JP6853599B1 - 塗膜除去用高圧洗浄システムおよび塗膜除去用高圧洗浄ガン - Google Patents

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Abstract

【課題】洗浄水を高圧噴射して構造物の素地から既存塗膜を剥離して洗浄する技術であって、噴射後の洗浄水の飛散量および/または洗浄水との衝突によって構造物の素地から剥離された塗膜片の飛散量を減少させるものを提供する。【解決手段】洗浄水を高圧噴射する洗浄ガン110の先端部にフード170を装着し、それにより、ミスト状で噴射された洗浄水の飛散量および/または構造物180の表面に衝突してそこから跳ね返る洗浄水の飛散量を減少させる。そのフード170は、それの少なくとも先端部179において弾性を有する素材によって構成される。洗浄ガン110は、フード170の先端部179のうちの少なくとも一部において構造物180の表面に接触する状態で構造物を高圧洗浄する接触モードと、その接触なしで構造物を高圧洗浄する非接触モードとのうち少なくとも接触モードで使用することが可能である。【選択図】図13

Description

本発明は、洗浄水を高圧で噴射して構造物の素地から既存塗膜を除去して洗浄する技術に関するものであり、特に、その高圧洗浄時に、噴射後の洗浄水の飛散量および/または洗浄水との衝突によって構造物の素地から剥離された塗膜片の飛散量を減少させる技術および/または構造物に向かって噴射された洗浄水を廃水として回収して無毒化度を向上させる技術に関するものである。
特定の場合、例えば、構造物の素地に付着されている既存塗膜中に鉛などの有害物質が存在することが確認されたために、厚生労働省からの平成26年5月30日付けの通達に従うことが必要である場合には、建築物(家屋、ビル等)、鉄製の骨組み構造を用いて構成される細長い建造物である鉄塔(例えば、送電用鉄塔、通信用鉄塔など)、土木構造物(橋梁等)、船舶、車両(自動車、列車等)、飛行機等の構造物または構造体の表面を塗り替えるために、その表面にすでに被着されている既存塗膜を構造物の表面(素地)から剥離し、その後、新たな塗料を構造物の同じ表面上に塗布する種類の施工が行われる。
ここに、既存塗膜を剥離する方法としては、例えば特許文献1に記載されているように、物理的手法と化学的手法とが存在する。物理的手法は、スクレーパなどの手工具、ワイヤーブラシなどの除去具を電動モータを用いて回転させる電動回転工具、同様な除去具をエアモータを用いて回転させるエア回転工具、高圧水噴射機などの剥離機械などを作業者が用いて既存塗膜を構造物から剥離する手法である。
これに対し、化学的手法は、薬剤を含む剥離剤を既存塗膜に塗布してその既存塗膜を溶解または膨潤させ、それにより、既存塗膜を構造物から剥離する手法である。この手法は、例えば特許文献1に記載されているように、塗膜剥離剤を用いた湿式による塗膜除去方法すなわち湿式剥離方法とも称される。
その湿式剥離方法については、種々の要望が存在する。例えば、剥離剤が環境に対して与える悪影響が少ないという要望(環境対応能力の向上)、剥離剤が作業者の健康に対して与える悪影響が少ないという要望(作業者の健康被害の防止)、作業者が剥離作業を行う際の効率が高いという要望(作業者の剥離作業の効率化)、剥離剤が既存塗膜を剥離する能力が高いという要望(剥離剤の剥離性能の向上)などが存在する。
湿式剥離方法につき、特許文献1は、既存塗膜上に被着される剥離剤の層(以下、「剥離剤層」または「剥離剤の塗膜」ともいう。)の膜厚(以下、「塗膜厚」ともいう。)を増加させることを目的として、剥離剤のディッピング前にその剥離剤に界面活性剤を起泡剤として添加し、その状態で剥離剤を撹拌することによって剥離剤に微小な気泡を混入させる技術を開示している。ディッピングによって既存塗膜上に塗布される剥離剤の塗膜厚が増加して塗布量が増加すれば、剥離作業の効率化および剥離性能の向上という要望が満たされる可能性がある。
また、特許文献2は、剥離剤の塗布面積を拡大するために、エアレススプレー塗装機を用いる技術を開示している。しかし、この特許文献2は、剥離剤の塗膜厚を厚くするためにエアレススプレー塗装機を用いることが有用である点については開示も示唆もしていない。
ところで、本発明者は、塗膜剥離のために上述の物理的除去方法を単独で実施することの実用性、すなわち、上述の湿式剥離方法を実施することなく、すなわち、剥離剤を既存塗膜上に塗布することなく上述の物理的除去方法を単独で実施しても、既存塗膜が構造物から良好に剥離することができるか否かについて試験した。
ここで、念のため、重要な用語としての「剥離」および「除去」というそれぞれの用語の定義を説明するに、いずれの用語も、広義では、塗膜が構造物から分離することを意味する点で互いに共通する。しかし、「剥離」という用語は、その分離の形態が、強固な密着状態において塗膜(例えば、活膜)を構造物表面から「剥がす」というものである点で、その分離の形態を限定しない「除去」という用語とは異なる。
その意味において、「除去」という用語は、「剥離」という用語に対する上位概念を構成する。よって、「除去」という用語は、広義では、「剥離」という用語を包含するうえに、「剥がす」という形態以外の分離をも意味する。例えば、塗膜が構造物表面に強固にではなく、軟化、縮み、浮きや剥がれなどが発生しているためにかろうじて構造物表面に付着している塗膜(例えば、劣化塗膜)である場合に、その塗膜を構造物表面から分離することは、「剥離」というより「除去」という方がふさわしいことになる。また、塗膜の剥がれと塗膜の単なる分離とが一緒に行われる事象を「除去」という用語で総称してもよいことになる。
上記の試験の結果、本発明者が確認したことは、特定の試験条件のもとでは、種類の如何を問わず物理的除去方法を単独で実施する場合には、既存塗膜のほぼ全部を構造物から効率よく剥離することはできなかったということである。よって、塗膜剥離のために上述の物理的除去方法を単独で実施することの実用性は、少なくとも今回の試験においては、確認できなかった。
具体的には、本発明者は、物理的除去方法として高圧洗浄方法を単独で、かつ、特定の試験条件で試験した。その特定の試験条件としては、スプレーガンからの洗浄水の噴射圧が約180kgf/cmであるという噴射圧条件があった。この試験においては、既存塗膜の表面の汚れは除去されたものの、既存塗膜自体については、劣化が激しく、既に素地から部分的に浮いている部分しか剥離されなかった。よって、塗膜剥離のために高圧洗浄方法を単独で実施することの実用性は、少なくとも今回の試験においては、確認できなかった。
なお付言するに、本発明者は、高圧洗浄方法を単独で実施することの実用性は、上述の噴射圧を、例えば、約800−約1,500kgf/cmというように、超高圧に変更すれば、肯定される可能性があると認識した。しかし、本発明者は、この超高圧洗浄方法を実施する場合には、新たな問題がある可能性も認識した。
すなわち、本発明者は、万一超高圧洗浄水が作業者に衝突するとその作業者に身体的な危険があるという可能性、噴射後の超高圧洗浄水の飛散量が制御可能範囲を超えるほどに多いという可能性、超高圧洗浄水との衝突によって構造物の素地から剥離される塗膜片のサイズが制御可能範囲を超えるほどに大きいという可能性、その塗膜片の飛散量が制御可能範囲を超えるほどに多いという可能性とを認識したのである。
さらに、本発明者は、前工程としての湿式剥離方法と組み合わせて物理的除去方法を実施する場合に、その物理的除去方法として、電動回転工具を用いる方法と、エア回転工具を用いる方法と、高圧洗浄方法(超高圧洗浄を含む)とのそれぞれの実用性を評価するための試験も行った。
その試験の結果を踏まえ、本発明者は、既存塗膜の物理的除去作業中に構造物の素地が損傷され難いという観点で、上述の3種類の物理的除去方法を相互に評価したところ、高圧洗浄方法が他の方法より優位であると認識した。
塗膜除去用の高圧洗浄方法についてのいくつかの従来例が、特許文献3−7に開示されている。また、ガンについては、塗料を高圧で噴射する塗装ガンの一従来例が特許文献8に開示され、塗膜剥離用のウォータジェットガンの一従来例が特許文献9に開示され、高圧水を噴射するガンの一従来例が特許文献10に開示されている。
特開昭62−20575号公報 特許第6442101号公報 特開平9−170337号公報 特開2009−179860号公報 特開2015−223531号公報 特開2005−161286号公報 特開2001−212498号公報 特開2002−096006号公報 特開2020−040300号公報 特開平8−066644号公報
上述の従来技術のうち湿式剥離に関するものを背景に、本発明者は、前述の4つの要望、すなわち、環境対応能力の向上という要望と、作業者の健康被害の防止という要望と、剥離作業の効率化という要望と、剥離剤の剥離性能の向上という要望とのうちの少なくとも二つを同時に達成するために、剥離剤の塗布時にその剥離剤が飛散しないようにすることと、既存塗膜の表面上に塗布された剥離剤が既存塗膜から垂れることなくその剥離剤の塗膜厚ひいては塗布量を増加させることとを同時に行うことが重要であることに気が付いた。
そして、本発明者は、湿式剥離剤塗布技術につき、剥離剤の塗布時にその剥離剤が飛散しないようにすることと、既存塗膜の表面上に塗布された剥離剤が既存塗膜から垂れることなくその剥離剤の塗膜厚を極大化して塗布量ひいては塗布量を増加させることとを同時に行うことを可能にするための研究開発を行った。
それらの事情を背景にして、本発明のいくつかの側面は、湿式剥離剤塗布技術であって、剥離剤の塗布時にその剥離剤が飛散しないようにすることと、既存塗膜の表面上に塗布された剥離剤が既存塗膜から垂れることなくその剥離剤の塗膜厚ひいては塗布量を増加させることとを同時に行うことを可能にするものを提供することを第1の課題としてなされたものである。
さらに、上述の従来技術のうち高圧洗浄に関するものを背景に、本発明者は、高圧洗浄については、いくつかの要望があることに気が付いた。
まず、作業品質の観点から、次のような複数の要望がある。
1.洗浄水を用いた既存塗膜の物理的除去作業中に洗浄水によって構造物の素地が損傷する程度(構造物の素地が削り取られる量など)が低下すること。
2.噴射後に洗浄水が飛散する量(例えば、構造物との衝突前に洗浄水が飛散する量と、構造物に衝突して跳ね返った後に洗浄水が飛散する量との和)が減少すること。
3.洗浄水との衝突によって構造物の素地から剥離された塗膜片が飛散する量が減少すること。
また、作業効率の観点から、次のような複数の要望がある。
1.構造物との衝突前に洗浄水が飛散する量が減少し、それにより、洗浄水が無断に消費される量が減少し、ひいては、洗浄水として使用されることが必要な水の量が減少すること。
2.洗浄ガンから噴射した洗浄水が構造物の表面に衝突することに起因して当該洗浄ガンに生じる反動が軽減されること。
3.洗浄水による既存塗膜の剥離後に構造物の表面を再塗装等のために再洗浄せずに済むこと。
また、環境保護の観点から、次のような複数の要望がある。
1.洗浄水との衝突によって構造物の素地から剥離された塗膜片が飛散する量が減少すること。
2.廃水(または廃液)としての剥離洗浄後の洗浄水の中に混入した有害物質(例えば、既存塗膜に含有されるもの、構造物の素地のメッキ層に含有されるものおよび洗浄水に溶出したもの)を含むものを無毒化すること。
3.その無毒化された廃水を新たな洗浄水として再利用すること。
それらの事情を背景にして、本発明のいくつかのアスペクトは、洗浄水を高圧で噴射して構造物の素地(例えば、構造物の保護層としての亜鉛メッキ層)から既存塗膜を剥離して洗浄する技術であって、その高圧洗浄時に、噴射後の洗浄水の飛散量および/または洗浄水との衝突によって構造物の素地から剥離された塗膜片の飛散量を減少させるものを提供することを第2の課題としてなされたものである。
また、本発明のいくつかのアスペクトは、構造物に向かって噴射された洗浄水を廃水として回収して処理する技術であって、廃水(または廃液)としての剥離洗浄後の洗浄水の中に混入した有害物質を含むものの無毒化度を向上させるものを提供することを第3の課題としてなされたものである。
前述の第1の課題を解決するために、本発明の第1の側面によれば、構造物から既存塗膜を剥離剤を用いて湿式で剥離する方法であって、
当該方法は、
ノズルを有するエアレススプレーガンを用いることにより、圧縮エアを用いることなく、前記剥離剤自体を加圧して前記剥離剤を前記ノズルから噴射し、それにより、前記剥離剤は複数の液滴に分断されて前記塗膜表面に衝突する噴射工程と、
その噴射された剥離剤を前記塗膜表面上に塗布する塗布工程であって、その塗布に際し、前記剥離剤の前記複数の液滴が前記塗膜表面に衝突し、それにより、前記複数の液滴がそれぞれ大気中のエアを巻き込んで発泡化し、それにより、前記複数の液滴が複数のエアバブルとして前記塗膜表面上に被着されて固定されるものと、
前記剥離剤の粘度と、前記剥離剤が前記ノズルから噴射される際の噴射圧と、前記ノズルの平均口径とのうちの少なくとも一方は、前記エアレススプレーガンを用いて前記剥離剤が塗布される際のその剥離剤の霧化性が不良化するように設定する条件設定工程と
を含む塗膜剥離方法が提供される。
また、本発明の第2の側面によれば、構造物から既存塗膜を剥離剤を用いて湿式で剥離する方法であって、
当該方法は、
エアレススプレーガンを用いて前記剥離剤を噴射して複数の液滴に分断する噴射工程と、
その噴射された剥離剤を前記塗膜表面上に、前記剥離剤が前記塗膜表面上に被着されることによって形成されることとなる塗膜が前記既存塗膜の表面粗度が小さいほど大きい塗膜厚を有するように塗布する塗布工程と
を含む塗膜剥離方法が提供される。
前述の第2の課題を解決するために、本発明の第1のアスペクトによれば、洗浄水を高圧で噴射して構造物の表面を洗浄することによってその構造物の表面から既存塗膜を除去する塗膜除去用高圧洗浄システムであって、
洗浄水を噴射ノズルから高圧で噴射する洗浄ガンと、
その洗浄ガンに装着されるフードであって、前記噴射ノズルを覆うとともにその噴射ノズルから噴射方向に延び、それにより、その噴射ノズルからミスト状で噴射された洗浄水の飛散量および/または前記構造物の表面に衝突してそこから跳ね返る洗浄水の飛散量が減少するものと
を含み、
そのフードは、それの少なくとも先端部において弾性を有する素材によって構成され、
前記洗浄ガンは、前記フードの先端部のうちの少なくとも一部において前記構造物の表面に接触する状態で前記構造物を高圧洗浄する接触モードと、その接触なしで前記構造物を高圧洗浄する非接触モードとのうち少なくとも接触モードで使用することが可能である塗膜除去用高圧洗浄システムが提供される。
前述の第2の課題を解決するために、本発明の第2のアスペクトによれば、構造物から既存塗膜を剥離する塗膜剥離方法であって、
前記構造物から前記既存塗膜を剥離剤を用いて湿式で剥離する湿式剥離工程と、
その湿式剥離工程の実施後、洗浄ガンを用いて洗浄水を高圧で噴射して前記構造物の表面を洗浄することによってその構造物の表面から前記既存塗膜を除去する高圧洗浄工程と
