JP6854484B2 - リング状素材の圧延方法 - Google Patents

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Description

この発明はリング状素材の圧延方法に関し、詳しくはNi基超合金から成るリング状素材の圧延方法に関する。
薄肉で大径のリング状の部品を形成するに際して、熱間状態のリング状素材の一部を、主ロールとマンドレルとでそれぞれ外周側と内周側から挟み、周方向に回転移動するリング状素材を肉厚方向に圧下することで、薄肉化しつつ拡径させるリング圧延方法が、例えば下記特許文献に記載されている。このようなリング圧延方法は、製造時の材料歩留まりを向上させるのに有用である。
特開2015−24420号公報 特開昭62−207525号公報
しかしながらリング状素材がNi基超合金である場合、高温強化相として析出するγ′相(金属間化合物のNi3(Al,Ti,Nb)の相)が高温まで安定であるため、圧延可能な温度が高く且つその領域が非常に狭い。このため、圧延加工時にバーニングの発生や素材の変形能不足に起因する割れが生じやすい問題があった。
本発明は以上のような事情を背景とし、Ni基超合金から成るリング状素材を圧延加工する際の割れの発生を抑制することが可能なリング状素材の圧延方法を提供することを目的としてなされたものである。
而して請求項1のものは、リング状素材を所定温度にまで加熱する加熱処理と、主ロールとマンドレルとで前記リング状素材の一部をそれぞれ外周側と内周側から挟んで該リング状素材を周方向に回転移動させながら肉厚方向に圧下するとともに、一対のアキシャルロールにて前記リング状素材の一部を上側と下側から挟んで高さ方向に圧下して、熱間状態の該リング状素材を圧延する圧延処理と、を交互に繰り返し、Ni基超合金から成る該リング状素材を薄肉化しつつ拡径する圧延方法であって、最初の前記圧延処理が開始される前の前記リング状素材の、肉厚/高さで表される扁平率を2.1未満とし、前記圧延処理における、下記式(1)で表される前記リング状素材の内周の歪み量sを0.33未満、下記式(2)で表される肉厚方向の加工率pを0.45%以下とし、
s=ln((圧延処理後の内径×π)/(圧延処理前の内径×π))・・・式(1)
p=(肉厚方向の加工速度)/(圧延処理前の肉厚)×100・・・式(2)
更に圧延加工中における前記リング状素材の外周中央部の温度を、グリーブル試験において40%以上の絞り値を示す温度としたことを特徴とする。
ここで前記リング状素材、質量%で、C:0.001%を超え0.100%未満、Cr:11%以上19%未満、Co:5%を超え25%未満、Fe:0.1%以上4.0%未満、Mo:2.0%を超え5.0%未満、W:1.0%を超え5.0%未満、Nb:0.3%以上4.0%未満、Al:3.0%を超え5.0%未満、Ti:1.0%を超え2.5%未満、を含有し、残部Ni及び不可避的不純物の組成を有する
請求項のものは、請求項において、前記リング状素材が、質量%で、Ta:0.01%以上2.0%未満、を更に含有することを特徴とする。

以上のように、本発明のリング状素材の圧延方法は、最初の圧延処理が開始される前のリング状素材の、肉厚/高さで表される扁平率を2.1未満としたことを特徴としたものである。Ni基超合金から成るリング状素材を圧延する際、バーニング発生による大割れの問題があった。本発明者らは、リング状素材の形状とバーニングの発生との関係を調査したところ、肉厚/高さで表されるリング状素材の扁平率が高い場合にバーニングが発生することが認められた。詳しくは、図2(A)で示すリング状素材の断面形状が、肉厚方向(図中横方向)に長い横長形状であると、リング状素材は、肉厚方向に圧下された際に、図2(B)に示すような内周面及び外周面近傍の部位が上下方向の外側に延び出した略鼓形状となり、上下方向に突き出したコーナ部が、肉厚方向の圧下と高さ方向の圧下の繰り返しにより、過度に変形せしめられ、その際に生じる加工発熱によりバーニングが発生していることを見出した。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。本発明では、最初の圧延処理が開始される前のリング状素材における肉厚/高さで表される扁平率を2.1未満とすることで、リング状素材が略鼓形状に変形するのを防止し、バーニング発生による大割れを抑制することができる。
