JP6854134B2 - 高選択性腐食センサーシステム - Google Patents

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Description

本発明は、高選択性腐食センサーシステムに関する。詳細には、本発明は、表面プラズモン共鳴センサーを用い、金属に対する種々の腐食環境を分析・計測し得る高選択性腐食センサーシステムに関する。
金属の腐食の原因となる環境の分析・計測が可能なセンサーとして種々のセンサーが提案されている。例えば、海洋から飛来する海水に由来する塩分は、金属の腐食に対する影響は大きい。そこで、その海塩量を計測するセンサーとして、水晶振動子型センサーが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この水晶振動子型センサーは、水晶振動子の共振周波数が飛来海塩などの付着により変化することを利用して計測する。
しかし、上記水晶振動子型センサーは、飛来海塩のみを対象としており、それ以外の金属腐食に影響を与える因子(例えば、硫黄酸化物(SOx)、濡れ時間など)を計測することはできない。また、海岸部から離れた飛来海塩濃度が比較的低い都市部や農村部での腐食計測には適さない。さらに、原理的には、腐食性物質以外のものが付着しても検出信号が変化するため、特定の腐食性物質の同定は困難である。
また、大気環境下における金属腐食は、主に金属表面が降雨、結露などにより濡れた場合に進行する。これに対して、従来の電気化学的な計測手法は、没水環境下における金属腐食を想定しており、大気環境下における腐食評価には適さない。そこで、大気環境下での腐食評価のためのセンサーとしては、例えば、ガルバニック型腐食センサー(ACMセンサー)が提案されている(例えば、特許文献2参照)。このセンサーを用いることで、海塩付着量、降雨時間、結露時間、乾燥時間などの腐食環境を計測することができる。
しかし、ガルバニック型センサーは、上記のように種々の腐食環境を計測することができるが、腐食環境がその後どのように推移するかの推定は困難である。また、腐食が進行したことを示す信号の検出のためには、ある程度の電解質がセンサー表面に存在し、かつ十分に濡れる必要があることから、乾燥状態での計測は困難である。また、計測には長期間(月単位)を要し、迅速な評価は困難である。
一方、表面プラズモン共鳴センサーは、センサー表面の周囲媒質変化を数nm〜数百nmといったナノスケールで計測することができ、しかも非破壊、非侵襲な腐食評価が可能であり有用である。例えば、特許文献3には、嫌気性環境でバイオ菌により発生した金属の腐食に対して、表面プラズモン共鳴センサーにより検知することが提案されている。
特開平11−326019号公報 特開2001−201451号公報 特開2011−2423号公報
従来の表面プラズモン共鳴センサーは、上記のような利点があるが、いくつかの問題点もある。例えば、単一金属をセンサー材料として用いたのみでは、共鳴ピークのシフトが金属の腐食由来なのか、あるいは付着物由来なのかを判別することができない。つまり、センサー表面に何が存在するかを同定することができない。これを解決する手段として、例えば、バイオセンサーでは、センサー表面に特定の物質を選択的に付着・固定させる機能膜を設ける試みがなされている。しかし、センサー表面に目的物質以外の物質が付着せずに存在するだけでも検出してしまう。
また、表面プラズモン共鳴センサーは周囲の媒質変化をも捉えてしまうため、単一のセンサーのみでは金属腐食の由来となるセンサー信号と区別することができない。
さらに、特許文献3に記載の表面プラズモン共鳴センサーでは、センサーの金属材料として金又は銀の蒸着膜を用いている。しかし、金や銀は腐食耐性がある金属であることから、測定される共鳴ピークのシフトはセンサー表面の腐食とは考えられず、センサー表面の付着物によるものと推定される。つまり、特許文献3に記載の表面プラズモン共鳴センサーは、金属の腐食を検知するセンサーには適さない。
このように、単一の表面プラズモン共鳴センサーは、単一の腐食環境のみしか評価できない低選択性センサーであり、多種多様な金属腐食環境を推定する高選択性センサーとしては利用することができない。
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、多種多様な金属腐食環境を高感度・高選択にかつ短期間で推定することができる高選択性腐食センサーシステムを提供することにある。
本発明の第1の態様に係る高選択性腐食センサーシステムは、表面プラズモン共鳴センサー及び局在表面プラズモン共鳴センサーのうちの少なくとも2以上からなり、それぞれ腐食性環境に対する腐食耐性・腐食傾向が異なるセンサー群と、
センサー群中の各センサーに向けて光を投光する投光手段と、
センサー群中の各センサーから出射する光を、該光の強度に応じた信号強度として検出する検出手段と、
被測定金属の腐食に関する情報が蓄積されたデータベースと、