を含み、
前記洗浄ガンの噴射ノズルは、平吹きノズルであり、その平吹きノズルは、前記洗浄ガンが洗浄水を扇状のスプレーパターンで噴射することを可能とし、それにより、その噴射した洗浄水は、細長い瞬間的な洗浄領域で前記構造物の表面に衝突する塗膜剥離方法が提供される。
一例においては、前記洗浄ガンが、前記噴射ノズルから前記構造物上の目標到達点までの距離である噴射距離が約50−約200mmである状態で、前記洗浄水を噴射するように構成される。
これに代えてまたはこれに加えて、一例においては、前記洗浄ガンが、約80−約250kgf/cm の噴射圧で前記洗浄水を噴射するように構成される。
それらに代えてまたはそれらに加えて、一例においては、前記洗浄ガンが、約8−約20L/minの噴射量で前記洗浄水を噴射するように構成される。
前述の第2の課題を解決するために、本発明の第3のアスペクトによれば、洗浄水を高圧で噴射して構造物の表面を洗浄することによってその構造物の表面から既存塗膜を除去するために使用される洗浄ガンであって、
作業者の片方の手で操作される主操作具としてのトリガと、
そのトリガの操作量に応じて当該洗浄ガンのオンオフと流量調整とを行う流量調整弁と、
作業者の反対側の手で操作される補助操作具としての噴射圧調整具と、
その噴射圧調整具の操作量に応じて当該洗浄ガンからの洗浄水の噴射圧を調整する噴射圧調整弁と
を含む塗膜除去用高圧洗浄ガンが提供される。
前述の第3の課題を解決するために、本発明のあるアスペクトによれば、洗浄水を高圧で噴射して構造物の表面を洗浄することによってその構造物の表面から既存塗膜を除去する塗膜除去用高圧洗浄システムであって、
前記噴射された洗浄水を廃水として回収して処理する廃水処理ユニットを含み、
その廃水処理ユニットは、作業者のために前記構造物に設置された足場に、それの床材より下方の位置に設置された二重シートを含み、
その二重シートは、上側のろ過シートと下側の集水シートとであってそれぞれ平面視において互いにオーバーラップするように配置されるものを含み、
前記ろ過シートは、前記廃水を受け止めるとともにその廃水をろ過してその廃水から固形物としての塗膜片を除去するように構成され、
前記集水シートは、ろ過後の廃水を前記ろ過シートから受け止めるとともにそのろ過後の廃水をそれの自重を利用して廃水出口まで誘導するように構成される塗膜除去用高圧洗浄システムが提供される。
本発明によって下記の各態様が得られる。各態様は、項に区分し、各項には番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本発明が採用し得る技術的特徴の一部およびそれの組合せの理解を容易にするためであり、本発明が採用し得る技術的特徴およびそれの組合せが以下の態様に限定されると解釈すべきではない。すなわち、下記の態様には記載されていないが本明細書には記載されている技術的特徴を本発明の技術的特徴として適宜抽出して採用することは妨げられないと解釈すべきなのである。
さらに、各項を他の項の番号を引用する形式で記載することが必ずしも、各項に記載の技術的特徴を他の項に記載の技術的特徴から分離させて独立させることを妨げることを意味するわけではなく、各項に記載の技術的特徴をその性質に応じて適宜独立させることが可能であると解釈すべきである。
(1) 構造物から既存塗膜を剥離剤を用いて湿式で剥離する方法であって、
ノズルを有するエアレススプレーガンを用いることにより、圧縮エアを用いることなく、前記剥離剤自体を加圧して前記剥離剤を前記ノズルから噴射し、それにより、前記剥離剤を複数の液滴に分断する噴射工程と、
その噴射された剥離剤を前記塗膜表面上に塗布する塗布工程であって、その塗布に際し、前記剥離剤の前記複数の液滴が前記塗膜表面に衝突し、それにより、前記複数の液滴がそれぞれ大気中のエアを巻き込んで発泡化し、それにより、前記剥離剤が発泡状態で前記塗膜表面上に塗布されるものと、
その塗布完了から所要時間の経過後、前記剥離剤によって軟化した既存塗膜を前記構造物から物理的に剥離する剥離工程と
を含む塗膜剥離方法。
(2) 前記剥離剤は、高粘度を有する(1)項に記載の塗膜剥離方法。
(3) 前記剥離剤は、主成分と水とが界面活性剤を用いて乳化された水系剥離剤エマルジョンである(1)または(2)項に記載の塗膜剥離方法。
(4) 前記剥離剤は、溶剤系剥離剤である(1)または(2)項に記載の塗膜剥離方法。
(5) 前記塗布工程は、前記発泡状態にある剥離剤が平均直径が約0.1mmから約0.5mmまでの範囲内にある複数の泡を有するように、前記剥離剤を前記塗膜表面上に塗布する(1)ないし(4)項のいずれかに記載の塗膜剥離方法。
(6) 前記塗布工程は、前記剥離剤が前記塗膜表面上に被着されることによって形成される塗膜の平均塗膜厚が約1mmであるように、前記剥離剤を前記塗膜表面上に塗布する(1)ないし(5)項のいずれかに記載の塗膜剥離方法。
(7) 前記塗布工程は、前記剥離剤が前記塗膜表面上に被着されることによって形成される塗膜の平均塗膜厚が約2mmから約5mmまでの範囲内にあるように、前記剥離剤を前記塗膜表面上に塗布する(1)ないし(5)項のいずれかに記載の塗膜剥離方法。
(8) 前記塗布工程は、前記剥離剤が前記塗膜表面上に被着されることによって形成される塗膜が前記既存塗膜の表面粗度が小さいほど大きい塗膜厚を有するように、前記剥離剤を前記塗膜表面上に塗布する(1)ないし(7)項のいずれかに記載の塗膜剥離方法。
(9) 前記噴射工程は、前記剥離剤の粘度とその剥離剤の前記ノズルからの吐出量とに応じて変化する高さを有する噴射圧で前記剥離剤を加圧して前記ノズルから噴射する(1)ないし(8)項のいずれかに記載の塗膜剥離方法。
(10) 前記剥離剤は、揮発性を有し、
当該塗膜剥離方法は、さらに、
前記剥離剤の塗布完了後に、前記剥離剤に対して不透過性を有する保護シートで前記塗膜表面をラッピングし、それにより、前記剥離剤から発生した気化ガスが前記塗膜表面から大気に放出されることを防止するラッピング工程を含み、
前記剥離工程は、前記所要時間の経過後、前記保護シートを前記既存塗膜から剥離する工程を含む(1)ないし(9)項のいずれかに記載の塗膜剥離方法。
(11) 前記噴射工程は、圧縮エアの流れに前記剥離剤を接触させてその剥離剤を霧吹きの原理で霧化する工程を含まず、さらに、前記剥離剤を前記ノズルから噴射する前に前記剥離剤を発泡させる工程を含まない(1)ないし(10)項のいずれかに記載の塗膜剥離方法。
(21) 構造物から既存塗膜を剥離剤を用いて湿式で剥離する方法であって、
前記剥離剤は、0.1Pa・sより高い粘度を有する高粘度のものであり、
当該方法は、
ノズルを有するエアレススプレーガンを用いることにより、圧縮エアを用いることなく、前記剥離剤自体を加圧して前記剥離剤を前記ノズルから噴射し、それにより、前記剥離剤は複数の液滴に分断されて前記塗膜表面に衝突する噴射工程と、
その噴射された剥離剤を前記塗膜表面上に塗布する塗布工程であって、その塗布に際し、前記剥離剤の前記複数の液滴が前記塗膜表面に衝突し、それにより、前記複数の液滴がそれぞれ大気中のエアを巻き込んで発泡化し、それにより、前記複数の液滴が複数のエアバブルとして前記塗膜表面上に被着されて固定されるものと
を含む塗膜剥離方法。
(22) 前記剥離剤は、16Pa・s(20℃)を超えない粘度を有する(21)項に記載の塗膜剥離方法。
(23) 前記剥離剤は、主成分と水とが界面活性剤を用いて乳化された水系剥離剤エマルジョンである(21)または(22)項に記載の塗膜剥離方法。
(24) 前記剥離剤は、溶剤系剥離剤である(21)または(22)項に記載の塗膜剥離方法。
(25) 前記噴射工程は、前記剥離剤を前記ノズルから80kg/cmを超えない噴射圧で噴射する(21)ないし(24)項のいずれかに記載の塗膜剥離方法。
(26) 前記塗布工程は、重ね塗りせずに前記剥離剤が前記塗膜表面上に被着されることによって形成される塗膜の平均塗膜厚が約1mmを下回らないように、前記剥離剤を前記塗膜表面上に塗布する(21)ないし(25)項のいずれかに記載の塗膜剥離方法。
(27) 前記塗布工程は、重ね塗りせずに前記剥離剤が前記塗膜表面上に被着されることによって形成される塗膜の平均塗膜厚が約2mmから約5mmまでの範囲内にあるように、前記剥離剤を前記塗膜表面上に塗布する(21)ないし(25)項のいずれかに記載の塗膜剥離方法。
(28) 前記塗布工程は、1.0kg/mの塗布量を有するように前記剥離剤を前記塗膜表面上に塗布する(21)ないし(27)項のいずれかに記載の塗膜剥離方法。
(29) 前記噴射工程は、前記剥離剤の粘度とその剥離剤の前記ノズルからの吐出量とに応じて変化する高さを有する噴射圧で前記剥離剤を加圧して前記ノズルから噴射する(21)ないし(28)項のいずれかに記載の塗膜剥離方法。
(30) 前記剥離剤は、揮発性を有し、
当該塗膜剥離方法は、さらに、
前記剥離剤の塗布完了後に、前記剥離剤に対して不透過性を有する保護シートで前記塗膜表面をラッピングし、それにより、前記剥離剤から発生した気化ガスが前記塗膜表面から大気に放出されることを防止するラッピング工程と、
所定時間の経過後、前記保護シートを前記既存塗膜から剥離し、さらに、前記剥離剤によって軟化した既存塗膜を前記構造物から剥離する剥離工程と
含む(21)ないし(29)項のいずれかに記載の塗膜剥離方法。
(31) 前記噴射工程は、圧縮エアの流れに前記剥離剤を接触させてその剥離剤を霧吹きの原理で霧化する工程を含まず、さらに、前記剥離剤を前記ノズルから噴射する前に前記剥離剤を発泡させる工程を含まない(21)ないし(30)項のいずれかに記載の塗膜剥離方法。
(51) 構造物から既存塗膜を剥離剤を用いて湿式で剥離する方法であって、
当該方法は、
ノズルを有するエアレススプレーガンを用いることにより、圧縮エアを用いることなく、前記剥離剤自体を加圧して前記剥離剤を前記ノズルから噴射し、それにより、前記剥離剤は複数の液滴に分断されて前記塗膜表面に衝突する噴射工程と、
その噴射された剥離剤を前記塗膜表面上に塗布する塗布工程であって、その塗布に際し、前記剥離剤の前記複数の液滴が前記塗膜表面に衝突し、それにより、前記複数の液滴がそれぞれ大気中のエアを巻き込んで発泡化し、それにより、前記複数の液滴が複数のエアバブルとして前記塗膜表面上に被着されて固定されるものと、
前記剥離剤の粘度と、前記剥離剤が前記ノズルから噴射される際の噴射圧と、前記ノズルの平均口径とのうちの少なくとも一方は、前記エアレススプレーガンを用いて前記剥離剤が噴霧される際のその剥離剤の霧化性が不良化するように設定される塗膜剥離方法。
(52) 前記粘度と前記噴射圧と前記平均口径とのうちの少なくとも一方は、前記複数の液滴のそれぞれの平均粒径が50μmより大きくなるように設定される(51)項に記載の塗膜剥離方法。
(53) 前記粘度は、0.1Pa・s(20℃)より高い値に設定される(51)または(52)項に記載の塗膜剥離方法。
(54) 前記噴射圧は、80kg/cmを超えない高さに設定される(51)ないし(53)項のいずれかに記載の塗膜剥離方法。
(55) 前記等価口径は、0.4mm以上の値に設定される(51)ないし(54)項のいずれかに記載の塗膜剥離方法。
(56) 前記粘度は、16Pa・s(20℃)を超えない値に設定される(51)ないし(55)項のいずれかに記載の塗膜剥離方法。
(57) 前記塗布工程は、重ね塗りせずに前記剥離剤が前記塗膜表面上に被着されることによって形成される塗膜の平均塗膜厚が約1mmを下回らないように、前記剥離剤を前記塗膜表面上に塗布する(51)ないし(56)項のいずれかに記載の塗膜剥離方法。
(58) 前記塗布工程は、重ね塗りせずに前記剥離剤が前記塗膜表面上に被着されることによって形成される塗膜の平均塗膜厚が約2mmから約5mmまでの範囲内にあるように、前記剥離剤を前記塗膜表面上に塗布する(51)ないし(57)項のいずれかに記載の塗膜剥離方法。
(59) 前記塗布工程は、1.0kg/mの塗布量を有するように前記剥離剤を前記塗膜表面上に塗布する(51)ないし(58)項のいずれかに記載の塗膜剥離方法。
(60) 前記噴射工程は、前記剥離剤の粘度とその剥離剤の前記ノズルからの吐出量とに応じて変化する高さを有する噴射圧で前記剥離剤を加圧して前記ノズルから噴射する(51)ないし(59)項のいずれかに記載の塗膜剥離方法。
(61) 前記剥離剤は、揮発性を有し、
当該塗膜剥離方法は、さらに、
前記剥離剤の塗布完了後に、前記剥離剤に対して不透過性を有する保護シートで前記塗膜表面をラッピングし、それにより、前記剥離剤から発生した気化ガスが前記塗膜表面から大気に放出されることを防止するラッピング工程と、
所定時間の経過後、前記保護シートを前記既存塗膜から剥離し、さらに、前記剥離剤によって軟化した既存塗膜を前記構造物から剥離する剥離工程と
含む(51)ないし(60)項のいずれかに記載の塗膜剥離方法。
(62) 前記噴射工程は、圧縮エアの流れに前記剥離剤を接触させてその剥離剤を霧吹きの原理で霧化する工程を含まず、さらに、前記剥離剤を前記ノズルから噴射する前に前記剥離剤を発泡させる工程を含まない(51)ないし(61)項のいずれかに記載の塗膜剥離方法。
(63) 構造物から既存塗膜を剥離剤を用いて湿式で剥離する方法であって、
当該方法は、
エアレススプレーガンを用いて前記剥離剤を噴射して複数の液滴に分断する噴射工程と、
その噴射された剥離剤を前記塗膜表面上に、前記剥離剤が前記塗膜表面上に被着されることによって形成されることとなる塗膜が前記既存塗膜の表面粗度が小さいほど大きい塗膜厚を有するように塗布する塗布工程と
を含む塗膜剥離方法。
(71) 洗浄水を高圧で噴射して構造物の表面を洗浄することによってその構造物の表面から既存塗膜を除去する塗膜除去用高圧洗浄システムであって、
洗浄水を噴射ノズルから高圧で噴射する洗浄ガンと、
その洗浄ガンに装着されるフードであって、前記噴射ノズルを覆うとともにその噴射ノズルから噴射方向に延び、それにより、その噴射ノズルからミスト状で噴射された洗浄水の飛散量および/または前記構造物の表面に衝突してそこから跳ね返る洗浄水の飛散量が減少するものと
を含み、
そのフードは、それの少なくとも先端部において弾性を有する素材によって構成され、
前記洗浄ガンは、前記フードの先端部のうちの少なくとも一部において前記構造物の表面に接触する状態でその構造物を高圧洗浄する接触モードと、その接触なしで前記構造物を高圧洗浄する非接触モードとのうち少なくとも接触モードで使用することが可能である塗膜除去用高圧洗浄システム。
(72) 前記フードは、全体形状として、概して中空薄肉円錐状を成すとともに、前記噴射ノズルから噴射方向に進むにつれて末広がりとなり、断面形状として、円形を成すか、または楕円形を成すか、長円形を成すか、もしくは、当該フードの周方向における少なくとも一か所において角部を有するように非円形を成す(71)項に記載の塗膜除去用高圧洗浄システム。
(73) 前記素材は、少なくとも先端部において少なくとも部分的な光透過性を有する(71)または(72)項に記載の塗膜除去用高圧洗浄システム。
