JP6853550B2 - カーボンナノチューブ膜、及び電子デバイス - Google Patents

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Description

本発明は、カーボンナノチューブ集合体およびカーボンナノチューブ集合体を用いて作製されたカーボンナノチューブ膜に関する。
炭素原子のみで構成されるカーボンナノチューブ(以下、CNTと称す)は、電気的特性や熱伝導性、機械的性質の優れた材料である。CNTは、非常に軽量、且つ、極めて強靱であり、また、優れた弾性・復元性を有する材料である。このように優れた性質を有するCNTは、工業材料として、極めて魅力的、且つ重要な物質である。
近年、たとえばエネルギー貯蔵デバイスとしてのスーパーキャパシタ用の膜として、電気化学的に安定であり、導電性に優れ、また高い比表面積を持つ材料により構成される膜が必要とされている。また、ウェアラブルデバイスやローラーブルデバイスのために、機械的強度に優れる導電性の膜や薄い透明導電膜が必要とされている。また、発熱を利用した曇り防止や、種々の材料の帯電を防止するために導電性を有し、耐久性に優れた薄膜が必要とされている。また、圧力損失の小さいフィルターを作るためには機械的強度に優れる薄い膜が必要とされている。また、電気信号を熱に変えて音を発生させるサーモホンには導電性、耐熱性、機械的強度に優れ、比表面積の大きな材料により構成される膜が必要とされている。また、化学的安定性に優れ、導電性を有する多孔質の膜は化学センサーとして必要とされている。また、耐熱性と導電性に優れる膜はレーザ吸収材料部材として必要とされている。
ここで、CNT集合体により構成される膜構造について説明する。CNT膜においては、複数本のCNTが束となり、バンドル(1次凝集構造)を構成する。このCNTバンドルが絡み合い、高分子・紙・不織布・多孔質に類似した膜構造を取る。CNTは、充填構造を取ることは少なく、様々な大きさの細孔を有する。
一方、CNTを合成すると、複数のCNTバンドルが集合して、CNT集合体を形成する。合成された時点でのCNT集合体は、上記用途に用いることのできる膜としてそのまま利用するための所望の寸法形状や集合体の構造を有さない。これは、CNTが合成された時点では一般に粉末状であり、膜などの所望の寸法形状を有さないためである。また、コストの優れた合成法においてはCNTが密集して生成されるため、膜として利用するための所望のCNT集合体の構造を有しているとは限らない。
従来のCNT膜の製造方法として、特許文献1には有機溶媒や界面活性剤を用いてCNTを分散させ、得られる分散液またはペーストを塗布することにより作製されたCNT膜が開示されている。なお、溶媒にCNTを分散させ、CNT膜を得る方法は湿式法と呼ばれる。
特開2015−33408号公報 特開2009−149517号公報 特開2007−182342号公報
一方、従来のCNT膜は、所望の形状を得ることおよび、CNT集合体の構造を制御することに課題がある。例えば、従来の湿式法により作製されるCNT膜は、CNTバンドルが十分に開繊されていない。そのため、CNTバンドルが高次の凝集構造を形成し、CNTバンドルの太さは数百nmに達する場合がある。このため、CNT膜の厚さを1μm以下に薄くするのは困難である。また、従来の湿式法により得られるCNT膜は、CNT膜表面の凹凸が大きく、平坦性が低い。CNT膜表面の凹凸が大きく、不均一であることは、CNT膜の透明性を低下させ、導電性等の他の特性の面方向の均一さを低下させる。従来の湿式法により得られるCNT膜は、CNTバンドルが緻密にそして膜全体に亘って均一に絡まっていないために、微視的な応力集中がおこり、CNT膜の機械的強度の低下をもたらす。
また、従来の湿式法においてバンドルの開繊をある程度進ませるためには、分散工程時間を長くする、あるいは分散中に加えるエネルギーを大きくする必要がある。しかしバンドルの開繊を進ませると同時にCNT一本一本に対してダメージが加わる場合がある。すなわち、CNTに欠陥が導入され、長さも短くなるおそれがある。その結果、CNT膜全体としては、電気的特性や熱伝導性、とりわけ機械的性質の低下が起こる。
また、特許文献2および特許文献3は、気相中でCNTを合成し、合成したCNTをろ紙上に回収することで作製される薄いCNT膜について開示している。溶媒中に分散させないでCNT膜を作製する方法は、乾式法と呼ばれる。しかし、乾式法は、コスト、CNTの純度、膜として所望の形状を得ること、またはCNT集合体の構造のコントロールについて課題がある。乾式法に適用できるCNT合成法は、一定の触媒金属量当たりに対するCNT製造量が少ない。そのため、コストが高いという課題がある。乾式法に適用できるCNT合成法は、湿式法に適用できるCNT合成法に比べて、相対的に大量の金属触媒が残留する。したがって、乾式法で作製されるCNT膜は、CNTの純度が低い。また、乾式法で作製されるCNT膜の面積は、CNT合成装置に依存するため、大面積化などのスケールアップが難しい。また、乾式法で作製されるCNT膜は、CNT集合体の構造のコントロールが難しい。コントロールは、エタノール等で濡らすことによる表面張力を利用した凝縮などに限られ、均一にかつ緻密に絡まらせた構造を作ることは難しい。
このような従来技術の問題点に鑑み、本発明の主な目的は、機械的強度に優れた大面積に亘って緻密で膜厚制御可能なカーボンナノチューブ(CNT)膜を提供することである。
このような従来技術の問題点に鑑み、発明者らは鋭意研究の結果、CNTを細かくほどくことの可能な分散剤を採用し、CNTバンドルをほどき均一な構造の膜を作製することで従来よりも高い機械的強度が得られることを見出した。
本発明の一実施形態によると、水銀圧入法により測定される、ポアサイズが400nm以上1500nm以下の細孔が、log微分細孔容積0.006cm3/g以下となる10nm以上の領域を備えるカーボンナノチューブ集合体が提供される。
本発明の一実施形態によると、水銀圧入法により測定される、ポアサイズが10nm以上1500nm以下の細孔分布について、細孔径に対するlog微分細孔容積を正規分布でフィッティングしたときの最小値がlog微分細孔容積0.015cm3/g以下を備えるカーボンナノチューブ集合体が提供される。
