JP6864258B2 - トナー及びトナーの製造方法 - Google Patents
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Description
これらの方法により画像を得るために用いられる装置は、通常、加熱体である定着部を有するため、装置内での温度が上昇する。そのため、トナーには、ブロッキングしないこと、つまり保存性が求められる。加えて、連続印刷時においても装置の汚れやカブリなどが見られないこと、すなわち耐久性もトナーには求められている。
例えば、特許文献1には酸化ポリオレフィン由来の構成単位を含むポリエステル樹脂と酸化ポリオレフィンとを含有するトナー用バインダー樹脂組成物に関して開示されている。
粉砕法は、バインダー樹脂および他のトナー配合物(例えば顔料(着色剤)、離型剤等)を溶融混練し、得られた混練物を粉砕機などによって微粉砕し、分級することによってトナーを得る方法であり、工業的に広く用いられている。
またケミカル法は、例えばバインダー樹脂等を有機溶剤中に溶解させ、得られた樹脂溶液を水系媒体に分散させてバインダー樹脂を乳化した後、有機溶剤を除去し、得られた乳化粒子を凝縮し、凝縮粒子を分離して洗浄、乾燥することによってトナーを得る方法である。
またケミカル法であれば、例えばバインダー樹脂等を有機溶剤中に溶解させ、得られた樹脂溶液を水系媒体に分散させてバインダー樹脂を乳化した後、有機溶剤を除去し、得られた乳化粒子を凝縮し、凝縮粒子を分離して洗浄、乾燥することによってトナーを得る方法であるので、トナーの粒子内にワックス入れることが粉砕法と比べて容易となる。
またケミカル法と同等レベルまでトナー粒子にワックスを含有させるために、トナー化工程でワックス添加量を増やした場合には、ワックス分散性が不十分であった。
[1]軟化温度が130℃以上のワックス分散剤と、ワックスと、バインダー樹脂とを含む、トナー。
[2]前記バインダー樹脂がポリエステル樹脂、又はスチレンアクリル樹脂から選択される1種以上を含む、請求項1に記載のトナー。
[3]前記ワックスの混合量が5質量%以上である、請求項1または2に記載のトナー。
[4]バインダー樹脂と、軟化温度が130℃以上のワックス分散剤と、ワックスとを混合する工程を有する、トナーの製造方法。
本発明のトナーは、軟化温度が130℃以上のワックス分散剤を含有する。軟化温度が130℃以上のワックス分散剤としては、例えば、極性基含有酢酸ビニル材料及び/又は極性基含有ポリエチレン材料等の極性基含有オレフィン材料が挙げられる。
以下、本発明の軟化温度が130℃以上のワックス分散剤の一実施形態について説明する。軟化温度は、フローテスター(島津製作所社製、「CFT−500D」)を用いて、1mmφ×10mmのノズル、荷重294N、昇温速度3℃/minの等速昇温下で、樹脂サンプル1.0g中の4mmが流出したときの温度である。
この軟化温度が130℃以上であると、溶融混練時の粘度が制御でき、なお溶融混練後の冷却過程においてブリードアウトせず、樹脂とワックスの界面に存在しやすい材料となる。
酸化処理をする前のポリオレフィンとしては、特に制限されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリブチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等、オレフィン骨格を主成分とした重合体等が挙げられる。
このうち酸化処理をする前のポリオレフィンとしては、熱安定性等の観点から、ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体等のエチレン骨格を主成分としたポリオレフィンが好ましく、ポリエチレンが特に好ましい。
また酸化処理以外に極性基を導入する方法としては、不飽和カルボン酸又はその誘導体、エチレン性不飽和シラン化合物等で変性すればよい。不飽和カルボン酸は限定されないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラス酸、テトラヒドロフタル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等のα,β−不飽和カルボン酸や不飽和ジカルボン酸が挙げられ、それらの誘導体としては、酸無水物、エステル、酸ハロゲン化物、アミド、イミドなどが挙げられる。これらの誘導体の中では、酸無水物が好ましい。これらの酸類は、1種を単独で用いる場合に限らず、2種以上を併用してもよい。
エチレン性不飽和シラン化合物は限定されないが、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられ、これらの中でも、ビニルトリメトキシシランが好適に用いられる。これらは、1種を単独で用いる場合に限らず、2種以上を併用してその変性は熱のみの反応でも得ることができるが、反応の際にラジカル発生剤を添加してもよい。また、反応させる手法としては、溶媒中で反応させる溶液変性法や溶媒を使用しない溶融変性法のほか、懸濁分散反応法などの方法を用いてもよい。
