JP6867823B2 - アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性促進剤 - Google Patents

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本発明は、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性促進剤に関する。
体内に摂取されたアルコール(エタノール)は、肝臓においてアセトアルデヒドに変換された後、さらにアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)の働きによって無毒な酢酸に代謝される。このアルコール代謝過程で生成するアセトアルデヒドは非常に毒性が強く、悪酔いの原因物質の一つと言われている。そのため、体内のアセトアルデヒドを速やかに低減させることができれば、悪酔いの軽減につながるものと期待される。
例えば、非特許文献1には、スルフォラファンがアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼを活性化して、アセトアルデヒドの分解を促進させることが開示されている。
Ushida Y. et al., Sulforaphane accelerates metabolism by inducingaldehyde dehydrogenases: relevance to ethanol intolerance, Alcohol andAlcoholism, 48(5), 526-534(2013)
本発明は、新規なアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性促進剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、ビールの苦味成分であるイソα酸に、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を促進する効果があることを新たに見出した。
本発明は、下記一般式(1):
Figure 0006867823

[式(1)中、RはC1−6アルキル基を示し、RはC1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を示し、RはC1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を示し、Rはカルボニル基又は水酸基を示す。]
で表される化合物又はその塩を有効成分として含む、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性促進剤を提供する。
本発明のアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性促進剤は、上記一般式(1)で表される化合物又はその塩を有効成分として含むことにより、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を促進させることができる。
上記アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性促進剤の有効成分である化合物は、イソα酸であることが好ましく、シス−イソフムロン又はシス−イソアドフムロンであることがより好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物又はその塩を対象(例えば、哺乳動物)に投与することによって、当該対象の体内(特に血中)におけるアセトアルデヒド濃度が低減する。よって、本発明は、上記一般式(1)で表される化合物又はその塩を有効成分として含む、血中アセトアルデヒド低減剤を提供する。
本発明は、上記一般式(1)で表される化合物又はその塩を有効成分として含む、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性促進用の食品組成物を提供する。
本発明は、上記一般式(1)で表される化合物又はその塩を有効成分として含む、血中アセトアルデヒド低減用の食品組成物を提供する。
上記血中アセトアルデヒド低減剤、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性促進用の食品組成物及び血中アセトアルデヒド低減用の食品組成物の有効成分である化合物は、イソα酸であることが好ましく、シス−イソフムロン又はシス−イソアドフムロンであることがより好ましい。
本発明によれば、新規なアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性促進剤を提供することができる。また本発明によれば、新規な血中アセトアルデヒド低減剤を提供することができる。
マウス肝癌由来細胞にイソα酸含有ホップエキスを添加したときのアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を示すグラフである。 マウス肝癌由来細胞にシス−イソコフムロン、シス−イソフムロン又はシス−イソアドフムロンを添加したときのアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を示すグラフである。 マウス肝癌由来細胞にイソα酸含有ホップエキスを添加したときのALDH1及びALDH2の発現量を示すグラフである。 イソα酸含有ホップエキスを摂取したマウスの血中アセトアルデヒド濃度を示すグラフである。 イソα酸含有ホップエキスを摂取したマウスの肝臓中におけるアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を示すグラフである。 イソα酸含有ホップエキスを摂取したマウスの肝臓中におけるALDH1及びALDH2の発現量を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
