JP6862811B2 - 車両用制御装置 - Google Patents
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Description
上記の車両用制御装置において、前記転舵機構は、ステアリングホイールに連動する前記回転体としてのピニオンシャフトおよび前記ピニオンシャフトの回転に連動して転舵輪を転舵させる転舵シャフトを含んでいてもよい。この場合、前記モータは、前記ステアリングホイールに付与される前記駆動力として操舵方向と同方向のトルクである操舵補助力を発生させるアシストモータであることが好ましい。
以下、車両用制御装置をステアバイワイヤ方式の操舵装置に適用した第1の実施の形態を説明する。
また、操舵装置10は、クラッチ21およびクラッチ制御部22を有している。
クラッチ21はステアリングシャフト12の途中に設けられている。クラッチ21としては、励磁コイルに対する通電の断続を通じて動力の断続を行う電磁クラッチが採用される。クラッチ21が切断されるとき、ステアリングホイール11と転舵輪16,16との間の動力伝達経路が機械的に切断される。クラッチ21が接続されるとき、ステアリングホイール11と転舵輪16,16との間の動力伝達が機械的に連結される。
また、操舵装置10は、操舵反力を生成するための構成として、反力モータ31、減速機構32、回転角センサ33、トルクセンサ34、および反力制御部35を有している。ちなみに、操舵反力とは、運転者によるステアリングホイール11の操作方向と反対方向へ向けて作用する力(トルク)をいう。操舵反力をステアリングホイール11に付与することにより、運転者に適度な手応え感を与えることが可能である。
また、操舵装置10は、転舵輪16,16を転舵させるための動力である転舵力を生成するための構成として、転舵モータ41、減速機構42、回転角センサ43、および転舵制御部44を有している。
転舵制御部44は、転舵モータ41の駆動制御を通じて転舵輪16,16を操舵状態に応じて転舵させる転舵制御を実行する。本例では、ステアリングホイール11が操作される分だけ転舵輪16,16を転舵させる。すなわち、実際の転舵角θtをステアリングホイール11の舵角θsに一致させるべく転舵モータ41への給電が制御される。
つぎに、反力制御部35について詳細に説明する。
図2に示すように、反力制御部35は、目標操舵反力演算部51、目標舵角演算部52、舵角演算部53、舵角フィードバック制御部54、加算器55、および通電制御部56を有している。
つぎに、転舵制御部44について詳細に説明する。
図2に示すように、転舵制御部44は、ピニオン角演算部61、ピニオン角フィードバック制御部62、および通電制御部63を有している。
つぎに、目標舵角演算部52について詳細に説明する。
前述したように、目標舵角演算部52は、目標操舵反力T1 *および操舵トルクThの総和である基本駆動トルクから理想モデルに基づいて目標舵角θ*を演算する。この理想モデルは、ステアリングシャフト12に印加されるトルクとしての基本駆動トルクTin *が、次式(A)で表されることを利用したモデルである。
ただし、「J」はステアリングホイール11およびステアリングシャフト12の慣性モーメント、「C」は転舵シャフト14のハウジングに対する摩擦などに対応する粘性係数(摩擦係数)、「K」はステアリングホイール11およびステアリングシャフト12をそれぞればねとみなしたときのばね係数である。
理想ステアリングモデル71は、ステアリングシャフト12および反力モータ31など、操舵装置10の各構成要素の特性に応じてチューニングされる。理想ステアリングモデル71は、加算器73、減算器74、慣性モデル75、第1の積分器76、第2の積分器77および粘性モデル78を有している。
減算器74は、加算器73により算出される基本駆動トルクTin *から後述する粘性成分Tvi *およびばね成分Tsp *をそれぞれ減算することにより、最終的な基本駆動トルクTin *を演算する。
第2の積分器77は、第1の積分器76により算出される舵角速度ω*をさらに積分することにより、目標舵角θ*を演算する。目標舵角θ*は、理想ステアリングモデル71に基づくステアリングホイール11(ステアリングシャフト12)の理想的な回転角である。
図4に示すように、理想車両モデル72は、走行時用の車両反力モデル81、停車時用の車両反力モデル82、車速ゲイン演算部83、および切替部84を有している。
つぎに、停車時用の車両反力モデル82について詳細に説明する。
