JP6862698B2 - ポリエステル製ブロー容器 - Google Patents
ポリエステル製ブロー容器 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6862698B2 JP6862698B2 JP2016137377A JP2016137377A JP6862698B2 JP 6862698 B2 JP6862698 B2 JP 6862698B2 JP 2016137377 A JP2016137377 A JP 2016137377A JP 2016137377 A JP2016137377 A JP 2016137377A JP 6862698 B2 JP6862698 B2 JP 6862698B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- container
- temperature
- blow
- heat
- polyester
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Containers Having Bodies Formed In One Piece (AREA)
Description
ところで、近年における省資源、コスト削減、環境維持等の見地からポリエステル製ブロー容器に関しては、より薄肉化が求められている。しかしながら、このような薄肉化は、容器の耐熱性の維持が難しく、例えば、内容物を80℃以上の温度で高温充填したときに容器が大きく変形してしまうという問題があり、その薄肉化が制限されているのが現状である。
係る特許文献1のポリエステル容器は、一定の動的粘弾性特性を満足するようにブロー延伸及び熱固定を行うことにより優れた耐熱変形性が得られ、例えば、高温殺菌処理(レトルト処理)にも耐え得る耐熱変形性を示す。
例えば、後述する実施例に示されているように、本発明のポリエステル製ブロー容器(空容器)を85℃オーブン中で5分間保持させ、これを室温(23℃)に冷却してとき、オーブン中で加熱する前の容器の容積を基準としての該容器の変化率は0.4〜0.8%であり、従来容器の0.3%以下と比べて大きく、高温充填時の熱膨張は起きやすい。その後、容器が冷却され、減圧による収縮量(減圧吸収量)は、従来容器と同様であるため、熱膨張が少ない従来容器の充填前からの収縮量よりも、本発明の容器の充填前容器からの収縮量は少なく、熱膨張と減圧吸収のバランスが上手くいき、充填完了後の容器の変形が有効に防止されている。
図1を参照として本発明のポリエステル製ブロー容器は、全体として10で示されており、首部1と首部1に連なる胴部3とを有しており、胴部3の下端は底部5によって閉じられている。
従って、首部1は未延伸部分(ブロー成形に際して金型で固定されている部分)であり、その外面には容器に装着するキャップの形態に応じて適宜螺条1aが形成されており、螺条1aの下方には、このプリフォームや成形される容器の支持搬送等のためにサポートリング1bが設けられている。
一方、胴部3(及び底部5)は、ブロー延伸される部分であり、上記プリフォームの首部1を固定した状態でのブロー流体の吹込みにより、延伸成形される部分である。
応力又は歪みを測定することにより、試料の力学的性質を測定するものであり、tanδは損失正接と呼ばれるパラメータであり、損失弾性率/貯蔵弾性率の比で表される。損失弾性率は非晶部に起因する損失であり、貯蔵弾性率は結晶部に起因する弾性率であり、いずれも温度に依存する。このtanδがピークを示す温度は、見かけのガラス転移点を示すものである。
従って、tanδのピーク値が小さいほど結晶部が多く存在しており、このピーク値を示すピーク温度が高いほどガラス転移点が高いことを示している。従来は、tanδのピーク値を小さく、且つそのピーク温度が高くなるように延伸成形条件や熱固定条件を設定して耐熱性を高めていたのであるが、本発明ではむしろtanδのピーク値をある程度大きく、且つそのピーク温度を低下させることにより、耐熱変形性を付与しているものであり、これが本発明と従来公知の技術との大きな相違である。
つまり、本発明のブロー容器では、内容物を高温充填したときにある程度熱変形し、膨張するようになっている。そして、従来公知の厚肉の耐熱性ポリエステル製ブロー容器(従来の耐熱性容器)は、厚肉であるため、本発明のブロー容器よりも充填時に熱膨張しない。しかし、充填後の冷却による減圧吸収量は同じであるため、充填前容器からの収縮量は、従来の耐熱性容器よりも本発明のブロー容器が小さい。よって、従来の耐熱性容器は減圧吸収の変形に耐えて、高温充填後の容器変形を抑制し、本発明のブロー容器は、従来の耐熱容器とは異なり、熱膨張と減圧吸収のバランスを上手くとることで、高温充填後のボトルの変形を有効に抑制する容器となっている。
このようなポリエチレンテレフタレートは、通常、ガラス転移点(Tg)が50〜90℃、特に55〜80℃、融点(Tm)が200〜275℃、特に220〜270℃の範囲にある。
また、酸素吸収層は、特開2002−240813号等に記載されているように、酸化性重合体及び遷移金属系触媒を含む層であり、遷移金属系触媒の作用により酸化性重合体が酸素による酸化を受け、これにより、酸素を吸収して酸素の透過を遮断する。このような酸化性重合体及び遷移金属系触媒は、上記の特開2002−240813号等に詳細に説明されているので、その詳細は省略するが、酸化性重合体の代表的な例は、第3級炭素原子を有するオレフィン系樹脂(例えばポリプロピレンやポリブテン−1等、或いはこれらの共重合体)、熱可塑性ポリエステル若しくは脂肪族ポリアミド;キシリレン基含有ポリアミド樹脂;エチレン系不飽和基含有重合体(例えばブタジエン等のポリエンから誘導される重合体);などである。また、遷移金属系触媒としては、鉄、コバルト、ニッケル等の遷移金属の無機塩、有機酸塩或いは錯塩が代表的である。
