JP2005162634A - Dna合成酵素阻害剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 安全かつ有効なDNA合成酵素阻害物質を用いた抗癌剤、抗炎症剤などを提供する。
【解決手段】 天然甘味料ステビオサイドから調製されたイソステビオールを、DNA合成酵素阻害剤、抗癌剤、抗発癌剤、抗炎症剤及び発癌プロモータ抑制剤として使用する。
【選択図】 なし
【解決手段】 天然甘味料ステビオサイドから調製されたイソステビオールを、DNA合成酵素阻害剤、抗癌剤、抗発癌剤、抗炎症剤及び発癌プロモータ抑制剤として使用する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、イソステビオールを有効成分とする、DNA合成酵素阻害剤、抗癌剤、抗炎症剤、及び発癌プロモータ抑制剤に関する。
真核生物のDNA合成酵素(DNAポリメラーゼ)は、これまでα、β、γ、δ、ε、ζ、η、θ、ι、κ、λ、μ及びσの13種類のDNA合成酵素が知られている。これらのDNA合成酵素群は、細胞の増殖、分裂、分化などに関与しているが、α型はDNA複製、β型は修復と組換え、λ型は修復、δ型及びε型は複製と修復の双方を担うといった具合にタイプによって異なる機能を有することが知られている。
このようにDNA合成酵素は細胞の増殖等に関与することから、その酵素活性を阻害するDNA合成酵素阻害剤は、例えば、癌に対して癌細胞の増殖抑制作用を示し、エイズに対してHIV由来逆転写酵素に対する阻害作用を示し、また、免疫疾患に対して抗原に対する特異的抗体産生を抑制する免疫抑制作用を示すことが考えられる。このため、DNA合成酵素阻害剤を用いた癌、エイズ等のウイルス疾患、免疫疾患の予防・治療に効果のある医薬品の開発が期待されている。
このようにDNA合成酵素は細胞の増殖等に関与することから、その酵素活性を阻害するDNA合成酵素阻害剤は、例えば、癌に対して癌細胞の増殖抑制作用を示し、エイズに対してHIV由来逆転写酵素に対する阻害作用を示し、また、免疫疾患に対して抗原に対する特異的抗体産生を抑制する免疫抑制作用を示すことが考えられる。このため、DNA合成酵素阻害剤を用いた癌、エイズ等のウイルス疾患、免疫疾患の予防・治療に効果のある医薬品の開発が期待されている。
例えば、DNA合成酵素阻害活性を有する糖脂質が、制癌剤、HIV由来逆転写酵素阻害剤、免疫抑制剤として有用であることが報告されている(例えば、特許文献1参照)。現在、DNA合成酵素阻害剤として、ジデオキシTTP(ddTTP)、N−メチルマレイミド、ブチルフェニル−dGTPなどが知られている(例えば、非特許文献1参照)。また植物由来の糖脂質であるスルホキノボシルアシルグリセリドにもDNA合成酵素阻害作用が見出されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、従来のDNA合成酵素阻害剤は、例えば癌治療に用いる場合、その副作用が強く、患者に苦痛を強いるものであり、また、すでに発症した癌に対して、投与するもので、発癌の予防をも目的とした薬剤はまれであった。
他方、発癌プロモータを抑制する薬剤は、抗発癌剤(発癌予防剤)、抗炎症剤として使用できる。
このような状況下、本発明の課題は、副作用がなく安全で、かつ有効なDNA合成酵素阻害活性および発癌プロモータ抑制作用を有し、抗癌剤、抗発癌剤、あるいは抗炎症剤としても有用な薬剤を提供することにある。
他方、発癌プロモータを抑制する薬剤は、抗発癌剤(発癌予防剤)、抗炎症剤として使用できる。
このような状況下、本発明の課題は、副作用がなく安全で、かつ有効なDNA合成酵素阻害活性および発癌プロモータ抑制作用を有し、抗癌剤、抗発癌剤、あるいは抗炎症剤としても有用な薬剤を提供することにある。
本発明者等は鋭意研究の結果、高等植物のstevia rebaudiana Bartoniから得られる天然甘味料ステビオサイドからイソステビオールその他の類縁体を調整し、これら化合物について種々の実験を行なった結果、イソステビオールが、副作用がなく安全で、かつ有効なDNA合成酵素活性及び発癌プロモータ抑制活性を有し、抗癌剤、抗発癌剤(発癌予防剤)、及び抗炎症剤として極めて有用であるとの知見を得て本発明を完成するにいたったものである。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(4)に示す構成を伴うものである。
(1)下記の式(I)により表わされる、エントベエラン型ジテルペンの一種であるイソステビオール(ent-16-ketobeyeran-19-oic acid)、又はその薬理上許容される塩を有効成分とすることを特徴とするDNA合成酵素阻害剤;
(1)下記の式(I)により表わされる、エントベエラン型ジテルペンの一種であるイソステビオール(ent-16-ketobeyeran-19-oic acid)、又はその薬理上許容される塩を有効成分とすることを特徴とするDNA合成酵素阻害剤;
本発明において使用するイソステビオールあるいはその薬理学上許容しうる塩は、天然甘味料ステビオサイド由来のものであり、安全性が高く、しかも有効なDNA合成酵素阻害作用を有する。したがって、DNA合成酵素阻害剤として、生化学試薬のみならず、さらには抗癌剤および抗炎症剤として医薬品等へ利用できるほか、種々の有用性を有するものである。また、イソステビオールは、発癌プロモータを抑制する作用を有し、このため、正常細胞の癌化を防止し、抗発癌剤(発癌予防剤)としても使用でき、医薬品のみならず、飲食品へ、添加配合することにより、抗癌、抗発癌効果、あるいは抗炎症効果を有する健康食品としても有用な効果を有するものである。
