JP2023544099A - ナノファイバーフィルム張力制御 - Google Patents

ナノファイバーフィルム張力制御 Download PDF

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Abstract

本明細書において、カーボンナノチューブフィルムに張力を与えるための装置及び方法を記載する。本明細書において、カーボンナノチューブフィルムを第1のフレームから第2のフレームに移動するための装置及び方法を記載する。例示的な方法は、熱的方法または物理的方法のうちの1つによってフレームを変形させ、フレームを元の形状に戻すことを可能にし、カーボンナノチューブフィルムに張力を与えることを含む。【選択図】図9

Description

本開示は、概括的にはカーボンナノファイバーフィルムに関する。詳細には、本開示は、ナノファイバーフィルムの張力を制御するための装置及び方法に関する。
ナノファイバーは、特異な機械的、光学的、及び電子的特性を有することが知られている。ナノファイバーシートまたはナノファイバーのフィルムは、さまざまな方法で調製され得る。しかしながら、ナノファイバーのナノスケール寸法、その構造、相互作用、及び物理的特性から、工業製品への集積化が可能なナノファイバーシートの構成を考案することは困難であった。例えば、ナノファイバーを、特定の配向またはランダムな方法で配置することができる。また、ナノファイバーシートをさまざまな方法で処理し、その特性を強化し、さまざまな用途を対象とすることもできる。
第1の例では、方法は、第1のフレーム上にカーボンナノチューブ膜を配置し、カーボンナノチューブ膜上に第2のフレームを配置し、カーボンナノチューブ膜を第2のフレームに移動させ、第2のフレームに第1の変形を加え、第2のフレームに第2の変形を加えることを含む。
例2は、例1の主題を含み、第1の変形は収縮を含む。
例3は、例2の主題を含み、第2の変形は拡大を含む。
例4は、例1の主題を含み、第1の変形及び第2の変形のうちの少なくとも1つは、フレームの幅、長さ、直径、または周長に関して第2のフレームのサイズを0.5%~5%変化させる。
例5は、例2の主題を含み、第1の変形は、第2のフレームを冷却することを含む。
例6は、例3の主題を含み、第2の変形は、第2のフレームを温めることを含む。
例7は、例2の主題を含み、第1の変形は、第2のフレームに取り付けられ、内側に押すかまたは引くピンのセットを利用することを含む。
例8は、例3のいずれかの主題を含み、第2の変形は、第2のフレームに取り付けられ、外側に押すかまたは引くピンのセットを利用することを含む。
例9は、例1の主題を含み、カーボンナノチューブ膜から第1のフレームを持ち上げることによって、カーボンナノチューブ膜を第2のフレームに移動させることを達成する。
例10は、例1の主題を含み、第1のフレームを第2のフレームを越えて摺動させることによって、カーボンナノチューブ膜を第2のフレームに移動させることを達成する。
例12は、例1の主題を含み、カーボンナノチューブ膜は、第1の変形及び第2の変形の後に、張力が増加するように構成される。
例13は、例12の主題を含み、カーボンナノチューブ膜は、第1の変形及び第2の変形の後に、たわみが減少するように構成される。
例14は、前述の例のいずれかの主題を含み、カーボンナノチューブ膜は、カーボンナノチューブろ過フィルムである。
本開示の一実施形態による、例示的な、基材上のナノファイバーのフォレストの顕微鏡写真である。 本開示の一実施形態による、例示的な、ナノファイバーを成長させるための反応器の概略図である。 本開示の一実施形態による、ナノファイバーシートの図であり、シートの相対的な寸法を明らかにし、シートの表面に平行な平面に端部と端部を接して(end-to-end)配列した、シート内のナノファイバーを概略図として示す。 本開示の一実施形態による、ナノファイバーフォレストから横方向に引き出されたナノファイバーシートの概略的な走査型電子顕微鏡(SEM)画像であり、ナノファイバーは端部と端部を接して(end-to-end)配列している。 本開示の一実施形態による、カーボンナノチューブ膜を第1のフレームから第2のフレームに移動させる方法のステップを示すフローチャートである。 本開示の一実施形態による、第1のフレーム上に配置された例示的なカーボンナノチューブ膜の側断面図である。 本開示の一実施形態による、第1のフレーム及び第2のフレーム上に配置された例示的なカーボンナノチューブ膜の側断面図である。 本開示の一実施形態による、第2のフレーム上に配置された例示的なカーボンナノチューブ膜の側断面図であり、密度の低いエッジ部分が第1のフレーム上に残っている。 本開示の一実施形態による、コーティングされたカーボンナノチューブ膜を第1のフレームから第2のフレームに移動させる方法のステップを示すフローチャートである。 本開示の一実施形態による、第1のフレーム上に配置された例示的なカーボンナノチューブ膜の側断面図である。 本開示の一実施形態による、第1のフレーム及び第2のフレーム上に配置された例示的なカーボンナノチューブ膜の側断面図である。 本開示の一実施形態による、第2のフレーム上に配置された例示的なカーボンナノチューブ膜の側断面図である。 本開示の一実施形態による、ろ過ナノチューブフィルムの一部の概略図であり、より大きくより長い多層カーボンナノファイバーと、それらと混合された単層及び/または少数層カーボンナノチューブとを含み、上記カーボンナノファイバーのすべては、フィルムの平面内でランダムな方向を向いている。 本開示の一実施形態による、本開示の例示的なナノファイバー膜の側断面図であり、断面は、膜の主表面に対して垂直に取られたものである。 本開示の一実施形態による、本開示の例示的なナノファイバー膜の側断面図であり、断面は、膜の主表面に対して垂直に取られたものである。 本開示の一実施形態による、膜転写後のナノファイバー膜のコンフォーマルコーティングのステップを示すフローチャートである。 本開示の一実施形態による、ナノファイバー膜の張力を制御するための例示的な方法を示す。 本開示の一実施形態による、フレーム上の例示的なカーボンナノチューブ膜の側断面図を示す。 本開示の一実施形態による、フレーム上の例示的なカーボンナノチューブ膜の側断面図を示す。
上記の図は、例示のみを目的として、本開示のさまざまな実施形態を描いている。多数の変化形、構成、及び他の実施形態は、以下の詳細な議論から明らかになろう。
概要
本明細書において、ナノファイバー膜の張力を制御するための装置及び方法を記載する。ナノファイバー膜を、第1のフレームから第2のフレームに移動させる。第2のフレームを、フレームを冷却するか、またはフレームに機械的に力を加えるかのいずれかによって変形させる。
ナノファイバーフィルムを第1のフレームから第2のフレームに移動させるための技術を記載する。いくつかの実施形態では、ナノファイバーフィルムを、接触によって第1のフレームから第2のフレームに移動させる。いくつかの実施形態では、ナノファイバーフィルムを、第1のフレームを第2のフレームを越えて摺動させることによって移動させる。以下でより詳細に説明する材料でフィルムをコンフォーマルにコーティングしてもよい。
本明細書に開示するナノファイバーフィルムは、多層カーボンナノチューブ(MWCNT)、少数層カーボンナノチューブ(FWCNT)、もしくは単層カーボンナノチューブ(SWCNT)、またはそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、ナノファイバーフィルム、またはろ過フィルムは、それぞれが多層カーボンナノチューブ(MWCNT)、少数層カーボンナノチューブ(FWCNT)、二重壁カーボンナノチューブ(DWCNT)、または単層カーボンナノチューブ(SWCNT)のみを含む層を含む多層フィルムであってもよい。
多層、少数層、及び単層カーボンナノチューブ
