JP6862108B2 - 葉酸の安定性が優れた葉酸含有酸性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、葉酸の分解速度が低減されている、及び/又は葉酸の安定性が優れた、葉酸含有酸性組成物に関する。
葉酸は生体必須ビタミンの一つであり、また、葉酸は生体内で補酵素として機能し、タンパク質の生合成等に関与している。このため葉酸の欠乏は様々な疾患や障害(例えば、巨赤芽球性貧血、神経障害、腸機能不全等)を生じ得る。さらに、母体の妊娠時の栄養欠乏により生じ得る胎児の神経管異常は、葉酸を投与することにより予防できること、また葉酸が癌、特に上皮系の癌に対して防御作用を示すことが報告されている(非特許文献1,2)。このため、近年、葉酸の重要性が注目されている。
厚生労働省が公表する「日本人の食事摂取基準(2015年版)」(非特許文献3)によれば、葉酸の推奨摂取量は成人で240μg/日、妊婦で480μg/日、授乳婦で340μg/日とされている。葉酸は様々な食品中に含まれるものの、食品中の葉酸は調理・加熱により半分近くが消失してしまうため、上記推奨摂取量を得るためには大量の食品を摂取しなければならず容易ではない。
そのため、高濃度の葉酸を含有するサプリメントや飲食品が開発・販売されており、食品を摂取するよりも効率的に上記推奨摂取量の葉酸を摂取できることから人気を博している。特に、その摂取容易性や嗜好品としての面から、高濃度の葉酸を含有する液体タイプのサプリメントや飲料は高い人気を得ている。
一方、葉酸は乾燥状態では安定であるが、水溶液中、特に飲料に適した酸性領域においてはその安定性が低下することが知られている(特許文献1、2)。特許文献1においては、葉酸をラクトフェリンと共に複合体とすることによって、酸性水溶液中における葉酸の安定性を向上させる手法が開示されている。特許文献2には、防腐剤である安息香酸類を配合した葉酸含有飲料に、カルシウム、銅、及び亜鉛からなる群から選ばれる一種以上の金属の無機塩又は有機塩を配合することによって、当該飲料中の葉酸の安定性を向上させる手法が開示されている。
しかしながら、これらの手法においては組成物中に葉酸と共に、ラクトフェリンや安息香酸類を配合することを前提としており、サプリメントや飲料の用途・形態が限定されてしまう場合があることから、当該分野においては依然として、酸性水溶液中における葉酸の安定性を向上させることが可能な新たな手段が切望されている。
特許第4339979号公報 特開2011−55828号公報
Czeizel,A.E.,J.Pediat.Gastroenterol.Nutr.,vol.20,pp.4−16,1995 Glynn.S.A.,D.Albanes,Nutr.Cancer,vol.22,p.101,1994 日本人の食事摂取基準(2015年版)、厚生労働省、2014年3月
本発明は、葉酸の分解速度が低減されている、及び/又は葉酸の安定性が優れた、葉酸含有酸性組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、酸性組成物中における葉酸は、プロトン性有機溶媒が存在することによって、その分解速度が増大すること、及び/又はその安定性が低下することを見出した。また、酸性組成物中に存在するプロトン性有機溶媒の量を低減させることによって、葉酸の分解速度が低減すること、及び/又はその安定性が向上することを見出した。
本発明はこれらの知見に基づくものであり、以下の発明を包含する。
[1] 葉酸を含有する酸性組成物であって、プロトン性有機溶媒の含有量が0.1重量%未満であることを特徴とする、組成物。
[2] プロトン性有機溶媒がエタノール、グリセリン、メタノール、酢酸、ギ酸、ブチルアミンである、[1]の組成物。
[3] 容器詰め飲料又は容器詰めゼリー飲料である、[1]又は[2]の組成物。
[4] 葉酸を含有する酸性組成物の製造方法であって、プロトン性有機溶媒の配合量が0.1重量%未満となるように原材料を配合することを含む、方法。
[5] 酸性組成物中における葉酸の安定性を向上させる方法であって、該組成物中に含まれるプロトン性有機溶媒の量を0.1重量%未満とすることを含む、方法。
[6] プロトン性有機溶媒がエタノール、グリセリン、メタノール、酢酸、ギ酸、ブチルアミンである、[4]又は[5]の方法。
[7] 酸性組成物が容器詰め飲料又は容器詰めゼリー飲料である、[4]〜[6]のいずれかの方法。
