(本開示の基礎となった知見)
上記のように、特許文献1では、少なくとも1つのセンサによって、車両に近い対象物を検出し、検出された対象物が車両に近い歩行者であるか否かを定めるために、コントローラによって、センサからのデータを分析し、車両を現在の走行レーン内に保てる、歩行者からの最大分離距離を定め、使用可能な最大分離距離に基づいて、歩行者を追い越すための、車両の最高安全速度を定め、車両が歩行者を追い越す間、最大分離距離まで車両を操舵することと、最高安全速度まで車両を制動することとのうちの少なくとも1つを含む歩行者安全領域維持操作を行う衝突回避システムが開示されている。
しかしながら、従来の衝突回避システムでは、歩行者との間隔を十分に確保することができる幅の広い走行レーンを車両が走行することを想定しており、幅の狭い走行レーンを走行する際の車両の制御については想定されていない。
例えば、従来の衝突回避システムでは、走行レーンに歩行者が存在する場合に、車両が歩行者からの最大分離距離を保つことができない場合、車両は歩行者を追い越すことができず、歩行者から所定の距離を保って停止し続けることになり、他の車両の通行の妨げになるおそれがある。
以上の課題を解決するために、本開示の一態様に係る運転制御装置は、自律的に移動する車両の運転を制御する運転制御装置であって、前記車両の周囲を囲むように規定され、内部に障害物が検知される直前に前記車両を停止させる停止判断領域を初期設定する領域初期設定部と、前記車両の周囲に存在する前記障害物を検知する検知部と、前記車両の進行方向に前記障害物が存在するか否かを判断する障害物判断部と、前記車両の進行方向に前記障害物が存在すると判断された場合、前記車両が所定時間停止しているか否かを判断する車両状況判断部と、前記車両が所定時間停止していると判断された場合、前記停止判断領域の進行方向部分の長さを縮小する領域変更部と、前記停止判断領域内に前記障害物が検知されないように前記車両を走行させ、前記停止判断領域内に前記障害物が検知される直前に前記車両を停止させる運転制御部と、を備える。
この構成によれば、車両の周囲を囲むように規定され、内部に障害物が検知される直前に車両を停止させる停止判断領域が初期設定される。車両の周囲に存在する障害物が検知される。車両の進行方向に障害物が存在するか否かが判断される。車両の進行方向に障害物が存在すると判断された場合、車両が所定時間停止しているか否かが判断される。車両が所定時間停止していると判断された場合、停止判断領域の進行方向部分の長さが縮小される。停止判断領域内に障害物が検知されないように車両を走行させ、停止判断領域内に障害物が検知される直前に車両を停止させるように車両の運転が制御される。
したがって、車両の進行方向に障害物が存在すると判断され、かつ車両が所定時間停止していると判断された場合、停止判断領域の進行方向部分の長さが縮小されるので、周囲の環境に応じて障害物との間に保つ距離を変更することができる。また、車両は停止判断領域を確保した状態で障害物に向かって進行するので、他の車両の通行の妨げにならないように車両の運転を制御することができる。
また、上記の運転制御装置において、前記障害物は、人物であり、前記領域変更部は、前記車両が所定時間停止していると判断された場合、前記停止判断領域の進行方向部分の長さを縮小してもよい。
この構成によれば、障害物は、人物である。車両が所定時間停止していると判断された場合、停止判断領域の進行方向部分の長さが縮小される。
したがって、車両の進行方向に人物が存在すると判断され、かつ車両が所定時間停止していると判断された場合、停止判断領域の進行方向部分の長さが縮小されるので、車両は停止判断領域を確保した状態で、車両が停止している時間に応じて人物に向かって徐々に進行するので、車両が停止し続けるのを防止することができ、人物に対して車両が接近しているのを気付かせることができる。
また、上記の運転制御装置において、前記障害物は、他の車両であり、前記領域変更部は、前記車両が所定時間停止していると判断された場合、前記停止判断領域の進行方向部分の長さ及び幅方向部分の長さを縮小してもよい。
この構成によれば、障害物は、他の車両である。車両が所定時間停止していると判断された場合、停止判断領域の進行方向部分の長さ及び幅方向部分の長さが縮小される。
したがって、車両の進行方向に他の車両が存在すると判断され、かつ車両が所定時間停止していると判断された場合、停止判断領域の進行方向部分の長さ及び幅方向部分の長さが縮小されるので、進行方向に他の車両が存在する場合に、停止判断領域の幅方向部分の長さを、車両が停止している時間に応じて徐々に縮小することにより、車両は停止判断領域を確保した状態で他の車両を追い越したり、擦れ違ったりすることができ、他の車両の通行の妨げにならないように車両の運転を制御することができる。
また、上記の運転制御装置において、前記車両状況判断部は、前記車両が所定時間停止していないと判断した場合、前記車両が所定時間徐行しているか否かを判断し、前記領域変更部は、前記車両が所定時間徐行していると判断された場合、前記停止判断領域の進行方向部分の長さ及び幅方向部分の長さを縮小してもよい。
この構成によれば、車両が所定時間停止していないと判断された場合、車両が所定時間徐行しているか否かが判断される。車両が所定時間徐行していると判断された場合、停止判断領域の進行方向部分の長さ及び幅方向部分の長さが縮小される。
したがって、車両が所定時間徐行していると判断された場合、停止判断領域の進行方向部分の長さ及び幅方向部分の長さが、車両が徐行している時間に応じて徐々に縮小されるので、車両は、障害物に徐々に接近しながら、障害物を追い越すことができ、他の車両の通行の妨げにならないように車両の運転を制御することができる。
また、上記の運転制御装置において、地図情報を記憶する地図情報記憶部と、前記車両の現在位置を取得する現在位置取得部と、前記車両の現在位置周辺の地図情報を参照し、前記車両が走行している走行レーンの幅が所定の長さより短いか否かを判断する道路状況判断部と、をさらに備え、前記領域変更部は、前記走行レーンの幅が所定の長さより短いと判断された場合、前記停止判断領域の幅方向部分の長さを縮小し、前記走行レーンの幅が所定の長さ以上であると判断された場合、前記走行レーンの幅の長さに応じて前記停止判断領域の幅方向部分の長さを拡大してもよい。
この構成によれば、車両の現在位置が取得される。車両の現在位置周辺の地図情報が参照され、車両が走行している走行レーンの幅が所定の長さより短いか否かが判断される。走行レーンの幅が所定の長さより短いと判断された場合、停止判断領域の幅方向部分の長さが縮小され、走行レーンの幅が所定の長さ以上であると判断された場合、走行レーンの幅の長さに応じて停止判断領域の幅方向部分の長さが拡大される。