上記に例示したワックス分散剤を用いると、ワックス成分にはオレフィン部分が配向し、極性基部分がワックスよりも高極性の樹脂側に配向しやすい為、例えば、ワックス添加量が多い系で溶融混練後の冷却工程において除熱が不十分な条件であってもワックス分散性が向上したトナーを安定して製造することができる。その結果トナーの保存安定性や、オフセット性等の定着性能を高めることに寄与する。
軟化温度が130℃以上のワックス分散剤としては市販品を用いることもでき、三菱化学社製「モディック」が好適である。
なお、本発明のトナーは、軟化温度が130℃以上のワックス分散剤以外のワックス分散剤を含んでいてもよい。
本発明のトナーは、バインダー樹脂を含有する。バインダー樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂とアクリル樹脂のハイブリッド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。これらは単独で又は二種以上を併用して使用することが出来る。
<ポリエステル樹脂>
以下、本発明のバインダー樹脂として使用できる、ポリエステル樹脂の一実施形態について説明する。
本実施形態のポリエステル樹脂は、多価カルボン酸由来成分と、多価アルコール由来成分を含有する。
ポリエステル樹脂は、2価や3価カルボン酸等の多価カルボン酸由来の構成単位を含む。
2価のカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸またはそれらの低級アルキルエステル;フタル酸、セバシン酸、イソデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アジピン酸、フランジカルボン酸またはそれらのモノメチル、モノエチル、ジメチル、ジエチルエステルまたはそれらの酸無水物などが挙げられる。
テレフタル酸、イソフタル酸の低級アルキルエステルの例としては、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジエチル、テレフタル酸ジブチル、イソフタル酸ジブチルなどが挙げられる。
これらのうち、2価のカルボン酸としては、ハンドリング性およびコストに優れる点で、テレフタル酸、イソフタル酸、フランジカルボン酸が好ましい。また、反応性に優れる点で、イソフタル酸がより好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、後述の3価以上のカルボン酸と併用してもよい。
3価以上のカルボン酸としては、例えばトリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸またはそれらの酸無水物や低級アルキルエステルなどが挙げられる。
これらのうち、3価以上のカルボン酸としては、沸点が高く、トナーから発生する揮発成分の原因物質になりにくい点で、トリメリット酸、トリメリット酸無水物が好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリエスエル樹脂は、2価や3価アルコール等の多価アルコール由来成分の構成単位を含む。2価のアルコールとしては、例えばエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、水素添加ビスフェノールA、スピログリコール、ジオキサングリコール、ズルシッド、ヘキシッドなどが挙げられる。 これらの中でも、重合反応性やポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)を40℃以上に設計しやすい観点から、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましく、エチレングリコール、1,2−プロパンジオールが特に好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンが好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、適度な定着強度と帯電性を付与する観点より、ポリオキシプロピレン−(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のバインダー樹脂に用いられるポリエステル樹脂は、本発明の目的を損なわない範囲であれば、末端官能基数の調整や他の材料の分散性向上目的で、多価カルボン酸および多価アルコールに加えて、1価のカルボン酸や1価のアルコールを併用してもよい。
1価のカルボン酸としては、例えば安息香酸、p−メチル安息香酸等の炭素数30以下の芳香族カルボン酸;ステアリン酸、ベヘン酸等の炭素数30以下の脂肪族カルボン酸;桂皮酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和二重結合を分子内に1つ以上有する不飽和カルボン酸などが挙げられる。
