JP6843812B2 - カジメ抽出物およびこれを活性成分として含む血管疾患を予防または処置するための医薬組成物 - Google Patents

カジメ抽出物およびこれを活性成分として含む血管疾患を予防または処置するための医薬組成物 Download PDF

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Description

発明の背景
1.発明の分野
本発明は、カジメ(Ecklonia cava)抽出物およびこれを活性成分として含む血管疾患を予防または処置するための医薬組成物に関する。
2.関連技術の記載
20世紀の初期においては、全ての死亡者のうちの10%未満を占めていたが、最近では、これらの心血管疾患からの死亡率は、先進国においては約50%、発展途上国においては約25%を占めている。20世紀の初期においては、死亡の全原因のうちの10%未満が心血管疾患に関係していた。しかし、最近では、心血管疾患により引き起こされる死亡率は、先進国においては全死亡数のうちの約50%、発展途上国においては25%を占める。心血管疾患のうちの多くは、血管が、喫煙および糖尿病などの多様な要因により損傷を受けた場合、または血管内皮細胞の機能が損なわれた場合に引き起こされる、粥状動脈硬化症である。粥状動脈硬化症の症例においては、粥状動脈硬化巣(plaque)の発生およびその結果生じる血栓が、各臓器への血液の供給を妨害することにより、深刻な問題を引き起こす。
粥状動脈硬化症は、心血管疾患の主要な原因であり、過去20〜30年間にわたる急速な社会および経済の発達および西洋化した生活スタイルに起因して、発生率は急速に増加している。したがって、かかる疾患の病因、機序および処置についての研究の重要性は、徐々に大きくなっている。粥状動脈硬化症は、血管内皮細胞の酸化による損傷から引き起こされる炎症反応により内皮細胞および単核細胞においてサイトカインが分泌された場合に発症する疾患であり、これは、内皮において平滑筋細胞の遊走および増殖を引き起こし、その結果として、血管内皮の動脈硬化巣の形成により血液循環が阻害される。
これまでに開発された動脈疾患のための処置方法は、薬物治療、遺伝子治療、経皮経管冠状動脈形成およびステント術(PTCA)および冠動脈バイパス移植片(CABG)の血管再建であり、そのうち、血管再建治療が広く用いられている。冠状動脈形成術などの冠状動脈再生技術またはステント術は、処置の3〜6か月後に患者の約40%において血管再狭窄が起きるという問題を有する。
血管再狭窄の機序は、以下のとおり知られている:バルーンを備えたカテーテル、活性化された血小板またはマクロファージにより損傷を受けた血管内皮細胞において多様なサイトカインおよび増殖因子が生成されて分泌される場合に、血管平滑筋細胞の遊走および増殖が促進される。次いで、細胞外マトリックス(ECM)の生成および分泌が促進され、これが、内皮の過形成をもたらす。
最近の研究は、血管平滑筋細胞(VSMC)の遊走および増殖が、粥状動脈硬化症の形成および進行における重要なプロセスであることを示している。特に、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)は、粥状動脈硬化症の発症および進行に関連する重要な要因の中でも、粥状動脈硬化症に関与するサイトカインにより刺激されたマクロファージ、血管内皮細胞および平滑筋細胞において発現する。増大したMMPのタンパク質分解活性により、平滑筋細胞周囲の細胞外マトリックス(ECM)が分解され、これは、血管内皮中への細胞遊走をもたらす。MMPは、血管平滑筋細胞の細胞膜中に存在するPDGF受容体に結合し、これは、細胞を中膜から内膜に移動させ、同時に細胞増殖を引き起こし、これが、血管内皮における新生内膜の形成をもたらす。これらのプロセスは、血管の内径の縮小および血流機能障害を誘導することにより、粥状動脈硬化症の初期応答を媒介する。
したがって、血管疾患は、平滑筋細胞の遊走および増殖を阻害することにより、予防または処置することができる。例えば、動脈硬化症または血管再狭窄は、それにより予防または処置することができる。
動脈硬化症または血管再狭窄を抑制するために、抗血小板剤、抗凝固剤、コレステロール生合成阻害剤、および抗アレルギー剤がこれまで用いられてきた。しかし、かかる阻害剤は、血栓形成の阻害に加えて、創傷再生の阻害、血管の傷害、肝毒性、および腎臓の損傷などの多様な副作用を有する。特に、血管の傷害などの副作用は、血管疾患の原因となり得る。副作用の問題を解決するため、および動脈硬化症または血管再狭窄の発症を抑制するために、ヒトにおいて安全であることが確認されている多様な天然の物質から材料を開発またはスクリーニングするための研究が活発に続けられている。しかし、結果は、まだ満足できるものではない。
このことに基づいて、本発明者らは、血管疾患を予防または処置するために、天然の物質に由来する材料を開発しようと試みた。そして、本発明者らは、カジメ抽出物が血管疾患を改善するうえで有効であることを確認し、本発明を完成するに至った。先に、カジメは、抗酸化および抗癌活性を有することが知られていた(KR 10-2011-0126413)が、これが血管疾患を処置するために用いることができることは、知られていない。
血管疾患の予防または処置のための医薬組成物を提供することは、本発明の目的である。
血管疾患の予防または改善のための保健機能食品組成物を提供することは、本発明の別の目的である。
天然の物質に由来する成分を、上の医薬組成物または保健機能食品組成物の活性成分として提供することもまた、本発明の目的である。
天然の物質に由来する成分の調製方法を提供することは、本発明のさらなる目的である。
上の目的を達成するために、本発明は、カジメ抽出物を活性成分として含む、血管疾患を予防または処置するための医薬組成物を提供する。
本発明はまた、カジメ抽出物を活性成分として含む、血管疾患を予防または改善するための保健機能食品組成物を提供する。
加えて、本発明は、上のカジメ抽出物の調製方法を提供する。
有利な効果
本発明のカジメ抽出物が、血管疾患を引き起こすことに関与する要因に対して医薬効果を有することを、細胞レベルの実験および疾患誘導動物モデル実験により確認した。したがって、本発明のカジメ抽出物は、医薬組成物および保健機能食品組成物の活性成分として、血管疾患の予防、改善または処置のために、有効に用いることができる。
本発明の好ましい態様の適用は、添付の図面を参照して最もよく理解され、図面においては以下のとおりである:
図1は、例1において、それぞれ40%、50%または100%エタノールを用いることにより抽出されたカジメ抽出物の収率(%)を説明するグラフである。 図2は、カジメ抽出物の血管細胞死阻害活性を説明するグラフである。活性を試験するために、24時間にわたる0.25mMのパルミチン酸の処置によりマウス血管細胞死モデルを構築した。次いで、動物を、それぞれ100μg/mlのパルミチン酸と一緒にした、例1において調製した3種類の異なるカジメ抽出物(40%、50%または100%エタノールで抽出したもの、あるいは熱水、45%または70%エタノールで抽出したもの)で処置し、その後、血管細胞死阻害活性を検討した。
図3は、カジメ抽出物の平滑筋細胞遊走阻害活性を説明するグラフである。活性を試験するために、48時間にわたる0.25mMのパルミチン酸の処置によりマウス血管平滑筋細胞遊走モデルを構築した。次いで、動物を、それぞれ100μg/mlのパルミチン酸と一緒にした、例1において調製した3種類の異なるカジメ抽出物(40%、50%または100%エタノールで抽出したもの、あるいは熱水、45%または70%エタノールで抽出したもの)で処置し、その後、平滑筋細胞遊走阻害活性を検討した。
図4は、マウス血管細胞死モデルを、様々な濃度(0、25、50、および100μg/ml)におけるパルミチン酸処置の時点において、本発明のカジメ抽出物(50%エタノールで抽出したもの)で処置した後に検討した、血管内皮細胞の生存率を説明するグラフである。
図5は、普通食群(対照、NFD)、高脂肪食群(HFD)、ならびに高脂肪食およびカジメ抽出物で処置された実験群(HFD−ECE)におけるPGI2の発現レベルを説明するグラフである。 図6は、普通食群(対照、NFD)、高脂肪食群(HFD)、ならびに高脂肪食およびカジメ抽出物で処置された実験群(HFD−ECE)の大動脈における、蛍光免疫染色により分析され、定量されたE−セレクチンの発現レベルを説明するグラフである。
図7は、普通食群(対照、NFD)、高脂肪食群(HFD)、ならびに高脂肪食およびカジメ抽出物で処置された実験群(HFD−ECE)の大動脈における、蛍光免疫染色により分析され、定量された、ICAM−1の発現レベルを説明するグラフである。 図8は、普通食群(対照、NFD)、高脂肪食群(HFD)、ならびに高脂肪食およびカジメ抽出物で処置された実験群(HFD−ECE)の大動脈における、蛍光免疫染色により分析され、定量された、VCAM−1の発現レベルを説明するグラフである。
図9は、普通食群(対照、NFD)、高脂肪食群(HFD)、ならびに高脂肪食およびカジメ抽出物で処置された実験群(HFD−ECE)の大動脈において、蛍光免疫染色により分析され、定量された、vWFの発現レベルを説明するグラフである。 図10は、普通食群(対照、NFD)、高脂肪食群(HFD)、ならびに高脂肪食およびカジメ抽出物で処置された実験群(HFD−ECE)の大動脈において、蛍光免疫染色により分析され、定量された、ET−1の発現レベルを説明するグラフである。
図11は、普通食群(対照、NFD)、高脂肪食群(HFD)、ならびに高脂肪食およびカジメ抽出物で処置された実験群(HFD−ECE)の大動脈における、免疫蛍光染色により検査された、血管中の平滑筋層の厚みを説明するグラフである。 図12は、普通食群(対照、NFD)、高脂肪食群(HFD)、ならびに高脂肪食およびカジメ抽出物で処置された実験群(HFD−ECE)の血管中の平滑筋層に対する内皮細胞層のの比を説明するグラフである。
図13は、普通食群(対照、NFD)、高脂肪食群(HFD)、ならびに高脂肪食およびカジメ抽出物で処置された実験群(HFD−ECE)の血圧を説明するグラフである。 図14は、カジメ抽出物の酢酸エチル画分(ECE)を用いて行ったHPLCの結果を表す。
図15は、カジメ抽出物の酢酸エチル画分(ECE)を用いて行ったCPCの結果を表す。 図16は、カジメ抽出物の酢酸エチル画分(ECE)からCPCを用いて単離したピロガロール−フロログルシノール−6,6’−ビエコール(PPB)のHPLCの結果を表す。
図17は、単一の材料として抽出したピロガロール−フロログルシノール−6,6’−ビエコール(PPB)の式を表す。 図18は、ob/obマウス(レプチン欠損マウス)の肥満誘導動物モデルにおける、カジメ抽出物(PPB)の投与による脂肪細胞のサイズの変化を表す。
図19は、ob/obマウスの肥満誘導動物モデルにおける、PPBの投与による肝臓組織における脂肪蓄積量の変化を表す。 図20は、ob/obマウスの肥満誘導動物モデルにおける、PPBの投与による血中PAI−1の変化を表す。 図21は、血管内皮細胞に対するPPBとパルミチン酸との共投与による、血管内皮細胞死阻害効果を表す。
好ましい態様の記載
