JP6854517B2 - 形状可変ミラー - Google Patents

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本発明は、形状可変ミラーに係わり、更に詳しくは反射光学系に用いる形状可変ミラーに関するものである。
圧電素子とX線ミラーを樹脂接着したバイモルフミラーで、X線の波面補正を行うことで、ビームの集光サイズ7nm程度まで小さくすることに成功している(特許文献1、非特許文献1)。この波面補償が可能な形状可変ミラーは、特許文献1にも示すようにシリコン基板平面の短手方向の中央部で長手方向に延びたX線の反射面が形成されたX線ミラーと、その両端の表面に貼り付けられた圧電素子とで構成されている。この圧電素子には複数の電極が接続できるようになっていて、印加電圧によって、圧電素子の変形量を変えることができる。変形した圧電素子は、それが接着されたシリコン基板に形成したX線反射面にもその変化した形状を伝達する。その結果、X線ミラーを任意の形状に変化させることができる。この特性を利用して、X線の波面を修正するように、反射面を変形させることで、可干渉性の高いX線ビームにすることができる。
特開2011−137710号公報 特開2010−165724号公報 特許第5756962号公報 特開平8−107239号公報
H.Mimura,et.al, Nature Physics 6, 122−125 (2010)
しかしながら、当該の波面補正に使用するX線バイモルフミラーは、硬X線での放射光で利用することに限定して開発された。例えば、当該のX線バイモルフミラーを真空中で使用すると、ミラーと圧電素子との界面に使用される接着剤の成分が放出される。当該接着剤の成分に含まれる樹脂材料が、ミラー表面や、真空機器の内壁に付着し、ミラーの性能低下や、内壁の汚染につながるため、これまで、このような形状可変ミラーが真空機器内部で利用されることはなかった。
また、X線ビームがミラー表面に照射されたことで発生する熱の逃げ場所がない。このため、接着剤に熱が伝わり、接着剤が膨張することで、素子の特性を低下させてしまうという課題もあった。
過去にX線とは違う分野で、形状可変ミラーについて記載された文献がありそれらの文献での課題を記載する。
まず、特許文献2では、複合部材の拡散接合について記載されている。具体的にはCuとIn−Gaの接合に関するものであり、当該方法では低温で接合することができるが、圧電素子の性能が劣化した場合、キュリー温度以上に加熱した状態で高電圧を印加すると、再び圧電素子単体の性能は復活する。しかしながら、例えば、一般的な圧電素子である、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)の場合、450℃程度がキュリー温度であるため、当該温度まで加熱しながら高電圧を印加して、配向性を再生しようとしても接合部となるIn−Gaが溶けてしまう。その結果、当初の接合状態から、ミラー表面の受けるひずみ量が変化するため、ミラーの形状そのものが当初から、数nm程度〜数10nmも変形してしまい、再度形状修正加工を行う必要があった。また、ビーム照射などによって温度上昇し、仮に150℃以上となると、低温はんだ(例えばIn−Ga)が溶融してしまう。その結果、溶融によって圧電素子は変形できてもミラーがそれに追従できず、形状可変ミラーとしての特性を失う。
特許文献3では、400℃以上の高温で接合している。このような温度では、圧電素子のキュリー温度に近い温度であり、圧電素子の配向が変わってしまい、圧電素子の性能が低下してしまう。
更には、特許文献4の方法では、導電性の「接着剤」が使われている。この接着剤は樹脂成分を多く含んでおり、加熱せずとも硬化する。しかしながら、接着剤であり、真空中で使用すると、接着剤に含まれる粘着成分が放出される。この粘着成分が放出されることで、ミラー面や、真空機器の内壁が汚染されるという問題があった。更には高温になると、樹脂成分ゆえに、変性するだけでなく、熱硬化製樹脂を使用すると、樹脂が変性してしまってひび割れ等が生じるという問題があった。
同様に非特許文献1で用いている方法においても接着剤が使われている。当該の論文においては硬X線においての適正な材料を用いているが、温度上昇が生じるような軟X線において使用することができないだけでなく、真空装置にも用いることが難しいという問題があった。
