本実施形態は、図1のように、集合住宅の住戸ごとに配置された住宅情報盤2と、集合住宅の共用玄関に配置された共同玄関子機3と、管理室などに配置された管理装置4とが、集合住宅の建物内に敷設された構内通信網5を通して通信する構成例を示す。構内通信網5にはシステム制御装置1が接続される。構内通信網5は、デジタル通信を行うように構築され、有線の通信路と無線の通信路とが適宜に用いられる。
また、図示しているように、システム制御装置1は、構内通信網5のうちの第1の通信路51を通して住宅情報盤2と通信し、構内通信網5のうちの第2の通信路52を通して共同玄関子機3と通信する。さらに、システム制御装置1は、構内通信網5のうちの第3の通信路53を通して管理装置4と通信する。システム制御装置1には、第1の通信路51が接続される端子T11と、第2の通信路52が接続される端子T12と、第3の通信路53が接続されるコネクタT13とが設けられる。第1の通信路51と第2の通信路52と第3の通信路53とは、互いに直接接続されず、システム制御装置1を通してのみ通信することが可能になる。
具体的には、第1の通信路51と第2の通信路52とを通る通信信号は、OFDM(Orthogonal Frequency−Division Multiplexing)などのデジタル変調を行った信号が用いられる。また、第3の通信路53はIEEE802.3に準拠する通信プロトコルを用いたベースバンドの信号を伝送する。そのため、システム制御装置1は、第1の通信路51と第2の通信路52と第3の通信路53との間で相互に通信が可能となるように、通信プロトコルを変換したりルーティングを行ったりする機能を備えている。システム制御装置1の構成は後述する。
上述したように、構内通信網5は、デジタル通信を行うように構築されており、実際には、パケットを時分割多重伝送方式で伝送することにより通信を行っている。したがって、構内通信網5は、複数種類の情報を並行して伝送することができ、結果的に、情報の発生から到達までの時間が情報の種類によらずに平均化されている。構内通信網5を伝送される情報には、音声情報、画像情報、文字情報、制御情報などがある。以下では、音声情報を含むパケットを音声パケット、画像情報を含むパケットを画像パケット、文字情報を含むパケットを文字パケット、制御情報を含むパケットを制御パケットと呼ぶ。制御情報には、共同玄関子機3からの呼出の情報、管理装置4からの報知の情報などがある。
管理装置4は、たとえば、パーソナルコンピュータのような汎用機器で適宜のプログラムを実行することにより実現される。ただし、管理装置4は専用機器として構成されてもよい。管理装置4は、集合住宅の居住者に通知する文字情報や制御情報を生成し、住宅情報盤2に配信する機能を有する。
管理装置4は、第3の通信路53が接続されるコネクタT41を備え、また、スキャナのような外部機器を接続するためのコネクタT42を備える。管理装置4は、プロセッサを主構成とする制御部40を備え、記憶部45に記憶されたプログラムに従って動作する。制御部40は、通信インターフェイス回路41を介してコネクタT41と接続され、外部機器インターフェイス回路42を介してコネクタT42と接続される。さらに、管理装置4には、キーボードやマウスのような操作装置43と、液晶表示器のような表示装置44とが設けられる。図中の電源出力制御回路46については後述する。
管理装置4の外部機器としてスキャナを接続している場合には、スキャナで読み込んだ画像情報を住宅情報盤2に伝送することが可能である。この場合、管理装置4は、スキャナで読み込んだ画像情報を加工したり、画像情報に文字情報によるコメントを付与することが可能である。また、管理装置4をインターネットのような公衆網に接続し、公衆網を通して外部のサーバから取得した画像情報や文字情報を住宅情報盤2に配信することも可能である。さらに、管理装置4にサーバの機能を持たせ、住宅情報盤2を管理装置4のクライアントとして通信を行うようにしてもよい。
共同玄関子機3は、第2の通信路52が接続されるコネクタT31を備える。共同玄関子機3は、プロセッサを主構成とする制御部30を備え、記憶部36に記憶されたプログラムに従って動作する。制御部40は、幹線伝送インターフェイス回路31を介してコネクタT31と接続される。また、共同玄関子機3は、集合住宅の居住者や来訪者が操作するテンキーのような操作装置32と、来訪者が住宅情報盤2と通話するための通話装置33と、共用玄関の画像を撮像する撮像装置34とを備える。さらに、図示例の共同玄関子機3は、発光ダイオードを用いた表示灯35を備えている。