本発明の圧延方法では、圧延処理における、上記式(2)で示すリング状素材の内周の歪み量sを0.33未満とすることができる。リング状素材を薄肉化しつつ拡径する圧延方法では、図3に示すようにリング状素材の内周面に軸方向に延びる割れ(内周割れ)が生じる場合がある。このような内周割れは、歪み量sを0.33未満とすることで抑制することができる。
また本発明の圧延方法によれば、圧延加工中、特にリング状素材のコーナ部において冷却が進み易く、コーナ部において割れ(エッジ割れ)が生じる場合がある。本発明者らが調査した結果によれば、エッジ割れの発生を抑制するためには、(肉厚方向の加工速度)/(圧延処理前の肉厚)×100で表される肉厚方向の加工率pを0.45%以下とすること、及び、加工中におけるリング状素材の外周中央部の温度をグリーブル試験の絞り値で40%以上となる温度とすることが有効である。
本発明の圧延方法は、リング圧延加工時における割れの発生が特に顕著となる以下の組成、即ち、質量%で、C:0.001%を超え0.100%未満、Cr:11%を超え19%未満、Co:5%を超え19%未満、Fe:0.1%以上4.0%未満、Mo:2.0%を超え5.0%未満、W:1.0%を超え5.0%未満、Nb:0.3%以上4.0%未満、Al:3.0%を超え5.0%未満、Ti:1.0%を超え2.5%未満、を含有し、残部Ni及び不可避的不純物の組成を有するリング状素材に適用して特に好適である。
更に、Taを1.0%を超え2.5%未満、含有するNi基超合金から成るリング状素材にも好適に適用することができる。
次に本発明におけるNi基超合金の化学成分の限定理由を以下に説明する。
C:0.001%超〜0.100%未満
Cは、Cr,Nb,Ti,W及びMo等と結合し、種々の炭化物を生成する。炭化物のうち固溶温度の高い種類のもの、ここでは主にNb系及びTi系の炭化物では、ピンニング効果によって高温下での結晶粒の粗大成長を抑制させ、主として靭性の低下を抑制し、熱間加工性の改善に寄与する。また、主にCr系、Mo系、W系の炭化物を粒界に析出させて粒界強化することで、機械特性の改善に寄与する。但し、Cは過剰に添加すると炭化物量が過剰となることで、炭化物の偏析等による組織の不均一化、粒界炭化物の過剰析出等によって熱間加工性及び機械特性の低下を招く。そこで本発明ではC含有量を上記範囲内とする。好ましくは0.001%超〜0.06%の範囲である。
Cr:11%〜19%未満
CrはCr23の保護酸化皮膜を形成し、耐食性・耐酸化牲に不可欠な元素である。またCと結合して炭化物を生成することで強度特性の向上に寄与する。しかし、Crはフェライト安定化元素であり、過剰の添加はオーステナイトの不安定化により脆化相であるシグマ相やラーベス相の生成を促進し、熱間加工性及び強度特性、衝撃特性等の機械特性の低下をもたらすため添加量を上記範囲に制限する。好ましくは13%〜19%未満の範囲である。
Co:5%超〜25%未満
Coは、Ni基超含金の母相であるオーステナイト基地に固溶して加工性を改善するとともに、γ′相の析出を促し引張特性等の高温強度を向上させる。但しCoは高価であり、コスト的に不利であるため、上限を定める。好ましくは11%超〜25%未満、より好ましくは15%超〜25%未満である。
Fe:0.1%〜4.0%未満
