JP6857986B2 - 立体経編地 - Google Patents

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Description

本発明は、立体経編地に関する。
近年、ウレタンフォームなどのクッション材に変わり、表裏地組織を連結糸で連結した立体編物が採用され、衣料やインテリア資材、産業資材など様々な分野に用いられている。
産業資材としては車両用内装材が挙げられるが、なかでも昨今では、そのクッション性を生かして、自動車の内装部品、例えばインストルメントパネル(以後、インパネともいう)の裏材として用いられている。インパネの裏側(車室内空間と反対側)には、エアバッグが内蔵されている。インパネは、基材と該基材の表面に貼着された裏材とからなる。裏材は、立体織物に基布や表皮等を貼着したもの等が用いられている。そして、自動車の衝突時に、エアバッグの膨張圧によりインパネを破壊してエアバッグが展開されるため、インパネの基材および裏材である立体編物には開裂溝が形成されている。
例えば、特許文献1には、基材と、同基材の表面に貼着された表皮材とを有する車両用の内装パネルにおいて、基布層と、同基布層の表面に貼着された表皮層と、同基布層の裏面に貼着されたクッション層とからなる表皮材のうち、クッション層の裏面にのみに基材の開裂溝に対応した開裂溝が形成された車両用の内装パネルが開示されている。クッション層の開裂溝は、レーザー加工やトムソン刃を用いた加工、コールドナイフやホットナイフを用いた加工にて形成されている。この開裂溝の形成は、一般的には手作業で行われる。また、基材の表面に対して表皮材を貼着する際に、基材の開裂溝と表皮材の開裂溝とが一致するようにこれらの位置合せを行なわなければならない。そのため、作業負荷が大きいという問題がある。
特開2015−93555号公報
本発明は、別工程で表皮材に開裂溝を形成しなくとも、エアバッグの膨張圧により基材の開裂溝に沿って表皮材を開裂させることによりエアバッグを展開させることができる、インパネの裏材として適した立体経編物を提供することを目的とする。
本発明の立体経編地は、表裏地組織が連結糸で連結された立体経編地であり、裏地組織
が、引裂き強度の異なる地組織部を幅方向に交互に配列されてなるものである。前記裏地組織の引裂き強度の小さい地組織部の長さ方向の引裂き強度が170〜330N/50mmの範囲であり、かつ、前記裏地組織の引裂き強度の小さい地組織部の幅方向の引裂き強度が110〜300N/50mmの範囲である。本発明の立体経編地は、エアバッグを内蔵した車両内装材の裏材用の立体経編地である。
記裏地組織の引裂き強度の大きい地組織部の長さ方向の引裂き強度が200〜520N/50mmの範囲であることが好ましい。
記裏地組織の引裂き強度の大きい地組織部の幅方向の引裂き強度が160〜360N/50mmの範囲であることが好ましい。

前記裏地組織の引裂き強度の小さい地組織部の長さ方向の引裂き強度を1とした場合、前記裏地組織の引裂き強度の大きい地組織部の長さ方向の引裂き強度が1.2〜2.2の範囲であることが好ましい。
前記裏地組織の引裂き強度の小さい地組織部の幅方向の引裂き強度を1とした場合、前記裏地組織の引裂き強度の大きい地組織部の幅方向の引裂き強度が1.0〜2.0の範囲であることが好ましい。
前記立体経編地の引張強度が、長さ方向が280〜500N/50mmの範囲であり、幅方向が250〜450N/50mmの範囲であることが好ましい。
前記裏地組織において、引裂き強度の小さい地組織部を形成する糸条の繊度が22〜220dtexの範囲であり、引裂き強度の大きい地組織部を形成する糸条の繊度が33〜550dtexの範囲であり、且つ、引裂き強度の小さい地組織部を形成する糸条の繊度が引裂き強度の大きい地組織部を形成する糸条の繊度より小さいことが好ましい。
前記立体経編地の厚みが1.5〜10mmの範囲であり、連結糸に用いられる糸条の繊度が22〜440dtexの範囲であることが好ましい。
下記式から算出される立体経編地の25.4mm四方当りのニードルループ数が500〜2800個の範囲であることが好ましい。
ニードルループ数(個)
= コース密度(コース/25.4mm)×ウエル密度(ウエル/25.4mm)
