以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本明細書中の以下の説明において、シートの「搬送方向」及び「給紙方向」とは、給紙装置5から画像形成装置2へシートを搬送する方向を意味し、シートの「幅方向」とは、シートの搬送方向及び給紙方向に対してシート面内で交差する方向(本実施形態において、シートの搬送方向に対してシート面内で直交する方向)を意味するものとする。
最初に、図1を参照して、画像形成システム1の全体構成を説明する。画像形成システム1は、画像形成装置2と、原稿読取装置3と、原稿給送装置4と、給紙装置5と、シート集積装置6とを備えている。画像形成装置2は、100枚程度のシートを収納可能な給紙カセット7(図示されている実施形態では、2つの給紙カセット7a,7b)を備えている。画像形成装置2は、原稿読取装置3によって原稿画像から読み取られた画像データに基づいて、給紙カセット7a,7b及び給紙装置5のいずれか1つから供給されたシート上に画像形成を行い、画像形成されたシートをシート集積装置6に集積、収納する。原稿読取装置3には、原稿給送装置4によって原稿シートを給送することもできる。
画像形成システム1において記録紙として扱われるシートには、シートサイズ、厚さ即ち重さ、材質、性状、用途等において様々な種類のものを含むものとする。シートサイズでは、日常一般的なJIS規格のA4判、A3判、B5判、B4判や米国規格のレターサイズ、リーガルサイズ等に加えて、A0判、A1判、A2判等の規格品、及び規格外の大型、長尺なシートが含まれる。材質では、コピー紙に多く使用されている普通紙、コート紙等の光沢紙、再生紙、古紙、OHP用透明フィルムのようなプラスチックシート等が含まれる。更に、厚さ即ち重さ、硬さ、コシ、表面平滑度の異なるシートや、封筒等の加工品も含むものとする。
画像形成装置2は、例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ等であり、床面上に設置される。画像形成装置2は、シートに画像を形成することができればよく、様々な画像形成機構を採用することができる。図示されている実施形態では、画像形成機構として、静電式画像形成機構が採用されている。しかしながら、画像形成装置2の画像形成機構は、静電式画像形成機構に限定されるものではなく、インクジェット式画像形成機構、オフセット式画像形成機構等を採用することも可能である。
図1に示されている画像形成装置2は、投光器(レーザーヘッドなど)8と、感光ドラム9と、現像器10と、転写チャージャー11と、定着ローラー12とを備えている。感光ドラム9の表面に投光器8で静電潜像(静止画像)が形成されて、現像器10によって静電潜像にトナーが付着させられ、感光ドラム9上に付着されたトナーが給紙カセット7a,7b又は給紙装置5から供給されたシートに転写チャージャー11によって転写される。トナーが転写されたシートは、下流側に配置される定着ローラー12に送られて、シート上のトナーを加熱定着させられた後、排紙ローラー対13によってシート集積装置6へ排出される。
各給紙カセット7a,7bには、収納されているシートの最上面に接触してシートを送り出す送出ローラー14と、送り出されたシートを1枚ずつに分離して給送する分離ローラー対15とが設けられている。給紙カセット7a,7bから送出ローラー14により送り出されて分離ローラー対15により1枚ずつに分離されたシートは、搬送ローラー対16によって搬送され、搬送路17に沿って転写チャージャー11へ送られる。また、給紙装置5から給紙されるシートは、搬入ローラー対16aによって搬送路17に搬入され、同様に、搬送ローラー対16によって搬送路17に沿って転写チャージャー11へ送られる。
また、画像形成装置2の側部には、手差しトレイ18が設けられている。手差しトレイ18は、通常は、画像形成装置2の側部に沿うように閉じた状態で配置されている。シートの手差し供給を行うとき、手差しトレイ18は、画像形成装置2の側部から開いた状態に配置され、該手差しトレイ上に配置されたシートを搬送路17内に搬入できるようになっている。
原稿読取装置3の上部には、透明なガラスで形成された第1のプラテン19と第2のプラテン20とが水平方向に並設されている。第1のプラテン19は、手置きでセットされる原稿の読み取りに用いられ、対応可能な最大サイズの原稿を載置できるようなサイズに形成されている。第2のプラテン20は、原稿給送装置4から給送されて所定速度で移動する原稿の読み取りに用いられる。
原稿読取装置3の内部には、第1の読取キャリッジ21及び第2の読取キャリッジ22と、集光レンズ23及び光電変換素子24を有する光電変換手段が設けられている。第1の読取キャリッジ21及び第2の読取キャリッジ22は、図示されていないキャリッジモーターにより駆動されて、第1のプラテン19の下方を副走査方向に往復移動する。
第1の読取キャリッジ21には、光を原稿へ向けて照射するランプと、原稿から反射された光を反射するミラーとが設けられている。第2の読取キャリッジ22には、第1の読取キャリッジ21のミラーからの光を集光レンズ23及び光電変換素子24に案内する2つのミラーが設けられている。第1のプラテン19上の原稿の読み取りを行うときには、第1の読取キャリッジ21及び第2の読取キャリッジ22を移動させながら、第1の読取キャリッジ21から第1のプラテン19上に載置された原稿の画像へ光を照射して、原稿からの反射光を第1の読取キャリッジ21及び第2の読取キャリッジ22を介して光電変換素子24に案内し、電気信号に変換することによって、原稿から画像データを生成させる。
画像形成装置2には、コントロールパネル25と、画像データ記憶部26と、バッファメモリー27とが設けられている。画像形成されるシートの種類は、コントロールパネル25を用いて、例えばカラー印刷・モノクロ印刷、プリント部数、片面印刷・両面印刷、拡大・縮小印刷などの画像形成条件と共に、設定できるようになっている。画像データ記憶部26には、上述したように原稿読取装置3によって読み取られて光電変換素子24によって変換された画像データが記憶される。画像データ記憶部26には、例えばネットワークを通じて転送された画像データを記憶することもできる。画像データ記憶部26に記憶された画像データは、バッファメモリー27に転送され、バッファメモリー27から順次に投光器8に送信される。
原稿給送装置4は、給紙トレイ28と、シート搬送機構29と、排紙トレイ30とを備える。給紙トレイ28上に載置された原稿は、シート搬送機構29によって1枚ずつ搬送され、第2のプラテン20上を通過して、排紙トレイ30に排出される。原稿給送装置4から給送されて第2のプラテン20上を通過する原稿を読み取るとき、第1の読取キャリッジ21及び第2の読取キャリッジ22は、第2のプラテン20の下方で予め停止させておき、第2のプラテン20上を通過する原稿から画像データを生成させる。
次に、図2及び図3を参照して、給紙装置5の構造を詳細に説明する。給紙装置5は、画像形成装置2側に配置される筐体本体部31aと画像形成装置2から離れる方向に筐体本体部31aの上部から延びる筐体延長部31bとからなる筐体31と、筐体本体部31a内に引き出し機構32によって給紙方向(給紙装置5から画像形成装置2へシートを供給する方向)と直交する方向に引き出し可能に支持された収納庫33と、収納庫33内のシートを1枚ずつに分離して画像形成装置2へ向けて供給する分離給紙機構34と、給紙装置5を制御する制御装置35とを備える。収納庫33内には、上下方向に昇降可能な積載トレイ36が設けられている。筐体延長部31bの下方には、筐体延長部31bを支持する枠体37が設けられている。積載トレイ36は、平板状のプレート部材であり、積載トレイ36上に第1の種類のシート(以下、「通常サイズシート」と記載する)の全体を積載できるようになっている。