本明細書において以後、本発明を詳細に記載する。
以下の記載は、本発明の理解を補助することを目的とする例として理解されるべきであり、本発明の精神または範囲は、以下の記載から限定されない。
抽出物
本発明は、カジメ抽出物を活性成分として含む、血管疾患を予防または処置するための医薬組成物を提供する。
本明細書において、前記カジメ(Ecklonia cava)とは、褐藻植物門、コンブ目、チガイソ科(Alariaceae)に属する褐藻類の多年生の海藻を示す。カジメは、主に韓国のチェジュ島の沿岸地域において平均海面より約10m下の水深において生息する。カジメはまた、日本においても見出される。カジメの長さは、1〜2mであり、茎は円柱状である。基部は根のように見える。
本発明の好ましい態様において、上のカジメ抽出物は、限定することなく一般に公知の任意の植物抽出方法により調製することができる。
本発明の好ましい態様において、上のカジメ抽出物は、以下のとおり調製することができる。カジメ抽出物は、カジメ植物の全体または一部から、抽出溶媒、例えば気相または液相における無機または有機の物質またはそれらの混合物を用いることにより抽出することができるが、必ずしもこれらに限定されない。例として、抽出物は、以下により例示される慣用的な抽出溶媒を用いて得ることができる:(a)C−C無水または含水低級アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノールおよびn−ブタノールなど)、(b)低級アルコールと水との混合溶媒、(c)アセトン、(d)酢酸エチル、(e)クロロホルム、(f)1,3−ブチレングリコール、(g)ヘキサン、(h)ジエチルエーテル、(i)酢酸ブチル、または(j)水。あるいは、カジメ抽出物は、カジメ植物の超臨界抽出物、例えば、カジメの超臨界CO抽出物であってよい。
本発明の好ましい態様において、カジメ抽出物は、カジメ植物の全体または少なくとも一部を、水、C1−2低級アルコールまたはそれらの混合物で抽出することにより得られる抽出物であってよい。
本発明の別の態様において、カジメ抽出物は、30%〜100%エタノール、40%〜100%エタノール、40%〜90%エタノール、40%〜80%エタノール、40%〜70%エタノール、40%〜60%エタノール、45%〜60%エタノール、40%〜55%エタノール、45%〜50%エタノール、または50%エタノールで抽出することにより得られる抽出物であってよい。
本発明の別の態様において、カジメ抽出物は、例1において記載されるものと同じ様式において抽出することができるが、これに常にこれに限定されるものではない。
本発明の別の態様において、カジメ抽出物は、水、C1−2低級アルコールまたはそれらの混合物を用いることにより抽出することができる。
水を用いることにより抽出されるカジメ抽出物は、例えば、熱水を用いることにより抽出することができる。
本発明の別の態様において、カジメ抽出物は、40〜100℃、50〜100℃、70〜100℃、または80〜100℃の温度の水で抽出することができる。
本発明の別の態様において、カジメ抽出物は、以下の例2において記載されるものと同じ様式において抽出することができるが、これに常にこれに限定されるものではない。
本発明の別の側面において、上のカジメ抽出物は、血管疾患に対する予防、改善または治療効果を示す活性成分として理解することができる。
本発明の好ましい態様において、カジメ抽出物が、血管平滑筋細胞の遊走または増殖を阻害する効果を有することを確認した。本発明のカジメ抽出物がまた、血管筋の肥厚化を軽減し、血管壁を正常レベルに回復させる効果を有することを、疾患誘導動物モデル実験において確認した。したがって、本発明のカジメ抽出物は、血管疾患を予防または処置するための医薬組成物あるいは血管疾患を予防または改善するための保健機能食品組成物の活性成分として、有効に用いることができる。
本発明の別の態様において、本発明のカジメ抽出物が、プロスタグランジン(PGI2)の発現を増大させることを確認した。特に、PGI2は、血管収縮因子トロボキサンA2(TxA2)(これは血管収縮剤として作用する)と生理学的に反作用し、血管を弛緩させる。
本発明の抽出物は、特に血管系の疾患と関連した、血管の詰まりまたは血液学的障害などの症状または疾患を、予防するか、寛解させるか、またはこれを処置することができる。したがって、本発明のカジメ抽出物により誘導されるPGI2の上方調節は、血管を弛緩させる効果をもたらすことができ、それにより、本発明の抽出物は、血管疾患、特に、血管収縮、血管の詰まり、および循環障害などに関係する症状または疾患を、予防、改善または処置するために有用であり得る。
さらに、本発明の別の好ましい態様において、カジメ抽出物が、細胞内接着タンパク質(E−セレクチン、ICAM−1、VCAM−1、およびvWF)の発現を低下させることを確認した。これらのタンパク質は、特に動脈硬化症に関連する因子であり、同時に、炎症性の血管疾患を引き起こす因子でもある。したがって、本発明のカジメ抽出物は、動脈硬化症および炎症性疾患などの血管疾患の処置のために有用である。
本発明の別の態様において、本発明のカジメ抽出物は、エンドセリン−1(ET−1)の発現を低下させることを確認した。エンドセリン−1は、強力な血管収縮剤である。したがって、カジメ抽出物が血管収縮を予防することができることが示唆された。したがって、本発明のカジメ抽出物は、血管疾患、特に、血管収縮、血管の詰まりおよび循環障害などに関与する症状または疾患を、予防、改善または処置するために有効に用いることができる。
本発明のカジメ抽出物は、血管の弾性を予防及び改善すること、血管内臓筋の異常な増殖を抑制すること、内皮細胞の損傷を阻害すること、血管外壁線維症を抑制すること、および血圧上昇を予防することからなる群より選択される効果の少なくとも1つを有することを確認した。したがって、本発明のカジメ抽出物は、血管疾患を予防または処置するための医薬組成物の活性成分として提供することができる。
本発明の別の側面において、上の血管疾患は、心血管疾患、特に血液循環の運動が阻害、遮断もしくは狭窄される疾患、または血管の炎症性疾患として理解することができる。大局的には、疾患は、本発明により有効に処置することができる全ての血管疾患として理解することができる。
本発明の好ましい態様において、血管疾患は、血管平滑筋細胞の異常な増殖、遊走性または内皮性の増殖性疾患、血管炎症性疾患、血管再狭窄、血管狭窄、動脈硬化症、粥状動脈硬化症、心不全、心筋梗塞、狭心症、不整脈、高血圧、高血圧性心疾患、先天性心疾患、脳卒中、および末梢血管狭窄からなる群より選択することができる。
本明細書における血管の炎症性疾患は、血管において発症する炎症性疾患であって、敗血症または敗血症性ショックにより例示されるものである。
本発明の別の態様においては、以下の実験例において確認されるとおり、熱水抽出物またはエタノール抽出物、例えば、50%エタノールを用いることにより調製されたカジメ抽出物である上記のエタノール抽出物は、平滑筋細胞の遊走を阻害し、血管筋の肥厚を緩和すること、これが円滑な血流のために有益であることを、動物モデルにおいて確認した。したがって、本発明のカジメ抽出物は、平滑筋細胞の遊走および増殖に関与するかかる疾患の処置のために活性成分として有効に用いることができ、この結果は、図2、3、11、12および13において、実験データにより確認された。
したがって、本発明は、血管平滑筋細胞の異常な増殖、遊走性または内皮性の増殖性疾患、血管炎症性疾患、血管再狭窄、血管狭窄、粥状動脈硬化症、心不全、心筋梗塞、狭心症、不整脈、高血圧、高血圧性心疾患、先天性心疾患、脳卒中、および末梢血管狭窄などの血管疾患からなる群より選択される1つ以上の疾患の予防または処置のための、本発明のカジメ抽出物を活性成分として含む医薬組成物を提供する。
本発明の別の側面において、カジメ抽出物は、さらに精製された画分または分画物質であってもよい。
本明細書において、上の画分または分画物質は、以下の実験例において示される血管疾患を予防、改善または処置することを目的として用いることができる画分または分画物質を示す。
本発明の好ましい態様において、画分またはその分画物質が、血管平滑筋細胞の遊走または増殖を抑制すること、プロスタグランジン(PGI2)の発現を増大させること、細胞内接着タンパク質(E−セレクチン、ICAM−1、VCAM−1、およびvWF)の発現を低下させること、ならびにエンドセリン−1(ET−1)の発現を低下させることからなる群より選択される1つ以上の活性を有すること、または血管の弾性を予防及び改善すること、血管内臓筋の異常な増殖を抑制すること、内皮細胞の損傷を阻害すること、血管外壁線維症を抑制すること、および血圧上昇を予防することからなる群より選択される1つ以上の効果を有することを確認し、このことは、本発明の画分または分画物質が、血管疾患を予防、改善または処置するために有効であることを示している。画分またはその分画物質は、本発明のカジメ抽出物と同じ機能を実際に遂行し、カジメ抽出物から単にさらに分離および精製されているが、なお同じ活性成分を含んでいる。
画分または分画物質は、より単離/精製された形態を意味してもよい。例えば、それは、カジメ抽出物を、一定の分子量カットオフ値を有する限外ろ過膜を用いてろ過することにより得られた、または多様なクロマトグラフィー(サイズ、電荷、疎水性またはアフィニティーによる分離のために準備されたもの)により得られた画分であってもよい。さらに行ってもよい多様な精製方法により得られた他の画分もまた、カジメ植物の画分または分画物質に含めることができる。
本発明の好ましい態様において、カジメ抽出物は、以下のステップを含む調製方法により得られた抽出物であってよい:
カジメ植物の全体または少なくとも一部を、溶媒中に浸漬すること;および
上の溶媒からカジメ抽出物を得ること。
抽出のための原料は、カジメ植物の葉、茎、根もしくは植物全体、または少なくともその一部を、裁断するか、これをさらに粉砕することにより調製することができる。浸漬の段階において、上のように調製されたカジメ植物の少なくとも一部を、溶媒、抽出媒質中に浸漬する。
上述の溶媒に加えてカジメ抽出物の調製において用いることができる抽出媒質は、全ての型の気体または液体の無機または有機の物質のうちの少なくとも1種類、およびそれらの混合物であってよい。例えば、抽出媒質は、(a)C〜C無水または含水低級アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノールおよびn−ブタノールなど)、(b)低級アルコールと水との混合溶媒、(c)アセトン、(d)酢酸エチル、(e)クロロホルム、(f)1,3−ブチレングリコール、(g)ヘキサン、(h)ジエチルエーテル、(i)酢酸ブチル、および(j)水からなる群より選択することができる。
上の抽出物を得る段階において、抽出媒質または溶媒中に含まれる活性成分が一般的に得られるが、これに限定されず、残渣中に残留する活性成分もまた得ることができる。特に、任意の慣用的な分離またはろ過、例えば固体または液体の成分の分離またはろ過の方法を、限定することなく用いることができる。例えば、ろ過物と残渣とを分離するために、ろ過デバイスを用いてもよい。本明細書におけるろ過は、一次、二次またはそれより高次で繰り返し抽出されるろ過ステップであってもよく、任意の方法を、それが可能な限り多くの活性成分を残渣からろ過物中に抽出することができるかぎり、限定することなく用いることができる。