本発明によれば、葉酸の分解速度が低減されている、及び/又は葉酸の安定性が優れた、葉酸含有酸性組成物を提供することができる。本発明によれば、保存安定性に優れ、上記推奨摂取量の葉酸を効率的に摂取することが可能な、葉酸含有酸性組成物を提供することができる。
本発明は、葉酸を含有し、かつプロトン性有機溶媒の含有量が低減されていることを特徴とする酸性組成物に関する。
本発明において、「葉酸」とは、ビタミンB複合体の水溶性ビタミンの一つであり、プテロイルモノグルタミン酸と称される下記構造式で表される化合物、
Figure 0006862108
あるいはその誘導体又は医薬品や飲食品において許容可能なその塩を意味する。誘導体としては例えば、複数のグルタミン酸が結合したポリグルタミン酸型等が挙げられるが、これらに限定はされない。
葉酸は食物から抽出又は精製されたものであってもよいし、化学的に合成されたものであってもよい。葉酸を含有する食物としては、特に限定はされないが、アスパラガス、ブロッコリー、ホウレンソウ、エダマメ、ソラマメ、トウモロコシ、メキャベツ、ケール、クキニンニク、シュンギク等の野菜や、ライチ、イチゴ、マンゴー、アボガド、ドリアン等の果物や、トリ、ウシ、ブタのレバー等の肉類を挙げることができる。また、葉酸の合成方法は公知の手法(第8版食品添加物公定書解説書、D−1655〜D−1660頁、株式会社廣川書店、平成19年12月10日発行)に基づいて行うことができ、例えば、2,4,5−トリアミノ−6−ヒドロキシピリミジンとバラアミノベンゾイルグルタミン酸の等モル水溶液をpH4に保ちながら、α,β−ジブロモプロピオンアルデヒドのエタノール溶液を加えて縮合させ、これをpH9以上の水溶液に溶かした後、pH7に調整して不溶物を除去することによって精製された葉酸を得ることができる(本手法に限定はされない)。
本発明の組成物には葉酸を、0.1ppm〜10ppm、好ましくは1ppm〜10ppm、より好ましくは、1ppm〜5ppmの範囲より選択される量にて適宜含めることができる。例えば、本発明の組成物には一回の経口摂取量当たり、葉酸を100μg以上、150μg以上、200μg以上、240μg以上、250μg以上、300μg以上、350μg以上、400μg以上、450μg以上、500μg以上、550μg以上の範囲で適宜含めることができる。例えば、厚生労働省が公表する「日本人の食事摂取基準(2015年版)」にて推奨される葉酸の摂取量(日)が含まれる範囲が好ましい。「一回の経口摂取量」とは、上記組成物が一度に経口摂取される量、あるいは短い時間間隔(例えば10分以下、好ましくは5分以下の時間)をおいて連続的に複数回で経口摂取される総量を意味する。当該組成物が液状又は半固形状(ゲル状、ゾル状等)の形態である場合には、例えば50mL〜500mL(典型的には50mL、100mL、150mL、180mL、200mL、250mL、300mL、350mL、400mL、450mL又は500mL)がその量である。一回の経口摂取量当たりに含まれる葉酸の量の上限は特に限定されず、例えば、1000μg以下、900μg以下、800μg以下、700μg以下、600μg以下の範囲より適宜決定することができる。
本発明において、「プロトン性有機溶媒」とは、自分自身で解離してプロトンを生じる有機溶媒を意味し、電気陰性度の大きな原子、すなわち、窒素原子や酸素原子に結合した水素原子を有するものを意味する。このようなプロトン性有機溶媒としては、例えば、低級アルコール(エタノール、メタノール)、グリセリン、酢酸、ギ酸、ブチルアミン等が挙げられるが、これらに限定はされない。
下記実施例にて詳述されるとおり、プロトン性有機溶媒は、酸性組成物中にて葉酸の分解速度を増大させる効果を有する。したがって、酸性組成物中に含まれるプロトン性有機溶媒の量を低減することによって、酸性組成物中における葉酸の分解速度を低減することができ、酸性組成物中における葉酸の保存安定性を高めることができる。
本発明の組成物に含まれるプロトン性有機溶媒の量は、葉酸の分解速度を低減し、及び/又は、保存安定性を高めるために、可能な限り低減させることが好ましく、組成物に含まれるプロトン性有機溶媒の含有量を低減させるほど、組成物における葉酸の保存安定性を高めることができる。例えば、葉酸を含有する従来の酸性組成物よりも、含まれるプロトン性有機溶媒の量を低減することによって、従来の酸性組成物と比べて、葉酸の分解速度が低減し、及び/又は、保存安定性の高い組成物を得ることができる。したがって、本発明の組成物に含まれるプロトン性有機溶媒の量は、葉酸を含有する従来の酸性組成物におけるプロトン性有機溶媒の量と比べて少ない量であればよく、特に限定されるものではないが、0.1重量%未満、例えば、0.09重量%未満、0.08重量%未満、0.07重量%未満、又は0.06重量%未満の範囲とすることができる。特に好ましくは、0.05重量%以下、0.04重量%以下、0.03重量%以下、0.02重量%以下、又は0.01重量%以下の範囲とすることができる。