純粋な形態の多層カーボンナノチューブ(例えば、4~20の同心壁及び4nm~100nmの直径を有するカーボンナノチューブ)、少数層カーボンナノチューブ(例えば、2つまたは3つの同心壁及び2nm~6nmの直径を有するカーボンナノチューブ)、及び単層カーボンナノチューブ(例えば、1つの壁及び0.2nm~4nmのチューブ直径)を形成するために使用されるプロセスは、互いに異なり得る。例えば、多層カーボンナノチューブは、基材上の比較的厚い触媒層(例えば、厚さ10nm~数ミクロン)上に化学蒸着プロセスを使用して製造することができるが、基材全体で不連続であり得る触媒の薄層(例えば、厚さ0.2nm~10nm)に対して、レーザーアブレーション、炭素アークプロセス、または化学蒸着を使用して、少数層及び単層カーボンナノファイバーを多くの場合、形成する。レーザーアブレーションは、一般に、化学蒸着で生成されるカーボンナノチューブよりも短いカーボンナノチューブを生成し、結晶学的欠陥の少ないナノチューブを生成し得る。少なくともこの理由で、一般に、あるタイプのナノファイバーを生成するために使用されるプロセスは、測定可能な量の他のタイプのナノファイバーを生成しない。
これらの3種の異なるタイプのカーボンナノチューブのそれぞれは、異なる特性を有する。一例において、少数層カーボンナノチューブ及び単層カーボンナノチューブは、その後ランダムな方向を向いたカーボンナノチューブのシートに形成させるために、溶媒中により簡便に分散させることができる(すなわち、ナノチューブの大部分が個々に懸濁しており、他のナノチューブに吸着されていない)。個々のナノチューブが溶媒中に均一に分散するこの能力は、延いては、懸濁したナノファイバーからろ過プロセスで溶媒を除去することによって形成される寸法が均一なナノチューブフィルムを生成させることになる。ナノファイバーシートのこの構成は、「ろ過フィルム」と呼ばれることがある。この物理的均一性(複数のろ過フィルムを互いに積層することでさらに向上する)により、フィルム全体にわたる特性の均一性(例えば、放射線に対する透過性)も向上させることができる。
ナノファイバー間のファンデルワールス引力の強さも、単層/少数層ナノファイバーと多層ナノファイバーの間で異なる。一般に、単層/少数層ナノファイバーは、多層ナノファイバーで観測されるよりも、互いのファンデルワールス引力がより大きくなる。単層/少数層ナノファイバー間のこの引力の増加により、少数層/単層カーボンナノチューブの、互いに接着して、ろ過フィルムなどのコヒーレントで均一なナノファイバー構造体を形成する能力が向上することができる。単層カーボンナノチューブ及び少数層カーボンナノチューブから形成されるシートまたはフィルムは、多層カーボンナノチューブから形成されるシートまたはフィルムよりも小さい寸法で、その下にある表面のトポグラフィーに追従することができる。いくつかの例において、単層カーボンナノチューブ及び/もしくは少数層カーボンナノチューブから形成されるシートまたはフィルムは、下にある基材の、10nmという小さなトポグラフィーに追従することができ、この10nmのトポグラフィーというのは、多層カーボンナノチューブがより大きな直径であるために多層カーボンナノチューブフィルムが追従することができる形状サイズ(feature size)よりも少なくとも50%小さい。場合によっては、多層カーボンナノチューブは、単層/少数層ナノチューブよりも互いに凝集する可能性が高く、それによって、下にある表面に追従する及び/または接着する可能性がより低い、構造が不均一なフィルムが生成する。
ろ過フィルム、特に単層及び/または少数層カーボンナノチューブを用いて製造された、特にナノファイバーの面密度が低いフィルム(例えば、02μg/cm)は、一般的に一部の波長の放射に対してより大きな透過性を有する。いくつかの例において、入射放射線の透過率は、90%超または95%超にも及ぶ高さになる場合がある。場合によっては、この透過率は、多層カーボンナノチューブの引き出しシート(以下に説明するカーボンナノチューブフォレストから引き出されたシートなど)で観測されるよりも有意に高くなる。理論に拘束されることを望むものではないが、引き出しシート中のナノチューブの配向によって、ろ過フィルムと比較して放射の散乱が増加すると考えられている。一部では、ろ過フィルム(それらの、ランダムな方向を向いたナノチューブを含む)の透明性がより高いことにより、極端紫外線(EUV)リソグラフィーを含むさまざまな用途においてろ過カーボンナノチューブフィルムから透明なフィルター及びペリクルを形成することに関心が集まっている。
上記の単層カーボンナノチューブ及び少数層カーボンナノチューブの利点にもかかわらず、多層カーボンナノチューブも、単層または少数層ナノチューブから形成されたナノチューブ構造体において必ずしも同程度に観測されるとは限らない利点を有する。例えば、多層カーボンナノチューブから形成された構造体は、一般的に少数層/単層カーボンナノチューブから形成された構造体よりも放射率が高いことが観測されている。理論に拘束されることを望むものではないが、多層カーボンナノチューブの層の数がより多く、直径がより大きいことが、上記放射率の増加の要因であると考えられている。例えば、多層カーボンナノチューブ構造体(例えば、ナノチューブフォレスト、ナノチューブシート)の熱放射率は、少数層/単層ナノチューブから形成されたナノチューブ構造体の熱放射よりも大きい。1つの比較のための例において、多層カーボンナノチューブを含むナノファイバー構造体の放射率は概略0.275(±15%)である一方、単層カーボンナノチューブを含むナノファイバー構造体の放射率は0.05(±15%)と著しく低い場合がある。高い放射率は、技術的用途であって、その用途におけるプロセスがナノファイバー構造体内で加熱を起こす可能性がある上記用途において特に有利であるが、ナノファイバー構造体の伝導によるまたは対流による冷却の仕組みは、制限されるかまたは技術的に実現性がない。
したがって、本開示のいくつかの例により、多層カーボンナノファイバー構造(例えば、複数の積層フィルム及び/またはシートを含む多層構造)を記載し、これは、多層カーボンナノチューブと、単層及び/または少数層カーボンナノチューブの1つ以上との複合体である。場合によっては、複合体は、1つ以上のろ過ナノファイバーフィルムと1つ以上の引き出しナノファイバーシートの積層である。場合によっては、引き出しナノファイバーシート要素を部分的に緻密化し、溶媒蒸気に短時間(1秒、2秒、3秒)さらすことによって、ろ過フィルムに接合することができる。
ナノファイバーフォレスト
本明細書では、用語「ナノファイバー」とは、直径が1μm未満の繊維を意味する。本明細書における実施形態は主としてカーボンナノチューブから製造されるものとして説明しているが、グラフェン、ミクロンスケールもしくはナノスケールのグラファイト繊維及び/またはプレートであることも問わない他の炭素同素体、さらには窒化ホウ素などの他の組成のナノスケール繊維までも含まれ得ることが理解されよう。本明細書では、用語「ナノファイバー」及び「カーボンナノチューブ」は、炭素原子が互いに連結されて円筒形構造を形成する単層カーボンナノチューブ、及び/または多層カーボンナノチューブの両方を包含する。いくつかの実施形態において、本明細書で言及するカーボンナノチューブは4~10層を有する。本明細書では、「ナノファイバーシート」または単に「シート」とは、引き出しプロセス(その全体が参照によって本明細書に援用されるPCT公開第WO2007/015710号に記載される)によって配列したナノファイバーのシートであって、上記シートのナノファイバーの長手方向の軸が、シートの主表面に垂直(すなわち、多くの場合「フォレスト」と呼ばれる、沈着したままの形態のシート)ではなく、シートの主表面及びフォレストからシートへの引き出し方向に平行であるような、上記シートをいう。これを、図3及び4にそれぞれ図示して示す。