図6に示すように、停車時用の車両反力モデル82は、第1の車両反力モデル91、第2の車両反力モデル92、分配ゲイン演算部93、および反力トルク演算部94を有している。
分配ゲイン演算部93は、式(B)に基づき演算される差分値Tδ *に基づき、自身が持つ分配ゲインマップ97を使用して分配ゲインGdを演算する。分配ゲインマップ97は、差分値Tδ *と分配ゲインGdとの関係を規定する。分配ゲインGdは、第1のばね反力トルクTsp21 *と第2のばね反力トルクTsp22 *との使用比率を決定するために使用される。
式(C)において、分配ゲインGdは、差分値Tδ *に応じて「0」から「1」までの値に設定される。分配ゲインGdが「0」であるとき、第1のばね反力トルクT sp21 * の使用比率が100%となる。分配ゲインGdが「1」であるとき、第2のばね反力トルクT sp22 * の使用比率が100%となる。分配ゲインGdが「1」と「0」との間の値であるとき、第1のばね反力トルクTsp21 *と第2のばね反力トルクTsp22 *とは、それぞれ分配ゲインGdの値に応じた使用比率で足し合わされる。このようにして、分配ゲインGdの値に応じて第1のばね反力トルクTsp21 *と第2のばね反力トルクTsp22 *との使用比率が調節される。
つぎに、理想車両モデル72の作用および効果を、車両が走行しているときと車両が停止しているときとに分けて説明する。
まず、車両が走行している場合について説明する。図5のグラフに示されるように、車速Vが第1の車速しきい値Vth1以上かつ第2の車速しきい値Vth2未満であるとき、車速ゲインGvは「0」を超え、かつ「1」未満の値に設定される。また、車速Vが第2の車速しきい値Vth2以上であるとき、車速ゲインGvは「1」に設定される。図4に示されるように、切替部84は、車速ゲインGvが「0」でないとき、走行時用のばね反力トルクTsp1 *を基本駆動トルクTin *のばね成分Tsp *として選択する。走行時用のばね反力トルクTsp1 *は、目標舵角θ*に応じた操舵反力成分である。このため、目標舵角θ*に応じた操舵反力がステアリングホイール11に付与される。
つぎに、車両が停止している場合について説明する。図5のグラフに示されるように、車速Vが第1の車速しきい値Vth1未満であるとき、車速ゲインGvは「0」に設定される。図4に示されるように、切替部84は、車速ゲインGvが「0」であるとき、停車時用のばね反力トルクTsp2 *を基本駆動トルクTin *のばね成分Tsp *として選択する。
式(B1)が成立する状況として、たとえば車両がいわゆる低摩擦路(凍結路、圧雪路など)に停車している状況が考えられる。この場合、転舵輪16,16に作用する路面反力は、たとえばアスファルトなどの乾燥路に停車しているときに比べて、より弱いものとなる。このため、転舵モータ41の電流値Ibもより小さな値となる。このような車両が低摩擦路などの路面状況に停車している蓋然性が高いとき、より実際の路面状況に応じた操舵反力をステアリングホイール11に付与することが好ましい。転舵モータ41の電流値Ibに基づく第2のばね反力トルクTsp22 *が停車時用のばね反力トルクTsp2 *として使用されることにより、路面状態(ここでは、低摩擦路)に応じた操舵反力が得られるため、運転者は路面状態を手応えとして把握しやすくなる。
式(B2)が成立する状況として、たとえば車両が低摩擦路に比べて路面摩擦抵抗が大きい乾燥路に停車している第1の状況、あるいは車両が低摩擦路に停車している場合であっても前述した雰囲気温度の低下に伴い転舵シャフト14が動き出すまでの摩擦がより増大している第2の状況が考えられる。第1の状況および第2の状況のいずれの状況か分からないところ、仮に第2の状況である場合、この状況下で演算される転舵モータ41の電流値Ibに基づく第2のばね反力トルクTsp22 *が停車時用のばね反力トルクTsp2 *として使用されると、かえって実際の路面状況と乖離した操舵反力がステアリングホイール11に付与されかねない。このため、式(B2)が成立するとき、目標舵角θ*に基づく第1のばね反力トルクTsp21 *を停車時用のばね反力トルクTsp2 *として使用することが好ましい。ステアリングホイール11には、引き続き目標舵角θ*に基づく第1のばね反力トルクTsp21 *が反映された操舵反力が付与されることにより、運転者はこれまでと変わらない操舵感を得られる。ギヤの噛み合い部分などにおける摩擦に対するロバスト性が向上する。