下記式から算出される連結糸の25.4mm四方当りの総繊度が26000〜462000dtexの範囲であることが好ましい。
連結糸の総繊度(dtex)
= 連結糸の繊度(dtex)×コース密度(コース/25.4mm)
×ウエル密度(ウエル/25.4mm)×2
連結糸におけるモノフィラメント糸の占有率が50〜100%の範囲であることが好ましい。
前記裏地組織において、下記式にて算出される25.4mm四方当たりのシンカーループ数が、引裂き強度の小さい地組織部が0〜2800本の範囲であり、引裂き強度の大きい地組織部が800〜8000本の範囲であることが好ましい。
25.4mm四方当たりのシンカーループ数(本)
= 糸条の振り数(アンダーラップ数)×シンカーループを構成する糸の本数
×コース密度(コース/25.4mm)×ウエル密度(ウエル/25.4mm)
前記裏地組織において、引裂き強度の小さい地組織部の幅方向を形成するニードルループ数が1〜112個の範囲であり、引裂き強度の大きい地組織部の幅方向を形成するニードルループ数が1〜112個の範囲であることが好ましい。
本発明によれば、別工程で表皮材に開裂溝を形成しなくとも、エアバッグの膨張圧により基材の開裂溝に沿って表皮材を開裂させることによりエアバッグを展開させることができる、インパネの裏材として適した立体編物を提供することができる。
ダブルラッセル編機の主要部を示す概略図である。 本発明の立体経編地の裏地組織において、引裂き強度の異なる地組織が幅方向に交互に配列されている状態の模式図である。 実施例1の組織図である。 実施例2の組織図である。 実施例5の組織図である。 比較例2の組織図である。
本発明にかかる立体経編地は、表裏地組織が連結糸で連結されてなる立体経編地であり、裏地組織が、引裂き強度の異なる地組織部を幅方向に交互に配列されてなるものである。
裏地組織が引裂き強度の異なる地組織部を幅方向に交互に配列されてなることにより、別工程で表皮材に開裂溝を形成しなくともエアバッグの膨張圧により基材の開裂溝に沿って表皮材を開裂させることが可能となる。
なお、本発明において裏地組織とは、エアバッグが内蔵されたインパネの裏材として用いる際に、基材側(車室内空間と反対側)になる編地組織をいう。また、引裂き強度の異なる地組織部のうち、一番大きな引裂き強度を有する地組織部を「引裂き強度の大きい地組織部」といい、一番小さな引裂き強度を有する地組織部を「引裂き強度の小さい地組織部」という。
本発明において立体経編地とは、経編編成による三次元構造の編地をいい、2つの地組織とそれらを連結する連結糸とからなる。かかる立体経編地は、例えば、図1に示すような6枚筬L1〜L6を有するダブルラッセル編機を用いて編成することができる。図1において、N1、N2はそれぞれ編機幅方向に並列する前後2列のニードル、T1、T2は前後の針釜(トリックプレート)を示し、Y1〜Y6は各筬L1〜L6のガイド部G1〜G6に通糸される編糸を示している。B1〜B6は各編糸のビームを示す。
そして、図1のダブルラッセル編機による編成において、例えば、2枚の筬L1、L2に導糸される編糸Y1、Y2を地糸としてニードルN1により裏地組織が編成され、2枚の筬L5、L6に導糸される編糸Y5、Y6を地糸としてニードルN2により表地組織が編成され、筬L3、L4に導糸される編糸Y3、Y4を連結糸として前記ニードルN1、N2により前記表裏地組織に準じ交互に編み込まれ、該連結糸により前記表裏地組織が連結される。図1の符号Dは編成された立体経編地を示す。
なお、裏地組織を編成する筬としては少なくとも2枚の筬を用いればよく、上限は特に限定されるものでもないが5枚以下であることが好ましい。表地組織を編成する筬としては、少なくとも1枚の筬を用いればよく、上限は特に限定されるものでもないが5枚以下であることが好ましい。また、連結糸用の筬としては、少なくとも1枚の筬を用いればよく、上限は特に限定されるものでもないが3枚以下であることが好ましい。