カーボンナノチューブの寸法は使用する製造方法に応じて大幅に変化する場合がある。例えば、カーボンナノチューブの直径は0.4nm~100nmとなる場合があり、長さは10μm~55.5cm超の範囲となる場合がある。カーボンナノチューブはまた、アスペクト比(長さ対直径の比)を約132,000,000:1以上もの非常に高い値とすることが可能である。可能な寸法の範囲が広いことを考慮すると、カーボンナノチューブの特性は高度に調節可能(adjustable)、すなわち「調整可能(tunable)」である。カーボンナノチューブの多くの興味深い特性が特定されている一方で、実際の用途においてカーボンナノチューブの特性を利用するには、カーボンナノチューブの機能を維持または向上することができる、大規模に実現可能で且つ制御可能な製造方法が必要とされる。
カーボンナノチューブは、その独特の構造に起因して、特定の機械的、電気的、化学的、熱的、及び光学的特性であって、それらの特性が故にナノチューブが特定の用途に適する上記特性を備えている。特に、カーボンナノチューブは、優れた導電性、高い機械的強度、良好な熱安定性を示し、その上疎水性でもある。これらの特性に加えて、カーボンナノチューブは有用な光学的特性も示す場合がある。例えば、カーボンナノチューブは、発光ダイオード(LED)及び光検出器に使用され、狭い幅で選択された波長で発光するまたは光を検出することができる。カーボンナノチューブは光子輸送及び/または音子輸送に有用であることが証明される可能性がある。
本開示のさまざまな実施形態によれば、ナノファイバー(カーボンナノチューブを含む、但しこれに限定されない)は、本明細書において「フォレスト」と称する形状を始めとする、さまざまな形状で配列させることができる。カーボンナノチューブは、ナノファイバーフォレストの成長などのプロセスから取得することができる。本明細書では、ナノファイバーまたはカーボンナノチューブの「フォレスト」とは、基材上に互いに実質的に平行に配置された、寸法が略同等であるナノファイバーの配列をいう。図1は、例示的な、基材上のナノファイバーのフォレストを示している。基材は任意の形状であってよいが、いくつかの実施形態において、基材は、その上にフォレストが構築される平面状の表面を有する。図1に示すように、フォレスト中のナノファイバーは、高さ及び/または直径が略同一であってよい。
本明細書に開示のナノファイバーフォレストは比較的高密度であることができる。詳細には、本開示のナノファイバーフォレストの密度は、少なくとも10億本のナノファイバー/cmであってよい。いくつかの特定の実施形態において、本明細書に記載のナノファイバーフォレストの密度は、100億本/cm~300億本/cmであってよい。他の例において、本明細書に記載のナノファイバーフォレストの密度は、900億本のナノファイバー/cmであってよい。上記フォレストは高密度または低密度の領域を含む場合があり、特定の領域にナノファイバーが存在しない場合がある。フォレスト内のナノファイバーは、繊維間の結合性も示す場合がある。例えば、ナノファイバーフォレスト内の隣接するナノファイバーは、ファンデルワールス力によって互いに引きつけ合う場合がある。それにもかかわらず、本明細書に記載の技術を適用することによって、フォレスト内のナノファイバーの密度を増加させることができる。
さまざまな方法を使用してナノファイバー主要フォレストを製造することができる。例えば、いくつかの実施形態において、ナノファイバーは、図2に概略図を示す高温炉中で成長させることができる。いくつかの実施形態において、触媒を基材上に沈着させ、反応器中に載置し、次いで反応器に供給される燃料化合物に曝露させてもよい。基材は800℃を超える、または1000℃を超える場合すらある温度に耐えることができ、不活性材料であってよい。この基材は、基礎となるケイ素(Si)ウェハ上に配置されたステンレス鋼またはアルミニウムを備えていてもよいが、Siウェハに代えて他のセラミック基材(例えば、アルミナ、ジルコニア、SiO、ガラスセラミック)を使用することもできる。主要フォレストのナノファイバーがカーボンナノチューブである例においては、アセチレンなどの炭素系化合物を燃料化合物として使用してもよい。上記反応器中への導入後に、燃料化合物(複数可)が触媒上に沈着し始め、基材から上方に向かって成長することにより集積し、ナノファイバーのフォレストを形成することができる。上記反応器はまた、燃料化合物(複数可)及びキャリアガスを上記反応器に供給することができるガス入口と、消費された燃料化合物及びキャリアガスを反応器から放出することができるガス出口とを備えていてもよい。キャリアガスの例としては、水素、アルゴン、及びヘリウムが挙げられる。これらのガス、特に水素は、ナノファイバーフォレストの成長を促進するために反応器に導入することもできる。さらに、ナノファイバーに組み込まれるドーパントをガス流に添加してもよい。
多層ナノファイバーフォレストを製造するために使用するプロセスにおいて、1つのナノファイバーフォレストが基材上に形成され、続いて第1のナノファイバーフォレストと接触する第2のナノファイバーフォレストが成長する。多層ナノファイバーフォレストは、基材上に第1のナノファイバーフォレストを形成し、第1のナノファイバーフォレスト上に触媒を沈着させ、次いで反応器に追加の燃料化合物を導入して、第1のナノファイバーフォレスト上に配置された触媒からの第2のナノファイバーフォレストの成長を促進することによるなどの、多数の好適な方法によって形成させることができる。適用される成長の方法論、触媒の種類、及び触媒の位置に応じて、第2のナノファイバー層は、第1のナノファイバー層の上に成長してもよく、または、例えば水素ガスで触媒を再活性化した後に、基材上に直接成長する、したがって、第1のナノファイバー層の下に成長してもよい。それにもかかわらず、第2のナノファイバーフォレストは、第1のナノファイバーフォレストのナノファイバーと略端部と端部を接して配列することができる。但し、第1のフォレストと第2のフォレストの間には容易に検出可能な境界面が存在する。多層ナノファイバーフォレストは任意の数のフォレストを含んでいてもよい。例えば、多層主要フォレストは、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれを超えるフォレストを含んでいてもよい。
ナノファイバーシート
本出願のナノファイバーは、フォレスト形状における配置に加えて、シート形状に配置されてもよい。本明細書では、用語「ナノファイバーシート」、「ナノチューブシート」、または単に「シート」とは、ナノファイバーが平面内に端部と端部を接して配列し得るナノファイバーの配置をいう。例示的なナノファイバーシートの図を、寸法の表示と共に図3に示す。いくつかの実施形態において、シートの長さ及び/または幅は、シートの厚さの100倍を超える大きさである。いくつかの実施形態において、長さ、幅、またはそれらの両方は、シートの平均の厚さの10倍、10倍、または10倍を超える大きさである。ナノファイバーシートの厚さは、例えば、約5nm~30μmであり、長さ及び幅は、意図する用途に適した任意の大きさであってよい。いくつかの実施形態において、ナノファイバーシートの長さは1cm~10メートルであってよく、幅は1cm~1メートルであってよい。これらの長さは単に例示のために提示している。ナノファイバーシートの長さ及び幅は、ナノチューブ、フォレスト、またはナノファイバーシートのいずれかの物理的または化学的特性によってではなく、製造装置の構成によって制約を受ける。例えば、連続プロセスでは、任意の長さのシートを製造することができる。これらのシートは製造された際にロール上に巻き取ってもよい。
図3に示すように、ナノファイバーが端部と端部を接して配列している方向の軸は、ナノファイバー配列の方向と呼ばれる。いくつかの実施形態において、ナノファイバー配列の方向は、ナノファイバーシート全体にわたって連続的であってよい。ナノファイバーは必ずしも互いに完全に平行ではなく、ナノファイバー配列の方向は、ナノファイバーの配列の方向の平均的なまたは概括的な尺度であると解される。
