WO2020036177A1 - 光学素子、光学系、および光学装置 - Google Patents
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Abstract
本発明は、温度変化による反りが低減される、ガラス基材と樹脂とを用いた光学素子を提供する。本発明の一態様の光学素子(10)は、ガラス基材(11)と、樹脂を材料とする光学機能部(12)と、ガラス基材(11)と光学機能部(12)とを接合する接合部(13)とを有し、接合部(13)のガラス転移点が85℃以下であるか、または、接合部(13)のヤング率が100MPa未満である。
Description
本発明は、ガラス基材と樹脂とを用いた光学素子、前記光学素子を有する光学系、および前記光学素子を有する光学装置に関する。
ガラス基材上に紫外線硬化樹脂や熱硬化樹脂をインプリント法によって成形し、ガラス基材上にレンズを成形するウエハレンズの技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。ウエハレンズは、レンズ系のコンパクト化に寄与する。
特許文献2には、レンズ(集束レンズ)と光学フィルタとが一体化された光学系が記載されている。そのような光学系においてウエハレンズが使用される場合には、厚さが低減されるので、ウエハレンズは、光学系をコンパクトにすることに寄与する。
山科直利、「特5 銅張り積層板のそりのメカニズム」、討論会講演要旨、合成樹脂工業協会、1985年、第35巻、p.125-128
ガラス基材と樹脂製のレンズとの積層体を作製する場合、ガラスの線膨張係数と樹脂の線膨張係数との違いに起因して、温度変化による反りが生じる。反りは、レンズ系の光学特性を劣化させる。特に、樹脂がガラス基材に対して片面側にのみ存在する場合に、反りは顕著になる。また、ガラス基材の厚さが薄く、樹脂の厚さが厚い場合に、反りは特に顕著である。
特許文献3には、樹脂製のレンズとガラス製の光学フィルタ(具体的には、赤外線フィルタ)とが積層された積層体が記載されている。レンズと光学フィルタとを積層する際に、レンズの表面の全面に亘って光学フィルタを貼り付けると、樹脂の体積膨張率とガラスの体積膨張率との違いに起因して、光学フィルタがはがれる可能性が高くなる。そこで、特許文献3に記載された積層体では、はがれを抑制する目的で、レンズおよび光学フィルタの有効領域の外側において、レンズと光学フィルタとが接着されている。
しかし、接着部が一部の領域に限定されている場合でも、接着によってガラスと樹脂とが拘束されるので、温度が変化したときに反りやたわみが生じる可能性がある。
本発明の一態様は、温度変化による反りが低減される、ガラス基材と樹脂とを用いた光学素子、前記光学素子を有する光学系、および前記光学素子を有する光学装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様の光学素子は、ガラス基材と、樹脂を材料とする光学機能部と、ガラス基材と光学機能部とを接合する接合部とを有する光学素子であって、接合部のガラス転移点が85℃以下である。
本発明の他の態様の光学素子は、ガラス基材と、樹脂を材料とする光学機能部と、ガラス基材と光学機能部とを接合する接合部とを有する光学素子であって、接合部のヤング率が100MPa未満である。
本発明の一態様の光学系は、上記態様の光学素子を有する。
本発明の一態様の光学装置は、上記態様の光学素子を有する。
本発明の態様によれば、ガラス基材と樹脂とを用いた光学素子において、温度変化による反りが低減される。
以下、本発明の態様について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する態様に限定されるものではない。
[光学素子]
本発明の一態様の光学素子は、ガラス基材と、光学機能部と、これらを接合する接合部とを有する。以下図面を用いて説明する。
本発明の一態様の光学素子は、ガラス基材と、光学機能部と、これらを接合する接合部とを有する。以下図面を用いて説明する。
図1は、光学素子の一実施形態を示す断面図である。本実施形態の光学素子10は、ガラス基材11と、樹脂を材料とする光学機能部12と、例えば接着剤やOCA(Optical Clear Adhesive)両面テープにより形成される接合部(接合層)13とで構成される。
