JP6850689B2 - 生産ライン構成変更システムおよび生産ライン構成変更方法 - Google Patents

生産ライン構成変更システムおよび生産ライン構成変更方法 Download PDF

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Description

本発明は、生産ラインに障害などが発生した場合や、製品の設計変更が発生した場合に、生産ラインを再構成するための生産ライン構成変更システムおよび生産ライン構成変更方法に関する。
人ロボット協調型生産ラインにおいて、例えばあるロボットにトラブルや障害が発生して稼働が停止した場合に、そのロボットを復旧させるまでの間、当該生産ラインが現状保有するツールなどを使用して、速やかに生産ライン構成を変更して、最適な生産を継続させる技術が求められている。なお、ここで言うロボットは一般の製造設備に置き換えても当て嵌まるので、以降は製造設備と呼ぶ。
本技術分野の背景技術として、特許文献1がある。特許文献1では、多品種の製造物の生産要望に応じて作成された生産計画のスケジュールデータに基づいて生産ラインを自動的に稼働させている際に、トラブルまたは異常の発生によって一部の製造設備が休止した場合の生産計画の変更を支援するシステム10であって、与えられた評価条件に基づいて製造可能な製造ロットを分類する製造ロット分類手段6と、分類された製造ロットを分類ごとに評価の根拠を示して表示する製造ロット表示手段7と、評価条件ごとに分類された製造ロットの中から再計画に組み込みたい製造ロットを選択し、また予め与えられた製造ロット内の構成要素の変更が必要な場合には製造ロットを編集する製造ロット選択・編集手段8と、それによって再計画を作成するスケジュール作成手段9とを備える生産計画変更支援システムが開示されている。
また、特許文献2では、生産ライン計画情報から生産ライン動作をシミュレーションする生産シミュレーション部11と、シミュレーション結果が目標生産能力および目標投資費用に近くなるようにするために必要な生産能力および/または投資費用となる少なくとも一つの設備を対策情報記憶部15から選択して生産シミュレーション部へ出力する対策手段分析部12からなり、対策手段分析部12で選択された設備により再度シミュレーションを実行することで生産ラインの計画に対して生産能力と投資費用が最適となる設備を自動的に選択する生産ライン計画支援装置が開示されている。
特開2003−316415号公報 特開2006−31360号公報
特許文献1に開示される技術は、製造設備の一部に障害やトラブルが発生して休止した際に、一旦計画したスケジュール内容を途中から変更して、製造が可能な製造ロットを評価条件に基づき対分類して再度スケジュールを自動的に作成するものであり、稼働可能な製造設備において生産ライン構成を変更することについて言及はない。
特許文献2に開示される技術は、生産ラインの設計に際して、目標とする生産能力と目標とする投資費用に近づくように、予め用意した対策案を選択して生産ラインの計画を変更して、シミュレーションによる評価を繰り返して、生産能力に対する設備投資費用を最適化するものである。しかしながら特許文献2では、生産ラインの障害やトラブル、設計変更が発生した場合に、現状の生産ラインが保有する設備、ツールを使用して、生産ライン構成を再度設計することについて言及はない。
本発明では、生産ラインに障害などが発生した場合や、製品の設計変更が発生した場合に、現状の生産ラインが保有する設備、ツールを使用して、速やかに生産ラインを再構築して、障害が復旧するまで、または設計変更製品の製造期限までに生産量を最大化する生産ライン構成変更システムおよび生産ライン構成変更方法を提供する。
本発明の生産ライン構成変更システムの好ましい例では、生産ラインの設備に発生した障害情報を記憶する障害情報記憶部と、製品の製造に必要な作業内容を記憶する作業情報記憶部と、設備に装備可能なツールの制約情報を記憶する設備情報記憶部と、前記製品の製造工程順に、前記製造工程における作業内容と、作業割り付け設備と、前記設備に装着されたツールと、工程タクトタイムとを記憶する生産ライン構成情報記憶部と、障害発生直後に起動され、前記生産ラインが保有する設備、ツールを使用して、前記生産ライン構成情報記憶部が記憶する生産ライン構成情報に対して、障害が発生した設備に割り付けてあった作業を前後の工程の設備、または同一工程の他設備へ割り付ける変更案を作成して、暫定生産ライン構成を計算する生産ライン構成計算部とを備えて構成する。