検出手段により検出された複数の信号強度と、データベースに蓄積された情報とに基づきパターン認識して被測定金属の腐食の程度を解析する解析手段と、
を備える。
本発明の第2の態様に係る高選択性腐食センサーシステムは、第1の態様の高選択性腐食センサーシステムに関し、センサー群が、(1)センサー面に金属薄膜を有する表面プラズモン共鳴センサー、(2)センサー面の金属薄膜の材料がそれぞれ異なる複数の表面プラズモン共鳴センサー、(3)センサー面に機能膜を有する表面プラズモン共鳴センサー、(4)センサー面の機能膜の材料がそれぞれ異なる複数の表面プラズモン共鳴センサー、(5)センサー部に金属微粒子を有する局在表面プラズモン共鳴センサー、(6)センサー部の金属微粒子がそれぞれ異なる複数の局在表面プラズモン共鳴センサー、(7)センサー部の金属微粒子表面に機能膜を有する局在表面プラズモン共鳴センサー、及び(8)センサー部の金属微粒子表面の機能膜の材料がそれぞれ異なる複数の局在表面プラズモン共鳴センサーからなる群より選択される少なくとも1つを含むセンサー群((1)、(3)(5)及び(7)のいずれか1つの群のみからなるものを除く)である。
本発明の第3の態様に係る高選択性腐食センサーシステムは、第2の態様の高選択性腐食センサーシステムに関し、(1)又は(2)の表面プラズモン共鳴センサーが、光ファイバーの端面、又はクラッドが除去されコアが露出する領域を一部に有する光ファイバーの当該領域に金属薄膜が形成された構造を有する。
本発明の第4の態様に係る高選択性腐食センサーシステムは、第2の態様の高選択性センサーシステムに関し、(5)又は(6)の局在表面プラズモン共鳴センサーが、基板上に多数の金属微粒子が配置された構造を有する。
本発明の第5の態様に係る高選択性腐食センサーシステムは、第4の態様の高選択性センサーシステムに関し、多数の金属微粒子のそれぞれが、金属薄膜に包まれた誘電体球である。
本発明の第6の態様に係る高選択性腐食センサーシステムは、第2の態様の高選択性センサーシステムに関し、(5)又は(6)の局在表面プラズモン共鳴センサーが、光ファイバーの端面、又はクラッドが除去されコアが露出する領域を一部に有する光ファイバーの当該領域に多数の金属微粒子が配置された構造を有する。
本発明の第7の態様に係る高選択性腐食センサーシステムは、第6の態様の高選択性センサーシステムに関し、多数の金属微粒子のそれぞれが、金属薄膜に包まれた誘電体球である。
本発明の第8の態様に係る高選択性腐食センサーシステムは、第1乃至第7の態様の高選択性腐食センサーシステムに関し、センサー群には、センサー面の金属薄膜が金膜である表面プラズモン共鳴センサー又はセンサー面の金属薄膜に保護膜を形成した表面プラズモン共鳴センサーを参照用センサーとして含む。
本発明によれば、多種多様な金属腐食環境を高感度・高選択にかつ短期間で推定することができる高選択性腐食センサーシステムを提供することができる。
SPRセンサーの概要を模式的に示す図である。 SPRセンサーにおいて、光源からの光の入射角に対する反射光強度の関係を示すグラフである。 アモルファス炭素系膜の腐食に従いSPR共鳴角がシフトすることを示すグラフである。 アルミニウム製ナノ粒子の散乱光のスペクトルを示す図である。 図1とは異なるSPRセンサーの形態を模式的に示す図である。 光ファイバーの端面をセンサー面としたSPRセンサーを模式的にす図である。 光ファイバーの側面のクラッドを一部除去し、その除去した領域をセンサー面としたSPRセンサーを模式的に示す図である。 基板上に多数の金属微粒子を配置したLSPRセンサーを模式的に示す図である。 基板上に、金属薄膜に包まれた誘電体球を多数配置したLSPRセンサーを模式的に示す図である。 光ファイバーの端面に多数の金属微粒子を配置してセンサー部としたLSPRセンサーを模式的に示す図である。 光ファイバーの端面に、金属薄膜に包まれた誘電体球を多数配置してセンサー部としたLSPRセンサーを模式的に示す図である。 (A)は、光ファイバーの側面のクラッドを一部除去し、その除去した領域に多数の金属微粒子を配置してセンサー部としたLSPRセンサーの模式図、(B)は、(A)と同様にクラッドを除去した領域に、金属薄膜に包まれた誘電体球を多数配置してセンサー部としたLSPRセンサーの模式図である。 経過時間に対する金属の劣化指標の変化を示すグラフである。 金属の寿命予測のためのアレニウスプロットを示す図である。
以下、図面を用いて本発明の実施形態に係る高選択性腐食センサーシステムについて詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
本実施形態の高選択性腐食センサーシステムは、表面プラズモン共鳴センサー(以下、「SPRセンサー」とも呼ぶ)及び局在表面プラズモン共鳴センサー(以下、「LSPRセンサー」とも呼ぶ)のうちの少なくとも2以上からなり、それぞれ腐食性環境に対する腐食耐性・腐食傾向が異なるセンサー群と、このセンサー群中の各センサーに向けて光を投光する投光手段と、このセンサー群中の各センサーから出射する光を、該光の強度に応じた信号強度として検出する検出手段と、被測定金属の腐食に関する情報が蓄積されたデータベースとを用いる。そして、センサー群が検出した各検出信号をパターン認識して腐食環境を推定するものである。