操作装置32が来訪者に操作され、住宅情報盤2を特定して呼出信号(実際は、呼出の情報を含む制御パケット)が送出されると、呼出信号を受けた住宅情報盤2は、撮像装置34が撮像した来訪者の画像に相当する画像パケットを受け取って表示装置25(後述する)に表示する。また、呼出信号を受けた住宅情報盤2は、操作装置26(後述する)を用いて来訪者と通話するか否かの選択が可能になる。すなわち、呼出信号を受けた住宅情報盤2が配置されている住戸の居住者は、住宅情報盤2に表示された来訪者を確認した後に、来訪者と通話するか否かを選択する操作が可能になる。
住宅情報盤2は、第1の通信路51が接続されるコネクタT21と、各住戸のドア横に配置される住戸子器(図示せず)を接続するためのコネクタT22とを備える。住宅情報盤2は、プロセッサを主構成とする制御部20を備え、記憶部27に記憶されたプログラムに従って動作する。制御部20は、幹線伝送インターフェイス回路21を介してコネクタT21と接続され、住戸子器インターフェイス回路22を介してコネクタT22と接続される。住宅情報盤2には、音声を入出力する音声入出力装置23と、発光ダイオードを用いた表示灯24と、画像を表示する表示装置25と、タッチパネルのような操作装置26とが設けられる。音声入出力装置23は、マイクロホンとスピーカとを備え、主として共同玄関子機3および住戸子器との間で住戸の居住者が来訪者と通話を行うために用いられる。音声入出力装置23は、ハンドセットとして構成されるほか、ハンズフリーでの通話が可能になるように構成されていてもよい。音声入出力装置23は、共同玄関子機3から呼出信号を受けたことなどを居住者に報知するための報知音を出力する機能も備える。
表示装置25は、液晶表示器のような表示器を備え、住宅情報盤2が共同玄関子機3から画像(つまり、画像パケット)を受け取ると共用玄関の画像を表示する。操作装置26は、表示器の画面にタッチスイッチを重ねたタッチパネルを想定しているが、操作装置26として、機械的に接点を開閉するスイッチを用いたり、タッチパネルとスイッチとを併用してもよい。操作装置26を居住者が操作することによって、住宅情報盤2に対する指示操作が行われる。
制御部20は、他装置から文字情報を受け取ったときに、文字情報を音声入出力装置23と表示装置25との少なくとも一方に提示させるデータ変換部201として機能する。データ変換部201は、文字情報を音声データに変換可能であるが、以下では、データ変換部201が文字情報を表示装置25に提示させる画像データに変換する場合を想定して説明する。
システム制御装置1は、第1の通信路51が接続される端子T11と、第2の通信路52が接続される端子T12と、第3の通信路53が接続されるコネクタT13とを備えている。また、システム制御装置1は、プロセッサを主構成とする制御部10を備え、記憶部15に記憶されたプログラムに従って動作する。制御部10は、第1の通信インターフェイス部11を介して端子T11に接続され、第2の通信インターフェイス部12を介して端子T12に接続され、第3の通信インターフェイス部13を介してコネクタT13に接続される。
制御部10は、第1の通信路51と第2の通信路52と第3の通信路53とで、パケットを組み立てて伝送するパケット多重化部101の機能を備える。また、パケット多重化部101は、上述した通信プロトコルの変換やルーティングを行う機能も備える。
上述のように、第1の通信インターフェイス部11と第2の通信インターフェイス部12と第3の通信インターフェイス部13とは、同時並行してパケットを伝送することが可能である。たとえば、共同玄関子機3が住宅情報盤2との間で通話を行っている間に、当該住宅情報盤2に対して伝送する文字情報が管理装置4において発生した場合を考える。この場合、パケット多重化部101は、共同玄関子機3から住宅情報盤2に伝送している音声パケットおよび画像パケットに、管理装置4から住宅情報盤2に伝送する文字パケットを多重化する。したがって、住宅情報盤2は、共同玄関子機3との間で通話を行っている間に、管理装置4からの文字パケットを受信することが可能になる。
言い換えると、住宅情報盤2は、共同玄関子機3と通話している間に、管理装置4からの文字情報を遅滞なく受け取ることが可能になる。したがって、管理装置4は、住宅情報盤2に対して連絡事項などの情報を配信する際に、住宅情報盤2での通話が終了するのを待つ必要がない。その結果、管理装置4は、情報の配信をいつでも行えることになる。
