JP6802992B2 - ポリエチレンフィルムおよびそれを用いた包装体 - Google Patents
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Description
本発明によるポリエチレンフィルムを図面を参照しながら説明する。図1は、本発明によるポリエチレンフィルムの断面概略図である。ポリエチレンフィルム1は、一方の面10にのみ電子線が照射されており、電子線が照射された面10と、電子線が照射されていない他方の面20とで、ポリエチレンの架橋密度が異なっている。
ゲル分率(質量%)=(Z−Y)/X×100 (1)
本発明によるポリエチレン積層フィルムは、図2に示すように、上記したポリエチレンフィルム1と、ポリエチレンフィルム1の前記電子線照射が行われていない面20側に、両面とも電子線が照射されていないポリエチレンフィルム2を貼り合わせた層構成を有するものである。上記した電子線を照射したポリエチレンフィルム1は、フィルム中を電子線が透過することにより、電子線照射が行われていない面側であってもポリエチレン分子鎖が架橋する場合があり、電子線照射が行われていない面側のヒートシール性が通常のポリエチレンフィルムよりも劣ることがある。上記のような積層フィルムとすることにより、同一材料(ポリエチレン)を使用しながら、表裏で異なる物性(例えば、強度や耐熱性)が異なる積層フィルムとすることができる。両面とも電子線が照射されていないポリエチレンフィルムとしては、上記したものと同様のものを使用することができる。したがって、積層フィルムとした場合であっても、同じポリエチレンを使用しているためリサイクルを容易に行うことができる。
本発明による包装体は、上記した一方の面にのみに電子線が照射されてなるポリエチレンフィルムを、電子線照射が行われていない面側が内側になるように二つ折にして重ね合わせて、その端部をヒートシールすることにより製造することができる。シール方法により、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型、その他等のヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態の包装体を製造することができる。その他、例えば、自立性包装用袋(スタンデイングパウチ)等も可能である。ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
直鎖状低密度ポリエチレン(プライムポリマー社製、商品名:エボリューSP2020)にスチレン系エラストマー(クラレ(株)社製、商品名:ハイブラー7125)を質量比で、4:1となるようにドライブレンドし、樹脂組成物を得た。
電圧:70kV
電流:1mA
照射線量:650kGy
装置内酸素濃度:100ppm以下
実施例1において、電子線の照射線量を430kGyに変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン積層フィルムを得た。
低密度ポリエチレン(PTT社製、商品名:LD2420H)にスチレン系エラストマー(クラレ(株)社製、商品名:ハイブラー7311)を質量比で、3:2となるようにドライブレンドし、樹脂組成物を得た。
実施例3において、電子線の照射線量を430kGyに変更した以外は、実施例3と同様にしてポリエチレン積層フィルムを得た。
直鎖状低密度ポリエチレン(プライムポリマー社製、商品名:エボリューSP2020)にエチレン−メチルアクリレート共重合体(LOTRYL製、商品名:18MA02)を質量比で、4:1となるようにドライブレンドし、樹脂組成物を得た。
実施例5において、電子線の照射線量を430kGyに変更した以外は、実施例5と同様にしてポリエチレン積層フィルムを得た。
直鎖状低密度ポリエチレン(プライムポリマー社製、商品名:エボリューSP2020)にスチレン系エラストマー(クラレ(株)社製、商品名:ハイブラー7125)を質量比で、9:1となるようにドライブレンドし、樹脂組成物を得た。
実施例7において、電子線の照射線量を430kGyに変更した以外は、実施例7と同様にポリエチレンフィルムを得た。
直鎖状低密度ポリエチレン(プライムポリマー社製、商品名:エボリューSP2020)をインフレーション成膜し、厚さ120μmのポリエチレンフィルムを得た。
電子線を照射しなかった以外は、実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