ここで、裏地組織は、例えば、筬L1に糸抜き配列(具体的には、1in1out等のフルセットではない状態)で導糸される地糸により編成される編組織と、筬L2にフルセットで導糸される地糸により編成される編組織とを同時編成により一体化させてなる。裏地組織を構成する少なくとも1つの編組織を糸抜き配列で編成することにより、幅方向に任意の間隔で地糸の少ない地組織部と地糸の多い地組織部を交互に配列することができる。これにより、地糸の少ない地組織部が引裂き強度の小さい地組織部となり、地糸の多い地組織部が引裂き強度の大きい地組織部となり、裏地組織に引裂き強度の異なる地組織部を幅方向に任意の間隔で交互に配列されることになる。
裏地組織を形成する編組織は、糸抜き配列で導糸される編組織(以後、第一の編組織ともいう)、主にフルセットで導糸される編組織(以後、第二の編組織ともいう)の何れも特に限定されるものではなく、公知の編組織、例えば、鎖編組織、デンビ編組織、コード編組織等が挙げられる。なかでも、第一の編組織は、伸び特性や強度の観点からデンビ編組織、コード編組織、挿入組織が好ましく、第二の編組織は、エアバッグの膨張圧による開裂のしやすさの観点から鎖編組織、デンビ編組織が好ましい。なお、第二の編組織は、糸抜き配列で導糸される地糸により編成される編組織であってもよい。
また、糸抜き配列で導糸される筬と主にフルセットで導糸される筬の位置関係は、強度などの物性を適宜考慮して変更可能であり、上述の位置関係に限定されない。
表地組織を形成する編組織は、特に限定されるものでなく、公知の編組織、例えば鎖編組織、コード編組織、デンビ編組織、アトラス編組織、挿入組織等を1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも伸び特性や強度の観点からデンビ編組織、コード編組織が好ましい。
連結糸の表裏地組織への連結組織としては、特に限定されるものではないが、表地組織の連結部に相対する裏地組織の部分と、次の裏地組織の連結部との幅方向における距離(ループ数)が、4ループ以下であることが好ましく、より好ましくは3ループ以下である。幅方向における距離(ループ数)が4ループを超えると、表裏地組織と連結糸のなす角度が鋭角になり、連結糸の幅方向における本数が多くなるため、エアバッグの膨張圧による開裂がうまくいかない虞がある。
立体経編地を編成する際の編機のゲージは特に限定されるものでなく、適宜選択することが可能であるが、14〜30ゲージであることが好ましく、より好ましくは22〜28ゲージである。14ゲージ未満であると、立体経編地のクッション性が悪くなり、インパネの触感を損なう虞がある。30ゲージを超えると、編成が困難になったり、エアバッグの膨張圧による開裂がうまくいかなかったりする虞がある。
立体経編地の仕上がり後のコース密度は20〜65コース/25.4mmであることが好ましく、より好ましくは22〜60コース/25.4mmである。また、立体経編地の仕上がり後のウエル密度は14〜48ウエル/25.4mmであることが好ましく、より好ましくは16〜44ウエル/25.4mmである。密度が各々の下限値未満であると、立体経編地のクッション性や保型性が損なわれる虞がある。密度が各々の上限値を超えると、立体経編地が粗硬になりエアバッグの膨張圧による開裂がうまくいかない虞がある。
立体経編地の25.4mm四方当りのニードルループ数は500〜2800個の範囲であることが好ましく、より好ましくは700〜2600個の範囲である。ニードルループ数が500個未満であると、立体経編地のクッション性や保型性が損なわれる虞がある。ニードルループ数が2800個を超えると、立体経編地が粗硬になりエアバッグの膨張圧による開裂がうまくいかない虞がある。
なお、立体経編地の25.4mm四方当たりのニードルループ数は、下記式から算出することができる。
立体経編地の25.4mm四方当りのニードルループ数(個)
= コース密度(コース/25.4mm)×ウエル密度(ウエル/25.4mm)
立体経編地の裏地組織において、引裂き強度の小さい地組織部の25.4mm四方当たりのシンカーループ数は、0〜2800本の範囲であることが好ましく、より好ましくは1200〜2000本の範囲である。シンカーループ数が2800本を超えると、立体経編地が粗硬になりエアバッグの膨張圧による開裂がうまくいかない虞がある。
一方、引裂き強度の大きい地組織部の25.4mm四方当たりのシンカーループ数は、800〜8000本の範囲であることが好ましく、より好ましくは1700〜7800本の範囲である。シンカーループ数が800本未満であると、立体経編地のクッション性や保型性が損なわれる虞がある。シンカーループ数が8000本を超えると、立体経編地が粗硬で伸びにくくなり、加工時に皺が生じる虞がある。
