JP6846000B2 - ポリエチレンフィルムおよびそれを用いた包装体 - Google Patents
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本発明によるポリエチレンフィルムを図面を参照しながら説明する。図1は、本発明によるポリエチレンフィルムの断面概略図である。ポリエチレンフィルム1は、一方の面10にのみ電子線が照射されており、電子線が照射された面10と、電子線が照射されていない他方の面20とで、ポリエチレンの架橋密度が異なっている。
ゲル分率(質量%)=(Z−Y)/X×100 (1)
本発明によるポリエチレン積層フィルムは、図2に示すように、上記したポリエチレンフィルム1と、ポリエチレンフィルム1の前記電子線照射が行われていない面20側に、両面とも電子線が照射されていないポリエチレンフィルム2を貼り合わせた層構成を有するものである。上記した電子線を照射したポリエチレンフィルム1は、フィルム中を電子線が透過することにより、電子線照射が行われていない面側であってもポリエチレン分子鎖が架橋する場合があり、電子線照射が行われていない面側のヒートシール性が通常のポリエチレンフィルムよりも劣ることがある。上記のような積層フィルムとすることにより、同一材料(ポリエチレン)を使用しながら、表裏で異なる物性(例えば、強度や耐熱性)が異なる積層フィルムとすることができる。両面とも電子線が照射されていないポリエチレンフィルムとしては、上記したものと同様のものを使用することができる。したがって、積層フィルムとした場合であっても、同じポリエチレンを使用しているためリサイクルを容易に行うことができる。
本発明による包装体は、上記した一方の面にのみに電子線が照射されてなるポリエチレンフィルムを、電子線照射が行われていない面側が内側になるように二つ折にして重ね合わせて、その端部をヒートシールすることにより製造することができる。シール方法により、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型、その他等のヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態の包装体を製造することができる。その他、例えば、自立性包装用袋(スタンデイングパウチ)等も可能である。ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
直鎖状低密度ポリエチレン(エボリューSP2020、プライムポリマー社製)を用いてインフレーション成膜機により、厚み120μmの未延伸ポリエチレンフィルムAを得た。また、成膜条件を変更した以外は上記と同様にして厚み80μmの未延伸ポリエチレンフィルムBを得た。
さらに、低密度ポリエチレン(LD2420H、PTTケミカル社製)を使用した以外は上記と同様にして、厚み120μmおよび80μmの未延伸ポリエチレンフィルムCおよび未延伸ポリエチレンフィルムDを得た。
準備したポリエチレンフィルムAの一方の面に、電子線照射装置(ライン照射型低エネルギー電子線照射装置EES−L−DP01、浜松ホトニクス株式会社製)を用いて以下の条件にて電子線を照射し、片面にのみ電子線が照射されたポリエチレンフィルム1を得た。
電圧:70kV
電流:1mA
照射線量:650kGy
装置内酸素濃度:100ppm以下
実施例1において、電子線の照射線量を430kGyに変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエチレンフィルム2を得た。
実施例2において、ポリエチレンフィルムとして未延伸ポリエチレンフィルムBを用いた以外は実施例2と同様にしてポリエチレンフィルム3を得た。
実施例1において、ポリエチレンフィルムとして未延伸ポリエチレンフィルムCを用いた以外は実施例1と同様にしてポリエチレンフィルム4を得た。
実施例4において、電子線の照射線量を430kGyに変更した以外は、実施例4と同様にしてポリエチレンフィルム5を得た。
実施例5において、ポリエチレンフィルムとして未延伸ポリエチレンフィルムDを用いた以外は実施例5と同様にしてポリエチレンフィルム6を得た。
実施例1において、電子線を照射する前の未延伸ポリエチレンフィルムAをポリエチレンフィルム7とした。
実施例1〜6および比較例1の各ポリエチレンフィルムを10cm×10cmにカットしてサンプル片を作製し、このサンプル片を、電子線を照射しなかった側の面が内側になるように二つ折りにし、ヒートシールテスターを用いて、温度180℃、圧力1kgf/cm2、1秒の条件にて1cm×10cmの領域をヒートシールした。なお、比較例1のポリエチレンフィルム7は両面とも電子線を照射していないため、表裏の区別なく二つ折りにして、ヒートシールを行った。
○:表面が溶融しておらず外観上の問題がない
×:表面が溶融しており、外観上の問題がある
評価結果は下記の表1に示される通りであった。
Claims (5)
- 包装体作製用ポリエチレン積層フィルムであって、
未延伸ポリエチレンフィルムの一方の面にのみ電子線が照射されてなるポリエチレンフィルムであって、前記電子線が照射された面と、電子線が照射されていない他方の面とで、ポリエチレンの架橋密度が異なるポリエチレンフィルムと、
前記未延伸ポリエチレンフィルムの前記電子線照射が行われていない面側に設けられた、両面とも電子線が照射されていない未延伸ポリエチレンフィルムと、を備え、
前記一方の面にのみ電子線が照射されてなるポリエチレンフィルムと、前記両面とも電子線が照射されていない未延伸ポリエチレンフィルムとの間に、バリア膜をさらに備え、
前記バリア膜が蒸着膜であり、
前記一方の面にのみ電子線が照射されてなる未延伸ポリエチレンフィルム、および前記両面とも電子線が照射されていない未延伸ポリエチレンフィルムが、樹脂として、ポリエチレンのみを含み、
前記ポリエチレンが、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、包装体作製用ポリエチレン積層フィルム。 - 請求項1に記載のポリエチレン積層フィルムからなる包装体であって、前記積層フィルムの両面とも電子線が照射されていない未延伸ポリエチレンフィルム側が、ヒートシールされてなる、包装体。
- 請求項1に記載の包装体作製用ポリエチレン積層フィルムの製造方法であって、
未延伸ポリエチレンフィルムの一方の面にのみ電子線が照射されてなるポリエチレンフィルムであって、前記電子線が照射された面と、電子線が照射されていない他方の面とで、ポリエチレンの架橋密度が異なるポリエチレンフィルムを準備する工程と、
前記ポリエチレンフィルムの前記電子線照射が行われていない面に、バリア膜を設ける工程と、
前記バリア膜上に、両面とも電子線が照射されていない未延伸ポリエチレンフィルムを設ける工程と、
を含む、包装体作製用ポリエチレン積層フィルムの製造方法。 - 前記電子線の線量が20〜1000kGyである、請求項3に記載の包装体作製用ポリエチレン積層フィルムの製造方法。
- 前記電子線の加速電圧が30〜300kVである、請求項3または4に記載の包装体作製用ポリエチレン積層フィルムの製造方法。
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