本発明の一実施形態によると、水銀圧入法により測定される、ポアサイズが10nm以上40nm以下の細孔の細孔容積の積算値が、ポアサイズ10nm以上1500nm以下の細孔容積の積算値の68.2%以上を備えるカーボンナノチューブ集合体が提供される。
本発明の一実施形態によると、水銀圧入法により測定される、ポアサイズが10nm以上1500nm以下の細孔分布を取ったときに、細孔径1500nmから細孔容積を積算していき、積算値が細孔容積の合計の15.9%を示すときの細孔径と、積算値が細孔容積の合計の84.1%を示す細孔径との比が、5倍以下であるカーボンナノチューブ集合体が提供される。
本発明の一実施形態によると、バンドルの太さの分布を取ったときの相対標準偏差が35%以下であることを特徴とするカーボンナノチューブ集合体が提供される。
上記カーボンナノチューブ集合体に含まれるカーボンナノチューブのバンドルの太さが20nm以下であってもよい。
本発明の一実施形態によると、上記カーボンナノチューブ集合体を備えるカーボンナノチューブ膜が提供される。
上記カーボンナノチューブ膜は、自立膜を備えてもよい。
上記カーボンナノチューブ膜は、厚み5nm以上1μm以下を備え、直径150μm以上に亘って支持膜なしに自立することを備えてもよい。
上記カーボンナノチューブ膜は、引っ張り強度が80MPa以上を備えてもよい。
上記カーボンナノチューブ膜において、5nm以上10μm以下の厚みを備え、カーボンナノチューブ膜の凹凸が600nm以下の及び/又は算術平均粗さが100nm以下を備えてもよい。
上記カーボンナノチューブ膜において、カーボンナノチューブ膜内の9割以上の測定点において、バンドル径の相対標準偏差が35%以下であることを備えてもよい。
上記カーボンナノチューブ膜の面積は、10μm2以上を備える。
本発明の一実施形態によると、上記カーボンナノチューブ膜を備える、電子デバイスが提供される。
本発明によると、機械的強度に優れる大面積に亘って緻密で膜厚制御可能なカーボンナノチューブ(CNT)膜を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るCNT膜を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係るCNT膜とCNT集合体を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係るCNT集合体のCNTバンドル太さを求める方法の模式図である。 本発明の一実施形態に係るCNT膜の製造方法を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係るCNT膜の製造方法を示す断面図である。 実施例1のCNT膜と比較例1〜3のCNT膜の伸び−応力曲線である。 実施例1のCNT膜と比較例1のCNT集合体の水銀圧入法で測定したCNT集合体の細孔径分布である。 実施例1のCNT膜および比較例1のCNT集合体の細孔分布の正規分布によるフィッティング結果である。 実施例1のCNT膜と比較例1のCNT集合体における任意の細孔径から細孔径1500nmまでの細孔容積の累積度数分布である。 実施例1のCNT膜のガス吸着により測定した吸着等温線およびCNT集合体の細孔径分布である。 実施例1のCNT膜と比較例1のCNT集合体の走査型電子顕微鏡(SEM)による表面観察画像である。 本発明の一実施形態に係るCNT集合体の表面SEM観察画像および高速フーリエ変換(FFT)解析結果である。 比較例1のCNT集合体の表面SEM観察画像および高速フーリエ変換(FFT)解析結果である。 図12および図13に示されたFFT画像の中心からのピクセル距離(v)を横軸に、FFT画像の各ピクセルの輝度(I)を縦軸にプロットしたグラフである。 図12および図13に示されたFFT画像の中心からのピクセル距離(v)を横軸に、FFT画像の各ピクセルの輝度(I)を縦軸にプロットしたグラフである。 実施例1および比較例1のCNT集合体のバンドル太さ分布である。 実施例1のCNT集合体の走査型電子顕微鏡(SEM)による表面観察画像である。 実施例2のCNT膜の外観写真である。 正規分布を説明するグラフである。
以下、本発明の実施形態に係るカーボンナノチューブ膜およびカーボンナノチューブ集合体について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す本実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なったり、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。
(1−1.CNT膜の構成)
以下に、CNT膜100について説明する。図1は、CNT膜100の断面図である。図2はCNT膜100とCNT集合体101の模式図である。
図1において、CNT膜100は、CNT集合体101で構成される。図2に示すようにCNT集合体101は、多くのCNT102を含む。CNT集合体101は、CNTの組み合わさることによりポアサイズが400nm以上1500nm以下の細孔(第1細孔と呼ぶ場合がある)が、log微分細孔容積0.006cm3/g以下となる区間が10nm以上の領域を備える。細孔のポアサイズ及び容積は、水銀圧入法により測定される。
また、CNT集合体101は、ポアサイズが10nm以上1500nm以下の細孔分布について、細孔径に対するlog微分細孔容積を正規分布でフィッティングしたときのフィッティング曲線の最小値(ベースラインという場合がある)がlog微分細孔容積0.012cm3/g以下を備える。なお、正規分布は、図19に示すようなグラフで表される。
また、CNT集合体101は、ポアサイズが10nm以上40nm以下の細孔(第2細孔と呼ぶ場合がある)の細孔容積の積算値が、ポアサイズ10nm以上1500nm以下の細孔容積の積算値が68.2%以上を備える。なお、積算値の68.2%は、細孔容積に対して正規分布を取得した時の2σ(±1σ)分の区間に相当する。