本発明において使用するイソステビオールは、天然甘味料としてそれ自体周知のステビオサイドを、酸加水分解反応により得られるもので、以下の構造式(I)を有する。
前述のように、本発明において使用するイソステビオール又はその塩は、DNA合成酵素のみに選択的に阻害するが、本発明のイソステビオールは、例えば、上記した現在までに知られている、α型、β型、γ型、δ型、ε型、ζ型、η型、θ型、ι型、κ型、λ型、及びμ型の13種のDNA合成酵素のいずれに対しても阻害作用を有し、しかも、ヒトのみならず他の動物のDNA合成酵素に対しても阻害作用を有する。
また、DNA酵素阻害剤としての利用に止まらず、抗癌剤および抗炎症剤として医薬品等への応用が可能であり、その薬理上許容される塩についても同様に医薬品等への応用が可能である。
また、DNA酵素阻害剤としての利用に止まらず、抗癌剤および抗炎症剤として医薬品等への応用が可能であり、その薬理上許容される塩についても同様に医薬品等への応用が可能である。
一方、従来の抗癌剤は、その多くが発生した癌細胞を殺すこと並びに癌細胞の増殖抑制作用を有するものであったが、近年発癌防止を目的とした抗発癌剤の開発も進められている。この点について、特開平9−176184号公報に記載されるように、正常細胞の癌化のステップにおいて、「イニシエーター」と「プロモーター」とが関係しており、正常細胞の癌化は「(1)正常細胞の染色体がイニシエーターによりDNAレベルでの障害を受けて潜在的腫瘍細胞に変化する。(2)潜在的腫瘍細胞にプロモーターが作用して腫瘍細胞に変化させる。」の2段階を経て起こるという発癌2段階説が一般化しつつある。
このプロモーターとしての作用を持つ化合物の代表としてTPA(12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate)等が知られており、癌研究の場でこのような発癌プロモーターを用いた発癌実験が行なわれると共に、抗癌剤及び抗発癌剤の探索においてこのような発癌プロモーターの作用を阻害する抗発癌プロモーターの探索が進められている。
このプロモーターとしての作用を持つ化合物の代表としてTPA(12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate)等が知られており、癌研究の場でこのような発癌プロモーターを用いた発癌実験が行なわれると共に、抗癌剤及び抗発癌剤の探索においてこのような発癌プロモーターの作用を阻害する抗発癌プロモーターの探索が進められている。
本発明のイソステビオールあるいはその塩は、以下の実施例において立証されるように、抗癌作用のほか、TPAによって誘発される炎症を抑制する作用を有しており、発癌プロモーターTPAの働きを抑制する作用を有するものと認められる。したがって、本発明において使用するイソステビオール、並びに同様の作用を有する他の化合物は、発癌プロモーター抑制剤および予防する抗発癌剤(換言すれば、発癌予防剤・発癌抑制剤)として有用である。なお、本明細書において、単に「抗癌剤」というとき、このような発癌プロモーター抑制作用を有する抗発癌剤を含む。
本発明における「その薬理上許容される塩」の塩としては、フッ化水素酸塩、塩酸塩などのハロゲン化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩などの無機酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、スルホン酸塩、有機酸塩、及び、アミノ酸塩が挙げられ、好適には塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩を挙げることができる。
本発明の各化合物、及びその薬理上許容される塩は、植物などから単離・精製した天然物であってもよいし、公知の合成方法により合成したものであってもよい。
本発明の医薬品への利用には、本発明の化合物を医薬品開発過程におけるリード化合物として利用することも含まれる。
本発明のイソステビオールを体内投与する際においては、経口投与よりも非経口投与が好ましく、またリポソームなどの運搬体に封入して投与することが好ましい。このとき癌細胞を特異的に認識する運搬体などを利用すれば、標的部位(病変部位)に本発明の化合物を効率よく運ぶことができ効果的である。
また本発明の化合物は、医薬品への利用以外に、飲食品へ添加・配合することにより抗癌効果、抗発癌効果、あるいは抗炎症効果をもった健康食品として利用することも可能である。
次に、本発明のイソステビオールを配合してなる医薬用組成物および食用組成物について説明する。
本発明の化合物を有効成分とする抗癌剤および抗炎症剤は、これをそのまま、あるいは慣用の医薬製剤担体とともに医薬用組成物となし、動物およびヒトに投与することができる。医薬用組成物の剤形としては特に制限されるものではなく必要に応じて適宜選択すればよいが、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤等の経口剤、注射剤、坐剤等の非経口剤が挙げられるが、好適には非経口剤を挙げることができる。