さらに、各層の接着のために使用される接着剤樹脂はそれ自体公知であり、例えば、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などのカルボン酸もしくはその無水物、アミド、エステルなどでグラフト変性されたオレフィン樹脂;エチレン−アクリル酸共重合体;イオン架橋オレフィン系共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体;などが接着性樹脂として使用される。
上述した各層の厚みは、ブロー成形後の容器壁の胴部の平均厚みが前述した範囲(280μm以下)となる限りにおいて、適宜の厚みに設定されればよい。
さらに、ブロー容器を成形する際に発生するスクラップをポリエステルのバージンの樹脂とブレンドとしたリグライド層を設けることも可能である。
上述した本発明のブロー容器10は、射出成形により成形されたプリフォームを使用し、ブロー成形及び熱固定の工程を経て、前述した胴部の平均厚みが280μm以下となるように延伸薄肉化することにより製造されるが、前述した動的粘弾性特性を満たすように各種条件を設定する必要がある。例えば、延伸倍率が高いとtanδのピーク値は小さく且つピーク温度が高くなる傾向にあり、熱固定温度が高いとtanδのピーク値は小さく且つピーク温度が高くなる傾向があるので、これを利用して動的粘弾性特性(tanδのピーク値及びピーク温度)が所定の範囲となるように予めラボ実験を行い、成形されたプリフォームの延伸成形部(容器の胴部に対応)の厚みに応じて各種条件を設定すればよい。
即ち、プリフォーム温度や延伸倍率は、引き続き行われる熱固定条件を考慮して粘弾性特性が前述した範囲内となるように上記範囲内から選択される。
なお、以下の実験例で採用している各種測定法は以下の通りである。
図1を参照して、ボトル胴部の中心Xより、長辺方向がボトル高さ方向となるように5mm×40mmの試験片Yを切り出し、粘弾性スペクトロメータ(EXSTAR6000DMS:セイコーインスツルメンツ(株))を用いて測定を行った。測定条件を以下に示す。得られたtanδ曲線(温度を横軸、tanδ値を縦軸としてプロットしたもの)から、tanδの極大値(tanδ値)及びtanδの極大温度(ピーク温度)を導出した。
測定モード:引っ張り正弦波モード
試験片標点間距離:20mm
振動数:1Hz
最小張力:100mN
昇温プロファイル:25℃から210℃まで2℃/分にて昇温
(2)変化率の測定
ボトルを85℃オーブン中で5分間保持させ、これを室温(23℃)に冷却して、オーブン中で加熱する前と冷却後の容器の容積を測定し、加熱前容積を基準としての該容器の変化率を求めた。
(3)平均肉厚測定
ボトルの周方向6点について縦方向20mmごとに肉厚を測定し、その平均を求めた。
表1に示した条件で成形した下記ボトルについて、動的粘弾性を測定した。結果を図2に示す。合わせて、本発明ボトルの結晶化度も図2内に示す。
■:本発明ボトル(高温充填用ボトル)
〇:厚肉耐熱ボトル(従来の高温充填用ボトル)
●:2段ブローボトル(2回ブロー成形した高温充填用ボトル)
△:耐熱圧ボトル(充填後加温殺菌する炭酸飲料用ボトル、高温充填対応不可)
3:胴部
5:底部
10:ブロー容器
Claims (1)
- 胴部平均厚みが270〜200μmの範囲にあり且つ80℃以上の温度で内容物を充填する高温充填用ポリエチレンテレフタレート製ブロー容器であって、前記胴部の軸方向中心部分Xについて測定した動的粘弾性測定において、tanδピーク値が0.23〜0.29、該ピーク値におけるtanδのピーク温度が111〜118℃の範囲にあると共に、該胴部の軸方向中心部分Xについて測定した密度法による結晶化度が29〜38%の範囲にあることを特徴とするポリエチレンテレフタレート製ブロー容器。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US16/313,779 US11040476B2 (en) | 2016-06-28 | 2017-06-27 | Stretch-blow formed polyester container and method of producing the same |
PCT/JP2017/023551 WO2018003790A1 (ja) | 2016-06-28 | 2017-06-27 | ポリエステル製延伸ブロー成形容器及びその製造方法 |
EP17820144.8A EP3476756B1 (en) | 2016-06-28 | 2017-06-27 | Polyester stretch blow-molded container and manufacturing method therefor |
CN201780040407.9A CN109415134B (zh) | 2016-06-28 | 2017-06-27 | 聚酯制拉伸吹塑成形容器及其生产方法 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016127784 | 2016-06-28 | ||
JP2016127784 | 2016-06-28 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018002299A JP2018002299A (ja) | 2018-01-11 |
JP6862698B2 true JP6862698B2 (ja) | 2021-04-21 |
Family
ID=60948249
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016137377A Active JP6862698B2 (ja) | 2016-06-28 | 2016-07-12 | ポリエステル製ブロー容器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6862698B2 (ja) |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3573380B2 (ja) * | 1995-08-14 | 2004-10-06 | 株式会社青木固研究所 | ポリエステル樹脂のプリフォーム射出成形方法及び延伸ブロー成形方法 |
