以下、本発明の一実施の形態を図1乃至図10を参照して説明する。まず、図1乃至図4を参照して、本発明に係る一実施の形態の蕎麦生地を製造する蕎麦生地製造装置の例について説明する。図5乃至図10を参照して、本発明に係る一実施の形態の蕎麦生地について説明する。
図1は、蕎麦生地製造装置11の構成の例を示す右側面図である。図2は、蕎麦生地製造装置11の構成の例を示す上面図である。図3は、蕎麦生地製造装置11の構成を示す正面図である。なお、図2および図3は、蕎麦生地製造装置11の要部の構成を示す。
以下、蕎麦生地製造装置11に対して前後の方向をY軸で図示し、上下の方向をZ軸で図示し、左右の方向をX軸で図示する。また、以下、X軸方向のうち、図2中の上側を単に左側と称し、X軸方向のうち、図2中の下側を単に右側と称する。さらに、以下、Y軸方向のうち、図1中の左側を単に前側と称し、Y軸方向のうち、図1中の右側を単に後側と称する。さらにまた、以下、Z軸方向のうち、図1中の上側を単に上側と称し、Z軸方向のうち、図1中の下側を単に下側と称する。なお、下側は、重力がかかる方向である。また、Z軸方向を、単に上下方向とも称し、X軸方向を、単に左右方向とも称し、Y軸方向を、単に前後方向とも称する。さらにまた、X軸およびY軸に平行な面に沿う方向を単に水平方向または横方向とも称する。
蕎麦生地製造装置11は、日本蕎麦の蕎麦粉から、日本蕎麦の蕎麦生地を製造する。蕎麦生地製造装置11は、店舗での蕎麦麺の押し出し成形に適した、より柔らかい直方体状の蕎麦生地を製造する。
蕎麦生地製造装置11は、ベルトコンベア21、混捏部22、導入板23、圧延部24、押し込み部25、保持部26、カッター27、ベルトコンベア28、ストッパー29、ベルトコンベア30、ストッパー31およびカッター32を含み構成される。なお、蕎麦生地製造装置11は、プログラマブルロジックコントローラなどよりなる制御部により全体および各部の動作が制御されるが、その説明は省略する。ベルトコンベア21は、混捏部22から供給された、混捏された蕎麦の生地を導入板23側に搬送する。ベルトコンベア21は、混捏された蕎麦の生地を、Y軸方向に沿って、後側から前側に搬送する。
ベルトコンベア21は、プーリー41などの複数のプーリーに掛けられた幅広の輪状のベルトを回転させて、ベルト上の蕎麦の生地を搬送する。ベルトコンベア21のベルトは、ゴム、樹脂、布またはこれらの複合材料などからなる。プーリー41は、いわゆるヘッドプーリーであり、ベルトコンベア21の排出側である、前側に配置されている。
混捏部22は、開閉可能な容器、水を容器中に噴出するノズルおよび容器中の蕎麦粉に水をまわして、水がまわされた蕎麦粉を捏ねるための回転する棒状の羽などを備える。混捏部22は、ベルトコンベア21の上側に配置されている。混捏部22は、底面を開くことで、混捏した蕎麦の生地をベルトコンベア21上に落とす。
導入板23は、生地受けの一例である。導入板23は、ベルトコンベア21のベルトの幅に対応した幅の長方形の板状に形成されている。導入板23は、ベルトコンベア21の排出する側の端部側と押し込み部25のローラー51(後述する)との間に、ベルトコンベア21のベルトとローラー51の側面とに面一となるように配置されている。導入板23は、ベルトコンベア21で搬送され、ベルトコンベア21の排出する側の端部(前側の端部)から排出される混捏された蕎麦の生地を受ける。
導入板23の上面は、前下がりになるように形成されている。すなわち、導入板23の上面は、重力方向と45度乃至75度の挟み角で交差する。
導入板23の上面が、重力方向と45度未満の挟み角で交差する、すなわち、より急な角度で導入板23の上面が下がるようにすると、蕎麦の生地を厚くしようとした場合、蕎麦の生地が脆いので、混捏された蕎麦の生地が圧延部24の間から漏れやすくなる。また、導入板23の上面が、重力方向と75度を超える挟み角で交差する、すなわち、より浅い角度で導入板23の上面が下がるようにすると、蕎麦の生地が脆いので、混捏された蕎麦の生地が圧延部24の間に入りにくくなり、蕎麦の生地に隙間ができやすくなる。
より好ましくは、導入板23の上面の重力方向との挟み角を、55度乃至65度とすると、蕎麦の生地が圧延部24の間から漏れることなく、また、蕎麦の生地に隙間ができることなく、安定して、均一に蕎麦の生地を圧延部24に送り込むことができる。
なお、導入板23は、上面側が平らであればよく、板状に限らず、三角柱状に形成しても、底面側にリブや四角柱状の補強を設けるなど所望の形状とすることができる。
圧延部24は、蕎麦の生地を圧延する。圧延部24は、混捏された蕎麦の生地を圧延しつつ、圧延した蕎麦の生地12を保持部26に送り出す。ここで、蕎麦の生地12は、蕎麦生地製造装置11における、蕎麦の生地の中間生成物である。圧延部24は、圧延した蕎麦の生地12を搬送するとも言える。圧延部24の搬送方向は、ベルトコンベア21の搬送方向と同じである。すなわち、圧延部24は、蕎麦の生地を圧延しつつ、圧延した蕎麦の生地12を、Y軸方向に沿って、後側から前側に搬送する。
圧延部24は、ローラー51、ローラー52、電動機53、スプロケット54、スプロケット55およびローラーチェーン56を含み構成されている。ローラー51は、金属または樹脂などにより円柱状に形成され、円形の底面の中心を通るように配置されている回転軸57により回転自在に軸支されている。例えば、ローラー51は、金属製のローラーである。ローラー51の回転軸57の長さ方向は、ベルトコンベア21の搬送方向と直交する。すなわち、ローラー51の回転軸57の長さ方向は、X軸方向である。圧延部24が、蕎麦の生地を圧延しつつ、圧延された蕎麦の生地12を搬送する場合、ローラー51は、図1中、反時計回りに回転させられる。