本発明における「プロトン性有機溶媒」には、本発明の酸性組成物の製造過程において配合されるプロトン性有機溶媒だけでなく、当該組成物の製造に用いられる原材料の製造過程において配合される/混入するプロトン性有機溶媒も含まれる。例えば、今日、ほとんど全ての種類の香料製剤にはエタノールが含有される(植松ら、食衛誌、Vol.38,No.6,pp.452-459, December, 1997)。しかしながら、市販の香料製剤については、最終製品に配合した希釈剤は表示されるが、香料の抽出に用いた溶剤の場合には表示されない場合があり、また、香料製剤を調合する際に多種類の香料を混合することから、混合前の香料に含有されていた溶剤は表示されない場合がある。このため、香料製剤についてプロトン性有機溶媒を含む旨の表示がない場合であっても、実際には含まれる場合があり、このような香料製剤を本発明の組成物に配合した場合には、組成物中のプロトン性有機溶媒の含量を増大させ、葉酸の分解速度を増大させ得る。
なお、本発明の組成物中のプロトン性有機溶媒の量は、従来公知の一般的な手法により測定することが可能である。例えば、組成物中のプロトン性有機溶媒の含有量は、当該組成物を無水硫酸ナトリウム及びアセトニトリルと混合し、これをろ過し、得られたろ液をアセトニトリルに溶解した液を分析サンプルとして、ガスクロマトグラフィーに付すことにより求めることができる(一色賢司、食衛誌.Vol.26,No.1,pp.39−45,1985)。
本発明において、「酸性組成物」とは、pH値が4.5以下である組成物を意味し、例えば、pH4.5未満、pH4.4未満、pH4.3未満、pH4.2未満、pH4.1未満、pH4.0未満、pH3.9未満、pH3.8未満、pH3.7未満、pH3.6未満、pH3.5未満、pH3.4未満、又は、pH3.3未満とすることができる。pH値の下限は特に限定されず、酸性組成物の形態に応じて適宜決定することが可能であり、例えば、pH2.5以上、pH2.6以上、pH2.7以上、pH2.8以上、pH2.9以上、pH3.0以上、pH3.1以上、又は、pH3.2以上とすることができる。
本発明の酸性組成物が清涼飲料水の形態である場合には、当該pH値はpH4.0未満とすることが好ましい。食品衛生法の食品別規格基準によれば、清涼飲料水の殺菌・除菌の方法はpH4.0を境に大きく異なっており、pH4.0未満のものの殺菌は、中心部温度を65℃にて10分間加熱することが求められるのに対して、pH4.0以上のものの殺菌は、中心部温度を85℃にて30分間加熱することが求められる。故に、pH値の上限をpH4.0未満とすることによって、殺菌工程による負荷を小さくし、殺菌工程における葉酸の分解を小さくすることができ、好ましい。なお、本明細書において、pH値は品温20℃で測定された値を指す。
本発明の酸性組成物のpH値は、加えられる酸味料の量を適宜調節することによって調節することができる。酸味料としては医薬や飲食品の製造に一般的に利用されるものが挙げられ、例えばクエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、酒石酸、乳酸、コハク酸、又はこれらの塩などがあり、これらのうちの1種又は2種以上の混合物を加えることができる。
本発明の酸性組成物には、葉酸に加えて、医薬又は飲食品として許容可能な賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、酸化防止剤、着色剤、凝集防止剤、吸収促進剤、溶剤、溶解補助剤、等張化剤、安定化剤、矯味矯臭剤、pH調整剤、香料製剤、甘味料、増粘剤、防腐剤、ビタミン類、寒天等のその他の原材料を、当該組成物において所望される形態に応じて適宜選択、配合することができる。ただし、これらの成分は、プロトン性有機溶媒を含まない、又はプロトン性有機溶媒の含量が低いものを利用することが好ましい。例えば、上記のとおり、今日、ほとんど全ての種類の香料製剤にはエタノールが溶媒として含有される。本発明においては、このような香料製剤に代えて、溶媒としてエタノールではなく、中鎖脂肪酸及び/又は乳化剤から選択される一又は複数を利用する香料製剤を含めることができる。ここで特に限定されるものではないが、中鎖脂肪酸としては、C8,C10,C12トリグリセライド等を利用することが可能であり、乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等を利用することができる。