ナノファイバーシートは、シートを製造可能な任意のタイプの適切なプロセスを使用して構築してもよい。いくつかの例示的な実施形態において、ナノファイバーシートは、ナノファイバーフォレストから引き出してもよい。ナノファイバーフォレストから引き出されているナノファイバーシートの例を図4に示す。
図4に示すように、ナノファイバーを、フォレストから側方に引き出し、次いで端部と端部を接して配列させてナノファイバーシートを形成することができる。ナノファイバーシートがナノファイバーフォレストから引き出される実施形態において、フォレストの寸法を制御して、特定の寸法を有するナノファイバーシートを形成することができる。例えば、ナノファイバーシートの幅を、シートを引き出すナノファイバーフォレストの幅に略等しくすることができる。さらに、シートの長さは、例えば、所望のシートの長さが得られた時点で引き出しプロセスを終了することによって制御することができる。
ナノファイバーシートは、さまざまな用途に利用することができる多くの特性を有する。例えば、ナノファイバーシートは、調整可能な不透明性、高い機械的強度及び可撓性、熱伝導性及び導電性を有し、疎水性も示す場合がある。シート内のナノファイバーの高度な配列を考慮すると、ナノファイバーシートは極めて薄くすることができる。いくつかの例において、ナノファイバーシートの厚さは概略10nmであり(通常の測定公差内で測定して)、このナノファイバーシートは略二次元になっている。他の例において、ナノファイバーシートの厚さは、200nmまたは300nmという高い値となる場合がある。そのため、ナノファイバーシートをある構成部品に加えても、増加する厚さは最小限に抑えることができる。
ナノファイバーフォレストと同様に、ナノファイバーシート中のナノファイバーは、処理剤により、シートのナノファイバーの表面に化学基または元素を付加することによって機能化することができ、それによってナノファイバー単独とは異なる化学的活性が生じる。ナノファイバーシートの機能化は、前もって機能化されたナノファイバーに対して実施する、または前もって機能化されていないナノファイバーに対して実施することができる。機能化は、CVDを始めとする、但しこれに限定されない、本明細書に記載の技法のいずれか、及びさまざまなドーピング技法を使用して実施することができる。
ナノファイバーのフォレストから引き出された状態のナノファイバーシートは高純度であることもでき、場合によっては、ナノファイバーシートの重量の90%超、95%超、または99%超がナノファイバーに帰することが可能である。同様に、ナノファイバーシートは、90重量%超、95重量%超、99重量%超、または99.9重量%超の炭素を含む場合がある。
ナノファイバーフィルムコーティング及び形成技法
上述のように、本明細書に記載の例としては、多層カーボンナノチューブと、単層及び少数層カーボンナノチューブの一方または両方との組み合わせから形成されるナノファイバーフィルムが挙げられる。これらは、スタックの層内の異なる種類のナノファイバーの組み合わせまたは混合、及び/または異なる向きのナノファイバーで構成された層(例えば、ランダムな向きのろ過フィルム、配列したナノファイバーの引き出しシート)により、「複合フィルム」と記述される場合がある。いくつかの例では、1種のタイプのろ過フィルム層における相対重量比は、最大で80重量(重量)%の多層カーボンナノチューブ、最小で20重量%の単層及び/または少数層ナノチューブである。多層カーボンナノチューブの長さは、上述のように、化学蒸着反応器内での成長プロセスを延長または短縮することによって制御することができる。しかし、本明細書では、例えば、多層カーボンナノチューブの長さは、およそ300μm(±10%)の長さの中央値を有し得る。以下の説明を参照して理解されるように、少なくとも250μm以上の長さを有する多層カーボンナノチューブをろ過フィルムに含めて、一般により短い(例えば、0.5μm~30μm)単層及び/または少数層カーボンナノチューブも含むろ過フィルムの機械的安定性を向上させることができる。より長い多層ナノチューブまたはより短い少数層/単層カーボンナノチューブのいずれかを含むフィルムは、一般に、多層ナノチューブと少数層/単層ナノチューブの混合物を含むフィルムほどの耐久性がない。
図5は、カーボンナノチューブろ過フィルムを第1のフレーム、移動フレーム、またはハーベスターフレームから第2のフレーム、または最終フレームに接触によって移動し、カーボンナノチューブろ過フィルム及び第2のフレームを真空チャンバー内の所定の位置に配置して、前駆体を分解してコンフォーマルコーティングを形成するための例示的な方法500を示す。第1のステップ510では、カーボンナノチューブろ過フィルムの縁部を、カーボンナノチューブろ過フィルムの中央部分よりも密度が低くなるように調製する。第2のステップ520では、カーボンナノチューブろ過フィルムをコーティング材料でコーティングする。第3のステップ530では、カーボンナノチューブろ過フィルムを、接触によって第1のフレーム上に配置する。第4のステップ540では、カーボンナノチューブろ過フィルムを第1のフレームから第2のフレームに移動し、カーボンナノチューブろ過フィルムの中央部分に損傷を与えることなく、密度の低い縁部をフィルムから分割できるようにする。第5のステップ550では、カーボンナノチューブろ過フィルムを真空中に配置する。第6のステップ560では、エネルギー源を適用してコーティング材料を分解し、ナノファイバーの表面にコンフォーマルコーティングを形成する。いくつかの例では、カーボンナノファイバーろ過フィルムの露出面上のコンフォーマルコーティングは、リソグラフィー露光チャンバー内に存在する水素イオンによって引き起こされるろ過フィルムの劣化を低減することができる。
本開示の範囲内の任意のろ過フィルム、カーボンナノチューブ複合体、またはペリクルは、図6A~C及び8A~Cに示すように、第1のフレーム610、810上に配置し、第2のフレーム612、812に移動することができることが理解されよう。いくつかの実施形態では、第1のフレーム610、810の寸法は、第2のフレーム612、812の寸法とほぼ同じであってよく、同一または小さくなくてもよい。いくつかの例では、フレーム804は、ポリエチレン、ポリカーボネートなどのポリマー、炭素繊維エポキシ複合材などの複合材料、及びアルミニウム及びステンレス鋼などの金属から製造することができる。いくつかの例では、フレーム610、612、810、812は、EUVリソグラフィー機内に収まるように寸法決めされ、構成されるため、リソグラフィーで画定されたフィーチャーを下にある光活性表面に露光することができる。いくつかの例では、フレーム610、612、810、812は、カーボンナノチューブ複合体製造部位からEUVリソグラフィー部位への簡便な輸送のために寸法決めされ、構成される。この例では、フレーム610、612、810、812は、主に、本明細書で説明するように、自立カーボンナノチューブフィルムを保持するように構成されており、EUVリソグラフィー機に挿入するように構成された別のフレームに後で配置するために、自立ペリクルを簡便に解放する。いくつかの例では、別個の輸送フレームとリソグラフィーフレームを使用することで、適合しやすい設計基準に従って、EUVリソグラフィー機の部品を製造する際に通常使用される材料よりも安価な材料を使用して、輸送フレームを製造することができる。さらに、より高価になる可能性が高いEUVリソグラフィー機専用に構成されたフレームは、リソグラフィー製造場所(クリーンルームなど)内でのみ維持できるため、摩耗、破損、及び/または汚染の割合が減少する。
図6A~Cに示すカーボンナノチューブろ過フィルム600は、第1のフレームから第2のフレームへの移動の例示的な一実施形態を示す。カーボンナノチューブろ過フィルムは、接触によって、第1のフレーム610から第2のフレーム612に移動する。