本発明の化合物を有効成分とする抗癌剤および抗炎症剤は、これをそのまま、あるいは慣用の医薬製剤担体とともに医薬用組成物となし、動物およびヒトに投与することができる。医薬用組成物の剤形としては特に制限されるものではなく必要に応じて適宜選択すればよいが、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤等の経口剤、注射剤、坐剤等の非経口剤が挙げられるが、好適には非経口剤を挙げることができる。
上記錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤等の経口剤は、例えば、デンプン、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類等を用いて常法に従って製造される。これらの製剤中の本発明の化合物の配合量は特に限定されるものではなく適宜設計できる。この種の製剤化には本発明の化合物の他に、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤、着色剤、香料等を適宜に使用することができる。
ここに、結合剤としてデンプン、デキストリン、アラビアゴム末、ゼラチン、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール等を例示できる。
崩壊剤としてはデンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース等を例として挙げることができる。
界面活性剤の例としてラウリル硫酸ナトリウム、大豆レシチン、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等を挙げることができる。
滑沢剤では、タルク、ロウ類、水素添加植物油、蔗糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ポリエチレングリコール等を例示できる。流動性促進剤では、軽質無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等を例として挙げることができる。
また、本発明の化合物は懸濁液、エマルション剤、シロップ剤、エリキシル剤としても投与することができ、これらの各種剤形には、矯味矯臭剤、着色剤を含有させてもよい。
崩壊剤としてはデンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース等を例として挙げることができる。
界面活性剤の例としてラウリル硫酸ナトリウム、大豆レシチン、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等を挙げることができる。
滑沢剤では、タルク、ロウ類、水素添加植物油、蔗糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ポリエチレングリコール等を例示できる。流動性促進剤では、軽質無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等を例として挙げることができる。
また、本発明の化合物は懸濁液、エマルション剤、シロップ剤、エリキシル剤としても投与することができ、これらの各種剤形には、矯味矯臭剤、着色剤を含有させてもよい。
非経口剤として本発明の所望の効果を発現せしめるには、患者の年齢、体重、疾患の程度により異なるが、通常、成人で本発明のイソステビオールの重量として1日あたり1〜60mgの静注、点滴静注、皮下注射、筋肉注射が適当である。この非経口投与剤は常法に従って製造され、希釈剤として一般に注射用蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、注射用植物油、ゴマ油、ラッカセイ油、大豆油、トウモロコシ油、プロピレングリコール等を用いることができる。さらに必要に応じて、殺菌剤、防腐剤、安定剤を加えてもよい。
また、この非経口剤は安定性の点から、バイアル等に充填後冷凍し、通常の凍結乾燥処理により水分を除き、使用直前に凍結乾燥物から液剤を再調製することもできる。さらに必要に応じて、等張化剤、安定剤、防腐剤、無痛化剤を加えてもよい。これら製剤中の本発明の化合物の配合量は特に限定されるものではなく任意に設定できる。その他の非経口剤の例として、外用液剤、軟膏等の塗布剤、直腸内投与のための坐剤等が挙げられ、これらも常法に従って製造される。
本発明の他の組成物の好適な態様は食用組成物である。即ち、本発明の化合物は、これをそのまま液状、ゲル状あるいは固形状の食品、例えばジュース、清涼飲料、茶、スープ、豆乳、サラダ油、ドレッシング、ヨーグルト、ゼリー、プリン、ふりかけ、育児用粉乳、ケーキミックス、粉末状または液状の乳製品、パン、クッキー等に添加したり、必要に応じてデキストリン、乳糖、澱粉等の賦形剤や香料、色素等とともにペレット、錠剤、顆粒等に加工したり、またゼラチン等で被覆してカプセルに成形加工して健康食品や栄養補助食品等として利用できる。
なお、ヒトと他の哺乳類のDNA合成酵素の構造は殆ど同じであるため、本発明のDNA合成酵素阻害剤は、ヒト以外の哺乳類由来のDNA合成酵素阻害剤としても利用可能である。