CNT集合体101は、ポアサイズが10〜1500nm以下の細孔分布を取ったときに、細孔径1500nmから細孔容積を積算していき、積算値が細孔容積の合計の15.9%を示すときの細孔径(X1という場合がある)と、積算値が細孔容積の合計の84.1%を示す細孔径(X2という場合がある)との比が、5倍以下である。具体的には上記比率は、例えば以下のように求められる。
任意の細孔径X1から細孔径1500nmまでの細孔容積の合計が、細孔径10nmから細孔径1500nmの細孔容積の累積分布を100%としたときに15.9%(平均値から−1σに相当)を示す細孔径X1と、任意の細孔径X2以上から細孔径1500nmまでの細孔容積の合計が細孔径10nmから細孔径1500nmの細孔容積の累積分布84.1%(平均値から+1σに相当)を示す細孔径X2との比(X1/X2)を求める。
また、CNT集合体101は、CNTバンドルの太さの分布を取ったときの相対標準偏差が35%以下である。なお、CNTバンドルの太さは、例えば以下に示すように測定してもよい。
図3は、CNTバンドル太さを求める方法の模式図である。CNTバンドル太さの求め方は、以下の通りである。(1)輪郭線L1を描く。(2)同じCNTバンドルに属する2本の輪郭線に対して垂直な方向の距離D1を測ることで、バンドル太さを得る。(3)バンドルが枝分かれおよび合流をしている節目付近についてはバンドル太さとしてカウントしない。(4)2本の輪郭線はバンドル径を求める点における接線が15°以下で交わるか平行であることを条件とする。(5)画像の端から反対側の端へ直線を引き、その線が横断したCNTバンドルの輪郭線毎に上記のバンドル径を求めカウントする。これはカウントの重複を避けるためである。また、この評価では、輪郭線は人の目で判断しても良い。
また、CNT集合体101において、CNTバンドルの太さは20nm以下であってもよい。
また、CNT集合体101においては、CNTバンドルが十分に開繊されている。そのため、CNT膜100は、厚み5nm以上1μm以下の範囲で、適宜設定される。また、CNT膜100は、直径150μm以上に亘って支持膜なしに自立する。
また、CNT集合体101には長さの大きいCNTが含まれてもよい。また、CNT集合体101には単層のCNTあるいは2層のCNTが含まれてもよい。
また、CNT膜100は、80MPa以上の引っ張り強度を有する。引っ張り強度は、例えば、以下のように測定される。(1)CNT膜の両端をつかみ具で上下に挟む。このときを伸び率0%、引っ張り応力0MPaの測定点とする。(2)上側のつかみ具を一定の引き上げ速度で引き上げる。(3)CNT膜の弾性によってつかみ具にかかる力を、CNT膜の断面積で割ることで求めることができる。
また、CNT集合体101は、従来のCNT集合体に比べて、小さく均一な細孔を有する。これは細孔容積の大小、細孔サイズの均一さから判断される。
一般に、微視的な応力の集中を避けるためには、細孔分布が均一であることが重要である。すなわち均一な細孔を有する構造を取ることにより、膜の機械的強度を高めることが出来る。CNTはCNTバンドルが絡み合い、高分子・紙・不織布・多孔質に類似した膜構造を取る。このため、CNT集合体がバンドルの太さ程度の細孔を有さず、均一な第1細孔を有する構造を取らせることは困難である。したがって、均一な第2細孔を有する構造が重要である。一方、第1細孔の容積の少なさは機械的強度を高めるための構造を評価する指標になる。400nmという値は後述する膜の凹凸の値と同程度である。このような大きな第1細孔が存在すると、そこから破壊が始まる。機械的強度に与える影響としては、第1細孔の細孔容積が少ないことは、引っ張り試験において測定される引っ張り強度のばらつきの減少をもたらす。
また、均一な細孔を有する構造を作ることが機械的強度に優れた膜を得るために重要である。第2細孔の細孔容積が細孔径10nmから細孔径1500nmの細孔容積の合計の中で多くを占めているかどうかを測定している。機械的強度に与える影響としては、細孔分布が狭いことは、引っ張り強度の増大をもたらす。
また、CNT膜100は、膜の凹凸が600nm以下であってもよい。また、CNT膜100は、膜表面の算術平均粗さが100nm以下であってもよい。CNT膜100の凹凸およびCNT膜100の平均粗さは、例えばレーザ顕微鏡を用いて測定される。なお、CNT膜100の凹凸およびCNT膜100の平均粗さの測定方法は、レーザ顕微鏡に限定されず、原子間力顕微鏡(AFM)を用いてもよい。
また、CNT集合体101は、CNTのバンドルの間隔が一定距離離れて均一に分散していてもよい。分散していることは、例えばSEM像を高速フーリエ変換(FFT)することにより、確認することができる。より具体的には、FFT画像を用いる場合、FFT画像は中心に近いほど元画像において低周波数となる周期構造を現し、中心から離れるにしたがって元画像において高周波数となる周期構造を現す。また、FFT画像のピクセル距離と輝度を用いてフィッティングすることで解析してもよい。この場合、Ornstein Zernikeの式(後述)を用いてもよい。
(1−2.CNT膜製造工程)
以下に、CNT膜100の製造方法を図4および図5を用いて説明する。
[基板の用意]
まず、図4に示すように、基板110を用意する。例えば、基板110には、シリコン(Si)ウェハが用いられる。なお、図4に示すように、基板110上に下地層120を形成させてもよい。下地層120は、スパッタリング法、CVD法、熱酸化法などにより形成される。例えば、下地層120には、CVD法により形成された窒化シリコン(SiN)膜が用いられる。なお、基板110及び下地層120を含めて基板110と呼んでもよい。なお、下地層120上に異なる膜をさらに設けてもよい。
[分散液の用意およびCNT集合体の形成]
次に分散液を用意する。分散液は、CNT、分散剤および溶媒を含む。分散液中のCNTは小さく砕かれ、CNT集合体が得られる。なお、分散液は、必要に応じて高粘度のペースト状であってもよい。
また、分散剤はCNTの太いバンドルをほどくために用いられる。また、成膜後分散剤を除く必要があるならば、低分子量の分散剤を使用するのが好ましい。この例では、分散剤には有機側鎖フラビン(化1)が用いられる。
Figure 0006853550