JP4734896B2 (ja) * | 2004-11-11 | 2011-07-27 | 東洋製罐株式会社 | プラスチックボトル容器の製造方法 |
US8349425B2 (en) * | 2006-10-12 | 2013-01-08 | Toyo Seikan Kaisha, Ltd. | Thin biaxially stretched thin-walled polyester bottle |
EP2127850B1 (en) * | 2007-03-28 | 2019-05-08 | Toyo Seikan Kaisha, Ltd. | Biaxially stretched blow-molded container and process for producing the same |
JP5423519B2 (ja) * | 2010-03-23 | 2014-02-19 | 東洋製罐株式会社 | 耐熱性ポリエステル延伸成形容器 |
-
2016
- 2016-07-12 JP JP2016137377A patent/JP6862698B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2018002299A (ja) | 2018-01-11 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4986105B2 (ja) | ポリエステル樹脂製の耐熱圧性プラスチックボトル | |
US20080048368A1 (en) | Heat-resistant polyester container and method of producing the same | |
KR101454652B1 (ko) | 레토르트처리완료의 확인이 가능한 열가소성 수지 용기 및 그 용기의 제조 방법 | |
JP5018881B2 (ja) | 耐熱圧性ポリエステルボトル及びその製造方法 | |
JP5239480B2 (ja) | ポリエチレンテレフタレートボトル | |
JP6862698B2 (ja) | ポリエステル製ブロー容器 | |
JP4525447B2 (ja) | 耐熱性ポリエステル延伸成形容器及びその製造方法 | |
CN109415134B (zh) | 聚酯制拉伸吹塑成形容器及其生产方法 | |
JP7059563B2 (ja) | プリフォームの製造方法 | |
JP2001150522A (ja) | ポリエステル容器及びその製造方法 | |
JP4761189B2 (ja) | レトルト対応性に優れたポリエステル樹脂容器及びその製造方法 | |
JP2017013797A (ja) | 充填体の製造方法、プラスチックボトル、充填体、及び充填体の製造装置 | |
JP2018083630A (ja) | ポリエステル製延伸ブロー成形容器及びその製造方法 | |
WO2018003790A1 (ja) | ポリエステル製延伸ブロー成形容器及びその製造方法 | |
US20090061132A1 (en) | Container formed by stretch forming and process for producing the same | |
JP3719882B2 (ja) | 耐圧性ポリエステル製ボトル | |
JP4721138B2 (ja) | ポリエステル樹脂からなる扁平容器 | |
JP5347254B2 (ja) | 耐熱圧性ポリエステルボトル及びその製造方法 | |
JP2004330617A (ja) | 耐熱性ポリエステル容器及びその製造方法 | |
JP4811700B2 (ja) | レトルト対応ポリエステル容器及びその製造方法 | |
JP3835428B2 (ja) | 耐熱性延伸樹脂容器 | |
JPH0477523A (ja) | 中空成形容器 | |
JP2019217745A (ja) | プリフォーム、プラスチックボトル及びその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20190613 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20200526 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20200702 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20200915 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20201214 |
|
C60 | Trial request (containing other claim documents, opposition documents) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60 Effective date: 20201214 |
|
A911 | Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20201221 |
|
C21 | Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21 Effective date: 20201222 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20210302 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20210315 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6862698 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |