JP6868301B1 - 建築物の基礎構造、及びその施工方法 - Google Patents
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Abstract
Description
表層地盤を改良した地盤改良体及び前記地盤改良体上に現場で打設した基礎コンクリートを含む建築物の基礎構造であって、
前記基礎コンクリートは、鉄骨柱又は鉄筋コンクリート壁を直接支持し、
前記基礎コンクリートは、形状の異なる上部及び下部を有し、
前記下部は、
建築物の隣り合う前記鉄骨柱間を結ぶ水平方向に直交する第1水平方向を含む鉛直面により切断した断面形状、又は、
建築物の前記鉄筋コンクリート壁に直交する第2水平方向を含む鉛直面により切断した断面形状
が逆台形状であり、
前記上部は、
前記下部の前記断面形状における上端の側縁から、
前記第1水平方向へ突出する鍔状部、又は、
前記第2水平方向へ突出する鍔状部
を有し、
前記鍔状部の厚みは、0.05m以上0.3m以下、
前記鍔状部の突出長さは、0.1m以上0.6m以下であり、
前記鍔状部の突出長さは、前記鍔状部の厚みに対して、1〜4倍の範囲である、
建築物の基礎構造。
前記逆台形状の断面形状の側面の水平面からの傾斜角度は、20°以上40°以下である、〔1〕に記載の建築物の基礎構造。
前記基礎コンクリートは独立基礎であり、
前記下部の底面は、前記下部の上端の外周縁の平面形状よりも小さい四角以上の多角形であり、
前記下部の側面は、前記下部の上端の外周縁と前記底面の外周縁とを繋ぐ傾斜面である、〔1〕又は〔2〕に記載の建築物の基礎構造。
表層地盤を改良した地盤改良体及び前記地盤改良体上に現場で打設した基礎コンクリートを含む建築物の基礎構造の施工方法であって、
前記基礎コンクリートは、鉄骨柱又は鉄筋コンクリート壁を直接支持し、
前記基礎コンクリートは、形状の異なる上部及び下部を有し、
前記下部は、
建築物の隣り合う前記鉄骨柱間を結ぶ水平方向に直交する第1水平方向を含む鉛直面により切断した断面形状、又は、
建築物の前記鉄筋コンクリート壁に直交する第2水平方向を含む鉛直面により切断した断面形状
が逆台形状であり、
前記上部は、
前記下部の前記断面形状における上端の側縁から、
前記第1水平方向へ突出する鍔状部、又は、
前記第2水平方向へ突出する鍔状部
を有し、
前記鍔状部の厚みは、0.05m以上0.3m以下、
前記鍔状部の突出長さは、0.1m以上0.6m以下であり、
前記鍔状部の突出長さは、前記鍔状部の厚みに対して、1〜4倍の範囲であり、
前記建築物の基礎構造の施工方法は、地盤改良工程と、基礎掘削工程と、基礎打設工程とを含み、
前記地盤改良工程は、
表層地盤を掘り下げた土を埋め戻し、固化材を添加混合しながら混合攪拌した後に締め固めて前記地盤改良体を構築する工程であり、
前記基礎掘削工程は、
建築物の柱の下方、又は建築物の壁の下方に位置する前記地盤改良体の上部を、前記基礎コンクリートの上部の形状に掘削して上部掘削部を形成する工程、及び、
前記上部掘削部の下方を、前記基礎コンクリートの下部の形状に掘削して下部掘削部を形成する工程であり、
前記基礎打設工程は、
前記下部掘削部内に捨てコンクリートを打設し、前記上部掘削部及び前記下部掘削部内に基礎配筋を行って前記基礎コンクリートを打設する工程である、
建築物の基礎構造の施工方法。
前記逆台形状の断面形状の側面の水平面からの傾斜角度は、20°以上40°以下である、〔4〕に記載の建築物の基礎構造の施工方法。
図1Aの平面図、並びに図1B及び図2の断面図は、本発明の実施の形態1に係る建築物の基礎構造1を示している。
(掘下げ工程)
図1B及び図2に示す地表面GLから下側の表層地盤Gを、例えばバックホウによる鋤取り等により所要形状に掘り下げる。
次に、地盤改良体2の下部の形状である「口」字状に、アタッチメントとしてミキシングフォークを装着したバックホウ等により掘削し、セメント系固化材等の固化材を添加混合しながら混合攪拌し、重機及びローラー等により締め固めて地盤改良体2の下部を形成する一次改良工程を行う。