また、本発明の他の特徴として、前記生産ライン構成変更システムにおいて、前記生産ライン構成計算部は、複数の変更案により算出した暫定生産ライン構成のうち、障害が発生した設備の復旧予測時刻まで、装備の切り替えに要する段取り時間を差し引いた稼動時間に、最大の生産数を見込める暫定生産ライン構成を採用する。
また、本発明の更に他の特徴として、前記生産ライン構成変更システムにおいて、前記生産ライン構成計算部が、生産ラインの設備に障害が発生したのではなく、設計変更した第2の製品の製造の依頼により起動され、前記生産ラインが保有する設備、ツールを使用して、前記生産ライン構成情報記憶部が記憶する生産ライン構成情報に対して、第2の製品に特有な作業を前記生産ラインの設備に割り付ける変更案を作成して、暫定生産ライン構成を計算する。
また、本発明の生産ライン構成変更方法の好ましい例では、計算機により生産ライン構成を変更する方法であって、生産ラインを構成する設備に障害が発生して該当設備が停止した場合に、前記生産ラインが保有する設備、ツールを使用して、障害発生前の生産ライン構成情報に対して、障害が発生した設備に割り付けてあった作業を前後の工程の設備、または同一工程の他設備へ割り付ける変更案を作成して、暫定生産ライン構成を計算し、前記暫定生産ライン構成を計算する際に、設備に装備できるツール分類毎の最大数、同一設備に割り付ける必要のある作業群、及び変更後の生産ライン構成のツール総数が障害発生直後の生産ラインが保有しているツール総数以下とする制約を満たす暫定生産ライン構成のみを計算し、複数の変更案により算出した暫定生産ライン構成のうち、障害が発生した設備の復旧予測時刻まで、装備の切り替えに要する段取り時間を差し引いた稼動時間に、最大の生産数を見込める暫定生産ライン構成を採用する決定を行い、決定した前記暫定生産ライン構成に従って、生産ラインの該当設備の該当作業動作プログラムを変更するように構成する。
本発明によれば、生産ラインの障害やトラブル発生時、製品の設計変更時において、生産ラインの設備制約、作業員制約を満たした生産ライン構成を変更することによって、生産能力を向上する事ができる。
生産ライン構成変更システムの実施形態の例を示す図である。 生産ライン構成変更システムのシステム構成図の例である。 情報端末のハードウェア構成の例を示す図である。 障害情報記憶部のデータテーブルの例を示す図である。 作業動作プログラム情報記憶部のデータテーブルの例を示す図である。 設備動作プログラム情報記憶部のデータテーブルの例を示す図である。 作業情報記憶部のデータテーブルの例を示す図である。 設備情報記憶部のデータテーブルの例を示す図である。 同一設備制約記憶部のデータテーブルの例を示す図である。 生産ライン構成情報記憶部のデータテーブルの例を示す図である。 実施例1の生産ライン構成変更処理のフローチャートの例である。 障害発生直後の生産ライン構成情報の例を示す図である。 復旧予測時間と稼働時間の説明図である。 変更前ライン構成と最も生産数MPの大きい変更後生産ライン構成結果を表示した例を示す図である。 実施例2の生産ライン構成変更システムのシステム構成図の例である。 実施例2の作業員情報記憶部のデータテーブルの例を示す図である。 実施例2の作業情報記憶部のデータテーブルの例を示す図である。 実施例2の生産ライン構成変更処理のフローチャートの例である。 アイテム別ガントチャートの一例である。 投入間隔をずらしたアイテム別ガントチャートの一例である。 実施例2のシステム画面の例である。
以下、実施例を図面を用いて説明する。
図1は、本実施例の生産ライン構成変更システム11の実施形態の例を示す。本実施例の生産ライン構成変更システム11は、生産ラインを構成するある製造設備にトラブルや障害が発生した場合に、その他の正常に稼動する製造設備に割り付ける作業の動作プログラムや、装備するツールを変更することで、トラブルや障害が発生して停止した製造設備を復旧させる間、生産ラインが備える現有設備を使用して最大のスループットを継続して生産する制御を行うシステムである。