有機側鎖フラビンは半導体性CNTと金属性CNTを分離可能な分散剤であり、CNTのバンドルをほどく効果を有する。一方、半導体性CNTと金属性CNTを分離可能な分子としてポリフルオレン(poly(9,9−dioctylfluorenyl−2,7−diyl))もあるが、CNTのバンドルをほぐし、凝集体粒子として細かく大量に溶媒中に分散させる分散剤としては適さない。また、ドデシル硫酸ナトリウムなどは、CNTのバンドルをほどく効果を有する既知の界面活性剤であるが、単独で使用しても半導体性CNTと金属性CNTを分離する効果は得られない。
なお、分散剤は、有機側鎖フラビンに限定されず、フラビン誘導体、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが用いられてもよいし、必ずしも用いなくても良い。
溶媒は特に限定されない。分散剤に有機側鎖フラビンを用いる場合は、トルエンのほか、キシレン、エチルベンゼンなどが好ましい。分散剤に水に溶解する界面活性剤を用いる場合は、溶媒は(重水を含む)水が好ましい。分散剤を用いない場合は、n−メチルピロリドン、N,N―ジメチルホルムアミド、プロピレングリコール、メチルイソブチルケトンなどの有機溶媒を用いるのが好ましい。
CNTを分散させる手法として、この例ではキャビテーションを用いた手法(超音波分散法)が用いられる。なお、これに限定されず、機械的にせん断力を加える手法(ボールミル、ローラーミル、振動ミルまたは混練機)、または乱流を用いた手法(ジェットミルまたはナノマイザー)が用いられてもよい。
[CNT膜の形成]
次に、図5に示すように下地層120上に、CNT膜100を形成する。具体的には、CNT膜100は下地層120上にCNT集合体を含む分散液を塗工し、乾燥等によって溶媒を除去することにより形成される。なお、必要に応じて分散液中の分散剤を溶かす溶媒等で洗浄することによって分散剤を除去してもよい。
塗工は、粘度やCNT集合体の濃度に応じた手法を用いてもよい。この例では、ブレードコート法を用いられる。なお、この方法に限定されず、スリットコート法、スピンコート法、ディップコート法といった塗工法が用いられてもよい。なお、CNT膜は塗工することにより成膜されるため、得られるCNT膜の面積や厚みはCNT合成法によっては制限されず、塗工法によって制御される。したがって、種々の厚みのCNT膜を大面積に亘って成膜することができる。
また、CNT膜を成膜した後の溶媒を除去するために乾燥する方法は、特に限定されない。また用途に応じては乾燥しなくてもよい。例えば、溶媒としてトルエンを用いる場合は、室温で静置すれば蒸発し乾燥する。なお、溶媒はトルエンに限定されず、水や高沸点の溶媒を用いてもよい。この場合、適宜加熱して溶媒を乾燥してもよい。また、表面張力の小さな溶媒を用いてもよい。この場合、温度や蒸気圧を制御することにより、CNT集合体の形状を制御することができる。なお、表面張力の小さな溶媒として超臨界二酸化炭素などの超臨界流体などが用いられてもよい。
また、分散剤を除去する方法は特に限定されない。また用途に応じては除去しなくてもよい。そのため、CNT膜100に有機側鎖フラビンが含まれてもよい。分散剤はCNT同士の凝集を防ぐために用いるので、一般に強くCNT表面に吸着する性質を有する。このため、分散の際に使用した溶媒と異なる溶媒で洗浄することで、同一の溶媒を使用する場合と比較してより少量で短時間において分散剤を除去することができる場合がある。例えば、分散剤として有機側鎖フラビンを用いる場合、洗浄剤としてクロロホルムを用いて洗浄してもよい。なお、洗浄剤はクロロホルムに限定されず、塩化メチレン、N,N―ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、またはアセトンなどを用いてもよい。また、分散剤としてコール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどを用いる場合は、水あるいはエタノールを用いて洗浄するのが好ましい。
また、分散剤除去法としては、上記洗浄剤以外に超臨界二酸化炭素などの超臨界流体による洗浄、酸素中で加熱して燃焼させてもよい。または、分散剤除去として加熱により溶解・蒸発・昇華させてもよい。または、分散剤除去として電気化学的に酸化・還元を行い除去されやすい化学構造へ変化させてもよい。
[CNT膜の剥離]
次に、CNT膜100が形成された基板110を溶剤に浸漬し、振とうすることにより、CNT膜100は基板110から剥離される。以上により、CNT膜100が製造される。
(1−3.単層CNT集合体の製造及び評価]
以下に、本発明の一実施形態を用いた実施例1および2によるCNT膜の製造方法、および比較例1〜3によるCNT膜の製造方法を説明する。さらに実施例1および2の製造方法を用いて製造されたCNT膜と、比較例1〜3の方法を用いて製造されたCNT膜との各種評価結果を説明する。
(実施例1:厚いCNT膜)
基板110には、厚み200nmのSiNの層を有するSiの4インチ基板を用いた。
次に、分散液を作製した。具体的には、300mLトールビーカーに、スーパーグロース法で合成されたCNT300mgと、分散剤として有機側鎖フラビン1gと、を溶媒トルエン100mLに加えた。その後、撹拌子を加え、マグネチックスターラーで約480rpmで2時間撹拌した。得られた懸濁液に、プローブ型超音波ホモジナイザー(Vibracell)を用いて出力40%で合計2時間超音波分散させた。この間20分毎に5分氷冷した。次に、得られたCNTペーストを脱泡した(泡取り錬太郎)。
次に、10mm/sの塗工速度で基板100に分散液をブレードコートした。塗工器と基板との距離は1.87mmとした。これにより、厚み約5μmとなるCNT膜を得た。塗工後、溶媒であるトルエンを揮発させるため2時間以上乾燥させた。分散剤である有機側鎖フラビンを、クロロホルムを用いて洗浄除去した。
次に、基板をエタノールに浸漬し、軽く振とうすることでCNT膜をSi基板から剥離させた。その後、ろ紙ですくい上げ、乾燥後、ろ紙からピンセットでCNT膜を剥離した。
(実施例2;薄いCNT膜)
次に、実施例2の製造方法を示す。基板110には、厚み200nmのSiNの層を有するSiの4インチ基板を用いた。さらに厚み100nmのアルミニウム(Al)膜をスパッタリング法により形成した。