図6Aは、一実施形態における、第1のフレーム上に配置された例示的なカーボンナノチューブ膜の側断面図である。図6Aは、例示的なカーボンナノチューブろ過フィルム600が配置された第1のフレーム610を含む組立体を示す。別の例示的なカーボンナノチューブ膜は、単層または多層引き出しナノチューブシート(複数可)であってもよい。カーボンナノチューブろ過フィルム600は、中央の高密度領域604と縁部の低密度領域602とを含む。この例示的な構成で説明したようなカーボンナノチューブろ過フィルムは、ろ過プロセスによって形成することができる。
ろ過フィルムは、第1のフレーム610の露出領域に適合するように構成することができる。フレーム610のろ過フィルム貫通構造の外側部分は除去することができるが、フレーム610のろ過フィルムの貫通構造の残りの部分は除去することができず、フィルムは、第1のフレーム610内の開口部(または複数の開口部)にまたがる。フレーム610を直接覆っていない領域から余分なフィルムを除去する技法としては、レーザー、放電加工機(EDM)、機械的技法(ブレード、例えば、外科用ブレードまたはシリコンウェーハの破断面による切断)の使用が挙げられる。いくつかの技法では、細い棒などの塗布具を使用して溶媒を機械的に塗布することができる。例えば、アセトン、IPA、NMP、DMF、トルエン、または他の溶媒(及びそれらの組み合わせ)を棒に塗布し、次いでフィルムを通過させて、ろ過フィルムの所望の部分を切除することができる。
いくつかの実施形態では、第1のフレーム610上のフィルムを、水、IPA、またはそれらの組み合わせの蒸気(すなわち、沸点を超える温度の蒸気液滴)に曝露することによって、ろ過フィルムを接着層に加工してもよい。蒸気にさらすと、ろ過フィルムが第1のフレーム610にしっかりと接着し、接着層が形成される。いくつかの例では、ろ過フィルムの最下層を、より多くの割合(例えば、50%超、60%超、70%超)の少数層及び/または単層カーボンナノチューブを含むように配合して密着性をさらに向上させることができる。
図6Bは、一実施形態における、第1のフレーム及び第2のフレーム上に配置された例示的なカーボンナノチューブ膜の側断面図である。図6Bでは、第2のフレーム612は、カーボンナノチューブろ過フィルム600の上部主表面と接触するように配置され、一方、第1のフレーム610は、底部主表面のカーボンナノチューブろ過フィルム600と接触したままである。図示している実施形態では、第2のフレーム612は、密度の高い領域604の上に配置され、密度の低い領域602とは接触しない。
図6Cは、一実施形態における、第2のフレーム上に配置された例示的なカーボンナノチューブ膜の側断面図であり、第1のフレーム上に密度の低い端部が残っている。図6Cでは、第2のフレーム612が第1のフレーム610から離れるように方向620に沿って移動している。方向620に沿った移動中、より密度の高い領域604が第2のフレーム612との接触を維持する一方、より密度の低い領域602はカーボンナノチューブろ過フィルム600から引き裂かれ、第1のフレーム610上に維持される。
いくつかの例では、上述のように、選択されたコーティング材料をカーボンナノチューブろ過フィルム上にコーティングする。第2のフレーム612及びカーボンナノチューブろ過フィルム600を、エネルギー源に沿って真空チャンバー内に配置してもよい。適用されるエネルギー源は、コーティング材料を分解し、ろ過フィルム上にコンフォーマルコーティングを作出する。
図12は、本開示の一実施形態による、コーティング材料によるナノファイバー膜600、800のコンフォーマルコーティングの代替プロセスを示す。図示している実施形態では、ナノファイバー膜600は、第2のフレーム612、812上に配置され、選択されたコーティング材料と共に真空チャンバー内に配置される。真空チャンバー内にエネルギー源を適用すると、コーティング材料が固相から気相に変化し、気相の材料をナノファイバー膜600、800に蒸着させる。
コーティング材料は、シリコン、SiO、SiON、ホウ素、ルテニウム、ホウ素、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルビジウム、イットリウム、YN、Y、ストロンチウム、ロジウム、金属酸化物のうちのいずれか1種であってもよい。
コーティング方法は、電子ビーム蒸着、化学蒸着、原子層堆積、スピンコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、スパッタリングであってよい。
図7は、一実施形態における、カーボンナノチューブ膜を第1のフレームから第2のフレームに移動する方法700のステップを示すフローチャートである。第1のステップ710では、カーボンナノチューブろ過フィルムを、選択されたコーティング材料でプレコーティングする。第3のステップ730では、第1のフレームを第2のフレームを越えて摺動させることによって、カーボンナノチューブろ過フィルムを第1のフレームから第2のフレームに移動する。
図8Aは、一実施形態における、第1のフレーム上に配置された例示的なカーボンナノチューブろ過フィルム800の側断面図である。図8Aでは、カーボンナノチューブろ過フィルム800は、その長さに沿って一貫した密度を有し、前駆体806でコーティングされている。
図8Bは、一実施形態における、第1のフレーム810及び第2のフレーム812上に配置された例示的なカーボンナノチューブろ過フィルム800の側断面図である。第1のフレーム810は、方向820に沿って第2のフレーム812を越えて摺動する。図8Cに示すように、カーボンナノチューブろ過フィルム800は、第2のフレーム812に接着し、第1のフレーム810からは引き離される。
方法500または方法700のいずれも、湿式塗布(厚膜の場合)または乾式塗布(薄膜の場合)を使用することができる。乾式塗布の場合、第2のフレーム612、812を多孔性として、カーボンナノチューブろ過フィルム600、800がより強く接着できるようにして、それにより、第1のフレーム610、810の除去中の引き裂きを制限してもよい。湿式塗布の場合、第2のフレーム612、812を水などの液体で湿らすことができる。次に、フィルムを第1のフレーム610、810から第2のフレーム612、812に適用してもよく、第1のフレーム610、810を除去する前に液体を乾燥させられるようにしてもよい。
図9は、本開示の一例における、複合ナノチューブろ過フィルム900の概略図である。図に示すように、複合ナノチューブろ過フィルム900は、多層カーボンナノチューブ908と相互分散した単層/少数層ナノチューブ904を含む。この例示的なフィルム900では、単層/少数層カーボンナノチューブ904は、フィルム900の全体としての構造に対して、少なくとも2つの有益な効果をもたらすことができる。例えば、単層/少数層カーボンナノチューブ904は、それらの間の間隙を埋めることにより、近接する多層カーボンナノチューブ908間の間接的な結合の数を増加させることができる。短いナノファイバーと長いナノファイバーの間の相互結合により、フィルムに印加される力の伝達及び分散を改善することができ、したがって耐久性の向上が可能である。有益な効果の第2の例において、単層/少数層カーボンナノチューブ904は、隣接する及び/または重なり合う多層カーボンナノチューブ908間の間隙のサイズの中央値または平均値を減少させることができる。さらに、より長い多層カーボンナノチューブが過多であると、溶媒に分散する際に凝集する可能性がある。これによってフィルムが不均一になる場合がある。より短いナノチューブは溶媒中でより容易に分散し、したがって、単位体積当りのナノチューブの密度が均一な、寸法が均一であるフィルムを形成する可能性がより高い。