(74) 前記素材は、少なくとも先端部においてシリコーンを含む(71)ないし(73)項のいずれかに記載の塗膜除去用高圧洗浄システム。
(75) 前記噴射ノズルは、平吹きノズルであり、その平吹きノズルは、前記洗浄ガンが洗浄水を扇状のスプレーパターンで噴射することを可能とし、それにより、その噴射した洗浄水は、細長い瞬間的な洗浄領域で前記構造物の表面に衝突する(71)ないし(74)項のいずれかに記載の塗膜除去用高圧洗浄システム。
(76) 前記洗浄ガンは、前記噴射ノズルから前記構造物上の目標到達点までの距離である噴射距離が約50−約200mmである状態で、前記洗浄水を噴射する(71)ないし(75)項のいずれかに記載の塗膜除去用高圧洗浄システム。
(77) 前記洗浄ガンは、約80−約250kgf/cmの噴射圧で前記洗浄水を噴射するように構成される(71)ないし(76)項のいずれかに記載の塗膜除去用高圧洗浄システム。
(78) 前記洗浄ガンは、約8−約20L/minの噴射量で前記洗浄水を噴射するように構成される(71)ないし(77)項のいずれかに記載の塗膜除去用高圧洗浄システム。
(79) 前記洗浄ガンは、
作業者の片方の手で操作される主操作具としてのトリガと、
そのトリガの操作量に応じて当該洗浄ガンのオンオフと流量調整とを行う流量調整弁と、
作業者の反対側の手で操作される補助操作具としての噴射圧調整具と、
その噴射圧調整具の操作量に応じて当該洗浄ガンからの洗浄水の噴射圧を調整する噴射圧調整弁と
を含む(71)ないし(78)項のいずれかに記載の塗膜除去用高圧洗浄システム。
(80) さらに、前記噴射ノズルから噴射された洗浄水を廃水として回収して処理する廃水処理ユニットを含み、
その廃水処理ユニットは、作業者のために前記構造物に設置された足場に、それの床材より下方の位置に設置された二重シートを含み、
その二重シートは、上側のろ過シートと下側の集水シートとであってそれぞれ平面視において互いにオーバーラップするように配置されるものを含み、
前記ろ過シートは、前記廃水を受け止めるとともにその廃水をろ過してその廃水から固形物としての塗膜片を除去するように構成され、
前記集水シートは、ろ過後の廃水を前記ろ過シートから受け止めるとともにそのろ過後の廃水をそれの自重を利用して廃水出口まで誘導するように構成される(71)ないし(79)項のいずれかに記載の塗膜除去用高圧洗浄システム。
(81) 前記廃水処理ユニットは、さらに、
前記廃水出口から排出されたろ過後の廃水を回収して保存するとともに、有害物質を含有する廃水に凝集剤、重金属不溶可剤および活性炭素粉等の吸着剤のうちの少なくとも一つが添加されることにより、前記廃水のうちの所定の有害物質が凝集化させられる凝集槽と、
その凝集槽内の廃水をろ過することにより、その廃水を、固形物としての有害物質と、その有害物質が除去された、ろ過後の廃水とに分別するろ過部と、
任意選択的なイオン交換繊維層またはイオン交換樹脂層であって、その層を前記ろ過後の廃水が通過すると、その廃水中の重金属イオンを捕捉して回収するものと
を含む(80)項に記載の塗膜除去用高圧洗浄システム。
(82) 前記廃水処理ユニットは、さらに、
前記ろ過部を通過してそこから排出された無毒化廃水を新たな洗浄水として再利用する再利用手段と、
前記ろ過部を通過せずにそこに残存する湿潤フロックであって前記有害物質を含有するものを脱水する脱水手段と
を含む(81)項に記載の塗膜除去用高圧洗浄システム。
(83) 洗浄水を高圧で噴射して構造物の表面を洗浄することによってその構造物の表面から既存塗膜を除去する塗膜除去用高圧洗浄方法であって、
当該方法は、洗浄水を噴射ノズルから高圧で噴射する洗浄ガンであって、前記噴射ノズルを覆うとともにその噴射ノズルから噴射方向に延び、それにより、その噴射ノズルからミスト状で噴射された洗浄水の飛散量および/または前記構造物の表面に衝突してそこから跳ね返る洗浄水の飛散量が減少するフードが装着されたものを用いて実施され、
当該方法は、
前記洗浄ガンを、前記フードの先端部のうちの少なくとも一部において前記構造物の表面に接触する状態でその構造物を高圧洗浄する接触モードで使用する第1工程と、
前記洗浄ガンを、前記フードにおいて前記構造物の表面に接触しない状態でその構造物を高圧洗浄する非接触モードで使用する第2工程であって、任意選択的に実施されるものと、
それら第1工程および第2工程のうちのいずれが実施される場合でも、実施される工程と並行して、前記洗浄ガンを、噴射した洗浄水が前記構造物の表面に衝突する細長い瞬間的な洗浄領域に対して交差する向きに移動させて掃射する第3工程と
を含む塗膜除去用高圧洗浄方法。
(91) 高圧洗浄水との衝突によって塗装済の構造体の表面から既存塗膜を除去する方法であって、
作業者が手持ち型の洗浄ガンを用いて洗浄水を圧力下に前記洗浄ガンの噴射口から噴射させることにより、前記既存塗膜を前記構造体の表面から除去する機械的除去と、その構造体の表面を洗浄水で洗浄する水洗とを行う高圧洗浄工程と、
前記噴射されられた洗浄水が前記構造体に衝突することにより、液体成分としての洗浄水と、固体成分としての塗膜片であって洗浄水との衝突によって前記構造体の表面から物理的に剥離されて除去されたものとの混合物として生成される廃水を処理する廃水処理工程と
を含み、
前記高圧洗浄工程は、前記洗浄ガンから噴射されられた洗浄水のうち、洗浄水が空気中を飛行する際に洗浄水が予定の飛行経路から側方に飛散する量が所定の許容値を超えないように、
(a)前記洗浄ガンの噴射口における洗浄水の圧力である噴射圧と、
(b)洗浄水が前記洗浄ガンの噴射口から噴射させられた後に空気中を飛行する際の飛行経路の形状としての末広がりの扇形スプレーパターンの頂角である噴射角と、
(c)前記洗浄ガンの噴射口から噴射させられた洗浄水の、前記扇形スプレーパターンの各断面における圧力の分布と、
(d)前記洗浄ガンの噴射口から洗浄水が単位時間当たりに噴射する量である噴射量と
を含む4つの制御変数のうちの少なくとも2つに関する2つの条件が設定され、それら設定された条件のもとで洗浄水を前記洗浄ガンから噴射させ、
前記廃水処理工程は、
前記構造体に関連する高圧洗浄現場において前記廃水を回収して所定位置に設置された容器内に収容する廃水回収工程と、
その容器内に収容された廃水内に凝集剤を添加し、それにより、前記廃水内に存在する有害物質を凝集させる凝集工程と、
前記凝集剤が添加された廃水をろ過することにより、前記凝集させられた有害物質を前記廃水から分離して回収する分離工程と、
前記構造体に関連する作業現場において、分析キットを用いることにより、前記ろ過後の廃水の成分を分析し、その廃水の成分が所定の排水基準であって前記ろ過後の廃水の透明度に関する基準を有するものを満たすか否かを判定する分析工程と、
前記廃水の成分が前記排水基準を満たすと判定されると、前記廃水を排水するかまたは次回の高圧洗浄に再利用する排水・再利用工程と、
前記廃水の成分が前記排水基準を満たないと判定されると、前記廃水に対し、前記凝集工程、前記凝集物回収工程および前記分析工程を反復させる反復工程と
を含む高圧洗浄型塗膜除去方法。
(92) 前記構造体は、金属製であり、その構造体の表面は、亜鉛メッキ層で被覆され、その亜鉛メッキ層は、前記既存塗膜で被覆されており、
前記高圧洗浄工程は、洗浄水による前記亜鉛メッキ層の損傷が実質的に最小化し、それにより、前記構造体の防錆能力が実質的に維持される噴射条件で実施される(91)項に記載の高圧洗浄型塗膜除去方法。
(93) 前記噴射条件は、
前記噴射圧が約80−約250kgf/cmという範囲内にあるという噴射圧条件と、
前記噴射角が約10−約15度という範囲内にあるという噴射角条件と、
噴射させられた洗浄水の、前記扇形スプレーパターンの各断面における圧力の分布が実質的に均等である圧力分布条件と、
前記噴射量が約8−約20L/minという範囲内にあるという噴射量条件と
を累加的に含む(91)または(92)項に記載の高圧洗浄型塗膜除去方法。
(94) 前記高圧洗浄工程は、
剥離剤を前記既存塗膜上に塗布するのに先立ち、前記洗浄水を前記既存塗膜に向かって噴射させ、それにより、前記既存塗膜の表面であって前記剥離剤が塗布される予定のものを清浄化するとともに、前記既存塗膜のうち、前記剥離剤の塗布前に前記構造物の表面から浮き上がっている部分を剥離して除去する予備洗浄工程と、
前記既存塗膜上に塗布された前記剥離剤によって前記既存塗膜が前記構造物上において膨潤軟化した後、前記洗浄水を前記既存塗膜に向かって噴射させ、それにより、前記既存塗膜を前記構造物から剥離して除去する本番洗浄工程と
を含む(91)ないし(93)項のいずれかに記載の高圧洗浄型塗膜除去方法。
(95) 前記第1の噴射圧は、前記第2の噴射圧の約50%未満、約60%未満、約70%未満、約80%未満または約90%未満である(94)項に記載の高圧洗浄型塗膜除去方法。
(96) 前記洗浄ガンは、それから噴射された洗浄水が前記構造体に衝突することに起因する反動を軽減する反動軽減手段を有する(91)ないし(95)項のいずれかに記載の高圧洗浄型塗膜除去方法。
(97) 前記反動軽減手段は、前記洗浄ガンにおいて、洗浄水が噴射される際のその洗浄水の噴射方向とは逆向きに、かつ、その噴射方向と同軸に、圧縮空気を噴射し、それにより、前記反動を、同じ洗浄ガンから噴射された圧縮空気が周囲の静止空気に衝突することによって発生する第2の反動によって少なくとも部分的に打ち消す(96)に記載の高圧洗浄型塗膜除去方法。
(98) 前記廃水回収工程は、前記構造体において、順次移動する作業現場を包囲するように位置可変に設置される集水シートと、その集水シートから延び出すドレンホースとを用いることにより、前記廃水を作業現場において回収し、その回収された廃水を前記容器まで送給する(91)ないし(97)項のいずれかに記載の高圧洗浄型塗膜除去方法。
(99) 前記有害物質は、重金属(鉛など)、クロムおよびPCBを含み、
前記凝集剤は、
前記有害物質を選択的に凝集させるという条件と、
前記ろ過後の廃水において、前記有害物質の含有濃度が所定の基準値を下回るという条件と、
前記ろ過後の廃水の透明度が所定の基準値を超えるという条件と
を累加的に満たすように選定される(91)ないし(98)項のいずれかに記載の高圧洗浄型塗膜除去方法。
図1は、本発明の例示的な第1実施形態に従う塗膜剥離方法を実施するために使用される例示的なエアレス塗布機を概念的に表す系統図である。 図2は、図1に示すエアレス塗布機において選択的に使用される複数種類の剥離剤すなわちリムーバのそれぞれの組成および使用温度を表す表である。 図3は、前記塗膜剥離方法における例示的な準備工程を示す工程図である。 図4は、前記塗膜剥離方法における例示的な施工工程を示す工程図である。 図5は、図1に示すエアレススプレーガンのうちのノズルから噴射したリムーバの性状の時間的変遷を概念的に表す図である。 図6は、本発明の一実施例によって既存塗膜上に塗布されたリムーバの塗着性の試験結果を比較例と対比して示す図である。 図7(a)は、液状の剥離剤をエアレス塗布するに際して、エアレススプレーガンから噴霧される前の剥離剤の粘度と、噴霧によって当該剥離剤が分断された複数の液滴のそれぞれの粒径(例えば、平均直径)と、エアレススプレーガンによる剥離剤の霧化性との間に成立する一般的な関係を概念的に表すグラフであり、同図(b)は、同じ噴霧環境において、エアレススプレーガンからの剥離剤の噴射圧と、前記各液滴の粒径との間に成立する一般的な関係を概念的に表すグラフである。 図8は、前記第1実施形態に従う塗膜剥離方法を実施するに際して、既存塗膜の表面粗度に応じて、剥離剤をその既存塗膜の表面上に塗布すべき膜の厚さである平均塗膜厚が決定されるプロセスの一例を概念的に表すグラフである。 図9は、本発明の例示的な第2実施形態に従う塗膜剥離方法の一例を示す工程図である。 図10は、図9における高圧洗浄を実施するために使用される塗膜除去用高圧洗浄システムのうちの洗浄ガンを示す部分断面側面図である。 図11(a)は、図10に示すフードを取り出して示す正面図であり、同図(b)は、そのフードのうちの基端部を示す断面図である。 図12(a)は、図10に示す洗浄ガンから噴射される洗浄水のスプレーパターンを示す斜視図であり、同図(b)は、前記洗浄ガンの噴射ノズルを取り出して拡大して示す正面図である。 図13(a)は、図10に示すフードが作業対象としての構造物のうちのアングル材の入隅に形状的にフィットする様子を説明するための斜視図であり、同図(b)は、図10に示す洗浄ガンの掃射中に、前記フードが、前記アングル材に締結されたボルトの露出部を弾性変形によって乗り越える様子を時系列的に説明するための側面図であり、同図(c)は、前記フードが前記ボルトの露出部を乗り越える際に弾性変形する様子を説明するための正面図である。 図14(a)は、図10に示す洗浄ガンの複数の洗浄力特性として、噴射水量と衝撃圧力との関係を概念的に説明するためのグラフであり、同図(b)は、噴射角度と衝撃圧力との関係を概念的に説明するためのグラフである。 図15(a)は、図10に示す洗浄ガンの複数の別の洗浄力特性として、噴射圧と衝撃圧力との関係を概念的に説明するためのグラフであり、同図(b)は、噴射距離と衝撃圧力との関係を概念的に説明するためのグラフである。 図16は、図10に示す洗浄ガンが洗浄水を噴射して洗浄面に衝突させる際に洗浄水が飛散する複数の場所および複数の向きを概念的に説明するための斜視図である。 図17(a)は、図9における廃水処理を実施するために使用される廃水処理ユニットのうちの一部としての二重シートの一例を示す斜視図であり、同図(b)は、その二重シートのうちの集水シートを示す側面図である。 図18は、図17に示す廃水処理ユニットのうちの残りの部分の一例を示す斜視図である。 図19は、図9に示す廃水処理の一例を示す工程図である。 図20は、図9に示す塗膜剥離方法の別の例を示す工程図である。
[第1実施形態]
以下、本発明の例示的な第1実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の例示的な一実施形態は、構造物(または構造物)から既存塗膜を剥離剤(以下、「リムーバ」ともいう。)を用いて剥離する湿式剥離方法に関するものである。具体的には、その湿式剥離方法は、剥離剤を既存塗膜上に発泡型エアレス(無気噴射、無気噴霧)塗布して剥離する発泡型エアレス塗布剥離方法である。
その発泡型エアレス塗布剥離方法の一例は、高粘度の剥離剤を既存塗膜上に発泡型エアレス塗布して剥離する方法である。
ここに、「高粘度」は、例えば、塗料粘度で表現すると、一般的な塗装が可能な粘度限界(例えば、0.1Pa・s(20℃))より高い粘度を意味する。例えば、「高粘度」は、ゲルコート塗料に相当する粘度(3Pa・s(20℃))またはそれより高い粘度を意味する場合や、マヨネーズ(23℃)に相当する粘度(8Pa・s(20℃))またはそれより高い粘度を意味する場合がある。
発泡型エアレス塗布剥離方法の別の一例は、高粘度かつ乳化状態の剥離剤を既存塗膜上に発泡型エアレス塗布して剥離する方法である。高粘度かつ乳化状態の剥離剤の一例は、後述のように、図2に示す第1リムーバである。