300mLトールビーカーにスーパーグロース法で合成されたCNT100mgと分散剤として有機側鎖フラビン220mgを溶媒トルエン116mLに加えた。次に、撹拌子をマグネチックスターラーで約300rpmで19時間撹拌した。得られた懸濁液に、プローブ型超音波ホモジナイザー(Vibracell)を用いて出力40%で合計1時間超音波分散させた。この間20分毎に10分水冷した。
その後、基板110に10mm/sの塗工速度で分散液をブレードコートした。塗工器と基板との距離は0.06mmとした。これにより、厚み約50nmとなるCNT膜を得た。塗工後、溶媒であるトルエンを揮発させるため2時間以上乾燥させた。つぎに、分散剤である有機側鎖フラビンを、クロロホルムを用いて洗浄除去した。なお、実施例2では、Al膜を犠牲層とすることでCNT膜を基板110から剥離させた。具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH、1%)水溶液にCNT膜を塗工した基板を浸漬させた。次に、CNT自立膜をすくいあげ、乾燥させた。
(比較例1)
次に、比較例1の製造方法を示す。なお、実施例1と同様の部分(例えば、基板、下地層、塗工および乾燥など)については、実施例1の説明を援用する。
300mLトールビーカーにスーパーグロース法で合成されたCNT400mgを有機溶媒プロピレングリコール100gに加えた。その後、撹拌子を用いてマグネチックスターラーで約500rpmで2時間以上撹拌した。得られた懸濁液に、プローブ型超音波ホモジナイザー(Vibracell)を用いて出力40%で合計1時間超音波分散させた。超音波20分ごとに懸濁液は空冷させた。
(比較例2)
次に、比較例2の製造方法を示す。なお、実施例1と同様の部分(例えば、基板及び下地層)については、実施例1の説明を援用する。
300mLトールビーカーにスーパーグロース法で合成されたCNT250mgと分散剤デオキシコール酸ナトリウム10gを溶媒水100gに加えた。その後、撹拌子を用いてマグネチックスターラーで約300rpmで18時間以上撹拌した。得られた懸濁液に、プローブ型超音波ホモジナイザー(Vibracell)を用いて出力40%で合計1.5時間超音波分散させた。超音波20分ごとに懸濁液は空冷させた。CNT濃度を0.4wt%となるまで分散させた溶液を加熱濃縮した。
(比較例3)
次に、比較例3の製造方法を示す。なお、実施例1と同様の部分(例えば、基板及び下地層)については、実施例1の説明を援用する。
300mLトールビーカーにスーパーグロース法で合成されたCNT300mgを有機溶媒n−メチルピロリドンを100gに加えた。その後、撹拌子をマグネチックスターラーで約240rpmで1時間以上撹拌した。超音波20分ごとに懸濁液は水冷させた。得られた懸濁液に、プローブ型超音波ホモジナイザー(Vibracell)を用いて出力40%で合計2時間超音波分散させた。
(評価1.引っ張り試験)
図6は、実施例1および比較例1〜3のCNT膜の伸び−応力曲線である。引っ張り強度は、島津製作所社製引張試験機MST−1 type HS/HRを用いて測定した。測定方法を以下に示す。まず、厚みおよそ5μmのCNT膜をダンベル状7号形にくりぬき、その両端をつかみ具で上下に挟む。このときが、図6の伸び率0%、引っ張り応力0MPaの測定点である。上側のつかみ具を一定の引き上げ速度(0.5mm/min、ロードセル:200N)で引き上げる。図6の横軸は、そのときのつかみ具間距離の増加から求めたCNT膜の伸び率である。縦軸はCNT膜が伸びたときのCNT膜にかかる引っ張り応力である。これは、CNT膜の弾性によってつかみ具にかかる力を、CNT膜の断面積で割ることで求めることができる。この図6で示す引っ張り応力は、CNT膜の断面積が伸びによって変化しないとして計算した応力、公称応力である。CNT膜が破断するまで、測定点は図6に示すように右肩上がりの線を描く。一定以上の伸びを与え、CNT膜にかかる応力が一定を超えたとき、CNT膜は破断する。CNT膜は破断し、つかみ具間が物理的に離されると、つかみ具間にCNT膜の応力によって引っ張られる力は消える。そのため、CNT膜の伸び−応力曲線は破断したところで折れ曲がる。破断するまでのCNT膜にかかった最大の引っ張り応力がCNT膜の引っ張り強度である。
図6に示すように、実施例1のCNT膜は、引っ張り強度が105MPaに対し、従来技術1〜3で得られるCNT膜は引っ張り強度が80MPa未満であることが読み取れる。試験回数は実施例1、比較例1、比較例3が5回、比較例2は3回である。
(評価2.CNT集合体の細孔径分布)
図7は、水銀圧入法で測定したCNT集合体の細孔径分布である。CNT集合体の細孔径分布は、水銀圧入法およびガス吸着法により測定した。水銀圧入法には、水銀ポロシメーター(マイクロメリティックス社製オートポアIV9510)を用いた。測定条件は、水銀圧入圧力約0.5psi〜60000psi(=約3kPa〜400MPa)、測定細孔径約3nm〜400μm、測定モード昇圧(圧入)過程、測定セル容積約5cm3、水銀接触角130°、水銀表面張力484dyn/cmとした。ガス吸着法は、マイクロトラックベル株式会社製Belsorp−maxにより測定した。測定に用いたガスは窒素であり、測定温度は77Kとした。2nm以下の細孔分布は、ガス吸着法で測定される吸脱着等温線を、Horvath−Kawazoe法で解析することで求めた。2nmを超えて50nm以下の細孔分布は、ガス吸着法で測定される吸脱着等温線を、Barrett−Joyner−Hallender法で解析することで求めた。
図7における横軸は細孔径(平均値)、縦軸はCNT単位重量当たりに含まれる、その直径における細孔の容積である。なお、細孔径は、細孔の形状をスリット状と仮定したときの値である。水銀ポロシメーターで再現良く測ることができる細孔は400nm以上1500nm以下の細孔(第1細孔)および10nm以上40nm以下の細孔(第2細孔)である。これらは、CNTバンドルが網目状に配置されることにより作られる細孔である。
