JP6848559B2 - 時間計測装置、および距離計測装置 - Google Patents
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Description
本発明は、時間差の測定精度について、温度変化の影響を受けづらい時間計測装置を提供することを目的とする。
以降の説明では、基準クロックの立ち上がりに応じて、フリップフロップ列1022から進行状況数列を読み出すものとして説明する。ある基準クロックの立ち上がり時に、例えば、図2のように遅延素子列1021上の6番目から8番目の遅延素子の電位が立ち上がっているような電位分布となっている場合、時間計測回路本体102は、その電位を検知したことを示す信号列Nを含む進行状況数列を出力する。つまり、進行状況数列は、遅延素子列1021内の電位分布を示す信号列である。例えば、進行状況数列は、遅延素子列1021上の高電位部分に対応して出力される信号(例えば、1)列と、遅延素子列1021上の低電位部分であることを示す信号(例えば、0)列とにより構成される。
キャリブレーション制御について説明する。既述したように、遅延素子の遅延時間は温度により変化するので、基準クロックの1周期に対応する遅延素子の数を定期的に確認する。この基準クロックの1周期に対応する遅延素子の数を確認する制御を、本明細書では、キャリブレーション制御と呼ぶ。
時間計測について説明する。既述したように、時間計測装置100は、基準クロック発生部105により出力された基準クロックの周期毎に、時間計測回路本体102内の遅延素子列1021における被測定信号(パルス信号)の進行状況を表す進行状況数列を取り込む。この取り込んだ進行状況数列は、記述したキャリブレーション制御の場合と同様に、時間測定部200内のメモリ202に転送され、メモリ202内の保存用メモリ2021へ保存される。
エッジ抽出処理について説明する。既述したように、時間計測装置100は、測定開始信号の入力タイミングと被測定信号(パルス信号)の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジまでの時間を計測する。そのため、進行状況数列において、必要な情報はエッジ位置(進行状況数列の並びが“10”または“01”となる位置)である。そこで、時間測定部制御部201内の数列解析部により行なわれる、進行状況数列内のエッジ抽出について、図5を用いて説明する。図5(A)が立ち上がりエッジを抽出する説明図であり、図5(B)が立ち下がりエッジを抽出する説明図である。
マスク処理について説明する。既述したように、遅延素子列1021における遅延素子の数は、遅延素子の遅延時間が温度変化により変化することを考慮して、遅延素子の遅延時間の合計が基準クロックの1周期の時間以上となる数である。進行状況数列のビット数は遅延素子の数と1対1で対応しているので、進行状況数列のビット数は基準クロックの1周期よりも長い。そして、進行状況数列のLSBが最も新しいビットであり、進行状況数列のMSBが最も古いビットである。つまり、図6(A)及び(B)に示されているn番目(nは整数)に取り込んだ進行状況数列において、基準クロックの1周期に対応するビット数よりもMSB側に存在するビットはn−1番目に取り込んだ進行状況数列である。同様に、図6(A)及び(B)のに示されているn+1番目に取り込んだ進行状況数列において、基準クロックの1周期に対応するビット数よりもMSB側に存在するビットはn番目に取り込んだ進行状況数列である。このように、n番目に取り込んだ進行状況数列には、n−1番目に取り込んだ進行状況数列が含まれており、n+1番目に取り込んだ進行状況数列には、n番目に取り込んだ進行状況数列が含まれている。換言すると、取り込んだ進行状況数列には、前回取り込んだ進行状況数列が含まれている。そこで、既既述したエッジ抽出処理で作成したエッジ抽出数列と述したキャリブレーション制御で作成したマスク数列とのANDをとることにより、重複している前回取り込んだ進行状況数列をマスクする。図6(A)では、n番目に取り込んだ進行状況数列の6番目と7番目のビットがエッジ位置を表す“01”であり、このエッジ位置は、n+1番目に取り込んだ進行状況数列においても存在している。図6(B)は、エッジ抽出数列とマスク数列とのANDをとった後のエッジ抽出数列であり、n+1番目に取り込んだ進行状況数列では、n番目に取り込んだ進行状況数列ではエッジ位置を表す“01”はマスクされている。