収納庫33の底部には、積載トレイ36が最大昇降範囲の下限位置に到達したことを検出する積載トレイ下限検出器38が設けられており、積載トレイ下限検出器38が積載トレイ36を検出すると、積載トレイ36の下降が停止させられるようになっている。収納庫33の上部には、積載トレイ36上に積載されたシートの最上面を検出する第1上面検出器39が設けられており、昇降機構40によって、シートの量に応じて積載トレイ36を移動させるようになっている。
画像形成装置2から離れる方向に筐体本体部31aの上部から延びる筐体延長部31bは、積載トレイ36の上面(積載面)が筐体延長部31bの底面よりも高い位置に位置しているときに積載トレイ36からはみ出したシートの給紙方向後端側部分を収納することができる。これにより、給紙装置5は、通常サイズシートよりも大きく積載トレイ36からはみ出すような第2の種類のシート(以下、「長尺シート」と記載する。)を収納し、画像形成装置2に供給することができるようになっている。
図示される第1の実施形態では、昇降機構40は、積載トレイ36の支持部に固定された複数本のワイヤ(図2中では簡略化して一本のワイヤのみを示している)と、対応するワイヤを巻き取る巻取プーリーと、巻取プーリーと対応する支持部との間に延びるワイヤを巻き掛ける中間プーリーと、巻取プーリーを回転駆動させる昇降モーターM1とによって構成されている。しかしながら、昇降機構40は、積載トレイ36を略水平状態を保ったまま昇降できるものであれば、特に限定されるものではない。
収納庫33は、上部に開口部が設けられた概略箱型形状を有しており、筐体31から引き出された状態のときに開口部を通して収納庫33内の積載トレイ36上にシートを装填、積載できるようになっている。筐体延長部31b側の収納庫33の側壁の上部には、切欠部33aが設けられており、収納庫33の内部の積載トレイ36を収容する空間(以下、「積載トレイ収容空間」と記載する)が筐体延長部31bと連通するようになっている。切欠部33aは、長尺シートが収納庫33から突出して筐体延長部31b内に延びることを許容するサイズになっている。
積載トレイ収容空間内には、積載トレイ36上のシートを幅方向(給紙方向と直交する方向)に挟んで位置する側端規制部材41a,41bと、積載トレイ36上の通常サイズシートの後端(給紙方向に画像形成装置2から遠い側の端部)側に位置する後端規制部材42とがさらに設けられている。積載トレイ36上のシートは、幅方向の両側端の位置が側端規制部材41a,41bによって規制され、通常サイズシートの場合に、給紙方向の後端の位置が後端規制部材42によって規制されるようになっている。
図示されている第1の実施形態では、側端規制部材41a,41bは、例えばラックとピニオンによって互いに連動してシート幅方向にスライド可能に収納庫33の底部に立設され、シート幅方向の移動を許容するように積載トレイ36に設けられた窓部36a,36bを貫通して延びている。後端規制部材42は、給紙方向にスライド可能に収納庫33の底部に立設され、給紙方向の移動を許容するように積載トレイ36に設けられた窓部36cを貫通して延びている。このような構成により、側端規制部材41a,41bや後端規制部材42を収納庫33の底部上で移動させて、シートサイズに応じて積載トレイ36上でシートの側端位置や給紙方向の後端位置を規制することができるようになっている。
後端規制部材42は、図4に詳細に示されているように、下部に設けられた支点を軸に給紙方向の下流側(すなわち、積載トレイ収容空間側)に回動できるように構成されている。これにより、長尺シートを積載トレイ36上に積載するときに後端規制部材42が積載の妨げとなることを防ぐことができる。
図示されている第1の実施形態では、筐体延長部31bは、筐体本体部31aの上部に対応する高さ位置にのみ設けられている。このため、長尺シートを収容する場合、積載トレイ36は筐体延長部31bの底面よりも高い位置にある必要がある。従って、後端規制部材42が、積載トレイ収容空間側に回動させて転倒させたときに、筐体延長部31bの底面よりも下方にあれば、図4(a)に示されている起立位置から90°回転させて完全に転倒させなくても、積載トレイ36上への長尺シートの積載の妨げにはならない。
そこで、図示されている第1の実施形態では、長尺シートへの対応の際に、図4(a)に示されているような起立位置から約60°だけ回転させて、図4(b)に示されているような転倒位置までしか転倒させず、転倒後の後端規制部材42の上端を、長尺シートを積載するときの積載トレイ36の下限位置よりも下方でかつ当該下限位置に近接した位置に配置させる。これにより、長尺シートに対応させるための後端規制部材42の移動量を最小限にして労力を抑えている。
積載トレイ36の窓部36cは、積載トレイ36が如何なる高さ位置にあるときも、後端規制部材42を起立位置から転倒位置へ、及び転倒位置から起立位置へ回転させることができる大きさに形成されている。
図示されている第1の実施形態では、更に、モード切換検出機構43によって後端規制部材42の回動位置を検出して、制御部35が給紙装置5内に通常サイズシートを収納する通常シートモードと給紙装置5内に長尺シートを収納する長尺シートモードとを切り換えるようになっている。後端規制部材42の回動位置を検出するモード切換検出機構43は、例えば、図4に示されているように、後端規制部材42に取り付けられた検出フラグ43aと、収納庫33の底板上をスライド移動可能で後端規制部材42を回動可能に支持するベース部材43bと、ベース部材43b上に設けたモード切換検出器43cとによって構成される。モード切換検出器43cは、後端規制部材42が起立位置に回動されたときに検出フラグ43aを検出し、かつ転倒位置に回動されているときにはフラグ43aを検出できない位置に配置すればよい。
もちろん、通常シートモードと長尺シートモードの切り換えは、他の機構によって検出してもよい。例えば、給紙装置5の外装面などに設けた操作ボタン44により行ってもよく、画像形成装置2のコントロールパネル25から行えるようにしてもよい。
分離給紙機構34は、積載トレイ36上に積載されたシートの最上面に接触してシートを送り出す主繰出ローラー45及び補助繰出ローラー61と、送り出されたシートを1枚ずつに分離して画像形成装置2へ搬送する分離搬送手段とを含んでいる。補助繰出ローラー61は、後述するように、積載トレイ36上に積載されたシートの種類に対応して(本実施形態では、積載されるシートが長尺シートの場合に)、選択的に主繰出ローラー45と協働するように構成されている。分離搬送手段は、給紙ローラー46と、給紙ローラー46に圧接して2枚目以降のシートの供給を阻止する分離ローラー47とによって構成されている。
給紙ローラー46及び分離ローラー47は、主繰出ローラー45(シートの種類によって、及び補助繰出ローラー61)によって積載トレイ36上から繰り出されたシートを上下から挟んで搬送するために、収納庫33の上端から給紙方向側に少し離れた位置に配置されている。給紙ローラー46は、図示されていない複数のギアやタイミングベルトを介して給紙モーターM2によって駆動され、給紙モーターM2の駆動により回転してシートを供給する。
分離ローラー47は、その回転軸にトルクリミッター(図示せず)が取り付けられている。これにより、給紙ローラー46と分離ローラー47との圧接部でシートが二枚以上重なってニップされたときに分離ローラー47が停止して、上から二枚目以降のシートの供給を阻止するようになっている。即ち、複数のシートが重なって給紙ローラー46と分離ローラー47とのニップ部に進入すると、給紙ローラー46の駆動力が最上位のシートに伝達される一方、分離ローラー47の回転が停止され、最上位のシートと上から二枚目以降のシートとの間で滑りが生じて、最上位のシートと上から二枚目以降のシートとが分離される。当然、分離ローラー47に代えて、分離パッドなど他の部材を用いてもよい。
主繰出ローラー45は、給紙ローラー46のシャフト周りに回動自在に支持されたブラケット48に回転可能に支持されて、給紙ローラー46よりも給紙方向上流側で積載トレイ36の上方に配置されている。主繰出ローラー45は、給紙モーターM2による給紙ローラー46のシャフトの回転が複数のギアを介して伝達されて、回転駆動される。また、主繰出ローラー45は、シートの上面に接触する作動位置とシートの上面から上方に離れた待機位置との間で、給紙ローラー46のシャフト周りに移動させることができる。本実施形態では、ソレノイド49の作動と停止を切り換えることにより、ブラケット48を給紙ローラー46のシャフト周りに回動させて、主繰出ローラー45を作動位置と待機位置との間で移動させている。