なお、立体経編地の裏地組織における25.4mm四方当たりのシンカーループ数は、下記式から算出することができる。
25.4mm四方当たりのシンカーループ数(本)
= 糸条の振り数(アンダーラップ数)×シンカーループを構成する糸の本数
×コース密度(コース/25.4mm)×ウエル密度(ウエル/25.4mm)
立体経編地の裏地組織において、引裂き強度の小さい地組織部の幅方向を形成するニードルループ数は、1〜112個の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜84個の範囲であり、さらに好ましくは1〜44個の範囲である。ニードルループ数が1個未満であると、エアバッグの膨張圧による開裂がうまくいかない虞がある。ニードルループ数が112個を超えると、立体経編地の強度が不十分となる虞がある。
一方、引裂き強度の大きい地組織部の幅方向を形成するニードルループ数は、1〜112個の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜84個の範囲であり、さらに好ましくは1〜44個の範囲である。ニードルループ数が1個未満であると、立体経編地の強度が不十分となる虞がある。ニードルループ数が112個を超えると、エアバッグの膨張圧による開裂がうまくいかない虞がある。
立体経編地の裏地組織において、引裂き強度の異なる地組織の配列の形状は、図2に示したように、経方向(長さ方向)に平行の形状(直線状)のみならず、蛇行した形状にしてもよい。これによりエアバッグの形状に合わせて、すなわち基材の開裂溝に合わせて、所望の位置に配置することが可能である。
表裏地組織を編成する地糸及び連結糸に用いられる糸条(編糸)の繊維素材は特に限定されるものでなく、天然繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維等、従来公知の繊維から適宜選択することが可能である。なかでも強度に優れるという理由により合成繊維が好ましく、特にはポリエステルが好ましい。また、伸び特性の観点から、仮撚り加工やタスラン加工などを施した捲縮糸であることが好ましい。
表裏地組織を編成する地糸に用いられる糸条(編糸)の形態も特に限定されるものでなく、紡績糸(単繊維糸)、マルチフィラメント糸、モノフィラメント糸(以上、長繊維糸)等、従来公知の形態の糸条を適宜選択することが可能である。なかでも、表裏地組織には、インパネの裏材に用いた際の加工性(成形性)の観点から、マルチフィラメント糸、特には捲縮性が付与されたマルチフィラメント糸を用いることが好ましい。
連結糸に用いられる糸条の形態も特に限定されるものでないが、保型性の観点からはモノフィラメント糸が、触感の観点からはマルチフィラメント糸が好ましく、これらを併用してもよい。連結糸におけるモノフィラメント糸の占有率は、60〜100%の範囲であることが好ましく、より好ましくは70〜100%の範囲である。60%未満であると、保型性が悪くエアバッグの膨張圧による開裂がうまくいかない虞がある。
表裏地組織を編成する地糸に用いられる糸条の繊度(総繊度)は特に限定されないが、22〜440dtexであることが好ましく、より好ましくは22〜330dtexである。繊度が22dtex未満であると、立体経編地の強度を満足できない虞がある。繊度が440dtexを超えると、エアバッグの膨張圧による開裂がうまくいかない虞がある。
表裏地組織を編成する繊維(単繊維)の繊度(以下、単糸繊度という)も特に限定されるものではないが、0.5〜3dtexであることが好ましい。単糸繊度が0.5dtex未満であると、立体経編地の強度を満足できない虞がある。単糸繊度が3dtexを超えると、エアバッグの膨張圧による開裂がうまくいかない虞がある。
裏地組織において、強度の異なる地組織部のうち、引裂き強度の小さい地組織部を形成する糸条の繊度(主にフルセットで導糸される糸条の繊度)は、22〜330dtexであることが好ましく、より好ましくは22〜167dtexである。繊度が22dtex未満であると、立体経編地の強度を満足できない虞がある。繊度が330dtexを超えると、エアバッグの膨張圧による開裂がうまくいかない虞がある。