ローラー52は、金属または樹脂などにより円柱状に形成され、円形の底面の中心を通るように配置されている回転軸58により回転自在に軸支されている。例えば、ローラー52は、金属製のローラーである。ローラー52の径は、ローラー51の径と同じである。ローラー52の回転軸58の長さ方向は、ベルトコンベア21の搬送方向と直交する。すなわち、ローラー52の回転軸58の長さ方向は、ローラー51の回転軸57の長さ方向と平行であり、X軸方向である。圧延部24が、蕎麦の生地を圧延しつつ、圧延された蕎麦の生地12を搬送する場合、ローラー52は、図1中、時計回りに回転させられる。
ローラー52は、ローラー51に対して、上側であって、前側に配置されている。ローラー52の回転軸58とローラー51の回転軸57とを結ぶ仮想的な線は、重力方向に対して15度乃至45度の挟み角で交差する。ローラー52の回転軸58とローラー51の回転軸57とを結ぶ仮想的な線に直交する直線が、導入板23の上面に沿った仮想的な面に対して、10度以内の挟み角で交差するようにローラー52およびローラー51は、配置されている。このように、ローラー51およびローラー52は、対向して配置されている。ローラー51およびローラー52は、混捏された蕎麦の生地を挟んで押圧し、圧延する。
ローラー52の回転軸58とローラー51の回転軸57とを結ぶ仮想的な線に直交する直線が、導入板23の上面に沿った仮想的な面に対して、10度を超える挟み角で交差するようにローラー52およびローラー51が配置されると、蕎麦の生地への押圧の方向と蕎麦の生地を搬送する方向が斜めに交差するので、蕎麦の生地にゆがみやひび割れが生じやすくなる。
このように、ローラー52およびローラー51は、ローラー52とローラー51との間が、導入板23の上面に沿って開くように配置されていると言える。すなわち、より好ましくは、ローラー52の回転軸58とローラー51の回転軸57とを結ぶ仮想的な線に直交する直線が導入板23の上面に沿った仮想的な面に平行になるように、導入板23に対してローラー52およびローラー51を配置する。
言い換えれば、より好ましくは、ローラー52の回転軸58とローラー51の回転軸57とを結ぶ仮想的な線は、導入板23の上面に沿った仮想的な面と直交するように配置されている。
すなわち、ローラー52の回転軸58とローラー51の回転軸57とを結ぶ仮想的な線は、導入板23の上面に沿った仮想的な面と略直交するように配置されていると言える。
電動機53は、いわゆる電気モータであり、外部から供給される電力で回転の駆動力を発生する。スプロケット54は、いわゆるチェーンホイールとも称され、ローラー51と同軸に設けられ、回転させられると、その回転の駆動力をローラー51に伝達する。スプロケット55は、いわゆるチェーンホイールとも称され、電動機53の軸に同軸に設けられている。ローラーチェーン56は、スプロケット54とスプロケット55とに掛けられている。電動機53が回転の駆動力を発生させると、スプロケット55が回転させられて、回転の駆動力は、ローラーチェーン56を介して、スプロケット54に伝達される。スプロケット54に伝達された回転の駆動力は、さらに、ローラー51に伝達され、ローラー51は回転させられる。
ローラー51およびローラー52には、それぞれ、同軸に歯車(図示せず)が設けられ、ローラー51のギアとローラー52の歯車とは、噛み合っている。従って、ローラー51が回転させられると、ローラー52は回転させられる。ローラー52は、ローラー51を介して電動機53により回転させられる。なお、ローラー51およびローラー52は、外周(蕎麦の生地を挟み込む面)の速度が同じになるように回転させられる。
このように、圧延部24のローラー51およびローラー52は、電動機53により回転させられる。
圧延部24は、所定の厚さで、左右の幅がベルトコンベア21のベルトの幅とほぼ等しくなるように蕎麦の生地12を圧延して保持部26に送り出す。
押し込み部25は、導入板23上の蕎麦の生地を圧延部24に押し込む。押し込み部25は、平板61、丸棒62、回動フレーム63、リンク64およびシリンダ65を備える。平板61は、左右方向の幅がベルトコンベア21のベルトの幅とほぼ等しく、後側が突出し、前側が凹んでいる曲面状に形成されている。平板61の上下方向の長さは、ローラー51の直径の1.5倍程度とされている。平板61のX軸方向の形状は、円弧状で均一である。すなわち、平板61は、平面を所定の曲率で一方向に曲げた曲面(円柱の側面の一部に対応する形状の可展面)状に形成されている。平板61の下側の端部には、丸棒62が設けられている。
丸棒62は、ベルトコンベア21のベルトの幅とほぼ等しく、平板61の左右方向の幅と概ね同じ長さとされている。丸棒62の径は、ローラー52またはローラー51の径の1/10乃至1/6とされる。丸棒62は、平板61の下側の端部の全体を覆うように平板61に接合されている。丸棒62の長さ方向が、左右方向、すなわちX軸に沿うように丸棒62は配置されている。ローラー52の回転軸58およびローラー51の回転軸57がのびる方向に丸棒62の長さ方向が沿うように丸棒62は配置されている。
