2に記載の方法:
    [甘味評価]
    4.5≦F1−S+F1−Acek ・・・・ (1)
    (式(1)中、
    糖の甘味変動要素(F1−S)=0.4×糖類の濃度(w/v%)÷0.75、
    アセスルファムカリウムの甘味変動要素(F1−Acek)=200×アセスルファムカリウムの濃度(w/v%)
    である);
    [後味評価]
    2−S+F2−Acek+F2−k≦7.5 ・・・ (2)
    (式(2)中、
    糖の後味変動要素(F2−S)=0.23×糖類の濃度(w/v%)÷0.75、
    アセスルファムカリウムの後味変動要素(F2−Acek)=100×アセスルファムカリウムの濃度(w/v%)、
    アルコールの後味変動要素(F2−k)=0.49×アルコール濃度(v/v%)である)。
  4. アルコール飲料のアルコール濃度が5〜10v/v%であること、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. スクラロース濃度が0.003w/v%以下となるようにスクラロースを添加することによって、アルコール飲料に、適度な甘みとスッキリとした後味を持たせることをさらに含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 炭酸ガス圧0.1〜0.4MPa(20℃におけるガス圧)の炭酸ガスを含み、アルコール濃度が12v/v%以下でかつpH2.3〜4.0である、アルコール飲料であって、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法により得られる、適度な甘味とスッキリとした後味を持つアルコール飲料。
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