一方、引裂き強度の大きい地組織部を形成する糸条の繊度(糸抜き配列で導糸される糸条の繊度と、主にフルセットで導糸される糸条の繊度の和)は、44〜550dtexであることが好ましく、より好ましくは44〜440dtexである。繊度が44dtex未満であると、立体経編地のクッション性や保型性が損なわれる虞がある。繊度が550dtexを超えると、立体経編地が粗硬になり、エアバッグの膨張圧による開裂がうまくいかない虞がある。
連結糸に用いられる糸条の繊度(総繊度)は、22〜440dtexであることが好ましく、より好ましくは22〜330dtexである。繊度が22dtex未満であると、立体経編地の厚み保持が困難となり、クッション性が損なわれる虞がある。繊度が440dtexを超えると、立体経編地の伸び特性が損なわれ、インパネの裏材としての加工性(成形性)が悪くなる虞がある。
連結糸に用いられる繊維(単繊維)の繊度(以下、単糸繊度という)は、22〜330dtexであることが好ましく、より好ましくは22〜167dtexである。単糸繊度が22dtex未満であると、立体経編地の厚み保持が困難となり、クッション性が損なわれる虞がある。単糸繊度が330dtexを超えると、立体経編地の伸び特性が損なわれ、インパネの裏材としての加工性(成形性)が悪くなる虞がある。
連結糸の25.4mm四方当りの総繊度は、26000〜462000dtexの範囲であることが好ましく、より好ましくは36000〜320000dtexの範囲である。総繊度が26000dtex未満であると、立体経編地のクッション性や保型性が損なわれる虞がある。総繊度が462000dtexを超えると、立体経編地が粗硬になりエアバッグの膨張圧による開裂がうまくいかない虞がある。
なお、連結糸の25.4mm四方当たりの総繊度は、下記式から算出することができる。
連結糸の25.4mm四方当たりの総繊度(dtex)
= 連結糸の繊度(dtex)×コース密度(コース/25.4mm)
×ウエル密度(ウエル/25.4mm)×2
立体経編地の厚みは、1.5〜10mmであることが好ましく、より好ましくは1.5〜7.0mmである。厚みが1.5mm未満であると、立体経編地のクッション性や保型性が損なわれる虞がある。厚みが10mmを超えると、立体経編地が粗硬になり、エアバッグの膨張圧による開裂がうまくいかない虞がある。
立体経編地の裏地組織において、引裂き強度の小さい地組織部の長さ方向の引裂き強度は、170〜330N/50mmであることが好ましく、より好ましくは180〜300N/50mmである。引裂き強度が170N/50mm未満であると、立体経編地の強度が不十分となる虞がある。引裂き強度が330N/50mmを超えると、エアバッグの膨張圧による開裂がうまくいかない虞がある。
また、引裂き強度の大きい地組織部の長さ方向の引裂き強度は、200〜520N/50mmであることが好ましく、より好ましくは220〜460N/50mmである。引裂き強度が200N/50mm未満であると、立体経編地の強度が不十分となる虞がある。引裂き強度が520N/50mmを超えると、立体経編地がエアバッグの膨張圧による開裂がうまくいかない虞がある。
さらに、引裂き強度の小さい地組織部の長さ方向の引裂き強度を1とした場合、引裂き強度の大きい地組織部の長さ方向の引裂き強度が1.2〜2.2の範囲であることが好ましく、より好ましくは1.3〜2.1の範囲である。1.2未満であると、立体経編地の強度が損なわれる虞がある。2.2を超えると、立体経編地がエアバッグの膨張圧による開裂がうまくいかない虞がある。
立体経編地の裏地組織において、引裂き強度の小さい地組織部の幅方向の引裂き強度は、110〜300N/50mmであることが好ましく、より好ましくは110〜280N/50mmである。引裂き強度が110N/50mm未満であると、立体経編地の強度が不十分となる虞がある。引裂き強度が300N/50mmを超えると、エアバッグの膨張圧による開裂がうまくいかない虞がある。