また、DNA合成酵素阻害作用、抗炎症作用および抗発癌作用の間には互いに関連性が認められ、DNA合成酵素を特異的に阻害するイソステビオールは、TPAによって誘発される慢性炎症を抑制した。この結果は、TPAによる慢性炎症の発症においてDNA合成酵素が重要な役割を担っていることを示すものである。また、TPAは、慢性炎症を誘発するのみならず、発癌プロモーターとして哺乳類の細胞増殖を促進する。DNA合成酵素選択的阻害剤であるイソステビオールは、このような発癌プロモーターTPAの働きを抑制する抗発癌作用を示す。したがって、DNA合成酵素に対する阻害活性を調べることにより、抗癌剤または抗炎症剤の候補化合物の効率的なスクリーニングが期待できる。本発明には、このようなスクリーニング方法、及び同スクリーニング方法を用いて選ばれた化合物を有効成分とする医薬組成物(抗癌剤・抗炎症剤)も含まれる。なお、本スクリーニング方法において、DNA合成酵素に対する阻害活性を調べる方法は後述する実施例記載の方法に限定されるものではなく、公知の試験方法の中から適した方法を選択すればよい。
また、DNA合成酵素阻害作用、抗炎症作用および抗発癌作用の間には互いに関連性が認められ、DNA合成酵素を特異的に阻害するイソステビオールは、TPAによって誘発される慢性炎症を抑制した。この結果は、TPAによる慢性炎症の発症においてDNA合成酵素が重要な役割を担っていることを示すものである。また、TPAは、慢性炎症を誘発するのみならず、発癌プロモーターとして哺乳類の細胞増殖を促進する。DNA合成酵素選択的阻害剤であるイソステビオールは、このような発癌プロモーターTPAの働きを抑制する抗発癌作用を示す。したがって、DNA合成酵素に対する阻害活性を調べることにより、抗癌剤または抗炎症剤の候補化合物の効率的なスクリーニングが期待できる。本発明には、このようなスクリーニング方法、及び同スクリーニング方法を用いて選ばれた化合物を有効成分とする医薬組成物(抗癌剤・抗炎症剤)も含まれる。なお、本スクリーニング方法において、DNA合成酵素に対する阻害活性を調べる方法は後述する実施例記載の方法に限定されるものではなく、公知の試験方法の中から適した方法を選択すればよい。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(1)試験化合物の調整
イソステビオール(化合物3)は天然甘味料ステビオサイド(化合物1)から、酸加水分解反応により調製した。すなわち、ステビオサイド(8.2g)を水(140ml)に溶解し、これに濃塩酸(2.8ml)を加え、2時間加熱還流を行なった。反応生成物は酢酸エチルを用いて回収し、減圧蒸留により溶媒を留去し残渣(3.8g)を得た。この残渣は、シリカゲル(180g)カラムクロマトグラフィーを行なった。ヘキサン−酢酸エチル(95:5→0:1、v/v)混合溶液を展開液とし、段階的に極性を高くしながら溶出させ、ヘキサン−酢酸エチル(9:1、v/v)溶出画分よりイソステビオール(2.0g;化合物3)を得た。
上記2種の化合物の他に、下記の10種の化合物(化合物2、4〜12)の調製を行ない、DNA合成酵素阻害活性試験を行なった。
即ち、ステビオサイド(化合物1)を、文献(寺尾忠正、日本農芸化学会誌、63巻、1119-1121ページ、1989年)記載と同様の方法でAspergillus niger IFO 4414による微生物変換反応を行ない、ステビオール(化合物2)を調製した。また、イソステビオール(化合物3)を文献(Fang-Lin Hsuら、J. Nat. Prod.、65巻、273-277頁、2002年)記載と同様の方法でAspergillus nigerによる微生物変換反応を行ない、11β‐ヒドロキシイソステビオール(化合物4)、7β‐ヒドロキシステビオール(化合物5)、及び12β‐ヒドロキシステビオール(化合物6)を調製した。一方、イソステビオール(化合物3)のGlomerella cingulata IFO 9767による微生物変換反応では17−ヒドロキシイソステビオール(化合物7)を、Mortierella elongata IFO 8570による微生物変換では7−オキソイソステビオール(化合物8)を調製した。
[実施例1]
(1)試験化合物の調整
イソステビオール(化合物3)は天然甘味料ステビオサイド(化合物1)から、酸加水分解反応により調製した。すなわち、ステビオサイド(8.2g)を水(140ml)に溶解し、これに濃塩酸(2.8ml)を加え、2時間加熱還流を行なった。反応生成物は酢酸エチルを用いて回収し、減圧蒸留により溶媒を留去し残渣(3.8g)を得た。この残渣は、シリカゲル(180g)カラムクロマトグラフィーを行なった。ヘキサン−酢酸エチル(95:5→0:1、v/v)混合溶液を展開液とし、段階的に極性を高くしながら溶出させ、ヘキサン−酢酸エチル(9:1、v/v)溶出画分よりイソステビオール(2.0g;化合物3)を得た。
上記2種の化合物の他に、下記の10種の化合物(化合物2、4〜12)の調製を行ない、DNA合成酵素阻害活性試験を行なった。
即ち、ステビオサイド(化合物1)を、文献(寺尾忠正、日本農芸化学会誌、63巻、1119-1121ページ、1989年)記載と同様の方法でAspergillus niger IFO 4414による微生物変換反応を行ない、ステビオール(化合物2)を調製した。また、イソステビオール(化合物3)を文献(Fang-Lin Hsuら、J. Nat. Prod.、65巻、273-277頁、2002年)記載と同様の方法でAspergillus nigerによる微生物変換反応を行ない、11β‐ヒドロキシイソステビオール(化合物4)、7β‐ヒドロキシステビオール(化合物5)、及び12β‐ヒドロキシステビオール(化合物6)を調製した。一方、イソステビオール(化合物3)のGlomerella cingulata IFO 9767による微生物変換反応では17−ヒドロキシイソステビオール(化合物7)を、Mortierella elongata IFO 8570による微生物変換では7−オキソイソステビオール(化合物8)を調製した。