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、ミラー基板と圧電素子とを、圧電素子のキュリー温度よりも十分に低い温度で両者を強固に接合することができる上に、耐熱性にも優れ、更に真空中で使用しても汚染物質の放出量が少ない形状可変ミラーを提供する点にある。
本発明は、前述の課題解決のために、以下に示す形状可変ミラーを構成した。
(1)
形状可変ミラーであって、粒径100nm以下の金属ナノ粒子を主成分とする接合材料により、接合温度150℃〜300℃で圧電素子と、シリコン又はSiOを主成分としたミラー基板とを接合していて、該接合部での樹脂成分若しくは揮発成分の含有量が10重量%以下であることを特徴とする形状可変ミラー。
(2)
金属ナノ粒子を主成分とする接合材料により形成された金属接合体と、前記圧電素子及びミラー基板との間に、それぞれ金属製バインダー材料が存在し、前記金属接合体と金属製バインダー材料を介在して前記圧電素子とてミラー基板とを接合している(1)記載の形状可変ミラー。
(3)
前記圧電素子の表面に電極を設けるとともに、該圧電素子とミラー基板の間に存在する前記金属接合体及び金属製バインダー材料を共通電極とする(2)記載の形状可変ミラー。
(4)
前記金属接合体、圧電素子、ミラー基板−金属接合体との間の金属製バインダー材料及び金属接合体―圧電素子との間の金属製バインダー材料が、ミラー基板の表面上にあって、当該表面のミラー基板の短手方向の中心線部を除く領域に存在し、該ミラー基板の短手方向の中心線部に、長手方向に延びる反射面を備えた(2)又は(3)記載の形状可変ミラー。
(5)
金属ナノ粒子を主成分とする接合材料により接合された金属接合体の塗布面積は、前記圧電素子の面積より大きく、且つミラー基板−金属接合体との間の前記金属製バインダー材料の面積よりも小さく設定し、前記接合材料及び圧電素子が、前記ミラー基板の表面上にあって、当該表面のミラー基板の短手方向の中心線部及びミラー基板の短手方向の両端部を除く領域に存在する(2)〜(4)何れか1に記載の形状可変ミラー。
本発明によれば、樹脂が介在せずとも、圧電素子と、ミラー基板とを接合することができ、熱伝達効率が向上するため、圧電素子の性能低下を抑制することができる。また、真空引きをした際に、チャンバー内に放出される樹脂成分若しくは揮発成分が大幅に減少し、ミラー表面の汚染、真空機器内壁の汚染等が減少するため、これまで利用されて来なかった真空中でもしようすることができる。
また、ナノ粒子の特性を利用して低融点(150℃〜300℃)で接合しているため、仮に、圧電素子の配向性が変化したとしても、再び配向性を持たせる加工(キュリー温度:450℃での電圧印可)を行っても、接合部の溶融がなく、素子のメンテナンス性が大きく向上する。
本発明の形状可変ミラーの構造の一例となる断面図である。 本発明の形状可変ミラーの構造の他の例となる断面図である。 本発明の形状可変ミラーの構造の一例となる平面図である。 接合後の圧電素子と、金属ナノ粒子の接合部との界面を超音波探傷装置(SAT)により撮像した結果を示す。 接合後の形状可変ミラーでの印加電圧ごとに形状評価した結果を示すグラフである。 印加電圧を掃引した場合での形状可変ミラーの曲率半径のヒステリシスループ評価結果を示すグラフである。
本発明の形状可変ミラーは、粒径100nm以下の金属ナノ粒子を含む接合材料により、接合温度150℃〜300℃で圧電素子と、シリコン又はSiOを主成分としたミラーとを接合していて、該接合部での樹脂成分若しくは揮発成分の含有量が10重量%以下であることが好ましい。ここで、金属ナノ粒子の粒径サイズは小さければ小さいほど、低温で接合が開始されるので、好ましくは100nm、より好ましくは50nm、さらにより好ましくは10nm以下、数nmであるとよい。また、金属ナノ粒子は、バルク状態での融点が圧電素子のキュリー温度以上であることが必要である。
前記接合材料による接合温度は、150℃より小さければ、接合が開始しない。また300℃以上であれば、圧電素子の配向性が変化してしまうため、150℃〜300℃が望ましい。
前記接合材料における樹脂成分若しくは揮発成分の含有量は、少なければ少ない方が好ましく、10重量%以下であることが好ましい。