筐体延長部31b内には、積載トレイ36からはみ出した長尺シートの給紙方向後端側部分を支持する延長トレイ50が配置されている。延長トレイ50は、給紙装置5内に長尺シートを収納する際に、積載トレイ36に一体に連結される。これによって、延長トレイ50を積載トレイ36と一体で昇降させることが可能となる。本実施形態では、積載トレイ36の給紙方向上流側の側面(図3中の右側の側面)に複数の雌ネジ穴を設けると共に、延長トレイ50に給紙方向に貫通して延びる複数の貫通孔を積載トレイ36の前記雌ネジ穴と対応した位置に設け、先端部に雄ネジ部を形成した連結シャフト51を延長トレイ50の各貫通孔内に挿入して、該連結シャフト先端部の雄ネジ部を前記積載トレイ36側面の前記雌ネジ穴に螺合させることによって、積載トレイ36と延長トレイ50との連結を行っている。
補助繰出ローラー61は、図2及び図3に示すように、筐体延長部31b内に、延長トレイ50の給紙方向上流端より少し下流側の上方に位置するように配置されている。補助繰出ローラー61は、主繰出ローラー45と同様に、筐体延長部31b内をシート幅方向に延長するシャフト62の周りに回動自在に支持されたブラケット63の先端に、回転可能に支持されている。ブラケット63の先端には、シート幅方向に延長する駆動シャフト64が回動自在に貫装され、繰出ローラー61が駆動シャフト64上に一体に回転するように取り付けられている。駆動シャフト64は、図示されていない複数のギアやタイミングベルトを介して第2給紙モーターM3に連結され、第2給紙モーターM3を回転させると、補助繰出ローラー61を回転駆動するようになっている。
更に補助繰出ローラー61は、積載トレイ36からはみ出して延長トレイ50上に支持されている長尺シートの給紙方向後端部分の上面に接触する作動位置と、該上面から上方に離れた待機位置との間で、シャフト62周りに移動させることができるようになっている。本実施形態では、上述した主繰出ローラー45と同様に、ソレノイド65の作動と停止を切り換えることにより、ブラケット63をシャフト62周りに回動させて、補助繰出ローラー61を作動位置と待機位置との間で移動させている。
本実施形態において、補助繰出ローラー61は、図3に示すように、駆動シャフト64上に同軸に、シート幅方向に所定の距離を置いて装着された1対のローラー61a,61bで構成されている。1つの主繰出ローラー45が、積載トレイ36及び延長トレイ50のシート幅方向の中心線C上に配置されているのに対して、補助繰出ローラー61a,61bは、シート幅方向の中心線Cを挟んで対称に配置されている。このように配置した主繰出ローラー45と補助繰出ローラー61a,61bが協働することによって、積載トレイ36及び延長トレイ50上からシートを繰り出す際に、シートのスキュー、即ち給紙方向に関するシートの向きのずれ、及びシート幅方向への位置ずれを有効に防止又は軽減することができる。
筐体延長部31bの正面側(図2中の手前側)の外壁部は、収納庫33の正面側外装部と一体的に形成されており、収納庫33の引き出しに伴って筐体延長部31bから引き離されるように構成されている。従って、積載トレイ36に延長トレイ50が連結されている状態でも、収納庫33の引き出しに伴って筐体延長部31bから延長トレイ50を引き出すことができる。
筐体延長部31b内には、長尺シートの給紙方向後端側部分のシート幅方向の両側端の位置を規制する長尺シート側端規制部材52a,52bと、長尺シートの給紙方向後端の位置を規制する長尺シート後端規制部材53とが、延長トレイ50上に設けられている。図示されている実施形態では、長尺シート側端規制部材52a,52bは、例えばラックとピニオンによって、互いに連動して長尺シートの幅方向にスライド可能に、延長トレイ50上に取り付けられている。また、長尺シート後端規制部材53は、長尺シートの給紙方向にスライド可能に延長トレイ50上に取り付けられている。
筐体延長部31bの最下部には、積載トレイ36と共に昇降する延長トレイ50が筐体延長部31b内の最下降位置に到達したことを検出する延長トレイ下限検出器54が設けられている。延長トレイ下限検出器54が延長トレイ50を検出すると、制御部35が積載トレイ26の下降を停止させるようになっている。更に、収納庫33内に収容可能な通常サイズシートを給紙装置5に収納するときに、延長トレイ下限センサ54が延長トレイ50を検出した場合、積載トレイ36から延長トレイ50を取り外し忘れたと認識して報知することも可能となる。また、筐体延長部31b内には、積載トレイ36からはみ出して延長トレイ50上に支持されている長尺シートの給紙方向後端部分の最上面を検出するために、第2上面検出器66が設けられている。
第2上面検出器66は、例えばブラケット63の先端付近に設けられたセンサーフラグ(図示せず)を検出する検出センサーから構成することができる。この検出センサーは、延長トレイ50上の長尺シートの最上面が補助繰出ローラー61に当接してブラケット63が上方に回転すると、前記センサーフラグを検出することにより、延長トレイ50上に支持されている長尺シートの最上面を検出するようになっている。少なくとも第2上面検出器66は、延長トレイ50上の長尺シートの最上面がシート操出位置にあるときに、それを確実に検出できるように配置される。
一方、第2上面検出器66は、積載トレイ36及び延長トレイ50上に長尺シートが無い場合に、ブラケット63のセンサーフラグを検出することはない。従って、長尺シートモードに設定されている場合に、積載トレイ36に積載されているシートが長尺シートかどうかを、第2上面検出器66によって確認することができる。
制御装置35は、シート情報取得部35aと、積載トレイ制御部35bと、高さ位置設定部35cと、下限位置設定部35dと、給紙制御部35eとを含んでいる。シート情報取得部35aは、積載トレイ36上に積載されるシートの種類に関する情報を取得する。積載トレイ制御部35bは積載トレイ36の昇降動作を制御し、給紙制御部35eは分離給紙機構34の動作を制御する。
高さ位置設定部35cは、シート情報取得部35aにより取得されたシートの種類に基づいて、積載トレイ36上にシートを新たに積載するときに積載トレイを停止させる高さ位置(以下、「積載準備位置」と記載する)を設定する。下限位置設定部35dは、シート情報取得部35aにより取得されたシートの種類に基づいて、積載トレイ36の昇降範囲の下限位置を設定する。通常サイズシートの場合の積載準備位置である通常シートセット位置は、筐体本体部31aの底面と筐体延長部31bの底面との間に規定される。長尺シートの場合の積載準備位置である長尺シートセット位置は、筐体延長部31bの底面よりも高い位置に規定される。
積載トレイ制御部35bは、例えば積載トレイ36上に設けられたシート検出器56によってシートが検出されない状態(即ち、積載トレイ36上にシートが積載されていない状態)で収納庫33が筐体31内に収容されているときや、シートの補充のために筐体31から収納庫33を引き出したときなど、積載トレイ36上にシートを新たに積載するときに、高さ位置設定部35cによって設定された積載準備位置に積載トレイ36を移動させる。また、積載トレイ制御部35bは、積載トレイ36を下降させるときに、下限位置設定部35dによって設定された下限位置に積載トレイ36が到達すると、積載トレイ36の下降を停止させる。
第1の実施形態の給紙装置5では、制御装置35のシート情報取得部35aが、モード切換検出機構43による通常シートモード又は長尺シートモードの切り換えの検出によって、積載トレイ36上に積載されるシートの種類が通常サイズシート又は長尺シートのいずれであるかの情報を取得している。しかしながら、シート情報取得部35aは、給紙装置5の操作ボタン44や画像形成装置2のコントロールパネル25から、積載トレイ36上に積載されるシートが通常サイズシートか長尺シートかなどのシート種類に関する情報を取得してもよい。