さらに、ステビオール(化合物2)を塩化メチレン中メタクロロ過安息香酸によりエポキシ化を行ない、生成したステビオール‐15α、16−エポキシドのジエテルエーテル中ジアゾメタンによるメチルエステル化によりメチルエント−15β、16β−エポキシ−13−ヒドロキシカウラン−19−オエート(化合物9)を調製した。またイソステビオール(化合物3)のメチルエステル化によりイソステビオールメチルエステル(化合物10)を得、この化合物のエタノール中水素化ホウ素ナトリウムによる還元でメチルエント−16β−ヒドロキシベエラン−19−オエート(化合物11)を調製した。7β−ヒドロキシステビオール(化合物5)の水素化ホウ素ナトリウムによる還元、続いてのジアゾメタンによるメチルエステル化によりメチルエント−7α、16β−ジヒドロキシベエラン−19−オエート(化合物12)を調製した。
上記化合物1〜12の化学構造式を以下に示す。
上記化合物1〜12の化学構造式を以下に示す。
(2)DNA合成酵素阻害活性の検証
上記(1)で得た化合物1〜12のDNA合成酵素群に対する活性を以下の方法で測定した。
DNA合成酵素として哺乳類由来のDNA合成酵素α、βおよびλについて試験を行なった。DNA合成酵素αは、牛胸腺から常法により抽出精製した標品を、DNA合成酵素βは、ラット由来の該当遺伝子を、DNA合成酵素λは、ヒト由来の該当遺伝子を、通常の遺伝子組み換え法により大腸菌に組み込み、生産させた標品を用いた。
これらのDNA合成酵素に対する化合物1〜12の阻害作用の測定には、一般的なDNA合成酵素反応系(日本生化学会編、新生化学実験講座2、核酸IV、東京化学同人、63〜66頁)を用いた。すなわち、放射性同位元素で標識した[3H]−TTPを含む系においてDNA合成反応を行ない、放射比活性を生成物(合成DNA鎖)量の指標とするものである。
阻害率は、(a)コントロールでの合成DNA量、(b)被検物質存在下での合成DNA量について、
(a−b)/ax100= 阻害率(%)
として評価した。得られた結果は50%阻害濃度(μM)として表1に示した。
上記(1)で得た化合物1〜12のDNA合成酵素群に対する活性を以下の方法で測定した。
DNA合成酵素として哺乳類由来のDNA合成酵素α、βおよびλについて試験を行なった。DNA合成酵素αは、牛胸腺から常法により抽出精製した標品を、DNA合成酵素βは、ラット由来の該当遺伝子を、DNA合成酵素λは、ヒト由来の該当遺伝子を、通常の遺伝子組み換え法により大腸菌に組み込み、生産させた標品を用いた。
これらのDNA合成酵素に対する化合物1〜12の阻害作用の測定には、一般的なDNA合成酵素反応系(日本生化学会編、新生化学実験講座2、核酸IV、東京化学同人、63〜66頁)を用いた。すなわち、放射性同位元素で標識した[3H]−TTPを含む系においてDNA合成反応を行ない、放射比活性を生成物(合成DNA鎖)量の指標とするものである。
阻害率は、(a)コントロールでの合成DNA量、(b)被検物質存在下での合成DNA量について、
(a−b)/ax100= 阻害率(%)
として評価した。得られた結果は50%阻害濃度(μM)として表1に示した。
表1に示した結果から明らかなように、化合物1〜12のうち化合物3だけが哺乳類由来のDNA合成酵素α、βおよびλを阻害した。一方、その他のイソステビオール類縁化合物はDNA合成酵素を阻害しなかった。図1に化合物3のDNA合成酵素α、βおよびλに対する阻害曲線を示した。
また、図1の結果に示されるように、イソステビオール(化合物3)は、DNA合成酵素αを最も強く阻害し、2番目にλ型、3番目にβ型を阻害することがわかった。化合物3のDNA合成酵素αに対する阻害様式をLineweaver-Burkの両逆数プロットから算出した結果、鋳型DNAには拮抗阻害、ヌクレオチド(dNTP)については非拮抗阻害であった。
DNA合成酵素αは複製型のDNA合成酵素であるため、癌細胞のような細胞分裂がさかんな細胞や組織に対してのみ本酵素活性が高い。従って、この結果は、イソステビオール(化合物3)が、抗癌剤としての作用を有する可能性を示す。
DNA合成酵素には、このα型の他に12種類の分子種が存在することが知られている。これらのDNA合成酵素のうち、δ型およびε型は、α型のものと生化学的類型にあると考えられている。ここで、生化学的類型とは、次のような酵素機能としての共通性を有することを指す。
(a)特定の化合物に対する感受性の有無;例えばこれら3種のDNA合成酵素は共に、N−メチルマレイミドおよびブチルフェニル−dGTPに対する感受性を持つが、ジデオキシTTP(ddTTP)に対する感受性を持たない。
(b)忠実度(fidelity);鋳型DNAに対するDNA合成の高い正確さを持つ。
(c)反応の場;これら3種のDNA合成酵素は共に細胞分裂と連動するDNA複製に直接的に関与している。
(a)特定の化合物に対する感受性の有無;例えばこれら3種のDNA合成酵素は共に、N−メチルマレイミドおよびブチルフェニル−dGTPに対する感受性を持つが、ジデオキシTTP(ddTTP)に対する感受性を持たない。