上述の発泡型エアレス塗布剥離方法(以下、「本剥離方法」という。)は、後に図4を参照して詳述するように、化学的な剥離工程としての発泡型エアレス塗布工程S201と、物理的な(機械的な)剥離工程としての剥離工程S203とを、それらの順に実施される複数の工程として有する。
図1には、上述の発泡型エアレス塗布工程S201を実施するために使用される例示的なエアレス塗布機10が概念的に系統図で表されている。
エアレス塗布機10は、構造物12から既存塗膜14を湿式で剥離するために既存塗膜14上に塗布される剥離剤20を保存するタンク30と、エアレス型の圧送ポンプ40(圧送機)と、エアレススプレーガン(以下、単に「スプレーガン」という。)50と、圧送ポンプ40の駆動源としてのエアコンプレッサ60とを有する。スプレーガン50のタイプは、手持ちのハンドガンであっても自動ガンであってもよい。
具体的に、エアコンプレッサ60は、後述のプランジャまたはピストンの背後に位置する加圧室76に高圧を作用させ、それにより、それらプランジャまたはピストンの前方に位置する吐出室(吐出されるべき高粘性の剥離剤20がタンク30から送り込まれる部屋)80を加圧するために使用される。
スプレーガン50を用いたエアレススプレー方式は、後に図5を参照して詳述するが、簡単に説明すると、剥離剤20に高圧をかけて液膜を作り、その液膜を大気(静止空気)と衝突させて、剥離剤20を液滴化する方式である。
タンク30は、ホース70を介して、圧送ポンプ40の供給口72に接続されている。その供給口72は、吐出口80に流体的に接続されている。エアコンプレッサ60は、エアホース74を介して、圧送ポンプ40の加圧室76に接続されている。スプレーガン50は、高圧ホース78を介して、圧送ポンプ40の吐出室80に接続されている。エアレス塗布機10において、ホース70は供給ラインを構成し、エアホース74は圧縮エアラインを構成し、高圧ホース78は圧送ラインを構成する。
スプレーガン50は、圧縮エアを直接、剥離剤20に接触させることなく、前記プランジャまたはピストンによって剥離剤20自体を加圧してその剥離剤20をノズルから噴射し、それにより、剥離剤20を複数の液滴に分断するように構成される。
<噴霧ファクターの設定>
本実施形態においては、噴霧ファクター、すなわち、剥離剤20の粘度と、剥離剤20が前記ノズルから噴射される際の噴射圧(「霧化圧力」)と、前記ノズルの平均口径とのうちの少なくとも一方が、エアレススプレーガン50を用いて剥離剤20が噴霧される際のその剥離剤20の霧化性が不良化されるように設定される。
噴霧ファクターを剥離剤20の霧化性が不良化されるように設定する理由は、後に詳述するが、簡単に説明すれば、次のようになる。
すなわち、剥離剤20の霧化性が不良化される場合には、噴霧によって剥離剤20が分断されることとなる複数の液滴のそれぞれの平均粒径が、霧化性が良好である場合より大きくなる。一方、平均粒径が大きいほど、各液滴が静止空気中を飛行する際に、各液滴の運動量(=mv)が大きくなり、静止空気を貫通する能力が高くなり、その結果、各液滴の飛行速度が、各液滴が小さい場合より高速化する。その結果、各液滴が既存塗膜14の表面上に衝突する際の衝撃エネルギー(衝突エネルギー)が霧化性が良好である場合より大きくなる。
図7(a)には、液状の剥離剤20をエアレス塗布するに際して、エアレススプレーガン50から噴霧される前の剥離剤20の粘度と、噴霧によって剥離剤20が分断された複数の液滴のそれぞれの粒径(例えば、平均直径)と、エアレススプレーガン50による剥離剤20の霧化性との間に成立する一般的な関係がグラフで概念的に表されている。
具体的には、粘度が高いほど、粒径が増し、それにより、霧化性が不良化する。一例においては、粒径が50μm以下である領域においては、霧化性が良好であるのに対し、粒径が50μmより大きい領域においては、霧化性が不良であると定義される。
さらに、同図(b)には、同じ噴霧環境において、エアレススプレーガン50からの剥離剤20の噴射圧と、前記各液滴の粒径との間に成立する一般的な関係がグラフで概念的に表されている。具体的には、噴射圧が低いほど、粒径が増し、それにより、霧化性が不良化する。上記と同様にして、一例においては、粒径が50μm以下である領域においては、霧化性が良好であるのに対し、粒径が50μmより大きい領域においては、霧化性が不良であると定義される。
そして、本実施形態においては、霧化性を不良化するために、剥離剤20の粘度が、0.1Pa・s(20℃)より高い値に設定される。とはいえ、粘度が高いほど望ましいということではなく、上限値が存在する。その上限値は、例えば、16Pa・s(20℃)である。その上限値が必要であるのは、粘度が高すぎると、剥離剤20が全く霧化しない可能性があるからである。
さらに、本実施形態においては、霧化性を不良化するために、前記噴射圧が、80kg/cmを超えない高さに設定される。
さらに、本実施形態においては、霧化性を不良化するために、前記ノズルの等価口径(以下、「ノズル径」ともいう。)が、0.4mm以上の値に設定される。等価口径が小さいほど、剥離剤20は霧化し易いのに対し、ノズル径が大きいほど、剥離剤20は液状に維持されて霧化し難いからである。
さらに、霧化性を不良化する噴霧条件について敷衍する。
スプレーガン50においては、剥離剤20に作用する圧力(例えば、後述の噴射圧)は、通常は、80−200kg/cm程度であるが、本実施形態においては、後述のように、例えば30−40kg/cmというように、通常値より低圧である。
スプレーガン50は、材料としての剥離剤20をスプレーガン50のノズルから吐出する方式として、ダイヤフラム式、プランジャーを用いたプランジャーポンプ式またはピストンを用いたピストンポンプ式のいずれを採用してもよいが、剥離剤20が高粘度である場合には、プランジャーポンプ式またはピストンポンプ式を採用することが望ましい。
また、スプレーガン50は、上述のように、噴射圧が低圧であることから、材料としての剥離剤20をスプレーガン50内の吐出室内に送給する方式として、圧送式(剥離剤20を加圧して押し出す)よりむしろ、重力式(自然落下を利用して剥離剤20を噴射する)または吹上げ式(空気の流れを利用して剥離剤20を吹き上げて噴射する)を採用してもよいが、圧送式を採用してもよい。
いずれの方式を採用しても、スプレーガン50は、本体部90と、その本体部90に対して着脱可能に装着されるノズルチップ92とを有するように構成される。本体部90は、作業者によって握られるグリップ94と、作業者によって操作されるトリガ96とを含むように構成される。
ノズルチップ92は、剥離剤20が噴射されるノズルを有する。そのノズルの断面形状は、例えば、円形としたり、楕円形としたり、スリット形とすることが可能である。本実施形態においては、ノズルの断面形状が楕円形であり、また、ノズルの等価口径は、0.59mm(0.4−0.8mmの範囲内)である。ここに、「等価口径」は、ノズル開口部の開口領域を、それと同じ面積を有する円状領域に置換した場合のその円状領域の外形の直径を意味する。
スプレーガン50からの剥離剤20の吐出量(噴射量ともいい、例えば、ノズルから一定時間当たりに吐出される剥離剤20の重量として定義される)および散布パターンは、ノズルの形状に依存する。
本実施形態においては、スプレーガン50の楕円形ノズルからの剥離剤20の目標散布パターンが、例えば、真横(楕円形ノズルの断面形状のうちの長軸に対して直角な方向)から見ると、噴射方向に進むにつれて幅広となる二等辺三角形状(扇形)であり、その三角形においては、例えば、高さ(スプレー距離)が約25cm、底辺の長さ(パターン幅)が約15−約20cmである。
さらに、本実施形態においては、上記楕円形ノズルを採用する場合、前記噴射圧が60kg/cmのとき、噴射量が1490mL/minであり、また、前記噴射圧が30−40kg/cmのとき、噴射量が750−1000mL/minである。
スプレーガン50の特徴
スプレーガン50は、空気吹付けに依存せずに、剥離剤20自体に圧力を作用させて強制的にノズルから剥離剤20を噴射させて塗布する。
スプレーガン50を用いたエアレススプレー方式によって剥離剤20が液滴化する原理を説明するに、図5に示すように、まず、剥離剤20が、ノズルから高圧で液膜として噴射される。その液膜の先端部が周辺の静止空気と衝突し、それにより、液膜の先端部の速度が次第に低下する。これに対し、剥離剤20を噴射させる圧力は一定であるため、液膜は波状化する。その波状化した液膜は、静止空気内を進行するにつれて、その静止空気から抵抗を受け、波状化した液膜は、それの進行方向に並んだ複数の部分に分裂する。
その後、各分裂した液膜は、進行方向に対して交差する方向に延びるとともに、その延びる方向に凹部と凸部とを繰り返すように、凹凸ひも状化する。
その凹凸ひも状部は、その後、自身の延びる方向に並んだ複数の液滴に分断し、それにより、剥離剤20の液滴化が行われることになる。
ところで、スプレーガン50は、高圧の剥離剤20を直接噴霧するため、エアスプレーガンに比べて剥離剤20の飛散量が少なく、塗着効率(例えば、噴霧した剥離剤20の全重量Weに対する、その噴霧された剥離剤20のうち、既存塗膜14上に塗着した部分(飛散した部分を除く)の量Wの比率として定義される)が高い。
すなわち、スプレーガン50は、空気を使わずに剥離剤20を液滴化して塗布を行うため、剥離剤20が空気中に霧状化して飛散する量が少なく、環境および作業者に対する健康被害が少なく、かつ、剥離剤20の塗布効率(例えば、塗着効率)が高い。
さらに、スプレーガン50への剥離剤20の補給を行いながら剥離剤20の塗布を行うことができるため、剥離作業のストリームライン化に向いている。
スプレーガン50は、エアスプレーガンに比べて高圧で剥離剤20を既存塗膜14上に塗布できるため、剥離剤20の厚い膜を既存塗膜14上に形成できる。
しかし、スプレーガン50は、エアスプレーガンに比べて剥離剤20の噴射量が多いため、既存塗膜14上に塗布された剥離剤20は、追加の対策を講じないと、垂れが発生し易い。
そこで、本実施形態においては、既存塗膜14上への剥離剤20の塗着性(固着性、付着性など)を向上させるために、いくつかの対策が追加された。
(1)噴射ファクターの最適化による剥離剤20の泡状化
エアスプレーガンと対比して説明するに、本発明者の実験により、スプレーガン50からの剥離剤20の噴射圧が高いほど(例えば、エアコンプレッサ60からスプレーガン50に作用する圧力が高いほど)、スプレーガン50からの剥離剤20の噴射速度が高速化するとともに散布パターン(例えば、円錐状)の断面直径(散布直径)が小径化するという事実が判明した。
さらに、上述のように、噴射ファクターの最適化、すなわち、剥離剤20の高粘度化、噴射圧の低圧化およびノズル径の大径化の組合せにより、剥離剤20の各液滴の粒径が大径化し、それにより、各液滴が静止空気中を飛行する際の飛行速度が高速化する。
このように、本実施形態においては、そのような噴射ファクターの最適化により、エアスプレーガンに代えてエアレススプレーガン50を採用したこととも相まって、各液滴が高速化される。
各液滴の高速化により、前述の各液滴が既存塗膜14上に衝突する際の衝撃エネルギーが増加し、各液滴が衝突によって微細化して液滴の総数が増加し、その結果、それら液滴全体としての表面積すなわち静止空気との接触面積が増加する。それにより、それら液滴がより多くの静止空気を巻き込んで泡状化する。その結果、各液滴がより微細化され、それにより、全体として、より多数の泡(エアバブル)が剥離剤20内に形成されることになる。
一方、同じ塗膜厚の剥離剤20において、エアバブルの数が多いほど、各エアバブルが軽量化し、各エアバブルが自重によって既存塗膜14上を流れ難くなる。その結果、既存塗膜14上への剥離剤20の塗着性が向上し、それにより、既存塗膜14上における剥離剤20の塗膜厚が厚くなったと推定される。また、剥離剤20の塗膜厚が厚いほど、既存塗膜14への剥離剤20の塗布量(塗着量ともいい、例えば、一定面積(または一定時間)当たりに塗布される剥離剤20の重量として定義される)が増加する。
本発明者の実験により、前記噴射圧としては、30−60kg/cmの範囲または30−40kg/cmの範囲が望ましいことが判明した。その数値は、スプレーガン50から剥離剤20が散布されるパターンが前述の目標散布パターンとなり、かつ、スプレーガン50から剥離剤20が十分に霧化せずに(微粒子化せずに)既存塗膜14上に到達するように、設定することが望ましい。
(2)剥離剤20の高粘度化による追加の効果
一般に、高粘度の剥離剤を塗布する場合には、低粘度の剥離剤を用いる場合とは異なり、剥離剤の塗膜に厚さを必要とする場合に、その塗膜において剥離剤が流れて垂れてしまうことが防止される。
本発明者の実験により、剥離剤20の粘度が高いほど、既存塗膜14上への剥離剤20の塗着性が向上するという事実が判明した。
さらに、本発明者の実験により、剥離剤20の塗料粘度として、約5−約16Pa・s(20℃)という程度の高粘度であることが望ましいことが判明した。
(3)剥離剤20の高乳化度
本発明者の実験により、剥離剤20の乳化度が高いほど、既存塗膜14との衝突によって剥離剤20に発生する泡の数が増加するとともに泡が微細化し、その結果、既存塗膜14上への剥離剤20の塗着性が向上するという事実が判明した。
この知見に従い、剥離剤20は、エマルジョンすなわち水系剥離剤(例えば、図2における第1リムーバ)が採用された。
とはいえ、本発明者の実験により、剥離剤20が非エマルジョンすなわち溶剤系剥離剤(例えば、図2における第2−第4リムーバ)であっても、剥離剤20の塗膜厚が、従来の塗布方法すなわちエアスプレーガンを用いるか刷毛塗りによる方法の場合より厚くなるという事実が判明した。
<剥離剤20の成分構成>
剥離剤20は、種類の如何を問わず、主成分と、補助剤と、増粘剤とを含有する。
主成分は、既存塗膜14を膨潤させて構造物12の表面から剥がれ易くするために、有機溶剤を含有する。有機溶剤としては、アルコール系高沸点溶剤、エステル系有機溶剤、複素環状有機溶媒などがある。
補助剤は、剥離剤20の性質安定化のために存在し、例えば、芳香族炭化水素系溶剤、テルペン類等がある。
増粘剤は、剥離剤20を所定の塗付け量で既存塗膜14上に塗布でき、垂れ難くするために存在し、例えば、珪酸塩化合物、有機ベントナイトなどがある。
<剥離剤20の組成のバリエーション>
図2に示すように、本実施形態においては、スプレーガン50によって既存塗膜14上に塗布することが可能な剥離剤20として、第1−第4リムーバというように、4種類が存在する。
それらのうち、第1リムーバは、水系剥離剤(エマルジョン)であるのに対し、第2−第4リムーバは、溶剤系剥離剤(非エマルジョン)である。
さらに、第1−第2リムーバは、平均気温が約10℃より高い高温期において、正常な反応性を示し、使用が推奨されるのに対し、第3リムーバは、平均気温が約10℃未満である低温期であっても、正常な反応性を示し、使用が推奨される。