1価のアルコールとしては、例えばベンジルアルコール等の炭素数30以下の芳香族アルコール;オレイルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の炭素数30以下の脂肪族アルコールなどが挙げられる。
これら1価のカルボン酸および1価のアルコールは、それぞれ1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
チタン触媒は反応活性が高く、触媒を用いない場合や他の触媒を用いた場合よりもエステル化反応時間が短く樹脂生産性を向上させ、樹脂オリゴマー量を低減できるので水分散後の粒径が均一化しやすい。チタン触媒以外の触媒、例えばスズ触媒やアンチモン触媒は原材料に分散している不均一触媒が一般的であり、水分散処理を行うとこれを核として粒子が凝集しやすく、ケミカルトナー用に適した粒径を安定して得られ難い傾向を示す。またスズ触媒やアンチモン触媒は環境汚染物資として懸念され、使用が制限される傾向にあるため、使用量を少なくして環境負荷と凝集への影響を低減しようとすると、重合時の反応性が低位となり重合時間延長による生産性の低下を招く。
アルコキシ基を有するチタンアルコキシド化合物としては、例えばテトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラペントキシチタン、テトラオクトキシチタンなどが挙げられる。
カルボン酸チタン化合物としては、例えば蟻酸チタン、酢酸チタン、プロピオン酸チタン、オクタン酸チタン、シュウ酸チタン、コハク酸チタン、マレイン酸チタン、アジピン酸チタン、セバシン酸チタン、ヘキサントリカルボン酸チタン、イソオクタントリカルボン酸チタン、オクタンテトラカルボン酸チタン、デカンテトラカルボン酸チタン、安息香酸チタン、フタル酸チタン、テレフタル酸チタン、イソフタル酸チタン、1,3−ナフタレンジカルボン酸チタン、4,4−ビフェニルジカルボン酸チタン、2,5−トルエンジカルボン酸チタン、アントラセンジカルボン酸チタン、トリメリット酸チタン、2,4,6−ナフタレントリカルボン酸チタン、ピロメリット酸チタン、2,3,4,6−ナフタレンテトラカルボン酸チタンなどが挙げられる。
カルボン酸チタニル化合物としては、例えば安息香酸チタニル、フタル酸チタニル、テレフタル酸チタニル、イソフタル酸チタニル、1,3−ナフタレンジカルボン酸チタニル、4,4−ビフェニルジカルボン酸チタニル、2,5−トルエンジカルボン酸チタニル、アントラセンジカルボン酸チタニル、トリメリット酸チタニル、2,4,6−ナフタレントリカルボン酸チタニル、ピロメリット酸チタニル、2,3,4,6−ナフクレンテトラカルボン酸チタニルなどが挙げられる。
カルボン酸チタニル塩化合物としては、特に限定されないが、例えば上記のカルボン酸チタニル化合物に対するアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウムなど)塩もしくはアルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム、バリウムなど)塩などが挙げられる。
これらの中でも、反応性と水分散液の粒径の観点で、テトラブトキシチタン、テトラプロポキシチタンが好ましい。また、チタンキレート化合物を用いる場合は、配位子が、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、オクチレングリコール、トリエタノールアミン、乳酸、乳酸アンモニウムから選ばれることが好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリエステル樹脂は、例えば、上述した多価カルボン酸および多価アルコールと、必要に応じて他の成分とを含む単量体混合物を公知のポリエステル重合方法により重合することで得られる。
3価以上のカルボン酸の含有量は、多価カルボン酸100モル%中、0.1〜23モル%が好ましく、1〜20モル%がより好ましく、5〜20モル%がさらに好ましい。3価以上のカルボン酸の含有量が0.1モル%以上であれば、ポリエステル樹脂の樹脂強度がより高まる。特に、3価以上のカルボン酸の含有量が5モル%以上であれば、ポリエステル樹脂の生産性がより向上する。一方、3価以上のカルボン酸の含有量が23モル%以下であれば、ポリエステル樹脂の溶剤溶解性およびトナーの保存性がより向上する。加えて、生産性を良好に維持しつつ、着色しにくいポリエステル樹脂が得られやすくなる。
3価以上のアルコールの含有量は、多価カルボン酸100モル部に対して1〜40モル部が好ましく、1〜35モル部がより好ましく、1〜30モル部がさらに好ましい。
さらに、ポリエステル樹脂の重合安定性を得る目的で、単量体混合物に安定剤を添加して重合してもよい。安定剤としては、例えばハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ヒンダードフェノール化合物などが挙げられる。