本発明の酸性組成物は、医薬品(医薬部外品を含む)又は飲食品の形態で提供することができる。これらの形態は、液状組成物又は半固形状組成物(ゲル状、ゾル状等)等の形態とすることができ、上記葉酸に加えて、上記その他の原材料をその剤形に応じて、適宜配合し、常法に従って調製することができる。
例えば、本発明の酸性組成物は、容器詰め飲料とすることができる。本発明の酸性組成物(液状組成物)を収容するための容器は、飲料用容器として使用される容器を適宜用いることができ、限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)製容器、所謂PETボトルや、金属缶容器等が挙げられる。容器の形態は特に限定されない。また、容器の容量は特に限定されないが、例えば50〜500mL(典型的には50mL、100mL、150mL、180mL、200mL、250mL、300mL、350mL、400mL、450mL又は500mL)、好ましくは100〜200mLとすることができる。
あるいは、本発明の酸性組成物は、容器詰めゼリー飲料とすることができる。本発明の酸性組成物(半固形状(ゲル状、ゾル状等)組成物)を収容するための容器は、ゼリー飲料用容器として使用される容器を適宜用いることができ、限定されないが、樹脂フィルム、及び/又は、金属フィルム製容器、パウチ容器等が挙げられる。また、容器の容量は特に限定されないが、例えば50mL〜200mL(典型的には50mL、100mL、150mL、180mL、200mL)とすることができる。
本発明の酸性組成物は、食物から抽出もしくは精製された葉酸、又は、化学的に合成された葉酸、酸味料、必要に応じて上述のようなその他の原材料、並びに残部として水を混合し、プロトン性有機溶媒の含有量が葉酸を含有する従来の酸性組成物におけるプロトン性有機溶媒の量と比べて少ない量、0.1重量%未満、例えば、0.09重量%未満、0.08重量%未満、0.07重量%未満、又は0.06重量%未満の範囲、好ましくは、0.05重量%以下、0.04重量%以下、0.03重量%以下、0.02重量%以下、又は0.01重量%以下の範囲となるようにして製造することができる。本発明の酸性組成物の容器への収容、及び殺菌の手段は任意に選択することができる。
以下に実施例及び試験例を示し、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
I.材料・測定方法
1.標準原液
葉酸100mgを200mL褐色ビーカーに精秤し、0.1N水酸化ナトリウム溶液(和光純薬)を5mL添加して溶解した。次いで、特級エタノール(和光純薬)10mLを添加・混和後、イオン交換水100mLと0.1N塩酸(和光純薬)にて溶液のpHを7.0〜8.0に調整した。200mL褐色メスフラスコとイオン交換水を用いて所定量に定容し、HPLC測定における検量線作成のための標準原液とした。
2.HPLC測定
葉酸を含む溶液サンプルは、重量を測定後、1.0N水酸化ナトリウム溶液(和光純薬)を用いてpH12.0(HORIBA製pHメーター(F−72))に調整した。次いで、10分間撹拌後(AS ONE製マグネティックスターラー(RSH−1AN))、1.0N塩酸(和光純薬)を用いてpH7.0に調整し、ろ過し(AS ONE製0.45μmフィルター(SY25TF))、得られたろ液をHPLC測定に付した。
HPLC測定は、以下の条件にて実施した。
装置:Waters ACQUITY H−Classシステム
カラム:Waters XBridge C18 5μm 6×250mm
温度:50℃
流量:1.2ml/min
移動相:12%メタノール(和光純薬)、0.3%酢酸(和光純薬)、1.08%オクタスルホン酸Na溶液(和光純薬)
3.ベース液
イオン交換水にグラニュー糖2.5重量%、果糖1.2重量%、L−アスコルビン酸0.8重量%、クエン酸0.2重量%、クエン酸三ナトリウム0.2重量%、及び葉酸0.0003重量%を添加し、1.0N塩酸(和光純薬)、及び1.0N水酸化ナトリウム(和光純薬)を用いて、所定のpHに調整し、ベース液とした。