第4リムーバは、ジクロロメタンを含有するため、作業者の健康被害を予防するための安全管理対策が必要であるが、他のリムーバより速乾性があり、かつ、強力な剥離力を発揮する。この第4リムーバは、部分補修用として使用することが推奨される。
1.溶剤系剥離剤
主成分(20−90%)として有機溶剤を含有し、また、補助成分として、補助剤、増粘剤等を含有する。
2.水系剥離剤
主成分(30−50%)として有機溶剤を含有し、また、補助成分として、補助剤、増粘剤等と水(35−50%)とを含有する。
一般に、水系剥離剤のほうが溶剤系剥離剤より危険有害性が低い。
水系剥離剤は、主成分と水とが界面活性剤を用いて乳化されて成るエマルジョンである。
<発泡型エアレス塗布剥離方法>
本実施形態に従う発泡型エアレス塗布剥離方法は、図3に示す準備工程S100と、図4に示す施工工程S200とを、それらの順に実施されるように有する。
<準備工程>
図3に示すように、まず、ステップS101において、作業者が、剥離対象である既存塗膜14を調査する。具体的には、既存塗膜14の材質、塗膜厚、表面性状(例えば、表面粗度μmRmax)などの既存塗膜ファクターや、構造物12の構造、形状などの構造物ファクターを調査する。
次に、ステップS102において、作業者が、既存塗膜14を剥離するための施工時期を選択する。施工時期が選択されれば、その施工時期における環境の平均気温が予測される。その平均気温は、前述の4種類のリムーバのうちいずれのものが最適であるかを決定するために参照される。
続いて、ステップS103において、作業者が、剥離条件を選択する。具体的には、既存塗膜14についての前述の既存塗膜ファクターおよび/または構造物ファクターに基づき、図2における第1−第4リムーバのうちのいずれかを今回使用する剥離剤20として選択する。このとき、今回使用する剥離剤20は、前述のように、エアレス塗布において剥離剤20の霧化性が不良化するのに適した粘度を有するように選択される。
さらに、調査した塗膜厚を含むファクターに応じ、今回の剥離剤20を用いた剥離作業を何回反復するかを決定する。さらに、前述の既存塗膜ファクターおよび/または構造物ファクターに基づき、各回の剥離作業における剥離剤20の目標塗膜厚を決定する。
具体的には、既存塗膜ファクターのうち、既存塗膜14の表面粗度(例えば、単位:μmRmax)に応じて、剥離剤20が既存塗膜14の表面上に被着されることによって形成されることとなる塗膜の目標塗膜厚(平均塗膜厚など)を決定する。
さらに具体的には、所定の関係に従い、既存塗膜14の表面粗度に応じて剥離剤20の目標塗膜厚を、表面粗度が小さいほど目標塗膜が厚膜化するように決定する。
図8には、既存塗膜14の表面粗度と剥離剤20の目標塗膜厚との関係の一例がグラフで概念的に表されている。表面粗度が低いほど、すなわち、表面平滑度が高いほど、剥離剤20が既存塗膜14の表面に塗布されたときに剥離剤20が既存塗膜14の微視的表面に接触する合計面積(表面凹凸を考慮した微視的な表面の全体面積であり、以下、「微視的合計接触面積」という。)が狭い。
既存塗膜14の表面の投影面積(すなわち、表面凹凸を無視した巨視的な表面の全体面積)の割に前記微視的合計接触面積が広いほど、剥離剤20が一度に既存塗膜14を剥離する速度が高いのに対し、前記微視的合計接触面積が狭いほど、剥離剤20が一度に既存塗膜14を剥離する速度が低いため、剥離剤20は、より多くの時間をかけて、既存塗膜14に接触し続けることが望ましい。
よって、剥離剤20の剥離速度を極大化するために、既存塗膜14の表面粗度が低いほど、剥離剤20の塗膜を厚膜化し、それにより、既存塗膜14の表面の各部位に、膜厚方向に積層された剥離剤20が、前記表面に近い部分から次々に接触し続けるようにすることが望ましい。
なお付言するに、既存塗膜14の表面粗度と剥離剤20の目標塗膜厚との関係は、上記のものとは逆のものを採用することが望ましい事例も想定され得る。
具体的には、既存塗膜14の表面粗度が高いほど、前記巨視的全体面積の割に前記微視的合計接触面積が広いため、それに見合うように、剥離剤20の塗膜を厚膜化して合計塗布量を増量し、それにより、既存塗膜14の微視的表面の各部位に接触する剥離剤20の量をすべての部位の間で均一化することが有効である事例も想定され得る。
さらに、上記のようにして決定された目標塗膜厚から目標塗布量を決定する。さらに、その決定された目標塗布量に応じ、スプレーガン50からの剥離剤20の目標吐出量を決定し、場合によっては、今回使用するノズルチップ92を選択する。ただし、このとき、今回使用するノズルチップ92は、前述のように、エアレス塗布において剥離剤20の霧化性が不良化するのに適した等価口径を有するように選択される。
さらに、今回の剥離剤20の粘度とその剥離剤20の前記ノズルからの目標吐出量とに応じ、スプレーガン50が今回の剥離剤20を加圧して前記ノズルから噴射する際の噴射圧を決定する。ただし、このとき、噴射圧は、前述のように、エアレス塗布において剥離剤20の霧化性が不良化するのに適した高さを有するように選択される。
<施工工程>
図4に示すように、まず、ステップS201において、作業者が、既存塗膜14に対し、前述の発泡型エアレス塗布方法を実施する。
その発泡型エアレス塗布方法は、作業者が、今回の剥離剤20を調製するかまたは調達し、それをタンク30内に投入する準備工程と、作業者が圧送ポンプ40を起動させ、それにより、今回の剥離剤20をタンク30からスプレーガン50にエアレス状態で圧送する圧送工程とを有する。
上記発泡型エアレス塗布方法は、さらに、作業者が、スプレーガン50を把持して標的すなわち既存塗膜14に向け、その状態でトリガ96を引き、それにより、スプレーガン50から剥離剤20を複数の液滴に分断して標的に向けて噴射する噴射工程を有する。
その噴射工程は、圧縮エアの流れに剥離剤20を接触させてその剥離剤20を霧吹きの原理で霧化する工程を含まず、さらに、剥離剤20をノズル92から噴射する前に剥離剤20を発泡させる工程を含まない。
前記発泡型エアレス塗布方法は、さらに、作業者が、前記噴射された剥離剤20を既存塗膜14の表面上に塗布する塗布工程を有する。
その塗布工程においては、その塗布に際し、剥離剤20の前記複数の液滴が既存塗膜14の表面に衝突し、それにより、前記複数の液滴がそれぞれ大気中のエアを巻き込んで発泡化し、それにより、剥離剤20が発泡状態で既存塗膜14の表面上に塗布される。
一例においては、前記塗布工程が、前記発泡状態にある剥離剤20が平均直径が約0.1mmから約0.5mmまでの範囲内にある複数の泡を有するように、剥離剤20を既存塗膜14の表面上に塗布するように実施される。
別の例においては、前記塗布工程が、剥離剤20が既存塗膜14の表面上に被着されることによって形成される塗膜の平均塗膜厚が約1mmであるように、剥離剤20を既存塗膜14の表面上に塗布するように実施される。
さらに別の例においては、前記塗布工程が、剥離剤20が既存塗膜14の表面上に被着されることによって形成される塗膜の平均塗膜厚が約2mmから約5mmまでの範囲内にあるように、剥離剤20を既存塗膜14の表面上に塗布するように実施される。
いずれの例においても、既存塗膜14が剥離剤20によって膨潤軟化し、構造物12の表面への付着力が低下し、その結果、既存塗膜14は構造物12の表面から浮き上がる。
次に、ステップS202において、剥離剤20の塗布完了後に、作業者が、剥離剤20に対して不透過性を有する保護シートで既存塗膜14の表面をラッピングし、それにより、剥離剤20(揮発性を有する場合)から発生した気化ガスが既存塗膜14の表面から大気に放出されることを防止する。前記保護シートは、例えば、柔軟性を有するポリエチレン製シート、ポリプロピレン製シートなどである。
本発明者の実験により、前記ラッピングの効果として、既存塗膜14上に塗布された剥離剤20からの蒸気(気化ガス)の放出が防止され、それにより、約90%の蒸気が既存塗膜14内に浸透して剥離作業の効率化が推進されたことが確認された。
続いて、ステップS203において、その塗布完了から所要時間(例えば、16−48時間)の経過後、作業者が、前記保護シートを既存塗膜14から剥離して除去する。その後、作業者が、剥離剤20によって付着力が低下して構造物12の表面から浮き上がった既存塗膜14を構造物12から物理的に剥離して除去する。
既存塗膜14を構造物12から物理的に剥離するために、作業者は、手工具としてのスクレーパを用いてもよい。
さらに、その最初の剥離作業後に構造物12の表面上に残存する既存塗膜14の一部である塗膜残渣物を除去するために、電動回転工具としてのワイヤーブラシ(例えば、カップ状ワイヤーブラシ)やエア・グラインダを用いてもよい。
この除去作業が作業者にとっての大きな負担となるため、前記電動回転工具は可及的に軽量であること、剥離した塗膜残渣物が飛散しないことなどが重要である。よって、電動回転工具は、小型で、かつ、回転部が通常より低速で回転するものであることが望ましい。
さらに、必要に応じ、作業者は、高圧洗浄機を追加的にまたは代替的に用いて既存塗膜14および/または塗膜残渣物を除去してもよい。
なお、本実施形態によれば、剥離剤20の目標塗膜厚を実現するために、刷毛やローラーであると、複数回の塗布作業が必要であったところ、目標塗膜厚を一回の塗布作業で実現可能となり、作業効率が向上する。
さらに、本実施形態においては、剥離剤20を設置場所(図1において、エアレス塗布機10のうちスプレーガン50を除く本体部が固定設置されている場所)からインラインで(前記本体部と、作業場所であるスプレーガン50とが、連続した圧送ライン78で互いに接続される状態で)作業場所に送給することが可能となる。
具体的には、エアレス塗布機10のうちの本体部(特に、圧送ポンプ40)とスプレーガン50とが、圧力伝達経路と材料供給経路との双方を兼ねるホース(ライン)78で互いに接続される。その結果、エア塗装(吹き付け塗装)の場合とは異なり、本体部(特に、圧送ポンプ40)とスプレーガン50とを、互いに独立した圧力伝達経路と材料供給経路との双方によって互いに接続することが不要となる。
それにより、剥離剤20を確実にスプレーガン50に送給することが可能となり、具体的には、剥離剤20が本体部からスプレーガン50に送給される途中で、剥離剤20が予定外に漏れて作業床等にこぼれてその箇所が剥離剤20で汚染されてしまうことがなくなる。
<塗着性試験>
塗着性試験に使用した剥離剤20の種類
塗着性試験に使用した剥離剤20の種類は、図2に示す第1リムーバ(高粘度エマルジョン)である。その第1リムーバの一具体例は、次のような成分構成を有する。
水分: 40−50重量%
アルコール系溶剤:40−50重量%
石油系溶剤: 1− 5重量%
界面活性剤: 1− 5重量%
増粘剤: 1− 5重量%
防錆類: 1重量%未満
ワックス類: 1重量%未満
また、その具体例は、次のような性状を有する。
外観:白色または淡黄色を呈する粘稠液体
粘度:5−16Pa・s(20℃)
実施例
試験片としての500×500mmの塗装用鋼板に剥離剤20を260g、スプレーガン50を用いてエアレス塗布し、それにより、試験片において1.0kg/mの塗布量(塗布密度、散布密度)を実現した。
その塗布後、試験片を垂直に吊るし、剥離剤20の垂れ具合を観察するために、5分経過後に試験片を撮影した。その写真を図6の上部に貼り付けた。
比較例
試験片としての500×500mmの塗装用鋼板に剥離剤20を260g、刷毛(図示しない)を用いて塗布し、それにより、試験片において、1.0kg/mの塗布量(塗布密度、散布密度)を実現した。
その塗布後、試験片を垂直に吊るし、剥離剤20の垂れ具合を観察するために、5分経過後に試験片を撮影した。その写真を図6の下部に貼り付けた。
対比観察
実施例においては、剥離剤20の垂れ(例えば、剥離剤20が流れた痕跡、剥離剤20の落下など、重力に起因する予定外の剥離剤20の挙動)は全く観察できなかった。また、試験片に塗布された剥離剤20の表面は平滑であった。
図6の上部の写真から明らかなように、実施例においては、試験片に塗布された剥離剤20が全く試験片から流れ落ちなかったことが確認された。
さらに、試験片から垂れずに試験片に被着して固定された剥離剤20の平均塗膜厚(例えば、重ね塗りせずに一回のみ塗布した場合の塗膜厚)が約2mmから約5mmまでの範囲内にあったことも確認された。
さらに、試験片上において発泡状態にある剥離剤20が平均直径が約0.1mmから約0.5mmまでの範囲内にある複数の泡を有することも確認された。
これに対し、比較例においては、試験片全域に剥離剤20の垂れ(または流れ、フローライン)が観察された。また、試験片に塗布された剥離剤20の表面には、材料流れが生じて筋状の凹凸模様が存在していた。
図6の下部の写真から明らかなように、比較例においては、試験片に塗布された剥離剤20の一部が試験片から流れ落ちたことが確認された。
なお付言するに、本発明者は、本実施形態の効果を確認するために、建築物としての鉄塔であって、形状が複雑であるために剥離剤が拡布し難い表面を有するものについて、本実施形態に従う発泡型(発泡促進型)エアレス塗布剥離方法を用いて実際に剥離作業を行った。その結果、剥離作業の確実化、すなわち、例えば、隅々まで既存塗膜が剥離されることと、効率化、すなわち、剥離作業の時間が短縮されることとが確認できた。
さらに付言するに、本実施形態に関する前述の説明においては、剥離剤20が泡状化する現象が、スプレーガン50から噴射された剥離剤20が静止空気中を飛行する行程においては、静止空気との衝突によって剥離剤20から分裂した複数の液滴がエアバブル化せず、既存塗膜14と衝突したときにはじめて複数の液滴がエアバブル化して剥離剤20が既存塗膜14上で泡状化する態様として説明された。
しかし、剥離剤20の複数の液滴が静止空気中を飛行する行程において、それら液滴のうちの少なくとも一部が静止空気との衝突によってエアバブル化する態様で本発明が実施される可能性を排除しない。
[第2実施形態]
次に、本発明の例示的な第2実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、第1実施形態と共通する要素については、同一の名称または符号を使用して引用することにより冗長した説明を省略し、異なる要素についてのみ詳細に説明する。
図9には、本実施形態に従う塗膜剥離方法の一例が工程図で示されている。
この塗膜剥離方法においては、ステップS1において、化学的除去方法の一例としての湿式剥離が実施される。この湿式剥離は、前述の第1実施形態に従うものと同じであっても、異なるものであってもよい。例えば、この湿式剥離は、発泡を全く行わないかまたは発泡を促進しない型式のエアレススプレー方式で剥離剤を既存塗膜14上に塗布する態様で実施してもよい。
この塗膜剥離方法においては、続いて、ステップS2において、物理的除去方法の一例としての高圧洗浄が実施される。この高圧洗浄は、前工程としての湿式剥離と組み合わせられて実施されるが、単独で実施してもよい。
