以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず、ブリスタシートとしてのPTPシートの構成について詳しく説明する。
図1,2に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。
本実施形態における容器フィルム3は、例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の透明の熱可塑性樹脂材料により形成されている。一方、カバーフィルム4は、例えばポリプロピレン樹脂等からなるシーラントが表面に設けられた不透明材料(例えばアルミニウム箔等)により構成されている。勿論、各フィルム3,4の材料は、これらに限定されるものではなく、他の材質のものを採用してもよい。
PTPシート1は、帯状の容器フィルム3及び帯状のカバーフィルム4から形成された帯状のPTPフィルム6(図4参照)がシート状に打抜かれることによって製造されるものであり、平面視略矩形状に形成されている。PTPシート1には、その長手方向に沿って配列された5個のポケット部2からなるポケット列が、その短手方向に2列形成されている。つまり、計10個のポケット部2が形成されている。各ポケット部2には、錠剤5が1つずつ収容されている。錠剤5は、ポケット部2の突出側からポケット部2を通して外部から視認可能である(図3参照。尚、図1では錠剤5を不図示)。本実施形態では、PTPフィルム6がブリスタフィルムに相当する。
さらに、図1及び図3に示すように、カバーフィルム4のうち容器フィルム3へと取着される側の面であって、PTPシート1の端縁近傍に対応する部位には、識別用タグ情報7が付されている。識別用タグ情報7は、容器フィルム3を通して視認可能である。また、識別用タグ情報7は、個々のPTPシート1毎に異なるものとされており、PTPシート1を識別するために用いられる。図1及び図3に示す例において、識別用タグ情報7は、所定の文字(例えば「ABC」という文字)と、所定の数字(例えば図1,3では「123」という数字)とによって構成されている。本実施形態において、所定の文字は、各PTPシート1に対し共通に付されており、所定の数字は、PTPシート1の製造順に1つずつ増加するものとされている。尚、識別用タグ情報7は、PTPシート1を識別可能とするものであればよく、文字や数字以外の情報(例えば、バーコードなど)であってもよい。識別用タグ情報7は、例えばインクジェット印刷機やオフセット印刷機、凸版印刷機或いはフレキソ印刷機等によって印刷形成することができる。
次に、図5を参照して、上記PTPシート1を製造するためのPTP包装機10と、製造されたPTPシート1における錠剤5の良否を確認するための良否確認システム60とを備えたブリスタ包装システム100の構成について説明する。本実施形態では、PTP包装機10がブリスタ包装機に相当する。まず、PTP包装機10の概略構成について説明する。
図5に示すように、PTP包装機10の最上流側では、帯状の容器フィルム3の原反がロール状に巻回されている。ロール状に巻回された容器フィルム3の引出し端側は、ガイドロール13に案内されている。容器フィルム3は、ガイドロール13の下流側において間欠送りロール14に掛装されている。間欠送りロール14は、間欠的に回転するモータに連結されており、容器フィルム3を間欠的に搬送する。
ガイドロール13と間欠送りロール14との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、加熱装置15及びポケット部形成装置16が順に配設されている。そして、加熱装置15によって容器フィルム3が加熱されて該容器フィルム3が比較的柔軟になった状態において、ポケット部形成装置16によって容器フィルム3の所定位置に複数のポケット部2が形成される。ポケット部2の形成は、間欠送りロール14による容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。
間欠送りロール14から送り出された容器フィルム3は、テンションロール18、ガイドロール19及びフィルム受けロール20の順に掛装されている。フィルム受けロール20は、一定回転するモータに連結されているため、容器フィルム3を連続的に且つ一定速度で搬送する。テンションロール18は、容器フィルム3を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、間欠送りロール14とフィルム受けロール20との搬送動作の相違による容器フィルム3の弛みを防止して容器フィルム3を常時緊張状態に保持する。
ガイドロール19とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、錠剤充填装置21、第一検査装置22及び第二検査装置23が順に配設されている。
錠剤充填装置21は、ポケット部2に錠剤5を自動的に充填する充填手段としての機能を有する。錠剤充填装置21は、フィルム受けロール20による容器フィルム3の搬送動作と同期して、所定間隔毎にシャッタを開くことで錠剤5を落下させるものであり、このシャッタ開放動作に伴って各ポケット部2に錠剤5が充填される。
第一検査装置22及び第二検査装置23は、錠剤5や容器フィルム3(シート部分)など、最終的にPTPシート1となる部位を検査対象としてこの検査対象における異常の有無を判定する。検査装置22,23のより詳細な構成に関しては後述する。