図10は、本開示の一例における、複合ナノファイバーペリクル1000の一例の断面図である。図からわかるように、複合ナノファイバーペリクル1000は、個々の層内の複数の異なるタイプのナノファイバーに関して複合体であるだけでなく、それぞれが異なるタイプのナノファイバーを異なる比率で含む複数の層の複合体でもあり得る。多層構造の各層の組成を個別に調整し、さらに層の数と順序を調整すると、本開示の実施形態の放射率と機械的耐久性に影響を与えることができることが理解される。
図10に示す複合ナノファイバーペリクル1000は、第3の層1008の反対側にある第1及び第2の層1004A、1004Bを含む。第1及び第2の層1004A、1004Bの組成は、大部分(例えば、50重量%~80重量%)の多層カーボンナノチューブ(すなわち、4~20の層を有するナノチューブ)を含む。第3の層1008の組成は、大部分(例えば、50重量パーセント超)の少数層(例えば、2~3の層を有するナノチューブ)及び/または単層カーボンナノチューブを含む組成である。
複合ナノファイバーペリクル1000は、さまざまな方法のいずれかで形成することができる。例えば、所望の割合の多層カーボンナノチューブと少数層/単層カーボンナノチューブとの乾燥混合物を混合し、次いで溶媒に懸濁することができる。別の例では、既知の濃度の別々の懸濁液を、多層カーボンナノチューブと、少数層カーボンナノチューブ及び単層ナノチューブのうちの1つ以上から調製する。次いで、最終ろ過フィルム中で多層ナノチューブと少数層/単層ナノチューブが所望の相対重量となるような比率で、懸濁液を混合することができる。
1つ以上の懸濁液を調製する場合、乾燥カーボンナノチューブを溶媒と混合して、ナノチューブを溶媒中に懸濁液として均一に分布させることができる。混合としては、機械的混合(例えば、磁気撹拌子及び撹拌プレートを使用)、超音波撹拌(例えば、液浸超音波探触子を使用)、または他の手段を挙げることができる。いくつかの例では、溶媒としては、水、イソプロピルアルコール(IPA)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルスルフィド(DMS)、及びそれらの組み合わせを挙げることができる。いくつかの例において、溶媒中におけるカーボンナノファイバーの均一な分散を助長するために、界面活性剤を含有させてもよい。界面活性剤の例としては、コール酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)が挙げられるが、これらに限定はされない。溶媒中の界面活性剤の重量パーセントは、溶媒の0.1重量%~10重量%のいずれの値でもよい。一実施形態において、50重量%の多層カーボンナノチューブと50重量%の少数層/単層カーボンナノチューブとの混合物を調製し、水及び任意選択でSDS界面活性剤中に懸濁させてもよい。
次いで、懸濁液を、溶媒を除去し、基材上にランダムに向いたナノファイバーのフィルムの形成を引き起こす構造に導入することができる。このプロセスの例として、濾紙の基材上への真空ろ過が挙げられるが、これに限定されない。次いで、フレームを使用してフィルムを回収し、ろ過フィルムをフレームに蒸着させることができる。次いで、複合フィルムを乾燥させてもよい(例えば、低湿度環境、熱、真空を使用して)。このプロセスを繰り返して、任意選択で、多層、少数層、及び/または単層ナノチューブの異なる組成の混合物の異なるフィルムを形成することができる。
この例示的なプロセスを複数回繰り返して、カーボンナノチューブの複数のフィルムを生成することができる。いくつかの例では、個々のフィルム(各フィルム中に同じかまたは異なる割合の多層カーボンナノチューブ及び少数層/単層カーボンナノチューブを有する)を互いに積層して、多層複合フィルムを形成する。2枚以上のフィルムを積層することにより、より均一な特性を有する、より均一な積層を生成することができる。例えば、積層内の1つのフィルムに局所的な欠損(例えば、穴または裂け目)がある場合、さもなければ欠損箇所には存在しないであろう物理的な連続性と特性の均一性を、積層内の隣接するフィルムが提供することができる。いくつかの実施形態では、積層は、2~10のいずれかの個々のフィルムを含み得、その各々は、積層内の他のフィルムと同じかまたは異なる組成(すなわち、多層対単層/少数層カーボンナノチューブの異なる相対比率)を有し得る。
いくつかの例では、積層フィルムを、水、IPA、NMP、ジメチルホルムアミド(DMF)、トルエン、またはそれらの組み合わせを含む高密度化溶媒に曝露することができる。高密度化溶媒にさらすことにより、積層内のフィルムを互いに接着させることができる。場合によっては、積層内のフィルムが互いに接着するだけでなく、顕微鏡技術を使用して積層の断面を調べた場合でも、それらが融合して互いに見分けがつかなくなる。言い換えれば、高密度化された積層には、層の間に目視可能な、または顕微鏡で検出可能な界面が存在しない。
図10に示すように、第1及び第2の層1004A、1004Bは、ペリクル1000の露出面上にある。上述のように、第1及び第2の層1004A、1004Bは、大部分(例えば、50重量%~80重量%)が多層カーボンナノチューブからなる。また、上述したように、多層カーボンナノチューブから形成されたフィルムは、少数層/単層ナノチューブから形成されたフィルムよりも高い熱放射率を有する。そのように構成されると、露出した第1及び第2の層1004A、1004Bは、EUV及び/または真空を含む環境で使用する場合、ペリクル1000の信頼性を向上させることができる。ペリクル1000は、主に少数層/単層ナノチューブからなるペリクルに比べて、より効率的に熱エネルギー(入射放射線によってペリクル内に形成される)を放出することにより、EUVリソグラフィー装置内の動作環境により良好に耐えることができる。この構成は、ペリクル1000によって放出され、及び/またはペリクル1000から伝導される熱放射の再吸収をさらに低減する。
図11は、カーボンナノチューブろ過フィルムの積層から形成される複合ナノファイバーペリクル1100の別の実施形態を示す。ペリクル1000と同様に、ペリクル1100は、主に多層カーボンナノチューブから形成される第1及び第2の層1104A、1104Bを含む。第3及び第4の層1108A、1108Bは、主に単層/少数層カーボンナノチューブから形成される。
図13は、ナノファイバー膜600、800の張力を制御する例示的な方法を示す。ステップ1310では、カーボンナノチューブフィルムを第1のフレーム610、810(すなわち、図6A~C及び8A~Cに示す移動フレーム)上に配置する。ステップ1320では、カーボンナノチューブフィルムを、第2のフレーム612、812(すなわち、図6B~C及び8B~Cに示す最終フレーム)に移動する。ステップ1330では、第2のフレーム612、812を変形させる。熱的方法または物理的方法のいずれかによって第2のフレーム612、812を変形させてもよい。第2のフレーム612、812は、0.5%~5%、1%~4%、2%~3%、0.5%~3%、または3%~5%変形させてもよい。いくつかの実施形態では、第1のフレーム610、810を同様に変形させてもよい。例えば、熱的方法または物理的方法のいずれかによって第1のフレーム610、810を変形させてもよい。第1のフレーム610、810は、0.5%~5%、1%~4%、2%~3%、0.5%~3%、または3%~5%変形させてもよい。フィルムは限界点に達して破裂するため、過度に緊張させることはできない。したがって、妥当な範囲内でフレームの伸縮を行うように注意しなければならない。ステップ1340では、第2のフレーム612、812を、第2のフレーム612、812の元の形状に戻すことができる。ステップ1350では、カーボンナノチューブフィルム600、800に張力を加える。これと同じ手順が、第1のフレーム610、810及びカーボンナノチューブフィルム600、800に適用可能であり得る。