第1の実施形態の給紙装置5において、通常シートモードの場合、下限位置設定部35dが、積載トレイ下限検出器38を選択して、積載トレイ下限検出器38によって検出される積載トレイ36の位置を下限位置として設定し、高さ位置設定部35cが、積載トレイ下限検出器38によって検出される積載トレイ36の下限位置を通常シートセット位置として設定するようになっている。これにより、積載トレイ制御部35bは、通常サイズシートのとき、上限位置(積載トレイ36上のシートが第1上面検出器39によって検出される高さ位置から所定量だけ積載トレイ36を上昇させた位置)と、積載トレイ下限検出器38によって検出される下限位置との間で、積載トレイ36を昇降させる。また、積載トレイ制御部35bは、積載トレイ36上に新たに通常サイズシートを補充積載させるときに、積載トレイ36を積載トレイ下限検出器38によって検出される下限位置に移動させる。
一方、長尺シートモードの場合、下限位置設定部35dが、延長トレイ下限検出器54を選択して、延長トレイ下限検出器54によって検出される延長トレイ50の位置を下限位置として設定し、高さ位置設定部35cが、延長トレイ50が延長トレイ下限検出器54によって検出されるときの積載トレイ36の位置を長尺シートセット位置として設定するようになっている。これにより、積載トレイ制御部35bは、長尺シートのとき、上限位置(積載トレイ36上のシートが第1上面検出器39によって検出される高さ位置から所定量だけ積載トレイ36を上昇させた位置)と、延長トレイ下限検出器54によって検出される下限位置との間で、積載トレイ36及び延長トレイ50を昇降させる。また、積載トレイ35制御部bは、積載トレイ36上に新たに長尺シートを補充積載させるときには、積載トレイ36及び延長トレイ50を延長トレイ下限検出器54によって検出される下限位置に移動させる。
以上のような構成の給紙装置5では、通常サイズシートを給紙する通常シートモードのときは、図5に示されているように、積載トレイ36と延長トレイ50との連結を解除して、後端規制部材42を起立状態にして収納庫33内の積載トレイ36上に通常サイズシートを積載する。積載トレイ36は、最上の通常サイズシートが所定の高さに到達するまで上昇させられて、分離給紙機構34により画像形成装置2に給紙可能な状態になる。この状態で積載トレイ36上からシートを繰り出す場合、分離給紙機構34は主繰出ローラー45だけが回転駆動される。
一方、長尺シートを給紙する長尺シートモードのときは、図6に示されているように、積載トレイ36を筐体延長部31bの底面よりも上方まで上昇させ、後端規制部材42を長尺シートの積載の妨げとならないように、その先端が積載トレイ36よりも下方に位置する転倒位置に回転させ、積載トレイ36に延長トレイ50を連結させた後に、長尺シートを積載する。このとき、積載トレイ36上からはみ出して収納庫33から延出したシートの給紙方向後端側部分は、画像形成装置2から遠い側の積載トレイ36の側部に連結された延長トレイ50により支持される。
積載トレイ36の上昇に伴ってそれに連結された延長トレイ50も上昇することにより、最上の長尺シートが略水平状態を保ちながら所定の高さまで上昇して、分離給紙機構34により画像形成装置2に給紙可能な状態になる。この状態で積載トレイ36及び延長トレイ50上からシートを繰り出す場合、後述するように、分離給紙機構34は、主繰出ローラー45と補助繰出ローラー61が同期して回転駆動される。
このように、給紙装置5は、通常サイズシートのみならず、積載トレイ36からはみ出すサイズの長尺シートも、外部環境に晒さずに筐体31内に大量の枚数を収容した状態で給紙することができる。また、延長トレイ50は積載トレイ36に連結されているので、延長トレイ50の昇降を積載トレイ36の昇降機構40で行うことができ、延長トレイ50の昇降のための昇降機構を別に設ける必要はなく、機構を簡素化することができる。
更に、長尺シートは通常サイズシートよりもサイズが大きく重いので、通常サイズシートと同じ枚数の長尺シートを積載トレイ36上に積載すると、通常サイズシートだけに対応している場合と比較して、より大きな出力が昇降機構40の昇降モーターM1に要求されることになる。図示されている第1の実施形態では、筐体延長部31bは、その底面が筐体本体部31aの底面よりも上方に位置するように設けられている。そのため、長尺シートの給紙の際には、積載トレイ36を筐体本体部31aの底面より上方に位置する筐体延長部31bの底面よりも上方まで移動させる必要があり、積載トレイ制御部35bも、筐体本体部31aの底面より上方に位置する筐体延長部31bの底面よりも上方の積載準備位置まで、積載トレイ36を移動させるようになっている。
この結果、積載トレイ36及び延長トレイ50上に積載できる長尺シートの量(枚数)が通常サイズシートの場合よりも少なくなるので、積載される長尺シートの最大積載重量を低減させることができる。従って、通常サイズシートのみを取り扱う場合と同じ出力の昇降モーターM1を用いて長尺シートに対応することが可能となる。
次に、図7を参照して、本実施形態の給紙装置5に収納するシートの種類を変更する手順を説明する。給紙装置5の上面に設けられた収納庫33のロック解除ボタン(図示せず)を操作者が押すと、収納庫33は、積載トレイ36が下降してロックが解除され、引き出し可能な状態となる。図示されている第1の実施形態において、収納庫33を引き出したとき、通常シートモードの場合には、積載トレイ36が、通常シートセット位置(即ち、積載トレイ下限検出器38によって検出される下限位置)へ移動され、長尺シートモードの場合には、積載トレイ36が、長尺シートセット位置(即ち、延長トレイ下限検出器54によって延長トレイ50が検出される下限位置)へ移動される。給紙装置5の筐体31から正面側(図2の手前側)へ収納庫33を引き出し(ステップS1)、収納庫33内の積載トレイ36上にシートが残存していれば、積載トレイ36上から残存しているシートを取り除く(ステップS2)。
次に、給紙装置5に収容するシートの種類を通常サイズシートから長尺シートに変更する場合(ステップS3)、筐体31から収納庫33を引き出した状態で、後端規制部材42を起立位置から転倒位置へ回動させ(ステップS4)、収納庫33を閉めて筐体31内に収容させる(ステップS5)。尚、積載トレイ36には窓部36cが設けられているために、積載トレイ36が如何なる位置にあっても、後端規制部材42が転倒時に積載トレイ36と干渉することはない。
収納庫33が閉じられると、シート情報取得部35aは、後端規制部材42の転倒位置への移動により、モード切換検出機構43のモード切換検出センサー43cが検出フラグ43aを検出できなくなって、長尺シートモードに切り換わったこと、即ち積載されるシートが長尺シートであることを認識すると共に、シート検出器56によって積載トレイ36上にシートが無いことを認識する。これにより、高さ位置設定部35cは、筐体延長部31bの底面よりも高い位置に規定された長尺シートセット位置を積載準備位置として設定し、下限位置設定部35dは、延長トレイ下限検出器54が延長トレイ50を検出するときの積載トレイ36の高さ位置を下限位置として設定する。この結果、積載トレイ制御部35bは、長尺シートセット位置まで積載トレイ36を上昇させる(ステップS6)。
尚、通常セット位置から長尺セット位置への積載トレイ36の上昇は、図2に示すエンコーダECを用いて制御される。即ち、通常セット位置から長尺セット位置に至る距離に相当するエンコーダECのパルス数を予め設定しておき、エンコーダECのパルス数が設定されたパルス数に到達すると積載トレイ36を停止するように、昇降モータM1を制御する。また、シート検出器56によって積載トレイ36上にシートがあることが検出した場合は、積載トレイを上昇させずに停止した状態で、エラーやシートの取り忘れを報知する。