生産ライン構成変更システム11は、工場にある製造設備の障害情報21、もしくは、作業員による端末からの障害情報22を受け取り、生産ライン構成変更システム11において、生産ライン構成の変更案を計算し、生産ライン構成変更担当者へ生産ライン構成変更案23が提示され、製造設備へ作業割付や動作プログラム24の変更がダウンロードされる。
図2は、本実施例の生産ライン構成変更システムのシステム構成図の例である。
生産ライン構成変更システムは、障害情報管理モジュール12と、作業指示モジュール13と、生産ライン構成計算モジュール14と、表示端末モジュール15で構成されている。障害情報管理モジュール12は障害情報管理部31、障害情報記憶部41を備えている。作業指示モジュール13は動作プログラム情報管理部32と、作業動作プログラム情報記憶部42と、設備動作プログラム情報記憶部43とを備えている。生産ライン構成計算モジュール14は作業情報管理部33と、設備情報管理部34と、同一設備制約管理部35と、生産ライン構成計算部36と、作業情報記憶部44と、設備情報記憶部45と、同一設備制約記憶部46と、生産ライン構成情報記憶部47とを備えている。表示端末モジュール15は、生産ライン構成出力部37を備えている。
各構成モジュール12〜15はそれぞれネットワーク71に接続されており、各情報端末は、相互にネットワーク71を介して、各種データ等を送受信できる。
各構成モジュール12〜15は、図3に示すように、いずれも汎用コンピュータで構成され、キーボードやマウス等の入力装置61と、ディスプレイ等の出力装置62と、補助記憶装置63と、故障診断プログラムなどの各種プログラムを実行する演算装置60と、を有する。演算装置60は中央演算処理装置(以下、CPU)64と、主記憶装置65と、インターフェース66と、を備えている。この演算装置60は、入力装置61、出力装置62および補助記憶装置63とインターフェース66を介して接続されている。本実施形態では、生産ライン構成変更プログラムなどの各種プログラムの実行結果は、主記憶装置65に確保された記憶領域に記憶される。各種プログラムは、補助記憶装置63に予め記憶されており、その後システム稼動時に、主記憶装置65に読み込まれ、CPU64により実行される。このCPU64による各種プログラムの実行により、後述の各種機能部が実現する。
なお、本実施形態では、生産ライン構成変更システムを構成する各情報端末が汎用情報処理装置とソフトウェアで実現される場合を例にとって説明するが、例えば、ハードワイヤードロジックを含むハードウェアや、このようなハードウェアと、予めプログラムされた専用情報処理装置により実現してもよい。
次に、生産ライン構成変更システムを構成する機能構成及び保持するデータについて説明する。
本実施形態の生産ライン構成変更システムの各構成モジュール12〜15は図2に示すように、各種プログラムを各演算装置で実行して実現する31〜37の機能部と、各種データが記憶される41〜47の記憶部とを有する。
機能部は、工場内のトラブルや障害情報を検知・管理する障害情報管理部31と、設備を作業させる動作プログラム情報を管理する動作プログラム情報管理部32と、製品を製造するのに必要な、各作業内容やタクトタイムなどの作業情報を管理する作業情報管理部33と、設備に装備できるツールの数などの制約を管理する設備情報管理部34と、同一設備に割り付けるべき複数作業の制約を管理する同一設備制約管理部35と、各設備制約を満たしながら、復旧時間までの生産数を多くする生産ライン構成を計算する生産ライン構成計算部36と、計算結果を表示端末に出力する生産ライン構成出力部37とを有する。これらの各機能部の動作の詳細については、処理フローの説明の中で順を追って説明する。
記憶部は、障害が起きた設備IDや復旧までの予測時刻を記憶する障害情報記憶部41と、各作業の動作プログラムを記憶する作業動作プログラム情報記憶部42と、各設備に割り付けている動作プログラムを記憶する設備動作プログラム情報記憶部43と、製品の各作業内容や単一設備当たりの作業時間を記憶する作業情報記憶部44と、設備に装備できるツールの数などの設備制約を記憶する設備情報記憶部45と、同一設備に割り付けるべき複数作業の制約を記憶する同一設備制約記憶部46と、各工程の作業内容や設備、工程タクトタイムなどを記憶する生産ライン構成情報記憶部47を有する。