ミラー基板自体の材料は特に制限されないが、シリコン又はSiOを主成分とすることが好ましい。これらのミラー基板は、単結晶で入手できるため、X線分野で要求されるスペックである、形状誤差をPV(Peak to Valley)2nm程度で任意形状に加工するのに、好適な材料である。
本発明の形状可変ミラーにおける接合材料での、金属ナノ粒子の接合部の空孔率が30%以下であることが好ましい。空孔率が大きいと接合強度が低下して、変形によって疲労が生じやすくなる。また、空隙部に水分等が入り込むため、真空引きをした際にこれらが放出されてしまう。このため、空孔率は30%以下であることが好ましい。
次に、本発明による実施の形態について、図面に基づき説明する。
本発明の実施の形態における実施例1にかかる形状可変ミラーの断面図を図1に示す。図1に示すように本発明の形状可変ミラーは、ミラー基板1、金属ナノ粒子を主成分とする接合材料により接合された金属接合体2、圧電素子3と、ミラー基板1−金属接合体2との間の金属製バインダー材料4、金属接合体2−圧電素子3との間の金属製バインダー材料5、電極6で構成されている。
前記ミラー基板1の材料は、シリコン又はSiOを主成分としたものであることが好ましい。シリコン又はSiOを主成分とした材料は、結晶材料であり、粒界がないため原子数個以内での加工精度を実現するような超精密加工を行う上では最適な材料である。
金属ナノ粒子を主成分とする接合材料により接合された金属接合体2は、銀ナノ粒子、金ナノ粒子、銅ナノ粒子といった材料が好ましい。金属ナノ粒子は、金属本来の融点よりは低温で溶解し始める特性がある。このため、例えば銀の場合は、融点が962℃であるものの、銀ナノ粒子であることで、300℃以下でもナノ粒子同士が溶け合って、金属接合体2となる。このため、1度接合させると、例えば銀の融点である962℃まで上昇させないと、融解しないことから、ビームが継続して形状可変ミラーの反射面に照射されて、仮に圧電素子自体が200〜300℃程度まで温度が上がっても接合部は変性しない。
従来例となる低温はんだは100℃程度でも融解し、圧電素子の配向性がなくなる440℃以下で接合ができるものの、ビームが照射されて温度が上がると、融解してしまって、形状が保持できないという課題があったが、本発明によって、この問題を解決することができる。
また別の従来例となる導電性樹脂からなる接着剤で接着した場合は、継続したビーム照射によって仮に100℃程度まで上昇させると、接着剤が変性してしまう。例えばエポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂の場合は、硬度が上昇してしまう。その結果、形状可変ミラーのヒステリシスが取れなくなるという課題があったが、本発明によって、この問題を解決することができる。
前記圧電素子3としては、チタン酸ジルコン酸鉛(通称PZT)が最も好ましい。厚さ方向に配向させた当該板状のPZTの表面及び裏面にそれぞれ電極を付与して、両電極間に電圧を印加すると変形する。
前記金属製バインダー4としては、金属ナノ粒子との密着性が高い材料で、且つミラー基板1との密着性が高いことが好ましい。例えば金属製バインダー4は、2層構造であってもよく、ミラー基板1側にはクロム、金属ナノ粒子側(金属接合体2側)は金、銀、若しくは銅であってもよい。前記金属製バインダー4は、金属ナノ粒子を主成分とする接合材料により接合する前に、前記ミラー基板1の表面にコーティングしておき、好ましくは物理蒸着により形成するが、めっきでも良い。
前記金属製バインダー5についても同様で、金属ナノ粒子との密着性が高い材料で、且つ圧電素子3との密着性が高いことが好ましい。例えば金属製バインダー5は、2層構造であってもよく、圧電素子3側にはクロム、金属ナノ粒子側(金属接合体2側)は金、若しくは銀、銅であってもよい。前記金属製バインダー5は、金属ナノ粒子を主成分とする接合材料により接合する前に、前記圧電素子3の接合面側の表面にコーティングしておき、好ましくは物理蒸着により形成するが、めっきでも良い。
そして、前記圧電素子3の表面に電極6を設けるとともに、該圧電素子3とミラー基板1の間に存在する前記金属接合体2及び金属製バインダー材料4,5の何れか又は全てを共通電極とし、ミラー基板1の変形に影響を与えない適宜な電圧印加手段にて電圧を印加する。
