JP7133827B2 - カーボンナノチューブ撚糸体、キャパシター及びフィルター - Google Patents
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Description
一実施形態において、CNT撚糸体10は、BET比表面積が200m2/g以上1100m2/g以下の範囲を備える。ここで、BET比表面積とは、液体窒素温度(77K)での窒素分子の吸着等温線からBrunauer-Emmett-Teller(BET)の方法で求めた比表面積である。CNT11の自体の比表面積が、理論的計算によれば、未開口のもので1300m2/g程度であることから、CNT撚糸体10は、それに匹敵する大きなBET比表面積を最大値として有する。一方、BET比表面積が200m2/gより小さいと、キャパシターやフィルターとして十分な機能を発揮できない。
一実施形態において、CNT撚糸体10は、ガス吸着法から求められる吸脱着等温線の相対圧が0.95以下に相当するサイズの細孔15が500cm3/g(STP)以上1300cm3/g(STP)以下の細孔容積を備える。ガス吸着法から求められる吸脱着等温線の相対圧が0.95以下に相当するサイズの細孔15は、直径が2nm以下のマイクロ孔と直径が2nmを超えて50nm以下のメソ孔を含む。一実施形態において、CNT撚糸体10は、マイクロ孔とメソ孔のガス吸着量の合計が500cm3/g(STP)以上1300cm3/g(STP)以下であり、CNT撚糸体10全体として、このような大きな細孔容積を備える。ガス吸着法から求められる吸脱着等温線の相対圧は、標準状態(0℃、1atm)での平衡圧力/飽和蒸気圧により求めることができる。
液体窒素温度(77K)での窒素吸着等温線を用いた場合、全表面積10m2に対して±0.4%の精度で、全表面積0.1m2に対して±8%の精度で再現性が得られる。吸着ガスとしてKrを用いた場合が最も測定精度が高く、全表面積0.1m2に対して±1%の精度で、全表面積5cm2に対して±8%の精度で再現性が得られる。市販の汎用装置では全表面積が5cm2以上の試料量を用いた測定が可能である。
また、一実施形態において、CNT撚糸体10は、BJH法(Barrett-Joyner-Hallender法)で解析される細孔径が2nm以上50nm以下の範囲において、0.9cm3/g以上2.1cm3/g以下の範囲に積算細孔容積を備える。2nmを超えて50nm以下のメソ孔の細孔分布は、BJH法で窒素吸脱着等温線を解析することにより求めることができる。CNT撚糸体10においては、メソ孔の積算細孔容積が0.9cm3/g以上2.1cm3/g以下である。
一実施形態において、CNT撚糸体10におけるねじれ構造は、長手方向に10mmの範囲に、1から2800回のねじれを備える。ここで、ねじれは、CNT撚糸体10の走査型電子顕微鏡(SEM)像において、CNT撚糸体10の長手方向が10mmの範囲の平均ねじれ回数値として算出される。具体的には、SEM像に任意の直線を引き、長手方向に10mmの範囲に、図6(d)に示すように、その直線と帯状体13が交わった点の個数をカウントすることにより求めることができる。
一実施形態において、CNT撚糸体10は、帯状体13の幅が90nm以上10μm以下である。ここで、帯状体13の幅は、CNT撚糸体10のSEM像において、帯状体13の幅を測定することにより求めることができる。
一実施形態において、CNT撚糸体10を0%以上15%以下の範囲で延伸させた際にヤング率が20GPa以上84GPa以下である。CNT撚糸体10の破断強度は、307MPa以上1054MPa以下である。CNT撚糸体10は、ねじれ構造を有する帯状体13を備えることにより、十分な強度を実現することができる。
CNT撚糸体10は、走査速度が10mV/sである時に、キャパシタンスが30F/g以上80F/g以下である。大きな比表面積と電解液のアクセスが良好な無数の空隙により構成される大きな細孔容積を備えるため、このように大きなキャパシタンスを実現することができる。
本発明に係るCNT撚糸体10を構成するCNTとしては、単層、二層又は多層のCNTを用いることができる。例えば、国際公開第2006/011655号に記載された方法(スーパーグロース法:SG)で作製した単層カーボンナノチューブや、改良直噴熱分解合成法(enhanced Direct Injection Pyrolytic Synthesis method:eDips)で作製した単層カーボンナノチューブを好適に用いることができるが、これらに限定されるものではない。
CNTの長さは、0.1μm以上500μm以下、より好ましくは0.5μm以上1mm以下、さらに好ましくは1μm以上10mm以下である。このようなCNTは優れた変形能を有し、CNTがたわみやすいために、CNT同士の結合による比表面積のロスが起こりにくいため、高比表面積の糸構造体を得るのに好適である。
本発明に係るCNT撚糸体の製造方法の一実施形態としては、例えば、CNTを溶媒へ分散させるCNT分散液の製造工程、得られたCNT分散液を凝固浴へ注入し、CNTバンドルを凝集させ、湿潤下にてCNT糸の形状を得るCNT紡糸体の製造工程、乾燥時に延伸しCNT糸を得るCNT撚糸体の製造工程を含む工程で構成される。