光学機能部12は、少なくとも一部において、レンズ形状などの光学機能を有する形状を有する。光学機能部12とガラス基材11とは、接合部13を介して接合されている。光学機能部12の表面や、光学機能部12と接合部13との界面に、反射防止膜などのコーティングを有してもよい。なお、接合部13の幅をWとする。
ガラス基材11の形状は限定されず、例えば、平板である。平面図において、ガラス基材11の形状は長方形であってもよいし、円形や楕円形であってもよい。ガラス基材11は、光学系での使用波長帯の少なくとも一部の波長帯において透明であればよい。また、ガラス基材11は、ガラス基材11と空気との界面や、ガラス基材11と接合部13との界面に反射防止層を有してもよい。
また、ガラス基材11は、光学フィルタ機能を有してもよい。ガラス基材11には、光学フィルタ機能を付与する目的で、赤外線、可視光、及び紫外線のいずれか1つ、または2つ以上に対して反射機能や吸収機能を有する光学機能層を積層してもよい。光学機能層として、金属、半導体、及び誘電体等を有する光学多層膜や、有機色素及び顔料等を含む有機膜を用いてもよい。また、ガラス基材11に光学機能層を積層することに代えて、ガラス基材11に用いるガラス材料として、赤外線、可視光、及び紫外線のいずれか1つ、または2つ以上に対して反射機能や吸収機能を有する材料を用いてもよい。
光学素子10の形状は、図1に例示される形状に限られない。例えば、図2(a)に示すように、ガラス基材11が光学機能部12よりも大きな幅を有してもよい。また、図2(b)に示すように、ガラス基材11が光学機能部12よりも小さな幅を有してもよい。また、図3(c)に示すように、光学機能部12の外周部の側に接合部13が設けられてもよい。この場合、ガラス基材11と光学機能部12の間の空間14は空気層である。
また、光学機能部12の表面形状は、凸形状に限られない。例えば、図3(d)に示すように、凹形状であってもよい。また、回折格子のように微小な凹凸を有する略平面形状であってもよい。
光学素子10は、一例として、光学機能部12を先に成形した後に、接合部13を介して光学機能部12をガラス基材11に接着することによって作製される。また、他の例として、ガラス基材11上に接合部13を付与し、その上にインプリント法によって光学機能部12を成形してもよい。
次に、温度変化による光学素子10の反りに関して検討する。ここでは、非特許文献1に記載されたk層の積層板の反りの一般式を用いて検討を行う。
下記の(1)式において、Ekは、各層の弾性率を表す。αkは、各層の線膨張係数を表す。Zkは、任意の位置に設定可能な基準座標からの各層の界面の厚さ方向の位置を表す。tは、基準温度からの温度差を表す。Kは、温度差tによって生じる積層体の変形の曲率Kを表す。
K=(A×F-B×D)/(A×C-B2)
A=Σ{Ek×(Zk-Zk-1)}
B=(1/2)×Σ{Ek×(Zk 2-Zk-1 2)}
C=(1/3)×Σ{Ek×(Zk 3-Zk-1 3)}
D=t×Σ{Ek×αk×(Zk-Zk-1)}
F=(t/2)×Σ{Ek×αk×(Zk 2-Zk-1 2)}
・・・(1)
A=Σ{Ek×(Zk-Zk-1)}
B=(1/2)×Σ{Ek×(Zk 2-Zk-1 2)}
C=(1/3)×Σ{Ek×(Zk 3-Zk-1 3)}
D=t×Σ{Ek×αk×(Zk-Zk-1)}
F=(t/2)×Σ{Ek×αk×(Zk 2-Zk-1 2)}
・・・(1)
そして、曲率Kの円弧によって生じる厚さ方向の変位量(反り)を変位量ΔHとすると、ΔHは、下記の(2)式で定義される。Wは、接合部の幅を表す。
ΔH=(1/|K|)-√{(1/K)2-(W/2)2} ・・・(2)
したがって、積層体による温度変化による反りは、(1)式および(2)式を用いて試算することができる。なお、Ekの単位は[MPa]である。Zkの単位は[mm]である。αkの単位は[/℃]である。ΔHの単位は[mm]である。tの単位は[℃]である。
上記(1)式は、平板が積層されたモデルを対象とした式であるが、レンズのように表面の厚さが場所によって変化する場合、接合部13から最も厚い部分を厚さとして計算すればよい。また、接合部13が十分薄い場合(例えば、光学機能部12の厚さに対する接合部13の厚さが1/5以下の場合)には、ガラス基材11及び光学機能部12の2層を対象として計算してもよい。この場合、Kは、下記の(3)式で導出される。
K=(A×F-B×D)/(A×C-B2)
A=Es×Hs+Em×Hm