第1のフレーム610、810及び/または第2のフレーム612、812を変形させることによってフィルム600、800に付与される張力は、フィルムのさまざまな特性を向上させる。例えば、1億3,200万:1以上の非常に高いアスペクト比(長さと直径の比)を有し得るカーボンナノチューブの場合、アスペクト比を微調整/調節して、そのようなカーボンナノチューブ製のフィルムを損傷することなく特定の用途または応用の条件を満たすことができる。フィルム600、800に加えられる張力の結果として、カーボンナノチューブの長さ及び直径は、特定の用途または応用のために調節され得る。フィルムに張力を与えることにより、カーボンナノチューブを微調整/調節して、90%超または95%超の高い入射透過率の照射をフィルムに提供することができる。放射率もまた、微調整/調節され得る。
上述のように、第1のフレーム610、810及び/または第2のフレーム612、812を変形させることによって、すなわち、第1のフレーム610、810及び/または第2のフレーム612、812の変形によって張力がフィルム600、800に間接的に加えられる可能性があるため、過剰な張力が原因となり得るフィルム600、800への意図しない損傷が抑制される。さらに、第1のフレーム610、810及び/または第2のフレーム612、812を、フィルム600、800に比べて、より大きな寸法で提供してもよく(例えば、フレームは、長さ、幅、及び/または厚さが大きくてもよく、それによって、比較的繊細なフィルムを意図せず損傷することなく、フレームをつかむかまたは握ることが容易になる)、第1のフレーム610、810及び/または第2のフレーム612、812に変形を加えることにより、フィルムに付与される張力を制御することが可能かつ容易になり、またフィルムへの損傷が軽減される(例えば、フィルム自体に直接張力を加える場合と比較して)。第1のフレーム610、810及び/または第2のフレーム612、812を変形させた結果としてフィルム600、800に張力を与えることによって、不透明度、機械的強度、柔軟性、熱伝導率、電気伝導率、及び疎水性をすべて調節し得る。上述のフィルム600、800の張力は、フィルムがペリクルとして提供されるEUV用途において有用であり得る。
フィルムは、ファンデルワールス力によってフレームに固定され得ることを理解されたい。フィルムはまた、例えば、フィルム移動前にフレームの表面に液体/ミストを塗布してフィルムとフレームの間に毛管力を作出することによって、フレームに固定及び/または接着され得る。例えば、方法は、カーボンナノチューブ膜をフレームに固定し、フレームを変形させてカーボンナノチューブ膜に張力を与えることを含み得る。この方法は、フレームを熱処理してフレームを変形させ、カーボンナノチューブ膜に張力を与えることを含み得る。この方法は、フレームを圧縮または膨張させて、フレームを変形させ、カーボンナノチューブ膜に張力を与えることを含み得る。また、カーボンナノチューブ膜は、第1のたわみ値を有する初期たわみを有する複数の交差するカーボンナノチューブを含み得る。この方法はまた、フレームを変形させることによって複数のカーボンナノチューブに張力をかけ、それにより、第2のたわみ値を有する引張たわみを得ることを含み得る。第2のたわみ値は、第1のたわみ値よりも小さくてもよい。第1のたわみ値及び第2のたわみ値を測定するための試験は限定されないことを理解されたい。しかしながら、第1のたわみ値を第2のたわみ値と比較する際、値は、測定のための同じ試験方法を使用して取得されるべきである。当然のことながら、第1のたわみ値及び第2のたわみ値は、後述するバルジ試験またはバースト試験、またはたわみを意味する他の適切な試験に従って測定してもよい。
フィルムのたわみは、「バルジ試験」及び「バースト試験」によって測定してもよい。「バルジ試験」及び「バースト試験」は、破裂することなくフィルムが受けることができる、及び破裂時のたわみの量を定量化する。この測定は、少なくとも部分的に、フレーム(複数可)の変形によってフィルムに加えられる張力の結果である。例えば、たわみを測定する際に、フィルム(張力が付与されている)、またはフィルムを含む他の膜を支持部材(例えば、中央開口部を有する平面または平坦な境界の形態の)に取り付けてもよい。基準面は、フィルムと支持部材との間の平面接触界面と一致する位置に確立または識別され得る。支持部材は、フィルムの対応する中央領域が広がる中央開口部を有していてもよい。不活性ガスの最初の流れを、フィルムの中央領域に低い定常圧力で加え(例えば、フィルムの中央領域の平面に垂直に向ける)、それによって基準面からフィルムの中央領域の高さ(h)を持ち上げる。圧力が所定の値(「2Paバルジ試験」では2パスカルであり得る)に達するまで、ガス圧を規則的または等しい増分で連続的に増加させて、フィルムをさらに変形させることができる。圧力が所定圧力(例えば2パスカル)に達した場合に、基準面から変形フィルムの最大高さ(hmax)までの距離を、所定圧力(例えば2パスカル)における最大たわみ高さと定義する。気体の圧力は、フィルムが破裂またはバーストするまで、例えば2パスカルの圧力を超過して増加させることができる。フィルムが破れる圧力が破裂圧力である。破裂が発生する膜のたわみは、破裂たわみまたは破裂高さである。
たわみ試験は、フィルムの所望の用途または応用に応じて、さまざまな印加ガス圧力下でさまざまなフィルムに対して実施してもよい。例えば、フィルムのさまざまなサイズは、1cm×1cmから12cm×15cmまで様々である。フィルムは、所望の用途及び応用に応じて、任意の適切なサイズを有していてもよい。たわみ試験は、最大たわみ高さ、破裂たわみ、及びガスの圧力などの所望のパラメータが、フィルムのサイズまたは所望の用途及び応用に基づいて比例的に調節され得るため、フィルムのサイズによって制限されない。あるいは、たわみ試験において、所定の真空圧で測定されるたわみを生じさせる真空圧を用いてもよいことを理解されたい。例えば、好ましくは3.5ミリバール/秒~5ミリバール/秒の最大速度で変化する真空圧をフィルムに加えて、最大たわみ高さを測定してもよい。
2パスカルのガス圧力がフィルムの平面に垂直に加えられた場合に、1cm×1cmのフィルムが0.4cm、より好ましくは0.3cm、さらにより好ましくは0.2cm、さらにより好ましくは0.1cmの最大高さ(hmax)で撓むように、フィルムに張力を加えてもよい。用途に応じて、最大たわみ高さは0.01cm程度であってもよい。前述の最大たわみ高さを有する1cm×1cmのフィルムは、張力の結果として、例えばアスペクト比及び他の特性を示す。フィルムの最大たわみ高さ(hmax)とフィルムの最大寸法(dmax)(例えば、最大の長さ、直径などを最大とする寸法dmax)との比(hmax/dmax)としてのたわみは、約0.0025~0.0400の範囲であってもよく、フィルムサイズに依存する。
他の印加圧力が本開示の趣旨の範囲内であることが理解されるべきである。例えば、フィルムには、フィルムの最大たわみ高さ(hmax)と最大寸法(dmax)との比(hmax/dmax)、または約10sccmの真空圧流量、または3.5ミリバール/秒未満の圧力変化、またはEUVリソグラフィースキャナーの任意の他の条件を与えてもよい。
フィルムは、本明細書で開示されるフレーム変形によってEUV透過率が向上する場合がある。
第2のフレーム612、812を変形させる熱的方法では、第2のフレーム612、812を冷却して収縮効果を提供する。次いで、第2のフレーム612、812を室温まで温めることによって、第2のフレーム612、812を、第2のフレーム612、812の元の形状に戻し、カーボンナノチューブフィルム600、800に張力を与えることができる。
第2のフレーム612、812を変形させる物理的方法では、ピン1420のセットを使用して、第2のフレームの側面を内側に押すかまたは引く。いくつかの実施形態(図14A~C及び15A~Cに示す)では、4本のピン1420を使用して、第2のフレームの側面を方向1410に沿って内側に押すかまたは引く。いくつかの実施形態では、物理的方法は、側面を内側に押すかまたは引くが、ただし、隅部に対しては行わない。物理的方法は、熱的方法ほど変形の均一性を提供しない場合があるが、より高速であり得る。