図8は、水銀ポロシメーターで得られたCNT集合体の細孔分布の正規分布によるフィッティング結果である。図8(A)は、実施例1の結果であり、図8(B)は、比較例1の結果である。ここで、フィッティング曲線が有する最小値をY0とするとき、比較例1の最小値Y0では0.01648cm3/gであるのに対して、実施例1の最小値Y0は0.00317cm3/gである。これは、比較例1のCNT集合体が、ポアサイズの大きい細孔を含んでいること、および様々なサイズの細孔を有していることを意味する。したがって、比較例1のCNT集合体に比べて実施例1のCNT集合体はポアサイズの大きい細孔が少なく、均一な大きさの細孔を有している。
図9は、水銀ポロシメーターで得られたCNT集合体の、任意の細孔径から細孔径1500nmまでの細孔容積の合計値である。図9(A)は、実施例1のCNT集合体の結果である。図9(B)は、比較例1のCNT集合体の結果である。ここで、10nm以上40nm以下の細孔(第2細孔)の容積の合計が10nm以上1500nm以下の細孔容積の合計のどれくらいを占めるか細孔容積割合(%)を見る。図9(A)に示すように実施例1のCNT集合体において40nm以上1500nm以下の細孔容積割合が27.8%である。そのため、実施例1のCNT集合体の第2細孔の細孔容積割合は、72.2%である。同様に、図9(B)に示すように比較例1で得られるCNT集合体での40nm以上1500nm以下の細孔容積割合が42.6%である。そのため、実施例1のCNT集合体の第2細孔の細孔容積割合は、57.4%である。以上により、実施例1のCNT集合体は、大きさが10nm以上40nm以下の細孔容積が、大きさが10nm以上1500nm以下の容積の合計値が、標準偏差±1σ(つまり2σ)の区間の割合である68.2%以上を備えるかを調べることで特定できる。
次に、X0となる平均値から標準偏差±1σに相当する細孔径の比を評価する。具体的には、任意の細孔径X1nmから細孔径1500nmまでの細孔容積の合計が、細孔径10nmから細孔径1500nmの細孔容積の累積分布を100%としたときに15.9%(平均値から−1σに相当)を示す細孔径X1と、任意の細孔径X2以上から細孔径1500nmまでの細孔容積の合計が細孔径10nmから細孔径1500nmの細孔容積の累積分布84.1%(平均値から+1σに相当)を示す細孔径X2との比を求める。図9(A)に示すように、実施例1のCNT集合体では、X1は細孔径58.6nmである。X2は細孔径13.2nmである。図9(A)に示すように、実施例1のCNT集合体の細孔径X1と細孔径X2の比(X1/X2)は4.44である。一方、図9(B)に示すように比較例1のCNT集合体の細孔径X1は、88.7nmであり、細孔径X2は14.9nmであり、実施例1のCNT集合体の細孔径X2と細孔径X3の比(X1/X2)は5.82である。これにより、実施例1のCNT集合体は、比較例1のCNT集合体よりも細孔分布が狭く、均一性に優れることがわかる。
図10(A)は、ガス吸着法により測定した、実施例1のCNT集合体の窒素吸着等温線である。図10(B)は、Horvath−Kawazoe法による細孔分布である。図10(C)は、Barrett−Joyner−Hallender法による細孔分布である。図10(A)に示すように、窒素吸着等温線はIUPACの等温線分類のIV型を示している。吸着と脱着の間にヒステリシスを示しており、第2細孔と同様の細孔の存在を示唆している。また、図10(B)に示すように、Horvath−Kawazoe法による解析から、0.6nmをピークに持つマイクロ孔分布を有することが分かる。また、図10(C)に示すように、Barrett−Joyner−Hallender法による解析から、CNT集合体は2−4nmのメソ孔を多く有するメソ孔分布を持つことが分かる。
(評価3.CNT集合体の構造解析1)
図11は、実施例1と比較例1のCNT集合体の表面走査電子顕微鏡(SEM)観察結果である。SEM表面画像は、日立ハイテクノロジーズ社製電界放出形走査電子顕微鏡S4800を用いて観察した。SEM観察倍率は50万倍とした。図11(A)は、実施例1のCNT集合体である。図11(A)に示すように、実施例1のCNT集合体は、CNTバンドルが形成する網目構造がみられる。図11(B)は、比較例1のCNT集合体である。図11(B)に示すように、比較例1のCNT集合体は、様々な太さのバンドルがみられ、またバンドルがより集まった高次凝集構造が認められる。また、バンドルが作る空孔も様々なサイズのものが認められる。
図12は、実施例1のCNT集合体の表面SEM観察結果および高速フーリエ変換(FFT)像である。図13は、比較例1のCNT集合体の表面SEM観察結果およびFFT像である。なお、ここで示すFFT画像は、わかりやすくなるように画像のコントラストを変更している。FFT画像は中心に近いほど元画像において低周波数となる周期構造を現し、中心から離れるにしたがって元画像において高周波数となる周期構造を現す。実施例1のFFT画像は比較例1のFFT画像に比べて中心40ピクセル近傍が暗い。これは元画像において12ピクセル以上の波長になる周期構造が少ないことを示す。すなわち、より多くの数のピクセルにまたがったCNTのバンドルが少なく、CNTの細いバンドルによって構成される緻密な構造を有することを示している。
(評価4.CNT集合体の構造解析2)
図14は、図12および13に示されたFFT画像の解析結果である。図14中の一番上の横軸は、中心からのピクセル距離v(以後、ピクセル距離)である。ピクセル距離とは、画像の中心のピクセルとのX座標とY座標のそれぞれの差の2乗和の平方根である。縦軸はそのピクセル距離にあるFFT画像のピクセルの輝度I(以後、輝度)である。ただし、ピクセル距離1の区間で平均を取りプロットした。具体的には、整数nを用いて、n以上n+1未満の区間のピクセル距離にあるピクセルの輝度の平均値を、ピクセル距離nにおける輝度Iとしてプロットした。図中の上から二番目の横軸は、元画像において対応する波長(pixel)を参考までに示している。図中の上から三番目の横軸は、元画像において対応する波長(nm)を参考までに示している。図15は、図14を詳細に示したものであり、図15(A)は、実施例1のCNT集合体の結果である。図15(B)は、比較例1のCNT集合体の結果である。