B=(1/2)×[Es×Hs2+Em×{(Hs+Hm)2-Hs2}]
C=(1/3)×[Es×Hs3+Em×{(Hs+Hm)3-Hs3}]
D=ΔT×{Es×αs×Hs+Em×αm×Hm}
F=(ΔT/2)×[Es×αs×Hs2+Em×αm×{(Hs+Hm)2-Hs2}] ・・・(3)
A=Es×Hs+Em×Hm
B=(1/2)×[Es×Hs2+Em×{(Hs+Hm)2-Hs2}]
C=(1/3)×[Es×Hs3+Em×{(Hs+Hm)3-Hs3}]
D=ΔT×{Es×αs×Hs+Em×αm×Hm}
F=(ΔT/2)×[Es×αs×Hs2+Em×αm×{(Hs+Hm)2-Hs2}] ・・・(3)
上記(3)式において、Hmは、光学機能部12の最も厚い部分の厚さ(単位は[mm])を示す。Emは、光学機能部12のヤング率(単位は[MPa])を示す。αmは、光学機能部12の線膨張係数(単位は[/℃])を示す。Hsは、ガラス基材11の厚さ(単位は[mm])を示す。Esは、ガラス基材11のヤング率(単位は[MPa])を示す。αsは、ガラス基材11の線膨張係数(単位は[/℃])を示す。ΔTは、室温と光学素子10が機能すべき温度範囲の上限となる温度との差(単位は[℃])を示す。光学素子10が機能すべき温度範囲として様々な範囲が想定されるが、以下、一例として、ΔT=25℃とする。
ΔT=25℃の場合のΔHは0.005mm以上であることが好ましく、ΔHは0.01mm以上であることが好ましい。本発明の一態様の光学素子はΔHが上記範囲であるにも関わらず、後述するように接合部のガラス転移点やヤング率を特定範囲とすることで、反りを低減できる。
光学機能部12の厚さ、ガラス基材11の厚さ、接合部13の厚さ、接合部13の幅Wは、電子顕微鏡(SEM)による断面観察や光学顕微鏡を用いて測定できる。
ヤング率の測定は、引張試験、圧縮試験、ねじり試験、共振法、超音波パルス法、及び振子法等を用いることができる。測定方法は例えば下記の規格に記載されている。
JIS R1602:1995「ファインセラミックスの弾性率試験方法」
JIS R1605:1995「ファインセラミックスの高温弾性率試験方法」
JIS Z2201:1998「金属材料引張試験片」
JIS Z2241:2011「金属材料引張試験方法」
JIS G0567J:2012「鉄鋼材料及び耐熱合金の高温引張試験方法」
JIS Z2280:1993「金属材料の高温ヤング率試験方法」
JIS R1602:1995「ファインセラミックスの弾性率試験方法」
JIS R1605:1995「ファインセラミックスの高温弾性率試験方法」
JIS Z2201:1998「金属材料引張試験片」
JIS Z2241:2011「金属材料引張試験方法」
JIS G0567J:2012「鉄鋼材料及び耐熱合金の高温引張試験方法」
JIS Z2280:1993「金属材料の高温ヤング率試験方法」
また、光学機能部、ガラス基材、及び接合部の厚みが薄い場合、上記の方法ではヤング率の測定が難しい場合がある。そのような場合、ナノインデンター法を用いてもよい。ナノインデンター法の測定方法は例えばISO14577に記載されている。
線膨張係数は熱機械分析装置(TMA:thermomechanical analyzer)を用いて計測できる。また、下記のJIS規格による方法を用いてもよい。
JIS Z2285:2003 金属材料の線膨張係数の測定方法
JIS R1618:2002 ファインセラミックスの熱機械分析による熱膨張の測定方法
JIS R3251:1995 低膨張ガラスのレーザー干渉法による線膨張率の測定方法
JIS R3102:1995 ガラスの平均線膨張係数の試験方法
を用いて測定できる。
JIS Z2285:2003 金属材料の線膨張係数の測定方法
JIS R1618:2002 ファインセラミックスの熱機械分析による熱膨張の測定方法
JIS R3251:1995 低膨張ガラスのレーザー干渉法による線膨張率の測定方法
JIS R3102:1995 ガラスの平均線膨張係数の試験方法
を用いて測定できる。
光学機能部、ガラス基材、接合部のヤング率や線膨張係数を測定する際には、これらが接合された状態で測定してもいいし、接合されていない状態で各々測定してもよい。また、光学機能部、ガラス基材、及び接合部の測定方法は各々異なっていてもよい。各々の材料が経る工程によってヤング率や線膨張係数の値に幅が生じる場合があるが、化学組成の近い材料を成形することでヤング率や線膨張係数を測定し、その値をもって各部材のヤング率や線膨張係数を代用してもよい。また、ヤング率や線膨張係数の測定として上記以外の方法を用いてもよい。