既述したように、基準クロックの立ち上がりに応じて、フリップフロップ列1022から進行状況数列を読み出すが、被測定信号(パルス信号)の立ち上がりエッジ位置または立ち下がりエッジ位置において、遅延素子列1021上の電位が、高電位部分と低電位部分の間の電位となっている可能性がある。そのため、進行状況数列において、エッジ位置(進行状況数列の並びが“10”または“01”となる位置)は1bit(遅延素子1個分)の範囲で変動しうる。ここで、遅延素子1個分の時間は測定誤差として許容できるので、通常は問題とならない。しかしながら、基準クロック1周期分の区切りに位置する遅延素子の電位が高電位部分と低電位部分の間となり、エッジ位置が1bit分ずれると、既述したマスク処理により、重複している前回取り込んだ進行状況数列をマスクすることで、基準クロック1周期分の中に、エッジ位置が存在しないこととなり、本来あるべきエッジが検出できない、という問題が発生する。この問題を解決するために、誤り検出処理を行なう。この誤り検出処理では、進行状況数列に含まれている前回取り込んだ進行状況数列を利用する。
数値化演算部2013は、エッジ抽出数列におけるエッジ位置を時間に変換する。具体的には、そのエッジ抽出数列の母体となった進行状況数列を取り込んだカウンタ値がxであり、そのエッジ抽出数列におけるエッジ位置がLSB側からy番目であり、キャリブレーション制御で得られた遅延素子一個分の遅延時間がΔtであり、基準クロックの1周期の時間がPであるならば、測定開始信号からそのエッジ抽出数列におけるエッジまでの時間Tは、T=(P×x)−(Δt×y)により計算することができる。
既述した時間計測装置100を適用した距離計測装置であるLidar(Light Detection and Ranging、またはLaser Imaging Detection and Ranging)について説明する。図8は、上記Lidar800の構成を示すブロック図である。図8に示すように、Lidar800では、制御部801の命令で半導体レーザー(発光手段802)からパルス状のレーザーが射出される。射出されたレーザーは、図示されていないポリゴンミラーで所望の方向へ偏向され、対象物で反射されて受光手段803で電気信号に変換され、二値化手段804でパルス状となった受光信号となる。
102 時間計測回路本体
1021 遅延素子列1021
1022 フリップフロップ部1022
105 基準クロック生成部
200 時間測定部
201 時間測定部制御部
2011 キャリブレーション制御部
2012 数列解析部
2013 数値化演算部
800 距離計測装置(Lidar)
801 距離計測装置(Lidar)の制御手段
802 距離計測装置(Lidar)の発光手段
803 距離計測装置(Lidar)の受光手段
804 距離計測装置(Lidar)の二値化手段
805 距離計測装置(Lidar)の通信手段
Claims (6)
- 複数の遅延素子を有する遅延回路と、所定の周期で基準クロックを出力する基準クロック生成部と、を有する時間計測装置であって、
前記遅延回路には、パルス信号である被測定信号が入力され、該遅延回路は、該被測定信号の速度を遅らせて回路内を通過させ、
前記基準クロック生成部は、測定開始信号に基づいて、前記基準クロックを開始し、
前記時間計測装置は、
前記基準クロックの1周期毎に、前記遅延回路における各遅延素子の電位を読み出し、該読み出した電位が閾値に基づき、高いレベルを0または1の一方とし、低いレベルを0または1の他方とすることで、前記複数の遅延素子の個数に応じた進行状況数列を作成し、
前記基準クロックの周期と、前記遅延素子の遅延時間と、前記進行状況数列における01または10の変化位置に対応する遅延素子の個数、とに基づいて、前記測定開始信号から前記被測定信号におけるパルスの立ち上がり、または立下りまでの時間を計測する時間測定部と、を有し、
前記基準クロックを前記遅延回路へ入力して、該基準クロックの進行状況数列を作成することで、該基準クロックの1周期に対応する前記遅延回路における遅延素子の個数を求めるキャリブレーション制御により前記遅延素子の遅延時間を求め、
前記遅延回路における遅延素子の個数は、該遅延回路における遅延時間が、前記基準クロックの1周期よりも長い個数であり、
前記時間測定部は、
前記キャリブレーション制御により求めた前記基準クロックの1周期に対応する前記遅延回路における遅延素子の個数分だけを前記進行状況数列から抽出するマスク数列を作成し、該マスク数列を用いて前記進行状況数列から該遅延素子の個数分に対応する解析用数列を作成し、
前記解析用数列と、前記求めた遅延素子の遅延時間とに基づいて、前記測定開始信号から前記被測定信号におけるパルスの立ち上がり、または立下りまでの時間を計測すること
を特徴とする時間計測装置。 - 前記時間測定部は、
前記進行状況数列において、時間的に新しい側の端部を最下位ビット、時間的に古い側の端部を最上位ビット、と定義すると、前記マスク数列を用いて前記進行状況数列のビット数を遅延素子の個数分のみとした前記解析用数列を作成し、