実施例1として、スーパーグロース法により製造された単層CNT(以下、SGとも記述する) 50mgとTDOC 450mgを24.5gの水に加え、超音波攪拌装置(株式会社日本精機製作所製、USS-1)を用いて予備分散した。その後、超音波ホモジナイザー(株式会社日本精機製作所製、US-50)を用いて、超音波照射30分間の条件で本分散を行うことで実施例1のCNT分散液を得た。
IPAへ注入直後の実施例1のCNT紡糸体の写真を図4に示す。画像解析ソフト(三谷商事社製、winROOF)を用い、図4より、実施例1のCNT紡糸体の幅を測定した。また、実施例1のCNT撚糸体についてハイスピードカメラ(株式会社キーエンス社製、VW-600C)を用いて画像を取り込み、ハイスピードマイクロスコープ(株式会社キーエンス社製、VW-9000)を用い、取り込んだ画像から実施例1のCNT撚糸体の幅を測定した。
熱・応力・歪測定装置(Seiko Instruments Inc.社製、TMA/SS6000)を用い、実施例1のCNT撚糸体のヤング率及び破断強度を測定した。
実施例1においては、スーパーグロース法により製造された単層CNTを用いたが、実施例2においては、eDips法により製造された単層CNTを用いた例を示す。eDips法により製造された単層CNT(株式会社名城ナノカーボン社製、EC1.4、以下、eDipsと記述する) 50mgとTDOC 450mgを24.5gの水に加え、超音波攪拌装置(株式会社日本精機製作所製、USS-1)を用いて予備分散した。その後、超音波ホモジナイザー(株式会社日本精機製作所製、US-50)を用いて、超音波照射30分間の条件で本分散を行うことで実施例2のCNT分散液を得た。
IPAへ注入直後の実施例2のCNT紡糸体の写真を図5に示す。画像解析ソフト(三谷商事社製winROOF)を用い、図5を用い、実施例2のCNT紡糸体の幅を測定した。また、実施例2のCNT撚糸体についてハイスピードカメラ(株式会社キーエンス社製、VW-600C)を用いて画像を取り込み、ハイスピードマイクロスコープ(株式会社キーエンス社製、VW-9000)を用い、取り込んだ画像から実施例2のCNT撚糸体の幅を測定した。
熱・応力・歪測定装置(Seiko Instruments Inc社製、TMA/SS 6000)を用い、実施例2のCNT撚糸体のヤング率及び破断強度を測定した。
実施例1のCNT撚糸体について、表面構造の評価、ガス吸着量、細孔分布、比表面積測定、キャパシタンス測定を実施した。
比較例1として、乾式紡糸法の多層CNT撚糸体(村田機械株式会社製)について、実施例1と同様の評価手法で表面構造の評価、表面構造の評価、ガス吸着量、細孔分布、比表面積測定及びキャパシタンス測定を実施した。多層CNT撚糸体のSEM像を図7(図7(a)倍率1000、図7(b)倍率10,000)に示す。
SG及びeDipsの2種類のCNTの配合量を変化させ、CNT全量が合計50mgとなるように秤量し、TDOC 450mgを24.5gの水に加えた後、実施例1と同様の作製方法で、5種類のCNT撚糸体を作製した。表5にSG及びeDipsの配合量と、該当するCNT配合量を用いて作製したCNT撚糸体の表記を示す。
Claims (6)
- 長さ方向に配列した複数の帯状体を備え、
前記複数の帯状体の各々は、複数の単層カーボンナノチューブの束が長さ方向にねじれた構造と細孔とを有する、ことを特徴とするカーボンナノチューブ撚糸体。 - 前記カーボンナノチューブ撚糸体は、
BJH法で解析される前記カーボンナノチューブ撚糸体の細孔径が2nm以上50nm以下の範囲における積算細孔容積を0.9cm3/g以上2.1cm3/g以下の範囲に備える、ことを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブ撚糸体。 - 前記ねじれた構造は、長手方向が10mmの範囲において、1から2800回のねじれを備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカーボンナノチューブ撚糸体。
- 前記帯状体の幅が90nm以上10μm以下を備えることを特徴とする請求項1記載のカーボンナノチューブ撚糸体。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ撚糸体を備えるキャパシター。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ撚糸体を備えるフィルター。
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CHOI Changsoon et al.,Flexible Supercapacitor Made of Carbon Nanotube Yarn with Internal Pores,ADVENCED MATERIALS,2013年09月21日,26,2059-2065 |
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