JP6740592B2 - 積層体およびそれを用いた包装体 - Google Patents
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Description
本発明による積層体を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明による積層体10の断面概略図である。積層体10は、両面に電子線が照射されたポリエチレンフィルム基材1と、両面とも電子線が照射されていないポリエチレンフィルム層2とを備えてなる。また、一実施形態において、図2に示すように、積層体10は、両面に電子線が照射されたポリエチレンフィルム基材1と、片面が電子線照射されていないポリエチレンフィルム層2とを備えてなる。このとき、電子線照射されていないポリエチレンフィルム層の面が最外面となるように積層されていることが好ましい。ポリエチレンフィルム層の電子線照射されていない面が最外面であることにより、積層体のヒートシール性を維持することができる。また、一実施形態において、積層体は、図3に示すように、両ポリエチレンフィルム基材1と、ポリエチレンフィルム層2との間に、バリア膜3が設けられていてもよい。
本発明による積層体が備えるポリエチレンフィルム基材は、ポリエチレンフィルムからなり、その両面が、電子線照射されたものである。また、このポリエチレンフィルム基材は単層であっても、複数のポリエチレンフィルムからなる積層基材であってもよい。積層体がこのようなポリエチレンフィルム基材を備えてなることにより、積層体表面の耐熱性および強度が向上し、包装体などの外層として要求される物性を満足できる。
ゲル分率(質量%)=(Z−Y)/X×100 (1)
本発明による積層体が備えるポリエチレンフィルム層は、ポリエチレンフィルムからなり、その少なくとも片面が、電子線照射されていないことを特徴とする。積層体がこのような層を備えることにより、同一材料(ポリエチレン)を使用しながら、基材と、その基材上に設けられた層とで異なる物性(例えば、強度や耐熱性)が異なる積層体とすることができる。ポリエチレンフィルム層を構成する材料としては、上記したポリエチレンフィルムで使用した材料と同様のものを使用することができる。したがって、同じポリエチレンを使用しているためリサイクルを容易に行うことができる。
本発明による積層体は、所望により、ポリエチレンフィルム基材と、ポリエチレンフィルム層との間にバリア膜を備えていてもよい。バリア膜としては、アルミニウム箔などの金属箔のほか、アルミニウムなどの金属やアルミニウム酸化物、珪素酸化物などの無機酸化物をポリエチレンフィルム層の表面に蒸着することにより形成することができる。蒸着方法としては、従来公知の方法を採用でき、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法などの化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)などを挙げることができる。なお、包装用材料に用いられる透明積層体からなるフィルムを製造する場合には、主に、真空蒸着法を用い、一部、プラズマ化学気相成長法も用いられる。
本発明による包装体は、上記した積層体を、両面が電子線照射されたポリエチレンフィルム基材が外側、ポリエチレンフィルム層が内側、ポリエチレンフィルム層の片面が電子線照射されてなる場合は、ポリエチレンフィルム層の電子線照射されていない面が内側になるように二つ折にして重ね合わせて、その端部などをヒートシールすることにより製造することができる。シール方法により、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型、その他などのヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態の包装体を製造することができる。その他、例えば、自立性包装用袋(スタンデイングパウチ)なども可能である。ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シールなどの公知の方法で行うことができる。
直鎖状低密度ポリエチレン(エボリューSP2020、プライムポリマー社製)を用いてインフレーション成膜機により、厚み25μmの未延伸ポリエチレンフィルムAを得た。
また、成膜条件を変更した以外は上記と同様にして厚み50μmの未延伸ポリエチレンフィルムBを得た。さらに、低密度ポリエチレン(LD2420H、PTTケミカル社製)を使用した以外は上記と同様にして、厚み25μmおよび50μmの未延伸ポリエチレンフィルムCおよび未延伸ポリエチレンフィルムDを得た。
得られたポリエチレンフィルムAの両面に電子線照射装置(LB1023、株式会社アイ・エレクトロンビーム社製)を用いて、以下の条件にて電子線を照射し、両面が電子線により照射されたポリエチレンフィルム基材1を得た。
電圧:300kV
電流:4mA
照射線量:750kGy
装置内酸素濃度:100ppm以下
得られたポリエチレンフィルム基材1上に、直鎖状低密度ポリエチレン(エボリューSP2020、プライムポリマー社製)を押出しコーティングし、厚さ60μmのポリエチレンフィルム層を形成させることにより、積層体1を得た。
実施例1において、ポリエチレンフィルム層の厚みを100μmで変更した以外は、実施例1と同様にして積層体2を得た。
実施例1において、基材をポリエチレンフィルム基材2に変更した以外は、実施例1と同様にして積層体3を得た。
実施例1において、基材をポリエチレンフィルム基材3に変更し、ポリエチレンフィルム層の厚みを100μmに変更した以外は実施例1と同様にして積層体4を得た。
実施例1において、基材をポリエチレンフィルム基材4に変更した以外は、実施例1と同様にして積層体5を得た。
実施例1において、基材をポリエチレンフィルム基材5に変更した以外は、実施例1と同様にして積層体6を得た。
実施例1において、電子線を照射する前の未延伸ポリエチレンフィルムAをポリエチレンフィルム基材6とした以外は、実施例1と同様にして積層体7を得た。
実施例1〜6および比較例1の各積層体を10cm×10cmにカットしてサンプル片を作製し、このサンプル片を、ポリエチレンフィルム層側の面が内側になるように二つ折りにし、ヒートシールテスターを用いて、温度180℃、圧力1kgf/cm2、1秒の条件にて1cm×10cmの領域をヒートシールした。
○:表面が溶融しておらず外観上の問題がない
×:表面が溶融しており、外観上の問題がある
評価結果は下記の表1に示される通りであった。
Claims (6)
- 両面に電子線が照射されてなるポリエチレンフィルム基材と、ポリエチレンフィルム層と、を備え、
前記ポリエチレンフィルム層の両面が、電子線照射されておらず、
前記ポリエチレンフィルム基材が、積層基材であり、
前記ポリエチレンフィルム基材と、前記ポリエチレンフィルム層との間に、バリア膜を備えてなることを特徴とする、包装体作製用積層体。 - 前記ポリエチレンフィルム基材および前記ポリエチレンフィルム層に含まれる前記ポリエチレンが、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレンと他のモノマーとの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の包装体作製用積層体。
- 請求項1または2に記載の積層体からなる包装体であって、前記積層体における前記ポリエチレンフィルム側の面が、ヒートシールされてなることを特徴とする、包装体。
- 請求項1または2に記載の包装体作製用積層体の製造方法であって、
両面に電子線が照射されてなるポリエチレンフィルム基材を準備する工程と、
前記ポリエチレンフィルム基材の一方の面に、バリア膜を設ける工程と、
前記バリア膜上に、ポリエチレンフィルム層を設ける工程と、を含む、包装体作製用積層体の製造方法。 - 前記電子線の線量が10〜1000kGyである、請求項4に記載の包装体作製用積層体の製造方法。
- 前記電子線の加速電圧が25〜400kVである、請求項4または5に記載の包装体作製用積層体の製造方法。
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