障害情報記憶部41は、図4に示すように、障害が発生した設備IDフィールド341aと、設備名フィールド341bと、障害が発生した時刻を格納する障害発生時刻341cと、障害が復旧する予測時刻を格納する復旧予測時刻341dと、復旧が完了した場合にはその時刻を格納する復旧完了時刻341eと、を有する。
作業動作プログラム情報記憶部42は、図5に示すように、作業IDフィールド342aと、作業名フィールド342bと、該当作業を行うために必要な、設備の動作プログラム名が格納されている動作プログラムフィールド342cを有する。
設備動作プログラム情報記憶部43は、図6に示すように、設備IDフィールド343aと、作業IDフィールド343bと、作業名フィールド343cと、各設備に割り付けられた動作プログラム名が格納された動作プログラムフィールド343dと、設備が装備している装備ツールを記憶する装備ツールフィールド343eと、装備しているツールの分類名を記憶するツール分類フィールド343fを有する。
作業情報記憶部44は、図7に示すように、生産ラインで製造する1つの製品に対する作業順を表す作業番号を格納する作業番号フィールド344aと、作業IDフィールド344bと、作業名フィールド344cと、該当作業の分類名を格納する作業分類フィールド344dと、該当作業に必要なツール名を格納する必要ツールフィールド344eと、該当作業に要する単一設備あたりの作業時間を格納する作業時間フィールド344fを有する。
設備情報記憶部45は、図8に示すように、設備IDフィールド345aと、設備が装備可能なツール名を格納する装備可能ツールフィールド345b(本実施例では設備に装備可能なツールは2個の例を示しているが、設備によっては2個以上の複数ツールが装備可能である場合も含む)と、設備が装備可能なツールタイプ毎の制約数を格納する装備可能数フィールド345cを有する。
同一設備制約記憶部46は、図9に示すように、同一設備(同一工程)に割り付けるべき複数の作業番号の組み合わせの制約を表す制約Noフィールド346aと、第1の作業番号を格納する作業番号_1フィールド346bと、第2の作業番号を格納する作業番号_2フィールド346cとを有する。例えば、図9では、作業番号001、002を同一設備(同一工程)に割り付ける制約、作業番号006、007、008を同一設備に割り付ける制約を表している。
生産ライン構成情報記憶部47は、図10に示すように、同一設備に作業が割り付いている集合を表す工程番号を格納する工程番号フィールド347aと、作業番号フィールド347bと、作業名フィールド347cと、作業分類フィールド347dと、各作業が割り付いている設備IDを格納する設備IDフィールド347eと、各設備に装着されているツール名を格納するツール名フィールド347fと、各工程毎の工程タクトタイムを記憶する工程タクトタイムフィールド347gを有する。例えば、図10では、工程番号1において、設備R001,R002がそれぞれツール(ドライバAとハンドB)を装着して、並列に、作業番号001,002の作業を実行しており、それぞれの設備の工程タクトタイムが16であることを表している。
本実施形態では、生産ライン構成変更システムを統合処理するシステムとして説明するが、本実施例はこれに限定されるものではない。本実施例の生産ライン構成変更システムは他の情報処理システムに組み込まれてそれらの一部として機能するように構成することも考えられる。また、それぞれの情報端末機能の一部を組み換えたり、小分けにしたり、まとめたりして実現してもよい。
図11に、実施例1の生産ライン構成変更処理のフローチャートを示す。
ステップS1において、工場にある製造設備の障害情報21が障害情報記憶部41に格納されているデータを障害情報管理部31が読込む。障害情報管理部31は、工場にある製造設備の障害情報21の報告を受けた時点で、設備のセンサ情報から過去に同様の障害が発生して、その設備の復旧に要した時間の履歴情報を検索して、統計的処理により復旧予測時刻341dを算出して、障害情報21とともに障害情報記憶部41に記憶しておく。または、過去に同様の障害が発生した履歴情報が無い場合には、作業員が設備の障害状況から復旧予測時刻341dを入力する。
次に、ステップS2において、作業情報が格納された作業情報記憶部44から作業情報管理部33が、生産ラインで製造中の製品の作業情報を読込む。
次に、ステップS3において、設備情報記憶部45から設備情報管理部34が、該当生産ラインの全ての設備情報を読み込む。および、同一設備制約管理部35が、同一設備制約記憶部46から同一設備制約情報を読込む。