すなわち、本実施形態の高選択性腐食センサーシステムは、それぞれにおいて腐食性環境に対する腐食耐性・腐食傾向が異なる少数のSPRセンサー及びLSPRセンサーのうちの少なくとも2以上のセンサー(以下、これらを纏めて単に「SPRセンサー」と呼ぶことがある。)による信号強度比をパターン認識することにより、数多くの金属の腐食環境を推定するものである。これにより、低選択性である単一のSPRセンサーではなし得なかった多種多様な腐食環境の評価を短期間で高感度、高精細に行うことができる。なお、「(腐食性環境に対する)腐食耐性が異なる」とは、腐食に対する耐久性が異なることを意味し、「(腐食性環境に対する)腐食傾向が異なる」とは、腐食の進行速度や腐食の進行過程などが異なることを意味する。以下に、本実施形態の高選択性腐食センサーシステムの各構成要素について順次説明する。
[センサー群]
センサー群は、腐食性環境に対する腐食耐性・腐食傾向が異なる2以上のSPRセンサーから構成される。そして、本実施形態においては、2以上のSPRセンサーにおいてそれぞれの腐食性環境に対する腐食耐性・腐食傾向を異ならせるために、センサー面となる金属薄膜及び/又は機能膜の材料をそれぞれ異なる材料としている。すなわち、センサー群は、(1)センサー面に金属薄膜を有するSPRセンサー、(2)センサー面の金属薄膜の材料がそれぞれ異なる複数のSPRセンサー、(3)センサー面に機能膜を有するSPRセンサー、(4)センサー面の機能膜の材料がそれぞれ異なる複数のSPRセンサー、(5)センサー部に金属微粒子を有するLSPRセンサー、(6)センサー部の金属微粒子がそれぞれ異なる複数のLSPRセンサー、(7)センサー部の金属微粒子表面に機能膜を有するLSPRセンサー、及び(8)センサー部の金属微粒子表面の機能膜の材料がそれぞれ異なる複数のLSPRセンサーからなる群より選択される少なくとも1群を含むセンサー群少なくとも1つを含む。ただし、(1)、(3)、(5)及び(7)のいずれか1群のみからなるものを除く。
ここで、SPRセンサーのセンシング原理について説明する。一般に、SPRセンサーは、図1に示すように、プリズム12と、プリズム12の一面に形成された金属薄膜14と、投光手段16と、検出手段18とを備える。投光手段16は、プリズム12の金属薄膜14の形成面12bとは別の一面(12a)から光を入射させ、プリズム12と金属薄膜14との界面に対して種々の入射角で光が入射するようにその光射出位置が制御される。また、検出手段18は、プリズム12と金属薄膜14との界面で全反射した光の強度を種々の入射角毎に検出する。
上記構成において、投光手段16からプリズム12と金属薄膜14との界面に対して光を全反射角以上の入射角θで入射させると、入射光の界面との垂直成分が金属薄膜14の内部に浸透するエバネッセント光と呼ばれる光となる。このエバネッセント光は、屈折率界面に沿って伝播するが、界面から離れるに伴い、指数関数的に減衰する。このエバネッセント光の波数ベクトル;kevは、入射光の界面方向の波数ベクトル;kと等しくなる。従って、kevは次式で与えられる。よって、エバネッセント光の波数は、種々の入射角θに対して、sinθに従い異なる値をもつ。
Figure 0006854134
[n;プリズム側の屈折率、ω;光の角周波数、c;真空中の光速である。]
一方、プリズム12と金属薄膜14との界面に発生したエバネッセント光によって、金属表面(金属/誘電率界面)に表面プラズモン波が発生する。表面プラズモン波は金属表面に局在した、金属中の自由電子の集団的振動である。
表面プラズモン波の波数とエバネッセント光の波数とが等しくなるような特定の入射角度で光を入射させたとき、表面プラズモン共鳴と呼ばれる現象が発生する。そのとき、入射光のエネルギーは表面プラズモン波の励起に使われるため、図2に示すように、全反射光の強度が著しく減少する。
表面プラズモン波は金属薄膜の表面の状態に対して非常に敏感であるため、金属薄膜表面に物質が付着すると全反射光の強度の減少が観測される光の入射角度にずれが生じる。表面プラズモン共鳴が発生するときの光の入射角度θsprは、光入射側の媒質の屈折率をn、金属薄膜の誘電率をε、金属薄膜表面に付着した物質の誘電率をεとするとき、以下の式で表される。
Figure 0006854134
光入射側の媒質の屈折率n及び金属薄膜の誘電率εは一定であるから、金属薄膜表面の物質の誘電率εの変化により、表面プラズモン共鳴が発生するときの光の入射角度θsprが変化する。すなわち、表面プラズモン共鳴を発生させるには、金属薄膜表面に付着する物質に応じて光の入射角度を変化させる必要がある。逆に言えば、表面プラズモン共鳴が発生するときの光の入射角度が分かれば、金属薄膜表面に付着する物質の誘電率を知ることができる。従って、この全反射光の強度の減少が観測される光の入射角度のずれを観測することにより、金属薄膜に付着した物質の誘電率εを知ることができ、その誘電率εに基づき物質を検出することができる。