Feは、合金製造時の原料選択によって混入する成分であり、Feの含有量の多い原料を選択すれば原料コストを抑制できる。しかし過剰に含有すると強度が低下を招く。好ましくは0.1%〜3.0%未満の範囲である。
Mo:2.0%超〜5.0%未満
W:1.0%超〜5.0%未満
Mo及びWは固溶強化元素であり、Ni基超合金の母相であるオーステナイト相に固溶して合金を強化する。またMo,Wともに、Cと結合して炭化物を生成し粒界を強化する。しかし、過剰の添加は有害相であるシグマ相やラーベス相の生成を促進し、熱間加工性及び機械特性の低下要因となる。そのためMoは2.0%超〜5.0%未満、Wは1.0%超〜5.0%未満とする。
Nb:0.3%〜4.0%未満
Ti:1.0%超〜2.5%未満
NbおよびTiはCと結合して比較的固溶温度の高いMC型炭化物を生成させることで、固溶化熱処理後の結晶粒組大化を抑制するピンニング効果を高め、高温強度特性の改善に有効である。またNb,Tiとも、強化相であるγ′(ガンマプライム)相−Ni3AlのA1サイトに置換し、Ni3(Al,Ti,Nb)となってγ′の固溶強化に働く。これによって高温強度特性の改善に有効に働く。しかし、過剰の添加はγ′の固溶温度上昇による熱間加工性の低下、高温強度の低下を招くため、添加量を上記範囲に制限する。尚、好ましい範囲はNbで2.1%〜4.0%未満である。
Al:3.0%超〜5.0%未満
Alは、強化相であるγ′相−Ni3Alの生成元素として働き、高温強度特性の改善に特に重要な元素である。γ′相の固溶温度を低下させて熱間加工性を向上させる。更にAlはOと結合してA123の保護酸化被膜を形成し、耐食性・耐酸化性の改善にも有効である。
一方、過剰の添加はγ′相の固溶温度を上昇させ、γ′相を過剰に析出させるため熱間加工性を低下させる。
Ta:0.01%〜2.0%未満
Taは、NbおよびTiと同様に、Cと結合して比較的固溶温度の高いMC型炭化物を生成させることで、固溶化熱処理後の結晶粒組大化を抑制するピンニング効果を高め、高温強度特性の改善に有効である。強化相であるγ′(ガンマプライム)相−Ni3AlのA1サイトに置換し、Ni3(Al,Ti,Nb,Ta)となってγ′の固溶強化に働く。これによって高温強度特性の改善に有効に働く。一方、過剰な添加はγ′の固溶温度上昇による熱間加工性の低下、高温強度の低下を招く。
以上のような本発明によれば、Ni基超合金から成るリング状素材におけるリング圧延時の割れの発生を簡便に抑制することができるリング状素材の圧延方法を提供することができる。
本発明の一実施形態の圧延方法にて用いられるリングロール成形機の要部をリング状素材とともに模式的に示した図である。 加工対象であるリング状素材の断面形状の一例を示した図である。 内周割れが発生した試験片24の内周面を拡大して示した図である。 エッジ割れ発生に及ぼす加工率の影響を示した図である。 エッジ割れが発生した試験片41のコーナ部を示した図である。 グリーブル試験における試験温度と絞り値の関係を示した図である。
次に本発明の実施形態を以下に説明する。図1は、本発明の一実施形態の圧延方法に用いられるリングロール成形機10の要部を模式的に示した図である。同図において、12は主ロール、Wは円環状のリング状素材、16はマンドレルである。
主ロール12は、マンドレル16よりも大径をなし、鉛直方向に延びる回転軸12c周りに回転駆動可能に設けられている。主ロール12の外周面は、加工対象であるリング状素材Wの外周面22と圧接し、リング状素材Wを所定の速度で周方向に回転させる。
マンドレル16は、その回転軸16cが主ロール12の回転軸12cと略平行をなした状態で、回転軸16c周りに回転自在に支持されている。マンドレル16は、円環状を成すリング状素材Wの内側空間を挿通し、リング状素材Wの、主ロール12との圧接部に対応する位置でリング状素材Wの内周面24と圧接しており、主ロール12とマンドレル16とでリング状素材Wの一部をそれぞれ外周側と内周側から挟み込んでいる。