したがって、走行レーンの幅が所定の長さより短い場合、停止判断領域の幅方向部分の長さが縮小されることで、狭い道路であっても、車両同士が擦れ違うことができる。また、走行レーンの幅が所定の長さ以上である場合、走行レーンの幅の長さに応じて停止判断領域の幅方向部分の長さが拡大されることで、障害物が入らないようにする範囲を広げることができ、より安全性を高めることができる。
また、上記の運転制御装置において、前記領域変更部は、前記車両の操舵角を取得し、取得した前記操舵角に応じて、前記停止判断領域の進行方向の形状を変化させてもよい。
この構成によれば、車両の操舵角が取得され、取得された操舵角に応じて、停止判断領域の進行方向の形状が変化されるので、車両の進行方向の向きに応じて停止判断領域を設定することができる。
また、上記の運転制御装置において、前記運転制御部は、前記停止判断領域の面積が大きくなるにつれて前記車両の速度が速くなるように前記車両を制御してもよい。
この構成によれば、停止判断領域の面積が大きくなるにつれて車両の速度が速くなるように車両が制御されるので、停止判断領域の面積を縮小したり、拡大したりすることにより、容易に車両の速度を制御することができる。
また、上記の運転制御装置において、前記車両が守るべき交通ルールを示す情報を記憶する交通ルール記憶部をさらに備え、前記領域変更部は、前記車両が所定時間停止していると判断された場合、前記車両の現在位置における前記交通ルールに基づいて前記車両が走行可能であるか否かを判断し、前記車両が走行可能であると判断した場合、前記停止判断領域の進行方向部分の長さを縮小してもよい。
この構成によれば、交通ルール記憶部は、車両が守るべき交通ルールを示す情報を記憶する。車両が所定時間停止していると判断された場合、車両の現在位置における交通ルールに基づいて車両が走行可能であるか否かが判断される。車両が走行可能であると判断された場合、停止判断領域の進行方向部分の長さが縮小される。
したがって、車両の現在位置における交通ルールに基づいて車両が走行可能であるか否かが判断され、車両が走行可能であると判断された場合、停止判断領域の進行方向部分の長さが縮小されるので、交通ルールを確実に守りながら車両の運転を制御することができる。
また、上記の運転制御装置において、前記車両の進行方向であり、前記検知部が前記障害物を検知できない位置に配置された外部センサから、前記外部センサの近傍に前記障害物が存在するか否かを示す検知情報を取得する検知情報取得部をさらに備え、前記領域変更部は、前記障害物判断部によって前記車両の進行方向に前記障害物が存在しないと判断され、かつ前記検知情報取得部によって前記障害物が存在することを示す前記検知情報が取得された場合、前記停止判断領域の進行方向部分の長さを拡大してもよい。
この構成によれば、車両の進行方向であり、検知部が障害物を検知できない位置に配置された外部センサから、外部センサの近傍に障害物が存在するか否かを示す検知情報が取得される。車両の進行方向に障害物が存在しないと判断され、かつ障害物が存在することを示す検知情報が取得された場合、停止判断領域の進行方向部分の長さが拡大される。
したがって、外部センサは、車両の死角に存在する障害物を検知することができるので、車両の進行方向に障害物が存在しないと判断され、かつ障害物が存在することを示す検知情報が取得された場合に、停止判断領域の進行方向部分の長さを拡大することにより、より早くに障害物を車両で検知することが可能になり、より安全性を高めることができる。
本開示の他の態様に係る運転制御方法は、自律的に移動する車両の運転を制御する運転制御装置における運転制御方法であって、前記車両の周囲を囲むように規定され、内部に障害物が検知される直前に前記車両を停止させる停止判断領域を初期設定し、前記車両の周囲に存在する前記障害物を検知し、前記車両の進行方向に前記障害物が存在するか否かを判断し、前記車両の進行方向に前記障害物が存在すると判断された場合、前記車両が所定時間停止しているか否かを判断し、前記車両が所定時間停止していると判断された場合、前記停止判断領域の進行方向部分の長さを縮小し、前記停止判断領域内に前記障害物が検知されないように前記車両を走行させ、前記停止判断領域内に前記障害物が検知される直前に前記車両を停止させる。
この構成によれば、車両の周囲を囲むように規定され、内部に障害物が検知される直前に車両を停止させる停止判断領域が初期設定される。車両の周囲に存在する障害物が検知される。車両の進行方向に障害物が存在するか否かが判断される。車両の進行方向に障害物が存在すると判断された場合、車両が所定時間停止しているか否かが判断される。車両が所定時間停止していると判断された場合、停止判断領域の進行方向部分の長さが縮小される。停止判断領域内に障害物が検知されないように車両を走行させ、停止判断領域内に障害物が検知される直前に車両を停止させるように車両の運転が制御される。
したがって、車両の進行方向に障害物が存在すると判断され、かつ車両が所定時間停止していると判断された場合、停止判断領域の進行方向部分の長さが縮小されるので、周囲の環境に応じて障害物との間に保つ距離を変更することができる。また、車両は停止判断領域を確保した状態で障害物に向かって進行するので、他の車両の通行の妨げにならないように車両の運転を制御することができる。
本開示の他の態様に係る運転制御プログラムは、自律的に移動する車両の運転を制御する運転制御プログラムであって、コンピュータを、前記車両の周囲を囲むように規定され、内部に障害物が検知される直前に前記車両を停止させる停止判断領域を初期設定する領域初期設定部と、前記車両の周囲に存在する前記障害物を検知する検知部と、前記車両の進行方向に前記障害物が存在するか否かを判断する障害物判断部と、前記車両の進行方向に前記障害物が存在すると判断された場合、前記車両が所定時間停止しているか否かを判断する車両状況判断部と、前記車両が所定時間停止していると判断された場合、前記停止判断領域の進行方向部分の長さを縮小する領域変更部と、前記停止判断領域内に前記障害物が検知されないように前記車両を走行させ、前記停止判断領域内に前記障害物が検知される直前に前記車両を停止させる運転制御部として機能させる。
この構成によれば、車両の周囲を囲むように規定され、内部に障害物が検知される直前に車両を停止させる停止判断領域が初期設定される。車両の周囲に存在する障害物が検知される。車両の進行方向に障害物が存在するか否かが判断される。車両の進行方向に障害物が存在すると判断された場合、車両が所定時間停止しているか否かが判断される。車両が所定時間停止していると判断された場合、停止判断領域の進行方向部分の長さが縮小される。停止判断領域内に障害物が検知されないように車両を走行させ、停止判断領域内に障害物が検知される直前に車両を停止させるように車両の運転が制御される。