図14に示す、FFT画像のピクセル距離と輝度をOrnstein Zernikeの式(数1)を用いてフィッティングすることで解析する。
Figure 0006853550
ここで、Iは輝度、vはピクセル距離である。A、B、Cはフィッティング定数である。Bの逆数が後述する相関長である。また、この相関長はフィッティング曲線の変曲点のピクセル距離である。フィッティング定数のAは画像の周期構造の頻度およびコントラストの大きさを反映する値である。フィッティング定数のCは画像のホワイトノイズの大きさである。
実施例1から得られた図15(A)に数1を用いてフィッティングすると、相関長105ピクセル(元画像において波長4.8ピクセル、17nm)が得られる。これは、図12(A)の実施例1のCNT集合体のSEM画像において、CNTのバンドルの間隔がおよそ5ピクセル程度離れて均一に分散していることと対応している。この場合、「分散している」、とは、完全にランダムにCNTバンドルが位置しているのではなく、一定の排除体積を有して均等に存在していることを指す。
フィッティング曲線とプロットを比較することでバンドル太さを求めることができる。プロット(実線)がフィッティング曲線(点線)と比べて輝度Iが小さい領域のピクセル距離の中央値を求める。実施例1では、ピクセル距離143ピクセル(元画像において波長3.7ピクセル、12.8nm)である。このことは、元画像においてCNTバンドルがおよそ4ピクセル程度の太さで分散していることと対応している。すなわちFFT画像解析により得られるバンドル太さは12.8nmである。
比較例1も同様に解析する。図15(B)を、(数1)を用いてフィッティングする。プロット(実線)がフィッティング曲線(点線)と比べて輝度Iが小さい領域のピクセル距離の中央値を求める。比較例1では、ピクセル距離47ピクセル(元画像において波長10.9ピクセル、37.8nm)である。すなわちFFT画像解析により得られるバンドル太さは37.8nmである。
(評価5.CNTバンドルの太さ評価)
図16は、上記方法により取得されたCNT集合体のバンドル太さ分布である。横軸はバンドル太さ、縦軸はカウント数である。図16(A)に示す実施例1のCNT集合体は、CNTバンドルの径が4nm以上14nm以下である。また、CNTバンドル径の相対標準偏差は23%である。このことは、図11(A)のSEM画像で見られるように緻密な構造を形成するのに適している。また、緻密な構造を取ることによって大きなサイズの第1細孔が少なくなる。一方、図16(B)に示す比較例1のCNT集合体は、バンドル径が20nm未満のCNTバンドルもある一方で、200nm以上のバンドルも有する。これは、CNTバンドルがさらに束になった構造を取っていることを示す。また、比較例1のCNT集合体のCNTバンドル径の相対標準偏差は93%となり、実施例1のCNT集合体よりも非常に大きい。これは、比較例1のCNT集合体は、様々な大きさのバンドルを含んでいることを示している。様々な大きさのバンドルは大きな穴径を有するマクロ孔を形成し、膜全体の均一性を低下させる。また、比較例1のCNT集合体は、微視的な応力集中を受けることにより、十分な引っ張り強度が得られず、より小さな応力下で破断する。また、比較例2のCNT集合体についても評価した結果、相対標準偏差は36%であり、バンドル太さは均一ではない。
図17(A)および図17(B)は、実施例1の100μm以上離れた膜内の別の場所のSEM画像である。相対標準偏差を解析した図12(A)と同様のバンドル構造が複数の場所で観察された。少なくとも9割以上の測定点において、バンドル径の相対標準偏差が35%以下であることを備えていることが十分予測される。
(評価6.CNT膜の平坦性評価)
表1は、作製したCNT膜の平坦性の測定結果である。平坦性測定には、キーエンス社製レーザ顕微鏡VK−X200を用いた。なお、厚み約5μmのCNT膜の異なる5点の7カ所から求めた表面凹凸と、約100μm2のエリア9カ所の算術平均粗さRaを求めた。
Figure 0006853550
表1に示すように、実施例1のCNT膜は比較例1〜3のCNT膜に比べて、表面凹凸、算術平均粗さRaともに小さい値を示した。つまり、実施例1のCNT膜は、比較例1〜3のCNT膜よりも平坦であるといえる。
(評価7.CNT膜の外観評価)
図18は、実施例2で製造されたCNT膜の写真である。CNT膜の厚みは約50nmである。実施例2のCNT膜は、薄膜でありながら膜の形状を保ち、自立膜を構成する。また、CNT膜は、きわめて薄いため、光を透過できる。そのため、薄膜越しに書かれた文字が識別される。
以上より、本発明を用いることにより、CNT膜は、微視的な応力集中を避けることができ、引っ張り強度が80MPa以上を有する。なお、80MPaという値は、たとえばキャパシタ用途で想定される厚み10μmの膜の場合、幅1cmの膜が単独で8N(約0.8kg重)の加重を耐えることを意味する。80MPaという値は、ナイロン6,6の40MPa〜80MPa(湿度による、グラスファイバー等による強化を未実施のもの)を上回る値であり、フレキシブル用途やローラブル用途への応用が期待できる。
例えば、フィルターあるいは化学センサーでは、空気あるいは流体のフローを流すが、このとき圧力損失が発生する。この圧力は膜にかかる引っ張り力である。引っ張り強度が大きいと薄くできるため、圧力損失を減少できる。結果的に強度の強い膜を用いれば流量を増大させることができ、処理量を増大させることができる。80MPaという値は、たとえばサーモホンやレーザ吸収材料では自立膜が必要であるが、厚み0.1μmの膜の場合、幅1cmあたり80mN(約8g重)のしわ除去のための引っ張りに耐えることを意味する。
また、本発明を用いたCNT集合体は、CNTバンドルが十分に開繊されている。そのため、厚み5nm以上1μm以下の範囲で、必要な厚みを備えるCNT膜が得られる。また、CNTバンドルが十分に開繊されていることにより、本発明を用いたCNT膜は、高い平坦性を有する。したがって、本発明を用いることにより、CNT膜は薄く、かつ高い平坦性を組み合わせて有することができ、透光性を向上させることができる。これにより、可視光を含む電磁波を透過させて使用する際に光源の光強度を抑えることができることとなるため、デバイス・装置の低消費電力化が可能となる。また、本発明を用いたCNT膜は、膜厚の均一さに優れているため、その透過率の空間的な均一さに優れている。これにより、たとえばディスプレイ等の用途において文字等の視認性を向上させることができる。