ところで、住宅情報盤2に設けられた表示装置25は3.5インチ程度とサイズが限られているから、共同玄関子機3から送信された画像情報から来訪者を識別する程度の用途であれば使用可能である。しかしながら、表示装置25の1画面に、A4版程度のサイズの情報を表示すると細部を読み取ることは困難である。すなわち、情報の視認性が低下するという問題を生じる。この問題は、表示装置25に画像情報の一部を拡大して表示する機能を設けることにより解決されるが、連絡事項が1画面内に収まらないために情報の一覧性が低下することになる。
これに対して、管理装置4から住宅情報盤2に対して文字情報の伝送を可能にしているから、連絡事項などを文字情報として伝送することにより、視認性や一覧性を向上させることができる。また、文字情報に用いるフォントがアウトラインフォントであれば、拡大や縮小が容易であり、しかもビットマップの画像情報に比較すると、1画面に表示される情報量を増加させるために文字のサイズを縮小しても視認性が確保される。また、視力の低下した高齢者などにとっては、文字のサイズを拡大することによって視認性を高めることが可能である。
なお、管理装置4から住宅情報盤2に対して文字情報として配信する内容には、ごみ収集に関するごみの種類(可燃ごみ、資源ごみ、プラスチックなど)と収集日および時間帯、清掃や点検の実施日時、薬剤散布の実施日時などがある。その他、集会の実施日時および場所、催し物の実施日時および場所、自治会などの会議報告、警察・消防からの連絡事項なども住宅情報盤2に配信される。以下では、管理装置4から住宅情報盤2に配信する事項を「行事」と呼び、連絡事項には行事を実施する日時が含まれるものとして説明する。図2に住宅情報盤2の表示装置25での行事の表示例を示す。
管理装置4から住宅情報盤2に対して文字情報を伝送するには、システム制御装置1において、音声パケット、画像パケット、制御パケットとともに、文字パケットを多重化し、住宅情報盤2において文字パケットに対応する処理を可能にすればよい。したがって、別途にサーバを設ける必要がなく、コスト増を抑制することができる。
ところで、管理装置4と住宅情報盤2との間にシステム制御装置1が介在しているから、管理装置4から住宅情報盤2に情報を配信したときに、管理装置4は住宅情報盤2に情報が到達したか否かを住宅情報盤2から直接確認することができない。そのため、システム制御装置1は、管理装置4からの情報が住宅情報盤2に到達したか否かを確認する配信確認処理部102を備える。図示例では制御部10が配信確認処理部102として機能する。配信確認処理部102は、住宅情報盤2への情報の配信が完了したときに、管理装置4に対して情報配信の完了を通知する。管理装置4から複数台の住宅情報盤2を配信対象として情報を配信する場合、配信確認処理部102は、配信対象であるすべての住宅情報盤2への情報の配信が完了した時点で管理装置4に完了を通知する。
管理装置4は、配信確認処理部102から配信完了の通知を受け取るまでは電源の遮断を禁止する電源出力制御回路46を備える。仮に、管理装置4が住宅情報盤2に配信する情報を送出した後に情報配信の完了を待たずに電源を遮断すると、情報の再送が行われなくなり、結果的に、住宅情報盤2の一部または全部において情報が未配信になる可能性が生じる。このような事態を回避するために、管理装置4は、住宅情報盤2への情報の配信を行った後、システム制御装置1から配信完了の通知が得られるまでの期間、電源の遮断が電源出力制御回路46によって禁止される。システム制御装置1から管理装置4への配信完了の通知は、第3の通信インターフェイス部13を用いて行われる。
具体例を説明する。図3に示すように、管理装置4は、スキャナのような外部機器から配信用のデータを入力したり、操作装置43の操作によって配信用のデータを入力し、システム制御装置1にデータの配信を要求する。システム制御装置1は、管理装置4から受け取った配信用のデータを記憶部15に記憶させた後、所要の住宅情報盤2に対してデータを配信する。複数台の住宅情報盤2にデータを配信する場合には、マルチキャスト通信を行う。後述するように、住宅情報盤2は記憶部27(図1参照)を備えており、システム制御装置1から受信したデータを記憶部27に保存する。
システム制御装置1は、データをマルチキャスト通信で住宅情報盤2に配信した後、住宅情報盤2ごとにデータの送達を確認する。この間、管理装置4の電源の遮断が禁止される。すべての住宅情報盤2に対してデータの送達が確認されると、システム制御装置1は、データの配信が完了したことを管理装置4に通知する。管理装置4は、システム制御装置1からの配信完了の通知を受信すると、電源出力制御回路46から管理装置4の内部回路への電源供給の停止を許可する。