次に、ステップS4において、生産ライン構成情報記憶部46から生産ライン構成情報管理部35が、該当生産ライン構成情報を読み込む。
ステップS4までで読み取った、障害発生直後の生産ライン構成情報の一例を図12に示す。本例では設備R4に障害が起きており、生産数を多くするためには、読み取った障害情報、作業情報、設備情報、同一設備制約情報、生産ライン構成情報から、生産ライン構成変更案を計算し、生産ライン構成を変更する必要がある。
ステップS5において、生産ライン構成計算部36は、S4で読込んだ生産ライン構成情報に対して、障害が発生した設備に割り付けてあった作業を前後の工程の設備、または同一工程の他設備へ割り付ける変更案を作成し、それに伴い作業情報記憶部44に記憶している作業を各設備に割り付けていき、暫定生産ライン構成を計算する。このとき、例えば、以下に示すような各制約を受ける。
〈制約1〉
設備情報記憶部45に示すように、各設備は装備できるツールが決まっている。各設備において、割り付けた作業の必要ツールが、設備情報記憶部に記憶されている装備可能なツールに登録されている制約を受ける。
〈制約2〉
設備情報記憶部45に示すように、各設備は割付ける事の出来る作業分類の数が決まっている。例えば、図8に示すように設備R001はドライバタイプを2つまでしか装備できない。各設備において、割り付いた作業の作業情報記憶部に記憶されている作業分類の総数が、設備情報記憶部に記憶されている作業分類数以下である制約を受ける。
〈制約3〉
変更案の生産ライン全体のツール総数は、障害発生直後のツール総数以下である制約を受ける。これは、障害発生直後に該当生産ラインが保有しているツール総数を越えて、新たなツールを他所から導入して、新たなツールを設備が装備することはできないことを意味する。(生産ラインが保有しているツールを使用して、障害発生時に速やかに生産ライン構成を変更して、障害復旧時までの生産を継続する解を探す。)
〈制約4〉
同一設備に割り付ける必要のある作業が存在する。例えば、ネジ締めを行わないと、製品が安定せずに部品配置ができない場合が考えられるが、この場合、ネジ締めと部品配置は同一設備に割り付ける制約を受ける。同一設備制約記憶部46に予め制約情報を定義しておく。
〈制約5〉
作業には先行関係制約がある。作業番号jの作業は、一つ前工程番号若しくは同一工程番号に作業番号(j-1)が割り付いている制約を受ける。
〈制約6〉
作業番号jをある設備に割り付ける際には、当該設備には、(1)作業番号(j-1)が割り付いているか、(2)作業番号(1〜j-1)の全てが割り付いていないか、どちらかを満たす必要がある。これはある設備に作業番号1と3が割り付くように、連続しない数の複数の作業番号が割り付くことを防ぐ制約となる。
〈制約7〉
作業番号jは障害発生直後の生産ライン構成において、同一工程の設備群に割り付ける必要がある。異なる工程間では、距離的に離れている場合があり、障害発生直後の生産ライン構成において、同一作業を異なる工程番号に跨った設備に割付ける事が出来ない制約を受ける。
以上の各制約を満たし、全ての作業を何れかの設備、もしくは複数の設備に割り付け、暫定生産ライン構成を計算する。
ステップS6において、生産ライン構成計算部36の生産ライン評価処理では、S5で計算された暫定生産ライン構成に対して評価を行う。基本的には、復旧予測時刻までの生産数を大きくすることが好ましい。
設備iに作業jを割付けるか否かを表す変数xijを設定する。ここで、設備iに作業jを割付ける場合はxij=1を設定し、割付けない場合はxij=0を設定する。作業情報記憶部44に記憶されている作業番号jの単一設備当たりの作業時間をtjとすると、作業jの作業時間tjを割当たった設備台数で除した値である作業タクトタイムTactjは数1で演算される。
Figure 0006850689
ここで、設備iの工程タクトタイムTactiは数2で演算される。
Figure 0006850689
生産ライン全体のタクトタイムMTactは数3のように、各設備の工程タクトタイムtactiの最大値で演算される。ここでIは全設備iの集合とする。
Figure 0006850689
ここで、障害情報記憶部41に記憶されている復旧予測時刻までの生産数は、各設備の装備の切り替え時間を考慮する必要がある。