したがって、車両の進行方向に障害物が存在すると判断され、かつ車両が所定時間停止していると判断された場合、停止判断領域の進行方向部分の長さが縮小されるので、周囲の環境に応じて障害物との間に保つ距離を変更することができる。また、車両は停止判断領域を確保した状態で障害物に向かって進行するので、他の車両の通行の妨げにならないように車両の運転を制御することができる。
以下添付図面を参照しながら、本開示の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本開示を具体化した一例であって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1に係る車両制御システムの構成を示すブロック図である。図1に示す車両制御システムは、運転制御装置1とカメラ2とを備える。運転制御装置1は、自律的に移動する車両の運転を制御する。なお、車両は、自動車であるが、本開示は特にこれに限定されず、車両は、オートバイ、トラック、バス、電車及び飛行体などの種々の車両であってもよい。
カメラ2は、車両に配置され、車両の周囲の画像を撮影する。カメラ2は、車両の前方、後方、右方及び左方の画像を撮影する。
運転制御装置1は、車両に配置される。運転制御装置1は、プロセッサ10及びメモリ20を備える。
メモリ20は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ハードディスクドライブ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、光ディスク及び半導体メモリ等である。メモリ20は、プロセッサ10により実行される運転制御プログラムを記憶している。
プロセッサ10は、例えばCPU(中央演算処理装置)であり、メモリ20に記憶されている運転制御プログラムを実行する。プロセッサ10は、障害物検知部101、周辺環境判断部102、車両状況判断部103、安全領域設定部104及び車両制御部(運転制御部)105を備える。
障害物検知部101は、カメラ2によって撮影された画像に基づいて、車両の周囲に存在する障害物を検知する。障害物は、例えば、人物又は他の車両である。障害物検知部101は、車両の周囲に存在する人物を検知するとともに、車両の周囲に存在する他の車両を検知する。
周辺環境判断部102は、障害物検知部101による検知結果に基づいて、車両の進行方向に障害物が存在するか否かを判断する。周辺環境判断部102は、障害物検知部101による検知結果に基づいて、車両の進行方向に人物が存在するか否かを判断する。また、周辺環境判断部102は、障害物検知部101による検知結果に基づいて、車両の進行方向に他の車両が存在するか否かを判断する。
車両状況判断部103は、車両の進行方向に障害物が存在すると判断された場合、車両が所定時間停止しているか否かを判断する。また、車両状況判断部103は、車両が所定時間停止していないと判断した場合、車両が所定時間徐行しているか否かを判断する。なお、徐行とは、車両が直ちに停止することができるような速度で進行することである。車両状況判断部103は、車両が所定時間例えば時速10キロメートル以下の速度で運転しているか否かを判断する。
安全領域設定部104は、安全領域初期設定部(領域初期設定部)110及び安全領域変更部(領域変更部)111を備える。
安全領域初期設定部110は、車両の周囲を囲むように規定され、内部に障害物が検知される直前に車両を停止させる安全領域(停止判断領域)を初期設定する。安全領域変更部111は、車両が所定時間停止していると判断された場合、安全領域の進行方向部分の長さを縮小する。
図2は、初期設定される安全領域の一例を示す図である。図2に示すように、道路300を車両301が通行する場合、安全領域初期設定部110は、安全領域302を初期設定する。初期設定される安全領域302は、予めメモリ20に記憶されている。安全領域302は、車両の周囲を囲むように仮想的に規定され、車両を停止させるか否かの判断に用いられる。安全領域302は、長方形状であり、車両301の前方、後方、左方及び右方に向かって車両301から所定の長さを有している。安全領域302の進行方向の部分は、安全領域302の進行方向とは逆方向の部分よりも長くなっており、図2では、車両301の前方が進行方向となっている。
安全領域変更部111は、車両の進行方向に人物が存在し、かつ車両が所定時間停止していると判断された場合、安全領域の進行方向部分の長さを所定の長さだけ縮小する。すなわち、安全領域変更部111は、車両の進行方向に人物が存在し、かつ車両が所定時間停止していると判断された場合、安全領域の進行方向部分の長さを所定の時間毎に所定の長さだけ段階的に縮小する。なお、縮小する所定の長さは、安全領域の進行方向部分の長さよりも短く、安全領域の進行方向部分の長さに対する所定の割合の長さである。また、安全領域の縮小可能な下限値は予め決められており、安全領域の進行方向部分の長さが下限値に達した場合は、下限値以上に縮小されることはない。
図3は、進行方向部分の長さを縮小する安全領域の一例を示す図である。図3に示すように、安全領域変更部111は、車両の進行方向に人物が存在し、かつ車両が所定時間停止していると判断された場合、安全領域302の進行方向部分の長さを矢印303の方向に所定の時間毎に段階的に縮小する。
また、安全領域変更部111は、車両の進行方向に他の車両が存在し、かつ車両が所定時間停止していると判断された場合、安全領域の進行方向部分の長さ及び幅方向部分の長さを所定の長さだけ縮小する。すなわち、安全領域変更部111は、車両の進行方向に他の車両が存在し、かつ車両が所定時間停止していると判断された場合、安全領域の進行方向部分の長さ及び幅方向部分の長さを所定の時間毎に所定の長さだけ段階的に縮小する。なお、安全領域の進行方向部分を縮小する所定の長さと、安全領域の幅方向部分を縮小する所定の長さとは異なっていてもよい。進行方向部分を縮小する所定の長さは、安全領域の進行方向部分の長さよりも短く、安全領域の進行方向部分の長さに対する所定の割合の長さである。また、安全領域の縮小可能な下限値は予め決められており、安全領域の進行方向部分の長さが下限値に達した場合は、下限値以上に縮小されることはない。また、幅方向部分を縮小する所定の長さは、安全領域の幅方向部分の長さよりも短く、安全領域の幅方向部分の長さに対する所定の割合の長さである。また、安全領域の縮小可能な下限値は予め決められており、安全領域の幅方向部分の長さが下限値に達した場合は、下限値以上に縮小されることはない。