ろ過物自体を、本明細書におけるカジメ抽出物として用いても、それを、さらに濃縮および凍結乾燥のステップを行うことにより、抽出物または粉末の形態において得てもよい。抽出物は、使用の目的に従って、特定の溶媒中で溶解または再懸濁してもよい。
例えば、活性成分をより高い濃度で得るために、本発明の画分またはその分画物質の調製方法のみならず、慣用的な画分または分画物質の調製方法もまた、限定することなく用いることができる。
本発明の好ましい態様において、カジメ植物は、エタノール、例えば、10%〜100%、20%〜100%、30%〜100%、40%〜100%、40%〜90%、40%〜80%、40%〜70%、40%〜60%、45%〜60%、45%〜50%または50%のエタノールを用いることにより、抽出することができる。
本発明の別の態様において、カジメ抽出物は、図1において示されるとおり、様々な抽出溶媒を様々な条件下において用いることにより調製した。結果として、カジメ抽出物は、40%〜60%、45%〜60%、45%〜55%または50%のエタノールを用いることにより、高い収率で調製することができることを確認した。
さらに、以下の実験例において確認されるとおり、カジメ抽出物をラージスケールで製造するため、またはカジメ抽出物の産業上の利用可能性を増大させるために、40%〜60%または50%のエタノールを抽出溶媒として用いることが、より好ましい。
本発明の好ましい態様において、実験データを提示する図3において示されるとおり、カジメ抽出物が、平滑筋細胞の遊走および増殖を抑制する効果を有することを確認した。また、図11、12および13において示されるとおり、抽出物により血管の筋層の厚みが減少したことも確認した。
平滑筋細胞の遊走および増殖を抑制することにより、疾患に対する予防、改善または治療効果を達成するために、水またはエタノールまたはそれらの混合物を抽出のために用いることが好ましい。例えば、熱水抽出/エタノール抽出により調製されたカジメ抽出物は、エタノール抽出物が本発明により提供される上の濃度範囲内であった場合に(上の段落を参照)、より効率的であることが確認された。
本発明のカジメ抽出物を用いることにより予防、改善または処置することができる血管疾患は、血管平滑筋細胞の異常な増殖、遊走性または内皮性の増殖性疾患により例示される。
例えば、血管平滑筋細胞の異常な増殖、遊走性または内皮性の増殖性疾患は、血管再狭窄、血管狭窄、粥状動脈硬化症、心不全、心筋梗塞、狭心症、不整脈、高血圧、高血圧性心疾患、先天性心疾患、脳卒中、および末梢血管狭窄からなる群より選択される1つ以上の疾患である。
本発明のカジメ抽出物の調製方法によれば、抽出は、上の抽出溶媒を抽出試料(カジメ植物または少なくともその一部、その粉砕された生成物、その粉末など)に、試料の重量の2倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍または50倍の体積で添加した後で行った。
一方で、本発明の抽出方法のうち当業者により容易に改変および適用され得る部分、例えば抽出時間、抽出温度などは、限定することなく本発明に含まれ、本発明の基準において含まれることが、理解されるべきである。
本発明の好ましい態様において、抽出は、0〜40℃、10〜40℃、20〜40℃、30〜40℃、20〜30℃、または室温において行った。抽出時間は、限定されなかったが、好ましくは10分間、20分間、30分間、40分間、1時間、2時間、5時間または10時間、またはそれ以上であった。抽出のために、抽出媒質および抽出原料を十分に混合し、これは撹拌してもよかった。抽出媒質およびこれを含む抽出溶媒から好ましくは有用な成分を抽出することができる任意の方法は、その場合、当該方法は、本発明の抽出物の調製方法に適用することができるので、本発明の基準に含まれる。
本発明の別の態様において、抽出方法は、慣用的な抽出のために一般に用いられる熱水抽出であってよい。例えば、40〜100℃、50〜100℃、70〜100℃、または80〜100℃の温度における熱水を、抽出のために用いることができる。
本発明の別の態様においては、カジメ抽出物を調製するために、熱水ではなく水を用いたが、この調製方法もまた、本発明の基準に含まれる。
本発明は、本発明のカジメ抽出物の調製方法により調製されるカジメ抽出物を提供する。
本発明において、血管疾患のためのカジメ抽出物の驚くべき有用性を確認した。
特に、以下の実験例および本発明に添付された図面において示されるとおり、本発明のカジメ抽出物が、血管平滑筋細胞の遊走または増殖を抑制する活性、プロスタグランジン(PGI2)の発現を増大させる活性、細胞内接着タンパク質(E−セレクチン、ICAM−1、VCAM−1、およびvWF)の発現を低下させる活性、ならびにエンドセリン−1(ET−1)の発現を低下させる活性を有することを、実験例1〜5において確認した。
したがって、本発明のカジメ抽出物が、血管の弾性を予防及び改善すること、血管内臓筋の異常な増殖を抑制すること、内皮細胞の損傷を阻害すること、血管外壁線維症を抑制すること、および血圧上昇を予防することにおいて有効であることを確認した。
本発明のカジメ抽出物の効果は、血管疾患の予防、改善、緩和および処置に対するものであった。このことは、本発明のカジメ抽出物が有用であることを示唆している。
本発明は、カジメ抽出物を活性成分として含む、血管疾患を予防または処置するための医薬組成物を提供する。
本明細書において、血管疾患は、血管平滑筋細胞の異常な増殖、遊走性または内皮性の増殖性疾患、血管炎症性疾患、血管再狭窄、血管狭窄、粥状動脈硬化症、心不全、心筋梗塞、狭心症、不整脈、高血圧、高血圧性心疾患、先天性心疾患、脳卒中、および末梢血管狭窄からなる群より選択される1つ以上の疾患または症状として理解することができる。
上記の疾患または症状を予防または処置することにおける本発明のカジメ抽出物の有用性は、本発明において提示される実験例および図面により裏付けられる。
本発明のカジメ抽出物は、血管平滑筋細胞の遊走または増殖を抑制すること、プロスタグランジン(PGI2)の発現を増大させること、細胞内接着タンパク質(E−セレクチン、ICAM−1、VCAM−1、およびvWF)の発現を低下させること、ならびにエンドセリン−1(ET−1)の発現を低下させることからなる群より選択される1つ以上の活性により、上記の疾患を予防または処置することができる。
本発明のカジメ抽出物、その画分またはその活性成分を含む医薬組成物は、経口で、または非経口で投与することができ、医薬処方物の一般的な形態において用いることができる。すなわち、本発明の医薬組成物は、充填剤、増量剤、結合剤、湿潤化剤、崩壊剤および界面活性剤などの一般的に用いられる希釈剤または賦形剤と混合することにより、経口または非経口投与のために調製することができる。
経口投与のための処方物は、錠剤、丸剤、ハード/ソフトカプセル、溶液、懸濁液、エマルジョン、シロップ、顆粒、エリキシル剤およびトローチなどにより例示される。これらの処方物は、活性成分に加えて、希釈剤(例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン)ならびに潤滑剤(例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸およびそのマグネシウムまたはカルシウム塩、および/またはポリエチレングリコール)を含んでもよい。錠剤は、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプン糊、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドンなどの結合剤を含んでもよく、必要な場合には、デンプン、アガロース、アルギン酸もしくはそのナトリウム塩などの崩壊剤、または共沸混合物、ならびに/または吸収剤、着色剤、香味剤および甘味剤をさらにこれに含めてもよい。
本発明の医薬組成物は、非経口投与してもよく、非経口投与として、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、および胸腔内注射が挙げられる。
組成物を非経口投与のための処方物として調製するために、本発明のカジメ抽出物、その画分またはその活性成分を、安定化剤または緩衝化剤と混合して、溶液または懸濁液を作製し、これを次いで、アンプルまたはバイアルとして処方する。本明細書における組成物は、無菌化されていてもよく、保存剤、安定化剤、水和剤粉末または乳化剤、浸透圧の調節のための塩および/または緩衝化剤、ならびに他の治療上有用な材料をさらに含み、組成物は、慣用的な混合、造粒およびコーティングの方法により処方することができる。
かかる処方物の例は、単に典型的な処方物の例のためのものであり、当業者は、本発明の処方物がこれらに限定されないことを容易に理解するであろう。
本発明のカジメ抽出物、その画分またはその活性成分の有効用量は、年齢、体重、性別、投与形態、健康状態、および疾患の重篤度に従って決定することができる。用量は、一般的に、70kgの体重を有する成人対象に基づいて、0.1〜1000mg/日、好ましくは1〜500mg/日であり、これは、医師または薬剤師の判断に従って、1日1回または数回、予め決定された時間間隔において、投与することができる。
さらに、本発明は、血管疾患を処置するための方法を提供し、該方法は、カジメ抽出物、その画分、またはこれの活性成分の治療有効用量を、対象に投与するステップを含む。
本明細書において、上の血管疾患は、本明細書において記載されるとおりである。
上の治療有効用量とは、それがin vivoで投与された場合に、対象の症状または状態を、改善、処置、予防または軽減することができる量を示す。上の量は、対象の体重、年齢、状態および家族歴から変化し得る。本発明の処置方法は、対象の様々な状態の全てを考慮して、量を決定する。
「有効用量」とは、疾患を処置することにおいて有効である量を示す。
本発明の抽出物または組成物は、疾患の処置のために効果的な任意の量および任意の投与経路を用いて投与することができる。必要とされる正確な量は、対象により、種、年齢、一般的な疾患状態、感染の重篤度、使用されている具体的な薬物、および投与経路に依存して変化するであろう。本発明の抽出物は、投与の容易性および投与量の均一性のために、しばしば、投与単位において処方することができる。用語「投与単位形態」とは、本明細書において、この記載において記載されるような処置されるべき対象のために好適な、物理的に別々の単位の処方物を示す。本発明の組成物の合計の一日の投与量は、主治医により健全な医学的判断の範囲内において決定され得る。
任意の特定の対象または生物のための具体的な有効投与量レベルは、以下を含む多様な要因に依存する:疾患の型および疾患の重篤度;用いられる特定の活性成分の活性;用いられる組成物の種類;対象の年齢、体重、一般的な健康状態、性別および食事;投与時間、投与経路、用いられる特定の活性成分の排出速度;処置の期間;特定の活性成分の単独処置または他の薬物との共処置;ならびに、医薬の分野において一般に公知の他の要因。