リング状素材Wの中心軸wcを間に挟んで、主ロール12およびマンドレル16とは反対側の位置に、一対のアキシャルロール18,19が配設されている。アキシャルロール18,19は、それぞれ略円錐形状をなし回転軸18c,19c周りにそれぞれ回転自在に設けられている。これら一対のアキシャルロール18,19の外周面はリング状素材Wの上面26,下面28にそれぞれ圧接し、リング状素材Wの一部を高さ方向に挟み込んでいる。
本例の圧延方法では、リング状素材Wを所定温度にまで加熱する加熱処理と、熱間状態のリング状素材Wをリングロール成形機10を用いて圧延する圧延処理と、を交互に繰り返し、リング状素材Wを薄肉化しつつ拡径する。
加熱処理においてリング状素材Wは、図示を省略する加熱炉に装入され所定の温度にまで加熱され、加熱処理されたリング状素材Wは、圧延処理のためリングロール成形機10にセットされる。
圧延処理では、主ロール12とマンドレル16とでリング状素材Wの一部をそれぞれ外周側と内周側から挟んだ状態とし、また一対のアキシャルロール18,19にてリング状素材Wの一部を上側と下側から挟んだ状態とする。この状態で、主ロール12を回転軸12c周りに回転駆動させると、リング状素材Wはその周方向に回転せしめられる。そしてマンドレル16をその回転軸16c周りに回転させながら、所定の速度で主ロール12に近づけると、その押圧力によってリング状素材Wは肉厚方向に圧下され薄肉化する。このときリング状素材Wは薄肉化と同時に拡径されるため、これに伴いアキシャルロール18,19はリング状素材Wの径方向外方に向けて後退移動させる。また本例では、一対のアキシャルロール18,19の何れか一方又は両方を上下方向に移動させることで、リング状素材Wは、肉厚方向に加え、高さ方向にも圧下される。圧延処理の間、リング状素材Wの温度は、徐々に低下していくため所定の終止温度に達したら圧延処理を終了する。
その後、リング状素材Wをリングロール成形機10から取り外し、加熱炉に装入して次の加熱処理を施し、リング状素材Wを所定の温度にまで加熱する。その後、再びリング状素材Wをリングロール成形機10にセットして、次の圧延処理を実施する。このように本例では、加熱処理と圧延処理とを交互に繰り返しながらリング状素材Wを拡径させて、目標の外径、内径及び高さを備えたリング状部品を得ることができる。
(1)リング状素材の扁平率、(2)圧延処理における内周の歪み量s、(3)圧延処理における肉厚方向の加工率p、(4)圧延処理における終止温度、についての条件を異ならせてリング圧延を行い、それぞれの項目について割れの発生を抑制する効果を確認した。
[効果確認試験1]
表1に示す化学組成のNi基超合金を真空誘導炉で溶解し、更に真空アーク溶解(VAR)を行って3トンのNi基超合金のインゴットを得た。その後、インゴットに均質化処理を施し、分塊鍛造し、更に円板状の鍛造体を作製し、貫通孔を形成することによりリング状の試験片(リング状素材)を得た。
ここでは、肉厚t/高さhで表される扁平率の異なる3種類の試験片1〜3を作製した。
Figure 0006854484
得られた試験片に対して加熱処理を行った。この加熱処理では、試験片を1020〜1060℃に加熱して2〜4時間保持した。
加熱処理された試験片を、肉厚方向の加工(圧下)速度0.4〜2.2mm/秒の条件で圧延処理を行い、圧延加工中でのバーニングの発生の有無を目視にて確認し、以下の基準に従い評価した。
○:バーニングの発生無し
×:バーニングの発生あり
その結果が表2に示してある。
Figure 0006854484
表2に示すように、扁平率2.1の試験片1については、バーニングの発生が認められ評価結果は×であった。一方、扁平率1.35及び1.1の試験片についてはバーニングの発生は認められなかった。即ち、扁平率を本発明の範囲内(2.1未満)とすることでバーニング発生による大割れを抑制することができる。