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、最上流側においてロール状に巻回されている。カバーフィルム4には、一定の間隔で識別用タグ情報7が予め付されている。ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、ガイドロール24によって加熱ロール25の方へと案内されている。
加熱ロール25は、前記フィルム受けロール20に圧接可能となっており、両ロール20,25間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。そして、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール20,25間を加熱圧接状態で通過することにより、容器フィルム3にカバーフィルム4が取着され、ポケット部2がカバーフィルム4で塞がれる。これにより、錠剤5が各ポケット部2に収容された帯状のPTPフィルム6が製造される。本実施形態では、フィルム受けロール20及び加熱ロール25により取着手段が構成される。
尚、図示しない位置合わせ手段等によりカバーフィルム4及び容器フィルム3の位置合わせが行われることで、容器フィルム3へとカバーフィルム4を取着したときに、PTPシート1の端縁近傍に対応する適切な位置に識別用タグ情報7が設けられるようになっている。
フィルム受けロール20から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール27及び間欠送りロール28の順に掛装されている。間欠送りロール28は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール27は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記フィルム受けロール20と間欠送りロール28との搬送動作の相違によるPTPフィルム6の弛みを防止してPTPフィルム6を常時緊張状態に保持する。
フィルム受けロール20とテンションロール27との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、第三検査装置26が設けられている。第三検査装置26は、錠剤5やPTPフィルム6(シート部分)など、最終的にPTPシート1となる部位を検査対象としてこの検査対象における異常の有無を判定する。尚、第三検査装置26のより詳細な構成に関しては後述する。
間欠送りロール28から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール31及び間欠送りロール32の順に掛装されている。間欠送りロール32は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール31は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール28,32間でのPTPフィルム6の弛みを防止する。
間欠送りロール28とテンションロール31との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、スリット形成装置33及び刻印装置34が順に配設されている。スリット形成装置33は、PTPフィルム6の所定位置に切離用スリットを形成する機能を有する。また、刻印装置34は、PTPフィルム6における所定位置(例えば、識別用タグ情報7を避けた位置)に刻印を付す機能を有する。尚、図1等では、切離用スリットや刻印の図示を省略している。
間欠送りロール32から送り出されたPTPフィルム6は、その下流側においてテンションロール35及び連続送りロール36の順に掛装されている。間欠送りロール32とテンションロール35との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、シート打抜装置37が配設されている。シート打抜装置37は、PTPフィルム6をPTPシート1単位にその外縁を打抜く機能を有する。シート打抜装置37により本実施形態における切離手段が構成される。
シート打抜装置37によってPTPフィルム6を打抜いて得られたPTPシート1は、コンベア39によって搬送され、完成品用ホッパ40に一旦貯留される。但し、上記検査装置22,23,26のうちの少なくとも1つによって不良品と判定されたPTPシート1は、完成品用ホッパ40へ送られることなく、不良シート排出機構45によって別途排出され、不良品用ホッパ44へと貯留される。作業者は、この不良品用ホッパ44から不良品のPTPシート1を取出すことができるようになっている。
前記連続送りロール36の下流側には、裁断装置41が配設されている。そして、シート打抜装置37による打抜き後に帯状に残った残材部(スクラップ部)を構成する不要フィルム部42は、テンションロール35及び連続送りロール36に案内された後、裁断装置41に導かれる。尚、連続送りロール36は従動ロールが圧接されており、不要フィルム部42を挟持しながら搬送動作を行う。裁断装置41は、不要フィルム部42を所定寸法に裁断する。裁断された不要フィルム部42(スクラップ)はスクラップ用ホッパ43に貯留された後、別途廃棄処理される。
尚、上記各ロール14,20,28,31,32などは、そのロール表面とポケット部2とが対向する位置関係となっているが、間欠送りロール14等の表面には、ポケット部2が収容される凹部が形成されているため、ポケット部2が潰れてしまうことがない。また、ポケット部2が間欠送りロール14等の各凹部に収容されながら送り動作が行われることで、間欠送り動作や連続送り動作が確実に行われる。