次に、前記掘下げ工程により掘り下げた土を、バックホウ等により地盤改良体2の下部の上側に埋め戻し、アタッチメントとしてミキシングフォークを装着したバックホウ等により、表層地盤Gを地表面GLから地盤改良体2上部の形状に掘削し、固化材を添加混合しながら混合攪拌し、重機及びローラー等により締め固めて地盤改良体2の上部を形成する二次改良工程を行う。
(上部掘削部形成工程)
次に、前記地盤改良工程で構築した地盤改良体2に対し、図3Aの平面図、及び図3Bの断面図に示すように、図1A及び図1B、並びに図2の鉄骨柱4の地上側部分の下方に位置する地盤改良体2の上部を、下端部外周縁Pの位置まで掘削して上部掘削部2Aを形成する。すなわち、図3Aの横幅B1、縦幅W1の範囲で、バックホウ等により所定深さである下面T2(図3B)の位置まで直方体状に掘削して上部掘削部2Aを形成する。
次に、下端部外周縁Pから鍔状部F1の突出長さEの分だけ内方の周縁U2から、底面BS2が正方形になるように逆四角錐台状に掘削して下部掘削部2Bを形成する。下部掘削部2Bは、例えば、図3Aの横幅B3、縦幅W3の範囲で、バックホウ等により所定深さまで、すなわち底面BS2の外周縁V2まで直方体状に掘削した後、図3Bに示す逆四角錐台状の傾斜面である側面S2を形成するように掘削する。
次に、下部掘削部2B内に、図2に示す捨てコンクリート6を打設する。
次に、効果確認のために行った数値解析について説明する。
地盤FEM(Finite Element Method)解析ソフトウェア(PLAXIS)を用いて数値解析を行う。
実施例の解析モデルを、図4Aの平面図及び図4Bの断面図に、比較例1の解析用モデルを、図5Aの平面図及び図5Bの断面図に、特許文献3の建築物の基礎構造に相当する比較例2の解析用モデルを、図6Aの平面図及び図6Bの断面図に示す。
(パラメータ)
(1)改良厚L=2.5m、二次改良厚J=1.0m、一次改良幅K=5.6mとする。
(2)基礎の高さH=0.9m、基礎の横幅B1=基礎の縦幅W1=4.0mとする。
(3)比較例2及び実施例1−5において、傾斜面S1(前記逆円錐台状の断面形状の側面)の水平面からの傾斜角度αを約30°とする。
(4)比較例2の基礎底面BS1の横幅B3=基礎底面BS1の縦幅W3=1.4mとする。
(5)実施例1−5の基礎底面BS1の横幅B3=基礎底面BS1の縦幅W3=0.8mとする。
(6)鍔状部F1を有する実施の形態1−5において、基礎コンクリート3の上部3Aの高さである鍔状部F1の厚みH1に対する鍔状部F1の突出長さEの比(E/H1)を2とする。
(1)比較例2:H1=0.2m、H2=0.7m
(2)実施例1:H1=0.1m、H2=0.8m、B2=W2=3.6m、E=0.2m
(3)実施例2:H1=0.15m、H2=0.75m、B2=W2=3.4m、E=0.3m
(4)実施例3:H1=0.2m、H2=0.7m、B2=W2=3.2m、E=0.4m
(5)実施例4:H1=0.25m、H2=0.65m、B2=W2=3.0m、E=0.5m
(6)実施例5:H1=0.3m、H2=0.6m、B2=W2=2.8m、E=0.6m
特許文献3の建築物の基礎構造では、その効果を確認するために行った数値解析において、外力を、長期荷重である固定荷重及び積載荷重に相当する900kNの荷重のみとしている(特許文献3の[0025]参照)。
(1)荷重条件1:N=1100kN
(2)荷重条件2:N=1100kN、Q=220kN(I=3m)
(3)荷重条件3:N=1100kN、Q=440kN(I=3m)
図4B、図5B、及び図6Bに示す、基礎コンクリート3下のAないしC点の主応力(kN/m2)、及び地盤改良体2下のD点の接地圧(kN/m2)、並びに基礎コンクリート3の体積であるコンクリート量(m3)とする。
荷重条件1についての解析結果を表1に、荷重条件2についての解析結果を表2に、荷重条件3についての解析結果を表3に示す。
(パラメータ)
(1)改良厚L=2.5m、二次改良厚J=1.0m、一次改良幅K=5.6mとする。
(2)基礎下部の高さH2=0.8m、基礎の横幅B1=基礎の縦幅W1=4.0mとする。
(3)B2=W2=3.6m、E=0.2mとする。
(4)傾斜面S1(前記逆円錐台状の断面形状の側面)の水平面からの傾斜角度αを約30°とする。
(5)基礎底面BS1の横幅B3=基礎底面BS1の縦幅W3=0.8mとする。