図13に示すように、装備の切り替えに要する前段取り時間をTp、障害復旧後に従来の生産ライン構成へと戻すための後段取り時間をTa、現時刻から復旧予測時刻までの差分である復旧予測時間をTrとすると、生産ライン構成を変更した後の稼働時間はTr-Tp-Taとなるため、復旧予測時刻までの生産数MPは数4で演算される。
Figure 0006850689
例えば、上記例での段取り時間Tp、Taは、一回の装備切り替え時間を設定し、現行ラインと暫定生産ラインとの比較から、装備種類毎の装備変更回数を演算し、装備変更回数と設定した装備切り替え時間の積で求めることができる。
復旧予測時刻までの生産数MPが最大と保障される、もしくは計算時間などが上限になるまで、暫定生産ライン構成計算処理(ステップS5)と生産ライン評価処理(ステップS6)を繰り返し、計算が終了すると(ステップS7)、図14に示すような、変更前ライン構成と最も生産数MPの大きい変更後生産ライン構成結果を生産ライン構成出力部37が表示する(ステップS8)。生産ライン構成変更担当者はシステム画面を確認し、必要があれば生産ライン構成を調整する。
その後、ステップS9において、決定された暫定生産ライン構成に基づき、設備動作プログラム情報記憶部43へ作業ID、作業名、動作プログラム、装備ツール、ツール分類を、生産ライン構成情報記憶部47へ工程番号、設備ID、ツール名、工程タクトタイムを登録する。
以上のような処理により、各設備制約を満たしつつ、復旧時刻までの生産数を多くする暫定生産ライン構成を得る事ができる。
本実施形態では、ある製品の製造中に生産ライン中の設備にトラブルや障害が発生した時に、停止した設備を復旧させるまでの間、生産ラインが保有する残りの設備を使用して生産ライン構成を変更して、当該製品の製造をスループットを最大化するように継続するシステムについて説明した。本実施例で説明した生産ライン構成変更システムを適用して、例えば、現在製造中のある(第1の)製品を多少設計変更した第2の製品を、ある期間だけ現在の生産ラインが保有する設備を利用して、割り込みにて製造するニーズに応用することができる。
この場合には、第2の製品の作業情報は別途用意することになるが、第1の製品の作業情報とは差異は僅かであると仮定する。作業情報に差異がある作業を中心として、その前後の各作業を生産ラインの各設備に割り付ける暫定生産ライン構成を、第2の製品の製造終了予定時刻まで計算して求め、評価処理により決定した暫定生産ライン構成により設計変更された第2の製品を製造することに適用できる。
本実施例では、実施例1の設備のみに作業を割付けるのではなく、人と設備が協力する作業について、作業員へも作業を割付ける例を説明する。
図15は、本実施例の生産ライン構成変更システムのシステム構成図の例である。実施例1に加え、作業員情報管理部38と、作業員情報記憶部48を有する。
作業員情報記憶部48は、図16に示すように、作業員IDを格納する作業員IDフィールド348aと、作業員名348bと、該当作業員が作業する作業番号を格納する作業番号フィールド348cと、作業IDを格納する作業IDフィールド348dと、作業名を格納する作業名フィールド348eを有する。
実施例2の作業情報記憶部44は、図17に示すように、実施例1の作業情報記憶部44に加え、対象作業が作業員の協力を要するかの情報を格納する作業員協力フィールド344gを有する。
既に説明した図2に示された同一の符号を付された構成については、説明を省略する。
次に、本実施例の処理方法について説明する。
実施例2の生産ライン構成変更方法処理のフローチャートを図18に示す。ステップS5〜S7において暫定ライン構成を計算、評価して決定した後に、ステップS10において、必要作業員数を計算する。
作業員人数の考え方を図19、図20のアイテム別ガントチャートを用いて説明する。図19ではアイテム1とアイテム2の投入間隔をMTactとしている。この時、人協力作業である部品配置A81と部品配置C82に時間重複83が発生している。このため、部品配置Aに一人、部品配置Cに一人、合計二人の作業員が必要となる。
これに対して、図20では、アイテム1とアイテム2の投入間隔をMTact+αとしている。このときは、部品配置Aと部品配置Cに時間重複は発生しておらず、作業員84は部品配置Aを行ったあとに部品配置Cを行えば良いので、作業員は一人のみ必要となる。