用語「対象」は、動物、例えば、哺乳動物、または本発明においてはヒトを示す。
本発明はまた、カジメ抽出物を活性成分として含む、血管疾患を予防または改善するための保健機能食品組成物を提供する。
本明細書において、血管疾患は、血管平滑筋細胞の異常な増殖、遊走性または内皮性の増殖性疾患、血管炎症性疾患、血管再狭窄、血管狭窄、粥状動脈硬化症、心不全、心筋梗塞、狭心症、不整脈、高血圧、高血圧性心疾患、先天性心疾患、脳卒中、および末梢血管狭窄からなる群より選択される1つ以上の疾患であってよい。
本発明の好ましい態様において、以下の実験例において確認されるとおり、カジメ抽出物、特に水抽出物およびエタノール抽出物、より具体的には熱水抽出物および40%〜100%エタノール抽出物が、血管平滑筋細胞の異常な増殖、遊走性または内皮性の増殖性疾患、血管炎症性疾患、血管再狭窄、血管狭窄、粥状動脈硬化症、心不全、心筋梗塞、狭心症、不整脈、高血圧、高血圧性心疾患、先天性心疾患、脳卒中、および末梢血管狭窄などの血管疾患からなる群より選択される1つ以上の疾患の予防または改善のための保健機能食品組成物の活性成分として、好ましく提供される。
本発明の別の側面において、カジメ抽出物の画分またはそれから分離した分画物質は、保健機能食品組成物のための活性成分として提供することができる。
本明細書において、保健機能食品組成物は、活性成分に加えて、食品生成物の製造の間に一般的に添加される成分、例えば、タンパク質、炭水化物、脂質、栄養剤、調味料および香味剤を含んでもよい。
上の炭水化物は、ブドウ糖または果糖などの単糖、麦芽糖およびショ糖などの二糖、デキストリンおよびシクロデキストリンなどの多糖、ならびにキシリトール、ソルビトールおよびエリスリトールなどの糖アルコールのうちの1つであってよい。一方で、天然の甘味剤(タウマチン、ステビア抽出物、例えば、レバウジシドA、グリシルリチンなど)および合成甘味剤(サッカリン、アスパルテームなど)を、甘味剤として含んでもよい。
本発明の好ましい態様において、本発明の保健機能食品組成物を、飲料として処方してもよい。この場合、それは、クエン酸、果糖液糖、砂糖、ブドウ糖、酢酸、リンゴ酸、ジュース、クワ抽出物、ナツメ抽出物、およびカンゾウ抽出物を、上の式1により表される化合物、これを含むカジメ抽出物、その画分、またはそのECE画分に加えて、さらに含んでもよい。
化合物(ピロガロール−フロログルシノール−6,6’−ビエコール、PPB)
本明細書において以後、本発明を詳細に記載する。
以下の記載は、本発明を理解することに役立てることを目的とした例として理解されるべきであり、本発明の精神または範囲は、以下の記載から限定されるものではない。
本発明は、下の式1:
[式1]
により表される化合物、その立体異性体、またはその薬学的に受入可能な塩を提供する。
式1により表される化合物は、ピロガロール−フロログルシノール−6,6−ビエコール(PPB)と命名することができる。
本発明の一側面において、式1により表される化合物は、ピロガロール-フロログルシノール−6,6−ビエコール(PPB)であり、これは、カジメに由来する単一の物質であり、その立体異性体、またはその薬学的に受入可能な塩は、本発明に含まれ得る。
本発明は、従来の合成の薬物に付随する副作用の問題を解決するため、および、天然の物質に由来する効果的な薬物の開発の要求を満たすために導入された。本発明のカジメ由来のPPBは、天然の物質に由来する化合物であり、このことは、それが上の要件を満たす活性成分であることを示している。
本発明の一側面において、本発明のカジメに由来するPPB化合物が抗肥満効果を有することを確認し、このことは、この材料が、代謝性疾患を処置するために適用することができることを示している。
本発明の別の側面において、本発明の式1により表される化合物は、血液凝固を予防すること、および血中の炎症インデックスを減少させること、およびさらに、線維素溶解関連因子を改善することを確認した。
したがって、本発明の式1により表される化合物が抗血栓性効果を有することを確認し、したがって、それは、血栓性疾患を処置するために適用することができる。
本発明の別の態様において、本発明の式1により表される化合物が、血管内皮細胞を保護すること、血管収縮を抑制し、血管を弛緩させることを確認し、このことは、この化合物を、血管疾患を処置するために適用することができることを示唆している。
したがって、カジメに由来し、ピロガロール−フロログルシノール−6,6−ビエコール(PPB)と命名される、本発明の式1により表される化合物は、その抗肥満効果、抗血栓性効果および血管保護効果に起因して、代謝性疾患、血管疾患または血栓性疾患を処置するために適用することができる
本発明の好ましい態様において、ob/obマウスの肥満誘導動物の中で、PPB処置群において示された抗肥満効果は、脂肪組織のサイズの減少、および肝臓組織中に蓄積した脂肪の減少をもたらした。結果として、動物の体重は減少し、このことは、肥満が改善されたことを示唆している。
本発明の別の態様において、本発明の抽出物が、血管内皮細胞の損傷を予防したこと、血管の外壁におけるフィブリンの生成を減少させたこと、血管の筋肉内層の異常な増殖を抑制したこと、および血管の弾性を改善したことを確認し、このことは、化合物が、血管疾患を予防、改善または処置する効果を有することを確認したことを示唆している。
本発明の別の側面において、本発明の式1により表される化合物は、カジメに由来する。しかし、カジメ以外の天然の物質に由来するか、または合成により調製される、式1により表される化合物は、除外されず、本発明に含まれる。
本発明の好ましい態様において、式1により表される化合物は、好ましくはカジメに由来し、より好ましくはカジメ抽出物またはこれの画分に由来する。
本明細書において、前記カジメとは、褐藻植物門、コンブ目、チガイソ科に属する褐藻類の多年生の海藻を示す。カジメは、主に韓国のチェジュ島の沿岸地域において平均海面より約10m下の水深において生息する。カジメの長さは、1〜2mであり、茎は円柱状である。基部は根のように見える。
本発明の別の側面において、上の式1により表される化合物は、カジメ、カジメ抽出物またはこれの画分から得ることができる。
本発明の好ましい態様において、式1により表される化合物を含むカジメ抽出物は、限定することなく一般に公知の任意の植物抽出方法により調製することができる。
上のカジメ抽出物は、以下のとおり調製することができる。カジメ抽出物は、カジメ植物の全体または一部から、抽出溶媒、例えば、気相または液相における無機または有機の物質、またはそれらの混合物を用いることにより、抽出することができるが、必ずしもこれに限定されない。例として、抽出物は、以下により例示される慣用的な抽出溶媒を用いることにより得ることができる:(a)C〜C無水または含水低級アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノールおよびn−ブタノールなど)、(b)低級アルコールと水との混合溶媒、(c)アセトン、(d)酢酸エチル、(e)クロロホルム、(f)1,3−ブチレングリコール、(g)ヘキサン、(h)ジエチルエーテル、(i)酢酸ブチル、または(j)水。あるいは、カジメ抽出物は、カジメ植物の超臨界抽出物、例えばカジメの超臨界CO抽出物であってよい。
本発明の別の側面において、カジメ抽出物は、さらに精製された画分または分画物質であってよい。
本明細書において、上の画分または分画物質は、好ましくは式1により表される化合物の少なくとも一部を含む画分または分画物質であって、したがって、以下の実験例において示されるとおり、代謝性疾患、血管疾患または血栓性疾患を予防、改善または処置することを目的として用いることができるものを示す。
本発明の好ましい態様において、画分またはその分画物質が、血管平滑筋細胞の遊走または増殖を抑制すること、プロスタグランジン(PGI2)の発現を増大させること、細胞内接着タンパク質(E−セレクチン、ICAM−1、VCAM−1、およびvWF)の発現を低下させること、ならびにエンドセリン−1(ET−1)の発現を低下させることからなる群より選択される1つ以上の活性を有すること、または血管の弾性を予防及び改善すること、血管内臓筋の異常な増殖を抑制すること、内皮細胞の損傷を阻害すること、血管外壁線維症を抑制すること、および血圧上昇を予防することからなる群より選択される1つ以上の効果を有することを確認した。このことは、本発明の画分または分画物質が、代謝性疾患、血管疾患または血栓性疾患を予防、改善または処置することにおいて有効であることを示している。画分またはその分画物質は、本発明のカジメ抽出物と同じ機能を実際に遂行し、カジメ抽出物よりも単にさらに分離および精製されているが、なお同じ活性成分を含んでいる。
画分または分画物質は、より単離/精製された形態を意味してもよい。例えば、それは、カジメ抽出物を、一定の分子量カットオフ値を有する限外ろ過膜を用いてろ過することにより得られた、または多様なクロマトグラフィー(サイズ、電荷、疎水性またはアフィニティーによる分離のために準備されたもの)により得られた画分であってもよい。さらに行ってもよい多様な精製方法により得られた他の画分もまた、カジメ植物の画分または分画物質に含めることができる。
本発明の別の側面において、本発明は、上の式1により表される化合物の調製方法を提供し、該方法は、以下のステップを含む:
カジメ植物の全体または少なくとも一部を、溶媒中に浸漬すること;
上の溶媒からカジメ抽出物を得ること;および、
請求項1の式1により表される化合物を、カジメ抽出物から分離して、精製すること。
本明細書において、上の溶媒は、式1により表される化合物の少なくとも一部が、その中に溶解して抽出されることができる限りにおいて、限定されない。例えば、慣用的な抽出溶媒を用いることができ、一般的な医薬組成物または保健機能食品組成物の抽出のために好適な抽出溶媒が、より好ましい。
本発明の好ましい態様において、上の溶媒は、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノール、n−ブタノール、アセトン、酢酸エチル、1,3−ブチレングリコール、ヘキサン、ジエチルエーテルおよび酢酸ブチルからなる群より選択される単一の溶媒、またはこれらの溶媒のうちの少なくとも2つを含む混合溶媒であってよい。
本発明の別の好ましい態様において、溶媒は、水、C1−2低級アルコールまたはそれらの混合物であってよい。
本発明の別の側面において、上の式1により表される化合物の調製方法は、さらに、水、C1−4アルコール、塩化メチレン、クロロホルム、酢酸エチル、ヘキサン、ブタノール、またはこれらの混合溶媒を用いることにより、カジメ抽出物を分画するステップを含んでもよい。
抽出のための原料は、カジメ植物の葉、茎、根もしくは植物全体、または少なくともその一部を、裁断するか、これをさらに粉砕することにより調製することができる。浸漬の段階において、上のように調製されたカジメ植物の少なくとも一部を、溶媒、抽出媒質中に浸漬する。上述の溶媒に加えてカジメ抽出物の調製において用いることができる抽出媒質は、全ての型の気体または液体の無機または有機の物質のうちの少なくとも1種類、およびそれらの混合物であってよい。例えば、抽出媒質は、(a)C〜C無水または含水低級アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノールおよびn−ブタノールなど)、(b)低級アルコールと水との混合溶媒、(c)アセトン、(d)酢酸エチル、(e)クロロホルム、(f)1,3−ブチレングリコール、(g)ヘキサン、(h)ジエチルエーテル、(i)酢酸ブチル、および(j)水からなる群より選択することができる。