平板61の上側の端部は、回動フレーム63の後側の端部に固定されている。回動フレーム63は、平板61および丸棒62を支えて、リンク64を介したシリンダ65からの力を平板61および丸棒62に伝達する。回動フレーム63は、回動可能に軸支されている。例えば、回動フレーム63は、四角の枠状に形成されている。回動フレーム63の前側の端部は、回転軸66により回動自在に軸支されている。回転軸66は、圧延部24の上側に設けられている。
また、回動フレーム63の前側の端部は、リンク64の下側の端部に接合されている。リンク64の上側の端部は、シリンダ65のピストンロッドの先端のナックルジョイントに接続されている。シリンダ65は、片ロッドのエアシリンダである。シリンダ65の端部のうち、シリンダ側の端部(ヘッドカバー)は、蕎麦生地製造装置11のフレームに回動自在に固定されている。
シリンダ65は、エアにより、ピストンロッドがシリンダから出入りして、伸縮する。シリンダ65が短い状態にある場合、リンク64の上側の端部が前側に引っ張られて、これにより、回動フレーム63が、図1中において、反時計回りに回転させられる。これにより、回動フレーム63の後側の端部に接合されている平板61が上側に変位し、平板61の下側の端部に設けられている丸棒62も上側に変位する。このとき、丸棒62は、ベルトコンベア21の排出する側の端部の上側に変位する。
シリンダ65が長い状態にある場合、リンク64の上側の端部が後側に押されて、これにより、回動フレーム63が、図1中において、時計回りに回転させられる。これにより、図4に示されるように、回動フレーム63の後側の端部に接合されている平板61が下側に変位し、平板61の下側の端部に設けられている丸棒62も下側に変位する。このとき、丸棒62は、圧延部24のローラー52とローラー51との間に向かって変位する。
すなわち、シリンダ65がピストンロッドを伸ばすと、丸棒62は、ベルトコンベア21の排出する側の端部の上側から、圧延部24のローラー52とローラー51との間に向かって変位させられる。
このように、回動フレーム63が、シリンダ65の伸縮により、時計回りまたは反時計回りに回転させられて、平板61および丸棒62が、変位する。押し込み部25の丸棒62が、ベルトコンベア21の排出する側の端部の上側から、圧延部24のローラー52とローラー51との間に向かって繰り返し変位させられることで、導入板23上の混捏された蕎麦の生地が、圧延部24に押し込まれる。
また、Z軸およびY軸で規定される平面における平板61の断面が、回動フレーム63の前後方向の長さを半径とする円弧状となるように、平板61は、形成されている。すなわち、図4に示されるように、平板61の凸面側が導入板23側なので、導入板23上の混捏された蕎麦の生地が、平板61と導入板23とで挟まれて、押圧される。
平板61および丸棒62が、繰り返し変位すると、平板61と導入板23とで挟まれて、押圧された蕎麦の生地が、丸棒62によって、圧延部24のローラー52とローラー51との間に押し込まれる。
このように、押し込み部25は、圧延部24の上側に設けられている回転軸66を中心に丸棒62を回動させる。押し込み部25の丸棒62は、押し込み部25の回転軸66を中心とする円弧状に湾曲させられている平板61の端部に設けられている。
保持部26は、圧延部24の前側、すなわち、圧延部24の排出側に設けられている。保持部26は、圧延部24で圧延された蕎麦の生地12を保持する。また、保持部26は、圧延部24が送り出す方向と同じ方向に、保持している蕎麦の生地12を送り出す。
保持部26は、ローラー71を含む。ローラー71は、金属または樹脂などにより円柱状に形成され、円形の底面の中心を通るように配置されている回転軸により回転自在に軸支されている。例えば、ローラー71は、金属製のローラーである。ローラー71の回転軸の長さ方向は、ベルトコンベア21の搬送方向と直交する。すなわち、ローラー71の回転軸の長さ方向は、X軸方向にのびる。ローラーチェーン72は、ローラー71と同軸のスプロケット(図示せず)とローラー52と同軸のスプロケット(図示せず)とに掛けられている。ローラー52が回転すると、ローラーチェーン72によって、ローラー52の外周の速度とローラー71の外周の速度とが同じになるようにローラー71が回転させられる。
保持部26は、ローラー73を含む。ローラー73は、金属または樹脂などにより円柱状に形成され、円形の底面の中心を通るように配置されている回転軸により回転自在に軸支されている。例えば、ローラー73は、ゴムシートをライニングとする金属製のローラーである。ローラー73の径は、ローラー71の径と同じである。ローラー73の回転軸の長さ方向は、ベルトコンベア21の搬送方向と直交する。すなわち、ローラー73の回転軸の長さ方向は、ローラー71の回転軸の長さ方向と平行であり、X軸方向にのびる。ローラーチェーン74は、ローラー73と同軸のスプロケット(図示せず)とローラー51と同軸のスプロケット(図示せず)とに掛けられている。ローラー51が回転すると、ローラーチェーン74によって、ローラー51の外周の速度とローラー73の外周の速度とが同じになるようにローラー73が回転させられる。すなわち、ローラー71およびローラー73は、外周(蕎麦の生地を挟み込む面)の速度が同じになるように回転させられる。
このように、保持部26は、上側のローラー71および下側のローラー73からなる。ローラー71は、ローラー73の上側に配置される。ローラー71の回転軸とローラー73の回転軸とを結ぶ仮想的な線は、上下方向、すなわち重力方向にのびる。