長尺シートモードへの切り換えは、コントロールパネル25で長尺シートモードを選択することにより認識してもよく、操作ボタン44の操作によって認識してもよい。しかしながら、筐体31内に長尺シートを収容するためには、後端規制部材42を転倒位置に移動させる必要がある。更に、長尺シートを収容できる準備が整っていることを確認するためにも、長尺シートモードへの切り換えは、モード切換検出機構43によって認識することが好ましい。
積載トレイ36の長尺シートセット位置への上昇が完了したら、給紙装置5の筐体31から収納庫33を再度引き出し(ステップS7)、積載トレイ36に延長トレイ50を連結させる(ステップS8)。積載トレイ36と延長トレイ50との連結は、積載トレイ36の給紙方向後端側の側面に延長トレイ50の側面を向き合わせた状態で、延長トレイ50に設けられた複数の貫通孔の各々に連結シャフト51を挿入し、積載トレイ36の給紙方向後端側の側面に設けられた雌ネジ穴に連結シャフト51の先端の雄ネジ部を螺合させることによって行う。しかしながら、積載トレイ36と延長トレイ50との連結は、上記方法に限定されるものではなく、様々な方法によって行うことができる。
積載トレイ36に延長トレイ50を連結させた後、積載トレイ36と延長トレイ50上に長尺シートを積載して所定位置にセットする(ステップS9)。シートの積載が完了したら、収納庫33を再度閉めて筐体31内に収納させる(ステップS10)。積載トレイ36及び延長トレイ50上の長尺シートは、側端規制部材41a,41b、長尺シート側端規制部材52a,52b、長尺シート後端規制部材53を所定の位置まで移動させて、長尺シートの両側端を側端規制部材41a,41b及び長尺シート側端規制部材52a,52bに当接させると共に、長尺シートの給紙方向後端を長尺シート後端規制部材53に当接させることにより、所定の位置に配置される。
尚、筐体延長部31bの正面側の外壁部は、収納庫33の引き出しに伴って筐体延長部31bから引き離されるようになっているので、収納庫33の引き出し時に延長トレイ50が筐体延長部31bの外壁部に干渉することは無い。また、後端規制部材42は、その先端が長尺シートセット位置の積載トレイ36よりも下方に位置する転倒位置まで回転させているので、長尺シートを積載トレイ36から筐体延長部31bにまではみ出させることの妨げとはならない。
一方、給紙装置5に収容するシートの種類を長尺シートから通常サイズシートに変更する場合(ステップS3)には、筐体31から収納庫33を引き出した状態で、連結シャフト51先端の雄ネジ部と積載トレイ36の雌ネジ穴との螺合を解除して、連結シャフト51を延長トレイ50の貫通孔から引き抜き、積載トレイ36から延長トレイ50を取り外す(ステップS11)。尚、収納庫33の引き出し時には、長尺シートモードになっているので、積載トレイ36の昇降範囲の下限位置は下限位置設定部35dによって、延長トレイ下限検出器54が延長トレイ50を検出する位置に設定されている。従って、積載トレイ36及び延長トレイ50は、少なくとも筐体延長部31bの底面よりも上方に位置している。
本実施形態の場合には、延長トレイ検出器54が延長トレイ50を検出する位置が、長尺シートセット位置(長尺シートの場合の積載準備位置)として設定されている。そのため、積載トレイ制御部35bは、収納庫33が筐体31から引き出されるときに、延長トレイ検出器54が延長トレイ50を検出する位置まで、積載トレイ36及び延長トレイ50を下降させる。
また、筐体延長部31bの正面側の外壁部は、収納庫33の引き出しに伴って筐体延長部31bから引き離されるようになっているので、収納庫33の引き出し時に、延長トレイ50が筐体延長部31bの外壁部に干渉することはない。次に、後端規制部材42を転倒位置から起立位置へ回転させ(ステップS12)、収納庫33を閉めて筐体31内に収容させる(ステップS13)。尚、積載トレイ36には窓部36cが設けられているために、積載トレイ36が如何なる位置にあっても、後端規制部材42の転倒時に積載トレイ36と干渉することはない。
収納庫33が閉じられると、シート情報取得部35aは、後端規制部材42の起立位置への移動により、モード切換検出機構43のモード切換検出センサー43cが検出フラグ43aを検出して、通常シートモードに切り換わったこと、即ち積載されるシートが通常サイズシートであることを認識すると共に、シート検出器56によって積載トレイ36上にシートが無いことを認識する。これにより、高さ位置設定部35cは、筐体本体部31aの底部に規定された通常シートセット位置を積載準備位置として設定し、下限位置設定部35dは、積載トレイ36が積載トレイ下限検出器38によって検出される高さ位置を下限位置として設定する。この結果、積載トレイ制御部35bは、通常シートセット位置まで積載トレイ36を下降させる(ステップS14)。
通常シートモードへの切り換えは、コントロールパネル25で通常シートモードを選択することにより認識してもよく、操作ボタン44の操作によって認識してもよい。しかしながら、後端規制部材42が起立位置にあって、通常サイズシートを収容する準備が整っていることを確認するためにも、通常シートモードへの切り換えは、モード切換検出機構43によって認識することが好ましい。
積載トレイ36の通常シートセット位置への下降が完了したら、給紙装置5の筐体31から収納庫33を再度引き出し(ステップS15)、積載トレイ36上に通常サイズシートを積載して所定位置にセットする(ステップS16)。シートの積載が完了したら、収納庫33を再度閉めて筐体31内に収納させる(ステップS10)。積載トレイ36上の通常サイズシートは、側端規制部材41a,41b及び後端規制部材42を所定位置まで移動させて、通常サイズシートの両側端を側端規制部材41a,41bに当接させると共に、通常サイズシートの給紙方向後端を起立位置の後端規制部材42に当接させることにより、所定位置に配置される。
収納庫33が筐体31内に押し込まれて閉じられると、積載トレイ制御部35bは、図8に示されているように、積載トレイ36上に積載されるシートの最上面が繰出位置に配置されるように積載トレイ36を上昇させる。詳細には、積載トレイ制御部35bは、収納庫33が閉じられて開閉センサー(図示せず)がONになると(ステップS17)、昇降モーターM1を駆動させて積載トレイ36を上昇させる(ステップS18)。
通常シートモードの場合、上昇する積載トレイ36上の最上のシートの上面が主繰出ローラー45に当接し、主繰出ローラー45が僅かに持ち上げられて第1上面検出器39がONになると(ステップS19)、その第1上面検出器39がONになった位置から積載トレイ36を所定量だけ上昇させて昇降モーターM1を停止し、積載トレイ36の上昇を停止させる(ステップS20)。これによって、積載トレイ36上の最上のシートの上面が繰出位置に配置され、給紙の準備が完了する。
長尺シートモードの場合、積載されたシートの最上面が操出位置に配置された時点で、積載トレイ36上のシートが長尺シートか否かを確認する。長尺シートか否かの確認は、第1及び第2上面検出器39,66の検出結果に基づいて行われる。詳細に説明すると、長尺シートが積載トレイ36に積載されている場合には、第1及び第2上面検出器39,66の両方がONになる。この場合、シート情報取得部35aは、積載トレイ36に長尺シートが積載されていることを認識し、積載トレイ制御部35bは、昇降モーターM1を駆動させて積載トレイ36の上昇を続行させることになる。
従って、上昇する積載トレイ36及び延長トレイ50上の最上のシートの上面がそれぞれ主繰出ローラー45及び補助繰出ローラー61に当接し、それら繰出ローラー45、61を僅かに持ち上げて、第1上面検出器39及び第2上面検出器66がONになると(ステップS19)、両検出器39,66がONになった位置から積載トレイ36を所定量だけ上昇させて昇降モーターM1を停止し、積載トレイ36及び延長トレイ50の上昇を停止させる(ステップS20)。これによって、積載トレイ36及び延長トレイ50上の最上のシートの上面が繰出位置に配置され、給紙の準備が完了する。