表1に、ガラス基材11のヤング率Esを80000MPa、ガラス基材11の線膨張係数αsを1.3×10-5/℃、光学機能部12のヤング率Emを2000MPa、光学機能部12の線膨張係数αmを1×10-4/℃、接合部13の幅Wを5mmとした場合、ΔT=25℃であるときの各ΔHを、(2)式および(3)式を用いて計算した結果を示す。表1からわかるように、ガラス基材11の厚さHsが薄い場合や、光学機能部12の厚さHmが厚い場合に、温度変化によるΔHが大きくなることがわかる。
例えば、光学機能部12がレンズ形状である場合、温度変化によってレンズ面の焦点距離が変化する。光学素子10が光学系中に組み込まれた場合、そのような焦点距離の変化は、光学系に収差を生じさせる。光学系が撮像系の場合には、収差は、画像がぼけるなどの悪影響を及ぼす。光学系によって許容される収差の量は異なるが、例えば、温度変化による光学素子10の反りの発生量は0.010mm以下が好ましく、0.005mm以下がより好ましい。
また、一般に、光学素子10は鏡筒などのパッケージ内に接着されるので、光学素子10自体が持つ反りの温度依存性がパッケージに拘束されて低減される場合がある。そのような場合、光学素子10自体の温度変化による反りの発生量は、例えば0.020mm以下が好ましい。
以上の検討では、(1)~(3)式を用いたが、(1)~(3)式は、積層体が接合され、一様に変形することを前提とした式である。しかし、後述するように、本発明者らの検討の結果、接合部13のヤング率が十分に小さい場合には、温度変化による反りの低減効果があることが見いだされた。したがって、本発明の一態様の光学素子は、接合部のヤング率が、後述する特定値以下とする。
図4は、光学素子10の反りの低減を説明する説明図である。図4(a)に示す光学素子10は、接合部13のヤング率が十分に小さい。図4(a)に示すように、接合部13のヤング率が十分に小さい場合には、光学機能部12の収縮に対して、接合部13が変形することによって光学素子10の反りが低減されると考えられる。
これに対して、接合部13のヤング率が大きい場合には、図4(b)に示すように、光学機能部12の収縮に対して、接合部13が十分に変形できずに全体が反ることになる。
なお、そのような変形を考慮した反りは、有限要素法によって計算することができる。
図5は、有限要素法を用いて、光学素子10が機能するときの温度と室温との温度差が25℃の場合の反り量を計算した結果を示すグラフである。計算を行うときに、接合部13の形状は平面視の場合に長方形であり、対角方向の長さW(幅)を9mmとした。また、ガラス基材11の厚さを0.2mm、接合部13の厚さを0.01mm、光学機能部12の厚さを0.5mmとした。また、光学機能部12を凹レンズとした。
なお、有限要素法の計算方法はJacob Fish「有限要素法」2008/12/20、丸善などに記載されている。計算の際には汎用の有限要素法計算ソフトウェア(Abaqus、ANSYS、Solidworks Simulation等)を使用することができる。
なお、有限要素法の計算方法はJacob Fish「有限要素法」2008/12/20、丸善などに記載されている。計算の際には汎用の有限要素法計算ソフトウェア(Abaqus、ANSYS、Solidworks Simulation等)を使用することができる。
ガラス基材11のヤング率を80000MPa、ガラス基材11の線膨張係数を1.3×10-5/℃とし、光学機能部12のヤング率を2000MPa、光学機能部12の線膨張係数を1×10-4/℃とした。このとき、接合部13の線膨張係数を1×10-4/℃とした。そして、接合部13のヤング率が0.1MPa、1MPa、10MPa、100MPaの場合について計算した。なお、反り量は、ガラス基材11の中心と端部の厚さ方向の位置の差分とした。図5におけるヤング率(MPa)及び反り(mm)を表2に示す。
なお、(1)式と(2)式とを用いてΔHを計算すると、ΔH=0.04mmである。接合部13は十分に薄いとして(2)式と(3)式とを用いて計算すると、ΔH=0.04mmである。接合部13の材料のヤング率を選択することによって反り量が低減されることがわかる。すなわち、図5及び表2に示された結果を参照すると、接合部13のヤング率が100MPa未満であれば、反り量は0.033mm以下になることがわかる。したがって、本発明の一態様の光学素子は、接合部の材料のヤング率が100MPa未満となる。
また、接合部の材料のヤング率が20MPa以下である場合には、反り量が0.03mm以下になり、好ましい。接合部の材料のヤング率が10MPa以下である場合には、反り量は0.025mm以下になり、より好ましい。接合部の材料のヤング率が2MPa以下である場合には、反り量は0.01mm以下になり、さらに好ましい。接合部の材料のヤング率が0.6MPa以下の場合には、反り量が0.005mm以下になり、特に好ましい。
なお、上記のような計算を行うときに、ヤング率や線膨張係数は1つの値とした。しかし、一般に、ヤング率や線膨張係数は、温度によって変化する。したがって、ヤング率や線膨張係数の値として、室温での値を用いるのではなく、所定の温度範囲における平均値を用いてもよい。
また、一般に、樹脂材料はガラス転移点より高い温度で軟化する。したがって接合部13の材料のガラス転移点は、光学素子10または光学素子10が組み込まれた光学部材の使用温度範囲の上限以下(例えば、85℃以下や50℃以下)または使用温度範囲の下限に近い温度(例えば、25℃以下)にあることが好ましい。ガラス転移点が上記温度範囲内であれば、接合部13は、使用温度範囲の少なくとも一部において軟化し、ヤング率が低下することで、反り量が緩和されるからである。したがって、本発明の一態様の光学素子は、接合部13のガラス転移点が85℃以下である。接合部13のガラス転移点は50℃以下が好ましく、25℃以下がより好ましく、0℃以下がさらに好ましい。
ガラス転移点前後のヤング率の変化は例えば「Mechanical and thermal properties of graphite platelet/epoxy composites」Polymer 45 (2004) 8211-8219、などに記載がある。この文献では貯蔵弾性率のガラス転移点(Tg)前後の挙動が示されているが、ヤング率も同様と考えることができる。この文献のように一般的にTg前後でヤング率は1桁以上の変化を示す。したがって、Tgが前記温度範囲内にある場合、Tg以下の接合部のヤング率が100MPa未満であることが好ましく、20MPaであるとより好ましい。
接合部のガラス転移点は、示差走査熱量測定(DSC)や示差熱分析(DTA)等を用いて測定できる。測定方法は例えば下記の規格に記載されている。
JIS K 7121:2012「プラスチックの転移温度測定方法」
JIS K 6240:2011「原料ゴム‐示差走査熱量測定(DSC)によるガラス転移温度の求め方」
JIS K 7121:2012「プラスチックの転移温度測定方法」
JIS K 6240:2011「原料ゴム‐示差走査熱量測定(DSC)によるガラス転移温度の求め方」
また、接合部13の幅Wが大きいと反り量が大きくなる。それを考慮すると、Wは、例えば、20mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましい。また、ガラス基材11の厚さが薄い方が、反り量がより大きくなる。そこで、ガラス基材11の厚さを例えば0.3mm以下にして、上記の幅Wを選択することが好ましい。
なお、上記の反りの低減の考え方は、例えば光学素子10とパッケージや他の光学部材などの他の部材とを接着する際にも有効である。例えば、ガラス基材11または光学機能部12と、これらと線膨張係数が異なるパッケージ部材とを接着して光学ユニットを作製する際に、接着剤としてヤング率が小さい材料を用いることによって、温度変化による光学ユニットの反りが低減される。上記接着剤のヤング率は、例えば2MPa以下であってよく、0.6MPa以下であってもよい。
[光学系]
以上、本発明の一態様の光学素子を説明したが、上記態様の光学素子は、種々の光学系に適用(例えば、組込)可能である。
以上、本発明の一態様の光学素子を説明したが、上記態様の光学素子は、種々の光学系に適用(例えば、組込)可能である。
光学系として、例えば、上記光学素子に加えて、上記の光学素子と共働するレンズ、反射防止フィルやバンドパスフィルタなどの光学フィルタ、カバーガラス、絞り等を備えた光学系が挙げられる。ただし、それらは一例であって、上記の光学素子の適用対象はそれらに限られない。
[光学装置]