(1)実施例6:H1=0.2m、E/H1=1
(2)実施例7:H1=0.15m、E/H1≒1.3
(3)実施例1:H1=0.1m、E/H1=2
(4)実施例8:H1=0.05m、E/H1=4
荷重条件1−3、及び評価項目は、第1の解析と同じである。
解析結果を表4に示す。横軸をE/H1として縦軸を改良体下の接地圧(D点)としたグラフを図8Aに、横軸をE/H1として縦軸をコンリート量としたグラフを図9Aに示す。
(パラメータ)
(1)改良厚L=2.5m、二次改良厚J=1.0m、一次改良幅K=5.6mとする。
(2)基礎の高さH=0.9m、基礎上部の高さH1=0.1m、基礎下部の高さH2=0.8mとする。
(3)基礎の横幅B1=基礎の縦幅W1=4.0mとする。
(4)傾斜面S1(前記逆円錐台状の断面形状の側面)の水平面からの傾斜角度αを約30°とする。
(1)実施例9:B2=W2=3.8m、B3=W3=1.0m、E=0.1m、E/H1=1
(2)実施例10:B2=W2=3.7m、B3=W3=0.9m、E=0.15m、E/H1=1.5
(3)実施例1:B2=W2=3.6m、B3=W3=0.8m、E=0.2m、E/H1=2
(4)実施例11:B2=W2=3.5m、B3=W3=0.7m、E=0.25m、E/H1=2.5
(5)実施例12:B2=W2=3.4m、B3=W3=0.6m、E=0.3m、E/H1=3
(6)実施例13:B2=W2=3.2m、B3=W3=0.4m、E=0.4m、E/H1=4
荷重条件1−3、及び評価項目は、第1の解析と同じである。
解析結果を表5に示す。横軸をE/H1として縦軸を改良体下の接地圧(D点)としたグラフを図8Bに、横軸をE/H1として縦軸をコンリート量としたグラフを図9Bに示す。
第2の解析、及び第3の解析により、鍔状部F1の厚みH1を小さくし、鍔状部F1の突出長さEを大きくすることにより、(E/H1)が大きくなり、それにより、改良体下の接地圧(D点)を小さくする効果、及びコンクリート量を小さくする効果があることが分かった。
本発明の実施の形態2に係る建築物の基礎構造における基礎コンクリート3を、図10Aの斜視図に示す。
本発明の実施の形態3に係る建築物の基礎構造における基礎コンクリート3を、図10Bの斜視図に示す。
本発明の実施の形態4に係る建築物の基礎構造における基礎コンクリート3を、図10Cの斜視図に示す。
図11Aの平面図、並びに図11B及び図12の断面図は、本発明の実施の形態5に係る建築物の基礎構造1を示している。
(掘下げ工程)
図11B及び図12に示す地表面GLから下側の表層地盤Gを、例えばバックホウによる鋤取り等により所要形状に掘り下げる。
次に、地盤改良体2の下部の形状である「口」字状に、アタッチメントとしてミキシングフォークを装着したバックホウ等により掘削し、セメント系固化材等の固化材を添加混合しながら混合攪拌し、重機及びローラー等により締め固めて地盤改良体2の下部を形成する一次改良工程を行う。
次に、前記掘下げ工程により掘り下げた土を、バックホウ等により地盤改良体2の下部の上側に埋め戻し、アタッチメントとしてミキシングフォークを装着したバックホウ等により、表層地盤Gを地表面GLから地盤改良体2上部の形状に掘削し、固化材を添加混合しながら混合攪拌し、重機及びローラー等により締め固めて地盤改良体2の上部を形成する二次改良工程を行う。
(上部掘削部形成工程)
次に、前記地盤改良工程で構築した地盤改良体2に対し、図13Aの平面図、及び図13Bの断面図に示すように、図11A及び図11B、並びに図12の壁8の下方に位置する地盤改良体2の上部を、下端部外周縁P1,P2の位置まで掘削して上部掘削部2Aを形成する。
次に、下端部外周縁P1,P2から鍔状部F2の突出長さEの分だけ内方の周縁U3,U4から、下方の下部掘削部2Bを掘削する。
次に、下部掘削部2B内に、図12に示す捨てコンクリート10を打設する。
2 地盤改良体
2A 上部掘削部
2B 下部掘削部
3 基礎コンクリート(独立基礎)
3A 上部
3B 下部
4 鉄骨柱
5 土間コンクリート
6 捨てコンクリート
7 基礎コンクリート(布基礎)
7A 上部
7B 下部
8 壁
9 土間コンクリート
10 捨てコンクリート
B1 基礎の横幅