ポリエステル樹脂のTgは、示差走差熱量計の測定により求めたものである。具体的には、100℃で10分間加熱してメルトクエンチを行った後、昇温速度5℃/minで測定したときのチャートの低温側のベースラインと、Tg近傍にある吸熱カーブの接線との交点の温度を求め、これをTgとする。
ポリエステル樹脂のT4は、1mmφ×10mmのノズルにより、荷重294N(30Kgf)、昇温速度3℃/minの等速昇温下の条件で測定し、サンプル1.0g中の4mmが流出したときの温度である。
ポリエステル樹脂の酸価は、ポリエステル樹脂をベンジルアルコールに溶解し、フェノールフタレインを指示薬として、0.02規定のKOHベンジルアルコール溶液を用いて滴定して求めた値である。
ポリエステル樹脂のピークトップ分子量(Mp)は、1000〜300000が好ましく、1000〜30000がより好ましく、1000〜20000がさらに好ましい。
ポリエステル樹脂のMwおよびMpは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。例えば、テトラヒドロフラン等の溶媒を溶離液とし、ポリスチレン換算分子量として求めることができる。
次いで、本発明に使用されるバインダーとして用いることのできるスチレンアクリル樹脂について説明する。
スチレンアクリル樹脂を得るための原料であるモノマーとしては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−フェニルスチレン等のスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸アリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;及びマレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル等の不飽和脂肪族二塩基酸ジアルキルエステルが挙げられる。これらは単独で又は二種以上を併用して使用することができる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリ」は「アクリ」又は「メタクリ」を示す。
スチレンアクリル樹脂が架橋樹脂である場合の、原料として使用する架橋剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メタクリル酸アリル、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の2個以上の不飽和基を有する単量体が挙げられる。これらは単独で又は二種以上を併用して使用することが出来る。
連鎖移動剤としては、例えば、α−メチルスチレンダイマー、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、2−エチルヘキシルチオグリコール酸エステル、チオフェノール及びテルピノレンが挙げられる。これらは単独で又は二種以上を併用して使用することが出来る。
ワックス(離型剤)としては、特に制限されず、トナーの離型性、保存性、定着性、発色性等を考慮して、カルナバワックス、ライスワックス、蜜蝋、ポリプロピレン系ワックス、ポリエチレン系ワックス、合成エステル系ワックス、パラフィンワックス、脂肪酸アミド、シリコーン系ワックス等を適宜選択して使用できる。これらは単独であるいは二種以上を併用して使用することができる。
離型剤の融点は特に制限されず、上記トナー性能を考慮して適宜選択して使用できる。離型剤の含有量は特に制限されないが、上記のトナー性能を左右することから、トナー中0.3〜15質量%であることが好ましい。離型剤の含有量の下限値は、より好ましくは1質量%以上がより好ましく、2質量%以上が特に好ましい。また、離型剤の含有量の上限値は、13質量%以下がより好ましく、12質量%以下が特に好ましい。
本発明のトナーは、軟化温度が130以上のワックス分散剤成分を含有しているため、各種離型剤との相溶性に優れるものである。そのため、上述のいかなる離型剤をトナー製造時に配合しても、分散性は良好であり、離型剤に期待する効果を十分に付与することができる。
本発明のトナーは、上述したトナー用バインダー樹脂と、ワックス分散剤と、ワックスを混合して製造することができる。
トナーは、必要に応じて、着色剤、荷電制御剤、離型剤、流動改質剤等の添加剤、磁性体等を配合することができる。
着色剤としては、特に制限されないが、カーボンブラック、ニグロシン、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、ローダミン系染顔料、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系染料もしくは顔料などを挙げることができる。これらの染料や顔料はそれぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。フルカラートナーの場合には、イエローとしてベンジジンイエロー、モノアゾ系染顔料、縮合アゾ系染顔料など、マゼンタとしてキナクリドン、ローダミン系染顔料、モノアゾ系染顔料など、シアンとしてフタロシアニンブルーなどが挙げられる。