図4は、進行方向部分の長さ及び幅方向部分の長さを縮小する安全領域の一例を示す図である。図4に示すように、安全領域変更部111は、車両の進行方向に他の車両が存在し、かつ車両が所定時間停止していると判断された場合、安全領域302の進行方向部分の長さを矢印303の方向に所定の時間毎に所定の長さだけ段階的に縮小するとともに、安全領域302の幅方向部分の長さを矢印304の方向に所定の時間毎に所定の長さだけ段階的に縮小する。
さらに、安全領域変更部111は、車両の進行方向に人物が存在し、かつ車両が所定時間徐行していると判断された場合、安全領域の進行方向部分の長さ及び幅方向部分の長さを所定の長さだけ縮小する。すなわち、安全領域変更部111は、車両の進行方向に人物が存在し、かつ車両が所定時間徐行していると判断された場合、安全領域の進行方向部分の長さ及び幅方向部分の長さを所定の時間毎に所定の長さだけ段階的に縮小する。進行方向部分を縮小する所定の長さは、安全領域の進行方向部分の長さよりも短く、安全領域の進行方向部分の長さに対する所定の割合の長さである。また、安全領域の縮小可能な下限値は予め決められており、安全領域の進行方向部分の長さが下限値に達した場合は、下限値以上に縮小されることはない。また、幅方向部分を縮小する所定の長さは、安全領域の幅方向部分の長さよりも短く、安全領域の幅方向部分の長さに対する所定の割合の長さである。また、安全領域の縮小可能な下限値は予め決められており、安全領域の幅方向部分の長さが下限値に達した場合は、下限値以上に縮小されることはない。
車両制御部105は、車両を自律的に走行させる。車両制御部105は、安全領域内に障害物が検知されないように車両を走行させ、安全領域内に障害物が検知される直前に車両を停止させる。
また、車両制御部105は、安全領域の面積が大きくなるにつれて車両の速度が速くなるように車両を制御する。すなわち、車両制御部105は、例えば、下記の式(1)に基づいて車両の速度を算出してもよい。
速度=(安全領域の面積×係数)1/2・・・(1)
これにより、安全領域の面積が大きいほど速度は速くなり、安全領域の面積が小さくなるほど速度は遅くなることになる。進行方向に障害物が存在しない場合は、安全領域の面積が大きくなるので速度が上がり、進行方向に障害物が存在する場合は、安全領域の面積が小さくなるので速度が下がり、より安全性を高めることができる。
続いて、本実施の形態1における運転制御装置の動作について説明する。
図5は、本実施の形態1における運転制御装置の動作について説明するためのフローチャートである。
まず、ステップS1において、安全領域初期設定部110は、運転開始時に安全領域を初期設定する。初期設定される安全領域は、車両の前方に所定の長さを有し、車両の左方向に所定の長さを有し、車両の右方向に所定の長さを有し、車両の後方に所定の長さを有している。
次に、ステップS2において、車両制御部105は、安全領域内に障害物が検知されないように車両を自律走行させる。車両制御部105は、安全領域内に障害物が検知される直前に車両を停止させる。
次に、ステップS3において、周辺環境判断部102は、車両の前方に人物が存在するか否かを判断する。なお、車両は、前方に進行しているとする。ここで、車両の前方に人物が存在すると判断された場合(ステップS3でYES)、ステップS4において、車両状況判断部103は、車両が所定時間停止しているか否かを判断する。なお、車両状況判断部103は、車両が備える速度センサ(不図示)から車両の速度を取得することにより、車両が所定時間停止しているか否かを判断することができる。
車両が所定時間停止していると判断された場合(ステップS4でYES)、ステップS5において、安全領域変更部111は、安全領域の前方部分の長さを所定の長さだけ縮小する。
一方、車両が所定時間停止していないと判断された場合(ステップS4でNO)、ステップS6において、車両状況判断部103は、車両が所定時間徐行しているか否かを判断する。なお、車両状況判断部103は、車両が備える速度センサ(不図示)から車両の速度を取得することにより、車両が所定時間徐行しているか否かを判断することができる。
車両が所定時間徐行していると判断された場合(ステップS6でYES)、ステップS7において、安全領域変更部111は、安全領域の前方部分、右方向部分及び左方向部分の長さを所定の長さだけ縮小する。
一方、車両が所定時間徐行していないと判断された場合(ステップS6でNO)、ステップS11の処理へ移行する。
ステップS3において車両の前方に人物が存在しないと判断された場合(ステップS3でNO)、ステップS8において、周辺環境判断部102は、車両の前方に他の車両が存在するか否かを判断する。ここで、車両の前方に他の車両が存在すると判断された場合(ステップS8でYES)、ステップS9において、車両状況判断部103は、車両が所定時間停止しているか否かを判断する。
車両が所定時間停止していると判断された場合(ステップS9でYES)、ステップS10において、安全領域変更部111は、安全領域の前方部分、右方向部分及び左方向部分の長さを所定の長さだけ縮小する。
一方、車両の前方に他の車両が存在しないと判断された場合(ステップS8でNO)、又は車両が所定時間停止していないと判断された場合(ステップS9でNO)、ステップS11の処理へ移行する。
次に、ステップS11において、車両制御部105は、車両の運転を終了するか否かを判断する。ここで、車両の運転を終了すると判断された場合(ステップS11でYES)、処理を終了する。一方、車両の運転を終了しないと判断された場合(ステップS11でNO)、ステップS2の処理へ戻る。
図6は、車両の前方に人物が存在する場合の安全領域の縮小処理を説明するための図である。
図6に示すように、人物305が道路300上に存在し、人物305は移動せずに留まっている。この場合、車両301は、安全領域302を保って停止することになる。そして、車両301の前方に人物305が存在すると判断され、かつ車両301が所定時間停止していると判断された場合、安全領域変更部111は、安全領域302の前方部分の長さを所定の長さだけ縮小する。安全領域302の前方部分の長さが縮小されることにより、車両301は、前方に進むことが可能になる。車両301は、人物305の近傍まで進み、再度安全領域302を保って停止することになる。安全領域302の前方部分の長さは、所定時間が経過する毎に徐々に縮小するため、車両301は、人物305に徐々に近づくことになる。このとき、車両301が人物305に近づくことにより、人物305は、車両301の接近に気付き、車両301の通行の妨げにならないように道路300の端に移動し、車両301が通行可能になる。