ステップS10において、生産ライン構成計算部36の必要作業員数計算処理では、まず、ステップS6の暫定ライン構成の評価処理にて計算されたタクトタイムを投入間隔として、人協力作業数の重複数から必要作業員数を計算する。作業員情報記憶部48から求まる作業可能な作業員数を上回った場合、投入間隔を予め設定された増加時間(例えば、1分ずつ増加させる)だけ長くし、必要作業員数を再度計算する。必要作業員数が減少した場合は、この投入間隔を記憶する。これを投入間隔が作業時間の総和80となるまで繰り返すことで、必要作業員数ごとの投入間隔が記憶される。
ステップS11において、生産ライン構成出力部37の生産ライン構成表示処理は、図21に示すように、必要作業員数ごとの生産ライン構成が表示される。生産ライン構成変更担当者は、システム画面を確認し、生産ライン構成の必要人員数(作業員85,86は、工程3においては交代で設備R5と共同作業を行い、工程4においては作業員85は設備R6と共同作業を行い、作業員86は設備R7と共同作業を行う)に応じて応援要請や投入間隔などを検討する。
その後、ステップS12において、決定された暫定生産ライン構成に基づき、設備動作プログラム情報記憶部43へ作業ID、作業名、動作プログラム、装備ツール、ツール分類を、生産ライン構成情報記憶部47へ工程番号、設備ID、ツール名、工程タクトタイムを、作業員情報記憶部48に、作業員に割当てた作業番号、作業ID、作業名を登録する。
以上のような処理により、各設備や作業員制約を満たしつつ、復旧時刻までの生産数を多くする暫定生産ライン構成を得る事ができる。
本実施形態では、ある製品の製造中に生産ライン中の設備にトラブルや障害が発生した時に、停止した設備を復旧させるまでの間、生産ラインが保有する残りの設備を使用して生産ライン構成を変更して、当該製品の製造をなるべくスループットを大きく、かつ必要作業員数をなるべく少なくなるように継続するシステムについて説明した。本実施例で説明した生産ライン構成変更システムを適用して、例えば実施例1と同様に、現在製造中のある(第1の)製品を多少設計変更した第2の製品を、ある期間だけ現在の生産ラインが保有する設備を利用して、割り込みにて製造するニーズに応用することができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換える事が可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加える事も可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計するなどによりハードウェアで実現しても良い。また、上記の各構成、各機能は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行する事によりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
11 生産ライン構成変更システム
12 障害情報管理モジュール
13 作業指示モジュール
14 生産ライン構成計算モジュール
15 表示端末モジュール
21 工場にある製造設備の障害情報
22 作業員による端末からの障害情報
23 生産ライン構成変更案
24 工場へダウンロードされる作業割付や動作プログラム
31 障害情報管理部
32 動作プログラム情報管理部
33 作業情報管理部
34 設備情報管理部
35 同一設備制約管理部
36 生産ライン構成計算部
37 生産ライン構成出力部
38 作業員情報管理部
41 障害情報記憶部
42 作業動作プログラム情報記憶部
43 設備動作プログラム情報記憶部
44 作業情報記憶部
45 設備情報記憶部
46 同一設備制約記憶部
47 生産ライン構成情報記憶部
48 作業員情報記憶部
60 演算装置
61 入力装置
62 出力装置
63 補助記憶装置
64 中央演算処理装置(CPU)
65 主記憶装置
66 インターフェース
71 ネットワーク
80 作業時間の総和
81 部品配置A
82 部品配置C
83 時間重複
84〜86 作業員

Claims (9)

  1. 生産ラインの設備に発生した障害情報を記憶する障害情報記憶部と、
    製品の製造に必要な作業内容を記憶する作業情報記憶部と、
    設備に装備可能なツールの制約情報を記憶する設備情報記憶部と、