カッター27は、保持部26で保持されている蕎麦の生地12を切断する。カッター27は、刃81およびシリンダ82を含む。刃81は、金属などで形成されている、保持部26から蕎麦の生地が送り出される方向に直交する向き(X軸方向)に長い刃である。シリンダ82は、いわゆるエアシリンダで、エアにより、ロッドを出し入れする。刃81は、シリンダ82のロッドの先端に装着されている。シリンダ82のロッドが出し入れされると、刃81は、ローラー73に向かって変位するか、または、ローラー73から離れるように変位する。
刃81が、ローラー73に向かって変位すると、蕎麦の生地12がローラー73と刃81とに挟まれて切断される。すなわち、カッター27は、保持部26の下側のローラー73と蕎麦の生地12を挟み込んで切断する。カッター27が蕎麦の生地12を切断する場合、圧延部24および保持部26は、図示せぬ制御部の制御により、停止させられる。このようにすることで、より確実に蕎麦の生地12を切断できる。
圧延部24が、所定の厚さで、左右の幅がベルトコンベア21のベルトの幅とほぼ等しくなるように蕎麦の生地12を圧延して保持部26に送り出すので、カッター27に切断された蕎麦の生地12は、X軸方向に長い直方体状に形成される。
ベルトコンベア28は、カッター27の前下側に配置されている。ベルトコンベア28は、カッター27で切断された蕎麦の生地12を受ける。ベルトコンベア28は、カッター27で切断された蕎麦の生地12を、X軸方向に沿って、左側から右側に搬送する。ベルトコンベア28は、複数のプーリーに掛けられた幅広の輪状のベルトを回転させて、ベルト上の蕎麦の生地12を搬送する。ベルトコンベア28のベルトは、ゴム、樹脂、布またはこれらの複合材料などからなる。
ストッパー29は、カッター27で切断された蕎麦の生地12をベルトコンベア28上に止める。ストッパー29は、ベルトコンベア28のベルトの上であって、カッター27の前下側に配置されている。ストッパー29は、ベルトコンベア21の幅と概ね同じ幅(左右方向の長さ)であって、蕎麦の生地12の厚さと概ね同じ高さ(上下方向の長さ)の板状に形成されている。ストッパー29は、長手方向である幅方向がX軸の沿うように、配置されている。
カッター27が蕎麦の生地12を切断すると、切断された蕎麦の生地12が、ベルトコンベア28上に落ちるが、ベルトコンベア28上を転がっても、ストッパー29に当たり、確実に、切断された蕎麦の生地12が、ベルトコンベア28に乗る。また、切断された蕎麦の生地12が、ストッパー29に当たり、切断された蕎麦の生地12の長手方向が、ベルトコンベア28の搬送方向に沿うように、麦の生地12の姿勢が、規制される。
ベルトコンベア28の排出側の端部である、右側の端部に隣接して、ローラー91が設けられている。ローラー91は、刃受けローラーの一例であり、樹脂または金属などからなり、後述するカッター32の刃を受ける。例えば、ローラー91は、ゴムシートをライニングとする金属製のローラーである。ローラー91は、ローラー91に同軸のスプロケットおよびベルトコンベア28のプーリーに同軸のスプロケットに掛けられたローラーチェーンなどによりベルトコンベア28のプーリーに接続され、ベルトコンベア28に従動して回転する。
カッター32は、ベルトコンベア28およびローラー91に乗っている蕎麦の生地12を切断する。カッター32は、刃101およびシリンダ102を含む。刃101は、金属などで形成されている、ベルトコンベア28で蕎麦の生地12が搬送される方向に直交する向き(Y軸方向)に長い刃である。シリンダ102は、いわゆるエアシリンダで、エアにより、ロッドを出し入れする。刃101は、シリンダ102のロッドの先端に装着されている。シリンダ102のロッドが出し入れされると、刃101は、ローラー91に向かって変位するか、または、ローラー91から離れるように変位する。
刃101が、ローラー91に向かって変位すると、蕎麦の生地12がローラー91と刃81とに挟まれて切断される。すなわち、カッター32は、ローラー91と蕎麦の生地12を挟み込んで切断する。カッター32が蕎麦の生地12を切断する場合、ベルトコンベア28およびローラー91は、図示せぬ制御部の制御により、停止させられる。このようにすることで、より確実に蕎麦の生地12を切断できる。蕎麦の生地12が、カッター32に切断されることで、蕎麦生地201(図5)が形成される。
ベルトコンベア28は、カッター27に切断されて、X軸方向に長い直方体状に形成されている蕎麦の生地12を搬送してくるので、カッター32が、蕎麦の生地12を切断すると、蕎麦生地201は、各辺の長さがより等しい直方体状に形成される。
ベルトコンベア30は、ベルトコンベア28の排出側の端部である、右側の端部の右下側に配置されている。ベルトコンベア30は、蕎麦の生地12がカッター32で切断されて形成された蕎麦生地201を受ける。ベルトコンベア30は、蕎麦生地201を、Y軸方向に沿って、後側から前側に搬送する。ベルトコンベア30は、複数のプーリーに掛けられた幅広の輪状のベルトを回転させて、ベルト上の蕎麦生地201を搬送する。ベルトコンベア30のベルトは、ゴム、樹脂、布またはこれらの複合材料などからなる。