上述した動作によって、管理装置4から住宅情報盤2への情報の配信が完了していないときに、管理装置4の電源が遮断されることが防止される。したがって、集合住宅の管理人のような管理装置4の操作者が情報配信の操作を終了した時点で、操作者は情報配信を完了したと認識しているにもかかわらず、住宅情報盤2では配信された情報を受領していないという事態が生じるのを防止することになる。
なお、上述した動作では、システム制御装置1に配信確認処理部102を設けて住宅情報盤2への情報配信の完了を確認しているが、管理装置4に設けた電源出力制御回路46において、情報配信の開始から一定の待機時間は電源の遮断を禁止する構成としてもよい。この場合、システム制御装置1から配信確認処理部102を省略することができる。
また、システム制御装置1に配信確認処理部102を設ける場合でも、待機時間による制御の機能を電源出力制御回路46に付加してもよい。たとえば、システム制御装置1の異常により管理装置4に情報配信の完了を通知することができない場合には、管理装置4において待機時間の満了に伴って電源の遮断を可能にしておけばよい。この構成により、管理装置4の電源が遮断できなくなるという事態の発生を防止できる。待機時間は情報配信が完了する時間を考慮し、情報配信の完了までに想定される時間よりもやや長く設定する。
上述のように、管理装置4において電源出力制御回路46が電源の遮断を禁止している期間に、電源の遮断を禁止していることを示すために制御部40に報知部401の機能を設けてもよい。電源の遮断を禁止していることは、管理装置4から住宅情報盤2に対して情報を配信していることと等価であるから、報知部401は、管理装置4の操作者に対して、電源の遮断禁止と情報配信とのどちらの意味の報知を行ってもよい。報知部401は、管理装置4に設けた表示器の画面上にメッセージを表示することにより上記報知を行う。また、報知部401は、管理装置4に設けたスピーカを用いて聴覚的報知を行う構成、管理装置4に設けた表示灯を用いて視覚的報知を行う構成などを適宜に採用することが可能である。
上述したように、管理装置4から住宅情報盤2に文字情報を配信するために、住宅情報盤2は文字情報を扱う構成を備える。以下では、住宅情報盤2において文字情報を扱う際に利便性を高めるための技術について説明する。住宅情報盤2は、文字情報を記憶するとともに、記憶した文字情報に関して、「削除」「更新」「選択」の各操作を自動的に行うこと機能を備えている。「削除」は、記憶している文字情報から不要と推定される文字情報を自動的に削除することを意味する。「更新」は、記憶している文字情報を更新する文字情報を受け取った場合に自動的に更新することを意味する。また、「選択」は、記憶している文字情報の中から必要な情報を選択して提示する機能を意味する。
これらの機能を実現するために、住宅情報盤2は、幹線伝送インターフェイス回路21を通して受け取った文字パケットから文字情報を抽出する機能を制御部20に持たせている。制御部20は、幹線伝送インターフェイス回路21を通して受け取ったパケットの種類に応じて、当該パケットに対応する情報を抽出し、また複数のパケットに分割して伝送された情報を元の情報に復元する機能を備える。つまり、制御部20は、音声パケットからは音声情報を抽出し、画像パケットからは画像情報を抽出し、文字パケットからは文字情報を抽出し、制御パケットからは制御情報を抽出する。
住宅情報盤2に設けた記憶部27は、制御部20が文字パケットから抽出した文字情報を保存する機能を備える。記憶部27は、ひとまとまりの文字情報ごとに1つのファイルとして記憶する。たとえば、管理装置4から文字情報として通知された連絡事項は、ひとまとまりの文字情報であって、1つの連絡事項は1つのファイルとして記憶部27に保存される。
「削除」の操作は、記憶部27に保存されているいずれかのファイルが、規定の条件を満たしたときに、自動的に削除されることを意味している。「削除」の機能を実現するために、制御部20は、図4に示すように、文字情報から当該文字情報の有効期限に相当する日時を示す部位を抽出する日時抽出部202を備える。
たとえば、住宅情報盤2に配信される行事の文字情報には、行事の実施日時が含まれているが、この実施日時が過ぎると、その文字情報は不要になる。すなわち、この種の文字情報は、有効期限に相当する日時を有している。実施日時(以下、「有効期限」という)が過ぎた文字情報が記憶部27から自動的に削除されると、容量に限りのある住宅情報盤2の記憶部27が有効に利用されることになる。