II.試験1:エタノール添加の影響(1)
下記表1に示す組成にしたがって、ベース液、ならびに、エタノール、又は、アセトニトリルを含み、所定のpHを有する溶液(実施例1〜7、比較例1E〜7E(エタノール添加)、比較例1A〜7A(アセトニトリル添加))をそれぞれ調製した(0日目)。
Figure 0006862108
各溶液を遮光されたレトルトパウチに100mL室温充填し、その後80℃にて10分間湯殺菌(LAUDA製恒温水槽(D20KP))を行った。次いで、各溶液を50℃で所定の期間保存し(ADVANTEC社製恒温庫(AGX−345))、保存後の各溶液中の葉酸量をHPLCにより測定した。
保存後の各溶液中の葉酸量の測定結果を下記表2に示す。なお、表中の葉酸量の数値は、0日目の溶液中の葉酸量を「100」とする相対値にて示す。
表2に示すとおり、プロトン供与性有機溶媒であるエタノールを添加した比較例1E〜7Eにおいて、葉酸の分解速度が顕著に増大したことが確認された。
一方、溶解パラメーター(SP値)がエタノールと同程度であるアセトニトリル(SP値、エタノール:12.7、アセトニトリル:11.9)を添加した比較例1A〜7Aにおいては、実施例と同程度の葉酸量が確認され、アセトニトリルの添加により葉酸の分解速度が顕著に増大することは認められなかった。
これらの結果は、比較例1E〜7Eにおいて認められる葉酸の分解速度の増大が、葉酸の溶媒に対する溶解度に由来するものではなく、エタノール添加に基づく、エタノールの存在に由来するものであることを示す。
Figure 0006862108
III.試験2:エタノール添加の影響(2)
下記表3に示す組成にしたがって、ベース液、及びエタノールを含み、pHを3.5とする溶液(実施例8、9、比較例8E)をそれぞれ調製した(0日目)。
Figure 0006862108
各溶液を上記試験1と同様に、レトルトパウチに充填、殺菌、保存し、保存後の各溶液中の葉酸量をHPLCにより測定した。
保存後の各溶液中の葉酸量の測定結果を下記表4に示す。なお、表中の葉酸量の数値は、0日目の溶液中の葉酸量を「100」とする相対値にて示す。
表4に示すとおり、エタノールの添加によって保存後の葉酸量の低下が認められたが(上記表2の実施例4と比較)、エタノールを0.03重量%及び0.05重量%含む実施例8及び9と比べて、エタノールを0.5重量%含む比較例8Eにおいては、保存後の葉酸量が顕著に低いことが確認された。一方、実施例8及び9との間で、保存後の葉酸量に大きな差は認められなかった。
この結果より、エタノールの含量が多いほど葉酸の分解速度が大きいことが確認されるが、エタノールの含量が0.05重量%以下となる場合には、葉酸の分解速度があまり変化しないことが示唆される。
Figure 0006862108
IV.試験3:エタノール添加の影響(3)
下記表5に示す組成にしたがって、葉酸を含む溶液(実施例10、比較例9E)をそれぞれ調製した(0日目)。なお、香料1はエタノールを含まず中鎖脂肪酸とグリセリン脂肪酸エステルを溶媒として用いて、溶液化した香料であり、香料2は溶媒としてエタノールを50重量%(最終製品濃度0.1重量%)含む香料である。
Figure 0006862108
各溶液を上記試験1と同様に、殺菌、保存し、保存後の各溶液中の葉酸量をHPLCにより測定した。
保存後の各溶液中の葉酸量の測定結果を下記表6に示す。なお、表中の葉酸量の数値は、0日目の溶液中の葉酸量を「100」とする相対値にて示す。
表6に示すとおり、香料に含まれるという形にしてもエタノールが添加されることによって、溶液中の葉酸の分解速度は増大することが確認された。
一般的に、飲料や水系食品においては、分散性を高めるために香料はエタノール含有製剤が用いられている。しかしながら、上記の結果より、葉酸の分解速度を低減し、安定化を図るためには、エタノールを含有しない香料を用いること、すなわち、エタノールを含有しない原材料を用いることが有利であることが示された。
Figure 0006862108

Claims (2)

  1. pH4.5以下の酸性組成物中における葉酸の安定性を向上させる方法であって、該組成物中に含まれるエタノールの量を0.1重量%未満とすることを含む、方法。
  2. 酸性組成物が容器詰め飲料又は容器詰めゼリー飲料である、請求項に記載の方法。
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