また、上記の光学素子または上記の光学系は、カメラなどの撮像装置に適用されたり、光を投影して距離や形状を計測する計測装置に適用されたりすることが想定される。すなわち、本発明の一態様の光学素子または光学系は、撮像装置や計測装置などを含む光学装置に適用できる。ただし、それらは一例であって、上記の光学素子が適用された光学系の用途はそれらに限られない。
また、上記の光学素子または上記の光学系は、カメラなどの撮像装置に適用されたり、光を投影して距離や形状を計測する計測装置に適用されたりすることが想定される。すなわち、本発明の一態様の光学素子または光学系は、撮像装置や計測装置などを含む光学装置に適用できる。ただし、それらは一例であって、上記の光学素子が適用された光学系の用途はそれらに限られない。
以下、本発明の態様を、図3(d)に例示された光学素子10を例にして、具体的に説明する。接合部13が、平面視の場合で長方形であり、対角方向の長さ(幅)Wが9mmである場合を例にする。また、ガラス基材11の厚さを0.2mm、接合部13の厚さを0.01mm、光学機能部12の厚さを0.5mmとする。図3(d)に示すように、光学機能部12は凹レンズである。ガラス基材11のヤング率を80000MPa、ガラス基材11の線膨張係数を1.3×10-5/℃、光学機能部12のヤング率を2000MPa、光学機能部12の線膨張係数を1×10-4/℃、接合部13の線膨張係数を1×10-4/℃、接合部13のヤング率を0.1MPaとする。なお、ガラス転移点は0℃とする。
(1)式と(2)式とを用いてΔHを計算すると、ΔH=0.04である。また、(2)式と(3)式とを用いてΔHを計算すると、ΔH=0.04である。また、有限要素法によって温度が25℃変化した場合の反り量を計算すると1μmであった。すなわち、反り量は十分に小さいといえる。
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更及び変形が可能であることは、当業者にとって明らかである。なお本出願は、2018年8月17日付で出願された日本特許出願(特願2018-153404)に基づいており、その全体が引用により援用される。
10 光学素子
11 ガラス基材
12 光学機能部
13 接合部
14 空間
11 ガラス基材
12 光学機能部
13 接合部
14 空間
Claims (10)
- ガラス基材と、
樹脂を材料とする光学機能部と、
前記ガラス基材と前記光学機能部とを接合する接合部と
を有する光学素子であって、
前記接合部のガラス転移点が85℃以下である、光学素子。 - 前記接合部のガラス転移点が50℃以下である、請求項1に記載の光学素子。
- 前記接合部のガラス転移点が25℃以下である、請求項2に記載の光学素子。
- 前記接合部のヤング率が100MPa未満である、請求項1~3のいずれか1項に記載の光学素子。
- ガラス基材と、
樹脂を材料とする光学機能部と、
前記ガラス基材と前記光学機能部とを接合する接合部と
を有する光学素子であって、
前記接合部のヤング率が100MPa未満である、光学素子。 - 前記接合部のヤング率が20MPa以下である、請求項5に記載の光学素子。
- 前記光学機能部の最も厚い部分の厚さをHm、前記光学機能部のヤング率をEm、前記光学機能部の線膨張係数をαm、前記ガラス基材の厚さをHs、前記ガラス基材のヤング率をEs、前記ガラス基材の線膨張係数をαs、前記接合部の幅をWで表して、変位量ΔHを下記の式によって定義したときに、
ΔT=25℃の場合のΔHが0.005mm以上である、請求項1~6のいずれか1項に記載の光学素子。
ΔH=(1/|K|)-√{(1/K)2-(W/2)2}
(上記式において、
K=(A×F-B×D)/(A×C-B2)
A=Es×Hs+Em×Hm
B=(1/2)×[Es×Hs2+Em×{(Hs+Hm)2-Hs2}]
C=(1/3)×[Es×Hs3+Em×{(Hs+Hm)3-Hs3}]
D=ΔT×{Es×αs×Hs+Em×αm×Hm}
F=(ΔT/2)×[Es×αs×Hs2+Em×αm×{(Hs+Hm)2-Hs2}]) - 前記ΔHが0.01mm以上である、請求項7に記載の光学素子。
- 請求項1~8のいずれか1項に記載の光学素子を有する光学系。
- 請求項1~8のいずれか1項に記載の光学素子を有する光学装置。
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