[効果確認試験2]
表1に示す化学成分の合金を用いて、下記の表3に示す、外径φ650〜940mm、内径φ390〜750mm、高さ120〜170mmの試験片21〜24を作製し、加熱処理と圧延処理とを繰り返し実施した。
加熱処理の条件は、上記効果確認試験1の場合と同じである。圧延処理は、肉厚方向の加工速度0.4〜2.2mm/秒の条件で行なった。ここでは、圧延処理前の試験片の内径及び圧延処理後の試験片の内径を測定し、上記式(1)で表される内周の歪み量sを求めるとともに、圧延処理後の試験片における内周面の割れ(内周割れ)の発生の有無を目視にて確認し、以下の基準に従い評価した。
○:内周割れの発生無し
×:内周割れの発生あり
その結果が表3に示してある。尚、表3で示すヒート数は、歪み量sの測定及び割れの確認を行った時点での、加熱処理及び圧延処理の繰り返し回数である。
Figure 0006854484
表3に示すように、歪み量sが0.33である試験片24(ヒート数4の圧延処理)については、図3に示す内周割れの発生が認められ評価結果が×であった。試験片の変形能を越えた加工が加えられたことにより、図3に示すような内周割れが生じたものと推測される。一方、内周の歪み量sが0.10〜0.21の圧延処理については、内周割れの発生は認められなかった。即ち、圧延処理における内周の歪み量sを本発明の範囲内(0.33未満)とすることによる効果が得られている。
[効果確認試験3]
表1に示す鋼種bの化学成分の合金を用いて、下記の表4に示す外径φ690〜1150mm、内径φ380〜1030mm、高さ160〜185mmの試験片31,32,33,34を作製し、加熱処理と圧延処理とを繰り返し実施した。
加熱処理の条件は、上記効果確認試験1の場合と同じである。圧延処理は、肉厚方向の加工速度0.33〜0.6mm/秒の条件で行なった。ここでは、各圧延処理において、圧延処理前の肉厚(mm)と、肉厚方向の加工速度(mm/秒)とを測定し、上記式(2)で表される肉厚方向の加工率pを求めるとともに、圧延処理後における試験片のコーナ部近傍に生じる割れ(エッジ割れ)発生の有無を目視にて確認し、肉厚方向の加工率pとエッジ割れとの関係を評価し、以下の基準に従い評価した。
○:エッジ割れの発生無し
×:エッジ割れの発生あり
尚、ここでは試験片のコーナ部(角部)を跨いで隣接する2つの面に延びる割れが認められた場合をエッジ割れの発生あり、とした。その結果を表4及び図4に示す。
Figure 0006854484
表4では、試験片毎に、実施されたヒート数、最大加工率(ヒート毎の加工率pのなかで最大値)とともにエッジ割れの発生の有無を示している。最大加工率が0.393%及び0.433%であった試験片31及び32では、エッジ割れの発生は認められず評価は○であった。一方、最大加工率が0.453%及び0.532%であった試験片33及び34では、エッジ割れの発生が認められ評価は×であった。
図4は、試験片34の各ヒート毎に加工率及びエッジ割れ発生の有無を示している。同図において、丸で囲まれたポイントが、エッジ割れの発生が認められた圧延処理である。エッジ割れの発生が認められた圧延処理は、加工率pがいずれも0.45%超であった。尚、図5は試験片34にて発生したエッジ割れを示している。これに対し、加工率pが0.45%以下の圧延処理ではエッジ割れの発生はない。これら表4及び図4によれば、肉厚方向の加工率pを本発明の範囲内(0.45%以下)とすることによる効果が得られている。
[効果確認試験4]
表1に示す鋼種cの化学成分の合金を用いて、外径φ715mm、内径φ405mm、高さ115mmの試験片41を作製し、加熱処理と圧延処理とを繰り返し実施した。
加熱処理の条件は、上記効果確認試験1の場合と同じである。圧延処理は、肉厚方向の加工速度0.19〜0.4mm/秒の条件で行なった。ここでは圧延処理の終止温度を測定した。圧延処理終了時の試験片の外周面の中央部(高さ方向中央部)の温度を測定し、これを終止温度とした。