本実施形態においては、その高圧洗浄を実施するために、洗浄水の高圧噴射によって構造物12の表面を洗浄してその表面から既存塗膜14を物理的に除去するように構成される塗膜除去用高圧洗浄システム(以下、単に「高圧洗浄システム」という。)100が使用される。この高圧洗浄システム100は、後に図10−19を参照して詳述される。
この出願書類中、「洗浄水」という用語は、水以外の液体を排除することを意図して選択された用語ではなく、慣用的には、「洗浄液」という用語と同義であるものとして使用される。
この塗膜剥離方法においては、その後、ステップS3において、高圧洗浄システム100における洗浄ガン110(図10参照)から噴射された洗浄水(慣用的には洗浄液と同義)を廃水(慣用的には廃液と同義)として回収して処理する廃水処理が実施される。洗浄ガン110は、後に図10−16を参照して詳述される。前記廃水処理を実施するために、廃水処理ユニット200が使用される。この廃水処理ユニット200は、後に図17−19を参照して詳述される。
ここで、本実施形態において、湿式剥離に高圧洗浄と廃水処理とを組み合わせたことの技術的な背景を説明する。
一般に、剥離剤によって構造物の表面において軟化・膨潤化してその表面から浮き上がった既存塗膜(旧塗膜)を構造物から除去する方法として、作業者が手工具としてのスクレーパ、回転工具等を用いて手作業で、かつ、構造物の表面のうち、狭い加工領域に対し、かつ、ワイヤーブラシややすりなどの剛体部材を接触させてその剛体部材によって加工領域を引っ掻いたり、削ったり、磨いたりしてその構造物の表面から既存塗膜を除去する方法が既に提案されている。
これに対し、一般に、作業者が洗浄水を高圧噴射して既存塗膜を除去する高圧洗浄方法も既に提案されている。この高圧洗浄方法は、水の衝撃力を利用して既存塗膜を剥がし取り、ひいては、それを流し去る洗浄方法であり、構造物の表面を直接擦ることがない。
この高圧洗浄方法は、上述のスクレーパまたは回転工具を用いる塗膜除去方法に対し、本質的に、構造物の表面を直接擦ることがないため、構造物の表面を損傷せずに済むという利点と、一度に洗浄可能な領域が広いため、除去作業の効率が高いという利点とがある。
さらに、この高圧洗浄方法は、本質的に、回転工具では入り込めない狭窄部、ボルトおよびナット回りなどの形状複雑部位(例えば、回転ワイヤーブラシ、回転やすりなどの回転工具は、点ではなく面で構造物の表面に接触するため、回転工具が構造物に接触するときの工具接触点を点接触の場合ほどには自由に移動させることができず、そのため、塗膜除去が困難な部位)などが構造物に存在する場合でも、その形状複雑部位に回り込んで洗浄水が塗布され、それにより、既存塗膜をくまなく除去できるという利点がある。
しかし、現時点では、後者の方法は実用化されていない。なぜなら、高圧噴射された洗浄水は、構造物との衝突前に飛散するとともに、構造物に衝突して跳ね返る際に飛散する可能性があり、このように飛散する洗浄水の量が多いと、作業に必要な洗浄水の量が増加して作業効率が低下する可能性があり、また、構造物から跳ね返る際に飛散した洗浄水に、既存塗膜や構造物の素地のめっき層などに含有されている有害物質が混入すると、洗浄水の飛散に伴って有害物質も飛散し、環境を汚染する可能性があるからである。
そこで、本実施形態においては、高圧洗浄方法が、上述の本質的な利点が維持されつつ、上述の潜在的な欠点が克服された状態で実現される。
具体的には、高圧洗浄システム100が、有害物質が環境に及ぼす影響を低下させること、すなわち、有害物質を、環境との関係において、実質的に(例えば、実用上、許容される程度に)無害化することを実現するために、
(1)洗浄ガン110が、噴射後の洗浄水が足場210(図13参照)から飛散しないように構成され、さらに、
(2)廃水処理ユニット200が、洗浄水が構造物14に衝突して跳ね返る際にその洗浄水およびそれに混入されている塗膜片が、たとえ飛散しても、足場210から逸脱しないように、実質的に全体的に捕捉されて無害化されるように構成される。
<洗浄ガン>
図10には、洗浄ガン110が部分断面側面図で示されている。
この洗浄ガン110は、本体部112と、中空の筒部114とを有し、その筒部114の基端部が本体部112に接続されている。
本体部112は、流量制御弁(弁開度:全閉0%−全開100%)120を有する。その流量制御弁120には、フレキシブルなホース122を介して高圧源(例えば、ポンプ)124に流体的に接続されるとともに、筒部114内の流体通路126に流体的に接続される。高圧源124は、タンク125から使用前の洗浄水をくみ上げる。
本体部112は、さらに、作業者の片方の手で握られるグリップ部130と、同じ手の指によって操作されるトリガー132とを有する。そのトリガー132の操作位置に応じ、流量制御弁120がオンオフするとともに、そのオン状態(弁開度が0%より大きい)において、流量制御弁120の弁開度が調整される。
本実施形態においては、洗浄ガン110が、流量制御弁120のオン状態(例えば、全開状態)において洗浄ガン110から噴射される洗浄水の量である噴射水量を調整することによって噴射圧を調整する噴射圧調整具(弁開度:全閉0%−全開100%)140を有する。作業者は、その噴射圧調整具140を、片方の手でトリガー132を引いている状態で、反対側の手で同時に操作することが可能である。
ここに、噴射圧調整具140は、噴射水量を調整する機構でもある。なぜなら、噴射水量が減れば噴射圧が下がり、逆に、噴射水量が増えれば噴射圧が上がるというように、両者間に一定の連動関係が成立するからである。
一例においては、噴射圧調整具140が、作業者によって手で回転させられる操作部142を有し、その噴射圧調整具140は、筒部114の途中に装着される。
ところで、作業者がある構造物12について高圧洗浄を行う現場を想定するに、構造物12のうちの作業部位(個別の標的洗浄面)ごとに、除去すべき既存塗膜14の性状(例えば、構造物12との密着度が高いほど高い噴射圧が必要となる)や構造物12の形状(例えば、形状が複雑であるほど洗浄水が洗浄面に当たる向きが頻繁に変動し、そのままでは洗浄水の飛散量が増すから、噴射圧を下げて噴射水量を減らす)が異なる。一方、環境保存のために、洗浄水および塗膜片のそれぞれの飛散量を最小化することが重要である。
そこで、本実施形態においては、作業者は、一連の作業中、ある作業部位については、塗膜除去を優先させるために高い噴射圧で洗浄水を噴射する一方、別の作業部位については、飛散防止を優先させるために低い噴射圧で洗浄水を噴射するために、作業者は、作業中に、すなわち、洗浄ガン110の継続的なオン状態で、随時、噴射圧調整具140を頻繁に操作することが可能となっている。
<噴射ノズル>
この洗浄ガン112は、筒部114の先端部に接続されたノズル部150を有する。そのノズル部150は、筒部114の先端部に接続された中空のノズルカバー152と、流体通路126と流体的に連通した状態で、ノズルカバー152に着脱可能に装着されたノズルチップ154とを有する。
ノズルチップ154には、図11(b)に示すように、噴射ノズル156が形成されており、その噴射ノズル156は、洗浄水が高圧で噴射させられて放出されるための出口としての噴射孔160を有する。
本実施形態においては、噴射ノズル156が、図11(a)に例示するように、平吹きかつ扇形噴霧(スプレーパターン)を実現するように構成されている。具体的には、噴射孔160が、同図(b)に例示するように、孔幅Wを有する細長い矩形状を成している。
<フード>
図10に示すように、洗浄ガン110は、筒部114の先端部に着脱可能に装着されたフード170を有する。そのフード170は、洗浄ガン110に、噴射ノズル154を覆いつつ、その噴射ノズル154から噴射方向に延びるように装着される。
このフード170は、洗浄ガン110の先端部に装着される保護具として、噴射ノズル154からミスト状で噴射された洗浄水が、図16に例示するように、側方に飛散することを防止するように構成される。さらに、このフード170は、噴射後に構造物12の表面に衝突して跳ね返る洗浄水を捕捉し、それにより、その跳ね返った洗浄水の飛散量を減少させる。
すなわち、このフード170は、噴射直後に飛散する洗浄水を捕捉するととも、噴射後に構造物12の表面に衝突して跳ね返る洗浄水を捕捉し、それにより、衝突前および衝突後の洗浄水の飛散量を減少させる機能を有するのである。
<フード外形>
図10に示すように、フード170は、全体として、概して末広円錐状を成しており、具体的には、筒部114の先端部に装着される基端部172と、その基端部172の先端面から末広がり状に延び出るコーン部174とを有する。コーン部174の軸長Aは、約100−約150mmであり、また、コーン部174の最大直径Bは、約150mmである。
本実施形態においては、複数種類のフード170が存在し、それらの中から、現場の状況や、構造物12のうちの作業対象部位の形状に応じ、作業者によって選択され、その選択された種類のフード170が洗浄ガン110に装着される。
<フード断面形状>
それら複数の種類のフード170として、図示しないが、コーン部174が、軸線方向に進むにつれて徐々に拡径する円形断面を有する円錐タイプと、図12および図13に例示するように、半径方向外向きに凸の三角形と部分円とが合体して成る非円形断面を有する変形円錐タイプとが存在する。
ここに、「円錐タイプ」に属するコーン部174の断面は、円形を成すか、楕円形を成すか、長円形を成すか、または多角形を成してもよい。
また、「非円形断面」は、例えば、半円と三角形(例えば、直角三角形、頂角が概して直角である三角形など)とが前記半円の直径と前記三角形の底辺とにおいて合体して成る形状を有する断面であり、または、中心角が概して直角である扇状を成す断面である。
いずれにしても、図12(a)に例示するように、「非円形断面」は、フード170のコーン部174の各断面において、周方向における少なくとも一か所において角部(例えば、断面積の急変部。例えば、直角部)176を有する一方、他の少なくとも一か所においては部分円周部178(例えば、半円、円弧など)を有するように部分的に非円形を成す断面を意味する。
これに対し、「非円形断面」は、フード170のコーン部174の各断面において、周方向における少なくとも一か所において角部を有する一方、他の少なくとも一か所においては円弧以外の曲線部(例えば、部分楕円、部分長円など)を有するように全体的に非円形を成す断面を意味してもよい。
ここに、各断面において、角部176の数は1つでも2つでも3以上でもよい。また、各断面において、1つの角部176を構成する2辺179,179であって互いに突き当たるもののいずれも直線であってもよいし、一方は直線、他方は曲線であってもよいし、いずれも曲線であってもよい。
また、各断面において、角部176の内角(入隅の角度)は、直角であっても、鋭角であっても、鈍角であってもよい。
図12(a)には、フード170が正面図で示され、また、同図(b)には、そのフード170のうちの基端部172が断面図で示されている。フード170のうちのコーン部174の、各軸方向位置における断面は、軸方向に、コーン部174の先端から後端に進むにつれて、同図(a)に示すものから、同図(b)に示すものに徐々に変化する。
<フードを構成する素材>
フード170は、少なくとも先端部において弾性(相手部材の形状に対する追従性が高いように形態的にフレキシブルにして形状復元性を有する性質)を有する素材によって構成されている。
その弾性のおかげで、洗浄ガン110を、後に図13を参照して詳述するように、フード170の先端部のうちの少なくとも一部(例えば、図13(c)に示す例においては、水平に延びる辺(先端エッジ)179と、垂直に延びる辺(先端エッジ)179)において構造物12の表面に接触しつつ、その表面に沿って移動させて掃射するときに、その構造物12上の障害物(例えば、図13に示す例におけるボルト露出部190)を弾性変形によって乗り越えることが可能となる。
その結果、作業者は、そのような障害物が出現するごとに、その障害物を逃げるように洗浄ガン110と構造物12との距離、すなわち、噴射距離Dを変化させることが不要となる。噴射距離Dが維持されれば、噴射距離Dの変化が原因で噴射圧が変動せずに済み、それにより、高圧洗浄中、洗浄ガン110による洗浄能力が安定的に維持される。
フード170の素材として、そのフード170の全体に対して、弾性体またはエラストマーを単一素材として選んでもよく、また、その弾性体またはエラストマーとしてシリコーン(例えば、ゴム状のシリコーン)を選んでもよい。
また、フード170の素材は、そのフード170の先端部(構造物12と接触する部分)とそれ以外の部分とで互いに異なる材料を有してもよく、例えば、フード170の先端部は弾性体、残りの部分は剛体であるというように複合素材を選んでもよい。
この複合素材の例においては、フード170全体を弾性体として構成する場合より、筒部114との接続をより強固に行うことが容易となるとともに、フード170の折れ曲がり剛性が向上し、その結果、フード170の先端部が作業者の意に反して全体的に後端部から折れ曲がるために洗浄ガン110の狙いを定め難くなる可能性が軽減される。
<フードの洗浄部位に対する視認性>
フード170の素材は、そのフード170のうちの少なくとも先端部において少なくとも部分的な光透過性を有するように選定することが望ましい。
その光透過性のおかげで、作業者は、作業中、瞬間的な作業対象部位すなわち洗浄部位(例えば、図13に示す例におけるボルト露出部190)がフード170内に位置してそのフード170によって洗浄部位への視覚的アクセスが阻止される可能性があるにもかかわらず、作業者の視線がそのフード170を光学的に透過し、よって、作業者は、フード170の内部において実際に洗浄部位に衝突している洗浄水の挙動を、その洗浄部位の形状を踏まえて、リアルタイムに視認ないしは監視することが可能となる。
<フードによる障害物の弾性的乗り越え特性>
図13(a)には、フード170が作業対象としての構造物12のうちのアングル材180の入隅182(洗浄が予定されている洗浄面)に形状的にフィットする様子が斜視図で示されている。具体的には、この例においては、フード170のコーン部174のうちの角部184を構成する2辺(2面)179,179は、それぞれ対応する入隅182の2面に線接触または面接触する。
同図(b)には、作業者によって洗浄ガン110がアングル材180の入隅182に沿って(倣って)移動させられる過程において、フード170のコーン部174が、アングル材180に締結されたボルトの露出部190を自身の弾性変形によって乗り越える様子が時系列的に側面図で示されている。
具体的には、コーン部174は、それの辺179において、入隅182の上向き面に接触しつつ、ボルト露出部190に接近する。続いて、コーン部174は、そのボルト露出部190に接触すると、コーン部74のうち、そのボルト露出部190と接触する部分が、そのボルト露出部190を弾性的に乗り越える。その後、コーン部174は、ボルト露出部190の乗り越えを完了すると、自身の弾性により、原形状に復元する。