次に、上記検査装置22,23,26のより具体的な構成について図6を参照しつつ説明する。各検査装置22,23,26は、それぞれ照明装置50、検査用撮像手段としての検査用カメラ51及び良否判定手段としての良否判定装置52を備えている。
照明装置50は、ポケット部2の開口部側又は突出部側から、容器フィルム3やPTPフィルム6等、最終的にPTPシート1となる部位(検査対象)に対し所定の光(例えば近赤外光や可視光)を照射する。
検査用カメラ51は、照明装置50から検査対象に照射された光を撮像する。本実施形態では、検査用カメラ51として、照明装置50から照射される光の波長領域に感度を有するCCDカメラが採用されている。これに限らず、CMOSカメラを採用してもよい。尚、第二検査装置23の検査用カメラ51には、色識別可能なようにカラーCCDカメラが用いられる。
そして、検査用カメラ51の撮像により得られた画像データ(輝度画像データ又はカラー画像データ)は、検査用カメラ51内部においてデジタル信号に変換された上で、デジタル信号の形で良否判定装置52に入力される。
良否判定装置52は、演算手段としてのCPUや、各種プログラムを記憶するROM、演算データや入出力データなどの各種データを一時的に記憶するRAMなどを備えた、いわゆるコンピュータシステムとして構成されている。良否判定装置52は、画像メモリ53、検査結果記憶装置54、判定用メモリ55、画像・検査条件記憶装置56、カメラタイミング制御装置57並びにCPU及び入出力インターフェース58を備えている。
画像メモリ53は、検査用カメラ51により得られた画像データを記憶する。この画像メモリ53に記憶された画像データに基づいて検査が実行される。勿論、検査の実行に際し、画像データに対し加工処理を施してもよい。例えばマスキング処理や、シェーディング補正などの処理を施すことが考えられる。シェーディング補正は、容器フィルム3等の撮像範囲全体を照明装置50の光で均一に照らすことは技術的に限界があることから、位置の相違により生じる光の明度のばらつきを補正するためのものである。尚、画像データに対し二値化処理を行うことで得た二値化画像データなども画像メモリ53に記憶される。
検査結果記憶装置54は、良否判定結果のデータや該データを確率統計的に処理した統計データなどを記憶するものである。検査結果記憶装置54は、検査対象における良否判定結果と、CPU及び入出力インターフェース58により設定される、検査対象を特定するための通し番号とを関連付けて記憶する。本実施形態では、各検査装置22,23,26によりPTPシート1に収容される10個の錠剤5(PTPシート1一枚分の錠剤5)の良否がそれぞれ判定されるところ、検査結果記憶装置54では、10個の錠剤5のそれぞれの良否判定結果とこれら錠剤5に対応する通し番号とが関連付けて記憶される(図7等参照)。さらに、検査結果記憶装置54は、錠剤5が不良判定された場合に、不良判定の原因となった検査項目を記憶する。
判定用メモリ55は、判定に用いられる各種情報を記憶するためのものである。各種情報には、良否を判定するための判定基準(例えば閾値等)や二値化処理を行うための二値化用閾値、検査対象範囲を画定するためのデータ(例えば、画像データ中における錠剤5部分を特定するための情報や、PTPシート1の外縁とポケット部2との相対位置関係に関する設計データなど)などが含まれる。
また、第三検査装置26の判定用メモリ55には、PTPフィルム6に付された識別用タグ情報7を認識するための情報が記憶されている。
画像・検査条件記憶装置56は、例えばハードディスク装置などにより構成されており、不良判定の日時や検査に用いられた検査条件などを記憶する。
カメラタイミング制御装置57は、検査用カメラ51の撮像タイミングを制御する。かかる撮像タイミングはPTP包装機10に設けられた図示しないエンコーダからの信号に基づいて制御され、容器フィルム3等を所定量送るごとに検査用カメラ51による撮像が行われる。
CPU及び入出力インターフェース58は、検査装置22,23,26における各種制御を司る。CPU及び入出力インターフェース58は、PTP包装機10の構成装置との間で信号を送受信可能とされている。これにより、上述した不良シート排出機構45などを制御すること等が可能となる。
また、CPU及び入出力インターフェース58は、検査対象(最終的にPTPシート1となる部位)ごとに通し番号を設定し、この設定された通し番号が錠剤5の良否判定結果等とともに検査結果記憶装置54に記憶されるようになっている。通し番号は、容器フィルム3やPTPフィルム6の搬送方向上流側に向けて1つずつ増大していく態様となる。
さらに、CPU及び入出力インターフェース58は、統合システム70との間で無線により信号の送受信を行うことが可能である。本実施形態において、CPU及び入出力インターフェース58は、統合システム70に対し、錠剤5の良否判定結果とこれら錠剤5に対応する通し番号とを、良否判定が行われる度に送信する。また、CPU及び入出力インターフェース58は、統合システム70に対し、これら良否判定結果等の情報とともに、この良否判定結果を得るときに利用した、検査用カメラ51による撮像データを送信可能である。
上記のように構成された良否判定装置52は、検査用カメラ51により得られた画像データに基づき、検査対象の良否判定を実行する。良否判定装置52では、例えば、画像データに対する二値化処理や二値化画像データに対する塊処理などを行うとともに、判定用メモリ55に記憶された各種情報に基づき検査対象の良否を判定する。
次に、各検査装置22,23,26の構成についてより詳しく説明する。