    前記製品の製造工程順に、前記製造工程における作業内容と、作業割り付け設備と、前記設備に装着されたツールと、工程タクトタイムとを記憶する生産ライン構成情報記憶部と、
    障害発生直後に起動され、前記生産ラインが保有する設備、ツールを使用して、前記生産ライン構成情報記憶部が記憶する生産ライン構成情報に対して、障害が発生した設備に割り付けてあった作業を前後の工程の設備、または同一工程の他設備へ割り付ける変更案を作成して、暫定生産ライン構成を計算する生産ライン構成計算部と、
    を備えたことを特徴とする生産ライン構成変更システム。
  2. 同一設備に割り付けるべき複数の作業情報の制約を記憶する同一設備制約記憶部を更に備え、
    前記生産ライン構成計算部は、前記設備情報記憶部に記憶する制約情報、及び前記同一設備制約記憶部に記憶する制約情報を満たすように、前記暫定生産ライン構成を計算することを特徴とする請求項1に記載の生産ライン構成変更システム。
  3. 前記生産ライン構成計算部は、複数の変更案により算出した暫定生産ライン構成のうち、障害が発生した設備の復旧予測時刻まで、装備の切り替えに要する段取り時間を差し引いた稼動時間に、最大の生産数を見込める暫定生産ライン構成を採用することを特徴とする請求項1に記載の生産ライン構成変更システム。
  4. 前記設備情報記憶部に記憶する制約情報、及び前記同一設備制約記憶部に記憶する制約情報が、設備に装備できるツール分類毎の最大数、同一設備に割り付ける必要のある作業群、変更後の生産ライン構成のツール総数が障害発生直後の生産ラインが保有しているツール総数以下、を含むことを特徴とする請求項2に記載の生産ライン構成変更システム。
  5. 前記生産ライン構成計算部が、生産ラインの設備に障害が発生したのではなく、設計変更した第2の製品の製造の依頼により起動され、前記生産ラインが保有する設備、ツールを使用して、前記生産ライン構成情報記憶部が記憶する生産ライン構成情報に対して、第2の製品に特有な作業を前記生産ラインの設備に割り付ける変更案を作成して、暫定生産ライン構成を計算することを特徴とする請求項1に記載の生産ライン構成変更システム。
  6. 作業員が作業する作業内容を記憶する作業員情報記憶部を更に備え、
    前記生産ライン構成計算部が、製品の投入間隔を多少増加させても、設備と共同作業を行う作業員の数を減らすことが可能な暫定生産ライン構成を計算することを特徴とする請求項3に記載の生産ライン構成変更システム。
  7. 各作業の動作プログラムを記憶する作業動作プログラム情報記憶部と、各設備に割り付けている動作プログラムを記憶する設備動作プログラム情報記憶部とを更に備え、
    前記生産ライン構成計算部が、前記暫定生産ライン構成算出結果に従って、生産ラインの該当設備の該当作業動作プログラムを変更する事を特徴とする請求項1に記載の生産ライン構成変更システム。
  8. 前記生産ライン構成計算部は、変更前の生産ライン構成と変更後の暫定生産ライン構成の差分から、装備ツール切換え数を演算し、装備ツール切換え数から段取り時間を演算することを特徴とする請求項3に記載の生産ライン構成変更システム。
  9. 計算機により生産ライン構成を変更する方法であって、
    生産ラインを構成する設備に障害が発生して該当設備が停止した場合に、前記生産ラインが保有する設備、ツールを使用して、障害発生前の生産ライン構成情報に対して、障害が発生した設備に割り付けてあった作業を前後の工程の設備、または同一工程の他設備へ割り付ける変更案を作成して、暫定生産ライン構成を計算し、
    前記暫定生産ライン構成を計算する際に、設備に装備できるツール分類毎の最大数、同一設備に割り付ける必要のある作業群、及び変更後の生産ライン構成のツール総数が障害発生直後の生産ラインが保有しているツール総数以下とする制約を満たす暫定生産ライン構成のみを計算し、
    複数の変更案により算出した暫定生産ライン構成のうち、障害が発生した設備の復旧予測時刻まで、装備の切り替えに要する段取り時間を差し引いた稼動時間に、最大の生産数を見込める暫定生産ライン構成を採用する決定を行い、
    決定した前記暫定生産ライン構成に従って、生産ラインの該当設備の該当作業動作プログラムを変更することを特徴とする生産ライン構成変更方法。
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