上の抽出物を得る段階において、抽出媒質または溶媒中に含まれる活性成分が一般的に得られるが、これに限定されず、残渣中に残留する活性成分もまた得ることができる。特に、任意の慣用的な分離またはろ過、例えば固体または液体の成分の分離またはろ過の方法を、限定することなく用いることができる。例えば、ろ過物と残渣とを分離するために、ろ過デバイスを用いてもよい。本明細書におけるろ過は、一次、二次またはそれより高次で繰り返し抽出されるろ過ステップであってもよく、任意の方法を、それが可能な限り多くの活性成分を残渣からろ過物中に抽出することができるかぎり、限定することなく用いることができる。
ろ過物自体を、本明細書におけるカジメ抽出物として用いても、それを、さらに濃縮および凍結乾燥のステップを行うことにより、抽出物または粉末の形態において得てもよい。抽出物は、使用の目的に従って、特定の溶媒中で溶解または再懸濁してもよい。
例えば、活性成分をより高い濃度で得るために、本発明の画分またはその分画物質の調製方法のみならず、慣用的な画分または分画物質の調製方法もまた、限定することなく用いることができる。
本発明の好ましい態様において、カジメ植物は、エタノールで抽出した。例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%のエタノールを、抽出のために用いることができた。より好ましくは50%エタノールを、抽出溶媒として用いた。
本発明の別の態様において、カジメ抽出物は、様々な抽出溶媒条件を用いて、例えば、40%〜100%エタノール、40%〜90%エタノール、40%〜80%エタノール、40%〜70%エタノール、40%〜60%エタノール、40%〜50%エタノール、50%〜100%エタノール、50%〜90%エタノール、50%〜80%エタノール、50%〜70%エタノール、50%〜60%エタノール、30%〜60%エタノール、35%〜65%エタノール、40%〜60%エタノール、または50%エタノールを用いて調製し、これらはすべて、本発明に含まれる。
加えて、本発明の上の式1により表される化合物を含むカジメ抽出物を大量生産するため、またはカジメ抽出物の産業上の利用可能性を改善するために、カジメ抽出物を、30%〜60%エタノール、35%〜65%エタノール、40%〜60%エタノール、または50%エタノールを用いることにより調製し、特にカジメ抽出物は、好ましくは50%エタノールを用いることにより調製した。
本発明の式1により表される化合物の調製方法において、抽出は、上の抽出溶媒を抽出試料(カジメ植物または少なくともその一部、その粉砕された生成物、その粉末など)に、試料の重量の2倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍または50倍の体積で添加した後で行った。
一方で、本発明の抽出方法のうち当業者により容易に改変および適用され得る部分、例えば抽出時間、抽出温度などは、限定することなく本発明に含まれ、本発明の基準において含まれることが、理解されるべきである。
本発明の好ましい態様において、抽出は、0〜40℃、10〜40℃、20〜40℃、30〜40℃、20〜30℃、または室温において行った。抽出時間は、限定されなかったが、好ましくは10分間、20分間、30分間、40分間、1時間、2時間、5時間または10時間、またはそれ以上であった。抽出のために、抽出媒質および抽出原料を十分に混合し、これは撹拌してもよかった。好ましくは式1により表される化合物を抽出媒質およびこれを含む抽出溶媒から抽出することができる任意の方法が、その場合、当該方法は、本発明の抽出物の調製方法に適用することができるので、本発明の基準に含まれる。
本発明の別の側面において、本発明は、上の式1により表される化合物、その立体異性体またはその薬学的に受入可能な塩を活性成分として含む、代謝性疾患を予防または処置するための医薬組成物を提供する。
本発明の好ましい態様において、上の式1により表される化合物が、脂肪細胞の数および肝臓における脂肪蓄積を著しく減少させることができることを確認した。したがって、化合物のかかる抗肥満効果を考慮すると、本発明の式1により表される化合物、その立体異性体またはその薬学的に受入可能な塩を、代謝性疾患の予防、改善または処置のための活性成分として提供することができる。
本発明の別の態様において、上の代謝性疾患は、代謝関連疾患に分類される全ての疾患を含み、これは、代謝症候群、内臓脂肪症候群、過食、大酒および運動不足に起因する栄養過多(hypereutrophy)により引き起こされる代謝性疾患、遺伝的要因により引き起こされる代謝性疾患、加齢要因により引き起こされる代謝性疾患、トリグリセリドの過剰蓄積、インスリン抵抗性、高血糖症、抗リポ蛋白血症、高血圧、心血管疾患、粥状動脈硬化症、心筋梗塞から生じる代謝性疾患、または肥満などの状態を引き起こす他の代謝性疾患により例示される。
本発明の別の態様において、上の代謝性疾患は、本発明の式1により表される化合物により予防、改善、軽減または処置され得る全ての疾患を含み、好ましくは、肥満、糖尿病、高血圧または心血管疾患により例示される。
本発明の別の側面において、本発明は、上の式1により表される化合物を活性成分として含む、血管疾患を予防または処置するための医薬組成物を提供する。
本発明の好ましい態様において、血管疾患は、以下の実験例および本発明に添付された図面において示されるとおり、本発明の式1により表される化合物を含むECE画分が、血中フィブリノーゲンを減少させる活性、血中のプラスミノーゲン活性化因子阻害因子−1を減少させる活性、プロスタグランジン(PGI2)の発現を増大させる活性、細胞内接着タンパク質(E−セレクチン、ICAM−1、VCAM−1、およびvWF)の発現を低下させる活性、ならびにエンドセリン−1(ET−1)の発現を低下させる活性により、予防、改善、軽減または処置され得る疾患として理解することができる。
本発明の別の態様において、上の血管疾患は、本発明の式1により表される化合物が、血栓形成を阻害し、血管の弾性を保持および改善し、血管内臓筋の異常な増殖を阻害し、内皮細胞の損傷を阻害し、血管外壁線維症を抑制し、および血圧上昇を予防する疾患として理解することができる。
本発明の好ましい態様において、血管疾患は、血管平滑筋細胞の異常な増殖、遊走性または内皮性の増殖性疾患、血管炎症性疾患、血管再狭窄、血管狭窄、粥状動脈硬化症、心不全、心筋梗塞、狭心症、不整脈、高血圧、高血圧性心疾患、先天性心疾患、脳卒中、および末梢血管狭窄からなる群より選択することができる。
本発明の別の側面において、本発明は、上の式1により表される化合物、その立体異性体またはその薬学的に受入可能な塩を活性成分として含む、血栓性疾患を予防または処置するための医薬組成物を提供する。
本発明の好ましい態様において、血栓性疾患は、血液循環において血栓症により引き起こされる疾患として理解することができる。本発明の式1により表される化合物は、血栓症を阻害するか、血液凝固を予防するか、血小板凝集を予防するか、または生成された血栓を溶解するものと理解することができ、したがって、本発明の化合物は、血栓性疾患を予防、改善または処置する効果を有することを理解することができる。
本発明の別の態様において、血栓性疾患は、急性心筋梗塞、虚血性脳卒中、出血性脳卒中、深部静脈血栓症、下肢の浮腫、急性末梢動脈閉塞症、深部静脈血栓症、門脈血栓症、急性腎静脈閉塞症、大脳静脈洞血栓症、狭心症、大脳梗塞または網膜中心静脈閉塞症であってよい。
本発明の式1により表される化合物を含む医薬組成物は、経口または非経口投与することができ、医薬処方物の一般的な形態において用いることができる。すなわち、本発明の医薬組成物は、充填剤、増量剤、結合剤、湿潤化剤、崩壊剤および界面活性剤などの一般的に用いられる希釈剤または賦形剤と混合することにより、経口または非経口投与のために調製することができる。
経口投与のための処方物は、錠剤、丸剤、ハード/ソフトカプセル、溶液、懸濁液、エマルジョン、シロップ、顆粒、エリキシル剤およびトローチなどにより例示される。これらの処方物cは、活性成分に加えて、希釈剤(例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン)ならびに潤滑剤(例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸およびそのマグネシウムまたはカルシウム塩、および/またはポリエチレングリコール)を含んでもよい。錠剤は、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプン糊、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドンなどの結合剤を含んでもよく、必要な場合には、デンプン、アガロース、アルギン酸もしくはそのナトリウム塩などの崩壊剤、または共沸混合物、ならびに/または吸収剤、着色剤、香味剤および甘味剤をさらにこれに含めてもよい。
本発明の医薬組成物は、非経口で投与してもよく、非経口投与として、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射および胸腔内注射が挙げられる。
式1により表される化合物を非経口投与のための処方物として調製するために、化合物を、安定化剤または緩衝化剤と混合して、溶液または懸濁液を作製し、これを次いで、アンプルまたはバイアルとして処方する。本明細書における組成物は、無菌化されていてもよく、保存剤、安定化剤、水和剤粉末または乳化剤、浸透圧の調節のための塩および/または緩衝化剤、ならびに他の治療上有用な材料をさらに含み、組成物は、慣用的な混合、造粒およびコーティングの方法により処方することができる。
かかる処方物の例は、単に典型的な処方物の例のためのものであり、当業者は、本発明の処方物がこれらに限定されないことを容易に理解するであろう。
式1により表される化合物または本発明の医薬組成物の有効用量は、年齢、体重、性別、投与形態、健康状態、および疾患の重篤度に従って決定することができる。用量は、一般的に、70kgの体重を有する成人対象に基づいて、0.1〜1000mg/日、好ましくは1〜500mg/日であり、これは、医師または薬剤師の判断に従って、1日1回または数回、予め決定された時間間隔において、投与することができる。
上の式1により表される化合物、すなわちピロガロール−フロログルシノール−6,6−ビエコール(PPB)の、上の疾患または症状の処置における有効な有用性は、本発明の実験例および図面により裏付けられる。
さらに、本発明は、代謝性疾患、血管疾患、または血栓性疾患を処置するための方法を提供し、該方法は、式1により表される化合物、これを含むカジメ抽出物、その画分、またはそのECE画分の治療有効用量を、対象に投与するステップを含む。