これに対し、第1上面検出器39がONになったときに、第2上面検出器66がOFFであると、シート情報取得部35aは、積載トレイ36に通常サイズシートが積載されていると認識し、設定されているシートの種類と適合しないことを使用者に報知する。従って、積載トレイ制御部35bは、昇降モーターM1を停止させて積載トレイ36の上昇を停止させることになる。
次に、図9乃至図11を参照して、積載トレイ36上の最上のシートの上面が繰出位置に配置されてから給紙が行われるまでの処理を説明する。
図9に示すように、通常シートモード及び長尺シートモードのいずれの場合も、積載トレイ36上の最上のシートの上面が繰出位置に配置された後、ステップS21で画像形成装置2からの給紙信号がなく、所定時間が経過すると(ステップS22)、積載トレイ制御部35bは、昇降モーターM1を駆動して、積載トレイ36上の最上のシートの上面が主繰出ローラー45から離れる休止位置まで、積載トレイ36を所定量だけ下降させて停止させる(ステップS23)。長尺シートモードの場合、休止位置に移動した積載トレイ36上の最上のシートの上面は、主繰出ローラー45及び補助繰出ローラー61の両方から離れる。
このように、積載トレイ36上の最上のシートの上面が主繰出ローラー45から離間した休止位置で積載トレイ36を待機させることにより、長時間給紙動作が行われなくてもシートの上面にローラー跡が残ることを防止できる。また、長尺シートモードの場合には、延長トレイ50上に支持されるシートの給紙方向後端側部分の上面も、補助繰出ローラー61のローラー跡が防止される。
画像形成装置2から給紙信号を受信すると(ステップS24)、積載トレイ制御部35bは、昇降モーターM1を駆動させて積載トレイ36を上昇させる(ステップS25)。積載トレイ36が上昇して積載トレイ36上の最上のシートの上面が主繰出ローラー45に当接し、第1上面検出器39がONになる(ステップS26)と、積載トレイ制御部35bは積載トレイ36を、第1上面検出器39がONになった時点から所定量だけ上昇させて昇降モーターM1を停止させ、積載トレイ36の上昇を停止させる(ステップS27)。これによって、積載トレイ36上の最上のシートの上面が繰出位置に配置され、積載トレイ36上のシートを主繰出ローラー45(長尺シートモードの場合には、及び補助繰出ローラー61)によって繰り出すことができる状態となり、後述する給紙動作(ステップS28)が行われる。
一方、積載トレイ36上の最上のシートの上面が繰出位置に配置された後、所定時間経過する前に、ステップS21で制御部35が給紙信号を受信すると、後述する給紙動作(ステップS29)を実行させる。
以上の処理が、給紙処理が不要になるまで繰り返し実行される(ステップS30)。
図10に示される通常シートモードの給紙動作では、給紙制御部35eが、積載トレイ36上の最上のシートの上面が繰出位置に配置されて主繰出ローラー45に当接した状態で、給紙モーターM2を駆動させて、主繰出ローラー45と給紙ローラー46とを回転させる。これによって、積載トレイ36上から最上のシートが主繰出ローラー45によって繰り出され、給紙ローラー46と分離ローラー47とによって1枚に分離されて画像形成装置2に給紙される(ステップS31)。
更に、給紙されるシートの給紙方向先端がシート検出センサー55によって検出されてONになる(ステップS32)と、給紙制御部35eは、シート検出センサー55がONになった時点(即ち、シート先端が検出された時点)からシートを所定量だけ搬送した後に、ソレノイド49を作動させて、主繰出ローラー45を積載トレイ36上の最上のシートの上面から離れた主繰出ローラー待機位置まで上昇させる(ステップS33)。また、主繰出ローラー45の上昇と同時に、給紙モーターM2を停止させて主繰出ローラー45と給紙ローラー46の回転を停止させる(ステップS34)。
繰り出された通常サイズシートの給紙方向先端は、シート検出センサー55に検出されてから所定量だけ搬送されると、画像形成装置2の搬入ローラー対16aにニップされた状態となる。この状態で、シートは、搬入ローラー対16aによって給紙ローラー46と分離ローラー47とのニップ部から引き抜かれつつ搬送されることになる。上述したように、ステップS33で、主繰出ローラー45を主繰出ローラー待機位置に上昇させてシート上面から離間させているので、搬入ローラー対16aによって画像形成装置2に搬入される際の引き抜き負荷を低減させることができる。また、搬入ローラー対16aにより引き抜かれるシートに、主繰出ローラー45による汚れやローラー跡が付着することを防止することができる。
更に、通常サイズシートが画像形成装置2に完全に搬入されてシート検出センサー55がOFFになる(ステップS35)と、即ちシートの給紙方向後端がシート検出センサー55を通過すると、給紙制御部35eは、ソレノイド49の作動を停止させて、主繰出ローラー45を自重で下降させる(ステップS36)。以上のようにして、通常サイズシートの給紙動作が行われる。
図11に示される長尺シートモードの給紙動作では、給紙制御部35eが、積載トレイ36上の最上のシートの上面が繰出位置に配置されて主繰出ローラー45及び補助繰出ローラー61に当接した状態で、第1給紙モーターM2及び第2給紙モーターM3を駆動させて、主繰出ローラー45及び補助繰出ローラー61と給紙ローラー46とを同期して回転させる。これによって、主繰出ローラー45と補助繰出ローラー61とが協働して、積載トレイ36上から最上のシートを繰り出し、給紙ローラー46と分離ローラー47とが1枚に分離して画像形成装置2に給紙する(ステップS41)。
更に、給紙されるシートの給紙方向先端がシート検出センサー55によって検出されてONになる(ステップS42)と、給紙制御部35eは、シート検出センサー55がONになった時点(即ち、シート先端が検出された時点)からシートを所定量だけ搬送した後に、ソレノイド49及びソレノイド65を作動させて、主繰出ローラー45及び補助繰出ローラー61をそれぞれ積載トレイ36上の最上のシートの上面から離れた主繰出ローラー待機位置及び補助繰出ローラー待機位置まで上昇させる(ステップS43)。また、主繰出ローラー45及び補助繰出ローラー61の上昇と同時に、給紙モーターM2及び第2給紙モーターM3を停止させて、主繰出ローラー45及び補助繰出ローラー61と給紙ローラー46の回転を停止させる(ステップS44)。
繰出された長尺シートの給紙方向先端は、シート検出センサー55に検出されてから所定量だけ搬送されると、画像形成装置2の搬入ローラー対16aにニップされた状態となる。この状態で、シートは、搬入ローラー対16aによって給紙ローラー46と分離ローラー47とのニップ部から引き抜かれつつ搬送されることになる。上述したように、ステップS43で主繰出ローラー45及び補助繰出ローラー61をそれぞれ待機位置に上昇させてシート上面から離間させているので、搬入ローラー対16aによって画像形成装置2に搬入される際の引き抜き負荷を低減させることができる。また、搬入ローラー対16aにより引き抜かれるシートに、主繰出ローラー45及び補助繰出ローラー61による汚れやローラー跡が付着することを防止することができる。
長尺シートモードの場合も、長尺シートが画像形成装置2に完全に搬入されてシート検出センサー55がOFFになる(ステップS45)と、即ちシートの給紙方向後端がシート検出センサー55を通過すると、給紙制御部35eは、ソレノイド49及び65の作動を停止させて、主繰出ローラー45及び補助繰出ローラー61を自重で下降させる(ステップS46)。以上のようにして、長尺シートの給紙動作が行われる。
上記説明では、第1の種類のシートを通常サイズシート、第2の種類のシートを長尺シートとしている。しかしながら、本発明は、第1の種類のシートを積載トレイ36の積載面内に積載可能なサイズの小サイズシートとし、第2の種類のシートを第1の種類のシートよりも大きく積載トレイ36からはみ出すようなサイズの大サイズシートとし、これら小サイズシート及び大サイズシートを取り扱う給紙装置にも適用することが可能であり、同様の効果を奏することは言うまでもない。
次に、図12から図14を参照して、第2の実施形態による給紙装置5´の構造を説明する。なお、図12から図14では、第1の実施形態の給紙装置5と同じ機能を果たす構成要素に同じ参照符号を付している。