第一検査装置22は、シール前に容器フィルム3のポケット部2突出部側から検査を行う透過光式の検査装置である。第一検査装置22では、照明装置50が容器フィルム3のポケット部2開口部側に配置され、検査用カメラ51が容器フィルム3のポケット部2突出部側に設けられている。そして、照明装置50から照射される光(近赤外光)のうち、容器フィルム3を透過した光を二次元撮像する構成となっている。
第一検査装置22は、「錠剤割れ」、「錠剤破片混入」、「欠錠」、「錠剤形状・大きさ違い」、「錠剤欠け」及び「錠剤表面剥離」といった検査項目についての検査を行う。「錠剤割れ」に関する検査では、錠剤5に割れが発生しているか否かが判定される。「錠剤破片混入」に関する検査では、ポケット部2内に、錠剤5の破片など、錠剤5以外の異物が存在するか否かが判定される。「欠錠」に関する検査では、ポケット部2内に錠剤5が充填されているか否かが判定される。「錠剤形状・大きさ違い」に関する検査では、錠剤5の形状や大きさが、製造品種と適合しているか否かが判定される。「錠剤欠け」に関する検査では、錠剤5に欠けが発生しているか否かが判定される。「錠剤表面剥離」に関する検査では、錠剤5の表面層が剥離しているか否かが判定される。
第二検査装置23は、シール前に容器フィルム3のポケット部2突出部側及び開口部側(錠剤5の表裏面側)から検査を行う透過光式及び反射光式の両機能を備えた検査装置である。第二検査装置23では、照明装置50が容器フィルム3のポケット部2突出部側及び開口部側の両側に1つずつ配置され、2つの検査用カメラ51が容器フィルム3のポケット部2開口部側に設けられている。そして、ポケット部2突出部側の照明装置50から照射される光(可視光)のうち、容器フィルム3を透過した光が一方の検査用カメラ51により二次元撮像され、ポケット部2開口部側の照明装置50から照射される光(可視光)のうち、錠剤5に反射した光が他方の検査用カメラ51(カラーCCDカメラ)により二次元撮像される構成となっている。
第二検査装置23は、上述した「錠剤割れ」、「錠剤破片混入」、「欠錠」、「錠剤形状・大きさ違い」及び「錠剤欠け」といった検査項目に加えて、「錠剤色」という検査項目に関する検査を行う。「錠剤色」に関する検査では、錠剤5の色が製造品種と適合しているか否かが判定される。尚、第二検査装置23では、容器フィルム3(シート部分)に関する良否についても判定される。
第三検査装置26は、シール後に容器フィルム3(PTPフィルム6)のポケット部2突出部側から検査を行う反射光式の検査装置である。第三検査装置26では、それぞれ照明装置50及び検査用カメラ51が容器フィルム3(PTPフィルム6)のポケット部2突出部側に配置されている。そして、第三検査装置26では、照明装置50から照射される光(近赤外線)のうち、検査対象を反射した光を二次元撮像する構成となっている。
第三検査装置26は、上述した「錠剤割れ」、「錠剤破片混入」、「欠錠」、「錠剤形状・大きさ違い」及び「錠剤欠け」といった検査項目に加えて、「錠剤上異物」及び「錠剤上毛髪」といった検査項目に関する検査を行う。「錠剤上異物」に関する検査では、錠剤5上に、大きさが数mm(例えば5mm)以上という大きな異物が存在するか否かが判定される。「錠剤上毛髪」に関する検査では、錠剤5上に、毛髪などの線状異物が存在するか否かが判定される。また、第三検査装置26では、PTPフィルム6(シート部分)に関する良否についても判定される。
検査装置22,23,26は、上述した錠剤5に関する各検査項目の全てで良判定された場合に、錠剤5が良品であると判定し、各検査項目のうちの少なくとも1つで不良判定された場合に、錠剤5が不良品であると判定する。そして、検査装置22,23,26は、検査結果記憶装置54に、PTPシート1一枚分の10個の錠剤5のそれぞれの良否判定結果とこれら錠剤5に対応する通し番号とを関連付けて記憶する(図7,8,9参照)。尚、図7〜9では、良品判定を「○」で示し、不良品判定を「×」で示す。また、図7〜9における空欄は、良否判定結果を取得する前(つまり、検査前)であることを示す。さらに、10個の錠剤5は、収容されたポケット部2の位置に対応する1から10までの錠剤番号で特定される。
さらに、第三検査装置26では、検査用カメラ51によって画像データを得る際に、検査対象とともにカバーフィルム4に付された識別用タグ情報7が撮像される。そして、第三検査装置26のCPU及び入出力インターフェース58によって、検査用カメラ51により撮像された画像データと、判定用メモリ55に予め記憶された識別用タグ情報7を認識するための情報とに基づき、識別用タグ情報7が認識される。本実施形態では、第三検査装置26のCPU及び入出力インターフェース58により検査時タグ認識手段が構成される。認識された識別用タグ情報7は、錠剤5の良否判定結果などとともに、検査結果記憶装置54に記憶される(図9参照)。
次いで、良否確認システム60の構成について説明する。図5に示すように、良否確認システム60は、CPUやROM、RAM、記憶媒体などを備えた、いわゆるコンピュータシステムにより構成された統合システム70と、該統合システム70との間で無線により信号の送受信を可能なMRメガネ80とを備えている。
まず、統合システム70について説明する。統合システム70は、検査装置22,23,26との間で信号の送受信を可能に構成されており、各検査装置22,23,26から送信された錠剤5の良否判定結果を統合して記憶する。錠剤5の良否判定結果の統合は、通し番号を基準として行われる。また、統合システム70は、錠剤5の良否判定結果とともに、第三検査装置26により認識された識別用タグ情報7についても記憶する。これにより、統合システム70では、第三検査装置26(CPU及び入出力インターフェース58)により認識された識別用タグ情報7と、該識別用タグ情報7の付されたPTPシート1における複数の錠剤5についての個々の良否判定結果とが対応付けて記憶される(図10参照)。