本明細書で開示される装置及び方法によって利点が提供される。具体的には、記載した方法によって引っ張られるカーボンナノチューブフィルム600、800は、上述のEUV応用においてペリクルとして使用され得る。引っ張られたフィルムは、同じフィルムの引っ張られていないバージョンよりもたわみを少なくすることができる。
所与のフレームが縮小する量は推定することができる。フィルムにかかる張力を決定するためにフックの法則を適用することができる。フィルムは、一方の端が固定された物体に取り付けられ、自由端がFの大きさの力によって引っ張られている単純ならせんばねと等価であると見なすことができる。ばねが平衡状態に達し、それ以上長さが変化しないとする。ばねの自由端が「リラックスした」位置から変位した量をxとする(ばねが伸びていない場合)。フックの法則では、
(F=kx)
であると述べられており、
式中、kは、正の実数であり、ばねの特性である。
ヤング率により、引張りまたは圧縮荷重下での等方性弾性材料で作られたフィルムの寸法変化を計算することができる。例えば、これを用いて、フィルムが張力下でどれだけ伸びるか、または圧縮下で短くなるかを予測することができる。ヤング率は、単軸応力、すなわち、一方向に引張応力または圧縮応力があり、他の方向には応力がない場合に、直接適用される。
ヤング率Eは、引張応力σ(ε)を、物理的応力-ひずみ曲線の弾性(初期、線形)部分における工学的引っ張りひずみεで割ることによって計算することができ、
Figure 2023544099000002
式中、Eはヤング率(弾性率)であり、Fは張力下でフィルムに加えられる力であり、Aはフィルムの実際の断面積であり、これは加えられた力に垂直な断面の面積に等しく、ΔLはフィルムの長さの変化量であり(ΔLはフィルムが伸ばされた場合は正、フィルムが圧縮された場合は負である)、Lはフィルムの元の長さである。
代替的に、圧力を使用するたわみ法によって張力を測定することができる。フィルムに少量の圧力を加えることができ、フィルムのたわみ量を測定して張力を決定することができる。
さらなる考慮事項
本開示の実施形態の上述の説明は例示を目的として提示したものであり、網羅的であること、または特許請求の範囲を開示される厳密な形態に限定することを意図するものではない。関連する技術分野における当業者は、上記の開示に照らせば、多くの改変及び変更が可能であることを理解することができよう。
本明細書で使用される言語は、主として読みやすさ及び指導的目的のために選択されており、本発明の主題を記述するまたは限定するために選択されてはいない場合がある。したがって、本開示の範囲は、この詳細な説明によってではなく、いずれかの、出願時に提出する本明細書に基づく特許請求の範囲によって限定されることが意図される。したがって、本実施形態の開示は、以下の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を、限定するのではなく、例示することを意図する。

Claims (23)

  1. 第1のフレームであって、前記第1のフレームが、前記第1フレームの内周に囲まれた開口部を有する前記第1のフレームを提供し、
    前記開口部にまたがるようにカーボンナノチューブ膜を前記第1フレームに固定し、
    前記第1のフレームを変形させて、前記カーボンナノチューブ膜に張力を与える
    ことを含む方法。
  2. 前記第1のフレームを熱処理に供して、前記第1のフレームを変形させ、前記カーボンナノチューブ膜に前記張力を与えることを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第1のフレームを圧縮または膨張に供して前記第1のフレームを変形させ、前記カーボンナノチューブ膜に前記張力を与えることを含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記カーボンナノチューブ膜が、第1のたわみ値を有する初期たわみを有する複数の交差するカーボンナノチューブを含み、
    前記フレームを変形させることによって前記複数のカーボンナノチューブに張力を加えて、第2のたわみ値を有する引張たわみを得ることを含み、前記第2のたわみ値と前記第1のたわみ値が互いに異なる、請求項1に記載の方法。
  5. 第2のフレームを提供し、
    前記第2のフレームを前記カーボンナノチューブ膜と直接接触させ、
    前記第1フレームから前記カーボンナノチューブ膜を分離することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記第2フレームを、前記第1フレームの前記開口部よりも小さく提供し、
    前記第2のフレームを前記第1のフレームの前記開口部に強制的に通すことによって、前記カーボンナノチューブ膜を前記第1のフレームから分離することを含む、請求項5に記載の方法。
  7. 前記第2のフレームの表面を、カーボンナノチューブ膜の移動の前に、水、界面活性剤から選択される液体の層によって覆う、請求項5に記載の方法。
  8. レーザー処理、放電加工機、ブレード切断から選択される方法により、前記第1のフレーム上のカーボンナノチューブ膜へのアクセスを除去するが、前記第2のフレーム上では除去しないことをさらに含む、請求項5に記載の方法。
  9. 前記第2のたわみ値が、前記第1のたわみ値より小さい、請求項4に記載の方法。
  10. 前記第2のたわみ値が、前記第1のたわみ値より大きい、請求項4に記載の方法。
  11. 第1のフレーム上にカーボンナノチューブ膜を、
    前記カーボンナノチューブ膜上に第2のフレームを配置し、
    前記カーボンナノチューブ膜を前記第2のフレームに移動し、
    前記第2のフレームに第1の変形を与え、
    前記第2のフレームに第2の変形を与える
    ことを含む方法。
  12. 前記第1の変形が収縮を含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記第2の変形が拡大を含む、請求項12に記載の方法。
  14. 前記第1の変形及び前記第2の変形のうちの少なくとも1つが、前記第2のフレームのサイズを0.5%~5%変化させる、請求項11に記載の方法。
  15. 前記第1の変形が、前記第2のフレームを冷却することを含む、請求項12に記載の方法。
  16. 前記第2の変形が、前記第2のフレームを温めることを含む、請求項13に記載の方法。
  17. 前記第1の変形が、前記第2フレームに取り付けられたピンのセットを利用し、内側に押すかまたは引くことを含む、請求項12に記載の方法。
  18. 前記第2の変形が、前記第2のフレームに取り付けられたピンのセットを利用し、外側に押すかまたは引くことを含む、請求項13に記載の方法。
  19. 前記第2のフレームへの前記カーボンナノチューブ膜の移動を、前記カーボンナノチューブ膜から前記第1のフレームを持ち上げることによって達成する、請求項11に記載の方法。
  20. 前記第2のフレームへの前記カーボンナノチューブ膜の移動を、前記第1のフレームを前記第2のフレームを越えて摺動させることによって達成する、請求項11に記載の方法。
  21. 前記カーボンナノチューブ膜が、前記第1の変形及び前記第2の変形の後に張力が増加するように構成される、請求項11に記載の方法。
  22. 前記カーボンナノチューブ膜が、前記第1の変形及び前記第2の変形の後にたわみが減少するように構成される、請求項21に記載の方法。
  23. 前記カーボンナノチューブ膜がカーボンナノチューブろ過フィルムである、請求項1及び11に記載の方法。
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