本明細書において、上の代謝性疾患、血管疾患、または血栓性疾患は、本明細書において記載されるものと同じである。
上の治療有効用量とは、それがin vivoで投与された場合に、対象の症状または状態を、改善、処置、予防または軽減することができる量を示す。上の量は、対象の体重、年齢、状態および家族歴から変化し得る。本発明の処置方法は、対象の様々な状態の全てを考慮して、量を決定する。
「有効用量」とは、疾患を処置することにおいて有効である量を示す。
本発明の式1により表される化合物、これを含むカジメ抽出物、その画分、そのECE画分、またはこれを含む医薬組成物は、疾患の処置のために有効な任意の量および任意の投与経路を用いて投与することができる。必要とされる正確な量は、対象により、種、年齢、一般的な疾患状態、感染の重篤度、使用されている具体的な薬物、および投与経路に依存して変化するであろう。本発明の式1により表される化合物、これを含むカジメ抽出物、その画分、そのECE画分、またはこれを含む医薬組成物は、投与の容易性および投与量の均一性のために、しばしば、投与単位において処方することができる。用語「投与単位形態」とは、本明細書において、この説明において記載されるような処置されるべき対象のために好適な、物理的に別々の単位の処方物を示す。本発明の組成物の合計の一日の投与量は、主治医により健全な医学的判断の範囲内において決定され得る。任意の特定の対象または生物のための具体的な有効投与量レベルは、以下を含む多様な要因に依存する:疾患の型および疾患の重篤度;用いられる特定の活性成分の活性;用いられる組成物の種類;対象の年齢、体重、一般的な健康状態、性別および食事;投与時間、投与経路、用いられる特定の活性成分の排出速度;処置の期間;特定の活性成分の単独処置または他の薬物との共処置;ならびに、医薬の分野において一般に公知の他の要因。
用語「対象」は、動物、例えば、哺乳動物、または本発明においてはヒトを示す。
本発明の一側面において、本発明は、上の式1により表される化合物、これを含むカジメ抽出物、その画分、またはそのECE画分を活性成分として含む、代謝性疾患、血管疾患、または血栓性疾患を予防または改善するための保健機能食品組成物を提供する。
本発明の別の側面において、上の式1により表される化合物、これを含むカジメ抽出物、その画分、またはそのECE画分は、食品組成物の活性成分として提供することができる。
本明細書において、食品組成物は、活性成分に加えて、食品生成物の製造の間に一般的に添加される成分、例えばタンパク質、炭水化物、脂肪、栄養剤、調味料および香味剤を含んでもよい。
上の炭水化物は、グルコースまたはフルクトースなどの単糖、マルトースおよびスクロースなどの二糖、デキストリンおよびシクロデキストリンなどの多糖、ならびにキシリトール、ソルビトールおよびエリスリトールなどの糖アルコールのうちの1つであってよい。一方で、天然の甘味剤(タウマチン、ステビア抽出物、例えば、レバウジシドA、グリシルリチンなど)および合成甘味剤(サッカリン、アスパルテームなど)を、甘味剤として含んでもよい。
本発明の好ましい態様において、本発明の食品組成物は、飲料として処方してもよい。この場合、それは、クエン酸、果糖液糖、砂糖、ブドウ糖、酢酸、リンゴ酸、ジュース、クワ抽出物、ナツメ抽出物、およびカンゾウ抽出物を、上の式1により表される化合物、これを含むカジメ抽出物、その画分、またはそのECE画分に加えて、さらに含んでもよい。
本発明の実用的かつ現在好ましいとされる態様を、以下の例において示されるように説明する。
しかし、当業者が、本開示を考慮して、本発明の精神および範囲内において改変および改善を行ってもよいことが理解されるであろう。
例1:カジメ抽出物の調製
以下の実験は、本発明のカジメ抽出物を調製するために行った。
特に、カジメ粉末は、抽出原料としてAqua Green Technology(Jeju, Korea)から提供された。抽出は、以下に記載される様々な抽出条件下において、しかし同じ容積の抽出原料(2.5gのカジメ粉末)および溶媒(100ml)を用いて行った。
条件1:40%エタノールで抽出(室温、1時間)
条件2:45%エタノールで抽出(室温、1時間)
条件3:50%エタノールで抽出(室温、1時間)
条件4:70%エタノールで抽出(室温、1時間)
条件5:100%エタノールで抽出(室温、1時間)
様々な条件下において行った様々な抽出方法により調製された各抽出物を、遠心分離し(RPM:10,000、10分間、4℃)、その後、ろ過して上清を得た。得られた上清を、減圧下において濃縮し、その後、凍結乾燥して粉末を得た。
例2:カジメ抽出物の調製
カジメ抽出物は、例1におけるものと同じ原料を用いて、しかしエタノールの代わりに100℃の熱水を抽出溶媒として用いることにより調製した。
実験例1:カジメ抽出物の最適抽出条件の同定
カジメ抽出物の産業上の利用可能性を改善するために、カジメ抽出物の最適抽出条件を、以下のとおり比較して評価した。
特に、例1において示されるとおりの様々な抽出条件下において得られた最終的なカジメ抽出物粉末の重量を測定して、抽出収率を計算し、これを、本発明のカジメ抽出物のための最適抽出条件を決定するための評価のために比較した。
3つの異なる条件(40%、50%および100%エタノール)から計算した抽出収率を、図1において提示する。
図1において示されるとおり、カジメ抽出物の収率は、50%エタノールが抽出溶媒として用いられた場合(室温、1時間)に、最も高いことを確認した。
したがって、カジメ抽出物の産業上の利用可能性を増大させるために、またはカジメ抽出物を工業的なラージスケールにおいて提供するために、50%エタノールが、抽出溶媒として最も好ましいことを確認した。
実験例2:抽出条件によるカジメ抽出物の血管内皮細胞死阻害活性の評価
本発明のカジメ抽出物の血管疾患に対する薬効を検討するために、以下の実験を行い、本発明のカジメ抽出物の血管内皮細胞死阻害活性を評価した。
<2−1>血管内皮細胞の培養
第1に、10%ウシ胎児血清および1%抗生物質(ペニシリン/ストレプトマイシン)を添加したDMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)中のマウス由来血管内皮細胞(SVEC4-10)を、37℃で、5%COインキュベーター中で培養した。
十分な細胞を得るために、細胞を100Φのプラスチックディッシュ中で培養した。ディッシュの底が細胞により80%被覆されるまで細胞を培養したら、接着した細胞を、トリプシン/EDTA溶液を用いて脱離させ、次いで継代培養した。
<2−2>血管内皮細胞死モデルの構築
マウス由来血管内皮細胞(SVEC4-10)を0.5mMのパルミチン酸で24時間にわたり処置して、高脂肪食動物モデル(in vivo)と類似の細胞モデル(in vitro)を構築した。
<2−3>抽出条件によるカジメ抽出物の薬効の評価
例<2−2>における血管内皮細胞死モデルを構築する過程において、それに対して、例1において調製された3つの異なるカジメ抽出物(100ml)を、0.5mMのパルミチン酸の処置と同時に、処置した。24時間後、MTTアッセイを行って、生存した血管内皮細胞の数を調査し、本発明のカジメ抽出物の薬効を評価した。結果を、図2において示す。
図2において示されるとおり、例1および例2のカジメ抽出物処置群の全てにおいて、未処置対照群と比較して、血管内皮細胞の生存率が著しく増大したことを確認した。
したがって、本発明のカジメ抽出物が、血管疾患を予防、改善または処置する医学的効果を有することを確認した。したがって、上のカジメ抽出物は、血管疾患のための医薬組成物または保健機能食品組成物の活性成分として提供することができる。
実験例3:抽出条件によるカジメ抽出物の管平滑筋細胞遊走阻害活性の評価
血管疾患に対する本発明のカジメ抽出物の薬効を検討するために、以下の実験を行い、本発明のカジメ抽出物の血管平滑筋細胞遊走阻害活性を評価した。
<3−1>マウス血管平滑筋細胞培養
第1に、10%ウシ胎児血清および1%抗生物質(G418)を添加したDMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)中のマウス由来の血管平滑筋細胞(MOVAS)を、37℃で、5%COインキュベーター中で培養した。
十分な細胞を得るために、細胞を100Φのプラスチックディッシュ中で培養した。ディッシュの底が細胞により80%被覆されるまで細胞を培養したら、接着した細胞を、トリプシン/EDTA溶液を用いて脱離させ、次いで継代培養した。
<3−2>血管平滑筋細胞遊走モデルの構築
トランズウェル(transwell)遊走アッセイにおいて用いられる細胞遊走モデルを構築するために、マウス由来血管平滑筋細胞(MOVAS)を、トランズウェルの上部において培養した。
<3−3>抽出条件によるカジメ抽出物の薬効の評価
例<3−2>において構築した細胞遊走モデルを用いることにより、トランズウェル遊走アッセイを行った。特に、モデルを、0.25mMのパルミチン酸で48時間にわたり処置し、次いで、下部に遊走した細胞の数を計数した。それに対して、例1において3つの異なる条件下において調製したカジメ抽出物(100μg/ml)を、パルミチン酸と共に48時間にわたり処置し、MTTアッセイを行って、血管平滑筋細胞遊走を確認した。それに基づいて、本発明のカジメ抽出物の薬効を評価した。結果を図3において示す。
図3において示されるとおり、例1(エタノール抽出物)および例2(熱水抽出物)においてそれぞれ調製された異なるカジメ抽出物で処置された全ての実験群において、未処置対照群と比較して、著しい平滑筋細胞遊走阻害効果が観察された。特に、血管平滑筋細胞の阻害は、例2のカジメ熱水抽出物、例1の45%、50%、70%および100%エタノール抽出物で処置された群において優れていた。
血管平滑筋細胞の阻害は、カジメの50%エタノール抽出物で処置された群において最も顕著であった。
したがって、本発明のカジメ抽出物は、血管疾患の予防または処置のための医薬組成物または保健機能食品組成物の活性成分として提供することができる。特に、本発明のカジメ抽出物は、平滑筋細胞の遊走または増殖に関連する血管疾患を予防、改善または処置することにおいて特に有効である有用な活性成分として提供することができる。
実験例4:血管内皮細胞死モデルにおける細胞生存率の評価
本発明のカジメ抽出物の血管疾患に対する薬効を検討するために、以下の実験を行って、血管内皮細胞死モデルにおける細胞生存率を評価した。
<4−1>血管内皮細胞死モデルの構築
マウス由来血管内皮細胞(SVEC4-10)を0.25mMのパルミチン酸で24時間にわたり処置して、高脂肪食動物モデル(in vivo)と類似の細胞モデル(in vitro)を構築した。
<4−2>カジメ抽出物の薬効の評価
例<4−1>において血管内皮細胞死モデルを構築する過程において、それを、カジメの50%エタノール抽出物で、0.25mMのパルミチン酸と共に、24時間にわたり、0μg/ml、25μg/ml、50μg/mlおよび100μg/mlの様々な濃度において処置した。24時間後、MTTアッセイを行って、生存した血管内皮細胞の数を確認し、細胞生存率を分析した。結果は、図4において示す。