また、本実施形態において、統合システム70は、識別用タグ情報7と、各検査装置22,23,26から送信された検査用の画像データとを対応付けて記憶する。
さらに、統合システム70は、MRメガネ80から識別用タグ情報7が送信されると、この識別用タグ情報7に対応する、錠剤5の良否判定結果と検査用の画像データとをMRメガネ80(後述する無線通信装置84)へと送信する。このとき、統合システム70は、各検査装置22,23,26にて良判定された錠剤5については、良品であるという判定結果をMRメガネ80へと送信し、各検査装置22,23,26のうちの少なくとも1つにて不良判定された錠剤5については、不良品であるという判定結果をMRメガネ80へと送信する。例えば、図10に示す例において、統合システム70は、MRメガネ80から「ABC123」という識別用タグ情報7を受信すると、この識別用タグ情報7に対応する錠剤5の良否判定結果を参酌し、10個の錠剤5のうち、錠剤番号が「2」の錠剤5と錠剤番号が「9」の錠剤5とについては、不良品であるという判定結果をMRメガネ80へと送信し、その他の錠剤番号の錠剤5については、良品であるという判定結果をMRメガネ80へと送信する。尚、不良品と判定した錠剤5に係る良否判定結果、及び、良品と判定した錠剤5に係る良否判定結果のうちの一方のみをMRメガネ80へと送信してもよい。
次に、MRメガネ80について説明する。MRメガネ80は、図11に示すように、撮像手段としてのカメラ81、表示部82、制御処理装置83、無線通信装置84、左フレーム85及び右フレーム86を備えている。尚、MRメガネ80は、駆動用のバッテリ(図示せず)を内蔵している。
カメラ81は、左フレーム85の前側位置に前向きに配設されている。尚、カメラ81の配設位置を適宜変更してもよい。カメラ81は、後述する透過表示部822、823を通して作業者が見る現実環境(PTPシート1等)を撮像することで画像データを取得する。取得した画像データは、制御処理装置83に送信される。
表示部82は、横長の略8字形状の前フレーム821と、該前フレーム821における左右に並んだ窓に取付けられた透過表示手段としての透過表示部822、823とを有している。
透過表示部822、823は、MRメガネ80を作業者が装着した状態において、該作業者の両方の目と対向する位置に配置されるようになっている。透過表示部822,823は、透明又は半透明であり、作業者は、透過表示部822、823を通して現実環境を見ることが可能である。また、透過表示部822、823は、例えば透過型の液晶パネルなど情報表示手段を備えており、作業者の視野と重なるようにして情報を表示可能となっている。すなわち、透過表示部822,823は、いわゆる拡張現実表示機能を有している。尚、このような拡張現実表示機能を実現する光学的な技術としては、例えばホログラム技術を挙げることができるが、これ以外の手法によって拡張現実表示機能を実現してもよい。
制御処理装置83は、左フレーム85の外側の側面の前寄り位置に配設されている。尚、制御処理装置83の配設位置を適宜変更してもよい。制御処理装置83は、CPU、RAM及びROM等を有しており、予め記憶された所定のソフトウェアによって作動する。制御処理装置83は、図12に示すように、画像処理部831、タグ情報送信部832、判定結果受取手段としての判定結果受取部833及び表示制御手段としての表示制御部834を備えている。
画像処理部831は、カメラ81から送信された画像データに画像処理を施すことで、識別用タグ情報7を認識したり、透過表示部822,823における情報の表示位置などを設定したりするためのものである。画像処理部831には、識別用タグ情報7を認識するための情報、視野内にあるPTPシート1の位置及び姿勢に関する状態を把握するための情報、MRメガネ80から視野内にあるPTPシート1までの距離を把握するための情報、前記錠剤番号に関する情報などが予め教示されて記憶されている。また、画像処理部831には、PTPシート1の位置及び姿勢に関する状態と、MRメガネ80からPTPシート1までの距離とに基づき、透過表示部822,823における各種情報の表示位置や表示大きさなどを設定するための設定手法(設定アルゴリズム)が予め記憶されている。
画像処理部831は、タグ認識部831A、シート状態認識部831B、距離認識部831C及び表示設定部831Dを備えている。本実施形態では、タグ認識部831Aがタグ認識手段に相当し、シート状態認識部831Bがシート状態認識手段に相当し、距離認識部831Cが距離認識手段に相当し、表示設定部831Dが状態対応表示設定手段及び距離対応表示設定手段に相当する。
タグ認識部831Aは、画像データ中における、PTPシート1に付された識別用タグ情報7を認識するためのものである。タグ認識部831Aは、作業者の視野内にあるPTPシート1をカメラ81により撮像して得られた画像データに所定の画像認識処理を施すとともに、予め記憶された識別用タグ情報7を認識するための情報を利用することで、PTPシート1に付された識別用タグ情報7を認識する。例えば、タグ認識部831Aは、画像データに画像認識処理を施して特徴点を抽出した上で、抽出した特徴点と前記情報とに基づき、抽出した特徴点が識別用タグ情報7であるか否かを判定する。そして、抽出した特徴点が識別用タグ情報7である場合、タグ認識部831Aは、その識別用タグ情報7を認識する(その識別用タグ情報7の内容を読み取る)。