(b)忠実度(fidelity);鋳型DNAに対するDNA合成の高い正確さを持つ。
(c)反応の場;これら3種のDNA合成酵素は共に細胞分裂と連動するDNA複製に直接的に関与している。
DNA合成酵素α型(δ型およびε型も生化学的類型として含む)は、一般に細胞周期に応じてDNA合成を司ると考えられている。したがって、DNA合成酵素α(δ型およびε型も生化学的類型として含む)に対する阻害活性を有するイソステビオール(化合物3)は、連続的かつ急激に細胞増殖を生じている癌細胞に対する増殖抑制能を有し得るものと考えることができる。
次に、イソステビオールの各種DNA代謝系酵素に対する阻害活性を試験した。
試験手法は以下のとおりである。
子牛プライマーゼ活性は、酵素として精製した子牛DNA合成酵素αを、基質はpoly(dT)および放射性同位元素で標識した[3H]−ATPを用いた。子牛ターミナルデオキシトランスフェラーゼ(TdT)活性は、酵素として組換え子牛由来の市販標品(タカラバイオ、日本)を、基質はpoly(dA)/oligo(dT)12-18および放射性同位元素で標識した[3H]−dTTPを用いた。HIV−1逆転写酵素活性は、酵素として組換えHIVウイルス由来の市販標品(タカラバイオ、日本)を、基質はpoly(rA)/oligo(dT)12-18および放射性同位元素で標識した[3H]−TTPを用いた。T7RNAポリメラーゼ活性は、酵素として組換えT4ウイルス由来の市販標品(タカラバイオ、日本)を、基質はM13 一本鎖DNA、UTP、GTP、CTPおよび放射性同位元素で標識した[3H]−ATPを用いた。これらの酵素の放射比活性を生成物量の指標とした。ヒトテロメラーゼ活性は、酵素としてヒト子宮癌細胞(HeLa cell)抽出液を用いてPCR−based telomeric repeat amplification protocol(TRAP)法に従って行なった。ヒトDNAトポイソメラーゼIおよびIIは、酵素として組換えヒト由来の市販標品(TopoGEN Inc., USA)を用いて、文献(Mizushina他, Biochem.J.誌, 2002年, 350巻,757-763頁)に記載の方法に従って行なった。子牛DNA切断酵素I活性は、酵素として組換え子牛由来の市販標品(タカラバイオ、日本)を、基質は放射性同位元素[3H]−チミジンで標識した二本鎖DNAを用いて、酵素反応によって切断された生成物の放射活性を指標とした。
結果を図2に示す。図2から明らかなように、イソステビオール(化合物3)はα型のDNA合成酵素の他に、δ型およびε型のDNA合成酵素に対する阻害活性も有しているが、哺乳類由来のDNA合成酵素のうちα型が最も強い阻害をした。
試験手法は以下のとおりである。
子牛プライマーゼ活性は、酵素として精製した子牛DNA合成酵素αを、基質はpoly(dT)および放射性同位元素で標識した[3H]−ATPを用いた。子牛ターミナルデオキシトランスフェラーゼ(TdT)活性は、酵素として組換え子牛由来の市販標品(タカラバイオ、日本)を、基質はpoly(dA)/oligo(dT)12-18および放射性同位元素で標識した[3H]−dTTPを用いた。HIV−1逆転写酵素活性は、酵素として組換えHIVウイルス由来の市販標品(タカラバイオ、日本)を、基質はpoly(rA)/oligo(dT)12-18および放射性同位元素で標識した[3H]−TTPを用いた。T7RNAポリメラーゼ活性は、酵素として組換えT4ウイルス由来の市販標品(タカラバイオ、日本)を、基質はM13 一本鎖DNA、UTP、GTP、CTPおよび放射性同位元素で標識した[3H]−ATPを用いた。これらの酵素の放射比活性を生成物量の指標とした。ヒトテロメラーゼ活性は、酵素としてヒト子宮癌細胞(HeLa cell)抽出液を用いてPCR−based telomeric repeat amplification protocol(TRAP)法に従って行なった。ヒトDNAトポイソメラーゼIおよびIIは、酵素として組換えヒト由来の市販標品(TopoGEN Inc., USA)を用いて、文献(Mizushina他, Biochem.J.誌, 2002年, 350巻,757-763頁)に記載の方法に従って行なった。子牛DNA切断酵素I活性は、酵素として組換え子牛由来の市販標品(タカラバイオ、日本)を、基質は放射性同位元素[3H]−チミジンで標識した二本鎖DNAを用いて、酵素反応によって切断された生成物の放射活性を指標とした。
結果を図2に示す。図2から明らかなように、イソステビオール(化合物3)はα型のDNA合成酵素の他に、δ型およびε型のDNA合成酵素に対する阻害活性も有しているが、哺乳類由来のDNA合成酵素のうちα型が最も強い阻害をした。
さらに植物や原核生物のDNA合成酵素、その他のDNA代謝系酵素に対する酵素活性阻害作用についても調査した。その結果、図2に示すように、イソステビオールは、いずれもin vitroにおいて哺乳類DNA合成酵素のみを選択的に阻害し、植物や原核生物のDNA合成酵素、その他のDNA代謝系酵素に対する阻害作用を有しなかった。
一方、DNA合成酵素βは、免疫反応のDNA再構成において抗原特異的に反応する抗体あるいはレセプター分子を作り出す根源に関与するとともに、変異による抗体の多様性に一定の役割を果たしているともいわれている。これらのことから、DNA合成酵素βは、免疫反応に密接に関与し、DNA合成酵素βを抑制することは、免疫反応の抑制につながると推測される。従って、化合物3は免疫抑制剤としての作用を有することも期待される。