図4において示されるとおり、カジメの50%エタノール抽出物で25μg/mlの濃度で処置された群の細胞生存率は、未処置対照群とそれほど異ならなかった。しかし、細胞生存率は、カジメの50%エタノール抽出物で、50μg/mlおよび100μg/mlの濃度で処置された群においては、著しく増大した。
したがって、本発明のカジメ抽出物が、血管内皮細胞の死に対して保護的効果を有することを確認した。したがって、本発明のカジメ抽出物は、本発明において言及される疾患(血管疾患を含む)を予防、改善または処置するための医薬組成物または保健機能食品組成物の活性成分として提供することができる。
実験例5:疾患誘導動物モデルにおける薬効の評価
以下の実験を、行って、疾患誘導動物モデルにおいて本発明のカジメ抽出物の薬効を評価した。
<5−1>血管疾患動物モデルの構築
高脂肪食により、以下のとおり、血管疾患動物モデルを構築した。
特に、実験動物の管理および使用は、嘉泉大学校、Lee Gil Ya癌糖尿病研究所、施設動物飼育使用委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)、Lee Gil Ya Cancer and Diabetes Institute、により審査され承認されたプロトコルに従って、実験動物飼育評価公認協会(Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care:AAALAC)のガイドライン下において実施した。8週齢のC57BL/6Nマウス(20〜25g)を、8週間にわたる45%高脂肪食(カタログ番号D12451、Research diet)により増大した体重および血圧に対するカジメ抽出物の効果を検討するために選択した。
マウスを、1週間にわたり動物室の環境に適応させ、次いで、普通対照食群および高脂肪食群に分けた。特に、マウスを、3つの群に分けた:普通食群(NFD)は、対照食を8週間にわたり給餌され、高脂肪食群(HFD)は、高脂肪食を8週間にわたり給餌され、および実験群(HFD−ECE)は、高脂肪食を最初の4週間の間給餌され、次いで、残りの4週間の間、高脂肪食をカジメ抽出物(70mg/kg)と一緒に共処置された。
(1)普通食群(NFD)
(2)高脂肪食群(HFD)
(3)カジメ抽出物処置実験群(HFD−ECE)
<5−2>血圧の測定
動物モデルの血圧は、テールカフ(tail cuff)法を用いることにより測定し、その1日後に、動物を安楽死させた。
マウスを、加温プレート上で37℃で10分間にわたり加熱した後で、保持器中に入れた。加圧パッドおよび血流検出器を尾に取り付け、血圧測定デバイス(CODA-HT8、Kent Scientific Corporation)を用いて、尾動脈の収縮期。た血圧および拡張期血圧を測定した。マウスは、6日間にわたり、加温プレートおよび保持器に適応させた。血圧は、静止状態において5回測定し、これを1サイクルと考え、血圧の測定を、3〜4サイクル繰り返して、平均値を計算した。
<5−3>免疫組織化学染色
パラフィン包埋組織ブロックを、薄切して、切片をコーティング済スライドグラス上に付着させた。スライドグラスを、脱パラフィンのために、キシレン中に5分間3回浸漬し、次いで、順に100%、95%、90%、80%および70%アルコール中に各1分間浸漬した。抗体のリカバリーのために、スライドグラスを、抗体リカバリー溶液中に浸漬して、高周波で3分間処置した。一次抗体を、抗体会社により推奨される濃度において、2%正常ウマ血清を含むPBSで希釈し、その後、4℃で2日間にわたり反応させた。2日間にわたる反応の後で、スライドグラスを、PBSで3回各10分間にわたり洗浄し、Alexa 488(緑)と共役した二次抗体と、室温で1時間反応させた。核および組織を観察するために、スライドグラスを、DAPI(Sigma)で3分間処置した。スライドグラスを、PBSで3回各10分間にわたり洗浄した。各スライドグラスを、カバーガラスにより被覆し、その後観察した。
<5−4>プロスタグランジンの測定
プロスタグランジン(PGI2)は、血管収縮性因子であるトロボキサンA2(TxA2)(これは血管収縮剤として作用する)と生理学的に反作用し、血管を弛緩させる。したがって、PGl2発現の変化は、本発明のカジメ抽出物の血管疾患に対する薬効の評価の有用な指標となり得る。したがって、高脂肪食により誘導される循環障害動物モデルにおいて、PGl2の発現を測定した。
特に、(1)普通食群(NFD)、(2)高脂肪食群(HFD)および(3)カジメ抽出物処置実験群(HFD−ECE)においてPGl2の発現を測定し、結果を図5において示す。
図5において示されるとおり、PGl2の発現は、HFD群の大動脈において著しく低下していたが、カジメ抽出物処置実験群においては、HFD群と比較して、著しく増加していた。
したがって、本発明のカジメ抽出物は、血管疾患の予防または処置のための医薬組成物または保健機能食品組成物の活性成分として提供することができることを確認した。
<5−5>血管内皮機能の変化の評価
プロスタグランジン(PGI2)および細胞内接着性タンパク質(E−セレクチン、ICAM−1、VCAM−1およびvWF)の発現パターンを、(1)普通食群(NFD)、(2)高脂肪食群(HFD)および(3)カジメ抽出物処置実験群(HFD−ECE)において検討し、これらから、血管内皮の機能の変化を評価した。結果を、図6、7、8および9において示す。
図6、7、8および9において示されるとおり、接着性タンパク質の発現をNFD群およびHFD群において確認した場合、PGI2の発現は、HFD群において増加していた。しかし、PGI2の発現は、HFD群と比較して、HFD−ECE群においては抑制されていた。
したがって、本発明のカジメ抽出物は、血管疾患の予防または処置のための医薬組成物または保健機能食品組成物の活性成分として提供することができることを確認した。
<5−6>血管の弾性を制御する血管収縮剤に対する阻害効果の評価
血管収縮に関連するエンドセリン−1(ET−1)の発現を、(1)普通食群(NFD)、(2)高脂肪食群(HFD)および(3)カジメ抽出物処置実験群(HFD−ECE)において検討し、結果を、図10において示す。
図10において示されるとおり、カジメ抽出物処置実験群におけるET−1の発現は、HFD群におけるET−1の発現の2.5倍低下していた。
したがって、本発明のカジメ抽出物が、ET−1の発現を低下させることにより血管の弾性を維持したことを確認した。
<5−7>血管内臓筋細胞および血圧の変化の観察
一旦血管内皮細胞が損傷を受けると、血管の内臓筋細胞は、異常に変形し、結果として異常な細胞増殖および異常な弾性制御をもたらす。かかる変化は、血管を肥厚させ、血管の弾性を低下させ、血管疾患の原因となる。
したがって、(1)普通食群(NFD)、(2)高脂肪食群(HFD)および(3)カジメ抽出物処置実験群(HFD−ECE)における血管の内臓筋細胞の変化を観察し、結果を、図11において示す。
図11において示されるとおり、HFD群における血管の内臓筋細胞の厚みは、NFD群と比較して2.5倍増大していたが、HFD−ECE群においては1.8倍減少していた。
したがって、本発明のカジメ抽出物が、血管の弾性の制御において重要である血管の内臓筋細胞の異常な増殖を阻害したことを確認した(図11)。
かかる阻害効果により、血圧の上昇が軽減され、このことは、循環障害が改善されたことを示している(図12)。さらに、HFD群における収縮期および拡張期の血圧および脈圧は、普通対照群と比較して、著しく増大していた。しかし、カジメ抽出物処置群における収縮期および拡張期の血圧および脈圧は、著しく低下していた(図13)。
したがって、本発明のカジメ抽出物が、内皮細胞の損傷を阻害する活性、血管外壁線維症を抑制する活性、および血管内臓筋の異常な増殖を抑制する活性を有し、したがって血管の弾性が改善されることを確認した。
上の実験例および本発明に添付された図面において示されるとおり、本発明のカジメ抽出物が、血管平滑筋細胞の遊走または増殖を抑制する活性、プロスタグランジン(PGI2)の発現を増大させる活性、細胞内接着タンパク質(E−セレクチン、ICAM−1、VCAM−1、およびvWF)の発現を低下させる活性、ならびにエンドセリン−1(ET−1)の発現を低下させる活性を有することを確認した。
したがって、本発明のカジメ抽出物が、血管の弾性を予防及び改善すること、血管内臓筋の異常な増殖を抑制すること、内皮細胞の損傷を阻害すること、血管外壁線維症を抑制すること、および血圧上昇を予防することにおいて有効であることを確認した。
したがって、本発明は、本発明のカジメ抽出物、その画分、その分画物質、またはカジメ抽出物粉末を活性成分として含む、血管平滑筋細胞の異常な増殖、遊走性または内皮性の増殖性疾患、血管炎症性疾患、血管再狭窄、血管狭窄、粥状動脈硬化症、心不全、心筋梗塞、狭心症、不整脈、高血圧、高血圧性心疾患、先天性心疾患、脳卒中、および末梢血管狭窄などの血管疾患からなる群より選択される疾患のうちの少なくとも1つの予防または処置のため、あるいはこれの予防または改善のための、医薬組成物または健康機能食品を提供する。
例3:カジメ抽出物からのPPBの単離
式1により表される化合物であるピロガロール−フロログルシノール−6,6−ビエコール(PPB)をカジメ抽出物から分離して同定するために、以下の実験を行った。
<3−1>カジメ抽出物の調製
Aqua Green Technology(Jeju, Korea)から提供されたカジメ粉末を、抽出物の調製のために用いた。100gのカジメ粉末を、4Lの50%エタノール中にロードし、その後、室温(20℃)で24時間にわたり抽出した。遠心分離を行い、上清を得た。上清を、Watmanろ紙(Whatman No. 4)でろ過した。ろ過された抽出物を、減圧下において濃縮してエタノールを除去し、その後、凍結乾燥して粉砕した。結果として、カジメ抽出物粉末を調製し、4℃で貯蔵した。
<3−2>カジメ抽出物の有機溶媒画分の調製
例<3−1>において調製して凍結乾燥したカジメを、蒸留水中に溶解し、n−ヘキサン、クロロホルムおよび酢酸エチルなどの有機溶媒を、非極性から極性の有機溶媒へと連続的に添加することにより、溶媒分画を行った。結果として生じた生成物を、減圧下において濃縮して画分を得、これを、それを使用するまで4℃で貯蔵した。
<3−3>カジメ由来画分のHPLC
カジメの酢酸エチル画分(ECE)を、HPLCにより分析して、PPBの構成成分を同定した。
HPLCは、sunfire C18カラム(3.5μm、4.6×250)上に5mg/mLのECE試料をロードした、勾配アセトニトリル−水溶媒系を用いることにより行った。移動相は、アセトニトリル-水であり、その比は、以下のとおり変化させた。特に、アセトニトリルおよび水を、以下のとおり流した:0→10分(10:90→25:75v/v)、10→40分(25:75→35:65v/v)、40→50分(35:65→100:0v/v)および50→60分(100:0→100:0v/v)。流速は、1mL/分であった。254nmにおいてUV吸光度を測定し、結果を、図14において示す。
<3−4>向流遠心クロマトグラフィー(CPC)を用いるPPBの単離