なお、本実施の形態1において、安全領域変更部111は、車両の操舵角を取得し、取得した操舵角に応じて、安全領域の進行方向の形状を変化させてもよい。
図7は、車両を駐車スペースに駐車させる際に安全領域の形状を変化させる処理について説明するための図である。図8は、車両を駐車スペースに駐車させる際に、安全領域の幅方向部分の長さを縮小した例を示す図である。図9は、車両を駐車スペースに駐車させる際に、安全領域の進行方向部分の形状を変化させた例を示す図である。図10は、車両を駐車スペースに駐車させる際に、安全領域の進行方向部分の長さを縮小させた例を示す図である。図7〜図10では、車両301が駐車スペース401に駐車する例について説明する。
図7に示すように、車両301が前方に向かって進行する際に、人物305aが車両301の進行方向に存在し、車両301は、安全領域302を保って停止することになる。このとき、図8に示すように、車両301は、安全領域302の幅方向部分の長さを縮小することにより、人物305aが安全領域302に入らないように進行することが可能になる。
続いて、図9に示すように、車両301は、駐車スペース401に駐車するために、車両301の後方に進行する。このとき、安全領域変更部111は、車両301の操舵角を取得し、取得した操舵角に応じて、安全領域302の進行方向の形状を変化させる。図9では、車両301は、進行方向(後方)に対して左方向に曲がるため、安全領域302の後方部分の形状が左方向に変形している。
その後、車両301は、後方に進行することになるが、人物305bが車両301の進行方向に存在し、車両301は、安全領域302を保って停止することになる。このとき、図10に示すように、車両301は、安全領域302の後方部分の長さを所定時間に応じて徐々に縮小することにより、人物305bに徐々に接近することになる。そして、人物305bが安全領域302に入らない位置に移動することにより、車両301は、駐車スペース401に駐車させることができる。
(実施の形態2)
実施の形態2では、車両が走行している走行レーンの幅に応じて安全領域の幅方向部分の長さを変化させる。
図11は、本実施の形態2に係る車両制御システムの構成を示すブロック図である。図11に示す車両制御システムは、運転制御装置1とカメラ2とGPS(Global Positioning System)3とを備える。なお、図11に示す運転制御装置において図1と同じ構成については説明を省略する。
GPS3は、車両に配置され、車両の現在位置を取得する。
運転制御装置1は、車両に配置される。運転制御装置1は、プロセッサ11及びメモリ21を備える。
メモリ21は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ハードディスクドライブ、ROM、RAM、光ディスク及び半導体メモリ等である。メモリ21は、プロセッサ11により実行される運転制御プログラムを記憶している。また、メモリ21は、地図データ記憶部201を備える。地図データ記憶部201は、地図データ(地図情報)を記憶する。
プロセッサ11は、例えばCPUであり、メモリ21に記憶されている運転制御プログラムを実行する。プロセッサ11は、障害物検知部101、周辺環境判断部1021、車両状況判断部103、安全領域設定部1041及び車両制御部105を備える。
周辺環境判断部1021は、車両の現在位置周辺の地図データを参照し、車両が走行している走行レーンの幅が所定の長さより短いか否かを判断する。
周辺環境判断部1021は、障害物検知部101による検知結果に基づいて、車両の進行方向に障害物が存在するか否かを判断する。周辺環境判断部1021は、障害物検知部101による検知結果に基づいて、車両の進行方向に人物が存在するか否かを判断する。また、周辺環境判断部1021は、障害物検知部101による検知結果に基づいて、車両の進行方向に他の車両が存在するか否かを判断する。
安全領域設定部1041は、安全領域初期設定部(領域初期設定部)110及び安全領域変更部(領域変更部)112を備える。
安全領域初期設定部110は、車両の周囲を囲むように規定され、内部に障害物が検知される直前に車両を停止させる安全領域を初期設定する。安全領域変更部112は、車両が所定時間停止していると判断された場合、安全領域の進行方向部分の長さを所定の長さだけ縮小する。
安全領域変更部112は、車両の進行方向に人物が存在し、かつ車両が所定時間停止していると判断された場合、安全領域の進行方向部分の長さを所定の長さだけ縮小する。
安全領域変更部112は、車両の進行方向に他の車両が存在し、かつ車両が所定時間停止していると判断された場合、安全領域の進行方向部分の長さ及び幅方向部分の長さを所定の長さだけ縮小する。
安全領域変更部112は、車両の進行方向に人物が存在し、かつ車両が所定時間徐行していると判断された場合、安全領域の進行方向部分の長さ及び幅方向部分の長さを所定の長さだけ縮小する。
安全領域変更部112は、走行レーンの幅が所定の長さより短いと判断された場合、安全領域の幅方向部分の長さを縮小し、走行レーンの幅が所定の長さ以上であると判断された場合、走行レーンの幅の長さに応じて安全領域の幅方向部分の長さを拡大する。
続いて、本実施の形態2における運転制御装置の動作について説明する。
図12は、本実施の形態2における運転制御装置の動作について説明するための第1のフローチャートであり、図13は、本実施の形態2における運転制御装置の動作について説明するための第2のフローチャートである。
なお、ステップS21の処理は、図5に示すステップS1の処理と同じであるので、説明を省略する。
次に、ステップS22において、GPS3は、車両の現在位置を取得する。
次に、ステップS23において、周辺環境判断部1021は、GPS3によって取得された車両の現在位置周辺の地図データを地図データ記憶部201から取得する。
次に、ステップS24において、周辺環境判断部1021は、車両の現在位置周辺の地図データを参照し、車両が走行している走行レーンの幅が所定の長さより短いか否かを判断する。地図データは、現在位置の道路の状況、すなわち走行レーンの幅の長さを示している。
ここで、走行レーンの幅が所定の長さより短いと判断された場合(ステップS24でYES)、ステップS25において、安全領域変更部112は、安全領域の右方向部分及び左方向部分の長さを縮小する。このとき、安全領域変更部112は、安全領域の幅方向の長さを車両の幅に合わせて縮小する。
一方、走行レーンの幅が所定の長さ以上であると判断された場合(ステップS24でNO)、ステップS26において、安全領域変更部112は、安全領域の右方向部分及び左方向部分の長さを拡大する。安全領域変更部112は、例えば、安全領域の幅方向の長さを走行レーンの幅に合わせて拡大する。