以下に一例として、「日本機械学会誌 Vol. 117, No. 1144, p. 182 (2014), 東京工業大学、赤坂大樹 准教授」より引用した例を示す。図3は、アモルファス炭素系膜を0.3Mの硝酸水溶液に浸漬させたときの腐食をSPRセンサーで測定したときの経時変化を示す図である。図3においては、上から順に、経時時間が0分、15分、30分、45分、60分、75分、90分のときのグラフを示している。いずれのグラフにおいても、反射光の強度に著しい減少が見られる入射角が表面プラズモン共鳴が発生するときの光の入射角θsprである。また、時間の経過に従い、入射角θsprがシフトしていることが分かる。つまり、時間の経過に伴い、金属薄膜表面のアモルファス炭素系膜表面の腐食が進行し、入射角θsprがシフトしていることを示している。従って、腐食の状態に応じて入射角θsprがシフトする(ピーク位置がシフトする)ことから、入射角θsprにより腐食状態を推定することができる。
次に、LSPRセンサーを利用したセンシングの原理について以下に説明する。上述の表面プラズモン共鳴は金属薄膜の表面から光の波長程度の領域で起こるのに対して、局在表面プラズモン共鳴は光の波長以下のナノスケールの極めて小さい金属微粒子の表面に、粒子径と同程度の範囲に局在した状態で起こる。そして、LSPRは、特定の波長領域で起こるが、その波長領域は金属ナノ粒子の材料、形状、サイズ、周囲媒質に依存する。
以下に一例として、「Mark W. Knight, et al., ACS Nano, 2014, 8(1), pp. 834-840.」より引用した例を示す。図4は、アルミニウムナノ粒子(直径:50nm、高さ:35nmの円柱状)に、波長200〜700nmの光を入射したときに生じる散乱光の強度を酸化状態別に検出したときのグラフである。図4においては、上から順に、酸化状態が0%、9%、19%、27%のときのグラフを示している。図4より、酸化状態が進むと、局在表面プラズモン共鳴由来の散乱光の強度ピークがシフトしていることが分かる。すなわち、LSPRセンサーにより、金属の腐食の進行をナノスケールで検出することができる。
次いで、本実施形態に係るセンサー群における各SPRセンサーについて説明する。
(センサー面に金属薄膜を有するSPRセンサー)
当該SPRセンサーは、(1)センサー面に金属薄膜を有するSPRセンサー単独、又は(2)センサー面の金属薄膜の材料がそれぞれ異なる複数のSPRセンサーであり、単独の場合は、他のSPRセンサー/LSPRセンサーと組合せてセンサー群が構成される。そして、センサー面の金属薄膜の材料がそれぞれ異なる複数のSPRセンサーは、金属薄膜の材料が異なるが故に腐食性環境に対するそれぞれの金属薄膜の腐食進行速度、腐食進行過程が異なる。従って、同一腐食環境であっても、SPRのピークシフト量、ピーク強度の変化の度合いは金属材料ごとに異なる。
センサー面に金属薄膜を有するSPRセンサーの形態としては、上述の図1に示す形態が挙げられる。この形態は、プリズム12に金属薄膜14を直接形成した形態である。この形態では、金属薄膜14が腐食により使用できなくなった場合には、金属薄膜14とともにプリズム12をも交換する必要があるためコスト的に不利であるし、光学系のセッティングにも手間がかかる。そこで、そのような問題を解消した図5に示す形態が好ましい。図5において、図1と同じ構成要素には同じ符号を付している。図5に示す形態においては、プリズム12に金属薄膜14を直接形成したのではなく、金属薄膜14が形成された透明基板20をインデックスオイルを介してプリズム12に密着している。この形態であれば、金属薄膜14が使用不能になった場合でも、プリズム12はそのままで、金属薄膜14が形成された透明基板20のみを取り替えればよい。従って、コスト的に有利であるし、プリズム12は半永久的に所定の位置に配置しておくことができ、光学系のセッティングが容易である。
金属薄膜を構成する金属材料としては、表面プラズモン共鳴を起こし得る金属材料であればよく、Au、Ag、Cu、Al、及びそれらを含む合金などが挙げられる。
金属薄膜の厚みとしては、表面プラズモン共鳴を起こし得る膜厚であればよく、例えば数nm〜数百nmとすることができる。
以上の(1)及び(2)SPRセンサーは、プリズムの一面に金属薄膜が形成された構造ではなく、光ファイバーの端面、又はクラッドが除去されコアが露出する領域を一部に有する光ファイバーの当該領域に金属薄膜を形成された構造とすることもできる。そのような構成によると、プリズムの一面に金属薄膜を形成する場合と比較して狭小かつ深部環境においても容易にセンシングすることができる。