シート状態認識部831Bは、作業者の視野内にあるPTPシート1をカメラ81により撮像して得られた画像データに基づき、該PTPシート1の位置及び姿勢に関する状態を認識するためのものである。シート状態認識部831Bは、画像データに対し所定の画像処理を施すことで、PTPシート1の外縁や錠剤5、識別用タグ情報7、ポケット部2などの位置情報を抽出するとともに、抽出した位置情報と予め記憶されたPTPシート1の位置及び姿勢に関する状態を把握するための情報とに基づき、PTPシート1の位置及び姿勢に関する状態を認識する。
また、シート状態認識部831Bは、予め記憶された前記錠剤番号に関する情報やPTPシート1の位置及び姿勢に関する状態などに基づき、位置情報を抽出した錠剤5に関する錠剤番号を特定する。
距離認識部831Cは、作業者の視野内にあるPTPシート1をカメラ81により撮像して得られた画像データに基づき、MRメガネ80から該PTPシート1までの距離を認識するためのものである。距離認識部831Cは、例えば、画像データに対し画像処理を施すことで、PTPシート1の外縁や錠剤5、識別用タグ情報7などの大きさ情報を抽出するとともに、抽出した大きさ情報と予め記憶されたMRメガネ80から視野内にあるPTPシート1までの距離を把握するための情報とに基づき、MRメガネ80から該PTPシート1までの距離を認識する。
表示設定部831Dは、シート状態認識部831Bにより認識されたPTPシート1の位置や姿勢に関する状態と、距離認識部831Cにより認識された距離とに基づき、透過表示部822,823における情報の表示位置や表示大きさなどの表示態様を設定する。表示設定部831Dは、シート状態認識部831B及び距離認識部831Cにより得られた情報を利用して、上述した設定手法(設定アルゴリズム)に従い、透過表示部822,823における情報の表示態様を設定する。本実施形態において、表示設定部831Dは、錠剤5を特定するための前記錠剤番号と関連付けて、透過表示部822,823における円形のマークM(図13等参照)の表示位置及び表示大きさを設定する。本実施形態において、マークMの表示位置及び表示大きさは、透過表示部822,823を通して視認される実物の錠剤5を囲むことが可能なものに設定される。
タグ情報送信部832は、タグ認識部831Aにより認識された識別用タグ情報7を無線通信装置84へと送信するためのものである。
判定結果受取部833は、無線通信装置84を介して統合システム70から送信された、錠剤5の良否判定結果や検査時に用いられた画像データなどを受け取るためのものである。判定結果受取部833では、タグ認識部831Aにより認識された識別用タグ情報7に対応するPTPシート1における個々の錠剤5の良否判定結果(錠剤番号を含む)や、該PTPシート1の画像データが受け取られる。つまり、判定結果受取部833は、MRメガネ80を通して作業者がPTPシート1を見たとき、そのPTPシート1に収容された錠剤5の良否判定結果やそのPTPシート1の検査に係る画像データを受け取り可能に構成されている。
表示制御部834は、判定結果受取部833により受け取られた錠剤5の良否判定結果や画像データを透過表示部822,823にて表示させるためのものである。表示制御部834は、表示設定部831Dにより設定された情報の表示態様を用いて、判定結果受取部833により受け取られた錠剤5の良否判定結果を透過表示部822,823にて表示させる。本実施形態において、表示制御部834は、不良品判定された錠剤5のみに対応してマークMを表示させる。より詳しくは、表示制御部834は、錠剤5の良否判定結果に基づき不良品判定された錠剤5の錠剤番号を特定するとともに、特定された錠剤番号に関連付けられたマークMの表示態様(表示位置及び表示大きさ)に従って、マークMを表示させる。
また、表示制御部834は、透過表示部822,823の左右に、検査用カメラ51により得られた検査用の画像データ(本実施形態では、錠剤5の不良判定の要因となった画像データ)を表示させる。より具体的には、表示制御部834は、透過表示部822,823の左に、不良判定の要因となった画像データの全体を表示し、透過表示部822,823の右に、不良品判定された錠剤5に対応する拡大画像データを表示する(図13等参照)。また、表示制御部834は、透過表示部822,823を通して見るPTPシート1に画像データが重ならないように画像データの表示位置や表示大きさ、表示の有無などを調節する。尚、画像データに加えて又は代えて、詳細な検査結果(例えば、不良判定された検査項目など)を表示するように構成してもよい。
表示制御部834による表示制御により、透過表示部822,823においては、作業者の視野内にある実物のPTPシート1の錠剤5に関連付けて、該錠剤5の良否判定結果に係る情報が表示される。本実施形態では、MRメガネ80を装着した作業者が不良品用ホッパ44から取出した不良品のPTPシート1を見たとき、図13に示すように、透過表示部822,823において、作業者の視野内にあるPTPシート1の錠剤5のうちの不良判定されたものを囲むようにして、良否判定結果に係る情報としてのマークMが表示される。また、透過表示部822,823において、PTPシート1の左右の位置に、該PTPシート1に関する画像データが表示される。
さらに、PTPシート1を回転させた場合などPTPシート1の位置や姿勢に関する状態が変化した場合には、表示設定部831Dにより情報の表示態様が更新設定され、その結果、図14に示すように、移動した錠剤5に追従するようにしてマークMが移動表示される。尚、図14では、図13に示すPTPシート1を回転させたときに、その回転に伴う錠剤5の位置変化に合わせて、マークMが移動表示される例を示している。