ステップS27〜ステップS36の処理は、図5に示すステップS2〜ステップS11の処理と同じであるので、説明を省略する。
図14は、走行レーンの幅の長さに応じて安全領域の幅方向部分の長さを変更する処理を説明するための図である。
図14に示すように、第1の車両3011と第2の車両3012とが道路300を互いに対向する方向に向かって進んでいる。このとき、道路300の幅は、所定の長さより短い。そのため、第1の車両3011の安全領域変更部112は、安全領域3021の幅方向の長さを第1の車両3011の幅に合わせて縮小し、第2の車両3012の安全領域変更部112は、安全領域3022の幅方向の長さを第2の車両3012の幅に合わせて縮小する。これにより、第1の車両3011と第2の車両3012とは、互いの安全領域3021,3022に互いの車両が入らないように、擦れ違うことができる。
また、走行レーンの幅の長さに応じて安全領域の幅方向部分の長さが変更され、安全領域の前方部分の長さは変更されないので、人物305が道路300に現れたとしても、安全に停止させることができる。
このように、走行レーンの幅が所定の長さより短いと判断された場合、安全領域の幅方向部分の長さが縮小されるので、狭い道路で車両同士が安全に擦れ違うことができる。また、走行レーンの幅が所定の長さ以上であると判断された場合、走行レーンの幅の長さに応じて安全領域の幅方向部分の長さが拡大されるので、障害物が入らないようにする範囲を広げることができ、より安全性を高めることができる。
(実施の形態3)
実施の形態3では、車両が守るべき交通ルールが守られている場合に、安全領域の進行方向部分の長さを縮小させる。
図15は、本実施の形態3に係る車両制御システムの構成を示すブロック図である。図15に示す車両制御システムは、運転制御装置1とカメラ2とGPS3とを備える。なお、図15に示す運転制御装置において図1及び図11と同じ構成については説明を省略する。
運転制御装置1は、車両に配置される。運転制御装置1は、プロセッサ12及びメモリ22を備える。
メモリ22は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ハードディスクドライブ、ROM、RAM、光ディスク及び半導体メモリ等である。メモリ22は、プロセッサ12により実行される運転制御プログラムを記憶している。また、メモリ22は、地図データ記憶部201及び交通ルール記憶部202を備える。交通ルール記憶部202は、法律で規定されている車両が守るべき交通ルールを示す情報を記憶している。例えば、交通ルール記憶部202は、標識と、標識に対する交通ルールとを対応付けて記憶する。すなわち、一時停止を意味する標識には、一時停止するという交通ルールが対応付けられ、徐行を意味する標識には、徐行するという交通ルールが対応付けられている。また、例えば、交通ルール記憶部202は、信号と、信号に対する交通ルールとを対応付けて記憶する。すなわち、赤信号には、停止するという交通ルールが対応付けられている。
プロセッサ12は、例えばCPUであり、メモリ22に記憶されている運転制御プログラムを実行する。プロセッサ12は、障害物検知部101、周辺環境判断部1022、車両状況判断部103、安全領域設定部1042及び車両制御部105を備える。
周辺環境判断部1022は、車両の現在位置周辺の地図データを参照し、車両が走行している走行レーンの幅が所定の長さより短いか否かを判断する。
周辺環境判断部1022は、障害物検知部101による検知結果に基づいて、車両の進行方向に障害物が存在するか否かを判断する。周辺環境判断部1022は、障害物検知部101による検知結果に基づいて、車両の進行方向に人物が存在するか否かを判断する。また、周辺環境判断部1022は、障害物検知部101による検知結果に基づいて、車両の進行方向に他の車両が存在するか否かを判断する。
周辺環境判断部1022は、カメラ2によって撮影された周囲の画像又は地図データ記憶部201から取得した地図データに基づいて、車両の現在位置において守るべき交通ルールを交通ルール記憶部202から取得する。例えば、カメラ2によって撮影された周囲の画像に標識が含まれている場合、周辺環境判断部1022は、当該標識を認識し、認識した標識に対応する交通ルールを交通ルール記憶部202から取得する。
安全領域設定部1042は、安全領域初期設定部(領域初期設定部)110及び安全領域変更部(領域変更部)113を備える。
安全領域初期設定部110は、車両の周囲を囲むように規定され、内部に障害物が検知される直前に車両を停止させる安全領域を初期設定する。安全領域変更部113は、車両が所定時間停止していると判断された場合、安全領域の進行方向部分の長さを所定の長さだけ縮小する。
安全領域変更部113は、車両の進行方向に人物が存在し、かつ車両が所定時間停止していると判断された場合、安全領域の進行方向部分の長さを所定の長さだけ縮小する。
安全領域変更部113は、車両の進行方向に他の車両が存在し、かつ車両が所定時間停止していると判断された場合、安全領域の進行方向部分の長さ及び幅方向部分の長さを所定の長さだけ縮小する。
安全領域変更部113は、車両の進行方向に人物が存在し、かつ車両が所定時間徐行していると判断された場合、安全領域の進行方向部分の長さ及び幅方向部分の長さを所定の長さだけ縮小する。
安全領域変更部113は、走行レーンの幅が所定の長さより短いと判断された場合、安全領域の幅方向部分の長さを縮小し、走行レーンの幅が所定の長さ以上であると判断された場合、走行レーンの幅の長さに応じて安全領域の幅方向部分の長さを拡大する。
安全領域変更部113は、車両が所定時間停止していると判断された場合、車両の現在位置において交通ルールに基づいて走行可能であるか否かを判断し、走行可能であると判断した場合、安全領域の進行方向部分の長さを縮小する。
例えば、交通ルールが一時停止するである場合、安全領域変更部113は、車両が所定時間停止したと判断した場合、走行可能であると判断する。また、例えば、交通ルールが赤信号で停止するである場合、安全領域変更部113は、信号が赤であれば走行不可能であると判断し、信号が赤でなければ(信号が青であれば)走行可能であると判断する。
続いて、本実施の形態3における運転制御装置の動作について説明する。
図16は、本実施の形態3における運転制御装置の動作について説明するための第1のフローチャートであり、図17は、本実施の形態3における運転制御装置の動作について説明するための第2のフローチャートである。
なお、ステップS41〜ステップS43の処理は、図12に示すステップS21〜ステップS23の処理と同じであるので、説明を省略する。