また、引裂き強度の大きい地組織部の幅方向の引裂き強度は、160〜360N/50mmであることが好ましく、より好ましくは180〜350N/50mmである。引裂き強度が160N/50mm未満であると、立体経編地の強度が不十分となり保型性が損なわれる虞がある。引裂き強度が360N/50mmを超えると、エアバッグの膨張圧による開裂がうまくいかない虞がある。
さらに、引裂き強度の小さい地組織部の幅方向の引裂き強度を1とした場合、引裂き強度の大きい地組織部の幅方向の引裂き強度が1.0〜2.0の範囲であることが好ましく、より好ましくは1.0〜1.8の範囲である。1.0未満であると、立体経編地の強度が損なわれる虞がある。2.0を超えると、立体経編地がエアバッグの膨張圧による開裂がうまくいかない虞がある。
立体経編地において、長さ方向の引張強度が280〜500N/50mmの範囲であることが好ましく、より好ましくは300〜450N/50mmの範囲である。引張強度が280N/50mm未満であると立体経編地の強度が損なわれる虞がある。引張強度が500N/50mmを超えると、立体経編地がエアバッグの膨張圧による開裂がうまくいかない虞がある。
また、幅方向の引張強度が250〜450N/50mmの範囲であることが好ましく、より好ましくは280〜380N/50mmの範囲である。引張強度が250N/50mm未満であると立体経編地の強度が損なわれる虞がある。引張強度が450N/50mmを超えると、立体経編地がエアバッグの膨張圧による開裂がうまくいかない虞がある。
立体経編地は、破裂強度が500〜1100kPaの範囲であることが好ましく、張設時にしわが生じないという観点から、より好ましくは550〜950kPaの範囲である。破裂強度がこの範囲であることにより、エアバッグの膨張圧により問題なく開裂することができる。
本実施形態に係る立体経編地の用途は、インストルメントパネルの裏材に好適に用いることができる。さらに、エアバッグを内蔵した車両内装材の裏材、ドア材の裏材、天井材の裏材等に好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中における各評価は、以下の方法に従った。
[破裂強度]
JIS L1096 8.18 A法(ミューレン形法)に準拠して測定した。測定は試験片を5枚用いて行い、得られた測定値の平均値を破裂強度とし、下記基準に従って判定した。
○ : 550kPa以上、950kPa以下
△ : 500kPa以上、550kPa未満、
または、950kPa以上、1100kPa未満
× : 500kPa未満、または、1100kPa超え
[引裂き強度]
幅50mm、長さ250mmの大きさの試験片を、長さ方向・幅方向からそれぞれ5枚採取した。この時、試験片の中央に測定したい裏地組織がくるように配置して採取した。各試験片に試験片の長辺が上辺と下辺となるように上辺を100mm、下辺を150mmとした等脚台形のマークを付け、このマークの上辺の中央に、辺と垂直に10mmの切り込みを入れた。室温20±2℃、湿度65±5%RHの状況下で、試験片の短辺を、試験片にマークした等脚台形の上辺が張り、下辺がたるむようにしてつかみ具で挟み、引張試験機オートグラフAG−100A(株式会社島津製作所)を用いて、つかみ幅50mm、つかみ間隔100mm、つかみ具の移動速度200mm/minで試験片を引き裂いた。試験片が切断したときの平均荷重を測定し、各々の方向について5枚の試験片の中の最小値を引裂き強度とし、下記基準に従って判定した。
長さ方向(引裂き強度の大きい地組織部分)
○ : 220N/50mm以上、460N/50mm以下
△ : 200N/50mm以上、220N/50mm未満、
または、460N/50mm超え、520N/50mm以下
× : 200N/50mm未満、または、520N/50mm超え
長さ方向(引裂き強度の小さい地組織部分)
○ : 180N/50mm以上、300N/50mm以下
△ : 170N/50mm以上、180N/50mm未満、
または、300N/50mm超え、330N/50mm以下
× : 170N/50mm未満、または、330N/50mm超え
幅方向(引裂き強度の大きい地組織部分)
○ : 180N/50mm以上、350N/50mm以下
△ : 160N/50mm以上、180N/50mm未満、
または、350N/50mm超え、360N/50mm以下