着色剤の含有量は、特に制限されないが、トナーの色調や画像濃度、熱特性の点から、トナー中2〜10質量%であることが好ましい。
荷電制御剤の含有量は、特に制限されないが、トナー中0.5〜5質量であるのが好
ましい。荷電制御剤の含有量が0.5質量%以上の場合にトナーの帯電量が充分なレベルとなる傾向にあり、5質量%以下の場合に荷電制御剤の凝集による帯電量の低下が抑制される傾向にある。
これらの添加剤の含有量は、特に制限されないが、トナー中0.05〜10質量%であるのが好ましい。これらの添加剤の含有量が0.05質量%以上の場合にトナーの性能改質効果が充分に得られる傾向にあり、10質量%以下の場合にトナーの画像安定性が良好となる傾向にある。
磁性1成分現像剤として用いる場合には磁性体を含有し、磁性体としては、例えば、フェライト、マグネタイト等をはじめとする、鉄、コバルト、ニッケル等を含む強磁性の合金の他、化合物や強磁性元素を含まないが、適当に熱処理することによって強磁性を表すようになる合金、例えば、マンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−スズ等のマンガンと銅とを含む所謂ホイスラー合金、二酸化クロム等が挙げられる。
磁性体の含有量は、特に制限されないが、トナーの粉砕性に大きく影響を与えるため、トナー中3〜70質量%であることが好ましい。磁性体の含有量が3質量%以上の場合にトナーの帯電量が充分なレベルとなる傾向にあり、70質量%以下の場合にトナーの定着性や粉砕性が良好となる傾向にある。磁性体の含有量の下限値は、3質量%以上がより好ましく、3質量%以上が特に好ましい。また、磁性体の含有量の上限値は、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下が特に好ましい。
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
樹脂及び混練物のTgは、示差走差熱量計(島津製作所社製、「DSC−60」)を用いて、昇温速度5℃/minにおけるチャートのベースラインと吸熱カーブの接線との交点から測定した。測定試料は10mg±0.5mgをアルミパン内に計量し、ガラス転移温度以上の100℃で10分融解後、ドライアイスを用いて急冷却処理したサンプルを用いて行った。
樹脂及び混練物のT4は、フローテスター(島津製作所社製、「CFT−500D」)を用いて、1mmφ×10mmのノズル、荷重294N、昇温速度3℃/minの等速昇温下で、樹脂サンプル1.0g中の4mmが流出したときの温度を測定し、これを軟化温度とした。
樹脂のAVは、以下のようにして測定した。
樹脂約0.2gを枝付き三角フラスコ内に精秤し(A(g))、ベンジルアルコール10mLを加え、窒素雰囲気下として230℃のヒーターにて15分加熱しポリエステル樹脂を溶解した。室温まで放冷後、ベンジルアルコール10mL、クロロホルム20mL、フェノールフタレイン溶液数滴を加え、0.02規定のKOH溶液にて滴定した(滴定量=B(mL)、KOH溶液の力価=p)。ブランク測定を同様に行い(滴定量=C(mL))、以下の式に従って算出した。
酸価(mgKOH/g)={(B−C)×0.02×56.11×p}/A
示差走査熱量計(島津製作所製DSC−60)を用いて、昇温速度5℃/分で試料10mgを加熱し、JIS K7121に準拠して測定し、該規格(9.1「融解温度の求め方」)に記載されている融解ピーク値を求めてこれを結晶融点Tmとし、また、DS Cチャートの結晶融点Tmにおける吸熱ピーク面積より融解熱量(J/g)を求めた。
ポリエステル樹脂0.5gを100mLの三角フラスコ内に秤量し(D(g))、テトラヒドロフラン50gを加え、70℃に設定したウォーターバスに3時間浸漬し、ポリエステル樹脂をテトラヒドロフランに溶解させた。
別途、ガラスフィルター1GP100に6〜7分目までセライト545をきつく充填し、105℃の乾燥機で3時間以上乾燥して、乾燥したガラスフィルターを秤量した(E(g))。
次いで、乾燥したガラスフィルター内に、ポリエステル樹脂が溶解したメチルエチルケトン溶液を移して、吸引ろ過した。フィルター内に溶剤が残らないように吸引を続けた後、80℃の真空乾燥機で1時間以上乾燥して、ガラスフィルターを秤量し(F(g))、以下の式に従って溶剤(テトラヒドロフラン)不溶分をゲルとして算出した。
ゲル(質量%)=(F−E)/D×100
表3の質量%比率に従って予備混合した材料を、2軸押出機(池貝製:PCM−29)を用いてシリンダ4〜ダイを120℃に制御して溶融混練し、室温で静止して冷却混練物を得た。混練物をトリオブレンダーにて粉砕し、粉砕物を1g2計量してプレス機(東洋精機株式会社)を用いて、軟化温度+20℃の条件下で30秒間処理して厚み約1mmの成型片を得た。その成型片をECLIPSE LV100D(Nikon工業用顕微鏡)にて観察し、縦横其々200μmの画像を得て、画像中のワックス由来分散物の最大粒子径を用いて、以下の判断基準にて評価した。