一方、DNA合成酵素βは、免疫反応のDNA再構成において抗原特異的に反応する抗体あるいはレセプター分子を作り出す根源に関与するとともに、変異による抗体の多様性に一定の役割を果たしているともいわれている。これらのことから、DNA合成酵素βは、免疫反応に密接に関与し、DNA合成酵素βを抑制することは、免疫反応の抑制につながると推測される。従って、化合物3は免疫抑制剤としての作用を有することも期待される。
[実施例2]
細胞増殖阻害活性の検証
上記実施例1における(2)の検証結果により、ステビオール(化合物3)は、抗癌作用を有するものと考えられたが、これをさらに検証するため、癌細胞増殖抑制効果を次の方法を用いて評価した。
本実験に用いた細胞は、ヒト胃癌由来NUGC−3細胞である。培地としてはRPMI1640培地(日水製薬(株)製)に、牛胎児血清10%(v/v)を添加したものを用いた。培養は、5%CO2インキュベーターにて37℃で行なった。
上記に示した培地に、最終濃度が100μMになるようにイソステビオール(化合物3)を溶解した。ただしこれらの化合物は水に難溶であるため、一度DMSO(ジメチルスルホキシド)に溶解し、そのものを上記の培地に溶かした。なお、培地中の培地内に存在するDMSOの終濃度は、すべての試験区で1%以下になっており、本測定例で用いたNUGC−3細胞の増殖の抑制にDMSOが関わる可能性は否定できる状態である。
本試験のための培養は、96穴マイクロプレートで行なった。各ウエルに3.0x105個の細胞を植え込み、1つの試験濃度に対し3ウエルずつ与えた。またポジティブコントロールとして培地に1%のDMSOを含むものを用いた。
化合物を添加後は、5%CO2インキュベーター内、37℃で24時間培養し、各試験区の細胞生存率の判定を行なった。生存率の判定は、文献[「Rapid Colorimetric Assay for Cellular Growth and Surviva1: Application to Proliferation and Cytotoxicity Assays」、Tim Mosmann, J. Immunol. Methods、65巻、55頁(1983)]に記載されているMTTアッセイ法を用いた。即ち、上記24時間後テトラゾリウム塩MTTを添加し、更に4時間培養した。生細胞による還元を経て生産するホルマザン量を生細胞に比例するとみなし、570nmの光学密度(O.D.)で定量した。
細胞増殖阻害活性の検証
上記実施例1における(2)の検証結果により、ステビオール(化合物3)は、抗癌作用を有するものと考えられたが、これをさらに検証するため、癌細胞増殖抑制効果を次の方法を用いて評価した。
本実験に用いた細胞は、ヒト胃癌由来NUGC−3細胞である。培地としてはRPMI1640培地(日水製薬(株)製)に、牛胎児血清10%(v/v)を添加したものを用いた。培養は、5%CO2インキュベーターにて37℃で行なった。
上記に示した培地に、最終濃度が100μMになるようにイソステビオール(化合物3)を溶解した。ただしこれらの化合物は水に難溶であるため、一度DMSO(ジメチルスルホキシド)に溶解し、そのものを上記の培地に溶かした。なお、培地中の培地内に存在するDMSOの終濃度は、すべての試験区で1%以下になっており、本測定例で用いたNUGC−3細胞の増殖の抑制にDMSOが関わる可能性は否定できる状態である。
本試験のための培養は、96穴マイクロプレートで行なった。各ウエルに3.0x105個の細胞を植え込み、1つの試験濃度に対し3ウエルずつ与えた。またポジティブコントロールとして培地に1%のDMSOを含むものを用いた。
化合物を添加後は、5%CO2インキュベーター内、37℃で24時間培養し、各試験区の細胞生存率の判定を行なった。生存率の判定は、文献[「Rapid Colorimetric Assay for Cellular Growth and Surviva1: Application to Proliferation and Cytotoxicity Assays」、Tim Mosmann, J. Immunol. Methods、65巻、55頁(1983)]に記載されているMTTアッセイ法を用いた。即ち、上記24時間後テトラゾリウム塩MTTを添加し、更に4時間培養した。生細胞による還元を経て生産するホルマザン量を生細胞に比例するとみなし、570nmの光学密度(O.D.)で定量した。
細胞生存率は次の式により算出した。
細胞生存率(%)=試験区のO.D.[570nm]/対照区のO.D.[570nm]
得られた結果を表2に示す。なお表2に示すデータは3ウエルの平均値である。
細胞生存率(%)=試験区のO.D.[570nm]/対照区のO.D.[570nm]
得られた結果を表2に示す。なお表2に示すデータは3ウエルの平均値である。
この結果からDNA合成酵素を特異的に阻害する化合物3(イソステビオール)が、実際にヒト癌細胞株に対する細胞増殖抑制効果を発揮し、抗癌剤として利用し得ることが示された。
また、同様にして、イソステビオール(化合物3)と、他の化合物1、2、4〜8のを使用した場合におけるヒト胃ガン細胞の生存率を比較した。結果を表3に示す。なお、この試験においては、各化合物の使用量は200μMであり、表3における試験化合物について得られた数値は、これら化合物を使用していない場合の生存率を100とした場合の相対値を表わす。