図6は、光ファイバー30の端面に金属薄膜32を形成した構成を示している。光ファイバー30はコア34の周囲をクラッド36が覆う構成であり、光ファイバー30の一端から入射した光は、コア34内を伝搬し、他端側の端面の金属薄膜32で全反射以上の角度で入射すると金属薄膜32の表面で表面プラズモン共鳴が起こる。つまり、図1及び図5のSPRセンサーと同様に、金属薄膜32の外側面がセンサー面となる。そして、このようなSPRセンサーを用いた光学スペクトルの測定は、光ファイバー30の一端から入射し、他端側の端面(金属薄膜32)を反射して再び一端側に戻った反射光を検出して行うことができる。
一方、図7は、クラッド36が除去されコア34が露出する領域を一部に有する光ファイバー30を示し、光ファイバー30のクラッド除去領域に金属薄膜32が形成されている。この構成においては、コア34の表面で発生したエバネッセント光により金属薄膜表面に表面プラズモン共鳴が起こる。つまり、図1及び図5のSPRセンサーと同様に、金属薄膜32の外側面がセンサー面となる。そして、このようなSPRセンサーを用いた光学スペクトルの測定は、一端から入射し、クラッド除去領域を伝搬し、他端から出射した光を検出して行うことができる。
(センサー面に機能膜を有するSPRセンサー)
当該SPRセンサーは、(3)センサー面に機能膜を有するSPRセンサー単独か、又は(4)センサー面の機能膜の材料がそれぞれ異なる複数のSPRセンサーであり、単独の場合は、他のSPRセンサー/LSPRセンサーと組合せてセンサー群を構成する。また、機能膜は、特定の物質を選択的に付着・固定させる膜であり、上記のような金属薄膜上に形成される。
機能膜は、特定の物質を付着・固定させるため、当該物質に応じて選択して採用される。例えば、ウイルスを検知する場合、金属薄膜の表面に特定の抗体を吸着する機能膜を形成する。また、水素、二酸化炭素、腐食ガス、揮発性有機化合物(VOC)などの特定のガスを検知する場合、金属薄膜の表面に特定のガスを吸着する機能膜を形成する。さらに、Na、Li、K、NH 、Al3+、Zn2+、などのイオンを検知する場合、金属薄膜の表面に特定のイオンを吸着する機能膜(イオノフォアなど)を形成する。
以上の(3)及び(4)のSPRセンサーは、(1)及び(2)のSPRセンサーと同様、光ファイバーの端面に金属薄膜及び機能膜をこの順に形成して構成することもできる。そのような構成によると、プリズムの一面に金属薄膜を形成する場合と比較して狭小かつ深部環境においても容易にセンシングすることができる。
(センサー部に金属微粒子を有する局在表面プラズモン共鳴センサー)
当該LSPRセンサーは、(5)センサー部に金属微粒子を有するLSPRセンサー単独か、又は(6)センサー部の金属微粒子がそれぞれ異なる複数のLSPRセンサーである。そして、単独の場合は、他のSPRセンサー/LSPRセンサーと組合せてセンサー群が構成される。また、センサー部の金属微粒子の材料(金属元素)がそれぞれ異なる複数のSPRセンサーは、金属微粒子の材料が異なるが故に腐食性環境に対するそれぞれの金属薄膜の腐食進行速度、腐食進行過程が異なる。従って、同一腐食環境であっても、LSPRのピークシフト量、ピーク強度の変化の度合いは金属材料ごとに異なる。
金属微粒子としては、(1)球形、(2)ラグビーボール形状、葉巻形状など、球形よりもやや細長い形状などのナノロッド形状をしたもの、(3)誘電体球の表面に金属薄膜がコーティングされたコアシェル型ナノ粒子、などが挙げられる。これら金属微粒子の粒径は、通常数nm〜数百nmである。
このようなLSPRセンサーは、基板を使用するタイプと、光ファイバーを使用するタイプとに大別される。以下に、それぞれのタイプについて説明する。なお、金属微粒子の表面がセンシングする領域となる。
図8及び図9は、基板を使用するタイプのLSPRセンサーのセンサー部を模式的に示している。図8に示すセンサー部40Aは、基板42上に多数の金属微粒子44が配置されてなる。また、図9に示すセンサー部40Bは、基板42上に、金属薄膜48に包まれた誘電体球46を多数配置してなる。このようなLSPRセンサーを用いた光学スペクトルの測定は、センサー部40A又は40Bの透過光に基づく透過光型、センサー部40A又は40Bの反射光に基づく反射光型、センサー部40A又は40Bの散乱光に基づく散乱光型が挙げられる。
一方、図10及び図11は、光ファイバーを使用するタイプのLSPRセンサーのセンサー部を模式的に示している。図10に示すセンサー部50Aは、光ファイバー52の端面に多数の金属微粒子54が配置されてなる。一方、図11に示すセンサー部50Bは、光ファイバー52の端面に、金属薄膜56に包まれた誘電体球を多数配置してなる。このようなLSPRセンサーを用いた光学スペクトルの測定は、光ファイバー52の一端から入射し、他端側の端面を反射して再び一端側に戻った反射光を検出して行うことができる。