〔1.アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性促進剤〕
本実施形態に係るアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性促進剤は、下記一般式(1):
Figure 0006867823

[式(1)中、RはC1−6アルキル基を示し、RはC1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を示し、RはC1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を示し、Rはカルボニル基又は水酸基を示す。]
で表される化合物(以下、「化合物(1)」ともいう)又はその塩を有効成分として含む。
本明細書において「C1−6アルキル基」とは、炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖のアルキル基を意味する。C1−6アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−エチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基等が挙げられる。
本明細書において「C2−6アルケニル基」とは、炭素数2〜6の直鎖又は分枝鎖のアルケニル基を意味する。C2−6アルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペン−1−イル基、プロペン−2−イル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、5−ペンテニル基、1−メチル−1−ブテニル基、2−メチル−1−ブテニル基、3−メチル−1−ブテニル基、4−メチル−1−ブテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、3−メチル−2−ブテニル基、4−メチル−2−ブテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、2−メチル−3−ブテニル基、3−メチル−3−ブテニル基、4−メチル−3−ブテニル基、1,2−ジメチル−1−プロペニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、6−ヘキセニル基等が挙げられる。
上記一般式(1)において、Rは、好ましくはC2−5アルキル基であり、より好ましくはエチル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、又はイソペンチル基であり、更に好ましくはイソプロピル基、イソブチル基、又はsec−ブチル基であり、特に好ましくはイソブチル基、又はsec−ブチル基である。
上記一般式(1)において、Rは、好ましくはC2−6アルケニル基であり、より好ましくは3−メチル−2−ブテニル基である。
上記一般式(1)において、Rは、好ましくはC2−6アルケニル基であり、より好ましくは3−メチル−2−ブテニル基である。
上記一般式(1)において、Rは、好ましくはカルボニル基である。
化合物(1)には立体異性体、互変異性体等の異性体が存在しうる。それらの異性体も本発明の範囲に包含されるが、中でも、下記一般式(2):
Figure 0006867823

[式(2)中、R、R、R及びRは、上記式(1)におけるR、R、R及びRと同義である。]
で表される化合物が好ましい。
化合物(1)としては、イソα酸が好ましい。本明細書における「イソα酸」は、イソポストフムロン、イソコフムロン、イソフムロン、イソアドフムロン、イソプレフムロン、テトラヒドロイソポストフムロン、テトラヒドロイソコフムロン、テトラヒドロイソフムロン、テトラヒドロイソアドフムロン、テトラヒドロイソプレフムロン、ヘキサヒドロイソポストフムロン、ヘキサヒドロイソコフムロン、ヘキサヒドロイソフムロン、ヘキサヒドロイソアドフムロン、ヘキサヒドロイソプレフムロン等を含む意味で用いられる。なお、イソα酸にはシス体及びトランス体の立体異性体が存在するが、特に断りのない限り両者を含む意味で用いられる。
イソα酸の中でも、シス−イソコフムロン、シス−イソフムロン、シス−イソアドフムロン等のシス体のイソα酸が好ましく、シス−イソコフムロン、シス−イソフムロン、又はシス−イソアドフムロンがより好ましく、下記式(3)で表されるシス−イソフムロン、又は下記式(4)で表されるシス−イソアドフムロンが更に好ましい。
Figure 0006867823
本実施形態に係るアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性促進剤が化合物(1)の塩を有効成分として含む場合、化合物(1)の塩は薬学的に許容される塩であることが好ましい。薬学的に許容される塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩などが挙げられる。
化合物(1)又はその塩は、市販品であってもよく、公知の方法(例えば、特開2010−18631号公報に記載の方法)で合成したものであってもよい。また、化合物(1)又はその塩として、ホップエキス、ホップペレット等のホップ加工物を加熱等の異性化処理することで得られたもの(以下、「イソα酸含有ホップ加工物」ともいう)を用いてもよく、イソα酸含有ホップ加工物を、文献(Taniguchi Y. et al., Identification and quantification of theoxidation products derived from α-acids and β-acids during storage of hops (Human lupulus L.), J. Agric. FoodChem., 61(12), 3121-3130(2013))に記載の方法で更に精製したものを用いてもよい。
したがって、本発明の一実施形態として、イソα酸含有ホップ加工物を有効成分として含む、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性促進剤が提供される。
アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼには、ALDH1とALDH2の2種類のアイソザイムが存在することが確認されている。ALDH1は、アセトアルデヒドの濃度が高い状態になってから作用する酵素であるのに対し、ALDH2はアセトアルデヒドの濃度が低い状態でも作用する酵素である。本実施形態に係るアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性促進剤は、ALDH1及びALDH2の少なくとも一方の活性化を促進するものであればよいが、アルコール代謝におけるアセトアルデヒドの分解に主に関与するのはALDH2であることから、少なくともALDH2の活性化を促進するものであることが好ましい。
本実施形態に係るアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性促進剤は、固体(例えば、粉末)、液体(水溶性又は脂溶性の溶液又は懸濁液)、ペースト等のいずれの形状であってもよい。また、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤等のいずれの剤形であってもよい。
上述の各種製剤は、化合物(1)又はその塩と、薬学的に許容される添加剤(賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、乳化剤、界面活性剤、基剤、溶解補助剤、懸濁化剤等)とを混和し、必要に応じて成形することによって調製することができる。
例えば、賦形剤としては、ラクトース、スクロース、デンプン、デキストリン等が挙げられる。結合剤としては、ポリビニルアルコール、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク等が挙げられる。崩壊剤としては、結晶セルロース、寒天、ゼラチン、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、デキストリン等が挙げられる。乳化剤又は界面活性剤としては、Tween60、Tween80、Span80、モノステアリン酸グリセリン等が挙げられる。基剤としては、セトステアリルアルコール、ラノリン、ポリエチレングリコール、米糠油、魚油(DHA、EPA等)、オリーブ油等が挙げられる。溶解補助剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、Tween80等が挙げられる。懸濁化剤としては、Tween60、Tween80、Span80、モノステアリン酸グリセリン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。
本実施形態に係るアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性促進剤は、ヒトに投与しても、非ヒト哺乳動物に投与してもよい。投与量及び投与方法は、投与される個体の状態、年齢等に応じて適宜決定することができる。好適な投与方法としては、例えば、経口投与が挙げられる。
本実施形態に係るアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性促進剤は、医薬品、医薬部外品、飲食品(飲料、食品)、飲食品添加物、飼料、飼料添加物等の製品の成分として使用することができる。飲料としては、例えば、水、清涼飲料水、果汁飲料、乳飲料、アルコール飲料、スポーツドリンク、栄養ドリンク等が挙げられる。食品としては、例えば、パン類、麺類、米類、豆腐、乳製品、醤油、味噌、菓子類等が挙げられる。また、本実施形態に係るアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性促進剤は、健康食品、機能性表示食品、特別用途食品、栄養補助食品、サプリメント又は特定保健用食品等の成分として使用することもできる。
上述のとおり、化合物(1)又はその塩を有効成分として含むアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性促進剤は、飲食品、又は飲食品添加物の成分として使用することが可能である。よって、本発明の一実施形態として、上記一般式(1)で表される化合物又はその塩を有効成分として含む、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性促進用の食品組成物が提供される。