本発明の実施の形態における実施例2にかかる形状可変ミラーの断面図を図2に示す。図2に示すように本発明の形状可変ミラーは、ミラー基板1、金属ナノ粒子を主成分とする接合材料により接合された金属接合体2、圧電素子3と、ミラー基板1−金属接合体2との間の金属製バインダー材料4、金属接合体2−圧電素子3との間の金属製バインダー材料5、電極6で構成されている。実施例1と違う点としては、電極6がある一定の間隔で区切られている点となる。それ以外は、実施例1と同様である。
このように電極6がある一定の間隔で区切られることで、ある決まった周期で任意の波形を作ることができるため、本発明の形状可変ミラーを用いることで、波形の乱れたX線をコヒーレント光に戻すことができる。また、任意の波形にすることで、デフォーカス、フォーカシングを自在に行うことができるようになる。
実施例2にかかる形状可変ミラーの平面図を図3に示す。図3に示すように本発明の形状可変ミラーは、ミラー基板1、金属ナノ粒子を主成分とする接合材料により接合された金属接合体2、圧電素子3と、ミラー基板1−金属接合体2との間の金属製バインダー材料4、金属接合体2―圧電素子3との間の金属製バインダー材料5、電極6で構成されている。尚、金属接合体2と、圧電素子3との間の金属製バインダー材料5は、圧電素子3の裏側になるため、平面図では図示することはできない。
図3に示すように本発明の形状可変ミラーは、前記金属接合体2、圧電素子3、ミラー基板1−金属接合体2との間の金属製バインダー材料4及び金属接合体2−圧電素子3との間の金属製バインダー材料5が、ミラー基板1の表面上にあって、当該表面のミラー基板1の短手方向の中心線部を除く領域に存在し、該ミラー基板1の短手方向の中心線部に、長手方向に延びる反射面7を備えている。例えば、前記反射面7は、前記ミラー基板1の表面を直接精密加工して形成する。前記反射面7は、凸面(デフォーカス)でも凹面(フォーカシング)であっても良く、ミラー基板1の短手方向の中心線に近い領域に4〜5mm幅の帯状に形成する。
前記反射面7でX線等の光を反射できるようになっていて、例えば、図3の左手方向から右手方向にビームが入射する。このビームの入射角度は、数mrad〜数10mradと浅い角度で入射することでX線を全反射させることができる。勿論、ビームの波長によって全反射させる入射角度は適宜設定する。
また、金属ナノ粒子を主成分とする接合材料により接合された金属接合体2の塗布面積は、前記圧電素子3の面積より大きく、且つミラー基板1−金属接合体2との間の前記金属製バインダー材料4の面積よりも小さく設定し、前記接合材料及び圧電素子3が、前記ミラー基板1の表面上にあって、当該表面のミラー基板1の短手方向の中心線部及びミラー基板1の短手方向の両端部を除く領域に存在する。言い換えれば、前記ミラー基板1の表面の短手方向の両端部、即ちミラー基板1の長辺側端部には、接合材料は存在しなくてもよい。それにより、接合材料が存在しないミラー基板1の両端部に、ポリイミドテープに代表されるテープでのスペーサーを設けることで、ドクターブレードやスキージでの接合材料の塗布作業時の膜厚の精度が向上する。
<形状可変ミラーの具体例>
本発明の形状可変ミラーは、図1及び図2に示すように、ミラー基板1となる石英ガラス上には、まず、金及びクロムをコートする(金属製バインダー材料4)。まず石英ガラス上に厚さ5nm程度のクロムを蒸着し、その後、金を厚さ15nm程度蒸着する。金は、金属ナノ粒子との接合を良好にするためのバインダーで、クロムは、石英ガラスと金との接合強度を高くするためのものである。この金及びクロムを蒸着した後、金属ナノ粒子(銀)のペースト(接合材料)を塗布する。このペーストを塗布する際は、図3に示すように、X線ビームの反射面7となる短手方向中央部と、ミラー基板1の表面の4辺の周辺部に、ポリイミド製テープを貼り付け、段差をつくる。その上から金属ナノ粒子のペーストを塗布し、ドクターブレード等で均等に塗布する。その後、120〜140℃で仮焼成を行うことで、ペースト中の一部の有機成分(樹脂成分若しくは揮発成分)を蒸散させ、表面に金属ナノ粒子を固定させる。