ストッパー31は、蕎麦の生地12がカッター32で切断された蕎麦生地201をベルトコンベア30上に止める。ストッパー31は、ベルトコンベア30のベルトの上であって、カッター32の右下側に配置されている。ストッパー31は、ベルトコンベア28の幅と概ね同じ幅(前後方向の長さ)であって、蕎麦の生地12の厚さと概ね同じ高さ(上下方向の長さ)の板状に形成されている。ストッパー31は、長手方向である幅方向がY軸の沿うように、配置されている。
カッター32が蕎麦の生地12を切断すると、蕎麦生地201が、ベルトコンベア30上に落ちるが、ベルトコンベア30上を転がっても、ストッパー31に当たり、確実に、蕎麦生地201がベルトコンベア30に乗る。また、蕎麦生地201が、ストッパー31に当たり、切断された蕎麦の生地12の辺が、ベルトコンベア30の搬送方向に沿うように、蕎麦生地201の姿勢が、規制される。
なお、シリンダ65、シリンダ82またはシリンダ102は、エアシリンダであると説明したが、これに限らず、平板61および丸棒62、刃81または刃101を駆動できれば良く、油圧シリンダまたは電動機などのアクチュエータであればよい。
なお、丸棒62は、無垢の丸棒であっても、中空の丸棒でもよい。
また、押し込み部25は、エアシリンダや電動機およびラックアンドピニオン機構などの直動機構により、平板61および丸棒62が直線的に変位するものであってもよい。
このように、店舗での蕎麦麺の押し出し成形に適した、より柔らかい直方体状の蕎麦生地201を製造することができる。
ここで、日本蕎麦の蕎麦麺を製麺する製麺機について説明する。製麺機には、空気圧式押し出し製麺機、油圧式押し出し製麺機、スクリュー式押し出し製麺機およびギア式押し出し製麺機などの放式がある。空気圧式押し出し製麺機は、空気圧を動力源とするものであり、圧力管理が難しく、蕎麦麺の食感が安定しない。油圧式押し出し製麺機は、油圧を動力源とするもので、蕎麦麺が硬い食感となり、蕎麦麺の滑らかさがやや劣り、蕎麦麺にそばの味を感じにくい。油圧式押し出し製麺機は、連続運転では圧力管理が必要になり、連続運転に適さない。スクリュー式押し出し製麺機は、スクリューを回転させて押し出すもので、蕎麦麺が冷麺またはパスタ風の硬い食感となってしまい、蕎麦麺の滑らかさがやや劣り、蕎麦麺にそばの味を感じにくい。スクリュー式押し出し製麺機は、連続運転するとスクリューに熱が発生してしまい、連続運転に適さない。ギア式押し出し製麺機は、電動機の動力を使いギア機構で押し出すもので、蕎麦生地に敏感であるが、蕎麦麺はソフトな食感となり、蕎麦麺の麺質が滑らかであり、蕎麦麺にそばの味を感じやすい。
以下、蕎麦生地201を製麺する製麺機として、ギア式押し出し製麺機を選択し、蕎麦生地201の評価に用いた。
次に、日本蕎麦の蕎麦生地である蕎麦生地201の詳細について説明する。図5は、蕎麦生地201の形状の例を示す図である。蕎麦生地201は、一辺の長さのそれぞれが4cm乃至12cmの直方体状に形成されている。蕎麦生地201を、一辺の長さのそれぞれが4cm乃至12cmの直方体状に形成すると、麺箱の中に入れて運搬する場合、運搬中の揺れにより力が加わっても、平面で力を受け、変形しにくい。また、運搬中に麺箱の中で転がったりしにくいので、変形しにくくなる。さらに、直方体状に形成すると、麺箱に入れた場合、隙間なく配置できるので、1つの麺箱により多くの蕎麦生地を入れることができ、麺箱中のスペースに無駄が生じにくい。このように、店舗までの運搬での取り扱いがより容易になる。
さらに、蕎麦生地201の一辺の長さのそれぞれを7cm乃至9cmの直方体状に形成するのがより好ましい。蕎麦生地201の一辺の長さのそれぞれを7cm乃至9cmの直方体状に形成すると、並べて麺箱に入れる場合、1つの麺箱にさらに多くの蕎麦生地201を入れることができ、麺箱のスペースをさらに有効に利用できる。また、店舗での取り扱いがより容易で、製麺機に入れやすくなる。
蕎麦生地201の面のうち、Y軸およびZ軸で規定される面に平行する面、すなわち、左側の面および右側の面は、正方形に形成される。すなわち、蕎麦生地201は、6つの面のうちのいずれかの対向する2つの面が正方形である直方体状に形成することができる。
蕎麦生地201の6つの面のうち、X軸およびY軸で規定される面に平行する面、すなわち、上側の面および下側の面は、対向して配置されているローラー51およびローラー52で挟まれて押圧されることで形成される。蕎麦生地201の6つの面のうち、X軸およびZ軸で規定される面に平行する面、すなわち、前側の面および後側の面は、カッター27で切断されることで形成される。蕎麦生地201の6つの面のうち、左側の面および右側の面は、カッター32で切断されることで形成される。このように、蕎麦生地201の6つの面のうちの対向する2つの面は、ローラー51およびローラー52で押圧されることで形成され、6つの面のうちの他の4つ面は切断されることで形成されている。
蕎麦生地の面のうち、4つの面または全部の面をローラーで挟んで押圧して形成すると、蕎麦生地が硬くなり、製麺機が動作しなかったり、製麺された蕎麦麺が硬くなり、食感が悪くなったりする。
蕎麦生地201の6つの面のうち、2つの面をローラー51およびローラー52で挟んで押圧して形成し、他の4つの面を切断して形成するようにしたので、蕎麦生地201をより柔らかい直方体状に形成できる。店舗の中で、蕎麦を麺状に成形する製麺機で連続的に製麺しても、製麺機が過負荷で止まってしまうことがなく、安定して押し出して麺状に成形できる。また、押し出して麺状に成形すると、硬くなりすぎない蕎麦麺になり、食感が悪くならない。