有効期限を持つ文字情報は、文字情報の中で有効期限を示す部位が他の部位と区別できるように記述される。有効期限を示す文字列を他の部位と区別する技術には、文字列の形式を定型とするか位置を固定する技術、文字列の前後の少なくとも一方に予約された特定の文字を挿入する技術、文字列の前後の少なくとも一方に不可視の制御文字を挿入する技術などがある。不可視の制御文字は、文字情報に含まれるが表示装置25には表示されない文字であって、日時の位置を示すために用いる文字を意味する。
日時抽出部202は、1つのファイルとして扱われる文字情報が有効期限を表す日時を含んでいるか否かを判断し、有効期限を表す日時を含む場合には当該日時を示す部位(文字列)を文字情報から抽出する。「削除」の操作において有効期限を抽出する対象は、記憶部27に保存されている文字情報(ファイル)であり、記憶部27に保存されている文字情報の有効期限が現在日時に対して過去の日時であるときには、当該文字情報は不要になったとみなして記憶部27から削除される。
現在日時は住宅情報盤2に設けた時計部28(図1参照)が計時している。制御部20は、記憶部27に保存された文字情報から日時抽出部202が抽出した有効期限の日時と、時計部28が計時した現在日時とを比較する比較部203としての機能も備える。さらに、制御部20は、比較部203の比較結果が条件を満足したときに該当する文字情報を記憶部27から削除するデータ管理部204としても機能する。すなわち、比較部203は、有効期限の日時が現在日時に対して過去の日時であるときに、当該有効期限を有した文字情報の名称(つまり、ファイル名)を「削除」の指示とともにデータ管理部204に通知する。データ管理部204は、日時抽出部202に抽出された日時が、時計部28が計時している現在日時に対して過去であって「削除」が比較部203から通知されると、該当する文字情報を記憶部27から削除する。
比較部203において記憶部27に保存された文字情報から抽出した有効期限の日時を現在日時と比較するタイミングは、日毎の定時や週毎の定時などとすればよい。また、記憶部27に保存された文字情報からあらかじめ有効期限の日時を抽出して保存しておき、保存した日時を一定時間毎に現在日時と比較してもよい。あるいはまた、条件が満たされた文字情報は、条件の成立時に削除するほか、条件の成立時点から規定した時間が経過した後に削除するようにしてもよい。
さらに、記憶部27に保存された文字情報の「削除」を自動的に行うことが不都合な場合もあるから、住宅情報盤2は、文字情報の「削除」を自動的に行う動作の有効と無効とを選択可能にしておいてもよい。記憶部27に保存された文字情報の「削除」を自動的に行わない場合、住宅情報盤2に指示操作を行うことにより文字情報の「削除」を行う構成、管理装置4などの他装置からの通信によって文字情報の「削除」を行う構成などを採用してもよい。記憶部27に保存された文字情報の「削除」を自動で行わなければ、過去の文字情報を確認することが可能になる。
データ管理部204は、行事の連絡などに用いる文字情報が有効期限を過ぎていると、該当する文字情報のファイルを記憶部27から自動的に削除するから、手動で文字情報を削除する場合の手間が省かれることになる。また、記憶部27から不要な情報が削除されることにより、記憶部27が容量不足になることを回避し、また不要な文字情報が記憶部27に残らないから、記憶部27に保存された文字情報から目的の文字情報を探し出すのが容易になる。
記憶部27に保存された文字情報は、表示装置25に一覧表示され、タッチパネルあるいはスイッチを用いて住宅情報盤2に対する指示操作が行われることにより、必要な文字情報が選択される。なお、記憶部27に保存された文字情報は、住宅情報盤2への指示操作により、表示装置25に1件ずつ順に表示させてもよい。
時計部28は、制御部20を構成するマイコンとは別に設けたリアルタイムクロックを想定しているが、マイコンのカウンタを用いて現在時刻を計時してもよい。時計部28の初期設定は、基本的には住宅情報盤2に設けたタッチパネルあるいはスイッチによる指示操作で行えばよい。また、管理装置4がNTPサーバなどから取得した時刻を、システム制御装置1を通して通信で取得することにより、時計部28が計時する現在時刻を自動的に更新するようにしてもよい。
次に、「更新」の操作について説明する。「更新」の操作は、記憶部27に保存されているいずれかの文字情報と住宅情報盤2が新たに受信した文字情報とが、同内容または同事項に関する情報と推定されたときに、記憶部27に保存されている文字情報を受信した文字情報で置き換えることを意味する。つまり、記憶部27に保存されている文字情報のうち新たに受信した文字情報と同内容または同事項である文字情報を削除し、新たに受信