前記解析用数列の元となった前記進行状況数列を前記遅延回路から読み出した際の回数をカウントするカウント値をx、前記キャリブレーション制御により求めた前記遅延素子の遅延時間をΔt、基準クロックの1周期の時間をP、前記解析用数列におけるエッジ位置が最下位ビットからy番目であるときの前記測定開始信号から該解析用数列におけるエッジ位置までの時間Tを、T=(P×x)−(Δt×y)により求めること
を特徴とする請求項1に記載の時間計測装置。 - 前記時間測定部は、
前記遅延回路からn周期目の基準クロックで読み出したn番目(ただし、nは整数)の進行状況数列と前記遅延回路からn+1周期目の基準クロックで読み出したn+1番目の進行状況数列とを比較し、前記n+1番目の進行状況数列において前記基準クロックの1周期に対応する前記遅延回路における遅延素子の個数よりも1ビットMSB側に位置する数値が、前記n番目の進行状況数列における最下位ビットに位置する数値と異なっている場合は、前記前記n+1番目の進行状況数列において前記基準クロックの1周期に対応する前記遅延回路における遅延素子の個数よりも1ビットMSB側に位置する数値を、前記n番目の進行状況数列における最下位ビットに位置する数値に書き換える誤り訂正処理を行い、
前記誤り訂正処理を行なった後に、前記n+1番目の進行状況数列について、該n+1番目の進行状況数列と、該n+1番目の進行状況数列を最下位ビット側に1bitシフトさせて反転させた第1の進行状況シフト反転数列とのANDをとることで、立ち上がりエッジ抽出数列を作成し、
前記立ち上がりエッジ抽出数列と前記マスク数列とを用いて前記n+1番目の進行状況数列のビット数を遅延素子の個数分のみとしたn+1番目の立ち上がりエッジ解析用数列を作成し、
前記キャリブレーション制御により求めた前記遅延素子の遅延時間をΔt、基準クロックの1周期の時間をP、前記立ち上がりエッジ解析用数列におけるエッジ位置が最下位ビットからy番目であるときの前記測定開始信号から該立ち上がりエッジ解析用数列における立ち上がりエッジ位置までの時間THを、TH=(P×(n+1))−(Δt×y)により求めること
を特徴とする請求項2に記載の時間計測装置。 - 前記時間測定部は、
前記遅延回路からn周期目の基準クロックで読み出したn番目(ただし、nは整数)の進行状況数列と前記遅延回路からn+1周期目の基準クロックで読み出したn+1番目の進行状況数列とを比較し、前記n+1番目の進行状況数列において前記基準クロックの1周期に対応する前記遅延回路における遅延素子の個数よりも1ビットMSB側に位置する数値が、前記n番目の進行状況数列における最下位ビットに位置する数値と異なっている場合は、前記前記n+1番目の進行状況数列において前記基準クロックの1周期に対応する前記遅延回路における遅延素子の個数よりも1ビットMSB側に位置する数値を、前記n番目の進行状況数列における最下位ビットに位置する数値に書き換える誤り訂正処理を行い、
前記誤り訂正処理を行なった後に、前記n+1番目の進行状況数列について、該n+1番目の進行状況数列を反転させた数列である進行状況反転数列と、該n+1番目の進行状況数列を最下位ビット側に1bitシフトさせて反転させた第1の進行状況シフト反転数列とのANDをとることで、立ち下がりエッジ抽出数列を作成し、
前記立ち下がりエッジ抽出数列と前記マスク数列とを用いて前記n+1番目の進行状況数列のビット数を遅延素子の個数分のみとしたn+1番目の立ち下がり解析用数列を作成し、
前記キャリブレーション制御により求めた前記遅延素子の遅延時間をΔt、基準クロックの1周期の時間をP、前記立ち下がり解析用数列におけるエッジ位置が最下位ビットからy番目であるときの前記測定開始信号から該立ち下がり解析用数列における立ち下がりエッジ位置までの時間TLを、TL=(P×(n+1))−(Δt×y)により求めること
を特徴とする請求項2に記載の時間計測装置。 - 前記キャリブレーション制御において、基準クロックの進行状況数列から、基準クロックの1周期を判定するための立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジの少なくとも一方が見つからない場合、基準クロック生成部は、基準クロックの位相を反転して、前記遅延回路へ入力することを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の時間計測装置。
- 物体による反射光を受光し、測定開始信号から反射光を受光するまでの時間を計測することで、前記物体までの距離を検出する距離検出装置において、請求項1ないし5の何れか1項に記載の時間計測装置を用いて、前記測定開始信号から前記反射光を受光するまでの時間を計測することを特徴とする距離検出装置。
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