図6は、蕎麦生地201の包装されている状態の例を示す図である。蕎麦生地201は、OPP(Oriented Polypropylene)などのポリプロピレンやポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂製の袋211により包装される。袋211は、蕎麦生地201の全体を包んで、密封する。例えば、袋211は、筒状に形成されている樹脂製のフィルムの内側に蕎麦生地201を詰めて、開口している側を熱シールなどすることにより、蕎麦生地201を密封する。
蕎麦生地201は、図7に示されるように、いわゆる立ち食い蕎麦などの店舗において製麺機で製麺するとき、店舗の担当者の手で握られるなどして円柱状の蕎麦生地221とされる。このようにすることで、製麺機に入れやすくなり、より均一に製麺することができる。蕎麦生地201の面のうち、左側の面および右側の面が、正方形に形成されているので、直方体状の蕎麦生地201を簡単に円柱状の蕎麦生地221にすることができる。
次に、蕎麦生地201の硬さについて説明する。蕎麦生地201の硬さは、材料、水分量、混捏部22による混捏の時間などにより調整される。
蕎麦生地の硬さの測定方法は、標準化されていないので、以下に説明する方法により測定することとした。
蕎麦生地201の硬さは、測定器により測定される。図8は、蕎麦生地201の硬さを測定する測定器251の例を示す図である。図8(A)は、測定器251の正面を示す正面図であり、図8(B)は、測定器251の側面を示す側面図である。
測定器251は、所定の形状のプローブが対象物に所定の深さだけ押し込まれるときの力を測定することで、対象物の硬さを測定する。
測定器251は、スタンド261およびフォースゲージ262を含み構成される。スタンド261は、フォースゲージ262および測定の対象の蕎麦生地201を支える。スタンド261は、測定者の操作により、フォースゲージ262が押し下げられることで、後述するプローブ291を測定の対象の蕎麦生地201に押し込む。
フォースゲージ262は、測定子281に加えられた力を測定する。測定子281は、雄ネジ状に形成されている。測定子281には図8を参照して後述するプローブ291が装着される。
スタンド261の下側には、測定台271が形成されている。測定台271は、フォースゲージ262の下側に、蕎麦生地201を載置できるようにテーブル状に形成されている。また、スタンド261には、レバー272が設けられている。レバー272を図8中の下側に押し下げると、スタンド261に内蔵されている機構により、スタンド261に支えられているフォースゲージ262が図8中の下向きに変位させられる。スタンド261の蝶ネジ273は、レバー272を押し下げたとき、フォースゲージ262が下向きに変位する幅を調整するためのものである。蕎麦生地201の硬さを測定する場合、蝶ネジ273により、プローブ291が測定台271に載置された蕎麦生地201の表面から15mmの深さまで押し込まれるように、レバー272を押し下げたときの、フォースゲージ262が下向きに変位する幅が調整される。
図8は、プローブ291の形状を示す図である。プローブ291は、概ね円柱状に形成されている。プローブ291の上面には、フォースゲージ262の測定子281に固定するための雌ネジ状のネジ部が設けられている。プローブ291の下面は、半径10mmの円形に形成されている。
測定器251による蕎麦生地201の硬さの測定は次の手順で行われる。まず、フォースゲージ262の測定子281にプローブ291が装着され、スタンド261の測定台271に、蕎麦生地201が載置される。次に、蝶ネジ273により、レバー272を押し下げたときの、フォースゲージ262が下向きに変位する幅が調整される。この場合、測定台271に載置された蕎麦生地201の表面から15mmの深さまでプローブ291の下面が押し込まれるように、レバー272を押し下げたときの、フォースゲージ262が下向きに変位する幅が調整される。そして、レバー272が下側に押し下げられる。フォースゲージ262は、蕎麦生地201の表面から15mmの深さまでプローブ291の下面が押し込まれる力を表示する。フォースゲージ262に表示された力は、蕎麦生地201の硬さに応じたものである。なお、フォースゲージ262は、測定子281に加えられた力の最大値を示す。
蕎麦生地201の硬さがより硬い場合、フォースゲージ262に表示される、蕎麦生地201の表面から15mmの深さまでプローブ291の下面が押し込まれる力は、より大きくなる。一方、蕎麦生地201の硬さがより柔らかい場合、フォースゲージ262に表示される、蕎麦生地201の表面から15mmの深さまでプローブ291の下面が押し込まれる力は、より小さくなる。
すなわち、フォースゲージ262に表示された力は、蕎麦生地201の硬さを示す。
図10は、蕎麦生地の温度、蕎麦生地の硬さ、蕎麦生地を製麺する場合の製麺機の負荷および蕎麦生地から製麺機で製麺された麺の評価を示す図である。蕎麦生地から製麺機で製麺された麺の評価は、冷たい麺および温かい麺のそれぞれで行った。図10における、蕎麦生地の硬さは、蕎麦生地の表面から15mmの深さまでプローブ291の下面が押し込まれる力で表されるものである。
図10において、丸印で表される蕎麦生地を製麺する場合の製麺機の負荷は、複数の蕎麦生地を製麺するように、製麺機を連続して稼働させることができる負荷の大きさを示し、三角印で表される蕎麦生地を製麺する場合の製麺機の負荷は、製麺機で1つの蕎麦生地を製麺できる負荷の大きさを示し、バツ印で表される蕎麦生地を製麺する場合の製麺機の負荷は、製麺機で1つの蕎麦生地の一部分しか製麺できない負荷の大きさを示す。