した文字情報を記憶部27に保存するのである。
上述の処理が可能であると、管理装置4から配信した文字情報に誤りが発見された場合に文字情報の差し替えを容易に行うことができる。すなわち、文字情報の訂正のために同じ事項について修正した文字情報を管理装置4から新たに配信すると、後に配信した文字情報が前の文字情報に置き換えられることになる。その結果、記憶部27には修正後の文字情報のみが保存されるから、住宅情報盤2において不要情報の提示が防止され、かつ無駄な文字情報による記憶部27の容量不足が防止される。また、不要な文字情報が記憶部27に残らないから、記憶部27に保存された文字情報から目的の文字情報を探し出すのが容易になる。
比較する2種類の文字情報を同内容または同事項と判断する条件には、文字情報の有効期限に相当する日時を用いた条件と、文字情報の内容に関する表題を用いた条件との2種類が用意されている。
日時を用いた条件は、記憶部27に保存されている文字情報の有効期限に相当する日時と、受信した文字情報の有効期限に相当する日時とが一致することであって、この条件が成立したときに、2つの文字情報は同内容に関する情報であると推定する。つまり、連絡事項が行事であるとすれば、上述したように、行事の実施日時が有効期限であって、実施日時が同じである場合に、同じ行事に関する文字情報と推定するのである。
上述した動作から明らかなように、「更新」の操作は、新たな文字情報の受信をトリガとして起動される。文字情報が受信されると、日時抽出部202は、受信した文字情報から有効期限に相当する日時(第1の日時)を抽出する。日時抽出部202は、記憶部27に保存されている文字情報からも有効期限に相当する日時(第2の日時)を抽出する。ここに、記憶部27に保存されている文字情報から日時を抽出する処理は、文字情報を受信する前にあらかじめ行い、抽出した日時を検索用として別に保存しておいてもよい。なお、日時抽出部202が受信した文字情報あるいは記憶部27に保存されている文字情報から日時を抽出する処理は、「削除」の場合と同様である。
受信した文字情報から抽出された日時(第1の日時)と記憶部27に保存された文字情報から抽出された日時(第2の日時)とは、比較部203において比較される。つまり、比較部203は、第1の日時に一致する第2の日時を含む文字情報が記憶部27に保存されているか否かを検索する。さらに、比較部203は、第1の日時に一致する第2の日時を含む文字情報が記憶部27に存在すると、当該文字情報の名称(つまり、ファイル名)を「更新」の指示とともにデータ管理部204に通知する。
データ管理部204は、受信した文字情報から抽出された日時に一致する日時が記憶部27に保存された文字情報から抽出され、かつ「更新」の指示が比較部203から通知されると、記憶部27の該当する文字情報を更新する。すなわち、データ管理部204は、記憶部27において第1の日時に一致する第2の日時を含む文字情報を、新たに受信した文字情報に置換する。
日時ではなく表題を用いる場合には、図5に示すように、日時抽出部202に代えて表題抽出部205が制御部20に設けられる。表題抽出部205は、受信した文字情報から当該文字情報の内容に関する表題を示す部位を抽出する。たとえば、連絡事項が行事である場合を想定すると、行事の名称が表題になる。
ところで、表題抽出部205が文字情報から表題を抽出するには、文字情報の中で表題を示す部位が他の部位と区別できるように文字情報を記述することが必要である。表題を
示す文字列を他の部位と区別する技術には、文字列の形式を定型とするか位置を固定する技術、文字列の前後の少なくとも一方に予約された特定の文字を挿入する技術、文字列の前後の少なくとも一方に不可視の制御文字を挿入する技術などがある。すなわち、文字情報から日時を抽出する場合と同様に表題を抽出するための形式で文字情報が記述される。表題抽出部205は、1つのファイルとして扱われる文字情報から表題を示す部位(文字列)を抽出する。
表題を条件に用いて「更新」を行う場合、記憶部27に保存されている文字情報に含まれる表題と、受信した文字情報に含まれる表題とが一致することを条件とする。この条件が成立したときに、2つの文字情報は同内容に関する情報であると推定する。要するに、表題が同じである文字情報は、同じ内容に関する文字情報と推定される。たとえば、連絡事項が行事であれば、行事の表題が同じである場合に、同じ行事に関する文字情報と推定される。