× : 160N/50mm未満、または、360N/50mm超え
幅方向(引裂き強度の小さい地組織部分)
○ : 110N/50mm以上、280N/50mm以下
△ : 280N/50mm以上、300N/50mm未満
× : 110N/50mm未満、または、300N/50mm超え
[引張強度]
幅50mm、長さ250mmの大きさの試験片を、長さ方向・幅方向からそれぞれ5枚採取し、試験片の長さ方向の中央部に距離100mmの評点を記した。室温20±2℃、湿度65±5%RHの状況下で、試験片をつかみ具でたるみのないよう初期荷重が0.98Nとなるように挟み、引張試験機オートグラフAG−100A(株式会社島津製作所)を用いて、つかみ幅50mm、つかみ間隔150mm、つかみ具の移動速度200mm/minで試験片を引張り、破断に要する荷重を測定し、5枚の荷重のうち最低値を引張強度とし、下記基準に従って判定した。
長さ方向
○ : 300N/50mm以上、450N/50mm以下
△ : 280N/50mm以上、300N/50mm未満、
または、450N/50mm超え、500N/50mm以下
× : 280N/50mm未満、または、500N/50mm超え
幅方向
○ : 280N/50mm以上、380N/50mm以下
△ : 250N/50mm以上、280N/50mm未満、
または、380N/50mm超え、450N/50mm以下
× : 250N/50mm未満、または、450N/50mm超え
[実施例1]
28ゲージのダブルラッセル編機(RD6DPLM−77E−28G、カールマイヤー社製)を使用して、図3に示すように、筬L−1に56dtex/24fのポリエステルマルチフィラメント加工糸を19in9out(19本糸入れ、9本糸抜きで配列)で配列して2針振りのコード編組織(1−0/2−3)で、筬L−2に33dtex/12fのポリエステルマルチフィラメント加工糸をフルセットで配列してデンビ編組織(1−2/1−0)で裏地組織を編成し、筬L−3、L−4に22dtex/1fのポリエステルフィラメント糸をフルセットで配列して表裏地組織を連結し、筬L−5に33dtex/12fのポリエステルマルチフィラメント加工糸をフルセットで配列してデンビ編組織(1−2/1−0)で、筬L−6に56dtex/24fのポリエステル加工糸加工糸をフルセットで配列して2針振りのコード編組織(1−0/2−3)で使用して表地組織を編成した。
得られた編地をヒートセッターにて190℃で1分間プレセットしたのち、分散染料にて130℃で染色した後、乾燥し、ヒートセッターにて150℃で1分間仕上げセットして、仕上がり42コース/25.4mm、32ウエル/25.4mmで厚み3.0mmの立体経編地を得た。
[実施例2〜5および比較例1〜4]
表1および図3〜6に従い、実施例1と同様の手順で、立体経編地を得た。得られた立体経編地の評価結果を表1に示す。
Figure 0006857986

Claims (14)

  1. 表裏地組織が連結糸で連結された立体経編地であって、
    前記裏地組織が、引裂き強度の異なる地組織部を幅方向に交互に配列されてなり、
    前記裏地組織の引裂き強度の小さい地組織部の長さ方向の引裂き強度が170〜330N/50mmの範囲であり、かつ、前記裏地組織の引裂き強度の小さい地組織部の幅方向の引裂き強度が110〜300N/50mmの範囲であることを特徴とするエアバッグを内蔵した車両内装材の裏材用の立体経編地。
  2. 記裏地組織の引裂き強度の大きい地組織部の長さ方向の引裂き強度が200〜520N/50mmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグを内蔵した車両内装材の裏材用の立体経編地。
  3. 記裏地組織の引裂き強度の大きい地組織部の幅方向の引裂き強度が160〜360N/50mmの範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載のエアバッグを内蔵した車両内装材の裏材用の立体経編地。
  4. 前記裏地組織の引裂き強度の小さい地組織部の長さ方向の引裂き強度を1とした場合、前記裏地組織の引裂き強度の大きい地組織部の長さ方向の引裂き強度が1.2〜2.2の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエアバッグを内蔵した車両内装材の裏材用の立体経編地。