その結果、洗浄ガン110は、それの移動(掃射)経路上にボルト露出部190のような障害物が存在していても、それを弾性的に乗り越えることが可能であるため、洗浄ガン110は、それの高さ位置をほぼ維持しつつ、入隅182の表面の高圧洗浄剥離を行いつつ、入隅182に沿って移動させることが可能となる。その結果、洗浄ガン110を操作する作業者の負担が軽減され、それにより、作業効率が向上する。
同図(c)には、フード170のうちのコーン部174がボルト露出部190を乗り越える際に自身が弾性変形する様子が正面図で示されている。
<フードが弾性を有することによる他の効果>
本実施形態においては、上述のように、フード170がそれの少なくとも先端部において弾性を有する。その結果、作業者は、フード170がそれの先端部において少なくとも部分的に構造物12の表面に接触する状態(例えば、フード170がそれの先端円周においてほぼ全体的に構造物12の表面に接触し、それにより、フード170内の噴射空間が構造物12の表面によってほぼ遮蔽される状態)で、そのフード170の全体としての位置を変えることなく、洗浄ガン110の狙いの向きおよび狙い点の位置を変えること、すなわち、角度操作および位置操作が可能である。以下、このことを具体的に説明する。
構造物12は、それの表面に突出部を有する場合があり、その突出部の一例が、図13を参照して前述したボルトである。その突起部が例えばボルトのように、形状が立体的である物体である場合には、その突起部の周囲部(例えば、突起部の外周面と、構造物12の表面のうちその突起部の周囲に隣接する環状領域)すなわち例えばボルト回り部を高圧洗浄することが必要である場合がある。
そして、ボルト回り部の高圧洗浄のために、フード170が剛体であると、そのフード170がボルトやそれの周辺部材に接触してしまうと洗浄ガン110の角度操作および位置操作が阻害されてしまうため、作業者は、フード170が構造物12に接触しないように、洗浄ガン110の瞬間的な狙い点がボルト回り部に沿って公転しつつ、その洗浄ガン110のグリップ部130がボルト中心線回りを公転するように洗浄ガン110を操作するというように複雑な作業を要求される。
これに対し、フード170が少なくとも先端部において弾性を有すると、そのフード170がボルトやそれの周辺部材に接触しても洗浄ガン110の角度操作も位置操作も阻害されずに済むため、作業者は、フード170が構造物12に接触する状態が維持される(その結果、噴射距離Dも維持される)ように、洗浄ガン110の瞬間的な狙い点がボルト回り部に沿って公転しつつ、その洗浄ガン110が首振り運動するように、洗浄ガン110を操作するというように単純な作業しか要求されずに済む。
したがって、本実施形態によれば、フード170が少なくとも先端部において弾性を有するため、洗浄ガン110でボルト回り部を高圧洗浄するために作業者に要求される操作に関してそれの運動形態が単純化され、作業者の負担が軽減されて作業効率が向上するという効果が得られる。
<洗浄ガンの洗浄力特性>
図14(a)には、洗浄ガン110の複数の洗浄力特性として、噴射水量と衝撃圧力との関係が概念的にグラフで表されており、同図(b)には、噴射角度θと衝撃圧力との関係が概念的にグラフで表されている。
ここに、「噴射水量」は、洗浄ガン110の噴射ノズル154から噴射される洗浄水の単位時間当たりの水の量(L/min)を意味する。また、「衝撃圧力」は、洗浄ガン110から高圧噴射された洗浄水が構造物12の表面に衝突することに起因してその表面に発生する圧力(kgf/cm)を意味する。また、「噴射角度」は、図11(a)に例示するように、噴射ノズル154から洗浄水が噴出する際にその洗浄水が描く扇形スプレーパターンのうちの頂角θを意味する。
同図(a)および(b)に示すように、洗浄ガン110においては、噴射水量が多いほど、衝撃圧力が高くなり、また、噴射角度θが小さいほど、衝撃圧力が高くなる。
図15(a)には、洗浄ガン110の複数の別の洗浄力特性として、噴射圧と衝撃圧力との関係が概念的にグラフで表されており、同図(b)には、噴射距離Dと衝撃圧力との関係が概念的にグラフで表されている。
ここに、「噴射圧」は、洗浄水が噴射ノズル154から噴射するときに洗浄水に発生する圧力(例えば、噴射ノズル154における圧力)を意味する。また、「噴射距離」は、図11(a)に例示するように、噴射ノズル154と洗浄水の衝突面すなわち標的洗浄面との間の距離Dを意味する。
同図(a)および(b)に示すように、洗浄ガン110においては、噴射圧が高いほど、衝撃圧力が高くなり、また、噴射距離が短いほど、衝撃圧力が高くなる。
図16には、洗浄ガン110が、フード170が装着されていない状態で、洗浄水を噴射して洗浄面に衝突させる際に洗浄水が飛散する複数の場所および複数の向きが概念的に斜視図で表されている。
噴射された洗浄水が洗浄面に衝突する前に飛散する洗浄水の量が減少すれば、洗浄水が洗浄面に衝突した後にそこから跳ね返って飛散する洗浄水の量も減少し、それに付随し、その飛散する洗浄水内に混入した塗膜片がその洗浄水と共に飛散する塗膜片の量も減少する。
そのため、本実施形態においては、高圧洗浄時、洗浄ガン110が、噴射直後に洗浄水が側方に飛散することを防止するためのフード170を備えている。
さらに、本実施形態においては、高圧洗浄中、作業者が、洗浄ガン110を、フード170の先端部のうちの少なくとも一部において洗浄面に接触しつつ洗浄面に沿って移動させる。すなわち、洗浄ガン110がフード170において洗浄面に接触しつつ掃射される接触モードが実現されるのである。
その結果、本実施形態においては、高圧洗浄中、フード170と洗浄部位としてのアングル材180との間の密着性が増し、両者間の不要なすきまが減少する。したがって、たとえ洗浄水が正規の洗浄領域から側方に外れた領域に衝突してそこから跳ね返るために飛散しようとしても、その飛散しようとする洗浄水がフード170によって捕捉される。
よって、高圧洗浄時、前記接触モードにおいて、構造物12から跳ね返って飛散しようとする洗浄水がフード170によって捕捉され、その結果、洗浄水との衝突によって構造物12から除去された塗膜片が、跳ね返る洗浄水によって運搬されて飛散する量も減少する。この効果は、衝突前の洗浄水の飛散量の減少に依存せずに実現される。
さらに、本実施形態においては、高圧洗浄中、作業者が、洗浄ガン110をフード170の先端部のうちの少なくとも一部において洗浄面に接触させつつ、洗浄面に沿って移動させれば、作業者が特に意識することなく、洗浄ガン110の実際の噴射距離Dがほぼ一定に維持される。その結果、噴射圧もほぼ一定に維持され、それにより、高圧噴射による効果が安定化する。
<噴流スクレーパという新規の思想>
ところで、洗浄ガン110の衝撃圧力を高めるために最も簡単なアプローチは洗浄ガン110の噴射水量を増加させることである。しかし、噴射水量が多いほど、洗浄ガン110の使用水量が増加して作業効率が低下するおそれがあり、また、噴射水量が多いほど、高圧洗浄中に洗浄水の飛散量および塗膜片の飛散量が増加するおそれがある。
そこで、本実施形態においては、衝撃圧力を高めるために、噴射水量を最小化しつつ、噴射圧を高め、噴射距離を短くし、噴射角度を小さくするというアプローチが取られている。
さらに、本実施形態においては、洗浄水の噴射(吹付け)を平吹き(扇形噴霧)として実現するとともに、噴射ノズル154の噴射孔156の幅寸法である孔幅Wを最小化し、それにより、洗浄水が、円形でも楕円形でもなく、細長い瞬間的な洗浄領域で洗浄面に衝突し、それにより、噴射水量を最小化しつつ、衝撃圧力を増加させるように洗浄ガン110が設計されている。
さらに、本実施形態においては、噴射中の洗浄ガン110を、それの洗浄領域と交差する向きに、洗浄面上を掃射(スイープ、掃引)し、それにより、概して1次元的な形状を有する洗浄領域を2次元的または3次元的な形状を有する洗浄領域に展開する。
よって、洗浄ガン110からのスプレーパターンの先端部であって洗浄面に衝突する部分は、そもそも形態可変の流体より構成されるものでありながら、細長い瞬間的な洗浄領域でかつ高圧で洗浄面に衝突し、その結果、あたかも形態不変の剛体としてのスクレーパと同じ機能を有することから、本実施形態における独自の洗浄方式を「噴流スクレーパ」と称する。
なお付言するに、この噴流スクレーパという概念は、洗浄ガン110とは異なる洗浄ガンと組み合わせて採用したり、洗浄ガンに該当しない全く別のものと組み合わせて採用したり、単独で採用したりすることが可能である。
さらに付言するに、洗浄ガン110は、上述の例においては、それのフード170において構造物12の表面に接触しつつ移動する接触モードで使用されるが、そのような接触なしで移動する非接触モードで使用してもよい。
洗浄ガン110を接触モードで使用すれば、噴射直後の洗浄水の飛散量が減少するという効果が得られる。これに対し、洗浄ガン110を非接触モードで使用すれば、噴射直後の洗浄水の飛散量が減少するという効果が得られる。
同じ構造物12に対し、それのすべての予定洗浄面を接触モードのみで洗浄してもよいし、すべての予定洗浄面を非接触モードのみで洗浄してもよい。また、同じ構造物12に対し、それのすべての予定洗浄面のうち、あるエリアは接触モードで洗浄し、別のエリアは非接触モードで洗浄するというように、一連の高圧洗浄中、実際に使用するモードを接触モードと非接触モードとに交互に切り換えてもよい。
以上説明した事情を背景にして、洗浄ガン110については、上述の噴流スクレーパを実現するために、5つの主要な設計変数が次のように具体化される。
噴射圧:約80−約250kgf/cm(例えば、超高圧の領域(例えば、800kgf/cmまたは1,000kgf/cmを超える領域)に到達しない高圧噴射領域)
噴射距離D:約50−約200mm(例えば、200mmまたは300mmを超えない近接噴射領域)
噴射角度θ:約10−約15度(例えば、20度を超えない狭角噴射領域)
噴射水量:約8−約20L(リットル)/min(例えば、30L/min、40L/minまたは50L/minを超えない少水量噴射領域)
孔幅(ノズル幅)W:約0.2−約0.6mm(例えば、0.7mm、1mmまたは2mmを超えない狭幅噴射領域)
それらの数値を選択することにより、洗浄ガン110は、高圧噴射、近接噴射、狭角噴射、少水量噴射および狭幅噴射を実現する。
以上要するに、本実施形態においては、洗浄水を高圧で噴射して構造物12の表面を洗浄することによってその構造物12の表面から既存塗膜14を除去する塗膜除去用高圧洗浄方法として、次のいくつかの工程を有するものが実施される。
高圧噴射工程:洗浄ガン110を作動させることにより、洗浄水を平吹き用の噴射ノズル154から扇状のスプレーパターンで高圧噴射し、それにより、洗浄水を細長い瞬間的な洗浄領域で構造物12の表面に衝突させる。
掃射工程:洗浄ガン110を掃射することにより、瞬間的な洗浄領域をそれと交差する向きに移動させ、それにより、構造物12の表面上において、1次元的な瞬間的な洗浄領域を2次元的または3次元的な洗浄領域に展開する。
本発明者は、洗浄ガン110の試作品を用い、構造物12の一例としての鉄塔に対して、剥離剤を用いた塗膜の化学的除去後に今回の高圧洗浄による物理的除去を行う場合のその高圧洗浄の効果を確認するために試験を行った。
その試験の結果、本発明者は、次の複数の効果を確認した。
1.物理的除去を手作業で行う場合および回転工具を用いて行う場合より、作業内容が単純化して作業時間が短縮し、それにより、必要な作業員数が減るとともに各作業者の負荷が軽減された。
2.物理的除去のために構造物12に適用される物体が水というフレキシブルな(相手物体への追従性が高い)流体であるため、塗膜除去が可能な対象部位の選択肢の範囲が各対象部位の形状によって制限されずに済み、構造物12のうち狭窄部位、形状複雑部位および作業困難部位でも、塗膜除去が良好に行われた。
3.構造物12の素地である亜鉛メッキ層が損傷されずに済み、よって、構造物12について良好な素地調整が行われた。
4.高圧洗浄により、それに先行して構造物12に塗布された剥離剤も除去されるため、その剥離剤の残存分により、構造物12について後続する再塗装時に塗料の付着不良が発生することが回避された。
5.塗膜除去作業の終了後に構造物12について行われる再塗装に先立ってその構造物12について通常行われる洗浄作業が省略可能となった。
6.高圧洗浄に先立ち、高圧源124を地上に設置したまま、前記鉄塔のうちの作業場所である高所に、洗浄ガン110とホース122とを荷揚げすれば足り、その結果、その高所に持ち込むべき工具や機材の数および重量が減少した。
なお付言するに、噴射圧の設定に際しては、複数の効果の間のトレードオフがある。すなわち、噴射圧を高く設定すれば、既存塗膜14がより確実に構造物12の表面から除去される反面、洗浄水および塗膜片のそれぞれの飛散量が増加する傾向があるのである。
しかし、本実施形態においては、高圧洗浄が構造物12の表面に対して単独で実施されるのではなく、その実施に先立ち、剥離剤の塗布による膨潤軟化が既存塗膜14に対して行われるから、高圧洗浄による同じ塗膜除去効果を、より低い噴射圧で達成することが容易となる。
さらに付言するに、本実施形態においては、洗浄ガン110が、超高圧の領域に到達しない噴射圧で洗浄水を噴射して高圧洗浄を行うように使用されるが、これに代えて、同じ洗浄ガン110を、超高圧の領域に属する噴射圧で洗浄水を噴射して高圧洗浄を行うように使用してもよい。この意味において、「高圧」という用語は、ここでは、「超高圧」という概念を含むように解釈される。
<廃水処理ユニット>
図17(a)には、図9における廃水処理を実施するために使用される廃水処理ユニット200の一部としての二重シート202の一例が足場210と共に斜視図で示されており、同図(b)には、二重シート202のうちの集水シート222が側面図で示されている。
足場210は、よく知られているように、支持面(基礎面)の一例としての地面から垂直に延びる複数本の柱材212と、それら柱材212により、水平方向に延びる姿勢で懸架(支持)される床材214であって作業者の足を下方から支持して作業者が洗浄ガン110を用いて高圧洗浄作業を行うこと可能にするものと、図示しない複数本の手すりとを含む複数の部材を有するように構成される。
足場210は、図示しないが、被洗浄対象物の一例である構造物12を洗浄剥離する作業者の足場として提供され、よって、足場210は、通常、地上に、構造物12に隣接するように設置される。
二重シート202は、作業者のために構造物12に設置された足場210に、それの床材212より下方の位置に設置される。その二重シート202は、上側のろ過シート220と下側の集水シート222とであってそれぞれ平面視において互いにオーバーラップするように配置されるものによって構成される。
<ろ過シート>