「更新」の操作は、新たな文字情報の受信をトリガとして起動され、文字情報が受信されると、表題抽出部205は、受信した文字情報から表題(第1の表題)を抽出する。また、表題抽出部205は、記憶部27に保存されている文字情報からも表題(第2の表題)を抽出する。なお、記憶部27に保存されている文字情報から表題を抽出する処理は、文字情報を受信する前にあらかじめ行い、抽出した表題を検索用として別に保存しておいてもよい。
受信した文字情報から抽出された第1の表題と記憶部27に保存された文字情報から抽出された第2の表題とは、比較部203において比較される。つまり、比較部203は、第1の表題に一致する第2の表題を含む文字情報が記憶部27に保存されているか否かを検索する。また、比較部203は、第1の表題に一致する第2の表題を含む文字情報が記憶部27に存在すると、当該文字情報の名称(つまり、ファイル名)を「更新」の指示とともにデータ管理部204に通知する。
データ管理部204は、受信した文字情報から抽出された表題に一致する表題が記憶部27に保存された文字情報から抽出され、かつ「更新」の指示が比較部203から通知されると、記憶部27の該当する文字情報を更新する。すなわち、データ管理部204は、記憶部27において第1の表題に一致する第2の表題を含む文字情報を、新たに受信した文字情報に置換する。
ここにおいて、2つの文字情報が同内容または同事項であることを判断するために、日時を条件に用いている場合、日時を変更する修正には対応できないが、この場合は表題を条件に用いることによって対応可能になる。したがって、更新の条件は、日時と表題との両方を用いて判断し、日時と表題との一方について条件が成立したときに更新を行うことが好ましい。あるいはまた、日時と表題とのうち表題を優先的に用い、表題が一致することを条件として更新を行い、表題が一致する文字情報が複数存在する場合には、表題が一致する文字情報の中で日時が一致する文字情報を更新を行うようにしてもよい。
ところで、上述の動作例では、記憶部27に保存されている文字情報を受信した文字情報と近くするタイミングは、条件が成立した時点を想定しているが、条件が成立してから規定した時間が経過した後としてもよい。
また、記憶部27に保存された文字情報の「更新」を自動的に行うことが不都合な場合もあるから、住宅情報盤2は、文字情報の「更新」を自動的に行う動作の有効と無効とを選択可能にしてもよい。記憶部27に保存された文字情報の「更新」を自動的に削除しない場合、住宅情報盤2に指示操作を行うことにより文字情報の「更新」を行う構成、管理装置4などの他装置からの通信によって文字情報の「更新」を行う構成などを採用してもよい。
次に、「選択」の操作について説明する。「選択」の操作は、記憶部27に保存された文字情報の中から必要な情報を選択し、共同玄関子機3との通信が終了した時点で選択した文字情報を住宅情報盤2に提示することを意味する。すなわち、「選択」は、共同玄関子機3との通信(通話)の終了をトリガとするから、制御部20は、図6に示すように、共同玄関子機3との通信の開始および終了を検出する通信検出部206を備えている。通信検出部206は、共同玄関子機3との通信(つまり、通話)の終了を検出すると、通話終了の時点に時計部28が計時している現在日時と、記憶部27に保存されている文字情報から日時抽出部202が抽出した有効期限に相当する日時との比較を、比較部203に指示する。
日時抽出部202が記憶部27に保存されている文字情報から有効期限に相当する日時を抽出する処理は、「削除」「更新」の際の処理と同様である。また、比較部203は、「削除」と同様に、記憶部27に保存されている文字情報から抽出した日時と、時計部28が計時している現在日時とを比較する。ただし、「削除」では現在日時に対して過去の日時に着目するのに対して、「選択」では現在日時に対して未来の日時に着目する。すなわち、「選択」では、記憶部27から日時抽出部202が抽出した日時に、現在日時に対して未来である日時が含まれているときに、当該日時を含む文字情報の名称(つまり、ファイル名)と「選択」の指示をデータ管理部204に通知する。