さらに、図12(A)は、図7と同様に、クラッド66が除去されコア62が露出する領域を一部に有する光ファイバー60Aを示し、光ファイバー60Aのクラッド除去領域に多数の金属微粒子64が配置されている。一方、図12(B)に示す光ファイバー60Bは、クラッド除去領域に、金属薄膜68に包まれた誘電体球を多数配置してなる。つまり、光ファイバー60A、60Bのクラッド除去領域がセンサー部となる。そして、このようなLSPRセンサーを用いた光学スペクトルの測定は、一端から入射し、クラッド除去領域を伝搬し、他端から出射した光を検出して行うことができる。
本実施形態に係るセンサー群は、(2)、(4)、(6)及び(8)のセンサーはそれぞれ単独で構成することができるし、各センサーを組み合わせて構成することもできる。
本実施形態に係るセンサー群中のセンサー(SPRセンサー、LSPRセンサー)の個数は、後述するパターン認識の精度を向上させる観点から、参照用センサーを含めて5個以上とすることが好ましく、7個あれば十分な精度の測定をすることができる。
一方、参照用センサーとして、センサー面の金属薄膜を金膜としたSPRセンサーを使用することが好ましい。金膜は腐食耐性を有し、腐食が進行することがないため、腐食耐性を有しない別の金属との対比において指標となりうる。このようなに参照用センサーを用いた測定については後述する。
[投光手段]
投光手段は、例えば、光源と、コリメートレンズと、偏光子と、集光レンズとから構成される。光源としては、半導体レーザを用いることができる。光源から出射された光は、コリメートレンズによって平行光束とされ偏光子に導かれる。偏光子は、入射した光を表面プラズモンを引き起こすp偏光とするためのものであり、コリメートレンズにより平行光束とされた光は、偏光子によってp偏光とされ、集光レンズに向けて進む。集光レンズを透過した光は各SPRセンサーに導かれる。また、必要に応じて、信号対雑音比(S/N比:signal-to-noise ratio)を強めるためにチョッパーを光源の直後に配置してもよい。
また、光波長多重通信技術を利用することにより、複数の異なる波長の光を光ファイバー1本で同時に処理することができる。一般に、ナノ粒子において、表面プラズモン共鳴が起こる光の波長は材料ごとに異なるが、波長多重通信技術を利用すれば、1本の光ファイバーで異なるナノ粒子を同時に評価することが可能となる。この場合、入力光となる光源は複数必要であり、1本の光ファイバーに入力光を集約するために分岐光学素子を用いる。また、検出側では、SPRセンサーからの出力光を分光(波長を分離)する分光器、もしくは波長選択フィルターなどを用いる。
[検出手段]
検出手段は、センサー群中の各センサーから出射する光を受光し、受光した光を光電変換する受光素子を備える。この受光素子により、受光した光はその強弱を示す情報を有する電気信号に変換される。
[データベース]
データベースには、被測定金属の腐食に関する情報が蓄積される。具体的には、センサー群の各センサーにより検出される信号の強弱パターンの組合せに対して、被測定金属の腐食に関する情報を対応づけて情報処理装置の記憶部などに記憶させる。被測定金属の腐食に関する情報としては、腐食要因、腐食進行レベル、腐食進行速度、腐食進行過程(例;腐食進行が単調に進行、もしくは腐食進行が飽和傾向)などの情報が挙げられる。例えば、センサー群が、センサー面となる金属薄膜が異なる5つのSPRセンサーから構成される場合において、これら5つの強弱パターンに対し、金属の腐食の進行の度合いを分類して数値化するなどして記憶させる。
上記のような信号の強弱パターンと、被測定金属の腐食に関する情報との組合せを多数準備してデータベースとして記憶しておくことが好ましい。
[解析手段]
解析手段は、検出手段により検出された複数の信号強度と、データベースに蓄積された情報とに基づきパターン認識して被測定金属の腐食の程度を解析する。当該解析には、例えば、パソコンなどの情報処理装置を用い、パターン認識プログラムの処理により実行される。例えば、解析には、Widrow−Hoffの学習則(デルタルール、直交化学習、最小二乗学習)、ベイズ決定測、最尤法、クラスタリング、主成分分析(≒KL展開;Karhumen−Loeve展開)、フィッシャーの線形判別法(別名;フィッシャーの方法)、パラメーター推定、マルコフモデル、ノンパラメトリックベイズモデル、MTシステムなどの理論を採用することができる。
次いで、金属の寿命予測について説明する。反応速度式を用いることにより、加速劣化試験結果を基に反応をモデル化し、様々な温度環境下での材料寿命が推定することができる。以下に、金属の寿命予測について、“市川健二, 田中隆二、産業安全研究所研究報告 RIIS-RR-87, 1987. “高圧用ゴム手袋の絶縁劣化診断―天然ゴム絶縁材料の熱劣化特性―”を引用して説明する。まず、反応速度式は下記式(1)で与えられる。
Figure 0006854134
式(1)中、αは反応率(例えば、反応物質濃度の変化率)であり、反応完了時をα = 1とすれば、反応途中の材料に含まれる反応物質濃度はf(α) = (1−α)nで与えられるとする。また、nは反応次数を指定するパラメーターである。仮に、反応物質の濃度変化が材料の絶縁性、機械的強度などの材料物性Pの変化を誘発するならば、Pは反応率αの関数として下記式(2)で与えられる。