比較例1により得られたポリエチレンフィルムの一方の面に、電子線照射装置(ライン照射型低エネルギー電子線照射装置EES−L−DP01、浜松ホトニクス株式会社製)を用いて、実施例1と同様の条件にて電子線を照射し、片面にのみ電子線が照射されたポリエチレンフィルムを得た。
(外観評価)
実施例1〜8および比較例1〜3の各フィルムを10cm×10cmにカットしてサンプル片を3つずつ作製した。このサンプル片を、電子線を照射しなかった側の面が内側になるように二つ折りにし、ヒートシールテスターを用いて、温度を180℃、圧力1kgf/cm2、1秒の条件にて1cm×10cmの領域をヒートシールした。温度を190℃、200℃と変更した以外は、残り2つの各サンプル片も同様にして、ヒートシールをした。なお、比較例1のポリエチレンフィルムは両面とも電子線を照射していないため、表裏の区別なく二つ折りにして、ヒートシールを行った。また、比較例2については、樹脂組成物からなる層が外側となるようにした。
○:200℃でヒートシールした場合であっても、表面が溶融しておらず外観上の問題がない
△:190℃でヒートシールした場合、表面が溶融しており、外観上の問題がある
×:180℃でヒートシールした場合、表面が溶融しており、外観上の問題がある
評価結果は下記の表1に示される通りであった。
また、ヒートシール後のサンプル片を15mm幅で短冊状に切り、ヒートシールしなかった両端部を引張試験機に把持し、速度300mm/分、荷重レンジ50Nの条件にて剥離強度(N/15mm)を測定した。測定結果は下記の表1に示される通りであった。
実施例1〜6および比較例1〜2の各フィルムを1gとなるようにカットしてサンプル片を作製し、5gの400メッシュステンレス金網で包み、キシレン100ml中に120℃で24時間浸漬した。その後、ステンレス金網で包んだサンプル片を80℃で16時間真空乾燥した後、質量を測定し、ゲル分率を求めた。
Claims (7)
- 一方の面にのみ電子線が照射されてなる、包装体作製用ポリエチレンフィルムであって、
ポリエチレンおよび架橋剤を含んでなり、
前記電子線が照射された面と、電子線が照射されていない他方の面とで、ポリエチレンの架橋密度が異なり、
前記ポリエチレンフィルムにおける架橋剤は、スチレン系エラストマー、エチレン−アクリレート共重合体およびエチレン―アクリル酸エステル―グリシジルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記ポリエチレンフィルムにおける架橋剤の含有量は、1〜49質量%であり、
1枚の包装体作製用ポリエチレンフィルムのみをヒートシールして包装体が作製されることを特徴とする、包装体作製用ポリエチレンフィルム。 - 前記ポリエチレンが、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレンと他のモノマーとの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の包装体作製用ポリエチレンフィルム。
- 前記ポリエチレンフィルムを1gとなるようにカットしてサンプル片を作製し、5gの400メッシュステンレス金網で包み、キシレン100ml中に120℃で24時間浸漬し、ステンレス金網で包んだサンプル片を80℃で16時間真空乾燥した後、質量を測定することにより求められる、ゲル分率が20〜80%である、請求項1または2に記載の包装体作製用ポリエチレンフィルム。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の包装体作製用ポリエチレンフィルムからなる包装体であって、前記ポリエチレンフィルムの前記電子線照射が行われていない面側がヒートシールされてなる、包装体。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の包装体作製用ポリエチレンフィルムの製造方法であって、
ポリエチレンフィルムを準備する工程と、
前記ポリエチレンフィルムの一方の面に対し、電子線を照射する工程と、
を含む、包装体作製用ポリエチレンフィルムの製造方法。 - 前記電子線の線量が10〜2000kGyである、請求項5に記載の包装体作製用ポリエチレンフィルムの製造方法。
- 前記電子線の加速電圧が30〜300kVである、請求項5または6に記載の包装体作製用ポリエチレンフィルムの製造方法。
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