ここで、記憶部27に保存されている文字情報のうちデータ管理部204に名称が通知される文字情報は、共同玄関子機3との通信終了の日時と文字情報の有効期限の日時との関係によって選択される。基本的には、有効期限の日時と通信が終了した日時との差が最小である1つの文字情報が選択される。ただし、有効期限の日時が通信終了の日時から1週間以内の文字情報、あるいは有効期限の日時が通信終了の日時に近い所定個数の文字情報などが選択されてもよい。比較部203が複数個の文字情報を選択する場合は、データ管理部204は、文字情報の名称の一覧を表示装置25に提示し、居住者が所望の名称を選択したときに、文字情報の内容を表示装置25に表示すればよい。あるいはまた、データ管理部204は、複数個の文字情報のうちの1個の文字情報を表示装置25に提示し、他の文字情報を表示装置25に順送りに提示するようにしてもよい。
なお、記憶部27から抽出された文字情報は、データ変換部201を通して表示装置25に画像として提示されるほか、データ変換部201を通して音声入出力装置23に音声として提示されてもよい。音声による提示を行えば、視覚に障害を有する居住者であっても文字情報を受け取ることが可能になる。
上述のように「選択」の処理を可能にしたので、住宅情報盤2を用いて共同玄関子機3との間で通話を行うと、通話終了に伴って、実施日時の迫った行事の情報が表示装置25に自動的に提示される。そのため、住宅情報盤2を利用する居住者は、特別な操作を行うことなく実施日時が迫っている行事に対する注意が喚起されることになる。
なお、共同玄関子機3との通話終了の時点だけではなく、文字情報の有効期限に対して所定時間前(たとえば、5時間前、前日など)になると、当該文字情報を表示装置25に提示する構成を採用してもよい。この場合、日時抽出部202は、記憶部27に保存されている文字情報から有効期限の日時をあらかじめ抽出し、抽出した有効期限に対して上述した所定時間前の日時の一覧を作成しておけばよい。比較部203は、この日時の一覧と時計部28が計時する現在日時との比較を常時行うことによって、一覧に含まれる日時に現在日時が一致したときに、該当する文字情報を表示装置25に提示するようにしてもよい。
住宅情報盤2を利用する居住者によっては、「選択」の処理が不要な場合もある。そこで、住宅情報盤2は、「選択」を行う動作の有効と無効とを設定可能にしておいてもよい。「選択」の動作を無効に設定している場合、記憶部27に保存された文字情報は、住宅情報盤2の指示操作を行うことにより表示装置25に提示させることになる。また、「選択」の動作を有効に設定している場合、文字情報の提示の際に、音声入出力装置23を用いて通知音の出力、図示しない表示灯の点灯などによって、文字情報の提示を報知してもよい。
上述した制御部20の動作を、図7にまとめて示す。図示例では、「更新」を表題に基づいて行う場合を例示しているが、日時に基づいて行う場合は、「表題」を「日時」に読み替えた処理になる。なお、図7では、「更新」を日時と表題との両方を条件として行う場合については示していない。また、「削除」「更新」「選択」のすべての動作を有効にした場合を記載している。
住宅情報盤2が文字情報を受信すると(S11)、日時抽出部202は、受信した文字情報から有効期限に相当する日時を抽出する(S12)。比較部203は、日時抽出部202が抽出した日時を、記憶部27に保存されている文字情報から抽出した日時と比較する(S13)。記憶部27から抽出した日時に一致すると(S13:Yes)、データ管理部204は、記憶部27に記憶された文字情報のうち日時が一致した文字情報を受信した文字情報に置き換える(S14)。この動作が「更新」に相当する。また、日時抽出部202が抽出した日時が記憶部27に保存されている文字情報から抽出した日時と一致しない場合(S13:No)、受信した文字情報を記憶部27に保存する(S15)。
次に、定時になると(S16:Yes)、日時抽出部202は、記憶部27に保存されている文字情報の有効期限に相当する日時と、時計部28が計時している現在日時とを比較する(S17)。記憶部27に保存された文字情報から抽出した日時が、現在日時に対して過去の日時であるときには(S17:Yes)、記憶部27に保存された文字情報のうち当該日時に一致する文字情報の「削除」を行う(S18)。なお、定時ではないか(S16:No)、記憶部27に保存された文字情報から抽出した日時が過去ではない場合(S17:No)、何も行わずに次の処理に移行する。
共同玄関子機3との通話が終了したことを通信検出部206が検出すると(S19:Yes)、比較部203は、記憶部27から有効期限に相当する日時の迫っている文字情報を抽出し、抽出した文字情報を表示装置25に表示する(S20)。通信検出部206が通話終了を検出しない場合は(S19:No)、次の処理に移行する。
図7に示した処理手順は、住宅情報盤2における文字情報に対する主要な処理の概要であって、個々の処理の詳細は上述した通りである。