Figure 0006854134
さらに、以上の前提条件下では、物性Pの反応速度式も上記式(2)と同じ形式で記述できると仮定すれば、下記式(3)で与えられる。
Figure 0006854134
ここで、k(T)にアレニウス式を代入し、反応が温度一定の下、t = 0からt = tまで進行した時に、物性がP0からPまで変化するとして上記(3)を積分し、下記式(4)が得られる。
Figure 0006854134
式(4)の左辺の不定積分をH(P)とおけば、下記式(5)が得られる。
Figure 0006854134
上記式(5)において両辺の対数をとり整理すると下記式(6)が得られる。
Figure 0006854134
ここで、物性PがPfまで低下(劣化)するのに要する時間を寿命tfとし、劣化過程中の温度をTf(一定温度)とすれば、上記式(6)の右辺第2項は常に定数(H(Pf)、H(P0)は固定値)となる。よって、熱劣化寿命式として下記式(7)が得られる。
Figure 0006854134
式(7)は、評価時の温度Tf(一定温度)の逆数と寿命時間tfの対数との間に直線関係が成立することを示している。異なる定温条件下で得た、ln(tf)と(1/ Tf)をプロットし得られる直線の傾きはE/Rであり、縦軸との切片は式(7)における定数に相当する。よって、直線プロットから活性化エネルギーEとconstant値を導出することができる。得られた値を式(7)に代入し、温度と寿命の関係を与える式を得る。つまり、化学反応を伴う材料に関して、任意の温度における寿命予測が可能となる。
一方、SPRセンサーは、センサー表面の金属薄膜の変化、及びセンサー表面の周囲環境の変化のいずれにも反応するが、いずれの変化に起因する反応なのかを以下のようにして判定することができる。前提として、センサー面の金属薄膜を金膜とした参照用センサーを用いた場合、当該参照用センサーは耐腐食性を有する金をセンサー面に用いていることから、腐食に起因するセンサー信号に変化は生じない。これに対して、金膜以外の金属薄膜をセンサー面とした測定用センサーは、当該金属薄膜が腐食するため、金属薄膜腐食によりセンサーが反応して信号に変化が生じる。このことから、測定用センサーと参照用センサーとを比較することにより、センサー信号の変化が、センサー表面の金属薄膜の変化に起因するものなのか、あるいはセンサー表面の周囲環境の変化に起因するものなのかを以下のようにして判定することができる。
(1)参照用センサーの信号は変化せず、測定用センサーの信号が変化した場合、センサー表面の金属薄膜の腐食は進行したが、周囲環境は変化していないと判定することができる。
(2)参照用センサーの信号も、測定用センサーの信号も変化しない場合、センサー表面の金属薄膜の腐食も進行せず、周囲環境も変化していないと判定することができる。
(3)参照用センサーの信号も、測定用センサーの信号も変化した場合、少なくとも周囲環境が変化したと判定することができる(センサー表面の金属薄膜の腐食の進行は不明)。
上記判定により測定用センサー表面の金属薄膜の腐食が進行したと判断されるなら、腐食劣化の経時変化を計測する。すなわち、異なる温度条件下において、表面プラズモン共鳴由来の光学スペクトルのピーク位置の変化、又はピーク強度の変化を腐食進行の指標として、初期状態から予め定めた劣化指標の下限値になるまでの時間(寿命到達時間)を計測する。異なる温度条件とは、室温以上であって3つ以上の温度条件とする。例えば、室温以上の温度T(T〜T(T>T>T>室温))の3つの温度条件にてそれぞれ、初期の劣化指標(P)から劣化指標の下限値(P)までの時間(寿命到達時間)t(t〜t)を計測する。これをグラフで示すと図13のようになる。そして、温度T〜Tと、計測により得られた寿命到達時間t(t〜t)とを、横軸:1/T、縦軸:lntの座標系にプロットすると、図14に示すように、上記式(lnt=E/RT+A)に基づく一次直線が得られる。得られた直線から、傾きと縦軸切片とを得ることにより、任意の温度Tにおける寿命到達時間tを算出することができる。図14において、一例として室温における寿命到達時間をプロットしている。
以上の寿命到達時間の予測は、センサー表面に金属薄膜のみが形成されたものを対象としている。当該金属薄膜に、アモルファス炭素系膜、当該金属薄膜に、アモルファス炭素系膜、グラフェン、塗装膜、樹脂などの腐食保護膜が形成されている場合でも寿命到達時間の予測は可能である。すなわち、金属薄膜の表面に腐食保護膜が形成されているSPRセンサーであっても、センサー表面の腐食保護膜の変化、及びセンサー表面の周囲環境の変化のいずれにも反応する。従って、表面が金属薄膜の場合と同様に、参照用センサーと測定用センサーとを用いて、いずれの変化に起因する反応なのかを以下のようにして判定することができる。