〔2.血中アセトアルデヒド低減剤〕
化合物(1)又はその塩を対象(例えば、哺乳動物)に投与することによって、当該対象の血中におけるアセトアルデヒド濃度を低減する効果が奏される。よって、本発明の一実施形態として、上記一般式(1)で表される化合物又はその塩を有効成分として含む、血中アセトアルデヒド低減剤が提供される。なお、上記実施形態において、製剤形態、投与量及び投与方法、用途等については、〔1.アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性促進剤〕におけるものと同様である。
また、本発明の一実施形態として、上記一般式(1)で表される化合物又はその塩を有効成分として含む、血中アセトアルデヒド低減用の食品組成物が提供される。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は、以下の実施例により限定されるものではない。
1.試料の調製
ホップエキス(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)に1N塩酸を加えて懸濁させた後、ヘキサンを添加して水層と有機層に分配した。有機層をエバポレーターで留去することで、イソα酸の濃度が70%のイソα酸含有ホップエキスを得た。
また、文献(Taniguchi Y. et al., Identificationand quantification of the oxidation products derived from α-acids and β-acids during storage of hops(Human lupulus L.), J. Agric. Food Chem., 61(12), 3121-3130(2013))に記載の方法に準じて、シス−イソコフムロン、シス−イソフムロン、及びシス−イソアドムロンの標品を得た。
2.培養細胞におけるアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)の活性測定
マウス肝癌由来細胞(Hepa−1c1c7(ECACC:95090613))を12ウェルプレートに2.5×10細胞/ウェルとなるように播種し、37℃、5%COの条件下で24時間培養した。培地は、α−MEM(ナカライテスク株式会社製)に、非動化した10% ウシ胎児血清(FBS)、500unit/mLのペニシリン、及び500μg/mLのストレプトマイシンを添加したものを使用した。培養後、上記1.で調製した各試料を添加し、さらに48時間培養した。ここで、イソα酸含有ホップエキスについては終濃度5ppm、10ppm及び25ppmとなるように添加し、シス−イソコフムロン、シス−イソフムロン及びシス−イソアドフムロンについては、各標品の50%アセトニトリル水溶液を終濃度5mM及び15mMとなるように添加した。一方、コントロールについては、50%アセトニトリル水溶液を添加した。培養液を除去し、付着細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄した後、50mM Tris−HCl(pH 8.4)を加えて、スクラーパーにて細胞をこすり落とし、マイクロホモジナイザーでホモジナイズした。このホモジネートを遠心分離し(3,000×g、4℃、15分間)、得られた上清をALDHの活性測定に用いた。
ALDHの活性測定は、以下のように6−メトキシ−2−ナフトアルデヒド(MONAL−62)を基質として、アルデヒド基の酸化により生成する6−メトキシ−2−ナフトエ酸を、蛍光検出器を備えたHPLCで定量することで行った。反応液の全量が200μLとなるように、50mM Tris−HCl(pH 8.4)、1mM ピラゾール、1mM NAD+、上記で得られた上清、及び0.1mM MONAL−62を混合し、37℃で30分間反応させた。得られた反応液にアセトニトリル(800μL)を加え、撹拌してALDHを失活させた後、濾過してHPLCによる6−メトキシ−2−ナフトエ酸定量のための検体を得た。なお、HPLCの分析条件は以下のとおりである。
カラム:Symmetry C18(Waters社製、2.1×50mm、3.5μm)
移動相:A 2.0%ギ酸(0.02%EDTA含有)、B アセトニトリル(2.0%ギ酸含有)、B:36−54%(0.0−4.5min)
流速:0.5ml/min
温度:37℃
検出:FLD(Ex 310nm、Em 360nm)
結果を図1及び2に示す。
イソα酸含有ホップエキスについては、濃度依存的にALDH活性を促進させることが確認された(図1)。また、シス−イソフムロン及びシス−イソアドフムロンについては、有意にALDH活性を促進させることが確認された(図2)。一方、シス−イソコフムロンについては、有意差は見られなかったものの、ALDH活性を促進させることが確認された(図2)。
3.培養細胞におけるALDH1及びALDH2のmRNA発現解析
上記2.と同様の方法で、試料としてイソα酸含有ホップエキスを添加して培養したマウス肝癌由来細胞(Hepa−1c1c7)からTRIzol(Invitrogen社製、商品名)を用いてtotal RNAを抽出し、RNeasy Mini Kit(QIAGEN社製、商品名)を用いて精製した。cRNAは、total RNAを鋳型としてReverTra Ace(東洋紡株式会社製、商品名)を用いて調製した。