図10において、蕎麦生地から製麺機で製麺された麺の評価は、複数人の試食による、蕎麦麺の食味、食感および風味についての官能評価を示す。図10において、二重丸の印で表される麺の評価は、食味、食感および風味について高い評価を得たことを示す。図10において、丸印で表される麺の評価は、食味、食感および風味について概ね良い評価を得たことを示す。図10において、バツ印で表される麺の評価は、食味、食感および風味について否定的な点があるとの評価を得たことを示す。
蕎麦生地の温度が21.3度であり、蕎麦生地の硬さが9.9Nである場合、蕎麦生地を製麺する場合の製麺機の負荷は、大きくなく、製麺機を連続して稼働させることができる。蕎麦生地の温度が21.3度であり、蕎麦生地の硬さが9.9Nである場合、冷たい麺および温かい麺のいずれにおいても、食味、食感および風味について否定的な点があるとの麺の評価が得られた。蕎麦麺がやわらかすぎて、歯ごたえが悪く、食感が弱いというものである。温かい麺では、ゆでのびが速く、麺がのびてしまう。
蕎麦生地の温度が19.7度であり、蕎麦生地の硬さが10.5Nである場合、蕎麦生地を製麺する場合の製麺機の負荷は、大きくなく、製麺機を連続して稼働させることができる。蕎麦生地の温度が19.7度であり、蕎麦生地の硬さが10.5Nである場合、冷たい麺および温かい麺のいずれにおいても、食味、食感および風味について否定的な点があるとの麺の評価が得られた。蕎麦麺がやわらかすぎて、歯ごたえが悪く、食感が弱いというものである。温かい麺では、ゆでのびが速く、麺がのびてしまう。
蕎麦生地の温度が19.3度であり、蕎麦生地の硬さが12.1Nである場合、蕎麦生地を製麺する場合の製麺機の負荷は、大きくなく、製麺機を連続して稼働させることができる。蕎麦生地の温度が19.3度であり、蕎麦生地の硬さが12.1Nである場合、冷たい麺および温かい麺のいずれにおいても、食味、食感および風味について否定的な点があるとの麺の評価が得られた。蕎麦麺がやわらかすぎて、歯ごたえが悪く、食感が弱いというものである。
蕎麦生地の温度が24.2度であり、蕎麦生地の硬さが13.9Nである場合、蕎麦生地を製麺する場合の製麺機の負荷は、大きくなく、製麺機を連続して稼働させることができる。蕎麦生地の温度が24.2度であり、蕎麦生地の硬さが13.9Nである場合、冷たい麺において、食味、食感および風味について高い評価が得られ、温かい麺において、食味、食感および風味について概ね良い評価が得られた。冷たい麺では申し分ないが、温かい麺では、若干やわらかめであるというものである。
蕎麦生地の温度が19.8度であり、蕎麦生地の硬さが13.9Nである場合、蕎麦生地を製麺する場合の製麺機の負荷は、大きくなく、製麺機を連続して稼働させることができる。蕎麦生地の温度が19.8度であり、蕎麦生地の硬さが13.9Nである場合、冷たい麺において、食味、食感および風味について高い評価が得られ、温かい麺において、食味、食感および風味について概ね良い評価が得られた。冷たい麺では申し分ないが、温かい麺では、若干やわらかめであるというものである。
蕎麦生地の温度が20.0度であり、蕎麦生地の硬さが19.7Nである場合、蕎麦生地を製麺する場合の製麺機の負荷は、大きくなく、製麺機を連続して稼働させることができる。蕎麦生地の温度が20.0度であり、蕎麦生地の硬さが19.7Nである場合、冷たい麺および温かい麺のいずれにおいても、食味、食感および風味について高い評価が得られた。冷たい麺および温かい麺のいずれにおいても、食味、食感および風味について理想的であるというものである。
蕎麦生地の温度が17.3度であり、蕎麦生地の硬さが20.0Nである場合、蕎麦生地を製麺する場合の製麺機の負荷は、大きくなく、製麺機を連続して稼働させることができる。蕎麦生地の温度が17.3度であり、蕎麦生地の硬さが20.0Nである場合、冷たい麺および温かい麺のいずれにおいても、食味、食感および風味について高い評価が得られた。冷たい麺および温かい麺のいずれにおいても、食味、食感および風味について理想的であるというものである。
蕎麦生地の温度が13.7度であり、蕎麦生地の硬さが26.2Nである場合、蕎麦生地を製麺する場合の製麺機の負荷は、製麺機で1つの蕎麦生地を製麺できる大きさであり、製麺機を連続して稼働させることはできなかった。蕎麦生地の温度が13.7度であり、蕎麦生地の硬さが26.2Nである場合、冷たい麺において、食味、食感および風味について概ね良い評価が得られ、温かい麺において、食味、食感および風味について高い評価が得られた。温かい麺では申し分ないが、冷たい麺では、若干かためであるというものである。
蕎麦生地の温度が15.3度であり、蕎麦生地の硬さが29.0Nである場合、蕎麦生地を製麺する場合の製麺機の負荷は、製麺機で1つの蕎麦生地の一部分しか製麺できない大きさであり、1つの蕎麦生地の全部を製麺できなかった。蕎麦生地の温度が15.3度であり、蕎麦生地の硬さが29.0Nである場合、冷たい麺および温かい麺のいずれにおいても、食味、食感および風味について否定的な点があるとの麺の評価が得られた。蕎麦麺がかたく、食感が悪いというものである。