次に、ステップS44において、周辺環境判断部1022は、カメラ2によって撮影された周囲の画像又は地図データ記憶部201から取得した地図データに基づいて、車両の現在位置において守るべき交通ルールを交通ルール記憶部202から取得する。
ステップS45〜ステップS50の処理は、図12及び図13に示すステップS24〜ステップS29の処理と同じであるので、説明を省略する。
次に、ステップS51において、安全領域変更部113は、周辺環境判断部1022によって取得された交通ルールに基づいて車両が走行可能であるか否かを判断する。ここで、走行不可能であると判断された場合(ステップS51でNO)、ステップS60の処理へ移行する。
一方、走行可能であると判断された場合(ステップS51でYES)、ステップS52において、安全領域変更部113は、安全領域の前方部分の長さを所定の長さだけ縮小する。
ステップS53の処理は、図13に示すステップS31の処理と同じであるので、説明を省略する。
次に、ステップS54において、安全領域変更部113は、周辺環境判断部1022によって取得された交通ルールに基づいて車両が走行可能であるか否かを判断する。ここで、走行不可能であると判断された場合(ステップS54でNO)、ステップS60の処理へ移行する。
一方、走行可能であると判断された場合(ステップS54でYES)、ステップS55において、安全領域変更部113は、安全領域の前方部分、右方向部分及び左方向部分の長さを所定の長さだけ縮小する。
ステップS56及びステップS57の処理は、図13に示すステップS33及びステップS34の処理と同じであるので、説明を省略する。
次に、ステップS58において、安全領域変更部113は、周辺環境判断部1022によって取得された交通ルールに基づいて車両が走行可能であるか否かを判断する。ここで、走行不可能であると判断された場合(ステップS58でNO)、ステップS60の処理へ移行する。
一方、走行可能であると判断された場合(ステップS58でYES)、ステップS59において、安全領域変更部113は、安全領域の前方部分、右方向部分及び左方向部分の長さを所定の長さだけ縮小する。
ステップS60の処理は、図13に示すステップS36の処理と同じであるので、説明を省略する。
このように、車両の現在位置における交通ルールに基づいて車両が走行可能であるか否かが判断され、車両が走行可能であると判断された場合、安全領域の進行方向部分の長さが縮小されるので、交通ルールを確実に守りながら車両の運転を制御することができる。
(実施の形態4)
実施の形態4では、車両の進行方向であり、障害物検知部101が障害物を検知できない位置に配置された外部センサによって、外部センサの近傍に障害物が存在するか否かが検知され、外部センサの近傍に障害物が存在する場合に、安全領域の進行方向部分の長さが拡大される。
図18は、本実施の形態4に係る車両制御システムの構成を示すブロック図である。図18に示す車両制御システムは、運転制御装置1とカメラ2とGPS3と外部カメラ4とを備える。なお、図18に示す運転制御装置において図1及び図11と同じ構成については説明を省略する。
外部カメラ4は、車両の進行方向であり、障害物検知部101が障害物を検知できない位置に配置され、外部カメラ4の近傍に存在する障害物を検知する。外部カメラ4は、外部カメラ4の近傍に障害物が存在するか否かを示す検知情報を送信する。外部カメラ4は、例えば街頭に設置された監視カメラである。外部カメラ4は、外部カメラ4の周囲の所定の範囲内に届くように、検知情報をブロードキャストする。外部カメラ4は、検知情報を定期的に送信する。
運転制御装置1は、車両に配置される。運転制御装置1は、プロセッサ13、メモリ21及び通信部(検知情報取得部)30を備える。
通信部30は、外部カメラ4によって送信された検知情報を受信する。通信部30は、車両の進行方向であり、障害物検知部101が障害物を検知できない位置に配置された外部カメラ4から、外部カメラ4の近傍に障害物が存在するか否かを示す検知情報を取得する。なお、本実施の形態4では、運転制御装置1は、1つの外部カメラ4と通信可能に接続されているが、本開示は特にこれに限定されず、複数の外部カメラ4と通信可能に接続されていてもよい。
プロセッサ13は、例えばCPUであり、メモリ21に記憶されている運転制御プログラムを実行する。プロセッサ13は、障害物検知部101、周辺環境判断部102、車両状況判断部103、安全領域設定部1043及び車両制御部105を備える。
安全領域設定部1043は、安全領域初期設定部(領域初期設定部)110及び安全領域変更部(領域変更部)114を備える。
安全領域変更部114は、周辺環境判断部102によって車両の進行方向に障害物が存在しないと判断され、通信部30によって障害物が存在することを示す検知情報が取得された場合、安全領域の進行方向部分の長さを拡大する。外部カメラ4は、車両から死角になる位置に配置されているので、障害物が存在することを示す検知情報が受信された場合、車両の死角から障害物が出現する可能性が高くなる。そこで、安全領域の進行方向部分の長さを拡大することにより、障害物との間の距離をより長く保って停止することが可能になり、より安全性を高めることができる。
また、安全領域変更部114は、周辺環境判断部102によって車両の進行方向に障害物が存在しないと判断され、通信部30によって障害物が存在しないことを示す検知情報が取得された場合、車両制御部105において用いられる速度算出式を、車両の速度がより速くなる速度算出式に変更する。より具体的には、安全領域変更部114は、上記の式(1)における係数の値を大きくする。すなわち、車両において障害物が検知されず、かつ車両から死角になる位置に配置されている外部カメラ4においても障害物が検知されない場合、障害物が突然出現する可能性が低くなるため、車両の速度を上げても十分に安全性を確保することができる。
なお、検知情報は、外部カメラ4の位置を示す位置情報を含んでもよい。これにより、地図データから車両の進行方向に配置された外部カメラ4を特定することができ、地図上のどの位置に障害物が存在するかを特定することができる。
続いて、本実施の形態4における運転制御装置の動作について説明する。
図19は、本実施の形態4における運転制御装置の動作について説明するための第1のフローチャートであり、図20は、本実施の形態4における運転制御装置の動作について説明するための第2のフローチャートであり、図21は、本実施の形態4における運転制御装置の動作について説明するための第3のフローチャートである。
なお、ステップS71〜ステップS73の処理は、図12に示すステップS21〜ステップS23の処理と同じであるので、説明を省略する。
次に、ステップS74において、通信部30は、外部カメラ4によって送信された検知情報を取得する。