一部の有機成分を蒸散させた後、金属ナノ粒子のペーストを塗布した部分に、圧電素子3を載せる。この圧電素子3は、接合側の片側の表面に金とクロムをコートしている(金属製バインダー材料5)。当該の金薄膜が、金属ナノ粒子と接触するように配置する。クロムが、金薄膜と、圧電素子3との密着性を良好にするためのバインダーとなる。圧電素子3を載せた状態で加圧機に投入し、250℃で加圧し接合する。金属であれば融点となる温度(例えば銀の場合962℃)まで上昇させないと、融解しないため、接合させることはできないが、接合材料が金属ナノ粒子であることで、250℃程度まで上昇させるだけで、融解現象が生じ、圧電素子3をミラー基板1の表面に接合することができる。また、1度接合させると、例えば銀の融点である962℃まで上昇させないと、融解しないことから、ビームが照射されて仮に200℃程度まで温度が上がっても接合部は変性しない。接合後の圧電素子3と、金属ナノ粒子の接合部との界面を超音波探傷装置(SAT)により撮像した結果を図4に示す。
仮に金属接合体2に気泡が存在すると、圧電素子3が変形しても、十分に力がミラー基板1に伝わらないため、反射面7が任意の形状に変形しない。図4に示すように、気泡が残存しないような接合条件であれば、図5に示すように、電圧によって変形量を制御することが可能となる。図5は反射面7の形状をフィゾー干渉計(Zygo社製GPI)によって評価した際の形状可変ミラーの長手方向の位置と、変形量とをグラフ化した結果である。印加電圧を0Vから+500Vまで変化させた際の反射面7の変形量をみると、0Vで最も大きな変位量があるが、電圧によって変形量が徐々に変わり、+500Vにすることで、反射面7がほぼ平坦になっていた。
また、印加電圧を0V〜500V〜0Vと掃引した結果を図6に示す。この図に示すように掃引しても、掃引方向によって反射面7の変形量に違いはあるが、元の形状に戻ることが明らかになった。
本発明の形状可変ミラーは、硬X線のナノ集光による各種分析や、タイコグラフィーXAFSによる各種反応現象のその場解析(例えば、2次電池の電極部分の反応現象の解析など)に利用でき、また高強度レーザーを使ったレーザー加速や、レーザー核融合分野でも利用が可能である。本発明の形状可変ミラーは、可視光からEUV領域若しくはX線領域の電磁波を反射させる光学系に広く利用可能である。
1 ミラー基板
2 金属ナノ粒子を主成分とする接合材料により接合された金属接合体
3 圧電素子
4 金属製バインダー材料
5 金属製バインダー材料
6 電極
7 反射面

Claims (5)

  1. 形状可変ミラーであって、粒径100nm以下の金属ナノ粒子を主成分とする接合材料により、接合温度150℃〜300℃で圧電素子と、シリコン又はSiOを主成分としたミラー基板とを接合していて、該接合部での樹脂成分若しくは揮発成分の含有量が10重量%以下であることを特徴とする形状可変ミラー。
  2. 金属ナノ粒子を主成分とする接合材料により形成された金属接合体と、前記圧電素子及びミラー基板との間に、それぞれ金属製バインダー材料が存在し、前記金属接合体と金属製バインダー材料を介在して前記圧電素子とてミラー基板とを接合している請求項1記載の形状可変ミラー。
  3. 前記圧電素子の表面に電極を設けるとともに、該圧電素子とミラー基板の間に存在する前記金属接合体及び金属製バインダー材料を共通電極とする請求項2記載の形状可変ミラー。
  4. 前記金属接合体、圧電素子、ミラー基板−金属接合体との間の金属製バインダー材料及び金属接合体―圧電素子との間の金属製バインダー材料が、ミラー基板の表面上にあって、当該表面のミラー基板の短手方向の中心線部を除く領域に存在し、該ミラー基板の短手方向の中心線部に、長手方向に延びる反射面を備えた請求項2又は3記載の形状可変ミラー。
  5. 金属ナノ粒子を主成分とする接合材料により接合された金属接合体の塗布面積は、前記圧電素子の面積より大きく、且つミラー基板−金属接合体との間の前記金属製バインダー材料の面積よりも小さく設定し、前記接合材料及び圧電素子が、前記ミラー基板の表面上にあって、当該表面のミラー基板の短手方向の中心線部及びミラー基板の短手方向の両端部を除く領域に存在する請求項2〜4何れか1項に記載の形状可変ミラー。
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