mRNA発現解析は、リアルタイムPCRにて行った。リアルタイムPCRは、LightCycler 480 SYBR Green I Master(Roche社製)を用い、LightCycler 480システム(Roche社製)にて行った。なお、使用したプライマーの配列は以下のとおりである。
ALDH1
TGAACAAGCTGGCTGACTTAATGG(配列番号1)
CGACAAGTATGCATTGGCAAAGAC(配列番号2)
ALDH2
TCTTCATTAACAATGAGTGGCACGA(配列番号3)
AGCAGCCTTCACTGCCTTGTCTA(配列番号4)
β−アクチン
CATCCGTAAAGACCTCTATGCCAAC(配列番号5)
ATGGAGCCACCGATCCACA(配列番号6)
結果を図3に示す。
イソα酸含有ホップエキスを添加することによって、ALDH1及びALDH2のmRNA発現量が有意に上昇することが確認された。
4.マウスにおける血中アセトアルデヒド濃度の測定
5週齢の雄性C57BL/6NCrSlcマウスを日本エスエルシー社より購入した。飼育温度24±1℃、湿度48±4%、12時間の明暗サイクル(明期:8時〜20時)の環境下において、AIN−93G(粉末飼料)で1週間の予備飼育を行い、体重を基に2群に分けた。
通常食群(コントロール)は、AIN−93G全量の1.0%をデキストリンで置換した粉末飼料を与えて飼育した。試験食群は、AIN−93G全量の1.0%を上記1.で得られたイソα酸含有ホップエキスで置換した粉末飼料を与えて飼育した。また、総摂餌量の差が通常食群と試験食群との間で生じないようにするため、ペアフィーディングにより給餌量を調節した。
通常食又は試験食を与えて1週間飼育したマウスにアセトアルデヒド(200mg/kg)を腹腔内投与し、眼底静脈より経時採血を行った(アセトアルデヒド投与前、5分後、10分後、及び15分後)。なお、アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)によるアセトアルデヒドの分解を抑えるため、アセトアルデヒドの投与1時間前に4−メチルピラゾール(82mg/kg)を腹腔内投与した。採取した血液(40μL)に0.6N過塩素酸(500μL)を加え、ボルテックスミキサーで撹拌した後、遠心分離(1,500×g、4℃、5分間)し、上清を得た。得られた上清(450μL)を1.5mL容GCバイアルに移し、内部標準液として0.02%t−ブタノール(500μL)を加えて検体とし、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて血中アセトアルデヒド濃度を測定した。なお、GCの分析条件は以下のとおりである。
カラム:Supelcowax(Supelco社製、60m×0.53mm、2.0μm)
キャリアガス:N、50kPa(定圧)
オーブン:90℃
注入口:110℃
検出:FID、200℃
結果を図4に示す。
イソα酸含有ホップエキスを含む飼料で飼育した試験食群は、通常食群(コントロール)と比較して、有意に血中アセトアルデヒド濃度が減少していることが確認された。
5.マウスの肝臓中におけるアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)の活性測定
上記4.で使用したマウスから肝臓を摘出した。この肝臓に50mM Tris−HCl(pH 8.4、3mL/肝臓1g)を加えて、マイクロホモジナイザーでホモジナイズした。このホモジネートを遠心分離し(9,000×g、4℃、5分間)、得られた上清をALDHの活性測定に用いた。ALDHの活性測定は、上記2.と同様の方法で行った。結果を図5に示す。
イソα酸含有ホップエキスを含む飼料で飼育した試験食群は、通常食群(コントロール)と比較して、有意にALDH活性を促進させることが確認された。
6.マウスの肝臓中におけるALDH1及びALDH2のmRNA発現解析
上記3.と同様の方法で、上記4.で摘出した肝臓からtotal RNAを抽出した後、リアルタイムPCRにてmRNA発現解析を行った。結果を図6に示す。
イソα酸含有ホップエキスを含む飼料で飼育した試験食群は、通常食群(コントロール)と比較して、ALDH1及びALDH2のmRNA発現量を有意に上昇させることが確認された。
なお、上記各試験で得られた測定値は、平均値±標準偏差、又は平均値±標準誤差で示した。また、測定値の統計解析は、JMP12(SAS社製、商品名)ソフトウェアを用いてStudentのt検定で2群比較、又はDunnettの検定で多重比較を行い、危険率5%未満を有意とした。

Claims (4)

  1. シス−イソフムロン若しくはその塩、又はシス−イソアドフムロン若しくはその塩を有効成分として含む、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性促進剤。
  2. シス−イソフムロン若しくはその塩、又はシス−イソアドフムロン若しくはその塩を有効成分として含む、血中アセトアルデヒド低減剤。
  3. シス−イソフムロン若しくはその塩、又はシス−イソアドフムロン若しくはその塩を有効成分として含む、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性促進用の食品組成物。
  4. シス−イソフムロン若しくはその塩、又はシス−イソアドフムロン若しくはその塩を有効成分として含む、血中アセトアルデヒド低減用の食品組成物。
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