また、本発明を用いたCNT膜は、実施例において28±15Ω/□と体積抵抗率が100Ω/□以下であって、導電性を有する。このため、帯電防止、触媒担持、あるいはキャパシタ等に用いる際に導電性を付与できる。
また、本発明を用いたCNT膜は、メソ孔を有する割合が高い。またガス吸着のデータで示すように、マイクロ孔を有している。そのため、本発明を用いたCNT膜は、比表面積に優れているといえる。つまり、本発明を用いたCNT膜は、触媒の担持体やエネルギー・物質貯蔵材や、スーパーキャパシタやアクチュエータなどに適している。
また、本発明を用いたCNT膜は、合成されたCNT粉末を分散させた後に塗工して得られるものであるため、ある決められたCNTの合成方法に限られるものではない。そのため、CNTの平均外径・半値幅・構造(カイラリティ)制御・結晶性・純度・合成時長さや半導体性CNTと金属性CNTの比率などを変えた様々な合成法で得られるCNT粉末を用いてCNT膜を作製できる。たとえば金属触媒残留量の少ないCNT粉末を用いることで、乾式法と比べて金属触媒残留量の少ないCNT膜を作製できる。
また、本発明を用いたCNT膜は、CNT粉末を分散させた後に塗工して得られるものであるため、CNT粉末に対してさまざまな前処理を先立って行うことができる。そのためCNTの平均外径・半値幅・構造(カイラリティ)制御・結晶性・純度・長さ・半導体性CNTと金属性CNTの比率などを変える前処理を行ったCNT粉末を用いてCNT膜を作製できる。
(変形例)
なお、本発明の一実施形態に係るCNT集合体を製造する上で、CNT集合体に別の有用な物質を吸着させる、またはCNT集合体の表面を化学処理することによって機能化および改質させてもよい。たとえば、塩化白金酸(H2PtCl6・6H2O)などの白金塩を還元させることで触媒を担持させることができる。還元は、エチレングリコール水溶液中において加熱させるなどにより行うことが出来る。
あるいは、本発明の一実施形態に係るCNT集合体を製造する上で、CNT集合体に別の有用な物質を吸着させたり、CNT集合体の表面を化学処理したりすることによって機能化および改質してもよい。例えば、CNT集合体は空気中の酸素の吸着により、pドーピングがなされる。または、硝酸、塩化金酸等酸化性薬剤を溶かした溶液に浸漬させることによりpドーピングがなされる。0.1molL−1の濃度の水素化ホウ素ナトリウムおよびクラウンエーテルのエタノール溶液に浸漬させることでnドーピングがなされる。
100・・・CNT(カーボンナノチューブ)膜、101・・・CNT集合体、102・・・CNT、110・・・基板、120・・・下地層

Claims (11)

  1. 複数本のカーボンナノチューブが束となって構成される複数のバンドルが集合して形成されたカーボンナノチューブ集合体を備えるカーボンナノチューブ膜であって、
    前記カーボンナノチューブ集合体は、水銀圧入法により測定される、ポアサイズが400nm以上1500nm以下の細孔が、log微分細孔容積0.006cm/g以下となる10nm以上の領域を備え
    水銀圧入法により測定される、ポアサイズが10nm以上40nm以下の細孔の細孔容積の積算値が、ポアサイズ10nm以上1500nm以下の細孔容積の積算値の68.2%以上であり、
    前記カーボンナノチューブ膜内の9割以上のバンドル径の測定点において、前記バンドル径の相対標準偏差が35%以下である、
    カーボンナノチューブ膜。
  2. 前記カーボンナノチューブ集合体は、水銀圧入法により測定される、ポアサイズが10nm以上1500nm以下の細孔分布について、細孔径に対するlog微分細孔容積を正規分布でフィッティングしたときの最小値がlog微分細孔容積0.015cm/g以下である、請求項1に記載のカーボンナノチューブ
  3. 前記カーボンナノチューブ集合体は、水銀圧入法により測定される、ポアサイズが10nm以上1500nm以下の細孔分布を取ったときに、細孔径1500nmから細孔容積を積算していき、積算値が細孔容積の合計の15.9%を示すときの細孔径と、積算値が細孔容積の合計の84.1%を示す細孔径との比が、5倍以下である、請求項1に記載のカーボンナノチューブ
  4. 前記カーボンナノチューブ集合体は、バンドルの太さの分布を取ったときの相対標準偏差が35%以下であることを特徴とする、請求項1に記載のカーボンナノチューブ
  5. 前記カーボンナノチューブ集合体に含まれるカーボンナノチューブのバンドルの太さが20nm以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一に記載のカーボンナノチューブ
  6. 前記カーボンナノチューブ膜は、自立膜であることを特徴とする、
    請求項1乃至5のいずれか一記載のカーボンナノチューブ膜。
  7. 前記カーボンナノチューブ膜は、厚み5nm以上1μm以下を備え、
    直径150μm以上に亘って支持膜なしに自立することを特徴とする、
    請求項に記載のカーボンナノチューブ膜。
  8. 前記カーボンナノチューブ膜は、引っ張り強度が80MPa以上であることを特徴とする、
    請求項1乃至7のいずれか一に記載のカーボンナノチューブ膜。
  9. 前記カーボンナノチューブ膜は、5nm以上10μm以下の厚みを備え、
    前記カーボンナノチューブ膜の凹凸が600nm以下及び/又は算術平均粗さが100nm以下であることを特徴とする、
    請求項1乃至8のいずれか一に記載のカーボンナノチューブ膜。
  10. 前記カーボンナノチューブ膜は、面積が1cm以上であることを特徴とする、
    請求項1乃至9のいずれか一記載のカーボンナノチューブ膜。
  11. 請求項1乃至10のいずれか一に記載のカーボンナノチューブ膜を備える、電子デバイス。
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