蕎麦生地の温度が16.7度であり、蕎麦生地の硬さが32.0Nである場合、蕎麦生地を製麺する場合の製麺機の負荷は、製麺機で1つの蕎麦生地の一部分しか製麺できない大きさであり、1つの蕎麦生地の全部を製麺できなかった。蕎麦生地の温度が16.7度であり、蕎麦生地の硬さが32.0Nである場合、冷たい麺および温かい麺のいずれにおいても、食味、食感および風味について否定的な点があるとの麺の評価が得られた。蕎麦麺がかたく、食感が悪いというものである。
蕎麦生地の温度が7.4度であり、蕎麦生地の硬さが36.0Nである場合、蕎麦生地を製麺する場合の製麺機の負荷は、製麺機で1つの蕎麦生地の一部分しか製麺できない大きさであり、1つの蕎麦生地の全部を製麺できなかった。蕎麦生地の温度が7.4度であり、蕎麦生地の硬さが36.0Nである場合、冷たい麺および温かい麺のいずれにおいても、食味、食感および風味について否定的な点があるとの麺の評価が得られた。蕎麦麺がかたく、食感が悪いというものである。
図10に示される、蕎麦生地の温度、蕎麦生地の硬さ、蕎麦生地を製麺する場合の製麺機の負荷および蕎麦生地から製麺機で製麺された麺の評価から、蕎麦生地201の硬さとして、蕎麦生地201の温度が14度乃至24度において、蕎麦生地201に接する面の形状が半径10mmの円形であるプローブ291を蕎麦生地201の表面から15mmの深さまで押し込むのに必要な力が14N乃至26Nである硬さが好ましいことがわかった。
蕎麦生地201の温度が14度乃至24度の範囲であり、14N乃至26Nである硬さの範囲について、より詳細に評価したところ、蕎麦生地201の硬さが、蕎麦生地201の温度が17度乃至20度において、蕎麦生地201に接する面の形状が半径10mmの円形であるプローブ291を蕎麦生地201の表面から15mmの深さまで押し込むのに必要な力が15N乃至25Nである硬さであると、冷たい麺および温かい麺のいずれにおいても、食味、食感および風味について理想的であるという麺の評価が得られた。
なお、蕎麦生地201は、蕎麦生地製造装置11により製造されると説明したが、これに限らず、人手により形成するようにしても、蕎麦生地製造装置11とは異なる構成の蕎麦生地製造装置を一部の工程または全部工程に利用して、製造するようにしてもよい。
このように、蕎麦生地201は、一辺の長さのそれぞれが4cm乃至12cmの直方体状に形成される。また、蕎麦生地201は、蕎麦生地201の温度が14度乃至24度において、蕎麦生地201に接する面の形状が半径10mmの円形であるプローブ291を蕎麦生地201の表面から15mmの深さまで押し込むのに必要な力が14N乃至26Nである硬さとされている。
蕎麦生地201は、一辺の長さのそれぞれが4cm乃至12cmの直方体状に形成されているので、運搬中の揺れにより力が加わっても、平面で力を受け、また、転がったりしにくいので、変形しにくくなり、また、麺箱に入れた場合、隙間なく配置できるので、1つの麺箱により多くの蕎麦生地201を入れることができ、麺箱のスペースに無駄が生じにくい。また、蕎麦生地201の温度が14度乃至24度において、蕎麦生地201に接する面の形状が半径10mmの円形であるプローブ291を蕎麦生地201の表面から15mmの深さまで押し込むのに必要な力が14N乃至26Nである硬さとされているので、店舗の中で、蕎麦を麺状に成形する製麺機で連続的に製麺しても、製麺機が過負荷で止まってしまうことがなく、安定して押し出して麺状に成形でき、また、歯ごたえが良く、食感の良い蕎麦麺を成形できる。このように、店舗までの運搬での取り扱いがより容易で、より確実に、店舗での蕎麦麺の押し出し成形ができる。
蕎麦生地201は、一辺の長さのそれぞれが7cm乃至9cmの直方体状に形成することができる。このようにすることで、並べて麺箱に入れる場合、1つの麺箱にさらに多くの蕎麦生地201を入れることができ、麺箱のスペースをさらに有効に利用でき、また、店舗での取り扱いがより容易で、製麺機に入れやすくすることができる。
蕎麦生地201は、蕎麦生地201の温度が17度乃至20度において、蕎麦生地201に接する面の形状が半径10mmの円形であるプローブ291を蕎麦生地201の表面から15mmの深さまで押し込むのに必要な力が15N乃至25Nである硬さとすることができる。このようにすることで、冷たい日本蕎麦にしても、温かい日本蕎麦にしても、歯ごたえがより良く、食感のより良い蕎麦麺を形成できる。
蕎麦生地201の6つの面のうちのいずれかの対向する2つの面を押圧することで形成し、6つの面のうちの他の4つ面を切断することで形成することができる。このようにすることで、より均質に形成でき、店舗の中で、蕎麦を麺状に成形する製麺機で連続的に製麺しても、製麺機が過負荷で止まってしまうことがなく、安定して押し出して麺状に成形できる。
なお、蕎麦生地の面のうち、4つの面または全部の面をローラーなどで押圧して形成すると、蕎麦生地の温度が14度乃至24度において、蕎麦生地に接する面の形状が半径10mmの円形であるプローブ291を蕎麦生地の表面から15mmの深さまで押し込むのに必要な力が30N乃至60Nである硬さとなってしまい、製麺機が過負荷で止まってしまい、連続的に製麺することはできなかった。また、冷たい麺および温かい麺のいずれにおいても、食味、食感および風味について否定的な点があるとの麺の評価になった。
蕎麦生地201は、樹脂製の袋211により包装することができる。このようにすることで、店舗までの運搬での取り扱いがより容易になる。
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。