○(良好):ワックスの最大粒径は40μm未満である。
×(劣る):ワックスの最大粒径は40μm以上である。
<ポリエステル樹脂の製造>
表1に示す仕込み組成の多価カルボン酸および多価アルコールと、多価カルボン酸に対して算出した表1に示す触媒を蒸留塔備え付けの反応容器に投入した。
次いで昇温を開始し、反応系内の温度が265℃になるように加熱し、この温度を保持し、反応系からの水の留出がなくなるまでエステル化反応を行った。次いで、反応系内の温度を235℃とし、反応容器内を減圧し、反応系からポリアルコールを留出させながら縮合反応を実施した。
攪拌翼のトルクが所望の軟化温度を示す値を重合終点とし、重合終点となるまで縮合反応を実施した。また軟化温度が110℃以下の樹脂は、縮合反応中に装置内部を窒素で常圧とした後、約3g樹脂を反応容器からサンプリングして、樹脂を室温まで冷却後、軟化温度を測定して表1記載の軟化温度になるまでサンプリングを繰り返して重合を進めた。次に反応装置の攪拌を停止し、装置内部を常圧とし、窒素により装置内部を加圧して装置下部より反応物を取り出して100℃以下に冷却し、ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂を、3mmメッシュを吐出口に備えた粉砕器を用いて粗粉砕した。
得られたポリエステル樹脂のガラス転移温度、軟化温度、酸価を評価した。これらの結果を表1に示す。
三菱レイヨン(株)製造のFB−1518(樹脂4)とFB−1882(樹脂5)を入手し、樹脂のガラス転移温度、軟化温度、酸価、ゲルを評価した。これらの結果を表2に示す。
トナーの配合には樹脂を90質量部(内樹脂1と樹脂2の比率は表3の質量%に従う)、キナクリドン顔料(クラリアント社製HOSTAPARM PINK E、C.I.番号:Pigment Red 122)を3質量部、ワックス(日本精蝋株式会社:HNP−9)5質量部、分散剤(三菱化学株式会社:モディックA543)1質量部、負帯電性の荷電制御剤(オリエント化学社製E−84)1質量部を用いて、ヘンシェルミキサーで5分間混合した。次いで、得られた混合物を2軸混練機で溶融混練した。溶融混練は内温を樹脂の軟化温度に設定して行った。混練後、冷却してトナー魂を得、ジェットミル微粉砕機で10μm以下に微粉砕し、分級機にて3μm以下の微粒子をカットして粒径を整え、トナーができることを確認した。
材料分散性は、顔料と帯電制御剤を除いた表3の質量%比率に従って予備混合した材料を、2軸押出機(池貝製:PCM−29)を用いてシリンダ4〜ダイを120℃に制御して溶融混練し、室温で静止して冷却混練物を得た。混練物をトリオブレンダーにて粉砕した。粉砕物のTg、軟化温度、融点、融解熱量を評価し、これらの結果を表3に示す。また粉砕物を1g2計量してプレス機(東洋精機株式会社)を用いて、軟化温度+20℃の条件下で30秒間処理して厚み約1mmの成型片を得た。その成型片をECLIPSE LV100D(Nikon工業用顕微鏡)にて観察し、縦横其々200μmの画像を得て、画像中のワックス由来分散物の最大粒子径を用いて評価し、この結果を表3に示す。
表3示す樹脂種、ワックス種(日本精蝋株式会社:FT−115、東洋アドレ株式会社:ポリワックスM−90)、分散剤種(三菱化学株式会社:モディックL504、Wastlake社:E−10J、東洋アドレ株式会社:ユニリン700)を変更し、ワックスを10質量部使用する際は樹脂を80質量部に変更し、トナーができることを確認した。実施例1と同様にして顔料と帯電制御剤を除いた材料を混合し、各種測定および評価を行った。これらの結果を表3に示す。
また、スチレンアクリル樹脂とワックスに対して、軟化温度が130℃より低い分散剤を使用した場合、材料分散性が低位になる。
Claims (5)
- 軟化温度が130℃以上のワックス分散剤と、ワックスと、バインダー樹脂とを含み、前記ワックス分散剤は極性基含有オレフィン材料である、トナー。
- 前記バインダー樹脂がポリエステル樹脂、又はスチレンアクリル樹脂から選択される1種以上を含む、請求項1に記載のトナー。
- 前記ワックスの混合量が5質量%以上である、請求項1または2に記載のトナー。
- バインダー樹脂と、軟化温度が130℃以上のワックス分散剤と、ワックスとを混合す
る工程を有し、前記ワックス分散剤は極性基含有オレフィン材料である、トナーの製造方法。 - 前記ワックス分散剤は、水酸基、アルデヒド基、カルボキシル基、カルボニル基、エステル基、及びヒドロ過酸化物基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有する酸化ポリオレフィン、不飽和カルボン酸で変性されたポリオレフィン、並びに、エチレン性不飽和シラン化合物で変性されたポリオレフィンからなる群から選ばれる1種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー。
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