第2の実施形態の給紙装置5´は、筐体延長部31bが設けられていない点において、第1の実施形態の給紙装置5と異なっている。給紙装置5は、筐体31と、筐体31内に引き出し機構によって給紙方向に直交する方向に引き出し可能に支持された収納庫33と、収納庫33内のシートを1枚ずつに分離して画像形成装置2へ向けて供給する分離給紙機構34と、給紙装置5´を制御する制御装置35とを備える。収納庫33内には、上下方向に昇降可能な積載トレイ36が設けられ、積載されるシートの量(枚数)に応じて昇降機構40によって移動させるようになっている。昇降機構40の構成は、第1の実施形態の給紙装置5の場合と同じであるので、ここでは説明を省略する。
積載トレイ36は、板状のプレート部材であり、所定サイズ以下の第1の種類のシート(以下、「小サイズシート」と記載する)と所定サイズよりも大きい第2の種類のシート(以下、「大サイズシート」と記載する)のそれぞれの全体を積載トレイ36上に積載できるようになっている。収納庫33の上部には、積載トレイ36上に積載されたシートの最上面を検出するために、第1上面検出器39と第2上面検出器66とが設けられている。第1上面検出器39は、小サイズシートの最上面を検出するように、積載トレイ36上の小サイズシートを載置する領域の上方に配置されている。第2上面検出器66は、積載トレイ36上に積載された大サイズシートの最上面を検出するが、小サイズシートの最上面を検出しないように、積載トレイ36上の小サイズシートを載置する領域からはみ出した大サイズシートの領域の上方に配置されている。
収納庫33は、上部に開口部が設けられた概略箱型形状を有しており、筐体31から引き出された状態のときに開口部を通して収納庫33内の積載トレイ36上にシートを装填、積載できるようになっている。収納庫33の内部の積載トレイ36を収容する積載トレイ収容空間内には、積載トレイ36上のシートを幅方向(給紙方向と垂直な方向)に挟んで位置する側端規制部材(図示せず)と、積載トレイ36上のシートの給紙方向後端側に位置する後端規制部材とが設けられており、積載トレイ36上のシート幅方向の両側端の位置が側端規制部材によって規制され、積載トレイ36上のシートの給紙方向後端の位置が後端規制部材42によって規制されるようになっている。
図示されている実施形態では、側端規制部材は連動してシート幅方向にスライド可能に収納庫33の底部に立設され、シート幅方向の移動を許容するように積載トレイ36に設けられた窓部(図示せず)を貫通して延びていると共に、後端規制部材42は、給紙方向にスライド可能に収納庫33の底部に立設され、給紙方向の移動を許容するように積載トレイ36に設けられた窓部(図示せず)を貫通して延びている。このような構成により、側端規制部材や後端規制部材42を収納庫33の底部上で移動させて、シートサイズに応じて積載トレイ36上でシートの側端位置や給紙方向の後端位置を規制することができるようになっている。
収納庫33の底部の積載トレイ36の最下降位置には、積載トレイ36を検出する第1のトレイ検出器57が設けられている。収納庫33の積載トレイ36の最下降位置より上方の位置には、積載トレイ36を検出する第2のトレイ検出器58が設けられている。
分離給紙機構34は、第1の実施形態の場合と同様に、積載トレイ36上に積載されたシートの最上面に接触してシートを送り出す主繰出ローラー45及び補助繰出ローラー61と、送り出されたシートを1枚ずつに分離して画像形成装置2へ搬送する分離搬送手段とを含んでいる。分離搬送手段は、給紙ローラー46と、給紙ローラー46に圧接して2枚目以降のシートの供給を阻止する分離ローラー47とによって構成されている。給紙ローラー46は、図示されていない複数のギアやタイミングベルトを介して、給紙モーターM2によって駆動され、給紙モーターM2の駆動により回転してシートを供給する。
主繰出ローラー45は、給紙ローラー46のシャフト周りに回動自在に支持されたブラケット48の先端に回転可能に支持されており、給紙モーターM2による給紙ローラー46のシャフトの回転が複数のギアを介して伝達されて、回転駆動される。また、主繰出ローラー45は、シートの上面に接触する作動位置と、シートの上面から離れた待機位置との間で、給紙ローラー46のシャフト周りに移動させることができる。本実施形態では、ソレノイド49の作動と停止を切り換えることにより、ブラケット48を給紙ローラー46のシャフト周りに回動させて、主繰出ローラー45を作動位置と待機位置との間で移動させている。
補助繰出ローラー61は、筐体31内に、積載トレイ36上に積載された小サイズシートの給紙方向後端より少し上流側の上方に位置するように配置されている。補助繰出ローラー61は、第1の実施形態と同様に、筐体31内をシート幅方向に延長するシャフト62の周りに回動自在に支持されたブラケット63の先端に、回転可能に支持されている。筐体31内には、第2給紙モーターM3が設けられ、図示されていない複数のギアやタイミングベルトを介して、補助繰出ローラー61を回転駆動する。
更に補助繰出ローラー61は、積載トレイ36上の小サイズシートの領域からはみ出した大サイズシートの領域で大サイズシートの上面に接触する作動位置と、該上面から上方に離れた待機位置との間で、シャフト62周りに移動させることができるようになっている。本実施形態では、上述した主繰出ローラー45と同様に、ソレノイド65の作動と停止を切り換えることにより、ブラケット63をシャフト62周りに回動させて、補助繰出ローラー61を作動位置と待機位置との間で移動させている。
これら主繰出ローラー45及び補助繰出ローラー61の構成は、第1の実施形態の場合と同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
制御装置35は、シート情報取得部35aと、積載トレイ制御部35bと、高さ位置設定部35cと、下限位置設定部35dと、給紙制御部35eとを含んでいる。シート情報取得部35aは、積載トレイ36上に積載されるシートの種類に関する情報を取得し、積載トレイ制御部35bは積載トレイ36の昇降動作を制御し、給紙制御部35eは分離給紙機構34の動作を制御する。更に、高さ位置設定部35cは、シート情報取得部35aによって取得されたシートの種類に基づいて、積載トレイ36上にシートを新たに積載するときに積載トレイを停止させる高さ位置を積載準備位置として設定し、下限位置設定部35dは、シート情報取得部35aによって取得されたシートの種類に基づいて、積載トレイ36の昇降範囲の下限位置を設定する。
積載トレイ制御部35bは、例えば積載トレイ36上に設けられたシート検出器56によってシートが検出されない状態(すなわち、積載トレイ36上にシートが積載されていない状態)で収納庫33が筐体31内に収容されているときや、シートの補充のために筐体31から収納庫33を引き出したときなど、積載トレイ36上にシートを新たに積載するときに、高さ位置設定部35cによって設定された積載準備位置に積載トレイ36を移動させる。また、積載トレイ制御部35は、積載トレイ36を下降させるときに、下限位置設定部35dによって設定された下限位置に積載トレイ36が到達すると、積載トレイ36の下降を停止させる。
図示されている第2の実施形態の給紙装置5´では、制御装置35のシート情報取得部35aは、画像形成装置2のコントロールパネル25から、積載トレイ36上に積載されるシートが所定サイズ以下の小サイズシートか所定サイズよりも大きい大サイズシートかなど、シートの種類に関する情報を取得する。シート情報取得部35aで取得するシート情報は、操作ボタン44や他の手段から取得してもよい。シートサイズやシートの長さの情報であれば、前記側端規制部材や前記後端規制部材の位置を検出し、この検出結果から取得することも可能である。