ろ過シート220は、前記廃水を受け止めるとともにその廃水をろ過してその廃水から固形物としての塗膜片を捕捉して回収するように構成される。このろ過シート220は、フレキシブルなメッシュシートであり、前記複数本の手すりのうち選択された複数本の手すりにより、水平方向に張られて展開する状態で懸架される。このろ過シート220は、メッシュシートのメッシュにより、受け止められた廃水から塗膜片のうちの一部を捕捉する。
具体的には、このろ過シート220の前記メッシュから、前記廃水のうちの洗浄水(真水)と、前記廃水に最初に混入した複数の塗膜片や破片のうち前記メッシュよりサイズが小さいものとが流出する。
このろ過シート220によるろ過は、図19に示す工程図において、「第1ろ過」という工程に相当する。このろ過シート220を通過した塗膜片や破片に含有される有害物質は、前記工程図において、「第2ろ過」および「第3ろ過」によって捕捉されて除去される。
<集水シート>
集水シート222は、ろ過シート220によるろ過後の廃水をろ過シート220から受け止めるとともにそのろ過後の廃水をそれの自重を利用して廃水出口224まで誘導するように構成される。この集水シート222は、フレキシブルなメッシュなしのシートによって主体的に構成されており、前記複数本の手すりのうち選択された複数本の手すりにより、水平方向に張られて展開する状態で懸架される。
この集水シート222は、展開状態において、概して四辺形状を成し、それの2辺または4辺において、前記選択された複数本の手すり215(図17(b)参照)に連結される。その連結は、各手すり215と、この集水シート222のうち、対応する辺との間に隙間が発生しないように行われ、それにより、前記廃水がその隙間から漏れてしまうことが防止される。
図17(b)に示すように、一例においては、この集水シート222のうち、該当する辺に、その辺に対して平行に延びる姿勢で、フレキシブルな細長い延長部223が接合される(例えば、縫い付けられる)。その延長部223は、対応する手すり215に巻き付けられて連結され、それにより、この集水シート222が足場210によって懸架される(吊り下げられる)。
この集水シート222は、それの中央部において、その周辺部222aより低い底部222bを有しており、全体として、概してすり鉢状を成している。ろ過シート220からの廃水をこの集水シート222が周辺部222aにおいて受け取ると、その廃水は、その自重により、周辺部222aに沿って下降し、やがて底部222bにおいて合流する。その底部222bに、廃水を下流に送り出すための廃水出口224が設置されている。
<凝集槽およびろ過枡>
図18には、図17に示す廃水処理ユニット200のうちの残りの部分の一例が斜視図で示されている。
集水シート220の廃水出口224には、概して垂直方向に延びる接続管230の上端が流体的に連通する状態で気密に接続される。その接続管230の下端は、前記廃水を足場210のうちの下部に位置するかまたは足場210から離れた所定の場所に輸送するドレン管232であって2次元的または3次元的に延びるものに流体的に連通する状態で気密に接続される。
ドレン管232は、出口部234を例えば垂直に延びる姿勢で有する。その出口部234から排出される廃水が、凝集槽240内に送り込まれる。その凝集槽240は、廃水出口224から排出されたろ過後の廃水を回収して保存する。
その凝集槽240においては、そこに収容されている廃水であって有害物質を含有するものに凝集剤、重金属不溶可剤および活性炭素粉等の吸着剤のうちの少なくとも一つが添加され、それにより、前記廃水のうちの所定の有害物質が凝集化させられる。それにより、前記廃水内に凝集物(フロック)が生成される。
ここに、「凝集剤」は、予め選択された有害物質の複数の粒子を、荷電中和により、凝集させるために添加される。
また、「重金属不溶化剤」は、例えば、廃水中の塗膜片中の重金属を原位置で固化・不溶化し、それにより、その廃水中の溶媒としての洗浄水への重金属の溶出を抑制し、その結果、塗膜片が捕捉されればそれと一緒に重金属も漏れなく捕捉されることを促進するために添加される。
また、「活性炭等の吸着剤」は、イオン交換により、廃水中の重金属イオンを吸着して捕捉するために添加される。その活性炭は、複数の粒子として構成したりフィルタとして構成することが効果的である。
それら3種類の重金属捕捉剤のうちのいずれを使用しても、廃水中に、重金属または重金属を含有する物体が捕捉されて凝集物を構成することになる。また、それら3種類の重金属捕捉剤のうちの2つ以上のものを、同じ廃水中に複合的に使用してもよい。複合使用により捕捉効果の向上および捕捉対象物質種類の広範化とが期待される。
さらに、この凝集槽240においては、前記廃水と凝集剤とが撹拌され、それにより、沈殿物としての凝集物の量が増加する。この凝集槽240においては、上澄み液と沈殿物とが両者の比重差によりそれぞれ上下に分離される。
ここに、「凝集、撹拌および分離」は、図19に示す工程図において、「凝集・撹拌・分離」という工程に相当する。
さらに、この凝集槽240においては、図示しないろ過部により、前記廃水がろ過され、それにより、その廃水のうち、沈殿物が捕捉され、その結果、上澄み液のみがこの凝集槽240から排出される。
ここに、「ろ過」は、図19に示す工程図において、「第2ろ過」という工程に相当する。
凝集槽240から排出されたろ過後の廃水(上澄み液、処理水など)は、ろ過枡242内に送り込まれる。そのろ過枡242は、凝集槽240から排出された廃水をさらにろ過することにより、その廃水を、固形物としての有害物質と、その有害物質が除去された、ろ過後の廃水とに分別する。
ここに、「ろ過」は、図19に示す工程図において、「第3ろ過」という工程に相当する。
図19には、図9に示す廃水処理の一例であって上述したものが工程図で示されている。
その廃水処理のうち、ステップS31−34は、前述した。
その後、ステップS35において、ろ過枡242内の廃水が、固形物としての有害物質(スラッジ(沈殿物))と、その有害物質が除去された、ろ過後の廃水(液体)とに分別される。
続いて、ステップS36において、上述のろ過後の廃水(液体)が、無害化されたものとして、排水されるか、または、ステップS37において、その無害化された廃水が新たな洗浄水として再利用するために、図示しない水中ポンプ(例えば、タンク125(図10参照)内に設置される)を用いてタンク125内に還流させられる。
ここに、前記水中ポンプは、ろ過枡242(「ろ過部」の一例)を通過してそこから排出された無毒化廃水を新たな洗浄水として再利用する再利用手段に相当する。
前記スラッジは、ろ過袋244内に詰込まれる。そのろ過袋244は、ろ過機能を有するフレキシブルな袋(例えば、メッシュシートが縫製されて成る袋)であり、これは、例えば、作業者が簡単に持ち運ぶことができるサイズを有するように構成される。
続いて、ステップS38において、そのろ過袋244を用いて前記スラッジが水切りされ、それにより、そのスラッジが、ろ過袋244のメッシュを通過する水分と、通過せずにろ過袋244内に残存する湿潤フロックとに分別される。
前記水分は、ろ過枡242を通過した水分と同等に取り扱われてもよいが、無毒化廃水として排水されてもよい。
これに対し、前記湿潤フロックは、ろ過袋244と共に乾燥(放置して自然乾燥、または乾燥室内においてドライヤまたはヒータを用いて強制乾燥)させられて脱水され、それにより、その湿潤フロックが乾燥フロックに変化させられ、その結果、ろ過袋244に残存するフロックが減量化される。このとき、そのろ過袋244内には、乾燥フロックが残存する。
その後、ステップS39において、その乾燥フロックがろ過袋244から取り出され、その乾燥フロックが有害廃棄物として特定の場所で処分される。
ここに、ろ過袋244(「ろ過部」の別の例)および前記ドライヤまたはヒータは、いずれも、ろ過袋244を通過せずにそこに残存する湿潤フロックであって有害物質を含有するものを脱水し、それにより、廃棄すべき有害物質廃棄物を減量化する減量化手段に相当する。
ここに、「脱水」は、前記ドライヤまたはヒータを用いて行われるが、それに代わるかまたはそれに加えて、例えば、遠心分離機を用いて行ってもよい。
なお付言するに、本実施形態においては、任意選択的な要素として、イオン交換繊維層またはイオン交換樹脂層が使用される。その層は、その層をろ過後の廃水(図19に示す工程図においては、前記第2ろ過後の廃水および/または前記第3ろ過後の廃水)が通過すると、その廃水中の重金属イオンを捕捉して回収する。
本発明者は、廃水処理ユニット200の試作品を用い、剥離剤を用いた塗膜の化学的除去後に今回の高圧洗浄による物理的除去を行う場合において、廃水処理ユニット200の効果を確認するために試験を行った。
その試験の結果、本発明者は、次の複数の効果を確認した。
1.高圧洗浄中に構造物12から発生した塗膜片(剥離残片)の回収および特定の保管場所での塗膜片の集積が簡単となり、作業者に必要な工数が減少した。
2.前記廃水から固形成分が複数回の段階的なろ過によって回収されて捕捉されるため、前記廃水の無毒化度が向上した。
3.廃水処理ユニット200が構造物12への剥離剤の塗布前から現場210に設置されたため、剥離剤が構造物12の表面上に塗布された後、風雨などに暴露されたことが原因で、塗布されている剥離剤が構造物12から流れ落ちても、廃水処理ユニット200によって捕捉され、それにより、廃水処理ユニット200の外部への剥離剤の流出が阻止された。
なお付言するに、上述の廃水処理ユニット200は、洗浄ガン110とは異なる洗浄ガンと組み合わせて採用したり、洗浄ガンとは全く別のものと組み合わせて採用したり、単独で採用したりすることが可能である。
<別の塗膜剥離方法>
図20には、図9に示す塗膜剥離方法の別の例が工程図で示されている。
この工程図に示す塗膜剥離方法においては、図9に示すものとは異なり、高圧洗浄が2つの工程にそれぞれ存在する。
それら工程は、予備高圧洗浄と本番(本格、正規)高圧洗浄とであり、それら2種類の高圧洗浄の間に図9に示すものと同じ湿式剥離が実施される。その本番高圧洗浄は、図9に示す高圧洗浄と同様にして実施される。この本番高圧洗浄の後に、図9に示すものと同じ廃水処理が実施される。
予備高圧洗浄は、剥離剤が既存塗膜14上に塗布される前に既存塗膜14に対して行われる。この予備高圧洗浄は、洗浄ガン110を用いて洗浄水を既存塗膜14に向かって噴射させ、それにより、既存塗膜14の表面であって剥離剤が塗布される予定のものを清浄化するとともに、既存塗膜14のうち、剥離剤の塗布前に構造物12の表面から浮き上がっている部分を剥離して除去するために行われる。
この予備洗浄工程の効果として、剥離剤の塗布に先立ち、構造物12の表面に付着している既存塗膜14の量および面積が予備高圧洗浄を行わない場合より減少するため、予備洗浄工程の実施後には、構造物12の表面のうち剥離剤を塗布すべき面積が減少し、ひいては、構造物12に必要な剥離剤の量が減少する。
この予備洗浄工程のさらなる効果として、既存塗膜14のうち構造物12の素地から剥がれかけている部位とその素地との間に洗浄水が進入すると、その後に、その場所に剥離剤が塗布されると、その剥離剤が、剥がれかけている既存塗膜14の裏面に付着し易くなる。これにより、剥離剤による既存塗膜14の剥がれが促進され、剥離剤の効果が増加する。
この効果は、洗浄ガン110が洗浄水を高温(例えば、60℃を超えるか、80℃を超えるか、90℃を超えるか、沸点に到達する状態)にして構造物12に高圧噴射し、その噴射された洗浄水からスチームが発生するようにすれば、助長される。具体的には、そのスチームという気体の方が、液体より相手部材への追従性が高いため、既存塗膜14のうち構造物12の素地から剥がれかけている部位とその素地との間に進入して浸透し易くなる。
なお、洗浄ガン110の噴射圧の設定値の例として、予備高圧洗浄における第1の噴射圧は、本番高圧洗浄における第2の噴射圧より低圧となるように設定し、具体的には、その第2の噴射圧の約50%未満、約60%未満、約70%未満、約80%未満または約90%未満であるように設定することが可能である。
以上、本発明の例示的な実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、前記[発明の概要]の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。

Claims (4)

  1. 洗浄水を高圧で噴射して構造物の表面を洗浄することによってその構造物の表面から既存塗膜を除去する塗膜除去用高圧洗浄システムであって、
    前記噴射された洗浄水を廃水として回収して処理する廃水処理ユニットを含み、
    その廃水処理ユニットは、作業者のために前記構造物に設置された足場に、それの床材より下方の位置に設置された二重シートを含み、
    その二重シートは、上側のろ過シートと下側の集水シートとであってそれぞれ平面視において互いにオーバーラップするように配置されるものを含み、
    前記ろ過シートは、前記廃水を受け止めるとともにその廃水をろ過してその廃水から固形物としての塗膜片を除去するように構成され、
    前記集水シートは、ろ過後の廃水を前記ろ過シートから受け止めるとともにそのろ過後の廃水をそれの自重を利用して廃水出口まで誘導するように構成される塗膜除去用高圧洗浄システム。
  2. 前記廃水処理ユニットは、さらに、
    前記廃水出口から排出されたろ過後の廃水を回収して保存するとともに、有害物質を含有する廃水に凝集剤、重金属不溶可剤および活性炭素粉等の吸着剤のうちの少なくとも一つが添加されることにより、前記廃水のうちの所定の有害物質が凝集化させられる凝集槽と、
    その凝集槽内の廃水をろ過することにより、その廃水を、固形物としての有害物質と、その有害物質が除去された、ろ過後の廃水とに分別するろ過部と、
    任意選択的なイオン交換繊維層またはイオン交換樹脂層であって、その層を前記ろ過後の廃水が通過すると、その廃水中の重金属イオンを捕捉して回収するものと
    を含む請求項1に記載の塗膜除去用高圧洗浄システム。
  3. 前記廃水処理ユニットは、さらに、
    前記ろ過部を通過してそこから排出された無毒化廃水を新たな洗浄水として再利用する再利用手段と、
    前記ろ過部を通過せずにそこに残存する湿潤フロックであって前記有害物質を含有するものを脱水し、それにより、廃棄すべき有害物質廃棄物を減量化する減量化手段と
    を含む請求項2に記載の塗膜除去用高圧洗浄システム。
  4. 洗浄水を高圧で噴射して構造物の表面を洗浄することによってその構造物の表面から既存塗膜を除去するために使用される洗浄ガンであって、
    作業者の片方の手で操作される主操作具としてのトリガと、
    そのトリガの操作量に応じて当該洗浄ガンのオンオフと流量調整とを行う流量調整弁と、
    作業者の反対側の手で操作される補助操作具としての噴射圧調整具と、
    その噴射圧調整具の操作量に応じて当該洗浄ガンからの洗浄水の噴射圧を調整する噴射圧調整弁と
    を含む塗膜除去用高圧洗浄ガン
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