また、併せて、DNAトポイソメラーゼ、DNAポリメラーゼαおよびDNAポリメラーゼβについての各化合物の相対的阻害活性を示す。
また、併せて、DNAトポイソメラーゼ、DNAポリメラーゼαおよびDNAポリメラーゼβについての各化合物の相対的阻害活性を示す。
表3の結果から明らかなように、イソステビオール(化合物3)のみが、有効な胃癌細胞の増殖抑制効果を有し、かつDNA合成酵素α、βも有効に阻害した。一方、DNA合成酵素α、βを有効に阻害しない他の類縁化合物は、他の酵素であるDNAトポイソメラーゼに対して有効に阻害するものであっても、癌細胞の増殖抑制効果を示さない。このことは、DNA合成酵素α及び/又はβに対する阻害と抗癌作用の間には密接な関係があることを示す。また、後記実施例3に示すように、このDNA合成酵素阻害作用は、発癌プロモータ抑制作用による抗炎症作用、及び抗発癌作用とも関係することが明らかであり、これらの結果は、DNA合成酵素阻害作用の有無、程度を調べることにより、抗癌剤(抗発癌剤を含む)、抗炎症剤あるいは発癌プロモーター抑制剤のスクリーニングを行えることを示す。
[実施例3]
抗炎症作用および抗発癌作用の検証
TPA(12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate)は、慢性炎症を誘発するのみならず、発癌プロモーターとして哺乳類の細胞増殖を促進する。DNA合成酵素阻害作用、抗炎症作用および抗発癌プロモーター活性の間には互いに関連性があると考えられ、そこで、DNA合成酵素を特異的に阻害するイソステビオール(化合物3)が抗炎症活性を有することを確認するため、以下の試験を行なった。
マウス耳に予め所定量の化合物3を塗布後、TPAによって誘発される炎症性浮腫の重量を測定することで各阻害効果を算出した。試験は、基本的にCancer Lett. 1984, 25, 177-85頁記載の方法にしたがって行ない、マウスの一方の耳にイソステビオール(化合物3)を250μgもしくは500μg塗布し、30分後、同じ箇所と反対側の耳にTPAを0.5μg塗布する。7時間後、TPAによって誘発される炎症性浮腫の重量を測定し、コントロール(反対側の耳)と比較することで各阻害効果を算出した。
その結果を下記の表4に示す。
抗炎症作用および抗発癌作用の検証
TPA(12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate)は、慢性炎症を誘発するのみならず、発癌プロモーターとして哺乳類の細胞増殖を促進する。DNA合成酵素阻害作用、抗炎症作用および抗発癌プロモーター活性の間には互いに関連性があると考えられ、そこで、DNA合成酵素を特異的に阻害するイソステビオール(化合物3)が抗炎症活性を有することを確認するため、以下の試験を行なった。
マウス耳に予め所定量の化合物3を塗布後、TPAによって誘発される炎症性浮腫の重量を測定することで各阻害効果を算出した。試験は、基本的にCancer Lett. 1984, 25, 177-85頁記載の方法にしたがって行ない、マウスの一方の耳にイソステビオール(化合物3)を250μgもしくは500μg塗布し、30分後、同じ箇所と反対側の耳にTPAを0.5μg塗布する。7時間後、TPAによって誘発される炎症性浮腫の重量を測定し、コントロール(反対側の耳)と比較することで各阻害効果を算出した。
その結果を下記の表4に示す。
表4に示すように、イソステビオール(化合物3)は塗布量250μg・500μgに依存的に炎症を抑制した。この実験結果から、イソステビオール(化合物3)は抗炎症作用を有することが明らかとなった。また、この実験結果から、イソステビオール(化合物3)は、発癌プロモーターTPAの働きを抑制する抗発癌プロモーター活性、すなわち、抗発癌作用を有するものといえる。
Claims (4)
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003401039A JP2005162634A (ja) | 2003-12-01 | 2003-12-01 | Dna合成酵素阻害剤 |
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---|---|---|---|---|
US20110038957A1 (en) * | 2007-12-03 | 2011-02-17 | Ann Fowler | Novel nutraceutical compositions containing stevia extract or stevia extract constituents and uses thereof |
CN103087030A (zh) * | 2011-11-02 | 2013-05-08 | 中国药科大学 | 新颖exo-亚甲基内酯型四环二萜类化合物制备方法、生物活性及应用 |
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2003
- 2003-12-01 JP JP2003401039A patent/JP2005162634A/ja active Pending
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