また、図示されている第2の実施形態の給紙装置5´では、小サイズシートの場合、下限位置設定部35dが、第1のトレイ検出器57を選択して、第1のトレイ検出器57によって検出される積載トレイ36の高さ位置(最下限位置)を下限位置として設定し、高さ位置設定部35cが、第1のトレイ検出器57によって検出される積載トレイ36の高さ位置を積載準備位置として設定するようになっている。これにより、積載トレイ制御部35bは、小サイズシートのとき、上限位置(積載トレイ36上のシートが第1上面検出器39によって検出される高さ位置から所定量だけ積載トレイ36を上昇させた位置)と第1のトレイ検出器57によって検出される下限位置との間で積載トレイ36を昇降させる。また、積載トレイ制御部35bは、積載トレイ36上に新たに小サイズシートを補充積載させるときには、図13に示されているように、第1のトレイ検出器57によって積載トレイ36が検出される下限位置に積載トレイ36を移動させる。
一方、小サイズシートよりも大きい大サイズシートの場合、下限位置設定部35dが、第2のトレイ検出器58を選択して、第2のトレイ検出器58によって検出される積載トレイ36の高さ位置を下限位置として設定し、高さ位置設定部35cが、第2のトレイ検出器58によって検出される積載トレイ36の高さ位置を積載準備位置として設定するようになっている。これにより、積載トレイ制御部35bは、大サイズシートのとき、上限位置(積載トレイ36上のシートが第1上面検出器39によって検出される高さ位置から所定量だけ積載トレイ36を上昇させた位置)と第2のトレイ検出器58によって積載トレイ36が検出される下限位置との間で積載トレイ36を昇降させる。また、積載トレイ35制御部bは、積載トレイ36上に新たに大サイズシートを積載させるときには、図14に示されているように、第2のトレイ検出器58によって積載トレイ36が検出される下限位置に積載トレイ36を移動させる。
大サイズシートは、小サイズシートよりも大きく重いので、小サイズシートと同じ枚数を積載トレイ36上に積載すると、小サイズシートだけに対応している場合と比較して、より大きな出力が昇降機構40の昇降モーターM1に要求されることになる。しかしながら、第2の実施形態の給紙装置5´では、小サイズシートを新たに積載するときに、図13に示されているように、シートを積載可能な高さがh1となるような積載準備位置まで積載トレイ36が下降される一方、大サイズシートを新たに積載するときに、図14に示されているように、シートを積載可能な高さがh1よりも小さいh2となるような積載準備位置までしか積載トレイ36が下降されない。また、積載トレイ36の昇降範囲の下限位置も同様に定められる。この結果、積載トレイ36上に積載可能な大サイズシートの最大量が小サイズシートの場合よりも少なくなるので、積載される大サイズシートの最大積載重量を低減させることができ、小サイズシートのみを扱う場合と同じ昇降モーターM1を用いて大サイズシートに対応することが可能となる。
第2の実施形態の給紙装置5´において、小サイズシート及び大サイズシートの場合にそれぞれ行われる給紙時の処理や給紙動作は、第1の実施形態の給紙装置5における通常サイズシート及び長尺シートの場合と同様であるので、ここでは説明を省略する。
以下では、図15を参照して、第2の実施形態の給紙装置5´に収納するシートの種類を変更する手順を説明する。
最初に、コントロールパネル25や操作ボタン44によって、シートのサイズや材質などに基づくシートの種類(ここでは、シートのサイズ)の設定の変更がなされ、制御装置35のシート情報取得部35aがシートの種類に関する情報を取得する(ステップS51)。次に、給紙装置5の筐体31から正面側(図12の手前側)へ収納庫33を引き出し(ステップS52)、収納庫33内の積載トレイ36上にシートが残存していれば、積載トレイ36上から残存しているシートを取り除く(ステップS53)。
収納庫33を引き出す前に収納庫33のロックが解除されると、積載トレイ36は設定変更前に設定されていたシートの種類に対応する積載準備位置に移動される。図示されている第2の実施形態の給紙装置5´では、設定変更前に設定されていたシートの種類が小サイズシートの場合には第1のトレイ検出器57によって積載トレイ36が検出される図13に示されている下限位置へ積載トレイ36が移動され、設定変更前に設定されていたシートの種類が大サイズシートの場合には第2のトレイ検出器58によって積載トレイ36が検出される図14に示されている下限位置へ積載トレイ36が移動される。
積載トレイ36上にシートがない状態にしたら、収納庫33を閉めて筐体31内に収容させる(ステップS54)。収納庫33が閉じられると、シート検出器56によって積載トレイ36上にシートがないことが認識される。これにより、シート情報取得部35aによって取得されたシートの種類の情報に基づいて、高さ位置設定部35cがシートの種類に応じた高さ位置を積載準備位置として設定し、下限位置設定部35dがシートの種類に応じた高さ位置を下限位置として設定する。
図示されている第2の実施形態の給紙装置5´では、小サイズシートの場合、下限位置設定部35dが、第1のトレイ検出器57を選択して、第1のトレイ検出器57によって検出される積載トレイ36の高さ位置(最下限位置)を下限位置として設定し、高さ位置設定部35cが、第1のトレイ検出器57によって検出される積載トレイ36の高さ位置を積載準備位置として設定する。大サイズシートの場合、下限位置設定部35dが、第2のトレイ検出器58を選択して、第2のトレイ検出器58によって検出される積載トレイ36の高さ位置を下限位置として設定し、高さ位置設定部35cが、第2のトレイ検出器58によって検出される積載トレイ36の高さ位置を積載準備位置として設定する。この結果、積載トレイ制御部35bは、シート種類に応じて高さ位置設定部35cによって設定された積載準備位置まで、積載トレイ36を昇降させる(ステップS55)。
積載トレイ36の積載準備位置への昇降が完了したら、給紙装置5´の筐体31から収納庫33を再度引き出し(ステップS56)、積載トレイ36上にステップS51で設定した種類のシートを積載して、所定位置にセットし(ステップS57)、積載が完了したら収納庫33を再度閉めて筐体31内に収納させる(ステップS58)。積載トレイ36上のシートは、側端規制部材(図示せず)及び後端規制部材42を所定の位置まで移動させて、シートの両側端を側端規制部材に当接させると共に、シートの給紙方向後端を後端規制部材42に当接させることにより、所定の位置に配置される。
収納庫33が筐体31内に押し込まれて閉じられると、積載トレイ制御部35bは、第1の実施形態の場合と同様に、図8に示されているステップS17からステップS20に従って、積載トレイ36上の最上のシートの上面を繰出位置に配置させ、給紙準備を完了させる。
上記各実施形態の給紙装置5,5´では、画像形成装置2に供給するシートの種類をシートサイズに基づいて分類し、主繰出ローラー45に協働する補助繰出ローラー61を選択的に駆動している。しかしながら、本発明は、シートサイズ以外のシートの種類、即ちシートの厚さ(重さ)、材質(普通紙、光沢紙、再生紙、プラスチックシート等)、性状(硬さ、コシ、表面平滑度等)、用途に応じた加工品等、様々な種類のものを含むものとする。いずれの種類のシートであっても、本発明によれば、主繰出ローラーと補助繰出ローラーとを協働させることによって、シートにローラー跡等の損傷を生じることなく、常に十分なシート搬送力を発揮させ、確実かつスムーズに積載トレイから繰り出して供給することができる。
その他の構成においても、本発明は、図示されている実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変更・変形を加えて実施することができる。例えば、上記実施形態では、給紙装置5、5´を画像形成装置2に隣接させて配設したが、給紙カセット7と同様に、画像形成装置2内に組み込むこともできる。また、積載トレイ36の昇降や分離給紙機構の動作を含む給紙装置5、5´を制御する制御装置(制御手段)35は、給紙装置5、5´の筐体内又は筐体外のいずれに設置してもよい。例えば、給紙装置5、5´の画像形成装置2内に制御装置35を配設し、画像形成装置から昇降モータM1等のアクチュエータを駆動制御することもできる。