B2 下部上端部の横幅
B3 基礎底面の横幅
BS1,BS2 底面
E 鍔状部の突出長さ
F1,F2 鍔状部
G 表層地盤
GL 地表面
H 基礎の高さ
H1 上部の高さ(鍔状部の厚み)
H2 下部の高さ
J 二次改良厚
K 一次改良幅
L 改良厚
M 下部の上端の側縁
O1 柱間を結ぶ水平方向に直交する水平方向
O2 壁に直交する水平方向
P,P1,P2 下端部外周縁
S1,S2 側面
T1,T2 下面
U1 下部の上端の外周縁(上部の下端部外周縁よりも内方の周縁)
U2 下部掘削部の上端縁(上部掘削部の下端部外周縁よりも内方の周縁)
U3,U4 周縁
V1 底面の外周縁
V2 下部掘削部の底面の外周縁
W1 基礎の縦幅
W2 下部上端部の縦幅
W3 基礎底面の縦幅
α 傾斜面である側面の水平面からの傾斜角度
Claims (5)
- 表層地盤を改良した地盤改良体及び前記地盤改良体上に現場で打設した基礎コンクリートを含む建築物の基礎構造であって、
前記基礎コンクリートは、鉄骨柱又は鉄筋コンクリート壁を直接支持し、
前記基礎コンクリートは、形状の異なる上部及び下部を有し、
前記下部は、
建築物の隣り合う前記鉄骨柱間を結ぶ水平方向に直交する第1水平方向を含む鉛直面により切断した断面形状、又は、
建築物の前記鉄筋コンクリート壁に直交する第2水平方向を含む鉛直面により切断した断面形状
が逆台形状であり、
前記上部は、
前記下部の前記断面形状における上端の側縁から、
前記第1水平方向へ突出する鍔状部、又は、
前記第2水平方向へ突出する鍔状部
を有し、
前記鍔状部の厚みは、0.05m以上0.3m以下、
前記鍔状部の突出長さは、0.1m以上0.6m以下であり、
前記鍔状部の突出長さは、前記鍔状部の厚みに対して、1〜4倍の範囲である、
建築物の基礎構造。 - 前記逆台形状の断面形状の側面の水平面からの傾斜角度は、20°以上40°以下である、
請求項1に記載の建築物の基礎構造。 - 前記基礎コンクリートは独立基礎であり、
前記下部の底面は、前記下部の上端の外周縁の平面形状よりも小さい四角以上の多角形であり、
前記下部の側面は、前記下部の上端の外周縁と前記底面の外周縁とを繋ぐ傾斜面である、
請求項1又は2に記載の建築物の基礎構造。 - 表層地盤を改良した地盤改良体及び前記地盤改良体上に現場で打設した基礎コンクリートを含む建築物の基礎構造の施工方法であって、
前記基礎コンクリートは、鉄骨柱又は鉄筋コンクリート壁を直接支持し、
前記基礎コンクリートは、形状の異なる上部及び下部を有し、
前記下部は、
建築物の隣り合う前記鉄骨柱間を結ぶ水平方向に直交する第1水平方向を含む鉛直面により切断した断面形状、又は、
建築物の前記鉄筋コンクリート壁に直交する第2水平方向を含む鉛直面により切断した断面形状
が逆台形状であり、
前記上部は、
前記下部の前記断面形状における上端の側縁から、
前記第1水平方向へ突出する鍔状部、又は、
前記第2水平方向へ突出する鍔状部
を有し、
前記鍔状部の厚みは、0.05m以上0.3m以下、
前記鍔状部の突出長さは、0.1m以上0.6m以下であり、
前記鍔状部の突出長さは、前記鍔状部の厚みに対して、1〜4倍の範囲であり、
前記建築物の基礎構造の施工方法は、地盤改良工程と、基礎掘削工程と、基礎打設工程とを含み、
前記地盤改良工程は、
表層地盤を掘り下げた土を埋め戻し、固化材を添加混合しながら混合攪拌した後に締め固めて前記地盤改良体を構築する工程であり、
前記基礎掘削工程は、
建築物の柱の下方、又は建築物の壁の下方に位置する前記地盤改良体の上部を、前記基礎コンクリートの上部の形状に掘削して上部掘削部を形成する工程、及び、
前記上部掘削部の下方を、前記基礎コンクリートの下部の形状に掘削して下部掘削部を形成する工程であり、
前記基礎打設工程は、
前記下部掘削部内に捨てコンクリートを打設し、前記上部掘削部及び前記下部掘削部内に基礎配筋を行って前記基礎コンクリートを打設する工程である、
建築物の基礎構造の施工方法。 - 前記逆台形状の断面形状の側面の水平面からの傾斜角度は、20°以上40°以下である、
請求項4に記載の建築物の基礎構造の施工方法。
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