PPBを、カジメ抽出物の酢酸エチル画分(ECE)から、CPC(向流遠心クロマトグラフィー)により、単一の化合物として、80〜90%の純度で単離した。CPC単離のために、混合されていない二相溶媒系を用いた。ここにおいて用いられた溶媒は、n−ヘキサン:酢酸エチル:mエタノール:水であり、これを、2:8:3:7の比において、分離ファンネル(4L)中で混合した。混合物を分離ファンネル中で安定化させた後、単離を行った。上層中の溶媒を、固定相として用い、下層中の溶媒を、移動相として用いた。
単離のために、CPCカラムを、固定相溶媒で充填した。移動相溶媒は、CPCローターが1,000rpmで移動相溶媒の流動が安定するまで回転している間(背圧:3.3MPa)、2mL/分の流速で下降モードにおいて、カラムを通して下に流した。
ECE試料(500mg)を、移動相溶媒および固定相溶媒を1:1の比で各3mL含む混合溶媒中で溶解し、これを注射弁を通して注射した。CPCカラムから得られた画分を、UVにより290nmで分析した。画分を、6mLのフラクションコレクターを用いることにより、8mLのガラス試験管中に回収した。結果を、図15において示す。
<3−5>HPLCによるCPC画分の分析
例<3−4>においてCPCにより得られた画分を、例<3−3>において記載したものと同じ様式によりHPLCに進めた。結果として、90%の純度でPPBを得た。結果を、図16において示し、単離したPPBの化学構造を図17において示す。
例4:PPBの抗肥満効果の評価
以下の実験を行って、本発明において単離され、同定されたPPBの抗肥満効果を評価した。
<4−1>ob/obマウスの肥満誘導動物モデルの構築および処置
6週齢のオスob/obマウスを選択した。一般食により6週間にわたり体重増加を誘導した。次いで、例1において調製したPPBの効果を検討した。
特に、マウスを、動物室の環境に1週間にわたり適応させた。次いで、マウスを2群に分け、これれらに、一般食を42日間(6週間)給餌した。これらの2群は、一般食を給餌され、食塩水を経口投与された対照(食塩水群)、および一般食を給餌され、PPBを2.5mg/kgの用量で経口投与された実験群(PPB群)であった。
<4−2>ob/obマウスの肥満誘導動物モデルにおける脂肪細胞のサイズの変化の測定
例<4−1>において用意した対照群およびPPB処置実験群のマウスから、脂肪組織を得、脂肪細胞のサイズの変化を観察した。
特に、対照および実験群のマウスから得た脂肪組織を、パラフィンブロックにして、これを7μmの厚みにおいて薄切し、その後、ヘマトキシリン−エオジン染色(H&E染色)を行った。染色した組織を、Axio Imager Z1正立顕微鏡システムで撮影し、ImageJ 1.50iソフトウェアを用いることにより細胞のサイズを測定した。
ob/obマウスの肥満誘導動物モデルにおいてPPBにより誘導される脂肪細胞のサイズの変化を、図18において提示する。
図18において示されるとおり、脂肪細胞のサイズが増大した対照群(食塩水群)と比較して、実験群(PPB群)においては、脂肪細胞のサイズは、一般に減少していた。右のグラフは、脂肪細胞のサイズの数値を示す。このグラフにおいて示されるとおり、脂肪細胞のサイズは、有意に減少した(p<0.005)。
<4−3>ob/obマウスの肥満誘導動物モデルにおける肝臓組織における脂肪蓄積の測定
例<4−1>において用意された対照群および実験群のマウスから、肝臓組織を得た。得られた肝臓組織を、凍結ブロックにして、これを10μmの厚みにおいて薄切した。組織切片を、0.375%(w/v)のオイルレッドO粉末で染色した。染色された組織を、Axio Imager Z1正立顕微鏡システムで撮影し、ImageJ 1.50iソフトウェアを用いることにより脂肪蓄積の面積を測定した。
ob/obマウスの肥満誘導動物モデルの肝臓組織においてPPBにより誘導される脂肪蓄積の変化を、図19において提示する。
図19において示されるとおり、オイルレッドOにより赤色に変化した脂肪の油滴が、実験群(PPB群)において、対照群(食塩水群)と比較して減少することを確認した。右のグラフは、脂肪蓄積を面積として示す。このグラフにおいて示されるとおり、脂肪蓄積面積は、有意に減少した(p<0.005)。
したがって、本発明のPPB化合物が、抗肥満効果を有することを確認した。かかる効果により、本発明のPPB化合物は、医薬組成物または保健機能食品組成物の活性成分として、代謝性疾患の予防または処置のために、効果的に用いることができる。
例5:PPBの血管内皮細胞に対する保護効果の評価
本発明において単離され同定されたPPB化合物の保護効果を評価するために、以下の実験を行った。
<5−1>マウス由来血管内皮細胞培養
10%ウシ胎児血清および1%抗生物質(ペニシリン/ストレプトマイシン)を添加したDMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)中のマウス由来血管内皮細胞(SVEC4-10)を、37℃で5%COインキュベーターにおいて培養した。十分な細胞を得るために、細胞を100Φのプラスチックディッシュ中で培養した。ディッシュの底が80%細胞で被覆されるまで細胞を培養したら、接着した細胞を、トリプシン/EDTA溶液を用いて脱離させ、次いで継代培養した。
<5−2>血管内皮細胞死モデルの構築および処置
例<5−1>において得られたマウス由来血管内皮細胞(SVEC4-10)を、0.25mMのパルミチン酸で処置し、血管内皮細胞死モデル(in vitro)を構築した。
細胞を、様々な濃度のPPBで24時間にわたり処置した。24時間後、MTTアッセイを行って、生存細胞の数を確認した。結果から、パルミチン酸の存在下における血管内皮細胞の生存に対するPPBの効果を分析した。結果を、図21において示す。
<5−3>血管内皮細胞死モデルにおけるPPBの細胞死に対する保護効果
図21において示されるとおり、PPBで処置されていない対照群および5μg/mlのPPBで処置された実験群を比較した場合、生存細胞の数は、2群の間でさほど異ならなかった。しかし、血管内皮細胞の生存率は、10μg/mlの用量のPPBで処置された群において著しく増大していた。
したがって、本発明の式1により表される化合物が、血管内皮細胞に対して保護効果を有することを確認した。したがって、本発明の化合物は、血管疾患または血栓性疾患の予防または処置のための医薬組成物、あるいはこれらの予防または改善のための保健機能食品組成物の活性成分として用いることができる。
例6:PPBの血液循環に対する改善効果の評価
本発明において単離され同定されたPPB化合物の改善効果を評価するために、以下の実験を行った。
<6−1>ob/obマウスの肥満誘導動物モデルにおけるプラスミノーゲン活性化因子阻害因子1型(PAI−1)レベルの測定
プラスミノーゲン活性化因子阻害因子1型(PAI−1)は、プラスミノーゲン症(plasminogenesis)の原因であるコアセリンプロテアーゼである組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、およびウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター(uPA)の重要な阻害剤である。
PAI−1は、血管領域において、プラスミノーゲンの活性化を阻害することにより、線維素溶解を制御する。線維素溶解は、凝集ステップの活性化により形成されたフィブリンを分解するための厳密に組織化されたプロセスである。
血液循環を改善するためのバイオマーカーであるPAI−1を測定するために、マウスから血液を採取し、ELISAキットを用いることにより血漿PAI−1レベルを測定した。結果を、図20において示す。
図20において示されるとおり、ob/obマウスの肥満誘導動物モデルにおける血中PAl−1レベルを、食塩水で処置された対照群およびPPBで処置された実験群の間で比較した。結果として、血中PAl−1レベルは、実験群において、対照群と比較して低下していた。
したがって、PAl−1の産生がPPBの注射により阻害されたことを確認した。
上の実験例および本発明に添付された図面において示されるとおり、本発明の式1により表される化合物であるPPBが、血中フィブリノーゲンおよびプラスミノーゲン活性化因子阻害因子1型のレベルを低下させる活性、プロスタグランジン(PGI2)の発現を増大させる活性、細胞内接着タンパク質(E−セレクチン、ICAM−1、VCAM−1、およびvWF)の発現を低下させる活性、ならびにエンドセリン−1(ET−1)の発現を低下させる活性を有することを確認した。
したがって、本発明の化合物が、血栓形成を抑制すること、血管の弾性を予防及び改善すること、血管内臓筋の異常な増殖を抑制すること、内皮細胞の損傷を阻害すること、血管外壁線維症を抑制すること、および血圧上昇を予防することにおいて有効であることを確認した。
したがって、本発明は、代謝性疾患、血管疾患または血栓性疾患を予防または処置するための医薬組成物、あるいは代謝性疾患、血管疾患または血栓性疾患を予防または改善するための健康機能食品を提供し、これらは、式1により表される化合物、これを含むカジメ抽出物、好ましくはカジメの50%エタノール抽出物、その画分、好ましくはECE画分、その分画物質または抽出物粉末を活性成分として含む。
当業者は、前述の記載において開示される概念および具体的な態様が、本発明の同じ目的を実施するために、改変または他の態様を設計するための基礎として容易に利用することができることを、理解するであろう。当業者はまた、かかる等価の態様が、添付の請求の範囲において記載される本発明の精神および範囲から乖離しないことをも理解するであろう。

Claims (4)

  1. カジメの45%〜50%エタノール抽出物を活性成分として含む、血管疾患を予防または処置するための医薬組成物であって、
    ここで血管疾患が、血管炎症性疾患、血管再狭窄、血管狭窄、動脈硬化症、粥状動脈硬化症、心筋梗塞、狭心症、高血圧、高血圧性心疾患および末梢血管狭窄からなる群より選択される、前記医薬組成物
  2. カジメの45%〜50%エタノール抽出物が、血管平滑筋細胞の遊走または増殖を抑制すること、プロスタグランジン(PGI2)の発現を増大させること、細胞接着タンパク質(E−セレクチン、ICAM−1、VCAM−1、およびvWF)の発現を低下させること、ならびにエンドセリン−1(ET−1)の発現を低下させることからなる群より選択される1つ以上の活性により、血管疾患を予防または処置することができる、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. カジメの45%〜50%エタノール抽出物が、以下の式1:
    [式1]
    により表される化合物、その立体異性体またはその薬学的に受入可能な塩を活性成分として含む、
    請求項1に記載の医薬組成物。
  4. カジメの45%〜50%エタノール抽出物を活性成分として含む、血管疾患を予防または改善するための保険機能食品組成物であって、
    ここで血管疾患が、血管炎症性疾患、血管再狭窄、血管狭窄、動脈硬化症、粥状動脈硬化症、心筋梗塞、狭心症、高血圧、高血圧性心疾患および末梢血管狭窄からなる群より選択される、前記保険機能食品組成物
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