また、圧延処理後の試験片におけるエッジ割れ発生の有無を確認した。エッジ割れ発生の有無は、上記効果確認試験3と同様に行ない、以下の基準に従い評価した。
○:エッジ割れの発生無し
×:エッジ割れの発生あり
その結果を下記表5に示す。
Figure 0006854484
また試験片41と同じ組成の鋼片から、直径6mm、長さ110mmの試験片を作製し、グリーブル試験機を用いて各試験温度で引張試験を行なった。試験後に破断面の断面減少率を求め、各試験温度における絞り値を求めた。ここで得られた試験温度と絞り値との関係を図6に示す。
尚、グリーブル試験(高温高速引張試験)の条件は以下の通りである。
クロスヘッドスピード:50.8mm/秒
加熱方式:通電加熱
加熱条件:各試験温度まで加熱後試験
表5に示すように、ここでは5回の圧延処理(1,2,10,14,15ヒート)のうち、終止温度が904℃と909℃の圧延処理においてエッジ割れが発生しており、エッジ割れを抑制するためにはある程度以上の延性を有する温度で圧延処理を行うことが有効である。図6によれば終止温度909℃における絞り値は40%であり、エッジ割れを抑制するためには、圧延加工中における試験片(リング状素材)の外周中央部の温度を、グリーブル試験において40%以上の絞り値を示す温度とすることが有効であることが分かる。
以上本発明の実施形態について詳しく説明したが、これはあくまで一例示である。本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。
12 主ロール
16 マンドレル
18,19 アキシャルロール
W リング状素材

Claims (2)

  1. リング状素材を所定温度にまで加熱する加熱処理と、
    主ロールとマンドレルとで前記リング状素材の一部をそれぞれ外周側と内周側から挟んで該リング状素材を周方向に回転移動させながら肉厚方向に圧下するとともに、一対のアキシャルロールにて前記リング状素材の一部を上側と下側から挟んで高さ方向に圧下して、熱間状態の該リング状素材を圧延する圧延処理と、
    を交互に繰り返し、Ni基超合金から成る該リング状素材を薄肉化しつつ拡径する圧延方法であって、
    最初の前記圧延処理が開始される前の前記リング状素材の、肉厚/高さで表される扁平率を2.1未満とし
    前記圧延処理における、下記式(1)で表される前記リング状素材の内周の歪み量sを0.33未満、下記式(2)で表される肉厚方向の加工率pを0.45%以下とし、
    s=ln((圧延処理後の内径×π)/(圧延処理前の内径×π))・・・式(1)
    p=(肉厚方向の加工速度)/(圧延処理前の肉厚)×100・・・式(2)
    更に圧延加工中における前記リング状素材の外周中央部の温度を、グリーブル試験において40%以上の絞り値を示す温度とし、
    前記リング状素材は、質量%で、
    C:0.001%を超え0.100%未満、
    Cr:11%以上19%未満、
    Co:5%を超え25%未満、
    Fe:0.1%以上4.0%未満、
    Mo:2.0%を超え5.0%未満、
    W:1.0%を超え5.0%未満、
    Nb:0.3%以上4.0%未満、
    Al:3.0%を超え5.0%未満、
    Ti:1.0%を超え2.5%未満、
    を含有し、残部Ni及び不可避的不純物の組成を有するものであることを特徴とするリング状素材の圧延方法。
  2. 請求項において、前記リング状素材が、質量%で、
    Ta:0.01%以上2.0%未満、
    を更に含有することを特徴とするリング状素材の圧延方法。
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