(1)参照用センサーの信号は変化せず、測定用センサーの信号が変化した場合、センサー表面の腐食保護膜の腐食は進行したが、周囲環境は変化していないと判定することができる。
(2)参照用センサーの信号も、測定用センサーの信号も変化しない場合、センサー表面の腐食保護膜の腐食も進行せず、周囲環境も変化していないと判定することができる。
(3)参照用センサーの信号も、測定用センサーの信号も変化した場合、少なくとも周囲環境が変化したと判定することができる(センサー表面の腐食保護膜の腐食の進行は不明)。
また、上記判定により測定用センサー表面の腐食保護膜の腐食が進行したと判断されるなら、表面が金属薄膜のセンサーの場合と同様に、腐食劣化の経時変化を計測し、アレニウスの式に基づき、腐食保護膜の寿命到達時間を予測することができる。
本実施形態の高選択性腐食センサーシステムにより、火山性ガス環境、海水環境、硫黄酸化物環境、窒素酸化物環境など、多種多様な大気腐食環境を分類し、金属の腐食の進行を推定することができる。また、ナノスケールの腐食検知をすることができ、高感度かつ高精度な腐食速度予測が可能となる。さらに、本実施形態のセンサーは、測定対象となる金属に対して非破壊、非接触で測定することができるし、センサー交換も容易である。
12 プリズム
14 金属薄膜
16 投光手段
18 検出手段
20 透明基板
30 52 60A 60B 光ファイバー
32 金属薄膜
34 62 コア
36 66 クラッド
40A 40B 50A 50B センサー部
42 基板
44 54 64 金属微粒子
46 誘電体球
48 56 68 金属薄膜

Claims (8)

  1. 表面プラズモン共鳴センサー及び局在表面プラズモン共鳴センサーのうちの少なくとも2以上からなり、それぞれのセンサー面又はセンサー部に有する金属薄膜又は金属微粒子の腐食性環境に対する腐食耐性が異なるセンサー群と、
    前記センサー群中の各センサーに向けて光を投光する投光手段と、
    前記センサー群中の各センサーから出射する光を、該光の強度に応じた信号強度として検出する検出手段と、
    前記金属薄膜又は前記金属微粒子の腐食に関する情報が蓄積されたデータベースと、
    前記検出手段により検出された複数の信号強度と、前記データベースに蓄積された情報とに基づきパターン認識して前記センサー面又は前記センサー部に有する金属薄膜又は金属微粒子の腐食の程度を解析する解析手段と、
    を備える、高選択性腐食センサーシステム。
  2. 前記センサー群が、(1)センサー面に金属薄膜を有する表面プラズモン共鳴センサー、(2)センサー面の金属薄膜の材料がそれぞれ異なる複数の表面プラズモン共鳴センサー、(3)センサー面の金属薄膜上に機能膜を有する表面プラズモン共鳴センサー、(4)センサー面の金属薄膜上に有する機能膜の材料がそれぞれ異なる複数の表面プラズモン共鳴センサー、(5)センサー部に金属微粒子を有する局在表面プラズモン共鳴センサー、(6)センサー部の金属微粒子がそれぞれ異なる複数の局在表面プラズモン共鳴センサー、(7)センサー部の金属微粒子表面に機能膜を有する局在表面プラズモン共鳴センサー、及び(8)センサー部の金属微粒子表面の機能膜の材料がそれぞれ異なる複数の局在表面プラズモン共鳴センサーからなる群より選択される少なくとも1つを含むセンサー群((1)、(3)(5)及び(7)のいずれか1つの群のみからなるものを除く)である、請求項1に記載の高選択性腐食センサーシステム。
  3. 前記(1)又は(2)の表面プラズモン共鳴センサーが、光ファイバーの端面、又はクラッドが除去されコアが露出する領域を一部に有する光ファイバーの当該領域に金属薄膜が形成された構造を有する、請求項2に記載の高選択性腐食センサーシステム。
  4. 前記(5)又は(6)の局在表面プラズモン共鳴センサーが、基板上に多数の金属微粒子が配置された構造を有する、請求項2に記載の高選択性腐食センサーシステム。
  5. 前記多数の金属微粒子のそれぞれが、金属薄膜に包まれた誘電体球である、請求項4に記載の高選択性腐食センサーシステム。
  6. 前記(5)又は(6)の局在表面プラズモン共鳴センサーが、光ファイバーの端面、又はクラッドが除去されコアが露出する領域を一部に有する光ファイバーの当該領域に多数の金属微粒子が配置された構造を有する、請求項2に記載の高選択性腐食センサーシステム。
  7. 前記多数の金属微粒子のそれぞれが、金属薄膜に包まれた誘電体球である、請求項6に記載の高選択性腐食センサーシステム。
  8. 前記センサー群には、センサー面の金属薄膜が金膜である表面プラズモン共鳴センサー又はセンサー面の金属薄膜に保護膜を形成した表面プラズモン共鳴センサーを参照用センサーとして含む、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の高選択性腐食センサーシステム。
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