加えて、PTPシート1をMRメガネ80に近づけた場合など、MRメガネ80からPTPシート1までの距離が変化した場合には、表示設定部831Dにより情報の表示態様が更新設定され、その結果、図15に示すように、移動した錠剤5に合わせるようにして位置や大きさの変更されたマークMが表示される。尚、図15では、図13に示すPTPシート1をMRメガネ80に近づけたときに、視野内に占める錠剤5の大きさが拡大するとともに視野内における錠剤5の位置が変化することに合わせて、マークMが表示される例を示している。
無線通信装置84は、制御処理装置83と一体的に設けられており、統合システム70との間で無線により信号を送受信する。
左フレーム85及び右フレーム86は、前フレーム821の左右両端から後方に向けて延設されている。左フレーム85及び右フレーム86の後部を耳に掛けることで、作業者はMRメガネ80を装着することができる。
尚、上述のMRメガネ80として、市販の汎用製品を利用してもよいし、専用のカスタム製品を利用してもよい。
次いで、作業者がMRメガネ80を装着して使用したときにおける該MRメガネ80の動作について説明する。
図16に示すように、まず、ステップS11において、MRメガネ80のカメラ81によって現実環境が撮像される。撮像により得られた画像データは、画像処理部831へと送信される。
次いで、ステップS12において、得られた画像データから識別用タグ情報7が探索される。ここで、画像データに識別用タグ情報7が存在しない場合(ステップS13:NO)、ステップS11へと戻る。一方、画像データに識別用タグ情報7が存在する場合(ステップS13:YES)、ステップS14へと移行する。
ステップS14では、識別用タグ情報7が認識される(識別用タグ情報7の内容が読み取られる)。次いで、ステップS15にて、認識された識別用タグ情報7が統合システム70へと送信される。識別用タグ情報7を受信した統合システム70は、この識別用タグ情報7に対応する錠剤5の良否判定結果などをMRメガネ80側へと送信する。
その後、ステップS16にて、MRメガネ80(判定結果受取部833)により、錠剤5の良否判定結果などが受け取られる。
さらに、続くステップS17にて、ステップS11で得られた画像データに基づき、透過表示部822,823における良否判定結果等の表示態様が設定される。尚、表示態様の設定は、ステップS13からステップS18までの間に行われればよい。例えば、統合システム70との間で信号の送受信を行う間に、表示態様の設定を行うこととしてもよい。
その後のステップ18では、透過表示部822,823において、設定された表示態様を用いて錠剤5の良否判定結果などが表示される。以降においては、上述したステップS11〜S18の処理が繰り返し行われることで、作業者がPTPシート1を動かした場合等、画像データ中におけるPTPシート1の位置や向き、距離が変化した場合には、その変化に追従するようにして透過表示部822,823における良否判定結果等の表示態様が変化することとなる。
以上詳述したように、本実施形態によれば、MRメガネ80を装着した作業者が透過表示部822,823を通してPTPシート1を見たとき、この透過表示部822,823に、視野内にあるPTPシート1の錠剤5における良否判定結果に係る情報が表示される。従って、PTPシート1に収容された錠剤5の良否をより容易に確認することができる。これにより、錠剤5の回収等、錠剤5を対象とした各種作業を、視野内にある良否判定結果を確認しながら行うことができ、作業性を飛躍的に高めることができる。また、良否判定結果を確認しながらの作業を行うにあたり、作業を行うポジションをある程度自由に選択することができるため、利便性を向上させることができる。
さらに、透過表示部822,823では、視野内にあるPTPシート1の錠剤5に関連付けて、該錠剤5の良否判定結果に係る情報が表示される。そのため、視野内にあるPTPシート1に収容された個々の錠剤5の良否をより正確に把握することができ、各種作業をより正確かつ迅速に行うことができる。
また、視野内にあるPTPシート1の位置や姿勢(向き等)に関する状態、及び、MRメガネ80から視野内にあるPTPシート1までの距離に応じて、錠剤5の良否判定結果に係る情報の表示態様(表示位置や大きさ)を変化させることができる。これにより、錠剤5の良否判定結果に係る情報を、作業者の視野内にあるPTPシート1の錠剤5に対し、より適切に関連付けた状態で表示させることができる。その結果、視野内にあるPTPシート1に収容された錠剤5の良否を一層正確に把握することができ、各種作業を一層正確かつ迅速に行うことができる。
加えて、透過表示部822,823において、錠剤5の良否判定に用いられた画像データを表示させることができる。そのため、錠剤5の良否判定結果及び画像データを確認しながら作業を行うことができ、作業性や利便性を一層向上させることができる。
さらに、検査のために得られた画像データ(本実施形態では、第三検査装置26により取得された画像データ)から識別用タグ情報7が認識され、統合システム70では、その認識された識別用タグ情報7と錠剤5の良否判定結果とが対応付けて記憶される。従って、第三検査装置26の検査用カメラ51を、検査用の画像データの取得のみならず、識別用タグ情報7の認識にも利用することができる。これにより、システムの簡素化や低コスト化を図ることができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、カバーフィルム4に予め識別用タグ情報7が付される構成について説明しているが、図17に示すように、ロール状に巻回されたカバーフィルム4と両ロール20,25との間に、タグ情報形成手段としてのタグ情報印刷装置29を設け、該タグ情報印刷装置29によって、カバーフィルム4に識別用タグ情報7を付すこととしてもよい。尚、タグ情報印刷装置29は、例えば、インクジェット印刷機やオフセット印刷機、凸版印刷機或いはフレキソ印刷機等により構成されており、カバーフィルム4に予め設けられたマーク(図示せず)を所定のセンサ(図示せず)により検知することで、カバーフィルム4における所定位置に識別用タグ情報7を印刷形成する。