  5. 前記裏地組織の引裂き強度の小さい地組織部の幅方向の引裂き強度を1とした場合、前記裏地組織の引裂き強度の大きい地組織部の幅方向の引裂き強度が1.0〜2.0の範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のエアバッグを内蔵した車両内装材の裏材用の立体経編地。
  6. 前記立体経編地の引張強度が、長さ方向が280〜500N/50mmの範囲であり、幅方向が250〜450N/50mmの範囲であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のエアバッグを内蔵した車両内装材の裏材用の立体経編地。
  7. 前記裏地組織において、引裂き強度の小さい地組織部を形成する糸条の繊度が22〜220dtexの範囲であり、引裂き強度の大きい地組織部を形成する糸条の繊度が33〜550dtexの範囲であり、且つ、引裂き強度の小さい地組織部を形成する糸条の繊度が引裂き強度の大きい地組織部を形成する糸条の繊度より小さいことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のエアバッグを内蔵した車両内装材の裏材用の立体経編地。
  8. 前記立体経編地の厚みが1.5〜10mmの範囲であり、連結糸に用いられる糸条の繊度が22〜440dtexの範囲であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のエアバッグを内蔵した車両内装材の裏材用の立体経編地。
  9. 下記式から算出される立体経編地の25.4mm四方当りのニードルループ数が500〜2800個の範囲であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のエアバッグを内蔵した車両内装材の裏材用の立体経編地。
    ニードルループ数(個)
    = コース密度(コース/25.4mm)×ウエル密度(ウエル/25.4mm)
  10. 下記式から算出される連結糸の25.4mm四方当りの総繊度が26000〜462000dtexの範囲であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のエアバッグを内蔵した車両内装材の裏材用の立体経編地。
    連結糸の総繊度(dtex)
    = 連結糸の繊度(dtex)×コース密度(コース/25.4mm)
    ×ウエル密度(ウエル/25.4mm)×2
  11. 連結糸におけるモノフィラメント糸の占有率が50〜100%の範囲であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のエアバッグを内蔵した車両内装材の裏材用の立体経編地。
  12. 前記裏地組織において、下記式にて算出される25.4mm四方当たりのシンカーループ数が、引裂き強度の小さい地組織部が0〜2800本の範囲であり、引裂き強度の大きい地組織部が800〜8000本の範囲であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のエアバッグを内蔵した車両内装材の裏材用の立体経編地。
    25.4mm四方当たりのシンカーループ数(個)
    = 糸条の振り数(アンダーラップ数)×シンカーループを構成する糸の本数
    ×コース密度(コース/25.4mm)×ウエル密度(ウエル/25.4mm)
  13. 前記裏地組織において、引裂き強度の小さい地組織部の幅方向を形成するニードルループ数が1〜112個の範囲であり、引裂き強度の大きい地組織部の幅方向を形成するニードルループ数が1〜112個の範囲であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のエアバッグを内蔵した車両内装材の裏材用の立体経編地。
  14. 前記車両内装材が、インストルメントパネルある、請求項1〜13のいずれか1項に記載の立体経編地。
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