以下、車両用制御装置を電動パワーステアリング装置(EPS)に適用した第2の実施の形態を説明する。なお、第1の実施の形態と同様の部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を割愛する。
目標ピニオン角演算部112は、先の図3に示される目標舵角演算部52と同様の機能的な構成を有している。先の目標舵角演算部52が目標操舵反力T1 *を取り込むのに対し、本例の目標ピニオン角演算部112は、基本アシスト成分Ta1 *を取り込む。また、先の目標舵角演算部52が転舵モータ41に供給される電流の電流値Ibを取り込むのに対し、本例の目標ピニオン角演算部112は、アシストモータ101に供給される電流の電流値Imを取り込む。目標ピニオン角演算部112が操舵トルクThおよび車速Vを取り込むことについては、先の目標舵角演算部52と同じである。また、先の目標舵角演算部52が目標舵角θ*を演算するのに対し、本例の目標ピニオン角演算部112は目標ピニオン角θp *を演算する。取り込む信号の一部、および生成する信号が異なるだけであって、目標ピニオン角演算部112の内部的な演算処理の内容は、先の目標舵角演算部52と同じである。
なお、第1および第2の前記実施の形態は、つぎのように変更して実施してもよい。
・第2の実施の形態では、基本アシスト成分演算部111は、操舵トルクThおよび車速Vに基づいて基本アシスト成分Ta1 *を求めるようにしたが、操舵トルクThのみに基づいて基本アシスト成分Ta1 *を求めるようにしてもよい。
Claims (5)
- 車両の転舵機構に付与される駆動力の発生源であるモータを操舵状態に応じて演算される指令値に基づき制御する車両用制御装置であって、
少なくとも操舵トルクに応じて前記指令値の第1の成分を演算する第1の演算部と、
転舵輪の転舵動作に連動して回転する回転体の目標回転角を前記操舵トルクおよび前記第1の成分の総和である基本駆動トルクに基づき演算する第2の演算部と、
前記回転体の実際の回転角を前記目標回転角に一致させるフィードバック制御を通じて前記指令値の第2の成分を演算する第3の演算部と、を備え、
前記第2の演算部は、車両が停車状態であるとき、前記モータの電流値に基づき演算される、前記基本駆動トルクに対する反力成分を前記基本駆動トルクに反映させたうえで前記目標回転角を演算する車両用制御装置。 - 請求項1に記載の車両用制御装置であって、
前記第2の演算部は、前記モータの電流値に基づく反力成分を第1の反力成分とするとき、前記目標回転角に基づき前記基本駆動トルクに対する第2の反力成分を演算し、
停車状態である場合、前記第2の反力成分の絶対値が前記第1の反力成分の絶対値よりも小さいとき、前記第2の反力成分を前記基本駆動トルクに反映させたうえで前記目標回転角を演算する車両用制御装置。 - 請求項2に記載の車両用制御装置であって、
前記第1の反力成分と前記第2の反力成分との差分値が増大するほど、前記第2の反力成分の使用比率をより増大させる車両用制御装置。 - 請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の車両用制御装置であって、
前記転舵機構は、ステアリングホイールとの間が機械的に分離される前記回転体としてのピニオンシャフトおよび前記ピニオンシャフトの回転に連動して転舵輪を転舵させる転舵シャフトを含み、
制御対象として、前記指令値に基づき前記ステアリングホイールに付与される前記駆動力として操舵方向と反対方向のトルクである操舵反力を発生する反力モータと、
前記ピニオンシャフトまたは前記転舵シャフトに付与される前記転舵輪を転舵させるための転舵力を発生する転舵モータと、を含み、
前記第2の演算部は、車両が停車状態であるとき、前記転舵モータの電流値に基づき演算される、前記基本駆動トルクに対する反力成分を前記基本駆動トルクに反映させたうえで前記目標回転角を演算する車両用制御装置。 - 請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の車両用制御装置であって、
前記転舵機構は、ステアリングホイールに連動する前記回転体としてのピニオンシャフトおよび前記ピニオンシャフトの回転に連動して転舵輪を転舵させる転舵シャフトを含み、
前記モータは、前記ステアリングホイールに付与される前記駆動力として操舵方向と同方向のトルクである操舵補助力を発生させるアシストモータである車両用制御装置。
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