また、上記実施形態では、第三検査装置26によってカバーフィルム4に付された識別用タグ情報7が読み取られ、統合システム70は、この読み取られた識別用タグ情報7と錠剤5の良否判定結果とを対応付けて記憶するように構成されている。これに対し、タグ情報印刷装置29を設けた場合には、統合システム70を、タグ情報印刷装置29から、該タグ情報印刷装置29により付された識別用タグ情報7を取得するとともに、取得した識別用タグ情報7と、錠剤5の良否判定結果とを対応付けて記憶するように構成してもよい。すなわち、識別用タグ情報7をタグ情報印刷装置29から得るように統合システム70を構成してもよい。このように構成した場合には、識別用タグ情報7を把握するために、形成後の識別用タグ情報7を確認する工程(例えば、識別用タグ情報7を撮像する工程など)を設ける必要がなくなり、システムの簡素化や低コスト化を一層図ることができる。
また、統合システム70を、タグ情報印刷装置29によって印刷形成される識別用タグ情報7の内容を決定可能に構成してもよい。この場合には、統合システム70を、自身の決定した識別用タグ情報7と、該識別用タグ情報7の付されたPTPシート1における複数の錠剤5についての個々の良否判定結果とを対応付けて記憶するように構成してもよい。このように構成した場合にも、識別用タグ情報7を把握するために、形成後の識別用タグ情報7を確認する工程を設ける必要がなくなり、システムの簡素化や低コスト化をより図ることができる。
勿論、タグ情報印刷装置29により印刷形成された識別用タグ情報7を把握するためのカメラ等を検査装置とは別に設け、統合システム70が、該カメラ等により把握された識別用タグ情報7と錠剤5の良否判定結果とを対応付けて記憶するように構成してもよい。
(b)上記実施形態では、不良品の錠剤5に対応するマークMを表示することにより、錠剤5の良否判定結果に係る情報を表示するように構成されているが、これ以外の表示内容によって錠剤5の良否判定結果に係る情報を表示するように構成してもよい。例えば、良品の錠剤5に対応してマークを表示したり、良品の錠剤5と不良品の錠剤5とで異なるマークを表示したりしてもよい。勿論、マーク以外に、良否を示すための文字や記号、色などを表示してもよい。
また、錠剤5の存在する位置又はその近傍位置に、該錠剤5の良否判定結果に係る情報を表示しない構成を採用してもよい。例えば、錠剤5ごとに異なる識別情報(例えば錠剤番号など)を各錠剤5の存在する位置又はその近傍位置に表示する一方、錠剤5の位置とは無関係の所定位置に、識別情報と該識別情報により特定される錠剤5の良否判定結果とを合わせて表示するように構成してもよい。
(c)上記実施形態において、MRメガネ80は、タグ認識部831Aを備えており、カメラ81により得られた画像データに基づき識別用タグ情報7を認識する機能を有しているが、統合システム70にタグ認識部を設けることで、統合システム70が該機能を備えるように構成してもよい。この構成では、MRメガネ80から画像データが統合システム70へと送信され、統合システム70により、送信された画像データに基づき識別用タグ情報7が認識されるとともに、認識した識別用タグ情報7に対応する錠剤5の良否判定結果がMRメガネ80へと送信され、MRメガネ80(透過表示部822,823)にて送信された良否判定結果が表示される。
また、上記実施形態において、MRメガネ80は、表示設定部831Dを備えており、カメラ81により得られた画像データに基づき良否判定結果の表示態様を設定する機能を有しているが、統合システム70に表示設定部を設けることで、統合システム70が該機能を備えるように構成してもよい。この構成では、MRメガネ80から画像データが統合システム70へと送信され、統合システム70により、送信された画像データに基づき良否判定結果の表示態様が設定されるとともに、錠剤5の良否判定結果とともに設定された表示態様がMRメガネ80へと送信され、MRメガネ80(透過表示部822,823)にて設定された表示態様で良否判定結果が表示される。
(d)上記実施形態では、錠剤5として、平面視円形状をなす円盤状の素錠(円盤形状の平錠)が例示されているが、錠剤の種別や形状等については、上記各実施形態に限定されるものではない。例えば錠剤には、医薬のみならず、飲食用に用いられる錠剤なども含まれる。また、錠剤には、素錠のみならず、糖衣錠やフィルムコーティング錠、口腔内崩壊錠、腸溶錠、ゼラチン被包錠などが含まれるのは勿論のこと、硬カプセルや軟カプセルなどの各種カプセル錠なども含まれる。さらに、錠剤の形状に関しては、例えば平面視円形状のみならず、平面視多角形状、平面視楕円形状、平面視長円形状等であってもよい。
(e)PTPシート1におけるポケット部2の配列や個数に関しては、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、様々な配列、個数からなるPTPシートを採用することができる。
また、上記実施形態において、PTPフィルム6は、その幅方向に沿って1シート分に対応する数のポケット部2が配列された構成となっているが、これに限定されるものではなく、例えば、その幅方向に沿って複数シート分に対応する数のポケット部2が配列された構成であってもよい。