ステップS75〜ステップS86の処理は、図12及び図13に示すステップS24〜ステップS35の処理と同じであるので、説明を省略する。
ステップS84で前方に他の車両が存在しないと判断された場合(ステップS84でNO)、ステップS87において、安全領域変更部114は、外部カメラ4から受信した検知情報に基づいて、車両の進行方向の死角に人物又は車両などの障害物が存在するか否かを判断する。
ここで、死角に障害物が存在すると判断された場合(ステップS87でYES)、ステップS88において、安全領域変更部114は、安全領域の前方部分の長さを拡大する。
一方、死角に障害物が存在しないと判断された場合(ステップS87でNO)、ステップS89において、安全領域変更部114は、車両制御部105において用いられる速度算出式を、車両の速度がより速くなる速度算出式に変更する。
ステップS90の処理は、図13に示すステップS36の処理と同じであるので、説明を省略する。
図22は、車両の進行方向の死角に障害物が存在する場合に安全領域の進行方向部分の長さを拡大する処理を説明するための図である。
図22に示すように、外部カメラ4は、外部カメラ4の近傍に存在する人物305を検知し、外部カメラ4の近傍に人物305が存在することを示す検知情報を運転制御装置1へ送信する。安全領域変更部114は、外部カメラ4から受信した検知情報に基づいて、車両3011の進行方向の死角に障害物が存在するか否かを判断する。このとき、検知情報は、人物305が存在することを示しているので、安全領域変更部114は、車両の進行方向の死角に障害物が存在すると判断し、安全領域3021の前方部分の長さを拡大する。
図23は、車両の進行方向の死角に障害物が存在しない場合に運転制御部において用いられる速度算出式を変更する処理を説明するための図である。
図23に示すように、外部カメラ4の近傍には、障害物は存在していない。そのため、外部カメラ4は、外部カメラ4の近傍に障害物が存在しないことを示す検知情報を運転制御装置1へ送信する。安全領域変更部114は、外部カメラ4から受信した検知情報に基づいて、車両3011の進行方向の死角に障害物が存在するか否かを判断する。このとき、検知情報は、障害物が存在しないことを示しているので、安全領域変更部114は、車両3011の進行方向の死角に障害物が存在しないと判断し、車両制御部105において用いられる速度算出式を、車両3011の速度がより速くなる速度算出式に変更する。
なお、本実施の形態1〜4において、安全領域は、車両の周囲を囲む矩形状の1つの領域で表されるが、本開示は特にこれに限定されず、安全領域は、車両の周囲に形成された複数の分割領域で表されてもよい。
図24は、本実施の形態1〜4の変形例において、車両の前方及び側方に形成された安全領域の一例を示す図であり、図25は、本実施の形態1〜4の変形例において、車両の側方及び後方に形成された安全領域の一例を示す図である。
図24に示すように、安全領域302は、車両301の前方に規定された第1の分割安全領域302aと、車両301の左方に規定された第2の分割安全領域302bと、車両301の右方に規定された第3の分割安全領域302cとを含んでもよい。この場合、車両制御部105は、例えば、下記の式(2)に基づいて車両の速度を算出してもよい。
速度=Σ(各分割安全領域の面積×各分割安全領域の係数)・・・・(2)
すなわち、車両制御部105は、第1の分割安全領域302aの面積に第1の分割安全領域302aに対応する係数を乗算した値と、第2の分割安全領域302bの面積に第2の分割安全領域302bに対応する係数を乗算した値と、第3の分割安全領域302cの面積に第3の分割安全領域302cに対応する係数を乗算した値との加算値を、車両301の速度として算出してもよい。
また、図25に示すように、安全領域302は、車両301の右方に規定された第1の分割安全領域302aと、車両301の後方に規定された第2の分割安全領域302bとを含んでもよい。図25では、車両301は、右後方に向かってバックしているため、第2の分割安全領域302bの形状は、矩形状ではなく、湾曲している。この場合も、車両制御部105は、例えば、上記の式(2)に基づいて車両の速度を算出してもよい。
また、本実施の形態1〜4において、メモリは、大きさの異なる複数の安全領域を予め記憶してもよく、安全領域変更部は、複数の安全領域の中から、車両の周囲に設定すべき安全領域を選択してもよい。
また、実施の形態1〜4では、障害物検知部101は、カメラ2によって撮影された画像に基づいて、車両の周囲に存在する障害物を検知しているが、本開示は特にこれに限定されず、障害物検知部101は、ミリ波センサ又はLIDAR(Light Detection and Ranging)等の他のセンサによって取得された情報に基づいて、車両の周囲に存在する障害物を検知してもよい。
本開示において、ユニット、装置、部材又は部の全部又は一部、又は図に示されるブロック図の機能ブロックの全部又は一部は、半導体装置、半導体集積回路(IC)、又はLSI(Large Scale Integration)を含む一つ又は複数の電子回路によって実行されてもよい。LSI又はICは、一つのチップに集積されてもよいし、複数のチップを組み合わせて構成されてもよい。例えば、記憶素子以外の機能ブロックは、一つのチップに集積されてもよい。ここでは、LSIやICと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、若しくはULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるものであってもよい。LSIの製造後にプログラムされる、Field Programmable Gate Array(FPGA)、又はLSI内部の接合関係の再構成又はLSI内部の回路区画のセットアップができるReconfigurable Logic Deviceも同じ目的で使うことができる。
さらに、ユニット、装置、部材又は部の全部又は一部の機能又は操作は、ソフトウエア処理によって実行することが可能である。この場合、ソフトウエアは一つ又は複数のROM、光学ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録され、ソフトウエアが処理装置(Processor)によって実行されたときに、そのソフトウエアで特定された機能が処理装置(Processor)および周辺装置によって実行される。システム又は装置は、ソフトウエアが記録されている一つ又は複数の非一時的記録媒体、処理装置(Processor)、及び必要とされるハードウエアデバイス、例えばインターフェース、を備えていてもよい。